説明

画像通信装置

【課題】受信した画像データに係る発送作業の進捗状況を容易に管理できるファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置では、画像データの受信に応答して、画像データに固有の識別情報となる「受信番号」が生成される。そして、その画像データの「受信番号」と、当該画像データに係る発送作業の「進捗状況」とが対応付けられ、受信テーブル41の一のレコードRとして記憶される。生成された「受信番号」は、画像データに付加して記録用紙に印刷される。また、「進捗状況」は実際の作業に合わせてユーザから入力される。このため、受信テーブル41を利用することにより、画像データに係る発送作業の進捗状況を容易に管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを受信可能な画像通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データを受信可能な画像通信装置の一つとしてファクシミリ装置が知られている。ファクシミリ装置は、公衆電話交換網を介して画像データを受信し、その受信した画像データを印刷するようになっている。
【0003】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、次の文献がある。
【0004】
【特許文献1】特許3215548号公報
【特許文献2】特開平7−221908号公報
【特許文献3】特開平8−97998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、顧客から注文を受け、その注文を受けた商品を発送する作業などを行う事業所では、ファクシミリ装置を利用して注文を受けることが多い。この場合、ファクシミリ装置で印刷された記録用紙に基づいて注文内容が把握されることになる。
【0006】
このような事業所では一般に、印刷された記録用紙を参照して発送作業などの人為的作業を行うようになっている。そして、その作業が完了したときに当該記録用紙に所定のマークを入れたり、当該記録用紙を所定のファイルに保管するなどにより、作業の進捗状況を管理するようにしている。
【0007】
しかしながら、記録用紙に基づいて作業の進捗状況が管理されることから、顧客からの問い合せなどで、作業の進捗状況の確認が必要となった場合に、大量の記録用紙の中から必要な記録用紙を探すという非常に繁雑な作業が必要であった。また、一旦、記録用紙を紛失した場合は、その記録用紙に係る作業の進捗状況を確認すること自体が不可能であった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像データに係る人為的作業の進捗状況を容易に管理できる画像通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像データを受信可能な画像通信装置であって、前記画像データの受信に応答し、当該画像データに固有の識別情報を生成する生成手段と、前記画像データに係る人為的作業の進捗状況を入力する入力手段と、前記画像データの識別情報と、当該画像データに係る人為的作業の進捗状況とを対応付けて記憶する記憶手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像通信装置において、前記画像データの受信に応答し、当該画像データに前記識別情報を付加して当該画像データを記録用紙に印刷する手段、をさらに備えている。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の画像通信装置において、前記記憶手段は、一の画像データに係る前記識別情報と前記進捗状況とを含むデータ群を一のレコードとして、複数のレコードを記憶するものであり、前記レコードを抽出するためのキー情報の入力を受け付ける手段と、前記複数のレコードのうちから前記キー情報に基づいてレコードを抽出し、その抽出結果を表示する手段と、をさらに備えている。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の画像通信装置において、前記キー情報は、前記識別情報を含む。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項3または4に記載の画像通信装置において、前記複数のレコードのうちから前記進捗状況が所定状況を示すレコードを抽出し、その抽出結果を表示する手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の画像通信装置において、前記画像データの受信に応答し、当該画像データを発信した発信元を特定する発信元情報を取得する手段、をさらに備え、前記レコードは、該レコードに係る画像データの前記発信元情報を含み、前記キー情報は、前記発信元情報を含む。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項3ないし6のいずれかに記載の画像通信装置において、前記画像データの受信に応答し、当該画像データを受信した時刻を示す時刻情報を取得する手段、をさらに備え、前記レコードは、該レコードに係る画像データの前記時刻情報を含み、前記キー情報は、前記時刻情報を含む。
【0016】
また、請求項8の発明は、請求項3ないし7のいずれかに記載の画像通信装置において、受信した画像データを記憶する手段と、前記複数のレコードのうちから所望のレコードの選択を受け付ける手段と、選択されたレコードに係る画像データを記録用紙に印刷する手段と、を備えている。
【0017】
また、請求項9の発明は、請求項3ないし8のいずれかに記載の画像通信装置において、受信した画像データを記憶する手段と、前記複数のレコードのうちから所望のレコードの選択を受け付ける手段と、選択されたレコードに係る画像データを表示する手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし9の発明によれば、画像データの識別情報と、その画像データに係る人為的作業の進捗状況とが対応付けて記憶されるため、画像データに係る人為的作業の進捗状況を容易に管理できる。
【0019】
また、特に請求項2の発明によれば、画像データに識別情報を付加して画像データが記録用紙に印刷されるため、その記録用紙をユーザが視認することで画像データに固有の識別情報を容易に把握できる。
【0020】
また、特に請求項3の発明によれば、キー情報を入力することで所望の画像データに係るレコードを抽出して閲覧することができる。
【0021】
また、特に請求項4の発明によれば、識別情報に基づいて容易に所望のレコードを抽出できる。
【0022】
また、特に請求項5の発明によれば、進捗状況が所定状況を示すレコードのみを閲覧することができ、作業の全体状況を容易に把握できる。
【0023】
また、特に請求項6の発明によれば、識別情報が分からなくとも、発信元情報に基づいて所望のレコードを抽出できる。
【0024】
また、特に請求項7の発明によれば、識別情報が分からなくとも、時刻情報に基づいて所望のレコードを抽出できる。
【0025】
また、特に請求項8の発明によれば、必要に応じて所望の画像データを記録用紙に印刷して確認することができる。
【0026】
また、特に請求項9の発明によれば、必要に応じて所望の画像データを閲覧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態に係る画像通信装置の一としてファクシミリ装置について説明する。
【0028】
<1.構成>
図1は、ファクシミリ装置1の斜視図である。ファクシミリ装置1は、公衆電話交換網(PSTN)を介して遠隔地にある他のファクシミリ装置との間で画像データを送受信するファクシミリ通信機能を有している。ファクシミリ装置1に受信された画像データは、その受信時に記録用紙に印刷されるようになっている。
【0029】
このファクシミリ装置1は、例えば顧客から商品の注文を受けその注文を受けた商品の発送作業を行う事業所において、受注のために利用されるものである。このため、一度のファクシミリ通信で受信される画像データは、一の注文書(一の注文内容)を示すことになる。なお、本明細書では、実際に印刷される記録用紙の枚数や長さとは無関係に、一度のファクシミリ通信で受信される画像データを一単位として扱い、「一の画像データ」と呼ぶ。すなわち、一の画像データは、一の注文書に対応し、さらに、その一の注文書に係る発送作業という一の人為的作業に対応する。
【0030】
図に示すようにファクシミリ装置1の前面には、各種コマンドやデータの入力などのユーザの操作を受け付ける複数のボタンから構成される操作部11と、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示部12とが設けられている。表示部12は、タッチパネル機能を有しており、ユーザの操作を受け付ける機能の一部を担うようにもなっている。また、操作部11の左側には、公衆電話交換網を介して通話を行うための受話器部13が設けられている。
【0031】
ファクシミリ装置1の内部には、原稿を読み取るスキャナ部21と、画像データを記録用紙に印刷するプリンタ部22とが設けられている。プリンタ部22は、例えばサーマルヘッドを備えており、装置内部に収容された感熱紙としての記録用紙に対して印刷を行う。印刷された記録用紙は、装置の前面側の送出口22aから送出される。
【0032】
図2は、ファクシミリ装置1の電気的構成を示すブロック図である。図に示すように、ファクシミリ装置1は、その内部に制御部としてのマイクロコンピュータを有している。
【0033】
より具体的には、ファクシミリ装置1は、MPU(マイクロプロセッサ;MicroProcessor Unit)31、ROM32、及び、RAM33を備えている。ROM32にはファームウェアとしての制御プログラムが格納されており、この制御用プログラムに従ってMPU31が演算処理を行うことにより、ファクシミリ装置1の各部を制御するための各種機能が実現される。RAM33は、MPU31による演算処理における作業領域として利用される。
【0034】
MPU31は、バスライン39を介して、上述した操作部11、表示部12、受話器部13、スキャナ部21及びプリンタ部22等のファクシミリ装置1の各部に電気的に接続されている。これにより、これら各部はMPU31によって制御されることになる。また、操作部11や表示部12に受け付けられたユーザの操作は信号としてMPU31に入力され、これによりファクシミリ装置1はユーザの操作に応じた動作を行うことになる。
【0035】
また、ファクシミリ装置1は、記憶装置34と、タイマ35と、NCU(ネットワーク制御回路)36と、モデム37とをさらに備えている。
【0036】
記憶装置34は、ファクシミリ通信によって受信した画像データ42等を記憶するためのハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される不揮発性の記憶装置である。また、タイマ35は、絶対時刻を計時する機能を有する時計回路である。
【0037】
また、NCU36及びモデム37は、ファクシミリ通信を実現する処理部である。すなわち、NCU36は、アナログの公衆電話交換網の直流ループの閉結及び開放などの動作を行うハードウェア回路であり、必要に応じてモデム37を公衆電話交換網に接続する。また、モデム37は、ファクシミリ通信用に画像データの変調及び復調を行う。
【0038】
これらの記憶装置34、タイマ35、NCU36及びモデム37の各部も、バスライン39を介してMPU31に電気的に接続されている。このため、これら各部も、MPU31の制御下で動作することになる。
【0039】
<2.受信テーブル>
また、記憶装置34には、ファクシミリ通信で受信した画像データに係る各種情報を管理するデータベースとして機能する受信テーブル41が記憶されている。図3は、受信テーブル41の一例を示す図である。図に示すように、受信テーブル41は、複数のレコード(行データ)Rからなるテーブル形式となっている。
【0040】
各レコードRは、一の画像データ(すなわち、一度の受信)に対応しており、各レコードRごとに同一の画像データに係る各種の情報が相互に関連付けられて登録されている。具体的には、各レコードRごとに、「受信番号」「発信元番号」「受信日時」「進捗状況」及び「画像データ名」などの項目に対応するデータ群が相互に関連付けられている。レコードRの項目は、受信テーブル41においてはフィールド(列データ)として示される。
【0041】
「受信番号」には、当該レコードに対応する画像データを識別するための識別情報が登録される。本実施の形態では、画像データを受信する毎に、その画像データに固有の受信番号が生成される。このような受信番号としては、シリアル番号(受信の順番を示す連続番号)などが採用される。
【0042】
「発信元番号」には、当該レコードに対応する画像データを発信した発信側のファクシミリ装置を特定する発信元情報が登録される。本実施の形態では、発信元の電話番号が発信元番号として登録される。この発信元番号は、ファクシミリ通信の手順における所定の信号に基づいて取得される。なお、発信元情報通知サービスなどの他の手法により、または、他の手法を併用して発信元番号が取得されてもよい。
【0043】
「受信日時」には、当該レコードに対応する画像データを受信した時刻(年月日時分)を示す時刻情報が登録される。本実施の形態では、画像データの受信が完了した時点においてタイマ35により計時される時刻が「受信日時」とされる。
【0044】
「進捗状況」には、当該レコードに対応する画像データに係る発送作業の進捗状況が登録される。具体的には、「進捗状況」には、発送作業が未だ完了していないことを示す「未完了」と、発送作業が完了したことを示す「完了」とのいずれかが登録される。この「進捗状況」は、実際の発送作業に従ってユーザにより入力される(詳細は後述。)。
【0045】
「画像データ名」には、当該レコードに対応する画像データのファイル名が登録される。ファクシミリ装置1に受信された画像データは、記憶装置34に記憶されるようになっており、この記憶の際に画像データに一意となるファイル名が付与される。本実施の形態では、このようなファイル名として、「受信番号」に拡張子を付与したものが採用される。
【0046】
このように受信テーブル41では、画像データの識別番号たる「受信番号」と、その画像データに係る発送作業の「進捗状況」とが対応付けて記憶される。このため、受信テーブル41を利用することにより、各画像データに係る発送作業の進捗状況の管理が容易にできるようになっている。
【0047】
<3.画像データの受信>
このような受信テーブル41の各レコードは、画像データの受信に応答して生成されることになる。図4は、画像データを受信する際のファクシミリ装置1の動作の流れを示す図である。以下、図4を参照して、画像データの受信動作について説明する。
【0048】
まず、NCU36及びモデム37を利用したファクシミリ通信により、画像データの受信が開始される(ステップS11)。そして、そのファクシミリ通信の手順における所定の信号に基づいて「発信元番号」がMPU31により取得され、RAM33に記憶される(ステップS12)。
【0049】
画像データの受信が完了すると(ステップS13)、これに応答して、タイマ35からその時点の絶対時刻(年月日時分)が「受信日時」として取得され、RAM33に記憶される(ステップS14)。
【0050】
次に、受信した画像データのためにユニークな「受信番号」がMPU31により生成され、RAM33に記憶される(ステップS15)。続いて、その生成された「受信番号」が受信した画像データに付加され、その画像データがプリンタ部22において記録用紙に印刷される(ステップS16)。
【0051】
図5は、このようにして印刷された記録用紙5の一例を示す図である。図に示すように、記録用紙5には、注文書としての具体的な注文内容51が印刷されている。これとともに、記録用紙5の上部左側には「発信元番号」52が印刷され、さらに、記録用紙5の上部右側には「受信番号」53が印刷されている。ファクシミリ装置1のユーザたる作業者は、このような記録用紙5を視認することで、当該記録用紙5に係る画像データに固有の「受信番号」を容易に把握できることになる。
【0052】
図4に戻り、このような記録用紙5の印刷に並行して、受信した画像データに固有の「画像データ名」が付与され、その画像データが記憶装置34に登録される(ステップS17)。続いて、上記一連の処理によって得られたデータ群である「受信番号」「発信元番号」「受信日時」「画像データ名」が相互に関連付けられ、新規の一のレコードRとして受信テーブル41に追加登録される。この時点においては、画像データに係る発送作業は完了していないはずであるため、新規のレコードRに含まれる「進捗状況」については「未完了」が登録される(ステップS18)。
【0053】
<4.レコードの抽出>
上記一連の処理は画像データの受信ごとになされるため、画像データの受信数が多数となると、受信テーブル41には多量のレコードが含まれる状態となる。このため、ファクシミリ装置1は受信テーブル41から所望のレコードを探し出すために、所定の条件に従ってレコードを抽出するレコード抽出機能(レコード検索機能)を有している。このレコード抽出機能は、MPU31によって実現される機能である。
【0054】
レコード抽出機能には、ユーザから入力されたキー情報に基づいてレコードを抽出するキー情報抽出機能と、進捗状況が所定の状況を示すレコードを抽出する進捗状況抽出機能とがある。これらの機能は、操作部11に含まれる所定のボタンを押下することにより、選択的に実行されるようになっている。以下、それぞれの機能について説明する。
【0055】
<4−1.キー情報抽出機能>
まず、キー情報抽出機能について説明する。図6は、キー情報抽出機能を実行した場合のファクシミリ装置1の動作の流れを示す図である。キー情報抽出機能を実行すると、まず、キー情報の入力を受け付ける画面が表示部12に表示される(ステップS21)。
【0056】
図7は、この画面を示す図である。図に示すように、表示部12の画面中には、キー情報を入力するための3つのテキストボックスBが、「受信番号」「発信元番号」及び「受信日時」のそれぞれに対応して表示される。ユーザは、「受信番号」「発信元番号」及び「受信日時」のうちいずれか所望の項目を選択する。そして、その選択した項目に対応するキー情報となる文字列を、当該項目の横のテキストボックスBに操作部11を介して入力する。なお、このようなレコードを抽出するためのキー情報としては、ワイルドカード指定も可能となっている。
【0057】
この入力後、「抽出」ボタンCb1に触れると、テキストボックスBに入力された文字列がキー情報としてMPU31に受け付けられる。また、入力されたテキストボックスBの位置に基づいて、ユーザに選択された項目(以下、「対象項目」という。)もMPU31に受け付けられる。
【0058】
そして、これらが抽出条件としてMPU31に受け付けられると、記憶装置34内の受信テーブル41が参照され、その全てのレコードRのうちから抽出条件を満足するものがMPU31により抽出される。より具体的には、受信テーブル41のフィールドのうち対象項目に対応するものが注目され、当該フィールドにキー情報を含むレコードのみが抽出される(ステップS22)。そして、その抽出結果として抽出されたレコードRが、表示部12に表示されることになる(ステップS23)。
【0059】
図8は、対象項目を「受信番号」とし、キー情報を「123456」とした場合の抽出結果を表示した表示部12の画面を示す図である。図に示すように、この画面には、「受信番号」が「123456」となる一のレコードRが表示されている。ユーザは、記録用紙5(図5参照。)の右上にある「受信番号」を参照すれば、所望の画像データの「受信番号」を把握できる。そして、その把握した「受信番号」をキー情報としてレコードを抽出すれば、図8のような画面が表示されるため、ユーザは所望の画像データに係るレコードを閲覧できる。そしてこれにより、ユーザは所望の画像データに係る発送作業の進捗状況を容易に確認できることになる。
【0060】
また、ワイルドカード指定を行った場合や、対象項目を「発信元番号」とした場合などには、複数のレコードが抽出されることもある。図9は、対象項目を「発信元番号」とした場合の抽出結果を表示した表示部12の画面を示す図である。図に示すように、抽出条件を満足した複数のレコードRがリスト形式で表示されている。
【0061】
このように、画像データの「受信番号」でなくとも、その「発信元番号」や「受信日時」により、その情報に基づいてレコードを抽出することができる。したがって、例えば印刷した記録用紙5を紛失して「受信番号」がわからない場合であっても、「発信元番号」や「受信日時」がわかればそれらに基づいてレコードを絞り込むことができ、所望の画像データに係るレコードを探し出すことが容易にできることになる。
【0062】
<4−2.進捗状況抽出機能>
次に、進捗状況抽出機能について説明する。図10は、進捗状況抽出機能を実行した場合のファクシミリ装置1の動作の流れを示す図である。進捗状況抽出機能を実行すると、まず、「未完了」及び「完了」のうちのいずれかの状況を受け付ける画面が表示部12に表示される(ステップS31)。
【0063】
図11は、この画面を示す図である。図に示すように、表示部12の画面中には、「未完了」ボタンCb5と、「完了」ボタンCb6とが表示される。ユーザは、いずれかのボタンCb5,Cb6に触れることで、「未完了」及び「完了」のいずれかの状況を選択することができる。ユーザに選択された状況(「対象状況」という。)はMPU31に受け付けられる。
【0064】
対象状況が抽出条件として受け付けられると、記憶装置34内の受信テーブル41が参照され、その全てのレコードRのうちから抽出条件を満足するものがMPU31により抽出される。すなわち、受信テーブル41の「進捗状況」フィールドが参照され、「進捗状況」が対象状況と同一の状況を示すレコードのみが抽出される(ステップS32)。そして、その抽出結果として抽出されたレコードRが、表示部12に表示されることになる(ステップS33)。
【0065】
図12は、対象状況を「未完了」とした場合の抽出結果を表示した表示部12の画面を示す図である。図に示すように、この画面には、「進捗状況」が「未完了」となるレコードRのみが表示されている。ユーザは、この進捗状況抽出機能を利用することで、発送作業が完了していない画像データ、あるいは、発送作業が完了した画像データを容易に把握することが可能となる。すなわち、発送作業の全体に係る状況を容易に把握できることになる。
【0066】
<5.レコードに対する指示>
また、図8、図9及び図12にあるような抽出結果を表示した画面においては、抽出された各レコードRの右方に「変更」ボタンCb2、「表示」ボタンCb3、及び、「印刷」ボタンCb4の3つのボタンCb2〜Cb4が表示されている。ユーザは、これらのボタンCb2〜Cb4に触れることで、その左方にあるレコードRに関する指示をファクシミリ装置1に行うことができる。すなわち、ボタンCb2〜Cb4の押下により、一のレコードの選択と、その選択されたレコードに係るユーザ指示とがMPU31に受け付けられることになる。
【0067】
「変更」ボタンCb2が押下されると、選択されたレコードの「進捗状況」が変更される。すなわち、「進捗状況」が「未完了」の場合は「完了」に変更され、「完了」の場合は「未完了」に変更される。このような機能により、ユーザは、画像データに係る発送作業の進捗状況を、実際の作業に合わせてファクシミリ装置1に入力できることになる。
【0068】
また、「表示」ボタンCb3が押下されると、選択されたレコードの画像データが表示部12に表示される。すなわち、当該レコードに含まれる「画像データ名」に基づいて記憶装置34から画像データが読み出され、表示部12に表示されることになる。
【0069】
また、「印刷」ボタンCb4が押下されると、選択されたレコードの画像データが記録用紙に印刷される。すなわち、当該レコードに含まれる「画像データ名」に基づいて記憶装置34から画像データが読み出され、プリンタ部22によりに記録用紙に印刷されることになる。
【0070】
このような「表示」ボタンCb3及び「印刷」ボタンCb4の操作により、ユーザは必要に応じて所望の画像データが示す注文内容(作業内容)を閲覧することが可能である。また場合によっては、画像データを記録用紙に再度印刷して紙媒体で画像データが示す注文内容(作業内容)を確認することもできることになる。
【0071】
<6.まとめ>
以上のように、本実施の形態のファクシミリ装置1では、画像データの受信に応答して、画像データに固有の識別情報となる「受信番号」が生成される。そして、その画像データの「受信番号」と当該画像データに係る人為的作業たる発送作業の「進捗状況」とが対応付けられ、受信テーブル41の一のレコードRとして記憶される。したがって、受信テーブル41によって、各画像データに係る発送作業の進捗状況を容易に管理することができる。
【0072】
また、「受信番号」を付加した画像データが記録用紙に印刷されることから、その記録用紙をユーザが視認することで画像データの「受信番号」を容易に把握できる。このため、その記録用紙の「受信番号」に基づいて受信テーブル41を参照すれば、当該画像データの発送作業の進捗状況を容易に把握することができる。
【0073】
また、ファクシミリ装置1はキー情報抽出機能を備えており、キー情報を入力することで所望の画像データに係るレコードを抽出して閲覧することができる。このため、大量の記録用紙の中から記録用紙を探すという非常に繁雑な作業も必要とならない。さらに、キー情報としては、「受信番号」の他に、「受信日時」や「発信元情報」も利用できるため、記録用紙を紛失した場合などであっても、当該記録用紙に係る発送作業の進捗状況を確認することが可能である。
【0074】
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0075】
例えば、上記実施の形態のファクシミリ装置1は、公衆電話交換網を介して画像データを受信するものとして説明を行ったが、インターネットを通じて電子メールの添付ファイルとして画像データを受信するものであってもよい。この場合においては、「発信元情報」はメールアドレスとなる。発信元のメールアドレスは、受信した電子メールのヘッダ情報から取得可能である。
【0076】
また、上記実施の形態では、「受信番号」、「発信元番号」及び「受信日時」のいずれかのみを対象項目とするものであったが、「受信番号」、「発信元番号」及び「受信日時」にそれぞれ対応する3つのキー情報に基づいて、OR検索あるいはAND検索として、レコードを抽出できるようになっていてもよい。さらに、「進捗状況」に対応する状況についてもキー情報として指定できるようにしてもよく、このキー情報をOR検索あるいはAND検索における一の要素として利用できるようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態の画像通信装置であるファクシミリ装置1は、画像データの送受信が可能なものであったが、画像データの受信のみが可能な画像通信装置であってもよい。また逆に、画像通信装置が、ファクシミリ通信機能の他に、コピー機能、スキャン機能、プリント機能などの複数の機能を有する複合機(MFP装置)として構成されていてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では画像データに係る人為的作業は発送作業であるとしていたが、これに限定されず、画像データを受信したことを単に記帳するなどの他の作業であってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、人為的作業の「進捗状況」は、「未完了」「完了」の二状況のみを示すものであったが、「未着手」「作業中」「完了」などの三以上の状況を示すものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】ファクシミリ装置の斜視図である。
【図2】ファクシミリ装置の電気的構成を示す図である。
【図3】受信テーブルの一例を示す図である。
【図4】画像データを受信する際の動作の流れを示す図である。
【図5】印刷された記録用紙の一例を示す図である。
【図6】キー情報抽出機能を実行したの動作の流れを示す図である。
【図7】キー情報の入力を受け付ける画面を示す図である。
【図8】抽出結果を表示した画面の例を示す図である。
【図9】抽出結果を表示した画面の例を示す図である。
【図10】進捗状況抽出機能を実行した場合の動作の流れを示す図である。
【図11】対象状況を受け付ける画面を示す図である。
【図12】抽出結果を表示した画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 ファクシミリ装置
5 記録用紙
11 操作部
12 表示部
34 記憶装置
35 タイマ
39 バスライン
41 受信テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを受信可能な画像通信装置であって、
前記画像データの受信に応答し、当該画像データに固有の識別情報を生成する生成手段と、
前記画像データに係る人為的作業の進捗状況を入力する入力手段と、
前記画像データの識別情報と、当該画像データに係る人為的作業の進捗状況とを対応付けて記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像通信装置において、
前記画像データの受信に応答し、当該画像データに前記識別情報を付加して当該画像データを記録用紙に印刷する手段、
をさらに備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像通信装置において、
前記記憶手段は、一の画像データに係る前記識別情報と前記進捗状況とを含むデータ群を一のレコードとして、複数のレコードを記憶するものであり、
前記レコードを抽出するためのキー情報の入力を受け付ける手段と、
前記複数のレコードのうちから前記キー情報に基づいてレコードを抽出し、その抽出結果を表示する手段と、
をさらに備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像通信装置において、
前記キー情報は、前記識別情報を含むことを特徴とする画像通信装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像通信装置において、
前記複数のレコードのうちから前記進捗状況が所定状況を示すレコードを抽出し、その抽出結果を表示する手段、
をさらに備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかに記載の画像通信装置において、
前記画像データの受信に応答し、当該画像データを発信した発信元を特定する発信元情報を取得する手段、
をさらに備え、
前記レコードは、該レコードに係る画像データの前記発信元情報を含み、
前記キー情報は、前記発信元情報を含むことを特徴とする画像通信装置。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載の画像通信装置において、
前記画像データの受信に応答し、当該画像データを受信した時刻を示す時刻情報を取得する手段、
をさらに備え、
前記レコードは、該レコードに係る画像データの前記時刻情報を含み、
前記キー情報は、前記時刻情報を含むことを特徴とする画像通信装置。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれかに記載の画像通信装置において、
受信した画像データを記憶する手段と、
前記複数のレコードのうちから所望のレコードの選択を受け付ける手段と、
選択されたレコードに係る画像データを記録用紙に印刷する手段と、
を備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項9】
請求項3ないし8のいずれかに記載の画像通信装置において、
受信した画像データを記憶する手段と、
前記複数のレコードのうちから所望のレコードの選択を受け付ける手段と、
選択されたレコードに係る画像データを表示する手段と、
を備えることを特徴とする画像通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−104265(P2007−104265A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290977(P2005−290977)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】