説明

画像記録装置及びその制御方法

【課題】記録媒体の無駄を発生させずに媒体加工部の加工のタイミングのずれを補正して高精度な媒体加工を可能とし、高品位な加工媒体を生成することのできる画像記録装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】複数の媒体加工部は、記録媒体2の搬送経路上に設けられ、記録媒体2に複数種類の加工を施す。エリアセンサ27は、記録媒体2を撮像する。エリアセンサ27は、複数種類の加工がなされた記録媒体2を撮像するために、複数の媒体加工部よりも記録媒体2の搬送方向下流に設ける。複数の媒体加工部は、記録媒体2の搬送停止時に搬送方向最上流の加工部から最下流の加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体2である余剰媒体に対し、搬送部5による記録媒体2の搬送開始直後より各々の加工を開始する。エリアセンサ27は、搬送部5による搬送が開始されると、余剰媒体を撮像する。補正演算部36は、余剰媒体の加工撮像結果を基に、各々の加工部の駆動を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置及びその制御方法に関し、特に、記録媒体に複数種類の加工を施す媒体加工部を備える画像記録装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙やフィルム等をロール状に券装した連続する記録媒体にインクを吐出することにより、画像を記録する画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の中には、画像が記録された記録媒体をページごとに切断する切断部を有し、切断した記録媒体を排出するものがある。切断部としては、回転タイプの刃物を利用するものが提案されている。
【0003】
また、記録媒体にミシン目の加工を行うミシン目加工部を有するものもあり、このような画像記録装置では、記録媒体にミシン刃を当接させることでミシン目の加工を行うものが提案されている。
【0004】
上記のとおり、画像記録装置には、記録媒体に画像記録を行う記録部、記録媒体にミシン目を加工するミシン目加工部及び記録媒体を所望の長さに切断する切断部等のように、記録媒体に様々な加工を施す複数の媒体加工部を有している。
【0005】
この場合、画像記録装置が停止状態の時に、少なくとも、記録媒体の搬送方向最上流に位置する媒体加工部から搬送方向最下流に位置する媒体加工部までの搬送経路に位置する記録媒体は、記録媒体が搬送される搬送開始段階において、全ての加工が完遂されることがなく、余剰媒体となる。
【0006】
このような画像記録装置では、一般的に、記録媒体を搬送するための駆動源と、記録媒体を切断する切断部の駆動源やミシン目加工部の駆動源とが、相互に独立して動作することが多い。画像記録動作は、記録媒体の搬送に同期して行われる。このため、画像記録動作と切断やミシン目加工との同期が取られていない場合には、画像記録位置と切断位置やミシン目加工の位置との間にずれが生じる、あるいは、記録媒体の切断長が乱れる等の不具合が生じることとなる。
【0007】
上記の問題に対応するための公知の技術として、例えば、特許文献1においては、切断長を一定にするように制御する技術が提供されている。これによれば、予め切断基準位置が記録された連続記録媒体を所定の長さに切断するとともに、切断された記録媒体をカメラで撮像する。そして、切断基準マークと記録媒体端部との距離を計測することで、切断長の精度を判断し、計測結果に基づいて、切断部の駆動補正を行う。
【0008】
また、特許文献2においては、予め挿入されている横ミシン目を検出し、検出結果に基づいて、縦ミシン目やパンチ穴等の加工部の駆動開始タイミングを補正する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−267479号公報
【特許文献2】特開平7−178892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1によれば、例えば上位装置から画像データとともに可変の切断サイズが通知されるような、バリアブルタイプの切断部に対しては、適用ができない。また、特許文献2においては、記録媒体が搬送を開始し、余剰媒体が搬送された後に、記録媒体への全ての加工がされた後のページで加工ずれを検出することとなる。これでは、ずれ量の補正を行っても、数ページにわたって不具合のある加工媒体を排出することとなり、記録媒体の無駄が発生する。
【0011】
本発明は、記録媒体の無駄を発生させずに媒体加工部の加工のタイミングのずれを補正して高精度な媒体加工を可能とし、高品位な加工媒体を生成することのできる画像記録装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像記録装置によれば、連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に複数種類の加工を施す複数の媒体加工部と、前記記録媒体を撮像する撮像部と、加工結果に応じ前記媒体加工部の駆動を補正する補正演算部と、を有する画像記録装置において、前記撮像部は、前記複数種類の加工がなされた前記記録媒体を撮像するために、前記複数の媒体加工部よりも前記記録媒体の搬送方向下流に設け、前記記録媒体の搬送方向最上流に位置する前記媒体加工部を除く前記媒体加工部の少なくとも1つは、前記記録媒体の搬送停止時に搬送方向最上流の加工部から最下流の加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体である余剰媒体に対し、前記搬送手段による連続記録媒体の搬送開始直後より加工を開始し、前記撮像部は、前記搬送手段による搬送が開始されると、前記余剰媒体を撮像し、前記補正演算部は、前記余剰媒体の加工撮像結果を基に、各々の加工部の駆動を補正することを特徴とする。
【0013】
あるいは、本発明に係る画像記録装置の制御方法によれば、前記画像記録装置は、連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に複数種類の加工を施す複数の媒体加工部と、前記記録媒体を撮像する撮像部と、加工結果に応じ前記媒体加工部の駆動を補正する補正演算部と、を有し、前記記録媒体の搬送停止時に搬送方向最上流の加工部から最下流の加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体である余剰媒体に対し、前記搬送手段による連続記録媒体の搬送開始直後より加工を開始し、前記複数の媒体加工部よりも前記記録媒体の搬送方向下流において、前記搬送手段による搬送が開始されると、前記余剰媒体を撮像し、前記余剰媒体の加工撮像結果を基に、各々の加工部の駆動を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体の無駄を発生させずに媒体加工部の加工のタイミングのずれを補正して高精度な媒体加工を可能とし、高品位な加工媒体を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る画像記録装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像記録装置のブロック図である。
【図3】画像記録部、ミシン目加工部及び切断部と検出部との位置関係を示した図である。
【図4】媒体加工部が余剰媒体に対してどのように媒体加工を行うかを説明する図である。
【図5】検出部のエリアセンサが撮像する位置を説明する図である。
【図6】第1の実施形態に係る画像記録装置による処理を示したフローチャートである。
【図7】検出部のエリアセンサによる撮像方法の他の例を説明する図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像記録装置のブロック図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像記録装置が決定するスケジュールについて説明する図である。
【図10】ユーザー定義テーブルの構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本実施形態に係る画像記録装置として、インクジェット方式のフルライン型プリンタ装置の例を用いて説明する。
<第1の実施形態>
【0017】
図1乃至図7を用い、第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置の構成図である。図1に示す画像記録装置1は、記録媒体供給部3、記録部4、搬送部5、ミシン目加工部6、切断部7、検出部8及び排出部9を有する。記録媒体供給部3は、連続したロール状の連続記録媒体2を券装する。連続記録媒体については、以下においては、「記録媒体」と略記する。記録部4は、記録媒体2に画像記録を行う。搬送部5は、記録部4によって画像記録を行う記録媒体2を、所定の速度で搬送する。ミシン目加工部6は、記録媒体2に対してミシン目の加工を行う。切断部7は、記録媒体2を所定長に切断する。以下においては、記録媒体2の切断の基準位置を示す、いわゆるカットマークは使用しない構成の画像記録装置1について説明する。検出部8は、記録媒体2の加工品位を検出する。
【0018】
本実施例においては、複数の媒体加工部を記録媒体の搬送方向上流から記録部、ミシン目加工部、切断部の順に設けているが、これに限ることなく、例えばミシン目加工部、記録部、切断部の順や、その他の順に配置してもよい。
【0019】
記録媒体供給部3においては、保持台10がロール状の記録媒体2を保持する。図1においては不図示であるが、記録媒体供給部3は記録媒体交換機構や記録媒体接続機構等の機構を有し、これらの機構により記録媒体2の交換を行う。
【0020】
記録部4は、記録媒体2の表面に画像記録を行う第1画像記録部11と、記録媒体2の裏面に画像記録を行う第2画像記録部14とを有する。第1及び第2の画像記録部11、14には、プラテンとして第1及び第2の画像記録部11、14に対向して第1ドラム12及び第2ドラム15が配設され、第1及び第2ドラム12、15は、記録媒体2を保持する。なお、本実施形態においては、第1及び第2ドラム12、15は、記録媒体2を接するように保持しているが、これに限らず、記録媒体2の搬送と同期して連れ回る様な構成であればよく、巻回保持してもよい。
【0021】
第1ドラム12には、更に搬送情報生成部13が配設されている。搬送情報生成部13は、記録媒体2の搬送速度や搬送量等の搬送情報を生成する。搬送情報生成部13は、ロータリーエンコーダ等のドラムの回動角に応じた位置情報をパルス信号等で出力する機器により構成される。
【0022】
なお、図1に示す本実施形態では、記録媒体2の表面及び裏面のそれぞれに画像記録を行うため、画像記録部及びプラテンをそれぞれ2つずつ設ける構成をとるが、これには限定されない。例えば、画像記録部及びプラテンは1つのみで、片面に画像記録を行う構成でもよい。また、本実施形態では、プラテンを2つのドラム12、15としているが、これには限定されない。例えば、無端ベルトを複数の回転自在なベルトローラで張力を保ち保持するベルトタイプのプラテンを表面及び裏面の画像記録用に2つ設けることとしてもよい。この場合、ベルトタイプのプラテンで記録媒体2を搬送するとともに、搬送情報生成部13は、ベルトローラに設ける構成としてもよい。
【0023】
また、図1に示す本実施形態では、搬送情報生成部13を第1ドラム12に設けているが、これには限定されない。例えば、記録媒体2に当接し、回転する情報取得ローラを記録媒体供給部3から切断部7までの搬送経路上に設け、これとともに、情報取得ローラと同調し回転するロータリーエンコーダを設け、ロータリーエンコーダから位置情報を出力する構成とすることもできる。
【0024】
搬送部5は、ニップローラ対16を有し、ニップローラ対16は、記録媒体2を挟持し、記録媒体2を下流側に向けて搬送する。ニップローラ対16は、搬送駆動部17として搬送駆動モータにより駆動される。
【0025】
ミシン目加工部6は、記録媒体2に対して縦方向に、すなわち、記録媒体2の搬送方向に対して平行に、ミシン目を加工する。ミシン目加工部6は、ミシン刃18、ミシン刃駆動部19及びバックアップローラ20を有する。ミシン刃18は、図1の矢印21の方向に動作する。ミシン刃駆動部19は、ミシン刃18を駆動し、ミシン刃18を記録媒体2に当接及び離間させる。
【0026】
切断部7は、カット側回転体としてのカットローラ22と、受け側回転体としてのアンビルローラ24とを備える。カットローラ22とアンビルローラ24とは、記録媒体2を切断可能に記録媒体2と対向するように配置される。カットローラ22とアンビルローラ24とは、不図示のギアで連結されており、双方が同時に回転する。カットローラ22の外周面には、カッター刃25が設けられ、カッター刃25により、記録媒体2を切断する。また、カッター刃25は、記録媒体2の搬送方向に対して角度θをもって配置されている。これにより、記録媒体2の切断時にカッター刃25にかかる負荷を軽減させる。
【0027】
切断部7のカットローラ22及びアンビルローラ24は、切断駆動部23としてのカットローラ駆動モータを駆動源として、駆動される。カットローラ駆動モータは、本実施形態ではステッピングモータから構成されるが、これには限定されない。例えば、サーボモータ等を利用することもできる。
【0028】
切断部7は、切断検出部26を有する。切断検出部26は、カッター刃25の位置を検出し、検出した切断検出信号を生成する。切断検出部26は、カットローラ22の駆動軸上に設けられ、本実施形態では、切り欠きを有した検出板と、切り欠きを検出するセンサとからなる。切断検出部26のセンサは、例えばフォトインタラプタから構成され、カッター刃25が記録媒体2を切断したタイミングを検出するように、検出板との位置関係が決定される。
【0029】
上記のとおり、本実施形態では、切断検出部26は、検出板とセンサとで構成しているがこれには限らない。例えば、カットローラ22の側面にマークを設け、このマークを反射型センサで検出する構成としてもよい。あるいは、カットローラ22の回転に同期して回転するロータリーエンコーダを設けて、ロータリーエンコーダによりカッター刃25の位置を検出する構成としてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、ミシン目加工を搬送方向に平行に施す構成としているが、これには限定されない。例えば、切断部7と同様の構成で、カッター刃をミシン刃に変えた横ミシン目加工部や、パンチ穴加工部等を搬送経路上に設ける構成としてもよい。
【0031】
検出部8は、切断部7の下流近傍に配設され、記録媒体2の端部を検出する。検出部8は、例えばエリアセンサ27で構成し、エリアセンサ27は、記録媒体2を撮像する。本実施形態では、検出部8をエリアセンサ27で構成するが、これに限定されるものではない。例えば、ラインセンサを用いて複数のラインスキャンを行う等、2次元で記録媒体2の端部を検出できる構成であればよい。
【0032】
排出部9は、検出部8の下流に配置され、画像記録等の各種加工の施された記録媒体2を画像記録装置1の外へと排出する。排出部9は、スタッカ28を有し、スタッカ28は、排出された記録媒体2を収納する。図1に示すように、本実施形態では、スタッカ28を1つ備える構成であるが、不要記録媒体の収納用、記録媒体2の切断サイズごとの収納用等、複数のスタッカ28を設ける構成としてもよい。
【0033】
本実施形態に係る画像記録装置1は、記録媒体2の搬送経路上に設けられ、記録媒体2に加工を施す複数の媒体加工部、すなわち、記録部4、ミシン目加工部6及び切断部7を有する。媒体加工部は、記録媒体2の搬送が開始されると、搬送方向に関して最上流の媒体加工部から最下流の媒体加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体2に対して加工を施す。検出部8のエリアセンサ27は、記録媒体2の搬送方向に関して媒体加工部より下流に設けられ、媒体加工部により上記の加工がなされた記録媒体2を撮像する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る画像記録装置1のブロック図である。図2の画像記録装置1の制御部31は、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置41と接続され、上述の記録媒体供給部3、記録部4、搬送部5、ミシン目加工部6、切断部7、検出部8とそれぞれ接続されており、各部から情報を収集するとともに、各部の制御を行う。制御部31は、上位装置41から画像記録指令や記録画像を受信すると、これに基づいて、各部に駆動指示を与える。
【0035】
なお、図2においては、本実施形態に係る画像記録装置1の制御方法に係わる構成を中心に記載しており、制御部31、第1画像記録部11、第2画像記録部14、搬送情報生成部13、ミシン刃駆動部19、切断駆動部23、切断検出部26、エリアセンサ27及び搬送駆動部17のみを記載している。図2に示す構成のうち、図1の構成と対応する構成については同じ符号を付している。
また、以下においては、説明のため、上位装置からの記録画像に基づき各加工が施された記録媒体を「加工媒体」と表現することとする。
【0036】
制御部31は、画像記録制御部32、ミシン刃制御部33、切断制御部34、搬送制御部35及び補正演算部36を有する。
画像記録制御部32は、搬送情報生成部13から入力される記録媒体2の搬送速度や搬送量等の搬送情報に基づいて、第1及び第2の画像記録部11、14による画像記録タイミング信号を生成する。画像記録タイミング信号は、第1及び第2の画像記録部11、14が画像記録制御処理を行うときの基準となる信号であり、第1及び第2の画像記録部11、14は、画像記録タイミング信号を基に、記録媒体2に画像を記録する。ミシン刃制御部33、切断制御部34及び搬送制御部35は、制御部31からの指令に基づいて、それぞれミシン刃駆動部19、切断駆動部23及び搬送駆動部17の駆動を制御する。
【0037】
補正演算部36は、検出部8のエリアセンサ27において撮像した結果等を基に、記録媒体2の加工制御についての補正演算を行う。具体的には、補正演算部36は、エリアセンサ27において撮像した撮像結果、切断検出部26における検出結果及び搬送情報生成部13から入力される情報等を基に、媒体加工部の駆動制御タイミングの駆動補正情報を演算し、演算された各駆動補正情報を各媒体加工部へ送出する。本実施形態では、補正演算部36は、ミシン刃制御部33や切断制御部34が、ミシン刃駆動部19や切断駆動部23の駆動を制御するタイミングの補正量を演算し、ミシン刃制御部33や切断制御部34へ各々の補正量を送出する。補正量を演算する具体的な方法については、後に詳しく説明する。
【0038】
上記の構成における画像記録装置1の処理動作について説明する。記録媒体2は、前述のとおり、ロール状に巻回された状態で保持部10に取り付けられている。保持部10は図1においては不図示の制動機構を有し、ロール状の記録媒体2に対してバックテンションを付与している。保持部10の制動機構により、保持部10とニップローラ対16との間の記録媒体2に適切な張力が生成される。そして、この張力により、記録媒体2は、第1ドラム12及び第2ドラム15上で滑ることなく搬送される。
【0039】
ニップローラ対16は、記録媒体2の搬送速度を一定に保ちながら、記録媒体2を第1画像記録部11に搬送し、第1画像記録部11は、記録媒体2の表面に対して画像記録処理を行う。更に記録媒体2が搬送され、第2画像記録部14は、記録媒体2の裏面に画像記録処理を行う。
【0040】
画像記録処理が終了すると、記録済みの記録媒体2は、ミシン目加工部6へと給送される。ミシン目加工部6は、歯車状のミシン刃18をミシン刃駆動部19によって記録媒体2に当接及び離間させることで、記録媒体2に対してミシン目の加工を行う。ミシン目の有無や、加工の位置やその長さについては、上位装置41により、所定のページ単位ごとに、記録すべき画像データとともに画像記録装置1に対して指示されている。したがって、ミシン刃制御部33は、「ミシン目有り」と指示されたページ単位の指定された位置及び長さでミシン刃18の当接を行うよう、ミシン刃駆動部19を制御する。
【0041】
ミシン目加工部6でのミシン目加工を行った後、記録媒体2は、切断部7へと給送される。本実施形態においては、所定のページ単位ごとに記録媒体2をカットする方法として、上記のとおり、ロータリ式の切断部7を採用している。切断制御部33は、切断部7のカットローラ22の回転周期が、記録媒体2の搬送速度と記録媒体2の所定の切断長とから決定される時間となるように、切断駆動部32を制御する。これにより、記録媒体2は所定のサイズにカットされる。
【0042】
検出部8は、切断部7で切断された記録媒体2の画像を取得する。検出部8を通過した記録媒体2は、その後排出部9へと給送され、スタッカ28に積載される。
ここで、画像記録装置1の搬送駆動部17、ミシン刃駆動部19及び切断駆動部23は、それぞれ独立した駆動源で構成されている。このため、各駆動源を同期制御する必要がある。しかし、機構の磨耗や駆動源の応答時間の変化等の経時的な劣化により、各駆動源の制御のタイミングと設計値との間にずれが生じてくることがある。これは、記録媒体2に対する加工精度の低下につながるため、このずれを補正し、加工精度を高精度に保つ必要がある。
【0043】
そこで、検出部8は、補正演算部36から指示されたタイミングで記録媒体2の切断端部の画像を取得し、取得した画像の情報を、補正演算部36に送出する。補正演算部36は、検出部8から入力された画像の情報等に基づき補正量を演算して、各媒体加工部の制御部に対して、演算した補正量を示す駆動補正情報を通知する。以下において、駆動補正情報とは、各媒体加工部を制御する各制御部がその媒体加工部を駆動するタイミングの所定基準値に対する補正量を表す。媒体加工部を駆動するタイミングの所定基準値とは、例えば、前回の加工での媒体加工部の駆動タイミングや、工場出荷時等に設定される設計値等をいう。各媒体加工部の制御部は、駆動補正情報にしたがってそれぞれの媒体加工部を駆動する。
【0044】
次に、補正演算部36が補正量を演算する方法について具体的に説明する。
図3は、画像記録部4、ミシン目加工部6及び切断部7と検出部8との位置関係を示した図であり、説明に不要な構成は省略している。
【0045】
記録媒体2の搬送停止直前や上位装置41からの最後の記録画像を記録するとき等において、すべての加工が施された加工媒体を完成させるには、画像記録装置1のうち、最上流の媒体加工部が記録媒体2に加工を行った後も、搬送部5は、記録媒体2の搬送を続ける必要がある。すなわち、搬送部5は、最上流の媒体加工部により加工が施された記録媒体2が他の加工を施され画像記録装置1の外部に排出されてから搬送を停止させる必要がある。図1の構成では、少なくとも、最上流の媒体加工部である第1画像記録部11から最下流の媒体加工部である切断部7の切断位置までの区間L1については、記録媒体2の搬送を続ける必要がある。区間L1の長さは、画像記録装置1に固有のものであり、既知である。
【0046】
その一方で、記録媒体2の搬送開始直後や上位装置41からの最初の記録画像を記録するとき等において、少なくとも最上流の媒体加工部は、区間L1に位置する記録媒体2に対し加工を施すことができない。すなわち、加工媒体は区間L1より上流に位置する記録媒体2により作成され、区間L1に位置する記録媒体は、全ての加工が施されることなく余剰媒体として排出部9へと排出される。図1の構成では、区間L1の記録媒体2は少なくとも第1画像記録部11による画像記録を行うことができない状態で、排出部9へと排出させる必要がある。
【0047】
本実施形態に係る画像記録装置1は、このような理由から生じる余剰媒体、すなわち、区間L1内の第1画像記録部11による画像記録を行うことのできない記録媒体2を利用することで、記録媒体2の無駄を抑えつつ、ミシン目加工部6及び切断部7の動作タイミングについての上記駆動補正情報を求める。
【0048】
以下においては、説明のため、記録部4の第1画像記録部11からミシン目加工部6のミシン刃18の当接位置までの区間をL2、切断部7の切断位置から検出部8のエリアセンサ27の中心までの区間をL3とする。また、符号「L1」、「L2」及び「L3」については、上記のとおり区間を表す場合の他に、区間の距離を表す場合がある。区間の距離を表す場合は、「距離L1」等のように表現することとする。
【0049】
図4は、媒体加工部が余剰媒体に対してどのように媒体加工を行うかを説明する図である。図4を参照して、上記駆動補正情報を求めるために、余剰媒体にどのように媒体加工を行うかについて説明する。
【0050】
上位装置41からの画像記録指令を受けて制御部31が記録媒体2の搬送を開始すると、一定の加速区間の後に、記録媒体2の印刷速度に達する。以下においては、画像記録を行うときの記録媒体2の搬送速度のことを、「印刷速度」とする。
【0051】
図3を参照して述べたとおり、第1画像記録部11が画像記録を開始しても、第1画像記録部11からミシン目加工部6のミシン刃18当接位置までの区間L2に対しては、記録媒体2の表面への画像記録はなされない。このことを利用して、表面へ画像記録されないブランク区間L2から加速のために必要な区間を除いた区間の記録媒体2に対して、ミシン目加工及び切断動作を行う。具体的には、図4(a)〜図4(c)に示すように、画像記録装置1が加工可能な全ての用紙サイズについて、2シートずつ加工する。
【0052】
図4(a)は、記録媒体2の搬送開始前における、記録媒体2に対して媒体加工を施す位置を示す図である。上位装置41から画像記録指令を受けると、記録媒体2の搬送速度を所定の速度まで加速させつつ、ブランク区間L2に、画像記録装置1が加工可能な全ての用紙サイズを、図4(a)に示す順に加工していく。本実施形態では、加工可能な用紙サイズは、A4、A3、Letter(図4においてはLET)及びTabroid(図4においてはTAB)としているが、この限りではなくB系列のサイズ等でもよい。
【0053】
例えば、「A4BLK(1)」とは、ブランク区間L2のうちA4サイズに切断する1シート目であることを表す。図4(a)に示すとおり、本実施形態においては、加速のために必要な加速区間を設けた後の区間に、加工可能な4とおりの用紙サイズのそれぞれについて、2シートずつ区間を設ける。ある用紙サイズの2シートのうち、1シート目にはミシン目は施さず、2シート目に対してのみミシン目加工を施すこととする。図4(a)〜図4(c)においては、ブランク区間L2内のミシン目加工を施すべき箇所を破線で表し、シート間の切断箇所については実線で示している。
【0054】
以下においては、ブランク区間L2の記録媒体2に対してどの位置にどの加工を施すかの割り当てを「スケジュール」とし、スケジュールを決定することを、「スケジューリングを行う」とする。
【0055】
図4(b)は、記録媒体2が加速され、第1画像記録部11において画像記録が開始されたときのスケジューリングされた記録媒体2の位置を示す図であり、図4(c)は、ブランク区間L2の先頭が切断部7の切断位置に到達したときのスケジューリングされた記録媒体2の位置を示す図である。
【0056】
ミシン目加工部6及び切断部7は、ブランク区間L2の記録媒体2に対して、図4に示すスケジュールのとおりにそれぞれミシン目加工及び切断の動作を行う。
例えば、A4サイズの2シート目にミシン目加工を施すため、A4BLK(2)の先端がミシン目加工部6のミシン刃18に到達するタイミングで、ミシン刃制御部33は、ミシン刃駆動部19に対して駆動指令を行い、ミシン刃18を記録媒体2に当接させる。これにより、A4の2シート目に対するミシン目加工を開始する。A4BLK(2)の後端がミシン刃18に到達するタイミングで、ミシン刃制御部33は、ミシン刃駆動部19に対して駆動指令を行い、ミシン刃18を記録媒体2から離間させる。これにより、A4の2シート目に対するミシン目加工を停止する。ミシン刃制御部33は、搬送情報生成部13のパルスをカウントすることにより、各駆動タイミングを決定している。ミシン目加工部6は、以降の各用紙サイズに対しても同様に、2シート目に対してミシン目加工を行う。
【0057】
切断部7の動作については、例えばA4BLK(1)の先端が切断位置に到達するタイミングで記録媒体2が切断されるよう、切断制御部34は、切断駆動部23に対する駆動指示を行う。切断部7は、以降も同様に、各シートの先端が切断部7の切断位置に到達するタイミングに応じて切断動作を行う。
【0058】
図4に示すスケジュールでは、各用紙サイズにつき2シートずつ設けた後の区間であって、全ての加工が施された加工媒体となる印刷区間に入る前の領域に、補正区間を設けている。補正区間は、ミシン目加工及び切断を行ったシートが検出部8にまで搬送され、補正量を算出する時間を確保するために設けられている。必要な補正区間は、画像記録装置1の大きさ、構造並びにその仕様等に応じて適切な長さや回数を用意する。
【0059】
図5は、検出部8のエリアセンサ27が撮像する位置を説明する図である。本実施形態では、図4に示すスケジュールにしたがって各媒体加工部により加工のなされた余剰媒体に対して、各用紙サイズの2シート目の先端及び後端を撮像し、補正演算部36は、エリアセンサ27が撮像した画像から補正量を求める。図5においては、図4のA3BLK(2)のシート、すなわち、A3サイズの2シート目に対する撮像位置を例示する。
【0060】
切断部7により切断された後、記録媒体2は、検出部8のエリアセンサ27に到達する。この到達タイミングは、切断検出部26の信号及び搬送情報生成部13からの情報、並びに切断検出部26とエリアセンサ27との離間距離L3から求めることができる。
【0061】
例えば、搬送情報生成部13の分解能を300dpiとすると、切断検出部26が記録媒体2の切断を検出してから撮像までの遅延量ptは、以下の(1)式から求められる。補正演算部36は、搬送情報生成部13のパルスを、切断のタイミングから数えてpt分をカウントすればよい。
pt=L3(mm)/25.4(mm/inch)×300(dpi) (1)
【0062】
例えば、補正演算部36は、図5の例ではA3BLK(2)の先端に対する切断検出部26の信号を検出すると、そのタイミングから搬送情報生成部13のパルスをpt分だけカウントして、エリアセンサ27で撮像を行うことで、A3の2シート目の先端の画像を取得する。その後、A3BLK(2)の後端を撮像するために、搬送情報生成部13のパルスをp(A3)分だけカウントして記録媒体2の撮像を行う。p(A3)は以下の式から求められる。
p(A3)=420(mm)/25.4(mm/inch)×300(dpi) (2)
【0063】
上の(2)式中の420mmとは、A3の用紙の記録媒体2搬送方向に関する所定長さであり、この値を各用紙サイズの記録媒体2の搬送方向に関する長さに変更することで、他の用紙サイズについても同様に、2シート目の先端及び後端の撮像タイミングを求めることができる。
【0064】
このようにして得られたタイミングで撮像した結果に基づき、補正演算部36は、ミシン刃制御部33及び切断制御部34の制御タイミングの補正量を求める。
図5に示す例を用いて補正量の算出方法を説明すると、A3BLK(2)の先端画像は、切断位置に対してミシン目がΔM1分はみ出している。これは、ミシン刃18の当接タイミングが、距離ΔM1に相当する時間分早いことを意味する。そこで、補正演算部36は、「+ΔM1」をミシン刃18の当接駆動タイミングの補正量とし、ミシン刃制御部33に駆動補正情報を通知する。以下において、駆動補正情報が正の場合は、駆動部を制御する各制御部が、制御のタイミングを遅らせるべきことを表し、駆動補正情報が負の場合は、制御部が制御のタイミングを早めるべきことを表す。
【0065】
A3BLK(2)の後端画像については、エリアセンサ27の撮像領域の中心線Crに対して、切断位置がΔCだけ次のシート側にずれている。これは、切断長がA3よりΔCだけ長く、後端の切断タイミングが距離ΔCに相当する時間分遅いことを意味する。そこで、補正演算部36は、「−ΔC」を切断駆動部23に対する駆動タイミングの補正量として、切断制御部34に駆動補正情報を通知する。
【0066】
更に、A3BLK(2)の後端画像は、切断位置に対してミシン目加工の終了位置がΔM2だけ長い。これは、ミシン刃18の離間タイミングが、ΔM2に相当する時間分遅いことを意味する。但し、前述のとおり、切断位置はΔC分補正される。このため、補正演算部36は、「−ΔM2−ΔC」をミシン刃18の離間駆動タイミングの補正量として、ミシン刃制御部33に駆動補正情報を通知する。
【0067】
このように、検出部8のエリアセンサ27において取得した先端画像及び後端画像のそれぞれについて解析をし、画像の中心線と切断位置とのずれ及び切断位置とミシン目加工の開始/終了位置とのずれを求める。求めた各ずれ量から駆動部の駆動タイミングの補正量を演算し、補正量を駆動補正情報として、その駆動部を制御する制御部に対して通知する。
【0068】
ミシン刃制御部33及び切断制御部34は、補正演算部36から通知された駆動補正情報に基づいて補正したタイミングで、それぞれミシン刃駆動部19及び切断駆動部23の駆動を制御する。
【0069】
図6は、本実施形態に係る画像記録装置1による処理を示したフローチャートである。図6においては、画像記録処理の詳細については割愛し、ミシン刃駆動タイミングや切断駆動タイミングの補正に係わる処理を中心に説明する。
【0070】
ステップS1で、画像記録装置1は、上位装置41からの画像記録指令を待つ。上位装置41からの画像記録指令を受け付けると、ステップS2に進み、画像記録装置1は、記録媒体2の搬送を開始する。そして、ステップS3で、切断制御部34は、切断駆動部23の駆動を開始し、ステップS4で、制御部31は、ブランク区間L2のスケジューリングを行う。スケジュールの具体例については、図4を参照して説明したとおりである。
【0071】
前記スケジューリングの前段階で、切断駆動部23により記録媒体2の切断を開始することにより、搬送開始から切断駆動部23が前記スケジュールに則り切断を開始するまでの間に搬送される記録媒体2を、長尺のまま排出することなく、切断された状態で排出部9に排出する。
【0072】
記録媒体2の加速が終了してからは、ステップS6以降のミシン目加工処理、ステップS16以降の切断処理及びステップS26以降の画像記録処理を並列で行う。以下においては、説明の簡略化のため、画像記録装置1が加工可能な用紙サイズは2とおりであるとし、スケジュールのうち先に加工を行う用紙サイズを「第1サイズ」、後から加工を行う用紙サイズを「第2サイズ」と表記する。
【0073】
ミシン刃制御部33は、ステップS6〜ステップS9の処理を実行する。すなわち、ステップS6で、ミシン刃制御部33は、第1サイズの2シート目先端にミシン刃18を当接させるよう、ミシン刃駆動部19に対して駆動指令を行う。ステップS7で、ミシン刃制御部33は、第1サイズの2シート目後端でミシン刃18を離間させるよう、ミシン刃駆動部19に対して駆動指令を行う。ステップS8及びステップS9は、それぞれ第2サイズの2シート目に対してミシン刃を当接及び離間させるためにミシン刃駆動部19に駆動指令を行う処理であり、ステップS6及びステップS7と同様である。
【0074】
切断制御部34は、ステップS16〜ステップS19の処理を実行する。すなわち、ステップS16で、切断制御部34は、第1サイズの1シート目を切断するよう、切断駆動部23に対して切断駆動指令を行う。切断駆動部23は、切断駆動指令にしたがって、記録媒体2を切断する。これにより、第1サイズの1シート目が記録媒体2から切り離される。以降のステップS17〜ステップS19の処理で、第2サイズの2シート目までの切断を行う。
【0075】
補正演算部36は、ステップS26〜ステップS33の処理を実行する。すなわち、ステップS26で、補正演算部36は、第1サイズ2シート目の先端画像を撮像し、ステップS27で、第1サイズ2シート目の後端画像を撮像する。そして、ステップS28で、補正演算部36は、ステップS26及びステップS27で撮像した先端画像及び後端画像から、ミシン刃駆動部19の駆動タイミング及び切断駆動部23の駆動タイミングについての補正量を求める。ステップS29で、補正演算部36は、求めた補正量をミシン刃制御部33及び切断制御部34に通知する。ステップS30〜ステップS33では、補正演算部36は、第2サイズについて、ステップS26〜ステップS29とそれぞれ同様の処理を行う。
【0076】
その後、記録媒体2のうち、画像記録の施された区間がミシン目生成部6や切断部7に到達すると、ミシン刃制御部33はステップS34、切断制御部34はステップS35で、通知された駆動補正情報に応じたタイミングで、それぞれ上位装置41からの指示に基づく加工を行う。画像記録された記録媒体2が切断部7を通過すると、ステップS36に進む。
【0077】
ステップS36で、制御部31は、終了処理を行い、ステップS37で、記録媒体2の搬送を停止して、一連の処理を終了する。
なお、上記においては、検出部8のエリアセンサ27の撮像方法について、図5を参照して説明しているが、これに限定されるものではない。以下に、他の撮像方法及び対応する補正量の演算方法について説明する。
【0078】
図7は、検出部8のエリアセンサ27による撮像方法の他の例を説明する図である。図5の例では、ミシン刃18の当接及び離間のタイミングが設計値とずれている場合、前シートや次シートにミシン目が形成されることとなる。図7に示す例では、シートの先端及び後端から所定の距離をミシン目の形成開始位置及び終了位置としている。ミシン刃18の当接及び離間のタイミングが設計値とずれている場合であっても、ミシン目加工は1枚のシート内に収められる。
【0079】
ミシン刃18は、撮像するシートの先端から決められた距離だけ遅れたタイミングで当接し、また、撮像するシートの所定の長さに対して、決められた距離だけ早いタイミングで離間するように駆動される。図7に示す例では、A3BLK(2)のシートにおいて、先端より距離MAだけ遅れたタイミングでミシン刃18を当接させてミシン目加工を開始する。A3シートの所定長である420mmに対して距離MBだけ早いタイミングでミシン刃18を離間させてミシン目加工をオフにする。
【0080】
図5に示す例と同様に、各用紙サイズの2シート目の先端及び後端を撮像する。図7の例では、A3BLK(2)の先端及び後端を、順次エリアセンサ27で撮像する。補正演算部36は、撮像結果に基づき、ミシン刃制御部33及び切断制御部34に対する補正量を演算する。
【0081】
図7に示す例では、A3BLK(2)の先端画像より、ミシン刃18の当接タイミングはΔM1の距離分早いことがわかる。補正演算部36は、「+ΔM1」をミシン刃18の当接タイミングの補正量として、ミシン刃制御部33に駆動補正情報を通知する。
【0082】
A3BLK(2)の後端画像からは、ミシン刃18の離間タイミングがΔM2の距離分遅いことがわかる。補正演算部36は、ミシン刃18の離間タイミングの補正量「−ΔM2」として、ミシン刃制御部33に駆動補正情報を通知する。
【0083】
なお、図7に示す方法で撮像を行う場合は、図5の場合と異なり、ミシン刃18の離間タイミングを求めるときに、シートの切断位置を考慮に入れる必要がない。これは、ミシン刃18を離間させる位置が、切断されるべき後端の設計位置から所定の距離と定めており、ミシン刃18の離間タイミングの補正量の演算には、シートの実際の切断位置からの距離は不要なためである。このため、例えば図5のΔCで示すようにシートの切断位置が設計値とずれている場合であっても、ミシン刃18を駆動するタイミングの補正量を演算するときに、実際の切断位置のずれを考慮する必要がない。
【0084】
上述のとおり、図7の方法においては、ある用紙サイズの2シート目にのみミシン目加工を行い、ミシン刃駆動部19の駆動タイミングのずれを検出している。図7に示す方法では、1つの用紙サイズにつき1シートずつ加工し各加工の演算、補正を行うことが可能であり、余剰媒体の長さが十分でない場合等に、有効である。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る画像記録装置1によれば、加工可能な全ての用紙サイズについて、切断位置及びミシン目加工位置をエリアセンサ27で撮像する。撮像した画像を解析して切断位置やミシン目加工位置のずれを求め、補正量を演算する。これにより、連続する記録媒体2を所望の用紙サイズに切断することのできる画像記録装置1において、高精細な加工位置調整を行うことが可能となる。また、本実施形態に係る補正量の演算方法によれば、記録媒体2に画像記録を行うために記録媒体2の搬送を始めたときに装置1の搬送経路上に滞留しているブランク区間の記録媒体2、すなわち余剰媒体を利用して、上記の調整を行っている。これにより、無駄な記録媒体2を発生させることなく加工位置の補正を行うことが可能となる。
<第2の実施形態>
【0086】
次に、図8乃至図10を用い、第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態に係る画像記録装置1では、装置1の搬送経路上に滞留している記録媒体2である余剰媒体を、所定の搬送速度まで加速してから、加工可能な全ての用紙サイズに加工して、媒体加工部の駆動を制御するタイミングの補正量を求めている。
【0087】
例えばインクジェットプリンタの場合、濃度や記録密度を高めるため、画像記録のときに、記録媒体2の印刷速度を低くして、インク吐出量やドット数を増やすことが可能である。本実施形態に係る画像記録装置では、このような印刷速度を変更して画像記録を行う場合に対応させるため、印刷速度や用紙サイズを補正条件として設定可能とする。そして、設定した補正条件で記録媒体2に加工をし、媒体加工部の駆動を制御するタイミングの補正量を求める点で、第1の実施形態と異なる。
【0088】
以下においては、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8は、本実施形態に係る画像記録装置51のブロック図である。図8に示すとおり、本実施形態に係る画像記録装置51は、図2の画像記録装置1と比較して、制御部52が、入力部53からの入力や表示部54への出力に係わる制御を行う点で異なる。他の構成については図2と同様であり、対応する構成については同じ符号を付している。
【0089】
入力部53は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段であり、入力部53は、ユーザーが指定した印刷速度や用紙サイズ等の補正条件を受け付ける。表示部54は、ディスプレイ等の出力手段であり、ユーザーが入力部53を介して指定した補正条件では加工位置の調整ができない場合等にはその旨を出力する。
【0090】
まず、上位装置41からの指令にしたがって画像記録を行うときに、画像データとともに上位装置41から受信した情報の中に、印刷速度や用紙サイズが含まれている場合の画像記録装置51の動作について説明する。画像記録の処理については、公知の技術であるので詳細な説明は省略し、ミシン目加工や切断加工の加工位置の調整に係わる処理動作を中心に説明する。
【0091】
図9は、本実施形態に係る画像記録装置51が決定するスケジュールについて説明する図である。図9(a)は、設定された印刷速度と用紙サイズに応じスケジューリングされたスケジュールの例であり、図9(b)は、図9(a)のスケジュールにおける印刷速度を示す図である。図4と同様に、図9(a)においては、ブランク区間L2内のミシン目加工を施すべき箇所を破線で表し、シート間の切断箇所については実線で示す。また、図4と同様に、図9(a)においては、2シート目にミシン目加工を行う場合を示す。印刷速度としては、複数の印刷速度を設定し得るが、ここでは、3とおりの印刷速度を設定する場合を例に説明する。
【0092】
制御部52は、上位機種41から受信した印刷速度と用紙サイズの情報に応じ、ブランク区間L2の各加工の割り当てをスケジューリングする。複数とおりの印刷速度で加工位置の調整を行う場合は、印刷速度を変更するごとに上記ブランク区間L2中に加減速のための区間を設ける必要がある。本実施形態では、図9に示すように、低い印刷速度から順に設定することで、加速区間を短く抑えている。
【0093】
図9に示す例では、上位機種41から、印刷速度1によるA4サイズと、印刷速度2によるLetterサイズと、印刷速度3によるA3サイズと、の3とおりの加工媒体を作成する情報が受信されたとする。
【0094】
この場合、まず最も低い印刷速度である印刷速度1に対応した搬送速度v1に向けて加速する。搬送速度v1においてA4サイズのシート2枚を加工し、次に印刷速度の低い印刷速度2に対応した搬送速度v2に向けて加速する。搬送速度v2においてLTRサイズのシート2枚を加工し、次に、最も印刷速度の高い印刷速度3に対応した搬送速度v3に向けて加速する。搬送速度v3においてA3のシート2枚を加工する。加工されたシートは、第1の実施形態と同様に、下流の検出部8において撮像され、補正量の演算に利用される。
【0095】
3とおりの搬送速度のそれぞれについて加工を終えると、記録媒体2のうち、上位装置41からの指示にしたがって画像記録のなされた部分(図9(a)においては「A4印刷(1)」)が、媒体加工部へと到達する。画像記録のなされた部分に対しては、求めた補正量に応じてミシン目加工や切断のタイミングが制御されることについては、上記の実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態に係る画像記録装置51によるスケジューリング方法は、上位装置41から入力された条件にしたがってスケジュールを設定する構成には限らない。ユーザーが入力部53を介して印刷速度及び用紙サイズを入力し、画像記録装置51は、入力された印刷速度及び用紙サイズに応じて図9(a)に示すスケジュールを設定する構成や、ユーザーが入力部53を介して直接スケジュールを設定する構成としてもよい。
【0097】
図10は、補正条件を定義するユーザー定義テーブルの構造例を示す図である。図10に例示するように、ユーザーの設定にしたがって、印刷速度1に対してA4サイズを、印刷速度2に対してはLTR(Letter)、印刷速度3に対してはA3サイズを対応付けてテーブルに保持する。
【0098】
ユーザーが指定した条件や設定したスケジュールでは、ブランク区間L2の長さが足りない場合等には、表示部54に、記録媒体2の無駄が発生する旨の警告メッセージ等を表示する。実行が不可能なスケジュールについては予め警告をすることで、記録媒体2の無駄を削減することが可能となる。記録媒体2の無駄を発生させないためには、設定が可能な補正条件の組み合わせの中からユーザーに選択させることとしてもよい。
【0099】
上記においては、印刷速度を3とおり設定し、それぞれの印刷速度に対して用紙サイズを1とおりずつ設定することとしているが、これには限定されない。例えば、ある印刷速度に対し、用紙サイズの全てについて組み合わせを設定する構成としてもよい。
【0100】
なお、上記においては、画像記録処理の開始タイミングで複数とおりの印刷速度及び用紙サイズの組み合わせを設定し、加工位置の調整処理を実行する場合を説明したが、これに限らない。例えば、画像記録装置51の電源投入後の最初の記録媒体2搬送タイミングで実行することとしてもよい。この場合は、画像記録装置51が加工可能な全ての用紙サイズ及び設定し得る全ての印刷速度の組み合わせの全パターンを実行してもよい。
【0101】
以上説明したように、本実施形態に係る画像記録装置51によれば、画像記録装置51が画像記録を行うときの印刷速度で記録媒体2を搬送させて、切断位置やミシン目加工位置の補正量を演算することが可能となる。また、ユーザーが設定した印刷速度や用紙サイズを条件設定に用いて加工位置の調整処理を行い、ユーザーの設定した条件では加工位置の調整処理が実行できない場合には警告を行うことで、記録媒体2の無駄を排しつつ、高精細な加工位置調整を行うことが可能となる。
【0102】
なお、第1及び第2の実施形態の説明においては、媒体加工部の配置及び種類が図1のとおりである場合について説明しているが、これに限定されるものではない。画像記録装置に設けられる媒体加工部の種類やその配置が上記と異なる場合であっても、かかる画像記録装置は、本発明の範囲に属する。すなわち、本発明の範囲に属する画像記録装置によれば、記録媒体2の搬送が開始されると、搬送方向に関して最上流の媒体加工部から最下流の媒体加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体2に対して加工を施す。そして、最下流の媒体加工部より更に下流の検出部において撮像した結果を利用して記録媒体2の加工制御についての補正演算を行う。
【0103】
この他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、上述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよいし、更には、各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 画像記録装置
2 記録媒体
3 記録媒体供給部
4 記録部
5 搬送部
6 ミシン目加工部
7 切断部
8 検出部
9 排出部
10 保持台
11 第1画像記録部
12 第1ドラム
13 搬送情報生成部
14 第2画像記録部
15 第2ドラム
16 ニップローラ対
17 搬送駆動部
18 ミシン刃
19 ミシン刃駆動部
20 バックアップローラ
21 矢印(ミシン刃動作方向)
22 カットローラ
23 切断駆動部
24 アンビルローラ
25 カッター刃
26 切断検出部
27 エリアセンサ
28 スタッカ
31 制御部
32 画像記録制御部
33 ミシン刃制御部
34 切断制御部
35 搬送制御部
36 補正演算部
41 上位装置
51 画像記録装置
52 制御部
53 入力部
54 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に複数種類の加工を施す複数の媒体加工部と、
前記記録媒体を撮像する撮像部と、
加工結果に応じ前記媒体加工部の駆動を補正する補正演算部と、
を有する画像記録装置において、
前記撮像部は、前記複数種類の加工がなされた前記記録媒体を撮像するために、前記複数の媒体加工部よりも前記記録媒体の搬送方向下流に設け、
前記記録媒体の搬送方向最上流に位置する前記媒体加工部を除く前記媒体加工部の少なくとも1つは、前記記録媒体の搬送停止時に搬送方向最上流の加工部から最下流の加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体である余剰媒体に対し、前記搬送手段による連続記録媒体の搬送開始直後より加工を開始し、
前記撮像部は、前記搬送手段による搬送が開始されると、前記余剰媒体を撮像し、
前記補正演算部は、前記余剰媒体の加工撮像結果を基に、各々の加工部の駆動を補正することを特徴とする、画像記録装置。
【請求項2】
前記複数の媒体加工部は、少なくとも前記記録媒体に画像を記録する画像記録部と、前記記録媒体にミシン目を施すミシン目加工部と、前記記録媒体を所望の長さに切断する切断部と、を有することを特徴とする、請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記複数の媒体加工部は、前記連続媒体の搬送方向最下流に切断部を設けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記補正演算部は、記録媒体の搬送速度及び記録媒体の切断サイズのいずれかまたは両方の補正条件に応じ、各媒体加工部の駆動の補正値を求めることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記補正条件は、ユーザーにより設定可能であることを特徴とする、請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
ユーザーが設定した複数の前記補正条件に応じた記録媒体の搬送距離が、前記余剰媒体の長さより長い場合には、その旨をユーザーに報知することを特徴とする請求項5記載の画像記録装置。
【請求項7】
画像記録を行う画像記録装置の制御方法であって、
前記画像記録装置は、
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に複数種類の加工を施す複数の媒体加工部と、
前記記録媒体を撮像する撮像部と、
加工結果に応じ前記媒体加工部の駆動を補正する補正演算部と、
を有し、
前記記録媒体の搬送停止時に搬送方向最上流の加工部から最下流の加工部までの間の搬送経路上に位置する記録媒体である余剰媒体に対し、前記搬送手段による連続記録媒体の搬送開始直後より加工を開始し、
前記複数の媒体加工部よりも前記記録媒体の搬送方向下流において、前記搬送手段による搬送が開始されると、前記余剰媒体を撮像し、
前記余剰媒体の加工撮像結果を基に、各々の加工部の駆動を補正することを特徴とする、画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−101496(P2012−101496A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253420(P2010−253420)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】