説明

画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラム

【課題】
読取処理によって読み取った画像データを保存先の操作制限に基づく最適な形態にて保存することにより第三者による意図しない情報取得を防止することを可能にした画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを提供する。
【解決手段】
スキャナ100によって読み取った画像データを情報処理装置に設けられた保存先へ保存する際、その保存先に設定された操作制限が設定されている場合、保存する画像データを暗号化し、暗号化された画像データを保存する。この保存先へ保存することができない場合には、指定された代替保存先へ保存することとし、先の保存先への保存が可能となることにより代替保存先に保存した画像データを移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続可能な画像読取装置(以下、「スキャナ」という)の1つの形態として、ユーザがスキャナに原稿をセットしてスキャン開始ボタン等の押下による原稿の読取処理の実行が指示されると、原稿を元に読み取った画像データをメールに添付して送ったり、情報処理装置上で他者と情報共有を行う共有格納庫(以下、「共有フォルダ」ともいう)やFTP(File Transfer Protocol)サーバにファイル転送したりするなどによってスキャナから情報処理装置へ自発的に画像データを送ることが可能である。
【0003】
このようなスキャナでは、操作パネルから、その場で送信先の情報を入力することも可能であるが、スキャンするたびに入力する手間を省くため、あらかじめ送信先の情報を「宛先」として記録しておき、その宛先を選択するだけで送信先情報を呼び出せるようにしているものが一般的である。
【0004】
特許文献1に開示された従来技術では、原稿を読み取った画像データを転送する共有フォルダを検知し、これらの共有フォルダのうち、指定した1の共有フォルダに該画像データを転送し格納することを可能としている。
【0005】
また、この特許文献1では、画像データの転送が正常に完了したかを判定し、正常に転送が完了しない場合に、検知した共有フォルダのいずれかを代替の転送先として指定することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−020125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、読取処理によって読み取った画像データを保存先の操作制限に基づく最適な形態にて保存することにより第三者による意図しない情報取得を防止することを可能にした画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段によって読み取った画像データを保存先へ送信する送信手段と、前記送信手段により送信した前記画像データが前記保存先へ保存できない場合に、代替保存先を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された代替保存先に設けられた操作制限を確認する確認手段と、前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段と、前記処理手段により処理された画像データを前記代替保存先へ転送する転送手段とを具備する。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記検索手段によって検索された代替保存先および前記確認手段によって確認された代替保存先に対して設定された操作制限を対応付けた保存先情報を管理する保存先情報管理手段を更に具備する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記確認手段は、前記検索手段によって複数の保存先が検索された場合、操作制限が確認されていない前記保存先の操作制限を確認し、前記処理手段は、前記検索手段によって検索された保存先であって前記操作制限が確認されている1または複数の保存先のうち、前記代替保存先に設定された操作制限に基づいて暗号化の有無を判断する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記検索手段によって複数の保存先が検索された場合に前記確認手段によって確認された当該保存先ごとの操作制限を表示した保存先一覧から一の代替保存先を指定する代替保存先指定手段を具備する。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記処理手段は、前記画像データの暗号化を行う場合に、該暗号化に用いる暗号鍵を指定する暗号鍵指定手段を具備し、前記暗号鍵指定手段によって指定された暗号鍵に基づいて暗号化を行う。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記転送手段によって前記代替保存先へ画像データを転送した場合には、該代替保存先の情報と前記送信手段によって送信した保存先の情報とを含む転送情報を記憶する転送情報記憶手段と、前記保存先への転送可否を監視する監視手段と、前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となると、前記転送情報に基づいて前記代替保存先に保存された前記画像データを該保存先へ移動させる画像データ移動手段とを具備する。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となった場合に、該転送が可能となった画像データが前記代替保存先に保存した画像データと同一の画像データであるかを判断する同一性判断手段を具備し、前記画像データ移動手段は、前記同一性判断手段によって同一であると判断された場合に前記代替保存先に保存された画像データを、転送が可能となった前記保存先へ移動する。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記同一性判断手段は、前記転送手段によって前記画像データを前記代替保存先に転送する際に、該画像データに対する第1の誤り検出符号を算出する第1の誤り検出符号算出手段と、前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となった場合に前記代替保存先に保存された画像データに対する第2の誤り検出符号を算出する第2の誤り検出符号算出手段とを具備し、前記第1の誤り検出符号算出手段によって算出した第1の誤り検出符号と前記第2の誤り検出符号算出手段によって算出した第2の誤り検出符号とが同一であるかを判断する。
【0016】
また、請求項9の発明は、画像データを読み取る画像読取手段を有する画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取った画像データを保存する情報処理装置とを備え、前記画像読取装置は、前記画像読取手段によって読み取った画像データを前記情報処理装置へ送信する送信手段と、前記送信手段により送信した前記画像データが前記情報処理装置で保存できない場合に、他の情報処理装置を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された他の情報処理装置に設けられた操作制限を確認する確認手段と、前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段と、前記処理手段により処理された画像データを前記他の情報処理装置へ転送する転送手段とを具備する。
【0017】
また、請求項10の発明は、コンピュータを、画像データを読み取る画像読取手段、前記画像読取手段によって読み取った画像データを保存先へ送信する送信手段、前記送信手段により送信した前記画像データが前記保存先へ保存できない場合に、代替保存先を検索する検索手段、前記検索手段によって検索された代替保存先に設けられた操作制限を確認する確認手段、前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段、前記処理手段により処理された画像データを前記代替保存先へ転送する転送手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、読取処理によって読み取った画像データを保存先の操作制限に基づく最適な形態にて保存することにより第三者による意図しない情報取得を防止することが可能になるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項2によれば、代替保存先の検索の処理を排除することになり負荷を軽減して保存することが可能になるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項3によれば、複数の保存先から最適な代替保存先を指定でき、利便性に優れるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項4によれば、保存先の操作制限を確認した上で最適な代替保存先を指定でき、利便性に優れるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項5によれば、第三者による意図しない情報の参照を防止することが可能になるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項6によれば、読取処理によって読み取った画像データを保存先に一時的に保存できない状態であっても、所望する保存先へ画像データを記憶することができ、利便性に優れるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項7によれば、意図しない不要なデータ移動を防止することができるようになるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項8によれば、意図しない不要なデータ移動を防止することができるようになるという効果を奏する。
【0026】
また、請求項9によれば、読取処理によって読み取った画像データを保存先の操作制限に基づく最適な形態にて保存することにより第三者による意図しない情報取得を防止することが可能になるという効果を奏する。
【0027】
また、請求項10によれば、読取処理によって読み取った画像データを保存先の操作制限に基づく最適な形態にて保存することにより第三者による意図しない情報取得を防止することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態における画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを適用して構成した画像読取システムのシステム構成図の一例。
【図2】本発明の実施の形態における画像読取装置の詳細な構成を示すブロック図の一例。
【図3】本発明の実施の形態における画像読取装置により行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図4】図3に示す保存先の一覧を表示する処理の流れを示すフローチャートの一例。
【図5】読み取り処理により読み取った画像データを保存する保存先として指定可能な共有格納庫の情報を示すテーブル構成図。
【図6】予め登録された保存先と、検索処理によって検索された保存先を示す一覧情報の一例。
【図7】読取画像データの保存が可能な保存先の一覧を表示する保存先一覧表示画面を示す図。
【図8】読取画像データの送信に際して当該読取画像データの暗号化を指示する画面を示す図。
【図9】本発明の実施の形態における画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを適用して構成した画像読取システムのシステム構成図の一例。
【図10】図9に示す構成における画像読取装置の詳細な構成を示すブロック図。
【図11】図9に示す情報処理装置の詳細な構成を示すブロック図。
【図12】本発明の実施の形態における画像読取装置により行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図13】図12に示すフローチャートの代替保存先を指定する処理の詳細な流れを示すフローチャート。
【図14】図12に示す転送処理で転送エラーが発生した場合に行う自動転送処理の流れを示すフローチャート。
【図15】保存先情報の一例を示す図。
【図16】自動転送の設定を行う画面を示す図。
【図17】予め登録された保存先と、検索処理によって検索された保存先を示す一覧情報の一例。
【図18】保存先の一覧を表示する画面を示す図。
【図19】本発明の実施の形態における画像読取システムを構成する情報処理装置により行われる処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係わる画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施の形態における画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを適用して構成した画像読取システムのシステム構成図の一例である。
【0031】
図1において、原稿を光学的に読み取ることにより当該原稿に対する読取画像データを生成する画像読取装置100(以下、「スキャナ100」ともいう)は、読み取った読取画像データを、指定された保存先に送信するプッシュスキャン機能を有している。このときの保存先として、指定可能な記憶領域である共有格納庫(「共有フォルダ」ともいう)を有する情報処理装置であるPC−USER1(200−1)、PC−USER2(200−2)、PC−SERVER(200−3)がスキャナ100と電気通信回線を介して接続された構成を示している。
【0032】
この指定可能な共有格納庫として、PC−USER1に「共有フォルダ1」を備え、PC−USER2に「共有フォルダ2」を備え、PC−SERVERに「共有フォルダ3」を備えており、これらの共有格納庫は、たとえば、図5のような操作制限(以下、「アクセス制限」ともいう)がされた状態にある。
【0033】
図5には、各共有格納庫に対して設定されたアクセス制限を示している。
【0034】
PC−USER1(200−1)の共有格納庫である「共有フォルダ1」には、スキャナからのアクセスとユーザ1からのアクセスが許可されており、そのアクセス権として「読み書き可能」が設定されている。また、PC−USER2(200−2)の共有格納庫である「共有フォルダ2」は、スキャナからのアクセスとユーザ2からのアクセスが許可されており、そのアクセス権として「読み書き可能」が設定されている。さらに、PC−SERVER(200−3)の共有格納庫である「共有フォルダ3」は、スキャナからのアクセス、ユーザ1からのアクセス、ユーザ2からのアクセス全てが許可されていることから、アクセス制限されていない状態にある。
【0035】
このことから、PC−SERVER(200−3)の共有格納庫である「共有フォルダ3」等のアクセス制限がされていない状態に有る共有格納庫を、以下では「共有スペース」と称する。
【0036】
スキャナ100が有するプッシュスキャン機能では、これらの共有格納庫のうちのいずれかに読取処理によって読み取った読取画像データを保存する。
【0037】
プッシュスキャン機能による画像読取処理(スキャン処理)は、まず、スキャン処理における設定情報(「スキャンパラメータ」ともいう)を設定し、さらに、設定情報に基づいて読取処理をすることで生成した読取画像データを保存する保存先を設定する。この保存先として、予め指定された保存先若しくは登録された保存先の一覧から指定した保存先がある。
【0038】
スキャンパラメータ、保存先の情報が設定された後に、読取開始ボタン等が押下されることによって読み取り指示が行われると、スキャナ100の原稿台にセットされた読み取り対象の原稿の読取処理が開始される。この読取処理によって、原稿に係る読取画像データが生成され、正常に読取処理が終了すると、プッシュスキャン機能は、生成した読取画像データを指定された保存先に送信する送信処理を行う。
【0039】
この送信処理によって、読取画像データの送信が正常に完了することによってプッシュスキャン機能を終了する。
【0040】
このときのスキャンパラメータとして、例えば、スキャン処理における解像度、画像サイズ、画像の暗号化の有無、白黒やフルカラーなどのカラーモード、TIFF形式やJPEG形式などの保存形式等がある。
【0041】
また、読取画像データを送信する保存先の一覧は、予め指定されて登録された保存先のほか、保存先の検出処理により検出された共有フォルダの一覧が表示される。このときの保存先の検出処理は、プッシュスキャン機能の実行とは別に任意のタイミングで実行し、この検出処理によって検出された共有格納庫の一覧を図6に示す。
【0042】
図6は、予め登録された保存先と、検索処理によって検索された保存先を示す一覧情報である。
【0043】
図6は、[保存先名]項目601、[宛先番号]項目602、[宛先名]項目603、[アクセス制限]項目604、[サーバー名/IPアドレス]項目605、[共有名]項目606、[ログインユーザ]項目607、[パスワード]項目608によって構成されており、3つの保存先の例を示している。
【0044】
[保存先名]項目601は、保存先の共有格納庫を識別する名称であり、[宛先番号]項目602は、保存先の識別番号であり、[宛先名]項目603は、共有格納庫が設けられた装置名称である。また、[アクセス制限]項目604は、各保存先に対してアクセス制限がされているか否かを示しており、この[アクセス制限]項目604に「有り」が示されることによりアクセス制限が設定されている場合のアクセス制限の内容を図5のアクセス制限に示している。
【0045】
さらに、[サーバー名/IPアドレス]項目605は、ネットワーク上で保存先の共有格納庫を識別する装置名称であって、[共有名]項目606は、保存先をネットワーク上で識別する名称であって、図1に示す「共有フォルダ1」、「共有フォルダ2」、「共有フォルダ3」がそれに該当する。[ログインユーザ]項目607は、ログインが可能なユーザ名を示しており、[パスワード]項目608は、ログインが可能なユーザ名に対するパスワードを示している。
【0046】
例えば、[保存先名]項目601が「保存先1」である読取画像データの保存先は、その保存先の宛先を示す名称として[宛先名]項目603に「ユーザ1のPC−USER1」が示されており、この宛先の装置名称を[サーバー名/IPアドレス]項目605に「PC−USER1」と示している。そして、この「保存先1」のネットワーク上の名称が「共有フォルダ1」であることを[共有名]項目606に示しており、この「共有フォルダ1」にログインするために必要なユーザ名が「user1」であることを[ログインユーザ]項目607に示し、また、[パスワード]項目608にログインするためのパスワードが「abcd001」であることを示している。
【0047】
このことから、スキャナ100を用いてプッシュスキャン機能を利用するユーザが「user1」である場合には、初期値として、共有名が「共有フォルダ1」であって宛先名が「ユーザ1のPC−USER1」である「保存先1」に読取画像データを送信することが指定されている。また、ユーザが「user2」である場合には、初期値として、共有名が「共有フォルダ2」であって宛先名が「ユーザ2のPC−USER2」である「保存先2」に読取画像データを送信することが指定されている。
【0048】
この図6に示すような共有格納庫が管理された状態で、例えば「user1」のユーザがプッシュスキャン機能を実行すると、原稿台にセットされた原稿の読取処理が行われて読取画像データが生成され、指定された保存先1へ読取画像データを送信する。
【0049】
この送信処理に際して、保存先の装置の電源が投入されていない状態やネットワークが遮断されている等の状態で送信できない状態により障害や不具合(以下、「エラー」という)が発生している場合には、スキャナ100がこのエラーを検知して図6に示すような保存先の一覧を元に、その保存先とは異なる他の保存先(以下、「代替保存先」という)を指定可能とする図7に示すような画面を表示することにより、プッシュスキャン機能を利用するユーザにより代替保存先の指定を指示する。
【0050】
図7は、読取画像データの保存が可能な保存先の一覧を表示する保存先一覧表示画面を示す図であって、図7(a)は、図6に示す保存先の一覧全てを表示した状態の保存先一覧表示画面を示す図であり、図7(b)は、プッシュスキャン機能を実行するユーザにより保存可能な保存先の一覧を表示する画面を示す図である。
【0051】
上記の例では、プッシュスキャン機能を利用すユーザが「user1」であることから、図7(b)では、この「user1」が読取画像データを保存可能な保存先として、保存先1の「ユーザ1のPC−USER1」とアクセス制限が設けられていない共有格納庫である「共有スペース」を示している。
【0052】
もちろん、プッシュスキャン機能を実行するユーザの「user1」に対する保存先として予め指定された「ユーザ1のPC−USER1」に設けられた「共有フォルダ1」以外の「user1」が保存可能な共有格納庫のみを表示するような構成であってもよい。すなわち、アクセス制限が設けられていない「共有スペース」のみを表示するような構成であってもよい。
【0053】
さらに、ユーザに対応して予め指定した共有格納庫(上記の例では、「user1」に対応する「共有フォルダ1」)への送信処理においてエラーが発生した場合、図7に示すような保存先一覧表示画面を表示することなく、共有スペースに送信するような構成とすることも可能である。この場合、読取画像データを送信した保存先の情報を、プッシュスキャン機能を実行するユーザに対して表示する。
【0054】
図7に示すような画面を用いて代替保存先が指定されると、その代替保存先が共有スペースであるかを判断して共有スペースである場合に図8に示すような画面を表示して暗証番号等の暗号鍵の入力を可能とする。
【0055】
図8は、読取画像データの送信に際して当該読取画像データの暗号化を指示する画面であって、暗号化処理における暗号キーを暗証番号によって指定する。
【0056】
図8には、暗証番号入力項目801、暗証番号入力確認項目802、OKボタン803、キャンセルボタン804を備え、暗証番号入力項目801と暗証番号入力確認項目802に同一の暗証番号を入力し、OKボタン803を押下することによって入力された暗証番号を暗号キーとして読取画像データが暗号化される。
【0057】
キャンセルボタン804を押下することによって暗号化処理が取り消され、暗号化することなく読取画像データの送信処理が行われる。この場合、暗号化処理が行われることなく、読取画像データが共有スペースに保存されることを確認するダイアログを表示してその旨が了承されることによって、暗号化することなく読取画像データの送信を行うような構成とすることも可能である。
【0058】
このような図7、図8に示す画面を用いて、代替保存先および暗号化の有無が設定されると、読取画像データを暗号化の有無に従って処理し、暗号化が指定されている場合には暗証番号に基づいて暗号化して、指定された代替保存先へと送信する。
【0059】
図2は、本発明の実施の形態における画像読取装置の詳細な構成を示すブロック図の一例である。
【0060】
図2に示す画像読取装置は、画像読取処理における主制御を行うコントローラ10、画像読取処理に際してユーザとのインターフェースである操作パネル20、原稿の読取処理を行う画像読取部30により構成される。
【0061】
コントローラ10は、ネットワーク制御部11、情報格納庫検出部12、保存先管理部13、保存先情報記憶部14、暗号化処理部15、データフォーマット部16、画像処理部17、スキャンジョブ制御部18を具備し、操作パネル20は、保存先一覧表示選択部21、識別表示制御部22、スキャンパラメータ入力部23、暗号化設定部24、スキャン指示部25を具備し、画像読取部30は、読取制御部31、フィーダー部32、プラテン部33を具備して構成される。
【0062】
操作パネル20は、表示部や操作部を具備し、操作部をユーザが操作することによってプッシュスキャン機能を選択すると、操作パネル20の保存先一覧表示制御部21では、コントローラ10の保存先管理部13が有する保存先情報記憶部14で記憶する図6に示すような共有格納庫の一覧のうち、そのユーザがアクセス可能な共有格納庫の表示制御を行う。このときの表示例が図7である。
【0063】
なお、図6に示す共有格納庫の一覧は、ネットワーク制御部11が有する情報格納庫検出部12が定期的に若しくは任意のタイミングで、ネットワーク上に存在する共有格納庫を検索する処理を行い、登録された共有格納庫とは異なる共有格納庫が検出された場合にその共有格納庫を保存先の共有格納庫の一覧として保存したものである。
【0064】
そして、保存先一覧表示部21が有する識別表示制御部22によって共有格納庫が共有スペースであるかを判断し、共有スペースである場合には、その旨を識別できる表示制御を行う。図7に示す例では、「Free」という白抜き文字からなる楕円図形を、共有スペースと判断した共有格納庫の一覧に表示している。
【0065】
保存先一覧表示制御部21で表示された保存先から、読取画像データを保存する保存先が指定されると、その保存先の情報を保存先管理部13へ通知し、保存先管理部13が管理する。
【0066】
続いて、スキャンパラメータ入力部23で読取処理における設定情報であるスキャンパラメータの入力を行い、またスキャンパラメータ入力部23が有する暗号化設定部24で暗号化処理の有無および暗号化する場合には暗証番号等の暗号キーを図8に示すような画面を用いて設定する。この暗号化設定部24で暗号化の有無が設定されると、コントローラ10の暗号化処理部15へとその設定内容を通知する。さらに、スキャンパラメータ入力部23で入力されたスキャンパラメータの情報を画像処理部17、データフォーマット部16へと通知する。
【0067】
このようにして、保存先およびスキャンパラメータが設定されると、操作パネル20のスキャン指示部25は、これらの情報に基づいて、読取処理の実行指示をスキャンジョブ制御部18に行う。
【0068】
コントローラ10のスキャンジョブ制御部18は、スキャン指示部25から読取処理の実行指示を受けることによって、画像読取部30の読取制御部31へ読取処理の開始指示を行う。この開始指示を受けた読取制御部31は、フィーダー部32の動作制御を行うことでプラテン部33にセットされた読取対象の原稿の読取処理を制御し、画像読取部30によって読み取った読取画像データをコントローラ10の画像処理部17へと送出する。
【0069】
画像処理部17は、受信した読取画像データに対して色変換処理、回転処理等の画像処理を行い、処理後の読取画像データをデータフォーマット部16へと送出する。データフォーマット部16では、スキャンパラメータ入力部23から通知されたスキャンパラメータに含まれるデータフォーマットへ画像処理部17から受信した読取画像データを変換する。
【0070】
データフォーマット部16は、所定のデータフォーマットへと変換すると、その変換後の読取画像データを暗号化処理部15へと送出する。暗号化処理部15では、スキャンパラメータ入力部23の暗号化設定部24から暗号化処理が指定されている場合には、データフォーマット部16から受信した読取画像データの暗号化を行う。暗号化が指定されていない場合には、データフォーマット部16から受信した読取画像データをネットワーク制御部11へと送出する。
【0071】
このときの暗号化処理部15によって行われる暗号化処理は、暗証番号等の暗号キーに基づいて暗号化処理を行う。
【0072】
暗号化処理が行われると、暗号化処理部15は、暗号化処理が行われた読取画像データをネットワーク制御部11へと送出し、ネットワーク制御部11では、暗号化処理部15から読取画像データを受信すると、保存先管理部13から当該読取画像データを送信して保存する保存先の情報を取得する。
【0073】
保存先管理部13から保存先の情報を受信したネットワーク制御部11では、読取画像データをその保存先へ送信する送信制御を行う。このとき、保存先からの応答により読取画像データを保存できない場合や保存先が存在しない場合等により、読取画像データを保存できないときは保存先一覧表示制御部21へ保存先の一覧表示を指示し、指定された保存先に代わる代替保存先の指定をユーザに促す。
【0074】
このとき、保存先一覧表示制御部21は、保存先情報記憶部14に記憶する保存先の一覧を表示し、代替保存先をユーザにより指定可能とする。ユーザにより代替保存先が指定されると、保存先管理部13へとその代替保存先の情報を通知し、保存先管理部13はその代替保存先の情報を管理する。また、保存先一覧表示制御部21は、ネットワーク制御部11に対して代替保存先が指定されたことを通知する。
【0075】
これにより、ネットワーク制御部11は、保存先管理部13で管理された代替保存先の情報を取得し、当該代替保存先に対して読取画像データを送信する。このとき、その代替保存先に対しても送信できない場合には、再度保存先一覧表示制御部21へ保存先の一覧表示を指示する。
【0076】
このとき、全ての保存先に読取画像データが送信できない場合、一定回数以上送信できない場合には処理を中止し、操作パネル20の表示部にその旨を表示し、その読取画像データを破棄する。もちろん、破棄することなくスキャナ内の記憶領域に一時的に記憶するような構成であってもよい。
【0077】
図3は、本発明の実施の形態における画像読取装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図3において、プッシュスキャン機能が指定されると処理が開始され、まず、スキャン処理(読取処理)することによって読み取った読取画像データを保存する保存先の一覧を表示する処理を行う(301)。この保存先の一覧を表示する処理の流れを図4に示す。
【0079】
この保存先の一覧を表示する処理によって表示された保存先一覧のうち、いずれかを読み取り画像データの保存先として指定する(302)。次に、指定された保存先が誰でも読み書きできる共有格納庫(共有スペース)であるかを判断する(303)。この判断処理において、当該指定された保存先がログイン動作を必要としている場合には第三者のアクセスであることを示すゲスト(GUEST)ユーザによるログイン動作を行い、認証されるか否かにより共有格納庫であるか否かを判断する。
【0080】
ゲストユーザによるログイン動作によって認証されること等により、指定された保存先が共有格納庫であると判断される場合(303でYES)には、暗号化機能を「有効」と設定する(304)。それに対して、指定された保存先が共有格納庫であると判断されない場合(303でNO)には、暗号化機能の「有効、無効」の設定を初期値に従う。すなわち、暗号化機能の初期値として「有効」が設定されている場合には暗号化機能を「有効」とし、「無効」が設定されている場合には「無効」とする。
【0081】
続いて、スキャン処理における設定情報(スキャンパラメータ)が設定されているかを判断する(305)。設定情報が設定されている場合(305でYES)には、その設定情報に基づいて読み取り処理を行うこととし、設定されていない場合(305でNO)には、初期設定のスキャンパラメータの読み込みを行う(306)。
【0082】
この設定情報(スキャンパラメータ)は、上記にも示すように、読み取り処理のカラーモード(白黒、グレースケール、フルカラーなどの各モード)のほか、読取解像度、読取画像サイズなどである。
【0083】
このようにしてスキャンパラメータが設定されると、続いて、暗号化機能が「有効」と設定されているかを判断する(307)。
【0084】
暗号化機能が有効とされている場合(307でYES)には、その暗号化機能における「暗号キー」と呼ばれる暗号情報が設定されているかを判断する(308)。暗号キーが設定されている場合(308でYES)には、その設定された暗号キーを用いて暗号化処理を行うものとする。
【0085】
それに対して、暗号キーが設定されていない場合(308でNO)には、その暗号キーの設定の取り消しが行われたかを判断し(309)、暗号キーの設定の取り消しが行われた場合(309でYES)には、暗号化機能を「無効」と設定する。
【0086】
また、暗号キーの設定が取り消されていない場合(309でNO)には、その暗号キーが設定されるのを待つこととする。その後、暗号キーの設定若しくは設定の取消が行われることにより、暗号化機能を「有効」若しくは「無効」へと設定する。
【0087】
このようにして、暗号化機能による暗号化処理を「有効」とするか「無効」とするかが設定され、また、暗号化処理を「有効」とする場合には暗号キーが設定されると、続いて、画像読取装置の操作パネル等に設けられたスキャンボタン等が押下されることにより原稿の読み取り処理の開始指示が行われたかを判断する(311)。
【0088】
スキャンボタン等が押下され、読み取り処理の開始が指示されると(311でYES)、読取対象として原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(312)。
【0089】
この読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生したかを判断する(313)。
【0090】
読取エラーが発生せずに正常に読み取り処理が終了した場合(313でNO)には、続いて、暗号化機能が有効であるかを判断する(316)。暗号化機能が有効に設定されている場合(316でYES)には、読み取り処理によって読み取った読取画像データに対して暗号キーに基づく暗号化処理を行う(317)。
【0091】
これにより、暗号化された読取画像データが形成された状態となる。
【0092】
これに対して、読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生した場合(313でYES)には、発生した読取エラーに対するリカバリー処理を行う(314)。例えば、発生したエラーが印刷用紙の給紙・排紙できない用紙搬送エラー、トナー等の印字材料の不足による材料不足エラーなどに対する正常動作の回復操作を行う。
【0093】
その後、その読み取り処理が取り消されたかを判断し(315)、リカバリー処理後、読み取り処理が取り消されていない場合(315でNO)には、再度、原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(312)。また、読み取り処理が取り消された場合(315でYES)には、読み取り処理が正常に行われなかった旨を示すエラー表示を行って(322)処理を終了する。
【0094】
反対に、正常に読み取り処理が行われると、読み取り処理が行われた読取画像データを、指定された保存先に保存するために転送処理を行う(318)。この転送処理において、転送エラーが発生したかを判断して(319)、転送エラーが発生せず正常に保存先に保存された場合(319でNO)にはプッシュスキャン機能が正常に終了したこととなる。
【0095】
それに対して、転送途中で転送エラーが発生した場合(319でYES)には、あらためて保存先の一覧を表示する処理を行う(320)。この保存先を設定する処理の流れを図4に示す。
【0096】
もちろん、転送処理を再度実行するような構成であってもよい。この場合、予め指定された実行回数を実行後、それでも転送エラーが発生する場合に、あらためて保存先の一覧表示を行う(320)。
【0097】
このとき、転送処理の取り消しが指定されたかを判断し(321)、保存先が指定された場合(321でYES)には、エラー表示を行って(322)処理を終了する。また、転送処理が取り消されていない場合(321でNO)であって、一覧表示された保存先の一覧から、保存先が指定される(322)と、再度、読取画像データの転送処理が行われる。
【0098】
図4は、図3に示す保存先の一覧を表示する処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【0099】
図4は、プッシュスキャン機能が指定されると処理が開始され、ネットワーク上に存在する複数のユーザが読み書きできる共有格納庫を検索する(401)。この検索の結果、共有格納庫が検索されたかを判断する(402)。この検索の結果、1以上の共有格納庫が検索された場合(401でYES)には、続いて、その検索された共有格納庫にアクセス制限が行われているかを判断する(403)。すなわち、指定されたユーザのみが読み書きできる共有格納庫であるか、ユーザを問わず誰もが読み書きできる共有格納庫であるかを判断する。
【0100】
このアクセス制限が行われているか否かは、第三者が自由に読み書きできるか否か(ゲストユーザにより読み書きできるか否か)によって判断し、アクセス制限がある場合(403でYES)、すなわち、第三者が自由に読み書きできる場合には、続いて、その共有格納庫が保存先として登録された状態にあるかを判断する(407)。
【0101】
既に、保存先として登録された状態にある共有格納庫である場合(407でYES)には、アクセス制限が行われた共有格納庫であることを設定する(408)。また、保存先として登録された状態にない共有格納庫である場合(407でNO)には、検索した共有格納庫の情報を保存先として登録せずに破棄する。
【0102】
次に、検索された共有格納庫にアクセス制限が行われていない場合(403でNO)には、続いて、その共有格納庫が保存先として登録された状態にあるかを判断する(404)。
【0103】
保存先として既に登録された状態にある共有格納庫である場合(404でYES)には、その共有格納庫をアクセス制限されていない共有格納庫であることを設定する(405)。それに対して、保存先として登録されていない状態にある共有格納庫である場合(404でNO)には、その共有格納庫を保存先に新規に登録し、アクセス制限されていない共有格納庫であることを設定する(406)。
【0104】
このようにして、検索された共有格納庫のアクセス制限の有無が設定されると、検索の結果、他の共有格納庫が存在するかを判断する(409)。他の共有格納庫が存在する場合(409でYES)には、その共有格納庫に対して上記のアクセス制限の有無の設定を行う。
【0105】
検索された全ての共有格納庫に対してアクセス制限の有無が設定されると(409でNO)、検索された全ての共有格納庫を含む保存先の一覧を登録する(410)。そして、その登録された保存先の一覧に基づいて、プッシュスキャン機能における読取画像データの保存先として指定可能な保存先の一覧を表示する(411)。
【0106】
このときの保存先の一覧が登録された状態を図6に示しており、この図6の保存先一覧に基づく表示例が図7である。
【実施例2】
【0107】
図9は、本発明の実施の形態における画像読取装置および画像読取システムおよび画像読取プログラムを適用して構成した画像読取システムのシステム構成図の一例である。
【0108】
図9において、原稿を光学的に読み取ることにより当該原稿に対する読取画像データを生成する画像読取装置100(以下、「スキャナ100」ともいう)は、読み取った読取画像データを、指定された保存先に送信するプッシュスキャン機能を有している。このときの保存先として、指定可能な記憶領域である共有格納庫(「共有フォルダ」ともいう)を有するPC−USER1(200−1)、PC−SERVER(200−3)がスキャナ100と電気通信回線を介して接続された構成を示しており、さらに、スキャナ100におけるプッシュスキャン機能を用いた読取画像データの保存に関する処理を行う情報処理装置900が接続されている。
【0109】
この指定可能な共有格納庫として、PC−USER1に「共有フォルダ1」を備え、PC−SERVERに「共有フォルダ2」を備えている。
【0110】
スキャナ100が有するプッシュスキャン機能では、これらの共有格納庫のうちのいずれかに読取処理によって読み取った読取画像データを保存する。
【0111】
プッシュスキャン機能による画像読取処理(スキャン処理)は、まず、スキャン処理における設定情報(「スキャンパラメータ」ともいう)を設定し、さらに、設定情報に基づいて読取処理をすることで生成した読取画像データを保存する保存先を設定する。この保存先として、予め指定された保存先若しくは登録された保存先の一覧から指定した保存先がある。もちろん、予め指定した保存先に保存するような構成であってもよい。
【0112】
この保存先を指定するための保存先の一覧を表示する画面の一例を図18(a)に示し、以下で説明する。
【0113】
スキャンパラメータ、保存先の情報が設定された後に、読取開始ボタン等が押下されることによって読み取り指示が行われると、スキャナ100の原稿台にセットされた読み取り対象の原稿の読取処理が開始される。この読取処理によって、原稿に係る読取画像データが生成され、正常に読取処理が終了すると、プッシュスキャン機能は、生成した読取画像データを指定された保存先に送信する送信処理を行う。
【0114】
この送信処理によって、読取画像データの送信が正常に完了することによってプッシュスキャン機能を終了する。
【0115】
このときのスキャンパラメータとして、例えば、スキャン処理における解像度、画像サイズ、画像の暗号化の有無、白黒やフルカラーなどのカラーモード、TIFF形式やJPEG形式などの保存形式等がある。
【0116】
この送信処理に際して、保存先の装置の電源が投入されていない状態やネットワークが遮断されている等の状態で送信できない状態によりエラーが発生している場合には、スキャナ100がこのエラーを検知して、予め登録された代替保存先へ送信する。
【0117】
また、図17に示すような保存先の一覧を元に、その保存先とは異なる他の保存先(以下、「代替保存先」という)を指定可能とする図18(b)に示すような画面を表示することにより、プッシュスキャン機能を利用するユーザにより代替保存先の指定を指示することも可能である。
【0118】
図17は、上記に示す図6と類似し、図18(b)は、上記に示す図7(b)と類似することから、異なる点を中心に説明する。
【0119】
図17に示す保存先である共有格納庫の一覧は、スキャナ100が定期的に若しくは任意のタイミングでネットワーク上にある共有格納庫を検索し、登録された共有格納庫でない場合に検索された共有格納庫の情報を登録したものである。
【0120】
図17に示す例では、アクセス制限された「共有フォルダ1」という名称の保存先10と、アクセス制限されていない共有スペースの「共有フォルダ2」という名称の保存先11の共有格納庫の情報が登録された状態を示している。
【0121】
図18は、保存先の一覧を表示する画面であって、図18(a)は、プッシュスキャン機能における読取画像データの保存先を指定する画面であって、図18(b)は、図17に示す共有格納庫の情報に基づいて代替保存先を指定する画面である。
【0122】
図18(b)に示す保存先一覧表示画面には、図18(a)の画面を用いて指定した保存先若しくは予め指定された保存先以外の代替保存先が選択可能な状態で示されている。図18(b)に示す例では、図17に示す共有格納庫の情報に基づき、図18(a)の画面を用いて指定した保存先若しくは予め指定された保存先が「共有フォルダ1」である場合にその代替保存先として指定可能な「共有フォルダ2」を選択可能な状態とした画面である。
【0123】
図18に示す画面でOKボタン1803を押下することにより指定した保存先へ読取画像データを送信する。
【0124】
このようにして代替保存先が指定されると、読取画像データを指定された代替保存先に送信して保存する。
【0125】
このとき、代替保存先が共有スペースである場合であって、読取画像データが暗号化されていない場合には図8に示すような画面を表示して暗号化を行うか否かをユーザに問い合わせる。このとき、暗証番号が暗証番号入力項目801、暗証番号入力確認項目802に入力され、OKボタン803が押下されることにより読取画像データを暗証番号に基づいて暗号化処理し、代替保存先へ送信して保存する。また、キャンセルボタン804が押下されることにより暗号化処理は行わずに代替保存先へ送信して保存する。
【0126】
このようにして、代替保存先へ読取画像データを保存したスキャナ100は、代替保存先へ保存する前に指定した保存先へ移動する自動転送を行うか否かを問い合わせる画面を表示し、ユーザにより自動転送の設定を受け付ける。例えば、図16に示すような画面を表示する。
【0127】
この図16に示す画面は、図18(b)に示すような画面で指定した代替保存先へ保存する前に指定した保存先の情報を表示する転送先情報表示項目1601、この転送先情報表示項目1601で表示された保存先への自動転送を指示する自動転送設定ボタン1602、自動転送設定を取り消すキャンセルボタン1603を具備して構成される。
【0128】
自動転送設定ボタン1602を押下することによって、転送先情報表示項目1601に表示された保存先への保存が可能となることによって代替保存先に保存した読取画像データを自動転送することを設定する。また、キャンセルボタン1603を押下することによって自動転送の設定を取り消す。
【0129】
この図16に示す画面を用いて自動転送が設定されると、スキャナ100は、読取画像データを保存した代替保存先の情報およびその代替保存先へ保存する前に指定した保存先の情報および転送対象の読取画像データに関する情報を保存先情報として記憶する。
【0130】
この保存先情報の一例を図15に示す。
【0131】
図15に示す保存先情報は、[転送情報ID]項目1501と、転送元の情報として[宛先名]項目1502、[サーバー名/IPアドレス]項目1503、[共有名]項目1504、[ログインユーザ]項目1505、[パスワード]項目1506と、転送先の情報として[宛先名]項目1507、[サーバー名/IPアドレス]項目1508、[共有名]項目1509、[ログインユーザ]項目1510、[パスワード]項目1511と、転送対象の読取画像データの情報として[ファイル名]項目1512、[作成日時]項目1513、[チェックサム]項目1514とから構成される。
【0132】
この図15に示す保存先情報は、転送情報の識別情報として「001」が指定され、転送元の情報として、[宛先名]項目1502により示される宛先が「ユーザ1のPC−SERVER」であり、[サーバー名/IPアドレス]項目1508により示されるネットワーク上で識別する情報が「PC−SERVER」であり、[共有名]項目1509により示されるネットワーク上の名称が「共有フォルダ2」であり、[ログインユーザ]項目1510により示されるログインできるユーザが「−」であり、[パスワード]項目1511により示されるログイン時のパスワードが「−」であることを示す。すなわち、[共有名]項目1502に示される「共有フォルダ2」が代替保存先である。
【0133】
そして、この代替保存先に保存した読取画像データを転送する転送先の情報として、[宛先名]項目1507により示される宛先が「ユーザ1のPC−USER1」であり、[サーバー名/IPアドレス]項目1508により示されるネットワーク上で識別する情報が「PC−USER1」であり、[共有名]項目1509により示されるネットワーク上の名称が「共有フォルダ1」であり、[ログインユーザ]項目1510により示されるログインできるユーザが「user1」であり、[パスワード]項目1511により示されるログイン時のパスワードが「abcd001」であることを示す。
【0134】
さらに、転送対象の読取画像データの情報として、[ファイル名]項目1512に示される読取画像データのファイル名が「Image-0001.tiff」であり、[作成日時]項目1513に示される読取画像データの作成日時が「2007-09-12 15:24:34」であり、[チェックサム]項目1514で示される読取画像データのチェックサムの値が「D54A35CC241F8153」であることを示している。
【0135】
このチェックサムの値は、誤り検出符号の一例であって、読取画像データが更新されることにより異なる値となり、このチェックサムの値が同一か否かによって読取画像データの同一性を判断し、同一でない場合に画像データが更新されたと判断する。
【0136】
このような保存先情報が記憶された状態にあるスキャナ100は、保存先情報が記憶されてから一定時間を経過するごとに元の保存先へ読取画像データの移動転送が可能であるかを確認し、移動転送が可能である状態となることにより代替保存先に保存された読取画像データを移動転送する。
【0137】
このチェックサムの値は、代替保存先への保存に際して算出され、また移動転送の際にも算出され、これらの際のチェックサムの値の同一性を判断する。
【0138】
このときのスキャナ(画像読取装置)における詳細な処理の流れを図12、図13、図14に示し、以下で説明する。
【0139】
図10は、図9に示す構成における画像読取装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0140】
図10に示す画像読取装置は、画像読取処理における主制御を行うコントローラ10、画像読取処理に際してユーザとのインターフェースである操作パネル20、原稿の読取処理を行う画像読取部30により構成される。
【0141】
コントローラ10は、ネットワーク制御部11、情報格納庫検出部12、保存先管理部13、保存先情報記憶部14、暗号化処理部15、データフォーマット部16、画像処理部17、スキャンジョブ制御部18、監視部19を具備し、操作パネル20は、保存先一覧表示選択部21、スキャンパラメータ入力部23、暗号化設定部24、スキャン指示部25、転送情報入力部26を具備し、画像読取部30は、読取制御部31、フィーダー部32、プラテン部33を具備して構成される。
【0142】
操作パネル20は、表示部や操作部を具備し、操作部をユーザが操作することによってプッシュスキャン機能を選択すると、操作パネル20の保存先一覧表示制御部21では、コントローラ10の保存先管理部13が有する保存先情報記憶部14で記憶する図6に示すような共有格納庫の一覧のうち、そのユーザがアクセス可能な共有格納庫の表示制御を行う。このときの表示例が図18(a)である。
【0143】
なお、図17に示す共有格納庫の一覧は、ネットワーク制御部11が有する情報格納庫検出部12が定期的に若しくは任意のタイミングで、ネットワーク上に存在する共有格納庫を検索する処理を行い、登録された共有格納庫とは異なる共有格納庫が検出された場合にその共有格納庫を保存先の共有格納庫の一覧として保存したものである。
【0144】
保存先一覧表示制御部21で表示された保存先から、読取画像データを保存する保存先が指定されると、その保存先の情報を保存先管理部13へ通知し、保存先管理部13が管理する。
【0145】
続いて、スキャンパラメータ入力部23で読取処理における設定情報であるスキャンパラメータの入力を行い、またスキャンパラメータ入力部23が有する暗号化設定部24で暗号化処理の有無および暗号化する場合には暗証番号等の暗号キーを図8に示すような画面を用いて設定する。この暗号化設定部24で暗号化の有無が設定されると、コントローラ10の暗号化処理部15へとその設定内容を通知する。さらに、スキャンパラメータ入力部23で入力されたスキャンパラメータの情報を画像処理部17、データフォーマット部16へと通知する。
【0146】
このようにして、保存先およびスキャンパラメータが設定されると、操作パネル20のスキャン指示部25は、これらの情報に基づいて、読取処理の実行指示をスキャンジョブ制御部18に行う。
【0147】
コントローラ10のスキャンジョブ制御部18は、スキャン指示部25から読取処理の実行指示を受けることによって、画像読取部30の読取制御部31へ読取処理の開始指示を行う。この開始指示を受けた読取制御部31は、フィーダー部32の動作制御を行うことでプラテン部33にセットされた読取対象の原稿の読取処理を制御し、画像読取部30によって読み取った読取画像データをコントローラ10の画像処理部17へと送出する。
【0148】
画像処理部17は、受信した読取画像データに対して色変換処理、回転処理等の画像処理を行い、処理後の読取画像データをデータフォーマット部16へと送出する。データフォーマット部16では、スキャンパラメータ入力部23から通知されたスキャンパラメータに含まれるデータフォーマットへ画像処理部17から受信した読取画像データを変換する。
【0149】
データフォーマット部16は、所定のデータフォーマットへと変換すると、その変換後の読取画像データを暗号化処理部15へと送出する。暗号化処理部15では、スキャンパラメータ入力部23の暗号化設定部24から暗号化処理が指定されている場合には、データフォーマット部16から受信した読取画像データの暗号化を行う。暗号化が指定されていない場合には、データフォーマット部16から受信した読取画像データをネットワーク制御部11へと送出する。
【0150】
このときの暗号化処理部15によって行われる暗号化処理は、暗証番号等の暗号キーに基づいて暗号化処理を行う。
【0151】
暗号化処理が行われると、暗号化処理部15は、暗号化処理が行われた読取画像データをネットワーク制御部11へと送出し、ネットワーク制御部11では、暗号化処理部15から読取画像データを受信すると、保存先管理部13から当該読取画像データを送信して保存する保存先の情報を取得する。
【0152】
保存先管理部13から保存先の情報を受信したネットワーク制御部11では、読取画像データをその保存先へ送信する送信制御を行う。このとき、保存先からの応答により読取画像データを保存できない場合や保存先が存在しない場合等により、読取画像データを保存できないときは保存先一覧表示制御部21へ保存先の一覧表示を指示し、指定された保存先に代わる代替保存先の指定をユーザに促す。
【0153】
このとき、保存先一覧表示制御部21は、保存先情報記憶部14に記憶する保存先の一覧を表示し、代替保存先をユーザにより指定可能とする。このようにして、ユーザにより代替保存先が指定されると、保存先管理部13へとその代替保存先の情報を通知し、保存先管理部13はその代替保存先の情報を管理する。また、保存先一覧表示制御部21は、ネットワーク制御部11に対して代替保存先が指定されたことを通知する。
【0154】
さらに、転送確認入力部26によって表示部に表示された図16に示すような自動転送を設定する画面を用いて自動転送に関する情報が入力されると、その情報をネットワーク制御部11へと通知する。
【0155】
ネットワーク制御部11は、保存先管理部13で管理された代替保存先の情報を取得し、当該代替保存先に対して読取画像データを送信する。そして、自動転送が設定されている場合には、指定した保存先に関する情報および読取画像データを送信した代替保存先に関する情報を宛先管理部13から取得して、さらにその読取画像データに関する情報を含む保存先情報を作成する。
【0156】
そして、ネットワーク制御部11が有する監視部19で保存先情報に示される保存先の状態を監視する。その保存先へ読取画像データの保存が可能となることによって読取画像データを代替保存先から取得し、その保存先へ送信する。
【0157】
なお、作成した保存先情報を情報処理装置900に送信し、監視部19における監視処理を情報処理装置900が行うような構成とすることも可能である。
【0158】
この場合における情報処理装置の構成を図11に示す。
【0159】
図11は、図9に示す情報処理装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0160】
図11に示す情報処理装置900は、転送機能90、情報送受信部91、転送先監視部92、転送処理部93、情報管理部94を具備して構成される。
【0161】
情報送受信部91によってスキャナ100から保存先情報を受信すると、転送先監視部92がその保存先情報を情報管理部94へと記憶し、転送先監視部92がその保存先情報に示された保存先の状態を監視する。これにより、読取画像データが保存可能な状態となったかを判断する。
【0162】
転送先監視部92により保存可能となったことを検知すると、転送処理部93が代替保存先から読取画像データを取得して、保存可能となった保存先にその読取画像データを保存する。
【0163】
図12は、本発明の実施の形態における画像読取装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0164】
図12において、プッシュスキャン機能が指定されると処理が開始され、まず、スキャン処理(読取処理)することによって読み取った読取画像データを保存する保存先の一覧を表示する処理を行う(1201)。この保存先の一覧を表示する処理の流れを図4に示す。
【0165】
この保存先の一覧を表示する処理によって表示された保存先一覧のうち、いずれかを読み取り画像データの保存先として指定する(1202)。次に、指定された保存先が誰でも読み書きできる共有格納庫(共有スペース)であるかを判断する(1203)。この判断処理において、当該指定された保存先がログイン動作を必要としている場合には第三者のアクセスであることを示すゲスト(GUEST)ユーザによるログイン動作を行い、認証されるか否かにより共有格納庫であるか否かを判断する。
【0166】
ゲストユーザによるログイン動作によって認証されること等により、指定された保存先が共有格納庫であると判断される場合(1203でYES)には、暗号化機能を「有効」と設定する(1204)。それに対して、指定された保存先が共有格納庫であると判断されない場合(1203でNO)には、暗号化機能の「有効、無効」の設定を初期値に従う。すなわち、暗号化機能の初期値として「有効」が設定されている場合には暗号化機能を「有効」とし、「無効」が設定されている場合には「無効」とする。
【0167】
続いて、スキャン処理における設定情報(スキャンパラメータ)が設定されているかを判断する(1205)。設定情報が設定されている場合(1205でYES)には、その設定情報に基づいて読み取り処理を行うこととし、設定されていない場合(1205でNO)には、初期設定のスキャンパラメータの読み込みを行う(1206)。
【0168】
この設定情報(スキャンパラメータ)は、上記にも示すように、読み取り処理のカラーモード(白黒、グレースケール、フルカラーなどの各モード)のほか、読取解像度、読取画像サイズなどである。
【0169】
このようにしてスキャンパラメータが設定されると、続いて、暗号化機能が「有効」と設定されているかを判断する(1207)。
【0170】
暗号化機能が有効とされている場合(1207でYES)には、その暗号化機能における「暗号キー」と呼ばれる暗号情報が設定されているかを判断する(1208)。暗号キーが設定されている場合(1208でYES)には、その設定された暗号キーを用いて暗号化処理を行うものとする。
【0171】
それに対して、暗号キーが設定されていない場合(1208でNO)には、その暗号キーの設定の取り消しが行われたかを判断し(1209)、暗号キーの設定の取り消しが行われた場合(1209でYES)には、暗号化機能を「無効」と設定する。
【0172】
また、暗号キーの設定が取り消されていない場合(1209でNO)には、その暗号キーが設定されるのを待つこととする。その後、暗号キーの設定若しくは設定の取消が行われることにより、暗号化機能を「有効」若しくは「無効」へと設定する。
【0173】
このようにして、暗号化機能による暗号化処理を「有効」とするか「無効」とするかが設定され、また、暗号化処理を「有効」とする場合には暗号キーが設定されると、続いて、画像読取装置の操作パネル等に設けられたスキャンボタン等が押下されることにより原稿の読み取り処理の開始指示が行われたかを判断する(1211)。
【0174】
スキャンボタン等が押下され、読み取り処理の開始が指示されると(1211でYES)、読取対象として原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(1212)。
【0175】
この読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生したかを判断する(1213)。
【0176】
読取エラーが発生せずに正常に読み取り処理が終了した場合(1213でNO)には、続いて、暗号化機能が有効であるかを判断する(1216)。暗号化機能が有効に設定されている場合(1216でYES)には、読み取り処理によって読み取った読取画像データに対して暗号キーに基づく暗号化処理を行う(1217)。
【0177】
これにより、暗号化された読取画像データが形成された状態となる。
【0178】
これに対して、読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生した場合(1213でYES)には、発生した読取エラーに対するリカバリー処理を行う(1214)。例えば、発生したエラーが印刷用紙の給紙・排紙できない用紙搬送エラー、トナー等の印字材料の不足による材料不足エラーなどに対する正常動作の回復操作を行う。
【0179】
その後、その読み取り処理が取り消されたかを判断し(1215)、リカバリー処理後、読み取り処理が取り消されていない場合(1215でNO)には、再度、原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(1212)。また、読み取り処理が取り消された場合(1215でYES)には、読み取り処理が正常に行われなかった旨を示すエラー表示を行って(1225)処理を終了する。
【0180】
反対に、正常に読み取り処理が行われると、続いて、暗号化が有効に設定されているかを判断し(1216)、暗号化が有効に設定されている場合(1216でYES)には、読取画像データを暗号キーに基づいて暗号化する(1217)。
【0181】
そして、暗号化処理が行われている場合には暗号化された読取画像データを、暗号化処理により暗号化されていない場合には読取画像データそのものを、指定された保存先に転送する転送処理を行う(1218)。この転送処理において、転送エラーが発生したか否かを判断し(1219)、転送エラーが発生することなく正常に転送処理が完了した場合(1219でNO)にはプッシュスキャン機能を終了する。
【0182】
それに対して、転送エラーが発生した場合(1219でYES)には、保存先の一覧を表示する処理を行い(1220)、転送エラーが発生した保存先とは異なる他の保存先を指定可能な状態とする。このとき、保存先の指定が取り消しが選択されたかを判断し(1221)、取り消しが選択された場合(1221でYES)には、エラー通知を行う(1223)。この保存先の一覧を表示する処理の流れを図4に示す。
【0183】
この場合、記憶している保存先情報や読取画像データを削除するような構成とすることも可能である。
【0184】
また、保存先の指定が取り消されずに(1221でNO)他の代替保存先が指定されると(1222)、読取画像データを指定された保存先に転送する(1218)。このときの代替保存先の指定処理の詳細を図13のフローチャートに示す。
【0185】
この転送処理によって、さらに転送エラーが発生した場合には、他の保存先を指定可能な保存先の一覧を表示してその保存先に読取画像データを転送する。
【0186】
そして、いずれかの代替保存先に読取画像データが転送されることによってプッシュスキャン機能を終了する。
【0187】
なお、読取画像データの転送処理において、転送エラーが発生した場合に保存先の一覧を表示して代替保存先を指定する構成を上記に示しているが、これに限定されることなく、予め指定された代替保存先に転送するような構成とすることも可能である。
【0188】
図13は、図12に示すフローチャートの代替保存先を指定する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0189】
図13において、代替保存先となる保存先の一覧が表示されることにより処理が開始され、一覧より代替保存先を指定する(1301)。この指定された代替保存先にアクセス制限が指定されているかを判断し(1302)、アクセス制限がされていない場合(1302でNO)には、続いて、転送処理を行う読取画像データが暗号化されているかを判断する(1303)。
【0190】
読取画像データが暗号化処理されていない場合(1303でNO)には、読取画像データを暗号化する処理を行う(1304)。
【0191】
次に、自動転送の設定が行われているかを判断し(1305)、自動転送の設定がされている場合(1305でYES)には、初期で設定した保存先および代替保存先を含む保存先情報として記憶する(1306)。また、自動転送の設定がされていない場合(1305でNO)には、図16に示すような自動転送確認画面を表示し(1307)、自動転送が設定されたかを判断する(1308)。自動転送が設定された場合(1308でYES)には、初期で設定した保存先および代替保存先を保存先情報として記憶する(1306)。
【0192】
図14は、図12に示す転送処理で転送エラーが発生した場合に行う自動転送処理の流れを示すフローチャートである。
【0193】
図14において、保存先情報が保存されているか否かを判断し(1401)、保存先情報が記憶されていない場合(1401でNO)には処理を終了する。保存先情報が記憶されている場合(1401でYES)には、続いて、代替保存先に保存してから一定時間を経過している読取画像データが存在するかを判断する(1402)。
【0194】
一定時間を経過している読取画像データが存在する場合(1402でYES)には、一定時間を経過した読取画像データの保存先情報を削除し(1403)、一定時間を経過してタイムアウトしたことをユーザに通知して(1404)処理を終了する。
【0195】
それに対して、一定時間を経過していない場合(1402)には、続いて、元の保存先の状態を確認する確認時間となったかを判断し(1405)、確認時間となるまでは(1405でNO)にはその確認時間まで待機状態とする。この確認時間は、直前の保存先の状態の確認処理からの所定の時間経過したことにより確認時間となったと判断する。
【0196】
この確認時間となった場合(1402でYES)には、確認時間となった保存先情報に基づいて、読取画像データを保存している保存元(代替保存先)と転送先の状態を確認する(1406)。この確認処理によって、読取画像データの転送が可能であるかを判断する(1407)。
【0197】
通信が可能な状態となること等により読取画像データの転送が可能である場合(1407でYES)には、続いて、保存先情報に示された読取画像データが存在するかを判断する(1408)。それに対して、読取画像データの転送が可能でない場合(1407でNO)には、再度、一定時間以上を経過したかを判断する処理以降の処理を行う(1402)。
【0198】
そして、保存先情報に示された読取画像データが存在するかの判断によって、画像読取データが存在する場合(1408でYES)には、保存先情報に基づいて代替保存先から読取画像データを取り出し、その読取画像データを保存先へと転送する(1411)。これによって、転送処理が正常に終了した場合には読取画像データに対応する保存先情報を削除する(1412)。
【0199】
そして、転送が正常に終了したことをユーザに通知する(1413)。なお、転送途中でエラーが発生した場合には、転送処理を中止して再度、一定時間経過後に転送処理を開始する。
【0200】
また、保存先情報に示された読取画像データが存在しない場合(1408でNO)、例えば、読取画像データが移動されたことなどの理由により読取画像データが存在しないとき若しくは更新されることによって読取処理によって読み取った読取画像データの内容と異なるものとなっているときには、転送対象の読取画像データに対応する保存先情報を削除し(1409)、転送処理を行うことができない旨をユーザに通知する(1410)。
【0201】
読取画像データの内容の同一性の判断には、図15に示す誤り検出符号の一例であるチェックサムの値を用いて判断する。
【0202】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0203】
上記に示す図12に示すフローチャートは、代替保存先に保存した読取画像データを、スキャナ100が元の保存先へ自動転送する場合におけるスキャナ100の処理を示しているが、この自動転送する処理を図9に示す情報処理装置900が行う場合におけるスキャナ100の処理の流れを図19に示す。
【0204】
このときの情報処理装置900では、図12における処理を実行する。
【0205】
図19において、プッシュスキャン機能が指定されると処理が開始され、まず、スキャン処理(読取処理)することによって読み取った読取画像データを保存する保存先の一覧を表示する処理を行う(1201)。この保存先の一覧を表示する処理の流れを図4に示す。
【0206】
この保存先の一覧を表示する処理によって表示された保存先一覧のうち、いずれかを読み取り画像データの保存先として指定する(1202)。次に、指定された保存先が誰でも読み書きできる共有格納庫(共有スペース)であるかを判断する(1203)。この判断処理において、当該指定された保存先がログイン動作を必要としている場合には第三者のアクセスであることを示すゲスト(GUEST)ユーザによるログイン動作を行い、認証されるか否かにより共有格納庫であるか否かを判断する。
【0207】
ゲストユーザによるログイン動作によって認証されること等により、指定された保存先が共有格納庫であると判断される場合(1203でYES)には、暗号化機能を「有効」と設定する(1204)。それに対して、指定された保存先が共有格納庫であると判断されない場合(1203でNO)には、暗号化機能の「有効、無効」の設定を初期値に従う。すなわち、暗号化機能の初期値として「有効」が設定されている場合には暗号化機能を「有効」とし、「無効」が設定されている場合には「無効」とする。
【0208】
続いて、スキャン処理における設定情報(スキャンパラメータ)が設定されているかを判断する(1205)。設定情報が設定されている場合(1205でYES)には、その設定情報に基づいて読み取り処理を行うこととし、設定されていない場合(1205でNO)には、初期設定のスキャンパラメータの読み込みを行う(1206)。
【0209】
この設定情報(スキャンパラメータ)は、上記にも示すように、読み取り処理のカラーモード(白黒、グレースケール、フルカラーなどの各モード)のほか、読取解像度、読取画像サイズなどである。
【0210】
このようにしてスキャンパラメータが設定されると、続いて、暗号化機能が「有効」と設定されているかを判断する(1207)。
【0211】
暗号化機能が有効とされている場合(1207でYES)には、その暗号化機能における「暗号キー」と呼ばれる暗号情報が設定されているかを判断する(1208)。暗号キーが設定されている場合(1208でYES)には、その設定された暗号キーを用いて暗号化処理を行うものとする。
【0212】
それに対して、暗号キーが設定されていない場合(1208でNO)には、その暗号キーの設定の取り消しが行われたかを判断し(1209)、暗号キーの設定の取り消しが行われた場合(1209でYES)には、暗号化機能を「無効」と設定する。
【0213】
また、暗号キーの設定が取り消されていない場合(1209でNO)には、その暗号キーが設定されるのを待つこととする。その後、暗号キーの設定若しくは設定の取消が行われることにより、暗号化機能を「有効」若しくは「無効」へと設定する。
【0214】
このようにして、暗号化機能による暗号化処理を「有効」とするか「無効」とするかが設定され、また、暗号化処理を「有効」とする場合には暗号キーが設定されると、続いて、画像読取装置の操作パネル等に設けられたスキャンボタン等が押下されることにより原稿の読み取り処理の開始指示が行われたかを判断する(1211)。
【0215】
スキャンボタン等が押下され、読み取り処理の開始が指示されると(1211でYES)、読取対象として原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(1212)。
【0216】
この読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生したかを判断する(1213)。
【0217】
読取エラーが発生せずに正常に読み取り処理が終了した場合(1213でNO)には、続いて、暗号化機能が有効であるかを判断する(1216)。暗号化機能が有効に設定されている場合(1216でYES)には、読み取り処理によって読み取った読取画像データに対して暗号キーに基づく暗号化処理を行う(1217)。
【0218】
これにより、暗号化された読取画像データが形成された状態となる。
【0219】
これに対して、読み取り処理の継続中若しくは一時記憶において、読取エラーが発生した場合(1213でYES)には、発生した読取エラーに対するリカバリー処理を行う(1214)。例えば、発生したエラーが印刷用紙の給紙・排紙できない用紙搬送エラー、トナー等の印字材料の不足による材料不足エラーなどに対する正常動作の回復操作を行う。
【0220】
その後、その読み取り処理が取り消されたかを判断し(1215)、リカバリー処理後、読み取り処理が取り消されていない場合(1215でNO)には、再度、原稿台にセットされた原稿の読み取り処理を行う(1212)。また、読み取り処理が取り消された場合(1215でYES)には、読み取り処理が正常に行われなかった旨を示すエラー表示を行って(1225)処理を終了する。
【0221】
反対に、正常に読み取り処理が行われると、続いて、暗号化が有効に設定されているかを判断し(1216)、暗号化が有効に設定されている場合(1216でYES)には、読取画像データを暗号キーに基づいて暗号化する(1217)。
【0222】
そして、暗号化処理が行われている場合には暗号化された読取画像データを、暗号化処理により暗号化されていない場合には読取画像データそのものを、指定された保存先に転送する転送処理を行う(1218)。この転送処理において、転送エラーが発生したか否かを判断し(1219)、転送エラーが発生することなく正常に転送処理が完了した場合(1219でNO)には保存先および代替保存先およびを含む転送情報を情報処理装置に送信する(1225)。
【0223】
それに対して、転送エラーが発生した場合(1219でYES)には、保存先の一覧を表示する処理を行い(1220)、転送エラーが発生した保存先とは異なる他の保存先を指定可能な状態とする。このとき、保存先の指定が取り消しが選択されたかを判断し(1221)、取り消しが選択された場合(1221でYES)には、エラー通知を行う(1223)。この保存先の一覧を表示する処理の流れを図4に示す。
【0224】
この場合、記憶している保存先情報や読取画像データを削除するような構成とすることも可能である。
【0225】
また、保存先の指定が取り消されずに(1221でNO)他の代替保存先が指定されると(1222)、その代替保存先の情報を記憶する(1224)。
【0226】
この転送処理によって、さらに転送エラーが発生した場合には、他の保存先を指定可能な保存先の一覧を表示してその保存先に読取画像データを転送する。
【0227】
そして、いずれかの代替保存先に読取画像データが転送されることによってプッシュスキャン機能を終了する。
【0228】
なお、読取画像データの転送処理において、転送エラーが発生した場合に保存先の一覧を表示して代替保存先を指定する構成を上記に示しているが、これに限定されることなく、予め指定された代替保存先に転送するような構成とすることも可能である。
【0229】
本発明は、通信機能を備えた画像読取システムで上述の動作を実行させ、あるいは上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行する画像読取システムを構成することも可能である。画像読取システムを構成するコンピュータは、システムバスを介してCPU(Central Processor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続されている。CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0230】
また、プログラムを供給するための媒体は、通信媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0231】
10 コントローラ
11 ネットワーク制御部
12 情報格納庫検出部
13 保存先管理部
14 保存先情報記憶部
15 暗号化処理部
16 データフォーマット部
17 画像処理部
18 スキャンジョブ制御部
100 スキャナ(画像読取装置)
200−1 PC−USER1
200−2 PC−USER2
200−3 PC−SERVER
201−1 共有フォルダ1(共有格納庫1)
201−2 共有フォルダ2(共有格納庫2)
201−3 共有フォルダ3(共有格納庫3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段によって読み取った画像データを保存先へ送信する送信手段と、
前記送信手段により送信した前記画像データが前記保存先へ保存できない場合に、代替保存先を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された代替保存先に設けられた操作制限を確認する確認手段と、
前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段と、
前記処理手段により処理された画像データを前記代替保存先へ転送する転送手段と
を具備する画像読取装置。
【請求項2】
前記検索手段によって検索された代替保存先および前記確認手段によって確認された代替保存先に対して設定された操作制限を対応付けた保存先情報を管理する保存先情報管理手段
を更に具備する請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記確認手段は、
前記検索手段によって複数の保存先が検索された場合、操作制限が確認されていない前記保存先の操作制限を確認し、
前記処理手段は、
前記検索手段によって検索された保存先であって前記操作制限が確認されている1または複数の保存先のうち、前記代替保存先に設定された操作制限に基づいて暗号化の有無を判断する請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記検索手段によって複数の保存先が検索された場合に前記確認手段によって確認された当該保存先ごとの操作制限を表示した保存先一覧から一の代替保存先を指定する代替保存先指定手段を具備する請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記処理手段は、
前記画像データの暗号化を行う場合に、該暗号化に用いる暗号鍵を指定する暗号鍵指定手段
を具備し、
前記暗号鍵指定手段によって指定された暗号鍵に基づいて暗号化を行う請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記転送手段によって前記代替保存先へ画像データを転送した場合には、該代替保存先の情報と前記送信手段によって送信した保存先の情報とを含む転送情報を記憶する転送情報記憶手段と、
前記保存先への転送可否を監視する監視手段と、
前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となると、前記転送情報に基づいて前記代替保存先に保存された前記画像データを該保存先へ移動させる画像データ移動手段と
を具備する請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となった場合に、該転送が可能となった画像データが前記代替保存先に保存した画像データと同一の画像データであるかを判断する同一性判断手段
を具備し、
前記画像データ移動手段は、
前記同一性判断手段によって同一であると判断された場合に前記代替保存先に保存された画像データを、転送が可能となった前記保存先へ移動する請求項6記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記同一性判断手段は、
前記転送手段によって前記画像データを前記代替保存先に転送する際に、該画像データに対する第1の誤り検出符号を算出する第1の誤り検出符号算出手段と、
前記監視手段による監視によって前記保存先への転送が可能となった場合に前記代替保存先に保存された画像データに対する第2の誤り検出符号を算出する第2の誤り検出符号算出手段と
を具備し、
前記第1の誤り検出符号算出手段によって算出した第1の誤り検出符号と前記第2の誤り検出符号算出手段によって算出した第2の誤り検出符号とが同一であるかを判断する請求項7記載の画像読取装置。
【請求項9】
画像データを読み取る画像読取手段を有する画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像データを保存する情報処理装置と
を備え、
前記画像読取装置は、
前記画像読取手段によって読み取った画像データを前記情報処理装置へ送信する送信手段と、
前記送信手段により送信した前記画像データが前記情報処理装置で保存できない場合に、他の情報処理装置を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された他の情報処理装置に設けられた操作制限を確認する確認手段と、
前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段と、
前記処理手段により処理された画像データを前記他の情報処理装置へ転送する転送手段と
を具備する画像読取システム。
【請求項10】
コンピュータを、
画像データを読み取る画像読取手段、
前記画像読取手段によって読み取った画像データを保存先へ送信する送信手段、
前記送信手段により送信した前記画像データが前記保存先へ保存できない場合に、代替保存先を検索する検索手段、
前記検索手段によって検索された代替保存先に設けられた操作制限を確認する確認手段、
前記確認手段によって確認された操作制限に基づいて前記画像データを処理する処理手段、
前記処理手段により処理された画像データを前記代替保存先へ転送する転送手段
として機能させる画像読取プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−226182(P2010−226182A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68115(P2009−68115)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】