説明

画像送信システム、中継装置及びコンピュータプログラム

【課題】ファクシミリ通信機能を有する画像送信装置と、画像送信装置と通信網を介して接続された中継装置とを備えるシステムにおいて、ファクシミリ送信に際し、回線の占有を緩和し、ユーザの待ち時間を短縮することが可能な画像送信システム、中継装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ファクシミリ送信すべき画像データに送信先を示す情報を付加したファクシミリデータを受信した中継装置1は、転送先となる画像送信装置の送信履歴を示す情報を取得し(S206)、取得した情報による送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定し(S207)、特定した時間帯にファクシミリデータを画像送信装置へ転送する(S208)。転送されたファクシミリデータを受信した画像送信装置は、受信したファクシミリデータに示された送信先へ画像データをファクシミリ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線網に接続された画像送信装置と、該画像送信装置と閉域通信網を介して接続された中継装置とを備え、中継装置は、画像データを画像送信装置へ転送し、画像送信装置は、画像データを電話回線網を介して送信する画像送信システム、該画像送信システムにて用いられる中継装置、及び該中継装置を実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ通信機能を有するデジタル複合機をLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network )等の閉域通信網に組み込むOAシステムが普及しており、更に様々な構成のシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、クライアント装置からLANを介してファクシミリサーバへ文書データを送信し、ファクシミリサーバは、文書データを展開したイメージデータをLANを介してリモートファクシミリ装置へ送信する。そしてリモートファクシミリ装置は、イメージデータを公衆回線を介して他のファクシミリ装置へ送信するというファクシミリサーバシステムを開示している。
【0004】
また、特許文献2では、インターネットを介して複数のファクシミリサーバを接続し、ファクシミリ送信に際し、送信元のパソコンから送信先に応じたファクシミリサーバへファクシミリ送信要求を送信する。そして、ファクシミリ送信要求を受信したファクシミリサーバから送信先へファクシミリ送信するというファクシミリサーバを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−233040号公報
【特許文献2】特開平10−233879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、公衆回線に接続されたリモートファクシミリ装置により、ファクシミリ送信を行おうとした場合であっても、ファクシミリサーバ経由のファクシミリ送信で既に公衆回線が占有されているときには、ファクシミリ送信を行うことができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたファクシミリサーバでは、ファクシミリ送信が特定のファクシミリサーバに集中し、ファクシミリ送信が滞るという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、稼働率が低い時間帯にファクシミリ送信を行うことにより、回線の占有を緩和することが可能な画像送信システム、中継装置及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像送信システムは、ファクシミリ通信機能を有する画像送信装置と、該画像送信装置と通信網を介して接続された中継装置とを備え、該中継装置は、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを画像送信装置へ転送し、該画像送信装置は、転送された画像データを送信先へファクシミリ送信する画像送信システムにおいて、前記中継装置は、前記画像送信装置による画像データの送信履歴を取得する取得手段と、取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する特定手段と、特定した時間帯に、前記画像送信装置へ画像データを転送する転送手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明では、画像送信装置の稼働率が低い時間帯にファクシミリ送信を行うことができる。
【0011】
本発明に係る画像送信システムは、前記特定手段は、稼働率が高い順に所定順位までの時間帯を除く時間帯を特定することを特徴とする。
【0012】
本発明では、画像送信装置の稼働率が最大となるピーク時間帯を避けることで、ピーク時間帯における回線の占有を緩和することができる。
【0013】
本発明に係る画像送信システムは、前記特定手段は、稼働率が全時間帯の平均値より低い時間帯を特定することを特徴とする。
【0014】
本発明では、画像送信装置の時間帯毎の稼働率を平均化することができる。
【0015】
本発明に係る画像送信システムは、前記画像送信装置は、ファクシミリ通信機能を含む複数のジョブ実行機能を有し、前記取得手段は、前記画像送信装置による画像データの送信履歴を含む複数のジョブ実行機能の実行履歴を取得することを特徴とする。
【0016】
本発明では、複数のジョブ実行機能を有する画像送信装置の全てのジョブ実行機能を加味して稼働率が低い時間帯にファクシミリ装置を行うことができる。
【0017】
本発明に係る画像送信システムは、ファクシミリ通信機能を有する複数の画像送信装置と、該画像送信装置と通信網を介して接続された中継装置とを備え、該中継装置は、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを画像送信装置へ転送し、該画像送信装置は、転送された画像データを送信先へファクシミリ送信する画像送信システムにおいて、前記中継装置は、前記各画像送信装置による画像データの送信履歴を取得する取得手段と、取得した各画像送信装置の送信履歴に基づいて、他の画像装置より稼働率が低い画像送信装置を画像データの転送先として選択する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明では、相対的に稼働率が低い画像送信装置を選択してファクシミリ送信を行うことができる。
【0019】
本発明に係る画像送信システムは、前記画像送信装置は複数であり、前記中継装置は、各画像送信装置から画像データの送信先までの通信経路に基づいて、画像データの転送先とする画像送信装置を選択する手段を更に備えることを特徴とする。
【0020】
本発明では、通信料金を抑制することができる。
【0021】
本発明に係る中継装置は、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを送信先へファクシミリ送信すべく、ファクシミリ機能を有する他の装置へ転送する中継装置において、前記他の装置による画像データの送信履歴を取得する手段と、取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する手段と、特定した時間帯に、前記他の装置へ画像データを転送する手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明では、画像送信装置の稼働率が低い時間帯にファクシミリ送信をさせることができる。
【0023】
本発明に係るコンピュータプログラムは、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを送信先へファクシミリ送信すべく、ファクシミリ機能を有する他の装置へ転送させるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記他の装置による画像データの送信履歴を取得する手順と、取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する手順と、特定した時間帯に、前記他の装置へ画像データを転送する手順とを実行させることを特徴とする。
【0024】
本発明では、サーバコンピュータ等のコンピュータにて実行することにより、コンピュータがファクシミリサーバ装置として機能し、画像送信装置等の他の装置の稼働率が低い時間帯にファクシミリ送信をさせることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像送信システム、中継装置及びコンピュータプログラムは、画像送信装置の稼働率が低い時間帯にファクシミリ送信をすることにより、稼働率が高い時間帯における回線の占有を緩和し、待ち時間を短縮することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0026】
特に、画像送信装置を操作するローカルユーザにとっては、ファクシミリ送信を行う際の待ち時間を短縮することができるので、業務効率を向上させることができる等、優れた効果を奏する。
【0027】
また、複数の画像送信装置のうちから、稼働率が低い画像送信装置を選択することにより、即時にファクシミリ送信をすることができると共に、稼働率が高い画像送信装置の使用を緩和して、全体として待ち時間を短縮することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像送信システムの構成例を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る中継装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第1画像送信装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る中継装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第2画像送信装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る中継装置及び画像送信装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る中継装置の処理に用いられる時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る中継装置の処理に用いられる時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る中継装置の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に係る中継装置の処理に用いられる各第2画像送信装置の時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0030】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像送信システムの構成例を概念的に示す説明図である。図1中1は、ファクシミリサーバ装置等のサーバ装置を用いた本発明の中継装置であり、中継装置1は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network )等の閉域通信網NW1に接続されている。
【0031】
閉域通信網NW1には、ファクシミリ機能を有するデジタル複合機等の装置を用いた画像送信装置2,2,…が複数台接続されている。図1では、奈良、千葉及び愛知に夫々画像送信装置2が設置されている例を示している。図1に示すように、本発明の画像送信システムでは、様々な地域に設置された画像送信装置2,2,…をWAN等の閉域通信網NW1にて接続し、閉域通信網NW1を介して中継装置1と通信する。
【0032】
また、各画像送信装置2,2,…は、公衆電話網NW2に接続し、公衆電話網NW2を介して他のファクシミリ装置3,3,…へファクシミリ送信及び受信を行うことができる。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1に係る中継装置1の構成例を示すブロック図である。中継装置1は、ファクシミリサーバとして用いられるサーバ装置等の各種コンピュータを用いて構成される。中継装置1は、制御部10、記録部11、通信部12等の各種機構を備えている。
【0034】
制御部10は、装置全体を制御し、後述する各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit )等の機構である。
【0035】
記録部11は、各種情報を記録する様々な記録手段を示しており、情報を一時的に記録する各種RAM等の揮発性メモリ、ROM、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ等の機構である。また、外付けのハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、通信網を介して接続されるファイルサーバ等の他の装置についても記録部11として用いることが可能である。即ち、ここでいう記録部11とは、制御部10からアクセス可能な一又は複数の情報記録媒体の総称である。
【0036】
なお、記録部11には、サーバ装置等のコンピュータを本発明の中継装置1として動作させるための各種手順を含む本発明のコンピュータプログラム110が記録されている。また、記録部11の記録領域の一部は、データ保存部111、履歴保存部112等の各種情報を記録するデータベースとして用いられている。
【0037】
データ保存部111とは、画像送信装置2から受信した画像データ等のデータを保存するデータベースである。履歴保存部112とは、画像送信装置2による画像データの送信履歴等の各種情報を保存するデータベースである。制御部10は、必要に応じて、データ保存部111、履歴保存部112等の各種データベースにアクセスすることが可能である。
【0038】
通信部12は、閉域通信網NW1に接続するネットワークインターフェイスであり、LANポート及びその付属回路等の各種回路を含んでいる。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態1に係る画像送信装置2の構成例を示すブロック図である。画像送信装置2は、制御部20、操作部21、スキャナ部22、履歴保存部23、履歴送信部24、ファクシミリ制御部25、第1通信部26、第2通信部27等の各種機構を備えている。なお、ここでは、ファクシミリ機能を実現するための各種機構を中心に説明するが、画像送信装置2は、デジタル複合機を用いて画像送信装置2を構成する場合、ファクシミリ機能以外にも、コピー機能、プリンタ機能等の様々な機能を備えている。
【0040】
制御部20は、装置全体を制御するCPU等の機構である。
【0041】
操作部21は、ユーザの操作を受け付ける押しボタン、タッチパネル等のマンマシンインターフェース、並びに受け付けた操作に基づく情報を制御部20に渡す各種回路及びプログラムを含む機構である。例えば、ユーザは、操作部21を操作することにより、送信先のファクシミリ番号、ファクシミリの送信操作、送信に関する各種設定等の入力を行うことができる。
【0042】
スキャナ部22は、送信すべき画像が示された用紙等の被走査媒体を走査して画像データを生成する各種回路及びプログラムを含む機構である。
【0043】
履歴保存部23は、ファクシミリ送信等の各種機能による処理実施に関する時間、送信先、送信枚数等の各種情報を送信履歴を示す情報として記録するデータベースであり、ハードディスク、RAM等の記録媒体を用いて形成される。
【0044】
履歴送信部24は、設定されている所定の条件に基づいて、履歴保存部23に記録されている送信履歴を示す情報を送信する各種回路及びプログラムを含む機構である。なお、履歴送信部24による送信履歴を示す情報の送信、その他、中継装置1における送信履歴を示す情報の保存については後述する。
【0045】
ファクシミリ制御部25は、画像データをファクシミリ送信する際の様々な制御を行う各種回路及びプログラムを含む機構である。
【0046】
第1通信部26は、閉域通信網NW1に接続するネットワークインターフェイスであり、LANポート及びその付属回路等の各種回路を含んでいる。
【0047】
第2通信部27は、公衆電話網NW2に接続する通信インターフェースであり、電話回線用ポート及びその付属回路等の各種回路を備えている。
【0048】
次に本発明の実施の形態1における各装置の処理について説明する。ここでは、ユーザが操作する一の画像送信装置2にて、画像の読み取り及びファクシミリ送信すべき画像データの生成を行い、生成した画像データを、中継装置1を介して他の画像送信装置2から、送信先となるファクシミリ装置3へ送信する形態について説明する。なお、以降の説明では、必要に応じて、画像データを生成する画像送信装置2を第1画像送信装置2aとして示し、他のファクシミリ装置3へ画像データを送信する画像送信装置2を第2画像送信装置2bとして示す。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態1に係る第1画像送信装置2aの処理を示すフローチャートである。ユーザは、送信すべき画像が示された用紙等の被走査媒体を第1画像送信装置2aの所定の位置に載置し、操作部21を操作して、送信先を示すファクシミリ番号等の送信先情報の入力、送信指示の入力等の所定の入力操作を行う。第1画像送信装置2aは、制御部20の制御により、以下の処理を実行する。
【0050】
第1画像送信装置2aは、制御部20の制御により、操作部21から、送信先情報の入力を受け付け(S101)、更に、送信指示の入力を受け付ける(S102)。
【0051】
第1画像送信装置2aは、スキャナ部22にて、被走査媒体を走査して画像を読み取り(S103)、画像データを生成し(S104)、生成した画像データに送信先データを付加して送信先を示した画像データを生成する(S105)。ステップS101〜S105に示した処理は、本発明の画像送信装置2に限らず、一般的なファクシミリ機能を備えるデジタル複合機にて実行される処理である。なお、以降の説明において、送信先を示した画像データをファクシミリデータという。なお、ここでいうファクシミリデータについても一般的なデジタル複合機にて生成されるデータと特に違いはない。
【0052】
第1画像送信装置2aは、生成したファクシミリデータを第1通信部26から閉域通信網NW1を介して中継装置1へ送信する(S106)。このようにして、第1画像送信装置2aの処理が実行される。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態1に係る中継装置1の処理を示すフローチャートである。中継装置1は、記録部11に記録されたコンピュータプログラム110等の各種プログラムを実行する制御部10の制御により、以下の処理を実行する。
【0054】
中継装置1の制御部10は、第1画像送信装置2aから閉域通信網NW1を介して送信されたファクシミリデータ(送信先を示した画像データ)を通信部12により受信する(S201)。
【0055】
制御部10は、受信したファクシミリデータに示されている送信先データを読み取り(S202)、また、ファクシミリデータをデータ保存部111に保存する(S203)。
【0056】
制御部10は、読み取った送信先データを解析し(S204)、各画像送信装置2,2,…から送信先となるファクシミリ装置3までの通信経路に基づいて、ファクシミリデータの転送先とする第2画像送信装置2bを選択する(S205)。ステップS204における送信先データの解析とは、例えばファクシミリ番号における市外局番等の局番の解析である。また、ステップS205における通信経路に基づいてとは、同一市外局番圏内であるか否かであり、送信先データに係る市外局番と同一の市外局番が割り当てられた画像送信装置2が存在する場合、当該画像送信装置2が転送先として選択される。同一の市外局番が割り当てられた画像送信装置2が存在しない場合、最も通信料金が低廉な画像送信装置2が転送先として選択される。例えば、図1の例において、送信先が大阪のファクシミリ装置3である場合、奈良の第2画像送信装置2bが選択され、送信先が東京のファクシミリ装置3である場合、千葉の第2画像送信装置2bが選択される。
【0057】
制御部10は、選択した第2画像送信装置2bの送信履歴を示す情報を履歴保存部112から取得し(S206)、取得した情報による送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する(S207)。ステップS207における時間帯の特定方法の詳細については後述する。
【0058】
そして、制御部10は、特定した時間帯に、データ保存部111に保存したファクシミリデータを読み取り、読み取ったファクシミリデータを、通信部12から閉域通信網NW1を介して、選択した第2画像送信装置2bへ転送する(S208)。現在の時刻が、ステップS207にて特定した時間帯内に入っている場合、ステップS208の処理は即時実施される。現在の時刻が、ステップS207にて特定した時間帯外である場合、特定した時間帯に到達後、ステップS208の処理を実施する。このようにして中継装置1の処理が実行される。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態1に係る第2画像送信装置2bの処理を示すフローチャートである。第2画像送信装置2bは、制御部20の制御により、中継装置1から転送されたファクシミリデータの受信を契機として、以下の処理を実行する。
【0060】
第2画像送信装置2bは、制御部20の制御により、中継装置1から閉域通信網NW1を介して送信されたファクシミリデータ(送信先を示した画像データ)を第1通信部26により受信する(S301)。
【0061】
そして、第2画像送信装置2bは、ファクシミリデータに示されている送信先データを読み取る(S302)。第2画像送信装置2bは、ファクシミリ制御部25の制御により、読み取った送信先に示されている送信先のファクシミリ装置3へ、ファクシミリデータに係る画像データを、第2通信部27から公衆電話網NW2を介してファクシミリ送信する(S303)。ステップS303のファクシミリ送信は、一般的なファクシミリ機能を備えるデジタル複合機にて実行される処理である。このようにして、第2画像送信装置2bの処理が実行される。
【0062】
図4〜6を用いて説明した第1画像送信装置2a、中継装置1及び第2画像送信装置2bの処理が、本発明の画像送信システムにおける基本処理となる。次に、基本処理に付随する各処理について説明する。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態1に係る中継装置1及び画像送信装置2の処理を示すフローチャートである。図7では、画像送信装置2の送信履歴を示す情報を中継装置1が備える履歴保存部112に保存する処理の例について説明する。
【0064】
画像送信装置2は、ファクシミリ制御部25の制御によりファクシミリ送信を行い(S401)、ファクシミリ送信に関する各種情報を、送信履歴を示す情報として履歴保存部23に保存する(S402)。送信履歴の保存は、ファクシミリ送信を行う都度、実行される。
【0065】
画像送信装置2は、制御部20の制御により、履歴保存部23に保存した送信履歴を示す情報を第1通信部26から閉域通信網NW1を介して中継装置1へ送信する(S403)。ステップS403の処理は、ステップS402の実行毎に行われる。即ち、ファクシミリ送信を行う都度、送信履歴の保存及び送信が行われることになる。但し、ステップS403の処理については、他の条件を契機として実行するようにしても良い。例えば、予め設定されている時刻に到達した段階で送信するというように定期的に送信するようにしても良く、保存している送信履歴が所定数に到達した段階で送信するようにしても良い。また、中継装置1から送信履歴の要求を受信した場合に、その返信として送信するようにしても良く、その場合、中継装置1は、転送処理を行う際に、各画像送信装置2,2,…に対して送信履歴を要求するようにしても良い。
【0066】
中継装置1の制御部10は、画像送信装置2から閉域通信網NW1を介して送信された送信履歴を示す情報を通信部12により受信し(S404)、受信した送信履歴を示す情報を履歴保存部23に保存する(S405)。このようにして、中継装置1及び画像送信装置2の送信履歴を示す情報を保存する処理が実行される。
【0067】
次に図5を用いて説明した中継装置1の処理のうち、ステップS207の時間帯の特定方法の具体例について説明する。図8は、本発明の実施の形態1に係る中継装置1の処理に用いられる時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。図8は、転送先として選択された第2画像送信装置2bのファクシミリ機能について時間帯毎の累積稼働率を示している。
【0068】
時間帯の特定方法の一つとして、累積稼働率が高い順に所定順位までの時間帯を除く時間帯を特定し、転送する方法が挙げられる。具体的には、累積稼働率が1位となるピーク稼働率の時間帯を除く時間帯を特定する方法がある。例えば、図8の例では、ピーク稼働率の時間帯は、累積稼働率が15%の16:00〜17:59であるので、当該時間帯以外の時間帯に、第1画像送信装置2aからファクシミリデータを受信した場合には、すぐに第2画像送信装置2bのへファクシミリデータを転送する。また、当該時間帯にファクシミリデータを受信した場合には、次の時間帯、即ち18:00〜19:59の時間帯に転送する。なお、累積稼働率の1位の時間帯を特定するのみならず、上位3位までの時間帯を除く時間帯を特定するようにしてもよい。更には、9の時間帯に区分している場合に、上位8位の時間帯を除く時間帯、即ち累積稼働率が最下位の時間帯を特定する等、適宜設定することが可能である。この様に設定することにより、ピーク時間帯における回線及び画像送信装置2bの占有を緩和することができる。
【0069】
また、他の特定方法として、累積稼働率が各時間帯の平均値より低い時間帯を特定し、転送する方法が挙げられる。例えば、1日の平均累積稼働率が6.3%である場合に、第1画像送信装置2aからファクシミリデータを受信した時間帯における累積稼働率が平均累積稼働率6.3%を超えていた場合、即時の転送は行わない。そして、累積稼働率が6.3%を下回る時間帯になってから、ファクシミリデータを第2画像送信装置2bへ転送するという設定とすることが可能である。この様に設定することにより、第2画像送信装置2bの時間帯毎の累積稼働率の変化を抑制し、累積稼働率を全期間を通じて平均化することができる。
【0070】
また、他の特定方法として、累積稼働率が所定の基準値より低い時間帯を特定し、転送する方法が挙げられる。例えば、図8の例では、所定の基準値を10%未満とした場合、累積稼働率が10%又は15%である10:00〜11:59、14:00〜15:59及び16:00〜17:59以外の時間帯で転送することになる。この様に設定することにより、第2画像送信装置2bの仕様、性能、ユーザの使用方法等の条件に応じた基準値を設定し、効率的な画像送信装置2bの運用を行うことが可能となる。
【0071】
図9は、本発明の実施の形態1に係る中継装置1の処理に用いられる時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。図9は、転送先として選択された第2画像送信装置2bのコピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリンタ機能等の全ての機能についての時間帯毎の累積稼働率を示している。デジタル複合機である第2画像送信装置2bでは、ファクシミリ送信する際には、画像処理リソースの負荷の増大、通信トラフィックの負荷の増大等の事象が発生することにより、ファクシミリ機能だけでなく他の機能のジョブの実施へも影響する。そこで、ファクシミリ機能だけでなく、コピー機能、スキャナ機能等の全ての機能を含めた累積稼働率に基づいて、時間帯を特定する。なお、具体的な時間帯の特定方法としては、ファクシミリ機能のみの累積稼働率に基づき特定する場合と同様であり、累積稼働率が高い順に所定順位までの時間帯を除く時間帯を特定する方法、累積稼働率が各時間帯の平均値より低い時間帯を特定する方法、所定の基準値より低い時間帯を特定する方法等の方法が挙げられる。そして中継装置1は、特定した時間帯であれば即時に、そうでない場合には、特定した時間帯にファクシミリデータを第2画像送信装置2bへ転送する。
【0072】
また、全ての機能に基づく累積稼働率を用いる場合、図8を用いて説明した送信履歴を示す情報の送信及び保存処理は、コピー機能、スキャナ機能等の各機能におけるジョブの実施毎に行われることとなる。
【0073】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、稼働率に基づいて転送先となる画像送信装置を選択する形態である。なお、以降の説明において、実施の形態1と同様の構成については、実施の形態1と同様の符号を付し、その説明を省略する。実施の形態2に係る画像送信システムの構成例、中継装置1及び画像送信装置2の構成例は実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。また、実施の形態2において、画像送信装置2の処理は、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0074】
図10は、本発明の実施の形態2に係る中継装置1の処理を示すフローチャートである。中継装置1は、記録部11に記録されたコンピュータプログラム110等の各種プログラムを実行する制御部10の制御により、以下の処理を実行する。
【0075】
中継装置1の制御部10は、実施の形態1において図5を用いて説明したステップS201〜S203の処理を実行し、受信したファクシミリデータ(送信先を示した画像データ)をデータ保存部111に保存する(S203)。
【0076】
そして、制御部10は、選択の候補となる各第2画像送信装置2b,2b,…の夫々の送信履歴を示す情報を履歴保存部112から取得し(S501)、取得した情報による送信履歴に基づいて、他の第2画像送信装置2b,2b,…より稼働率が低い第2画像送信装置2bを転送先の第2画像送信装置2bとして選択する(S502)。ステップS502における選択方法の詳細については後述する。
【0077】
そして、制御部10は、実施の形態1において図5を用いて説明したステップS208の処理として、選択した第2画像送信装置2bへファクシミリデータの転送処理を実行する(S208)。このようにして中継装置1の処理が実行される。
【0078】
ステップS502の転送先となる第2画像装置2bの選択方法の具体例について説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る中継装置1の処理に用いられる各第2画像送信装置2b,2b,…の時間帯毎の稼働率の例を示す図表である。図11は、転送先としての選択の候補となる第2画像送信装置2b,2b,…のファクシミリ機能について時間帯毎の累積稼働率を示している。なお、各第2画像送信装置2b,2b,…には、MFP1、MFP2及びMFP3という名称が付されている。
【0079】
第2画像送信装置2bの選択方法の一つとして、その時間帯における累積稼働率が高い順に所定順位までの第2画像送信装置2bを除く第2画像送信装置2bを選択する方法が挙げられる。具体的には、第1画像送信装置2aからファクシミリデータを受信して転送する時間帯における累積稼働率が1位及び2位の第2画像送信装置2b,2bを除き、累積稼働率が最も低い第2画像送信装置2bを選択する方法である。例えば、図11において、10:30に転送を行う際、累積稼働率が5%で最低であるMFP3が転送先の第2画像送信装置2bとして選択される。なお、累積稼働率1位の第2画像送信装置2bを除いて、累積稼働率が低い、2台の第2画像送信装置2b,2bを選択の候補とする。そして、その2台の第2画像送信装置2b,2bのうちから、送信先となるファクシミリ装置3までの通信経路に基づいて最終的な転送先を選択するようにしても良い。この様に設定することにより、ファクシミリ送信を即時実施することができると共に、稼働率の高い第2画像送信装置2bにおけるユーザの待ち時間を低減することができる。
【0080】
また、他の選択方法として、その時間帯における累積稼働率の各第2画像送信装置2b,2b,…の平均値より低い稼働率の第2画像送信装置2bを選択する方法が挙げられる。具体的には、第1画像送信装置2aからファクシミリデータを受信して転送する際に、その時間帯における各第2画像送信装置2b,2b,…の累積稼働率の平均値を求める。そして、稼働率が求めた平均値以下である第2画像装置2bを選択する。このとき選択した第2画像送信装置2bが複数である場合、送信先となるファクシミリ装置3までの通信経路に基づいて最終的な転送先を選択する。例えば、図11において、10:30に転送を行う際、当該時間帯における各第2画像送信装置2b,2b,…の累積稼働率の平均値は、11.7%であるので、累積稼働率が11.7%より低いMFP3が転送先の第2画像送信装置2bとして選択される。この様に設定することにより、複数の第2画像送信装置2b,2b,…間の処理負荷の平均化を図ることができる。
【0081】
また、他の選択方法として、その時間帯における累積稼働率が所定の基準値より低い第2画像送信装置2bを選択する方法が挙げられる。例えば、図11において、10:30に転送を行う際、基準値が10%未満に設定されている場合には、累積稼働率が5%であるMFP3が転送先の第2画像送信装置2bとして選択される。この様に設定することにより、第2画像送信装置2bの仕様、性能、ユーザの使用方法等の条件に応じた基準値を設定し、効率的な第2画像送信装置2bの運用を行うことが可能となる。
【0082】
前記実施の形態1及び2は、本願の無数に存在する形態の一部を例示したに過ぎず、各種システム、装置、機構、処理、条件の設定等の構成要件については、目的、用途等に応じて適宜設計することが可能である。また、前記実施の形態1及び2は夫々単独で実行するのではなく、適宜組み合わせることも可能である。
【0083】
例えば、画像データの送信元となる画像送信装置としては、デジタル複合機に限らず、閉域通信網に接続され、ユーザが使用する端末装置として用いられるパーソナルコンピュータ、その他、携帯電話等の可搬型装置を送信元の画像送信装置として用いる等、様々な形態に展開することが可能である。
【0084】
さらに、前記実施の形態1及び2においては、便宜上、第1画像送信装置及び第2画像送信装置として区分したが、これらはあくまでも便宜上の区分である。従って、ファクシミリデータの送信元の画像送信装置が、転送先の画像送信装置として選択される場合もある。
【符号の説明】
【0085】
1 中継装置
10 制御部
11 記録部
110 コンピュータプログラム
111 データ保存部
112 履歴保存部
12 通信部
2 画像送信装置
2a 第1画像送信装置
2b 第2画像送信装置
20 制御部
21 操作部
22 スキャナ部
23 履歴保存部
24 履歴送信部
25 ファクシミリ制御部
26 第1通信部
27 第2通信部
3 ファクシミリ装置
NW1 閉域通信網
NW2 公衆電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ通信機能を有する画像送信装置と、該画像送信装置と通信網を介して接続された中継装置とを備え、該中継装置は、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを画像送信装置へ転送し、該画像送信装置は、転送された画像データを送信先へファクシミリ送信する画像送信システムにおいて、
前記中継装置は、
前記画像送信装置による画像データの送信履歴を取得する取得手段と、
取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する特定手段と、
特定した時間帯に、前記画像送信装置へ画像データを転送する転送手段と
を備えることを特徴とする画像送信システム。
【請求項2】
前記特定手段は、稼働率が高い順に所定順位までの時間帯を除く時間帯を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像送信システム。
【請求項3】
前記特定手段は、稼働率が全時間帯の平均値より低い時間帯を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像送信システム。
【請求項4】
前記画像送信装置は、ファクシミリ通信機能を含む複数のジョブ実行機能を有し、
前記取得手段は、前記画像送信装置による画像データの送信履歴を含む複数のジョブ実行機能の実行履歴を取得する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の画像送信システム。
【請求項5】
ファクシミリ通信機能を有する複数の画像送信装置と、該画像送信装置と通信網を介して接続された中継装置とを備え、該中継装置は、送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを画像送信装置へ転送し、該画像送信装置は、転送された画像データを送信先へファクシミリ送信する画像送信システムにおいて、
前記中継装置は、
前記各画像送信装置による画像データの送信履歴を取得する取得手段と、
取得した各画像送信装置の送信履歴に基づいて、他の画像装置より稼働率が低い画像送信装置を画像データの転送先として選択する手段と
を備えることを特徴とする画像送信システム。
【請求項6】
前記画像送信装置は複数であり、
前記中継装置は、
各画像送信装置から画像データの送信先までの通信経路に基づいて、画像データの転送先とする画像送信装置を選択する手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかひとつに記載の画像送信システム。
【請求項7】
送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを送信先へファクシミリ送信すべく、ファクシミリ機能を有する他の装置へ転送する中継装置において、
前記他の装置による画像データの送信履歴を取得する手段と、
取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する手段と、
特定した時間帯に、前記他の装置へ画像データを転送する手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項8】
送信先を示した画像データを通信網を介して受信した場合に、画像データを送信先へファクシミリ送信すべく、ファクシミリ機能を有する他の装置へ転送させるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記他の装置による画像データの送信履歴を取得する手順と、
取得した送信履歴に基づいて、稼働率が所定の基準より低い時間帯を特定する手順と、
特定した時間帯に、前記他の装置へ画像データを転送する手順と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−55469(P2013−55469A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191724(P2011−191724)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】