説明

画像記録装置、画像読み取り装置およびキャリッジ走査装置

【課題】 ヨーイング回転振動の抑制効果を有する軸受けの耐久性を向上する。
【解決手段】 ガイド軸(20)には、法線方向が斜め上方であり、かつ下方に向かって相互に離間する平面の斜面(20a、20b)が形成されている。一方、軸受け(158)には、斜面(20a、20b)に接する断面円弧状の扇形の凸部(158e、158f)が形成されている。斜面(20a、20b)は概ね山型状を成し、凸部(158e、158f)は、斜め平面(20a、20b)に対して、ガイド軸(20)の略中心に向かう、斜め下方の反力(A)を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャリッジ走査装置と、キャリッジ走査装置を備えた画像記録装置および画像読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリアル式インクジェット記録装置等のキャリッジ走査装置において、走査中のキャリッジ振動、特にヨーイング方向(鉛直方向軸周りの)回転振動振幅の大小が、画像品質に大きな影響を与えるために、キャリッジ振動抑制のための提案が数多くなされている。
【0003】
図15は、特許文献1の滑り軸受けサブシステムにおける「ヨーイング抑制軸受け」として知られる、代表的な従来例を示す。
【0004】
図15において、20はガイド軸、158はキャリッジの軸受け、159は軸受け穴である。一般的な軸受けは、軸受け穴断面が円型であるが、軸受け穴159は下向きの斜面158a、158bと底面158cとによって梨型に形成されている。
【0005】
斜面158a、158bはガイド軸20の表面と接し、斜面158a、158bにおけるガイド軸20に対する抗力Aは、ガイド軸20の略中心に向かう。抗力Aは下向きの成分Avと水平成分Ahを含み、水平成分Ahはガイド軸20のヨーイング、すなわち水平方向の振動Yを抑制する。
【0006】
これによって、キャリッジのヨーイング回転振動(矢印Y)が軽減される。
【0007】
【特許文献1】特開平7-19246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インクジェット記録装置は、安価な装置で高画質の出力が得られることから、その適用範囲は、レーザービームプリンターと競合までに広がっており、近年、高耐久性の要求されるオフィス用途分野でも製品化されている。
【0009】
しかし、一般に軸受け158は、ガイド軸20に比較して、柔らかく、摩耗しやすい材料で形成され、「ヨーイング抑制軸受け」はガイド軸20に接する部分が斜面158a、158bの特定位置に限定され、さらに、水平成分Ahの負荷を受けるため、一般の丸穴軸受けとくらべ、摩耗しやすい。
【0010】
図16は、「ヨーイング抑制軸受け」158がガイド軸20との摺擦によって摩耗した状態を示している。158dの凹部2箇所が、摩耗した部分である。
【0011】
図17は、摩耗したヨーイング抑制軸受け158とガイド軸20が係合した状態を示し、図18は図17における17A部の拡大図である。凹部158dにおいては、凹部158dおよびガイド軸20の摩耗によって、凹部158dとガイド軸20との間に隙間ddが生じ、ガイド軸20に対する水平方向の拘束力が低下する。このため、「ヨーイング抑制効果」は低下し、摩耗の進行にともなって「ヨーイング抑制効果」の低下は顕著になる。
【0012】
以上説明したように、従来の「ヨーイング抑制軸受け」は、耐久性のそれほど要求されないパーソナル用途の記録装置ではその威力を発揮するが、高耐久性の求められるオフィス用途の記録装置では、耐久性が不十分であり不都合であった。
【0013】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、ヨーイング回転振動の抑制効果を有する軸受けの耐久性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、キャリッジを走査方向に案内する主ガイド部材と、前記キャリッジの前記主ガイド部材軸回りの回転を防止する副ガイド部材と、前記主ガイド部材と係合し、前記キャリッジを前記主ガイド部材に沿って走行し得るように支承する軸受けとを備えたキャリッジ走査装置において、前記主ガイド部材の断面には、法線方向が斜め上方であり、かつ下方に向かって相互に離間する2つの斜面が形成され、前記軸受けには、前記斜面のそれぞれに当接する凸部が形成されている。
【0015】
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成で、キャリッジ走査装置におけるキャリッジヨーイング回転振動を、長い製品寿命の間、安定的に抑制することのできる軸受けが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態1)
次に、本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態1を含むインクジェット記録装置を図面に基いて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態1を含むインクジェット記録装置の構成を説明する斜視図である。図2は図1のキャリッジ走査装置におけるキャリッジ軸受け部を示す拡大斜視図である。図3は図2のキャリッジ軸受け部およびメインガイドレールを示す拡大断面図である。図4は図3のキャリッジ軸受け部の摩滅部分を示す拡大断面図である。図5は図4のキャリッジ軸受け部の摩滅部分による影響を示す拡大断面図である。図6は図1のインクジェット記録装置の外観斜視図である。図7は図6のインクジェット記録装置の各部の機能を説明する透視斜視図である。図8は図6のインクジェット記録装置の縦断面図である。図9は図6のインクジェット記録装置のキャリッジの走査範囲を示す説明図である。図10は図6のインクジェット記録装置の電気部の構成を示すブロック図である。図11は図6のインクジェット記録装置におけるキャリッジ走査装置の走査速度制御部を示すブロック図である。図12は図11の走査速度制御部によって制御されるキャリッジ走査速度の変化を示すグラフである。
【0019】
図6において、1は記録媒体45(図8)をまとめてセットするシートフィーダであり、2は記録媒体45の左側につき当てて記録媒体45を案内するシートガイドであり、4は画像記録完了後の記録媒体45が排出される排出口であり、5は排出口4から排出された記録媒体45を数十枚程度保持する排紙トレーであり、6は電源ボタン、オンラインボタンなどを含む操作パネルである。7はフロントカバーであり、フロントカバー7を開くことによって、記録ヘッド19(図8)の交換や、詰まってしまった記録媒体45を除去し得る。
【0020】
図7および図8において、8は、シートフィーダ1の下端部に設けられ、シートフィーダ1にセットされた記録媒体45を一枚ずつ送り出す給送ローラであり、9は、搬送モータである。搬送モータ9の駆動力はスローダウンギア10によって減速されて、搬送ローラ11に伝達され、搬送ローラ11を回転駆動する。12は搬送ローラ11に圧接されたピンチローラであり、搬送ローラ11に従動して回転する。
【0021】
記録媒体45は、給送ローラ8によって、搬送ローラ11とピンチローラ12とのニップ部まで送り出され、ここからは搬送ローラ11の搬送力によって記録ヘッド19の位置に送られる。
【0022】
記録ヘッド19は記録ヘッドおよびインクタンクを備えたユニットであり、記録媒体45に画像を記録する。
【0023】
記録ヘッド19はキャリッジ151に着脱可能に搭載される。キャリッジ151はガイド軸20およびガイドレール21によって移動可能に案内される。また、キャリッジ151は、ガイドレール21によってガイド軸20まわりの回転が阻止され、姿勢が保持されている。
【0024】
22は回復系ユニットであり、非使用時に記録ヘッド19の乾燥を防ぐキャップ(不図示)と、キャップ23を介して記録ヘッド19に負圧を与えて記録ヘッド19内のインクを吸引するポンプ(不図示)と、記録動作によって汚れた記録ヘッド19の吐出口面をワイピングするブレード(不図示)とを備えている。
【0025】
キャリッジ走査装置は、キャリッジ151をガイド軸20およびガイドレール21に沿って走査するものであり、キャリッジ151に連結されたキャリッジベルト155と、キャリッジベルト155を駆動する駆動プーリ153と、駆動プーリ153に直結された、DCモータのキャリッジモータ152とを備える。ガイド軸20およびガイドレール21はプリンタシャーシ200に固定されている。
【0026】
駆動プーリ153は、ガイド軸20およびガイドレール21の一端部の近傍に配置され、キャリッジベルト155は、ガイド軸20およびガイドレール21の他端部の近傍において、アイドラプーリ154に掛けられている。これによって、キャリッジベルト155は、ガイド軸20およびガイドレール21に沿って張架されている。
【0027】
キャリッジ走査装置は、ガイド軸20およびガイドレール21に沿って固定的に張架されたリニアエンコーダスケール156と、キャリッジ151に搭載されたリニアエンコーダセンサ157(図1参照)とを備え、キャリッジ151の位置情報を検出し得る。
【0028】
リニアエンコーダスケール156には、360lpi(ラインパーインチ、=25.4mm/360=70.6μm)で等間隔に設けられたマークが印刷されており、このマークをリニアエンコーダセンサ157で検出することによって、キャリッジ151の位置を正確に検出し得る。また、キャリッジ151の走査時には、リニアエンコーダセンサ157のエンコーダ信号の時間間隔から、キャリッジ151の速度を算出することができる。
【0029】
キャリッジ151はキャリッジベルト155のベルト結合部151a(図1)に固定され、キャリッジモータ152によってキャリッジベルト155を駆動すると、記録ヘッド19はガイド軸20およびガイドレール21に沿って主走査動作を行う。なお、キャリッジ駆動装置の詳細は図1に関連して詳述する。
【0030】
図8において、シートフィーダ1からの記録媒体45の供給の動作は以下のとおりである。
【0031】
シートフィーダ1に積載された複数の記録媒体45は、給送ローラ8が回転することによって記録ヘッド19の上流に配された搬送ローラ11の位置まで送り出す。
【0032】
給送ローラ8には給送フラグ42が設けられ、給送ローラ8の近傍にはフォトセンサを備えた給送ローラセンサ46とが設けられている。
【0033】
搬送ローラ11と排紙ローラ13には伝達ローラ44が当接し、搬送ローラ11の駆動力は伝達ローラ44を介して排紙ローラ13に伝達される。伝達ローラ44は記録ヘッド19の記録動作領域D1(図9)の下方に配置されている。
【0034】
記録の終了した記録媒体45は、搬送ローラ11によって、拍車14と排紙ローラ13との間に挿入され、拍車14と排紙ローラ13によって排出される。
【0035】
搬送ローラ11の上流側にはペーパーエンドフラグ43が設けられる。記録媒体45は、ペーパーエンドフラグ43の下側を通過して、ペーパーエンドフラグ43を回動させる。ペーパーエンドフラグ43の上端部近傍にはペーパーエンドセンサ41が配置され、記録媒体45がペーパーエンドフラグ43を通過していないときには、ペーパーエンドフラグ43はペーパーエンドセンサ41を遮断し、検出信号を制御基板111に知らせる。
【0036】
ペーパーエンドフラグ43の位置から記録媒体45の後端がはずれると、ペーパーエンドセンサ41は記録媒体45の終端が通過したことを検出し、検出信号を制御基板111に伝達する。ここで制御基板111は、所定ラインの画像記録実行後に、画像データの有無にかかわらず強制的に記録媒体を排出する。
【0037】
図9において、キャリッジ151の全走査範囲内の割り振りは以下のとおりである。
【0038】
全走査範囲Dは、中央の記録動作領域D1と、その両側の加減速域D2、D3と、加減速域D3のさらに外側のワイピング領域D4とに分割され、ワイピング領域D4側の端部はホームポジションPとされる。
【0039】
記録動作領域D1においては、キャリッジ151は所定の速度変動幅内で安定して走行し、搭載した記録ヘッド19からインク滴を吐出して画像を記録する。
【0040】
記録動作領域D1全幅で画像記録するときに、この加減速域D2、D3において所定の速度までの加速、および走査方向反転あるいは停止のための減速を完了する。
【0041】
ワイピング領域D4は、回復系ユニット22内のブレードが記録ヘッド19の吐出口面に当接して、付着したインク滴を除去する動作を行う領域である。また予備吐出もワイピング領域D4内で行われる。
【0042】
ホーム位置Pにおいては、回復系ユニット22はキャップによって記録ヘッド部を覆うことによって保護する。このため、インクジェット記録装置の電源をOFFとしたときには、キャリッジ151はこのホーム位置Pにセットされる。
【0043】
図10において、制御基板111はインクジェット記録装置の各部の制御を行う。制御基板111は、各部から信号を受けその信号によって各部に制御信号を発し、装置全体の制御を行っているMPU100と、制御手順プログラムを格納したROM101と、制御実行時におけるワークエリアとして使用されるRAM102と、各部動作の時間を計測するためのタイマー103と、累積の記録枚数や廃インク量等を記録するEEPROM等の不揮発性データ保持手段104と、コンピュータ等のホストと信号授受を行うインターフェイス部105と、ユーザにインクジェット記録装置の状況を知らせるインジケータ部106と、ユーザがインクジェット記録装置を操作するための電源スイッチ、オンラインスイッチ等を含むキースイッチ107と、キャリッジモータ152のデューティ比をコントロールするドライバ108とを備える。
【0044】
リニアエンコーダセンサ157で検出された信号はMPU100に入力され、MPU100はキャリッジ151の走査速度を算出する。これによって、キャリッジモータ152の速度制御や位置制御が実行される。
【0045】
さらに、図10において、109は搬送モータ9を駆動するドライバ、110は記録ヘッド部19bを駆動するドライバ、112は回復系モータ31を駆動するドライバである。
【0046】
図11において、キャリッジ走査装置の走査速度制御系はクローズドループ速度制御系であり、リニアエンコーダ157が、制御対象の速度情報を制御回路に知らせるための検出部として使用されている。
【0047】
エンコーダセンサ157の検出信号は、速度換算回路161に入力され、速度換算回路161は、この検出信号と、タイマー103のクロックに基いて、キャリッジ151の走査速度値を算出する。
【0048】
走査速度制御系には、速度指令値が入力されており、速度指令値から走査速度値を減算した数値を、目標速度に対して不足する速度誤差値として、PID演算回路162に受け渡す。
【0049】
PID演算回路162は、速度誤差値に基いて、PID演算によって、キャリッジモータ152の駆動エネルギーを算出し、キャリッジモータ152のドライバ108を制御する。ドライバ108は、PWM制御によって、キャリッジモータ152の速度制御を行なう。
【0050】
キャリッジモータ152で発生した回転トルクは、直結された駆動プーリ153、ベルト155を介して、キャリッジ151に伝達され、キャリッジ151が走査駆動される。
【0051】
図11の制御によって、キャリッジモータ152は必要なトルクを発生し、キャリッジ151は摺動負荷の変化等にかかわらず、一定走査速度で駆動される。(図12)
【0052】
図2〜図5において、キャリッジ走査装置は以下のように構成されている。
【0053】
図2は図1のD矢視図であり、軸受け158はキャリッジ151の下部の左右端に、同軸で、キャリッジ151にインサート加工で装着され、軸受け158にはガイド軸20が挿通されている。軸受け158はガイド軸20を包囲する円筒形であり、ガイド軸20によって、脱落不能に案内されている。
【0054】
図3は、軸受け158およびガイド軸20の断面形状を示す。ガイド軸20には、法線方向が斜め上方であり、かつ下方に向かって相互に離間する平面の斜面20a、20bが形成されている。一方、軸受け20には、斜面20a、20bに接する断面円弧状の扇形の凸部158e、158fが形成されている。斜面20a、20bは概ね山型状を成し、凸部158e、158fは、斜め平面20a、20bに対して、ガイド軸20の略中心に向かう、斜め下方の反力Aを与える。
【0055】
ガイド軸20の材料は、ステンレスあるいは鋼板をL字に曲げたものが好適であり、必要に応じて表面処理を施す。なお、ガイド軸20の端部(不図示)は、インクジェット記録装置のシャーシに取り付けるための位置決め、固定が可能な形状、構成(ネジ穴等)が設けられている。
【0056】
このようにガイド軸20を、例えば板金のL字曲げで得ることができるので、従来の中実丸軸を用いる必要のあったキャリッジ走査装置にくらべ、部品コストの低減が可能である。すなわち、画像品位が高く、高耐久の画像記録装置あるいは画像読み取り装置を低価格で提供することができる。
【0057】
軸受け158の外形は略円筒形状であり、ガイド軸20に接する内面は、上記のとおりガイド軸に倣った山型状の穴158gを形成している。穴158gとガイド軸20の隙間は0.5mm程度に設定されている。2つの斜面20a、20bに対応する、扇形の凸部158e、158fは、それぞれ1点PA,PBで斜面20a、20bに接している。軸受け158の材料としては、含油処理された焼結金属や摺動性良好の樹脂等が好適である。
【0058】
図4において、軸受け158の凸部158e、158fがキャリッジ151の走査によって磨耗した状態では、凸部158e、158fの先端158et、158ftが摩滅しているが、その摩滅状態は、斜面20a、20bに倣うので、ほぼ平面的(断面直線状)に摩滅する。
【0059】
図5は、図4の摩滅状態の軸受け158と、軸受け158に係合するガイド軸20を示す。図5から明らかなように、先端158et、158ftは、ガイド軸20に対して、ガイド軸20の略中心に向かう反力Aを生じ、Y方向の外力に対してガイド軸20を拘束する。すなわち、摩滅が進んだ状態においても、摩滅していない状態と同様に、Y方向の外力が加わっても、ガイド軸20は容易に振動しない。つまり、軸受けの摩滅が進行しても、キャリッジ151のヨーイング回転振動(Y方向)を抑制する効果が維持されることになる。
(実施形態2)
【0060】
図13は本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態2を示す斜視図である。
【0061】
実施形態1では、軸受け158を、ガイド軸20を包囲する円筒形としたが、実施形態2では下方に開放する逆V字形としている。キャリッジ151には下向きの荷重が加わるので、軸受け158はガイド軸20によって支承される。このように軸受け158がガイド軸20によって支承され、かつ斜面20a、20bに接する凸部158e、158fが、斜面20a、20bに倣って磨耗する形状であれば、任意の形状を採用し得る。
(実施形態3)
【0062】
実施形態1では、軸受け158はキャリッジ151とは別部品で、インサート加工を施したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではない。例えば、キャリッジ151全体を摺動性良好な合成樹脂によって成形し、その一部を、図2〜図5、図13で説明した形状の軸受けとしてもよい。
(実施形態4)
【0063】
以上の実施形態ではキャリッジ走査装置はインクジェット記録装置に適用されていたが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、画像読み取り手段をキャリッジに搭載した画像読み取り装置のキャリッジ走査装置や、他方式記録装置の走査装置に本発明を適用し得ることはいうまでもない。
(実施形態5)
【0064】
実施形態1では、図3において、軸受け158の凸部158e、158fを扇形に形成したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、図14に示すように、頂点をR面取りした山型形状等、斜面20a、20bに倣って磨耗する形状であれば、任意の形状を採用し得る。また、ガイド軸20の斜面20a、20bに接触する範囲は、厳密に点で有る必要はなく、凸部158e、158fの先端に微小な平面を形成し、あるいは、図4の摩滅状態のように、初期状態から斜面20a、20bに倣った平面を形成してもよい。
(実施形態6)
【0065】
実施形態1では、ガイド軸20をL字に曲げ加工した金属材料によって形成したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではない。例えば、対向する1対の斜面を有する、山型の中実軸等を使用し得ることはいうまでもない。
(実施形態7)
【0066】
実施形態1では、ガイド軸20の斜面20a、20bは、鉛直軸に対して対称に形成したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、例えば、鉛直軸に対して、一方の斜面が30度、他方の斜面が50度等、異なる傾きを有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態1を含むインクジェット記録装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】図1のキャリッジ走査装置におけるキャリッジ軸受け部を示す拡大斜視図である。
【図3】図2のキャリッジ軸受け部およびメインガイドレールを示す拡大断面図である。
【図4】図3のキャリッジ軸受け部の摩滅部分を示す拡大断面図である。
【図5】図4のキャリッジ軸受け部の摩滅部分による影響を示す拡大断面図である。
【図6】図1のインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図7】図6のインクジェット記録装置の各部の機能を説明する透視斜視図である。
【図8】図6のインクジェット記録装置の縦断面図である。
【図9】図6のインクジェット記録装置のキャリッジの走査範囲を示す説明図である。
【図10】図6のインクジェット記録装置の電気部の構成を示すブロック図である。
【図11】図6のインクジェット記録装置におけるキャリッジ走査装置の走査速度制御部を示すブロック図である。
【図12】図11の走査速度制御部によって制御されるキャリッジ走査速度の変化を示すグラフである。
【図13】本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態2を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るキャリッジ走査装置の実施形態5を示す斜視図である。
【図15】従来例の軸受けおよびガイド軸を示す断面図である。
【図16】図15の軸受けおよびガイド軸の摩耗部分を示す断面図である。
【図17】図15の摩耗の影響を示す断面図である。
【図18】図17の17A部を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0068】
1 シートフィーダ
2 シートガイド
4 排紙口
5 排紙トレー
6 操作パネル
7 フロントカバー
8 給送ローラ
9 ペーパー搬送モータ
10 スローダウンギア
11 ペーパー搬送ローラ
12 ピンチローラ
13 排紙ローラ
14 拍車
19 記録ヘッド
20 ガイド軸
21 ガイドレール
22 回復系ユニット
23 キャップ
24 ポンプ
25 ブレード
26 キャップホルダー
27 キャップバネ
28 キャップ解除カム
29 チューブ
30 ポンプコロ
41 ペーパーエンドセンサ
42 給送フラグ
43 ペーパーエンドフラグ
44 伝達ローラ
45 記録用紙
46 給送ローラセンサ
100 MPU
101 ROM
102 RAM
103 タイマー
104 不揮発性データ保持手段(EEPROM等)
105 インターフェイス部
106 インジケータ部
107 キースイッチ
108 キャリッジモータドライバ
109 搬送モータドライバ
110 記録ヘッドドライバ
111 制御基板
112 回復系モータドライバ
113 速度制御部
115 キャリッジ
152 DCモータ
153 駆動プーリ
154 アイドラプーリ
155 ベルト
156 リニアエンコーダスケール
157 リニアエンコーダセンサ
158 キャリッジ軸受け
200 プリンタシャーシ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジを走査方向に案内する主ガイド部材と、
前記キャリッジの前記主ガイド部材軸回りの回転を防止する副ガイド部材と、
前記主ガイド部材と係合し、前記キャリッジを前記主ガイド部材に沿って走行し得るように支持する軸受けと、
を備えたキャリッジ走査装置において、
前記主ガイド部材の断面には、法線方向が斜め上方であり、かつ下方に向かって相互に離間する2つの斜面が形成され、
前記軸受けには、前記斜面のそれぞれに当接する凸部が形成されている、
ことを特徴とするキャリッジ走査装置。
【請求項2】
前記凸部は、断面円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャリッジ走査装置。
【請求項3】
前記凸部は、頂点にR面取が施された断面山形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャリッジ走査装置。
【請求項4】
前記軸受けは、前記主ガイド部材を包囲する形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項5】
前記軸受けは、下方に開放された形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項6】
前記主ガイド部材は、板材に曲げ加工を加えたL字型部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項7】
前記主ガイド部材は、山形の中実軸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項8】
前記軸受けは、前記キャリッジにインサートされた部材によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項9】
前記軸受けは、前記キャリッジと一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項10】
前記主ガイド部材の2つの斜面は、鉛直方向に対して対称に形成されていること特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項11】
前記主ガイド部材の2つの斜面は、鉛直方向に対して異なる傾斜角度に形成されていること特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項12】
前記キャリッジには、画像記録装置の記録手段が搭載されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項13】
前記キャリッジには、画像読み取り装置の読み取り手段が搭載されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のキャリッジ走査装置。
【請求項14】
前記画像記録装置は、シリアル式インクジェット記録装置であることを特徴とする請求項12に記載のキャリッジ走査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−95797(P2006−95797A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283281(P2004−283281)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】