説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】光学ユニットの固定を解除した後の固定部材の保管処理に困らず、しかも固定部材の取り付け穴が露出しない画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10を輸送する際には、画像読取装置12が画像形成装置本体42から外された後、枠体12aに螺着したネジ28を、光学ユニット26の底部に形成したネジ穴27bにねじ込んで光学ユニット26を枠体12aに固定する。画像読取装置12を画像形成装置本体42に据え付ける際には、枠体12aに螺着したネジ28を緩めて光学ユニット26の底部から外し、光学ユニット26の固定を解除する。その後、画像読取装置12は、枠体12aの底部にネジ28が螺着した状態で、画像形成装置本体42に据え付けられる。このとき、ネジ28は、画像形成装置本体42の上面に設けた凹部42aに収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットを移動させることにより原稿の画像を読み取る画像読取装置およびその画像読取装置を備えた複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の出力機器を取り巻く環境においては、パーソナルコンピュータの普及により、従来の原稿を読み取って出力物を得る方法から、パーソナルコンピュータから直接出力機器へデータを転送して出力物を得る方法が主流となりつつある。パーソナルコンピュータから直接出力機器へデータを転送して出力物を得る方法の場合、画像形成部のみの構成で出力可能であるため、画像読取部が装備されていない、いわゆるプリンターと称される出力機器で対応できる。しかし、原稿の読み取りが全くなくなったというわけではなく、パソコンから直接出力する方法と原稿を読み取って出力する方法とのどちらにも対応するためには、画像形成部と画像読取部を組み合わせる必要がある。
【0003】
画像読取装置は、透明ガラス製のプラテン上に載置した原稿の画像を、このプラテンの下方に配置され、水平方向に移動可能な光学ユニットによって読み取るものが一般的である。自動原稿搬送装置を有し、自動的に搬送される原稿の画像を固定した光学ユニットによって読み取る画像読取装置でも、同様のプラテンを備え、プラテン上の原稿の画像を、光学ユニットを移動させて読み取ることができるようになっているものが多い。
【0004】
光学ユニットは内部に反射ミラーや光源を備え、反射ミラーの角度や光源の配置は精密に決められている。また、光学ユニット自体は容易に動くようになっている。従って、画像読取装置を輸送する際に、傾いたり、揺れたりすることにより、光学ユニットが画像読取装置の内部で動いて衝撃を受け、反射ミラーの角度や光源の配置がずれるおそれがある。
【0005】
特許文献1には、ネジなどの第1の固定部材と第2の固定部材とを用いて、光学ユニット(走査光学系)を画像読取装置本体に固定し、輸送時に生じる振動や衝撃によって不具合が生じないようにした固定方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−219067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されている画像読取装置は、輸送後に光学ユニットの固定を解除するために、固定部材を取り外す必要があるが、取り外した固定部材の保管が煩雑であった。また、ネジなどの固定部材が取り付けられていた穴が露出した状態になるので、外観の悪化や粉塵の画像読取装置内への侵入を許すこととなっていた。
【0008】
それゆえに、本発明の主たる目的は、光学ユニットの固定を解除した後の固定部材の保管処理に困らず、しかも固定部材の取り付け穴が露出しない画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、枠体と、枠体内に配置され、水平方向に往復移動して光学的に原稿の画像を読み取る光学ユニットとを備えた画像読取装置であって、枠体の底部には光学ユニットを枠体に固定する固定部材が取り付けられ、画像読取装置を輸送する際には、固定部材が光学ユニットを枠体に固定し、画像読取装置を画像形成装置本体に据え付ける際には、固定部材による光学ユニットの固定が解除され、枠体の底部に固定部材が取り付けられた状態で、画像読取装置が画像形成装置本体に据え付けられることを特徴とする、画像読取装置である。
【0010】
請求項1の発明では、枠体に固定部材が取り付けられた状態で、画像読取装置が画像形成装置本体に据え付けられるため、光学ユニットの固定を解除した後の固定部材の保管処理に困らない。さらに、固定部材の取り付け穴は、固定部材によって塞がれたままであるため、粉塵の光学ユニット内への侵入を防止できる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、固定部材が枠体に螺着したネジであり、画像読取装置を輸送する際には、ネジを光学ユニットの底部にねじ込んで光学ユニットを枠体に固定し、画像読取装置を画像形成装置本体に据え付ける際には、ネジを緩めて光学ユニットの底部から外して光学ユニットの固定を解除することを特徴とする、画像読取装置である。
【0012】
請求項2の発明では、固定部材が通常のネジであり、複雑な構成を有する部材ではないため、画像読取装置の製造コストが安価である。また、固定部材のためのスペースも小さくてすむため、画像読取装置の小型化が図れる。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の画像読取装置と、画像読取装置が上部に据え付けられる画像形成装置本体とを備え、画像形成装置本体の上面には、画像読取装置の枠体の底部から突出している固定部材を収容するための凹部が設けられていることを特徴とする、画像形成装置である。
【0014】
請求項3の発明では、画像形成装置本体の上面に、画像読取装置の枠体の底部から突出している固定部材を収容するための凹部を設けているため、固定部材を凹部に収容することにより、画像読取装置の底面と画像形成装置本体の上面との間に大きな間隙が発生することなく、画像読取装置を画像形成装置本体上に据え付けることができる。この結果、画像読取装置を画像形成装置本体上に据え付けたときに、固定部材が露出せず、外観の悪化を招かない画像形成装置が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、枠体に固定部材が取り付けられた状態で、画像読取装置が画像形成装置本体上に据え付けられるため、光学ユニットの固定を解除した後の固定部材の保管処理に困らない。さらに、固定部材の取り付け穴は、固定部材によって塞がれたままであるため、粉塵の画像読取装置内への侵入を防止できる。
【0016】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明に係る画像形成装置(複写機)10を示す概略構成図であり、図2は画像形成装置10の外観斜視図である。画像形成装置10は、画像読取装置12と画像形成装置本体42とを有し、画像読取装置12の上には押さえ蓋36が載置される。押さえ蓋36は開閉部材38を支点として開閉自在に取り付けられている。
【0018】
画像読取装置12は、枠体12a内に透明ガラス製のプラテン14、露光ランプ16、第1の反射ミラー18、第2の反射ミラー19、第3の反射ミラー20、集光レンズ22およびイメージセンサ(例えばライン型のCCD)24を備えている。露光ランプ16および第1の反射ミラー18は枠体26aの内部に配置され、光学ユニット26を構成する。光学ユニット26は、ワイヤー32aとプーリー32bとプーリー32bに連結された図示しないモータからなる駆動部30により、図1において左右方向(水平方向)に移動することができる。枠体12aの底部には、ネジ28が螺着されている。
【0019】
プラテン14上に載置された図示しない原稿は、駆動部30により移動する光学ユニット26の露光ランプ16からの光により照射される。原稿面に照射された光の反射光は第1の反射ミラー18、第2の反射ミラー19、第3の反射ミラー20および集光レンズ22を介してイメージセンサ24に到達して光電変換処理を経て原稿画像電気信号として読み取られる。
【0020】
画像形成装置本体42には、制御部44、給紙部46、画像形成部60および定着部80が内蔵されている。画像形成装置本体42の上面には、ネジ28を収容するための凹部42aが設けられている。制御部44は画像形成装置10全体の動作を制御するものである。給紙部46は、給紙カセット48、給紙ローラ50および搬送ローラ対52からなる。給紙カセット48は、用紙Pを収容するものであり、用紙Pはここから給紙ローラ50により1枚ずつ用紙搬送路54へ送り出され、搬送ローラ対52によって搬送される。
【0021】
画像形成部60は、感光体ドラム62と、その周囲に配設された帯電器64、光走査ユニット66、現像器68、転写ローラ70およびクリーニング器72を備えている。感光体ドラム62は図1において時計回りに回転し、まず帯電器64により感光体ドラム62の表面は均一に帯電される。次に、光走査ユニット66から感光体ドラム62の表面にレーザ光が照射されて、感光体ドラム62の表面に静電潜像が形成される。そして、現像器68によって、この静電潜像にトナーが供給されて静電潜像が顕像化する。
【0022】
感光体ドラム62がさらに回転し、トナー画像が転写ローラ70と対向する位置にくると、それに合わせて、感光体ドラム62と転写ローラ70との間に用紙Pが搬送され、感光体ドラム62上のトナー画像が用紙P上に転写される。感光体ドラム62上の転写されなかった残留トナーは、クリーニング器72によって感光体ドラム62上から除去される。
【0023】
一方、トナー画像が転写された用紙Pは、定着ローラ82と加圧ローラ84とが圧接してなる定着部80に搬送され、ここでトナー画像は加熱・加圧されて用紙Pに定着する。その後、用紙Pは排出ローラ対86により、排紙口88から胴内排紙トレイ90に排出される。
【0024】
次に、以上の構成からなる画像形成装置10の輸送について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4はそれぞれ、図1の矢印A方向から見た画像読取装置12の概略断面構成図および画像形成装置10の概略断面構成図である。
【0025】
画像形成装置10を輸送する際には、画像読取装置12と画像形成装置本体42とは別々に梱包される。すなわち、画像読取装置12は、光学ユニット26が図1の左側の定位置にある状態で、画像形成装置本体42から外される。その後、図3に示すように、枠体12aに螺着した対のネジ28を、光学ユニット26の底部に形成したネジ穴27bにねじ込んで光学ユニット26を枠体12aに固定する。これにより、輸送中に光学ユニット26が画像読取装置12の内部で動かないため、第1の反射ミラー18の角度や露光ランプ16の配置がずれることがなくなる。
【0026】
輸送後、画像形成装置10の設置場所で開梱し、枠体12aに螺着したネジ28を緩めて光学ユニット26の底部から外し、光学ユニット26の固定を解除する。その後、画像読取装置12は、枠体12aの底部にネジ28が螺着した状態で、画像形成装置本体42に据え付けられる。このとき、画像読取装置12の枠体12aの底部から突出しているネジ28は、画像形成装置本体42の上面に設けた凹部42aに収容されるため、画像読取装置12の底面と画像形成装置本体42の上面との間に大きな間隙が発生しない。この結果、ネジ28が露出せず、外観の悪化を招かない画像形成装置10が得られる。
【0027】
以上のように、画像読取装置12は、固定部材であるネジ28が枠体12aに螺着した状態で、画像形成装置本体42上に据え付けられるため、光学ユニット26の固定を解除した後のネジ28の保管処理に困らない。さらに、ネジ28の取り付け穴27aは、ネジ28によって塞がれたままであるため、粉塵の画像読取装置12への侵入を防止できる。
【0028】
また、固定部材が通常のネジ28であり、複雑な構成を有する部材ではないため、画像読取装置12の製造コストが安価となる。さらに、ネジ28のためのスペースも小さくてすむため、画像読取装置12の小型化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】図1の矢印A方向から見た画像読取装置の概略断面構成図である。
【図4】図1の矢印A方向から見た画像形成装置の概略断面構成図である。
【符号の説明】
【0031】
10 画像形成装置
12 画像読取装置
12a 枠体
26 光学ユニット
28 ネジ(固定部材)
42 画像形成装置本体
42a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、前記枠体内に配置され、水平方向に往復移動して光学的に原稿の画像を読み取る光学ユニットとを備えた画像読取装置であって、
前記枠体の底部には前記光学ユニットを前記枠体に固定する固定部材が取り付けられ、前記画像読取装置を輸送する際には、前記固定部材が前記光学ユニットを前記枠体に固定し、前記画像読取装置を画像形成装置本体に据え付ける際には、前記固定部材による前記光学ユニットの固定が解除され、前記枠体の底部に前記固定部材が取り付けられた状態で、前記画像読取装置が画像形成装置本体に据え付けられることを特徴とする、画像読取装置。
【請求項2】
前記固定部材が前記枠体に螺着したネジであり、前記画像読取装置を輸送する際には、前記ネジを前記光学ユニットの底部にねじ込んで前記光学ユニットを前記枠体に固定し、前記画像読取装置を画像形成装置本体に据え付ける際には、前記ネジを緩めて前記光学ユニットの底部から外して前記光学ユニットの固定を解除することを特徴とする、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置が上部に据え付けられる画像形成装置本体とを備え、前記画像形成装置本体の上面には、前記画像読取装置の枠体の底部から突出している固定部材を収容するための凹部が設けられていることを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−306670(P2008−306670A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154313(P2007−154313)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】