説明

画像診断装置および画像表示装置

【課題】画像をグループ化して、表示方法を選択可能とすることにより、検査時間を短縮させること。
【解決手段】被検体に対し複数の診断画像を収集する収集手段(15、10、20)と、検査の区分に従って、グループ情報を設定する設定手段(50)と、前記診断画像の保存指示があった場合に、前記グループ情報を前記診断画像に付加して保存する保存手段(50)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置及び画像表示装置に関するもので、特に、大量の静止画像を保存することのある造影超音波検査等に適用される技術である。
【背景技術】
【0002】
超音波撮影装置では、被検体に超音波を走査して次々に生成した超音波画像(静止画像及び動画像を含む)を実時間で表示する。ユーザは、これらの超音波画像のうちハードディスクなどの主記憶装置に保存したい場合には、所定の操作により、所望の画像を主記憶装置に保存しておくことができる。しかしながら、同一の被検体に対して、一日に複数回の超音波撮影を行った場合には、どこからどこまでのサムネイル画像が一連の超音波撮影で得られたものかの判別が困難である。そこで、全体のサムネイル画像から一連の関連する画像群を一見して把握することができ、撮影後における超音波画像の検索を容易にすることができる超音波撮影装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、サムネイル画像生成手段により、超音波画像を縮小したサムネイル画像が生成され、編集手段により全体のサムネイル画像のうち一連の関係する複数のサムネイル画像が自動或いは手動でグループ分けされる。そして、表示手段により、複数のサムネイル画像が配列して表示され、かつグループ分けされた各グループに含まれるサムネイル画像が表示形態によって関連づけて表示される。ここで、自動的にグループ分けする場合は、造影検査のように時間計測部が使用された超音波撮影の場合には、時間計測部がオン状態からオフ状態の間に撮影された超音波画像に対するサムネイル画像を1つのグループとしてグループ化するようにしている。しかし、グループ化がユーザ操作に依存するため、ユーザがグループ化操作を忘れてしまった場合には、グループ化されないこともあり、このユーザによるグループ化操作は検査の妨げになるおそれがある。
【0004】
このように、グループ化を忘れてしまうおそれがあり、そのため、グループ化を忘れてしまった場合には、レビュー時には大量に表示された静止画像を閲覧しなくてはならず検査に時間を要していた。
【特許文献1】特開2006−14989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像をグループ化して、表示方法を選択可能とすることにより、検査時間を短縮させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、自動的に、取得(保存)画像にグループ情報を付加して、グループ化する。そして、レビュー時には、グループ情報を用いてグループ別表示を行う。具体的にには、本発明の局面に係る画像診断装置は、被検体に対し複数の診断画像を収集する収集手段と、検査の区分に従って、グループ情報を設定する設定手段と、前記診断画像の保存指示があった場合に、前記グループ情報を前記診断画像に付加して保存する保存手段と、を具備することを特徴とする。本発明は、装置に限らず、装置で実現される方法やプログラムの発明としても成立する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像収集中に自動的に、保存する画像にグループ情報が付加されるので、確実にグループ分けを行うことができ、画像のレビュー効率が向上し、検査時間が短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像診断装置が適用される超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。なお、下記の実施形態では、大量の静止画像を保管する必要がある造影超音波検査に本発明を適用した例について説明するが、本発明は、これに限らず、大量の画像を連続或いは断続的に取得する画像診断装置に適用可能である。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置は、プローブ15と、送受信部10と、画像生成部20と、制御部50と、タイマー55と、表示装置30と、入力装置40と、記憶装置60とを備えている。なお、記憶装置60には、画像データ62の他に、グループ分け設定データ64が記憶されている。
【0010】
プローブ15は、被検体に対して超音波を発生し、被検体からの反射波を受信する。送受信部10は、プローブ15に対して超音波の受波の制御を行う。画像生成部20は、送受信部10で受信された信号に基づいて被検体の画像を生成する。
【0011】
制御部50は、各部の制御並びに各種の演算処理、更には画像処理などの様々な処理を行う。なお、制御部50は、図示しない作業用のメモリを備えている。タイマー55は、開始からの時間を計測するために使用される。表示装置30は、例えば、液晶表示装置(LCD)等のモニターから成り、取得した画像等を表示する。入力装置40は、ユーザの入力を受け入れる装置であり、操作卓や、キーボード、或いはマウスやトラックボードの等のポインティングデバイスからなる。また、タイマー55のセットや入力は、専用の入力部を設けてもよいし、入力装置40から行うようにしても良い。
【0012】
記憶装置60は、各種データを記憶し、本実施形態では、本発明と特に関連する、画像データ62と、グループ分け設定データ64とを少なくとも記憶する。
【0013】
上記のように構成された本発明に係る画像診断装置の動作について説明する。本実施形態では、造影超音波検査のワークフローに沿ったグループ化手段を例として説明する。
【0014】
造影超音波検査では、造影剤の性質により造影剤投与からの経過時間ごとに表示される画像が異なり、その画像によって検査目的も異なる。造影超音波検査は造影剤投与からの経過時間によって、早期血管相、後期血管相及び肝実質相の3つの時相に分けることができる。この場合において、経過時間と時相の関係は被検体にあまり依存しないため、図2に示すように、造影剤の投与から、早期血管相は12〜20秒、後期血管相は20〜60秒、肝実質相は300秒以降といったように、ユーザであるユーザによって予め決められている場合が多い。
【0015】
従って、本実施形態では、予めユーザが、各時相の開始時間と終了時間が造影剤投与から何秒後なのかを設定し、該情報を元にグループ分けを自動的に行うようにしている。図3を参照して、検査の開始から終了までの処理の流れの概略を説明する。図3は、検査の開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
造影超音波検査の開始を行う前に、ユーザは、図4に示すように、検査ルーチンにあわせて各時相の開始時間と終了時間を設定する。図4は、各時相の設定のようすを示す図である。図4に示す例では、図2と同様に、早期血管相の開始時間を12秒、終了時間を20秒、後期血管相の開始時間を20秒、終了時間を60秒、肝実質相の開始時間を300秒、終了時間を600秒と設定する。そして、画像保存時に、造影剤投与からの経過時間をタイマー55により取得して、設定時間と比較することで、現時点で取得している画像がどの時相の画像なのかという情報を付加することができる。また、レビュー時には、その付加情報を用いてグループ別表示を行うことができる。
【0017】
ユーザは、被検体の登録を行い、造影検査を開始する(ステップA1)。ユーザが、被検体に造影剤の投与を行う(ステップA2)。そして、ユーザが、タイマー55ボタンを操作することにより、タイマー55が起動(開始)する(ステップA3)。これにより、装置はタイマー55によって造影剤投与の開始からの経過時間を計測し続ける。なお、ステップA2とステップA3の操作は別々でなくても良く、造影剤の投与と同時にタイマー55が起動するようにしても良い。
【0018】
そして、タイマー55が終了するまで(ステップA6)、ユーザが画像保存操作を行うことにより(ステップA4)、現在のグループ番号を付加して画像を保存する(ステップA5)。タイマー55が終了しても、2回目の造影検査を行う場合には、ステップA2に戻って、2回目の造影剤の投与を行う。また、2回目の造影検査を行わないのであれば、造影超音波検査を終了する(ステップA7)。
【0019】
上記の流れにおいて、具体的な、グループ分けの処理の流れを、図5を参照して説明する。図5は、自動的にグループ分けする場合における処理の流れを示すフローチャートである。
【0020】
まず、制御部50は、タイマー55から造影剤投与からの経過時間を取得する(ステップB1)。そして、造影剤投与からの経過時間が12秒を経過すると、早期血管相にはいるので(ステップB2のyes)、制御部50は、グループ番号を1に設定する(ステップB3)。
【0021】
次に、造影剤投与から20秒が経過すると(ステップB2のno)、後期血管相に入るので(ステップB4のyes)、制御部50は、グループ番号を2に設定する(ステップB5)。そして、造影剤投与から60秒が経過すると、後期血管相と肝実質相との間になるので(ステップB4及びステップB6のno)、グループ番号が0に設定される(ステップB8)。
【0022】
更に時間が進み、造影剤投与から300秒が経過すると、肝実質相に入るので(ステップB6のyes)、制御部50は、グループ番号を3に設定する(ステップB7)。そして、造影剤投与から600秒が経過すると、肝実質相が終了するので(ステップB6のno)、グループ番号が0に設定される(ステップB8)。
【0023】
上記のようにグループ番号が設定された状態で、ユーザが画像保存操作を行うと、設定されたグループ番号情報が付加された画像が主記憶部に記憶される(ステップB9)。例えば、グループ番号が1に設定されていれば、グループ1の情報が付加された画像が保存され、グループ番号が2に設定されていれば、グループ2の情報が付加された画像が保存され、また、グループ番号が3に設定されていれば、グループ3の情報が付加された画像が保存される。
【0024】
そして、同一の被検体の別の断面を検査するために再度造影剤の投与を行う場合には、グループ番号が重ならないように、早期血管相のグループ番号を4、後期血管相のグループ番号を5、肝実質相のグループ番号を6とすればよい(ステップB3、B5、B7)。
【0025】
上記のようにして、画像の収集が終了すると、ユーザは画像のレビューを行うことになる。図6は、表示画面例を示す図である。図5に示すように、表示面上に、表示方法の項目を設けておき、造影剤回数及び時相について、所望の画像を表示させることができるようになっている。
【0026】
例えば、図6(a)は、一検査に係るすべての画像を表示させた例であって、造影剤回数及び時相について「全て」が選択されている。図6(b)では、「1回目」の造影剤回数に限定して、表示させた例である。また、図6(c)は、造影剤回数を「2回目」とし、時相を「肝実質相」とした場合の表示例を示している。
【0027】
上記のように、本実施形態によれば、検査の当初に時相に係る項目を入力しておくことで、各時相についてのグループ化が自動的に行われるので、グループ化を忘れることがなく、所望のサムネイルを即座に表示することができるので、検査の効率化を図ることができる。
【0028】
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
上記の実施形態では、検査の開始前にユーザが時相に掛かる時間を設定するようにしたが、検査を選択した時点で、当該検査に係る時相を自動的に読み込んで時相を設定するようにしても良い。また、上記の実施形態では、後期血管相と肝実質相との間の期間と、肝実質相の終了時間以降ではグループ番号を0としたが、異なるグループ番号を与えるようにしても良いし、この期間における画像保存の操作を無効としても良い。更に、上記実施形態では、グループ分けを番号としたが、番号でなく記号やその他の識別情報であっても良い。
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像診断装置が適用される超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】造影剤検査における時相に対する経過時間の設定の一例を示す図である。
【図3】検査の開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】各時相の設定のようすを示す図である。
【図5】自動的にグループ分けする場合における処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10…送受信部
15…プローブ
20…画像生成部
30…表示装置
40…入力装置
50…制御部
55…タイマー
60…記憶装置
62…画像データ
64…グループ分け設定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対し複数の診断画像を収集する収集手段と、
検査の区分に従って、グループ情報を設定する設定手段と、
前記診断画像の保存指示があった場合に、前記グループ情報を前記診断画像に付加して保存する保存手段と、を具備することを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像診断装置において、前記検査の区分は、時間情報によって設定されることを特徴とする画像診断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像診断装置において、前記検査は、超音波診断装置における造影検査であることを特徴とする画像診断装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像診断装置に適用される画像表示装置であって、
前記グループ化された画像を、前記グループ情報を参照して、一括して或いはグループ毎に、選択的に表示可能な表示手段を具備することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−237758(P2008−237758A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85919(P2007−85919)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】