画像読取り装置
【課題】清掃部材を適宜逆転させることによって清掃部材の変形に起因する清掃能力の劣化を防止し、かつ、読取りガラス上への異物の再付着を効果的に防止できる画像読取り装置を得る。
【解決手段】自動原稿搬送装置にて原稿を読取りガラス40の直上で搬送しつつ読取り位置Aで原稿画像を光学的に読み取る画像読取り装置。読取りガラス40上の直上には、ブラシ状の清掃部材45が読取り位置Aに対向して回転可能に配置されている。清掃部材45は搬送方向Bの上流側から下流側へと正転し、ガラス40上の異物を清掃する。正転を継続することによるブラシの変形を矯正するために適宜逆転が行われる。清掃部材45を逆転させた後は、清掃部材45を次の原稿が読取り位置Aへ搬送されてくる前に正転させる。
【解決手段】自動原稿搬送装置にて原稿を読取りガラス40の直上で搬送しつつ読取り位置Aで原稿画像を光学的に読み取る画像読取り装置。読取りガラス40上の直上には、ブラシ状の清掃部材45が読取り位置Aに対向して回転可能に配置されている。清掃部材45は搬送方向Bの上流側から下流側へと正転し、ガラス40上の異物を清掃する。正転を継続することによるブラシの変形を矯正するために適宜逆転が行われる。清掃部材45を逆転させた後は、清掃部材45を次の原稿が読取り位置Aへ搬送されてくる前に正転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置、特に、複写機やスキャナなどにおいて画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取り装置としては、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像を読み取るシートスルー方式が、それぞれ単独であるいは併用されていた。シートスルー方式は、小型化、低コスト、低騒音、画像読取りの高速化、ひいてはプリントの高生産性に利点を有し、モノクロ複写機やカラー複写機においては画像読取り装置の主流となっている。
【0003】
シートスルー方式の場合、画像読取り位置は定位置、即ち、透明部材(長尺状の読取りガラス)上に固定され、読取りガラスを介して搬送される原稿の画像面に読取り光学系の焦点を合わせる構成のため、読取りガラス上に付着したごみや残留したごみなどの異物の影響を受けやすく、異物により遮光された部分は読取り画像において筋状の画像ノイズとなる。原稿が紙であると、炭酸カルシウムなどの紙に含まれる填料や繊維などの微小異物が読取りガラスに付着する不具合が避けられない。
【0004】
かかる問題点を解決するため、従来、読み取った画像を処理する過程で、画像上のごみを検出してユーザに警告を発する、画像処理として筋状のノイズを消去する、又は、読取りガラスを移動させて連続してごみを読み取らないようにする、などの対策が講じられていた。しかし、これらの対策では読取りガラス上にごみが堆積してしまうことを解消することはできず、最終的にはサービスマンが読取りガラス面を清掃する必要が生じている。
【0005】
また、特許文献1に示されているように、弾性部材を回転させて読取りガラス上を清掃するようにした画像読取り装置が提案されている。このように、弾性部材を回転させる方式は、清掃時間が短くて済み、画像の読取り生産性に有利である。しかし、この方式では、弾性部材が一方向にのみ回転駆動されるため、長期にわたる使用により弾性部材の先端が回転方向に変形し、清掃機能が劣化するという問題点を有していた。
【0006】
弾性部材を適宜逆転させることで変形を矯正することが可能である。しかし、弾性部材を逆転させると弾性部材で捕獲した異物が再度読取りガラス上に落ちたり、読取り位置より原稿搬送方向の上流側に押しやられ、結局異物が読取りガラス上に残って読取り画像に筋状のノイズを発生させることになりかねない。
【特許文献1】特開2000−270152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、清掃部材を適宜逆転させることによって清掃部材の変形に起因する清掃機能の劣化を防止し、かつ、読取りガラス上への異物の再付着を効果的に防止できる画像読取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の一形態である画像読取り装置は、
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、
前記透明部材の原稿通過面を摺擦して清掃する弾性変形可能な清掃部材と、
前記清掃部材を原稿搬送方向の上流側から下流側へと正転又は逆転させる駆動手段と、
前記清掃部材の回転を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が前記読取り位置へ搬送されてくる前に正転させること、
を特徴とする。
【0009】
前記画像読取り装置においては、清掃部材を正転させることにより透明部材(読取りガラス)の読取り位置から異物を排除することができる。清掃部材は常時一方向に回転駆動され、長期の使用により回転方向に湾曲する変形を生じることになるが、清掃部材を適宜逆転させることにより変形が矯正される。この逆転によって、清掃部材に捕獲された異物は再度透明部材上に落下する場合がある。しかし、清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が読取り位置へ搬送されてくる前に正転させることにより、異物の再付着を防止して効果的に読取り位置から排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像読取り装置の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図面において、同一部品及び同一部分には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(画像読取り装置、図1及び図2参照)
図1に示すように、本発明の一実施例である画像読取り装置10は、図示しないプラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、自動原稿搬送装置20にて搬送される原稿を読み取るシートスルー方式とを備え、読取り光学系(スキャナ)50が設置されている。
【0012】
読取り光学系50は、それ自体周知のものであって、ランプ53と、ミラー54,55,56と、図示しない結像レンズと、撮像部(CCDカラーラインセンサ)58とで構成されている。プラテンセット方式での原稿画像の読取りを行うため、ランプ53とミラー54は第1スライダ51に搭載され、ミラー55,56は第2スライダ52に搭載され、それぞれ副走査方向Yに移動可能である。シートスルー方式による原稿画像の読取りは、光学系50を図1に示す読取り位置Aに静止させた状態で行われる。
【0013】
自動原稿搬送装置20は、原稿載置トレイ21と、ピックアップローラ22と、給紙ローラ23a及び捌きローラ23bと、レジストローラ24と、読取り部ローラ25,26と、排出部ローラ27,28と、原稿排出トレイ29とで構成されている。また、読取り位置Aには透明部材(以下、読取りガラス40と記す)が設置されている。
【0014】
さらに、本実施例において、図2に示すように、読取りガラス40の直上を画像面が読取りガラス40とは接触しないように原稿をガイドするガイドシート41が、読取りガラス40の搬送方向Bの上流側に設置されている。読取りガラス40上に搬送されてきた原稿がこのガイドシート41上を滑ってガイドされることにより、該原稿は画像面が読取りガラス40の表面に対して非接触の状態で搬送される。
【0015】
原稿が読取りガラス40に接触して搬送されると、原稿に付着している粘着性異物(粘着テープや糊などの粘着物、修整液塊やボールペンのインク塊、消しゴムの粉など)が読取りガラス40上に転写、付着される。原稿を読取りガラス40に非接触で搬送することにより、このような異物の転写、付着を未然に防止できる。勿論、本実施例では、粘着性異物が読取りガラス40に付着したとしても以下に説明する清掃部材45によって排除することが可能である。
【0016】
なお、このような非接触搬送は、前記ガイドシート41を設ける以外に、読取り部ローラ25,26によって原稿を一定の曲率で湾曲させながら搬送することによって達成される。
【0017】
また、本実施例では、両面に画像が形成されている原稿を表裏反転させて再度読取り位置Aを通過させて表裏の画像を連続的に読み取ることも可能である。このような原稿の両面読取り機構については周知であり、その説明は省略する。
【0018】
(清掃部材、図2〜図5参照)
図2に示すように、読取りガラス40の読取り位置Aに対向してブラシ状の清掃部材45が回転可能に配置されている。また、清掃部材45に対して原稿搬送方向Bの下流側にはたき部材46が配置されている。清掃部材45は、軸部材45aの平坦な面に弾性変形可能な清掃ブラシ45bを搬送方向Bとは直交する方向にライン状に固定したもので、モータM1(図5参照)によって所定のタイミング、速度で正転又は逆転駆動される。また、軸部材45aの清掃ブラシ45bとは対向する外周面には、シェーディング補正のために、白基準判別部材(白色フィルム)45cを貼着してもよい。
【0019】
清掃ブラシ45bは、例えば、長さ6mm、2D(デニール)程度の導電性(11.5LogΩ)のポリイミド樹脂を、幅5mm、長さ309mmに植毛したもので、読取りガラス40を摺擦する際の食い込み量は1.5mm、圧力は6Nに設定されている。
【0020】
はたき部材46は、位置固定されており、清掃ブラシ45bが読取りガラス40上を摺擦した後に清掃ブラシ45bで捕獲した異物をはたき落す。
【0021】
清掃部材45は、図3(A)に示すように、清掃ブラシ45bが上方を向いた状態をホームポジションとして待機しており、このホームポジションから原稿搬送方向の上流側から下流側へと矢印c方向に正転を開始する。その後、ブラシ45bの先端が読取りガラス40の表面を摺擦し(図3(B),(C)参照)、読取りガラス40上の異物を捕獲し、異物を読取り位置Aから排除する。その後、ブラシ45bははたき部材46に接触し、前記ホームポジションに戻る。
【0022】
捕獲した異物ははたき部材46によってブラシ45bからはたき出され、読取りガラス40上を搬送される原稿に巻き込まれて装置10の外部へ排出される。これにて、読取りガラス40の表面(特に、読取り位置A)及びブラシ45bが常時清浄な状態に保たれ、ブラシ45bにて読取りガラス40上から回収した異物が読取りガラス40に再付着することはなく、読み取った画像に筋状のノイズが発生することを防止できる。なお、ブラシ45bからはたきだされた異物を図示しない吸引手段によって吸引除去してもよい。
【0023】
そして、ブラシ45bは、導電性を有し、グランドに接続されている。それゆえ、読取りガラス40上の異物を静電的に吸着して効率よく回収することができる。
【0024】
ここで、清掃ブラシ45bの先端部分の形状について図4を参照して説明する。図4(A)は第1例を示し、各ブラシ毛の先端部分は回転軌跡Fの接線Cまでの同じ長さに揃えられている。図4(B)は第2例を示し、各ブラシ毛の先端部分は回転軌跡Fに揃えられている。図4(C)は第3例を示し、各ブラシ毛の先端部分は接線Cと角度θをなす直線までの長さとされている。図4(D)は第4例を示し、ブラシ毛は二つの束45d,45eからなり、ブラシ束45dは接線Cまでの長さを有し、ブラシ束45eの先端部分は回転軌跡Fに沿って線状に斜めにカットされている。
【0025】
図4(B),(C),(D)に示す例にあっては、ブラシ45bが回転して読取りガラス40上を摺擦したときに、各ブラシ毛の先端部分が回転軌跡Fから飛び出すことがなく、ブラシ45bの読取りガラス40への接地量、接地圧を一定に保つことができる。
【0026】
ところで、前記清掃部材45による読取りガラス40の清掃、即ち、読取り位置Aにおける清掃部材45の正転は、ブラシ45bが読取り位置Aを搬送される原稿と干渉しない任意のタイミングで行われる。例えば、複数枚の画像の読取りを開始するとき、読取りが終了したとき、あるは、搬送される原稿と原稿との間で読取りガラス40が露出している間に実行される。
【0027】
清掃部材45を常時一方向に正転駆動して読取りガラス40上を清掃していると、長期にわたる使用によりブラシ45bの先端が回転方向に湾曲する変形を生じ、清掃機能が劣化する。この変形を矯正するために、本実施例では、清掃部材45を以下の制御例で説明する所定のタイミングで逆転させる。この逆転にて、清掃ブラシ45bがはたき部材46や読取りガラス40に逆方向に摺擦して逆方向の変形力を受け、変形を矯正され、長期にわたって良好な清掃機能が維持される。
【0028】
一方、清掃部材45を逆転させるとブラシ45bに取り込まれている異物が再度読取りガラス40上に落ちたり、読取り位置Aより搬送方向Bの上流側に押しやられ、結局異物が読取りガラス40上に残って読取り画像に筋状のノイズを発生させることになりかねない。そこで、本実施例では、清掃部材45を逆転させた後は清掃部材を次の原稿が読取り位置Aへ搬送されてくる前に正転させることとした。これにて、読取りガラス40への異物の再付着を防止して異物を効果的に読取り位置Aから排除することができる。なお、清掃部材45の正転、逆転制御の詳細については後に詳述する。
【0029】
次に、清掃部材45の駆動手段について図5を参照して説明する。軸部材45aの一端部に固定したスプロケット31は清掃モータM1の出力用スプロケット32にタイミングベルト33を介して連結されている。清掃モータM1は正逆回転駆動可能なステッピングモータである。
【0030】
また、スプロケット31には円弧状の突片35が取り付けられ、該突片35を検出するホームポジションセンサSE2が配置されている。センサSE2が突片35の端部35aを検出したとき、清掃ブラシ45bがホームポジションに位置していることが検出される。
【0031】
(制御部、図6参照)
画像読取り装置10の制御部について図6を参照して説明する。制御部はCPU60を中心として構成され、CPU60はプログラムなどを格納したROM61、RAM62、メモリ63を内蔵している。CPU60に入力される情報は、読み取った画像の面数をカウントする面数カウンタ64からの読取り枚数、読取り位置Aの上流側に配置した原稿センサSE1(図2参照)からの原稿先端及び後端の検出信号、清掃部材45のホームポジションセンサSE2からの検出信号などである。また、CPU60は各種ローラなどの原稿搬送系や清掃モータM1などを制御する。
【0032】
(制御例の概略説明)
以下に、清掃部材45の正転、逆転の制御例について説明する。まず、清掃部材45は予め規定された読取り面数(例えば、5〜20面)ごとに逆転させる。そして、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、次の原稿を読取り位置Aの上流で待機させて清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例1として以下に説明する)。
【0033】
また、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例2として以下に説明する)。
【0034】
複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った直後に清掃部材45を逆転させ、次のジョブを開始する際に清掃部材45を正転させる(制御例3として以下に説明する)。
【0035】
複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、次のジョブを開始する際に清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例4として以下に説明する)。
【0036】
(制御例1、図7参照)
制御例1では、図7に示すように、原稿の給紙が開始され(ステップS1)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS2)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS3)、カウント値と規定値とを比較する(ステップS4)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。
【0037】
カウント値が規定値に達すると(ステップS4でYES)、次の原稿の搬送を停止し(ステップS5)、清掃部材45を逆転させる(ステップS6)。その後、面数カウンタ64をリセットし(ステップS7)、清掃部材45を正転させる(ステップS8)。次に、次の原稿の搬送を再開させ(ステップS9)、さらに次の原稿があれば(ステップS10でYES)、前記ステップS1へ戻る。
【0038】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS4でNO)、次の原稿の搬送を継続し、前記ステップS10を実行する。
【0039】
(制御例2、図8参照)
制御例2では、図8に示すように、原稿の給紙が開始され(ステップS11)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS12)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS13)、清掃部材45を正転させる(ステップS14)。そして、次の原稿があれば(ステップS15でYES)、前記ステップS11へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS15でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS16)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。
【0040】
カウント値が規定値に達していれば(ステップS16でYES)、清掃部材45を逆転させ(ステップS17)、かつ、正転させる(ステップS18)。その後、面数カウンタ64をリセットする(ステップS19)。
【0041】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS16でNO)、装置10を次の読取りジョブまで待機させるとともに面数カウンタのカウント値を保持する(ステップS20)。
【0042】
(制御例3、図9参照)
制御例3では、図9に示すように、まず、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS21)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。カウント値が規定値に達していれば(ステップS21でYES)、清掃部材45を正転させ(ステップS22)、面数カウンタ64をリセットする(ステップS23)。カウント値が規定値に達していなければ(ステップS21でNO)、次のステップS24へ移行する。
【0043】
次に、原稿の給紙が開始され(ステップS24)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS25)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS26)、清掃部材45を正転させる(ステップS27)。そして、次の原稿があれば(ステップS28でYES)、前記ステップS24へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS28でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS29)。
【0044】
カウント値が規定値に達していれば(ステップS29でYES)、清掃部材45を逆転させる(ステップS30)。
【0045】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS29でNO)、装置10を次の読取りジョブまで待機させるとともに面数カウンタのカウント値を保持する(ステップS31)。
【0046】
(制御例4、図10参照)
制御例4では、図10に示すように、まず、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS41)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。カウント値が規定値に達していれば(ステップS41でYES)、清掃部材45を逆転させ(ステップS42)、かつ、正転させる(ステップS43)。そして、面数カウンタ64をリセットする(ステップS44)。カウント値が規定値に達していなければ(ステップS41でNO)、次のステップS45へ移行する。
【0047】
次に、原稿の給紙が開始され(ステップS45)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS46)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS47)、清掃部材45を正転させる(ステップS48)。そして、次の原稿があれば(ステップS49でYES)、前記ステップS45へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS49でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、制御を終了する。
【0048】
(清掃部材の正転/逆転制御)
ところで、1枚目の原稿に対する給紙開始から該原稿の先端が読取り位置Aへ到達するまでの時間をTa、清掃部材45が逆転してから正転するまでの時間をTbとしたとき、Ta>Tbのときは時間Taの間に清掃部材45を逆転かつ正転させ、Ta≦Tbのときは時間Taの間は清掃部材45を動作させないように制御してもよい。
【0049】
高解像度での読み取りは原稿搬送速度が比較的遅いため、Ta>Tbであり、清掃部材45を逆転かつ正転させる余裕がある。一方、低解像度での読み取りは原稿搬送速度が比較的早いため、Ta<Tbとなり、清掃部材45の逆転及び正転の動作の余裕がない。従って、後者の場合は逆転動作を行わない。但し、清掃のための正転動作は実行することができる。
【0050】
(逆転回数)
また、清掃部材45を連続して数回逆転させてもよく、その逆転回数は清掃部材45の正転累積回転数に応じて、例えば、図11に示すように変化させることが好ましい。これにて、正転動作を継続することによるブラシ45bの変形を効果的に矯正することができる。
【0051】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像読取り装置は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0052】
例えば、前記実施例では、原稿を読取りガラスに対して非接触で搬送するようにしているが、必ずしも非接触で搬送する必要はない。また、清掃部材に対するはたき部材は、その構成、動作において任意であり、省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る画像読取り装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】画像読取り位置の近辺を示す断面図である。
【図3】清掃部材による読取りガラスの清掃動作を示す説明図である。
【図4】清掃部材の種々のブラシ形状を示す説明図である。
【図5】清掃部材の駆動手段を示す斜視図である。
【図6】画像読取り装置の制御部を示すブロック図である。
【図7】制御例1を示すフローチャート図である。
【図8】制御例2を示すフローチャート図である。
【図9】制御例3を示すフローチャート図である。
【図10】制御例4を示すフローチャート図である。
【図11】清掃部材の正転累積回数に対する逆転回数を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
10…画像読取り装置
20…自動原稿搬送装置
40…読取りガラス
45…清掃部材
45b…清掃ブラシ
50…読取り光学系
60…CPU
M1…清掃モータ
A…読取り位置
B…原稿搬送方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置、特に、複写機やスキャナなどにおいて画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取り装置としては、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像を読み取るシートスルー方式が、それぞれ単独であるいは併用されていた。シートスルー方式は、小型化、低コスト、低騒音、画像読取りの高速化、ひいてはプリントの高生産性に利点を有し、モノクロ複写機やカラー複写機においては画像読取り装置の主流となっている。
【0003】
シートスルー方式の場合、画像読取り位置は定位置、即ち、透明部材(長尺状の読取りガラス)上に固定され、読取りガラスを介して搬送される原稿の画像面に読取り光学系の焦点を合わせる構成のため、読取りガラス上に付着したごみや残留したごみなどの異物の影響を受けやすく、異物により遮光された部分は読取り画像において筋状の画像ノイズとなる。原稿が紙であると、炭酸カルシウムなどの紙に含まれる填料や繊維などの微小異物が読取りガラスに付着する不具合が避けられない。
【0004】
かかる問題点を解決するため、従来、読み取った画像を処理する過程で、画像上のごみを検出してユーザに警告を発する、画像処理として筋状のノイズを消去する、又は、読取りガラスを移動させて連続してごみを読み取らないようにする、などの対策が講じられていた。しかし、これらの対策では読取りガラス上にごみが堆積してしまうことを解消することはできず、最終的にはサービスマンが読取りガラス面を清掃する必要が生じている。
【0005】
また、特許文献1に示されているように、弾性部材を回転させて読取りガラス上を清掃するようにした画像読取り装置が提案されている。このように、弾性部材を回転させる方式は、清掃時間が短くて済み、画像の読取り生産性に有利である。しかし、この方式では、弾性部材が一方向にのみ回転駆動されるため、長期にわたる使用により弾性部材の先端が回転方向に変形し、清掃機能が劣化するという問題点を有していた。
【0006】
弾性部材を適宜逆転させることで変形を矯正することが可能である。しかし、弾性部材を逆転させると弾性部材で捕獲した異物が再度読取りガラス上に落ちたり、読取り位置より原稿搬送方向の上流側に押しやられ、結局異物が読取りガラス上に残って読取り画像に筋状のノイズを発生させることになりかねない。
【特許文献1】特開2000−270152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、清掃部材を適宜逆転させることによって清掃部材の変形に起因する清掃機能の劣化を防止し、かつ、読取りガラス上への異物の再付着を効果的に防止できる画像読取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の一形態である画像読取り装置は、
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、
前記透明部材の原稿通過面を摺擦して清掃する弾性変形可能な清掃部材と、
前記清掃部材を原稿搬送方向の上流側から下流側へと正転又は逆転させる駆動手段と、
前記清掃部材の回転を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が前記読取り位置へ搬送されてくる前に正転させること、
を特徴とする。
【0009】
前記画像読取り装置においては、清掃部材を正転させることにより透明部材(読取りガラス)の読取り位置から異物を排除することができる。清掃部材は常時一方向に回転駆動され、長期の使用により回転方向に湾曲する変形を生じることになるが、清掃部材を適宜逆転させることにより変形が矯正される。この逆転によって、清掃部材に捕獲された異物は再度透明部材上に落下する場合がある。しかし、清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が読取り位置へ搬送されてくる前に正転させることにより、異物の再付着を防止して効果的に読取り位置から排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像読取り装置の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図面において、同一部品及び同一部分には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(画像読取り装置、図1及び図2参照)
図1に示すように、本発明の一実施例である画像読取り装置10は、図示しないプラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、自動原稿搬送装置20にて搬送される原稿を読み取るシートスルー方式とを備え、読取り光学系(スキャナ)50が設置されている。
【0012】
読取り光学系50は、それ自体周知のものであって、ランプ53と、ミラー54,55,56と、図示しない結像レンズと、撮像部(CCDカラーラインセンサ)58とで構成されている。プラテンセット方式での原稿画像の読取りを行うため、ランプ53とミラー54は第1スライダ51に搭載され、ミラー55,56は第2スライダ52に搭載され、それぞれ副走査方向Yに移動可能である。シートスルー方式による原稿画像の読取りは、光学系50を図1に示す読取り位置Aに静止させた状態で行われる。
【0013】
自動原稿搬送装置20は、原稿載置トレイ21と、ピックアップローラ22と、給紙ローラ23a及び捌きローラ23bと、レジストローラ24と、読取り部ローラ25,26と、排出部ローラ27,28と、原稿排出トレイ29とで構成されている。また、読取り位置Aには透明部材(以下、読取りガラス40と記す)が設置されている。
【0014】
さらに、本実施例において、図2に示すように、読取りガラス40の直上を画像面が読取りガラス40とは接触しないように原稿をガイドするガイドシート41が、読取りガラス40の搬送方向Bの上流側に設置されている。読取りガラス40上に搬送されてきた原稿がこのガイドシート41上を滑ってガイドされることにより、該原稿は画像面が読取りガラス40の表面に対して非接触の状態で搬送される。
【0015】
原稿が読取りガラス40に接触して搬送されると、原稿に付着している粘着性異物(粘着テープや糊などの粘着物、修整液塊やボールペンのインク塊、消しゴムの粉など)が読取りガラス40上に転写、付着される。原稿を読取りガラス40に非接触で搬送することにより、このような異物の転写、付着を未然に防止できる。勿論、本実施例では、粘着性異物が読取りガラス40に付着したとしても以下に説明する清掃部材45によって排除することが可能である。
【0016】
なお、このような非接触搬送は、前記ガイドシート41を設ける以外に、読取り部ローラ25,26によって原稿を一定の曲率で湾曲させながら搬送することによって達成される。
【0017】
また、本実施例では、両面に画像が形成されている原稿を表裏反転させて再度読取り位置Aを通過させて表裏の画像を連続的に読み取ることも可能である。このような原稿の両面読取り機構については周知であり、その説明は省略する。
【0018】
(清掃部材、図2〜図5参照)
図2に示すように、読取りガラス40の読取り位置Aに対向してブラシ状の清掃部材45が回転可能に配置されている。また、清掃部材45に対して原稿搬送方向Bの下流側にはたき部材46が配置されている。清掃部材45は、軸部材45aの平坦な面に弾性変形可能な清掃ブラシ45bを搬送方向Bとは直交する方向にライン状に固定したもので、モータM1(図5参照)によって所定のタイミング、速度で正転又は逆転駆動される。また、軸部材45aの清掃ブラシ45bとは対向する外周面には、シェーディング補正のために、白基準判別部材(白色フィルム)45cを貼着してもよい。
【0019】
清掃ブラシ45bは、例えば、長さ6mm、2D(デニール)程度の導電性(11.5LogΩ)のポリイミド樹脂を、幅5mm、長さ309mmに植毛したもので、読取りガラス40を摺擦する際の食い込み量は1.5mm、圧力は6Nに設定されている。
【0020】
はたき部材46は、位置固定されており、清掃ブラシ45bが読取りガラス40上を摺擦した後に清掃ブラシ45bで捕獲した異物をはたき落す。
【0021】
清掃部材45は、図3(A)に示すように、清掃ブラシ45bが上方を向いた状態をホームポジションとして待機しており、このホームポジションから原稿搬送方向の上流側から下流側へと矢印c方向に正転を開始する。その後、ブラシ45bの先端が読取りガラス40の表面を摺擦し(図3(B),(C)参照)、読取りガラス40上の異物を捕獲し、異物を読取り位置Aから排除する。その後、ブラシ45bははたき部材46に接触し、前記ホームポジションに戻る。
【0022】
捕獲した異物ははたき部材46によってブラシ45bからはたき出され、読取りガラス40上を搬送される原稿に巻き込まれて装置10の外部へ排出される。これにて、読取りガラス40の表面(特に、読取り位置A)及びブラシ45bが常時清浄な状態に保たれ、ブラシ45bにて読取りガラス40上から回収した異物が読取りガラス40に再付着することはなく、読み取った画像に筋状のノイズが発生することを防止できる。なお、ブラシ45bからはたきだされた異物を図示しない吸引手段によって吸引除去してもよい。
【0023】
そして、ブラシ45bは、導電性を有し、グランドに接続されている。それゆえ、読取りガラス40上の異物を静電的に吸着して効率よく回収することができる。
【0024】
ここで、清掃ブラシ45bの先端部分の形状について図4を参照して説明する。図4(A)は第1例を示し、各ブラシ毛の先端部分は回転軌跡Fの接線Cまでの同じ長さに揃えられている。図4(B)は第2例を示し、各ブラシ毛の先端部分は回転軌跡Fに揃えられている。図4(C)は第3例を示し、各ブラシ毛の先端部分は接線Cと角度θをなす直線までの長さとされている。図4(D)は第4例を示し、ブラシ毛は二つの束45d,45eからなり、ブラシ束45dは接線Cまでの長さを有し、ブラシ束45eの先端部分は回転軌跡Fに沿って線状に斜めにカットされている。
【0025】
図4(B),(C),(D)に示す例にあっては、ブラシ45bが回転して読取りガラス40上を摺擦したときに、各ブラシ毛の先端部分が回転軌跡Fから飛び出すことがなく、ブラシ45bの読取りガラス40への接地量、接地圧を一定に保つことができる。
【0026】
ところで、前記清掃部材45による読取りガラス40の清掃、即ち、読取り位置Aにおける清掃部材45の正転は、ブラシ45bが読取り位置Aを搬送される原稿と干渉しない任意のタイミングで行われる。例えば、複数枚の画像の読取りを開始するとき、読取りが終了したとき、あるは、搬送される原稿と原稿との間で読取りガラス40が露出している間に実行される。
【0027】
清掃部材45を常時一方向に正転駆動して読取りガラス40上を清掃していると、長期にわたる使用によりブラシ45bの先端が回転方向に湾曲する変形を生じ、清掃機能が劣化する。この変形を矯正するために、本実施例では、清掃部材45を以下の制御例で説明する所定のタイミングで逆転させる。この逆転にて、清掃ブラシ45bがはたき部材46や読取りガラス40に逆方向に摺擦して逆方向の変形力を受け、変形を矯正され、長期にわたって良好な清掃機能が維持される。
【0028】
一方、清掃部材45を逆転させるとブラシ45bに取り込まれている異物が再度読取りガラス40上に落ちたり、読取り位置Aより搬送方向Bの上流側に押しやられ、結局異物が読取りガラス40上に残って読取り画像に筋状のノイズを発生させることになりかねない。そこで、本実施例では、清掃部材45を逆転させた後は清掃部材を次の原稿が読取り位置Aへ搬送されてくる前に正転させることとした。これにて、読取りガラス40への異物の再付着を防止して異物を効果的に読取り位置Aから排除することができる。なお、清掃部材45の正転、逆転制御の詳細については後に詳述する。
【0029】
次に、清掃部材45の駆動手段について図5を参照して説明する。軸部材45aの一端部に固定したスプロケット31は清掃モータM1の出力用スプロケット32にタイミングベルト33を介して連結されている。清掃モータM1は正逆回転駆動可能なステッピングモータである。
【0030】
また、スプロケット31には円弧状の突片35が取り付けられ、該突片35を検出するホームポジションセンサSE2が配置されている。センサSE2が突片35の端部35aを検出したとき、清掃ブラシ45bがホームポジションに位置していることが検出される。
【0031】
(制御部、図6参照)
画像読取り装置10の制御部について図6を参照して説明する。制御部はCPU60を中心として構成され、CPU60はプログラムなどを格納したROM61、RAM62、メモリ63を内蔵している。CPU60に入力される情報は、読み取った画像の面数をカウントする面数カウンタ64からの読取り枚数、読取り位置Aの上流側に配置した原稿センサSE1(図2参照)からの原稿先端及び後端の検出信号、清掃部材45のホームポジションセンサSE2からの検出信号などである。また、CPU60は各種ローラなどの原稿搬送系や清掃モータM1などを制御する。
【0032】
(制御例の概略説明)
以下に、清掃部材45の正転、逆転の制御例について説明する。まず、清掃部材45は予め規定された読取り面数(例えば、5〜20面)ごとに逆転させる。そして、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、次の原稿を読取り位置Aの上流で待機させて清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例1として以下に説明する)。
【0033】
また、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例2として以下に説明する)。
【0034】
複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った直後に清掃部材45を逆転させ、次のジョブを開始する際に清掃部材45を正転させる(制御例3として以下に説明する)。
【0035】
複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で規定の読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、次のジョブを開始する際に清掃部材45を逆転かつ正転させる(制御例4として以下に説明する)。
【0036】
(制御例1、図7参照)
制御例1では、図7に示すように、原稿の給紙が開始され(ステップS1)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS2)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS3)、カウント値と規定値とを比較する(ステップS4)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。
【0037】
カウント値が規定値に達すると(ステップS4でYES)、次の原稿の搬送を停止し(ステップS5)、清掃部材45を逆転させる(ステップS6)。その後、面数カウンタ64をリセットし(ステップS7)、清掃部材45を正転させる(ステップS8)。次に、次の原稿の搬送を再開させ(ステップS9)、さらに次の原稿があれば(ステップS10でYES)、前記ステップS1へ戻る。
【0038】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS4でNO)、次の原稿の搬送を継続し、前記ステップS10を実行する。
【0039】
(制御例2、図8参照)
制御例2では、図8に示すように、原稿の給紙が開始され(ステップS11)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS12)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS13)、清掃部材45を正転させる(ステップS14)。そして、次の原稿があれば(ステップS15でYES)、前記ステップS11へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS15でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS16)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。
【0040】
カウント値が規定値に達していれば(ステップS16でYES)、清掃部材45を逆転させ(ステップS17)、かつ、正転させる(ステップS18)。その後、面数カウンタ64をリセットする(ステップS19)。
【0041】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS16でNO)、装置10を次の読取りジョブまで待機させるとともに面数カウンタのカウント値を保持する(ステップS20)。
【0042】
(制御例3、図9参照)
制御例3では、図9に示すように、まず、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS21)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。カウント値が規定値に達していれば(ステップS21でYES)、清掃部材45を正転させ(ステップS22)、面数カウンタ64をリセットする(ステップS23)。カウント値が規定値に達していなければ(ステップS21でNO)、次のステップS24へ移行する。
【0043】
次に、原稿の給紙が開始され(ステップS24)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS25)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS26)、清掃部材45を正転させる(ステップS27)。そして、次の原稿があれば(ステップS28でYES)、前記ステップS24へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS28でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS29)。
【0044】
カウント値が規定値に達していれば(ステップS29でYES)、清掃部材45を逆転させる(ステップS30)。
【0045】
一方、カウント値が規定値に達していなければ(ステップS29でNO)、装置10を次の読取りジョブまで待機させるとともに面数カウンタのカウント値を保持する(ステップS31)。
【0046】
(制御例4、図10参照)
制御例4では、図10に示すように、まず、面数カウンタ64のカウント値と規定値とを比較する(ステップS41)。規定値は通常5〜20の間で任意の値に設定されている。カウント値が規定値に達していれば(ステップS41でYES)、清掃部材45を逆転させ(ステップS42)、かつ、正転させる(ステップS43)。そして、面数カウンタ64をリセットする(ステップS44)。カウント値が規定値に達していなければ(ステップS41でNO)、次のステップS45へ移行する。
【0047】
次に、原稿の給紙が開始され(ステップS45)、原稿の先端がセンサSE1で検出されると(ステップS46)、面数カウンタ64のカウント値を加算し(ステップS47)、清掃部材45を正転させる(ステップS48)。そして、次の原稿があれば(ステップS49でYES)、前記ステップS45へ戻る。次の原稿がなくなれば(ステップS49でNO)、即ち、全ての原稿の読取りが終了すれば、制御を終了する。
【0048】
(清掃部材の正転/逆転制御)
ところで、1枚目の原稿に対する給紙開始から該原稿の先端が読取り位置Aへ到達するまでの時間をTa、清掃部材45が逆転してから正転するまでの時間をTbとしたとき、Ta>Tbのときは時間Taの間に清掃部材45を逆転かつ正転させ、Ta≦Tbのときは時間Taの間は清掃部材45を動作させないように制御してもよい。
【0049】
高解像度での読み取りは原稿搬送速度が比較的遅いため、Ta>Tbであり、清掃部材45を逆転かつ正転させる余裕がある。一方、低解像度での読み取りは原稿搬送速度が比較的早いため、Ta<Tbとなり、清掃部材45の逆転及び正転の動作の余裕がない。従って、後者の場合は逆転動作を行わない。但し、清掃のための正転動作は実行することができる。
【0050】
(逆転回数)
また、清掃部材45を連続して数回逆転させてもよく、その逆転回数は清掃部材45の正転累積回転数に応じて、例えば、図11に示すように変化させることが好ましい。これにて、正転動作を継続することによるブラシ45bの変形を効果的に矯正することができる。
【0051】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像読取り装置は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0052】
例えば、前記実施例では、原稿を読取りガラスに対して非接触で搬送するようにしているが、必ずしも非接触で搬送する必要はない。また、清掃部材に対するはたき部材は、その構成、動作において任意であり、省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る画像読取り装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】画像読取り位置の近辺を示す断面図である。
【図3】清掃部材による読取りガラスの清掃動作を示す説明図である。
【図4】清掃部材の種々のブラシ形状を示す説明図である。
【図5】清掃部材の駆動手段を示す斜視図である。
【図6】画像読取り装置の制御部を示すブロック図である。
【図7】制御例1を示すフローチャート図である。
【図8】制御例2を示すフローチャート図である。
【図9】制御例3を示すフローチャート図である。
【図10】制御例4を示すフローチャート図である。
【図11】清掃部材の正転累積回数に対する逆転回数を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
10…画像読取り装置
20…自動原稿搬送装置
40…読取りガラス
45…清掃部材
45b…清掃ブラシ
50…読取り光学系
60…CPU
M1…清掃モータ
A…読取り位置
B…原稿搬送方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、
前記透明部材の原稿通過面を摺擦して清掃する弾性変形可能な清掃部材と、
前記清掃部材を原稿搬送方向の上流側から下流側へと正転又は逆転させる駆動手段と、
前記清掃部材の回転を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が前記読取り位置へ搬送されてくる前に正転させること、
を特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記清掃部材はブラシであり、該ブラシの少なくとも前記透明部材と接触する部分は透明部材より剛性が弱く接触によって弾性変形すること、を特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、予め規定された読取り面数ごとに前記清掃部材を逆転させること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、次の原稿を前記読取り位置の上流で待機させて前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った直後に前記清掃部材を逆転させ、次のジョブを開始する際に前記清掃部材を正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項7】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、次のジョブを開始する際に前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項8】
前記制御手段は、1枚目の原稿に対する給紙開始から該原稿の先端が前記読取り位置へ到達するまでの時間をTa、前記清掃部材が逆転してから正転するまでの時間をTbとしたとき、Ta>Tbのときは時間Taの間に清掃部材を逆転かつ正転させ、Ta≦Tbのときは時間Taの間は清掃部材を動作させないこと、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記清掃部材を連続して数回逆転させ、その逆転回数は清掃部材の正転累積回転数に応じて変化させること、を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項1】
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、
前記透明部材の原稿通過面を摺擦して清掃する弾性変形可能な清掃部材と、
前記清掃部材を原稿搬送方向の上流側から下流側へと正転又は逆転させる駆動手段と、
前記清掃部材の回転を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記清掃部材を逆転させた後は、清掃部材を次の原稿が前記読取り位置へ搬送されてくる前に正転させること、
を特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記清掃部材はブラシであり、該ブラシの少なくとも前記透明部材と接触する部分は透明部材より剛性が弱く接触によって弾性変形すること、を特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、予め規定された読取り面数ごとに前記清掃部材を逆転させること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、次の原稿を前記読取り位置の上流で待機させて前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った直後に前記清掃部材を逆転させ、次のジョブを開始する際に前記清掃部材を正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項7】
前記制御手段は、複数枚の原稿の画像読取りを連続して行う1ジョブの途中で前記規定読取り面数に達した場合は、1ジョブでの全ての原稿の画像を読み取った後に、次のジョブを開始する際に前記清掃部材を逆転かつ正転させること、を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
【請求項8】
前記制御手段は、1枚目の原稿に対する給紙開始から該原稿の先端が前記読取り位置へ到達するまでの時間をTa、前記清掃部材が逆転してから正転するまでの時間をTbとしたとき、Ta>Tbのときは時間Taの間に清掃部材を逆転かつ正転させ、Ta≦Tbのときは時間Taの間は清掃部材を動作させないこと、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記清掃部材を連続して数回逆転させ、その逆転回数は清掃部材の正転累積回転数に応じて変化させること、を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像読取り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−93351(P2010−93351A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258612(P2008−258612)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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