説明

画像記録装置及び画像記録装置の制御方法

【課題】上位装置からの指示に基づき、縦ミシン目加工のオン/オフ制御、及び記録媒体の搬送方向に直交する方向での縦ミシン目の加工位置制御が可能なミシン目加工装置付きの画像記録装置を提供することができる。
【解決手段】上位装置からの印刷情報に基づき記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、前記印刷情報はミシン目加工情報を含み、該ミシン目加工情報に基づいて前記記録媒体へのミシン目加工を制御するミシン刃制御部と、該ミシン刃制御部の指令に基づいて前記記録媒体にミシン目を加工するミシン目加工部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続紙に画像を記録し、画像記録後に切断及びミシン目加工を行う画像記録装置及び画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置として、例えばインクジェットプリンタは、搬送系により保持搬送される記録媒体に対して、記録ヘッドの複数ノズルよりインク滴を吐出し、高速且つ高画質に画像記録を行う。このインクジェットプリンタは、例えばカットシート状の記録媒体(用紙)に画像を記録するオフィス用途として幅広く使用されている。
【0003】
また、近年では、インクジェットプリンタは多数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に整列配置したラインヘッドを構成することで、スループットの向上を可能とし、ロール紙などの記録媒体(連続紙)に画橡を記録する産業用途としても使用されている。
【0004】
このような画像記録装置の後処理機構として、記録媒体の所望位置にミシン目を入れる機能を有する装置が知られている。このような構成の画像記録装置として、例えば特許文献1、及び特許文献2に記載の発明が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の発明は、縦ミシン目と横ミシン目を加工できるランダムミシン目加工装置の提案であり、記録媒体の搬送を停止させずにミシン目の加工を行う構成である。このため、記録媒体に記されたマークを読み取り、このマークに基づいてミシン目刃の駆動タイミングを制御し、記録媒体の所望の位置にミシン目加工を行う発明である。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明は、クラッチによりミシン目刃を駆動源に系合させるミシン目加工装置であり、使用者がレバーを操作することによりクラッチをオン/オフし、クラッチがオン状態の場合にのみ、ミシン目加工を可能とする発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−061889
【特許文献2】特開2000−143075
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、記録媒体に記されたマークに基づいてミシン目の加工を行うため、予め記録媒体にマークを記録する必要がある。また、縦ミシン目を加工するミシン刃がネジで固定される構造であるため、記録媒体の搬送方向に直行する方向での縦ミシン目の加工位置を修正するためにはネジを外して手動で位置調整を行わなければならず、上位装置からのミシン目位置情報に応じたミシン目加工ができない。
【0009】
また、特許文献2の構成では、使用者がミシン目加工の有無に基づいてレバー操作を行う必要があるため、上位装置からのミシン目加工要求に応じたミシン目加工ができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、上位装置からの印刷情報に基づき記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、前記印刷情報はミシン目加工情報を含み、該ミシン目加工情報に基づいて前記記録媒体へのミシン目加工を制御するミシン刃制御部と、該ミシン刃制御部の指令に基づいて前記記録媒体にミシン目を加工するミシン目加工部とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の態様のひとつである画像記録装置の制御方法は、上位装置からの印刷情報に基づき記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、上位装置からのミシン目加工情報を含む印刷情報に基づいて前記記録媒体にミシン目加工をする制御処理と、前記ミシン目加工情報に基づいてミシン目を加工するミシン目加工処理とを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上位装置からの指示に基づき、縦ミシン目加工のオン/オフ制御、及び記録媒体の搬送方向に直交する方向での縦ミシン目の加工位置制御が可能なミシン目加工装置付きの画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態の画像記録装置を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の画像記録装置の、制御部を除く模式的な配置図である。
【図3】本実施の形態における、ミシン刃横移動部近傍の構成を説明する図である。
【図4】本実施の形態における、ミシン刃横移動の観念を示す説明図である。
【図5】本実施の形態におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図6】本実施の形態における画像記録サブルーチンのフローチャートである。
【図7】本実施の形態におけるミシン目横方向位置制御サブルーチンのフローチャートである。
【図8】本実施の形態におけるミシン目加工制御サブルーチンのフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の画像記録装置を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態の特徴部分を示す模式的な配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の画像記録装置のシステムブロック図である。また、図2は、制御部を除く本実施形態の画像記録装置の模式的な配置図である。
【0015】
本実施形態の画像記録装置1は、媒体供給系2と、画像記録系3と、ミシン目加工系4と、媒体切断系5とを具備している。
先ず、媒体供給系2について説明する。媒体供給系2は、記録媒体7を回転可能に保持し、画像記録系3に記録媒体7を巻き出す巻出し部として配設されている。本実施形態において、媒体供給系2には、記録媒体7として、ロール紙が保持されている。媒体供給系2は、更にパウダクラッチ8を配置し、記録媒体7の搬送方向と逆方向に所定のバックテンションを付与している。
【0016】
次に、画像記録系3について説明する。
画像記録系3は、媒体供給系2から搬送された記録媒体7を導入し、記録媒体7を第1媒体担持体9−1で巻回保持し、第1画像記録部10−1の直下へ搬送し、画像の記録処理を行う。その後、画像記録系3は、記録媒体7を第n媒体担持体9−nで巻回保持し、第n画像記録部10−nの直下へ搬送し、画像の記録処理後、ミシン目加工系4を経て、媒体切断系5へ記録媒体7を搬送する。
【0017】
上記画像記録系3は、図2に示すように、複数のフリーローラ、第1媒体担持体9−1、第n媒体担持体9−nから成る記録媒体7の搬送部、及び第1画像記録部10−1、第n画像記録部10−nから成る画像記録部で構成されている。
【0018】
尚、本実施形態の画像記録系3は、2つの画像記録部により記録媒体7の両面に対して記録可能なように構成されている。本実施形態では、ここで示す実施形態に限らず、例えば記録媒体7の片面に対しての記録処理を行なう装置にも適用でき、また複数の画像記録部を有する装置にも適用できる。また、上記第n画像記録部9−nについては、以降第2画像記録部9−nと称する。同様に、第n媒体担持体10−nについても、以降第2媒体担持体10−nと称する。
【0019】
次に、第1媒体担持体9−1の構成を説明する。本実施形態の画像記録装置1の第1媒体担持体9−1は、アルミ製のドラムであり、フリーローラ11、16によって記録媒体7が330度の巻き付け角で巻回され、A3サイズの縦(420mm)の約3枚分に相当するような周長に設計されている。
記録媒体7は、第1媒体担持体9−1の巻き始めのテンションと巻き終わりのテンションによって、第1媒体担持体9−1の外周面に垂直抗力が与えられ、第1媒体担持体9−1と記録媒体7との間の摩擦係数によって第1媒体担持体9−1に保持される。第1媒体担持体9−1は、後述するニップローラ23の駆動によって、記録媒体7を介して従動ドラムとして回転する。
【0020】
また、第1媒体担持体9−1の回転軸には、第1搬送情報生成部12−1が連結されている。第1搬送情報生成部12−1の回転軸は第1媒体担持体9−1の回転に伴って回転し、第1媒体担持体9−1の回転位置に相当する検出パルスを出力する。この検出パルスは、画像記録制御部14等を介して第1画像記録部10−1、及び切断制御部15に供給される。
【0021】
不図示の第1記録ヘッドは、上記第1画像記録部10−1内の不図示の第1ヘッド駆動部により上記検出パルスに同期してインクを吐出する。
【0022】
本実施形態の画像記録装置1の第1搬送情報生成部12−1は、例えば1回転当たり18000パルスの出力を行うロータリーエンコーダを用いている。記録媒体7の搬送方向の解像度は300dpiであり、第1搬送情報生成部12−1の1パルス当たり1ラインの記録を行うように設計されている。したがって、第1媒体担持体9−1の直径は、25.4 inch÷300dpi ×18000パルス÷円周率π=485mmとなる。
【0023】
第1媒体担持体9−1の巻き終わり以降では、記録媒体7は、フリーローラ19を経由して、第2媒体担持体9−nに搬送される。
【0024】
次に、第2媒体担持体9−nの構成を説明する。第2媒体担持体9−nも第1媒体担持体9−1と同様の構成であり、フリーローラ20、21によって記録媒体7が330度の巻き付け角で巻回可能に構成されている。記録媒体7は、第2媒体担持体9−nの巻き始めのテンションと巻き終わりのテンションによって第2媒体担持体9−nの外周面に垂直抗力が与えられ、第2媒体担持体9−nと記録媒体7との間の摩擦係数によって第2媒体担持体9−nに保持され、後述するニップローラの駆動によって、記録媒体7を介して従動ドラムとして回転する。
【0025】
また、第2媒体担持体9−nの回転軸には、第1媒体担持体9−1と同様、18000パルスの出力を行う第n搬送情報生成部12−nが連結されている。この第n搬送情報生成部12−nは、第2媒体担持体9−nの回転位置に相当する検出パルスを出力する。
【0026】
この検出パルスは画像記録制御部14を介して第2画像記録部10−nに供給される。不図示の第2記録ヘッドは、第2画像記録部10−n内の不図示の第2ヘッド駆動部により検出パルスに同期してインクを吐出する。
【0027】
尚、第n搬送情報生成部12−nについても、前述の第2画像記録部10−nと同様、以下第2搬送情報生成部12−nと称する。
【0028】
一方、第1媒体担持体9−1と第2媒体担持体9−n間には媒体端部検出センサ18が配置されている。この媒体端部検出センサ18は記録媒体7の両端部の位置を検出する。記録媒体7は連続紙であり、連続紙の加工品質によっては記録媒体7の搬送方向に直交する位置が数mm変化することがある。
【0029】
本画像記録装置1は媒体端部検出センサ18により両端部の位置情報を取得することで、記録媒体7に対する画像記録位置の補正、及びミシン目加工位置の補正を行なう。記録媒体7は、第2媒体担持体9−nの巻き終わりからフリーローラ22を介してミシン目加工系4に送出される。
【0030】
ニップローラ23は媒体搬送モータ17を駆動源とした記録媒体7を搬送するローラであり、ニップローラ23は記録媒体7を挟持し、所定の張力で記録媒体7を搬送し、記録媒体7をミシン目加工系4に送る。
次に、上記ミシン目加工系4について説明する。ミシン目加工系4は、ミシン刃横移動部25、ミシン目加工部26、アンビルローラ27を有する。
【0031】
ミシン刃横移動部25は不図示の駆動源を持ち、記録媒体7の搬送方向に対して直交する方向に駆動する。この駆動により、ミシン刃28の位置を変えることができるように構成されている。図3は上記構成を説明する図であり、ミシン刃横移動部25は、不図示の駆動源によって同図に示す矢印25a方向に移動可能に構成され、ミシン刃28の位置を記録媒体7の搬送方向に対して直交する方向に移動する。
【0032】
ミシン目加工部26は、上記ミシン刃28及びカムモータ29で構成され、カムモータ29を駆動することによりミシン刃28が矢印30方向に動作し、ミシン刃28を記録媒体7に当接、又は離間させる。そして、ミシン刃28が記録媒体7に当接することにより、記録媒体7にミシン目を加工する。
アンビルローラ27はミシン刃28が記録媒体7に当接する際のバックアップローラとしての機能と共に、記録媒体7を下流へと送出する機能を有する。
【0033】
次に、媒体切断系5について説明する。媒体切断系5は、切断駆動部32、切断部ローラ33、切断原点センサ34、刃物35、及びエンコーダ36を有する。
切断駆動部32により駆動される切断部ローラ33は、1本の刃物35を有するスパイラル状のカッターであり、ローラ1周で420mmの周長を持つ。刃物35の周速度を記録媒体7の搬送速度に同期させて駆動すれば、記録媒体7は長さ420mmに切断される。尚、本実施形態の画像記録装置1は、記録媒体7として297mm幅の連続紙を使用し、A3サイズ(420mm×297mm)に切断して排出する。
【0034】
切断駆動部32は、所謂サーボモータを用い、切断駆動部32に対してパルス列指令を行なうことで駆動される。尚、切断駆動部32は、サーボモータ限らず、ステッピングモータなどで構成してもよい。また、本実施形態ではページごとに所定のサイズで切断されるものとして説明する。
【0035】
切断原点センサ34は刃物35の位置が記録媒体7を切断する媒体切断位置37を検出できるように配置され、この刃物35による切断のタイミングを演算処理装置40に対して通知する。また、エンコーダ36は、1回転当たり10000パルスの出力を行い、このパルス数をカウントすることで切断部ローラ33の回転角を検出することが可能である。演算処理装置40はこの回転角から記録媒体7と刃物35の位置関係を知る。
例えば、切断原点センサ34を基準にエンコーダ36のパルスが5000カウントされれば、刃物35は記録媒体7の切断位置に対して180度の位置にあり、記録媒体7があと210mm進行した後に切断されると判断できる。
【0036】
次に、制御部6について説明する。図1に示すように、制御部6は前述のミシン刃制御部13、画像記録制御部14、切断制御部15、演算処理装置40、入出力部41、及び記憶部42で構成されている。演算処理装置40は、バス43を介して制御部6内のミシン刃制御部13、画像記録制御部14、切断制御部15、入出力部41、及び記憶部40に接続されている。また、制御部6(画像記録装置1)はパーソナルコンピュータ(PC)等の上位機器45に接続されている。
記憶部42は、本画像記録装置1の動作プログラムや、上位機器45からの記録データ、及びミシン目加工情報等の情報を一時格納する。さらに、本画像記録装置1の種々の調整パラメータ等の情報も格納する。
【0037】
画像記録制御部14は前述の第1搬送情報生成部12−1、第2搬送情報生成部12−nの搬送情報を平均化し、第1画像記録部10−1、第2画像記録部10−n、及び切断制御部15に対して記録媒体7の搬送情報を出力する。
切断制御部15は切断駆動部32に対して駆動指示を行なうと共に、エンコーダ36からの切断位置情報を取得して、ミシン刃制御部13へと出力する。
【0038】
ミシン刃制御部13は、ミシン目横位置演算部46、及びタイミング生成部47を有する。ミシン目横位置演算部46は、上位機器45から送出されたミシン刃加工情報と媒体端部検出センサ18の媒体端部位置情報を基にミシン目の横方向位置、即ち媒体搬送方向に直行する方向の位置を演算し、ミシン刃横移動部25に駆動指示を行なう。
【0039】
タイミング生成部47は、上位機器45から送出されたミシン刃加工情報を基に、ミシン目の加工を行なうページについて、カムモータ29に対して駆動指示を行なう。
【0040】
次に、本実施形態における特徴部分であるミシン目の加工制御について説明する。上位装置45からは、制御部6(画像記録装置1)に対して記録データ(画像データ)と共に、ミシン目加工情報が記録ページ単位で送出される。このミシン目加工情報は、ミシン目加工の有無情報、及びミシン目加工位置情報を含む。また、ミシン目加工位置情報は、記録画像の端部から何ミリメートルの位置にミシン目加工を施すかを指示する情報である。
【0041】
演算処理装置40は、ミシン目加工の有無情報からミシン目加工系5に到達した記録ページのミシン目加工の有無を判断する。そして、ミシン目加工有りの記録ページであれば、演算処理装置40はミシン目横位置演算部46に対して演算指令を行う。
【0042】
ミシン目横位置演算部46は、ミシン目加工位置情報と記録媒体端部検出センサ18の端部位置情報からミシン刃28の移動位置を演算し、ミシン刃横移動部25に対して駆動指令を行なう。例えば、ミシン目加工位置情報が197mm、端部位置情報が記録媒体7の基準位置から−3mmであれば、ミシン目横位置演算部46はミシン刃28の移動量を194mmと演算し、ミシン刃横移動部25に対して、記録媒体7の基準位置から194mmの位置に対する駆動指令を行なう。
この駆動指令によって、ミシン刃横移動部25はカムモータ29を図3に示す矢印25a方向に指令された距離移動し、カムモータ29を駆動することによってミシン刃28を矢印30方向に駆動し、ミシン刃28によって記録媒体7にミシン目を形成する。
【0043】
このように、記録媒体7の端部位置情報を利用してミシン目の横方向位置を制御することにより、記録媒体7に対して高精度なミシン目の横方向位置決めを実現することができる。尚、ミシン刃横移動部25はステッピングモータやサーボモータを用いて位置のフイードバック制御を行うが、フイードバック制御を行なわないオープンループで実現する構成としてもよい。
【0044】
ミシン目の横方向位置の移動は、ミシン目を加工しないページが通過している間に行なう必要がある。このため、ミシン刃横移動部25の移動速度は、1ページの通過時間内に記録媒体7の幅を移動できるように構成される。本画像記録装置1の記録媒体7の搬送速度は555mm/sec であるので、
【0045】
420÷555≒0.75secとなり、0.75sec以内に297mmを移動できるように構成されている。
【0046】
次に、ミシン刃制御部13は、ミシン目加工を行なうタイミングをタイミング生成部47によって演算する。ミシン目加工は、媒体切断系5の刃物35が記録媒体7を切断する位置を基準に行なう。本画像記録装置1においては、ミシン目生成位置50が、媒体切断位置37より315mm上流に配置されている。したがって、記録媒体7は、ミシン刃35が記録媒体7に当接して、さらに315mm搬送されてから切断されることになる。このため、ミシン刃28を記録媒体7に当接するタイミングは、1ページ前の記録媒体7が切断されたタイミングを基準にして、タイミング生成部47が生成する。
【0047】
今、本画像記録装置1における記録媒体7の切断長は420mmであるから、ミシン刃28を記録媒体7の切断から105mm搬送されたタイミングで記録媒体7に当接させれば、記録媒体7の切断位置とミシン目の加工位置が合致する。タイミング生成部47は、切断原点センサ34が記録媒体7の切断を検出すると、エンコーダ36のパルスカウントを開始する。記録媒体7が105mm搬送された位置でのエンコーダ36のパルス数は
【0048】
10000×(105÷420)=2500パルス
となり、2500パルスカウントしたタイミングでミシン刃28を記録媒体7に当接させるようにミシン目加工部26に対して駆動指示を行なう。ミシン刃28はカムモータ29の回動により記録媒体7に当接するが、タイミング生成部47はカムモータ29の回動時間を考慮して駆動指示のタイミングを生成する。
【0049】
ミシン目加工終了についても同様の処理を行なうことで、切断された記録媒体7の全域に渡ってミシン目を加工することができる。また、ミシン目を加工した前後の記録媒体7に対して、ミシン目がはみ出して加工されることは無い。
尚、ミシン目の加工については、記録媒体7の全域に渡って行なうものに限らず、上位機器45からミシン目加工範囲を指定することで一部のみに加工することもできる。
前述のような方法でミシン目の加工タイミングを制御することで、高精度なミシン目加工をページ単位で実現することができる。
【0050】
また、本画像記録装置1は連続紙を使用するため、連続したページに対してミシン目加工の横方向位置を変更することはできず、1ページ分の移動時間が必要である。このため、上位装置45から連続したページに対して異なる横方向位置の指示を受けた場合には、演算処理装置40は、画像記録を1ページ分遅らせ、空白ページを挿入するように画像記録制御部14に対して指示を行なう。
このことにより、連続したページに対しても異なった横方向位置にミシン目を加工できる。この場合、挿入される空白ページも画像記録されたページと同じ長さの420mmで切断される。
【0051】
この空白ページ挿入の概念を図4に示す。同図において、1〜6は画像記録されるページを示し、太線はミシン目生成位置を示し、点線はミシン目刃移動軌跡を示す。今、ページ1、2、4、5にミシン目を生成するものとする。
この場合、ページ1でミシン刃加工部26はミシン目の生成を開始し、次にページ2でも同じ横方向位置でミシン目を生成する。この場合、ページ1とページ2の間にミシン刃横移動を行なう必要はない。
【0052】
次に、ページ3はミシン目生成を行なわないが、ページ4では異なる横方向位置にミシン目を生成する。このため、ページ2の後端部でミシン刃加工部26がミシン目の生成が終了すると同時に、ミシン刃横移動部25はページ3が通過している間にミシン刃28をページ4のミシン目生成位置へと移動させる。そして、ページ4の先頭で再度ミシン目加工部26がミシン目の生成を開始する。
【0053】
次に、ページ5では異なる横方向位置にミシン目を生成する必要がある。このため、演算処理装置40は空白ページの挿入を画像記録制御部14に指示し、空白ページを挿入する。すなわち、ページ4のミシン目加工が終了した時点でミシン刃横移動部25は空白ページが通過している間にページ5のミシン目横方向加工位置へと移動を行い、ミシン目加工部26はページ5に対するミシン目加工を行なう。
前述のように、演算処理装置40はミシン目加工が要求されていないページの間、若しくは挿入された空白ページが通過している間にミシン刃横移動部25を駆動させるように制御する。
【0054】
次に、本実施形態の処理をフローチャートを用いて説明する。
図5乃至図8は、一連の印刷動作を説明するフローチャートである。先ず、画像記録制御部14は上位機器45からの画像記録要求が有るか判断する(ステップ(以下、Sで示す)1)。そして、上位機器45から画像記録要求が出力されると(S1がYES)、画像記録制御部14は上位機器45から供給された記録画像の記録データを記憶部42に一時保存する(S2)。
【0055】
次に、画像記録制御部14は記録媒体7の搬送を開始する(S3)。そして、記録媒体7の搬送速度が規定速度に達すると、画像記録制御部14は画像記録のサブルーチンを呼び出し、画像記録処理を開始する(S4)。
このサブルーチンは、図6に示すフローチャートに従って行われ、先ず演算処理装置40はページ番号を示す変数nに1をセットする(S4−1)。そして、1ページ目にミシン目加工指示があるか判断する(S4−2)。
この判断は、記録データと共に上位機器45から送出されたミシン目加工情報に基づいて行なわれる。演算処理装置40は、このページにミシン目加工の指示がある場合(S4−2がYES)、1ページのミシン目横方向位置の情報を取得し、変数pos1にこの情報をセットする(S4−3)。一方、ミシン目加工情報がない場合(S4−2がNO)、変数pos1に0をセットする(S4−4)。
【0056】
次に、演算処理装置40は次のページ(n+1ページ)にミシン目加工指示があるか判断する(S4−5)。この判断も上記と同様、記録データと共に上位機器45から送出されたミシン目加工情報に基づいて行なわれる。
ここで、n+1ページ目(2ページ目)にミシン目加工指示がある場合(S4−5がYES)、2ページのミシン目横方向位置の情報を取得し、変数pos2にこの情報をセットする(S4−6)。一方、ミシン目加工の情報がない場合(S4−5がNO)、変数pos2に0をセットする(S4−7)。
【0057】
次に、演算処理装置40はnページ(1、2ページ)の画像記録処理を行う(S4−8)。具体的には、演算処理装置40は、画像記録制御部14に画像記録処理を指示し、画像記録制御部14は前述の第1画像記録部10−1及び第n画像記録部10−nに対して画像記録指示を行う。
【0058】
次に、演算処理装置40は、上記変数 pos1及び pos2の情報を読み出し、先ず変数 pos1及び pos2が共に0であるか判断する(S4−9)。そして、変数pos1及びpos2が共に0である場合(S4−9がNO)、ミシン目を生成する必要がないのでnページ目がジョブの最終項であるか判断し(S4−10)、nがジョブの最終項でなければ(S4−10がNO)、処理を継続し、n値を更新する(n=n+1、S4−11)。
【0059】
一方、変数pos1及びpos2が共に0でない場合(S4−9がYES)、nページとn+1ページ(1ページと2ページ)いずれにもミシン目加工指示があることになる(S4−12)。ここで、変数pos1及びpos2が同じであれば、nページとn+1ページのミシン目横方向位置が同一であり、ミシン目横方向位置を変更する必要がない。
【0060】
一方、異なる値である場合にはnページとn+1ページのミシン目加工位置が異なることを示し、空白ページを挿入する必要があると判断する(S4−13)。したがって、この場合、演算処理装置40は空白ページの挿入指示を行い、その後nが最終画像であるかどうか判断し(S4−10)、最終画像でなければ(S4−10がNO)、上記と同様nに1を加算し(S4−11)、処理を継続する。
【0061】
次に、処理を図5に示すフローチャートに戻し、上記処理によってミシン目加工の指示があるページであるか判断する(S5)。ここで、ミシン目加工の指示があるページであれば(S5がYES)、ミシン目横方向位置の制御を行う(S6)。この制御は、具体的には図7に示すフローチャートに従って行われる。先ず、演算処理装置40は、ミシン目横方向位置の情報を取得し(S6−1)、更に記録媒体7の端部位置情報を前述の記録媒体端部検出センサ18から取得する(S6−2)。
【0062】
次に、演算処理装置40は、上記情報をミシン刃制御部13へと通知し、ミシン目横位置演算部46は上記情報に基づいてミシン刃28の横方向位置の演算を行う(S6−3)。この演算処理は前述の例で説明すると、上位機器45からのミシン目横位置情報が197mmであり、記録媒体端部検出センサ18によって検出された端部位置情報が記録媒体7の基準位置から−3mmであれば、ミシン目横位置演算部46はミシン刃28の移動量を194mmと演算し、ミシン刃横移動部25はこの情報に従って、ミシン刃28の位置を記録媒体7の基準位置から194mmの位置に移動する(S6−4)。
【0063】
次に、実際のミシン目加工処理を行う(S7)。この処理は、具体的には図8に示すフローチャートに従って行われる。先ず、演算処理装置40は、着目ページの先行ページが切断位置に到達するまで処理を待ち(S7−1)、切断位置に到達すると、タイミング生成部47に対して、切断位置検出パルスをリセットし、パルスのカウント開始を指示する(S7−2)。
【0064】
次に、タイミング生成部47は規定パルスの到達を待ち(S7−3)、規定パルスが到達すると(S7−3がYES)、ミシン目加工部26にあるカムモータ29を駆動し、ミシン目加工を行なう(S7−4)。
【0065】
前述の例で説明すると、本画像記録装置1における記録媒体7の切断長が420mmであり、ミシン刃28を記録媒体7の切断から105mm搬送したタイミングで記録媒体7に当接させれば、記録媒体7の切断位置とミシン目の加工位置が合致するので、タイミング生成部47は切断原点センサ34が記録媒体7の切断を検出すると、エンコーダ36のパルスカウントを開始し、記録媒体7が105mm搬送された位置でのエンコーダ36のパルス数2500パルスをカウントしたタイミングでミシン刃28を記録媒体7に当接させるようにミシン目加工部26に対して駆動指示を行い、記録媒体7にミシン目加工を行なう(S7−5がYES)。
尚、ミシン目加工がない場合には(S7−5がNO)、タイミング生成部47は規定パルスの到達を待ち(S7−6)、規定パルス到達後、上記カムモータ29の駆動を停止する(S7−7)。
【0066】
その後、ページが最終画像であるか否か判断し(S8)、最終画像である場合(S8がYES)、記録媒体7の搬送を停止させ、一連の画像記録処理を終了する(S9)。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の画像記録装置1は、切断原点センサ34の検出情報に基づいてミシン目加工タイミングを生成することで、予め記録媒体7にマーク等を記録することなく、所望のタイミングでミシン目を加工することができる。
【0068】
また、ミシン刃28の横方向移動をモータ制御により行なうことで、段取り替えを行なうことなく所望の位置にミシン目加工を行うことができる。
【0069】
また、ミシン目を加工しないページの間にミシン目刃を記録媒体搬送方向に直交する方向に移動可能に構成することで、記録媒体7を停止させることなく、異なる横方向位置にミシン目を加工することができる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態におけるシステムブロック図を示し、図10は媒体供給系2と画像記録系3を除いた、ミシン目加工系4と媒体切断系5の模式的な配置図を示す。
【0071】
本第2実施形態の画像記録装置1は、ミシン目加工系4を複数有する形態であり、第nミシン目加工系4−nと称する。また、ミシン目加工系4を構成するミシン刃横移動部25なども同様に第nミシン刃横移動部25−nと称する。尚、nは1以上の整数である。
【0072】
この場合、第1ミシン目加工系4−1は奇数ページ、第2ミシン目加工系4−2は偶数ページに対してミシン目を生成するように制御を行なう。このように構成することによって、それぞれのミシン目加工系は連続したページに対するミシン目加工は行なわず、1ページ毎にミシン目加工を行なう構成とすることができる。したがって、例えば前述の第1実施形態において、空白ページを挿入する必要がある場合でも、本実施形態によれば空白ページを挿入する必要がなく、全てのページに対して異なる位置へのミシン目加工を行なうことができる。
【0073】
また、第3ミシン目加工系、第4ミシン目加工系、・・・とミシン目加工系を増設することで、同一のページに対してn箇所のミシン目加工を行なうことも可能となる。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、上位装置からの指示に基づき、ミシン目加工のオン/オフ制御、及び記録媒体の搬送方向に直交する方向でのミシン目の加工位置制御が可能なミシン目加工装置付きの画像記録装置を提供することができる。
【0075】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば本発明は、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0076】
1・・・画像記録装置
2・・・媒体供給系
3・・・画像記録系
4・・・ミシン目加工系
5・・・媒体切断系
6・・・制御部
7・・・記録媒体
8・・・パウダクラッチ
9−1・・第1媒体担持体
9−n・・第2媒体担持体(第n媒体担持体)
10−1・・第1画像記録部
10−n・・第2画像記録部(第n画像記録部)
11・・フリーローラ
12−1・・第1搬送情報生成部
12−n・・第2搬送情報生成部(第n搬送情報生成部)
13・・ミシン目制御部
14・・画像記録制御部
15・・切断制御部
16、19、20、21、22・・フリーローラ
17・・媒体搬送モータ
18・・媒体端部検出センサ
23・・ニップローラ
25・・ミシン刃横移動部
25a・・矢印
26・・ミシン目加工部
27・・アンビルローラ
28・・ミシン刃
29・・カムモータ
30・・矢印
32・・切断駆動部
33・・切断部ローラ
34・・切断原点センサ
35・・刃物
36・・エンコーダ
40・・演算処理装置
41・・入出力部
42・・記憶部
43・・バス
45・・上位機器
46・・ミシン目横位置演算部
47・・タイミング生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からの印刷情報に基づき記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、
前記印刷情報はミシン目加工情報を含み、該ミシン目加工情報に基づいて前記記録媒体へのミシン目加工を制御するミシン刃制御部と、
該ミシン刃制御部の指令に基づいて前記記録媒体にミシン目を加工するミシン目加工部と、
を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記ミシン目加工情報は、前記印刷情報に含まれる記録画像に対応したミシン目の有り無し情報を含み、該情報に基づいて前記ミシン刃制御部は前記ミシン目加工部にミシン目加工を行う指示を出すことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体は連続紙を含み該記録媒体を切断する切断部をさらに備え、前記ミシン目の加工タイミングは、前記連続紙の搬送方向下流にある前記切断部のカットタイミングを基準に制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記ミシン目加工情報には、前記記録画像に対応したミシン目位置の情報を含み、該情報に基づいて、前記ミシン刃制御部はページ単位でミシン目加工位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記ミシン目加工部は、ミシン目を加工しないページの間に搬送方向に直交する方向に移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項6】
ミシン目加工を行う連続する先のページと後のページにおいて、ミシン目位置が異なる場合、空白ページを挿入し、該空白ページを搬送する間、前記ミシン目加工部を移動させることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
複数のミシン目加工部を有し、該複数のミシン目加工部が順次ミシン目加工を行うことによって、連続するページにおいてミシン目位置が異なる場合でもページ単位でミシン目加工を行うことができることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上位装置からの印刷情報に基づき記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、
上位装置からのミシン目加工情報を含む印刷情報に基づいて前記記録媒体にミシン目加工をする制御処理と、
前記ミシン目加工情報に基づいてミシン目を加工するミシン目加工処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記ミシン目加工情報は、前記印刷情報に含まれる記録画像に対応したミシン目の有り無し情報を含み、該情報に基づいてミシン目加工を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項10】
前記記録媒体は連続紙を含み該記録媒体を切断する切断処理をさらに備え、前記ミシン目の加工タイミングは、前記連続紙の搬送方向下流における前記連続紙のカットタイミングを基準に制御することを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項11】
前記ミシン目加工処理は、ミシン目を加工しないページの間に搬送方向に直交する方向に移動可能であり、ミシン目加工を行う連続する先のページと後のページにおいて、ミシン目位置が異なる場合、空白ページを挿入し、該空白ページを搬送する間、前記ミシン目加工部を移動させることを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項12】
複数のミシン目加工処理が可能であり、該複数のミシン目加工処理を順次行うことによって、連続するページにおいてミシン目位置が異なる場合でもページ単位でミシン目加工を行うことができることを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−98535(P2011−98535A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255744(P2009−255744)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】