画像読取装置の調整方法及び画像読取装置
【課題】 短時間の調整方法で良好なる画像を得ることができる画像読取装置の調整方法及び画像読取装置を得ること。
【解決手段】 光源手段により照明された原稿からの光束を規制するスリット部、スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み複数枚のミラーで反射された光束を結像させる結像光学系、結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、原稿と相対的に移動させて原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、原稿台相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、スリット部、複数枚のミラー、結像光学系、読取手段のうち、少なくとも2つ位置を調整し、読取手段で読取る画像情報を調整すること。
【解決手段】 光源手段により照明された原稿からの光束を規制するスリット部、スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み複数枚のミラーで反射された光束を結像させる結像光学系、結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、原稿と相対的に移動させて原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、原稿台相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、スリット部、複数枚のミラー、結像光学系、読取手段のうち、少なくとも2つ位置を調整し、読取手段で読取る画像情報を調整すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿面を照明して線順次方式で画像読取を行う画像読取装置の調整方法及び画像読取装置に関するものである。特にイメージスキャナ、複写機、そしてファクシミリ等の画像読取装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、原稿台ガラス面上に載置された原稿を照明装置(光源手段)、複数の反射ミラー、結像光学系、そして読取手段等を一体的に収納されたキャリッジによりモータなどの駆動機構により副走査方向へ走査し、原稿の画像情報を読取っている。そして読取られた画像情報はインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターなどに送られる。
【0003】
照明装置は多くの場合、LEDアレイを利用している。但し、照明装置はLEDアレイに限らずキセノン管やハロゲンランプ等が用いられている場合もある。読取手段はCCD(Charge Coupled Device)等のリニアセンサーより成り、受光素子を一次元方向(主走査方向)に配列した構成より成っている。
【0004】
広画角化の結像光学系では主走査方向での広い領域の結像性能を優先するために、該主走査方向での領域では解像力特性の高い範囲が広くなるが、副走査方向での領域では狭くなる。また、キャリッジ一体型の画像読取装置では、構成部品数が多いこと、キャリッジが樹脂モールド成形で作成されるため成形精度のバラツキが大きいこと、などの点から各パーツの位置精度を高く維持することが困難となる。
【0005】
これらの点を総合すると、キャリッジ一体型の画像読取装置において、副走査方向に結像領域の狭い結像光学系を導入した場合、下記に示すような不具合が発生する。例えば図17に示すキャリッジ一体型の画像読取装置では、各パーツの位置が正しいと読取光路は一点鎖線で示す軌跡をたどり、CCD177面上に到達(結像)する。しかしながら、例えば反射ミラー175cに位置ズレが生じた場合、読取光路はその反射ミラー面から二点鎖線の軌跡をたどり、CCD177近傍に到達する。そのため従来の画像読取装置では良好なる画像情報を得る為にCCD177を副走査方向にシフト調整して原稿の画像情報を受像していた。
【0006】
ところが結像光学系として回転非対称な屈折面または反射面を用いた場合、上記のようなシフト調整を行うとCCD177が結像光学系176の副走査方向の結像領域から外れてしまい、良好なる画像情報が得られなくなってくるという問題点が生じてくる。
【0007】
この対策として従来では原稿台ガラス上に副走査方向に解像力の評価を行える調整用チャートを載置し、スリット部、結像光学系、読取手段の副走査方向の相対的な位置関係を位置合わせ調整手段により調整している。調整用チャートを用いた画像読取装置の調整方法は従来から種々と提案されている。(特許文献1参照)。
【0008】
また、回転非対称な光学面は、回転対称な光学面に比べ製造誤差による副走査方向の歪曲が発生し易いという問題点がある。最近は非共軸光学系においても、基準軸という概念を導入し構成面を非対称非球面にすることで、収差が補正された小型の結像光学系が構築されている。
【0009】
こうした非共軸光学系はオフアキシャル光学系(像中心と瞳中心を通る光線に沿った基準軸を設定し、構成面の基準軸との交点における面法線が基準軸上にない曲面を含む光学系として定義される光学系で、基準軸は折れ曲がった形状となる)と呼ばれる。このオフアキシャル光学系は、構成面が一般には非共軸となり、反射面でもケラレが生じることがないため、反射面を使った光学系が構成し易い。また一般に反射光学系は色収差が発生しないため軸上色収差や倍率色収差といった問題点が発生しない。
【0010】
一方、オフアキシャル光学系では構成面の製造誤差や位置誤差があると、主走査方向(主走査断面)の像面のピント位置ズレや副走査方向(副走査断面)の像面のピント位置ズレで歪曲収差が発生し、倍率ズレが生じる。これらは読取ラインの湾曲という問題点となる。特に副走査方向の歪曲については回転対称の共軸レンズ系で構成されるものと比べ非常に発生し易いという問題がある。
【0011】
以降、CCD177による読取結果が倍率ズレにより副走査方向に位置がズレることを「副走査倍率ズレ」、主走査方向に位置がズレることを「主走査倍率ズレ」と定義する。また、任意のラインセンサーにおいて、軸上と軸外で読取結果が副走査方向に位置がズレることを「走査線曲がり」と定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−101739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の特許文献1に開示された画像読取装置の調整方法では調整に多くの時間がかかる傾向にあった。特許文献1の画像読取装置の調整方法では、CCDからの信号出力を調整工具の画面に表示し、該表示結果に基づいて解像力性能が良好に成るようにCCDの副走査方向の相対的な位置関係を調整する。さらに良好な解像力性能が得られる位置関係を求めるために、画面の表示結果をモニタリングしながらCCDを副走査方向に調整する。
【0014】
図18に従来の画像読取装置の調整方法の概念図を示す。CCDの副走査移動について、所定のCCD位置から原稿面に近づく方向をプラス、原稿面から遠ざかる方向をマイナスと定義する。反射ミラーが所定の位置からズレることにより、CCDの副走査方向の位置が変曲点e1から点e2にズレる。良好な解像力性能を得るために、点e2から副走査方向にプラス或いはマイナスの方向に移動させる。解像力が増加すれば同一方向に、低下すれば逆方向にCCDを動かす。その後、良好な解像力が得られる位置を決めるために、解像力が増加し続ける限りCCDを動かす。そして、ある副走査方向の位置(e1)を境に点e3まで移動すると解像力が低下し始める。この変曲点e1が良好な解像力を得られるCCD位置となる。この変曲点e1を求めるために逐一、表示結果をモニタリングしながらCCD位置を追い込む必要がある。その結果、調整に多くの時間がかかる。
【0015】
本発明は短時間の調整方法で良好なる画像を得ることができる画像読取装置の調整方法及び画像読取装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像読取装置の調整方法は、原稿台の上に載置した原稿を照明する光源手段、前記光源手段により照明された前記原稿からの光束の通過を規制するスリット部、前記スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み前記複数枚のミラーで反射された光束より前記原稿の画像情報を結像させる結像光学系、そして前記結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、前記原稿と相対的に移動させて前記原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、前記原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記スリット部、前記複数枚のミラー、前記結像光学系、そして読取手段のうち、少なくとも2つの位置を調整し、前記読取手段で読取る画像情報を調整することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば短時間の調整方法で良好なる画像を得ることができる画像読取装置の調整方法及び画像読取装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)本発明の実施例1の概要を示す図、(B)反射ミラーの位置ズレの概要を示す図
【図2】スリット周辺の拡大図
【図3】評価パターンの図
【図4】(A)本発明による副走査倍率ズレによる評価パターン(反射ミラー所定位置)を示す図、(B)本発明による副走査倍率ズレによる評価パターン(反射ミラー位置ズレ) を示す図
【図5】実施例1のミラー断面図
【図6】副走査画角とR-G、B-G間隔のグラフ
【図7】副走査倍率ズレと所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図8】(A)本発明の実施例2の概要を示す図(回転非対称反射面)、(B)本発明の実施例2のミラー断面図
【図9】(A)本発明の実施例2の概要を示す図(回転非対称屈折面)、(B)本発明の実施例2のレンズ断面図
【図10】(A)本発明の実施例2による走査線曲がりによる評価パターン(反射ミラー所定位置)を示す図、(B)本発明の実施例2による走査線曲がりによる評価パターン(反射ミラー位置ズレ)を示す図
【図11】本発明の実施例2の走査線曲がり量と所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図12】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図13】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図14】本発明の実施例2の走査線曲がり量と所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図15】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図16】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図17】従来の画像読取装置の調整方法を示す図
【図18】従来の画像読取装置の調整方法のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の結像光学系(結像手段)ではオフアキシャル光学系を用いている。このため結像光学系の実施例の構成および数値の意味を明確にするために、本明細書中で使用のオフアキシャル光学系及びその骨組みとなる基準軸について以下のように定義する。
【0020】
[基準軸の定義]
一般には物体から像面にいたる基準となる基準波長の光線の光路をその光学系における基準軸と定義する。これだけでは基準となる光線の選び方に曖昧性が残るので、通常は以下に示す2つの原則のいずれかにより基準光線つまり基準軸を設定する。
【0021】
光学系に部分的にでも対称性を有する軸が存在し、収差を対称性良くとりまとめることができる場合には、その対称性を有する軸上を通る光線を基準光線とする。光学系に一般的に対称軸が存在しない時、あるいは部分的には対称軸が存在しても、収差を対称性良くとりまとめることができない。そのときには、物体面中心(被撮影、被観察範囲の中心)から出る光線のうち、光学系の指定される面の順に光学系を通り、光学系内に定義される絞り中心を通る光線を基準光線として設定する。基準光線に沿った部材間の距離を基準光線軸の距離(長さ)という。
【0022】
このようにして定義される基準軸は、折れ曲がっている形状となる事が一般的である。上記のように定義した基準軸が曲面と交わる点において、面法線が基準軸と一致しない曲面をオフアキシャル曲面と定義し、オフアキシャル曲面を含む光学系をオフアキシャル光学系と定義する。(但し、平面反射面によって基準軸が単純に折れ曲がっている場合も面法線が基準軸と一致しないが、その平面反射面は収差の対称性を損なわないので、オフアキシャル光学系の対象から除外する。)。
【0023】
本発明の実施例においては、光学系の基準となる基準軸を上記のように設定したが、光学系の基準となる軸の決め方は光学設計上、収差のとりまとめ上、もしくは光学系を構成する各面形状を表現する上で都合の良い軸を採用すれば良い。
【0024】
しかし、一般的には像面または観察面の中心と、絞りまたは入射瞳または射出瞳または光学系の第1面の中心若しくは最終面の中心のいずれかを通る光線の経路を光学系の基準となる基準軸に設定している。各面の順番は基準軸光線が反射を受ける順番に設定している。従って、基準軸は設定された各面の順番に沿って反射の法則に従ってその方向を変化させつつ、最終的に像面の中心に到達する。
【0025】
本発明の各実施例の光学系を構成するチルト面は基本的に全てが同一面内でチルトしている。そこで、絶対座標系の各軸を以下のように定める。
【0026】
Z軸:原点を通り第1面に向かう基準軸
Y軸:原点を通りチルト面内でZ軸に対して半時計周りに90°をなす直線
X軸:原点を通りZ,Y各軸に垂直な直線
また、光学系を構成する第i面の面形状を表すには、絶対座標系にてその面の形状を表記するより、基準軸と第i面が交差する点を原点とするローカル座標系を設定して、ローカル座標系でその面の面形状を表した方が形状を認識する上で理解し易い。そのため、本発明の構成データを表示する実施例では第i面の面形状をローカル座標系で表す。
【0027】
また、第i面のYZ面内でのチルト角は絶対座標系のZ軸に対して反時計回り方向を正とした角度θi(単位°)で表す。よって、本発明の各実施例では各面のローカル座標の原点はYZ平面上にある。またXZおよびXY面内での面の偏心はない。さらに、第i面のローカル座標(x,y,z)のy,z軸は絶対座標系(X,Y,Z)に対してYZ面内でも角度θi傾いており、具体的には以下のように設定する。
【0028】
z軸:ローカル座標の原点を通り、絶対座標系のZ軸方向に対しYZ面内において半時計方向に角度θiをなす直線
y軸:ローカル座標の原点を通り、z軸方向に対してYZ面内において半時計方向に90°をなす直線
x軸:ローカル座標系の原点を通り、YZ面に対し垂直な直線
また、本発明の実施例における結像光学素子は回転非対称の非球面を有し、その形状は以下の式により示す。
【0029】
【数1】
【0030】
なお球面は以下の式で表される形状である。
【0031】
【数2】
【0032】
上記曲面式はxに関して偶数次の項のみであるため、上記曲面式により規定される曲面はyz面を対称面とする面対称な形状である。近軸理論に基づく焦点距離を直接計算することが困難である。そこで以下の定義による換算焦点距離feqを用いる。
【0033】
【数3】
【0034】
なお定義上、反射面が奇数個の場合、焦点距離の符号は通常の符号と逆に表現される。ここにh1:第1面において基準軸に平行で基準軸に無限に近く入射する光線の入射高さak’:該光線が最終面から射出時に基準軸となす角度である。また、数値実施例においてDiは第i面と第(i+1)面間のローカル座標の原点間の間隔を表すスカラー量、Ndiは第i面と第(i+1)面間の媒質の屈折率である。
【0035】
[実施例1]
図1(A)は本発明の実施例1の画像読取装置の調整方法を示す要部概略図である。図1(B)は本発明の実施例1の反射ミラーの位置ズレの概要を示す要部概略図である。
【0036】
図中、12は原稿台(原稿台ガラス)であり、原稿台12の相当位置に位置ズレ検出パターンを有する調整用チャート11が載置されている。調整用チャート11は後述する図3に示すように主走査方向に評価パターン(画像評価パターン)31が延在され形成されている。18はキャリッジであり、照明装置13、スリット部14、複数枚の反射ミラー15a、15b、15c、15d、結像光学系としての結像手段16を有している。さらにキャリッジ18は読取手段としての1次元光電変換素子(CCD)17を保持しており、副走査モーター等の駆動装置(不図示)により原稿と相対的に移動させて原稿の画像情報を読取っている。
【0037】
照明装置13はキセノン管やハロゲンランプやLEDアレイ等の光源手段を有している。スリット部14は調整用チャート11からの光束(光束幅)の通過を規制している。第1、第2、第3、第4の反射ミラー15a、15b、15c、15dは調整用チャート11からの光束の光路をキャリッジ18内部で折り曲げている。結像光学系16は光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子(オフアキシャル光学素子)を含み複数枚のミラーで反射された光束より原稿の画像情報を読取手段(CCD)17面上に結像させている。読取手段(CCD)17は少なくとも3つのラインセンサー(1次元光電変換素子)を有しており、結像光学系16の結像位置に配置されている。19は調整手段としてのCCD調整装置であり、CCD17に取り付けられており、CCD17の副走査方向の位置を調整している。
【0038】
10は位置合わせ調整手段としてのミラー調整装置であり、第4の反射ミラー15dに取り付けられており、該第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整している。
【0039】
本実施例ではこの第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整することにより、スリット部14、結像光学系16、そしてCCD17の副走査方向の相対的な位置関係を調整している。
【0040】
図2は図1(A)、(B)に示したスリット部周辺の拡大説明図である。同図においてLはスリット部14の副走査方向の開口幅、Mは中心線である。ここで中心線Mを中心として含む幅L/2の領域を以下「スリット中心」と定義する。
【0041】
照明装置13から放射された光束で照明された調整チャート11の画像に基づく光束がスリット中心を通過し、第1、第2、第3、第4の反射ミラー15a、15b、15c、15dを介して結像光学系16によりCCD17面上に結像する。このとき各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定の位置に取り付けられている場合は図1(B)の一点鎖線で示す読取光路を辿る。しかし、例えば第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレていると、光束は一点鎖線に比べて副走査方向に画角が付いて点線で示すCCD17に結像する。
【0042】
ここで、本実施例の画像読取装置の調整方法について説明する。その調整方法は、原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、調整していく。ここで幾何特性とは、画像読取装置の倍率ズレのことである。
【0043】
図3は評価パターンを有する調整用チャートの説明図である。図3において、主走査方向に対しての垂直線31aは主走査方向の倍率ズレ(主走査倍率ズレ)を検出(評価)する為のパターン、斜線31bと垂直線31aは副走査方向の倍率ズレ(副走査倍率ズレ)を検出(評価)する為のパターンである。斜線31bと垂直線31aが交わる角度をθとする。
【0044】
尚、本実施例の調整用チャート11は、主走査方向に対し異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターン31を有し、一本又は一辺がラインセンサーの延直方向に直交していれば良い。
【0045】
図4(A)は各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定(設計値通り)の位置に取り付けられている場合のCCD17に結像する調整用チャートの画像の重心位置を示す説明図である。CCD17は各々R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色を読取るラインセンサーである。aは画素長であり、a=b/tanθで求まる。bは各ラインセンサーB(青色),G(緑色),R(赤色)間の距離である。
【0046】
図4(B)は第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレたときを示す説明図である。図中、a、b、c、d、e、fの各パラメータはそれぞれ絶対値で示してある。cはR-G間の主走査倍率ズレ、eはR-G間の副走査倍率ズレを評価するパラメータであり、R-G間の副走査倍率ズレ=e−(c+a)で副走査倍率ズレ量を求める。e−(c+a)>0ならプラスの副走査倍率ズレ量、e−(c+a)<0ならマイナスの副走査倍率ズレ量である。dはB-G間の主走査倍率ズレ、fはB-G間の副走査倍率ズレを評価するパラメータであり、B-G間の副走査倍率ズレ=f−(d+a)で副走査倍率ズレ量を求める。f−(d+a)<0ならプラスの副走査倍率ズレ量、f−(d+a)>0ならマイナスの副走査倍率ズレ量である。
【0047】
このR-G間とB-G間の副走査倍率ズレ量と符号を元にCCD17を図1(B)に示す実線の位置(副走査方向の位置)に向けて調整する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。同様の作業を繰り返すことで、良好なる画像を得ることができる。
【0048】
このように本実施例では、少なくとも2つの部材17,15dを調整する工程を用いることにより読取手段17で読取る画像情報を調整している。
【0049】
または、副走査倍率ズレ量からCCD17の調整量を算出し、一度にCCD17を副走査方向の所定の位置まで移動してもよい。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整することでも同様の効果が得られる。
【0050】
なお、本実施例では、第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整する工程をミラー調整装置10により調整したが、これに限らず、他の反射ミラーでも良い。また、本実施例では、上記の調整方法以外に、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、結像光学系16の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整するようにしても良い。
【0051】
または、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、読取手段16の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部14の副走査方向の位置を調整するようにしても良い。なお、結像光学系は回転非対称な反射面に限らず、回転非対称な屈折面でも同様の効果を得られる。
【0052】
[数値実施例1]
次に本発明の実施例1の数値実施例1を下記に示す。なお、以下の各数値実施例において「E−x」は「10−x」を示している。
【0053】
原稿読取巾=305.0
結像倍率=‐0.22
原稿側NA=0.02006
feq=52.229
[表1]
I Yi Zi θi Di Ndi
1 0 0 0 175.3261 1 物体面
2 0 176.6883 18.5 -13.695 1 反射面
3 -8.24187 165.7509 61.4113 16.5011 1 反射面
4 8.215416 166.953 85.8226 16.0017 1 絞り
5 24.17465 168.1186 62.8366 -14.3288 1 反射面
6 14.9929 157.1182 22.4254 28.7538 1 反射面
7 17.43258 185.0038 5 1 像面
非球面形状
R1面
C20: -1.14E-03 C02: -1.32E-03 C21: -5.70E-05
C03: 2.67E-06 C40: -1.10E-07 C22: 1.61E-06
C04: 3.35E-06 C41: 2.31E-08 C23: -7.19E-08
C05: 5.32E-08 C60: 4.85E-11 C42: -9.62E-10
C24: 2.15E-09 C06: -1.33E-08 C61: -8.21E-12
C43: 4.69E-11 C25: 1.20E-10 C07: -2.60E-09
C80: -2.42E-15 C62: 5.17E-13 C44: -6.70E-12
C26: 5.90E-11 C08: -2.50E-10
R2面
C20: 1.23E-03 C02: 2.38E-03 C21: -7.38E-05
C03: -2.86E-06 C40: -8.06E-07 C22: -1.60E-07
C04: 3.65E-06 C41: 4.01E-08 C23: -2.67E-08
C05: 9.99E-08 C60: 7.73E-10 C42: 2.00E-09
C24: 2.16E-09 C06: -2.00E-08 C61: -2.51E-11
C43: 1.27E-10 C25: -2.01E-10 C07: -3.57E-09
C80: -3.85E-13 C62: -1.56E-12 C44: -1.30E-11
C26: 1.00E-10 C08: -1.87E-10
R3面
C20: -2.61E-03 C02: 5.41E-03 C21: -1.61E-05
C03: 5.33E-06 C40: -1.53E-06 C22: -6.12E-06
C04: 3.88E-06 C41: -1.40E-07 C23: -3.33E-07
C05: 6.94E-07 C60: 1.58E-09 C42: 3.13E-09
C24: 6.00E-09 C06: 2.00E-07 C61: 4.91E-11
C43: -1.49E-10 C25: -9.24E-09 C07: -5.45E-08
C80: -9.24E-13 C62: -4.10E-12 C44: -1.98E-12
C26: -1.42E-09 C08: -6.02E-09
R4面
C20: 4.88E-03 C02: 1.00E-02 C21: -1.37E-05
C03: -1.20E-05 C40: -1.32E-06 C22: -2.08E-06
C04: 8.00E-07 C41: -8.69E-08 C23: -2.73E-07
C05: 1.26E-07 C60: -4.19E-10 C42: -7.07E-09
C24: -1.43E-08 C06: 1.43E-07 C61: -6.82E-11
C43: -4.42E-10 C25: 2.06E-09 C07: -1.30E-08
C80: 1.24E-13 C62: -5.13E-12 C44: 2.69E-11
C26: -1.33E-10 C08: -9.38E-10
本実施例において、図1(A)に示す結像光学系16は反射面から成る4つのオフアキシャル光学素子R1、R2、R3、R4を有している。
【0054】
図5は、この4つのオフアキシャル光学素子(反射ミラー)R1、R2、R3、R4を有する結像光学系16の要部断面図である。図5において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0055】
結像光学系16は、原稿面P側から順にオフアキシャル光学素子R1、オフアキシャル光学素子R2、絞りS、オフアキシャル光学素子R3、オフアキシャル光学素子R4を有し、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面P上の画像情報を結像している。Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD17)が配列されている。画像読取用の結像光学系16は原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0056】
図1(A)に示すようにCCD17は原稿面に対して垂直に配置されており、3つのラインセンサーは図中上からR、G、Bの配列である。CCD17の副走査移動について、所定のCCD17の位置から図中上の方向をプラス、原稿面から図中下の方向をマイナスと定義する。
【0057】
図6は軸上光束における副走査画角と副走査倍率ズレ量の関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置(設計値の位置)に配置している場合、R-G間6aは8.0画素、B-G間6bは−8.0画素となる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、副走査方向に画角が付く。副走査画角−1.6°ではR-G間6cは8.3画素、B-G間6dは−8.3画素となり、このときR-G間の副走査倍率ズレ量が0.3画素、B-G副走査倍率ズレ量が−0.3画素となる。
【0058】
図7が軸上光束におけるR-G間とB-G間の副走査倍率ズレ量とCCDの位置ズレの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、R-G間の副走査倍率ズレ量が0.2画素、或いはB-G副走査倍率ズレ量が−0.2画素となった。そのとき、CCD17は所定の位置より図中7a、7bで示すように原稿面側に約0.8mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.8mm移動することで調整できる。
【0059】
反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、R-G間の副走査倍率ズレ量が−0.1画素、或いはB-G副走査倍率ズレ量が0.1画素となった。そのとき、CCD17は所定の位置より図中7c、7dで示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.4mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面側に約0.4mm移動することで調整できる。その後、反射ミラーの副走査の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0060】
以上、副走査色ズレ量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0061】
このように本実施例における調整方法は、上述した如くCCD17に結像する調整用チャート11の画像の幾何特性を元に、以下のように調整している。つまり本実施例では、スリット部14、複数枚のミラー15a、15b、15c、15d、結像手段16、CCD17のうち、いずれか2つを調整手段により調整することにより、短時間の調整方法で良好なる画像を得ている。これにより高画質な画像読取装置を達成している。
【0062】
[実施例2]
図8(A)、図9(A)は各々本発明の実施例2の画像読取装置の調整方法を示す要部概略図である。図8(A)は結像光学系に回転非対称な反射面を用いた場合である。図9(A)は結像光学系に回転非対称な屈折面を用いた場合の模式図である図8(A)、図9(A)において図1(A)に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0063】
本実施例において前述の実施例1と異なる点は、調整用チャート11を少なくとも3つの評価パターンより構成し、画像読取装置の走査線曲がりを検出したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0064】
つまり、本実施例における、調整用チャート11は主走査方向に対して異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを主走査方向に少なくとも3つ有しており、該形状より得られる画像情報より、画像読取装置の走査線曲がりを検出している。
【0065】
ここで、本実施例の画像読取装置の調整方法について説明する。その調整方法は、原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、調整していく。ここで幾何特性とは、画像読取装置の走査線曲がりのことである。
【0066】
図10(A)は各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定の位置に取り付けられている場合のラインセンサーに結像する主走査方向の調整用チャート11の画像の重心位置を示す図である。軸上光束、主走査画角(α)、主走査画角(−α)の三点を評価すると、三点共にCCD17に結像する間隔Lが一致しているため走査線曲がりはない。図10(B)は第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレた場合のラインセンサーに結像する主走査方向の調整用チャート11の画像の重心位置を示す図である。図10(B)中のH1、H3は各々走査線曲がり量を示す。
【0067】
主走査画角−αの走査線曲がり量H1は、H1=(L−X1)×tanθで求まる。また、主走査画角αの走査線曲がり量H3は、H3=(L−X3)×tanθで求まる。この走査線曲がり量H1、H3と符号を元にCCD 17を図1(B)に示す実線の位置(副走査方向の位置)に向けて調整する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。同様の作業を繰り返すことで、良好なる画像を得ることができる。
【0068】
または、走査線曲がり量H1、H3からCCD17の調整量を算出し、一度でCCD17を所定の位置に移動する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整することでも同様の効果が得られる。
【0069】
次に本発明の実施例2における数値実施例2,3を示す。数値実施例2は回転非対称な反射面を用いた結像光学系である。数値実施例3は回転非対称な屈折面を用いた結像光学系である。
【0070】
[数値実施例2]
原稿読取巾=305.0
結像倍率=‐0.11
原稿側NA=0.00897
feq=32.474
[表2]
I Yi Zi θi Di Ndi
1 0 0 0 301.1807 1 物体面
2 0 301.1807 18.8 -17.0112 1 反射面
3 -10.3793 287.7029 37.6 -10.8365 1 絞り
4 -16.9912 279.1173 19.22076 20.9715 1 反射面
5 -16.9535 281.6817 0.841515 1 像面
非球面形状
R1面
C20: -4.41E-03 C02: -3.95E-03 C21: 7.24E-05
C03: 2.48E-05 C40: 1.70E-06 C22: -1.44E-06
C04: -1.08E-07 C41: -7.67E-08 C60: -1.90E-09
C42: -2.74E-09 C24: -4.47E-09 C61: 8.54E-11
C43: -1.12E-10 C80: 2.05E-12 C62: 2.15E-11
C44: 3.97E-10 C64: -1.84E-12
R2面
C20: 6.95E-03 C02: 6.25E-03 C21: 1.71E-04
C03: 8.86E-06 C40: -4.56E-06 C22: 1.74E-05
C04: -3.08E-06 C41: -2.23E-07 C60: 1.11E-08
C42: -1.14E-08 C24: 5.27E-08 C61: 4.52E-10
C43: 4.69E-09 C80: -1.89E-11 C62: -2.06E-10
C44: 9.41E-09 C64: -8.90E-11
本実施例において、図8(A)に示す結像光学系16は反射面から成る2つのオフアキシャル光学素子R1、R2を有している。図8(B)は、この2つのオフアキシャル光学素子(反射ミラー)R1、R2を有する結像光学系16の要部断面図である。図8(B)において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0071】
結像光学系16は、原稿面P側から順にオフアキシャル光学素子R1、絞りS、オフアキシャル光学素子R2を有しており、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面上の画像情報を結像している。Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD)Qが配列されている。画像読取用の結像光学系16は原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0072】
図11は主走査方向の画角±76.2mmにおける走査線曲がり量とCCDの位置ズレとの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±76.2mmで走査線曲がりが0.011画素の位置ズレとなった。
【0073】
図12は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±76.2mmでは図12の図中12a、12bに示すように走査線曲がりが0.011画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図11の図中11aに示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.44mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面に近づける方向に約0.44mm移動させることで調整できる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±76.2mmで走査線曲がりが-0.001画素の位置ズレとなった。
【0074】
図13は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±76.2mmでは図13の図中13a、13bに示すように走査線曲がりが-0.001画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図11の図中11bに示すように原稿面側に約0.33mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.33mm移動させることで調整できる。その後、反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0075】
以上、走査線曲がり量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0076】
[数値実施例3]
表3において、fは画像読取用レンズLGの焦点距離、FnoはFナンバー、mは倍率、Yは最高像高、ωは半画角を示す。また、画像読取用レンズLGにおいて、面番号iは原稿面P側からの面の順番を示し、Riは各面の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の部材肉厚又は空気間隔、Ndiとνdiはそれぞれd線を基準とした材料の屈折率、アッベ数を示す。
【0077】
アナモクフィック面の形状は、数値実施例の表4で示す係数を用いて、次に説明する非球面形状になっている。光軸に対して回転非対称な屈折力を有する非球面の形状はレンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をx軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をy軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をz軸としたとき、母線形状Xが、
【0078】
【数4】
【0079】
但し、Rは曲率半径
ky ,B4,B6 ,B8 ,B10は非球面係数
なる式で表わされる。
【0080】
子線形状Sは母線上において母線と垂直な平面を断面とし、
【0081】
【数5】
【0082】
【数6】
【0083】
但し、r0 は光軸上の副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)でR=r0
D2 ,D4,D6 ,D8 ,D10,E2 ,E4 ,E6,E8 ,E10は非球面係数
なる式で表わされる。
【0084】
[表3]
f=32.9、Fno=6.5、m=0.189、Y=108、ω=27.5
面番号 R D Nd νd
C1 C1 ∞ 3.000 1.516 64.140
C2 ∞
G1 1 10.798 3.367 1.697 55.530
2 22.980 1.140
S 3 ∞(絞り) 0.417
G2 4 -33.062 0.844 1.689 31.070
5 12.104 0.406
G3 6 21.425 4.755 1.786 44.200
7 -21.425 3.600
G4
(アナモ)8* -13.051 1.855 1.530 55.800
9* -15.217
C2 C1 ∞ 0.700 1.516 64.140
C2 ∞
[表4]
8面 9面
R -1.305E+01 -1.522E+01
ky -6.556E+00 -3.950E+00
B4 -3.964E-04 -1.469E-04
B6 1.011E-06 -1.644E-06
B8 -6.217E-08 3.185E-09
B10 7.351E-10 -3.429E-11
Kz -6.556E+00 -3.950E+00
D4 -3.964E-04 -1.469E-04
D6 1.011E-06 -1.644E-06
D8 -6.217E-08 3.185E-09
D10 7.351E-10 -3.429E-11
r -1.305E+01 -1.522E+01
E2 4.790E-03 6.799E-03
E4 -6.606E-04 -4.661E-04
E6 1.638E-05 6.402E-06
E8 -3.672E-07 -1.093E-07
E10 6.724E-09 1.808E-09
図9(B)は数値実施例3における結像光学系のレンズ断面図である。図9(B)において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0085】
LGは、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面上の画像情報を結像するための画像読取用の結像光学系、Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD)Qが配列されている。C1は原稿台ガラスであり、C2はカバーガラスである。
【0086】
画像読取用の結像光学系LGは原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0087】
画像読取用の結像光学系LGは原稿面P側から順に、原稿面P側に凸面を向けた正の屈折力(以下「正」と略称する。)のメニスカス状の第1レンズG1、絞りS、両レンズ面が凹面の負の第2レンズG2、両レンズ面が凸面の正の第3レンズG3を有している。さらに像面側に凸面を向けたメニスカス状の正の第4レンズG4の4つのレンズを有したテレフォトタイプより構成されている。第4レンズG4は光入出面(第1、第2面)がアナモルフィック面よりなっている。
【0088】
図14は走査線曲がり量とCCDの位置ズレとの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査端部±77.7mmで走査線曲がりが3.1画素の位置ズレとなった。
【0089】
図15は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査端部±77.7mmでは図15の図中15a、15bに示すように走査線曲がりが3.1画素の位置ズレとなる。そのときCCDは所定の位置より図14の図中14aに示すように原稿面側に約0.76mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.76mm移動させることで調整できる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±77.7mmで走査線曲がりが−1.6画素の位置ズレとなった。
【0090】
図16は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±77.7mmでは図16の図中16a、16bに示すように走査線曲がりが−1.6画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図14の図中14bに示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.38mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面に近づける方向に約0.38mm移動させることで調整できる。その後、反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0091】
以上、走査線曲がり量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0092】
なお、本実施例では、上記の調整方法以外に、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、結像光学系16の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整するようにしても良い。
【0093】
または、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、読取手段16の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部14の副走査方向の位置を調整するようにしても良い。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施例態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 ミラー調整装置、11 調整用チャート、12 原稿台、12 光源手段、14 スリット部、15a、15b、15c、15d 反射ミラー、16、176 結像光学系、17 読取手段(CCD)、18 キャリッジ、31 評価パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿面を照明して線順次方式で画像読取を行う画像読取装置の調整方法及び画像読取装置に関するものである。特にイメージスキャナ、複写機、そしてファクシミリ等の画像読取装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、原稿台ガラス面上に載置された原稿を照明装置(光源手段)、複数の反射ミラー、結像光学系、そして読取手段等を一体的に収納されたキャリッジによりモータなどの駆動機構により副走査方向へ走査し、原稿の画像情報を読取っている。そして読取られた画像情報はインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターなどに送られる。
【0003】
照明装置は多くの場合、LEDアレイを利用している。但し、照明装置はLEDアレイに限らずキセノン管やハロゲンランプ等が用いられている場合もある。読取手段はCCD(Charge Coupled Device)等のリニアセンサーより成り、受光素子を一次元方向(主走査方向)に配列した構成より成っている。
【0004】
広画角化の結像光学系では主走査方向での広い領域の結像性能を優先するために、該主走査方向での領域では解像力特性の高い範囲が広くなるが、副走査方向での領域では狭くなる。また、キャリッジ一体型の画像読取装置では、構成部品数が多いこと、キャリッジが樹脂モールド成形で作成されるため成形精度のバラツキが大きいこと、などの点から各パーツの位置精度を高く維持することが困難となる。
【0005】
これらの点を総合すると、キャリッジ一体型の画像読取装置において、副走査方向に結像領域の狭い結像光学系を導入した場合、下記に示すような不具合が発生する。例えば図17に示すキャリッジ一体型の画像読取装置では、各パーツの位置が正しいと読取光路は一点鎖線で示す軌跡をたどり、CCD177面上に到達(結像)する。しかしながら、例えば反射ミラー175cに位置ズレが生じた場合、読取光路はその反射ミラー面から二点鎖線の軌跡をたどり、CCD177近傍に到達する。そのため従来の画像読取装置では良好なる画像情報を得る為にCCD177を副走査方向にシフト調整して原稿の画像情報を受像していた。
【0006】
ところが結像光学系として回転非対称な屈折面または反射面を用いた場合、上記のようなシフト調整を行うとCCD177が結像光学系176の副走査方向の結像領域から外れてしまい、良好なる画像情報が得られなくなってくるという問題点が生じてくる。
【0007】
この対策として従来では原稿台ガラス上に副走査方向に解像力の評価を行える調整用チャートを載置し、スリット部、結像光学系、読取手段の副走査方向の相対的な位置関係を位置合わせ調整手段により調整している。調整用チャートを用いた画像読取装置の調整方法は従来から種々と提案されている。(特許文献1参照)。
【0008】
また、回転非対称な光学面は、回転対称な光学面に比べ製造誤差による副走査方向の歪曲が発生し易いという問題点がある。最近は非共軸光学系においても、基準軸という概念を導入し構成面を非対称非球面にすることで、収差が補正された小型の結像光学系が構築されている。
【0009】
こうした非共軸光学系はオフアキシャル光学系(像中心と瞳中心を通る光線に沿った基準軸を設定し、構成面の基準軸との交点における面法線が基準軸上にない曲面を含む光学系として定義される光学系で、基準軸は折れ曲がった形状となる)と呼ばれる。このオフアキシャル光学系は、構成面が一般には非共軸となり、反射面でもケラレが生じることがないため、反射面を使った光学系が構成し易い。また一般に反射光学系は色収差が発生しないため軸上色収差や倍率色収差といった問題点が発生しない。
【0010】
一方、オフアキシャル光学系では構成面の製造誤差や位置誤差があると、主走査方向(主走査断面)の像面のピント位置ズレや副走査方向(副走査断面)の像面のピント位置ズレで歪曲収差が発生し、倍率ズレが生じる。これらは読取ラインの湾曲という問題点となる。特に副走査方向の歪曲については回転対称の共軸レンズ系で構成されるものと比べ非常に発生し易いという問題がある。
【0011】
以降、CCD177による読取結果が倍率ズレにより副走査方向に位置がズレることを「副走査倍率ズレ」、主走査方向に位置がズレることを「主走査倍率ズレ」と定義する。また、任意のラインセンサーにおいて、軸上と軸外で読取結果が副走査方向に位置がズレることを「走査線曲がり」と定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−101739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の特許文献1に開示された画像読取装置の調整方法では調整に多くの時間がかかる傾向にあった。特許文献1の画像読取装置の調整方法では、CCDからの信号出力を調整工具の画面に表示し、該表示結果に基づいて解像力性能が良好に成るようにCCDの副走査方向の相対的な位置関係を調整する。さらに良好な解像力性能が得られる位置関係を求めるために、画面の表示結果をモニタリングしながらCCDを副走査方向に調整する。
【0014】
図18に従来の画像読取装置の調整方法の概念図を示す。CCDの副走査移動について、所定のCCD位置から原稿面に近づく方向をプラス、原稿面から遠ざかる方向をマイナスと定義する。反射ミラーが所定の位置からズレることにより、CCDの副走査方向の位置が変曲点e1から点e2にズレる。良好な解像力性能を得るために、点e2から副走査方向にプラス或いはマイナスの方向に移動させる。解像力が増加すれば同一方向に、低下すれば逆方向にCCDを動かす。その後、良好な解像力が得られる位置を決めるために、解像力が増加し続ける限りCCDを動かす。そして、ある副走査方向の位置(e1)を境に点e3まで移動すると解像力が低下し始める。この変曲点e1が良好な解像力を得られるCCD位置となる。この変曲点e1を求めるために逐一、表示結果をモニタリングしながらCCD位置を追い込む必要がある。その結果、調整に多くの時間がかかる。
【0015】
本発明は短時間の調整方法で良好なる画像を得ることができる画像読取装置の調整方法及び画像読取装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像読取装置の調整方法は、原稿台の上に載置した原稿を照明する光源手段、前記光源手段により照明された前記原稿からの光束の通過を規制するスリット部、前記スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み前記複数枚のミラーで反射された光束より前記原稿の画像情報を結像させる結像光学系、そして前記結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、前記原稿と相対的に移動させて前記原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、前記原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記スリット部、前記複数枚のミラー、前記結像光学系、そして読取手段のうち、少なくとも2つの位置を調整し、前記読取手段で読取る画像情報を調整することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば短時間の調整方法で良好なる画像を得ることができる画像読取装置の調整方法及び画像読取装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)本発明の実施例1の概要を示す図、(B)反射ミラーの位置ズレの概要を示す図
【図2】スリット周辺の拡大図
【図3】評価パターンの図
【図4】(A)本発明による副走査倍率ズレによる評価パターン(反射ミラー所定位置)を示す図、(B)本発明による副走査倍率ズレによる評価パターン(反射ミラー位置ズレ) を示す図
【図5】実施例1のミラー断面図
【図6】副走査画角とR-G、B-G間隔のグラフ
【図7】副走査倍率ズレと所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図8】(A)本発明の実施例2の概要を示す図(回転非対称反射面)、(B)本発明の実施例2のミラー断面図
【図9】(A)本発明の実施例2の概要を示す図(回転非対称屈折面)、(B)本発明の実施例2のレンズ断面図
【図10】(A)本発明の実施例2による走査線曲がりによる評価パターン(反射ミラー所定位置)を示す図、(B)本発明の実施例2による走査線曲がりによる評価パターン(反射ミラー位置ズレ)を示す図
【図11】本発明の実施例2の走査線曲がり量と所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図12】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図13】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図14】本発明の実施例2の走査線曲がり量と所定位置からのCCDズレ量のグラフ
【図15】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図16】本発明の実施例2の走査線曲がりのグラフ
【図17】従来の画像読取装置の調整方法を示す図
【図18】従来の画像読取装置の調整方法のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の結像光学系(結像手段)ではオフアキシャル光学系を用いている。このため結像光学系の実施例の構成および数値の意味を明確にするために、本明細書中で使用のオフアキシャル光学系及びその骨組みとなる基準軸について以下のように定義する。
【0020】
[基準軸の定義]
一般には物体から像面にいたる基準となる基準波長の光線の光路をその光学系における基準軸と定義する。これだけでは基準となる光線の選び方に曖昧性が残るので、通常は以下に示す2つの原則のいずれかにより基準光線つまり基準軸を設定する。
【0021】
光学系に部分的にでも対称性を有する軸が存在し、収差を対称性良くとりまとめることができる場合には、その対称性を有する軸上を通る光線を基準光線とする。光学系に一般的に対称軸が存在しない時、あるいは部分的には対称軸が存在しても、収差を対称性良くとりまとめることができない。そのときには、物体面中心(被撮影、被観察範囲の中心)から出る光線のうち、光学系の指定される面の順に光学系を通り、光学系内に定義される絞り中心を通る光線を基準光線として設定する。基準光線に沿った部材間の距離を基準光線軸の距離(長さ)という。
【0022】
このようにして定義される基準軸は、折れ曲がっている形状となる事が一般的である。上記のように定義した基準軸が曲面と交わる点において、面法線が基準軸と一致しない曲面をオフアキシャル曲面と定義し、オフアキシャル曲面を含む光学系をオフアキシャル光学系と定義する。(但し、平面反射面によって基準軸が単純に折れ曲がっている場合も面法線が基準軸と一致しないが、その平面反射面は収差の対称性を損なわないので、オフアキシャル光学系の対象から除外する。)。
【0023】
本発明の実施例においては、光学系の基準となる基準軸を上記のように設定したが、光学系の基準となる軸の決め方は光学設計上、収差のとりまとめ上、もしくは光学系を構成する各面形状を表現する上で都合の良い軸を採用すれば良い。
【0024】
しかし、一般的には像面または観察面の中心と、絞りまたは入射瞳または射出瞳または光学系の第1面の中心若しくは最終面の中心のいずれかを通る光線の経路を光学系の基準となる基準軸に設定している。各面の順番は基準軸光線が反射を受ける順番に設定している。従って、基準軸は設定された各面の順番に沿って反射の法則に従ってその方向を変化させつつ、最終的に像面の中心に到達する。
【0025】
本発明の各実施例の光学系を構成するチルト面は基本的に全てが同一面内でチルトしている。そこで、絶対座標系の各軸を以下のように定める。
【0026】
Z軸:原点を通り第1面に向かう基準軸
Y軸:原点を通りチルト面内でZ軸に対して半時計周りに90°をなす直線
X軸:原点を通りZ,Y各軸に垂直な直線
また、光学系を構成する第i面の面形状を表すには、絶対座標系にてその面の形状を表記するより、基準軸と第i面が交差する点を原点とするローカル座標系を設定して、ローカル座標系でその面の面形状を表した方が形状を認識する上で理解し易い。そのため、本発明の構成データを表示する実施例では第i面の面形状をローカル座標系で表す。
【0027】
また、第i面のYZ面内でのチルト角は絶対座標系のZ軸に対して反時計回り方向を正とした角度θi(単位°)で表す。よって、本発明の各実施例では各面のローカル座標の原点はYZ平面上にある。またXZおよびXY面内での面の偏心はない。さらに、第i面のローカル座標(x,y,z)のy,z軸は絶対座標系(X,Y,Z)に対してYZ面内でも角度θi傾いており、具体的には以下のように設定する。
【0028】
z軸:ローカル座標の原点を通り、絶対座標系のZ軸方向に対しYZ面内において半時計方向に角度θiをなす直線
y軸:ローカル座標の原点を通り、z軸方向に対してYZ面内において半時計方向に90°をなす直線
x軸:ローカル座標系の原点を通り、YZ面に対し垂直な直線
また、本発明の実施例における結像光学素子は回転非対称の非球面を有し、その形状は以下の式により示す。
【0029】
【数1】
【0030】
なお球面は以下の式で表される形状である。
【0031】
【数2】
【0032】
上記曲面式はxに関して偶数次の項のみであるため、上記曲面式により規定される曲面はyz面を対称面とする面対称な形状である。近軸理論に基づく焦点距離を直接計算することが困難である。そこで以下の定義による換算焦点距離feqを用いる。
【0033】
【数3】
【0034】
なお定義上、反射面が奇数個の場合、焦点距離の符号は通常の符号と逆に表現される。ここにh1:第1面において基準軸に平行で基準軸に無限に近く入射する光線の入射高さak’:該光線が最終面から射出時に基準軸となす角度である。また、数値実施例においてDiは第i面と第(i+1)面間のローカル座標の原点間の間隔を表すスカラー量、Ndiは第i面と第(i+1)面間の媒質の屈折率である。
【0035】
[実施例1]
図1(A)は本発明の実施例1の画像読取装置の調整方法を示す要部概略図である。図1(B)は本発明の実施例1の反射ミラーの位置ズレの概要を示す要部概略図である。
【0036】
図中、12は原稿台(原稿台ガラス)であり、原稿台12の相当位置に位置ズレ検出パターンを有する調整用チャート11が載置されている。調整用チャート11は後述する図3に示すように主走査方向に評価パターン(画像評価パターン)31が延在され形成されている。18はキャリッジであり、照明装置13、スリット部14、複数枚の反射ミラー15a、15b、15c、15d、結像光学系としての結像手段16を有している。さらにキャリッジ18は読取手段としての1次元光電変換素子(CCD)17を保持しており、副走査モーター等の駆動装置(不図示)により原稿と相対的に移動させて原稿の画像情報を読取っている。
【0037】
照明装置13はキセノン管やハロゲンランプやLEDアレイ等の光源手段を有している。スリット部14は調整用チャート11からの光束(光束幅)の通過を規制している。第1、第2、第3、第4の反射ミラー15a、15b、15c、15dは調整用チャート11からの光束の光路をキャリッジ18内部で折り曲げている。結像光学系16は光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子(オフアキシャル光学素子)を含み複数枚のミラーで反射された光束より原稿の画像情報を読取手段(CCD)17面上に結像させている。読取手段(CCD)17は少なくとも3つのラインセンサー(1次元光電変換素子)を有しており、結像光学系16の結像位置に配置されている。19は調整手段としてのCCD調整装置であり、CCD17に取り付けられており、CCD17の副走査方向の位置を調整している。
【0038】
10は位置合わせ調整手段としてのミラー調整装置であり、第4の反射ミラー15dに取り付けられており、該第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整している。
【0039】
本実施例ではこの第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整することにより、スリット部14、結像光学系16、そしてCCD17の副走査方向の相対的な位置関係を調整している。
【0040】
図2は図1(A)、(B)に示したスリット部周辺の拡大説明図である。同図においてLはスリット部14の副走査方向の開口幅、Mは中心線である。ここで中心線Mを中心として含む幅L/2の領域を以下「スリット中心」と定義する。
【0041】
照明装置13から放射された光束で照明された調整チャート11の画像に基づく光束がスリット中心を通過し、第1、第2、第3、第4の反射ミラー15a、15b、15c、15dを介して結像光学系16によりCCD17面上に結像する。このとき各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定の位置に取り付けられている場合は図1(B)の一点鎖線で示す読取光路を辿る。しかし、例えば第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレていると、光束は一点鎖線に比べて副走査方向に画角が付いて点線で示すCCD17に結像する。
【0042】
ここで、本実施例の画像読取装置の調整方法について説明する。その調整方法は、原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、調整していく。ここで幾何特性とは、画像読取装置の倍率ズレのことである。
【0043】
図3は評価パターンを有する調整用チャートの説明図である。図3において、主走査方向に対しての垂直線31aは主走査方向の倍率ズレ(主走査倍率ズレ)を検出(評価)する為のパターン、斜線31bと垂直線31aは副走査方向の倍率ズレ(副走査倍率ズレ)を検出(評価)する為のパターンである。斜線31bと垂直線31aが交わる角度をθとする。
【0044】
尚、本実施例の調整用チャート11は、主走査方向に対し異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターン31を有し、一本又は一辺がラインセンサーの延直方向に直交していれば良い。
【0045】
図4(A)は各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定(設計値通り)の位置に取り付けられている場合のCCD17に結像する調整用チャートの画像の重心位置を示す説明図である。CCD17は各々R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色を読取るラインセンサーである。aは画素長であり、a=b/tanθで求まる。bは各ラインセンサーB(青色),G(緑色),R(赤色)間の距離である。
【0046】
図4(B)は第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレたときを示す説明図である。図中、a、b、c、d、e、fの各パラメータはそれぞれ絶対値で示してある。cはR-G間の主走査倍率ズレ、eはR-G間の副走査倍率ズレを評価するパラメータであり、R-G間の副走査倍率ズレ=e−(c+a)で副走査倍率ズレ量を求める。e−(c+a)>0ならプラスの副走査倍率ズレ量、e−(c+a)<0ならマイナスの副走査倍率ズレ量である。dはB-G間の主走査倍率ズレ、fはB-G間の副走査倍率ズレを評価するパラメータであり、B-G間の副走査倍率ズレ=f−(d+a)で副走査倍率ズレ量を求める。f−(d+a)<0ならプラスの副走査倍率ズレ量、f−(d+a)>0ならマイナスの副走査倍率ズレ量である。
【0047】
このR-G間とB-G間の副走査倍率ズレ量と符号を元にCCD17を図1(B)に示す実線の位置(副走査方向の位置)に向けて調整する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。同様の作業を繰り返すことで、良好なる画像を得ることができる。
【0048】
このように本実施例では、少なくとも2つの部材17,15dを調整する工程を用いることにより読取手段17で読取る画像情報を調整している。
【0049】
または、副走査倍率ズレ量からCCD17の調整量を算出し、一度にCCD17を副走査方向の所定の位置まで移動してもよい。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整することでも同様の効果が得られる。
【0050】
なお、本実施例では、第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度を調整する工程をミラー調整装置10により調整したが、これに限らず、他の反射ミラーでも良い。また、本実施例では、上記の調整方法以外に、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、結像光学系16の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整するようにしても良い。
【0051】
または、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、読取手段16の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部14の副走査方向の位置を調整するようにしても良い。なお、結像光学系は回転非対称な反射面に限らず、回転非対称な屈折面でも同様の効果を得られる。
【0052】
[数値実施例1]
次に本発明の実施例1の数値実施例1を下記に示す。なお、以下の各数値実施例において「E−x」は「10−x」を示している。
【0053】
原稿読取巾=305.0
結像倍率=‐0.22
原稿側NA=0.02006
feq=52.229
[表1]
I Yi Zi θi Di Ndi
1 0 0 0 175.3261 1 物体面
2 0 176.6883 18.5 -13.695 1 反射面
3 -8.24187 165.7509 61.4113 16.5011 1 反射面
4 8.215416 166.953 85.8226 16.0017 1 絞り
5 24.17465 168.1186 62.8366 -14.3288 1 反射面
6 14.9929 157.1182 22.4254 28.7538 1 反射面
7 17.43258 185.0038 5 1 像面
非球面形状
R1面
C20: -1.14E-03 C02: -1.32E-03 C21: -5.70E-05
C03: 2.67E-06 C40: -1.10E-07 C22: 1.61E-06
C04: 3.35E-06 C41: 2.31E-08 C23: -7.19E-08
C05: 5.32E-08 C60: 4.85E-11 C42: -9.62E-10
C24: 2.15E-09 C06: -1.33E-08 C61: -8.21E-12
C43: 4.69E-11 C25: 1.20E-10 C07: -2.60E-09
C80: -2.42E-15 C62: 5.17E-13 C44: -6.70E-12
C26: 5.90E-11 C08: -2.50E-10
R2面
C20: 1.23E-03 C02: 2.38E-03 C21: -7.38E-05
C03: -2.86E-06 C40: -8.06E-07 C22: -1.60E-07
C04: 3.65E-06 C41: 4.01E-08 C23: -2.67E-08
C05: 9.99E-08 C60: 7.73E-10 C42: 2.00E-09
C24: 2.16E-09 C06: -2.00E-08 C61: -2.51E-11
C43: 1.27E-10 C25: -2.01E-10 C07: -3.57E-09
C80: -3.85E-13 C62: -1.56E-12 C44: -1.30E-11
C26: 1.00E-10 C08: -1.87E-10
R3面
C20: -2.61E-03 C02: 5.41E-03 C21: -1.61E-05
C03: 5.33E-06 C40: -1.53E-06 C22: -6.12E-06
C04: 3.88E-06 C41: -1.40E-07 C23: -3.33E-07
C05: 6.94E-07 C60: 1.58E-09 C42: 3.13E-09
C24: 6.00E-09 C06: 2.00E-07 C61: 4.91E-11
C43: -1.49E-10 C25: -9.24E-09 C07: -5.45E-08
C80: -9.24E-13 C62: -4.10E-12 C44: -1.98E-12
C26: -1.42E-09 C08: -6.02E-09
R4面
C20: 4.88E-03 C02: 1.00E-02 C21: -1.37E-05
C03: -1.20E-05 C40: -1.32E-06 C22: -2.08E-06
C04: 8.00E-07 C41: -8.69E-08 C23: -2.73E-07
C05: 1.26E-07 C60: -4.19E-10 C42: -7.07E-09
C24: -1.43E-08 C06: 1.43E-07 C61: -6.82E-11
C43: -4.42E-10 C25: 2.06E-09 C07: -1.30E-08
C80: 1.24E-13 C62: -5.13E-12 C44: 2.69E-11
C26: -1.33E-10 C08: -9.38E-10
本実施例において、図1(A)に示す結像光学系16は反射面から成る4つのオフアキシャル光学素子R1、R2、R3、R4を有している。
【0054】
図5は、この4つのオフアキシャル光学素子(反射ミラー)R1、R2、R3、R4を有する結像光学系16の要部断面図である。図5において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0055】
結像光学系16は、原稿面P側から順にオフアキシャル光学素子R1、オフアキシャル光学素子R2、絞りS、オフアキシャル光学素子R3、オフアキシャル光学素子R4を有し、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面P上の画像情報を結像している。Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD17)が配列されている。画像読取用の結像光学系16は原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0056】
図1(A)に示すようにCCD17は原稿面に対して垂直に配置されており、3つのラインセンサーは図中上からR、G、Bの配列である。CCD17の副走査移動について、所定のCCD17の位置から図中上の方向をプラス、原稿面から図中下の方向をマイナスと定義する。
【0057】
図6は軸上光束における副走査画角と副走査倍率ズレ量の関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置(設計値の位置)に配置している場合、R-G間6aは8.0画素、B-G間6bは−8.0画素となる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、副走査方向に画角が付く。副走査画角−1.6°ではR-G間6cは8.3画素、B-G間6dは−8.3画素となり、このときR-G間の副走査倍率ズレ量が0.3画素、B-G副走査倍率ズレ量が−0.3画素となる。
【0058】
図7が軸上光束におけるR-G間とB-G間の副走査倍率ズレ量とCCDの位置ズレの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、R-G間の副走査倍率ズレ量が0.2画素、或いはB-G副走査倍率ズレ量が−0.2画素となった。そのとき、CCD17は所定の位置より図中7a、7bで示すように原稿面側に約0.8mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.8mm移動することで調整できる。
【0059】
反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、R-G間の副走査倍率ズレ量が−0.1画素、或いはB-G副走査倍率ズレ量が0.1画素となった。そのとき、CCD17は所定の位置より図中7c、7dで示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.4mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面側に約0.4mm移動することで調整できる。その後、反射ミラーの副走査の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0060】
以上、副走査色ズレ量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0061】
このように本実施例における調整方法は、上述した如くCCD17に結像する調整用チャート11の画像の幾何特性を元に、以下のように調整している。つまり本実施例では、スリット部14、複数枚のミラー15a、15b、15c、15d、結像手段16、CCD17のうち、いずれか2つを調整手段により調整することにより、短時間の調整方法で良好なる画像を得ている。これにより高画質な画像読取装置を達成している。
【0062】
[実施例2]
図8(A)、図9(A)は各々本発明の実施例2の画像読取装置の調整方法を示す要部概略図である。図8(A)は結像光学系に回転非対称な反射面を用いた場合である。図9(A)は結像光学系に回転非対称な屈折面を用いた場合の模式図である図8(A)、図9(A)において図1(A)に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0063】
本実施例において前述の実施例1と異なる点は、調整用チャート11を少なくとも3つの評価パターンより構成し、画像読取装置の走査線曲がりを検出したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0064】
つまり、本実施例における、調整用チャート11は主走査方向に対して異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを主走査方向に少なくとも3つ有しており、該形状より得られる画像情報より、画像読取装置の走査線曲がりを検出している。
【0065】
ここで、本実施例の画像読取装置の調整方法について説明する。その調整方法は、原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、読取手段に結像する調整用チャートの画像の幾何特性を元に、調整していく。ここで幾何特性とは、画像読取装置の走査線曲がりのことである。
【0066】
図10(A)は各反射ミラー15a、15b、15c、15dが所定の位置に取り付けられている場合のラインセンサーに結像する主走査方向の調整用チャート11の画像の重心位置を示す図である。軸上光束、主走査画角(α)、主走査画角(−α)の三点を評価すると、三点共にCCD17に結像する間隔Lが一致しているため走査線曲がりはない。図10(B)は第3の反射ミラー15cの取り付け位置が点線で示すようにズレた場合のラインセンサーに結像する主走査方向の調整用チャート11の画像の重心位置を示す図である。図10(B)中のH1、H3は各々走査線曲がり量を示す。
【0067】
主走査画角−αの走査線曲がり量H1は、H1=(L−X1)×tanθで求まる。また、主走査画角αの走査線曲がり量H3は、H3=(L−X3)×tanθで求まる。この走査線曲がり量H1、H3と符号を元にCCD 17を図1(B)に示す実線の位置(副走査方向の位置)に向けて調整する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。同様の作業を繰り返すことで、良好なる画像を得ることができる。
【0068】
または、走査線曲がり量H1、H3からCCD17の調整量を算出し、一度でCCD17を所定の位置に移動する。その後、光束がスリット部14の中心を通過するように第4の反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整することでも同様の効果が得られる。
【0069】
次に本発明の実施例2における数値実施例2,3を示す。数値実施例2は回転非対称な反射面を用いた結像光学系である。数値実施例3は回転非対称な屈折面を用いた結像光学系である。
【0070】
[数値実施例2]
原稿読取巾=305.0
結像倍率=‐0.11
原稿側NA=0.00897
feq=32.474
[表2]
I Yi Zi θi Di Ndi
1 0 0 0 301.1807 1 物体面
2 0 301.1807 18.8 -17.0112 1 反射面
3 -10.3793 287.7029 37.6 -10.8365 1 絞り
4 -16.9912 279.1173 19.22076 20.9715 1 反射面
5 -16.9535 281.6817 0.841515 1 像面
非球面形状
R1面
C20: -4.41E-03 C02: -3.95E-03 C21: 7.24E-05
C03: 2.48E-05 C40: 1.70E-06 C22: -1.44E-06
C04: -1.08E-07 C41: -7.67E-08 C60: -1.90E-09
C42: -2.74E-09 C24: -4.47E-09 C61: 8.54E-11
C43: -1.12E-10 C80: 2.05E-12 C62: 2.15E-11
C44: 3.97E-10 C64: -1.84E-12
R2面
C20: 6.95E-03 C02: 6.25E-03 C21: 1.71E-04
C03: 8.86E-06 C40: -4.56E-06 C22: 1.74E-05
C04: -3.08E-06 C41: -2.23E-07 C60: 1.11E-08
C42: -1.14E-08 C24: 5.27E-08 C61: 4.52E-10
C43: 4.69E-09 C80: -1.89E-11 C62: -2.06E-10
C44: 9.41E-09 C64: -8.90E-11
本実施例において、図8(A)に示す結像光学系16は反射面から成る2つのオフアキシャル光学素子R1、R2を有している。図8(B)は、この2つのオフアキシャル光学素子(反射ミラー)R1、R2を有する結像光学系16の要部断面図である。図8(B)において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0071】
結像光学系16は、原稿面P側から順にオフアキシャル光学素子R1、絞りS、オフアキシャル光学素子R2を有しており、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面上の画像情報を結像している。Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD)Qが配列されている。画像読取用の結像光学系16は原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0072】
図11は主走査方向の画角±76.2mmにおける走査線曲がり量とCCDの位置ズレとの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±76.2mmで走査線曲がりが0.011画素の位置ズレとなった。
【0073】
図12は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±76.2mmでは図12の図中12a、12bに示すように走査線曲がりが0.011画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図11の図中11aに示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.44mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面に近づける方向に約0.44mm移動させることで調整できる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±76.2mmで走査線曲がりが-0.001画素の位置ズレとなった。
【0074】
図13は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±76.2mmでは図13の図中13a、13bに示すように走査線曲がりが-0.001画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図11の図中11bに示すように原稿面側に約0.33mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.33mm移動させることで調整できる。その後、反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0075】
以上、走査線曲がり量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0076】
[数値実施例3]
表3において、fは画像読取用レンズLGの焦点距離、FnoはFナンバー、mは倍率、Yは最高像高、ωは半画角を示す。また、画像読取用レンズLGにおいて、面番号iは原稿面P側からの面の順番を示し、Riは各面の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の部材肉厚又は空気間隔、Ndiとνdiはそれぞれd線を基準とした材料の屈折率、アッベ数を示す。
【0077】
アナモクフィック面の形状は、数値実施例の表4で示す係数を用いて、次に説明する非球面形状になっている。光軸に対して回転非対称な屈折力を有する非球面の形状はレンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をx軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をy軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をz軸としたとき、母線形状Xが、
【0078】
【数4】
【0079】
但し、Rは曲率半径
ky ,B4,B6 ,B8 ,B10は非球面係数
なる式で表わされる。
【0080】
子線形状Sは母線上において母線と垂直な平面を断面とし、
【0081】
【数5】
【0082】
【数6】
【0083】
但し、r0 は光軸上の副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)でR=r0
D2 ,D4,D6 ,D8 ,D10,E2 ,E4 ,E6,E8 ,E10は非球面係数
なる式で表わされる。
【0084】
[表3]
f=32.9、Fno=6.5、m=0.189、Y=108、ω=27.5
面番号 R D Nd νd
C1 C1 ∞ 3.000 1.516 64.140
C2 ∞
G1 1 10.798 3.367 1.697 55.530
2 22.980 1.140
S 3 ∞(絞り) 0.417
G2 4 -33.062 0.844 1.689 31.070
5 12.104 0.406
G3 6 21.425 4.755 1.786 44.200
7 -21.425 3.600
G4
(アナモ)8* -13.051 1.855 1.530 55.800
9* -15.217
C2 C1 ∞ 0.700 1.516 64.140
C2 ∞
[表4]
8面 9面
R -1.305E+01 -1.522E+01
ky -6.556E+00 -3.950E+00
B4 -3.964E-04 -1.469E-04
B6 1.011E-06 -1.644E-06
B8 -6.217E-08 3.185E-09
B10 7.351E-10 -3.429E-11
Kz -6.556E+00 -3.950E+00
D4 -3.964E-04 -1.469E-04
D6 1.011E-06 -1.644E-06
D8 -6.217E-08 3.185E-09
D10 7.351E-10 -3.429E-11
r -1.305E+01 -1.522E+01
E2 4.790E-03 6.799E-03
E4 -6.606E-04 -4.661E-04
E6 1.638E-05 6.402E-06
E8 -3.672E-07 -1.093E-07
E10 6.724E-09 1.808E-09
図9(B)は数値実施例3における結像光学系のレンズ断面図である。図9(B)において図面上、左側が拡大側で原稿面P側(読取画像が設けられている側)であり、右側が縮小側でCCD(一次元光電変換素子)Qが設けられている側である。
【0085】
LGは、一次元光電変換素子の受光面上に原稿面上の画像情報を結像するための画像読取用の結像光学系、Pは物体としての原稿(原稿面)であり、その面上には読取の為の画像情報が形成されている。Qは像面であり、一次元方向に画素を配列した光電変換素子(CDD)Qが配列されている。C1は原稿台ガラスであり、C2はカバーガラスである。
【0086】
画像読取用の結像光学系LGは原稿面P上の画像情報を一次元光電変換素子Q上に縮小結像し、該一次元光電変換素子Qによって、画像情報を読取っている。
【0087】
画像読取用の結像光学系LGは原稿面P側から順に、原稿面P側に凸面を向けた正の屈折力(以下「正」と略称する。)のメニスカス状の第1レンズG1、絞りS、両レンズ面が凹面の負の第2レンズG2、両レンズ面が凸面の正の第3レンズG3を有している。さらに像面側に凸面を向けたメニスカス状の正の第4レンズG4の4つのレンズを有したテレフォトタイプより構成されている。第4レンズG4は光入出面(第1、第2面)がアナモルフィック面よりなっている。
【0088】
図14は走査線曲がり量とCCDの位置ズレとの関係を示す説明図である。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査端部±77.7mmで走査線曲がりが3.1画素の位置ズレとなった。
【0089】
図15は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査端部±77.7mmでは図15の図中15a、15bに示すように走査線曲がりが3.1画素の位置ズレとなる。そのときCCDは所定の位置より図14の図中14aに示すように原稿面側に約0.76mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面から遠ざける方向に約0.76mm移動させることで調整できる。反射ミラー15cが所定の位置からズレを生じた場合、主走査方向の端部±77.7mmで走査線曲がりが−1.6画素の位置ズレとなった。
【0090】
図16は主走査方向と走査線曲がりとの関係を示す説明図である。軸上光束から主走査方向に画角が付くと走査線曲がりが生じ、主走査方向の端部±77.7mmでは図16の図中16a、16bに示すように走査線曲がりが−1.6画素の位置ズレとなる。そのときCCD17は所定の位置より図14の図中14bに示すように原稿面から遠ざかる方向に約0.38mmの位置ズレとなる。よって、CCD17は原稿面に近づける方向に約0.38mm移動させることで調整できる。その後、反射ミラー15dの副走査方向の角度をミラー調整装置10により調整する。
【0091】
以上、走査線曲がり量と符合を元に調整することで短時間で良好なる画像を得ることができる。
【0092】
なお、本実施例では、上記の調整方法以外に、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、結像光学系16の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整するようにしても良い。
【0093】
または、調整用チャートの画像の幾何特性を元に、読取手段16の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部14の副走査方向の位置を調整するようにしても良い。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施例態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 ミラー調整装置、11 調整用チャート、12 原稿台、12 光源手段、14 スリット部、15a、15b、15c、15d 反射ミラー、16、176 結像光学系、17 読取手段(CCD)、18 キャリッジ、31 評価パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台の上に載置した原稿を照明する光源手段、前記光源手段により照明された前記原稿からの光束の通過を規制するスリット部、前記スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み前記複数枚のミラーで反射された光束より前記原稿の画像情報を結像させる結像光学系、そして前記結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、前記原稿と相対的に移動させて前記原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、
前記原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記スリット部、前記複数枚のミラー、前記結像光学系、そして読取手段のうち、少なくとも2つの位置を調整し、前記読取手段で読取る画像情報を調整することを特徴とする画像読取装置の調整方法。
【請求項2】
前記読取手段は、少なくとも3つのラインセンサーを有しており、前記調整用チャートは主走査方向に対し異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを有しており、一本又は一辺が前記読取手段の延直方向に直交しており、前記読取手段より得られる画像情報より画像読取装置の副走査方向の倍率ズレを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項3】
前記読取手段は、少なくとも3つのラインセンサーを有しており、前記調整用チャートは主走査方向に対して異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを主走査方向に少なくとも3つ有しており、前記読取手段は前記形状より得られる画像情報より、画像読取装置の走査線曲がりを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項4】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記読取手段の副走査方向の位置を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項5】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記結像光学系の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項6】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記読取手段の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部の副走査方向の位置を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の画像読取装置の調整方法を用いて調整されたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
原稿台の上に載置した原稿を照明する光源手段、前記光源手段により照明された前記原稿からの光束の通過を規制するスリット部、前記スリット部を通過した光束を反射させる複数枚のミラー、光軸に対して回転非対称な光学面を有する光学素子を含み前記複数枚のミラーで反射された光束より前記原稿の画像情報を結像させる結像光学系、そして前記結像光学系の結像位置に配置された読取手段を保持したキャリッジを、前記原稿と相対的に移動させて前記原稿の画像情報を読取る画像読取装置の調整方法において、
前記原稿台の相当位置に主走査方向へ評価パターンが延在する調整用チャートを載置し、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記スリット部、前記複数枚のミラー、前記結像光学系、そして読取手段のうち、少なくとも2つの位置を調整し、前記読取手段で読取る画像情報を調整することを特徴とする画像読取装置の調整方法。
【請求項2】
前記読取手段は、少なくとも3つのラインセンサーを有しており、前記調整用チャートは主走査方向に対し異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを有しており、一本又は一辺が前記読取手段の延直方向に直交しており、前記読取手段より得られる画像情報より画像読取装置の副走査方向の倍率ズレを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項3】
前記読取手段は、少なくとも3つのラインセンサーを有しており、前記調整用チャートは主走査方向に対して異なる角度で交差する二本又は二辺を有した形状の評価パターンを主走査方向に少なくとも3つ有しており、前記読取手段は前記形状より得られる画像情報より、画像読取装置の走査線曲がりを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項4】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記読取手段の副走査方向の位置を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項5】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記結像光学系の副走査方向の角度を調整し、その後、前記複数枚のミラーのうち少なくとも1枚のミラーの副走査方向の角度を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項6】
前記画像読取装置の調整方法は、前記読取手段に結像する前記調整用チャートの画像の幾何特性を元に、前記読取手段の副走査方向の位置を調整し、その後、前記スリット部の副走査方向の位置を調整する工程を用いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置の調整方法。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の画像読取装置の調整方法を用いて調整されたことを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−160070(P2011−160070A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18224(P2010−18224)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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