説明

画像読取装置及びプログラム

【課題】原稿両面の画像を同時に読み取り可能な画像読取装置において、画像の読み取り・データ転送に用いるメモリの消費量を抑えつつ、短時間でデータ転送できるようにする。
【解決手段】同じ読取タイミングで表面読取センサ及び裏面読取センサの双方による原稿両面の1ライン分の読み取り(両面スキャン)が行われると、表面読取センサにて読み取られた画像のラスタデータである表面ラスタデータ、及び裏面読取センサにて読み取られた画像のラスタデータである裏面ラスタデータが得られる。これら2つのラスタデータは、表面ラスタデータの後に裏面ラスタデータが続くように結合されることにより、全体として1つのラスタデータとされ、さらに、その結合後のラスタデータが所定の圧縮方式にて圧縮される。そして、その圧縮されたラスタデータにデータ情報(データヘッダ)が付加されて、PCへ転送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の両面の画像を読み取り可能な画像読取装置、及びこの画像読取装置から出力された画像データをコンピュータで処理するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ(画像読取装置)として、搬送される原稿の表面を読み取る表面読取センサと裏面を読み取る裏面読取センサを、原稿搬送経路に対して互いに異なる位置に個別に備え、原稿を搬送させつつ、所定の読取タイミング毎に、各読取センサによって原稿の両面の画像を並行して(同時に)1ラインずつ読み取ることが可能に構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、各読取センサにて読み取られた画像を表す画像データ(例えば1ライン毎のラスタデータ)は、PC(Personal Computer )等の情報処理装置へ出力(転送)され、この情報処理装置にて適宜処理される。ここで、スキャナからPC等へのラスタデータの転送方法としては、例えば次の2種類の方法が知られている。
【0004】
まず一つは、図10(a)に例示するように、各原稿毎に、先に読み取り開始される裏面(偶数ページ目)のラスタデータは一旦スキャナ本体のメモリに蓄え、表面(奇数ページ目)のラスタデータから読み取られる毎に順次PCへ転送して、その表面の読み取り・転送が完了したら、メモリから裏面のラスタデータを読み出してPCに転送する、という方法である(以下「転送方法A」ともいう)。
【0005】
具体的には、表面読取センサ側で1ページ目(1枚目原稿の表面)の読み取り・ラスタデータ転送が行われる時刻t2〜t5の間に、裏面読取センサ側では、先に時刻t1で開始された2ページ目(1枚目原稿の裏面)の読み取り・メモリへのラスタデータ蓄積が時刻t3にて終了し、引き続き4ページ目(2枚目原稿の裏面)の読み取り・メモリへのラスタデータ蓄積が開始される(時刻t4)。そして、1ページ目の読み取り・転送の完了後、メモリ内の2ページ目のラスタデータが転送される(時刻t6)。
【0006】
もう一つの転送方法は、図10(b)に示すように、ページ順序に関係なく、各読取センサで画像が読み取られる毎にそのラスタデータを順次PCに転送する、という方法である(以下「転送方法B」ともいう)。即ち、2ページ目の読み取りだけが行われている間はその2ページ目のラスタデータが随時転送され、その後1ページ目の読み取りも開始されると両面の画像のラスタデータが順次並行して(交互に)転送される。
【0007】
この転送方法Bで転送される転送データ100は、図10(c)に示すように、ラスタデータが格納されるラスタデータブロック102に、転送データ100全体に関する情報が格納されるデータヘッダ101が付加されたデータ構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−72761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、転送方法Aでは、図10(a)に示すように、例えば1ページ目(1枚目原稿の表面)のデータ転送が完了するまでの間、2ページ目(1枚目原稿の裏面)全部と4ページ目(2枚目原稿の裏面)の約半分のラスタデータをメモリに蓄える必要がある。
【0010】
そのため、特に、スキャン機能以外にも各種機能を備えた複合機などでは、メモリが複数の機能で使用されるため、ラスタデータを蓄えるためのメモリの容量を充分に確保できない場合がある。メモリの消費量を抑える方法として、先に搬送・読み取りされている原稿の表・裏のデータ転送が完了するまでは次の原稿の読み取りを開始しないようにすることも考えられるが、このようにすると、複数の原稿を連続して搬送・読み取りできないため、読み取りにかかる時間が全体として長くなる。
【0011】
また、転送方法Bでは、メモリ消費量は抑えられるものの、転送データ100毎に、図10(c)に示すように、データヘッダ101として、転送データ100に関する基本的情報である「データ情報」(例えば転送データ100の全サイズなど)に加え、転送対象のラスタデータが原稿の表・裏いずれのデータなのかを区別するための「面情報」を付加する必要がある。そのため、データ量が増大し、データ転送にかかる時間が長くなる。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、原稿の両面の画像を同時に読み取り可能な画像読取装置において、画像の読み取り・データ転送に用いるメモリの消費量を抑えつつ、短時間でデータ転送できるようにすることを目的とする。また、この画像読取装置から転送されたデータをコンピュータにて適切に処理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、原稿を搬送する搬送手段と、この搬送手段により搬送される原稿の搬送経路に沿って設けられ、搬送される原稿の一方の面の画像を所定の読取タイミング毎に1ラインずつ読み取る第1読取手段と、搬送経路に沿って設けられ、搬送される原稿の他方の面の画像を読取タイミング毎に1ラインずつ読み取る第2読取手段と、1又は連続した所定数の読取タイミングでの各読取手段による読み取り動作を出力基準読取動作として、該出力基準読取動作毎に、第1読取手段にて読み取られた画像を表す第1画像データと第2読取手段にて読み取られた画像を表す第2画像データとを結合する画像データ結合手段と、この画像データ結合手段により結合された画像データである出力対象画像データに対し、該出力対象画像データに関する情報であるデータ情報を付加するデータ情報付加手段と、このデータ情報付加手段によりデータ情報が付加された出力対象画像データを、通信回線を介して通信可能な情報処理装置へ出力する出力手段と、を備えている。
【0014】
上記構成の画像読取装置では、出力基準読取動作毎に、その出力基準読取動作にて読み取った第1画像データと第2画像データを結合して1つのデータ(出力対象画像データ)とし、これにデータ情報を付加して情報処理装置へ出力する。
【0015】
従って、請求項1に記載の画像読取装置によれば、従来のように一方の面の画像データの出力が完了するまで他方の面の画像データを1ページ分(或いはそれ以上)メモリに記憶しておく必要はなく、画像の読み取りから出力に至る一連の処理で必要なメモリの消費量を抑えることができる。しかも、結合後の出力対象画像データに対してデータ情報が付加されるため、情報処理装置へ出力されるデータ量を削減することができ、全体として短時間で情報処理装置への画像データ出力を行うことが可能となる。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置であって、出力基準読取動作において読み取られた画像が原稿の一方の面又は他方の面の何れか一方の画像のみであった場合、画像データ結合手段は、上記結合を行わず、データ情報付加手段は、その読み取られた画像の画像データを出力対象画像データとして、その出力対象画像データに対してデータ情報を付加する。
【0017】
このように構成された請求項2に記載の画像読取装置によれば、原稿の表・裏双方の画像が読み取られたか、それともいずれか一方の面の画像のみが読み取られたか、に応じてそれぞれ適切且つ効率良く画像データの処理(情報処理装置への出力のための処理)を行うことができる。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置であって、データ情報として、少なくとも、出力対象画像データにおける第1画像データと第2画像データの識別に必要な識別情報を有する。
【0019】
このように構成された請求項3に記載の画像読取装置によれば、当該画像読取装置から出力された出力対象画像データを受信・処理する情報処理装置において、その出力対象画像データに付加されているデータ情報(識別情報)に基づき、その出力対象画像データに含まれている画像データを適切に識別することができる。
【0020】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像読取装置であって、識別情報には、出力対象画像データに第1画像データが含まれているか否かを示す第1有無情報、及び出力対象画像データに第2画像データが含まれているか否かを示す第2有無情報、の少なくとも何れか一方が含まれる。
【0021】
このように構成された請求項4に記載の画像読取装置によれば、当該画像読取装置から出力された出力対象画像データを受信・処理する情報処理装置において、受信した出力対象画像データに表・裏いずれの面の画像データが含まれているかを確実に判断することができ、これに基づいて画像データの識別をより適切に行うことができる。
【0022】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の画像読取装置であって、識別情報には、出力対象画像データにおける第1画像データと第2画像データの区切り位置を示す情報が含まれる。
【0023】
このように構成された請求項5に記載の画像読取装置によれば、当該画像読取装置から出力された出力対象画像データを受信・処理する情報処理装置において、受信した出力対象画像データにおける第1画像データと第2画像データの区別(識別)を確実に行うことができる。
【0024】
特に、例えば第1読取手段と第2読取手段とでそれぞれ異なるサイズの原稿が読み取られている場合などのように、第1画像データと第2画像データのデータ量が異なる場合であっても、そのデータ量の相違にかかわらず、両者の区別を確実に行うことができる。
【0025】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像読取装置であって、出力対象画像データを圧縮する圧縮手段を備え、データ情報付加手段は、圧縮手段により圧縮された出力対象画像データに対して、データ情報を付加する。
【0026】
このように構成された請求項6に記載の画像読取装置によれば、情報処理装置へ出力するデータ量をより削減することができ、より短時間で情報処理装置への画像データ出力を行うことが可能となる。
【0027】
次に、請求項7に記載の発明は、原稿の両面の画像を所定の読取タイミング毎に同時に読み取り可能な画像読取装置から入力される、原稿の一方の面の画像データ若しくは他方の面の画像データ又は双方の面の画像データが結合されてなる一つの画像データに該画像データに関する情報であるデータ情報が付加された入力データを、コンピュータにて処理するためのプログラムであって、コンピュータを、入力データに含まれるデータ情報に基づき、該入力データに原稿の何れの面の画像データが含まれているか判断する画像データ判断手段、この画像データ判断手段による判断結果に従い、入力データに含まれている画像データを原稿の面毎に区別して記憶する画像データ記憶手段、として機能させるためのプログラムである。
【0028】
このように構成された請求項7に記載のプログラムをコンピュータにて実行させることにより、画像読取装置から出力された画像データ(出力対象画像データ)に対し、これに付加されているデータ情報に基づいて、第1画像データ及び第2画像データを適切に区別して記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態の画像処理システムの概略構成を表すブロックである。
【図2】原稿の搬送過程及び読み取り過程の概略を説明するための説明図である。
【図3】MFPにおける、読み取った画像データがPCへ転送されるまでのデータ処理過程の概要を説明するための説明図である。
【図4】MFPからPCへの転送データを説明するための説明図であり、(a)は転送データのデータ構造の概略を示し、(b)はデータ情報(データヘッダ)の詳細を示す。
【図5】MFPからPCへの転送データの時系列的な流れを表す説明図である。
【図6】MFPにて実行される読取制御処理を表すフローチャートである。
【図7】図6の読取制御処理におけるS190及びS200の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図8】PCにて実行される画像データ受信制御処理を表すフローチャートである。
【図9】図8の画像データ受信制御処理におけるS560,S580,及びS600の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図10】従来の画像データ転送を説明するための説明図であり、(a)は画像読み取り中における転送タイミングとメモリ保存データの変化を示し、(b)は転送データの時系列的な流れを示し、(c)は転送データのデータ構造の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(1)画像処理システムの構成
図1に、本実施形態の画像処理システムの概略構成を示す。図1に示す如く、本実施形態の画像処理システムは、MFP(Multifunction Peripheral)1とPC2が相互にデータ通信可能に接続されてなるものである。
【0031】
MFP1は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する複合機であり、上記各種機能を実現するためにMFP1内の各部を制御する制御部11、原稿の画像を読み取るスキャナ部12,スキャナ部12によって読み取られた画像や外部から入力された画像などを用紙等に印刷するプリンタ部13、後述する読取制御処理(図6参照)のプログラムを含む各種プログラムが格納された不揮発性メモリ領域と各種データを一時的に記憶する揮発性メモリ領域を有する記憶部14、ユーザによる各種入力操作を受け付ける操作部15、MFP1の動作状態や設定内容等を表示する表示部16、及び通信回線としてのLAN(Local Area Network)を介して外部装置等と互いにデータ通信を行うための通信インタフェースであるLAN用通信部17などを備え、このLAN用通信部17を介してPC2とデータ通信可能に接続されている。
【0032】
スキャナ部12は、原稿の表面の画像を読み取る表面読取センサ31、原稿の裏面の画像を読み取る裏面読取センサ32、読み取り対象の原稿を搬送する原稿自動搬送装置(ADF;Auto Document Feeder)33、このADF33により搬送される原稿を検知する第1検知センサ34及び第2検知センサ35、原稿が載置されるADF用原稿台41(後述の図2参照)上の原稿の有無を検知する原稿有無センサ36などを備えている。
【0033】
PC2は、CPU21、RAM22、ROM23、ハードディスク装置(HDD)24、LCD等の表示部25、キーボードやマウス等の入力部26、及びLAN用通信部27などを備えている。HDD24には、後述する画像データ受信制御処理(図8参照)のプログラムを含む各種プログラムが記憶されている。
【0034】
(2)スキャン機能の概要
次に、MFP1が有する上記各種機能のうち、スキャン機能について、図2を用いてより詳しく説明する。図2は、MFP1における、原稿の搬送過程及び読み取り過程の概略を説明するための説明図である。図2に示すように、MFP1は、本体30の上面にFB(フラットベッド)用原稿台38が設けられ、このFB用原稿台38を覆う原稿台カバー40が、FB用原稿台38の枠部において開閉(回動)可能に設けられている。
【0035】
そして、スキャナ部12(図1参照)を構成する上記各センサ31,32,34〜36のうち、表面読取センサ31は、本体30におけるFB用原稿台38の下に設けられている。一方、他の各センサ32,34〜36は、ADF33と共に原稿台カバー40内に設けられている。また、原稿台カバー40には、ADF33にて搬送される読み取り対象の原稿を載置するためのADF用原稿台41が設けられている。このADF用原稿台41に、上述の原稿有無センサ36が設けられている。
【0036】
また、MFP1は、スキャン機能として、FB用原稿台38に静止状態で載置された原稿を読み取るFB読取機能と、原稿をADF33にて自動搬送させつつ読み取るADF読取機能を有している。更に、ADF読取機能として、原稿の両面の画像を各読取センサ31,32にて並行して読み取る両面読取機能を有している。以下、この両面読取機能について、原稿台カバー40内の具体的構成と共に詳しく説明する。
【0037】
原稿台カバー40内において、ADF用原稿台41に載置された原稿は、MFP1の操作部15又はPC2の入力部26にてユーザによる所定の両面スキャン(両面読み取り)指示操作がなされると、ADF33によって一枚ずつ順次搬送される。
【0038】
表面読取センサ31と裏面読取センサ32は、いずれも原稿の搬送経路42に沿って、表面読取センサ31の方が裏面読取センサ32よりも原稿の搬送方向下流側へ所定の搬送距離離れて位置するように設けられている。
【0039】
第1検知センサ34と第2検知センサ35も、原稿の搬送経路42に沿って設けられている。このうち第1検知センサ34は、裏面読取センサ32の近傍であってこの裏面読取センサ32よりも搬送方向上流側に設けられ、第2検知センサ35は、表面読取センサ31の近傍であってこの表面読取センサ31よりも搬送方向上流側に設けられている。
【0040】
各検知センサ34,35は、ADF33により搬送される原稿の先端及び後端を検知する。そして、第1検知センサ34による検知結果に基づいて、裏面読取センサ32による画像読み取り位置(以下「裏面読取位置」ともいう)と原稿との位置関係が判断され、第2検知センサ35による検知結果に基づいて、表面読取センサ31による画像読み取り位置(以下「表面読取位置」ともいう)と原稿との位置関係が判断される。
【0041】
このように構成されたMFP1において、両面スキャンが実行されると、まず1枚目の原稿50の搬送が開始され、その先端が裏面読取位置に到達すると、裏面読取センサ32による裏面52の読み取りが開始される(図2(a))。その後、その原稿50が表面読取位置に到達すると、表面読取センサ31による表面51の読み取りも開始される(図2(b))。また、1枚目の原稿50がADF用原稿台41から送出されると、続いて2枚目の原稿60の搬送が開始され(図2(b))、2枚面の原稿60がADF用原稿台41から送出されると、続いて3枚目の原稿70の搬送が開始される(図2(d))。
【0042】
そのため、図2(b)の状態から更に進むと、図2(c)のように、表面読取センサ31による1枚目の原稿50の表面51の読み取りと裏面読取センサ32による2枚目の原稿60の裏面62の読み取りが行われる状態となり、更に進むと、図2(d)のように、2枚目の原稿60の表面61及び裏面62がそれぞれ読み取られる状態となる。
【0043】
本実施形態の両面読取機能では、表面読取センサ31による原稿表面の読み取りと裏面読取センサ32による原稿裏面の読み取りが、所定の読取タイミング毎に1ラインずつ行われる。そのため、図2(b),(d)のように、裏目読取位置及び表面読取位置の双方にそれぞれ原稿の裏面・表面が対向している場合や、図3(c)のように表面読取位置には先に搬送されている原稿50の表面51が対向して裏面読取位置には次の原稿60の裏面62が対向している場合などのように、各読取位置の双方に原稿がある場合には、読取タイミング毎に、並行して同時に表・裏の画像が読み取られることとなる。
【0044】
(3)MFPからPCへのデータ転送
次に、MFP1のスキャナ部12にて読み取られた画像データ(ラスタデータ)のPC2への転送について、図3〜図5を用いて説明する。図3に示すように、同じ読取タイミングで1ライン分の両面スキャンが行われると、表面読取センサ31にて読み取られた画像のラスタデータである表面ラスタデータ、及び裏面読取センサ32にて読み取られた画像のラスタデータである裏面ラスタデータが得られる。
【0045】
MFP1は、これら2つのラスタデータを、表面ラスタデータの後に裏面ラスタデータが続くように結合することにより、全体として1つのラスタデータとし、さらに、その結合後のラスタデータを所定の圧縮方式にて圧縮する。そして、その圧縮されたラスタデータにデータ情報(データヘッダ)を付加して、PC2へ転送する。ラスタデータの圧縮方式は、例えばZIP圧縮方式やJPEG圧縮方式など、種々の方式が考えられる。
【0046】
PC2への転送データは、図4(a)に示すように、ラスタデータが格納されるラスタデータブロック82にデータ情報が格納されるデータヘッダ81が付加されたデータ構造となっている。また、ラスタデータブロック82は、表面(奇数ページ)ラスタデータが格納される表面データブロック82aと、裏面(偶数ページ)ラスタデータが格納される裏面データブロック82bとにより構成されている。但し、表面又は裏面のいずれか一方のみ読み取りが行われている場合は、ラスタデータブロック82には、表面データブロック82a及び裏面データブロック82bのうちいずれか一方のみが含まれる。
【0047】
データヘッダ81には、データ情報として、図4(b)に示すような、転送対象のラスタデータを含む転送データ全体に関する各種の情報が格納される。
このうちデータサイズは、データ情報(データヘッダ81)を含む転送データの全サイズを示す情報であり、2byteの情報量が割り当てられている。
【0048】
表面データ有フラグは、ラスタデータブロック82に表面ラスタデータが含まれているか否かを示す1bitの情報である。この表面データ有フラグが立っている(即ち、ビット値が1;Hレベル)場合は表面ラスタデータが含まれていることを示し、この表面データ有フラグが下りている(即ち、ビット値が0;Lレベル)場合は表面ラスタデータが含まれていないことを示している。裏面データ有フラグは、裏面ラスタデータに対して上記の表面データ有フラグと同様の目的・要領で設定される1bitの情報であり、ラスタデータブロック82に裏面ラスタデータが含まれているか否かを示すものである。
【0049】
表面データ終了フラグは、表面データブロック82a内の表面ラスタデータが現在読み取り中のページ(表面)の最終ラインであるか否かを示す1bitの情報である。この表面データ終了フラグが立っている場合は、今回読み取った表面ラスタデータは現在読み取り中のページ(表面)の最終ラインであることを示し、逆に、表面データ終了フラグが下りている場合は最終ラインではないことを示している。裏面データ終了フラグは、裏面ラスタデータに対して表面データ終了フラグと同様の目的・要領で設定される1bitの情報であり、裏面データブロック82b内の裏面ラスタデータが現在読み取り中のページ(裏面)の最終ラインであるか否かを示すものである。
【0050】
なお、表面ラスタデータがない場合は表面データ終了フラグは下りた状態にされ、裏面ラスタデータがない場合は表面データ終了フラグは下りた状態にされる。
表/裏区切り位置は、ラスタデータブロック82における表面ラスタデータと裏面ラスタデータの区切り位置(表面データブロック82aと裏面データブロック82bの区切り位置)を示す2byteの情報である。具体的には、表面ラスタデータのデータ幅(画素数)と同じ値が設定される。その他の情報としては、例えばラスタデータにおけるRGBの順序や、ラスタデータの圧縮方式などがある。
【0051】
図5に、MFP1にて複数枚の原稿の両面読み取りが行われる際の、PC2への転送データの時系列的な変化を示す。原稿の搬送開始後、まず裏面読取センサ32による2ページ目(1枚目原稿の裏面)の読み取りが開始される。これにより、読取タイミング毎に、読み取られた1ラインの裏面ラスタデータが圧縮され、その圧縮後の裏面ラスタデータ(裏面データブロック82b)にデータ情報(データヘッダ81)が付加されて、PC2へ転送される。なお、図5の各データブロック82a、82b内に括弧書きで示した数字は、原稿のページ番号(何ページ目か)を示すものである。
【0052】
そして、原稿の搬送が進んで表面読取センサ31による1ページ目(1枚目原稿の表面)の読み取りも開始されると、原稿の両面の画像が同時に読み取られる状態となる。この場合、読取タイミング毎に、読み取られた1ラインの表面ラスタデータと裏面ラスタデータが結合・圧縮され、その結合・圧縮後の表・裏各面のラスタデータにデータ情報(データヘッダ81)が付加されて、PC2へ転送される。
【0053】
このようにして、各読取センサ31,32の双方で同時に読み取りが行われているときは、双方で読み取られた表・裏各面のラスタデータが結合・圧縮され、データ情報(データヘッダ81)が付加されて、PC2へ転送される。また、何れか一方の読取センサで読み取りが行われているときは、その読み取られている一方の面のラスタデータが圧縮され、データ情報(データヘッダ81)が付加されてPC2へ転送される。
【0054】
(4)MFPにて実行される読取制御処理
次に、両面読取機能による原稿の両面読み取りを行うためにMFP1にて実行される読取制御処理について、図6を用いて説明する。図6は、MFP1の制御部11にて実行される読取制御処理を表すフローチャートである。この読取制御処理は、ユーザによる所定の両面スキャン指示操作がなされたときに、ADF33による原稿搬送と共に実行される。
【0055】
制御部11は、この読取制御処理を開始すると、まずS110にて、原稿の全ページの読み取りが終了したか否かを判断する。具体的には、原稿有無センサ36、第1検知センサ34、及び第2検知センサ35の何れも原稿を検知していない場合は、全ページ読み取りが終了したものと判断してS300へ進み、PC2へ終了コードを転送してこの読取制御処理を終了する。一方、上記各センサ34〜36の何れか一つでも原稿を検知している場合は、まだ全ページ読み取りが終了していないと判断してS120に進む。
【0056】
S120では、原稿の表面・裏面がともに読取位置にあるか否か、即ち表面が表面読取位置にあって且つ裏面が裏面読取位置にあるか否かを判断し、ともに読取位置にある場合はS130に進む。この場合、読取タイミングにおいて原稿の両面が同時に1ライン読み取られることになるため、S130にて、その読み取られた両面の画像のラスタデータ、即ち表面ラスタデータと裏面ラスタデータ(いずれも1ライン分)を取得する。
【0057】
なお、S120の判断は、具体的には、原稿の表面については、第2検知センサ35にて原稿の先端が検知されてからの原稿の搬送量が所定量以上であって、且つ、第2検知センサ35にて原稿の後端が検知されてからの原稿の搬送量がまだ所定量に達していないか否かに基づいて判断する。ここでいう所定量とは、第2検知センサ35による検知位置から表面読取センサ31による表面読取位置までに、原稿が搬送される量である。後述するS140の判断も同様である。
【0058】
原稿の裏面についても同様であり、第1検知センサ34にて原稿の先端が検知されてかの原稿の搬送量が所定量以上であって、且つ、第1検知センサ34にて原稿の後端が検知されてからの原稿の搬送量がまだ所定量に達していないか否かに基づいて判断する。後述するS160の判断も同様である。
【0059】
S120にて、原稿の表面・裏面がともに読取位置にあると判断されなかった場合は、S140に進み、原稿の表面のみ読取位置(表面読取位置)にあるか否かを判断し、表面読取位置にある場合はS150に進む。この場合、読取タイミングにおいて原稿の裏面は読み取られず表面のみが1ライン読み取られることになるため、S150では、その読み取られた表面ラスタデータ(1ライン分)を取得する。
【0060】
S140にて、原稿の表面のみ表面読取位置にあると判断されなかった場合は、S160に進み、原稿の裏面のみ読取位置(裏面読取位置)にあるか否かを判断し、裏面読取位置にある場合はS170に進む。この場合、読取タイミングにおいて原稿の表面は読み取られず裏面のみが1ライン読み取られることになるため、S170では、その読み取られた裏面ラスタデータ(1ライン分)を取得する。
【0061】
なお、S160において原稿の裏面のみ読取位置にあると判断されなかった場合は、各読取センサ31,32では原稿が検知されていないもののまだ原稿が残っていることが予想されるため、S110に戻る。
【0062】
S130,S150,又はS170にてラスタデータを取得した後は、S180にてデータヘッダをクリアし、S190の表面データフラグ設定処理及びS200の裏面データフラグ設定処理へと順次進む。
【0063】
S190の表面データフラグ設定処理は、詳しくは図7(a)に示す通りであり、まずS310にて、表面ラスタデータを取得したか否かを判断し、先のS130又はS150にて表面ラスタデータを取得したならばS320へ進み、取得していないならばS370へ進む。
【0064】
S320では、データヘッダ81(データ情報)における表面データ有フラグを立てる。そして、続くS330にて、表面の最終ラインのラスタデータを取得したか否か、即ちS130又はS150にて取得した表面ラスタデータが、表面読取センサ31にて現在読み取り中の原稿表面(奇数ページ)における最終ラインのラスタデータであるか否かを判断する。このS330の判断は、具体的には、第2検知センサ35にて原稿の後端が検知されてからの原稿の搬送量に基づいて行う。
【0065】
そして、まだ最終ラインでなければ、S350にてデータヘッダ81における表面データ終了フラグを下ろしてS360に進み、最終ラインであれば、S340にて表面データ終了フラグを立ててS360に進む。S360では、データヘッダ81における表/裏区切り位置として、取得した表面ラスタデータの幅(画素数)を挿入する。
【0066】
一方、S370では、表面ラスタデータを取得していないことから、データヘッダ81における表面データ終了フラグを下ろし、続くS380にて、データ情報における表/裏区切り位置として、ゼロを挿入する。
【0067】
次に、S200の裏面データフラグ設定処理は、詳しくは図7(b)に示す通りであり、まずS410にて、裏面ラスタデータを取得したか否かを判断し、先のS130又はS170にて裏面ラスタデータを取得したならばS420へ進み、取得していないならばS460へ進む。
【0068】
S420では、データヘッダ81における裏面データ有フラグを立てる。そして、続くS430にて、裏面の最終ラインのラスタデータを取得したか否か、即ちS130又はS170にて取得した裏面ラスタデータが、裏面読取センサ32にて現在読み取り中の原稿裏面(偶数ページ)における最終ラインのラスタデータであるか否かを判断する。このS430の判断は、具体的には、第1検知センサ34にて原稿の後端が検知されてからの原稿の搬送量に基づいて行う。
【0069】
そして、まだ最終ラインでなければ、S450にてデータヘッダ81における裏面データ終了フラグを下ろし、最終ラインであれば、S440にて裏面データ終了フラグを立てる。
【0070】
一方、S460では、裏面ラスタデータを取得していないことから、データヘッダ81における裏面データ終了フラグを下ろす。
このようにしてS200の裏面データフラグ設定処理が終わると、S210にて、表面ラスタデータと裏面ラスタデータの両方を取得したか否かを判断する。そして、先のS130にて両面のラスタデータを取得したらならば、S220にて、その取得した表面ラスタデータと裏面ラスタデータを結合し、続くS230にて、その結合後のラスタデータを所定の圧縮方式にて圧縮して、S270に進む。
【0071】
S210にて、両面のラスタデータを取得していない場合は、S240にて、原稿表面のみラスタデータを取得したか否かを判断する。そして、先のS150にて表面ラスタデータのみ取得している場合は、S250にて、その取得した表面ラスタデータを所定の圧縮方式にて圧縮してS270に進む。一方、先のS170にて裏面ラスタデータのみ取得している場合は、S260にて、その取得した裏面ラスタデータを所定の圧縮方式にて圧縮してS270に進む。
【0072】
S270では、データヘッダ81に、上記圧縮後の全データサイズ(データヘッダ81を含む、転送データ全体のサイズ)を挿入し、続くS280では、データヘッダ81に、RGB順序や圧縮方式などの各種情報(図4(b)の「その他の情報」)を挿入する。
【0073】
そして、S290にて、転送データ全体、即ちラスタデータブロック82にデータヘッダ81が付加された転送データを、PC2へ転送して、再びS110に戻る。
(5)PCにて実行される画像データ受信制御処理
次に、PC2にて実行される画像データ受信制御処理について、図8を用いて説明する。図8は、PC2にて実行される画像データ受信制御処理を表すフローチャートである。この画像データ受信制御処理は、ユーザによりPC2にて所定のスキャン指示操作がなされたとき、又はユーザによりMFP1にて所定のスキャン指示操作がなされてその旨がMFP1からPC2へ送信されてきたときに実行される。
【0074】
この画像データ受信制御処理が開始されると、まずS510にて、奇数ページ番号Poとして「1」が設定されると共に偶数ページ番号Peとして「2」が設定される。そして、S520にて、MFP1から転送されてきたデータを取得する。
【0075】
PC2では、MFP1からデータが受信される毎に、その受信した転送データが一旦RAM22に保存される。そのため、S520では、そのRAM22に保存されたデータのうち最先に保存されたデータを取得する。なお、MFP1から受信するデータとしては、ラスタデータを含む転送データの他、終了コードなどもある。
【0076】
S530では、S520で取得したデータが終了コードであるか否かを判断する。そして、終了コードであればそのままこの画像データ受信制御処理を終了するが、終了コードでなければ、それはラスタデータを含む転送データであることから、S540にて、その転送データに含まれているラスタデータ(即ち圧縮されたラスタデータ)を解凍して、元の(圧縮前の)ラスタデータを取得する。
【0077】
続くS550では、データ情報(データヘッダ81)に基づき、表面データ有フラグと裏面データ有フラグが共に立っているか否かを判断する。そして、共に立っているならば、S560の両面画像保存処理を行って再びS520に戻り、共に立っていないならばS570に進む。
【0078】
S570では、表面データ有フラグが立っているか否かを判断する。そして、表面データ有フラグが立っているならば、S580の表面画像保存処理を行って再びS520に戻り、立っていないならばS590に進む。
【0079】
S590では、裏面データ有フラグが立っているか否かを判断する。そして、裏面データ有フラグが立っているならば、S600の裏面画像保存処理を行って再びS520に戻り、立っていないならば、S610にて所定のエラー処理を行った上で、このが図尾データ受信制御処理を終了する。
【0080】
S560の両面画像保存処理、S580の表面画像保存処理、及びS600の裏面画像保存処理の詳細は、それぞれ図9(a)〜(c)に示す通りである。
このうち両面画像保存処理は、図9(a)に示すように、まずS710にて、Poページ目の画像データを保存中であるか否か判断し、既に保存中であればS730へ進み、まだ保存中でなければ、S720にてPoページ目の画像データの保存開始処理(RAM22への書き込み準備などの初期設定)を行って、S730に進む。
【0081】
S730では、S540(図8参照)で解凍した後のラスタデータ(ラスタデータブロック82)における、データヘッダ81に設定されている表/裏区切り位置よりも前のデータ(表面ラスタデータ)を、現在保存中のPoページ目の画像データに追加保存する。
【0082】
そして、S740で、データヘッダ81に設定されている表面データ終了フラグが立っているか否かを判断し、立っていなければS770に進む。一方、表面データ終了フラグが立っている場合は、今回追加保存した表面ラスタデータが現ページ(Poページ)の最終ラインのラスタデータであるということであるため、S750にてPoページ目の画像データの保存終了処理を行い、続くS760にて現在の奇数ページ番号Poを2だけインクリメントして、S770に進む。
【0083】
S770では、Peページ目の画像データを保存中であるか否か判断し、既に保存中ならばS790へ進み、まだ保存中でなければ、S780にてPeページ目の画像データの保存開始処理(RAM22への書き込み準備などの初期設定)を行ってS790に進む。
【0084】
S790では、S540にて解凍した後のラスタデータ(ラスタデータブロック82)における、データヘッダ81に設定されている表/裏区切り位置よりも後ろのデータ(即ち裏面ラスタデータ)を、現在保存中のPeページ目の画像データに追加保存する。
【0085】
そして、S800で、データヘッダ81に設定されている裏面データ終了フラグが立っているか否かを判断し、立っていなければS520(図8参照)へ戻る。一方、裏面データ終了フラグが立っている場合は、今回追加保存した裏面ラスタデータが現ページ(Peページ)の最終ラインのラスタデータであるということであるため、S810にてPeページ目の画像データの保存終了処理を行い、続くS820にて現在の偶数ページ番号Peを2だけインクリメントして、S520(図8参照)へ戻る。
【0086】
次に、表面画像保存処理(図8;S580)は、図9(b)に示す、S910〜S960の処理であり、図9(a)と比較して明らかなように、S930の処理(図9(a)のS730に対応)以外は、図9(a)の両面画像保存処理におけるS710〜S760の処理と同じである。
【0087】
図9(a)の両面画像保存処理では、表・裏双方のラスタデータがあることから、S730において表/裏区切り位置よりも前のデータ(表面ラスタデータ)を追加保存するようにしたが、図9(b)の表面画像保存処理の場合、ラスタデータブロック82にあるのは表面ラスタデータだけであって裏面ラスタデータはない。そのため、この表面画像保存処理におけるS930では、S540(図8参照)で解凍した後のラスタデータ(即ち、表面ラスタデータ)を、現在保存中のPoページ目の画像データに追加保存する。
【0088】
次に、裏面画像保存処理(図8;S600)は、図9(c)に示す、S1010〜S1060の処理であり、図9(a)と比較して明らかなように、S1030の処理(図9(a)のS790に対応)以外は、図9(a)の両面画像保存処理におけるS770〜S820の処理と同じである。
【0089】
図9(c)の裏面画像保存処理の場合、ラスタデータブロック82にあるのは裏面ラスタデータだけであって表面ラスタデータはない。そのため、この裏表面画像保存処理におけるS1030では、S540(図8参照)で解凍した後のラスタデータ(即ち、裏面ラスタデータ)を、現在保存中のPeページ目の画像データに追加保存する。
【0090】
(6)第1実施形態の効果等
以上説明したように、本実施形態の画像処理システムでは、表面読取センサ31及び裏面読取センサ32の双方で同時に画像読み取りが行われる場合は、その同時に読み取られた1ライン分のラスタデータが結合されてPC2へ転送される。そのため、従来のように一方の面の画像データの出力が完了するまで他方の面の画像データを1ページ分(或いはそれ以上)メモリに記憶しておく必要はなく、画像の読み取りから出力に至る一連の処理で必要なメモリ(記憶部14)の消費量を抑えることができる。
【0091】
しかも、表・裏各面のラスタデータに個々にデータヘッダが付加されるのではなく、結合後のラスタデータに対して1つのデータヘッダ81が付加されるため、PC2へ転送されるデータ量を削減することができ、全体として短時間でPC2への画像データ転送を行うことが可能となる。
【0092】
更に、読み取られた画像のラスタデータは、そのままのデータ量でPC2に転送されるのではなく、所定の圧縮方式にて圧縮されてPC2へ転送されるため、PC2へ転送されるデータ量をより削減することができ、より短時間でPC2への画像データ転送を行うことが可能となる。
【0093】
また、表面読取センサ31又は裏面読取センサ32の何れか一方のみで画像読み取りが行われているときは、その読み取られた一方の面のラスタデータが圧縮されてPC2へ転送される。この場合、ラスタデータブロック82には、読み取りが行われていない面に対応したデータブロックは省かれ、読み取られた面に対応したデータブロックのみがラスタデータブロック82として転送されることとなる。そのため、原稿の表・裏双方の画像が読み取られたか、或いはいずれか一方の面の画像のみが読み取られたか、に応じてそれぞれ適切且つ効率良くラスタデータの処理(PC2への転送のための処理)を行うことができる。
【0094】
また、転送データには、図4(b)に示した各種情報からなるデータ情報がデータヘッダ81として付加されているため、PC2では、MFP1からの転送データに対し、データヘッダ81内の各種のデータ情報に基づいて、受信したデータを適切に処理することができる。
【0095】
具体的には、データ情報として表面データ有フラグ及び裏面データ有フラグが設定されているため、これら各フラグに基づき、表面ラスタデータ及び裏面ラスタデータの有無を適切且つ確実に判断・識別できる。
【0096】
即ち、両面スキャンの実行中、タイミングによっては、表面読取センサ31による原稿表面の読み取りのみ行われている場合、裏面読取センサ32による原稿裏面の読み取りのみ行われている場合、或いは表・裏同時に読み取られている場合があり、これらに応じて、PC2に転送されるラスタデータも、表・裏何れか一方のみ又は双方の場合がある。そのため、単にラスタデータを転送するだけだと、PC2では、受信したラスタデータが表面なのか裏面なのか、或いは両面なのかがわからない。そこで本実施形態では、データ情報として上記各フラグを設定することにより、PC2において、受信したラスタデータが表、裏、両面のいずれであるかを容易且つ確実に判断できるようにしている。
【0097】
また、データ情報として表/裏区切り位置も設定されているため、受信した転送データにおける、表面ラスタデータと裏面ラスタデータの区別(識別)を確実に行うことができる。
【0098】
特に、例えば異なるサイズの原稿が混在していることによって、表面読取センサ31と裏面読取センサ32とでそれぞれ異なるサイズの原稿が読み取られている場合などのように、表面ラスタデータと裏面ラスタデータのデータ量が異なる場合であっても、そのデータ量の相違にかかわらず、PC2では、表/裏区切り位置に基づいて両者の区別を確実に行うことができる。
【0099】
なお、本実施形態において、ADF33は本発明の搬送手段に相当し、データ情報(データヘッダ81)は本発明の識別情報に相当し、表面読取センサ31及び裏面読取センサ32はそれぞれ本発明の第1読取手段、第2読取手段に相当し、データ情報としての「表面データ有フラグ」及び「裏面データ有フラグ」はそれぞれ本発明の第1有無情報、第2有無情報に相当し、データ情報としての「表/裏区切り位置」は本発明の区切り位置を示す情報に相当する。また、各読取センサ31,32による読取タイミング毎の1ラインの読み取り動作は、本発明の出力基準読取動作に相当する。
【0100】
また、図6の読取制御処理において、S220の処理は本発明の画像データ結合手段が実行する処理に相当し、S230,S250,及びS260の処理は本発明の圧縮手段が実行する処理に相当し、S270及びS280の処理は本発明のデータ情報付加手段が実行する処理に相当し、S290の処理は本発明の出力手段が実行する処理に相当する。
【0101】
また、図8の画像データ受信制御処理において、S550,S570,及びS590の処理は本発明の画像データ判断手段が実行する処理に相当し、S560,S580,及びS600の処理は本発明の画像データ記憶手段が実行する処理に相当する。
【0102】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0103】
例えば、読み取った1ラインの画像が真白(単色)の場合は、データ情報(データヘッダ81)として、例えば「表面データ有、且つ、真白」フラグ及び「裏面データ有、且つ、真白」フラグといった情報を設定して、ラスタデータそのものは転送しないようにしてもよい。このようにすることで、読み取った画像が真白(単色)の場合は転送データ量をより削減することが可能となる。
【0104】
或いは、上記のようにあえて「表面データ有、且つ、真白」フラグや「裏面データ有、且つ、真白」フラグを設定することなく、フラグについては上記実施形態(図4(b))と同様として、読み取った画像が真白(単色)の場合は単にラスタデータをゼロとする(転送しないようにする)ようにしてもよい。このようにするだけでも、PC2では、真白(単色)の画像が読み取られたか否かを判断することができる。
【0105】
また、上記実施形態では、読取タイミング毎に(即ち1ライン毎に)、読み取ったラスタデータをPC2へ転送するようにしたが、連続した複数の読取タイミングで読み取られた複数ライン分のラスタデータを出力基準として、この出力基準毎に、複数ライン分まとめて1つの転送データとしてPC2へ転送するようにしてもよい。
【0106】
例えば、連続した3回の読取タイミングで読み取られた3ライン分のラスタデータを出力基準とする場合、PC2には、一回の転送あたり、表面のnライン目のラスタデータ、表面のn+1ライン目のラスタデータ、表面のn+2ライン目のラスタデータ、裏面のmライン目のラスタデータ、裏面のm+1ライン目のラスタデータ、及び裏面のm+2ライン目のラスタデータが、この順序で並んで結合され、圧縮されたものが、転送されることとなる。
【0107】
また、上記実施形態では、搬送されてくる原稿を検知するためのセンサとして、第1検知センサ34及び第2検知センサ35の2つを備えるようにしたが、これはあくまでも一例であり、もっと多くてもよいし、逆に1つとしてもよい。なお、検知センサを1つ設ける場合は、その1つの検知センサによって原稿の先端が検知されてからの原稿搬送量や、原稿の後端が検知されてからの原稿搬送量に基づいて、原稿の表・裏それぞれの読み取り開始・終了タイミングを判断するようにするとよい。
【0108】
また、上記実施形態では、MFP1とPC2との通信回線として、LANを用いた例を示したが、これもあくまでも一例であり、LAN以外の他の有線通信回線であってもよいし、或いは無線による通信回線であってもよく、相互にデータ通信できるものであれば何でもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、原稿の両面を読み取るにあたり、原稿の裏面から先に読み取りを開始してその後に表面の読み取りを開始するタイプのものを例に挙げて説明したが、これもあくまでも一例であり、これとは逆に、原稿の表面から先に読み取るタイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1・・・MFP、2・・・PC、11・・・制御部、12・・・スキャナ部、13・・・プリンタ部、14・・・記憶部、15・・・操作部、16,25・・・表示部、17,27・・・LAN用通信部、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・HDD、26・・・入力部、30・・・本体、31・・・表面読取センサ、32・・・裏面読取センサ、33・・・ADF、34・・・第1検知センサ、35・・・第2検知センサ、36・・・原稿有無センサ、38・・・FB用原稿台、40・・・原稿台カバー、41・・・ADF用原稿台、42・・・搬送経路、50,60,70・・・原稿、51,61,71・・・表面、52,62,72・・・裏面、81,101・・・データヘッダ、82,102・・・ラスタデータブロック、82a・・・表面データブロック、82b・・・裏面データブロック、100・・・転送データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記原稿の搬送経路に沿って設けられ、該搬送される原稿の一方の面の画像を所定の読取タイミング毎に1ラインずつ読み取る第1読取手段と、
前記搬送経路に沿って設けられ、前記搬送される原稿の他方の面の画像を前記読取タイミング毎に1ラインずつ読み取る第2読取手段と、
1又は連続した所定数の前記読取タイミングでの前記各読取手段による読み取り動作を出力基準読取動作として、該出力基準読取動作毎に、前記第1読取手段にて読み取られた画像を表す第1画像データと前記第2読取手段にて読み取られた画像を表す第2画像データとを結合する画像データ結合手段と、
前記画像データ結合手段により結合された画像データである出力対象画像データに対し、該出力対象画像データに関する情報であるデータ情報を付加するデータ情報付加手段と、
前記データ情報付加手段により前記データ情報が付加された前記出力対象画像データを、通信回線を介して通信可能な情報処理装置へ出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記出力基準読取動作において読み取られた画像が前記原稿の前記一方の面又は前記他方の面の何れか一方の画像のみであった場合、前記画像データ結合手段は、前記結合を行わず、前記データ情報付加手段は、該読み取られた画像の画像データを出力対象画像データとして、該出力対象画像データに対して前記データ情報を付加する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記データ情報として、少なくとも、前記出力対象画像データにおける前記第1画像データと前記第2画像データの識別に必要な識別情報を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記識別情報には、前記出力対象画像データに前記第1画像データが含まれているか否かを示す第1有無情報、及び前記出力対象画像データに前記第2画像データが含まれているか否かを示す第2有無情報、の少なくとも何れか一方が含まれる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の画像読取装置であって、
前記識別情報には、前記出力対象画像データにおける前記第1画像データと前記第2画像データの区切り位置を示す情報が含まれる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像読取装置であって、
前記出力対象画像データを圧縮する圧縮手段を備え、
前記データ情報付加手段は、前記圧縮手段により圧縮された前記出力対象画像データに対して、前記データ情報を付加する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
原稿の両面の画像を所定の読取タイミング毎に同時に読み取り可能な画像読取装置から入力される、前記原稿の一方の面の画像データ若しくは他方の面の画像データ又は双方の面の画像データが結合されてなる一つの画像データに該画像データに関する情報であるデータ情報が付加された入力データを、コンピュータにて処理するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記入力データに含まれる前記データ情報に基づき、該入力データに前記原稿の何れの面の画像データが含まれているか判断する画像データ判断手段、
前記画像データ判断手段による判断結果に従い、前記入力データに含まれている前記画像データを前記原稿の面毎に区別して記憶する画像データ記憶手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−77875(P2011−77875A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227857(P2009−227857)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】