説明

画像読み取り装置及び画像形成装置

【課題】原稿押さえカバーの開閉による外光の影響を受けることなく原稿の取り忘れか否かを確実に判断できるようにする。
【解決手段】 原稿をセットする原稿載置台と、該原稿載置台上にセットされた原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえカバーと、前記原稿載置台の下側に配置され、前記原稿載置台上にセットされた原稿に光源からの光を照射しつつ移動して原稿画像を読み取る読み取り部を有し、前記読み取り部による原稿画像の読み取り後、所定時間経過してから前記読み取り部により再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取った原稿画像の端部の影の有無に基づいて原稿の取り忘れが発生したか否かを判断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の取り忘れを自動的に判断する機能を持つ画像読み取り装置及びその画像読み取り装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として例えば下記文献に開示されているものがある。この画像形成装置では、原稿の取り忘れ以下のように判断している。
まず、原稿をコピーする際、読み取り部(CCDセンサ)を原稿載置台にセットされた原稿から外れた位置に移動させ、その位置で読み取り用の照明を非点灯状態にして、読み取り部により読み取りを行って非点灯基準データを取得する。
【0003】
その後照明を点灯し、読み取り部を移動させて原稿画像の読み取りを行った後、読み取りを元の位置に戻してから照明を非点灯状態にして読み取り部により非点灯比較データを取得し、この非点灯比較データと非点灯基準データとを比較する。
その結果、非点灯比較データと非点灯基準データとの間に有意差がある場合、つまり読み取り部が原稿から外れた位置に待機しているときに原稿載置台上の原稿押さえカバーが開かれて読み取り部が外光を検出した場合、原稿は取り除かれたと判断し、有意差がない場合に、その状態で所定時間経過したとき、原稿の取り忘れと判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−021946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、画像形成装置が比較的暗い場所に設置されていた場合、原稿押さえカバーが開かれても読み取り部が外光を検出できないことがあり、原稿が取り除かれたかどうかを正確に判断できなくなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明の画像読み取り装置は、原稿をセットする原稿載置台と、該原稿載置台上にセットされた原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえカバーと、前記原稿載置台の下側に配置され、前記原稿載置台上にセットされた原稿に光源からの光を照射しつつ移動して原稿を読み取る読み取り部を有し、前記読み取り部による原稿画像の読み取り後、所定時間経過してから前記読み取り部により再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取った原稿画像の端部の影の有無に基づいて原稿の取り忘れが発生したか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、最初の原稿画像の読み取り後、再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取り画像で原稿のエッジの検出処理を、エッジが検出されたか否かにより、原稿の取り忘れの有無を判断しているため、原稿押さえカバーの開閉による外光の影響を受けることなく原稿の取り忘れか否かを確実に判断することができるという効果が得られる。
【0008】
また、原稿の画像データを比較する場合に比べて、メモリの使用量が少なくて済み、しかも原稿の画像データの比較による判断では、原稿上の画像の位置で、画像の検出までの時間にばらつきが生じるが、本実施例はすぐに検出可能な原稿のエッジを利用して原稿の取り忘れの有無を判断するため、処理時間を短くできるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例を示すブロック図
【図2】第1の実施例の機械的構成を示す説明図
【図3】原稿載置台の平面図
【図4】第1の実施例の作用を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施例を示す要部側面図
【図6】第2の実施例の作用を示すフローチャート
【図7】第3の実施例を示すブロック図
【図8】第3の実施例の機械的構成を示す説明図
【図9】第3の実施例の作用を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による画像読み取り装置及び画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例を示すブロック図で、本実施例の画像形成装置1としてMFPあるいはコピー機を例にして説明する。図1に示した画像形成装置1は、画像形成部21と、スキャナーである画像読み取り部(画像読み取り装置)30と、表示部(オペレーションパネル)32を有している。
【0012】
画像形成部21は、CPU22、RAM23、24はフラッシュメモリ24、I/Fポート25、高圧電源部26、LEDヘッド27、駆動モータ28、及びクラッチ29を備えており、また画像読み取り部30は、CPU31、RAM33、フラッシュメモリ34、読み取り部35、モータ36を備えていて、画像形成部21のCPU22と画像読み取り部30のCPU31はスキャナーI/Fによって接続されている。
【0013】
ここで画像形成部21について説明する。画像形成部21おけるCPU22は画像形成部21全体の動作を制御する制御手段として機能し、表示部32もCPU22によって制御されるものとなっている。
RAM23は表示部32周辺に設けられている各種操作ボタン等から入力される情報を一時記憶する一時記憶部として利用され、フラッシュメモリ24はCPU22が制御を行うための制御プログラムや設定情報を記憶する他、画像データの保存等を行う記憶部として用いられる。
【0014】
I/Fポート25は、LANやUSB等の接続インターフェースであり、このI/Fポート25により、画像形成部21はホストコンピュータに接続されている。高圧電源部26は転写電圧等を発生させるもので、LEDヘッド27は図示しないイメージドラム上に画像を潜像として書き込むための画像書き込み手段である。
【0015】
駆動モータ28は用紙等の記録媒体を搬送するための搬送ローラや搬送ベルト等の搬送手段を駆動する駆動源であり、クラッチ29は記録媒体を搬送する際に、駆動モータ28の駆動力を記録媒体の搬送手段に伝達する駆動力伝達手段である。
【0016】
このような構成を有する画像形成部21の動作を簡単に説明する、まず、画像読み取り部30から画像データが送られてくると、CPU22が駆動モータ28、クラッチ29を駆動して図示しない媒体収納部から記録媒体を繰り出し、記録媒体を搬送手段により画像転写位置へ搬送する。またCPU22は所定のタイミングでLEDヘッド27を駆動して図示しないイメージドラム上に画像データに基づく画像を潜像として書き込む。
【0017】
その後、図示しない現像手段によりイメージドラム上の潜像をトナー像化し、そのトナー像を転写位置で図示しない転写手段により記録媒体に転写する。この転写は高圧電源部26により転写手段転写電圧等を発生させることで行う。そしてトナー像転写後の記録媒体を図示しない定着部に搬送し、この定着部によりトナー像を記録媒体に定着した後、記録媒体を図示しない排出トレイ上に排出する。
【0018】
次に、画像読み取り部30について説明する。画像読み取り部30のCPU31は、画像読み取り部30全体の動作を制御する制御手段及び原稿の取り忘れが発生したか否かの判断を行う判断手段として機能し、RAM33は一時記憶部であって、画像読み取り時に読み取り部35から出力される信号を画像として展開し、画像データを作成する上でのワーキングメモリとして機能する。フラッシュメモリ34はCPU31が制御を行うための制御プログラムを記憶する他、画像データの保存等を行う記憶部として用いられる。
【0019】
読み取り部35は、原稿画像を読み取るCCDセンサやCMOSセンサ等の読み取りセンサと読み取る原稿に光を照射する光源としての発光部を備えている。フラットベッドスキャン用のステッピングモータ36は読み取り部35を移動させるための駆動源である。
【0020】
図2は当該第1の実施例の機械的構成を示す説明図で、(a)は概略的な外観を示す正面図、(b)は要部平面図であり、図3は原稿載置台の平面図である。図2(a)に示すように画像形成装置1の上面には開閉可能な原稿押さえカバー4が開閉可能に設けられ、この原稿押さえカバー4の下にガラス製の原稿載置台が設けられており、更に原稿載置台11下側に画像読み取り部30、その下側に画像形成部21が配置されていて、表示部32は装置正面の所定の位置に設けられている。
【0021】
また、画像読み取り部30の読み取り部35は、図2(b)に示すように原稿載置台11の下に配置されたガイドレール6に沿って移動できるように設けられている。この読み取り部35を移動させるステッピングモータ36の回転軸に設けられた駆動プーリ8と、この駆動プーリ8と一定の間隔を置いて配置されたプーリ9にはベルト10が張設され、このベルト10の一部が読み取り部35に結合されている。
【0022】
これにより、ステッピングモータ36を一方向に回転させると、その駆動力により駆動プーリ8を介してベルト10が一方向に走行し、読み取り部35がガイドレール6に案内されて図2(b)に示す原稿読み取り方向である矢印A方向に移動する。ステッピングモータ36を逆方向に回転させると、ベルト10が逆方向に走行し、読み取り部35が矢印A方向とは逆の矢印B方向に移動する。
【0023】
原稿12の読み取りを行う場合、図3に示したように現行載置台11上に原稿12を載置する。このとき、例えば現行載置台11の一隅の位置Pに原稿12の1つの角部を合わせるようにする。この状態で読み取りを開始させると、読み取り部35がステッピングモータ36によりベルト10を介して移動し、原稿12の画像を読み取る。
【0024】
上述した構成の作用について説明する。尚、以下の説明において、画像形成部21の動作は、フラッシュメモリ24に記憶された制御プログラムに基づいてCPU22により制御されるものとし、また、画像読み取り部30の動作は、フラッシュメモリ34に記憶された制御プログラムに基づいてCPU31により制御されるものとする。
【0025】
図4は上述した構成を有する第1の実施例の作用を示すフローチャートで、以下図中にSで示したステップに従って説明する。
まず、ユーザが原稿押さえカバー4を開いて原稿載置台11のガラス面上に原稿12を図3のようにセットし、原稿押さえカバー4を閉じて図示しないコピー、スキャン、ファックス送信等の開始ボタンを押下すると、原稿スキャンを行う(S1)。すなわち、ホームポジションにある画像読み取り部30の読み取り部35を図2に示す矢印A方向に移動しながら、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行い、フラッシュメモリ34に記憶保存させる。
【0026】
原稿スキャンが完了すると、読み取り部35が図2に示す矢印B方向に移動する。これにより読み取り部35がホームポジションに戻って待機状態に入ると、CPU31は図示しないタイマーにより時間監視を行い、所定時間が経過したか否かを判断して(S2)、経過していない場合は、するまで時間監視を続ける。
所定時間が経過した場合、取り忘れスキャンを行う(S3)。この場合も原稿スキャンと同様に、ホームポジションにある読み取り部35を移動させ、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。
【0027】
読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行うが、読み取り方向における原稿12のエッジ(原稿12の端部)の検出処理を行う(S4)。この場合、既に原稿スキャンで原稿12のサイズがわかっているので、原稿載置台11のガラス面上に原稿12が存在すれば、CPU31は原稿12のエッジの読み取り値で、エッジの段差により発生する影を基にエッジの検出を行うことができる。
【0028】
エッジの検出処理の結果に基づいてCPU31は原稿12のエッジが検出されたか否かを判断し(S5)、エッジが検出されなかった場合、原稿の取り忘れはないものとして処理を終了するが、エッジの検出処理により原稿12のエッジを検出した場合は、原稿の取り忘れが発生したものとして、その旨を通知する情報である原稿取り忘れコマンドをスキャナーI/Fを介して画像形成部21のCPU22に送信する。
画像形成部21のCPU22は、原稿取り忘れコマンドを受信すると、原稿の取り忘れを報知するメッセージを表示部32に表示し、アラームランプを点滅させる(S6)。
【0029】
以上説明したように第1の実施例では、最初の原稿画像の読み取り後、再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取り画像で原稿のエッジの検出処理を、エッジが検出されたか否かにより、原稿の取り忘れの有無を判断しているため、原稿押さえカバーの開閉による外光の影響を受けることなく原稿の取り忘れか否かを確実に判断することができるという効果が得られる。
また、原稿の画像データを比較する場合に比べて、メモリの使用量が少なくて済み、しかも原稿の画像データの比較による判断では、原稿上の画像の位置で、画像の検出までの時間にばらつきが生じるが、本実施例はすぐに検出可能な原稿のエッジを利用して原稿の取り忘れの有無を判断するため、処理時間を短くできるという効果も得られる。
【実施例2】
【0030】
図5は本発明の第2の実施例を示す要部側面図で、この第2の実施例は、開閉可能な原稿押さえカバー4のロック手段として、原稿押さえカバー4の一端にロック部42を設けると共に、読み取り部35の一端にロック部42と嵌合可能な突起部43を設けて、読み取り部35がホームポジションHPから矢印B方向に移動したとき、突起部43がロック部42に嵌合することで原稿押さえカバー4が開かないようにロックするようにしたものである。尚、本実施例では、原稿押さえカバー4の開閉に伴ってロック部42が画像読み取り部30内に出入できるようにするため、原稿載置台11にロック部42の出入用の穴が設けられている。この他の構成は上述した第1の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【0031】
上述した構成の作用について説明する。尚、以下の説明においても、画像形成部21の動作は、フラッシュメモリ24に記憶された制御プログラムに基づいてCPU22により制御されるものとし、また、画像読み取り部30の動作は、フラッシュメモリ34に記憶された制御プログラムに基づいてCPU31により制御されるものとする。
図6は上述した構成を有する第2の実施例の作用を示すフローチャートで、以下図中にSで示したステップに従って説明する。
【0032】
まず、ユーザが原稿押さえカバー4を開いて原稿載置台11のガラス面上に原稿12を図3のようにセットし、原稿押さえカバー4を閉じて図示しないコピー、スキャン、ファックス送信等の開始ボタンを押下すると、原稿スキャンを行う(S11)。すなわち、ホームポジションにある画像読み取り部30の読み取り部35を図2に示す矢印A方向に移動しながら、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行い、フラッシュメモリ34に記憶保存させる。
【0033】
原稿スキャンが完了すると、読み取り部35が図2に示す矢印B方向に移動する。これにより読み取り部35がホームポジションに戻って待機状態に入ると、CPU31は図示しないタイマーにより時間監視を行い、所定時間が経過したか否かを判断して(S12)、経過していない場合は、するまで時間監視を続ける。
所定時間が経過した場合、取り忘れスキャンを行う(S13)。この場合も原稿スキャンと同様に、ホームポジションにある読み取り部35を移動させ、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。
【0034】
読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行うが、読み取り方向における原稿12のエッジ(原稿12の端部)の検出処理を行う(S14)。この場合、既に原稿スキャンで原稿12のサイズがわかっているので、原稿載置台11のガラス面上に原稿12が存在すれば、CPU31は原稿12のエッジの読み取り値で、エッジの段差により発生する影を基にエッジの検出を行うことができる。
【0035】
エッジの検出処理の結果に基づいてCPU31は原稿12のエッジが検出されたか否かを判断し(S15)、エッジが検出されなかった場合、原稿の取り忘れはないものとして処理を終了するが、エッジの検出処理により原稿12のエッジを検出した場合は、原稿の取り忘れが発生したものとして、他者による原稿12の持ち去りを防ぐため、ステッピングモータ36を所定のステップ数だけ駆動してホームポジションで待機している読み取り部35を矢印B方向に移動させることにより、読み取り部35に設けられている突起部43を原稿押さえカバー4に設けられているロック部42に嵌合させ、これにより原稿押さえカバー4が開かないようにロックする(S16)。
【0036】
その後CPU31は、原稿の取り忘れが発生したことを通知する情報として原稿取り忘れコマンドをスキャナーI/Fを介して画像形成部21のCPU22に送信し、画像形成部21のCPU22は、原稿取り忘れコマンドを受信すると、原稿の取り忘れを報知するメッセージを表示部32に表示し、アラームランプを点滅させる(S17)。
【0037】
以上説明したように第2の実施例では、第1の実施例と同様に最初の原稿画像の読み取り後、再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取り画像で原稿のエッジの検出処理を、エッジが検出されたか否かにより、原稿の取り忘れの有無を判断しているため、原稿押さえカバーの開閉による外光の影響を受けることなく原稿の取り忘れか否かを確実に判断することができるという効果が得られる。
【0038】
また、原稿の画像データを比較する場合に比べて、メモリの使用量が少なくて済み、しかも原稿の画像データの比較による判断では、原稿上の画像の位置で、画像の検出までの時間にばらつきが生じるが、本実施例はすぐに検出可能な原稿のエッジを利用して原稿の取り忘れの有無を判断するため、処理時間を短くできるという効果も得られる。
【0039】
更に、第2の実施例では、取り忘れスキャン後、原稿の取り忘れと判断された場合、読み取り部に設けられている突起部を原稿押さえカバーに設けられているロック部に嵌合させ、これにより原稿押さえカバーが開かないようにロックするようにしているため、他者による原稿の持ち去りを防ぐことができ、しかもロックを行うためのソレノイド等の駆動源を設けることなくロック機能を実現できるという効果も得られる。
【実施例3】
【0040】
図7は第3の実施例を示すブロック図、図8は当該第3の実施例の機械的構成を示す説明図で、同図(a)は概略的な外観を示す要部正面図、同図(b)は要部側面図、同図(c)は原稿押さえカバー開いた状態の要部側面図である。
【0041】
この第3の実施例は、開閉可能な原稿押さえカバー4のロック手段として、図8に示したように原稿載置台11に電磁石38と鉄片39を一体に埋設すると共にし、開閉可能な原稿押さえカバー4の鉄片39と対応する位置に永久磁石40を埋設したもので、電磁石38は図7に示したように画像読み取り部30のCPU31に接続され、制御されるようになっており、また永久磁石40は図8(c)に示したように原稿押さえカバー4の自由端つまり回転により開閉する原稿押さえカバー4の回転支点と反対側の端部に設けられている。尚、この他の構成は上述した第1の実施例と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
上述した構成の作用について説明する。尚、以下の説明においても、画像形成部21の動作は、フラッシュメモリ24に記憶された制御プログラムに基づいてCPU22により制御されるものとし、また、画像読み取り部30の動作は、フラッシュメモリ34に記憶された制御プログラムに基づいてCPU31により制御されるものとする。
図9は上述した構成を有する第3の実施例の作用を示すフローチャートで、以下図中にSで示したステップに従って説明する。
【0043】
まず、ユーザが原稿押さえカバー4を開いて原稿載置台11のガラス面上に原稿12を図3のようにセットし、原稿押さえカバー4を閉じて図示しないコピー、スキャン、ファックス送信等の開始ボタンを押下すると、原稿スキャンを行う(S21)。すなわち、ホームポジションにある画像読み取り部30の読み取り部35を図2に示す矢印A方向に移動しながら、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行い、フラッシュメモリ34に記憶保存させる。
【0044】
原稿スキャンが完了すると、読み取り部35が図2に示す矢印B方向に移動する。これにより読み取り部35がホームポジションに戻って待機状態に入ると、CPU31は図示しないタイマーにより時間監視を行い、所定時間が経過したか否かを判断して(S22)、経過していない場合は、するまで時間監視を続ける。
所定時間が経過した場合、取り忘れスキャンを行う(S23)。この場合も原稿スキャンと同様に、ホームポジションにある読み取り部35を移動させ、発光部で原稿12に光を照射しつつ読み取りセンサにより原稿12の画像を読み取る。
【0045】
読み取った画像(信号)はCPU31に送られ、CPU31はRAM33を利用して画像データに変換する処理を行うが、読み取り方向における原稿12のエッジ(原稿12の端部)の検出処理を行う(S24)。この場合、既に原稿スキャンで原稿12のサイズがわかっているので、原稿載置台11のガラス面上に原稿12が存在すれば、CPU31は原稿12のエッジの読み取り値で、エッジの段差により発生する影を基にエッジの検出を行うことができる。
【0046】
エッジの検出処理の結果に基づいてCPU31は原稿12のエッジが検出されたか否かを判断し(S25)、エッジが検出されなかった場合、原稿の取り忘れはないものとして処理を終了するが、エッジの検出処理により原稿12のエッジを検出した場合は、原稿の取り忘れが発生したものとして、他者による原稿12の持ち去りを防ぐため、CPU31は原稿載置台11に設けられている電磁石38のコイルに通電する。この場合、原稿押さえカバー4側の永久磁石40のN極が電磁石38側の鉄片39に対抗していれば、鉄片39がS極になるように電磁石38のコイルに電流を流す。これにより永久磁石40は鉄片39に吸引されて原稿押さえカバー4が開かないようにロックされる(S26)。
【0047】
その後CPU31は、原稿の取り忘れが発生したことを通知する情報として原稿取り忘れコマンドをスキャナーI/Fを介して画像形成部21のCPU22に送信し、画像形成部21のCPU22は、原稿取り忘れコマンドを受信すると、原稿の取り忘れを報知するメッセージを表示部32に表示し、アラームランプを点滅させる(S27)。
【0048】
以上説明したように第3の実施例でも、第1の実施例と同様に最初の原稿画像の読み取り後、再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取り画像で原稿のエッジの検出処理を、エッジが検出されたか否かにより、原稿の取り忘れの有無を判断しているため、原稿押さえカバーの開閉による外光の影響を受けることなく原稿の取り忘れか否かを確実に判断することができるという効果が得られる。
【0049】
また、原稿の画像データを比較する場合に比べて、メモリの使用量が少なくて済み、しかも原稿の画像データの比較による判断では、原稿上の画像の位置で、画像の検出までの時間にばらつきが生じるが、本実施例はすぐに検出可能な原稿のエッジを利用して原稿の取り忘れの有無を判断するため、処理時間を短くできるという効果も得られる。
【0050】
更に、第3の実施例では、取り忘れスキャン後、原稿の取り忘れと判断された場合、
原稿載置台に設けられている電磁石のコイルに電流を流すことで、原稿押さえカバー側の永久磁石を電磁石側の鉄片に吸引して原稿押さえカバーが開かないようにロックするようにしているため、他者による原稿の持ち去りを防ぐことができ、しかもロックを行うための電磁石と鉄片及び永久磁石を、原稿載置台と原稿押さえカバーに埋設しているため、原稿押さえカバーに出っ張りが生じることがなく、開閉動作時の安全性が向上するという効果も得られる。
【0051】
以上、第1実施例〜第3の実施例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、上述した第1実施例〜第3の実施例では、MFPやコピー機等の画像形成装置を例にして説明したが、スキャナー等の画像読み取り装置にも適用可能である。この場合、表示部の制御は画像読み取り装置のCPUが行うようにする。
【0052】
また、上述した第1実施例〜第3の実施例では、原稿の取り忘れの発生を表示部に表示すると共に、アラームランプを点滅させてユーザに報知するものとしたが、画像形成装置あるいは画像読み取り装置にユーザ個人のメールアドレスを登録し、パスワードやカードによる個人認証機能を装置側に備えるようにすれば、原稿取り忘れのメッセージを電子メールでユーザの携帯電話に送信することができる。
【0053】
更に、上述した第2の実施例において、原稿の取り忘れが発生した場合、読み取り部に設けられている突起部を原稿押さえカバーに設けられているロック部に嵌合させ、これにより原稿押さえカバーが開かないようにロックすることで、他者が原稿を持ちされないようにしたが、原稿を取り忘れたユーザがオペレーションパネル(表示部)によりロック解除のパスワードを入力することで、原稿押さえカバーのロックを解除するように構成することも可能である。
【0054】
上述した第3の実施例では、原稿の取り忘れが発生した場合、電磁石に通電して原稿押さえカバーをロックすることで、他者が原稿を持ちされないようにしたが、この場合も上記と同様に、原稿を取り忘れたユーザがオペレーションパネルによりロック解除のパスワードを入力することで、原稿押さえカバーのロックを解除するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
4 原稿押さえカバー
6 ガイドレール
8 駆動プーリ
9 プーリ
10 ベルト
11 原稿載置台
12 原稿
21 画像形成部
22 CPU
23 RAM
24 フラッシュメモリ
25 I/Fポート
26 高圧電源部
27 LEDヘッド
28 駆動モータ
29 クラッチ
30 画像読み取り部
31 CPU
32 表示部
33 RAM
34 フラッシュメモリ
35 読み取り部
36 ステッピングモータ
38 電磁石
39 鉄片
40 永久磁石
42 ロック部
43 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をセットする原稿載置台と、該原稿載置台上にセットされた原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえカバーと、前記原稿載置台の下側に配置され、前記原稿載置台上にセットされた原稿に光源からの光を照射しつつ移動して原稿画像を読み取る読み取り部を有し、
前記読み取り部による原稿画像の読み取り後、所定時間経過してから前記読み取り部により再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取った原稿画像の端部の影の有無に基づいて原稿の取り忘れが発生したか否かを判断することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、
前記原稿押さえカバーをロックするロック手段を備え、
原稿の取り忘れが発生したと判断した場合、前記ロック手段により前記原稿押さえカバーが開かないようにロックすることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読み取り装置において、
前記ロック手段として前記原稿押さえカバーにロック部を設けると共に、前記読み取り部に突起部を設け、
前記読み取り部の移動により前記突起部を前記ロック部に嵌合させて前記原稿押さえカバーをロックすることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像読み取り装置において、
前記ロック手段として前記原稿載置台に電磁石を設けると共にし、前記押さえカバーに永久磁石を設け、
前記電磁石ヘの通電により前記永久磁石を吸引することで前記原稿押さえカバーをロックすることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
原稿をセットする原稿載置台と、該原稿載置台上にセットされた原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえカバーと、前記原稿載置台の下側に配置され、前記原稿載置台上にセットされた原稿に光源からの光を照射しつつ移動して原稿画像を読み取る読み取り部を有し、
前記読み取り部による原稿画像の読み取り後、所定時間経過してから前記読み取り部により再度原稿画像の読み取りを行い、その読み取った原稿画像の端部の影の有無に基づいて原稿の取り忘れが発生したか否かを判断する画像読み取り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−93675(P2013−93675A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233324(P2011−233324)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】