説明

画像記録材料用支持体及びその製造方法並びに画像記録材料

【課題】 高い平滑性と優れた光沢性とを兼ね備えた画像記録材料用支持体及びその製造方法、並びに、該画像記録材料用支持体を用いた画像記録材料の提供。
【解決手段】 原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)にうら面ポリマー被覆層を形成するうら面ポリマー被覆層形成工程と、該うら面ポリマー被覆層を形成した原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に金属ロールが接するようにカレンダー処理するカレンダー処理工程と、該カレンダー処理された原紙のおもて面におもて面ポリマー被覆層を形成するおもて面ポリマー被覆層形成工程とを含む画像記録材料用支持体の製造方法である。該製造方法により製造された原紙の両面にポリマー被覆層を有する画像記録材料用支持体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い平滑性と優れた光沢性とを兼ね備えた画像記録材料用支持体及びその製造方法、並びに、該画像記録材料用支持体を用いた画像記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真材料、感熱材料、インクジェット記録材料、昇華転写材料、銀塩写真材料、熱転写材料等の各種画像記録材料を用いて画像記録を行い、高画質で、高い光沢性と優れた平滑性を有する画像プリントを得るには、画像記録材料の表面において高い平滑性が必要とされ、これに伴って画像記録材料用支持体の表面においても高い平滑性が要求される。このため、例えば、原紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂により被覆した支持体が用いられ、更に平滑な支持体を得る目的で、原紙にカレンダー処理が行われている。しかし、カレンダー処理後、原紙のままで放置しておくと、加湿及び加温により凹凸の戻りが生じてしまうという問題がある。
【0003】
この問題点を解決するため、原紙をカレンダー処理した後、早急にポリマー被覆層を形成する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
しかし、これらの提案では、原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する前の印刷、乾燥、及び原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する時の加湿加温により平面性が戻ってしまうという問題がある。
【0004】
したがって、表面平滑性が高く、極めて優れた光沢性を有する画像記録材料用支持体を効率よく得る製造方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平4−81836号公報
【特許文献2】特開平6−266047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、原紙のうら面にポリマー被覆層を形成した後、おもて面ポリマー被覆層を形成する直前にカレンダー処理する画像記録材料用支持体の製造方法、及び該製造方法により製造された高い平滑性と優れた光沢性を兼ね備えた画像記録材料用支持体を用い、高画質の画像を記録可能であり、優れた光沢性と優れた平滑性を付与可能な画像記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)にうら面ポリマー被覆層を形成するうら面ポリマー被覆層形成工程と、該うら面ポリマー被覆層を形成した原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に金属ロールが接するようにカレンダー処理するカレンダー処理工程と、該カレンダー処理された原紙のおもて面におもて面ポリマー被覆層を形成するおもて面ポリマー被覆層形成工程とを含むことを特徴とする画像記録材料用支持体の製造方法である。
<2> カレンダー処理工程の前に、原紙のうら面に印刷を行う前記<1>に記載の画像記録材料用支持体の製造方法である。
<3> カレンダー処理が、表面温度100℃以上の金属ロールを有するカレンダーにより、ニップ圧100kgf/cm以上で行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法である。
<4> カレンダー処理が、シューロールを有するロングニップカレンダーを用いて行われる前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法である。
<5> カレンダー処理工程を行った後、300秒以内におもて面ポリマー被覆層形成工程を行う前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の方法により製造された原紙の両面にポリマー被覆層を有することを特徴とする画像記録材料用支持体である。
<7> ポリマー被覆層におけるポリマーが、ポリオレフィン樹脂である前記<6>に記載の画像記録材料用支持体である。
<8> 前記<6>から<7>のいずれかに記載の画像記録材料用支持体と、該支持体上に少なくとも画像記録層とを有することを特徴とする画像記録材料である。
<9> 電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料及びインクジェット記録材料から選択されるいずれかである前記<8>に記載の画像記録材料である。
【0008】
本発明の画像記録材料用支持体の製造方法は、原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)にうら面ポリマー被覆層を形成するうら面ポリマー被覆層形成工程と、該うら面ポリマー被覆層を形成した原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に金属ロールが接するようにカレンダー処理するカレンダー処理工程と、該カレンダー処理された原紙のおもて面におもて面ポリマー被覆層を形成するおもて面ポリマー被覆層形成工程とを含む。これにより、原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する前の印刷、乾燥、及び原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する時の加湿加温により平面性が戻ってしまうことがなく、高い平滑性と優れた光沢性を兼ね備えた画像記録材料用支持体を効率よく製造できる。
【0009】
本発明の画像記録材料用支持体は、本発明の前記画像記録材料用支持体の製造方法により製造された原紙の両面にポリマー被覆層を有するので、高い平滑性と優れた光沢性を両立することができ、各種画像記録材料に好適に使用可能である。
【0010】
本発明の画像記録材料においては、本発明の画像記録材料用支持体を有することにより、高画質で、高光沢性であると共に、優れた平滑性を有する画像プリントが得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来からの課題を解決でき、原紙のうら面にポリマー被覆層を形成した後、おもて面ポリマー被覆層を形成する直前にカレンダー処理することにより、微細凹凸及びうねりを良化することができる画像記録材料用支持体の製造方法、該製造方法により製造され、高い平滑性と優れた光沢性とを兼ね備え、高画質の画像を記録可能である各種画像記録材料に好適に使用可能な画像記録材料用支持体、及び該画像記録材料用支持体を有し、高画質の画像を記録可能であり、高い光沢性と優れた平滑性を付与可能な画像記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(画像記録材料用支持体及び画像記録材料用支持体の製造方法)
本発明の画像記録材料用支持体の製造方法は、うら面ポリマー被覆層形成工程と、カレンダー処理工程と、おもて面ポリマー被覆層形成工程とを含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の画像記録材料用支持体は、本発明の前記画像記録材料用支持体の製造方法により製造される。
以下、本発明の画像記録材料用支持体の製造方法の説明を通じて、本発明の画像記録材料用支持体の詳細についても明らかにする。
【0013】
−うら面ポリマー被覆層形成工程−
前記うら面ポリマー被覆層形成工程は、原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)にうら面ポリマー被覆層を形成する工程である。
【0014】
<うら面ポリマー被覆層>
前記うら面ポリマー被覆層を構成するポリマーとしては、フィルム形成能のある樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等が好適である。
【0015】
前記うら面ポリマー被覆層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常ラミネート法、逐次ラミネート法、又は、フィートブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプ等の単層若しくは多層押出ダイ、ラミネーター等によるラミネート法のいずれかの方法により被覆することにより、形成される。前記単層若しくは多層押出用ダイの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Tダイ、コートハンガーダイ等が好適に挙げられる。
なお、前記うら面ポリマー被覆層を形成する前に、前記原紙に、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、又はプラズマ処理などの活性化処理を施すことが好ましい。
前記うら面ポリマー被覆層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜50μmが好ましい。
【0016】
前記うら面ポリマー被覆層には、二酸化チタン等の無機顔料、ブルーイング剤、蛍光増白剤、酸化防止剤等を含有させてもよく、特に二酸化チタンを含有させるのが好ましい。また、該うら面ポリマー被覆層が多層である場合には原紙に接する最下層に、原紙との接着性を良好にする観点から、粘着性付与剤樹脂、接着性樹脂等を含有させることもできる。さらに必要に応じて、適宜、酸化防止剤、剥離剤、中空ポリマー等を含有させてもよい。
【0017】
<原紙>
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(224)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0018】
前記原紙としては、支持体に使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて各種の材料から適宜選択することができ、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、該天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
【0019】
前記原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の平面性及び寸法安定性等を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、前記広葉樹パルプが好ましいが、前記針葉樹パルプ等を使用することもできる。
前記広葉樹パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等が挙げられるが、これらの中でも広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましい。
前記紙に対する前記広葉樹パルプの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
【0020】
前記針葉樹パルプとしては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等が挙げられる。
前記パルプとしては、繊維長のもともと短い広葉樹パルプを主体に使用することが好ましい。
前記パルプの叩解には、ビータやリファイナー等を使用できる。前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤、等が挙げられる。
【0021】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス等、更には、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)等に記載のものを用いることができる。
これら各種添加剤等は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら各種添加剤等の前記パルプ紙料中への添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常0.1〜1.0質量%が好ましい。
【0022】
前記パルプスラリーには、更に必要に応じて、前記各種添加剤等を含有させたパルプ紙料を手抄紙機、長網抄紙機、丸網抄紙機、ツインワイヤーマシン、コンビネーションマシンなどの抄紙機を用いて抄紙し、その後乾燥して原紙を作製する。また、所望により前記乾燥の前後のいずれかに表面サイズ処理を実施することができる。
前記表面サイズ処理に使用される表面サイズ処理液は、例えば、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかの金属塩、水溶性高分子化合物、蛍光増白剤、耐水性物質、顔料、染料、などが含有されている。
前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかの金属塩としては、上述した通りのものを使用することができる。
【0023】
前記水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、カチオン化澱粉、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、などが挙げられ、これらの中でも、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ポリエチレンオキサイド、ゼラチンが好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)が特に好ましい。
なお、前記水溶性高分子化合物の含有量は、0.5〜2g/mが好ましい。
【0024】
前記蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ナフタル酸誘導体、イミダゾロン誘導体、等が挙げられ、これらの中でも、スチルベン系化合物が好ましい。
なお、前記原紙における蛍光増白剤の含有量は、特に制限されないが、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.02〜0.2質量%がより好ましい。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類;ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、などが挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
【0025】
前記原紙は、画像記録材料用支持体の剛性及び寸法安定性の向上を図る目的から、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)は1.5〜2.0が好ましい。前記Ea/Eb値が、1.5未満、或いは2.0を超える範囲では、画像記録材料用支持体の剛性や、寸法安定性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことになることがある。
【0026】
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なり、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用し、これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率は、下記数式から求めることができる。
E=ρc(1−n
前記数式において、Eは、動的弾性率を表す。ρは、密度を表す。cは、紙中の音速を表す。nは、ポアソン比を表す。
【0027】
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記数式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc
従って、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。前記数式において、音速を測定する場合には、例えば、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
【0028】
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50〜250g/mが好ましく、100〜200g/mがより好ましい。
【0029】
−カレンダー処理工程−
前記カレンダー処理工程は、前記うら面ポリマー被覆層を形成した原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に金属ロールが接するようにカレンダー処理する工程である。
この場合、前記カレンダー処理工程の前に、原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)に印刷を行うことが好ましい。該印刷としては、フレキソ印刷、グラビア印刷などが挙げられる。本発明においては、このようにうら面ポリマー被覆層を形成する前の印刷、乾燥による平面性の戻りが生じることを効果的に防止できる。
【0030】
前記金属ロールの表面温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。前記金属ロールの表面温度の上限温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、200℃程度が好ましい。
前記カレンダー処理の際のニップ圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100kN/cm以上が好ましく、100〜600kN/cmがより好ましい。
【0031】
前記カレンダー処理におけるカレンダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属ロールと、合成樹脂ロールとの組合せからなるソフトカレンダーロール、一対の金属ロールからなるマシンカレンダーロールを有するものなどが挙げられる。これらの中でも、ソフトカレンダーロールを有するものが好適であり、特に、金属ロールと、合成樹脂ベルトを介したシューロールからなるロングニップのシューカレンダーが長いニップ幅をとることができ、原紙とロールとの接触面積が増大することから好適である。
【0032】
前記カレンダー処理におけるカレンダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属ロールと、合成樹脂ロールとの組合せからなるソフトカレンダーロール、一対の金属ロールからなるマシンカレンダーロールを有するものなどが挙げられる。これらの中でも、ソフトカレンダーロールを有するものが好適であり、特に、金属ロールと、合成樹脂ベルトを介したシューロールからなるロングニップのシューカレンダーが長いニップ幅をとることができ、原紙とロールとの接触面積が増大することから好適である。
【0033】
前記シューロールは、弾性樹脂製のエドレスベルトを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。なお、本発明でいうエンドレスベルトとは、一般的な概念のエンドレスベルトの他に円筒状のスリーブの態様をも包含する。なお、シューロールにはエンドレスベルト(スリーブ)の他に加圧ユニット、及び潤滑剤を循環させる循環システムを備える。
【0034】
前記弾性樹脂製のエンドレスベルトは、例えば、厚手の布等を支持体とし、該支持体上に弾性樹脂を被覆して形成することができる。該弾性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
エンドレスベルト(スリーブ)の硬度としては、少なくとも原紙に接する側の面においては、ショア硬度で30〜80度が好ましく、40〜70度がより好ましい。ショア硬度が30度未満であると、使用時に、エンドレスベルトに塑性変形が生ずるため、シューロールの寿命が短くなることがある。また、高い表面平滑性・光沢度を有する原紙が得られないことがある。一方、ショア硬度が80度を超えると、エンドレスベルトの硬度が高すぎて、シューロールの形状の曲率がとり難くなることがある。
【0036】
これらのシューロールに対応する金属ロールとしては、表面の平滑な円筒状又は円柱状のロールであり、その内部に加熱手段を有するものであれば、その材質等に特に制限はなく、公知の金属ロールを適宜選択して用いることができる。また、前記金属ロールは、カレンダー処理時に原紙における両面のうち、原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に接するため、表面粗さは平滑なほど好ましく、具体的には、JISB0601で規定する表面粗さで0.3S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
【0037】
上記のようなシューカレンダーにより原紙をカレンダー処理する場合、金属ロールとシューロールにより形成されるニップ幅は、50〜300mmが好ましく、50〜200mmがより好ましく、70〜200mmが更に好ましい。前記ニップ幅が50mm未満の場合には、原紙がニップ部を通過する時間が短くなり、カレンダー処理効果が低くなるため、好ましくない。一方、前記ニップ幅が300mmを超える場合には、原紙のカレンダー処理時の線圧が低くなり、カレンダー処理効果が低くなるため、好ましくない。
【0038】
さらに原紙がシューカレンダーのニップ部を通過する際の通過の速度としては、100〜800m/分が好ましく、150〜600m/分がより好ましく、200〜500m/分が特に好ましい。前記通過の速度が100m/分未満であると、生産効率が悪くなることがある一方、前記通過の速度が800m/分を超える場合には、原紙がニップ部を通過する時間が短くなるため、カレンダー処理効果が出ないことがある。
【0039】
ここで、前記シューカレンダーの一例について、図1を参照して説明する。図1において、液体不透過性の可撓性を有する弾性性樹脂製のエンドレスベルト10を有する。このエンドレスベルト10内には支持部材12が配置されており、この支持部材12に加圧ユニットとしての油圧装置14が固定されている。油圧装置14の上端から突出するピストンロッド16に螺子によって支持プレート18が固着されている。
支持プレート18は、支持部材12の面に摺動する面を有する支持体20を備えると共に凹曲部分22を有するプレスシュー24が固定されており、この凹曲部分22に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給装置26が設けられている。なお、図中、28は金属ロールを示す。
【0040】
このシューカレンダーにおいては、抄紙工程が得られた連続したウェブ30(原紙)の両側にそれぞれプレスフルト(図示せず)を配置させた状態で、金属ロール28を図に示す方向に回転させると共に潤滑剤供給装置26からプレスシュー24の凹曲部分22に潤滑剤を供給し、プレスシュー24を油圧装置14を介して所定の圧力で押圧する。このカレンダー処理工程では、ウェブ28に含有される水分等はプレスフルトに受け入れられながら、所定の密度になるまで処理される。
【0041】
図2は、シューカレンダーの他の一例を示す概略図であり、図1における部材と実質的に同じ機能を有する部材は同一符号で示している。
図2において、32は、図1の場合と同様に円筒状固定部材に加圧ユニットとしての油圧装置及び潤滑剤を循環させる潤滑システム等が備えられた構成部分を示し、この構成部分の周囲には所定の間隔をおいてガイド部材34が設けられ、これらのガイド部材34の外周囲をスリーブ36が回転可能となっている。
【0042】
このシューロールにおいては、スリーブ36と構成部分32内の円筒状固定部材との間に隙間をおいて設けられる場合には、原紙がニップ部を通過する際に発生する摩擦熱等が容易に放熱されるため、シューカレンダーの高速運転が可能となり、また、スリーブの寿命も長くなる。さらに、円筒状固部材とスリーブとの間隙に、冷却された潤滑油を供給すれば、放熱作用を一層促進することができる。
【0043】
−おもて面ポリマー被覆層形成工程−
前記おもて面ポリマー被覆層形成工程は、前記カレンダー処理された原紙のおもて面におもて面ポリマー被覆層を形成する工程である。
前記おもて面ポリマー被覆層におけるポリマーとしては、前記うら面ポリマー被覆層と同様のポリオレフィン樹脂を用いることができ、同様の溶融押し出しラミネートにより形成することができる。
前記おもて面ポリマー被覆層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜50μmが好ましい。
【0044】
前記カレンダー処理工程を行った後、300秒以内におもて面ポリマー被覆層形成工程を行うことが好ましく、120秒以内がより好ましい。カレンダー処理後の経過時間が300秒を超えると、カレンダー処理による圧縮変形の戻りが起こりやすくなり、平面性が悪化することがある。
【0045】
本発明の画像記録材料用支持体の製造方法によれば、原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する前の印刷、乾燥、及び原紙のうら面にポリマー被覆層を形成する時の加湿加温により平面性が戻ってしまうことがなく、高い平滑性と優れた光沢性を兼ね備えた画像記録材料用支持体を効率よく製造できる。
本発明の画像記録材料用支持体は、平滑性が高く、優れた光沢性を有し各種用途に用いることができ、例えば、電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料、インクジェット記録材料などに好適に用いることができる。
【0046】
(画像記録材料)
本発明の画像記録材料は、本発明の前記画像記録材料用支持体と、該支持体上に少なくとも画像記録層とを有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
ここで、前記画像記録材料用支持体については、上述した通りである。
前記画像記録材料としては、画像記録材料の用途、種類に応じて異なり、例えば、電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料、インクジェット記録材料、などが挙げられる。以下、各画像記録材料ごとに説明する。
【0047】
<電子写真材料>
前記電子写真材料は、本発明の前記画像記録材料用支持体と、画像記録層として該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも1層のトナー受像層を有し、必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、表面保護層、バック層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0048】
[トナー受像層]
前記トナー受像層は、カラートナーや黒トナーを受容し、画像を形成するためのトナー受像層である。該トナー受像層は、転写工程にて、(静)電気、圧力等にて現像ドラム或いは中間転写体より画像を形成するトナーを受容し、定着工程にて熱、圧力等にて固定化する機能を有する。
【0049】
前記トナー受像層としては、本発明の電子写真材料を写真に近い感触とする点で、光透過率は78%以下の透明性の低いトナー受像層が好ましく、該光透過率は73%以下がより好ましく、72%以下が更に好ましい。
なお、前記光透過率は、別途ポリエチレンテレフタレートフィルム(100μm)上に厚みの同じ塗布膜を形成し、その塗布膜について、直読ヘイズメーター(スガ試験機HGM−2DP)を用いて測定することができる。
【0050】
前記トナー受像層は、熱可塑性樹脂を少なくとも含有し、必要に応じてトナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で添加される各種添加剤、例えば、離型剤、可塑剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、乳化剤、分散剤等を含有する。
【0051】
−熱可塑性樹脂−
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、(1)ポリオレフィン系樹脂、(2)ポリスチレン系樹脂、(3)アクリル系樹脂、(4)ポリ酢酸ビニル又はその誘導体、(5)ポリアミド系樹脂、(6)ポリエステル樹脂、(7)ポリカーボネート樹脂、(8)ポリエーテル樹脂(又はアセタール樹脂)、(9)その他の樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。これらの中でも、特にトナーの埋め込みの点から凝集エネルギーの大きいスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
【0052】
前記(1)のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン、プロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂、などが挙げられる。前記オレフィンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸やメタクリル酸との共重合体であるアイオノマー樹脂などが挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂の誘導体としては、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
前記(2)のポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン−無水マレイン酸樹脂などが挙げられる。
前記(3)のアクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸又はそのエステル類、ポリメタクリル酸又はそのエステル類、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
前記ポリアクリル酸のエステル類としては、アクリル酸のエステルのホモポリマーや多元コポリマーなどが挙げられる。前記アクリル酸のエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、などが挙げられる。
前記ポリメタクリル酸のエステル類としては、例えば、メタクリル酸のエステルのホモポリマーや多元コポリマーなどが挙げられる。前記メタクリル酸のエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。
前記(4)のポリ酢酸ビニル又はその誘導体としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られるポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールをアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)と反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(5)のポリアミド系樹脂はジアミンと二塩基酸との重縮合体であり、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどが挙げられる。
前記(6)のポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分の縮合重合により製造される。前記酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物、又はこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。
前記アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二価のアルコールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトレメチレングリコールなどが挙げられる。また、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
前記(7)のポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとホスゲンから得られるポリ炭酸エステルが一般的である。
前記(8)のポリエーテル樹脂(又はアセタール樹脂)としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル樹脂、開環重合系としてポリオキシメチレン等のアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(9)のその他樹脂として重付加系のポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0053】
なお、前記熱可塑性樹脂としては、前記トナー受像層を形成した状態で後述のトナー受像層物性を満足できるものが好ましく、樹脂単独でも後述のトナー受像層物性を満足できるものがより好ましく、後述するトナー受像層物性の異なる樹脂を2種以上併用することも好ましい。
【0054】
前記熱可塑性樹脂としては、トナーに用いられている熱可塑性樹脂に比べて分子量が大きいものが好ましい。ただし、該分子量は前記トナーに用いられている熱可塑性樹脂と、前記トナー受像層における熱可塑性樹脂との熱力学的特性の関係によっては、必ずしも前述の分子量の関係が好ましいとは限らない。例えば、前記トナーに用いられている熱可塑性樹脂より、前記トナー受像層における熱可塑性樹脂の軟化温度の方が高い場合、分子量は同等か、前記トナー受像層における熱可塑性樹脂の方が小さいことが好ましい場合がある。
【0055】
前記トナー受像層の熱可塑性樹脂として、同一組成の樹脂であって互いに平均分子量が異なるものの混合物を用いるのも好ましい。また、前記トナーに用いられている熱可塑性樹脂の分子量との関係としては、特開平8−334915号公報に開示されている関係が好ましい。
前記トナー受像層の熱可塑性樹脂の分子量分布としては、前記トナーに用いられている熱可塑性樹脂の分子量分布よりも広いのが好ましい。
前記トナー受像層の熱可塑性樹脂としては、特開平5−127413号公報、特開平8−194394号公報、特開平8−334915号公報、特開平8−334916号公報、特開平9−171265号公報、特開平10−221877号公報等に開示されている物性を満足するものが好ましい。
【0056】
前記トナー受像層用熱可塑性樹脂としては、(i)塗布乾燥工程での有機溶剤の排出がなく、環境適性、作業適性に優れている。(ii)ワックス等の離型剤は、室温では溶剤に溶解し難いものが多く、使用に際して予め溶媒(水、有機溶剤)に分散することが多い。また、水分散形態の方が安定で、かつ、製造工程適性に優れる。更に、水系塗布の方が塗布乾燥の過程でワックスが表面にブリーディングし易く、離型剤の効果(耐オフセット性、耐接着性等)が得やすい。という理由から、水分散性ポリマー及び水溶性ポリマー等の水系の樹脂が好適に用いられる。
【0057】
前記水系の樹脂としては、水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれかであれば、その組成、結合構造、分子構造、分子量、分子量分布、形態などについて特に制限するものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記ポリマーの水系化基としては、例えば、スルホン酸基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、エーテル基等が挙げられる。
【0058】
前記水分散性ポリマーとしては、例えば、前記(1)〜(9)の熱可塑性樹脂を水分散した樹脂、エマルジョン、これらの共重合体、混合物、及びカチオン変性物の中から適宜選択し、2種以上を組み合わせることができる。
前記水分散性ポリマーは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、ポリエステル系の水分散性ポリマーとしては、東洋紡績株式会社製のバイロナールシリーズ、高松油脂株式会社製のペスレジンAシリーズ、花王株式会社製のタフトンUEシリーズ、日本合成化学工業株式会社製のポリエスターWRシリーズ、ユニチカ株式会社製のエリエールシリーズ等が挙げられる。アクリル系の水分散性ポリマーとしては、星光化学工業株式会社製のハイロスXE、KE、PEシリーズ、日本純薬株式会社製のジュリマーETシリーズ等が挙げられる。
【0059】
前記水分散性エマルジョンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水分散性ポリウレタンエマルジョン、水分散性ポリエステルエマルジョン、クロロプレン系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系エマルジョン、ニトリル−ブタジエン系エマルジョン、ブタジエン系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系エマルジョン、ポリブテン系エマルジョン、ポリエチレン系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニリデン系エマルジョン、メチルメタクリレート−ブタジエン系エマルジョン等が挙げられる。これらの中でも、水分散性ポリエステルエマルジョンが特に好ましい。
前記水分散性ポリエステルエマルジョンとしては、自己分散型水系ポリエステルエマルジョンであることが好ましく、これらの中でも、カルボキシル基含有自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンが特に好ましい。ここで、前記自己自己分散型水系ポリエステルエマルジョンとは、乳化剤等を用いることなく、水系溶媒中に自己分散し得るポリエステル樹脂を含む水系エマルジョンを意味する。また、前記カルボキシル基含有自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンとは、親水性基としてカルボキシル基を含有し、水系溶媒中に自己分散し得るポリエステル樹脂を含む水系エマルジョンを意味する。
【0060】
前記自己分散型の水分散性ポリエステルエマルジョンとしては、下記(1)〜(4)の特性を満たすものが好ましい。これは、界面活性剤を使用しない自己分散型なので、高湿雰囲気でも吸湿性が低く、水分による軟化点低下が少なく、定着時のオフセット発生、保存時のシート間接着故障の発生を抑制できる。また、水系であるため環境性、作業性に優れている。更に、凝集エネルギーが高い分子構造をとりやすいポリエステル樹脂を用いているので、保存環境では十分な硬度を有しながら、電子写真の定着工程では低弾性(低粘性)の溶融状態となり、トナーが受像層に埋め込まれて十分な高画質が達成可能となる。
(1)数平均分子量(Mn)は、5000〜10000が好ましく、5000〜7000がより好ましい。
(2)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、4以下が好ましく、Mw/Mn≦3がより好ましい。
(3)ガラス転移温度(Tg)は、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
(4)体積平均粒子径は、20〜200nmが好ましく、40〜150mmがより好ましい。
前記水分散性エマルジョンの前記トナー受像層における含有量は、10〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0061】
前記水溶性ポリマーとしては、重量平均分子量(Mw)が400,000以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、カチオン化澱粉、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられるが、これらの中でも、ポリエチレンオキサイドが好ましい。
前記水溶性ポリマーの市販品としては、水溶性ポリエステルとして瓦応化学工業株式会社製の各種プラスコート、大日本インキ化学工業株式会社製のファインテックスESシリーズ、水溶性アクリルとして日本純薬株式会社製のジュリマーATシリーズ、大日本インキ化学工業製ファインテックス6161、K−96;星光化学工業株式会社製のハイロスNL−1189、BH−997L等が挙げられる。
また、前記水溶性ポリマーとしては、リサーチ・ディスクロージャー17,643号の26頁、リサーチ・ディスクロージャー18,716号の651頁、リサーチ・ディスクロージャー307,105号の873〜874頁、及び特開昭64−13546号公報に記載されたものが挙げられる。
【0062】
前記水溶性ポリマーの前記トナー受像層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.5〜2g/mが好ましい。
【0063】
前記熱可塑性樹脂は、他のポリマー材料と併用することもできるが、その場合、他のポリマー材料よりも、一般に含有量は多くなるように使用される。
前記トナー受像層用熱可塑性樹脂の、前記トナー受像層における含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、50〜90質量%が特に好ましい。
【0064】
−離型剤−
前記離型剤は、前記トナー受像層のオフセットを防ぐため、前記トナー受像層に配合される。本発明で使用される離型剤は、定着温度において加熱・融解し、前記トナー受像層表面に析出してトナー受像層表面に偏在し、更に、冷却・固化されることによってトナー受像層表面に離型剤材料の層を形成するものであれば、その種類は特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記離型剤としては、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス及びマット剤から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0065】
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、特許第2949558号、特開昭50−117433号、特開昭52−52640号、特開昭57−148755号、特開昭61−62056号、特開昭61−62057号、特開昭61−118760号、特開平2−42451号、特開平3−41465号、特開平4−212175号、特開平4−214570号、特開平4−263267号、特開平5−34966号、特開平5−119514号、特開平6−59502号、特開平6−161150号、特開平6−175396号、特開平6−219040号、特開平6−230600号、特開平6−295093号、特開平7−36210号、特開平7−43940号、特開平7−56387号、特開平7−56390号、特開平7−64335号、特開平7−199681号、特開平7−223362号、特開平7−287413号、特開平8−184992号、特開平8−227180号、特開平8−248671号、特開平8−248799号、特開平8−248801号、特開平8−278663号、特開平9−152739号、特開平9−160278号、特開平9−185181号、特開平9−319139号、特開平9−319143号、特開平10−20549号、特開平10−48889号、特開平10−198069号、特開平10−207116号、特開平11−2917号、特開平11−44969号、特開平11−65156号、特開平11−73049号、特開平11−194542号の各公報に記載のトナーに用いられているシリコーン系化合物、フッ素化合物又はワックスも好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
【0066】
前記シリコーン系化合物としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン微粒子、シリコーン変性樹脂、反応性シリコーン化合物などが挙げられる。
【0067】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、無変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記シリコーン変性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、又はこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した樹脂等が挙げられる。
【0068】
前記フッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素オイル、フッ素ゴム、フッ素変性樹脂、フッ素スルホン酸化合物、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物又はその塩、無機フッ化物などが挙げられる。
【0069】
前記ワックスとしては、天然ワックスと合成ワックスに大別することができる。
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましく、これらの中でも、植物系ワックスが特に好ましい。前記天然ワックスとしては、特に、前記トナー受像層用ポリマーとして水系樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型ワックスが好ましい。
【0070】
前記植物系ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。該植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油等が挙げられる。
前記カルナバワックスの市販品としては、例えば、日本精鑞株式会社製のEMUSTAR−0413、中京油脂株式会社製のセロゾール524等が挙げられる。前記ヒマシ油の市販品としては、伊藤製油株式会社製の精製ヒマシ油等が挙げられる。
これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真材料を提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
【0071】
前記動物系ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋等が挙げられる。
【0072】
前記鉱物系ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。
これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真材料を提供可能である点で、融点が70〜95℃のモンタンワックスが特に好ましい。
【0073】
前記石油ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどが挙げられる。
【0074】
前記天然ワックスの前記トナー受像層における含有量は、0.1〜4g/mが好ましく、0.2〜2g/mがより好ましい。
前記含有量が0.1g/m未満であると、耐オフセット性、耐接着性が特に不充分となることがあり、4g/mを超えると、ワックス量が多過ぎ、形成される画像の画質が劣ることがある。
【0075】
前記天然ワックスの融点(℃)としては、特に、耐オフセット性、及び、通紙性の点から70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
【0076】
前記合成ワックスは、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、その他の油脂系合成ワックスに分類される。これらワックスは、前記トナー受像層の熱可塑性樹脂として水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で水分散型ワックスが好ましい。
【0077】
前記合成炭化水素としては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、などが挙げられる。
前記油脂系合成ワックスとしては、例えば、酸アミド化合物(例えばステアリン酸アミド等)、酸イミド化合物(例えば無水フタル酸イミド等)、などが挙げられる。
【0078】
前記変性ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミン変性ワックス、アクリル酸変性ワックス、フッ素変性ワックス、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス、アルコール型ワックスなどが挙げられる。
【0079】
前記水素化ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化ひまし油、ヒマシ油誘導体、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸、ウンデシレン酸、ヘプチル酸、マレイン酸、高度マレイン化油、などが挙げられる。
【0080】
前記離型剤の融点(℃)としては、特に耐オフセット性、及び、通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
なお、前記トナー受像層に添加される離型剤としては、これらの誘導体、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
【0081】
前記離型剤の含有量は、前記トナー受像層の質量を基準として0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8.0質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%が更に好ましい。
前記含有量が0.1質量%未満であると、耐オフセット性及び耐接着性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、離型剤の量が多すぎて形成される画像の画質が低下することがある。
【0082】
−可塑剤−
前記可塑剤としては、特に制限はなく、公知の樹脂用の可塑剤を目的に応じて適宜選択することができる。該可塑剤は、前記トナーを定着する時の熱又は圧力によって、前記トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0083】
前記可塑剤としては、高沸点有機溶剤や熱溶剤等として記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、特開昭59−178451号、特開昭59−178453号、特開昭59−178454号、特開昭59−178455号、特開昭59−178457号、特開昭62−174754号、特開昭62−245253号、特開昭61−209444号、特開昭61−200538号、特開昭62−8145号、特開昭62−9348号、特開昭62−30247号、特開昭62−136646号、特開平2−235694号等の各公報に記載されているようなエステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類等)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類等)、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類等の化合物が挙げられる。
これら可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
【0084】
更に前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。該可塑剤の分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましく、分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであるのが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
上記に挙げた化合物以外にも市販品としては、例えば、アデカサイザーPN−170、PN−1430(いずれも旭電化工業株式会社製)、PARAPLEX−G−25、G−30、G−40(いずれもC.P.HALL社製)、エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン4851、FK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテックスLC、クリスタレックス3085(いずれも理化ハーキュレス社製)等が挙げられる。
【0085】
前記可塑剤は、トナー粒子が前記トナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性等の物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分等の物質収支による歪みなど)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、前記トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の、前記トナー受像層における含有量は、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0086】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する公知の化合物であれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物などが好適に挙げられる。前記蛍光増白剤としては、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、例えば、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物等が挙げられる。該市販品としては、例えばホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B(いずれも住友化学株式会社製)、UVITEX−OB(Ciba−Geigy社製)等が挙げられる。
【0087】
前記白色顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機顔料を用いることができる。
【0088】
前記有色顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料、アゾ顔料、多環式顔料、縮合多環式顔料、レーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ(例えばカーミン6B、レッド2B等)、不溶性アゾ顔料(例えばモノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ等)、縮合アゾ系顔料(例えばクロモフタルイエロー、クロモフタルレッド)等が挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料では、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等が挙げられる。
前記縮合多環式顔料としては、ジオキサジン系顔料(例えば、ジオキサジンバイオレット等)、イソインドリノン系顔料(例えば、イソインドリノンイエロー等)、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、等が挙げられる。
前記レーキ顔料としては、例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化物(例えば、二酸化チタン、ベンガラ等)硫酸塩(例えば、沈降性硫酸バリウム等)、炭酸塩(例えば、沈降性炭酸カルシウム等)、硅酸塩(例えば、含水硅酸塩、無水硅酸塩等)、金属粉(例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、黄鉛、紺青)、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
前記染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水不溶性染料としては、例えば、建染染料、分散染料、油溶性染料、などが挙げられる。前記建染染料としては、例えば、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等が挙げられる。前記分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等が挙げられる。前記油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55、等が挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好適に使用することができる。
【0090】
前記着色剤の、前記トナー受像層における含有量は、0.1〜8g/mが好ましく、0.5〜5g/mがより好ましい。
前記着色剤の含有量が0.1g/m未満であると、トナー受像層における光透過率が高くなることがあり、8g/mを超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性に劣ることがある。
また、前記着色剤の中でも、顔料の添加量は、前記トナー受像層を構成する熱可塑性樹脂の質量に基づいて40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0091】
前記フィラーとしては、有機又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。該フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとしては、無機フィラー又は無機顔料を用いることができる。前記無機フィラー又は無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。これらの中でも、特に、シリカ、アルミナが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0092】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。前記シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。なお、前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。
【0093】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。前記無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができ、無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。前記アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。前記一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。前記三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。前記アルミナは、多孔質のものが好ましい。
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。前記無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
【0094】
前記フィラーの添加量は、前記トナー受像層のバインダーの乾燥質量100質量部に対し5〜2000質量部が好ましい。
【0095】
前記架橋剤は、前記トナー受像層の保存安定性や熱可塑性等を調整するために配合することができる。該架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
前記架橋剤としては、これとは別に、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、例えば、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。前記カップリング剤としては、例えば、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤等が挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0096】
前記トナー受像層には、トナーの転写や付着等を調整したり、前記トナー受像層の帯電接着を防止するために、帯電調整剤を含有させることが好ましい。
前記帯電調整剤としては、特に制限はなく、従来から公知の各種帯電調整剤を目的に応じて適宜使用することができ、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。具体的には、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられる。
なお、トナーが負電荷を有する場合には、トナー受像層に配合される帯電調整剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。また、前記導電性金属酸化物は、異種元素を更に含有(ドーピング)させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0097】
−その他の添加剤−
前記トナー受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良や前記トナー受像層自身の安定性改良のため各種添加剤を含めることができる。前記添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤、等が挙げられる。
【0098】
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、前記酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報等に記載されている。
【0099】
前記老化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0100】
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許第3533794号明細書参照)、4−チアゾリドン化合物(米国特許第3352681号明細書参照)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報参照)、及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報参照)が挙げられる。
【0101】
前記金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米国特許第4241155号明細書、米国特許第4245018号明細書、米国特許第4254195号明細書、特開昭61−88256号公報、特開昭62−174741号公報、特開昭63−199248号公報、特開平1−75568号公報、特開平1−74272号公報に記載されているものが適当である。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好適に使用することができる。
【0102】
なお、前記トナー受像層に使用され得る材料には、上述したように公知の写真用添加剤を必要に応じて添加することができる。前記写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、RDNo.18716(1979年11月)及びRDNo.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記表にまとめて示す。
【0103】
【表1】

【0104】
前記トナー受像層は、前記支持体上に、前記トナー受像層用熱可塑性樹脂を含有する塗工液をワイヤーコーター等で塗布し、乾燥することによって設けられる。前記熱可塑性樹脂の成膜温度(MFT)は、プリント前の保存に対しては、室温以上が好ましく、トナー粒子の定着に対しては100℃以下が好ましい。
【0105】
前記トナー受像層は、乾燥後の塗布質量は、例えば、1〜20g/mが好ましく、4〜15g/mがより好ましい。
前記トナー受像層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用されるトナーの粒子径の1/2以上が好ましく、1倍〜3倍の厚さがより好ましく、具体的には、1〜50μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、2〜20μmが更に好ましく、5〜15μmが特に好ましい。
【0106】
[トナー受像層の諸物性]
前記トナー受像層は、定着部材との定着温度における180度剥離強さは、0.1N/25mm以下が好ましく、0.041N/25mm以下がより好ましい。前記180度剥離強さは、定着部材の表面素材を用い、JIS K6887に記載の方法に準拠して測定することができる。
前記トナー受像層は、白色度が高いものが好ましい。該白色度としては、JIS P 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ、同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内が好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率は85%以上が好ましく、かつ、同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内がより好ましい。
前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L)色空間において、L値は80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、前記白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。白色色味としては、L空間において、(a+(bの値は50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0107】
前記トナー受像層としては、画像形成後の光沢性が高いのが好ましい。その光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度は60以上が好ましく、75以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
ただし、前記光沢度は110以下が好ましい。110を超えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
ここで、前記光沢度は、例えば、JIS Z8741に基づいて測定することができる。
【0108】
前記トナー受像層は、定着後に平滑性が高いのが好ましい。該平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)は3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
ここで、前記算術平均粗さは、例えば、JIS B0601、JIS B0651、JIS B0652に基づいて測定することができる。
【0109】
前記トナー受像層は、以下の項目における1項目の物性を有するのが好ましく、複数の項目の物性を有するのがより好ましく、全ての項目の物性を有するのが更に好ましい。
(1)トナー受像層のTm(溶融温度)は30℃以上が好ましく、トナーのTm+20℃以下が好ましい。
(2)トナー受像層の粘度が1×10cpになる温度は、40℃以上が好ましく、トナーのそれより低いことが好ましい。
(3)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、1×10〜1×10Pa、損失弾性率(G”)が、1×102〜1×10Paが好ましい。
(4)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G’)との比である損失正接(G”/G’)は、0.01〜10が好ましい。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G’)に対して、−50〜+2500が好ましい。
(6)溶融トナーのトナー受像層上の傾斜角が、50度以下が好ましく、40度以下がより好ましい。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号公報、特開平7−248637号公報、特開平8−305067号公報、特開平10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0110】
前記トナー受像層の表面電気抵抗は、1×10〜1×1015Ω/cmの範囲(25℃−65%RHの条件にて)が好ましい。
前記表面抵抗が1×10Ω/cm未満であると、トナー受像層にトナーが転写される際のトナー量が充分でなく、得られるトナー画像の濃度が低くなり易いことがあり、1×1015Ω/cmを超えると、転写時に必要以上の電荷が発生し、トナーが充分に転写されず、画像の濃度が低く、電子写真材料の取り扱い中に静電気を帯びて塵埃が付着し易くなる。また、複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケ等が発生することがある。
ここで、前記表面電気抵抗は、JIS K6911に準拠し、サンプルを温度20℃、湿度65%の環境下に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定することで得られる。
【0111】
[その他の層]
前記電子写真材料におけるその他の層としては、例えば、表面保護層、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0112】
−表面保護層−
前記表面保護層は、前記電子写真材料における表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、前記トナー受像層の表面に設けることができる。該表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記トナー受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
【0113】
前記表面保護層には、トナー受像層に使用可能な、前述の各種の添加剤を配合することができる。特に、前記表面保護層には、本発明で使用する離型剤と共に、他の添加剤、例えば、マット剤等を配合することができる。なお、前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
前記電子写真材料における最表面層(例えば、表面保護層が形成されている場合には、表面保護層等)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性がよいのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば0〜40度であることが好ましい。
【0114】
−バック層−
前記バック層は、前記電子写真材料において、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側に設けられるのが好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はないが、前記電子写真材料が、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成がトナー受像層側と同様であってもよい。バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、特にマット剤や、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
前記バック層の厚みは、通常、0.1〜10μmが好ましい。
【0115】
−密着改良層等−
前記密着改良層は、前記電子写真材料において、支持体及びトナー受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、本発明の電子写真材料には、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及びトナー受像層の間に、更にクッション層等を設けるのが好ましい。
【0116】
−中間層−
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及びトナー受像層の間、トナー受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。もちろん、支持体、トナー受像層、及び、中間層からなる電子写真材料の場合には、中間層は、例えば、支持体及びトナー受像層の間に存在させることができる。
【0117】
なお、本発明の前記電子写真材料の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50〜550μmが好ましく、100〜350μmがより好ましい。
【0118】
<トナー>
本発明の電子写真材料は、印刷又は複写の際に、前記トナー受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有してなり、更に必要に応じて離型剤、その他の成分を含有してなる。
【0119】
−トナーの結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常トナーに用いられているものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、パラクロルスチレン等のスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸等のビニルカルボン酸類などのビニル系モノマーの単独重合体又はその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中で、特に上記本発明のトナー受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いるのが好ましい。
【0120】
−トナーの着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常トナーに用いられているものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート等の各種顔料が挙げられる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料などが挙げられる。
これら着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併せて使用してもよい。
前記着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、2〜8質量%の範囲が好ましい。前記着色剤の含有量が2質量%未満であると、着色力が弱くなることがあり、8質量%を超えると、透明性が損なわれることがある。
【0121】
−トナーの離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、通常トナーに用いられているものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン結合を有する化合物等窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。
前記ポリエチレンワックスの分子量は1000以下が好ましく、300〜1000がより好ましい。
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。前記分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組合せ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組合せ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組合せ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組合せ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組合せ等、種々の組合せを選択することができるが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組合せるのが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが好ましい。
【0122】
前記モノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル及びその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリル等が挙げられる。
前記ジイソシアン酸化合物としては、例えば、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロン等が挙げられる。
前記モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等が挙げられる。
前記ジアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール等の多数のグリコール類;トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタン等が挙げられる。
【0123】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記の乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基等の高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液等とともに用いることができる。
【0124】
−トナーのその他の成分−
また、前記トナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。前記内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0125】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウムや、鉄、クロム等の錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料等の通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御や、廃水汚染を減少する観点から水に溶解しにくい材料が好ましい。
【0126】
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等、通常、トナー表面の外添剤を全て使用でき、それらをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用するのが好ましい。
【0127】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、更には、それらの安定化等に界面活性剤を用いることができる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的なものが使用可能である。
【0128】
なお、前記トナーには、必要に応じて更に外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粒子又は有機粒子が挙げられる。前記無機粒子としては、例えば、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。また、前記有機粒子としては、例えば、脂肪酸又はその誘導体、これらの金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末などを用いることができる。
これらの粒子の平均粒径は、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0129】
前記トナーの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により製造するのが好ましい。
【0130】
−トナーの物性等−
前記トナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ、体積平均粒度分布指数(GSDv)は1.3以下が好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は0.95以上が好ましい。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L)/(4×S)
(ただし、Lはトナー粒子の最大長、Sはトナー粒子の投影面積を示す。)
前記トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0131】
なお、前記トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、1×10〜1×10Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0132】
<感熱材料>
前記感熱材料としては、例えば、本発明の前記画像記録材料用支持体上に、前記画像記録層として、少なくとも熱発色層を設けた構成を有し、感熱ヘッドによる加熱と紫外線による定着の繰り返しにより画像を形成するサーモオートクローム方式(TA方式)において用いられる感熱材料等が挙げられる。
【0133】
<昇華転写材料>
前記昇華転写材料としては、例えば、本発明の前記画像記録材料用支持体上に、前記画像記録層として、少なくとも熱拡散性色素(昇華性色素)を含有するインク層を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱してインク層から熱拡散性色素を昇華転写シート上に転写する昇華転写方式などが挙げられる。
【0134】
<熱転写材料>
前記熱転写材料としては、例えば、本発明の前記画像記録材料用支持体上に、前記画像記録層として、少なくとも熱溶融性インク層を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱して熱溶融性インク層からインクを熱転写シート上に溶融転写する方式などが挙げられる。
【0135】
<銀塩写真材料>
前記銀塩写真材料としては、例えば、本発明の前記画像記録材料用支持体上に、前記画像記録層として、少なくともYMCに発色する画像記録層を設けた構成を有し、焼付露光されたハロゲン化銀写真用シートを複数の処理槽内を浸漬しながら通過することにより、発色現像、漂白定着、水洗を行い、乾燥するハロゲン化銀写真方式、等が挙げられる。
【0136】
<インクジェット記録材料>
前記インクジェット記録材料としては、例えば、本発明の画像記録材料用支持体上に、前記画像記録層として、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を受容できる前記色材受容層を有する。
【0137】
<印刷用紙>
前記画像記録材料用支持体は、印刷用紙として用いることも好ましい。印刷用紙として用いる場合には、印刷機械によりインク等を塗布する点から、機械強度が高いものが好ましい。
【0138】
前記画像記録材料用支持体として前記原紙を用いる場合、紙に填料、柔軟化剤、製紙用内添助剤等を含有させるのが好ましい。前記填料としては、一般に使用されているものが使用でき、例えば、クレイ、焼成クレイ、珪藻土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0139】
前記製紙用内添助剤としては、例えば、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性、アニオン性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤、内添サイズ剤等が挙げられる。具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物;硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、澱粉、加工澱粉、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド等の水溶性高分子、親水性架橋ポリマー粒子分散物、これらの誘導体、又は変成物等の各種化合物が挙げられる。これらの物質は前記製紙用内添助剤としての機能のいくつかを同時に有するものである。
【0140】
次に、内添サイズ剤としては、例えば、アルキルケテンダイマー系化合物、アルケニル無水コハク酸系化合物、スチレン−アクリル系化合物、高級脂肪酸系化合物、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤などが挙げられる。
【0141】
更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加してもよい。
【0142】
前記印刷用紙は、オフセット印刷用紙として特に好適であり、その他にも凸版印刷用紙、グラビア印刷用紙、電子写真用紙として使用することが可能である。
【0143】
本発明の画像記録材料は、高い平面性と優れた光沢性とを有する画像記録材料用支持体と、該支持体上に前記画像記録層を有するため、優れた光沢性と優れた平滑性を有し、高画質の画像を記録可能であり、電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料、及びインクジェット記録材料として好適なものである。
【実施例】
【0144】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0145】
(実施例1)
−画像記録材料用支持体の製造−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで280ml(カナダ標準ろ水度、C.S.F.)まで叩解し、繊維長0.65mmのパルプ紙料を作製した。
このパルプ紙料にパルプ質量を基準として、カチオンスターチ1.6質量%、アルキルケテンダイマー(AKD)0.4質量%、アニオンポリアクリルアミド0.3質量%、エポキシ化脂肪酸アミド(EFA)0.2質量%、及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.2質量%の割合となるように添加した。なお、前記アルキルケテンダイマーのアルキル部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する。前記エポキシ化脂肪酸アミドの脂肪酸部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する。
【0146】
得られたパルプ紙料を手漉きシートマシンを用いて、絶乾坪量140g/m、水分量が68%の湿紙を作製した。
この湿紙を表面温度120℃の金属シリンダードラムに3分間接触させて乾燥し、その後、カレンダー処理して原紙を調製した。
得られた原紙の画像記録層を設ける面と反対側の面(うら面)にグラビア印刷機で印刷インクを用いて印刷し、30〜100℃の温風で乾燥させた。その後、原紙のうら面に低密度ポリエチレン(LDPE)/高密度ポリエチレン(HDPE)=30/70(質量比)を厚さ28μmになるように、溶融押し出しコーティングした。
次いで、図1に示す金属ロールと合成樹脂ベルトを介したシューロールを有するニップ幅30mmのロングニップカレンダー装置を用いて、原紙の画像記録層を設ける面側(おもて面)に表面温度150℃の金属ロール、反対面のシューロールの表面温度を40℃に設定して、ニップ圧120kgf/cmでカレンダー処理を行った。
次いで、原紙のおもて面に10質量%の酸化チタンを含有する低密度ポリエチレン(LDPE)を厚さ30μmになるように溶融押し出しコーティングして、両面ポリエチレン被覆した実施例1の画像記録材料用支持体を作製した。なお、カレンダー処理後から押し出しコーティングするまでの時間は100秒であった。
【0147】
(実施例2〜4及び比較例1〜2)
−画像記録材料用支持体の製造−
実施例1において、原紙のうら面印刷後のカレンダー処理及びポリマー被覆層の形成条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜2の画像記録材料用支持体を作製した。
【0148】
【表2】

*マシンカレンダーの条件:うら面金属ロールの表面温度:40℃、ニップ巾:0.5mm
*ソフトカレンダーの条件:うら面樹脂ロールの表面温度:40℃、ニップ巾:3mm
【0149】
次に、得られた実施例1〜4及び比較例1〜2の各画像記録材料用支持体について、以下のようにして、光沢性、及び平面性を評価した。結果を表3に示す。
【0150】
<光沢性の評価>
各画像記録材料用支持体について、光沢性を目視で観察し、下記基準に基づいて、光沢性の最も良好なものをAとして、次いで、B、C、D、Eとランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている。
B・・・優れている。
C・・・中間である。
D・・・劣る。
E・・・非常に劣る。
【0151】
<おもて面の面状評価>
各画像記録材料用支持体について、おもて面の微細凹凸、うねりなどの面状について目視観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている。
B・・・優れている。
C・・・中間である。
D・・・劣る。
E・・・非常に劣る。
【0152】
<うら面の面状評価>
各画像記録材料用支持体について、うら面の微細凹凸、うねりなどの面状について目視観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている。
B・・・優れている。
C・・・中間である。
D・・・劣る。
E・・・非常に劣る。
【0153】
【表3】

【0154】
(実施例5〜8及び比較例3〜4)
実施例1〜4及び比較例1〜2の各画像記録材料用支持体を用いて、下記方法により実施例5〜8及び比較例3〜4の各電子写真用受像紙を作製した。
−二酸化チタン分散液−
二酸化チタン(タイペーク(登録商標)A−220、石原産業株式会社製)40.0g、ポリビニルアルコール(PVA102、株式会社クラレ製)2.0g、及びイオン交換水58.0gを混合し、日本精機製作所製NBK−2を用いて分散させて二酸化チタン分散液(二酸化チタン顔料含有量が40質量%)を作製した。
【0155】
−トナー受像層用塗布液の調製−
前記二酸化チタン分散液15.5g、カルナバワックス分散液(セロゾール524、中京油脂(株)製)15.0g、ポリエステル樹脂水分散物(固形分30質量%、KZA−7049、ユニチカ株式会社製)100.0g、増粘剤(アルコックスE30、明成化学製)2.0g、アニオン界面活性剤(AOT)0.5g、及びイオン交換水80mlを混合し、攪拌してトナー受像層用塗布液を調製した。
得られたトナー受像層用塗布液の粘度は、40mPa・sであり、表面張力は34mN/mであった。
【0156】
−バック層用塗布液の調製−
下記の成分を混合し、攪拌して、バック層用塗布液を調製した。
アクリル樹脂水分散物(固形分30質量%、ハイロスXBH−997L、星光化学工業株式会社製)100.0g、マット剤(テクポマーMBX−12、積水化成品工業(株)製)5.0g、離型剤(ハイドリンD337、中京油脂(株)製)10.0g、増粘剤(CMC)2.0g、アニオン界面活性剤(AOT)0.5g、及びイオン交換水80mlを混合し、撹拌してバック層用塗布液を調製した。
得られたバック層用塗布液の粘度は、35mPa・sであり、表面張力は、33mN/mであった。
【0157】
−バック層及びトナー受像層の塗工−
前記実施例1〜4及び比較例1〜2の各画像記録材料用支持体におけるトナー受像層を設けない側の面(うら面)に、前記バック層用塗布液をバーコーターで乾燥質量が9g/mとなるように塗布し、バック層を形成した。
また、前記各原紙のおもて面に、前記トナー受像層用塗布液を、バーコーターで乾燥質量が12g/mとなるように塗布し、トナー受像層を形成した。なお、トナー受像層中の顔料の含有量は、熱可塑性樹脂に対して5質量%であった。
【0158】
前記バック層及び前記トナー受像層は、塗布した後、オンラインで熱風により乾燥した。前記乾燥は、バック層及びトナー受像層ともに塗布後2分間以内に乾燥するように、乾燥風量及び温度を調整した。なお、乾燥点は、塗布表面温度が乾燥風の湿球温度と同じ温度となる点とした。
次いで、乾燥後、カレンダー処理を行った。前記カレンダー処理は、グロスカレンダーを用い、金属ローラを40℃に保温した状態で、ニップ圧14.7kN/cm(15kgf/cm)の条件で行った。
【0159】
得られた各電子写真用受像紙をA4サイズに裁断し、電子写真用プリンターを用いて画像をプリントした。使用したプリンターは、定着部を図3に示すベルト定着装置1とした富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンター(DocuColor 1250−PF)を用いた。
即ち、図3に示すベルト定着装置1では、加熱ローラ3と、テンションローラ5とにわたって定着ベルト2が懸架され、テンションローラ5には、その上方で、定着ベルト2を介して、クリーニングローラ6が設けられ、更に、加熱ローラ3の下方には、定着ベルト2を介して、加圧ローラ4が設けられている。トナー潜像を有する電子写真用受像紙は、図3において、右側から、加熱ローラ3と、加圧ローラ4との間に挿入され、定着され、次いで、定着ベルト2に載って移動し、その過程で、冷却装置7によって冷却され、最後に、クリーニングローラ6で清浄化される。
前記ベルト定着装置1においては、定着ベルト2の搬送速度は、30mm/秒であり、加熱ローラ3と加圧ローラ4との間のニップ圧力は、0.2MPa(2kgf/cm)であり、加熱ローラ3の設定温度は、150℃であり、これが定着温度に相当する。なお、加圧ローラ4の設定温度は、120℃に設定した。
【0160】
得られた各電子写真プリントについて、以下のようにして、画質及び光沢性を評価した。結果を表4に示す。
【0161】
<画質>
各電子写真プリントの画質を目視で観察し、下記基準に基づいて、画質の最も良好なものをAとして、次いで、B、C、D、Eとランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている(高画質記録材料として有効)
B・・・優れている(高画質記録材料として有効)
C・・・中間(高画質記録材料として不可)
D・・・劣る(高画質記録材料として不可)
E・・・非常に劣る(高画質記録材料として不可)
【0162】
<光沢性>
各電子写真プリントの光沢性を目視で観察し、下記基準に基づいて、光沢の最も良好なものをAとして、次いで、B、C、D、Eとランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている(高画質記録材料として有効)
B・・・優れている(高画質記録材料として有効)
C・・・中間(高画質記録材料として不可)
D・・・劣る(高画質記録材料として不可)
E・・・非常に劣る(高画質記録材料として不可)
【0163】
【表4】

【0164】
(実施例9〜12及び比較例5〜6)
−写真印画紙−
実施例1〜4及び比較例1〜2で作製した各画像記録材料用支持体の画像記録層を設ける側の面(おもて面)にゼラチンを0.1g/m塗布し、該ゼラチン塗布面に、イエロー発色カラー写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤層(10g/m)、ゼラチン中間層、マゼンタ発色カラー写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤層(10g/m)、ゼラチン中間層、シアン発色カラー写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤層(10g/m)、ゼラチン保護層をこの順に重層塗布し、実施例9〜12及び比較例5〜6の各写真印画紙を作製した。
【0165】
得られた各写真印画紙を露光、現像処理し、写真プリントを得た。各写真プリントの画面の表面平滑性(微小凹凸(1mm以下))、及び表面平滑性(うねり凹凸(5〜6mm))を下記方法により評価した。結果を表5に示す。
【0166】
<表面平滑性(微小凹凸(1mm以下)>
各写真プリントを目視で観察し、下記基準に基づいて、表面平滑性(微小凹凸(1mm以下)の最も良好なものをAとして、次いで、B、C、D、Eとランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている(高画質記録材料として有効)
B・・・優れている(高画質記録材料として有効)
C・・・中間(高画質記録材料として不可)
D・・・劣る(高画質記録材料として不可)
E・・・非常に劣る(高画質記録材料として不可)
【0167】
<表面平滑性(うねり凹凸(5〜6mm)>
各写真プリントを目視で観察し、下記基準に基づいて、表面平滑性(うねり凹凸(5〜6mm)の最も良好なものをAとして、次いで、B、C、D、Eとランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
A・・・非常に優れている(高画質記録材料として有効)
B・・・優れている(高画質記録材料として有効)
C・・・中間(高画質記録材料として不可)
D・・・劣る(高画質記録材料として不可)
E・・・非常に劣る(高画質記録材料として不可)
【0168】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の画像記録材料用支持体の製造方法により製造された画像記録材料用支持体は、高い平滑性を有し、光沢性にも優れるため、高画質の画像を記録可能である各種画像記録材料の用途に好適に使用可能であり、特に電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料、インクジェット記録材料などに好適に用いることができる。
本発明の画像記録材料は、本発明の前記画像記録材料用支持体を有しているため、電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料、インクジェット記録材料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、本発明のシューカレンダー装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明のシューカレンダー装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、実施例で使用した画像形成装置におけるベルト定着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0171】
1 ベルト定着装置
2 定着ベルト
3 加熱ローラ
4 加圧ローラ
5 テンションローラ
6 クリーニングローラ
7 冷却装置
10 エンドレスベルト
12 支持部材
14 油圧装置
16 ピストンロッド
18 支持プレート
20 支持板
22 凹曲部分
24 プレスシュー
26 潤滑剤供給装置
28 金属ロール
30 ウェブ(原紙)
34 ガイド部材
36 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の画像記録層を設ける側の反対面(うら面)にうら面ポリマー被覆層を形成するうら面ポリマー被覆層形成工程と、該うら面ポリマー被覆層を形成した原紙の画像記録層を設ける側の面(おもて面)に金属ロールが接するようにカレンダー処理するカレンダー処理工程と、該カレンダー処理された原紙のおもて面におもて面ポリマー被覆層を形成するおもて面ポリマー被覆層形成工程とを含むことを特徴とする画像記録材料用支持体の製造方法。
【請求項2】
カレンダー処理工程の前に、原紙のうら面に印刷を行う請求項1に記載の画像記録材料用支持体の製造方法。
【請求項3】
カレンダー処理が、表面温度100℃以上の金属ロールを有するカレンダーにより、ニップ圧100kgf/cm以上で行われる請求項1から2のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法。
【請求項4】
カレンダー処理が、シューロールを有するロングニップカレンダーを用いて行われる請求項1から3のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法。
【請求項5】
カレンダー処理工程を行った後、300秒以内におもて面ポリマー被覆層形成工程を行う請求項1から4のいずれかに記載の画像記録材料用支持体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法により製造された原紙の両面にポリマー被覆層を有することを特徴とする画像記録材料用支持体。
【請求項7】
ポリマー被覆層におけるポリマーが、ポリオレフィン樹脂である請求項6に記載の画像記録材料用支持体。
【請求項8】
請求項6から7のいずれかに記載の画像記録材料用支持体と、該支持体上に少なくとも画像記録層とを有することを特徴とする画像記録材料。
【請求項9】
電子写真材料、感熱材料、昇華転写材料、熱転写材料、銀塩写真材料及びインクジェット記録材料から選択されるいずれかである請求項8に記載の画像記録材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−43928(P2006−43928A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224915(P2004−224915)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】