説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】原稿画像の読取効率を低下させることなく原稿の傾き量を検出することができる。
【解決手段】原稿の搬送時に、搬送される原稿Dに光が照射されると、搬送原稿Dによって反射された光は、ラインセンサーに原稿画像の読み取りに必要とされる受光量で受光される。搬送原稿Dの周囲を通過した光は反射体46によって反射される。この反射光は、搬送原稿Dによる反射光よりも、ラインセンサーによって受光される受光量が低下しているために、それぞれの受光量の差に基づいて搬送原稿Dの輪郭に関する情報が得られる。得られた情報に基づいて原稿の搬送方向に対する傾きを検出して、検出した原稿の傾きにより、搬送原稿Dの反射光に基づいて得られる原稿の画像データを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)を備えた画像読取装置、および、当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)を備えた画像読取装置では、ADFユニットによって搬送される原稿の画像を読み取るシートスルー方式になっているものがある。シートスルー方式では、主走査方向に沿った帯板状の読取用ガラス上を、副走査方向に沿って原稿が搬送される。読取用ガラスの下方には、主走査方向に沿って線状光源が配置されており、線状光源から照射される光が読取用ガラス上を通過する原稿によって反射される。原稿によって反射された光はラインセンサーによって受光される。搬送される原稿の画像のデータがラインセンサーによる受光量に基づいて取得される。
【0003】
特許文献1には、シートスルー方式の画像読取装置において、搬送される原稿の傾きを検出するために、読取用ガラスの上方に、白色以外(黒色)の反射板からなる斜め補正検出用反射板と、白色の反射板とを、原稿搬送方向に沿ってその順番で並べて配置して、搬送原稿の画像を読み取る際に原稿の傾きを検出する構成が開示されている。
特許文献1の画像読取装置では、原稿画像の読み取りに先立って、光源を、斜め補正検出用反射板に向って光が照射される斜め補正検出位置へ移動させた状態で原稿を搬送して、原稿の先端から所定の領域までの原稿の画像を読み込んで、原稿の傾きに関する補正値を算出している。
【0004】
原稿の先端から所定の領域までの原稿の画像が読み込まれると、原稿の搬送が停止されて、光源からの光が白色の反射板に照射される通常読込位置へ光源を移動させた後に、原稿の搬送が再開される。これにより、通常読込位置を通過する原稿による反射光に基づいて、原稿の画像データが取得される。取得された画像データは、すでに算出された補正データに基づいて補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−211462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構成では、読取用ガラスの上方に、斜め補正検出用反射板と白色の反射板とを原稿搬送方向に沿ってその順番で並べて配置して、原稿の傾きを検出する際には、通常の原稿画像の読み取り位置である白色の反射板とは異なる斜め補正検出用反射板に光が照射されるように光源を移動させている。シートスルー方式では光源を停止させた状態で原稿を読み取るので、原稿の傾きに関する補正値を得るための画像の読み込みが終了すると、通常の原稿画像の読み取り位置へ光源を移動させて光源を停止させてから、原稿を読み取り位置まで搬送する必要があり、光源が読み取り位置まで移動して停止するまでの間、原稿搬送が一旦停止される。
【0007】
このように、原稿の搬送を一旦停止させると、1枚の原稿の画像を読み取るために必要とされる時間が、原稿の搬送を停止させる時間分だけ長くかかることになる。これにより、原稿画像の読取効率が低下する。
特許文献1の構成において、原稿画像の読み取りを行う光源とは別に、原稿の傾きを検出するための光源を設けることによって、上記のような問題を回避することはできるが、その場合には、光源数が多くなり経済性が損なわれることになる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、原稿画像の読取効率を低下させることなく、原稿の傾き量を検出することができる画像読取装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、線状光源からの光を、当該線状光源の長手方向とは直交する方向に搬送される原稿に照射して、当該原稿からの反射光を受光量検出手段によって受光し、その受光量に基づいて当該原稿の画像を読み取る画像読取装置であって、前記線状光源に対して原稿の搬送域を挟んで設けられており、前記線状光源からの光を反射させる位置に配置された反射体と、前記受光量検出手段による受光量がシェーディング補正時よりも原稿の読み取り時において減少するように、シェーディング補正時および原稿の読み取り時に、前記線状光源から照射される光の前記反射体による反射位置を切り替える切替手段と、原稿の読み取り時に、搬送原稿による反射光と、当該搬送原稿の周囲を通過して前記反射体よって反射された光との前記受光量検出手段による受光量の差に基づいて、当該搬送原稿の搬送方向に対する傾きを検出する傾き検出手段と、前記受光量検出手段による搬送原稿からの光の受光量に基づいて得られた搬送原稿の画像データを、前記傾き検出手段によって検出された傾きに基づいて補正する傾き補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、当該画像読取装置によって読み取られた画像のデータに基づいて記録シート上に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像読取置では、原稿の搬送時に、搬送される原稿に光が照射されると、搬送原稿によって反射された光が、受光量検出手段によって、画像読取に必要とされる受光量で受光される。一方、この時、同時に、原稿の外側方にも投光されるが、この光は、第2反射状態で反射されて受光量検出手段によって受光される。第2反射状態では受光量検出手段による受光量は、シェーディング補正時の反射光量より少なく、原稿からの反射光の受光量検出手段による受光量よりも少なくなっているので、原稿からの反射光量との差に基づいて、搬送原稿の輪郭に関する情報を得ることができ、その情報に基づいて、原稿の搬送方向に対する傾きを検出することができる。
【0012】
このように、搬送原稿からの反射光に基づいて原稿の画像データの取得と同時に原稿の傾きを検出することができるために、原稿の搬送を停止させることなく連続搬送した状態で、上記2つの処理を行うことができる。従って、原稿画像の読取効率を低下させることなく、原稿の画像データを、搬送方向に対する原稿の傾きに基づいて補正することができる。
【0013】
好ましくは、前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、周方向に一定の曲率で湾曲した円弧状の反射面を有しており、前記切替手段は、前記線状光源を原稿の搬送方向に沿って移動させることにより、前記反射体による反射位置を切り替えることを特徴とする。
好ましくは、前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、前記線状光源から照射される光を反射させる平坦な第1反射面と、円弧状に湾曲した第2反射面とを有し、前記切替手段は、当該反射体を軸心周りに回転させることにより当該反射体による反射位置を前記第1反射面と前記第2反射面とに切り替えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、それぞれが異なる曲率で湾曲した円弧状の第1反射面および第2反射面を有し、前記切替手段は、当該反射体を軸心周りに回転させることにより当該反射体による反射位置を前記第1反射面と前記第2反射面とに切り替えることを特徴とする。
好ましくは、前記線状光源と、前記原稿の搬送域との間に、当該線状光源の長手方向に沿った読取用ガラスが設けられており、前記反射体には、回転によって前記読取用ガラスに摺接する清掃部材が設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るMFP装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】そのMFP装置に設けられた画像読取装置の構成を説明するための模式図である。
【図3】その画像読取装置に設けられた反射体の構成を説明するための模式図である。
【図4】シェーディング補正時における反射体と線状光源との関係を説明するための模式図である。
【図5】(a)は、画像読取時における反射体による光の反射状態を説明するための模式図、(b)は、シェーディング補正位置時における反射体による光の反射状態を説明するための模式図、(c)は、画像読取時において原稿および反射体による反射光を説明するための模式図である。
【図6】画像読取装置の制御系における主要部のブロック図である。
【図7】画像読取装置画像読取ユニットに設けられた画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】画像処理部に設けられた傾き検出部での原稿の傾きの検出の原理を説明するための模式図である。
【図9】ADFユニットに設けられたADF制御部によって実行される反射体に係る制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】(a)は、反射体の回転により線状光源から照射される光の反射位置を切り替える構成において、シェーディング補正位置とされた反射体による反射光を説明するための模式図、(b)は、画像読取位置とされた反射体による反射光を説明するための模式図である。
【図11】(a)は、他の変形例の反射体の回転により線状光源から照射される光の反射位置を切り替える構成において、シェーディング補正位置とされた反射体による反射光を説明するための模式図、(b)は、画像読取位置とされた反射体による反射光を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の実施の形態を、MFP(Multi Function Peripheral)装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係るMFP装置の構成を説明するための模式図である。図1に示すように、MFP装置は、画像読取装置Aと、画像形成部Bとを備えている。画像読取装置Aは、上面に帯板状の第1読取用ガラス13および所定の大きさの平板状の第2読取用ガラス16が設けられた画像読取ユニット10と、この画像読取ユニット10の上方に設けられたADFユニット(自動原稿搬送ユニット)40とを備えている。
【0017】
ADFユニット40は、原稿給紙トレイ40aに載置された原稿Dを、1枚ずつ矢印Eで示す方向に向って搬送し、原稿Dの搬送方向を反転させて、画像読取ユニット10の第1読取用ガラス13の上面に沿って通過させた後に、原稿排出トレイ40b上に排出する。
画像読取ユニット10は線状光源11を有している。線状光源11は、ADFユニット40によって第1読取用ガラス13上を搬送される原稿Dの画像を読み取る場合には、当該第1読取用ガラス13に沿って搬送される原稿に光を照射する。また、線状光源11は、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、第2読取用ガラスに沿ってスライドされて、第2読取用ガラス16上に載置された原稿に光を照射する。線状光源11としては、通常、蛍光灯、キセノンランプのような希ガス線状光源、外面電極線状光源、LED等が使用される。
【0018】
第1読取用ガラス13上を搬送される原稿Dおよび第2読取用ガラス16上に載置された原稿によって反射された光のそれぞれは、縮小光学系15を介してラインセンサー12に照射される。ラインセンサー12は、照射された光の受光量を検出して、その受光量に応じた出力を画像処理部17に出力する。画像処理部17は、ラインセンサー12からの出力に基づいて、原稿画像に対応した画像データ生成する。
【0019】
画像形成部Bは、画像処理部17によって生成された画像データ等に基づいてトナー画像を形成し、画像形成部Bの下部に設けられた給紙部30から供給される記録シートSにトナー画像を転写して定着させる。
<画像形成部>
図1に示すように、画像形成部Bは、矢印X方向に周回移動可能な状態で、画像形成部Bの上下方向のほぼ中央部に配置された中間転写ベルト22と、中間転写ベルト22の下側に、中間転写ベルト22の水平方向に沿った移動方向に沿ってその順番で配置されたプロセスユニット23Y、23M、23C、23Kとを備えている。
【0020】
プロセスユニット23Y、23M、23C、23Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する。プロセスユニット23Y〜23Kは、何れも概略同様の構成になっているので、プロセスユニット23Kの構成についてのみ詳細に説明し、他のプロセスユニット23M、23C、23Kの構成の詳細な説明については省略する。
【0021】
プロセスユニット23Kは、中間転写ベルト22に沿って回転可能に配置された感光体ドラム24Kを有しており、感光体ドラム24Kの回転方向に沿って、帯電器25K、露光器26K、現像器27Kが、その順番で設けられている。感光体ドラム24Kは、帯電器25Kによって外周面が一様に帯電される。露光器26Kは、画像読取ユニット10の画像処理部17によって生成された画像データに基づく駆動信号に基づいて光ビームを出射して、帯電された感光体ドラム24Kの表面を露光するように走査される。これにより、感光体ドラム24K上に静電潜像が形成される。
【0022】
感光体ドラム24Kの外周面に形成された静電潜像は、現像器27KによってK色のトナーで現像される。
感光体ドラム24Kの上方には、中間転写ベルト22を挟んで配置された1次転写ローラ28Kが設けられている。1次転写ローラ28Kは、感光体ドラム24Kとの間に電界を形成する。感光体ドラム24K上のトナー画像は、その電界の作用によって、中間転写ベルト22上に転写される。
【0023】
他のプロセスユニット23M、23C、23Kのそれぞれの上方にも、同様に、中間転写ベルト22を挟んで1次転写ローラ28M、28C、28Kがそれぞれ配置されており、プロセスユニット23M、23C、23Kにおけるそれぞれの感光体ドラム上に形成されたY色、M色、C色のトナー画像が中間転写ベルト22上に転写される。
なお、フルカラーの画像を形成する場合には、中間転写ベルト22上に、Y、M、C、Kの各色のトナー画像が重ねて転写される。中間転写ベルト22上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト22によって、2次転写ローラ21の配置部分へと搬送される。2次転写ローラ21は、中間転写ベルト22における周回移動方向が反転される部分に対向して配置されている。
【0024】
画像形成部Bの下部に設けられた給紙部30には、複数の給紙カセット31が設けられている。給紙部30は、画像形成部Bでのトナー画像の形成時に、いずれかの給紙カセット31から記録シートSを1枚ずつ繰り出して、中間転写ベルト22と2次転写ローラ21との対向位置である2次転写位置へ搬送する。2次転写ローラ21は中間転写ベルト22上のトナー画像を記録シートS上に静電転写する。なお、記録シートSに転写されることなく中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、クリーナ20bにて除去されるようになっている。
【0025】
2次転写位置の上方には定着装置29が設けられており、2次転写位置を通過した記録シートSが定着装置29へと搬送される。トナー画像が転写された記録シートSは、定着装置29によって加熱および加圧される。これにより、記録シートSに転写されたトナー画像が記録シートS上に定着される。トナー画像が定着された記録シートSは、記録シート用トレイ20a上に排出される。
【0026】
<画像読取装置の画像読取ユニット>
図2は、画像読取装置Aの構成を説明するための模式図である。画像読取ユニット10に設けられた平板状の第2読取用ガラス16は、画像読取ユニット10における側部(図2において左側の側部)を除いて、画像読取ユニット10の上面のほぼ全域を覆うように配置されている。また、第2読取用ガラス16が配置されていない画像読取ユニット10の側部上面には、帯板状の第1読取用ガラス13が配置されている。
【0027】
第1読取用ガラス13は、ADFユニット40によって搬送される原稿Dの搬送方向とは直交するように配置されている。第1読取用ガラス13上を搬送される原稿に対して光を照射する線状光源11は、副走査方向にスライド可能になった第1スライダー18上に搭載されている。
第1スライダー18は、駆動モータMsによってスライドされ、ADFユニット40によって搬送される原稿Dを読み取る場合には、図2に示すように、線状光源11が第1読取用ガラス13の下方の所定の画像読取位置(シートスルーポジション)に位置した状態で停止される。
【0028】
このような状態では、線状光源11は、第1読取用ガラス13の長手方向の全域にわたって、第1読取用ガラス13の副走査方向の中央位置に沿って光を照射する。
第1スライダー18は、第2読取用ガラス16上の原稿を読み取る場合には、所定のホームポジションから、図2に矢印Gで示す方向にスライドされた後に、反対方向に、スライドされて、ホームポジションに戻る。
【0029】
第1読取用ガラス13上を通過する原稿または第2読取用ガラス16上に載置された原稿からの反射光は、第1ミラー15bによって、矢印Gで示す方向とは反対方向に略直角に反射される。第1ミラー15bにて反射された光は、一対の第2ミラー15cおよび第3ミラー15dによって矢印G方向に反転され、縮小レンズ15eによって、ラインセンサー12に縮小投影される。
【0030】
第1ミラー15bは、線状光源11とともに第1スライダー18に搭載されている。第1スライダー18は、シェーディング補正を実行する場合には、第1ミラー15bが第1読取用ガラス13の幅方向(原稿搬送方向)の中央部のほぼ直下に位置するシェーディング補正位置とされる。これに対して、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの画像を読み取る画像読取位置では、シェーディング補正位置よりも原稿搬送方向の下流側に4mm程度離れた位置とされる。
【0031】
第2ミラー15cおよび第3ミラー15dは、副走査方向にスライド可能に構成された第2スライダー19に搭載されている。第2スライダー19は、駆動モータMsによって第1スライダー18がスライドされると、第1スライダー18の1/2の速度で、第1スライダー18と同方向にスライドするように構成されている。
ラインセンサー12は、主走査方向に沿って配列された複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)が基板上に実装された構成になっている。ラインセンサー12は、主走査方向に沿った線状光源11から照射されて原稿にて反射された光が縮小光学系15によってCCDに縮小状態で投影されるように、CCDの配列方向が線状光源11の長手方向に沿った状態で、縮小レンズ15eを介して第3ミラー15dに対向して配置されている。
【0032】
第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、第1スライダー18が第2読取用ガラス16の下面に沿って図2に矢印Gで示す方向にスライドされるとともに、第2スライダー19が、第1スライダー18に追従して1/2の速度で同方向に沿ってスライドされる。これによって、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像がラインセンサー12のCCDにて読み取られる。
【0033】
<画像読取装置のADFユニット>
図2に示すように、画像読取装置のADFユニット40は、画像が読み取られる原稿Dが載置される原稿給紙トレイ40aを有している。原稿給紙トレイ40aには、載置された原稿Dを検出する原稿センサ43が設けられている。
原稿給紙トレイ40a上に載置された原稿Dは、ピックアップローラ42によって原稿給紙トレイ40aから搬送路49内へ矢印Eで示す方向へと送り出される。搬送路49内を搬送される原稿Dは、第1読取用ガラス13の上方に配置された第1レジストローラ対44へと搬送される。
【0034】
なお、搬送路49内には搬送される原稿を検出するためのセンサが設けられているが、その説明については省略する。また、同様に、以下に説明する原稿Dの搬送経路内にも、搬送される原稿を検出するための複数のセンサが所定位置に配置されているが、それらの説明については省略する。
第1レジストローラ対44は、搬送される1枚の原稿Dを所定の姿勢として、下方に配置された読取前ローラ対45に搬送する。読取前ローラ対45は、第1読取用ガラス13の上面に沿った原稿の搬送方向(矢印Gで示す第1スライダー18のスライド方向と同じ方向)の上流側に配置されている。なお、第1レジストローラ対44は、駆動モータM1によって駆動されるようになっている。
【0035】
第1レジストローラ対44を通過した原稿Dは、搬送方向が順次下方に向くように案内されて、読取前ローラ対45へと搬送され、読取前ローラ対45によって、所定のタイミングで第1読取用ガラス13の上方域に向って送り出される。これにより、原稿Dは、第1読取用ガラス13上を、その上面に沿って搬送される。第1読取用ガラス13上を原稿Dが通過する際には、原稿Dにおける第1読取用ガラス13の対向した下面(第1面)の画像が、ラインセンサー12によって読み取られるようになっている。
【0036】
第1読取用ガラス13の上方には、原稿Dの搬送域を挟んで第1読取用ガラス13の表面に対向する反射体46が設けられている。反射体46は、原稿Dが搬送されていない状態で実行される線状光源11のシェーディング補正に使用される。また、反射体46は、原稿Dの画像を読み取る際に、搬送される原稿Dの傾きを検出するための搬送原稿の背景としても使用される。さらに、反射体46は、原稿Dが搬送されてない状態で、第1読取用ガラス13の表面を清掃するためにも使用される。反射体46の構成の詳細については後述する。
【0037】
第1読取用ガラス13上を通過した原稿Dは、読取後ローラ対47によって、原稿給紙トレイ40aの下方域に向って搬送される。読取前ローラ対45および読取後ローラ対47は、原稿Dを所定の速度で第1読取用ガラス13上を通過させる。読取前ローラ対45および読取後ローラ対46は、駆動モータM2によって駆動されるようになっている。
第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dは、搬送方向とは直交する幅方向の中央に位置する原稿Dの搬送方向に沿った中央線が、第1読取用ガラス13の長手方向の中央に位置する原稿Dの搬送方向に沿った中央線に一致するように搬送される。従って、第1読取用ガラス13の長手方向の両側部分は、通常、搬送される原稿Dが通過しない領域(非通紙領域)になっている。
【0038】
読取後ローラ対47を通過した原稿Dは第1分岐ガイド51へと搬送される。第1分岐ガイド51は、搬送される原稿Dを、第1分岐ガイド51の上方および下方のそれぞれに案内するように、駆動モータM4によって上下方向に回動される。第1分岐ガイド51は、原稿Dの第1面の画像のみを読み取る片面読取モード、原稿Dの第1面および第2面の両方の画像を読み取る両面読取モードのいずれの場合でも、画像の読み取りが終了した状態であれば、原稿Dを上方へ案内する状態とされて、原稿Dを原稿排出トレイ40b上に排出する。
【0039】
第1分岐ガイド51は、原稿Dの両面の画像を読み取る両面読取モードの場合に、第1面の画像の読み取りが終了した状態になっていると、原稿Dを第1分岐ガイド51の下方へ案内する状態とされる。
第1分岐ガイド51の上方に案内された原稿Dは、正転および逆転可能になった第2レジストローラ対54へと搬送されて、正転状態になった第2レジストローラ対54によって第2分岐ガイド55へと搬送される。
【0040】
第2分岐ガイド55は、第2レジストローラ対54から搬送される原稿Dを、第2分岐ガイド55の上方および下方のそれぞれに案内するように、駆動モータM5によって上下方向に回動される。
第2分岐ガイド55は、片面読取モードでの画像の読み取りが終了した場合に、原稿Dを第2分岐ガイド55の上方へ案内する状態とされ、原稿Dを、第1面が下側になった状態で、原稿排出トレイ40b上に排出する。
【0041】
第2分岐ガイド55は、両面読取モードで第1面の画像の読み取りが終了した場合には、原稿Dを第2分岐ガイド55の下方へ案内する状態とされ、原稿Dを、正転および逆転が可能になった第1反転ローラ対56へと搬送する。
第1反転ローラ対56は、搬送される原稿Dを、正転状態で原稿排出トレイ40bの上方へと搬送する。原稿排出トレイ40bの上方へ搬送された原稿Dは、原稿Dの後端部が第1反転ローラ対56を通過する直前に、第1反転ローラ対56が逆転することによってスイッチバックして、第2レジストローラ対54へ搬送される。
【0042】
第2レジストローラ対54へ搬送された原稿Dは、第2レジストローラ対54が逆転されることによって、第1レジストローラ対44へ搬送される。この場合、第1レジストローラ対44へ搬送される原稿Dは、原稿給紙トレイ40aから直接第1レジストローラ対44へ搬送される原稿Dとは表裏を反転した状態になっており、このような状態で、第1レジストローラ対44によって、読取前ローラ対45へ搬送されて、第1読取用ガラス13上を通過する。この場合にも、原稿Dにおける第1読取用ガラス13に対向した面(第2面)の画像が、ラインセンサー12によって読み取られるようになっている。
【0043】
なお、第2レジストローラ対54は、第1レジストローラ対44を駆動する駆動モータM2によって回転される。
両面の画像がラインセンサー12によって読み取られた原稿Dは、第1分岐ガイド51へ搬送される。この場合、第1分岐ガイド51は、原稿Dを第1分岐ガイド51の下方へ案内する状態に切り替えられており、搬送される原稿Dは、第1分岐ガイド51の下方を通って、正転および逆転可能になった第2反転ローラ対57へ搬送される。第2反転ローラ対は、正転状態で、搬送される原稿Dを原稿排出トレイ40bの内部の退避部53へ搬送する。
【0044】
第2反転ローラ対57は、原稿Dの後端部が第2反転ローラ対57を通過する直前に逆転される。これにより、原稿Dはスイッチバックして退避部53から排出され、第1面および第2面が反転した状態で、上方の第1反転ローラ対56へと搬送される。この場合、第1反転ローラ対56は正転状態になっており、搬送される原稿Dは、第1面が下側になった状態で原稿排出トレイ40b上に排出される。なお、第1反転ローラ対56および第2反転ローラ対57は駆動モータM3によって駆動される。
【0045】
<反射体>
図3は、反射体46の構成を説明するための模式図である。第1読取用ガラス13上に設けられた反射体46は、軸心線Goが第1読取用ガラス13に平行な水平状態になるように配置された軸体によって構成された本体部46Aと、本体部46Aに設けられた清掃部材46Dとを有している。
【0046】
反射体46の本体部46Aは、円柱体を軸方向に沿った平面(但し、軸心を通らない平面)によって2分割した場合に得られる2つの分割体のうち、断面積の大きな一方の分割体と同様の断面「D」形状になっている。従って、本体部46Aの断面は、軸心線Goに平行な平坦面46xと、軸心線Goを中心とした一定の半径であって中心角が180°以上の円周面46yとを有している。本実施形態では、本体部46Aにおける円周面46yは、半径が5mm程度、中心角が270°程度になっている。本体部46Aの軸方向長さは、第1読取用ガラス13の長手方向の全長よりも若干長くなっている。
【0047】
本体部46Aの円周面46yには、当該円周面46yに沿って円弧状に湾曲した反射板46Bが設けられている。反射板46Bは、本体部46Aにおける円周面46yの略全域にわたって、円周面46yに一体的に取り付けられている。従って、反射板46Bの外周に位置する反射面は、本体部46Aの円周面46yとほぼ同様の半径および中心角を有する一定の湾曲率の円周面になっている。反射板46Bは白色板によって構成されており、従って、その外周の反射面も白色になっている。
【0048】
反射体46の本体部46Aは、例えば金属によって構成されており、本体部46Aの両側の端部には、軸心線Goと同軸状態で突出する支持軸46e(図3において点線で示す)がそれぞれ設けられている。各支持軸46eは、ADFユニット40のハウジングを構成する側板(図示せず)に回転可能に支持されている。
一方の支持軸46eには、駆動モータM6の回転が伝達されるようになっており、駆動モータM6によって、反射体46は、軸心線Goを中心として矢印Fで示す方向に回転される。駆動モータM6は、例えばパルスモータによって構成されている。
【0049】
反射体46の本体部46Aには、平坦面46xが第1読取用ガラス13に平行になったホームポジションであることを検出するためのホームポジションセンサ46Eが設けられている。ホームポジションセンサ46Eは、例えば、支持軸46eの回転位置を検出するエンコーダによって構成されている。駆動モータM6は、このホームポジションセンサ46Eによる検出結果に基づいて、平坦面46xが第1読取用ガラス13に対して平行になったホームポジションとされる。ホームポジションでは、反射板46Bの外周の反射面と第1読取用ガラス13との間には、1〜2mm程度の間隔が形成されている。
【0050】
反射体46は、本体部46Aの軸心線Goを通る垂直面SLが、第1読取用ガラス13の幅方向の中央部を垂直に通過する垂直中心面CLと一致するように配置されている。
このような反射体46に対して、第1スライダー18は、第1読取用ガラス13上を搬送される原稿の画像を読み取る場合と、線状光源11のシェーディング補正を実行する場合とにおいて、それぞれ、画像読取位置とシェーディング補正位置とに切り替えられる。
【0051】
第1スライダー18がシェーディング補正位置とされると、図4に示すように、第1スライダー18に搭載された第1ミラー15bが、第1読取用ガラス13の垂直中心面CL(すなわち、反射体46の軸心線Goを通る垂直面SL)上に位置される。
このようなシェーディング補正位置では、第1スライダー18に搭載された線状光源11は、反射板46aの反射面における本体部46Aの軸心線Goを通る垂直面SLと交差する部分に向けて光を照射する。この場合には、反射板46aの反射面に照射された光は、本体部46Aの軸心線Goを通る垂直面SLに対して小さな角度で反射されるために、反射された光の大部分が垂直面SLに沿って進行する。
【0052】
これに対して、搬送原稿の画像を読み取る場合には、第1スライダー18は、原稿Dの搬送方向の下流側に4mm程度にわたってスライドされ、図3に示す画像読取位置とされる。この画像読取位置では、第1スライダー18に搭載された第1ミラー15bが、第1読取用ガラス13の垂直中心面CL(すなわち、反射体46の軸心線Goを通る垂直面SL)に対して、原稿Dの搬送方向の下流側に4mm程度にわたって離れて垂直中心面CLに平行になった垂直面HL上に位置しており、第1スライダー18に搭載された線状光源11は、この垂直面HLと反射板46aの反射面との交差位置に向けて光を照射する。この場合には、反射板46aの反射面に照射された光は、垂直面HLに対して大きな角度で反射されるために、垂直面HLに沿って反射される光の光量が減少する。
【0053】
反射体46における本体部46Aの平坦面46xには、清掃部材46Dが設けられている。清掃部材46Dは、例えば、平坦面46xにおける本体部46Aの軸心Goを通る垂直面SLに沿って、平坦面46xから所定の長さで突出した導電性繊維製のブラシによって構成されている。清掃部材46Dは、平坦面46xの長手方向のほぼ全域にわたって設けられている。
【0054】
清掃部材46Dの平坦面46xからの突出長さは、本体部46Aの回転によって清掃部材46Dの先端部が第1読取用ガラス13の上面を摺接するように設定されている。また、清掃部材46Dの幅方向寸法(原稿Dの搬送方向に沿った寸法)は、1〜2mm程度になっている。
反射体46は、清掃部材46Dによって第1読取用ガラス13を清掃する場合には、ホームポジションになった本体部46Aが、駆動モータM6によって、1回または複数回にわたって回転される。これにより、清掃部材46Dの先端が第1読取用ガラス13の上面を摺接し、第1読取用ガラス13上に付着した紙粉等の異物が清掃部材46Dの先端によって除去される。
【0055】
次に、第1スライダー18が画像読取位置およびシェーディング補正位置のそれぞれに切り替えられた場合における反射体46による反射光について説明する。
第1スライダー18が図4に示すシェーディング補正位置になっていると、第1スライダー18の線状光源11から、反射板46Bにおける本体部46Aの軸心を通る垂直面SLと反射板46Bの反射面との交差位置に向けて光が照射される。この場合、反射板46Bの白色の反射面にて反射された光の大部分は、本体部46Aの軸心線Goを通る垂直面SLに沿って進行し、第1読取用ガラス13の下方に位置する第1ミラー15bにて反射された後に、第2ミラー15cおよび第3ミラー15dによって反射されて、縮小レンズ15eを介してラインセンサー12に照射される。
【0056】
従って、ラインセンサー12には、白色の反射板46Bの反射面における軸方向のほぼ全域で反射された光が効率よく照射される。その結果、ラインセンサー12のCCDは、シェーディング補正を実行するために必要とされる光量の光を受光することができる。そして、ラインセンサー12の出力に基づいて、線状光源11をシェーディング補正するための補正値が算出される。
【0057】
これに対して、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの画像を読み取る場合には、第1スライダー18は図3に示す画像読取位置とされる。
この場合、線状光源11から、第1読取用ガラス13の長手方向の全域にわたって光が照射されると、図5(a)に示すように、第1読取用ガラス13上に原稿Dが存在する場合には、原稿Dに照射される光は、本体部46Aの軸心を通る垂直面SLとは平行になった垂直面HLに対して小さな角度で反射される。これにより、原稿Dによる反射光の大部分が、垂直線HLに沿って反射されて、ラインセンサー12に照射される。
【0058】
従って、ラインセンサー12には、シェーディング補正時と同様に、原稿Dによって反射された光が効率よく照射され、ラインセンサー12のCCDは、原稿Dの画像を読み取るために必要とされる光量の光を受光することができる。その結果、従来と同様に、原稿Dによって反射されてラインセンサー12にて照射される光の光量に基づいて、原稿D上に形成された画像に対応した画像データを得ることができる。
【0059】
また、この場合、第1読取用ガラス13上における原稿Dの周囲(原稿Dの幅方向両側の非通紙領域および原稿Dの先端縁の前方および後端縁の後方)を通過した光は、反射体46における反射板46Bの反射面によって反射される。
この場合、第1スライダー18は、シェーディング補正位置から原稿Dの搬送方向の下流側に所定の距離だけ離れた画像読取位置になっており、従って、線状光源11から照射される光は、本体部46Aの軸心を通る垂直面SLよりも原稿Dの搬送方向の下流側に所定の距離だけ離れた反射板46Bの反射面に照射される。これにより、反射板46Bの反射面において反射された光は、本体部46Aの軸心を通る垂直面SLとは平行になった垂直面HLに対して大きな角度で反射され、この垂直面HLに沿って反射される光の光量が減少する。その結果、反射体46によって反射されてラインセンサー12に照射される光量は、原稿Dによって反射されてラインセンサー12に照射される光量に対して減少する。
【0060】
ラインセンサー12は、第1読取用ガラス13上を1枚の原稿が通過する間、原稿Dによる反射光とともに、原稿Dの周囲からの反射光も受光する。原稿Dにおける外周縁部は、通常、画像が形成されていない白地の背景部分になっており、反射板46Bの反射面における白色とほぼ同色になる。この場合には、原稿Dの周囲を通って反射板46Bによって反射された光の光量が原稿の白地の背景部分によって反射された光の光量よりも低下するために、両者が同色であっても、図5(c)に示すように、原稿の外周縁部分によって反射された光と、その周囲を通過して反射板46Bによって反射された光とには光量差が生じる。従って、その光量差に基づいて、原稿Dの周縁の輪郭を抽出することができ、抽出された原稿Dの輪郭に基づいて、第1読取用ガラス13に対する原稿Dの傾きを検出することができる。
【0061】
<画像読取装置の制御系>
図6は、画像読取装置Aの制御系における主要部のブロック図である。画像読取装置Aには、ADFユニット40を制御するADF制御部58と、画像読取ユニット10を制御するスキャナ制御部59とを有している。ADF制御部58およびスキャナ制御部59は、相互にデータ通信可能になっている。
【0062】
ADF制御部58は、第1レジストローラ対44および第2レジストローラ対54を回転させる駆動モータM1、読取前ローラ対45および読取後ローラ対46を回転させる駆動モータM2、第1反転ローラ対56および第2反転ローラ対57を回転させる駆動モータM3のそれぞれの駆動を制御するモータ駆動IC61、62、63のそれぞれに対して制御信号を出力する。
【0063】
また、第1分岐ガイド51および第2分岐ガイド55を切り替える駆動モータM4およびM5のそれぞれの駆動を制御するモータ駆動IC64および65のそれぞれに対しても制御信号を出力する。第1分岐ガイド51および第2分岐ガイド55は、駆動モータM4およびM5の回転によって、原稿Dの搬送方向を切り替える。
ADF制御部58は、従来と同様に、片面読取モードおよび両面読取モードのそれぞれに対応して、原稿給紙トレイ40aに載置された原稿Dが、第1読取用ガラス13上を通過するように、モータ駆動IC61〜65のそれぞれに対して所定の制御信号を出力する。
【0064】
また、ADF制御部58は、反射体46を回転させる駆動モータM6の駆動を制御するモータ駆動IC66に対しても制御信号を出力する。
さらに、ADF制御部58には、反射体46がホームポジションであることを検出するホームポジションセンサ46Dの出力信号が与えられている。ADF制御部58は、反射体46が画像読取位置においてホームポジションになるように、ホームポジションセンサ46Dの出力信号に基づいて、モータ駆動IC66を制御する。また、原稿Dが搬送されない所定のタイミングになると、反射体46は、ホームポジションから1回転または複数回転するように、モータ駆動IC67に制御信号を出力する。
【0065】
また、ADF制御部58には、原稿給紙トレイ40aに設けられた原稿センサ43の出力が与えられている。
これに対して、画像読取ユニット10に設けられたスキャナ制御部59は、第1スライダー18をスライドさせる駆動モータMsの駆動を制御するモータ駆動IC68に対して制御信号を出力するようになっている。スキャナ制御部59は、ADFユニット40によって搬送される原稿Dの画像を読み取る場合には、第1スライダー18が図3に示す画像読取位置になるように、モータ駆動IC68に対して制御信号を出力し、シェーディング補正を実行する場合には、第1スライダー18が図4に示すシェーディング補正位置になるように、モータ駆動IC68に対して制御信号を出力する。
【0066】
さらに、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、スキャナ制御部59は、モータ駆動IC68に対して制御信号を出力して、第1スライダー18を第2読取用ガラス16上の原稿に沿って図2に矢印Gで示す方向にスライドさせた後に、逆方向にスライドさせる。
また、スキャナ制御部59は、線状光源11に対して点灯状態とするための所定の制御信号を出力する。
【0067】
さらに、スキャナ制御部59は、画像処理部17がラインセンサー12からの出力信号に基づいて生成した画像データを、画像処理部17から受け取るようになっている。スキャナ制御部59は、画像処理部17から受け取った画像データを、画像形成部Bの制御部(図示せず)に出力する。
<画像処理部>
図7は、画像読取ユニット10に設けられた画像処理部17の構成を示すブロック図である。画像処理部17は、原稿の画像の読み取りが指示された場合に、ラインセンサー12から出力されるアナログ信号から、デジタルの画像データを得るようになっている。
【0068】
画像処理部17には、ラインセンサー12からの出力をAD変換するAD変換部17aが設けられている。AD変換部17aは、ラインセンサー12から出力されるR、G、Bの各色のアナログの画像データをデジタル信号に変換する。
AD変換部17aから出力されるR、G、Bの各画像データのデジタル信号は、シェーディング(SH)補正部17bに与えられている。シェーディング補正部17bは、シェーディング補正位置とされた第1スライダー18の線状光源11から反射体46に光を照射し、その反射光に基づいて得られたシェーディング補正値に基づいて、ラインセンサー12の出力が長手方向に沿って均一になるようにシェーディング補正する。
【0069】
シェーディング補正部17bにてシェーディング補正されたR、G、Bの各画像データに対応したデジタル信号は、明度・色差分離部17cに与えられるとともに、原稿Dの傾きを補正する傾き算出部17nに与えられている。
明度・色差分離部17cは、各色のデジタルの画像データを明度と色差方式に変換処理した後に、画像鮮明化のためのシャープネス調整部17d、HVC調整部17e、濃度補正部17fで調整処理される。
【0070】
シャープネス調整部17d、HVC調整部17e、濃度補正部17fに対しては、画像調整パラメータ設定部17mから画像濃度などの調整のための画像パラメータが与えられており、与えられた画像パラメータに基づいて、画像データの最適化が図られる。
シャープネス調整部17d、HVC調整部17e、濃度補正部17fのそれぞれにおいて、画像鮮明化のために所定の処理が実行された各色の画像データは、傾き補正部17gに出力される。
【0071】
傾き算出部17nは、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの画像を読み取る場合に、第1読取用ガラス13上を通過する1枚の原稿Dからの反射光の光量に基づいて原稿の傾きを検出するために必要とされるデータを生成し、生成されたデータに基づいて原稿Dの搬送方向に対する傾きを検出する。そして、検出された原稿Dの搬送方向に対する傾きに基づいて、読み取られた原稿Dの画像データを補正するために必要とされる補正係数を算出する。算出された補正係数は傾き補正部17gに出力される。
【0072】
傾き補正部17gは、シャープネス調整部17d、HVC調整部17e、濃度補正部17fにおいて所定の処理が実行された各色の画像データの位置を、傾き算出部17nから補正係数に基づいて補正する。傾き補正された各色の画像データは、色空間変換部17hに与えられている。
色空間変換部17hでは、傾き補正されたR、G、Bの各色の画像データを、L*a*b*色空間に変換して、データを圧縮して保管するための圧縮伸張部17kに出力する。圧縮伸張部17kにて圧縮された画像データは、データ保管用のメモリ17jに一時保管される。
【0073】
傾き検出部17nでは、例えば、次のようにして、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの傾きを検出する。ラインセンサー12は、前述したように、1枚の原稿Dによって反射された光と、原稿Dの周囲を通過して反射板46Bによって反射された光とを同時に受光しているために、ラインセンサー12からの出力に基づいて、図5(c)に示すような光量差を有するデータを得ることができる。
【0074】
従って、このような光量差を有するデータに基づいて、光量が、原稿Dの白色背景部分にて反射された光の光量よりも低減している原稿Dの周囲の領域と、原稿Dの周縁部の白色の背景部分との境界部分を抽出することにより、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの輪郭に関するデータを得ることができる。
この場合、ラインセンサー12は、原稿Dの周縁部の白色の背景部分と、原稿Dの周囲の領域を通過して反射体46との両方の反射光を同時に受光するために、従来のように、傾き補正のための補正データを得る場合と、原稿の画像データを得る場合とにおいて線状光源からの光の照射位置を変更するために原稿搬送を一時停止する必要がない。従って、原稿画像の読み取りに際して原稿の搬送効率を低下させることなく、原稿の傾き補正を行うことができる。
【0075】
なお、原稿Dの周縁部の背景部分が白色以外(グレー、黒色等)の場合には、その部分での反射光量と、反射板46Bの白色の反射面による反射光の光量との差が顕著になるために、原稿Dの輪郭をより容易に検出することができる。
図8は、傾き検出部17nでの原稿Dの傾きの検出の原理を説明するための模式図である。図8における二点鎖線D1は、第1読取用ガラス13上を搬送される原稿Dの輪郭を示しており、実線Doは、搬送される原稿Dが搬送方向に沿って傾いていない正規の状態の輪郭を示している。
【0076】
第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dが搬送方向に沿って傾いていない場合には、実線Doで示された原稿Dの輪郭が得られる。なお、原稿Dが搬送方向に沿って傾いていない正規の状態では、原稿搬送方向における先端縁の搬送方向と直交する方向の中央位置Pcが、第1読取用ガラス13における長手方向の中央に位置する中心線LG上に位置される。この中心線LGの座標については予め設定されている。
【0077】
搬送される原稿Dの輪郭における先端縁の画像データが得られると、その原稿Dの先端縁における両側のコーナー部の座標を算出して、算出された座標に基づいて、中心線LGと先端縁との傾きを算出する。そして、その算出結果に基づいて、第1読取用ガラス13上における原稿Dの搬送方向に対する傾きを算出する。
なお、搬送される原稿Dの傾きは、原稿Dにおける長手方向に沿った一方の側縁と中心線CLとの傾きに基づいて算出するようにしてもよい。
【0078】
また、第1読取用ガラス13における前記中心線LGに対する搬送原稿Dの先端縁の中央位置の座標位置を算出し、正規の状態の原稿の中央位置Pcに対する搬送原稿の先端縁の中央位置の変位量を求める。そして、求められた変位量と、搬送原稿Dの傾きとに基づいて、原稿Dにおける画像データの位置を補正するための傾き補正係数を算出する。算出された傾き補正係数は、傾き補正部17gに出力される。
【0079】
<ADF制御部による制御>
図9は、画像読取装置AのADFユニット40に設けられたADF制御部58による制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、ADFユニット40は、通常の原稿Dの搬送制御等を実行するが、図9のフローチャートでは、そのような制御については省略し、反射体46に係る制御の処理手順のみを示している。
【0080】
ADF制御部58は、原稿画像の読み取りが指示されると(図9のステップS11参照、以下同様)、スキャナ制御部59によるシェーディング補正が終了するまで待機状態になる(ステップS12)。なお、この場合、反射体46は、ホームポジションになっており、従って、反射板46Bの外周面は、第1読取用ガラス13に対向した状態になっている。
【0081】
スキャナ制御部59では、シェーディング補正を実行するために、第1スライダー18をシェーディング補正位置へとスライドさせるために、モータ駆動IC68に所定の制御信号を出力する。これにより、第1スライダー18は、図4に示すシェーディング補正位置へスライドされる。
第1スライダー18がシェーディング補正位置にスライドされると、スキャナ制御部59は線状光源11を点灯状態とする。これにより、線状光源11から照射された光は、反射体46の反射板46Bにて反射されて、その反射光がラインセンサー12に照射される。これにより、画像処理部17は、前述したように、ラインセンサー12での受光量に基づいて、シェーディング補正のための補正値を算出する。
【0082】
画像処理部17においてシェーディング補正のための補正値が得られると、スキャナ制御部59は、ADF制御部58に対してシェーディング補正が終了したことを通知する。
なお、スキャナ制御部59は、シェーディング補正が終了すると、駆動モータMsを制御せずに、第1スライダー18を第1読取用ガラス13の下方のシェーディング補正位置としておく。
【0083】
ADF制御部58は、スキャナ制御部59からシェーディング補正の終了が通知されると(ステップS12において「YES」)、原稿給紙トレイ40aに設けられた原稿センサ43によって、原稿給紙トレイ40a上に原稿Dが載置された状態になっているかを判定する(ステップS13)。
原稿給紙トレイ40a上に原稿Dが載置されていない場合には(ステップS13において「NO」)、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像を読み取るものとして、スキャナ制御部59に、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像の読み取りを指示する(ステップS14)。そして、ADF制御部58は、一連の制御を終了する。
【0084】
スキャナ制御部59は、第2読取用ガラス16上に載置された原稿の画像の読み取りが指示されることによって、従来と同様に、駆動モータMsを駆動して、第2読取用ガラス16に沿って第1スライダー18および第2スライダー19をスライドさせる制御を実行する。
原稿給紙トレイ40a上に原稿Dが載置されている場合(ステップS13において「YES」)には、スキャナ制御部59に対して、ADFユニット40によって搬送される原稿Dの画像の読み取りを指示する(ステップS15)。
【0085】
スキャナ制御部59は、ADFユニット40による搬送原稿の画像の読み取りが指示されると、第1スライダー18を画像読取位置へとスライドさせるために、モータ駆動IC68に所定の制御信号を出力する。これにより、第1スライダー18は、図3に示す画像読取位置とされる。第1スライダー18が画像読取位置にされると、スキャナ制御部59は、ADF制御部58に対して、第1スライダー18が画像読取位置になっていることを通知する。また、搬送される原稿の画像を読み取るために線状光源11を点灯状態とする。
【0086】
ADF制御部58は、第1スライダー18が画像読取位置へスライドされたことがスキャナ制御部59から通知されると(ステップS16において「YES」)、原稿給紙トレイ40a上に載置された原稿Dを、1枚ずつ第1読取用ガラス13上へ搬送する原稿搬送制御を開始する(ステップS17)。
ステップS17におけるADF制御部58の原稿搬送制御では、モータ駆動IC61〜65のそれぞれに所定の制御信号を出力して、駆動モータM1〜M5の回転を制御する。また、必要であれば、第1読取用ガラス13上を通過した原稿Dの表裏を反転させて、再度、第1読取用ガラス13上を通過させる。このような原稿搬送制御は、従来と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0087】
ADF制御部58の原稿搬送制御が開始されると、線状光源11が点灯した状態で、第1読取用ガラス13上に原稿Dが搬送されて、第1読取用ガラス13上を原稿が通過する。複数枚の原稿Dが原稿給紙トレイ40a上に載置されている場合には、原稿給紙トレイ40a上の原稿を1枚ずつ、第1読取用ガラス13上に搬送する。また、原稿Dの両面の画像を読み取る場合には、1枚の原稿Dが第1読取用ガラス13上を通過すると、その後に、その原稿Dの表裏を反転させた状態で、再度、第1読取用ガラス13上を通過させる。
【0088】
ADF制御部58は、全ての原稿Dについて、第1読取用ガラス13上へ搬送する制御を実行すると、ステップS18に進み、スキャナ制御部59からの画像読取終了の通知を受け取るまで待機状態になる。
画像読取ユニット10では、前述したように、線状光源11から第1読取用ガラス13に向けて照射される光は、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dと、その周囲を通過して反射体46における白色の反射板46Bとによってそれぞれ反射されて、第1ミラー15bに照射される。そして、第1ミラー15bによって反射された光が、第2ミラー15cおよび第3ミラー15dによって反射されて、縮小レンズ15eを介してラインセンサー12に照射される。
【0089】
スキャナ制御部59における画像処理部17では、原稿Dからの反射光量に基づいて、原稿Dの画像データを取得する。また、画像処理部17の傾き算出部17nでは、ラインセンサー12の受光量に基づいて、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの先端縁を抽出して、搬送方向に対する原稿Dの傾きを算出し、算出された原稿Dの傾きから、原稿Dの画像データの傾きを補正するための補正係数を算出する。算出された補正係数は、画像処理部17の傾き補正部17gに出力される。
【0090】
傾き補正部17gは、傾き算出部17nから取得された補正係数に基づいて、原稿Dの画像データを傾き補正する。このようにして、画像処理部17は、傾き補正された状態の原稿Dの画像データを取得して、メモリ17jに一時保管する。
すべての原稿Dに関して、傾き補正された原稿Dの画像データがメモリ17jに一時保管されると、スキャナ制御部59は、画像の読取が終了したことをADF制御部58に通知する。
【0091】
ADF制御部58は、スキャナ制御部59からの画像読取終了の通知を受け取ると(ステップS18において「YES」)、反射体46を回転させるために、モータ駆動IC66に対して所定の制御信号を出力して駆動モータM6を駆動する。駆動モータM6は、反射体46を1回転または複数回転させる(ステップS19)。
なお、反射体46は、回転される前はホームポジションになっており、従って、反射板46Bの外周面は、第1読取用ガラス13に対向した状態になっている。このような状態で、反射体46は、駆動モータM6によって1回転または複数回転されると、清掃部材46Dが第1読取用ガラス13に接触して、第1読取用ガラス13の上面を摺動する。ブラシによって構成された清掃部材46Dは、第1読取用ガラス13の上面を摺動することによって先端部が撓んだ状態になり、第1読取用ガラス13の上面の紙粉、塵埃等を除去する。
【0092】
反射体46が駆動モータM6によって1回転または複数回転されると、ホームポジションセンサ46Eの出力に基づいて、反射体46は、ホームポジションとされて停止される。これにより、一連の画像読取動作が終了する。
なお、上述のように、清掃部材46Dによって第1読取用ガラス13の上面の紙粉等が除去されているために、その後に、第1読取用ガラス13の上面を通過する原稿Dの画像を読み取る場合に、ラインセンサー12から出力される画像データに筋ノイズが発生するおそれがない。
【0093】
<他の実施形態>
なお、上記の実施形態では、第1スライダー18をスライドさせることにより、シェーディング補正時と画像読取時において、線状光源11から照射される光の反射体46による反射位置を切り替える構成であったが、このような構成に限らず、第1スライダー18をスライドさせることなく、反射体46の回転によって、線状光源11から照射される光の反射位置を切り替える構成としてもよい。
【0094】
図10(a)は、反射体46の回転により線状光源11から照射される光の反射位置を切り替える構成において、反射体46がシェーディング補正位置とされた場合における反射体46による反射光を説明するための模式図、図10(b)は、反射体46が画像読取位置とされた場合における反射体46による反射光を説明するための模式図である。
図10(a)および(b)に示すように、反射体46は、本体部46Aにおける反射板46Bが取り付けられる円周面46yの中心角が180°程度になっており、円周面46yの周方向両側の各側縁と、本体部46Aの平坦面46xの幅方向両側の各側縁との間に、平坦面46xに対して傾斜状態になった傾斜面46zがそれぞれ設けられている。各傾斜面46zは、平坦面46xとはそれぞれ60°程度の傾斜角度になっている。
【0095】
反射板46Bは、本体部46Aの円周面46yをほぼ全域にわたって覆うように円周面46yに取り付けられている。また、円周面46yに対して本体部46Aの回転方向上流側に位置する傾斜面46zにも、反射板46Fが、当該傾斜面46zを全面にわたって覆うように取り付けられている。反射板46Bは白色板によって構成されており、その外周面は白色の反射面になっている。また、反射板46Fも白色板によって構成されており、外側面は白色の平坦な反射面になっている。
【0096】
反射体46は、本体部46Aにおける軸心線Goが、第1読取用ガラス13の垂直中心面CL上に位置するように配置されている。本体部46Aは、前記実施形態と同様に、駆動モータM6によって、軸心線Goを中心として、矢印Fで示す方向に回転されるようになっている。
なお、第1スライダー18は、シェーディング補正時および画像読取時のいずれの場合にも、搭載された第1ミラー15bが第1読取用ガラス13の垂直中心面CL上に位置するように配置される。なお、以下においては、第1スライダー18のこのような位置をデータ読取位置とする。
【0097】
反射体46における本体部46Aの平坦面46xには、ブラシ状の清掃部材46Dが取り付けられている。清掃部材46Dは、本体部46Aの平坦面46xを垂直に二等分する平面PLに対して、本体部46Aの回転方向上流側に適当な間隔をあけて、平坦面46xから所定の長さで垂直に突出した状態で、平坦面46xの長手方向のほぼ全域にわたって設けられている。
【0098】
このような構成の反射体46は、シェーディング補正を実行する場合に、図10(a)に示すように、本体部46Aにおける平坦面46xを垂直に二等分する平面PLと、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLとが一致した状態とされる。反射体46は、このようなシェーディング補正位置では、平坦面46xが第1読取用ガラス13に対して平行になったホームポジションになっている。
【0099】
これに対して、第1読取用ガラス13上を搬送される原稿の画像を読み取る場合には、反射体46は、図10(b)に示すように、ホームポジションから矢印Fで示す方向に120°程度にわたって回転され、本体部46Aにおける平坦面46xの回転方向下流側に位置する傾斜面46zが、第1読取用ガラス13とは平行でない傾斜状態の画像読取位置とされる。この画像読取位置では、傾斜面46zは、例えば、第1読取用ガラス13に対して、傾斜面46zにおける回転方向下流側が回転方向上流側よりも上方に位置するように傾斜した状態とされる。
【0100】
シェーディング補正時に、反射体46がシェーディング補正位置とされると、データ読取位置とされた第1スライダー18の線状光源11から、円弧状に湾曲した反射板46Bの反射面に光が照射される。反射板46Bに照射された光は、前述した実施形態の反射体46と同様に、大部分が、図10(a)に示すように、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLに沿って反射されて、第1読取用ガラス13の下方に位置する第1ミラー15bに照射される。
【0101】
第1ミラー15bに照射された光は、第2ミラー15cおよび第3ミラー15dのそれぞれによって反射された後に、縮小レンズ15eを介してラインセンサー12に照射される。従って、ラインセンサー12は、シェーディング補正を実行するために必要とされる光量の光を受光することができる。
これに対して、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの画像を画像読取ユニット10にて読み取る場合には、駆動モータM6によって本体部46Aが矢印F方向に回転されて、図10(b)に示す画像読取位置とされる。この画像読取位置では、本体部46Aにおける平坦面46xの回転方向下流側に位置する傾斜面46zが、第1読取用ガラス13に対して傾斜した状態になっている。
【0102】
このように、反射体46が画像読取位置とされた状態で、第1読取用ガラス13上を通過するように原稿Dが搬送されるとともに、データ読取位置になった第1スライダー18の線状光源11からは、第1読取用ガラス13の長手方向の全域にわたって光が照射される。線状光源11から第1読取用ガラス13の長手方向の全域にわたって照射された光は、第1読取用ガラス13上を原稿Dが通過した後に、原稿Dの通過域では原稿Dによって反射され、原稿Dの周囲を通過した光は、反射体46における平坦な反射板46Fの反射面によって反射される。
【0103】
原稿Dに照射された光の大部分は、図10(b)に示すように、シェーディング補正を実行する場合と同様に、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLに沿って反射されるために、第1ミラー15b等を介してラインセンサー12に効率よく照射される。従って、ラインセンサー12は、前記実施の形態と同様に、原稿Dの画像を読み取るために必要とされる光量の光を受光することができる。
【0104】
これに対して、搬送原稿の周囲を通過した光は、反射体46における平坦な反射板46Fに照射される。この場合、反射板46Fは、第1読取用ガラス13とは平行でない傾斜状態になっていることから、反射板46Fによって反射される光は、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLに沿って反射される光の光量が減少した状態になり、その結果、第1ミラー15b等を介してラインセンサー12に照射される光量が減少する。
【0105】
ラインセンサー12は、このように、原稿Dにて反射された光と、原稿の周囲を通過して反射体46によって反射された光の両方を同時に受光しており、それらの受光量に基づいて、第1読取用ガラス13の上面に沿って搬送される原稿Dの輪郭に関するデータを得ることができる。従って、そのデータに基づいて、第1読取用ガラス13の上面に沿って搬送される原稿Dの傾きを検出することができる。
【0106】
なお、反射体46の回転により、線状光源11から照射される光の反射位置を切り替える構成の場合、反射体46は、図10に示すような構成に限らず、例えば、図11に示すような構成であってもよい。以下に、この反射体46について説明する。
図11(a)は、シェーディング補正位置とされた反射体46による反射光を説明するための模式図、図11(b)は、画像読取位置とされた反射体46による反射光を説明するための模式図である。
【0107】
図11(a)および(b)に示すように、反射体46は、本体部46Aが、断面楕円形状の円柱体を、軸方向に沿った平面(但し、軸心を通らない平面)によって2分割した場合に得られる2つの分割体のうち、断面積の大きな一方の分割体と同様の形状になっており、本体部46Aの円周面上に反射板46Bが、断面楕円形の外周面のほぼ全域にわたって設けられている。
【0108】
反射板46Bの外周面は、周方向に沿って曲率が連続的に変化しており、横断面における楕円形状の長軸と交差する部分が最も曲率が小さく(以下、その部分を最小曲率部PLとする)、その部分から離れるにつれて、順次、曲率が大きくなっている。その他の構成は、図10に示す反射体46と同様の構成になっている。
なお、本例においても、第1スライダー18は、シェーディング補正時および画像読取時のいずれの場合にも、搭載された第1ミラー15bが第1読取用ガラス13の垂直中心面CL上に位置するデータ読取位置に配置される。
【0109】
このような構成になった反射体46は、シェーディング補正を実行する場合には、図11(a)に示すように、本体部46Aの軸心線Goを通る長軸に沿った面RLと、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLとが一致したシェーディング補正位置とされる。従って、第1スライダー18に搭載された第1ミラー15bは、反射板46Bの外周面における最小曲率部RPに対向した状態になっている。
【0110】
これに対して、第1読取用ガラス13上を搬送される原稿の画像を読み取る場合には、反射体46は、シェーディング補正位置から、駆動モータM6によって矢印F方向に、例えば30°程度、回転されて、図11(b)に示す画像読取位置とされる。反射体46が画像読取位置にされると、反射板46Bの外周面における最小曲率部RPよりも曲率が大きくなった部分が、第1スライダー18に搭載された第1ミラー15bに対向した状態になる。
【0111】
このような構成になった反射体46は、シェーディング補正を実行する場合には、図11(a)に示すシェーディング補正位置とされて、データ読取位置になった第1スライダー18の線状光源11から反射板46Bの反射面に光が照射される。この場合、線状光源11からは、反射板46Bの外周面における最小曲率部RPに向けて光が照射される。これにより、反射板46Bの外周面における最小曲率部RPに照射された光の大部分は、第1読取用ガラス13の垂直中央面CLに沿って反射し、第1読取用ガラス13の下方に位置する第1ミラー15bに照射される。
【0112】
第1ミラー15bに照射された光は、第2ミラー15cおよび第3ミラー15dのそれぞれによって反射された後に、縮小レンズ15eを介してラインセンサー12に照射される。従って、ラインセンサー12は、シェーディング補正を実行するために必要とされる光量の光を受光することができる。
これに対して、第1読取用ガラス13上を通過する原稿Dの画像を画像読取ユニット10にて読み取る場合には、反射体46は、図11(b)に示す画像読取位置とされ、データ読取位置になった第1スライダー18の線状光源11から反射板46Bの反射面に光が照射される。この場合は、線状光源11からは、反射板46Bの外周面における最小曲率部RPよりも曲率が大きくなった部分に向けて光が照射される。
【0113】
このような状態で、第1読取用ガラス13上を通過するように原稿Dが搬送されると、線状光源11から第1読取用ガラス13の長手方向の全域にわたって照射された光は、原稿Dの通過域では、その原稿Dによって反射される。原稿Dによって反射された光の大部分は、シェーディング補正を実行する場合と同様に、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLに沿って進行するために、第1ミラー15b等を介してラインセンサー12に効率よく照射される。従って、前記実施の形態と同様に、ラインセンサー12は、原稿Dの画像を読み取るために必要とされる光量の光を受光することができる。
【0114】
これに対して第1読取用ガラス13上における原稿Dの周囲を通過した光は、反射体46における反射板46Bの最小曲率よりも曲率が大きくなった部分に照射される。これにより、第1読取用ガラス13の垂直中心面CLに沿って反射する光の光量が低減され、第1ミラー15b等を介してラインセンサー12に照射される光量が減少する。
ラインセンサー12は、このように、原稿Dにて反射された光と、原稿の周囲を通過して反射体46によって反射された光の両方を同時に受光しており、それらの受光量に基づいて、第1読取用ガラス13の上面に沿って搬送される原稿Dの輪郭に関するデータを得ることができる。従って、そのデータに基づいて、第1読取用ガラス13の上面に沿って搬送される原稿Dの傾きを検出することができる。
【0115】
<変形例>
なお、上記実施の形態では、ADFユニット40は、原稿の両面の画像を画像読取ユニット10にて読み取られるように自動搬送する構成であったが、このような構成に限らず、原稿の片面の画像のみを画像読取ユニット10にて読み取られるように自動搬送する構成であってもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、画像読取装置が設けられた画像形成装置としてMFP装置について説明したが、これに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用できる。また、画像形成装置に限らず、画像読取機能のみを有する画像読取装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、読取用ガラス上を通過する原稿の画像を読み取る画像読取装置において、原稿画像の読取効率を低下させることなく原稿の傾きを検出する技術として有用である。
【符号の説明】
【0118】
A 画像読取装置
B 画像形成部
10 画像読取ユニット
11 線状光源
12 ラインセンサー
13 第1読取用ガラス
15 縮小光学系
18 第1スライダー
19 第2スライダー
22 中間転写ベルト
23Y、23M、23C、23K プロセスユニット
40 ADFユニット
45 読取前ローラ対
46 反射体
46A 本体部
46B 反射板
46D 清掃部材
48 反射体スライド機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状光源からの光を、当該線状光源の長手方向とは直交する方向に搬送される原稿に照射して、当該原稿からの反射光を受光量検出手段によって受光し、その受光量に基づいて当該原稿の画像を読み取る画像読取装置であって、
前記線状光源に対して原稿の搬送域を挟んで設けられており、前記線状光源からの光を反射させる位置に配置された反射体と、
前記受光量検出手段による受光量がシェーディング補正時よりも原稿の読み取り時において減少するように、シェーディング補正時および原稿の読み取り時に、前記線状光源から照射される光の前記反射体による反射位置を切り替える切替手段と、
原稿の読み取り時に、搬送原稿による反射光と、当該搬送原稿の周囲を通過して前記反射体よって反射された光との前記受光量検出手段による受光量の差に基づいて、当該搬送原稿の搬送方向に対する傾きを検出する傾き検出手段と、
前記受光量検出手段による搬送原稿からの光の受光量に基づいて得られた搬送原稿の画像データを、前記傾き検出手段によって検出された傾きに基づいて補正する傾き補正手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、周方向に一定の曲率で湾曲した円弧状の反射面を有しており、
前記切替手段は、前記線状光源を原稿の搬送方向に沿って移動させることにより、前記反射体による反射位置を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、前記線状光源から照射される光を反射させる平坦な第1反射面と、円弧状に湾曲した第2反射面とを有し、
前記切替手段は、当該反射体を軸心周りに回転させることにより当該反射体による反射位置を前記第1反射面と前記第2反射面とに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記反射体は、軸心が前記線状光源の長手方向に沿った軸体であって、それぞれが異なる曲率で湾曲した円弧状の第1反射面および第2反射面を有し、
前記切替手段は、当該反射体を軸心周りに回転させることにより当該反射体による反射位置を前記第1反射面と前記第2反射面とに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記線状光源と、前記原稿の搬送域との間に、当該線状光源の長手方向に沿った読取用ガラスが設けられており、
前記反射体には、回転によって前記読取用ガラスに摺接する清掃部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像読取装置と、
当該画像読取装置によって読み取られた画像のデータに基づいて記録シート上に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−182654(P2012−182654A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44226(P2011−44226)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】