説明

画像追跡装置及び画像追跡方法

【課題】ライブ映像中の特定の物体を画像特徴により追跡する際に、似た特徴を持った別の物体等の誤検出を防止する。
【解決手段】画像追跡装置12は、第1映像通信端末11から配信された映像を受信し、該映像を第2映像通信端末13に送信する映像送信部123と、前記第2映像通信端末13から追跡画像の情報を取得し、該追跡画像の類似画像を前記映像中から探索する類似画像探索部124と、類似画像が存在する場合にはマーカー設置領域を決定するマーカー設置領域決定部125と、前記映像から追跡画像を探索するとともに、類似画像が存在しない場合には、前記探索した追跡画像に目印画像を合成した第1の合成映像を第1映像通信端末11及び第2映像通信端末13に送信し、類似画像が存在する場合には、前記探索した追跡画像に前記マーカー設置領域を重畳した第2の合成画像を第1映像通信端末11に送信する追跡・合成処理部121と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像中で特定の追跡画像を自動的に追跡する画像追跡装置及び画像追跡方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像通信システムは、既に一般に普及しており、高価なビジネス向けテレビ会議システムだけでなく、一般向けの携帯電話を映像通信端末としたテレビ会議システムにも実装されるに至っている。
【0003】
映像通信システムの一般的な課題として、映像に映っている物体に対して、通常の対面での会話のように「あれ」「それ」といった指示語やジェスチャで指し示して話をすることが困難であることが挙げられる。この問題を解決するために、映像通信端末間で同一の映像を共有し、その共有された映像の中に映像通信端末のユーザーが通信する映像中に図形を書き込み、映像と図形を重畳して表示可能なシステムも実用化されている(例えば、非特許文献1参照)。これらのシステムの多くはテレビ会議映像とは別に、ホワイトボードや電子ファイル、Webページ等の画面を各映像通信端末間で共有して書きこむものであるが、テレビ会議映像への図形の重畳が可能な画像追跡システムも知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“リアルコラボ”、[online]、NTTソフトウェア株式会社、[2011年5月26日検索]、インターネット〈URL:http://www.ntts.co.jp/products/realcollabo/index.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、従来の画像追跡システムにおける映像通信端末のユーザーインターフェースを示す図である。図7を参照して、従来技術の課題を述べる。図7に示すユーザーインターフェース3の映像表示部31には、映像コミュニケーションを行っている相手が撮影したライブ映像が表示されている。ユーザーインターフェース3を使用しているユーザーは、ライブ映像の中で追跡したい画像(以下、追跡画像という)Aを特定する。例えばマウスのドラッグ操作により、追跡画像Aの領域(以下、追跡領域という)を指定する。併せて、ユーザーは追跡領域であることを示すための目印画像を目印画像一覧32から選択し、映像表示部31は、追跡画像Aに目印画像を重畳して表示させる。画像追跡装置側では、ユーザーが指定した追跡画像Aの特徴を計算し、その画像特徴によく一致する画像をライブ映像中から探索するという処理を、ユーザーが追跡領域を指定した後に継続して行う。そして、映像表示部31は、探索された追跡画像Aに、指定された目印画像を重畳して表示する。
【0006】
このとき、図7に示す通り、同一フレーム内に、ユーザーが指定した追跡画像Aと類似する類似画像B及びCが存在する場合、上記の探索処理に問題が生じる。具体的には、ユーザーが指定した追跡画像A、類似画像B及びCのいずれが追跡画像Aであるか、判断が付かなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題を鑑みて為されたものであり、ライブ映像中の特定の物体を画像特徴により追跡する際に、似た特徴をもった別の物体等の誤検出を防止する画像追跡装置及び画像追跡方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、追跡領域と類似領域との混同を防止するための物理的なマーカーを設置する。具体的には、マーカーを設置すべき領域を映像中に重畳表示することで、ユーザーにマーカーの設置を促す。
【0009】
また、本発明では、設置されたマーカーが含まれるように、追跡領域を修正して拡大する。追跡領域を指定するユーザーが手動で追跡領域の拡大を行うことも可能であるが、マーカーが設置されたマーカー領域を探索し、ユーザーインターフェースにより指定された元々の追跡領域に、マーカー領域を自動的に含めるようにすることで操作の利便性を向上させる。
【0010】
すなわち、本発明による画像追跡装置は、映像中で特定の追跡画像を自動的に追跡する画像追跡装置であって、第1の映像通信端末から配信された映像を受信し、該映像を第2の映像通信端末に送信する映像送信部と、前記第2の映像通信端末から追跡画像の情報を取得し、該追跡画像に類似する類似画像を前記映像中から探索する類似画像探索部と、前記類似画像が存在する場合には、前記追跡画像から所定の範囲内に、物理的なマーカーを設置する領域を示すマーカー設置領域を決定するマーカー設置領域決定部と、前記映像から前記追跡画像を探索するとともに、前記類似画像が存在しない場合には、前記探索した追跡画像に目印画像を合成した第1の合成映像を前記第1の映像通信端末及び前記第2の映像通信端末に送信し、前記類似画像が存在する場合には、前記探索した追跡画像に前記マーカー設置領域を重畳した第2の合成画像を前記第1の映像通信端末に送信する追跡・合成処理部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による画像追跡方法は、映像中で特定の追跡画像を自動的に追跡する画像追跡方法であって、第1の映像通信端末から配信された映像を受信し、該映像を第2の映像通信端末に送信するステップと、前記第2の映像通信端末から追跡画像の情報を取得し、該追跡画像に類似する類似画像を前記映像中から探索するステップと、前記映像から前記追跡画像を探索するステップと、前記類似画像が存在しない場合には、前記探索した追跡画像に目印画像を合成した第1の合成映像を前記第1の映像通信端末及び前記第2の映像通信端末に送信するステップと、前記類似画像が存在する場合には、前記探索した追跡画像に前記マーカー設置領域を重畳した第2の合成画像を前記第1の映像通信端末に送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像中の特定の物体を画像特徴により追跡する際に、自動的に誤検出を防ぐのではなく、ユーザーによる誤検出防止用の物理的なマーカーの設置を効率的に支援することで、簡易な仕組みで誤検出を防ぐことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による第1の実施形態の画像追跡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による第1の実施形態の画像追跡システムにおけるマーカー設置領域の一例を示す図である。
【図3】本発明による第1の実施形態の画像追跡システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明による第2の実施形態の画像追跡システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明による第2の実施形態の画像追跡システムにおける拡大追跡領域の一例を示す図である。
【図6】本発明による第2の実施形態の画像追跡システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】映像通信端末のユーザーインターフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明による画像追跡装置及び画像追跡方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の画像追跡システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像追跡システム1は、第1映像通信端末11と、画像追跡装置12と、第2映像通信端末13とを備える。第1映像通信端末11と、画像追跡装置12と、第2映像通信端末13とは、それぞれネットワークを介して接続される。
【0016】
第1映像通信端末11は、映像通信端末間で共有する映像を配信する通信端末である。第1映像通信端末11は、映像配信部111と、映像表示部112とを備える。映像配信部111は、撮影装置10で撮影されたライブ映像を取得し、取得したライブ映像を画像追跡装置12に送信する。映像表示部112は、画像追跡装置12から送信されるライブ映像をディスプレイに表示し、第1映像通信端末11のユーザー(以下、ユーザーU1と称する)に提示する。
【0017】
画像追跡装置12は、撮影装置10で撮影された映像中の特定の物体が、映像中でどこに映っているかを画像処理により自動的に追跡する装置である。画像追跡装置12は、追跡・合成処理部121と、追跡画像記憶部122と、映像送信部123と、類似画像探索部124と、マーカー設置領域決定部125とを備える。
【0018】
追跡画像記憶部122は、第2映像通信端末13のユーザー(以下、ユーザーU2と称する)によって指定された追跡画像を、追跡・合成処理部121が追跡処理の際に使用するテンプレート画像として記憶する。追跡画像記憶部122は、テンプレート画像に加えて、追跡画像に重畳して表示させる目印画像の識別子iを組にして記憶する。なお、第2映像通信端末13と画像追跡装置12との間で、目印画像の識別子iと目印画像のデータの組は事前に共有されているものとする。
【0019】
追跡・合成処理部121は、ユーザーU2による追跡領域の指定がなされていない初期状態においては、映像配信部111から受信したライブ映像をそのまま映像送信部123に出力する。また、追跡・合成処理部121は、ユーザーU2による追跡領域Tの指定がなされた場合には、追跡画像記憶部122から追跡画像を取得し、映像配信部111から受信したライブ映像中から、追跡画像を画像処理により探索する。例えば、追跡画像記憶部122から取得した追跡画像と、各フレーム内における追跡領域と同じサイズの画像とのマッチング処理を施し、追跡画像との類似度が所定の閾値を超える画像を探索する。そして、追跡・合成処理部121は、探索した追跡画像に事前に登録された目印画像を合成した合成映像を生成し、生成した合成映像を映像送信部123に出力する。
【0020】
映像送信部123は、追跡・合成処理部121から入力されるライブ映像(合成映像を含む)を第1映像通信端末11及び第2映像通信端末13に送信する。
【0021】
類似画像探索部124は、追跡領域指定部131から追跡領域情報を取得し、追跡・合成処理部121と同様の処理により、フレーム内で、追跡画像と類似する類似画像を探索する。具体的には、フレーム内で、追跡領域Tと同じサイズの矩形領域Sj(j=1,2,3,・・・)について相関係数rel(T,Sj)を求め、所定の閾値tに対してSjの集合Ss={Sj|rel(T,Sj)>t}を類似領域として抽出する。
【0022】
マーカー設置領域決定部125は、追跡領域Tと集合Ss、及び識別子iを類似画像探索部124から取得し、集合Ssが空集合の場合、すなわち類似領域が存在しない場合には、マーカー設置領域を設定することなく、追跡画像Aを追跡画像記憶部122に登録する。一方、集合Ssが空集合でない場合、すなわち類似領域が存在する場合には、マーカー設置領域決定部125はテンプレート画像の登録を行わず、ユーザーU1に対してマーカーの設置を促すため、マーカーを設置する領域を示すマーカー設置領域を決定する。
【0023】
なお、マーカー設置領域決定部125は、集合Ssの元の個数(類似画像の個数)が所定の閾値以下の場合に追跡画像を追跡画像記憶部122に登録し、集合Ssの元の個数が所定の閾値を超える場合にマーカー設置領域を決定するようにしてもよい。あるいは、マーカー設置領域決定部125は、追跡画像と類似画像との距離が所定の閾値を超える場合に、追跡画像を追跡画像記憶部122に登録し、追跡画像と類似画像との距離が所定の閾値以下の場合にマーカー設置領域を決定するようにしてもよい。
【0024】
マーカー設置領域決定部125は、追跡画像を含み、追跡画像から所定の距離内の画像領域をマーカー設置領域をとして決定する。図2は、マーカー設置領域の一例を示す図である。追跡領域Tの左上の座標を(x1,y1)、追跡領域Tの右下の座標を(x2,y2)とし、追跡領域Tの中心の座標Oを((x1+x2)/2,(y1+y2)/2)とすると、図2に示す例では、点Oを中心とする半径Rの円をマーカー設置領域Kとする。
【0025】
そして、マーカー設置領域決定部125は、マーカー設置領域がユーザーに対して提示されるよう、追跡・合成処理部121に対して、一定期間追跡画像にマーカー設置領域を重畳して表示するように指示する。マーカー設置領域を表示することで、ユーザーU1及びユーザーU2はそれを視認できるようになる。これにより、ユーザーU1が、撮影装置10で撮影している実空間中の、マーカー設置領域に対応する部分に、物理的なマーカーを設置することが可能となる。物理的なマーカーは、追跡領域の画像を類似領域の画像と区別できるものであればよく、例えば、特定の色のシールなどをマーカーとすることができる。
【0026】
第2映像通信端末13は、第1映像通信端末11から配信されるライブ映像を共有する端末のうち、追跡領域を指定する通信端末である。第2映像通信端末13は、追跡領域指定部131と、追跡領域送信部132と、映像表示部133とを備える。
【0027】
追跡領域指定部131は、ユーザーU2からユーザーインターフェース3を介して追跡領域情報が入力されると、追跡領域情報を追跡領域送信部132に出力する。ユーザーU2は、例えば図7に示したユーザーインターフェース3を用いて、マウスのドラッグ操作により映像中の追跡画像を矩形領域で指定し、目印画像をクリック操作により選択することにより、追跡領域情報を入力する。追跡領域情報は、追跡領域T{(x1,y1),(x2,y2)}、及び識別子iを含む。
【0028】
追跡領域送信部132は、追跡領域指定部131から入力される追跡領域情報を類似画像探索部124に送信する。
【0029】
映像表示部133は、映像送信部123から配信される映像(合成映像を含む)をディスプレイに表示し、第2映像通信端末13のユーザーU2に提示する。
【0030】
マーカーが設置された場合には、ユーザーU2は、追跡領域がマーカーを含むように、追跡領域を修正する。追跡領域指定部131は、ユーザーU2からユーザーインターフェース3を介して修正後の追跡領域情報が入力されると、修正後の追跡領域情報を追跡領域送信部132に出力し、類似画像探索部124は、追跡領域送信部132から修正後の追跡領域情報を取得する。類似画像探索部124は、修正後の追跡領域内の画像(以下、拡大追跡画像と称する)と類似する画像が同一フレーム内に存在しないことを確認し、拡大追跡画像を追跡画像記憶部122に記憶する。拡大追跡画像と類似する画像が同一フレーム内に存在する場合には、第1映像通信端末11に対して、マーカーを設定し直す旨の通知を行う。
【0031】
次に、このように構成される画像追跡システムの動作について説明する。図3は、画像追跡システム1の動作を示すフローチャートである。まず、画像追跡装置12は、映像送信部123により、第1映像通信端末11及び第2映像通信端末13に対して映像を送信し、第1映像通信端末11及び第2映像通信端末13に映像を表示させる(ステップS101)。
【0032】
第2映像通信端末13は、ユーザーU2の指示に基づいて、追跡領域指定部131により追跡領域を指定する(ステップS102)。
【0033】
画像追跡装置12は、第2映像通信端末13から追跡領域情報を受信すると、類似画像探索部124により類似領域を探索し(ステップS103)、類似領域が存在するか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104にて類似領域が存在すると判定した場合には、画像追跡装置12は、マーカー設置領域決定部125により、マーカー設置領域を決定する(ステップS105)。
【0034】
映像表示部112にマーカー設置領域が重畳された映像が表示されると、第1映像通信端末11のユーザーU1は、マーカー設置領域内に物理的なマーカーを設置する(ステップS106)。
【0035】
第2映像通信端末13のユーザーU2は、ユーザーインターフェース3により、拡大追跡領域Teを指定する(ステップS107)。
【0036】
画像追跡装置12は、追跡・合成処理部121により、拡大追跡領域Te内の画像を追跡画像として追跡する(ステップS108)。また、ステップS104にて類似領域が存在しないと判定した場合には、マーカーの設置は不要であるため、画像追跡装置12は、追跡・合成処理部121により、追跡画像を追跡する(ステップS108)。
【0037】
このように、第1の実施形態の画像追跡装置12によれば、追跡画像を追跡する際に、自動的に誤検出を防ぐのではなく、ユーザーU1による誤検出防止用の物理的なマーカーの設置を効率的に支援することで、簡易な仕組みで誤検出を防ぐことができるようになる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明による第2の実施形態の画像追跡装置について説明する。図4は、第2の実施形態の画像追跡システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、第2の実施形態の画像追跡システム2は、第1の実施形態の画像追跡システム1(図1参照)と比較して、画像追跡装置12がさらにマーカー検出部126及び追跡領域修正部127を備える点で相違する。なお、第1の実施形態と同じ構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0039】
マーカー検出部126は、マーカーの情報(例えば、マーカーの色及び/又は形状に関する情報)に基づき、マーカー画像を含むマーカー領域を検出し、検出したマーカー領域を示すマーカー領域情報を追跡領域修正部127に出力する。マーカーの情報はマーカーを設置したユーザーU1が画像追跡装置12対して通知してもよいし、予め定めておいてもよい。例えば、映像の画素値ベクトルをIcam(x,y)とすると、マーカー領域Mを、M={(x,y)|Icam(x,y)⊂R}と定めておく。ここで、Rは、画素値ベクトル空間内の特定の領域を表す。
【0040】
照明条件の変動によりマーカーを正しく検出できないことも想定されるが、Icam(x,y)をHSV表色系で表現し、明るさ以外のパラメータを用いてRを定義するなどの方法により検出率を高めることができる。また、マーカー領域がモスキートノイズ状の細かい大量の部分領域を含んでいる場合には、映像を低解像度化した(x’,y’)上で上記の抽出処理を行い、その後、(x,y)に変換し直してマーカー領域を定義することで、ある程度まとまった領域を抽出することができる。これらの処理により、マーカー検出部126はマーカーの検出率を向上させることができる。
【0041】
追跡領域修正部127は、追跡領域送信部132から追跡領域情報を取得した後、マーカー検出部126から最近に取得した映像中でのマーカー領域を取得し、マーカー領域に基づいて追跡領域を修正する。図5は、追跡領域の修正例を示す図である。図5に示すように、追跡領域T及びマーカー領域Mを含む矩形領域を修正後の追跡領域Teとする。なお、修正後の追跡領域Teは、マーカー領域Mの一部のみを包含するようにしてもよい。例えば、所定の閾値Dに対して、Mp={(x,y)|(x,y)⊂M,|(x,y)−((x1+x2)/2,(y1+y2)/2)|<D}である部分集合Mpを求め、部分集合Mp及び(x1,y1),(x2,y2)を全て包含する最小の矩形領域を、修正後の追跡領域Teとしてもよい。マーカーが設置された後、マーカーを含んだ画像が追跡対象画像となり、類似画像との混同が避けられ、ユーザーU2が意図した追跡画像に意図した目印画像が表示されることとなる。
【0042】
次に、このように構成される画像追跡システム2の動作について説明する。図6は、画像追跡システム2の動作を示すフローチャートである。ステップS201からステップS206の動作は、図3に示した画像追跡システム1のステップS101からステップS106の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
ステップS206にてユーザーU1により物理的なマーカーが設置されると、画像追跡装置12は、マーカー検出部126により、映像からマーカーの画像を検出する(ステップS207)。続いて、画像追跡装置12は、追跡領域修正部127により、追跡画像を前記マーカーの画像の一部又は全部を含む画像に修正する(ステップS208)。つまり、第1の実施形態では、ユーザーU2が手動で追跡画像を修正したが、第2の実施形態では、画像追跡装置12が自動で追跡画像を修正する。
【0044】
このように、第2の実施形態の画像追跡装置12によれば、マーカー検出部126及び追跡領域修正部127を更に備えることにより、追跡領域を自動で修正することができ、より操作が簡単となる。
【0045】
上述の各実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,2 画像追跡システム
10 撮影装置
11 第1映像通信端末
12 画像追跡装置
13 第2映像通信端末
111 映像配信部
112,133 映像表示部
121 追跡・合成処理部
122 追跡画像記憶部
123 映像送信部
124 類似画像探索部
125 マーカー設置領域決定部
126 マーカー検出部
127 追跡領域修正部
131 追跡領域指定部
132 追跡領域送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像中で特定の追跡画像を自動的に追跡する画像追跡装置であって、
第1の映像通信端末から配信された映像を受信し、該映像を第2の映像通信端末に送信する映像送信部と、
前記第2の映像通信端末から追跡画像の情報を取得し、該追跡画像に類似する類似画像を前記映像中から探索する類似画像探索部と、
前記類似画像が存在する場合には、前記追跡画像から所定の範囲内に、物理的なマーカーを設置する領域を示すマーカー設置領域を決定するマーカー設置領域決定部と、
前記映像から前記追跡画像を探索するとともに、前記類似画像が存在しない場合には、前記探索した追跡画像に目印画像を合成した第1の合成映像を前記第1の映像通信端末及び前記第2の映像通信端末に送信し、前記類似画像が存在する場合には、前記探索した追跡画像に前記マーカー設置領域を重畳した第2の合成画像を前記第1の映像通信端末に送信する追跡・合成処理部と、
を備えることを特徴とする画像追跡装置。
【請求項2】
前記映像から設置された前記マーカーの画像を検出するマーカー検出部と、
前記追跡画像を前記マーカーの画像の一部又は全部を含む画像に修正する追跡領域修正部と、を更に備え、
前記追跡・合成処理部は、前記類似画像が存在する場合には、前記追跡領域修正部により修正された追跡画像を前記映像中から探索することを特徴とする、請求項1に記載の画像追跡装置。
【請求項3】
前記類似画像探索部は、前記追跡画像との類似度が所定の閾値を超える画像を前記類似画像とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像追跡装置。
【請求項4】
前記マーカー設置領域決定部は、前記類似画像の個数が所定の閾値を超えた場合、又は、前記追跡画像と前記類似画像との距離が所定の閾値以下の場合に、前記マーカー設置領域を決定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像追跡装置。
【請求項5】
映像中で特定の追跡画像を自動的に追跡する画像追跡方法であって、
(a)第1の映像通信端末から配信された映像を受信し、該映像を第2の映像通信端末に送信するステップと、
(b)前記第2の映像通信端末から追跡画像の情報を取得し、該追跡画像に類似する類似画像を前記映像中から探索するステップと、
(c)前記映像から前記追跡画像を探索するステップと、
(d)前記類似画像が存在しない場合には、前記探索した追跡画像に目印画像を合成した第1の合成映像を前記第1の映像通信端末及び前記第2の映像通信端末に送信するステップと、
(e)前記類似画像が存在する場合には、前記追跡画像から所定の範囲内に、物理的なマーカーを設置する領域を示すマーカー設置領域を決定し、前記探索した追跡画像に前記マーカー設置領域を重畳した第2の合成画像を前記第1の映像通信端末に送信するステップと、
を含むことを特徴とする画像追跡方法。
【請求項6】
(f)前記映像から設置された前記マーカーの画像を検出するステップと、
(g)前記追跡画像を前記マーカーの画像の一部又は全部を含む画像に修正するステップと、
(h)前記ステップ(g)により修正された追跡画像を前記映像中から探索するステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の画像追跡方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)は、前記追跡画像との類似度が所定の閾値を超える画像を、前記類似画像とすることを特徴とする、請求項5又は6に記載の画像追跡方法。
【請求項8】
前記ステップ(e)は、前記類似画像の個数が所定の閾値を超えた場合、又は、前記追跡画像と前記類似画像との距離が所定の閾値以下の場合に、前記マーカー設置領域を決定することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像追跡方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−252601(P2012−252601A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125720(P2011−125720)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】