説明

画像送信装置、画像形成装置、及び画像データの送信プログラム

【課題】電子メールの受信者が、不要な大容量の画像データの受信を拒否したり、受信する画像データの容量を減らしたりできるようにする。
【解決手段】画像データの容量を減らす画像処理手段を備え、大容量の画像データを送信するときに、その画像データの送信に先立って、受信者に、選択可能な画像処理の内容と画像処理後の予測データ容量とを通知する問合せメールを送信し、その返信メールにて返送される受信者の選択結果に応じて元の画像データを画像処理した結果を、電子メールによって送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取ることなどによって生成された画像データを電子メールによって送信する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿を読み取ることにより画像データを生成し、生成した画像データを電子メールによって外部装置へ送信する、電子メール送信装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−260369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、高解像度のカラー画像の画像データの容量は、頁数や用紙サイズによっては極めて大きなものとなるが、従来の電子メールシステムにおいては、受信者にとっては不要であったり、必要以上の品質を有する大容量の画像データであっても、必ず一旦は自分のメールボックスに受信しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決するためになされたものであり、電子メールの受信者が、不要な大容量の画像データの受信を拒否したり、受信する画像データの容量を減らしたりすることが可能な、画像送信装置、画像形成装置、及び画像データの送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る画像送信装置は、電子メールに添付して送信すべき画像データのデータ容量を低減する画像処理を行う画像処理部と、添付すべき前記画像データが所定の条件に該当する場合に、その画像データの送信に先立って、電子メールの受信者にその画像データに対して適用すべき希望の画像処理方法を問い合わせる問合せメールを発行する、問合せ処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記受信者から返信される返信メールに記載された希望の画像処理をその画像データに対して適用することによって、データ容量が低減された画像データを生成し、前記画像処理部によって生成された、データ容量が低減された画像データを電子メールに添付して、前記受信者宛に送信するようにした。
また、本発明に係る画像形成装置は、前記画像送信装置を備えるものとした。この画像形成装置には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナ、及びこれらの複合機を含む。
さらに、本発明に係る画像データの送信プログラムは、画像データを記憶する画像保管部と制御部と通信部とを備えたコンピュータに、電子メールの受信者に送信すべき画像データに対して適用すべき希望の画像処理方法を問い合わせる、問合せメールを送信してその返信メールを受信するステップと、前記返信メールに記載された希望の画像処理を前記画像保管部に記憶された画像データに対して適用することによって、データ容量が低減された画像データを生成するステップと、前記データ容量が低減された前記画像データを電子メールに添付して、前記受信者宛に送信するステップとを実行させるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子メールの受信者は、問合せメールに対する回答を保留することによって不要な大容量の画像データの受信を拒否することができ、また、問合せメールに対して希望する画像処理の内容を回答することによって、受信する画像データの容量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】受信者に画像処理方法の選択を促す問合せ画面の表示例である。
【図3】メールの配信ルートや配信順序を示したネットワーク構成図である。
【図4】メールの送信手順を示すフローチャートである。
【図5】返信メールの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】画像データのダウンロード処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図8】送信者が画像処理方法を制限するための制限情報入力画面の表示例である。
【図9】制限された画像処理方法を非表示とした問合せ画面の表示例である。
【図10】制限された画像処理方法を灰色表示した問合せ画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係る画像送信装置及び画像形成装置の実施形態につき、カラー複合機を例に挙げて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、第1実施形態に係る画像送信装置を備えた画像形成装置101の主たる構成を示したブロック図である。
画像形成装置101は、操作部102と、画像読取部103と、画像形成部104と、通信部105と、記憶部106と、制御部107とを備えて構成される。
【0011】
操作部102は、例えば、タッチパネル式の液晶ディスプレイと操作キー群とを備え、装置の動作条件などをユーザに提示し、また、ユーザの操作を受け付ける。ユーザは、操作部102を操作することにより、電子メールの宛先を指定したり、装置の動作条件を設定したり、原稿の読取りや印刷指示を行ったりする。
【0012】
画像読取部103は、ユーザによって設定された読取条件(例えば、解像度600dpi(dot per inch)、32ビット階調カラー)にしたがって1頁毎に、あるいは複数頁連続して原稿の画像を読み取る。読み取られた画像の情報は、制御部107によって所定のデータ形式(PDF(Portable Document Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、BMP(Microsoft Windows(登録商標) Bitmap Image)など)に変換されて画像データが生成され、生成された画像データは記憶部106に備えられた画像保管部114に格納される。
【0013】
画像形成部104は、画像保管部114に保管された画像データ、または、通信部105を介して外部装置からLANを経由して送信される印刷データを、指定された印刷条件にしたがって紙などの記録媒体上に、カラーまたはモノクロの画像として印刷する。
【0014】
通信部105は、社内LAN20と接続され、外部装置との間で電子メールやデータなどの送受信を実行する。
【0015】
記憶部106には、画像保管部114と閾値情報保管部115とが備えられる。
画像保管部114には、画像読取部103によって生成された画像データに加え、通信部105を介して外部装置から社内LAN20を経由して送られてきた画像データが保管され、同時に複数の画像データを保管することができる。また、各画像データのデータ容量、頁数、読取条件、作成日などの属性情報も共に保管される。
また、閾値情報保管部115には、画像データの容量低減に関する受信者への問合せ要否を判定するための、画像データの容量と頁数についての閾値情報が保管される。
【0016】
制御部107は、装置全体の動作を制御するものであり、問合せ要否判定部108と、データ容量予測部109と、問合せ処理部110と、画像処理部111と、メール送受信部112と、画像送信部113とを備えて構成される。制御部107を含むこれら各部の機能は、不図示のCPUが、所定のプログラムを不図示のメモリにロードして実行することによって実現される。
【0017】
問合せ要否判定部108は、画像保管部114に保管された送信すべき画像データのデータ容量及び頁数と、前記閾値情報とを比較することによって、受信者への問合せ要否を判定する。例えば、閾値情報として、「(データ容量:5MB未満)または(頁数:100頁未満)」が保管されている場合には、送信すべき画像データのデータ容量が5MB以上または頁数が100頁以上であれば、「問合せ要」と判定し、送信すべき画像データのデータ容量が5MB未満かつ頁数が100頁未満であれば、「問合せ不要」と判定する。
【0018】
データ容量予測部109は、画像保管部114に保管された送信すべき画像データのデータ容量及び頁数から、画像処理部111が有する複数種類の画像処理方法のそれぞれについて、候補となる画像処理の内容と画像処理後の予測データ容量を算出する。例えば、解像度が600dpiでデータ容量が8MBの画像データの解像度変換であれば、解像度を300dpiに下げる場合は約2MB(元の4分の1)、解像度を200dpiに下げる場合は約0.9MB(元の9分の1)などのように予測データ容量を算出する。
【0019】
問合せ処理部110は、データ容量予測部109から引き渡される画像処理の内容と画像処理後の予測データ容量とを受信者に通知する問合せメールを作成する。その後、受信者から返信メールが返送されると、返信メールに記載された選択結果にしたがって画像処理部111に画像処理を実行させる。
【0020】
画像処理部111は、受信者の希望に応じて画像データの容量を低減するための画像処理機能を有する。画像処理の種類としては、画像の解像度を下げる解像度変換、画像の階調数を減らす階調数変換、カラー画像をモノクロ画像に変換するモノクロ変換などがあり、画像の品質とデータ容量とは、適用される画像処理の内容に依存して変動する。
【0021】
メール送受信部112は、通信部105及び社内LAN20を介して、電子メールの送受信を行う。画像データ付きの電子メールを送信する場合は、操作部102から宛先の指定を受け付け、問合せ処理部110によって問合せメールが作成された場合は、その問合せメールを指定された受信者宛に送信する。また、送信した問合せメールへの返信メールを受信した場合は、それを問合せ処理部110に引き渡し、画像処理部111から画像処理後の画像データを受け取って、その画像データを電子メールに添付して返信元の受信者宛に送信する。
【0022】
画像送信部113は、前記問合せメールの受信者によって操作される外部装置から、社内LAN20及び通信部105を介して送信される、画像データのダウンロード要求を受け付け、画像保管部114に保管されている画像データを、要求元の外部装置に直接送信する。
【0023】
次に、画像処理部111が画像データの容量を低減するために実行する画像処理の内容と、データ容量予測部109が算出する予測データ容量との関係を、詳しく説明する。
【0024】
画像処理部111が実行する画像処理の種類としては、解像度変換、階調数変換、モノクロ変換、白黒変換、自己復元型分割、圧縮処理、頁分割、N−up変換などがある。以下、これらの画像処理の詳細と予測データ容量の算出方法を説明する。
【0025】
(1) 解像度変換
解像度変換では、画像データの解像度を下げることにより、データ容量の低減を図る。例えば、解像度が600dpiの画像データの解像度を300dpiに下げる場合は、縦横両方向の画素数がそれぞれ元の半分となるので、データ容量は約4分の1に低減される。そこで、変換前の解像度をd1、変換後の解像度をd2とし、解像度変換後の予測データ容量を、元の約(d2)/(d1)倍と算出する。
【0026】
(2) 階調数変換
階調数変換では、画像データを表現するときの階調数を減らすことにより、データ容量の低減を図る。例えば、32ビット階調で表現されている画像データを8ビット階調に変換する場合は、1画素当りのデータ量が元の4分の1となるので、データ容量は約4分の1に低減される。そこで、変換前の階調ビット数をb1、変換後の階調ビット数をb2とし、階調数変換後の予測データ容量を、元の約b2/b1倍と算出する。
【0027】
(3) モノクロ変換
モノクロ変換では、画像をカラー画像からグレースケールのモノクロ画像に変換することにより、データ容量の低減を図る。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色からなるカラー画像の画像データをモノクロ変換する場合は、色数が元の4分の1となるので、データ容量は約4分の1に低減される。そこで、カラー画像の画像データをモノクロ変換するときの予測データ容量を、元の約1/4倍と算出する。
【0028】
(4) 白黒変換
白黒変換では、画像をカラー画像、またはグレースケール画像から白黒の2値画像に変換することにより、データ容量の低減を図る。これは、前記のモノクロ変換と階調ビット数が1の階調数変換とを組み合わせたものである。例えば、256階調すなわち8ビット階調のグレースケール画像の画像データを白黒変換する場合は、1画素当りのデータ量が元の8分の1となるので、データ容量は約8分の1に低減される。そこで、変換前の階調ビット数をb1とし、白黒変換後の予測データ容量を、元の約1/b1倍と算出する。また、カラー画像の画像データを白黒変換する場合は、さらに色数が4分の1となるので、白黒変換後の予測データ容量を、元の約1/(4×b1)倍と算出する。
【0029】
(5) 自己復元型分割
自己復元型分割では、1つの画像データを自己復元が可能な複数の分割データに分けることにより、分割データ1つ当りのデータ容量の低減を図る。ここで、自己復元型分割とは、個々の分割データから自分自身で分割前のデータを復元することができるデータ形式に変換して分割する方法であり、自己復元型分割データを復元するのに、特定のアプリケーションプログラムを必要としないので、各種データの配布に広く利用されている。
例えば、データ容量が5MBの画像データを分割データ容量が2MB以下になるように自己復元型分割する場合は、予測データ容量が約2MBである2つの分割データと、予測データ容量が約1MBである分割データの、計3つの分割データが生成されるものと予測する。
【0030】
(6) 圧縮処理
圧縮処理では、画像データを所定のアルゴリズムを用いて圧縮処理することにより、データ容量の低減を図る。圧縮処理後の予測データ容量は、画像データの形式(PDF、JPEG、TIFF、BMPなど)、圧縮処理後のデータ形式(LHA、ZIPなど)、各アルゴリズムの平均圧縮率などを用いて算出する。
【0031】
(7) 頁分割
頁分割では、複数頁からなる画像データを、もっと少ない頁数で分割することにより、分割データ1つ当りのデータ容量の低減を図る。例えば、頁数が250頁の画像データを頁数が100頁以下になるよう頁分割する場合は、頁数が100頁である2つの分割データと、頁数が50頁である1つの分割データの、計3つの分割データが生成され、それら分割データの予測データ容量は、それぞれ元の約2/5倍、1/5倍と算出する。
【0032】
(8) N−up変換
N−up変換では、複数頁からなる画像データ中のN頁を1頁に縮小して集約することにより、データ容量の低減を図る。例えば、元の画像データを4−up変換することにより頁数が元の約4分の1となるので、データ容量は約4分の1に低減される。そこで、1頁に集約する頁数をnとし、N−up変換後の予測データ容量を、元の約1/n倍と算出する。
【0033】
続いて、以上のようにして算出された画像処理後の予測データ容量が記載された問合せメールが受信者に配信され、受信者がメール本文を開いたときに表示される問合せ画面と、問合せ画面に対する回答方法について説明する。
【0034】
問合せ処理部110が作成する問合せメールには、前記した画像処理後の予測データ容量が記載されたデータに加えて、問合せ画面を表示して回答を受け付けるアプリケーションプログラムが添付され、受信者がメール本文を開くとこのアプリケーションプログラムが起動するようになっている。
【0035】
表示される問合せ画面は、図2に例を示すように、受信者に対して、記載されたURL(Uniform Resource Locator)アドレスから直接画像データをダウンロードするか、希望する画像処理が施された結果の画像データを別途受信するかの選択を促すものであり、選択可能な画像処理方法の候補と、対応する予測データ容量とが一覧表示される。
【0036】
図2の例では、選択可能な画像処理方法として、解像度変換、階調数変換、モノクロ変換、頁分割、自己復元型分割、圧縮処理の6つが表示されており、さらに、「設定の変更」欄の▼印を選択することで表示される、不図示のドロップダウンリストから画像処理実行時のパラメータ値を選択できるようになっている。これらのパラメータ値の選択が変更されると、「予測データ容量」欄に表示される内容も連動して表示が切り替わる。
【0037】
そこで、問合せメールの受信者は、問合せ画面に表示される現在のデータ容量や画像処理後の予測データ容量を参考にして、記載されたURLアドレスからのダウンロード操作を行うか、または、必要に応じて各画像処理方法のパラメータ値を選択もしくは直接入力した後に、希望の画像処理方法をラジオボタンにより1つ選択し、「決定」ボタンによって決定する。ここで決定された画像処理方法及びパラメータ値は、前記URLアドレスと共に前記アプリケーションプログラムによって作成される返信メールに記載され、画像処理装置101宛に返信される。
【0038】
次に、画像形成装置101において、大容量の画像データを電子メールによって送信する場合のデータの流れを、ネットワーク構成図を参照しながら説明する。
【0039】
図3は、画像形成装置101が接続されるネットワークの構成例を示すネットワーク構成図に、電子メールの配信ルートや配信順序などを追記したものである。
このネットワークは、社内LAN20と社外LAN40とが、インターネット30を経由して、相互に接続される構成となっており、画像形成装置101は、社内LAN20に接続されている。
【0040】
また、社内LAN20には、社内受信者用のメールボックス群を有する社内メールサーバ116と、社内受信者PC(Personal Computer)118aとが接続され、社外LAN40には、社外受信者用のメールボックス群を備えた社外メールサーバ117と、社外受信者PC118bとが接続されている。画像形成装置101から送信される電子メールは、宛先が社内受信者であれば、社内メールサーバ116内の当該受信者のメールボックスに配信され、宛先が社外受信者であれば、社内メールサーバ116経由で、社外メールサーバ117内の当該受信者のメールボックスに配信される。
【0041】
図3において、破線の矢印は、画像データを伴わない電子メールの流れを、実線の矢印は、画像データを伴う電子メールまたはデータの流れを表している。また、各矢印に付されている〔〕内の数字は、電子メールまたはデータの配信順序を、〔〕の右に付した記号M1〜M3は配信される電子メールの種類を示している。
【0042】
原稿の画像データを電子メールによって送信する場合、まず、ユーザ(以下、送信者)は、画像形成装置101の操作部102から、「読取原稿のメール送信」操作(以下、メール送信操作)と宛先となる受信者の指定とを行う。
【0043】
それにより、画像読取部103によって原稿が読み取られて画像データが生成され、生成された画像データの容量または頁数が閾値を超えて「問合せ要」と判定されると、前記した問合せメールM1が、画像形成装置101から受信者宛に送信される。送信された問合せメールM1は、社内メールサーバ116または社外メールサーバ117内の当該受信者のメールボックスに配信される(〔1〕M1)。
【0044】
次に、当該受信者が、社内受信者PC118aまたは社外受信者PC118bによって問合せメールM1を受信すると、前記した問合せ画面(図2)が表示される(〔2〕M1)。そして、受信者が希望する画像処理の内容を選択すると、選択結果が記載された返信メールM2が画像形成装置101宛に返送され、返信メールM2は社内メールサーバ116内の画像形成装置101宛メールボックスに配信される(〔3〕M2)。
【0045】
続いて、画像形成装置101は、社内メールサーバ116に配信された返信メールM2を受信し(〔4〕M2)、返信メールM2に記載された画像処理を施した結果の画像データを添付した、画像付きメールM3を返信元の受信者宛に送信する。送信された画像付きメールM3は、当該受信者のメールボックスに配信される(〔5〕M3)。最後に、当該受信者は、社内受信者PC118aまたは社外受信者PC118bによって、所望の画像データが添付された画像付きメールM3を受信する(〔6〕M3)。
【0046】
なお、問合せメールM1を受信した社内受信者が、前記した問合せ画面(図2)から、元の画像データをダウンロードすることを選択した場合は、社内受信者PC118aから画像形成装置101に画像データのダウンロード要求が送信され(〔4〕ダウンロード要求)、画像形成装置101から社内受信者PC118aに直ちに元の画像データが送信される(〔5〕画像データ)。なお、社外受信者PC118bからの画像データのダウンロードは禁止されているものとする。
【0047】
以下、画像形成装置101の動作を、図4〜図6に示したフローチャートに沿って説明する。図4は、画像データ付きの電子メールを送信する場合の画像形成装置101の動作の流れを示したフローチャートである。
【0048】
[ステップS11]
制御部107は、操作部102における受信者への問合せ要否を判定するための閾値情報の変更操作の有無をチェックし、変更操作があれば(ステップS11で”Yes”)ステップS12に進み、変更操作がなければ(ステップS11で”No”)ステップS13に進む。
[ステップS12]
制御部107は、操作部102を介して変更後の閾値情報を受け付けて、それを閾値情報保管部115に保管した後、ステップS13に進む。閾値情報は、操作部102の操作以外に、図示しない外部装置からの操作によって変更されてもよい。また、閾値情報の変更は、装置の管理者だけが行えるようにしてもよいし、個々のユーザが行えるようにしてもよい。
[ステップS13]
制御部107は、操作部102における送信者によるメール送信操作の有無を判定し、当該操作がなければ(ステップS13で”No”)ステップS11に戻って前記の処理を繰り返し、当該操作があれば(ステップS13で”Yes”)ステップS14に進む。
[ステップS14]
メール送受信部112は、操作部102を介して電子メールの宛先指定を受け付ける。宛先指定は、操作部102から直接受信者のメールアドレスを入力するようにしてもよいし、予め記憶部106に登録されている不図示のアドレス帳を操作部102に表示し、その中から受信者を選択するようにしてもよい。また、宛先指定する受信者は1人であっても複数人であってもよい。
[ステップS15]
制御部107は、画像読取部103に、送信対象となる1頁または複数頁の原稿を、送信者によって設定された読取条件(例えば、解像度600dpi、32ビット階調カラー)で読み取らせ、原稿の画像データを生成する。ここで生成する画像データの形式は、PDF、JPEG、TIFF、BMPなどのいずれであってもよい。
[ステップS16]
制御部107は、生成された画像データを、画像データのデータ容量、頁数、読取条件、作成日などの属性情報と共に、所定の場所に所定の名称を付して画像保管部114に保管する。
[ステップS17]
問合せ要否判定部108は、画像保管部114に保管された画像データの容量及び頁数と閾値情報保管部115に保管されている閾値情報とを比較することによって、問合せの要否を判定する。例えば、閾値情報が「(データ容量:5MB未満)または(頁数:100頁未満)」である場合、画像データの容量が5MB以上または頁数が100頁以上であれば「問合せ要」と判定する。判定結果が「問合せ要」であれば(ステップS17で”Yes”)ステップS18に進み、そうでなければ(ステップS17で”No”)ステップS21に進む。
[ステップS18]
データ容量予測部109は、画像保管部114に保管されている画像データに対して、前記したデータ容量を低減するためのすべての画像処理の内容について、それを適用したときの予測データ容量を算出する。
[ステップS19]
問合せ処理部110は、ステップS18にて予測データ容量が算出されたすべての画像処理の内容と、対応する予測データ容量とが記載された問合せメールM1を作成する。問合せメールM1には、画像保管部114に保管された画像データを参照するためのURLアドレス(例えば、http://192.168.100.100/jobs/scan/20080101/imageOO1.pdf)が、併せて記載される。このとき、記載されるURLアドレスを、画像処理装置101に割り当てられた社内LAN20内だけで有効なアドレスとすることにより、社外受信者PC118bからのダウンロードを抑止できる。
[ステップS20]
メール送受信部112は、ステップS19にて作成された問合せメールM1を、ステップS14で指定された受信者宛に送信する。その後ステップS11に戻って前記の処理を繰り返す。
[ステップS21]
メール送受信部112は、直ちに画像付きメールの送信を行うために、画像データ保管部114に保管された画像データを添付ファイルとして添付した画像付きメールを作成する。
[ステップS22]
メール送受信部112は、ステップS21にて作成された画像付きメールを、ステップS14で指定された受信者宛に送信する。
[ステップS23]
メール送受信部112は、ステップS21にて添付した画像データを画像データ保管部106から削除する。その後ステップS11に戻って前記の処理を繰り返す。
【0049】
次に、問合せメールM1に対して返信される返信メールを受信する場合の画像形成装置101の動作の流れを、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0050】
[ステップS31]
メール送受信部112は、前回実行したメール受信処理から一定時間(例えば、5分)が経過するのを待ち(ステップS31で”No”)、一定時間が経過したら(ステップS31で”Yes”)ステップS32に進む。
[ステップS32]
メール送受信部112は、社内メールサーバ116に返信メールM2が有るか否かをチェックし、返信メールがあれば(ステップS32で”Yes”)ステップS33に進み、返信メールがなければ(ステップS32で”No”) ステップS37に進む。
[ステップS33]
メール送受信部112は、社内メールサーバ116に届いた返信メールM2を問合せ処理部110に引き渡し、問合せ処理部110は、返信メールM2に記載されたURLアドレスと画像処理方法とパラメータ値とから、画像処理の対象となる画像データと、それに適用すべき画像処理の内容を決定する。
[ステップS34]
画像処理部111は、問合せ処理部110からの指示にしたがって、ステップS33で決定された画像データに対する画像処理を実行し、新たな画像データを作成する。
[ステップS35]
問合せ処理部110は、ステップS34にて作成された新たな画像データを添付ファイルとして、返信メールM2の送信者宛の画像付きメールM3を作成する。
[ステップS36]
メール送受信部112は、ステップS35にて作成された画像付きメールM3を、返信メールM2の送信者宛に送信する。その後ステップS32に戻って返信メールがなくなるまで前記の処理を繰り返す。
[ステップS37]
制御部107は、画像保管部114に保管されている各画像データの作成日を読み出し、保管期限(例えば10日)を過ぎているものがあれば、その画像データを削除する。その後ステップS31に戻って前記の処理を繰り返す。
【0051】
次に、問合せメールM1の受信者が、表示されるURLアドレスから直接画像データをダウンロードする場合の画像形成装置101の動作の流れを、図6のフローチャートに沿って説明する。
[ステップS41]
前記した問合せ画面(図2)に表示される画像データのURLアドレスを社内受信者がマウスなどで選択すると、社内受信者PC118aから社内LAN20及び通信部105を介して当該URLアドレスの画像データのダウンロード要求が送信される。画像送信部113は、そのような画像データのダウンロード要求が受信されるのを待ち(ステップS41で”No”)、画像データのダウンロード要求が受信されたら(ステップS41で”Yes”)ステップS42に進む。
[ステップS42]
画像送信部113は、受信されたダウンロード要求に含まれるURLアドレスから、送信の対象となる画像データを決定する。
[ステップS43]
画像送信部113は、画像保管部114からステップS42で決定した画像データを読み出し、通信部105及び社内LAN20を介して、要求元の社内受信者PC118aに読み出した画像データを送信する。
【0052】
なお、前記第1実施形態の説明においては、受信者による画像処理方法の選択を単一としたが、複数の画像処理方法を組み合わせた選択を可能とすることによって、データ容量の更なる低減を図るようにしてもよい。また、同時に複数の画像処理方法を選択できるようにし、それぞれの画像処理方法を適用した複数の画像データを生成して送信するようにしてもよい。
【0053】
さらに、画像データは、原稿を画像読取部103にて読み取ることにより生成されるものとして説明したが、外部の装置からネットワーク経由で受信される画像データや、予め画像保管部114に保管されている画像データについても、同様の効果を得ることが可能である。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態に係る画像送信装置または画像形成装置によれば、大容量の画像データが添付された電子メールを無条件に送信するのではなく、それぞれの受信者が希望する品質のより小さなデータ容量の画像データに入れ換えて電子メールを送信することができる。これにより、受信者は、不要な大容量の画像データの受信を拒否したり、受信する画像データの品質を選択することで受け取る画像データのデータ容量を減らすことができる。また、受信した問合せメールに対して複数回にわたって異なる画像処理方法を選択することにより、品質が異なる複数の画像データを受信することも可能となる。
【0055】
さらに、受信者自ら画像処理を行う必要がなくなるので、画像処理アプリケーションを有していない環境においても、所望の品質の画像データを受信することできる。
また、送信者は、個々の受信者が希望する品質に画像データを変換して個別に送信する必要がなくなる、という効果も得られる。
【0056】
《第2実施形態》
前記の第1実施形態においては、例えば、カラー画像をモノクロ変換してしまうとほとんど視認性が失われてしまう画像データに対して、受信者がモノクロ変換を選択した場合のように、受信者の選択結果によっては、送信者が予想もしなかった画像データが受信者に送信されてしまうことがあり得る。
【0057】
そこで、本発明の第2実施形態として、送信者の意図に反する画像データが受信者に送信されないようにするために、受信者が選択可能な画像処理方法の種類を、送信者が制限できるようにした、画像送信装置及び画像形成装置の例を説明する。
【0058】
図7は、第2実施形態に係る画像送信装置を備えた画像形成装置101aの構成を示したブロック図である。図7に示すように、第2実施形態に係る画像形成装置101aの構成が、図1に示した第1実施形態に係る画像形成装置101の構成と異なるのは、記憶部106aに制限情報保管部119が追加され、操作部102aに制限情報の設定機能が、データ容量予測部109aに制限情報の参照機能が追加されている点であり、他の構成要素は第1実施形態と同一であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
また、図3に示したネットワーク構成や電子メールの配信ルートなども第1実施形態と同一であるので、図3に符号を追記して説明を省略する。さらに、図4〜図6に示したフローチャートについても第1実施形態とほぼ同様であるので、以下では、画像形成装置101と異なる点だけに的を絞って説明する。
【0060】
記憶部106aには、画像保管部114及び閾値情報保管部115に加えて、制限情報保管部119が備えられる。この制限情報保管部119には、受信者が選択可能な画像処理の内容を制限するための制限情報が保管される。
【0061】
操作部102aには、制限情報保管部119に保管される制限情報を送信者が設定する機能が追加して備えられる。制限情報の設定は、制御部107aが例えば図8に示したような制限情報入力画面を操作部102aに表示させ、送信者の操作を受け付けることによって行われる。図8の例では、画像処理方法として、解像度変換、階調数変換、モノクロ変換、頁分割、自己復元型分割、圧縮処理の6つの選択肢が一覧表示されており、「設定の変更」欄の▼印を選択することで表示される不図示のドロップダウンリストから、受信者が選択可能なパラメータ値の範囲を選択できるようになっている。
【0062】
そこで、送信者は、一覧表示される各画像処理方法について、受信者に選択を許可するものは「許可」欄、選択を許可しないものには「制限」欄のラジオボタンを選択し、必要に応じて「設定の変更」欄からパラメータ値を選択または直接入力した後、「決定」ボタンによって決定する。なお、制限情報の設定は、操作部102aからだけではなく、不図示の外部装置の操作によって行えるようにしてもよい。
【0063】
制限情報の設定処理は、図4に示したフローチャートのステップS14にて宛先指定を受け付ける直前に追加して実行され、送信者によって設定された制限情報は、ステップS16にて保管される画像データと関連付けられて、制限情報保管部119に保管される。
【0064】
データ容量予測部109aは、図4のステップS18にて予測データ容量を算出するに当り、制限情報保管部119に保管された制限情報を読み出し、送信者によって許可された画像処理方法とパラメータ値の範囲だけについて、予測データ容量を算出して、問合せ処理部110に引き渡す。
【0065】
その結果、受信者に送信される問合せメールには、送信者によって許可された画像処理の内容についてのみ予測データ容量が記載され、前記した問合せ画面(図2参照)では、送信者によって許可された画像処理方法及びパラメータ値だけが選択可能となる。
このとき、選択可能な画像処理の内容が制限されている旨は、制限された画像処理方法やパラメータ値を非表示とする、もしくは、それらを灰色網掛け表示して選択できなくすることにより、受信者に通知することができる。
【0066】
例えば、送信者が図8に示したように、「モノクロ変換」と「圧縮処理」の2つを制限し、「解像度変換」のパラメータ値の範囲を150dpi以上、「階調数変換」のパラメータ値の範囲を8ビット階調以上として、制限情報を設定したものとすれば、問合せ画面は図9もしくは図10のようなものとなる。
【0067】
すなわち、図9に示した問合せ画面Aにおいては、送信者によって制限された「モノクロ変換」と「圧縮処理」の2つが非表示となっており、例えば、「解像度変換」のパラメータ値の選択肢としては、150dpi以上だけが表示されるようになっている。また、図10に示した問合せ画面Bにおいては、送信者によって制限された「モノクロ変換」と「圧縮処理」の2つが灰色で表示され選択できないようになっており、例えば、「階調数変換」のパラメータ値の選択肢も、同様に8ビット階調以上だけが選択できるようになっている。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態に係る画像送信装置または画像形成装置によれば、送信者がメール送信操作を行うときに、受信者が選択可能な画像処理の内容を予め制限しておくことができる。これにより、送信者の意図に反する画像処理が行われることはなくなるので、送信者と受信者の両者にとって、より好適な画像データの送受信を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
前記の実施形態においては、画像送信装置及び画像形成装置としてカラー複合機の例を説明したが、モノクロ複合機についても同様の効果を得ることができる。また、スキャナ機能を有するコピー機などの他の画像形成装置についても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
101,101a 画像形成装置(画像送信装置)
102,102a 操作部
103 画像読取部
104 画像形成部
105 通信部
106,106a 記憶部
107,107a 制御部
108 問合せ要否判定部
109,109a データ容量予測部
110 問合せ処理部
111 画像処理部
112 メール送受信部
113 画像送信部
114 画像保管部
115 閾値情報保管部
116 社内メールサーバ
117 社外メールサーバ
118a 社内受信者PC
118b 社外受信者PC
119 制限情報保管部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記憶する画像保管部と、
前記画像保管部に記憶された画像データを、電子メールに添付して送信する、メール送受信部と
を備えた画像送信装置において、
前記画像データのデータ容量を低減する画像処理を行う画像処理部と、
添付すべき前記画像データが所定の条件に該当する場合に、電子メールの受信者に前記画像データに対して適用すべき希望の画像処理方法を問い合わせる問合せメールを発行する、問合せ処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、前記受信者から返信される返信メールに記載された希望の画像処理を前記画像データに対して適用することによって、データ容量が低減された画像データを生成し、
前記メール送受信部は、前記画像処理部によって生成された、データ容量が低減された前記画像データを電子メールに添付して、前記受信者宛に送信する
ことを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、電子メールに添付すべき前記画像データの、データ容量または頁数が所定値以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
電子メールに添付すべき前記画像データに対して、前記画像処理部が実行可能な画像処理を適用したときの低減後のデータ容量を予測する、データ容量予測部をさらに備え、
前記問合せ処理部は、前記問合せメールに前記データ容量予測部によって予測された、各画像処理毎の前記低減後のデータ容量を記載する
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
前記画像処理部が実行可能な前記画像処理は、
画像データの解像度を下げる解像度変換処理と、
画像データの階調ビット数を減らす階調数変換処理と、
カラーの画像データをグレースケールの画像データに変換するモノクロ変換処理と、
画像データを白黒の2値画像データに変換する白黒変換処理と、
画像データを複数の自己復元型分割データに分割する自己復元型分割処理と、
画像データの圧縮処理と、
複数頁からなる画像データを、所定の頁数以下からなる複数の画像データに分割する頁分割処理と、
複数頁からなる画像データを、所定の頁数毎に縮小して1頁にまとめるN−up変換処理と、
これらを組み合わせて行う複合処理と
の中の、少なくとも1つの処理を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項5】
前記返信メールに記載される前記希望の画像処理が複数種類であって、
前記画像処理部は、前記電子メールに添付すべき画像データに対して前記複数種類の画像処理をそれぞれ適用することによって、データ容量が低減された画像データを複数個生成し、
前記メール送受信部は、前記画像処理部によって生成された、データ容量が低減された前記複数個の画像データを電子メールに添付して、前記受信者宛に送信する
ことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の画像送信装置。
【請求項6】
前記問合せ処理部が前記問合せメールに記載する画像処理の内容を、前記電子メールの送信者が制限可能とする制限手段
をさらに備えたことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の画像送信装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像送信装置を備えた画像形成装置。
【請求項8】
画像データを記憶する画像保管部と制御部と通信部とを備えたコンピュータに、前記画像保管部に記憶された画像データを電子メールに添付して送信させる、画像データの送信プログラムであって、
前記通信部が、前記電子メールの受信者に前記画像データに対して適用すべき希望の画像処理方法を問い合わせる、問合せメールを送信してその返信メールを受信するステップと、
前記制御部が、前記返信メールに記載された希望の画像処理を前記画像保管部に記憶された画像データに対して適用することによって、データ容量が低減された画像データを生成するステップと、
前記通信部が、前記データ容量が低減された前記画像データを電子メールに添付して、前記受信者宛に送信するステップと
を実行させることを特徴とする画像データの送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−218282(P2010−218282A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65012(P2009−65012)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】