説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】原稿読取開始後にユーザの手を煩わせることなく、原稿の画像に応じた読取処理を行う。
【解決手段】自動選択スキャン処理の開始操作を受け付ける受付部(S15)と、自動選択スキャン処理の開始操作が受け付けられた場合、最初に読み取りが行われる原稿の第2面を第1読取条件で両面読取部50に読み取らせる第1制御部(S61、S81)と、読み取った前記第2面の画像に裏写りする前記第1面の画像を解析することにより、前記第1面の画像の種類を判別する解析処理を行う解析部(S65、S85)と、前記解析部により判別された画像の種類に対応した第2読取条件で原稿の前記第1面を前記両面読取部に読み取らせる第2制御部(S71、S91)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、画像読取部にて読み取った画像を1枚ずつ解析して画像の種類(カラー画像、モノクロ画像、文書画像)を判別し、ページ毎の印刷条件の候補を、ユーザに提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−002462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のものは、画像の種類に応じた印刷方法で印刷できるというメリットがある。しかし、印刷方法の選択は、ユーザに任せられているから、ユーザの手を煩わせることになりかねず、使い勝手が悪い。このような問題は、原稿を読み取る場合にも起こる。すなわち、原稿の読み取りは、原稿の種類に応じた読取条件で行うことが好ましい。例えば、原稿がカラー画像であればカラーで読み取るようにし、モノクロ画像であれば、モノクロで読み取るようにすることが好ましい。しかし、読取条件をユーザに選択させるようにすると、ユーザの手を煩わせることになりかねず、使い勝手が悪い。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、原稿読取開始後にユーザの手を煩わせることなく、原稿の画像の種類に応じた読取処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される第1の画像読取装置は、原稿を読取位置へ搬送する原稿搬送部と、前記読取位置に搬送された原稿に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の画像を読み取る動作を、原稿の第2面と第1面に対して順番に行って原稿の両面の画像を読み取る両面読取部と、画像の種類に応じた読み取り条件を自動選択して原稿の前記第1面の画像を読み取る自動選択スキャン処理の開始操作を受け付ける受付部と、前記自動選択スキャン処理の開始操作が受け付けられた場合、最初に読み取りが行われる原稿の前記第2面を、解析処理用として設定された第1読取条件で、前記両面読取部に読み取らせる第1制御部と、前記第1読取条件で読み取った前記第2面の画像に裏写りする前記第1面の画像を解析することにより、前記第1面の画像の種類を判別する解析処理を行う解析部と、前記解析部により判別された画像の種類に対応した第2読取条件で、原稿の前記第1面を前記両面読取部に読み取らせる第2制御部とを備えた構成である。この構成では、原稿の第2面を第1読取条件で読み取って、得られた画像(具体的には、第2面に透けて裏写りする第1面の画像)から第一面の画像の種類を判別するようにしている。そのため、原稿の第1面を、画像の種類に応じた第2読取条件で読み取ることが可能となる。しかも、第2読取条件は自動選択されるので、ユーザの手を煩わすことがない。
【0007】
また、上記第1の画像読取装置において、前記自動選択スキャン処理と、前記読み取り条件をユーザの入力操作により設定する通常スキャン処理とを選択させる選択部を備え、前記自動選択スキャン処理の選択後、前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記第1制御部は、前記第1読取条件として、前記両面読取部に設けられた光源から原稿に向けて照射される光の光量を、前記通常スキャン処理時の光量より大きく設定してもよい。
【0008】
また、上記第1の画像読取装置において、前記自動選択スキャン処理と、前記読み取り条件をユーザの入力操作により設定する通常スキャン処理とを選択させる選択部を備え、前記自動選択スキャン処理の選択後、前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記第1制御部は、前記自動選択スキャン処理が選択された場合、前記第1読取条件として、前記両面読取部による原稿の読取速度を、前記通常スキャン処理時の読取速度より遅くしてもよい。
【0009】
また、上記第1の画像読取装置において、前記両面読取部は前記読取位置にて原稿の画像を読み取る読取部と、読み取り後の原稿を反転させて前記読取位置に送り返す反転部とを備えた構成としてもよい。
【0010】
また、前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記原稿搬送部に対して原稿を裏返した状態でセットする旨のメッセージを表示する表示部を備える構成としてもよい。
【0011】
また、上記第1の画像読取装置において、前記両面読取部は、第2読取位置にて前記原稿の第2面の画像を読み取る第2読取部と、前記第2読取位置より下流側に設けられた第1読取位置にて前記原稿の第1面の画像を読み取る構成としてもよい。
【0012】
本明細書によって開示される第2の画像読取装置は、第2読取位置と第1読取位置を順に通る搬送路に沿って原稿を搬送する原稿搬送部と、前記第2読取位置に搬送された原稿の第2面に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の前記第2面の画像を読み取る第2読取部と、前記第1読取位置に搬送された原稿の第1面に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の前記第1面の画像を読み取る第1読取部とを備えた両面読取部と、原稿の前記第2面を、解析処理用として設定された第1読取条件で、前記両面読取部の前記第2読取部に読み取らせる第1制御部と、前記第1読取条件で読み取らせた前記第2面の画像に裏写りする前記第1面の画像を解析することにより、前記第1面の画像の種類を判別する解析処理を行う解析部と、前記解析部により判別された画像の種類に対応した第2読取条件で、原稿の前記第1面を前記両面読取部の第1読取部に読み取らせる第2制御部とを備えた構成である。この構成では、原稿の第2面を第1読取条件で読み取って、得られた画像(具体的には、第2面の画像に裏写りする第1面の画像)から第一面の画像の種類を判別するようにしている。そのため、原稿の第1面を、画像の種類に応じた第2読取条件で読み取ることが可能となる。しかも、第2読取条件は自動選択されるので、ユーザの手を煩わすことがない。
【0013】
また、上記第2の画像読取装置において、前記第1読取条件で読み取らせた解析処理用の画像データが、前記第2面に前記第1面の画像が裏写りした画像データのみであるか否かを判定する判定部を備え、前記判定部により、前記解析処理用の画像データは裏写りした画像データのみであると判定された場合、前記解析部は前記解析処理を行い、
前記判定部により、前記解析処理用の画像データは裏写りした画像データのみでないと判定された場合、前記第2制御部はユーザの入力操作により設定された読取条件で、前記両面読取部の第1読取部に前記原稿の第1面を読み取らせる。
【0014】
また、上記第2の画像読取装置において、前記判定部は、前記解析処理用の画像データの最高濃度が基準値未満である場合に、前記裏写りした画像データであると判定するようにしてもよい。
【0015】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記第2制御部は前記解析部による解析結果に関係なく、原稿の前記第1面の画像を読み取る時に、前記両面読取部に設けられた光源から原稿に向けて照射する光の光量を、原稿の前記第2面を読み取る時の光量より下げるようにしてもよい。
【0016】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記第2制御部は前記解析部による解析結果に関係なく、原稿の前記第1面の画像を読み取る時の読取速度を、原稿の前記第2面の画像を読み取る時の読取速度より速くしてもよい。
【0017】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記解析部は、前記解析処理用の画像データに対して、濃度の低い領域について、濃度を高くする濃度補正処理を行い、前記濃度補正処理後の画像データを対象に前記解析処理を行うようにしてもよい。
【0018】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記解析処理中、前記解析処理用の画像データを一時記憶するメモリと、前記解析部による解析処理の終了後、前記解析処理用の画像データを前記メモリから消去する画像データ消去部とを備えるようにしてもよい。
【0019】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記第1制御部は、前記解析処理用の画像データが読み取れた場合には、前記原稿の第2面のうち、残るラインの画像データは読み取らないように前記両面読取部を制御するようにしてもよい。
【0020】
また、上記第1又は第2の画像読取装置において、前記第1読取条件はカラー読み取りであり、前記第2制御部は、前記解析処理の結果、前記第2面に裏写りした前記第1面の画像がカラー画像であった場合には、原稿の前記第1面を前記両面読取部にカラー読み取りさせ、前記解析処理の結果、前記第2面に裏写りした前記第1面の画像がモノクロ画像であった場合には、原稿の前記第1面を前記両面読取部にモノクロ読み取りさせるようにしてもよい。
【0021】
また、本明細書によって開示される画像形成装置は、第1又は第2の画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取った画像を被記録媒体に形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原稿読取開始後にユーザの手を煩わせることなく、原稿の画像の種類に応じた読取処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1において複合機の電気的構成を示すブロック図
【図2】画像読取ユニットの断面図
【図3】画像読取ユニットの電気的構成を示すブロック図
【図4】原稿を示す図
【図5】表面の画像が裏面に裏写りした状態を示す図
【図6】読取条件の設定内容をまとめた図表
【図7】画像読取シーケンスのフローチャート図
【図8】選択画面の表示内容を示す図
【図9】案内画面の表示内容を示す図
【図10】(a)裏写り除去処理にて適用される濃度変換曲線を示す図 (b)裏写り促進処理にて適用される濃度変換曲線を示す図
【図11】解析処理1、2のフローチャート図
【図12】(a)カラー画像のヒストグラムとモノクロ画像のヒストグラムを示す図 (b)文書画像のヒストグラムを示す図
【図13】実施形態2において、原稿トレイに対する原稿のセット方法を説明する図
【図14】画像読取シーケンスのフローチャート図
【図15】実施形態3における、画像読取ユニットの断面図
【図16】画像読取ユニットの電気的構成を示すブロック図
【図17】画像読取シーケンスのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図13によって説明する。また、本明細書を通じて読み取りとスキャンは同じ意味とする。
(1)複合機1の構成
図1はプリント機能、スキャン機能、及びコピー機能を備える複合機1の電気的構成を示す模式図である。複合機(本発明の「画像読取装置」、「画像形成装置」の一例)1は、制御部11、画像読取ユニット13、印刷ユニット(本発明の「画像形成部」の一例)15及び通信部17を備えて構成されている。
【0025】
制御部11はCPU11a、ROM11b、及びRAM11cを備えている。CPU11aはROM11bに記憶されている各種のプログラムを実行することによって複合機1の各部を制御する。ROM11bはCPU11aが実行する各種のプログラムなどを記憶している。RAM11cはCPU11aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。また、RAM11cには、画像読取ユニット13にて読み取った原稿の画像データが記憶される。
【0026】
画像読取ユニット13はCIS50と、スイッチバック路40を含んだADF(Auto Document Feeder)34を備えており、スイッチバック方式で原稿の両面を読み取り可能となっている(図2参照)。尚、画像読取ユニット13の構成については後述する。
【0027】
印刷ユニット15は、例えば、画像読取ユニット13にて読み取った画像データに基づいて紙などの被記録媒体にCMYK4色の色材(トナー、インクなど)を用いて電子写真方式、インクジェット方式などで画像を形成(印刷)する装置である。
【0028】
(2)画像読取ユニット13の構成
図2は、画像読取ユニット13の断面図である。画像読取ユニット13の筐体30(図中では一部のみを図示)は概ね箱形に形成されており、上部に第1プラテンガラス31と第2プラテンガラス32とが並設されている。原稿カバー33は、第1プラテンガラス31を覆う閉姿勢と第1プラテンガラス31を開放する開姿勢とに回動可能に筐体30に連結されている。原稿カバー33には、ADF(Auto Document Feeder)34、原稿トレイ35、排紙トレイ36などが設けられている。
【0029】
ADF34(搬送手段の一例)は給紙ローラ37、複数のローラ対38a、38b、38c、これらを駆動するADFモータ66(図3参照)、搬送路39、スイッチバック路40、フラッパ41、原稿センサ42、ジャムセンサ43などを有しており、原稿トレイ35に載置された原稿を給紙ローラ37により一番上から順に一枚ずつ搬送する。
【0030】
CIS(Contact Image Sensor)50は、複数の受光素子が、図2において紙面に垂直する方向(主走査方向)に直線状に配列されたイメージセンサ51、RGB3色の発光ダイオードなどで構成される光源52、原稿で反射された反射光をイメージセンサ51の各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ53、これらが搭載されるキャリッジ54などで構成されている。尚、主走査方向とは図4のX方向である。
【0031】
画像読取ユニット13は、第1プラテンガラス31にセットされた原稿を読み取るときはFBモータ64(図3参照)によってCIS50を第1プラテンガラス31に平行な副走査方向(図2中のA方向)に搬送しながら原稿を1ラインずつ読み取る。一方、ADF34によって搬送される原稿を読み取るときは、画像読取ユニット13はFBモータ64によってCIS50を第2プラテンガラス32の直下に移動させ、第2プラテンガラス32上の読取位置Pを通過する原稿を、イメージセンサ51によって1ラインずつ読み取る。
【0032】
ADF34は、原稿の一方の面がCIS50に読み取られた後に原稿を反転させて他方の面がCIS50に読み取られるように搬送することができる。具体的には、給紙ローラ37によって搬送路39に送り出された原稿の後端がローラ対38cに狭持されると、ローラ対38cが逆回転することによって原稿がスイッチバックされる。図2ではフラッパ41が原稿に押されて反時計回りに回動した状態を示しており、そのため搬送路39が解放されているが、搬送路39に原稿がない状態ではフラッパ41は搬送路39を閉塞する姿勢となる。スイッチバックされた原稿は搬送路39を閉塞するフラッパ41に案内されてスイッチバック路40に送り出され、裏返した状態で後端側から再び搬送路39に送り出される。これにより裏面が読み取られる。
【0033】
原稿センサ42は、原稿トレイ35上の原稿の有無を検知し、原稿の有無に応じた出力信号を出力するセンサである。原稿センサ42としては、原稿トレイ35上の原稿に押されて物理的にONになるセンサや、原稿を光学的に検知する光電センサなどを用いることができる。また、ジャムセンサ43は、ADF34の内部に設けられ、搬送路39内の原稿の有無を検知し、原稿の有無に応じた出力信号を出力するセンサである。
【0034】
尚、CIS50が本発明の「読取部」に対応する。また、ローラ対38c、フラッパ41、スイッチバック路40が本発明の「反転部」に対応する。また、ADF34のうちの各ローラ37、38とそれを駆動するADFモータ66が本発明の「原稿搬送部」に対応する。
【0035】
図3は、画像読取ユニット13の電気的構成を示すブロック図である。画像読取ユニット13は、ASIC60、FBモータ64、FBモータ駆動回路65、ADFモータ66、ADFモータ駆動回路67、CIS50、光源制御回路68、AFE69、原稿センサ42、ジャムセンサ43、操作部70などを備えて構成されている。
【0036】
ASIC60には、FBモータ駆動回路65、ADFモータ駆動回路67、光源制御回路68、AFE69、操作部70等が接続されている。ASIC60はCPU11aの制御の下でこれらを制御するとともに、AFE69から出力された出力値(画素値)にガンマ補正やシェーディング補正、その他各種の画像処理を施して画素毎にRGB3つの画素値を持つ画像データを生成する。そして、生成された画像データは、RAM11cに記憶される。
【0037】
AFE69(Analog Front End)は、イメージセンサ51から出力されるアナログの出力値(電圧)をデジタルの出力値(画素値)に変換する回路である。
【0038】
操作部70は、表示部71(Liquid Crystal Display)などの表示部71や各種のボタンなどを備えて構成されている。ユーザは操作部70を操作することによって次に説明する読取条件の設定や、スキャン処理の選択など各種の操作を行うことができる。
【0039】
(3)CIS50の読取条件
CIS50には設定機能としてモード、解像度、読取光量Q、読取速度Vの4つがある。具体的に説明すると、モードには、RGB3色の光源52を照射して原稿をカラーで読み取るカラーモードと、RGB3色のうち特定の光源52だけを照射して原稿をモノクロで読みるモノクロモードの2パターンがある。尚、モードの切り換えは、光源制御回路69により各光源52の点滅を制御することで実行可能である。
【0040】
また、解像度には原稿を600dpiの高解像度で読み取るパターンと、300dpiの低解像度で読み取るパターンがある。尚、解像度を切り換えるには、例えば、AFE69の変換周期(イメージセンサ51から出力されるアナログの出力値をデジタルの出力値に変換する周期)を変更してやればよい。
【0041】
読取光量(光源の明るさ)にはQ1、Q2の2パターンがある。読取光量Q1は、原稿面たる表面に形成された画像(裏写りを除く)の読み取りに適した光量である。一方、読取光量Q2は、Q1よりも光量が高く設定されている。このように、光量の高い読取光量Q2をわざわざ設けてあるのは、原稿に対して強い光を当てることで、後述する裏写りをし易くするためである。尚、読取光量Qの切り換えるには、例えば、光源制御回路69により光源を駆動する際の電流値や電圧値を切り換えてやればよい。
【0042】
また、読取速度(スキャンする際のCIS50と原稿の相対速度)Vには、V1〜V5の5段階が設定されている。具体的に説明すると、モノクロモードかつ300dpiの場合が「V1」、モノクロモードかつ600dpiの場合が「V2」、カラーモードかつ300dpiの場合が「V3」、カラーモードかつ600dpiの場合が「V4」であり、V1からV4の順に読み取り速度は小さくなる(遅くなる)。また、読取速度V5は読取速度V4より更に速度が小さい(遅い)。このように、読取速度V4より遅い読取速度V5をわざわざ設けてあるのは、原稿に対して光を長時間当てることで、裏写りをし易くするためである。尚、読取速度Vを制御するには、駆動回路67により原稿の搬送速度を制御すればよい。これは、スキャン中CIS50は静止したままであるため、読取速度Vは、ADF34による原稿の搬送速度となるからである。
【0043】
そして、本実施形態では、CIS50の読取条件の設定パターンについて、図6に示すように通常読取条件と、第1読取条件と、第2読取条件の3つのパターンが設定されている。
【0044】
通常読取条件では、モードと解像度は、ユーザ操作による選択可能である。一般的にモードと解像度は、「モノクロ」と「300dpi」の低解像度に設定されている場合が多い。従って、この実施例でも、そのように設定されているものとする。また、通常読取条件では、読取光量は「Q1」の固定値に設定され、読取速度は「Va」に設定される。尚、読取速度「Va」とはV1〜V4の中から、ユーザの設定するモード、解像度に応じて、それに対応した読取速度Vが選択されることを意図する。この通常読取条件は、後述する両面スキャン処理、片面スキャン処理が選択された場合において、原稿読み取り時に適用される読み取り条件である。
【0045】
次に、第1読取条件では、モードは「カラー」に設定され、また解像度は「600dpi」の高解像度に設定される。そして、読取光量は「Q2」の固定値に設定され、読取速度は「V5」の固定値に設定される。この第1読取条件は、後述する自動選択スキャン処理が選択された場合において、原稿の裏面を読み取る時(解析用の画像を取得する時)に適用される読み取り条件である。
【0046】
次に、第2読取条件では、モードと解像度は「解析結果に応じて(詳細は後に詳しく説明する)」設定される。また、読取光量は「Q1」の固定値に設定され、読取速度は「Vb」に設定される。尚、読取速度「Vb」とはV1〜V4の中から、解析結果に応じて決定されるモード、解像度に応じて、それに対応した読取速度Vが選択されることを意図する。この第2読取条件は、後述する自動選択スキャン処理が選択された場合において、原稿の表面を読み取る時に適用される読み取り条件である。尚、原稿の表面が本発明の「第1面」に相当し、原稿の裏面が本発明の「第2面」に相当する。
【0047】
(4)画像読取シーケンス
本実施形態の複合機1には、大別すると次の3パターンのスキャン処理が設定されていて、ユーザの選択により、いずれか一のスキャン処理を選択できる。
(a)両面スキャン処理(本発明の「通常スキャン処理」の一例)
(b)片面スキャン処理(本発明の「通常スキャン処理」の一例)
(c)片面原稿の自動選択スキャン処理
【0048】
自動選択スキャン処理とは、原稿表面の画像を読み取る前に、原稿表面の画像の種類を事前判別し、得られた判別結果に基づいて原稿表面の画像の種類に適した読取条件を自動選択し、自動選択した読取条件で原稿表面の画像を読み取る処理である。尚、この実施例では、原稿表面の画像の種類として、カラー画像(例えば、図4中央の原稿)、モノクロ画像(例えば、図4の右側の原稿)の色判別と、原稿表面の画像が文書画像(例えば、図4の左側の原稿)であるかの判別を行うこととしている。
【0049】
そして、この実施形態では、原稿表面の画像の種類を、裏写り画像Zを用いて判別するようにしている。裏写り画像Zとは原稿の一方側の面に逆側の面の画像が透けて写る画像であり、図5では画像の形成されていない裏面に対して表面の画像が裏写りした状態を示してある。
【0050】
以下、図7を参照して、画像読取シーケンス(上記スキャン処理を選択実行させるシーケンス)について詳細を説明する。画像読取シーケンスは複合機1の起動に伴って実行され、S10ではスキャン処理の選択操作を受け付ける待機状態となる。
【0051】
この例では、CPU11aの制御により、操作部70の表示部71に、図8に示す選択画面1が表示されるようになっており、ユーザは操作部70を通じて選択画面上に表示された(a)〜(c)の3つのスキャン処理の中から一のスキャン処理を選択できる。そして、ユーザにより操作部70が操作されると、操作部70から操作に対応した選択信号が出力され、その信号をCPU11aが受信する。これにて、(a)〜(c)の3つのスキャン処理のうち一のスキャン処理が、CPU11aにより受け付けられる。ここでは、(a)両面スキャン処理が選択されたものとして、それ以降の説明を行う。尚、CPU11aにて実行されるS10の処理にて本発明の「選択部」の果たす機能が実現されている。
【0052】
<両面スキャン処理の場合>
S10にて両面スキャン処理の選択をCPU11aが受け付けると、次にS15に移行する。S15では、操作部70の表示部71に、図9に示す案内画面1が表示される。S10で両面スキャン処理が選択された場合には、案内画面として、「表面を上にして原稿をセットし、スタートキーを押してください」のメッセージが表示される。
【0053】
また、メッセージの表示と並行して、CIS50が第2プラテンガラス32の下になければ、FBモータ64を駆動して、CIS50を第2プラテンガラス32の直下に移動させる処理が行われる。
【0054】
その後、原稿トレイ35に対して原稿が表面を上に向けてセットされ、操作部70に設けられたスタートキーがユーザによって操作されると、操作部70からキー操作に対応した信号が出力され、CPU11aにより受信される。これにて、制御部11のCPU11aは、スタートキーの入力操作を受け付ける。尚、CPU11aにて実行されるS15の処理にて本発明の「受付部」の果たす機能が実現されている。
【0055】
その後、処理はS20に移行する。S20では、CPU11aにより、選択されたスキャン処理が自動選択スキャン処理かどうか判定される。ここでは、両面スキャン処理が選択されているから、S20ではNO判定される。
【0056】
S20でNO判定された場合にはS30に移行する。S30では、制御部11のCPU11aによりADF34を駆動させる処理が開始される。これにより、原稿トレイ35上にセットされた一枚目の原稿が、表面を上に向けた状態で、搬送路39に送りだされる。
【0057】
上記のように原稿の搬送が開始されると、処理はS31に移行する。S31では、CIS50の読取条件が、通常読取条件に設定される。これはCPU11aにより設定される。これにより、CIS50のモードは「モノクロ」に設定される。また、解像度は「300dpi」に設定される。また、読取光量は「Q1」に設定され、読取速度は「Va(具体的にはV1)」に設定される。
【0058】
尚、両面スキャン処理(他のスキャン処理も同様)では、スキャン中CIS50は静止したままであるため、読取速度VaはADF34による原稿の搬送速度となる。この実施形態では、S30にてADF34を駆動させる時に読取速度Vaを設定しており、読み取り対象の原稿を、搬送開始時から搬送速度(読取速度)Vaにて送る設定としてある。そして、設定された通常読取条件を適用して、CPU11aにより制御されたCIS50により、原稿表面の読み取りが行われる。
【0059】
具体的には、ADF34により送りだされた原稿は、搬送路39に沿って送られてゆき、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。そして、CPU11aは、原稿が読取位置Pを通過する時に、CIS50に原稿表面の画像を1ライン読み取らせる。尚、ここで言う1ラインとは、主走査方向に延びるラインLを意味する。
【0060】
続く、S33ではCPU11aにより裏写り除去処理が行われる。この裏写り除去処理では、CIS50によって読み取られた画像を濃度変換する処理が行われる。具体的には、図10の(a)に示す変換曲線U1を用いて濃度変換を行う。変換曲線U1は、領域Aでは、領域Bに比べて曲線の傾きが大きくなっており、領域Bの濃度となる画像はほぼそのままの濃度で濃度変換されるが、領域Aの濃度となる画像は、濃度が極めて低く変換される。従って、この変換曲線U1を用いて濃度変換を行うことにより、領域Aについてその濃度を更に低く出来る。ここで、上述したように、裏写り画像Zは、原稿の一方側の面に対して逆側の面の画像が透けて写る画像であるので、一方側の面に形成された画像に比べて濃度が低くなる傾向がある。よって、一方側の面(ここでは表面)の画像の濃度分布に対応して領域Bを設定し、裏写り画像Zの濃度分布に対応して領域Aを設定すれば、読み取られた画像から裏写りを除去しつつ、原稿表面の画像の再現性を維持できる。尚、この裏写り除去処理は、CPU11aの指令によりASIC60が行う。
【0061】
その後S35では原稿表面のスキャンが終了したか(全ラインをスキャンしたか)、CPU11aにより判定される。原稿表面のスキャンが途中の場合にはS35でNO判定され、S31に戻り、CIS50が原稿を再スキャンする。この間、一枚目の原稿は搬送路39に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、次のラインが読み取られることになる。その後、S33で読み取った画像に対して裏写り除去処理を行い、再度S35で判定を行う。このような処理が繰り返されることにより、原稿の読み取りが進む。
【0062】
そして、全ラインのスキャンが完了するとS35でYES判定される。その後、処理はS37に移行する。S37では、選択中のスキャン処理が両面スキャン処理かどうかがCPU11aにより判定される。ここでは、両面スキャン処理が選択されているから、S37ではYES判定される。
【0063】
S37にてYES判定されると、次にS39に移行する。S39では表面を読み取った原稿を反転させる処理が実行される。すなわち、原稿の後端が搬送路39を通過する直前の時点で、ローラ対38cを逆回転させる。すると、原稿は搬送路39を閉塞するフラッパ41に案内されてスイッチバック路40に送り出され、裏返した状態で後端側から再び搬送路39に送り出される。
【0064】
かくして、原稿が搬送路39に送り返されると、次にS41の処理が実行される。S41では、CPU11aにより制御されたCIS50により、裏面の読み取りが、表面の読み取りと同様に通常読取条件を適用して行われる。具体的には、搬送路39に送り返された原稿は、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。そして、CPU11aは、送り返された原稿が読取位置を通過する時に、CIS50に裏面の画像を1ライン読み取らせる。
【0065】
続く、S43ではCPU11aにより、裏写り除去処理(S33と同様の処理)が行われる。その後S45では裏面のスキャンが終了したか(全ラインをスキャンしたか)、CPU11aにより判定される。裏面のスキャンが途中の場合には、S45でNO判定され、S41に戻り、CIS50が原稿を再スキャンする。これにより、次のラインが読み取られる。その後、S43で読み取った画像に対して裏写り除去処理を行い、再度S45で判定を行う。
【0066】
そして、裏面のスキャンが完了するとS45でYES判定される。そして、両面読み取り済みの一枚目の原稿は、ローラ対38cを介して、排紙トレイ36上に排出される。
【0067】
その後、CPU11aは、原稿センサ42の出力に基づいて、原稿トレイ35上に次の原稿があるか判定する(S47)。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスはその時点で終了する。一方、次の原稿がある場合には、2枚目の原稿の搬送が開始される。一方、画像読取シーケンスは、S31に戻り、2枚目の原稿を読み取る処理が開始される。このような処理が繰り返され、全ての原稿について両面の読み取りが完了すると、S47にてYES判定され、画像読取シーケンスは終了する。
【0068】
<片面スキャン処理の場合>
次に、S10の選択処理で、図8に示す選択画面上に表示された(a)〜(c)の3つのスキャン処理の中から、(b)片面スキャン処理が選択された場合の説明を行う。
【0069】
片面スキャン処理が選択された場合の処理は、両面スキャン処理が選択された場合と、概ね同じように処理が進む。具体的には、S10〜S30の処理が両面スキャン処理の場合と同じように行われ、S30でADF34が駆動して、原稿トレイ35から原稿が送りだされ、その後、CIS50により、原稿表面の読み取りが通常読取条件を適用して行われる(S31〜S35)。
【0070】
そして、両面スキャン処理の場合には、原稿表面の読み取りが完了すると、S37の判定処理でYES判定された。そして、裏面を読み取る処理(S39〜S45)を行った。これに対し、片面スキャン処理の場合には、S37の判定処理でNO判定されるので、裏面を読み取る処理(S39〜S45)は実行されず、S37の判定処理に続いてS47の処理に移行し、次の原稿の有無が判定される。
【0071】
そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスはその時点で終了する。一方、次の原稿がある場合には、処理はS31に戻り、1枚目と同様に手順で、2枚目の原稿を読み取る処理が行われる。そして、全ての原稿について両面の読み取りが完了すると、S47にてYES判定され、画像読取シーケンスは終了する。
【0072】
<自動選択スキャン処理(全解析)の場合>
次に、S10の選択処理で、図8に示す選択画面上に表示された(a)〜(c)の3つのスキャン処理の中から(c)自動選択スキャン処理が選択された場合の説明を行う。
【0073】
図8に示す選択画面1上で自動選択スキャン処理が選択されると、操作部70の表示部71の表示が切り換り、選択画面2が表示されるようになっている。選択画面2には、(c1)全解析と、(c2)フロントページ解析の2つの解析パターンが表示される。
【0074】
尚、全解析とは、スキャンする全ての原稿について画像の種類を判別するものであり、フロントページ解析とは、フロントページのみ原稿の画像の種類を判別するものである。このように、本複合機1には2つの解析パターンが設けられている。
【0075】
ユーザは操作部70を通じて選択画面上に表示された2つの解析パターンの中からどちらかの解析パターンを選択できる。ここでは、(c1)全解析が選択されたものとして、それ以降の説明を行う。
【0076】
S10に続くS15では、CPU11aの制御により、操作部70の表示部71に図9に示す案内画面2が表示される。S10のスキャン選択処理で全解析が選択された場合には、「原稿全体を裏返してセットし、スタートキーを押してください」のメッセージが表示される。
【0077】
その後、原稿トレイ35に全体を裏返した状態で原稿がセットされ、操作部70に設けられたスタートキーがユーザに操作されると、操作部70からキー操作に対応した信号が出力され、CPU11aにより受信される。これにて、制御部11のCPU11aは、スタートキーの入力操作を受け付ける。尚、CPU11aにて実行されるS15の処理にて本発明の「受付部」の果たす機能が実現されている。
【0078】
その後、処理はS20に移行する。S20では、CPU11aにより、選択されたスキャン処理が自動選択スキャン処理かどうか判定される。ここでは、自動選択スキャン処理が選択されているから、S20ではYES判定される。
【0079】
S20でYES判定された場合にはS50に移行する。S50では、CPU11aにより、選択中の解析処理が「全解析」かどうか判定される。ここでは、全解析が選択されているから、S50ではYES判定される。その後、処理はS60に移行する。
【0080】
S60では、制御部11のCPU11aによりADF34を駆動させる処理が開始される。これにより、原稿トレイ35上にセットされた一枚目の原稿が、裏面を上に向けた状態で、搬送路39に送りだされる。
【0081】
上記のように原稿の搬送が開始されると、処理はS61に移行する。S61では、CPU11aにより、CIS50の読取条件が第1読取条件に設定される。これにより、CIS50のモードは「カラー」に設定される。また、解像度は「600dpi」に設定される。また、読取光量は「Q2」に設定され、読取速度は「V5」に設定される。
【0082】
そして、設定された第1読取条件を適用して、CPU11aにより制御されたCIS50により、裏面の読み取りが行われる。具体的には、ADF34により送りだされた原稿は、搬送路39に沿って送られてゆき、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。
【0083】
そして、CPU11aは原稿が読取位置Pを通過する時に、CIS50に裏面の画像を1ライン読み取らせる。より詳しく言えば、CPU11aはASIC60を介して駆動回路67、光源制御回路68やAFE69を制御することにより、解析処理用として設定された第1読取条件で、CIS50に裏面の画像を1ライン読み取らせる。CPU11aにより実行されるS61の処理により、本発明の「第1制御部」の機能が実現されている。
【0084】
尚、自動選択スキャン処理の対象原稿は片面であり、裏面に画像はない。しかし、CIS50で裏面を読み取ると、表面に形成された画像が逆側の裏面に透けて写り込んだ裏写り画像Z(図5に示す画像)を読み取ることが出来る。
【0085】
特に第1読取条件は、読取光量「Q」が通常読取条件の読取光量「Q1」に比べて大きな値「Q2」に設定してある。また、読取速度「V」が、通常読取条件の読取速度「Va」より遅い「V5」に設定してある。従って、通常読取条件の読取光量「Q1」、読取速度「Va」を適用して原稿を読み取る場合に比べて、光源として強い光が原稿に対して長い時間照射される。そのため、第1読取条件を適用した場合には、通常読取条件を適用した場合に比べて、読み取る際に原稿が透け易くなり、裏写り画像Zを鮮明に読み取ることが出来る。
【0086】
そして、S61に続くS65では、裏写り画像Zに基づいて、表面に形成された画像の種類を解析する解析処理1が、CPU11aにより実行される。S65の解析処理1は、図11に示すようにサブルーチンとなっており、S100〜S125の処理から構成されている。また、ここでは、解析対象の原稿画像はカラー画像であって、文書画像ではないものとして説明を行う。
【0087】
解析処理1では、まず、S100にて解析に必要なライン数(例えば、3ライン)の画像データが読み取れたか判定される。原稿の読み取りの開始直後は図5に示すように、CIS50の読み取りラインL上に裏写り画像が存在しない(図5中のラインL1)。そのため、画像データ自体を読み取ることが出来ず、S100ではNO判定されることとなる。
【0088】
S101でNO判定された場合、S120に移行する。S120では、裏面のスキャン(全ラインのスキャン)が終了したか、判定される。裏面のスキャンが終了していなければ、S120でNO判定される。この場合、処理はS61に戻ることになる。そして、S61では第1読取条件を適用し、CIS50が原稿を再スキャンする。この間、原稿は搬送路39に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、次のラインが読み取られることになる。
【0089】
その後、処理はS65に戻るので、図11の解析処理(サブルーチン)が読み出され、再度S100にて、解析に必要なライン分の画像データが、取得されたか判定される。このような処理を繰り返すことで、CIS50による裏面の読み取りが進められる。
【0090】
そして、読み取りラインLが裏写り画像に対して重なる位置に達すると(図5中のL2)、CIS50により裏写り画像が読み取られる。そして、読み取ったラインLの数が解析に必要なライン数(例えば、3ライン)に達すると、S100でYES判定され、処理はS101に移行する。
【0091】
尚、S100でYES判定されると、CPU11aは、原稿裏面のうち、残るラインの画像データは読み取らないようにCIS50を制御する。すなわちS100でYES判定された時点で、CIS50による原稿裏面の読み取りは終了し、未スキャンのラインがあっても、そのラインはスキャンされない。このようにすれば、無駄な読み取りをしなくて済み、また、画像データ取得後は原稿の搬送速度を上げることが可能であり、結果として、1枚の原稿を読み取るのに必要な時間を短くできる。
【0092】
さて、S101では、裏写り促進処理が実行される。裏写り促進処理はCIS50によって読み取られた画像を、図10の(b)に示す変換曲線U2を用いて濃度変換する処理となっている。変換曲線U2は、濃度をそのままの濃度で変換する傾きを持つ領域Bと、領域Bに比べて曲線の傾きが緩い領域Aとから構成されており、領域Aの濃度となる画像は、濃度が高く変換される。従って、この変換曲線U2を用いて濃度変換を行うことにより、領域Aについてその濃度を高く出来る。ここで、上述したように、裏写り画像Zは、原稿の一方側の面に対して逆側の面の画像が透けて写る画像であるので、一方側の面に形成された画像に比べて濃度が低くなる傾向がある。よって、裏写り画像Zの濃度分布に対応して領域Aを設定すれば、裏写り画像Zの濃度を高くすることが可能となる。このように裏写り画像Zの濃度を高くすれば、濃度が低い場合に比べて各画素の有無をはっきりと認識することが可能となるため、解析に適したデータとなる。尚、この裏写り促進処理(本発明の「濃度補正処理」に相当)は、CPU11aの指令によりASIC60が行う。
【0093】
その後、処理はS103に移行する。S103では読み取った画像がカラー画像かモノクロ画像か判別する処理が、CPU11aにより判定される。判定方法の一例を挙げておくと、一般に、各色の出現頻度を表すヒストグラム(横軸を波長とし、縦軸を画素の出現数としたヒストグラム)は、カラー画像とモノクロ画像では異なる。例えば、カラー画像のヒストグラムは、はっきりとした複数のピークが現れる(図12(a)の実線参照)。一方、モノクロ画像のヒストグラムは、山なりのなだらかな曲線となる場合が多く、複数ピークは現れない(図12(a)の一点鎖線)。
【0094】
従って、読み取った画像について、各色の出現頻度を表すヒストグラムを算出し、得られたヒストグラムが、カラー画像の特徴を持つヒストグラムか、モノクロ画像の特徴を持つヒストグラムか判別することで、その画像がカラー画像かモノクロ画像か判別できる。
【0095】
この例では、原稿はカラー画像であるため、ヒストグラムは、図12(a)の実線のように複数のピークを持つ。そのため、S103の判別処理でYES判別され、その後処理はS105に移行する。尚、CPU11aにより実行されるS103の処理により本発明の「解析部」の機能が実現されている。
【0096】
そして、S105では第2読取条件についてモードが「カラー」に設定される。尚、S103の判別処理で、画像がモノクロ画像であると判別されると、その後処理はS107に移行する。そして、S107では、第2読取条件についてモードが「モノクロ」に設定される。
【0097】
S105又はS107の処理が終了すると、続くS109では、読み取った画像が、文書画像か判別する処理がCPU11aにより判定される。判定方法の一例を挙げておくと、文書画像は階調が少ない(通常、白黒の2値の階調しかない)。そのため、階調の出現頻度を表すヒストグラム(横軸を階調(濃度値)、縦軸を画素の出現数としたヒストグラム)は2値に出現数が集中する傾向になる(図12(b)参照)。
【0098】
従って、読み取った画像のヒストグラムを算出し、得られたヒストグラムが、2値に出現数が集中する特徴を有するかを判別することで、その画像が文書画像か判別できる。
【0099】
この例では、原稿は文書画像ではない(写真)。そのため、ヒストグラムは、出現数が2値に集中せず分散する。そのため、S109の判別処理でNO判定され、その後処理はS115に移行する。尚、CPU11aにより実行されるS109の処理により本発明の「解析部」の機能が実現されている。
【0100】
そして、S115では、第2読取条件について解像度が600dpi(高解像度)に設定される。尚、画像が文書画像である場合には、S109の判別処理でYES判定され、その後S110にて、解像度が300dpi(低解像度)に設定される。
【0101】
S110又はS115の処理が終了すると、続くS117では、読み取った画像データを消去する処理が行われる。すなわち、解析処理中、画像データは、RAM11c又は画像メモリに一時記憶されるが、解析処理用の終了後、CPU11aは、RAM11c又は画像メモリに記憶した画像データを全消去する。このように画像データを消去するのは、読み取った画像データは原稿種類の解析用であり、それ以降は使用しないからである。そして、画像データを消去することで、RAM11aや画像メモリが無駄に使用されず、RAM11aや画像メモリを有効活用できる。以上により一連の解析処理は終了し、処理は図7中のS67に戻る。そして、CPU11aが実行するS117の処理により、本発明の「画像データ消去部」の機能が実現されている。また、RAM11aや画像メモリが本発明の「メモリ」に対応する。
【0102】
尚、本実施形態では、解析用の画像データが取得できないまま、裏面のスキャンが終了した場合(S120:YES)には、第2読取条件についてモードと解像度を設定することが出来ない。そのため、この実施形態では、S125の処理が設けられていて、上記場合には、第2読取条件のモードと解像度を通常読取条件のモード設定と解像度設定に従って設定するようにしている。そしてS125の処理が行われた場合もやはり、処理は図7中のS67に戻る。
【0103】
さて、S67では、画像の種類が特定(判別)された原稿を反転させる処理が実行される。すなわち、原稿の後端が搬送路39を通過する直前の時点で、ローラ対38cを逆回転させる。これにより、原稿は搬送路39を閉塞するフラッパ41に案内されてスイッチバック路40に送り出され、今度は、表面を上に向けた状態で後端側から再び搬送路39に送り出される。
【0104】
かくして、原稿が搬送路39に送り返されると、次にS71の処理が実行される。S71では、CPU11aにより、CIS50の読取条件が、S65の解析処理1にて設定された第2読取条件に設定される。これにより、CIS50のモードは「カラー」に設定される。また、解像度は「600dpi」に設定される。また、読取光量は「Q1」に設定され、読取速度は「Vb(具体的には、V4)」に設定される。そして、設定された第2読取条件(ただし、S120でYES判定された場合には、S125で設定した第2読取条件)を適用して、CIS50により表面の読み取りが行われる。
【0105】
具体的には、搬送路39に送り返された原稿は、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。そして、CPU11aは、送り返された原稿が読取位置を通過する時に、表面の画像を、第2読取条件でCIS50に1ライン読み取らせる。より詳しく言えば、CPU11aは、ASIC60を介して駆動回路67、光源制御回路68やAFE69を制御することにより、第2読取条件で、CIS50に原稿を読み取らせる。尚、CPU11aにより実行されるS71の処理により、本発明の「第2制御部」の機能が実現されている。
【0106】
続く、S73ではCPU11aにより、裏写り除去処理(S33と同様の処理)が行われる。その後S75では、表面のスキャンが終了したか(全ラインをスキャンしたか)、CPU11aにより判定される。表面のスキャンが途中の場合には、S75でNO判定され、S71に戻ることになる。そして、S71では第2読取条件を適用し、CIS50が原稿を再スキャンする。この間、原稿は搬送路39に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、次のラインが読み取られることになる。その後、S73で読み取った画像に対して裏写り除去処理を行い、再度S75で判定を行う。このような処理を繰り返すことで、原稿表面のスキャンが進められる。
【0107】
そして、表面のスキャンが完了するとS75でYES判定される。そして、スキャン済みの一枚目の原稿は、ローラ対38cを介して、排紙トレイ36上に排出される。
【0108】
その後、CPU11aは、原稿センサ42の出力に基づいて、原稿トレイ35上に次の原稿があるか判定する(S77)。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスはその時点で終了する。一方、次の原稿がある場合には、2枚目の原稿の搬送が開始される。一方、画像読取シーケンスは、S61に戻り、裏面の画像が第1読取条件を適用してCIS50により読み取られる。続くS65の解析処理1では1枚目と同様に画像種類の判別が行われ、その後、第2読取条件(モードと解像度)が画像の種類に応じて設定される。
【0109】
その後、S67で原稿を反転させた後、S71〜S75にて第2読取条件を適用して表面の画像が読み取られる。そして、表面のスキャンが完了すると、S75でYES判定され、S77の判定処理が再度行われる。そして、全ての原稿について両面の読み取りが完了すると、画像読取シーケンスは終了する。
【0110】
このように「全解析」パターンでは、各原稿ごとに画像の種類を判別する。従って、全ての原稿について、種類に適した読取条件で、原稿を読み取ることが可能である。
【0111】
<自動選択スキャン処理(フロントページ解析)の場合>
次に、図8に示す選択画面2上に表示された2つの解析パターンの中から(c2)フロントページ解析が選択された場合について説明を行う。
【0112】
フロントページ解析が選択された場合も、全解析が選択された場合と同様に、S15では、操作部70の表示部71に図9に示す案内画面2が表示される。そして、「原稿全体を裏返してセットし、スタートキーを押してください」のメッセージが表示される。
【0113】
その後、原稿トレイ35に全体を裏返した状態で原稿がセットされ、操作部70に設けられたスタートキーがユーザに操作されると、制御部11のCPU11aは、スタートキーの入力操作を受け付ける。
【0114】
その後、処理はS20に移行する。S20では、CPU11aにより、選択されたスキャン処理が自動選択スキャン処理かどうか判定される。ここでは、自動選択スキャン処理が選択されているから、S20ではYES判定される。
【0115】
S20でYES判定された場合にはS50に移行する。S50では、CPU11aにより、選択中の解析処理が「全解析」かどうか判定される。ここでは、フロントページ解析が選択されているから、S50ではNO判定される。その後、処理はS80に移行する。
【0116】
S80では、制御部11のCPU11aがADF34を駆動させる。これにより、原稿トレイ35上にセットされた一枚目の原稿が、裏面を上に向けた状態で、搬送路39に送りだされる。
【0117】
原稿の搬送が開始されると、処理はS81に移行する。S81はS61と同じ処理であり、CPU11aにより、CIS50の読取条件が第1読取条件に設定される。これにより、CIS50のモードは「カラー」に設定される。また、解像度は「600dpi」に設定される。また、読取光量は「Q2」に設定され、読取速度は「V5」に設定される。
【0118】
そして、設定された第1読取条件を適用して、CPU11aにより制御されたCIS50により、原稿裏面の読み取りが行われる。具体的には、ADF34により送りだされた原稿は、搬送路39に沿って送られてゆき、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。
【0119】
そして、CIS50は、原稿が読取位置Pを通過する時に、裏面の画像を1ライン読み取る。尚、自動選択スキャン処理の対象原稿は片面であり、裏面に画像はない。しかし、CIS50で裏面を読み取ると、表面に形成された画像が逆側の裏面に透けて写り込んだ裏写り画像Z(図5に示す画像)Zを読み取ることが出来る。
【0120】
そして、S81に続くS85では、裏写り画像Zに基づいて、表面に形成された画像の種類を解析する解析処理2が実行される。S85の解析処理2は、S65の解析処理1と基本的には同じであり、S100〜S125の処理から構成されている。相違点としては、S120のNO判定された場合に、A2に戻る点である。
【0121】
解析処理2を行うことで画像の種類が判別され、その後、第2読取条件(モードと解像度)が、画像の種類に応じて設定される(S103〜S115)。
【0122】
その後、S87で原稿を反転させた後、S91(S71と同じ処理)では第2読取条件を適用して表面の画像が読み取られる。また、S93(S73と同じ処理)では裏写り除去処理が実行される。そして、表面のスキャンが完了するまで、S91〜S93の処理が繰り返され、表面の読み取が進められる。そして、表面のスキャンが完了すると、S95でYES判定され、S97の判定処理が再度行われる。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスは、その時点で終了する。
【0123】
尚、フロントページ解析パターンで実行されるここまでの処理(1枚目の原稿を読み取る処理)は、全解析パターンの場合と同じ処理である。フロントページ解析パターンは、2枚目以降の原稿について原稿の種類を判別せず、2枚目以降の表面の読み取りを1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用して行うものであり、これ以降に説明する処理の内容が全解析パターンと異なっている。
【0124】
さて、次の原稿(2枚目原稿)がある場合には、ADF34により、2枚目の原稿の搬送が開始される。一方、画像読取シーケンスはS99に移行する。S99では裏面のスキャンがスルーされる。すなわち、ADF34により送りだされる2枚目の原稿は、搬送路39に沿って送られてゆく。しかし、CIS50による原稿の読み取りは実行されず、裏面の画像が読まれないまま、原稿は第2プラテンガラス32上の読取位置Pを通過する。このようにスキャンをスルーするのは、画像解析を行わないのであれば、裏面の画像を読み意味がないからである。
【0125】
その後、処理はS87に戻り、原稿を反転させる処理が実行される。すなわち、原稿の後端が搬送路39を通過する直前の時点で、ローラ対38cを逆回転させる。すると、原稿は搬送路39を閉塞するフラッパ41に案内されてスイッチバック路40に送り出され、今度は、表面を上に向けた状態で後端側から再び搬送路39に送り出される。
【0126】
かくして、原稿が搬送路39に送り返されると、次にS91の処理が実行される。S91では1枚目の原稿で設定された第2読取条件を適用して、CPU11aに制御されたCIS50により、表面の読み取りが行われる。
【0127】
具体的には、搬送路39に送り返された原稿は、第2プラテンガラス32上の読取位置Pに接近してゆく。そして、CIS50は、送り返された原稿が読取位置Pを通過する時に、表面の画像を1ライン読み取る。
【0128】
続く、S93ではCPU11aにより、裏写り除去処理(S73と同様の処理)が行われる。その後S95では、表面のスキャンが終了したかどうかが、CPU11aにより判定される。表面のスキャンが途中の場合には、S95でNO判定され、S91に戻り、CIS50が原稿を再スキャンする。この間、原稿は搬送路39に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、次のラインが読み取られることになる。その後、S93で読み取った画像に対して裏写り除去処理を行い、再度S95で判定を行う。
【0129】
そして、表面のスキャンが完了するとS95でYES判定される。そして、スキャン済みの二枚目の原稿は、ローラ対38cを介して、排紙トレイ36上に排出される。
【0130】
その後、CPU11aは、原稿センサ42の出力に基づいて、原稿トレイ35上に次の原稿があるか判定する(S97)。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスはその時点で終了する。一方、次の原稿(3枚目)がある場合、ADF34により送りだされる3枚目の原稿は、CIS50による原稿の読み取りは実行されず、裏面の画像が読まれないまま、原稿は第2プラテンガラス32上の読取位置Pを通過する(S99)。
【0131】
その後、処理はS87に戻り、原稿を反転させる処理が実行される。原稿が搬送路39に送り返されると、S91では1枚目の原稿で設定された第2読取条件を適用して、CIS50により、表面の読み取りが行われる。
【0132】
そして、表面のスキャンが完了すると、3枚目の原稿は、排紙トレイ36上に排紙される。このような処理が繰り返され、全ての原稿について読み取りが完了すると、S97でYES判定され、画像読取シーケンスは終了する。
【0133】
このように「フロントページ解析」は、2枚目以降の原稿について画像の種類を判別せず(原稿解析をしない)、2枚目以降の表面の読み取りを1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用して行っており、2枚目以降は解析用のスキャンを省ける。そのため、原稿解析を各頁ごとに適用して行う全解析に比べて、解析用のスキャンを省ける分だけ、原稿の搬送速度を上げることが可能であり、一枚の原稿の読み取りに必要な時間を短くできるというメリットがある。
【0134】
以上説明したように、実施形態1では画像の裏写りを利用して両面読取の1回目に解析用の画像データを取得し、取得した画像データによって画像種類の判別を行い、両面読取の2回目に判別結果に応じた第2読取条件で画像表面の画像を読み取るようにした。そのため解析用データの取得から原稿表面のスキャンまでの一連の処理を、ユーザの手を煩わすことなく全て自動化できる。従って、利便性が極めて高い。
【0135】
また、実施形態1では、第1読取条件の読取光量Q2を、通常スキャン処理時に適用する通常読取条件の読取光量Q1より大きく設定している。そのため、原稿に強い光が当たるから、原稿裏面に表面が裏写りし易くなる(原稿が透け易くなる)。また、第1読取条件の読取速度Q2を、通常スキャン処理時に適用する読取速度Q1より小さく設定している。そのため、原稿に対して光が長時間当たるので、やはり、原稿裏面に表面が裏写りし易くなる(原稿が透け易くなる)。そのため、原稿画像(表面の画像)について、裏写り画像としてより忠実に再現して読み取れるので、種類の解析精度が高まる。
【0136】
また、実施形態1では、スイッチバック方式の画像読取ユニットを適用している。そのため、解析処理用の画像を最大1ページ分取得できる。よって、解析に使用できるデータに制限がある場合に比べて、画像種類の解析精度を向上させることが可能となる。
【0137】
また、実施形態1では、原稿面を裏返してセットする旨のメッセージ(注意)が表示されるので、ユーザが原稿面の向きを誤って原稿を原稿搬送部にセットすることが少なくなる。
【0138】
また、実施形態1では、S101の裏写り促進処理(濃度補正処理)を設けて、裏写り画像の濃度を高くなるように補正している。そのため、濃度が低いまま画像解析を行う場合に比べて解析精度が高まり、画像の種類を正確に判別できる。
【0139】
また、実施形態1では、第2読取条件の読取光量Qを、第1読取条件時の読取光量である「Q2」から通常読取条件時の読取光量である「Q1」に戻している。そのため、原稿表面のスキャン時に、原稿表面に照射される光量が適量となる。以上のことから、光量過多による受光素子の飽和を防止することが可能となり、原稿の読み取り精度が高まる。
【0140】
また、実施形態1では、第2読取条件の読取速度Vを、第1読取条件時の読取速度である「V5」から解析結果に応じて決定されるモードおよび解像度に対応した「Vb」に変更している。そのため、原稿表面のスキャン時に、原稿表面に対する光の照射時間が適当な時間となる。以上のことから、光量過多による受光素子の飽和を防止することが可能となり、原稿の読み取り精度が高まる。
【0141】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13ないし図14によって説明する。
実施形態2は、実施形態1に対して、画像読取シーケンスのフロントページ解析(S15、S80〜S99)の内容を変更したものである。
【0142】
実施形態1のフロントページ解析では、原稿トレイ35に対し「全体を裏返した状態で原稿をセット」した。そして、原稿を裏面を上に向けた状態で搬送路39に送り出し、CIS50を用いて裏写り画像Zを読み取った。そして、読み取った裏写り画像から1枚目原稿について画像の種類を判別し、判別結果に応じて第2読取条件を定めた。そして、原稿をスイッチバックさせて向きを反転させ、2回目にCIS50の正面の読取位置Pを通過する時に、原稿表面の画像を第2読取条件で読み取るようにした。
【0143】
2枚目以降の原稿については、1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用し、原稿表面の読み取りを行った。具体的には、2枚目以降の原稿も1枚目と同様にADF34を駆動させると、原稿は裏面を上に向けた状態で送りだされるから、送りだされた原稿がCIS50の正面の読取位置Pを通過するときには、CIS50による読み取りは行わない(スルー)こととした。そして、読取位置を通過した原稿をスイッチバックさせて向きを反転させ、2回目にCIS50の正面の読取位置Pを通過する時に、表面の画像をCIS50で読み取るようにした。
【0144】
実施形態2のフロントページ解析は、2枚目以降の原稿について1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用して表面の読み取る点は、実施形態1のフロントページ解析と共通している。相違点は、以下説明するように、原稿トレイ35に対して「一枚目だけを裏返した状態で原稿をセット」することにより(図13参照)、2枚目以降について原稿を反転(スイッチバック)させることなく、原稿表面の読み取りを可能にしたものである。
【0145】
図14を参照して、実施形態2の画像読取シーケンスを説明する。S10のスキャン選択処理で、フロントページ解析が選択されると、S15では、操作部70の表示部71に案内画面として「一枚目だけを裏返して原稿をセットし、スタートキーを押してください」のメッセージが表示される(図略)。
【0146】
その後、原稿トレイ35に、一枚目だけを裏返した状態で原稿がセットされ、操作部70に設けられたスタートキーがユーザに操作されると、制御部11のCPU11aは、スタートキーの入力操作を受け付ける。
【0147】
その後、処理はS20に移行する。S20では、選択されたスキャン処理が自動選択スキャン処理か判定される。ここでは、YES判定され、S50に移行する。S50では、CPU11aにより、選択中の解析処理が「全解析」かどうか判定される。ここでは、フロントページ解析が選択されているから、S50ではNO判定される。その後、処理はS80に移行する。
【0148】
S80では、制御部11のCPU11aによりADF34を駆動させる処理が開始される。これにより、原稿トレイ35上にセットされた一枚目の原稿が裏面を上に向けた状態で、搬送路39に送りだされる。
【0149】
原稿の搬送が開始されると、処理はS81に移行する。S81では実施形態1の場合と同じく、第1読取条件を適用して、CIS50により、裏面の読み取りが行われる。
【0150】
そして、S81に続くS85では、裏写り画像Zに基づいて、原稿表面の画像の種類を解析する解析処理2が実行される。これにて、1枚目原稿の画像種類の判別が行われ、その後、第2読取条件(モードと解像度)が画像の種類に応じて設定される(S103〜S115)。
【0151】
その後、S87で原稿を反転させた後、S91〜S95にて第2読取条件を適用して原稿表面の画像が読み取られる。そして、原稿表面のスキャンが完了すると、1枚目の原稿は排紙トレイ36上に排紙される。一方、処理はS97に移行し、次の原稿があるかどうかについて判定処理が行われる。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスは、その時点で終了する。
【0152】
さて、次の原稿(2枚目原稿)がある場合には、2枚目の原稿がADF34により搬送路39に送りだされる。ここで、2枚目以降の原稿は、原稿トレイ35に対し表面を上に向けた状態でセットされているから、表面を上に向けた状態で送りだされる。
【0153】
一方、画像読取シーケンスは、2枚目原稿があると、S97でNO判定されるので、処理はS101に移行する。S101(S91と同じ処理)では、1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用して表面の画像が読み取られる。また、S103では裏写り除去処理(S93と同じ処理)が実行される。そして、S105では、原稿表面のスキャンが完了したか判定が行われ、完了していなければ、S101に戻る。従って、表面のスキャンが完了するまでは、S101〜S103の処理が繰り返され、表面の読み取りが進められる。そして、原稿表面のスキャンが完了すると、S105でYES判定され、原稿は反転されることなく、搬送路39を通過して排紙トレイ36上に排紙される。S97の判定処理が再度行われる。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスは、その時点で終了する。
【0154】
一方、次の原稿(3枚目の原稿)がある場合には、3枚目の原稿がADF34により搬送路39に送りだされる。ここで、3枚移行の原稿は、2枚目と同様に原稿トレイ35に対し表面を上に向けた状態でセットされているから、表面を上に向けた状態で、送りだされる。
【0155】
一方、画像読取シーケンスは、3枚目原稿があると、S97でNO判定されるので、処理はS101に戻る。S101では、1枚目原稿で設定した第2読取条件を適用して表面の画像が読み取られる。また、S103では裏写り除去処理が実行される。そして、S105では表面のスキャンが完了したか判定が行われ、完了していなければ、S101に戻る。従って、表面のスキャンが完了するまでは、S101〜S103の処理が繰り返され、表面の読み取りが進められる。
【0156】
以上説明したように、実施形態2のフロントページ解析は、原稿トレイ35に対して一枚目だけを裏返した状態で原稿をセットすることにより、2枚目以降について原稿を反転(スイッチバック)させることなく、表面を読み取れる。従って、実施形態1のフロントページ解析に比べて原稿の反転がない分、スキャン時間(原稿の読み取りに必要な時間)を短くすることが可能となる。
【0157】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図15ないし図17によって説明する。
実施形態1、2では、原稿をスイッチバックさせることにより1つのCIS50で原稿の2面(両面)を読み取るスイッチバック方式の画像読取ユニット13を例示した。実施形態3では、2つのCIS151、153を用いて原稿の2面(両面)を個々に読み取るW−CIS方式の画像読取ユニット100を例示する。
【0158】
図15は、画像読取ユニット100の構成を簡略化して示す模式図である。複合機1の筐体30は概ね箱形に形成されており、上部に第1プラテンガラス31と第2プラテンガラス32とが並設されている。
【0159】
原稿カバー110は筐体30の上面を覆う閉姿勢と筐体30の上面を開放する開姿勢とに回動可能に筐体30に連結されている。原稿カバー110には、ADF120、紙などの原稿が積載される原稿トレイ35、排紙トレイ36などが設けられている。
【0160】
ADF120の内部には、分離ローラ130、分離ローラ130を軸支する軸に基端側を軸支されたアーム131の先端部に回転自在に設けられている吸入ローラ132、複数の搬送ローラ133、134、排紙ローラ135、これらに圧接する複数の従動ローラ136が設けられている。原稿はこれらのローラに搬送されて搬送路140上を搬送され、第2のCIS153による第2読取位置P2、および第1のCIS151による第1読取位置P1を順に通過して排紙トレイ36上に排紙される。
【0161】
第1のCIS151は、筐体30の内部に収容されており、原稿表面(第1面)を読み取る。第1のCIS153は等倍光学系を用いて原稿を読み取るものであり、図15おいて紙面に垂直な主走査方向に直線状に配列された複数の受光素子を有するCMOSイメージセンサ、RGB3色の発光ダイオードを有する光源、原稿で反射された反射光をCMOSイメージセンサの各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ、これらが搭載されるキャリッジ、および、キャリッジを副走査方向(主走査方向に垂直な方向であって第1プラテンガラス31の盤面に平行な方向)に往復移動させる図示しない搬送機構を備えている。
【0162】
第1のCIS151は、ADF120によって搬送される原稿を読み取るときは第2プラテンガラス32の下に停止し、光源の色を順に切り替えながら原稿を読み取る。一方、第1プラテンガラス31上に載置されている原稿を読み取るときは、第1のCIS151は副走査方向に一定速度で移動しつつ、光源の色を順に切り替えながら原稿5を読み取る。
【0163】
第2のCIS153は、上方ADF120の内部に固定されている。具体的には、第1のCIS151のほぼ真上にあり、第1のCISの上流(原稿の搬送方向上流)に位置している。この第2のCIS153は、ADF120によって搬送される裏面(第二面)を読み取るものであり、その構成は、移動可能に構成されていない点を除いて第1のCIS151の構成と実質的に同一である。
【0164】
図16は、画像読取ユニット100の電気的構成を示すブロック図である。画像読取ユニット100の電気的構成は、CISの個数が2つになった点を除けば、実施形態1の画像読取ユニット13の電気的構成と同じであり、ASIC60、FBモータ64、FBモータ駆動回路65、ADFモータ66、ADFモータ駆動回路67、CIS151、153、光源制御回路68、AFE69、原稿センサ42、操作部70などを備えて構成されている。
【0165】
尚、第1のCIS(本発明の「第1読取部」に対応)151と第2のCIS(本発明の「第2読取部」に対応)153が本発明の「両面読取部」に対応する。また、ADF120のうちの各ローラ132、133、135とそれを駆動するADFモータ66が本発明の「原稿搬送部」に対応する。
【0166】
次に、実施形態3の画像読取シーケンスについて説明する。実施形態3の画像読取シーケンスは、両面スキャン処理と、自動選択スキャン処理を選択的に行うことが可能である点は実施形態1や実施形態2の画像読取シーケンスと共通している。実施形態1、2の画像読取シーケンスでは、両面スキャン処理、自動選択スキャン処理のいずれを選択するのかは、ユーザに任せられており、表示部71の案内画面や選択画面に従って入力操作を行うことで、実行されるスキャン処理が決定されていた。
【0167】
実施形態3の画像読取シーケンスでは、スキャン処理のパターンを、CPU11aに自動選択させるものであり、原稿トレイ35に原稿をセットした後、スタートキーが押されると、両面原稿の場合には両面スキャン処理が自動選択され、片面原稿の場合には自動選択スキャン処理が自動選択されるようになっている。尚、この実施形態では、原稿トレイ35に対する原稿のセット方法は、一般的なセット方法と同じく、表面を上に向けてセットすればよい。
【0168】
以下、図17を参照して実施形態3の画像読取シーケンスについて詳しく説明する。画像読取シーケンスは複合機1の起動に伴って実行され、起動直後、スタートキーの入力操作を待つ待機状態となる。
【0169】
そして、原稿トレイ35に対して表面を上に向けた状態で原稿がセットされ、ユーザによりスタートキーが押されると、待機状態を解除してS200に移行する。S200では、制御部11のCPU11aによりADF120を駆動させる処理が開始される。これにより、原稿トレイ35上にセットされた一枚目の原稿が、表面を上に向けた状態で、搬送路140に送りだされる。
【0170】
尚、送り出された一枚目の原稿は、表面のみ画像を有する片面原稿であり、原稿画像はカラーかつ写真であったものとする。さて、原稿の搬送が開始されると、処理はS210に移行する。S210では、CPU11aにより、第2のCIS153の読取条件が、第1読取条件に設定される。これにより、第2のCIS153のモードは「カラー」に設定される。また、解像度は「600dpi」に設定される。また、読取光量は「Q2」に設定され、読取速度は「V5」に設定される。
【0171】
そして、設定された第1読取条件を適用して、第2のCIS153により、裏面に画像のない片面原稿にもかかわらず、裏面の読み取りが行われる。具体的には、ADF120により送りだされた原稿は、搬送路140に沿って送られてゆき、第2読取位置P2に接近してゆく。そして、CPU11aは、原稿が第2読取位置P2を通過する時に、第2のCIS153に裏面の画像を1ライン読み取らせる。より詳しく言えば、CPU11aは、ASIC60を介して駆動回路67、光源制御回路68やAFE69を制御することにより、解析処理用として設定された第1読取条件で、第2のCIS153に裏面の画像を1ライン読み取らせる。CPU11aにより実行されるS210の処理により、本発明の「第1制御部」の機能が実現されている。
【0172】
そして、続くS220では、裏写り画像判定に必要なライン数(例えば、3ライン)、画像データが読み取れたか、CPU11aにより判定される。S220でNO判定された場合、処理はS230に移行する。S230ではCPU11aにより、原稿先端が第1のCIS151の手前に達したがどうか判定される。そして、原稿の先端が第1のCIS151の手前に到達していなければ、S230でNO判定され、この場合、処理はS210に戻る。そして、S210では、第1読取条件を適用して、CPU11aにより制御された第2のCIS153が原稿を再スキャンする。この間、原稿は搬送路140に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、原稿裏面の次のラインが読み取られることになる。このような処理を繰り返すことで、原稿の先端が第1のCIS151の手前に到達するまでの間、第2のCIS153による原稿裏面の読み取りが進められる。
【0173】
そして、S210にて第2のCIS153で読み取ったラインLの数が、解析に必要なライン数に達すると、S220でYES判定され、処理はS240に移行する。
【0174】
そして、S240では、読み取った画像データが裏写り画像(原稿裏面に表面の画像が透けて裏写りした画像)Zか判定する処理が、CPU11aにより実行される。尚、CPU11aが行うS240の処理により本発明の「判定部」の機能が実現されている。
【0175】
具体的には、読み取った画像データの最高濃度をASIC60により検出し、CPU11aは、それを予め設定した基準値と比較する。基準値は、原稿面に形成された画像の平均的な濃度値より低く、かつ裏写り画像Zの場合には出現する可能性の低い濃度値に設定してある。そして、算出した最高濃度が基準値未満であれば、裏写り画像Zと判定される。この判定方法は、最高濃度の検出処理と比較処理の極めて簡単な処理だけで構成できるので、CPU11aやASIC60の処理負担が大きくならないメリットがある。
【0176】
この例では、一枚目の原稿は片面原稿であり、第2のCIS153は、画像が形成されていない原稿裏面に透けて写り込んだ裏写り画像Zを読み取る。そのため、S210にて取得される画像データの最高濃度は基準値未満となる。従って、S240にてYES判定されることとなる。
【0177】
S240でYES判定されると、次に処理はS250の解析処理3に移行する。この解析処理3は、図11のS101〜S117と同様の処理であり、S101では先に説明した促進処理が実行される。その後、処理はS103に移行して、読み取った画像がカラー画像かモノクロ画像かを判別する処理がCPU11aにより判定される。
【0178】
この例では、原稿はカラー原稿であるため、S103の判別処理でYES判別され、その後処理はS105に移行する。そして、S105では第2読取条件についてモードがカラーに設定される。S105の処理が終了すると、続くS109では、読み取った画像が文書画像か、判別する処理がCPU11aにより判定される。この例では、原稿は文書画像ではない(写真)ので、S109の判別処理でNO判定され、その後処理はS115に移行し、第2読取条件について解像度が600dpiに設定される。尚、CPU11aにより実行されるS103〜109の処理により本発明の「解析部」の機能が実現されている。
【0179】
そして、S115の処理が終了すると、続くS117では、読み取った画像を消去する処理が行われ、処理は図17中のS260に戻る。
【0180】
さて、S260では、CPU11aにより、第1のCIS151の読取条件が、S250の解析処理3にて設定された第2読取条件に設定される。これにより、第1のCIS151のモードは「カラー」に設定される。また、解像度は「600dpi」に設定される。また、読取光量は「Q1」に設定され、読取速度は「Vb(具体的にはV4)」に設定される。そして、設定された第2読取条件を適用して、第1のCIS151により、原稿表面の読み取りが行われる。
【0181】
具体的には、搬送路140を送られる一枚目の原稿は、やがて、第2プラテンガラス32上の第1読取位置P1に接近してゆく。そして、CPU11aは一枚目の原稿が第1読取位置P1を通過する時に、第1のCIS151に、表面の画像を1ライン読み取らせる。より詳しく言えば、CPU11aは、ASIC60を介して駆動回路67、光源制御回路68やAFE69を制御することにより、設定された第2読取条件で、第1のCIS151に表面の画像を1ライン読み取らせる。CPU11aにより実行されるS260の処理により、本発明の「第2制御部」の機能が実現されている。
【0182】
続く、S270では、CPU11aにより裏写り除去処理が行われる。その後、S280に処理は移る。そして、S280では、1枚目の原稿について、原稿表面のスキャンが終了したか(全ラインをスキャンしたか)、CPU11aにより判定される。原稿表面のスキャンが途中の場合には、S280でNO判定され、S260に戻る。S260では、第2読取条件を適用して、第1のCIS151が再スキャンする。この間、一枚目の原稿は搬送路140に沿って送られてゆくので、再スキャンにより、表面の次のラインが読み取られることになる。このような処理を繰り返すことで、第1のCIS151による表面の読み取りが進められる。
【0183】
そして、表面のスキャンが完了するとS280でYES判定される。そして、表面読み取り済みの1枚目の原稿は排紙ローラ135を介して、排紙トレイ36上に排出される。
【0184】
その後、CPU11aは原稿トレイ35上に次の原稿があるか否かの判定を行う(S290)。そして、次の原稿がない場合、画像読取シーケンスは、その時点で終了する。
【0185】
さて、次の原稿がある場合に、その原稿(ここでは2枚目の原稿は両面原稿であるとして説明を進める)は、ADF120により搬送路140に送りだされる。一方、画像読取シーケンスは、次原稿があると、S290でNO判定されるので、処理はS210に戻る。
【0186】
S210では、先に説明したように、第1読取条件を適用して第2のCIS153により、原稿裏面の読み取りが行われる。そして、S210にて第2のCIS153で読み取ったラインLの数が、解析に必要なライン数に達すると、S220でYES判定され、処理はS240に移行する。S240では、読み取った画像が裏写り画像Zか判定する処理が、CPU11aにより実行される。
【0187】
具体的には、読み取った画像データの最高濃度を検出し、それを予め設定した基準値と比較する。そして、算出した最高濃度が基準値未満であれば、裏写り画像と判定される。
【0188】
この例では、2枚目の原稿は両面原稿である。そのため、第2のCIS153により読み取られる画像データは、裏面に直接印刷された通常の画像データを含む。従って、画像データの最高濃度は基準値を超える。以上のことから、S240ではNO判定されることとなり、処理はS300に移行する。
【0189】
S300では、第2のCIS153、第1のCIS151を用いて、原稿の両面がスキャンされる。すなわち、2枚目原稿の先端が、第1読取位置P1に到達するまでの間は、第2のCIS153により、2枚目の原稿の裏面が読み取られる。
【0190】
そして、2枚目原稿の先端が第1読取位置P1に到達すると、第2のCIS153による裏面の読み取りと並行して、第1のCIS151により、表面の画像が読み取られる。
【0191】
そして、原稿裏面について全ラインのスキャンが終了すると、そこで、第2のCIS153による画像の読み取りが終了する。それ以降は、第1のCIS151による表面の画像の読み取りのみが続行される。そして、原稿表面について全ラインのスキャンが終了すると、第1のCIS151による画像の読み取りが終了する。かくして、2枚目原稿の表面と裏面の双方が読み取られる。
【0192】
尚、図17中は省略してあるが、このS300では、各CIS151、153が原稿画像を1ライン読み込むたびに、裏写り除去処理が行われる。また、S300中における第2のCIS153の読取条件は第1読取条件が適用され、第1のCIS151の読取条件はモード、解像度および読取光量には通常読取条件が適用される。ただし、読取速度には第1読取条件(読取速度V5)が適用される。なぜなら、両CIS151、153の読み取りが並行して行われるためである。
【0193】
以上説明したように、実施形態3では、原稿トレイ35に原稿をセットした後、スタートキーが押されると、両面原稿の場合には両面スキャン処理が自動選択され、片面原稿の場合には、自動選択スキャン処理が自動選択される。そのため、使い勝手がよい。
【0194】
尚、実施形態3では、原稿の両面に画像がある場合、両面とも第1読取条件が適用された読取速度V5で読み取られ、原稿の裏面については、第1読取条件が適用された読取光量Q2で読み取られるので、読み取られた画像データの濃度は、通常読取条件や第2読取条件で読み取った場合よりも高くなる。従って、原稿の画像を正規に読み取った画像データおよび裏写り画像データともに、濃度が高くなる。そのため、S270の裏写り除去処理では、図10(a)の点線で示すように、領域Bよりも狭くかつ原稿の画像を正規に読み取った画像データが分布すると推測される領域については、読み取ったデータの濃度に対して濃度変換後のデータの濃度が小さくなるように補正し、前述の領域以外であり、かつ領域Aを含む、裏写り画像データが分布すると推測される領域については、読み取ったデータの濃度に対して濃度変換後のデータの濃度が極めて小さく、つまり、読み取った画像が白くなるように補正する。
【0195】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0196】
(1)実施形態1〜3では、画像読取装置の一例に複合機を例示したが、印刷ユニットが必ずしも必要でなく、少なくとも制御部11と画像読取ユニットを備えた構成であればよい。
【0197】
(2)実施形態1〜2では、スイッチバック方式の画像読取ユニットを例示したが、実施形態1〜2に対して、CISを2組使用するW−CIS方式の画像読取ユニットを適用することが可能である。尚、その場合には、画像読取シーケンスについても、実施形態1や実施形態2と同様に、両面スキャン処理、自動選択スキャン処理のいずれを選択するのかはユーザに任せ、選択されたスキャン処理が実行させるようなシーケンスとすることが可能となる。
【0198】
そして、W−CIS方式を採用した場合には、画像の種類に応じた読み取り条件を自動選択する自動選択スキャン処理を行う場合であっても、原稿トレイにセットする原稿の向きが通常スキャン処理と同じになるので、利便性が高いというメリットがある。
【0199】
(3)実施形態1では、S30にてADF34を駆動させる時に、読取速度Vaを設定して、読み取り対象の原稿を、搬送開始時から搬送速度(読取速度)Vaにて搬送する例を挙げた。このような設定の他にも、例えば、上流側のジャムセンサ43によって原稿先端を検知してから原稿先端が読取位置Pの手前に到達するまでの所定時間経過後、読取速度Vaで搬送するようにしてもよい。
【0200】
(4)実施形態1では、解析に必要なライン数、画像データが取得された時点(S100:YES)で、CIS50による原稿裏面の読み取りを中止する例を説明したが、第2読取条件の設定が終了した時点で、CIS50による原稿裏面の読み取りを中止することも可能である。
【符号の説明】
【0201】
1…複合機(本発明の「画像読取装置」、「画像形成装置」の一例)
11…制御部
11a…CPU
13…画像読取ユニット
15…印刷ユニット
34…ADF
39…搬送路
40…スイッチバック路
41…フラッパ
26…ファンモータ
50…CIS
51…イメージセンサ
52…光源
70…操作部
71…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取位置へ搬送する原稿搬送部と、
前記読取位置に搬送された原稿に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の画像を読み取る動作を、原稿の第2面と第1面に対して順番に行って原稿の両面の画像を読み取る両面読取部と、
画像の種類に応じた読み取り条件を自動選択して原稿の前記第1面の画像を読み取る自動選択スキャン処理の開始操作を受け付ける受付部と、
前記自動選択スキャン処理の開始操作が受け付けられた場合、最初に読み取りが行われる原稿の前記第2面を、解析処理用として設定された第1読取条件で、前記両面読取部に読み取らせる第1制御部と、
前記第1読取条件で読み取った前記第2面の画像に裏写りする前記第1面の画像を解析することにより、前記第1面の画像の種類を判別する解析処理を行う解析部と、
前記解析部により判別された画像の種類に対応した第2読取条件で、原稿の前記第1面を前記両面読取部に読み取らせる第2制御部とを備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記自動選択スキャン処理と、前記読み取り条件をユーザの入力操作により設定する通常スキャン処理とを選択させる選択部を備え、
前記自動選択スキャン処理の選択後、前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記第1制御部は、前記第1読取条件として、前記両面読取部に設けられた光源から原稿に向けて照射する光の光量を、前記通常スキャン処理時の光量より大きく設定する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記自動選択スキャン処理と、前記読み取り条件をユーザの入力操作により設定する通常スキャン処理とを選択させる選択部を備え、
前記自動選択スキャン処理の選択後、前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記第1制御部は、前記第1読取条件として、前記両面読取部による原稿の読取速度を、前記通常スキャン処理時の読取速度より遅く設定する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記両面読取部は前記読取位置にて原稿の画像を読み取る読取部と、読み取り後の原稿を反転させて前記読取位置に送り返す反転部とを備えた構成である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記受付部にて前記開始操作が受け付けられた場合に、前記原稿搬送部に対して原稿を裏返した状態でセットする旨のメッセージを表示する表示部を備える請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記両面読取部は、第2読取位置にて原稿の前記第2面の画像を読み取る第2読取部と、前記第2読取位置より下流側に設けられた第1読取位置にて原稿の前記第1面の画像を読み取る第1読取部とを備える請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
第2読取位置と第1読取位置を順に通る搬送路に沿って原稿を搬送する原稿搬送部と、
前記第2読取位置に搬送された原稿の第2面に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の前記第2面の画像を読み取る第2読取部と、前記第1読取位置に搬送された原稿の第1面に光を照射して、その反射光を受光することで原稿の前記第1面の画像を読み取る第1読取部とを備えた両面読取部と、
原稿の前記第2面を、解析処理用として設定された第1読取条件で、前記両面読取部の前記第2読取部に読み取らせる第1制御部と、
前記第1読取条件で読み取らせた前記第2面の画像に裏写りする前記第1面の画像を解析することにより、前記第1面の画像の種類を判別する解析処理を行う解析部と、
前記解析部により判別された画像の種類に対応した第2読取条件で、原稿の前記第1面を前記両面読取部の第1読取部に読み取らせる第2制御部とを備えた画像読取装置。
【請求項8】
前記第1読取条件で読み取らせた解析処理用の画像データが、前記第2面に前記第1面の画像が裏写りした画像データのみであるか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部により、前記解析処理用の画像データは裏写りした画像データのみであると判定された場合、前記解析部は前記解析処理を行い、
前記判定部により、前記解析処理用の画像データは裏写りした画像データのみでないと判定された場合、前記第2制御部はユーザの入力操作により設定された読取条件で、前記両面読取部の第1読取部に前記原稿の第1面を読み取らせる請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記解析処理用の画像データの最高濃度が基準値未満である場合に、前記裏写りした画像データのみであると判定する請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記第2制御部は前記解析部による解析結果に関係なく、原稿の前記第1面の画像を読み取る時に、前記両面読取部に設けられた光源から原稿に向けて照射する光の光量を、原稿の前記第2面を読み取る時の光量より下げる請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第2制御部は前記解析部による解析結果に関係なく、原稿の前記第1面の画像を読み取る時の読取速度を、原稿の前記第2面の画像を読み取る時の読取速度より速くする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記解析部は、前記解析処理用の画像データに対して、濃度の低い領域について濃度を高くする濃度補正処理を行い、前記濃度補正処理後の画像データを対象に前記解析処理を行う請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記解析処理中、前記解析処理用の画像データを一時記憶するメモリと、
前記解析部による解析処理の終了後、前記解析処理用の画像データを前記メモリから消去する画像データ消去部とを備える請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記第1制御部は、前記解析処理用の画像データが読み取れた場合には、前記原稿の第2面のうち、残るラインの画像データは読み取らないように前記両面読取部を制御する請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記第1読取条件はカラー読み取りであり、
前記第2制御部は、前記解析処理の結果、前記第2面に裏写りした前記第1面の画像がカラー画像であった場合には、原稿の前記第1面を前記両面読取部にカラー読み取りさせ、
前記解析処理の結果、前記第2面に裏写りした前記第1面の画像がモノクロ画像であった場合には、原稿の前記第1面を前記両面読取部にモノクロ読み取りさせる請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取った画像を被記録媒体に形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−147382(P2012−147382A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6021(P2011−6021)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】