説明

画像読取方法及び画像読取装置並びにデータ測定方法

【課題】励起光を照射することによって画像担体に記録された画像を読み取る画像読取装置において、経時的な変動に起因する画像の濃度誤差を定量的に判断できるようにする。
【解決手段】画像読取装置のコントローラは、画像読み取りを行う際に、値が変動する可能性のある複数の変動要因を画像データとともに取得する。コントローラには、変動量算出部が設けられている。変動量算出部は、取得された各変動要因の測定結果を基に、各変動要因の変動量を算出する。変動量は、予め各変動要因に設定された定量化係数を乗じることにより、各変動要因が画像データに与える影響を定量化して算出される。これにより、各変動量を見ることによって、画像読取装置の経時的な変動に起因する濃度誤差が、取得した画像データにどの程度含まれているかを定量的に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励起光の照射によって画像担体から発せられる発光光を光電的に検出することにより、前記画像担体に記録された画像を読み取る画像読取方法、及び画像読取装置、並びに長時間に亘って高精度にデータの測定を行うデータ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を支持体上に積層した蓄積性蛍光体シートが知られている。蓄積性蛍光体は、放射線を照射した際に、この放射線エネルギーの一部を蓄積する。そして、蓄積性蛍光体は、放射線エネルギーを蓄積させた後に、可視光やレーザ光などの励起光を照射することにより、蓄積した放射線エネルギーに応じた輝尽光を発する。こうした蓄積性蛍光体の性質を利用し、蓄積性蛍光体シートは、例えば、放射線画像読取装置、いわゆるCR(Computed Radiography)などに実用されている。放射線画像読取装置では、人体などの放射線画像を蓄積性蛍光体シートに蓄積記録し、この蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して輝尽光を生じさせ、この輝尽光を光電的に読み取って画像データを取得している。
【0003】
また、同様に、蓄積性蛍光体シートを利用したシステムとして、オートラジオグラフィ画像検出システム(たとえば、特公平1−60784号公報、特公平1−60782号公報、特公平4−3952号公報など)、電子顕微鏡による画像検出システム、放射線回折画像検出システム(たとえば、特開昭61−51738号公報、特開昭61−93538号公報、特開昭59−15843号公報など)などが知られている。
【0004】
これらの蓄積性蛍光体シートを画像の検出材料として使用するシステムは、写真フイルムなどを用いる場合と比べて、現像処理という化学的処理が不必要であるだけでなく、得られた画像データに画像処理を施すことにより、所望の画像を再生し、あるいは、コンピュータによる定量解析が可能になるという利点を有している。
【0005】
また、オートラジオグラフィシステムにおける放射性標識物質に代えて、蛍光物質を標識物質として使用した蛍光画像検出(fluorescence)システムも知られている。さらには、化学発光物質と接触することにより化学発光する物質を標識物質として用い、該標識物質と化学発光物質を接触させることにより発光される化学発光を検出する化学発光画像検出システムも知られている。この化学発光画像検出システムとしては、化学発光を、前述の蓄積性蛍光体シートに、蓄積、記録した後、該蓄積性蛍光体シートから画像検出を行うタイプ(たとえば、米国特許第5,028,793号、英国特許出願公開GB第2,246,197Aなど。)と、化学発光を光検出手段によって直接検出するタイプとがある。
【0006】
これらのオートラジオグラフィ画像検出システム、化学発光画像検出システム、電子顕微鏡による画像検出システム、放射線回折画像検出システム、蛍光画像検出システムは、同様の2次元光検出技術を使用するため、これらのシステムに共通して使用できる画像読取装置が、例えば、特許文献1などによって提案されている。
【特許文献1】特開2001−296395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のシステムに用いられる画像読取装置では、分解能設定、読取範囲設定により、蓄積性蛍光体シートを1枚読み取るのに1時間もしくはそれ以上の時間を要する場合がある。このように長時間に亘って画像読み取りを行うと、自身の発熱によって装置内の温度が上昇したり、温度変動にともなって励起光の光源の出力が変化したりする。温度や励起光源の出力が変化すると、輝尽光や蛍光の発光特性が変化する。つまり、温度や励起光源の経時的な変動は、画像の読み始めの部分と読み終わりの部分との濃度誤差となって表れ、画像の品質を低下させる。
【0008】
装置内の温度や励起光源の出力などをモニタし、これらが所定の範囲を超えた際に、画像読み取りを停止したり、警告を報知したりすることは、従来より行われている。しかしながら、装置の経時的な変動に起因する濃度誤差は、正常に読み取りが終了した画像にも含まれる。この際、読み取りが正常に終了してしまうと、その画像にどの程度の濃度誤差が含まれているかを判断することができないという問題がある。タンパク質やDNAなどといった生体由来物質の分析などに用いられる上述の画像読取装置では、画像の信頼性を問われることが多く、正常に読み取られた画像に含まれる濃度誤差を定量的に判断できるようにしたいという要望が強い。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、装置の経時的な変動に起因する画像の濃度誤差を定量的に判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、画像を記録した画像担体に励起光を照射し、この励起光の照射によって励起した前記画像担体から発せられる光を光電的に読み取ることによって前記画像に応じた画像データを取得する本発明の画像読取方法は、前記画像データを取得する際に、経時的に変動して前記画像データの読み取り誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定ステップと、前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
なお、前記各変動量を基に、取得された画像データに含まれる前記読み取り誤差の度合いを表す信頼度を算出する信頼度算出ステップを有することが好ましい。また、前記各変動要因の測定結果を所定時間単位で分割して複数の分割測定データを作成するステップを有し、前記信頼度算出ステップは、前記各分割測定データ毎に前記信頼度を算出することが好ましい。さらに、最も前記変動量の高い前記変動要因を検出し、検出した前記変動要因に対応した補正処理を前記画像データに施す補正ステップを有することが好ましい。
【0012】
なお、前記各変動要因の測定結果と前記変動量とを前記画像データに関連付けて記録する記録ステップを有することが好ましい。また、前記各変動量のそれぞれが予め設定された許容値を超えているか否かを判定するステップと、前記許容値を超えた前記変動量があると判定された際に、警告を報知するステップとを有することが好ましい。
【0013】
さらに、前記変動量算出ステップは、前記各変動要因毎に予め設定された定量化係数を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化することが好ましい。また、前記各変動要因には、少なくとも、前記励起光を照射する励起光源の出力と、前記画像担体から発せられる光を光電的に検出する光検出手段に印加される高電圧と、前記光検出手段から出力される電流信号を電圧信号に変換する積分回路の出力に表れるオフセット電圧と、装置内の温度とが含まれることが好ましい。
【0014】
なお、画像を記録した画像担体に励起光を照射し、この励起光の照射によって励起した前記画像担体から発せられる光を光電的に読み取ることによって前記画像に応じた画像データを取得する本発明の画像読取装置は、前記画像データを取得する際に、経時的に変動して前記画像データの読み取り誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定手段と、前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、長時間に亘って高精度にデータの測定を行う本発明のデータ測定方法は、前記データを測定する際に、経時的に変動して前記データの測定誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定ステップと、前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記測定誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、画像データを取得する際に、経時的に変動して前記画像データの読み取り誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定し、前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出するようにした。これにより、これらの各変動量を見ることによって、経時的な変動に起因する読み取り誤差が、取得した画像データにどの程度含まれているかを定量的に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すように、画像読取装置2は、ステージ10と、光源光学系12と、光学ヘッド14と、導光光学系16と、フォトマルチプライア(光検出手段)18とで構成されている。ステージ10は、画像担体20を支持する。画像担体20には、例えば、蛍光色素によって標識された電気泳動画像を記録したゲル支持体や転写支持体、及び放射線画像、オートラジオグラフィ画像、放射線回折画像、電子顕微鏡画像などを輝尽性蛍光体層に記録した蓄積性蛍光体シートなどが用いられる。
【0018】
光源光学系12は、前述の画像担体20を励起させるための励起光24を照射する。導光光学系16は、光源光学系12が照射した励起光24を導光し、光学ヘッド14に入射させる。光学ヘッド14は、励起光24をステージ10に載置された画像担体20に照射する。また、ステージ10には、裏面側から照射される励起光24を透過させるため、透明なガラス板22が嵌め込まれている。画像担体20は、このガラス板22の上に載置される。
【0019】
画像担体20は、励起光24が照射されることによって励起し、記録した画像に応じて蛍光あるいは輝尽光である発光光26を生じさせる。光学ヘッド14は、画像担体20に励起光24を照射するとともに、画像担体20から発せられた発光光26を集光し、導光光学系16に入射させる。そして、導光光学系16は、発光光26を導光し、フォトマルチプライア18に入射させる。
【0020】
このように、画像読取装置2は、画像担体20に励起光24を照射して励起させ、励起に応じて画像担体20から発せられる発光光26をフォトマルチプライア18で光電的に検出することにより、画像担体20に記録された画像を読み取る。また、画像担体20から発せられる発光光26は、非常に微弱な光である。このため、画像読取装置2の各部は、図示を省略した筐体によって覆われ、画像読み取りの際に発光光26以外の光がフォトマルチプライア18に入射しないように遮光される。なお、この画像読取装置2は、例えば、蛍光画像検出システム、オートラジオグラフィ画像検出システム、放射線回折画像検出システム、電子顕微鏡による画像検出システム、及び化学発光画像検出システムなどに用いられる。
【0021】
光源光学系12は、640nmの波長の励起光24を発する第1レーザ励起光源30と、532nmの波長の励起光24を発する第2レーザ励起光源31と、473nmの波長の励起光24を発する第3レーザ励起光源32とを備えている。第1レーザ励起光源30は、半導体レーザによって構成される。第2レーザ励起光源31と第3レーザ励起光源32とは、第二高調波生成(Second Harmonic Generation) 素子によって構成される。なお、各レーザ励起光源30、31、32の波長、及び種類は、これに限るものではない。また、励起光源の数も、3つに限ることなく、2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
【0022】
光源光学系12は、さらに、各レーザ励起光源30、31、32からの励起光24を平行な光にするコリメータレンズ33、34、35、励起光24を導光光学系16に導くためのミラー36、39とダイクロイックミラー37、38とを備えている。
【0023】
第1レーザ励起光源30から照射された励起光24は、コリメータレンズ33によって平行な光とされた後、ミラー36によって反射される。第1レーザ励起光源30から照射された励起光24の光路上には、640nmの波長の光を透過させ、532nmの波長の光を反射させるダイクロイックミラー37、及び532nm以上の波長の光を透過させ、473nmの波長の光を反射させるダイクロイックミラー38が設けられている。第1レーザ励起光源30から照射され、ミラー36で反射した励起光24は、各ダイクロイックミラー37、38を透過し、ミラー39に入射する。
【0024】
第2レーザ励起光源31から照射された励起光24は、コリメータレンズ34によって平行な光とされた後、ダイクロイックミラー37で反射して、その向きが90度変えられ、ダイクロイックミラー38を透過して、ミラー39に入射する。第3レーザ励起光源32から照射された励起光24は、コリメータレンズ35によって平行な光とされた後、ダイクロイックミラー38で反射して、その向きが90度変えられ、ミラー39に入射する。ミラー39に入射した各励起光24は、ミラー39で反射して導光光学系16に入射する。
【0025】
導光光学系16は、ミラー40、穴開き凹面ミラー41、凹面ミラー42、及びフィルタユニット43を有している。ミラー40は、光源光学系12から入射した励起光24を穴開き凹面ミラー41に向けて反射させる。穴開き凹面ミラー41には、中央部に貫通孔41aが形成されている。穴開き凹面ミラー41は、ミラー40で反射した励起光24を貫通孔41aに通し、凹面ミラー42に向かわせる。凹面ミラー42は、貫通孔41aを通った励起光24を反射させ、光学ヘッド14に入射させる。
【0026】
また、凹面ミラー42は、光学ヘッド14から入射した発光光26を穴開き凹面ミラー41に向けて反射させる。穴開き凹面ミラー41は、凹面ミラー42で反射した発光光26を下方に反射させ、フィルタユニット43、及びフォトマルチプライア18に入射させる。このように、穴開き凹面ミラー41は、貫通孔41aを介して励起光24を通過させるとともに、発光光26を下方に反射させることにより、励起光24と発光光26とを分岐させる。
【0027】
ところで、画像読み取りの際に画像担体20に照射された励起光24は、画像担体20で反射する。そして、画像担体20で反射した励起光24は、凹面ミラー42と穴開き凹面ミラー41とを介して、発光光26とともにフォトマルチプライア18に向かう。この励起光24がフォトマルチプライア18に検出されてしまうと、バックグラウンドノイズとなってS/N比を低下させる要因になる。
【0028】
フィルタユニット43は、所定の波長の光をカットするフィルタを有しており、このフィルタでフォトマルチプライア18に向かう励起光24を除去する。フィルタユニット43は、4つのフィルタモジュール45、46、47、48を備えている。各フィルタモジュール45、46、47、48には、それぞれ異なる波長特性を有するフィルタが設けられている。また、フィルタユニット43には、各フィルタモジュール45、46、47、48を矢線X方向に移動させるスライド機構(図示は省略)が設けられている。
【0029】
フィルタユニット43は、各フィルタモジュール45、46、47、48をスライド移動させることにより、励起光24及び発光光26に対して適切な特性のフィルタを有するフィルタモジュール45、46、47、48をフォトマルチプライア18の光路上に配置する。これにより、フィルタユニット43は、フォトマルチプライア18に向かう励起光24を除去して、発光光26のみをフォトマルチプライア18に検出させる。
【0030】
フィルタモジュール45は、例えば、画像担体20がゲル支持体もしくは転写支持体である場合に、第1レーザ励起光源30を用いて、画像担体20に含まれている蛍光色素を励起し、蛍光を読み取るときに使用される。このフィルタモジュール45には、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも長い波長の光を透過させる特性のフィルタが設けられる。
【0031】
フィルタモジュール46は、例えば、画像担体20がゲル支持体もしくは転写支持体である場合に、第2レーザ励起光源31を用いて、画像担体20に含まれている蛍光色素を励起し、蛍光を読み取るときに使用される。このフィルタモジュール46には、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも長い波長の光を透過させる特性のフィルタが設けられる。
【0032】
フィルタモジュール47は、例えば、画像担体20がゲル支持体もしくは転写支持体である場合に、第3レーザ励起光源32を用いて、画像担体20に含まれている蛍光色素を励起し、蛍光を読み取るときに使用される。このフィルタモジュール47には、473nmの波長の光をカットし、473nmよりも長い波長の光を透過させる特性のフィルタが設けられる。
【0033】
フィルタモジュール48は、例えば、画像担体20が蓄積性蛍光体シートである場合に、第1レーザ励起光源30を用いて、蓄積性蛍光体シートに含まれた輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から発せられた輝尽光を読み取るときに使用される。このフィルタモジュール48には、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光の波長域の光のみを透過させ、640nmの波長の光をカットする特性のフィルタが設けられる。
【0034】
図2に示すように、光学ヘッド14は、凹面ミラー50と、非球面レンズ52を備えている。凹面ミラー50は、光学ヘッド14に入射した励起光24を画像担体20に向けて反射させる。非球面レンズ52は、凹面ミラー50で反射した励起光24をステージ10のガラス板22上に載置された画像担体20の裏面に集光する。また、非球面レンズ52は、励起光24の照射によって画像担体20から発せられた発光光26を集光し、凹面ミラー50に入射させる。凹面ミラー50は、入射した発光光26をさらに集光するとともに、略平行な光にして導光光学系16の凹面ミラー42に入射させる。
【0035】
図1に示すように、光学ヘッド14は、基板54の上に設けられている。基板54は、光学ヘッド14を主走査方向(矢線X方向)にスライド自在に保持する。また、基板54と凹面ミラー42とには、移動機構56が接続されている。移動機構56は、基板54上で光学ヘッド14を主走査方向に移動させるとともに、基板54と凹面ミラー42とを副走査方向(矢線Y方向)に移動させる。このように、光学ヘッド14を主走査方向と副走査方向とに移動させることによって、画像担体20の全面が励起光24によって走査され、画像担体20に記録された画像が読み取られる。
【0036】
図3は、画像読取装置2の電気的構成の概略を示すブロック図である。画像読取装置2には、上記各部の他に、コントローラ60、積分回路62、オフセット補償回路64、対数変換回路66、A/D変換回路68、ハードディスクドライブ(HDD)70、高圧回路72などが設けられている。コントローラ60は、画像読取装置2の各部を統括的に制御する。
【0037】
積分回路62は、フォトマルチプライア18から出力された電流信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号を対数変換回路66に入力する。この積分回路62は、例えば、差動アンプとしてのオペアンプと、このオペアンプの反転入力端子(−)と出力端子との間に接続される積分コンデンサと、この積分コンデンサをリセットするリセット用FETとからなる、いわゆるミラー積分構成になっている。
【0038】
オフセット補償回路64は、積分回路62に補償電圧を印加することにより、積分回路62の出力に表れるオフセット電圧を相殺する(0Vにする)。オフセット補償回路64は、例えば、積分回路のオペアンプの非反転入力端子(+)と基準電位としてのグランドとの間にドレイン端子及びソース端子が接続される補償用FETと、この補償用FETと並列に接続される補償用コンデンサとで構成される。オフセット補償回路64は、補償用FETのゲートに印加される電圧に応じて補償電圧の値を変化させる。
【0039】
積分回路62のオフセット電圧は、オフセット電圧と補償電圧とが同電位になるように、ボリューム抵抗などによって補償用FETのゲート電圧を調節することで相殺される。また、オフセット補償回路64の出力は、積分回路62とともにコントローラ60に接続されており、コントローラ60にも補償電圧が入力される。
【0040】
対数変換回路66は、積分回路から出力された電圧信号を対数変換する。この対数変換回路66は、例えば、トランジスタのベース・エミッタ間電圧対エミッタ電流の指数特性をオペアンプのフィードバックループ内に入れた、周知の回路である。A/D変換回路68は、対数変換回路66の対数変換処理によって圧縮されたアナログの電圧信号を10〜1000kHz程度のサンプリング周波数でデジタルの電圧信号に変換する。また、A/D変換回路68は、変換したデジタルの電圧信号を画像データとしてHDD70に記録する。
【0041】
高圧回路72は、約900Vの高電圧をフォトマルチプライア18に印加することによって、フォトマルチプライア18を駆動する。この高圧回路72は、コントローラ60に接続されており、コントローラ60からの制御信号によって、フォトマルチプライア18への高電圧の印加、及び停止が制御される。また、高圧回路72のモニタ出力は、コントローラ60にも接続されている。
【0042】
コントローラ60には、各レーザ励起光源30、31、32、移動機構56、第1フォトダイオード(PD)74、第2PD75、第3PD76、温度センサ78、湿度センサ80、及びディスプレイ82が、さらに接続されている。各レーザ励起光源30、31、32は、コントローラ60からの駆動信号に応じて点灯/消灯を切り替える。移動機構56は、コントローラ60からの駆動信号に応じて前述のように光学ヘッド14を移動させる。
【0043】
第1PD74は、第1レーザ励起光源30が励起光24を照射した際に、その励起光24の一部を受光して第1レーザ励起光源30のレーザパワーを測定し、その測定結果をコントローラ60に出力する。同様に、第2PD75、第3PD76は、それぞれ第2レーザ励起光源31、第3レーザ励起光源32のレーザパワーを測定し、その測定結果をコントローラ60に出力する。
【0044】
温度センサ78は、画像読取装置2内の任意の位置に配置されており、装置内の温度を測定して、その測定結果をコントローラ60に出力する。温度センサ78には、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタなどといった周知のセンサが用いられる。湿度センサ80は、画像読取装置2内の任意の位置に配置されており、装置内の湿度を測定して、その測定結果をコントローラ60に出力する。湿度センサ80には、例えば、高分子膜湿度センサ、セラミック湿度センサ、電解質湿度センサなどといった周知のセンサが用いられる。ディスプレイ82は、画像読取装置2の筐体に表示面を露呈させるように取り付けられ、コントローラ60の処理に応じて様々な画面を表示する。
【0045】
ところで、画像担体20の読み取りには、1時間もしくはそれ以上の時間を要する場合がある。このため、画像読取装置2内の温度や各レーザ励起光源30、31、32のレーザパワーなどが変動し、こうした経時的な変動が画像に濃度誤差(読み取り誤差)を与えてしまうことがある。このため、コントローラ60は、画像読み取りを行う際に、値が変動する可能性のある複数の変動要因を画像データとともに取得することにより、取得した画像データにどの程度の濃度誤差が含まれているかを定量的に判断できるようにする。この変動要因は、画像読み取りの前後で取得される(前後でしか取得できない)前後取得要因群と、画像読み取りが行われている間連続して取得される連続取得要因群とに分類される。
【0046】
前後取得要因群の変動要因には、例えば、フォトマルチプライア18のダークノイズ、フォトマルチプライア18の検出感度、積分回路62のオフセット電圧、移動機構56による光学ヘッド14の走査速度などが含まれる。一方、連続取得要因群の変動要因には、例えば、画像読取装置2内の温度、画像読取装置2内の湿度、各レーザ励起光源30、31、32のレーザパワー、オフセット補償回路64が積分回路62に印加する補償電圧、高圧回路72がフォトマルチプライア18に印加する高電圧などが含まれる。なお、変動要因は、これらに限ることなく、例えば、フィルタユニット43に設けられるフィルタの分光特性など、経時的に変動して濃度誤差の要因となる可能性があるものであれば如何なるものを含めてもよい。
【0047】
コントローラ60は、画像読取装置2に設けられたスタートスイッチ(図示は省略)や画像読取装置2に別途接続される画像データ処理装置(図示は省略)などを介して画像読取装置2に画像読み取りの開始指示が入力されると、まず、前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を開始する。
【0048】
フォトマルチプライア18のダークノイズは、光が入射しない状態でフォトマルチプライア18を駆動し、その際の積分回路62の出力をモニタすることにより取得される。フォトマルチプライア18の検出感度は、光量が分かった定光量の光源(図示は省略)の光をフォトマルチプライア18に入射させ、その際の積分回路62の出力をモニタすることにより取得される。積分回路62のオフセット電圧は、フォトマルチプライア18を駆動していない状態で積分回路62の出力をモニタすることにより取得される。光学ヘッド14の走査速度は、移動機構56を駆動し、光学ヘッド14を主走査方向と副走査方向とのそれぞれの方向の端から端まで移動させた際の時間を計測することにより取得される。
【0049】
なお、フォトマルチプライア18のダークノイズとフォトマルチプライア18の検出感度とは、積分回路62を通して測定されるため、これらの測定結果には、積分回路62のオフセット電圧も含まれてしまう。このため、フォトマルチプライア18のダークノイズとフォトマルチプライア18の検出感度とは、前述のように測定した後、オフセット電圧分を差し引くようにすることが好ましい。また、ここで測定される積分回路62のオフセット電圧は、オフセット補償回路64によって相殺された後のものでもよいし、相殺される前のものでもよい。
【0050】
前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行ったコントローラ60は、画像担体20の種類などに応じて対応する各レーザ励起光源30、31、32のいずれかを点灯させるとともに、移動機構56を駆動して光学ヘッド14を走査移動させ、画像担体20の画像読み取りを開始する。また、コントローラ60は、画像読み取りの開始と同時に、連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定を開始する。
【0051】
画像読取装置2内の温度は、温度センサ78によって取得される。画像読取装置2内の湿度は、湿度センサ80によって取得される。各レーザ励起光源30、31、32のレーザパワーは、各PD74、75、76によって取得される。オフセット補償回路64の補償電圧は、オフセット補償回路64の出力をモニタすることによって取得される。高圧回路72の高電圧は、高圧回路72の出力をモニタすることによって取得される。コントローラ60は、画像読み取りが終了するまで所定の周期で上記測定を繰り返すことにより、連続取得要因群に含まれる各変動要因を連続的に取得する。このように、請求項記載の変動要因測定手段は、コントローラ60と各センサなどとの組み合わせによって構成される。
【0052】
コントローラ60は、画像読み取りの終了とともに連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定を停止する。そして、この後、画像読み取りの開始前と同様に前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行う。取得された画像データは、前述のように、HDD70に記録される。コントローラ60は、各変動要因の測定を行った後、取得したこれらの各変動要因の測定結果を画像データに関連付けてHDD70に記録する。なお、画像データと各測定結果との関連付けは、例えば、同一のファイル名を付与したり、測定日時や固有のコードなどを各ファイルのメタデータとして記録するなど、周知の方法を用いればよい。
【0053】
また、コントローラ60には、変動量算出部(変動量算出手段)90と信頼度算出部92とが設けられている。変動量算出部90は、取得された各変動要因の測定結果を基に、各変動要因の変動量を算出する。変動量算出部90は、変動量をD、変動要因の設計基準値をA、変動要因の測定値をS、変動要因の設計的な誤差許容範囲をW、定量化係数をαとするとき、次式(1)によって各変動要因の変動量を算出する。
D = α×|(S−A)|/W × 100 [%] ・・・(1)
【0054】
各変動要因の変動が画像データに与える影響は、変動要因によって異なる。例えば、画像読取装置2内の温度が変化すると、画像担体20が発する発光光26の光量が変化するため、影響の度合いが大きい。定量化係数αは、こうした影響の度合いを定量化するために各変動要因に予め設定されたものである。すなわち、上記(1)式に示すように、定量化係数αを乗じることによって、画像データに与える影響を定量化した変動量Dを得ることができる。
【0055】
信頼度算出部92は、変動量算出部90で算出された各変動要因の変動量Dを基に、取得された画像データに含まれる濃度誤差の度合いを表す信頼度を算出する。信頼度は、例えば、各変動要因が全く変動していない状態(濃度誤差がない状態)を100%、各変動要因の全てが許容値を超えて変動した状態を0%とする百分率で表される。信頼度算出部92は、例えば、各変動要因の変動量Dの積算値を算出し、この積算値を予め用意された変換関数に代入することなどにより、信頼度を算出する。
【0056】
コントローラ60は、各変動要因の変動量D、及び信頼度の算出を行うと、図4に示す測定結果表示画面100をディスプレイ82に表示する。測定結果表示画面100には、各変動要因の項目名を表示する変動要因表示部102と、各変動要因の変動量Dを棒グラフ106で表示する変動量表示部104と、算出された信頼度を表示する信頼度表示部108とが設けられている。このように、コントローラ60は、測定結果表示画面100をディスプレイ82に表示することにより、各変動要因の変動量Dと信頼度との算出結果をユーザに報知する。
【0057】
次に、蛍光標識されたゲル支持体を画像担体20とする場合を例に、図5に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による画像読取装置2の作用について説明する。画像読取装置2で画像担体20に記録された画像を読み取る際には、まず画像担体20をステージ10のガラス板22の上に載置する。そして、画像読取装置2に設けられたスイッチや画像読取装置2に別途接続される画像データ処理装置などを介して画像読取装置2に画像読み取りの開始指示を入力する。
【0058】
開始指示が入力された画像読取装置2のコントローラ60は、前述ように、前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行う。前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行ったコントローラ60は、第1レーザ励起光源30を点灯させ、第1レーザ励起光源30に励起光24を照射させるとともに、フィルタユニット43のスライド機構を駆動し、第1レーザ励起光源30に対応したフィルタモジュール45をフォトマルチプライア18に向かう光路上に配置する。また、コントローラ60は、移動機構56を駆動して光学ヘッド14を主走査方向と副走査方向とに移動させ、画像担体20の画像読み取りを開始する。
【0059】
また、コントローラ60は、画像読み取りの開始と同時に、連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定を開始する。連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定したコントローラ60は、先に取得した前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定結果と、連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定結果とを、変動量算出部90に入力する。変動量算出部90は、入力された各測定結果を基に、各変動要因の変動量Dを算出する。変動量算出部90に各変動要因の変動量Dを算出させたコントローラ60は、ディスプレイ82に測定結果表示画面100(図4参照)を表示し、算出した各変動量Dをユーザに報知する。
【0060】
また、コントローラ60は、変動量算出部90に各変動要因の変動量Dを算出させると、各変動量Dが予め設定された許容値を超えているか否かを判定する。コントローラ60は、許容値を超えた変動要因があると判定した場合、警告メッセージをディスプレイ82に表示し、許容値を超えた変動要因があることをユーザに報知する。なお、許容値は、各変動要因に共通して設定されるものでもよいし、各変動要因のそれぞれに個別に設定されるものでもよい。また、許容値は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0061】
コントローラ60は、画像読み取りが終了するまで所定の周期で連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定を繰り返す。そして、コントローラ60は、連続取得要因群に含まれる各変動要因を測定する毎に、各変動要因の変動量Dの算出と、測定結果表示画面100の表示と、各変動量Dの許容値の判定とを行う。このように、測定結果表示画面100や警告メッセージの表示などを行うことで、連続取得要因群に含まれる各変動要因の変動状態をリアルタイムでユーザに知らせることができる。
【0062】
コントローラ60は、画像読み取りが終了すると、再び前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行う。前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行ったコントローラ60は、取得した前後取得要因群に含まれる各変動要因の測定結果を変動量算出部90に入力し、変動量算出部90に各変動要因の変動量Dを算出させる。変動量算出部90に変動量Dを算出させたコントローラ60は、画像読み取りに際して算出された全ての変動量Dを信頼度算出部92に入力する。信頼度算出部92は、入力された各変動量Dを基に、取得した画像データの信頼度を算出する。
【0063】
信頼度算出部92に信頼度を算出させたコントローラ60は、算出された信頼度を測定結果表示画面100の信頼度表示部108に表示する。信頼度を表示したコントローラ60は、取得した画像データ、及び各変動要因の測定結果と算出した変動量Dとをそれぞれ関連付けてHDD70に記録する。なお、これらの各データは、HDD70に限ることなく、例えば、画像データ処理装置に転送した後、画像データ処理装置に記録するようにしてもよい。さらに、各データは、同一の場所に限ることなく、関連付けした後、それぞれ別々の場所に記録するようにしてもよい。
【0064】
このように、本実施形態によれば、画像読み取りの際に、値が変動する可能性のある複数の変動要因を測定し、その測定結果を基に変動量Dを算出したので、これらの各変動量Dを見ることによって、画像読取装置2の経時的な変動に起因する濃度誤差が、取得した画像データにどの程度含まれているかを定量的に判断することができる。
【0065】
また、定量化係数αを乗じることによって、各変動要因が画像データに与える影響を定量化するようにしたので、各変動量Dを見ることによって、支配的な変動要因を容易に確認することができる。これにより、次に画像読み取りを行う際に、変動量Dの大きい変動要因に対して対策を講じることができるなど、画像読取装置2のメンテナンス効率の向上を図ることもできる。さらには、各変動量Dを基に画像データの信頼度を算出するようにしたので、各変動要因の変動量Dを個々に確認せずとも、この信頼度を確認することによって、取得した画像データに濃度誤差の影響がどの程度含まれているかをユーザに即座に認識させることができる。
【0066】
なお、上記実施形態では、連続取得要因群に含まれる各変動要因の測定を行う毎に、各変動要因の変動量Dの算出を行うようにしているが、これに限ることなく、画像読み取りの終了後にまとめて各変動要因の変動量Dを算出するようにしてもよい。この際、図6のフローチャートに示すように、各変動要因の測定結果を所定時間単位の複数のブロック(請求項記載の分割測定データに相当)に分割し、各ブロック毎に信頼度を算出するようにしてもよい。例えば、1時間かけて画像読み取りが行われた場合に、各変動要因の測定結果を10分毎の6つのブロックに分割する。このように、複数のブロックに分割することで、例えば、前半の30分に読み取られた部分は信頼できるが、後半の30分に読み取られた部分は信頼できないなど、濃度誤差の影響をより正確に判断することができる。
【0067】
また、上記の各変動要因のうち、画像読取装置2内の温度、積分回路62のオフセット電圧、各レーザ励起光源30、31、32のレーザパワー、高圧回路72がフォトマルチプライア18に印加する高電圧などにおいては、変動が濃度誤差として与える影響を関数的に表すことができる。すなわち、これらの各変動要因に対しては、変動と濃度誤差の影響との関係を示す関数(補正データ)を予め用意しておくことで、変動分を補正することができる。なお、画像データに対して補正処理を行う場合には、例えば、図7のフローチャートに示すように、最も変動量Dの高い変動要因を検出し、その変動要因に対応する補正処理を実施するようにすることが好ましい。このように、算出した各変動量Dを基にして補正すべき変動要因を決めることで、効果的な補正処理を行うことができる。
【0068】
さらに、上記各実施形態では、画像担体20に記録された画像を読み取る画像読取装置2に本発明を適用した例を示したが、本発明は、これに限ることなく、例えば、血液や尿などの試料液を化学分析スライドに滴下して呈色反応させ、その呈色光学濃度を光学的に測定する生化学分析装置など、長時間に亘って高精度にデータの測定を行う他の如何なる装置に本発明を適用してもよい。また、本発明は、プログラムの態様で構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画像読取装置2の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】光学ヘッドの構成を概略的に示す断面図である。
【図3】画像読取装置の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図4】測定結果表示画面の一例を示す説明図である。
【図5】画像読み取りの手順を概略的に示すフローチャートである。
【図6】測定結果を複数のブロックに分割する例を示すフローチャートである。
【図7】画像データに補正処理を行う例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
2 画像読取装置
12 光源光学系
18 フォトマルチプライア(光検出手段)
20 画像担体
24 励起光
26 発光光
30 第1レーザ励起光源(励起光源)
31 第2レーザ励起光源(励起光源)
32 第3レーザ励起光源(励起光源)
60 コントローラ
62 積分回路
78 温度センサ
90 変動量算出部(変動量算出手段)
92 信頼度算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録した画像担体に励起光を照射し、この励起光の照射によって励起した前記画像担体から発せられる光を光電的に読み取ることによって前記画像に応じた画像データを取得する画像読取方法において、
前記画像データを取得する際に、経時的に変動して前記画像データの読み取り誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定ステップと、
前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出ステップとを有することを特徴とする画像読取方法。
【請求項2】
前記各変動量を基に、取得された画像データに含まれる前記読み取り誤差の度合いを表す信頼度を算出する信頼度算出ステップを有することを特徴とする請求項1記載の画像読取方法。
【請求項3】
前記各変動要因の測定結果を所定時間単位で分割して複数の分割測定データを作成するステップを有し、
前記信頼度算出ステップは、前記各分割測定データ毎に前記信頼度を算出することを特徴とする請求項2記載の画像読取方法。
【請求項4】
前記変動量の最も高い前記変動要因を検出し、検出した前記変動要因に対応した補正処理を前記画像データに施す補正ステップを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項5】
前記各変動要因の測定結果と前記変動量とを前記画像データに関連付けて記録する記録ステップを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項6】
前記各変動量のそれぞれが予め設定された許容値を超えているか否かを判定するステップと、
前記許容値を超えた前記変動量があると判定された際に、警告を報知するステップとを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項7】
前記変動量算出ステップは、前記各変動要因毎に予め設定された定量化係数を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項8】
前記各変動要因には、少なくとも、前記励起光を照射する励起光源の出力と、前記画像担体から発せられる光を光電的に検出する光検出手段に印加される高電圧と、前記光検出手段から出力される電流信号を電圧信号に変換する積分回路の出力に表れるオフセット電圧と、装置内の温度とが含まれることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像読取方法。
【請求項9】
画像を記録した画像担体に励起光を照射し、この励起光の照射によって励起した前記画像担体から発せられる光を光電的に読み取ることによって前記画像に応じた画像データを取得する画像読取装置において、
前記画像データを取得する際に、経時的に変動して前記画像データの読み取り誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定手段と、
前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記読み取り誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
長時間に亘って高精度にデータの測定を行うデータ測定方法において、
前記データを測定する際に、経時的に変動して前記データの測定誤差を与える可能性のある複数の変動要因を測定する変動要因測定ステップと、
前記各変動要因の測定結果を基に、前記各変動要因が与える前記測定誤差の影響を定量化して前記各変動要因の変動量を算出する変動量算出ステップとを有することを特徴とするデータ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−250177(P2008−250177A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94029(P2007−94029)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】