説明

画像読取装置および画像形成装置、並びにキャリッジの位置決め方法

【課題】ホームポジションセンサを設けることなく、また、キャリッジをハウジングに衝突させることなく、キャリッジをホームポジションに位置決めすること。
【解決手段】線状光源とイメージセンサとが搭載されたキャリッジ24を備えた画像読取装置において、ホームポジションHPから第1方向側の基準位置RPに基準パターン23が配置され、基準位置RPよりも第1方向側に所在領域境界BPが設定されている。電源投入直後に、所在領域境界BPに対して第1方向側の第1領域AR1と第2方向側の第2領域AR2のいずれにキャリッジ24が存在するかを示す所在領域情報を不揮発性メモリから読み出して、キャリッジ24を基準位置に移動させた後に、キャリッジ24を予め設定された距離だけ第2方向に移動させてホームポジションHPに位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像に光を照射する線状光源がキャリッジに搭載された画像読取装置、および、その画像読取装置を備えた画像形成装置、並びに、キャリッジをホームポジションに位置決めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取る画像読取装置では、プラテンガラス上の原稿に光を照射する線状光源をキャリッジに搭載する構成、あるいは線状光源と原稿にて反射された光を受光するイメージセンサとの両方をキャリッジに搭載する構成が実用化されている。線状光源は、通常、キセノンランプ、蛍光灯等の直線状のランプによって構成されており、イメージセンサの主走査方向に平行な状態でキャリッジに搭載されている。キャリッジは、例えばパルスモータによって構成された画像読取モータと、プーリ、ベルト等によって構成された動力伝達部とによって、プラテンガラスの下方域を、主走査方向とは直交する副走査方向に沿って往復移動するように構成されている。キャリッジは、通常、プラテンガラスに近接したホームポジション(通常待機位置)に位置決めされており、プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、画像読取モータによって、ホームポジションからプラテンガラスに沿って第1方向に平行移動され、その平行移動の間に、線状光源から照射される光によって原稿を露光して、原稿からの反射光をイメージセンサにて受光するようになっている。キャリッジは、プラテンガラス上に載置された原稿のサイズに対応した所定の距離だけ第1方向へ移動された後に、反対方向である第2方向に平行移動されて、ホームポジションに戻される。
【0003】
また、キャリッジに搭載された線状光源から照射される光の光量が長手方向(副走査方向)に不均一であることによって生じる露光ムラ、レンズの結像ムラ等の誤差を補正するためにシェーディング補正が実施される。このシェーディング補正では、原稿画像を読み取る前に、シェーディング補正に必要な補正係数を演算し、その後、イメージセンサによって原稿画像の画像データが得られると、その画像データを、演算された補正係数に基づいて補正する。画像読取装置には、シェーディング補正に必要な黒色基準データおよび白色基準データをそれぞれ得るための黒色基準面および白色基準面を有する基準パターンが、イメージセンサによって読取可能な位置に設けられている。
【0004】
シェーディング補正を行う場合には、キャリッジは、ホームポジションから、イメージセンサによる基準パターンの読み取り位置にまで移動されて、基準パターンにおける黒色基準面および白色基準面からの反射光をイメージセンサによって受光して、ホームポジションに復帰される。シェーディング補正に必要な補正係数は、イメージセンサが受光する黒色基準面および白色基準面の反射光に基づいて演算される。
【0005】
キャリッジは、ホームポジションを基準として、原稿画像を読み取る場合には原稿画像を読み取るために必要な距離だけ移動され、また、シェーディング補正を実施する場合には、基準パターンの読み取り位置にまで移動される。キャリッジがホームポジションに位置されていることは、特許文献1に記載されているように、通常、ホームポジションセンサによって検出される。
【0006】
しかしながら、特許文献1のようにホームポジションセンサを使用すると、経済性が損なわれ、コストアップにつながるという問題がある。また、スキャナ(キャリッジ)が移動する領域の近傍にホームポジションセンサを配置するためのスペースを確保する必要があるために、画像読取装置の小型化が阻害されるおそれもある。特に、画像読取装置とともに画像形成装置等が設けられたオールインワン型の複合機等では、小型化するためにスペース効率を高める必要があり、ホームポジションセンサのためのスペースを確保することが容易でないという問題がある。
【0007】
特許文献2には、ホームポジションセンサを設けることなく、ホームポジションに対応する位置に光学的に読み取り可能な検出パターンを設けて、その検出パターンを光学的に読み取った電気信号に基づいて走行体(キャリッジ)をホームポジションに位置させる構成が開示されている。
【特許文献1】特開平5−188486号公報
【特許文献2】特開2004−104467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示された構成では、ホームポジションに対応した位置に、ホームポジションを特定するための特別な検出パターンを設ける必要があり、そのために、コストアップに繋がるおそれがある。また、検出パターンを設置するためのスペースを確保する必要もある。特に、自動原稿給紙装置(ADF)を備える画像読取装置の場合には、通常、ADFにて搬送される原稿の読取位置と、プラテンガラス上に載置された原稿の読取位置との間にホームポジションが設定されるために、検出パターンを設置するためのスペースを確保することが容易でないという問題がある。
【0009】
図11は、自動原稿給紙装置(ADF)を備えた画像読取装置におけるホームポジションを説明するための模式図である。この画像読取装置では、ハウジング上面におけるADFにて搬送される原稿の読取位置にスリットが形成されており、そのスリット内にコンタクトガラス(スリットガラス)81が配置されている。また、スリットガラス81の側方には、原稿が載置されるコンタクトガラス82が設けられている。キャリッジ84には、線状光源およびイメージセンサの両方が搭載されており、キャリッジ84のホームポジションHPは、スリットガラス81とプラテンガラス82との間に設定されている。また、ホームポジションHPとプラテンガラス82との間には、シェーディング補正のための基準パターン83が配置されている。
【0010】
このように、スリットガラス81とプラテンガラス82との間にホームポジションHPを設定して、ホームポジションHPとプラテンガラス82との間に基準パターン83を設ける構成では、スリットガラス81とプラテンガラス82との間に、さらに、ホームポジションHPを検出するためのセンサ、専用の検出パターン等を設置するためのスペースを確保することが容易でないという問題がある。
【0011】
このような問題を解決するために、図11に示す構成の画像読取装置において、電源オン時に、キャリッジ84に搭載されたイメージセンサによって、例えば、基準パターン83における黒色基準面および白色基準面との境界を基準位置RPとして検出し、その基準位置RPを基準としてキャリッジ84をホームポジションHPに位置決めする構成が提案されている。すなわち、図11の(1)に模式的に示すように、電源オン時に、イメージセンサによって基準パターン83が検出されるように、キャリッジ84を、プラテンガラス82上の原稿画像の読み取り方向である第1方向に所定の距離だけ移動させ、イメージセンサによって基準パターン83が検出されると、その基準パターン83の検出位置に基づいてキャリッジ84を基準位置RPまで移動させる。その後に、キャリッジ84を、第1方向とは反対方向である第2方向に予め設定された所定の距離(基準位置RPからホームポジションHPまでの距離)だけ移動させることによって、キャリッジ84をホームポジションHPに位置決めする。
【0012】
この制御において、キャリッジ84を第1方向に所定の距離だけ移動させても基準パターン83をイメージセンサによって検出することができない場合には、キャリッジ84の位置が不明であるために強制的にキャリッジ84を画像読取装置の副走査方向の一方端の位置85まで移動させるべく、第2方向に移動可能な最大距離にわたってキャリッジを第2方向に移動させた後に、キャリッジ84を第1方向に移動させて、イメージセンサによって基準パターン83を検出させる。イメージセンサによって基準パターン83が検出されると、キャリッジ84は、検出位置から上記所定距離だけ第2方向に移動されることによって、ホームポジションHPに位置決めされる。
【0013】
しかしながら、上記の制御では、キャリッジ84が一方端の位置85においてハウジングに衝突してキャリッジ84が停止しても、例えばモータによる回転が停止されないことによってキャリッジ84に第2方向への駆動力が付与され続けるおそれがある。このような場合には、キャリッジ84を移動させるための動力伝達部においてプーリとベルトとの連結が外れる等の不具合が発生して、その後に、キャリッジ84を移動させることができなくなるおそれがある。さらには、衝突音が発生することによって、ユーザに不安感あるいは不快感を与えるおそれもある。このような問題は、図11の(2)に示すように、スリットガラス81の遠方側のプラテンガラス82に近接したハウジング側面の近傍にキャリッジ84が位置している場合にも同様に生じるおそれがある。すなわち、イメージセンサによって基準パターン83を検出するためにキャリッジ84を第1方向に移動させると、所定距離移動する前に、キャリッジ84がハウジング側面に衝突するからである。
【0014】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、その目的は、ホームポジションを検出するための特別なセンサを設けることなく、また、キャリッジをハウジングに衝突させることなく、キャリッジをホームポジションに位置決めすることができる画像読取装置、および、その画像読取装置を備えた画像形成装置、並びにキャリッジをホームポジションに位置決めする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像読取装置は、プラテンガラス上に載置された原稿の画像面に光を照射する線状光源を有するキャリッジと、該線状光源から照射されて前記原稿によって反射された光を受光するイメージセンサと、前記キャリッジを、前記線状光源とは直交する第1方向と、該第1方向とは反対方向である第2方向とに移動させる読取駆動手段と、前記キャリッジの移動経路内に前記イメージセンサにより読み取り可能に配置された基準パターンと、不揮発性の記憶手段と、前記基準パターンの配置位置または該基準パターンよりも第1方向側に所在領域の境界が設定されており、その境界に対して第1方向側を第1領域、第2方向側を第2領域とした場合にいずれの領域に前記キャリッジが存在するかを判定し、その判定結果から得られるキャリッジの所在領域情報を、該キャリッジが前記境界を通過する毎に更新して前記記憶手段に書き込むデータ書き込み制御手段と、電源投入直後に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ向けて移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記基準パターンから所定距離だけ離れたホームポジションまで前記キャリッジを前記第2方向に移動させるキャリッジ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像読取装置と、該画像読取装置にて読み取られた画像データに基づいて記録シートに画像を形成するプリンタと、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の方法は、プラテンガラス上に載置された原稿の画像面に光を照射する線状光源を有するキャリッジと、該線状光源から照射されて前記原稿によって反射された光を受光するイメージセンサと、前記キャリッジを、前記線状光源とは直交する第1方向と、該第1方向とは反対方向である第2方向とに移動させる読取駆動手段と、前記キャリッジの移動経路内に前記イメージセンサにより読み取り可能に配置された基準パターンと、不揮発性の記憶手段と、データ書き込み制御手段と、キャリッジ制御手段と、を備えた画像読取装置において、前記キャリッジをホームポジションに位置決めする方法であって、前記基準パターンの配置位置または該基準パターンよりも第1方向側に所在領域の境界が設定されており、前記データ書き込み制御手段が、前記境界に対して第1方向側を第1領域、第2方向側を第2領域とした場合にいずれの領域に前記キャリッジが存在するかを判定し、その判定結果から得られるキャリッジの所在領域情報を、該キャリッジが前記境界を通過する毎に更新して前記記憶手段に書き込む工程と、前記キャリッジ制御手段が、電源投入直後に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ向けて移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記基準パターンから所定距離だけ離れたホームポジションまで前記キャリッジを前記第2方向に移動させる工程と、を包含することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、電源投入直後に、記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、キャリッジを基準パターンが配置された位置に移動させるようになっていることから、キャリッジが、第1領域および第2領域のいずれに位置していても、キャリッジを基準パターンに向って移動させることができ、キャリッジがハウジングの側面に衝突することを確実に防止することができる。キャリッジが基準パターン位置に移動されると、基準パターン位置からホームポジションにまで移動されて位置決めされることから、キャリッジがホームポジションに位置していることを検出するためのセンサ等を設ける必要がなく、部品点数を削減してコストダウンすることができ、しかも、センサ等を設けるためのスペースを確保する必要もない。
【0018】
好ましくは、前記イメージセンサが前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする。
好ましくは、前記キャリッジ制御手段は、前記記憶手段に記憶された所在領域情報が前記第2領域の場合には、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記第1方向に移動させることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記キャリッジ制御手段は、前記キャリッジが前記第2領域に位置する場合に前記イメージセンサによって前記基準パターンを読み取るために必要な最大移動距離にわたって前記キャリッジを前記第1方向に移動しても前記基準パターンを検出できない場合に、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを第2方向に反転移動させることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記キャリッジ制御手段は、前記記憶手段に記憶された所在領域情報が前記第1領域の場合には、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを第2方向に移動させることを特徴とする。
好ましくは、前記キャリッジ制御手段は、前記キャリッジが前記第2領域に位置する場合に前記イメージセンサによって前記基準パターンを読み取るために必要な最大移動距離にわたって前記キャリッジを前記第1方向に移動させても前記基準パターンを検出できない場合に、前記読取駆動手段を制御して該キャリッジの移動を停止させて、警告を発することを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記基準パターンは、前記イメージセンサの黒色レベル調整を行う黒色基準面と白色レベル調整を行う白色基準面とが相互に隣接して配置されることによって形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記ホームポジションに対して前記第2方向側に、自動原稿給紙装置にて搬送される原稿が通過するスリットガラスが配置されており、前記キャリッジ制御手段は、該スリットガラス上を通過する原稿の画像を読み取る場合には、該原稿の画像を前記イメージセンサが読み取ることができるように、前記キャリッジを該スリットガラスの直下にまで移動させることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記境界が、前記基準パターンよりも第1方向側に設定されていることを特徴とする。
好ましくは、前記境界が、前記プラテンガラスにおける前記キャリッジの移動方向に沿った長さの中央部分またはその近傍に設定されていることを特徴とする。
好ましくは、前記キャリッジ制御手段は、前記プラテンガラス上に載置された原稿を読み取る直前に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記境界から前記ホームポジションまでの予め設定された第2距離だけ前記キャリッジを前記第2方向に移動させて前記ホームポジションに位置させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例を示す斜視図である。この画像形成装置は、複写機、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの機能を有するオールインワン(AIO)型の複合機(MFP)であり、ネットワークを介したデータの送受信が可能になっている。図1に示すように、この画像形成装置は、記録用紙等の記録シート上にトナー画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10上に設けられた画像読取装置であるスキャナ部20と、スキャナ部20上に設けられたADF(自動原稿給紙装置)30とを備えている。
【0024】
ADF30は、スキャナ部20に原稿を自動的に供給する。スキャナ部20は、ADF30によって供給される原稿の画像、または、スキャナ部20にセットされた原稿の画像を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。また、画像形成部10には、プリンタ部11と、プリンタ部11の下側に設けられた給紙部12とが設けられており、給紙部12によって記録シートがプリンタ部11に供給される。プリンタ部11では、スキャナ部20にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にトナー画像をプリントする。プリンタ部11によって画像がプリントされた記録シートは、スキャナ部20と画像形成部10との間に設けられた排紙トレイ13上に排出される。
【0025】
また、スキャナ部20の正面側部分には、操作パネル40が設けられている。操作パネル40には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部41と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部42とが設けられている。表示部42は、例えば液晶パネルによって構成されている。
図2は、スキャナ部20およびADF30の概略構成を示す模式図である。ADF30は、複数枚の原稿Dが載置される原稿搭載台31を備えている。原稿搭載台31には、載置される原稿Dを検出する原稿検出センサ31aが設けられている。原稿搭載台31上の原稿Dは、ピックアップローラ32によって搬送路33に送り出され、搬送路33を通ってプラテンローラ36の上部に搬送される。ピックアップローラ32は、上方の退避位置と下方の給紙位置とに移動可能になっており、原稿Dを搬送路33に送り出す場合には、上方の退避位置から原稿搭載台31上の原稿Dに圧接される下方の給紙位置に移動される。
【0026】
搬送路33内には、ピックアップローラ32によって繰り出される原稿Dをプラテンローラ36に搬送するレジストローラ34が設けられている。プラテンローラ36の上部には、第1搬送ローラ35が圧接されており、レジストローラ34にて搬送される原稿Dは、第1搬送ローラ35とプラテンローラ36との間を通過することによって、プラテンローラ36の外周面の略半周に沿って搬送される。プラテンローラ36の下部には第2搬送ローラ37が圧接されており、プラテンローラ36の外周面の略半周に沿って搬送される原稿Dは、第2搬送ローラ37とプラテンローラ36との間を通過することにより、スキャナ部20の原稿画像読取位置上を通過して、排紙ローラ対38にまで搬送される。排紙ローラ対38は、スキャナ部20の原稿画像読取位置上を通過した原稿Dを原稿排出トレイ(図示せず)上に排出する。
【0027】
なお、プラテンローラ36の下方には、第2搬送ローラ37からスキャナ部20の原稿画像読取位置へ搬送される原稿Dを検出するレジストセンサ33aが設けられている。また、ADF30におけるプラテンローラ36等は、ADF駆動モータ39によって駆動される。
スキャナ部20は、扁平な長方体形状のハウジング20aを備えており、このハウジング20a内に、線状光源25およびイメージセンサ26が搭載されたキャリッジ24が設けられている。キャリッジ24は、ハウジング20a内を、矢印Aで示す第1方向および矢印Bで示す第2方向に沿って(すなわち、副走査方向に沿って)往復移動できるように配置されている。キャリッジ24は、副走査方向と直交する方向(紙面垂直方向:主走査方向)に沿って長く延びた形状になっており、長手方向の両側の端部が、ハウジング20a内において副走査方向に沿って設けられたガイドレール(図示せず)上にスライド可能に支持されている。キャリッジ24には、画像読取モータ27の正回転および逆回転が、ベルト、ワイヤー、プーリ等によって構成された駆動伝達部28を介して伝達されるようになっており、キャリッジ24は、画像読取モータ27の正回転によって第1方向に平行移動され、画像読取モータ27の逆回転によって第2方向に平行移動される。これにより、キャリッジ24は、ハウジング20aの副走査方向の両側に位置するそれぞれの側面間にわたって移動する。画像読取モータ27はパルス制御されるパルスモータによって構成されており、駆動信号のパルス数に基づいて、キャリッジ24を所定の距離だけ移動させることができる。
【0028】
スキャナ部20には、ハウジング20aの上面に主走査方向に沿って形成されたスリット内に配置されているコンタクトガラス(以下、スリットガラスとする)21と、プラテンガラス22とが設けられている。スリットガラス21は、ADF30による原稿Dの搬送方向上流側における原稿画像読取位置に配置されており、ADF30にて搬送される原稿Dがスリットガラス21上を通過する。プラテンガラス22は、スリットガラス21に対して第1方向に所定の間隔をあけて配置されており、画像が読み取られる原稿が載置されるようになっている。
【0029】
キャリッジ24に搭載されたイメージセンサ26は、主走査方向に沿って配置された複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)によって構成されている。線状光源25は、直線状に延びるキセノンランプ、LED等によって構成されており、イメージセンサ26に平行な状態でキャリッジ24に搭載されている。線状光源25は、スリットガラス21上を通過する原稿またはプラテンガラス22上に載置された原稿に対して光を照射し、原稿から反射される光が、スリットガラス21またはプラテンガラス22を介してイメージセンサ26によって受光される。原稿からの反射光を受光するイメージセンサ26からは原稿画像の濃淡に対応した画像データが出力される。この画像データは、画像処理部29(図4)において、シェーディング補正されるとともにデジタルデータに変換される。
【0030】
スリットガラス21とプラテンガラス22との間には、イメージセンサ26から出力される画像データをシェーディング補正する際の基準データを取得するための基準パターン23が設けられている。この基準パターン23は、図3に示すように、線状光源25と同程度の長さの長方形の平板状に構成されており、線状光源25から照射される光を長手方向の全体にわたってイメージセンサ26に反射するように、ハウジング20aにおける上面の下側に主走査方向に沿った状態で取り付けられている。基準パターン23は、スリットガラス21側に位置する黒色基準面23aと、プラテンガラス22側に位置する白色基準面23bとが相互に隣接することによってパターン化されている。黒色基準面23aと白色基準面23bとの境界部分は主走査方向に沿った直線状になっており、この境界部分が、キャリッジ24をホームポジションに位置決めする際の基準位置RPになっている。イメージセンサ26は、シェーディング補正時に、黒色基準面23aおよび白色基準面23bの反射光を受光し、また、後述のように、キャリッジ24をホームポジションに位置決めする際に、黒色基準面23aと白色基準面23bとの境界位置を基準位置RPとして検出する。なお、この境界部分には、主走査方向に等しい間隔をあけた3か所において白色基準面23bの一部が黒色基準面23a内に進入するように凸形状の白色パターンが設けられており、イメージセンサ26によって基準位置RPを読み取る際に、原稿の画像と混同しないように構成されている。
【0031】
キャリッジ24は、電源のオン時、およびプラテンガラス22上に載置された原稿の画像の読み取り時に、スリットガラス21と基準パターン23との間に予め設定された通常待機位置(ホームポジション)HP(図5参照)に位置決めされ、プラテンガラス22上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、ホームポジションHPから、プラテンガラス22に沿って第1方向にスライド(平行移動)されて、原稿のサイズに対応した所定の距離だけ移動された後に、第2方向にスライドされてホームポジションHPに復帰される。また、スリットガラス21上を通過する原稿Dの画像を読み取る場合には、このホームポジションHPから、スリットガラス21が設けられた画像読取位置(スリットガラス21の幅方向の中央位置)にまで第2方向にスライドされて停止される。さらに、イメージセンサ26のシェーディング補正を実施する場合には、キャリッジ24は、ホームポジションHPから第1方向にスライドされ、基準パターン23の下方において停止されて、イメージセンサ26が黒色基準面23aおよび白色基準面23bをそれぞれ読み取る。
【0032】
図4は、画像形成装置における制御系の主要部のブロック図である。画像形成装置の画像形成部10には、CPU51a、RAM51b等を有する制御装置51が設けられており、制御装置51によって各種制御、情報処理等が実行される。制御装置51には、操作パネル40に設けられたキー入力部41から各種データが入力されるようになっており、また、制御装置51は、操作パネル40に設けられた表示部42を制御する。
【0033】
制御装置51には、データの入出力を行うためのデータ入出力インターフェース52が接続されている。このデータ入出力インターフェース52には、外部のネットワーク61が接続されるLAN端子、USB62が接続されるUSB端子、パーソナルコンピュータ(PC)63、他のMFP64等の各種周辺機器が接続されるパラレルインターフェース端子およびシリアルインターフェース端子が設けられている。制御装置51にて制御されるデータ通信制御部53は、データ入出力インターフェース52の各端子に接続されたそれぞれの機器と、電子メール等によるデータの送受信を行う。
【0034】
制御装置51には、さらに、スキャナ部20のイメージセンサ26からの出力をデジタルデータに変換する画像処理部29と、画像処理部29から出力される画像データ、データ入出力インターフェース52を介して取得された画像データ等を記憶する画像メモリ54と、後述する所在領域情報が記憶される不揮発性メモリ55とが接続されている。また、制御装置51には、ファクシミリデータを生成するファクシミリ部58、および、ファクシミリ部58にて生成されたファクシミリデータを公衆電話回線による送受信の制御を行う通信制御部59も接続されている。
【0035】
制御装置51と、制御装置51に接続されたキー入力部41、表示部42、データ入出力インターフェース52、データ通信制御部53、画像メモリ54、不揮発性メモリ55とは、データ入出力インターフェース52に接続されたネットワーク61等とともに情報処理部50を構成している。
制御装置51は、スキャナ部20の画像読取モータ27を制御してキャリッジ24をスリットガラス21の下方に移動させる。また、ADF30に設けられたADF駆動モータ39を制御して、スキャナ部20のスリットガラス21上に原稿搭載台31上に搭載された原稿を通過させることによって、ADF30にて搬送される原稿Dの画像をイメージセンサ26にて読み取らせる。さらに、制御装置51は、スキャナ部20の画像読取モータ27を制御してキャリッジ24をプラテンガラス22の下方域を通過させることによって、プラテンガラス22上に載置された原稿の画像をイメージセンサ26にて読み取らせる。イメージセンサ26から出力される画像データは、画像処理部29によってデジタルの画像データとされる。なお、シェーディング補正時には、制御装置51は、基準パターン23における黒色基準面23aおよび白色基準面23bをイメージセンサ26が読み取るように、キャリッジ24を基準パターン23の下方域にまで移動させる。
【0036】
制御装置51は、また、画像形成部10に設けられたプリンタ部11および給紙部12を制御して、画像処理部29によって処理された画像データ、あるいは、画像メモリ54に記憶された画像データに基づいて、通常の電子写真方式によって記録シート上にトナー画像を形成させる。
さらに、制御装置51は、スキャナ部20におけるキャリッジ24をホームポジションに位置決め制御するキャリッジ制御部51dと、その位置決め制御のために不揮発性メモリ55に所定情報を書き込むデータ書き込み制御部51cと、キャリッジ24を移動させる画像読取モータ27の制御信号におけるパルス数をカウントするカウンタ51eとが設けられている。
【0037】
次に、キャリッジ24をホームポジションに位置決め制御する方法について、図5の模式図に基づいて説明する。基準パターン23とスリットガラス21との間のホームポジションHPは、基準パターン23の黒色基準面23aと白色基準面23bとの境界部分を基準位置RPとして、この基準位置RPから第2方向に距離LHPだけ離れた位置に予め設定されている。また、キャリッジ24をホームポジションHPに位置決めする際におけるキャリッジ24が存在する位置に関する情報である所在領域情報を取得するために、基準位置RPから第1方向側に所定の距離だけ離れた位置に所在領域境界BPが予め設定されている。この所在領域境界BPは、基準パターン23の基準位置RPと同じ位置、あるいは基準位置RPに対して第1方向側に位置していればよく、特に限定されるものではないが、本実施形態では、基準パターン23とプラテンガラス22との間であって、キャリッジ24が基準パターン23を通過した直後の位置、すなわち、キャリッジ24の第2方向側のエッジが基準パターン23の第1方向側のエッジに一致した状態になる場合のキャリッジの位置を所在領域境界BPに設定している。そして、ホームポジションHPから所在領域境界BPまでの距離をLareaとし、この所在領域境界BPよりも第1方向側の領域を第1領域AR1、所在領域境界BPよりも第2方向側の領域を第2領域AR2としている。
【0038】
不揮発性メモリ55には、例えば、工場において画像形成装置を製品として出荷する前の検査等によって、キャリッジ24が第1領域AR1および第2領域AR2のいずれに位置するかの情報である所在領域情報が初期設定される。例えば、検査時に、キャリッジ24が第1領域AR1に位置している場合には、不揮発性メモリ55に「0」の値が初期設定され、キャリッジ24が第2領域AR2に位置している場合には、不揮発性メモリ55に「1」の値が初期設定される。また、制御装置51には、初期設定後において、キャリッジ24が所在領域境界BPを通過して、第1領域AR1から第2領域AR2に移動したこと、または、第2領域AR2から第1領域AR1に移動したことを検出すると、データ書き込み制御部51cは、キャリッジ24が所在領域境界BPを通過して第1領域AR1に移動した場合には、不揮発性メモリ55の値を「1」から「0」に書き換え、キャリッジ24が所在領域境界BPを通過して第2領域AR2に移動した場合には、不揮発性メモリ55の値を「0」から「1」に書き換える。
【0039】
制御装置51のキャリッジ制御部51dは、画像読取モータ27をパルス制御によって正回転または逆回転させるための駆動信号を画像読取モータ27に出力する。カウンタ51eは、その駆動信号におけるパルス数をカウントする。キャリッジ制御部51dは、キャリッジ24がホームポジションHPに位置されることによって、カウンタ51eを「0」にリセットし、キャリッジ24を第1方向に移動させるために画像読取モータ27を正回転させる駆動信号の場合にはパルス数をカウントアップし、キャリッジ24を第2方向に移動させるために画像読取モータ27を逆回転させる駆動信号の場合には、パルス数をカウントダウンする。以後、カウンタ51eは、画像読取処理、シェーディング補正処理等によってキャリッジ24の移動処理が実施されると、画像読取モータ27に与えられる駆動信号のパルス数をカウントする。
【0040】
制御部51には、ホームポジションHPから第1領域AR1および第2領域AR2の所在領域境界BPまでの距離Lareaにわたってキャリッジ24を移動させるために必要とされる画像読取モータ27の駆動信号のパルス数PCOUNTareaが予め設定されており、また、基準位置RPからホームポジションHPまでの距離LHPにわたってキャリッジ24を移動させるために必要とされる画像読取モータ27の駆動信号のパルス数についてもPCOUNTHPとして予め設定されている。データ書き込み制御部51cは、キャリッジ24を、予め設定されているパルス数PCOUNTareaと、実際にキャリッジ24が移動しているときのカウンタ51eによるカウント値PCOUNTIRMとに基づいて、キャリッジ24が所在領域境界BPを通過したことを検出し、不揮発性メモリ55に書き込まれた所在領域情報を書き換える。すなわち、カウンタによるカウント値PCOUNTIRMが、ホームポジションHPから境界位置BPまでの距離Lareaに相当するパルス数PCOUNTarea以下(PCOUNTIRM≦PCOUNTarea)であれば、キャリッジ24は、第2領域AR2に位置するものと判断し、PCOUNTIRM>PCOUNTareaであれば、キャリッジ24は、第1領域AR1に位置するものと判断する。
【0041】
このような構成の画像形成装置では、電源がオフ状態からオン状態にされた直後には、キャリッジ24は、キャリッジ制御部51dによって、不揮発性メモリ55に書き込まれた所在領域情報に基づいてホームポジションHPに位置決めされる。この場合、まず、所在領域情報に基づいて画像読取モータ27が正回転または逆回転されることによって、キャリッジ24は基準位置RPに移動される。この所在領域情報に基づいてキャリッジ24を基準位置RPに移動させるための制御の詳細については後述する。キャリッジ24が基準位置RPに移動されると、キャリッジ24がホームポジションHPに位置するように、画像読取モータ27が駆動される。この場合、制御装置51は、画像読取モータ27に対して、予め設定されたパルス数PCOUNTHPだけ逆回転させるための駆動信号を与える。これにより、画像読取モータ27が逆回転されて、キャリッジ24は第2方向に所定の距離だけ移動されて停止され、キャリッジ24はホームポジションHPに位置決めされる。
【0042】
図6は、制御装置51のデータ書き込み制御部51cによって不揮発性メモリ55に記憶された所在領域情報を書き換える制御を説明するためのフローチャートである。データ書き込み制御部51cは、画像読取処理、シェーディング補正処理等のためにキャリッジ24の移動が開始されると(図6のステップS11参照、以下同様)、キャリッジ24の移動が終了するまで、ステップS12〜S17の処理を、所定間隔、例えば、数10msec間隔で繰り返し実行する。すなわち、ステップS12では、カウンタ51eによる駆動信号のカウント値PCOUNTIRMと予め設定されたPCOUNTareaとを比較することによって、キャリッジ24が第1領域AR1および第2領域AR2のいずれに存在するかを確認する(ステップS12)。そして、確認した現在の所在領域と、不揮発性メモリ55に格納されている所在領域情報とが異なっているかを判断する(ステップS13)。キャリッジ24が、所在領域境界BPを通過してキャリッジ24の所在領域が変化した場合(ステップS13において「YES」)には、不揮発性メモリ55における所在領域情報を書き換えるためにステップS14に進み、キャリッジ24の所在領域が第1領域AR1から第2領域AR2に変化しているか否かを確認する(ステップS14)。すなわち、カウンタのカウント値PCOUNTIRMが、パルス数PCOUNTarea以下になっている場合(PCOUNTIRM≦PCOUNTarea)には、キャリッジ24は、第1領域AR1から第2領域AR2に移動することによって所在領域が第2領域AR2になっていると判定し、カウンタのカウント値PCOUNTIRMが、パルス数PCOUNTareaよりも大きくなっている場合(PCOUNTIRM>PCOUNTarea)には、キャリッジ24は、第2領域AR2から第1領域AR1に移動することによって所在領域が第1領域AR1になっていると判定する。
【0043】
キャリッジ24が第1領域AR1から第2領域AR2に移動したものと判定した場合(ステップS14において「YES」)には、所在領域情報として「1」を不揮発性メモリ55に書き込み(ステップS15)、キャリッジ24の所在領域が第2領域AR2から第1領域AR1に移動したものと判定した場合(ステップS14において「NO」)には、所在領域情報として「0」を不揮発性メモリ55に書き込む(ステップS16)。その後、ステップS17に進んで、キャリッジ24の移動が終了して移動終了位置になるまで、ステップS11〜S15の処理が繰り返される。
【0044】
以上により、キャリッジ24の移動が開始されてキャリッジ24が停止されるまでの間において、所在領域境界BPを通過する毎に不揮発性メモリ55の所在領域情報が書き換えられ、不揮発性メモリ55には、最新の所在領域情報が常に記憶される。しかも、カウンタ51eによるカウント値の変化に基づいてキャリッジ24が所在領域境界BPを通過したことが確認された場合にのみ不揮発性メモリ55における所在領域情報が書き換えられることから、不揮発性メモリ55では、キャリッジ24の移動開始から停止するまでの間において、カウンタ51eによるカウント値がインクリメントまたはデクリメントする毎に全てを記憶する必要がなく、従って、不揮発性メモリ55における書き換え回数を低減することができる。
【0045】
次に、画像形成装置の電源がオン状態になった直後にキャリッジ24をキャリッジ制御部51dによってホームポジションHPに位置決めする制御について、図7のフローチャートに基づいて説明する。画像形成装置の電源がオフ状態からオン状態にされると、キャリッジ制御部51dは、不揮発性メモリ55に書き込まれた所在領域情報を読み出し(図7のステップS21参照、以下同様)、読み出された所在領域情報の値に基づいて、キャリッジ24の所在領域が第1領域AR1であるかを確認する(ステップS22)。所在領域情報の値が「0」であることによってキャリッジ24が第2領域AR2に存在していると判定される場合(ステップS22において「NO」)には、第2領域AR2に存在しているキャリッジ24が基準パターン23を検出するために必要とされる最大移動距離としてLNを設定する(ステップS24)。この場合の最大移動距離LNは、図8に示すように、第2領域AR2における第2方向側の端部から基準パターン23における第1方向側のエッジまでの距離である。なお、最大移動距離LNとしては、このような値に限らず、第2領域AR2の全体の長さを最大移動距離LNとして設定してもよい。
【0046】
所在領域情報の値が「1」であってキャリッジ24が第1領域AR1に存在していると判定される場合(ステップS22において「YES」)には、ステップS23において、第1領域AR1に存在しているキャリッジ24が基準パターン23を検出するための距離RTが最大移動距離として設定される。この場合の最大距離RTは、図8に示すように、第1領域AR1における第1方向側の端部から基準パターン23における第2方向側のエッジまでの距離である。最大距離RTが設定されると、ステップS29に進んで、キャリッジ24が第1領域AR1からホームポジションHPに位置決めされる。この制御については後述する。
【0047】
ステップS24において、キャリッジ24が第2領域AR2に存在していることによってキャリッジ24の移動できる最大距離としてLNが設定されると、線状光源25を点灯して、画像読取モータ27を正回転駆動する(ステップS25)。これにより、キャリッジ24が第1方向に移動され、キャリッジ24に搭載されたイメージセンサ26の出力に基づいて、キャリッジ24が基準位置RPに位置されているかを検出する基準位置処理が実行される(ステップS26)。基準位置処理において、イメージセンサ26の出力が黒色基準面23aに対応する信号から白色基準面23bに対応する信号に変化することによって、キャリッジ24が基準位置RPに位置されているかを確認する(ステップS27)。キャリッジ24が基準位置RPに位置されていることが確認された場合(ステップS27において「YES」)には、前述したように、画像読取モータ27は、基準位置RP検出時のカウンタ51eによるカウントパルス数から予め設定されたパルス数PCOUNTHP分だけ逆回転駆動される(ステップS35)。これにより、キャリッジ24は、基準位置RPから第2方向に所定の距離Lareaだけスライドされ、ホームポジションHPに位置決めされる。キャリッジ24が位置決めされると、線状光源25が消灯される。
【0048】
これに対して、イメージセンサ26によって基準パターン23を検出することができず、キャリッジ24が基準位置RPに位置されたことを確認することができない場合(ステップS27において「NO」)には、ステップS24にて設定された最大距離LNにわたってキャリッジ24が第1方向に移動されたかを判断する(ステップS28)。キャリッジ24が最大距離LNにわたって移動されていない場合(移動量<LN、ステップS28において「YES」)には、ステップS25に戻り、画像読取モータ27の正回転駆動が継続されて、基準位置処理が続行される。キャリッジ24が第1方向に最大距離LNにわたって移動されても基準パターン23を検出することができずにキャリッジ24を基準位置とすることができない場合(ステップS28において「NO」)は、電源投入時にキャリッジ24が基準位置R在と所在領域境界BPとの間に位置していた場合であり、ステップS29に進んで、画像読取モータ27が逆回転駆動される(ステップS29)。これにより、キャリッジ24の移動方向が反転されてキャリッジ24は第2方向に移動される。キャリッジ24の第2方向への移動により、イメージセンサ26の出力に基づく基準パターン23のパターン検出による基準位置処理が実行され(ステップS30)、キャリッジ24が基準位置RPにまで移動したかを確認する(ステップS31)。キャリッジ24が基準位置に移動したことが確認される場合(ステップS31において「YES」)には、ステップS35に進んで、画像読取モータ27が、予め設定された所定のパルス数PCOUNTHP分だけ逆回転駆動される。これにより、キャリッジ24はホームポジションHPに移動される。
【0049】
これに対して、ステップS31において、イメージセンサ26によって基準パターン23のパターンが検出されずに、キャリッジ24が基準位置とされない場合(ステップS31において「NO」)には、移動量が最大距離よりも短いか否かを判定する(ステップS32)。この場合の最大距離とは、ステップS24において設定された距離LNであり、移動量<最大距離LNの場合(ステップS32において「YES」)には、ステップS29に戻って、画像読取モータ27の逆転を継続するとともに、ステップS30の基準位置処理を続行する。ステップS29〜S30を繰り返して、キャリッジ24が最大移動距離LNにわたって移動しても、イメージセンサ26によって基準パターン23を検出することができず、基準位置RPにならない場合(ステップS32において「NO」)には、トラブルが発生したものとして画像読取モータ27の駆動を停止して(ステップS33)、キャリッジ24の移動を停止させる。そして、キャリッジ24がホームポジションHPに位置していないことの警告を発するように、警告ランプの点灯等の警告処理が実行される(ステップS34)。
【0050】
次に、ステップS22において、電源投入時に、キャリッジ24が第1領域AR1に存在していると判定され(ステップS22において「YES」)、ステップS23において、キャリッジ24の最大距離としてRTが設定された場合のステップS29以降の処理について、以下に説明する。キャリッジ24が第1領域AR1に存在していることによって最大距離としてRTが設定されると、画像読取モータ27を逆回転駆動してキャリッジ24を第2方向に移動させる(ステップS29)。そして、イメージセンサ26による基準パターン23のパターン検出に基づく基準位置処理も実行され(ステップS30)、この基準位置処理によってキャリッジ24が基準位置になったかを確認する(ステップS31)。キャリッジ24が基準位置になっていることが確認された場合(ステップS31において「YES」)には、ステップS35に進んで、前述したように、画像読取モータ27が、設定されたパルス数PCOUNTHP分だけ逆回転駆動される。これにより、キャリッジ24は第2方向に所定の距離Lareaだけスライドされ、ホームポジションHPに位置決めされる。
【0051】
これに対して、イメージセンサ26による基準パターン23の検出が確認されない場合(ステップS31において「NO」)には、移動量が最大距離よりも短いか否かを判断する(ステップS32」)。この場合の最大距離とは、ステップS23において設定された距離RTである。キャリッジ24の移動距離が最大距離RTに達していない場合には、ステップS29に戻り、画像読取モータ27の逆回転駆動が継続される。逆に、キャリッジ24の移動距離が最大距離RTになった場合(ステップS32において「NO」)には、キャリッジ24が最大距離RTにわたって移動されてもイメージセンサ26が基準パターン23を検出することができない場合であり、トラブルが発生したものとして、画像読取モータ27の駆動を停止して(ステップS33)、所定の警告処理が実行される(ステップS34)。以上が、キャリッジ制御部51dによるキャリッジ24をホームポジションHPに位置決めするための制御である。
【0052】
図8は、図7のフローチャートにて示された、キャリッジ24をホームポジションHPに位置決めする制御を説明するための模式図である。図8の(1)は、キャリッジ24が第2領域AR2におけるホームポジションHPの近傍に位置された状態で、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の移動状態を示している。この場合には、画像読取モータ27の正回転駆動(図7におけるステップS25参照、以下同様)によってキャリッジ24は第1方向に移動され、これにより基準位置RPとされる(ステップS27において「YES」)。その後、画像読取モータ27が所定パルス数だけ逆回転駆動されることによってキャリッジ24がホームポジションHPに位置決めされる(ステップS35)。
【0053】
図8の(2)は、キャリッジ24が第2領域AR2における第2方向の最も端部(左端)に位置された状態で、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の移動状態を示している。この場合には、画像読取モータ27の正回転駆動(図7におけるステップS25)によってキャリッジ24は第1方向に移動され、基準位置RPに移動されると(ステップS27において「YES」)、画像読取モータ27の所定パルス数の逆回転駆動によってキャリッジ24がホームポジションHPに位置決めされる(ステップS35)。
【0054】
図8の(3)は、キャリッジ24が第2領域AR2内であって所在領域境界BPに近接して位置された状態で、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の移動状態を示している。この場合には、画像読取モータ27の正回転駆動(ステップS25)によってキャリッジ24は第1方向に移動され、移動距離の最大距離LNにわたって移動されると(ステップS28において「NO」)、画像読取モータ27は逆回転駆動され(ステップS29)、キャリッジ24が基準位置RPまで移動されると(ステップS31において「YES」)、画像読取モータ27の所定パルス数の逆回転駆動によってキャリッジ24がホームポジションHPに位置される(ステップS35)。
【0055】
図8の(4)は、キャリッジ24が第1領域AR1内における所在領域境界位置BPに近接して位置された状態で、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の移動を示している。この場合には、画像読取モータ27の逆回転駆動(ステップS22において「YES」、ステップS23、ステップS29)によってキャリッジ24は基準位置RPまで第2方向に移動され(ステップS31において「YES」)、その後、画像読取モータ27の所定パルス数の逆回転駆動によってキャリッジ24がホームポジションHPに位置決めされる(ステップS35)。
【0056】
図8の(5)は、キャリッジ24が第1領域AR1における第1方向側の端部(右端)に位置された状態で、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の移動状態を示している。この場合には、図8の(4)と同様に、画像読取モータ27の逆回転駆動(ステップS22において「YES」、ステップS23、ステップS29)によってキャリッジ24がホームポジションHPに位置決めされる。
【0057】
このように、本実施形態では、キャリッジ24がホームポジションHPに位置していることを検出するためのセンサ等を用いることなく、シェーディング補正時に使用される基準パターン23を用いて、電源オン時に、キャリッジ24が第2方向の端部から第1方向の端部の間のいずれの位置であっても、キャリッジ24をハウジング20aの側面に衝突させることなく確実にホームポジションHPに位置決めすることができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態では、所在領域境界BPが、基準パターン23とプラテンガラス22との間であって、基準パターン23に近接した位置に設定されている。このような位置に設定することによって、キャリッジ24が第1領域AR1に位置していても、比較的短い距離の移動によって基準位置RPへ移動させることができるために、効率よくホームポジションHPに位置決めすることができる。しかしながら、所在領域境界BPを基準パターン23に近接した位置に設定すると、例えば、キャリッジ24の第2方向への移動中に基準位置RPの直前において電源がオフされると、不揮発性メモリ55における所在領域情報は第1領域AR1のままであるが、キャリッジ24は、慣性で基準位置RPを通過して第2領域AR2に進入し、所在領域情報が実際のキャリッジの位置とが一致していない状態が生じるおそれがある。また、第1方向に移動するキャリッジ24を基準位置RPに停止させる場合に、慣性によって所在領域境界BPを通過するおそれがある。この場合には、不揮発性メモリ55に記憶された所在領域情報が書き換えられるために、不揮発性メモリ55において所在領域情報の書き換え回数が多くなるおそれもある。これらのことを防止するために、例えば、図9に示すように、所在領域境界BPをプラテンガラス22における副走査方向の中央位置あるいはその近傍に設定する構成としてもよい。このような構成とすることにより、キャリッジ24が慣性によって所在領域境界BPを通過するおそれがなく、不揮発性メモリ55における所在領域情報と実際のキャリッジ24の位置とが相違すること、あるいは不揮発性メモリ55において所在領域情報の書き換え回数が多くなることを防止できる。
【0059】
なお、このような構成では、画像形成装置の電源がオンされた場合におけるキャリッジ24の位置が、図9の(1)に示すようにホームポジションHPに位置する場合、図9の(2)に示すように第2領域AR2における第2方向の端部(左端)に位置する場合、図9の(5)に示すようにキャリッジ24が第1領域AR1内における第1方向の端部(右端)に近接して位置する場合には、キャリッジ24の移動状態は、図8の(1)〜(2)、(5)に示す場合とそれぞれ同様であるが、図9の(3)に示すようにキャリッジ24が第2領域AR2内における境界位置BPに近接して位置する場合には、キャリッジ24は、最大距離LNだけ第1方向に移動された後に、基準位置RPまで第2方向に移動されることになり、最初に、第1方向に最大移動距離LNだけ無駄に移動されることになる。また、図9の(4)に示すように、第1領域AR1に位置するキャリッジ24を基準位置RPとするために移動させるための距離も、図8の(4)に示す場合よりも長くなるために、キャリッジ24の移動時間は若干長くなって、キャリッジ24をホームポジションHPに位置決めするための効率が若干低下することになる。
【0060】
なお、所在領域境界BPは、プラテンガラス22における副走査方向の中央部に設定する構成に限らず、図10に示すように、プラテンガラス22における副走査方向の中央部よりも第1方向側に設定してもよい。ただし、この場合には、図10の(3)に示すように、キャリッジ24がハウジング20aの第1方向側の側面に衝突することを防止するためには、第1領域AR1の長さを、第2領域AR2においてキャリッジ24が移動することができる最大移動距離LNよりも長く設定する必要がある。このような構成とすると、キャリッジ24が第1領域AR1に位置する図10の(3)および(4)に示す場合には、キャリッジ24を基準位置RPとするために移動させるための距離が図9の(3)および(4)に示す場合よりも長くなり、キャリッジ24の移動時間はさらに長くなることになる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、電源がオンされた場合に、キャリッジ24をホームポジションに位置決めする構成について説明したが、プラテンガラス22上に載置された原稿の画像を読み取るために、キャリッジ24を第1方向に移動させる直前にも、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御を実行する構成としてもよい。
また、キャリッジ24にイメージセンサ26が搭載されている構成に限らず、イメージセンサ26をハウジング20a内に固定して、線状光源25と第1反射ミラーとを第1キャリッジに搭載するとともに、一対の第2および第3反射ミラーを第2キャリッジに搭載して、第1キャリッジおよび第2キャリッジをそれぞれ所定の速度で移動させて、線状光源から照射されて原稿にて反射された光を、第1キャリッジの反射ミラー、第2キャリッジの第2および第3反射ミラーを介してイメージセンサ26に導く構成であってもよい。
【0062】
さらに、本発明の画像形成装置は、MFP(Multiple Function Peripheral)においてADF30が設けられている構成に限るものではなく、ADF30が設けられず、従って、スリットガラス21が設けられていない構成であってもよい。また、本発明の画像形成装置は、MFPに限らず、複写機、FAX等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、プラテンガラス上に載置された原稿の画像面に光を照射する線状光源を有するキャリッジと、該線状光源に平行に配置されて前記原稿によって反射された光を受光するイメージセンサとを備える画像読取装置において、キャリッジを、ホームポジションセンサを設けることなくホームポジションに位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態における画像読取装置が備えられた画像形成装置の概要を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に設けられた画像読取装置の主要部の構成を示す模式図である。
【図3】その画像読取装置に使用される基準パターンを示す平面(下面)図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の制御系における主要部のブロック図である。
【図5】本発明の画像読取装置において、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御を説明するための模式図である。
【図6】本発明の画像読取装置における所在領域情報の書き換え制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明の画像読取装置において、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御を示すフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートに基づく制御を説明するための模式図である。
【図9】本発明の画像読取装置において、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御の他の例を説明するための模式図である。
【図10】本発明の画像読取装置において、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御のさらに他の例を説明するための模式図である。
【図11】従来の画像読取装置において、キャリッジをホームポジションに位置決めするための制御の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0065】
10 画像形成装置本体部
20 スキャナ部
20a ハウジング
21 スリットガラス
22 プラテンガラス
23 基準パターン
23a 黒色基準面
23b 白色基準面
24 キャリッジ
25 線状光源
26 イメージセンサ
27 画像読取モータ
28 駆動伝達部
29 画像処理部
30 ADF
40 操作パネル
50 情報処理部
51 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンガラス上に載置された原稿の画像面に光を照射する線状光源を有するキャリッジと、
該線状光源から照射されて前記原稿によって反射された光を受光するイメージセンサと、
前記キャリッジを、前記線状光源とは直交する第1方向と、該第1方向とは反対方向である第2方向とに移動させる読取駆動手段と、
前記キャリッジの移動経路内に前記イメージセンサにより読み取り可能に配置された基準パターンと、
不揮発性の記憶手段と、
前記基準パターンの配置位置または該基準パターンよりも第1方向側に所在領域の境界が設定されており、その境界に対して第1方向側を第1領域、第2方向側を第2領域とした場合にいずれの領域に前記キャリッジが存在するかを判定し、その判定結果から得られるキャリッジの所在領域情報を、該キャリッジが前記境界を通過する毎に更新して前記記憶手段に書き込むデータ書き込み制御手段と、
電源投入直後に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ向けて移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記基準パターンから所定距離だけ離れたホームポジションまで前記キャリッジを前記第2方向に移動させるキャリッジ制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記イメージセンサが前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記キャリッジ制御手段は、前記記憶手段に記憶された所在領域情報が前記第2領域の場合には、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記第1方向に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記キャリッジ制御手段は、前記キャリッジが前記第2領域に位置する場合に前記イメージセンサによって前記基準パターンを読み取るために必要な最大移動距離にわたって前記キャリッジを前記第1方向に移動しても前記基準パターンを検出できない場合に、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを第2方向に反転移動させることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記キャリッジ制御手段は、前記記憶手段に記憶された所在領域情報が前記第1領域の場合には、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを第2方向に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記キャリッジ制御手段は、前記キャリッジが前記第2領域に位置する場合に前記イメージセンサによって前記基準パターンを読み取るために必要な最大移動距離にわたって前記キャリッジを前記第1方向に移動させても前記基準パターンを検出できない場合に、前記読取駆動手段を制御して該キャリッジの移動を停止させて、警告を発することを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記基準パターンは、前記イメージセンサの黒色レベル調整を行う黒色基準面と白色レベル調整を行う白色基準面とが相互に隣接して配置されることによって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記ホームポジションに対して前記第2方向側に、自動原稿給紙装置にて搬送される原稿が通過するスリットガラスが配置されており、
前記キャリッジ制御手段は、該スリットガラス上を通過する原稿の画像を読み取る場合には、該原稿の画像を前記イメージセンサが読み取ることができるように、前記キャリッジを該スリットガラスの直下にまで移動させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記境界が、前記基準パターンよりも第1方向側に設定されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記境界が、前記プラテンガラスにおける前記キャリッジの移動方向に沿った長さの中央部分またはその近傍に設定されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記キャリッジ制御手段は、前記プラテンガラス上に載置された原稿を読み取る直前に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記境界から前記ホームポジションまでの予め設定された第2距離だけ前記キャリッジを前記第2方向に移動させて前記ホームポジションに位置させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像読取装置と、
該画像読取装置にて読み取られた画像データに基づいて記録シートに画像を形成するプリンタ部と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
プラテンガラス上に載置された原稿の画像面に光を照射する線状光源を有するキャリッジと、該線状光源から照射されて前記原稿によって反射された光を受光するイメージセンサと、前記キャリッジを、前記線状光源とは直交する第1方向と、該第1方向とは反対方向である第2方向とに移動させる読取駆動手段と、前記キャリッジの移動経路内に前記イメージセンサにより読み取り可能に配置された基準パターンと、不揮発性の記憶手段と、データ書き込み制御手段と、キャリッジ制御手段と、を備えた画像読取装置において、前記キャリッジをホームポジションに位置決めする方法であって、
前記基準パターンの配置位置または該基準パターンよりも第1方向側に所在領域の境界が設定されており、
前記データ書き込み制御手段が、前記境界に対して第1方向側を第1領域、第2方向側を第2領域とした場合にいずれの領域に前記キャリッジが存在するかを判定し、その判定結果から得られるキャリッジの所在領域情報を、該キャリッジが前記境界を通過する毎に更新して前記記憶手段に書き込む工程と、
前記キャリッジ制御手段が、電源投入直後に、前記記憶手段に記憶された所在領域情報に基づいて、前記読取駆動手段を制御して前記キャリッジを前記基準パターンへ向けて移動させ、前記イメージセンサにより前記基準パターンが読み取られると、前記読取駆動手段を制御して前記基準パターンから所定距離だけ離れたホームポジションまで前記キャリッジを前記第2方向に移動させる工程と、
を包含することを特徴とするキャリッジの位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−74603(P2010−74603A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240766(P2008−240766)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】