説明

画像読取装置

【課題】画像読取装置のキャリッジ駆動装置に関して、モーターの出力軸と駆動軸との位置精度を充分に確保して、両軸間のギヤの噛み合い状態を好適化する。
【解決手段】駆動軸と、駆動軸に固定したプーリーに巻き掛けられる巻掛伝動体と、モーターを駆動源にして駆動軸を正逆双方向へ回転駆動する駆動構造などでキャリッジ駆動装置を構成する。駆動構造は、モーターブラケットに固定されるモーターと、モーターの出力軸に固定される出力ギヤと、駆動軸に固定されて出力ギヤと噛み合う受動ギヤとを含む。モーターブラケットに、駆動軸に嵌合する位置決め穴を設ける。位置決め穴を駆動軸に嵌合して位置決めした状態で、モーターブラケットをフレームに締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機、スキャナー、ファクシミリなどに適用される画像読取装置に関し、特にキャリッジ駆動装置を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置においては、プラテンガラスの下面側にスキャナユニットを配置し、同ユニットをキャリッジで一方向へ移動させて、プラテンガラス上に載置された原稿をスキャナユニットで読み込む。この種のキャリッジを駆動させる駆動装置に関して特許文献1が公知である。特許文献1では、モーターの動力をギヤを介して駆動軸に伝動し、駆動軸に固定したプーリーでワイヤーを往復操作してキャリッジを移動させている。前後に長い駆動軸の前端および後端は、それぞれ前フレームおよび後フレームに設けた軸受穴で支持されている。モーターはモーターブラケットに組み付けられており、モーターブラケットを後フレームに締結することにより、モーターの動力をギヤ構造を介して駆動軸に伝動できるようにしている。上記のワイヤーに換えてベルトを伝動要素とする画像読取装置も広く知られている。
【0003】
上記のギヤ構造は、モーターの出力軸に固定される出力ギヤと、出力ギヤと噛み合う第1アイドルギヤと、同アイドルギヤに同行して回転する第2アイドルギヤと、第2アイドルギヤと噛み合う受動ギヤとで構成されている。各ギヤはいずれも斜歯ギヤで構成されている。第1アイドルギヤと、第2アイドルギヤは一体に形成されており、そのギヤ軸がモーターと共にモーターブラケットに組み付けられている。このように、モーターブラケットに第1アイドルギヤおよび第2アイドルギヤを組み付けると、モーターの出力軸とアイドルギヤ軸との位置精度を高めて、出力ギヤと第1アイドルギヤとの噛み合い状態を好適化することができる。なお、受動ギヤは駆動軸に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−082397号公報(段落番号0009、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のキャリッジ駆動装置によれば、モーターの出力軸とアイドルギヤ軸との位置精度を高めて、出力ギヤと第1アイドルギヤとの噛み合い状態を好適化することができる。また、各伝動ギヤを斜歯ギヤで構成するため、各ギヤの噛み合い状態をさらに好適化することができる。しかし、モーターブラケットを後フレームに締結して、第2アイドルギヤと受動ギヤを噛み合せるため、アイドルギヤ軸と駆動軸との位置精度にばらつきを生じやすい。ばらつきの度合によっては、アイドルギヤと受動ギヤの噛み合いが不適切になって、ギヤ騒音や振動を発生するおそれがある。
【0006】
また、特許文献1では前後に長い駆動軸の前端および後端は、それぞれ前フレームおよび後フレームに設けた軸受穴で支持されている。そのため、キャリッジを駆動するとき、駆動軸の中央部分に振れが生じてギヤ騒音や振動が生じるおそれがある。駆動軸に振れが生じる状態では、前後に設けられたキャリッジ駆動装置を均等に駆動することが困難であり、原稿の画像の取り込みを適正に行なうことができない。このような振れを規制するには、駆動軸の直径を大きくすることが有効であるが、そうすると駆動軸の素材コストや加工コストが高く付く。
【0007】
アイドルギヤ軸と駆動軸との位置精度を向上するためには、組立状態におけるモーターと駆動軸の位置精度を高めることが好適である。具体的には、後フレームとモーターブラケットの加工精度を向上し、さらに、モーターブラケットと後フレームとを位置決め構造で高度に位置決めして、組立状態における誤差の集積を避けると、先の位置精度を高めることができる。しかし、その場合には、後フレームとモーターブラケットの加工コストが嵩むうえ、余分に位置決め構造のコストも必要となり、全体としてキャリッジ駆動装置の製造コストが嵩む。
【0008】
本発明の目的は、キャリッジ駆動装置に関して、モーターの出力軸と駆動軸との位置精度を充分に確保して、モーターと駆動軸との間のギヤの噛み合い状態を好適化でき、したがって、原稿の画像の取り込みを常に適正に行なうことができる画像読取装置を提供することにある。
本発明の目的は、モーターの出力軸と駆動軸との位置精度を充分に確保しながら、駆動軸の振れを規制でき、さらにモーターの取付構造を簡素化してキャリッジ駆動装置の全体コストを削減できる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像読取装置には、
プラテンガラスの下方に配されて、スキャナユニットの光学系部品が組み付けられるキャリッジと、
フレームで支持される駆動軸と、
前記駆動軸に固定したプーリーに巻き掛けられる巻掛伝動体、モーターブラケットに固定されるモーター、該モーターの出力軸に固定される出力ギヤ、および前記駆動軸に固定されて、該出力ギヤと噛み合う受動ギヤとを含み、該モーターを駆動源にして前記駆動軸を正逆双方向へ回転駆動する駆動構造と、
前記モーターブラケットに設けられて、前記駆動軸に嵌合する位置決め穴と、
を備え、
前記位置決め穴を前記駆動軸に嵌合して位置決めした状態で、前記モーターブラケットが前記フレームに締結する。
【0010】
モーターブラケットに軸受体を設ける。軸受体の軸受穴で位置決め穴を兼ねる。
【0011】
前記フレームは、前後のフレームを有し、
前後のフレームに設けた軸受体で支持する。駆動軸の軸端寄りを、モーターブラケットに設けた軸受体で支持して駆動軸の振れを規制する。
【0012】
モーターブラケットは、フレームと平行な主面壁と、フレームに締結される第1締結座とを含んで構成する。出力ギヤと前記受動ギヤとは、主面壁とフレームとの対向空間に収容する。受動ギヤの前後において駆動軸を2個の軸受体で支持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るキャリッジ駆動装置においては、モーターブラケットに固定されるモーターと、モーターの出力軸に固定される出力ギヤと、駆動軸に固定される受動ギヤ等で、駆動軸の駆動構造を構成して、モーターの動力をギヤを介して駆動軸へ伝動するようにした。また、モーターブラケットに、駆動軸に嵌合する位置決め穴を設け、この位置決め穴を駆動軸に嵌合して位置決めした状態で、モーターブラケットをフレームに締結するようにした。
【0014】
このように駆動軸を利用してモーターブラケットを位置決めし、フレームに締結すると、モーターの出力軸と駆動軸との位置精度を充分に確保して、モーターと駆動軸との間のギヤの噛み合い状態を好適化できる。したがって、キャリッジをキャリッジ駆動装置で円滑に駆動して、原稿の画像の取り込みを適正に行なえる画像読取装置を得ることができる。さらに、モーターブラケットに位置決め穴を付加することで、モーターの駆動軸に対する位置決めを精度良く行なえるので、モーターの取付構造がいたずらに複雑になるのを避けて、キャリッジ駆動装置の全体コストを削減することができる。駆動軸を基準にしてモーターブラケットが組み付けられる構造であるため、モーターブラケットの組立をより簡便に行なうことができる。
【0015】
モーターブラケットに軸受体を設けて、その軸受穴が位置決め穴を兼ねるようにする。これによれば、モーターブラケットの位置決めを行ないながら、回転時の抵抗を最小限化した状態で駆動軸を好適に支持することができる。また、必要に応じて軸受体を新規な軸受体と交換することにより、駆動軸の軸受状態を更新して、その位置精度を維持できる利点もある。
【0016】
駆動軸を前後のフレームに設けた軸受体で支持し、さらに駆動軸の軸端寄りをモーターブラケットに設けた軸受体で支持する。これによれば、長尺の駆動軸の前後3箇所を各軸受体で支持して駆動軸の回転振れを規制できるため、振動や騒音を抑制できる。また、駆動軸の回転振れを抑制することにより駆動軸の直径寸法を小さくすることができるので、その素材コストおよび加工コストを削減できる。
【0017】
フレームに締結したモーターブラケットの主面壁とフレームとの対向空間に、出力ギヤと前記受動ギヤとを収容し、受動ギヤの前後において駆動軸を2個の軸受体で両持ち支持状に支持する。これによれば、受動ギヤの位置精度を高精度化し、同時に回転振れを規制することができる。したがって、出力ギヤと受動ギヤとの噛み合い状態をさらに好適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像読取装置の横断平面図である。
【図2】画像読取装置の適用例を示す複合機の正面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】画像読取装置の縦断正面図である。
【図5】キャリッジ駆動装置を示す縦断側面図である。
【図6】モーターユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
図1から図6に、本発明に係る画像読取装置を、コピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機に適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において複合機は、記録部1と、記録部1の上側に配置される画像読取部(画像読取装置)2とを備えている。記録部1には、画像記録装置3や定着装置4などが設けられている。画像読取部2の上面には、原稿読取面を開閉するプラテンカバー5が設けられ、その上部に自動原稿読取部(ADF)6が組み込まれている。画像読取部2の前面には、操作パネル7が設けられている。記録部1の下方には紙サイズの異なる用紙を収容する給紙カセット8が多段状に配置されている。画像記録装置3や定着装置4を経由して画像が記録された用紙は、画像読取部2の下方の排紙空間9に排出される。
【0020】
図3および図4において画像読取部2は、原稿載置台を兼ねるハウジング11の上面にプラテンガラス12を配置し、同ガラス12の下方の機器室13に、スキャナユニット14の光学系を支持するキャリッジ15と、キャリッジ駆動装置などを配置して構成されている。機器室13は、ハウジング11とプラテンガラス12とで区画されており、その内部にフレーム16を配置して、キャリッジ15やキャリッジ駆動装置を支持している。フレーム16は、前後に対向する前フレーム17と後フレーム18、およびこれら両フレーム17・18の両側端を繋ぐ左フレーム19、および右フレーム20とで四角枠状に形成されている。フレーム16は、それぞれハウジング11の底壁を構成するフレームベース21に図示していないボルトで締結されている。図3において符号34は、フレームベース21に固定したCCDイメージセンサーを示す。
【0021】
図3においてキャリッジ15は、第1キャリッジ24と、第2キャリッジ25とで構成されている。第1・第2の両キャリッジ24・25は前後に長い枠状の構造体からなり、それぞれの前後端に設けたスライダー26を、前後フレーム17・18に設けたガイド壁27で案内することにより、該スライダー26をガイド壁27に沿って往復スライドさせることができる。第2キャリッジ25には、プラテンガラス12を介して原稿を照射する光源30と、原稿の画像の光軸を第1キャリッジ24へ向かって変向する第1ミラー31とが配置されている。また、第1キャリッジ24には、第1ミラー31で変向された原稿の画像の光軸を下向きに変向する第2ミラー32と、第2ミラー32で変向された原稿の画像の光軸をCCDイメージセンサー34へ向かって変向する第3ミラー33とが配置されている。スキャナユニット14は、上記の光源30と、第1から第3の各ミラー31〜33、およびCCDイメージセンサー34で構成されており、CCDイメージセンサー34を除く光学系部品が、第1・第2の両キャリッジ24・25に配置されている。
【0022】
キャリッジ駆動装置は、第1・第2の各キャリッジ24・25に対応して設けられる、第1キャリッジ駆動系37と第2キャリッジ駆動系38とで構成される。図3および図4に示すように、第1・第2の各キャリッジ駆動系37・38は、それぞれ前フレーム17および後フレーム18に沿って配置されており、これら一対の第1・第2の各キャリッジ駆動系37・38で、第1・第2の各キャリッジ24・25を同時に駆動することができる。
【0023】
第1キャリッジ駆動系37は、駆動軸40と、プーリー軸41と、これらの軸40・41で支持されるプーリー42・43と、両プーリー42・43に巻き掛けられる無端状のベルト(巻掛伝動体)44と、モーター56を駆動源とする駆動構造などで構成される。駆動軸40は、キャリッジ15の走査ストロークの終端寄り(図3では右端寄り)に配置されており、その前端および後端寄りのそれぞれが、前後フレーム17・18で支持されている。また、プーリー軸41は、走査ストロークの始端寄り(図3では左端寄り)に配置されており、前フレーム17および後フレーム18で図示していないブラケットを介して個別に支持されている。駆動軸40側のプーリー42は、駆動軸40に固定されて同軸40に同期して回転できる。プーリー軸41側のプーリー43は、プーリー軸41で自由に回転できる状態で支持されている。キャリッジ15の走査ストロークの始端寄りにおいて、第1キャリッジ24をベルト44の上側の直線部に連結することにより、第1キャリッジ24は、両プーリー42・43の間を往復できる。
【0024】
第2キャリッジ駆動系38は、駆動軸40と、プーリー軸46と、これらの軸40・46で支持されるプーリー47・48と、両プーリー47・48に巻き掛けられるベルト(巻掛伝動体)49と、モーター56を駆動源とする駆動構造などで構成される。第2キャリッジ駆動系38は、第1キャリッジ駆動系37における駆動軸40と、モーター56を駆動源とする駆動構造を共用するように構成される。
【0025】
プーリー軸46は、走査ストロークの始端端寄り(図3では左端寄り)に配置されて、前フレーム17および後フレーム18でブラケットを介して個別に支持されている。駆動軸40側のプーリー47は、駆動軸40に同期して回転できるよう同軸40に固定されて、先に説明したプーリー42に隣接している。プーリー軸46側のプーリー48は、プーリー軸46で自由に回転できる状態で支持されて、先のプーリー43より僅かに高い位置に配置されている(図4参照)。キャリッジ15の走査ストロークの始端寄りにおいて、第2キャリッジ25をベルト49の上側の直線部に連結することにより、第2キャリッジ24は両プーリー47・48の間を往復することができる。第2キャリッジ駆動系38における駆動軸40側のプーリー47のプーリー径は、第1キャリッジ駆動系37における駆動軸40側のプーリー42のプーリー径の2倍に設定されている。このプーリー径の違いによって、第2キャリッジ25は第1キャリッジ24の2倍の速さで移動することができる。
【0026】
図5に示すように、駆動軸40の前後は、前後フレーム17・18に設けた軸受体51で支持されている。軸受体51は金属製のベアリングからなり、その筒壁の外面が前後フレーム17・18の軸受壁52に嵌め込み装着されて、筒壁の内面で駆動軸40の軸周面を支持している。
【0027】
図5において、駆動軸40の駆動構造は、モーターブラケット55と、同ブラケット55に固定されるモーター56と、モーター56の出力軸57に固定される出力ギヤ58と、駆動軸40に固定される受動ギヤ59とで構成される。出力ギヤ58および受動ギヤ59は、それぞれ斜歯ギヤで形成してあり、両ギヤ58・59が噛み合うことにより、モーター56の回転動力を駆動軸40に伝動できる。
【0028】
図6に示すように、モーターブラケット55は、先の軸受壁52と平行な主面壁61と、主面壁61の上端および下端に連続して折り曲げられる第1締結座62、および第2締結座63を一体に備えたプレス金具からなる。第1締結座62が横臥L字状に形成されて主面壁61から前向きに折り曲げてあるのに対し、平板状の第2締結座63は主面壁61から後向きに折り曲げてある。両締結座62・63には、それぞれボルト挿通穴が形成されている。主面壁61の中央付近には、モーター56の出力軸57および出力ギヤ58を通すための通口65が開口されており、この通口65の後面側にモーター56が締結されている。
【0029】
上記のモーターブラケット55は、図5に示すように、第1締結座62を後フレーム18にビス64で締結し、さらに第2締結座63をフレームベース21にビス64で締結することによりフレーム16と一体化される。この組み付け状態において、モーター56の出力軸57と駆動軸40との位置精度を充分に確保して、出力ギヤ58と受動ギヤ59を好適に噛み合わせるために、通口65の右側に隣接して軸受体66を設け、駆動軸40の後端を先の軸受66の軸受穴67で支持する。
【0030】
軸受体66は、金属製のベアリングからなり、その軸受穴67が、モーターブラケット55の位置決め穴68を兼ねている。実際の組立過程では、各プーリー42・47が装着された駆動軸40の前後端を、前フレーム17および後フレーム18に組み付けて軸受体51で支持したのち、先の軸受体66の軸受穴67を駆動軸40に差し込んで、モーターブラケット55を位置決めする。この状態で、出力ギヤ58を受動ギヤ59に噛み合わせ、両締結座62・63を後フレーム18およびフレームベース21にそれぞれビス64で締結する。締結後の主面壁61は、後フレーム18の軸受壁52と大きな隙間を間に挟んで前後に対向しており、主面壁61と軸受壁52との対向空間70の内部に、出力ギヤ58と受動ギヤ59とが収容されている。
【0031】
以上のように、駆動軸40を組み付け基準に利用してモーターブラケット55を位置決めし、その状態でモーターブラケット55を軸受壁52およびフレームベース21に固定すると、出力軸57と駆動軸40との軸間距離の精度を高度化できる。これにより、出力ギヤ58と受動ギヤ59との噛み合い状態を好適化して、従来のキャリッジ駆動装置において問題となっていた騒音や振動の発生を低減できる。また、駆動軸40を円滑に駆動できるので、キャリッジ15を適正に駆動して原稿の画像の取り込みを好適に行なうことができる。さらに、モーターブラケット55に軸受体66を付加し、駆動軸40を基準にしてモーターブラケット55を位置決めするため、専用の位置決め構造を設ける場合に比べて、モーター56の取付構造を低コスト化できる。ベルト44・49の交換のためにモーターブラケット55を後フレーム18から取り外すような場合でも、駆動軸40を基準にして、モーターブラケット55の再組立を適切にしかも迅速に行なうことができる。
【0032】
また、上記構成のキャリッジ駆動装置においては、駆動軸40の前部1箇所と後部2個所の合計3箇所を3個の軸受体51・66で支持するため、後端に配置した軸受体66で駆動軸40の回転振れを規制できる。前後に長い駆動軸は、前後の軸受体51・51の間の中央付近で回転振れを生じやすいが、その後端の軸部分を軸受体66で支持することにより、中央付近における回転振れを規制できるからである。また、軸受体66で回転振れを規制することにより、駆動軸40の直径寸法を小さくして、その素材コストおよび加工コストを削減できる。なお、従来の駆動軸の直径寸法は8mmであったが、この実施例における駆動軸40は、その直径寸法を6mmとしても回転振れを規制でき、モーターブラケット55に設けた軸受体66による振れ規制作用を確認することができた。
【0033】
モーターブラケット55を後フレーム18に締結した状態においては、出力ギヤ58と受動ギヤ59とが主面壁61と軸受壁52との対向空間70に収容され、受動ギヤ59の前後において駆動軸40が2個の軸受体51・66で支持される。そのため、受動ギヤ59の位置精度を高精度化し、同時に回転振れを規制でき、全体として出力ギヤ58と受動ギヤ59との噛み合い状態をさらに好適化できる。
【0034】
上記の実施例では、モーターブラケット55に装着した軸受体66の軸受穴67を利用して位置決め穴68としたが、その必要はない。例えば、主面壁61に位置決め穴68を形成しておき、これを駆動軸40に嵌合してモーターブラケット55を駆動軸40に対して位置決めすることができる。また、位置決め穴68は丸穴である必要はなく、多角形状の穴で形成することができ、要は、駆動軸40の周面に対して3個所以上で同時に外接する穴であればよい。さらに、駆動軸40を支持する軸受部分は少なくとも2個所あればよく、4個所以上あってもよい。
【0035】
巻掛伝動体44はベルトである必要はなく、ワイヤーやタイミングベルト、チェーンなどの巻掛伝動体44を適用することができる。また、キャリッジ15は第1キャリッジ24と第2キャリッジ25で構成する必要はなく、少なくとも1個のキャリッジを備えていればよい。その場合には、キャリッジ駆動系は、少なくとも1系統あればよい。
【0036】
必要があれば、モーターブラケット55に1個ないし複数のアイドルギヤを設けて、出力ギヤ58の動力をアイドルギヤを介して受動ギヤに伝動することができる。キャリッジは、フレーム16に固定したガイド軸やガイドレールで案内することができる。上記の実施例においては、軸受体66を金属製のベアリングで構成したが、ブッシュ状のプラスチック成形品で構成することもできる。同様に、軸受体51は、滑性に優れたブッシュ状のプラスチック成形品や、銅合金製のすべり軸受で構成することができる。さらに、軸受体51・66は、本発明の目的を達成できる限り、他の素材で形成してあってもよい。出力ギヤ58および受動ギヤ59は、斜歯ギヤ以外に、平歯ギヤや傘歯ギヤで形成することができる。
【符号の説明】
【0037】
12 プラテンガラス
13 機器室
14 スキャナユニット
15 キャリッジ
16 フレーム
18 後フレーム
40 駆動軸
42・47 プーリー
44・49 巻掛伝導体(ベルト)
51 軸受体
55 モーターブラケット
56 モーター
57 出力軸
58 出力ギヤ
59 受動ギヤ
66 軸受体
67 軸受穴
68 位置決め穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンガラスの下方に配されて、スキャナユニットの光学系部品が組み付けられるキャリッジと、
フレームで支持される駆動軸と、
前記駆動軸に固定したプーリーに巻き掛けられる巻掛伝動体、モーターブラケットに固定されるモーター、該モーターの出力軸に固定される出力ギヤ、および前記駆動軸に固定されて、該出力ギヤと噛み合う受動ギヤとを含み、該モーターを駆動源にして前記駆動軸を正逆双方向へ回転駆動する駆動構造と、
前記モーターブラケットに設けられて、前記駆動軸に嵌合する位置決め穴と、
を備え、
前記位置決め穴を前記駆動軸に嵌合して位置決めした状態で、前記モーターブラケットが前記フレームに締結してあることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記モーターブラケットに軸受体が設けられており、
前記軸受体の軸受穴が前記位置決め穴を兼ねている請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記フレームは、前後のフレームを有し、
前記駆動軸が、前記前後のフレームに設けた軸受体で支持されており、
前記駆動軸の軸端寄りを、前記モーターブラケットに設けた軸受体で支持して、前記駆動軸の振れを規制する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記モーターブラケットが、
前記フレームと平行な主面壁と、
前記フレームに締結される第1締結座とを含んで構成されており、
前記出力ギヤと前記受動ギヤとが、前記主面壁と前記フレームとの対向空間に収容されており、
前記受動ギヤの前後において前記駆動軸が2個の前記軸受体で支持してある請求項2または3に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−33135(P2011−33135A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180647(P2009−180647)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】