説明

画像読取装置

【課題】ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知することが可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿サイズの検知を行うための光源として、赤外線LED37a,37bを採用するとともに、この赤外線LED37a,37bから照射されてきた赤外光を原稿Dに対してほぼ均一に導くための導光部材31を、原稿Dを光学的に走査するための第1の光学系ユニット15に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を走査してこれを読み取る画像読取装置に係り、特に、ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知可能な画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿画像を走査してこれを読み取る画像読取装置において、走査枠それ自体を走行させ、原稿画像を走査する方式が知られている。かかる装置における原稿サイズ検知方法としては、プラテンを閉じるタイミングで光源を一瞬光らせて原稿を照射し、その瞬間に撮像素子で原稿幅を読み取るようにしている。この方法では、ユーザにとって予期せぬタイミングで光源が光るために、ユーザに不快感を与えるという課題が存在する。
【0003】
こうした課題を除去するために、光源として赤外線を採用する技術が提案されている(特許文献1)。同技術によれば、光源として不可視領域に属する赤外線を利用しているためユーザに不快感を与えることはない。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に係る従来技術を、実際の原稿サイズ検知にそのまま適用しようと試みた場合には、原稿サイズ検知精度を損なうおそれがあった。すなわち、あらゆるサイズの原稿を識別検知する目的では、検知対象となる原稿サイズのバリエーションに対応するため、走査枠に対して、赤外線光源を複数設けることが必要となる。この際、図4に示すように、走査枠(不図示)に対して一定の間隔を置いて赤外線光源を複数設けた場合には、相互に隣接する赤外線光源の照射範囲が重なる部分において光量ムラが生じ、このムラが原稿サイズの検知精度を損なうおそれがあったのである。
【0005】
【特許文献1】特開平10−173873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、特許文献1に係る従来技術を、実際の原稿サイズ検知にそのまま適用しようと試みた場合には、原稿サイズ検知精度を損なうおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知可能な画像読取装置を得ることを目的として、原稿を光学的に走査することにより、原稿画像の読み取り、及び原稿サイズの検知を行うための走査体を備えて構成される画像読取装置であって、前記原稿サイズの検知を行うための光源として、不可視領域の光源を採用するとともに、当該不可視光源から照射されてきた不可視光を前記原稿に対してほぼ均一に導くための導光部材を、前記走査体に設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像読取装置によれば、原稿サイズの検知を行うための光源として、不可視光源を採用するとともに、当該不可視光源から照射されてきた不可視光を原稿に対してほぼ均一に導くための導光部材を、原稿を光学的に走査するための走査体に設けたので、従って、ヒトの網膜を刺激しない不可視光が、導光部材を介して原稿に対してほぼ均一に導かれることを通じて、原稿サイズの検知が行われる結果として、ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知するという目的を、原稿サイズの検知を行うための光源として、不可視光源を採用するとともに、当該不可視光源から照射されてきた不可視光を原稿に対してほぼ均一に導くための導光部材を、原稿を光学的に走査するための走査体に設けることで実現した。
【実施例】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像読取装置の実施例を詳細に説明する。
【0011】
[画像読取装置]
図1は本発明に係る画像読取装置の全体構成を示す概略断面図、図2は本発明に係る画像読取装置の要部を示す概略断面図、図3は本発明に係る画像読取装置の動作説明に供する図である。
【0012】
図1において、画像読取装置本体11は、コンタクトガラス13上に置かれた原稿Dを光学的に走査するための第1の光学系ユニット(本発明の「走査体」に相当)15と、第1の光学系ユニット15における走査光を中継するための第2の光学系ユニット17と、第2の光学系ユニット17における中継光を集光するための集光レンズ群19と、集光レンズ群19を介して集光された像を撮影するCCDセンサ21が搭載されたCCDユニット23と、を備えて構成されている。なお、CCDセンサ21としては、不可視領域、例えば赤外光領域における波長の光を検出可能なものを用いる。
【0013】
第1の光学系ユニット15は、図1及び図2に示すように、コンタクトガラス13上に置かれた原稿Dに光を照射することで原稿Dを照明する蛍光灯等の光源25と、光源25からの照射光を効率よく原稿Dに導くための反射板27と、原稿Dよりの反射光の光路を略90度方向に曲げるための第1のミラー29と、後述する赤外線LED(本発明の「不可視光源」又は「赤外光源」に相当)から照射されてきた赤外光を原稿Dに対してほぼ均一に導くための導光部材(本発明の「導光部材」に相当)31と、を含んで構成されている。
【0014】
第2の光学系ユニット17は、第1のミラー29からの反射光の光路を略90度方向に曲げるための第2のミラー33と、第2のミラー33からの反射光の光路を略90度方向に曲げるための第3のミラー35と、を備えて構成されている。
【0015】
このように構成された画像読取装置11では、コンタクトガラス13上に載置された原稿Dから反射されてきた光(光源25からの照射光、並びに赤外光)は、第1のミラー29,第2のミラー33,及び第3のミラー35によってその光路が曲げられて、集光レンズ群19を介して集光され、CCDセンサ21上において結像し、CCDユニット23において電気信号に変換され、原稿画像の濃淡が電気信号レベルの高低に変換される。このようにして、原稿画像が読み取られるとともに、原稿サイズの検知が行われる。この際に、第1の光学系ユニット15が、副走査方向である方向Aに沿って走行すると、これに伴って、第2の光学系ユニット17が方向Bに沿って、第1の光学系ユニット15における走行距離の半分だけ走行するように動作する。これにより、光学系の光路長を一定に保ちながら、原稿Dが走査される。
【0016】
ここで、ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知するといった本発明の目的を実現するために、図3に示すように、第1の光学系ユニット15とは別体の、画像読取装置本体11の筐体側には、第1の光学系ユニット15の走査範囲内であって、第1の光学系ユニット15における長手方向(主走査方向)に沿ってその両側方から赤外光を照射するための、一対の赤外線LED37a,37bが設けられている。従って、一対の赤外線LED37a,37bから照射されてきた赤外光は、導光部材31のはたらきによって方向Zに曲げられて、原稿Dに対してほぼ均一に導かれるように照射される。そして、こうして照射された赤外光における原稿Dからの反射光を、CCDセンサ21が検出することを通じて、原稿Dの長手方向(主走査方向)におけるサイズ検知がなされることになる。
【0017】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像読取装置によれば、原稿サイズの検知を行うための光源として、赤外線LED37a,37bを採用するとともに、この赤外線LED37a,37bから照射されてきた赤外光を原稿Dに対してほぼ均一に導くための導光部材31を、原稿Dを光学的に走査するための第1の光学系ユニット15に設けたので、従って、ヒトの網膜を刺激しない不可視光である赤外光が、導光部材31を介して原稿Dに対してほぼ均一に導かれることを通じて、原稿サイズの検知が行われる結果として、ユーザに不快感を与えることなく、原稿サイズを高精度で検知することができる。
【0018】
しかも、導光部材31は、比較的安価な樹脂部材を用いて構成することが出来るため、赤外線LEDを複数設けた場合と比較して、コスト面でも有利である。
【0019】
また、導光部材31により赤外光がほぼ均一に原稿面に対して導かれるため、照射ムラの影響をきわめて低いレベルに抑制することができる。
【0020】
さらに、原稿サイズの検知を行うための光源である、赤外線LED37a,37bを、画像読取装置本体11の筐体側に設けたので、赤外線LED37を第1の光学系ユニット15に設ける場合と比較して、配線材として走査動作に耐え得るように柔軟かつ耐久性のある素材を選ぶことが不要となるとともに、配線の取り回しに係る設計上の拘束からも開放される結果として、その配線に係る労力を格段に低減することができる。
【0021】
なお、赤外光量の不足が懸念される場合には、原稿サイズ検知のタイミングにおいて、CCDセンサ21の蓄積時間を長くすることで出力電圧を高めるように構成すればよい。
【0022】
[その他]
本実施例では、画像読取装置本体11の筐体側に、第1の光学系ユニット15の走査範囲内であって、第1の光学系ユニット15における長手方向(主走査方向)に沿ってその両側方から赤外光を照射するための、一対の赤外線LED37a,37bを設ける例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、一対の赤外線LED37a,37bのうち、いずれか一方を省略する構成を採用することもできる。
【0023】
また、複数の赤外線LED、並びに、これら赤外線LEDから照射されてきた不可視光を原稿に対してほぼ均一に導くための導光部材の両者を、第1の光学系ユニット15に対して設ける態様も、本発明における技術的範囲の射程に包含される。
【0024】
最後に、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像読取装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る画像読取装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る画像読取装置の要部を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る画像読取装置の動作説明に供する図である。
【図4】参考例に係る画像読取装置の動作説明に供する図である。
【符号の説明】
【0026】
11 画像読取装置本体
13 コンタクトガラス
15 第1の光学系ユニット(走査体)
17 第1の光学系ユニット
19 集光レンズ群
21 CCDセンサ
23 CCDユニット
31 導光部材(導光部材)
37a,37b 赤外線LED(不可視光源、又は赤外光源)
D 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を光学的に走査することにより、原稿画像の読み取り、及び原稿サイズの検知を行うための走査体を備えて構成される画像読取装置であって、
前記原稿サイズの検知を行うための光源として、不可視領域の光源を採用するとともに、当該不可視光源から照射されてきた不可視光を前記原稿に対してほぼ均一に導くための導光部材を、前記走査体に設けた
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記不可視光源は赤外光源である
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記不可視光源を、前記走査体とは別体の筐体側に設けた
ことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−166891(P2008−166891A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350869(P2006−350869)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】