説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】精度良くシェーディング補正を行う。
【解決手段】原稿を搬送する原稿搬送部5と、原稿に光を照射する光源42a,42bと、光が照射された読み取り対象の画像を読み取る画像読取部48,49と、板状の白色基準部材414と、第1面が搬送中の原稿の読取面に接触して当該原稿の付着物を取り除くように設けられ、反対側の第2面が黒色である付着物除去部材413と、光が照射された白色基準部材414の画像を読み取らせ、白基準データとして取得する白基準データ取得部12と、光が照射された付着物除去部材の第2面の画像を読み取らせ、黒基準データとして取得する黒基準データ取得部13と、搬送中の原稿の画像を読み取らせ原稿データとして取得する読取制御部11と、白基準データと黒基準データとを用いて原稿データをシェーディング補正するシェーディング補正部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関し、特に、原稿を読み取った画像をシェーディング補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像読取装置では、蛍光灯やLED等の光源によって原稿に光を照射し、当該原稿からの反射光を光電変換素子で光電変換して出力させることによって、当該原稿の画像を読み取るように構成されている。また、このような画像読取装置では、光源による照明の配光ムラや光電変換素子の各素子間の感度差を補正するためにシェーディング補正が行われている。
【0003】
具体的には、例えば、下記特許文献1に記載されているように、シェーディング補正に用いられる白基準レベルの値(白基準データ)は、光源をオンにして白基準板の反射光を光電変換素子により読み取ることによって生成される。一方、シェーディング補正に用いられる黒基準レベルの値(黒基準データ)は、光源をオフにしたときの光電変換素子による読取結果によって生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−51364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光源をオンにして原稿の画像を読み取る場合には、例えば、原稿からの反射光を各光電素子に導くために設けられた複数の導光部材間に隙間が存在すること等に起因して、原稿からの反射光だけでなく、当該反射光とは異なる光が各光電素子に入射する虞があった。
【0006】
このような場合に、上記特許文献1に記載された技術を用いて、シェーディング補正に用いられる黒基準データを、光源をオフにしたときの光電変換素子による読取結果によって生成すると、光電変換素子において、光源をオンにして黒色の原稿を読み取ったときの出力と光源をオフにしたときの出力とが大きく異なることとなり、シェーディング補正を精度良く行えない虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、精度良くシェーディング補正を行うことができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、原稿を一枚ずつ繰り出して搬送する原稿搬送部と、原稿に光を照射する光源と、前記光源により光が照射された読み取り対象の画像を読み取る画像読取部と、板状の白色基準部材と、2面を有する板状の部材であって、第1面が前記原稿搬送部によって搬送中の原稿の読取面に接触して当該原稿の付着物を取り除くように設けられ、前記第1面とは反対側の第2面が黒色である付着物除去部材と、前記光源により光が照射された前記白色基準部材の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を白基準データとして取得する白基準データ取得部と、前記光源により光が照射された前記付着物除去部材の前記第2面の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を黒基準データとして取得する黒基準データ取得部と、前記原稿搬送部によって搬送中の原稿の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を原稿データとして取得する第1読取処理を実行する読取制御部と、前記白基準データと前記黒基準データとを用いて前記原稿データをシェーディング補正するシェーディング補正部と、を備える。
【0009】
光源から原稿に光を照射した場合には、例えば、画像読取部の導光経路に大きな隙間が存在すること等に起因して、原稿からの反射光だけでなく、当該反射光とは異なる光が入射し、この明るさが加味されて原稿の画像が読み取られることがあるものと考えられる。
【0010】
しかし、このような場合であっても、黒基準データ取得部は、付着物除去部材の第2面に光源から光を照射し、実際に第2面から反射された反射光、すなわち、当該面からの反射光と当該反射光とは異なる隙間等から入射した光を受光して、黒基準データを取得する。このため、シェーディング補正部は、実際に反射された反射光に基づく黒基準データを用いて、精度良くシェーディング補正を行うことができる。
【0011】
また、第1面が原稿搬送部によって搬送中の原稿の読取面に接触して当該原稿の付着物を取り除くように設けられた付着物除去部材が、黒基準データ取得用の原稿として兼用されている。このため、シェーディング補正を行うに当って、別途黒基準データ取得用の原稿を画像読取装置に配設するスペースを省略することができ、または、別途黒基準データ取得用の原稿を手作業で載置する等の手間が発生することを回避することができる。
【0012】
また、前記読取制御部は、前記光源及び前記画像読取部を副走査方向に移動させながら、前記画像読取部によって、原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせ、前記原稿データを取得する第2読取処理を更に実行可能であり、前記付着物除去部材及び前記白色基準部材は、前記第2読取処理によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、前記読取制御部は、前記第2読取処理によって原稿の画像を読み取らせる前に、前記黒基準データ取得部に前記黒基準データを取得させるとともに、前記第2読取処理によって原稿の画像を読み取らせる前に、前記白基準データ取得部に前記白基準データを取得させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第2読取処理の実行時に、光源及び画像読取部の移動方向を反対側に戻すことなく、黒基準データ及び白基準データの取得後に原稿の画像を読み取らせ、効率よくシェーディング補正を行うことができる。
【0014】
また、前記画像読取部は、受光した光を光電変換する主走査方向に長尺の受光部と、前記読み取り対象により反射された光を前記受光部へ導く導光部とを備え、前記導光部は、前記主走査方向に延びる複数の導光部材が前記主走査方向に連結されて構成されているものであってもよい。
【0015】
この構成では、光源によって原稿に照射された光が、導光部における隣り合う導光部材の隙間から直接受光部に入射する虞があるものと考えられる。しかし、この場合であっても、黒基準データ取得部によって当該直接受光部に入射する光を加味した黒基準データを取得し、精度良くシェーディング補正を行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、精度良くシェーディング補正を行うことができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機を示す概略断面図。
【図2】本発明に係る画像読取装置の一例を示す概略断面図。
【図3】本発明に係る付着物除去部材及び白色基準部材の一例を示す斜視図。
【図4】本発明に係る光源及び画像読取部の一例を示す拡大図。
【図5】複合機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図6】読取制御部等による原稿の読み取り動作の一例を示すフローチャート。
【図7】画像読取部の連結部の一例を示す拡大断面図。
【図8】(a)は、光源をオフにしたときにCCDから出力された画像の一例を示す説明図、(b)は、光源をオンにして付着物除去部材の第2面を読み取った画像の一例を示す説明図、(c)は、(b)において画像読取部の連結部近傍で読み取られた部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機を図面に基づいて説明する。図1に示すように、複合機1は、コピー、プリンター、及びスキャナー等の複数の機能を兼ね備えたものであり、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、ユーザーが種々の操作指令等を入力するための操作部36と、本体部2の上方に配設された原稿給紙装置(原稿搬送部)5と、本体部2の上部に配設された画像読取装置4と、を備えている。
【0020】
本体部2は、複数の給紙カセット23と、給紙カセット23から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部25へ搬送する給紙ローラー24と、給紙カセット23から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部25とを備えている。
【0021】
画像形成部25は、後述する画像読取装置4で取得された画像信号に基づきレーザー光等を出力して感光体ドラム26を露光する光学ユニット27と、感光体ドラム26上にトナー像を形成する現像部28と、感光体ドラム26上のトナー像を記録紙に転写する転写部29と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる搬送ローラー30及びコロ31からなる定着装置32と、画像形成部25内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3または排出トレイ33まで搬送する搬送ローラー対34及び35等とを備えている。
【0022】
尚、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部25で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ33側の搬送ローラー30及びコロ31にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラー30を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路に送って画像形成部25の上流域に再度搬送し、画像形成部25により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3または排出トレイ33に排出する。
【0023】
操作部36は、ユーザーが印刷実行指示を入力するためのスタートキー361と、印刷部数等を入力するためのテンキー362と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部363と、表示部363で設定された設定内容等をリセットするリセットキー364と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー365と、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー366とを備えている。
【0024】
原稿給紙装置5は、図2に示すように、原稿トレイ51、給紙ローラー52、搬送ドラム53、排紙ローラー54及び排紙トレイ55を備え、ADF(Auto Document Feeder:自動給紙装置)を構成している。
【0025】
原稿トレイ51は、原稿が載置される場所であり、原稿トレイ51に載置された原稿は1枚ずつ給紙ローラー52によって取り込まれて搬送ドラム53へ搬送される。搬送ドラム53を経由した原稿は、排紙ローラー54によって排紙トレイ55へ排出される。
【0026】
画像読取装置4は、読み取り対象の画像を光学的に取得して画像信号を出力する。画像読取装置4は、図2に示すように、コンタクトガラス410、紙粉除去板(付着物除去部材)413、白色基準板(白色基準部材)414、光源42a,42b、キャリッジ47、結像レンズ(画像読取部における導光部)48、CCD(Charge Coupled Device、画像読取部における受光部)49を備えている。光源42a,42b、結像レンズ48、及びCCD49は、キャリッジ47によって支持されている。
【0027】
コンタクトガラス410は、幅広の原稿載置用ガラス412と原稿載置用ガラス412の左側に位置する細長い原稿自動読取用ガラス411とを備え、原稿を載置する面を構成している。
【0028】
紙粉除去板413は、図3に示すように、画像読取装置4の前後方向(図3におけるX方向、図2の紙面に対して垂直方向)に延びる板状の部材であり、原稿自動読取用ガラス411上に取り付けられている。紙粉除去板413の原稿給紙装置5側の面(図2における上側の面)である第1面は、原稿給紙装置5によって搬送されてくる原稿の読取面(図2における下側の面)に接触し、原稿の読取面上の付着物を取り除くようになっている。また、紙粉除去板413の第1面とは反対側の面(図2における下側の面)は、黒色になっている。
【0029】
白色基準板414は、図3に示すように、画像読取装置4の前後方向(図3におけるX方向、図2の紙面に対して垂直方向)に延びる板状の部材であり、原稿載置用ガラス412上に取り付けられている。白色基準板414の下側の面は、白色になっている。
【0030】
光源42a,42bは、図4に示すように、画像読取装置4の前後方向(図4におけるX方向、図2の紙面に対して垂直方向)に延びるように構成され、その一端に、図略の例えば白色LED等の白色蛍光ランプを備えている。つまり、光源42a,42bは、当該白色蛍光ランプにより発光された光を画像読取装置4の前後方向(以下、主走査方向)に延びる線状にして、コンタクトガラス410に載置された原稿の主走査方向1ライン分を照射する。
【0031】
結像レンズ48は、図4に示すように、主走査方向(図4におけるX方向)に延びるように複数個設けられている。また、CCD49における複数の受光面が、各結像レンズ48の下方の位置で各結像レンズ48に対向するようにして(図2参照)、それぞれ設けられている。
【0032】
また、所定数の主走査方向に連結された結像レンズ48及びCCD49によって、読取ユニットRUが構成されている。そして、複数の読取ユニットRUが、それぞれ連結部Cで連結されて、主走査方向1ライン分の長さを有するラインセンサ(画像読取部)が構成されている。つまり、CCD49の複数の受光面で受光された反射光は、光電変換されて、読み取り対象の主走査方向1ライン分の画像を構成する複数の画素の、各画素の明るさを示す画像信号として、それぞれ出力される。
【0033】
尚、結像レンズ48及びCCD49の構成をこれに限定する趣旨ではない。例えば、主走査方向1ライン分の画像を構成する画素数に対応する数の結像レンズ48及びCCD49の受光面を備えた、主走査方向1ライン分の長さを有する1つの読取ユニットRUを構成し、当該1つの読取ユニットRUのみでラインセンサを構成してもよい。
【0034】
上記構成の画像読取装置4による原稿の画像読取方法には、原稿載置用ガラス412上に載置された原稿を読み取るフラットベッド読取モード(第2読取処理)と、原稿給紙装置5によって原稿を搬送させ、原稿が原稿自動読取用ガラス411上を通過する際に、原稿を読み取るADF読取モード(第1読取処理)の2種類の方法が存在する。
【0035】
フラットベッド読取モードでは、光源42a,42bによって原稿載置用ガラス412上に載置された原稿が照射され、当該原稿からの反射光が結像レンズ48に入射する。結像レンズ48に入射した光は、CCD49の受光面で光電変換によって結像され、画像信号として出力される。1ライン分の読み取りが終了すると、主走査方向と直交する方向(副走査方向、図2乃至図4におけるY方向)にキャリッジ47が移動され、次のラインの読み取りが行われる。
【0036】
一方、ADF読取モードでは、原稿給紙装置5によって搬送された原稿が、原稿自動読取用ガラス411と読取ガイド59との隙間部を通過するときに、光源42a,42bによって原稿自動読取用ガラス411を介して原稿に光が照射される。当該原稿からの反射光は結像レンズ48に入射し、結像レンズ48に入射した光は、CCD49の受光面で光電変換によって結像され、画像信号として出力される。1ライン分の読み取りが終了すると、原稿が原稿給紙装置5によって搬送され、次のラインの読み取りが行われる。
【0037】
次に、複合機1の電気的な構成について図5を用いて説明する。複合機1は、複合機1の各部の動作制御を司る制御部10を備えている。制御部10は、例えば、CPUと、ROMやRAM等のメモリと、を備えたマイクロコンピュータで構成されており、メモリに記憶された各種制御プログラムをCPUによって実行することによって各部の動作制御を行う。
【0038】
制御部10は、上記の画像形成部25、操作部36、原稿給紙装置5、及び画像読取装置4と互いに通信可能なように接続されている。
【0039】
制御部10は、例えば、読取制御部11、白基準データ取得部12、黒基準データ取得部13、及びシェーディング補正部14として機能する制御プログラムをCPUによって実行することによって、画像の読み取り動作の制御を行う。
【0040】
読取制御部11は、フラットベッド読取モード及びADF読取モードで、コンタクトガラス410上に載置された原稿の画像を読み取る制御を行う。具体的には、読取制御部11は、フラットベッド読取モードでは、図略のモーターに駆動信号を出力してキャリッジ47を移動させながら、光源42a,42bに駆動信号を出力し、原稿載置用ガラス412上に載置された原稿に光を照射させる。そして、CCD49に、結像レンズ48を介して受光面に入射された反射光を光電変換させることによって、当該原稿を読み取った画像を示す画像信号を出力させる。そして、当該画像信号をデジタル変換し、これを原稿データとして取得する。
【0041】
一方、読取制御部11は、ADF読取モードでは、原稿給紙装置5を駆動して原稿トレイ51に載置された原稿を1枚ずつ搬送させ、光源42a,42bに駆動信号を出力し、原稿自動読取用ガラス411上を通過する原稿に光を照射させる。そして、CCD49に、結像レンズ48を介して受光面に入射された反射光を光電変換させることによって、当該原稿を読み取った画像を示す画像信号を出力させる。そして、当該画像信号をデジタル変換し、これを原稿データとして取得する。
【0042】
白基準データ取得部12は、図略のモーターに駆動信号を出力してキャリッジ47を白色基準板414の下部まで移動させた後、光源42a,42bに駆動信号を出力し、白色基準板414の下側の白色の面に光を照射させる。そして、CCD49に、結像レンズ48を介して受光面に入射された反射光を光電変換させることによって、当該白色基準板414の下側の白色の面を読み取った画像を示す画像信号を出力させる。そして、当該画像信号をデジタル変換し、これを白基準データとして取得する。
【0043】
黒基準データ取得部13は、図略のモーターに駆動信号を出力してキャリッジ47を紙粉除去板413の下部まで移動させた後、光源42a,42bに駆動信号を出力し、紙粉除去板413の下側の黒色の面に光を照射させる。そして、CCD49に、結像レンズ48を介して受光面に入射された反射光を光電変換させることによって、当該紙粉除去板413の下側の黒色の面を読み取った画像を示す画像信号を出力させる。そして、当該画像信号をデジタル変換し、これを黒基準データとして取得する。
【0044】
シェーディング補正部14は、白基準データ取得部12で取得された白基準データ及び黒基準データ取得部13で取得された黒基準データを用いて、読取制御部11で取得された原稿データをシェーディング補正する。
【0045】
具体的には、シェーディング補正部14は、読取制御部11で取得された原稿データが示す明るさの値と黒基準データが示す明るさの値との差分値を、白基準データが示す明るさの値と黒基準データが示す明るさの値との差分値で除算して、これに明るさの上限値を乗算することによって得られるデータを、シェーディング補正された原稿データとする。
【0046】
以下、図6を用いて、読取制御部11、白基準データ取得部12、黒基準データ取得部13、及びシェーディング補正部14による原稿の読み取り動作の流れについて説明する。
【0047】
ユーザーによって原稿トレイ51または原稿載置用ガラス412上に原稿が載置され、例えば、操作部36から入力されたコピー機能の実行指示に基づいて、原稿を読み取る動作が開始されると、黒基準データ取得部13は、キャリッジ47を紙粉除去板413の下部まで移動させた後(S1)、光源42a,42bに紙粉除去板413の下側の黒色の面に向けて光を照射させて、CCD49に当該紙粉除去板413の下側の黒色の面を読み取った画像を示す画像信号を出力させ、当該画像信号をデジタル変換して黒基準データを取得する(S2)。
【0048】
そして、白基準データ取得部12は、キャリッジ47を白色基準板414の下部まで移動させた後(S3)、光源42a,42bに白色基準板414の下側の白色の面に向けて光を照射させて、CCD49に当該白色基準板414の下側の白色の面を読み取った画像を示す画像信号を出力させ、当該画像信号をデジタル変換して白基準データを取得する(S4)。
【0049】
そして、例えば、操作部36から入力されたコピー機能の実行指示等によって、ADF読取モードで原稿を読み取ることが指示されていた場合には(S5;ADF読取モード)、読取制御部11は、キャリッジ47の移動方向を逆方向にして、原稿自動読取用ガラス411の下部まで移動させた後(S6)、原稿給紙装置5を駆動して、原稿トレイ51に載置された原稿を原稿自動読取用ガラス411上に搬送する(S7)。
【0050】
一方、フラッドベッド読取モードで原稿を読み取ることが指示されていた場合には(S5;フラッドベッド読取モード)、読取制御部11は、キャリッジ47の移動方向をそのままにして、白色基準板414よりも先の位置に設けられた、原稿載置用ガラス412上の所定の読取開始位置の下部までキャリッジ47を移動させる(S8)。
【0051】
ステップS7及びステップS8が終了すると、読取制御部11は、光源42a,42bを駆動し、原稿からの反射光をCCD49により光電変換して画像信号を出力させることによって、主走査方向1ライン分の原稿の画像を読み取った原稿データを取得する(S9)。そして、シェーディング補正部14は、ステップS2及びステップS4で取得された黒基準データと白基準データとを用いて、ステップS9で取得された主走査方向1ライン分の原稿の画像を読み取った原稿データをシェーディング補正する(S10)。
【0052】
そして、全ライン分の読み取りが完了していない場合であって(S11;NO)、ADF読取モードで原稿を読み取ることが指示されていたときには(S12;ADF読取モード)、読取制御部11は、原稿給紙装置5に原稿を更に1ライン分搬送させた後(S13)、ステップS9に戻って、次のラインの読み取りを行う。
【0053】
一方、全ライン分の読み取りが完了していない場合であって(S11;NO)、フラッドベッド読取モードで原稿を読み取ることが指示されていたときには(S12;フラッドベッド読取モード)、読取制御部11は、キャリッジ47を1ライン分先に移動させた後(S14)、ステップS9に戻って、次のラインの読み取りを行う。尚、全ライン分の読み取りが完了した場合は(S11;YES)、読取制御部11は、当該原稿の読み取り動作を終了する。
【0054】
つまり、本発明に係る画像読取装置の一例は、画像読取装置4と制御部10とを備えて構成されている。
【0055】
例えば、図4に示すように、複数の読取ユニットRUがそれぞれ連結部Cで連結されて、主走査方向1ライン分の長さを有するラインセンサが構成されているような場合における、連結部Cの断面図の一例を図7に示す。
【0056】
図7に示すように、光源42a、42bは、例えば、主走査方向(図7の紙面に対して垂直方向)に延びる、一旦に発光素子が設けられた導光体と、導光体から出射される光をコンタクトガラス410に向けて反射させるべく設けられた導光体白カバーとを備えて構成されている。また、隣接し合う結像レンズ48を接着し、且つ、レンズ間からの光を遮光するために設けられた黒色の樹脂と、読取ユニットRUの一端の側板を接着する透明の樹脂とを用いて、複数の読取ユニットRUが連結されている。
【0057】
このような構成において、光源42a,42bからコンタクトガラス410上の原稿に光を照射したときは、原稿からの反射光だけでなく、図7の破線部に示す光路で、導光体から出射される光及び導光体白カバーからの反射光がCCD49の受光面に入射し、この明るさが加味されて原稿の画像が読み取られることがあるものと考えられる。
【0058】
このような場合に、従来のように、光源42a,42bから光を出射させずに、CCD49から出力される画像信号をデジタル変換して黒基準データを取得すると、当該黒基準データは、例えば、図8(a)に示すように、主走査方向全域に渡って黒色の画像を示すことになる。
【0059】
一方、上記実施形態の構成によれば、黒基準データ取得部13は、紙粉除去板413の下側の黒色の面に光源42a,42bから光を照射し、当該面からの反射光と、図7の破線部に示す光路で入射した、導光体から出射される光及び導光体白カバーからの反射光を受光して、黒基準データを取得する。つまり、当該黒基準データは、例えば、図8(b)及び図8(c)に示すように、連結部Cの存在する主走査方向位置において、導光体から出射される光及び導光体白カバーからの反射光の影響を示す、本来の黒色よりも明るい筋を有する画像を示すことになる。
【0060】
このため、上記実施形態の構成によれば、実際に黒色の原稿から反射された反射光に基づいて黒基準データを取得しているので、シェーディング補正部14は、実際に連結部Cの存在する主走査方向位置において原稿の画像を読み取った場合に、連結部Cではない主走査方向位置においては本来よりも明るい色が黒色であることを加味して、明るい筋の画像をキャンセルするようにシェーディング補正を行うことができる。一方、図8(a)に示すように、主走査方向全域に渡って黒色の画像を示す黒基準データを用いてシェーディング補正を行った場合には、図8(b)に表される明るい筋をキャンセルすることはできない。このように、上記実施形態の構成によれば、精度良くシェーディング補正を行うことができる。
【0061】
また、紙粉除去板413は、上側の面が原稿給紙装置5によって搬送中の原稿の読取面に接触して当該原稿の付着物を取り除くように設けられ、更に、下側の面が黒基準データ取得用の原稿として兼用されている。このため、シェーディング補正を行うに当って、別途黒基準データ取得用の原稿を画像読取装置4に配設するスペースを省略することができ、または、別途黒基準データ取得用の原稿を手作業で原稿載置用ガラス412に載置する等の手間が発生することを回避することができる。
【0062】
また、紙粉除去板413及び白色基準板414は、フラッドベッド読取モードで原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、読取制御部11によってキャリッジ47が移動させられる方向とは逆の方向に配置されている。
【0063】
このため、読取制御部11は、フラッドベッド読取モードで原稿の画像を読み取らせる前に、キャリッジ47の移動方向を反対側に戻すことなく、黒基準データ取得部13に黒基準データを取得させるとともに、白基準データ取得部12に白基準データを取得させることができ、効率よくシェーディング補正を行うことができる。
【0064】
ただし、白色基準板414が配置される位置はこれに限定する趣旨ではなく、例えば、原稿載置用ガラス412において、読取制御部11によってキャリッジ47が移動させられる方の端部に配置してもよい。
【0065】
尚、上記実施形態では、本発明に係る画像読取装置を複合機1に適用する例について説明したが、これに限定する趣旨ではない。本発明に係る画像読取装置は、当該画像読取装置における画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部を備える、カラー画像形成用のカラープリンターや、スキャナー、ファクシミリ装置等の画像形成装置に適用してもよい。
【0066】
また、上記実施形態において図1乃至図6に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0067】
1 複合機(画像形成装置)
10 制御部
11 読取制御部
12 白基準データ取得部
13 黒基準データ取得部
14 シェーディング補正部
25 画像形成部
36 操作部
4 画像読取装置
410 コンタクトガラス
411 原稿自動読取用ガラス
412 原稿載置用ガラス
413 紙粉除去板(付着物除去部材)
414 白色基準板(白色基準部材)
42a 光源
42b 光源
47 キャリッジ
48 結像レンズ(画像読取部における導光部)
49 CCD(画像読取部における受光部)
5 原稿給紙装置(原稿搬送部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を一枚ずつ繰り出して搬送する原稿搬送部と、
原稿に光を照射する光源と、
前記光源により光が照射された読み取り対象の画像を読み取る画像読取部と、
板状の白色基準部材と、
2面を有する板状の部材であって、第1面が前記原稿搬送部によって搬送中の原稿の読取面に接触して当該原稿の付着物を取り除くように設けられ、前記第1面とは反対側の第2面が黒色である付着物除去部材と、
前記光源により光が照射された前記白色基準部材の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を白基準データとして取得する白基準データ取得部と、
前記光源により光が照射された前記付着物除去部材の前記第2面の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を黒基準データとして取得する黒基準データ取得部と、
前記原稿搬送部によって搬送中の原稿の画像を読み取り対象として前記画像読取部に読み取らせ、その読み取らせた画像を原稿データとして取得する第1読取処理を実行する読取制御部と、
前記白基準データと前記黒基準データとを用いて前記原稿データをシェーディング補正するシェーディング補正部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記読取制御部は、
前記光源及び前記画像読取部を副走査方向に移動させながら、前記画像読取部によって、原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせ、前記原稿データを取得する第2読取処理を更に実行可能であり、
前記付着物除去部材及び前記白色基準部材は、前記第2読取処理によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、
前記読取制御部は、前記第2読取処理によって原稿の画像を読み取らせる前に、前記黒基準データ取得部に前記黒基準データを取得させるとともに、前記第2読取処理によって原稿の画像を読み取らせる前に、前記白基準データ取得部に前記白基準データを取得させる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、受光した光を光電変換する主走査方向に長尺の受光部と、前記読み取り対象により反射された光を前記受光部へ導く導光部とを備え、前記導光部は、前記主走査方向に延びる複数の導光部材が前記主走査方向に連結されて構成されている請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像読取装置と、
前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−110453(P2013−110453A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251649(P2011−251649)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】