説明

画像鮮明化装置、画像鮮明化方法、画像鮮明化プログラム、速度測定装置、速度測定方法、速度測定プログラム、画像鮮明度判定装置、画像鮮明度判定方法および画像鮮明度判定プログラム

【課題】 周囲に電波散乱体がある場合や、動揺(移動する)目標物の輝度が弱い場合などにおいても、SAR(Synthetic Aperture Radar、合成開口レーダ)により観測された目標物を鮮明に再生することを目的とする。
【解決手段】 SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を生成する参照関数生成部142と、参照関数生成部142が生成した参照関数に基づき、レンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを生成するアジマス圧縮処理部138とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明にかかる実施の形態は、SAR(Synthetic Aperture Radar、合成開口レーダ)により観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置、画像鮮明化方法、画像鮮明化プログラム、および、SARにより観測された目標物の速度を測定する速度測定装置、速度測定方法、速度測定プログラム、および、SARにより観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置、画像鮮明度判定方法および画像鮮明度判定プログラムに関連するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、周囲に電波散乱体がないところで強い電波散乱を示す物体を追尾して目標物の画像を再生する孤立散乱点方式ISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar、逆合成開口レーダ)処理があった。
【特許文献1】特開平11−183606号公報
【特許文献2】特開2003−130950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の孤立散乱点方式ISAR処理では、周囲に電波散乱体がある場合や、動揺(移動する)目標物の輝度が弱い場合などは、追尾が不安定になり目標物の画像が正しく鮮明化されないという課題があった。
また、従来は、目標物のレンジ方向とアジマス方向の速度の算出はできないという課題があった。
【0004】
本発明の実施の形態は、上記の課題を解決するためになされたもので、周囲に電波散乱体がある場合や、動揺目標物の輝度が弱い場合などにおいても、目標物の画像を正しく鮮明化することを目的とする。また、本発明の実施の形態は、目標物のレンジ方向とアジマス方向の速度の算出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成部と、上記参照関数生成部が生成した参照関数に基づき、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを処理装置により生成するアジマス圧縮処理部と、上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データを記憶装置に記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、さらに、目標物が移動する予測速度である予測移動速度を入力装置により入力する速度入力部を備え、上記参照関数生成部は、上記速度入力部が入力した予測移動速度と上記距離関係情報とにより参照関数を生成することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記速度入力部は、複数の予測移動速度を入力し、上記参照関数生成部は、上記速度入力部が入力した複数の予測移動速度の各予測移動速度と距離関係情報とにより、複数の参照関数を生成し、上記アジマス圧縮処理部は、上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき複数のアジマス圧縮後データを生成し、上記画像鮮明化装置は、さらに、上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部を備え、上記データ記憶部は、上記鮮明度算出部が算出した画像の鮮明度が最も高いデータを記憶装置に記憶することを特徴とする。
【0008】
また、さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記速度入力部は、予測移動速度として、レンジ方向の予測移動速度とアジマス方向の予測移動速度とを入力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記鮮明度算出部は、上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、さらに、合成開口時間の開始時刻と合成開口時間の終了時刻とを有する合成開口時間情報を入力装置により入力する合成開口時間情報入力部を備え、上記参照関数生成部は、上記合成開口時間情報入力部が入力した合成開口時間情報と距離関係情報とにより参照関数を生成することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記合成開口時間情報入力部は、複数の合成開口時間情報を入力し、上記参照関数生成部は、上記合成開口時間情報入力部が入力した複数の合成開口時間情報の各合成開口時間情報と距離関係情報とにより複数の参照関数を生成し、上記アジマス圧縮処理部は、上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき複数のアジマス圧縮後データを生成し、上記画像鮮明化装置は、さらに、上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部とを備え、上記データ記憶部は、上記鮮明度算出部が算出した画像の鮮明度が最も高いデータを記憶装置に記憶することを特徴とする。
【0012】
また、さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記鮮明度算出部は、上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記データ入力部は、アジマス圧縮後の画像を入力し、上記画像鮮明化装置は、さらに、上記データ入力部が入力したアジマス圧縮後の画像についてアジマス圧縮を解凍するアジマス解凍処理部を備え、上記アジマス圧縮処理部は、上記アジマス解凍処理部が解凍したデータに対して、上記参照関数生成部が生成した参照関数に基づきアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを生成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、さらに、上記データ入力部が入力したアジマス圧縮後の画像から目標物を含んだ部分画像を切り出す画像切出部を備え、上記アジマス解凍処理部は、上記画像切出部が切り出した部分画像についてアジマス圧縮を解凍することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記アジマス解凍処理部は、目標物の予測移動情報に基づかないSARと目標物との距離関係情報に基づき生成した参照関数を使用してアジマス圧縮後の画像についてアジマス圧縮を解凍することを特徴とする。
【0016】
また、さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記アジマス圧縮処理部は、SARと目標物との距離関係情報を表す式4から得られる参照関数式5に基づきレンジ圧縮後データをアジマス圧縮することを特徴とする。
【0017】
【数3】

【0018】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記参照関数生成部は、上記式5に対して目標物の予測移動速度と合成開口時間情報に基づき算出される合成開口時間とを代入することにより参照関数を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、さらに、目標物のレンジ方向速度に応じて補正量を算出し、算出された補正量に基づいて、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データについてレンジマイグレーション補正を行うレンジマイグレーション補正部を備え、上記アジマス圧縮処理部は、上記レンジマイグレーション補正部がレンジマイグレーション補正した補正後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを生成することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置の上記レンジマイグレーション補正部は、以下の式6に基づき補正量を算出し、算出された補正量に基づいてレンジマイグレーション補正を行うことを特徴とする。
【0021】
【数4】

【0022】
本発明の実施の形態にかかる速度測定装置は、SARにより観測された目標物の速度を測定する速度測定装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、複数の予測速度を入力装置により入力する速度入力部と、上記速度入力部が入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とにより複数の参照関数を処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成部と、上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データを処理装置により生成するアジマス圧縮処理部と、上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部と、上記鮮明度算出部が算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した予測速度を目標物の速度であると処理装置により判定する速度判定部とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明度判定装置は、SARにより観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、上記データ入力部が入力した圧縮後データを処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理部と、上記アジマス圧縮処理部がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明度判定装置の上記鮮明度算出部は、アジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度を表す振幅のピーク値の高さが高いものほど画像の鮮明であると判定することを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置は、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データのレンジマイグレーション補正を行い補正後データを処理装置により生成するレンジマイグレーション補正部と、上記レンジマイグレーション補正部が生成した補正後データに0を詰めることにより、補正後データの画素数を2のべき乗としたゼロ詰めデータを処理装置により生成するゼロ詰め処理部と、画像に付随する画像付随情報を入力装置により入力する付随情報入力部と、目標物の移動する予測速度である予測移動速度と合成開口時間の開始時刻と合成開口時間の終了時刻とを有する合成開口時間情報を入力装置により入力する参照関数情報入力部と、上記付随情報入力部が入力した画像付随情報と、上記参照関数情報入力部が入力した予測移動速度と合成開口時間情報と、SARと目標物との距離関係情報とに基づき参照関数を処理装置により生成する参照関数生成部と、上記ゼロ詰め処理部が生成したゼロ詰めデータをFFT(高速フーリエ変換)しFFT後データを処理装置により生成し、さらに、上記参照関数生成部が生成した参照関数をFFTしFFT後参照関数を処理装置により生成するFFT処理部と、FFT後参照関数に基づき、FFT後データを処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理部と、上記アジマス圧縮処理部がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データをIFFT(逆高速フーリエ変換)し、IFFT後データを処理装置により生成するIFFT処理部と、上記IFFT処理部が生成したIFFT後データを表示装置に表示するデータ表示部と、上記データ表示部が表示したIFFT後データが鮮明か否かの判定を入力装置により入力する鮮明度判定入力部と、上記鮮明度判定入力部が鮮明であると判定した場合、上記IFFT後データを記憶装置に記憶するデータ記憶部とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化方法は、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置の画像鮮明化方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置によりデータ入力部が入力するデータ入力ステップと、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、上記参照関数生成ステップで生成した参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップで生成したアジマス圧縮後データをデータ記憶部が記憶装置に記憶するデータ記憶ステップとを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化プログラムは、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置の画像鮮明化プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置によりデータ入力部が入力するデータ入力ステップと、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、上記参照関数生成ステップで生成した参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップで生成したアジマス圧縮後データをデータ記憶部が記憶装置に記憶するデータ記憶ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
本発明の実施の形態にかかる速度測定方法は、SARにより観測された目標物の速度を測定する速度測定装置の速度測定方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、複数の予測速度を速度入力部が入力装置により入力する速度入力ステップと、上記速度入力ステップで入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とに基づき複数の参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、上記参照関数生成ステップで生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップで生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと、上記鮮明度算出ステップで算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した速度を目標物の速度であると速度判定部が処理装置により判定する速度判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の実施の形態にかかる速度測定プログラムは、SARにより観測された目標物の速度を測定する速度測定装置の速度測定プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、複数の予測速度を速度入力部が入力装置により入力する速度入力ステップと、上記速度入力ステップで入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とに基づき複数の参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、上記参照関数生成ステップで生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップで生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと、上記鮮明度算出ステップで算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した速度を目標物の速度であると速度判定部が処理装置により判定する速度判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明度判定方法は、SARにより観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置の画像鮮明度判定方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、上記データ入力ステップで入力した圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップでアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明度判定プログラムは、SARにより観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置の画像鮮明度判定プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、上記データ入力ステップで入力した圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理ステップと、上記アジマス圧縮処理ステップでアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施の形態にかかる画像鮮明化装置、画像鮮明化方法および画像鮮明化プログラムによれば、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成部と、参照関数生成部が生成した参照関数に基づき、データ入力部が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを処理装置により生成するアジマス圧縮処理部とを備えることにより、周囲に電波散乱体がある場合や、動揺目標物の輝度が弱い場合などにおいても、目標物の画像を正しく鮮明化することができる。
【0033】
また、本発明の実施の形態にかかる速度測定装置、速度測定方法および速度測定プログラムによれば、複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部と、鮮明度算出部が算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した予測速度を目標物の速度であると処理装置により判定する速度判定部とを備えることにより、目標物のレンジ方向とアジマス方向の速度の算出を行うことができる。
【0034】
さらに、本発明の実施の形態にかかる画像鮮明度判定装置、画像鮮明度判定方法および画像鮮明度判定プログラムによれば、アジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部を備えることにより、画像が鮮明であるか否かを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
まず、実施の形態にかかる画像鮮明化装置100のハードウェア構成の一例について図1、図2に基づき説明する。
【0036】
図1は、実施の形態にかかる画像鮮明化装置100の外観の一例を示した図である。
図1において、画像鮮明化装置100は、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置901、キーボード(K/B)902、マウス903、コンパクトディスク装置(CDD)905、データベース908、システムユニット909、サーバ910を備え、これらはケーブルで接続されている。
さらに、画像鮮明化装置100は、ローカルエリアネットワーク(LAN)942、ゲートウェイ941を介してインターネット940に接続されている。
ここで、CRT表示装置901は、表示装置984の一例である。
【0037】
図2は、実施の形態における画像鮮明化装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2において、画像鮮明化装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、CRT表示装置901、K/B902、マウス903、FDD(Flexible Disk)904、CDD905、磁気ディスク装置920と接続されている。CPUは、処理装置の一例である。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置982の一例である。
通信ボード915は、LAN942等に接続されている。
また、K/B902、マウス903などは、入力装置980の一例である。
また、CPU911は、処理装置の一例である。
【0038】
ここで、通信ボード915は、LAN942に限らず、直接、インターネット940、或いはISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)に接続されていても構わない。直接、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続されている場合、画像鮮明化装置100は、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続され、ゲートウェイ941は不用となる。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0039】
上記プログラム群923には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜判定」として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0040】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0041】
また、以下に述べる実施の形態を実施するプログラムは、また、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD、DVD等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0042】
また、図1、図2は、それぞれ、速度測定装置、画像鮮明度判定装置についての外観およびハードウェア構成の一例でもある。
【0043】
実施の形態1.
次に、実施の形態1について説明する。実施の形態1では、周囲に電波散乱体がある場合や、動揺目標物の輝度が弱い場合などにおいても、目標物の画像を正しく鮮明化することができる画像鮮明化装置100、画像鮮明化方法および画像鮮明化プログラムについて説明する。画像鮮明化装置100、画像鮮明化方法および画像鮮明化プログラムが有する処理を速度指定方式ISARと呼ぶ。
【0044】
まず、図3、図4に基づき孤立散乱点方式ISARによる目標物の鮮明化について説明し、次に、図5、図6に基づき速度指定方式ISARによる目標物の鮮明化について説明する。
【0045】
図3は、移動する目標物が1つのみ存在する場合の孤立散乱点方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。移動する目標物が1つのみ存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、孤立散乱点方式ISARにより処理した場合、目標物のみの輝度が強いため正常に孤立散乱点の追尾を行うことができ、目標物の鮮明化に成功する。つまり、この場合、孤立散乱点方式ISARによれば、通常のSAR画像に比べ、目標物は鮮明に再生される。
図4は、移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の孤立散乱点方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、孤立散乱点方式ISARにより処理した場合、目標物より輝度の強いクラッタにフォーカスされてしまうため、目標物はさらにぼやけてしまう。つまり、この場合、孤立散乱点方式ISARによれば、通常のSAR画像に比べ、目標物はぼやけて再生される。
したがって、孤立散乱点方式ISARでは、画像に異なる速度クラッタが入ると目標物を鮮明に再生することができない。
【0046】
図5は、移動する目標物が1つのみ存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。移動する目標物が1つのみ存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、速度指定方式ISARにより処理した場合、目標物の速度を入力すると、目標物の鮮明化に成功する。つまり、この場合、速度指定方式ISARによれば、通常のSAR画像に比べ、目標物は鮮明に再生される。
図6は、移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、速度指定方式ISARにより処理した場合、目標物の速度を入力すると、目標物は鮮明化され、速度の異なるクラッタはぼやける。ここで、クラッタの移動速度が目標物と同じ場合には、速度指定方式ISARにより処理すると目標物が鮮明化されるとともに、クラッタも鮮明化される。
したがって、速度指定方式ISARでは、画像に異なる速度クラッタが入っても目標物を鮮明に再生することができる。
【0047】
次に、速度指定方式ISARの基本となるSARと目標物との相対運動について説明する。
【0048】
まず、図7、図8に基づき、SARと静止体(移動しない目標物)の相対運動について説明する。図7は、SARと静止体とのt秒後の相対関係(距離)を表した図である。図8は、図7における静止体の自転による移動を示す図である。つまり、静止体自身は移動しないが、SARから見た場合静止体は自転により移動する。つまり、ここでは、静止体は自転の影響を受けるものとする。ここでは、自転する座標上に存在する静止体の運動を定義し、その場合のドップラ周波数を導出する。
【0049】
図7、図8より、t秒後のSARと静止体との相対運動(距離)として次式が得られる。
【0050】
【数5】

さらに、
【0051】
【数6】

式8を、マクローリン展開を用いて、式9のように二次の項まで展開する。
【0052】
【数7】

式9を用いて、式10のようにドップラ周波数fを表現できる。
【0053】
【数8】

【0054】
次に、図9、図10に基づき、速度指定方式ISARの基本となるレーダと移動体(移動する目標物)との相対運動について説明する。図9は、SARと移動体とのt秒後の相対関係(距離)を表した図である。図10は、図9における移動体の移動を示す図である。ここでは、上記同様、移動体は自転の影響を受けるものとする。ここでは、アジマス方向へとレンジ方向へとの移動体の運動を定義し、その場合のドップラ周波数fを導出する。
【0055】
図9、図10より、t秒後のSARと移動体との相対運動(距離)として次式が得られる。ここでは、目標物は、所定の間の等速直線運動をすると仮定している。
【0056】
【数9】

さらに、
【0057】
【数10】

式12を、マクローリン展開を用いて、式13のように二次の項まで展開する。
【0058】
【数11】

式13を用いて、式14のようにドップラ周波数fを表現できる。
【0059】
【数12】

ここで、
【0060】
【数13】

である。
【0061】
次に、上記の式14により得られたドップラセンタ周波数fdcEとドップラ周波数変化率βより、次のように、目標物の移動を考慮したアジマス圧縮のための参照関数Erefを得ることができる。
【0062】
【数14】

【0063】
ここで、速度指定方式ISARでは、参照関数Erefの式16に対して、目標物のレンジ方向の予測速度とアジマス方向の予測速度とをv,vとして入力し、アジマス圧縮を行う。アジマス圧縮後の画像のぼやけを確認ながら、複数回処理を繰り返し、最も引き締まった(鮮明になった)画像を出力する。これにより、速度指定方式ISARでは、移動する目標物の鮮明な画像を得る。ここで、速度の異なるクラッタが存在していた場合であっても、指定した予測速度に基づき画像を鮮明化しているため、クラッタの影響を受けない。
【0064】
また、ISARに用いる合成開口時間TA_isarは、通常のSARの合成開口時間T以下となる。また、目標物の動揺が大きいほど短い合成開口時間で高分解能を得ることができる。さらに、合成開口時間TA_isarを短くすることで目標物が等速直線運動をしているとみなすことが可能となるそこで、ここでは、合成開口時間TA_isarの開始時刻αstartおよび合成開口時間TA_isarの終了時刻αendを任意に選択できるようにする。例えば、以下式17のようにSAR用の合成開口時間Tを1で正規化し、ISARに用いる合成開口時間TA_isarの開始時刻αstartおよび合成開口時間TA_isarの終了時刻αendを任意に選択できるようにする。合成開口時間TA_isarは、例えば、SAR用の合成開口時間Tが5秒であった場合、開始時刻αstartを1.5秒、終了時刻αendを3.5秒として切り出した2秒間などである。これを、式17ではSAR用の合成開口時間Tを1で正規化し、開始時刻αstartを0.3、終了時刻αendを0.7と選択し、2秒を切り出ししている。
【0065】
【数15】

【0066】
また、目標物のレンジ方向速度に応じたレンジマイグレーション補正もアジマス圧縮の都度実施することで、高分解能化をはかる。補正量Cは、以下に示す式18から求められ、対応する時刻のレンジ方向を1ラインずらすことで、目標物の軌跡がアジマス方向に直線になるようにする。なお、補正量Cは、通常実数で得られ、その整数部が、レンジ方向へのピクセルレベルのシフト量に相当する。また、小数部については、レンジ方向への1ピクセル以下のシフト量に相当し、三次畳み込み内挿法やポリフェイズフィルタなどで補間する。
【0067】
【数16】

【0068】
次に、図11に基づき実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の機能について説明する。図11は、実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【0069】
画像鮮明化装置100は、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する。ここでは、画像鮮明化装置100は、例えば、速度指定方式ISARにより、SARにより観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する。画像鮮明化装置100は、入力部110、処理部130、記憶部160、表示部170、入力装置980、記憶装置982、表示装置984を備える。
【0070】
入力部110は、データ入力部112、参照関数情報入力部114、付随情報入力部120、鮮明度判定入力部122を備える。
データ入力部112は、SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置980により入力する。ここで、レンジ圧縮後データとは、レンジ方向に対してパルス圧縮処理が施されたレンジ方向にのみ高分解能な画像を指す。
参照関数情報入力部114は、速度入力部116、合成開口時間情報入力部118を備える。速度入力部116は、目標物の移動する予測速度である予測移動速度を入力装置980により入力する。ここで、予測移動速度は、レンジ方向の予測速度vとアジマス方向の予測速度vとを有する。合成開口時間情報入力部118は、合成開口時間の開始時刻αstartと合成開口時間の終了時刻αendとを有する合成開口時間情報を入力装置980により入力する。
付随情報入力部120は、SARの位置やSARの速度などのレンジ方向の予測速度vとアジマス方向の予測速度v以外の画像に付随する画像付随情報を入力装置980により入力する。
鮮明度判定入力部122は、後述するデータ表示部172が表示したIFFT後データが鮮明か否かの判定を入力装置980により入力する。
【0071】
処理部130は、レンジマイグレーション補正部132、ゼロ詰め処理部134、FFT処理部136、アジマス圧縮処理部138、IFFT処理部140、参照関数生成部142を備える。
レンジマイグレーション補正部132は、目標物のレンジ方向速度vに応じて補正量Cを算出し、算出された補正量Cに基づいて、データ入力部112が入力したレンジ圧縮後データについてレンジマイグレーション補正し補正後データを生成する。ここでは、レンジマイグレーション補正部132は、入力されたレンジ方向の予測速度vに応じて補正量Cを算出し、レンジマイグレーション補正を行う。
ゼロ詰め処理部134は、レンジマイグレーション補正部132が生成した補正後データに0を詰めることにより、補正後データの画素数を2のべき乗としたゼロ詰めデータを処理装置により生成する。高速フーリエ変換(FFT)を実施するためには、画素数が2のべき乗にならなければならない。そのため、ゼロ詰め処理部134は、例えば、以下に示す式19のように、切り出したアジマス方向の画素数より大きい最小の2のべき乗の数である高速フーリエ変換のためのアジマス方向の画素数Nfftを算出し、以下に示す式20のように、その数に足りない画素数であるゼロ詰めする画素数Nzero_padだけ0(ゼロ)を詰める。
【0072】
【数17】

FFT処理部136は、ゼロ詰め処理部134が生成したゼロ詰めデータをアジマスラインごとに複素高速フーリエ変換し周波数領域に変換したFFT後データを処理装置により生成する。さらに、FFT処理部136は、後述する参照関数生成部142が生成した参照関数をFFTしFFT後参照関数を処理装置により生成する。
アジマス圧縮処理部138は、後述する参照関数生成部142が生成した参照関数に基づき、データ入力部112が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを処理装置により生成する。ここでは、アジマス圧縮処理部138は、FFT後参照関数に基づき、FFT後データをアジマス圧縮する。アジマス圧縮処理部138は、例えば、切り出された画像の1アジマスラインとアジマス圧縮用の参照関数について、周波数領域で掛け合わせることで、アジマス圧縮(相関処理)を行う。これにより、時間領域におけるアジマス方向への高分解能化を図る。
IFFT処理部140は、アジマス圧縮処理部138がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データを逆高速フーリエ変換(IFFT)し、IFFT後データを処理装置により生成する。IFFT処理部140は、周波数領域でアジマス圧縮処理されたデータについて、IFFTを行うことで、ISAR処理画像を生成する。
参照関数生成部142は、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を処理装置により生成して記憶装置982に記憶する。参照関数生成部142は、例えば、上記式16の参照関数Erefを生成する。予測移動情報とは、速度入力部116が入力した予測移動速度である。例えば、上記式16はレンジドップラー再生方式を対象に生成しているが、再生方式はこれに限定するものではなく、スポットライトなど、それ以外の再生方式でも構わない。他の再生方式の場合であっても、アジマス圧縮を遡って実施することで対応できる。
【0073】
記憶部160は、データ記憶部162を備える。
データ記憶部162は、アジマス圧縮処理部138が生成したアジマス圧縮後データをIFFTしたIFFT後データを記憶装置982に記憶する。ここでは、データ記憶部162は、鮮明度判定入力部122が鮮明であると判定した場合、IFFT後データを記憶装置982に記憶する。データ記憶部162は、例えば、移動する目標物が鮮明化された実部と虚部からなる画像を、記憶装置982に記憶する。
【0074】
表示部170は、データ表示部172を備える。
データ表示部172は、IFFT処理部140が生成したIFFT後データを表示装置984に表示する。データ表示部172は、IFFT後データを、複素数からパワーを計算して表示する。
【0075】
次に、図12に基づき実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の動作について説明する。図12は、実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の動作である速度指定方式ISARによる画像鮮明化方法を示すフローチャートである。
【0076】
まず、データ入力ステップ(S101)では、データ入力部112は、SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置980により入力する。次に、レンジマイグレーション補正ステップ(S102)では、レンジマイグレーション補正部132は、目標物のレンジ方向速度vに応じて補正量Cを算出し、算出された補正量Cに基づいて、データ入力部112が入力したレンジ圧縮後データについてレンジマイグレーション補正し補正後データを生成する。ここで、レンジマイグレーション補正部132は、後述する参照関数生成ステップ(S106)で求めたSARと目標物との距離r(t)を受け取り、受け取ったr(t)に基づいてレンジマイグレーション補正量Cを算出する。レンジマイグレーション補正部132は、例えば、式18に基づき補正量Cを算出する。次に、ゼロ詰め処理ステップ(S103)では、ゼロ詰め処理部134は、レンジマイグレーション補正部132が生成した補正後データに0を詰めることにより、補正後データの画素数を2のべき乗としたゼロ詰めデータを処理装置により生成する。ここで、ゼロ詰め処理部134は、例えば、式19、式20に基づきゼロ詰めする画素数を算出する。次に、高速フーリエ変換処理ステップ(S104)では、FFT処理部136は、ゼロ詰め処理部134が生成したゼロ詰めデータをFFTしFFT後データを処理装置により生成する。
【0077】
上記処理と一部並行して、付随情報入力ステップ(S105)では、付随情報入力部120は、SARの位置やSARの速度などの画像に付随する画像付随情報を入力装置980により入力する。また、ここでは、参照関数情報入力部114は、目標物の移動する予測速度である予測移動速度v,vと合成開口時間TA_isarの開始時刻αstartと合成開口時間TA_isarの終了時刻αendとを有する合成開口時間情報を入力装置980により入力する。次に、参照関数生成ステップ(S106)では、参照関数生成部142は、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を処理装置により生成して記憶装置982に記憶する。参照関数生成部142は、例えば、上記式16の参照関数Erefを生成する。かつ、参照関数生成部142は、r(t)を(S102)へ出力する。次に、高速フーリエ変換処理ステップ(S107)では、FFT処理部136は、参照関数生成部142が生成した参照関数をFFTしFFT後参照関数を処理装置により生成する。
【0078】
次に、アジマス圧縮処理ステップ(S108)では、アジマス圧縮処理部138は、高速フーリエ変換処理ステップ(S107)でFFT処理部136が生成したFFT後参照関数に基づき、高速フーリエ変換処理ステップ(S104)でFFT処理部136が生成したFFT後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを処理装置により生成する。次に、逆高速フーリエ変換処理ステップ(S109)では、IFFT処理部140は、アジマス圧縮処理部138がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データを逆高速フーリエ変換(IFFT)し、IFFT後データを処理装置により生成する。次に、データ表示ステップ(S110)では、データ表示部172は、IFFT処理部140が生成したIFFT後データを表示装置984に表示する。次に、鮮明度判定入力ステップ(S111)では、鮮明度判定入力部122は、データ表示部172が表示したIFFT後データが鮮明か否かの判定を入力装置980により入力する。また、鮮明度判定入力部122が鮮明でないと入力した場合(S111でNo)、参照関数情報入力部114は、目標物の移動する予測速度である予測移動速度v,vと合成開口時間TA_isarの開始時刻αstartと合成開口時間TA_isarの終了時刻αendとを有する合成開口時間情報を入力装置980により入力する。そして、参照関数生成ステップ(S106)から、および、レンジマイグレーション補正ステップ(S102)からの処理を改めて行い、画像が鮮明になるまで処理を繰り返す。一方、鮮明度判定入力部122が鮮明であると入力した場合(S111でYes)、データ記憶ステップ(S112)へ進む。データ記憶ステップ(S112)では、データ記憶部162は、アジマス圧縮処理部138が生成したアジマス圧縮後データをIFFTしたIFFT後データを記憶装置982に記憶する。
【0079】
実施の形態1によれば、画像に異なる速度クラッタが入っても目標物を鮮明に再生することができる。また、実施の形態1によれば、陸上など他に輝度の高いものが存在する中に目標物が存在する場合でも、目標物を鮮明化することができる。
【0080】
つまり、実施の形態1によれば、目標物の輝度の強さに依存しないISAR処理を実現することができる。
【0081】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1での目標物の画像の鮮明化とともに、目標物の速度を測定する速度測定装置を備えた画像鮮明化装置100について説明する。
【0082】
まず、図13、図14に基づき速度指定方式ISARによる目標物の速度算出について説明する。
図13は、移動する目標物が1つのみ存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の速度算出を示す図である。移動する目標物が1つのみ存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、速度指定方式ISARにより処理した場合、目標物の速度を入力すると、目標物の鮮明化に成功する。ここで、目標物が鮮明化された場合に入力した目標物の速度が、正しい目標物の速度である。
図14は、移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の速度算出を示す図である。移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在するレンジ圧縮後のデータを入力し、速度指定方式ISARにより処理した場合、目標物の速度を入力すると、目標物は鮮明化され、速度の異なるクラッタはぼやける。移動する目標物が1つのみ存在する場合と同様に、目標物が鮮明化された場合に入力した目標物の速度が、正しい目標物の速度である。
【0083】
次に、図15に基づき実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100の機能について説明する。図15は、実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。ここでは、実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の機能と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100は、実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100に加え、速度判定部144を備える。
速度判定部144は、鮮明度判定入力部122が鮮明であると入力したアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、参照関数生成部142が使用した予測速度v,vを目標物の速度であると処理装置により判定する。ここで、目標物の速度は、レンジ方向の速度とアジマス方向の速度とを有する。
【0085】
つまり、図12に示すフローチャートにおいて、鮮明度判定入力ステップ(S111)において、鮮明度判定入力部122が鮮明であると入力した場合(S111でYes)、速度判定部144は、参照関数生成部142が使用した予測速度v,vを目標物の速度であると処理装置により判定する。そして、データ記憶ステップ(S112)では、データ記憶部162は、速度判定部144が判定した予測速度v,vを目標物の速度として記憶装置982に記憶する。
【0086】
実施の形態2によれば、目標物の移動する速度を、目標物の画像の鮮明化と合わせて算出することができる。
【0087】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置を備える画像鮮明化装置100について説明する。上記実施の形態においては、鮮明度判定入力部122が、画像が鮮明か否かの判定を入力することにより、画像の鮮明度が判断されていた。しかし、実施の形態3では、機械的に画像の鮮明度を判定し、最も鮮明な目標物の画像と、目標物の速度とを得る。
【0088】
まず、図16に基づき上記実施の形態での鮮明な目標物の画像を得るための処理について説明する。図16は、画像が鮮明か否かの判定を入力することにより、画像の鮮明度を判断する画像鮮明化装置100の動作を示す図である。
画像が鮮明か否かの判定を入力することにより、画像の鮮明度を判断する画像鮮明化装置100では、まず、レンジ圧縮後の画像と、レンジ方向の予測速度とアジマス方向の予測速度となどを入力する。次に、入力されたデータに基づき、速度指定方式ISARの処理を逆高速フーリエ変換処理ステップ(S109)まで行う。ここで生成された画像を表示し、目視などにより目標物の画像が鮮明であるか否かを判定し、判定を入力する。画像が鮮明でない場合、鮮明な画像が得られるまで上記の処理を繰り返す。
【0089】
次に、図17に基づき実施の形態3での鮮明な目標物の画像を得るための処理について説明する。図17は、機械的に画像の鮮明度を判定する画像鮮明化装置100の動作を示す図である。
機械的に画像の鮮明度を判定する画像鮮明化装置100では、レンジ圧縮後の画像を入力することで、機械的に最も鮮明な目標物の画像を出力する。
したがって、ISAR用の合成開口時間の中で目標物が複雑に移動する場合など、鮮明な画像を得るために多くの時間がかかっていたが、実施の形態3の方法を用いることで解決することができる。
【0090】
次に、図18、図19に基づき実施の形態3における画像鮮明度判定装置の画像鮮明度判定方法の概要について説明する。
図18は、画像が鮮明にならないぼやけを生じる場合の例を示した図である。レンジ圧縮後の画像に対して、マッチングしない参照関数を入力し、アジマス圧縮処理を行うと、アジマス圧縮後の画像はぼやけを生じ鮮明な画像は得られない。つまり、目標物の予測速度が、実際の目標物の速度と異なると参照関数がマッチングしないため、鮮明な画像は得られない。この場合、アジマス圧縮後の画像の目標物の輝度を示す振幅値のピークは低くなる。
図19は、画像が鮮明になる場合の例を示した図である。レンジ圧縮後の画像に対して、マッチングする参照関数を入力し、アジマス圧縮処理を行うと、アジマス圧縮後の画像はぼやけを生じない鮮明な画像が得られる。つまり、目標物の予測速度が、実際の目標物の速度と同等であると参照関数がマッチングし、鮮明な画像が得られる。この場合、アジマス圧縮後の画像の目標物の輝度を示す振幅値のピークは高くなる。
【0091】
次に、図20に基づき実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の機能について説明する。図20は、実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。ここでは、実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100の機能と異なる部分についてのみ説明する。
【0092】
実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100は、実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100に加え、鮮明度算出部146を備える。また、実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100は、鮮明度判定入力部122を備えていなくても構わない。
鮮明度算出部146は、アジマス圧縮処理部138が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する。鮮明度算出部146は、例えば、アジマス圧縮処理部138が生成したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度を表す振幅のピーク値を探し、ピーク値の高さが高いものほど画像の鮮明であると判定する。
また、速度入力部116は、例えば、アジマス方向の予測速度vの範囲va_max,va_mixとレンジ方向の予測速度vの範囲vr_max,vr_mixとアジマス圧縮回数Nとを設定し、以下の式21のように入力する速度を算出し、算出した速度を入力する。
【0093】
【数18】

【0094】
次に、図21に基づき実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の動作について説明する。図21は、実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の動作である速度指定方式ISARによる画像鮮明化を自動化する画像鮮明度判定方法を示すフローチャートである。ここでは、実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100の動作と異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
まず、S202からS204までと、S206からS211までとを処理群Aとし、後述する速度入力ステップ(S210)で速度入力部116が入力する速度を変えながら、処理群Aを繰り返し実行する。処理群Aは、例えば、上記式21に基づきN回繰り返す。
ここで、S201からS209までは、それぞれ、S101からS109までと同様である。
速度入力ステップ(S210)では、速度入力部116は、目標物の移動する予測速度であるレンジ方向の予測速度vとアジマス方向の予測速度vを入力装置980により入力する。速度入力部116は、例えば、アジマス方向の予測速度vの範囲va_max,va_mixとレンジ方向の予測速度vの範囲vr_max,vr_mixとアジマス圧縮回数Nとを設定し、上記式21のように入力する速度を算出し、算出した速度v,vを入力する。鮮明度算出ステップ(S211)では、鮮明度算出部146は、アジマス圧縮処理部138が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する。次に、速度判定ステップ(S212)では、速度判定部144は、鮮明度算出部146が算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、参照関数生成部142が使用した予測速度v,vを目標物の速度であると処理装置により判定する。次に、データ記憶ステップ(S213)では、データ記憶部162は、複数回実行された処理群Aにおいて、鮮明度算出部146が最も鮮明度が高いと判定したデータを記憶装置982に記憶する。ここで、データ記憶部162は、実施の形態2同様、鮮明度が高いと判定されたデータを算出する場合に入力された予測速度v,vを目標物の速度として記憶する。
【0096】
図21に示す画像鮮明化装置100の動作では、予測速度v,vを変化させながら、最も鮮明度が高いものを探す処理を行った。次に、図22に基づき予測速度v,vに加え、合成開口時間TA_isarについても変化させながら最も鮮明度が高いものを探す処理を行う画像鮮明化装置100の動作について説明する。図22は、予測速度v,vに加え、合成開口時間TA_isarについても変化させながら最も鮮明度が高いものを探す処理を行う画像鮮明化装置100の動作を示すフローチャートである。ここでは、図21に示す画像鮮明化装置100の動作と異なる部分についてのみ説明する。
【0097】
まず、S202からS204までと、S206からS211までと、S213とを処理群Bとし、後述する合成開口時間情報入力ステップ(S213)で合成開口時間情報入力部118が入力する合成開口時間情報を変えながら、処理群Bを繰り返し実行する。処理群Bは、例えば、SARの合成開口時間TをM分割し、M個の各合成開口時間回繰り返す。つまり、M回実行される処理群Bそれぞれに対して、処理群AはN回実行される。すなわち、処理群AはM×N回実行される。
ここで、S201からS212までは、図21に示す画像鮮明化装置100の動作と同様である。
合成開口時間情報入力ステップS213では、合成開口時間情報入力部118は、合成開口時間TA_isarの開始時刻αstartと合成開口時間の終了時刻αendとを有する合成開口時間情報を入力装置980により入力する。合成開口時間情報入力部118は、例えば、SARの合成開口時間TをM分割し、M個の各合成開口時間情報を入力する。
【0098】
実施の形態3によれば、目標物の画像が鮮明であるか否かを機械的に判定することができる。したがって、SAR用合成開口時間内の目標物の移動が複雑な場合などに、高品質なISAR画像を得るまでに相当の時間を要していたが、実施の形態3によれば、その時間を短縮することができ、かつ、高品質なISAR画像を得るための手間が軽減される。
【0099】
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、SAR再生された画像(アジマス圧縮後の画像)に含まれる目標物がぼやけている場合に、目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置100について説明する。
【0100】
まず、図23、図24に基づきアジマス圧縮後の画像を入力された場合の孤立散乱点方式ISARによる画像再生について説明する。
図23は、速度の異なる複数の目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の孤立散乱点方式ISARによる画像再生を示した図である。この場合、図3において説明したようにアジマス圧縮後の画像から1つの目標物のみ存在する部分を切り出し、孤立散乱点方式ISARによる画像再生を行うことで、切り出した部分に含まれる目標物の画像を鮮明化することができる。しかし、図4において説明したようにアジマス圧縮後の画像から切り出した部分に、鮮明化したい目標物以外に、他の目標物(クラッタ)が含まれてしまうと、孤立散乱点方式ISARによる画像再生を行っても目標物の画像の鮮明化に失敗する。
図24は、陸上の移動目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の孤立散乱点方式ISARによる画像再生を示した図である。この場合、アジマス圧縮後の画像から目標物を含む部分を切り出し、孤立散乱点方式ISARによる画像再生を行っても、速度0の陸地からの反射の影響により目標物の画像の鮮明化に失敗する。
【0101】
次に、図25、図26に基づきアジマス圧縮後の画像を入力された場合の速度指定方式ISARによる画像再生について説明する。
図25は、速度の異なる複数の目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の速度指定方式ISARによる画像再生を示した図である。この場合、図5において説明したようにアジマス圧縮後の画像から1つの目標物のみ存在する部分を切り出し、速度指定方式ISARによる画像再生を行うことで、切り出した部分に含まれる目標物の画像を鮮明化することができる。また、図6において説明したようにアジマス圧縮後の画像から切り出した部分に、鮮明化したい目標物以外に、他の目標物(クラッタ)が含まれていたとしても、速度指定方式ISARによる画像再生を行うことで目標物の画像を鮮明化することができる。
図26は、陸上の移動目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の速度指定方式ISARによる画像再生を示した図である。この場合、アジマス圧縮後の画像から目標物を含む部分を切り出し、速度指定方式ISARによる画像再生を行うことで陸地からの反射の影響を受けずに目標物の画像を鮮明化することができる。
【0102】
次に、図27に基づき実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100によるアジマス圧縮後の画像に含まれる目標物がぼやけている場合に、目標物の画像を鮮明化する方法について説明する。図27は、実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100によるアジマス圧縮後の画像に含まれる目標物がぼやけている場合に、目標物の画像を鮮明化する方法を示す図である。
まず、入力されたアジマス圧縮後の画像から目標物を含む部分を切り出しする。この場合、目標物を含んでいればどの部分でもよく、クラッタを含んでいたとしても構わない。次に、切り出した画像のアジマス圧縮を解凍する。アジマス圧縮を解凍することにより、レンジ圧縮後のデータが生成される。レンジ圧縮後のデータに対して、速度指定方式ISARによる画像再生を行うことで、目標物が鮮明化される。
【0103】
次に、図28に基づき実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の機能について説明する。図28は、実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。ここでは、実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の機能と異なる部分についてのみ説明する。
【0104】
実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100は、実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100に加え、画像切出部148、アジマス解凍処理部150を備える。
画像切出部148は、データ入力部112が入力したアジマス圧縮後の画像から目標物を含んだ部分画像を切り出す。
アジマス解凍処理部150は、アジマス圧縮後の画像についてアジマス圧縮を解凍する。
【0105】
ここで、アジマス圧縮の解凍とは、アジマス圧縮処理を逆に実施することをいう。ここでいうアジマス圧縮処理とは、入力画像に対してされたアジマス圧縮処理である。したがって、通常は、上述した目標物の移動を考慮した参照関数に基づいたアジマス圧縮処理ではなく、目標物の移動を考慮しない参照関数に基づいたアジマス圧縮処理であることが考えられる。したがって、実施の形態1に示した目標物の移動を考慮した参照関数に基づいたアジマス圧縮処理ではなく、例えば以下のようにして得られた参照関数に基づきアジマス解凍処理を行う。
【0106】
SARでは、その画像化原理により、SARはある速度で移動する。SAR画像には、必ずSARの飛行情報、再生された画像の位置情報、および合成開口時間が付随しており、式22に示すSARと目標物との相対距離関係を計算することができる。これより、実施の形態1に示したのと同様に式23のようにドップラ周波数変化を計算できる。そして、SAR画像再生時に用いたアジマス圧縮の参照関数Erefを式24のように得ることができる。
【0107】
【数19】

なお、ここでは、レンジ−ドップラ再生方式を対象としているが、これに限定するわけではなく、スポットライトなど、それ以外の再生方式でもアジマス圧縮を逆に実施することで対応できる。
【0108】
次に、図29、図30に基づき、実施の形態1にて説明した式により、目標物が周波数領域での移動による影響を以下に示し、アジマス解凍することについての影響について説明する。図29は、目標物が周波数領域でレンジ方向に移動した場合の影響を示す図である。図30は、目標物が周波数領域でアジマス方向に移動した場合の影響を示す図である。
図29に示すように、目標物が周波数領域でレンジ方向に移動した場合、帯域に変化は生じないが、シフトが起こる。また、図30に示すように、目標物が周波数領域でアジマス方向に移動した場合、目標物がSARと逆方向へ移動する場合には帯域に変化が生じる。しかし、それ以外の場合には、移動しない目標物の帯域以内に収まる。
【0109】
周波数領域で畳み込みを行った後のSLC(シングルルックコンプレックス)から、処理を逆進する場合、移動に伴う周波数シフトや帯域伸張で失われたデータについては、再生不可能である。しかし、これは、静止体を想定した参照関数の帯域外の部分が完全に0となった場合のみであるため、一般には課題とはならない。
【0110】
次に、図31に基づき実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の動作について説明する。図31は、実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の動作であるSAR再生画像に対する速度指定方式ISAR処理を用いた画像鮮明化方法を示すフローチャートである。
【0111】
データ入力ステップ(S301)では、データ入力部112は、アジマス圧縮後の画像を入力する。次に、画像切出ステップ(S302)では、画像切出部148は、データ入力部112が入力したアジマス圧縮後の画像から目標物を含んだ部分画像を切り出す。次に、ゼロ詰め処理ステップ(S303)では、ゼロ詰め処理部134は、切出した画像に0を詰めることにより、切出した画像の画素数を2のべき乗とする。0詰めの方法については、実施の形態1に示す方法と同様で構わない。次に、高速フーリエ変換処理ステップ(S304)では、FFT処理部136は、ゼロ詰め処理部134が生成したゼロ詰めデータをFFTしFFT後データを処理装置により生成する。
【0112】
上記処理と並行して、付随情報入力ステップ(S305)では、付随情報入力部120は、SARの位置やSARの速度などの画像に付随する画像付随情報を入力装置980により入力する。次に、静止目標物へのアジマス圧縮参照関数生成ステップ(S306)では、参照関数生成部142は、目標物の移動を考慮しない参照関数を処理装置により生成する。次に、高速フーリエ変換処理ステップ(S307)では、FFT処理部136は、参照関数生成部142が生成した参照関数をFFTしFFT後参照関数を処理装置により生成する。
【0113】
次に、アジマス解凍処理ステップ(S308)では、アジマス解凍処理部150は、高速フーリエ変換処理ステップ(S307)でFFT処理部136が生成したFFT後参照関数に基づき、高速フーリエ変換処理ステップ(S304)でFFT処理部136が生成したFFT後データをアジマス解凍しアジマス解凍後データを処理装置により生成する。次に、逆高速フーリエ変換処理ステップ(S309)では、IFFT処理部140は、アジマス解凍処理部150がアジマス解凍したアジマス解凍後データをIFFTし、IFFT後データを処理装置により生成する。そして、速度指定方式ISAR処理による画像鮮明化処理ステップ(S310)では、上記実施の形態に示す速度指定方式ISAR処理による画像再生を実施する。データ記憶ステップ(S311)では、上記実施の形態同様、データ記憶部162は、再生された画像および算出された速度を記憶する。
【0114】
実施の形態4によれば、SAR再生画像やISAR再生画像などを入力データとして、速度指定方式ISAR処理を実施できる。したがって、通常手に入れることのできるSAR再生画像に含まれる移動しているためにぼやけている目標物や陸上に存在するためにぼやけている目標物の鮮明化をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】実施の形態にかかる画像鮮明化装置100の外観の一例を示した図である。
【図2】実施の形態における画像鮮明化装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】移動する目標物が1つのみが存在する場合の孤立散乱点方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。
【図4】移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の孤立散乱点方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。
【図5】移動する目標物が1つのみが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。
【図6】移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の鮮明化を示す図である。
【図7】SARと静止体とのt秒後の相対関係(距離)を表した図である。
【図8】図7における静止体の自転による移動を示す図である。
【図9】SARと移動体とのt秒後の相対関係(距離)を表した図である。
【図10】図9における移動体の移動を示す図である。
【図11】実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【図12】実施の形態1にかかる画像鮮明化装置100の動作である速度指定方式ISARによる動揺目標鮮明化方法を示すフローチャートである。
【図13】移動する目標物が1つのみが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の速度算出を示す図である。
【図14】移動する目標物と、目標物と異なる速度を持ち輝度が強いクラッタとが存在する場合の速度指定方式ISARによる目標物の速度算出を示す図である。
【図15】実施の形態2にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【図16】画像が鮮明か否かの判定を入力することにより、画像の鮮明度が判断する画像鮮明化装置100の動作を示す図である。
【図17】機械的に画像の鮮明度を判定する画像鮮明化装置100の動作を示す図である。
【図18】画像が鮮明にならないぼやけを生じる場合の例を示した図である。
【図19】画像が鮮明になる場合の例を示した図である。
【図20】実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【図21】実施の形態3にかかる画像鮮明化装置100の動作である速度指定方式ISARによる画像鮮明化の自動化方法を示すフローチャートである。
【図22】予測速度に加え、合成開口時間についても変化させながら最も鮮明度が高いものを探す処理を行う画像鮮明化装置100の動作を示すフローチャートである。
【図23】速度の異なる複数の目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の孤立散乱点方式ISARによる画像再生を示した図である。
【図24】陸上の移動目標が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の孤立散乱点方式ISARによる画像再生を示した図である。
【図25】速度の異なる複数の目標物が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の速度指定方式ISARによる画像再生を示した図である。
【図26】陸上の移動目標が存在するアジマス圧縮後の画像を入力された場合の速度指定方式ISARによる画像再生を示した図である。
【図27】実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100によるアジマス圧縮後の画像に含まれる目標物がぼやけている場合に、目標物の画像を鮮明化する方法を示す図である。
【図28】実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【図29】目標物が周波数領域でレンジ方向に移動した場合の影響を示す図である。
【図30】目標物が周波数領域でアジマス方向に移動した場合の影響を示す図である。
【図31】実施の形態4にかかる画像鮮明化装置100の動作であるSAR再生画像に対する速度指定方式ISAR処理を用いた動揺目標鮮明化方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
100 画像鮮明化装置、110 入力部、112 データ入力部、114 参照関数情報入力部、116 速度入力部、118 合成開口時間情報入力部、120 付随情報入力部、122 鮮明度判定入力部、130 処理部、132 レンジマイグレーション補正部、134 ゼロ詰め処理部、136 FFT処理部、138 アジマス圧縮処理部、140 IFFT処理部、142 参照関数生成部、144 速度判定部、146 鮮明度算出部、148 画像切出部、150 アジマス解凍処理部、160 記憶部、162 データ記憶部、170 表示部、172 データ表示部、901 CRT表示装置、902 K/B、903 マウス、904 FDD、905 CDD、908 データベース、909 システムユニット、910 サーバ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 FAX機、940 インターネット、941 ゲートウェイ、942 LAN、980 入力装置、982 記憶装置、984 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、
SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成部と、
上記参照関数生成部が生成した参照関数に基づき、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを処理装置により生成するアジマス圧縮処理部と、
上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データを記憶装置に記憶するデータ記憶部と
を備えることを特徴とする画像鮮明化装置。
【請求項2】
上記画像鮮明化装置は、さらに、
目標物が移動する予測速度である予測移動速度を入力装置により入力する速度入力部を備え、
上記参照関数生成部は、上記速度入力部が入力した予測移動速度と上記距離関係情報とにより参照関数を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【請求項3】
上記速度入力部は、複数の予測移動速度を入力し、
上記参照関数生成部は、上記速度入力部が入力した複数の予測移動速度の各予測移動速度と距離関係情報とにより、複数の参照関数を生成し、
上記アジマス圧縮処理部は、上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき複数のアジマス圧縮後データを生成し、
上記画像鮮明化装置は、さらに、
上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部を備え、
上記データ記憶部は、上記鮮明度算出部が算出した画像の鮮明度が最も高いデータを記憶装置に記憶する
ことを特徴とする請求項2記載の画像鮮明化装置。
【請求項4】
上記速度入力部は、予測移動速度として、レンジ方向の予測移動速度とアジマス方向の予測移動速度とを入力する
ことを特徴とする請求項2記載の画像鮮明化装置。
【請求項5】
上記鮮明度算出部は、上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により判定する
ことを特徴とする請求項3記載の画像鮮明化装置。
【請求項6】
上記画像鮮明化装置は、さらに、
合成開口時間の開始時刻と合成開口時間の終了時刻とを有する合成開口時間情報を入力装置により入力する合成開口時間情報入力部を備え、
上記参照関数生成部は、上記合成開口時間情報入力部が入力した合成開口時間情報と距離関係情報とにより参照関数を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【請求項7】
上記合成開口時間情報入力部は、複数の合成開口時間情報を入力し、
上記参照関数生成部は、上記合成開口時間情報入力部が入力した複数の合成開口時間情報の各合成開口時間情報と距離関係情報とにより複数の参照関数を生成し、
上記アジマス圧縮処理部は、上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき複数のアジマス圧縮後データを生成し、
上記画像鮮明化装置は、さらに、
上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部とを備え、
上記データ記憶部は、上記鮮明度算出部が算出した画像の鮮明度が最も高いデータを記憶装置に記憶する
ことを特徴とする請求項6記載の画像鮮明化装置。
【請求項8】
上記鮮明度算出部は、上記アジマス圧縮処理部が生成したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により判定する
ことを特徴とする請求項7記載の画像鮮明化装置。
【請求項9】
上記データ入力部は、アジマス圧縮後の画像を入力し、
上記画像鮮明化装置は、さらに、
上記データ入力部が入力したアジマス圧縮後の画像についてアジマス圧縮を解凍するアジマス解凍処理部を備え、
上記アジマス圧縮処理部は、上記アジマス解凍処理部が解凍したデータに対して、上記参照関数生成部が生成した参照関数に基づきアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【請求項10】
上記画像鮮明化装置は、さらに、
上記データ入力部が入力したアジマス圧縮後の画像から目標物を含んだ部分画像を切り出す画像切出部を備え、
上記アジマス解凍処理部は、上記画像切出部が切り出した部分画像についてアジマス圧縮を解凍する
ことを特徴とする請求項9記載の画像鮮明化装置。
【請求項11】
上記アジマス解凍処理部は、目標物の予測移動情報に基づかないSARと目標物との距離関係情報に基づき生成した参照関数を使用してアジマス圧縮後の画像についてアジマス圧縮を解凍する
ことを特徴とする請求項9記載の画像鮮明化装置。
【請求項12】
上記アジマス圧縮処理部は、SARと目標物との距離関係情報を表す式1から得られる参照関数式2に基づきレンジ圧縮後データをアジマス圧縮する
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【数1】

【請求項13】
上記参照関数生成部は、上記式2に対して目標物の予測移動速度と合成開口時間情報に基づき算出される合成開口時間とを代入することにより参照関数を生成する
ことを特徴とする請求項12記載の画像鮮明化装置。
【請求項14】
上記画像鮮明化装置は、さらに、
目標物のレンジ方向速度に応じて補正量を算出し、算出された補正量に基づいて、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データについてレンジマイグレーション補正を行うレンジマイグレーション補正部を備え、
上記アジマス圧縮処理部は、上記レンジマイグレーション補正部がレンジマイグレーション補正した補正後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【請求項15】
上記レンジマイグレーション補正部は、以下の式3に基づき補正量を算出し、算出された補正量に基づいてレンジマイグレーション補正を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像鮮明化装置。
【数2】

【請求項16】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物の速度を測定する速度測定装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、
複数の予測速度を入力装置により入力する速度入力部と、
上記速度入力部が入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とにより複数の参照関数を処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成部と、
上記参照関数生成部が生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データを処理装置により生成するアジマス圧縮処理部と、
上記アジマス圧縮処理部が生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部と、
上記鮮明度算出部が算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、上記参照関数生成部が使用した予測速度を目標物の速度であると処理装置により判定する速度判定部と
を備えることを特徴とする速度測定装置。
【請求項17】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、
上記データ入力部が入力した圧縮後データを処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理部と、
上記アジマス圧縮処理部がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を処理装置により算出する鮮明度算出部と
を備えることを特徴とする画像鮮明度判定装置。
【請求項18】
上記鮮明度算出部は、アジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度を表す振幅のピーク値の高さが高いものほど画像の鮮明であると判定する
ことを特徴とする請求項17記載の画像鮮明度判定装置。
【請求項19】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置により入力するデータ入力部と、
上記データ入力部が入力したレンジ圧縮後データのレンジマイグレーション補正を行い補正後データを処理装置により生成するレンジマイグレーション補正部と、
上記レンジマイグレーション補正部が生成した補正後データに0を詰めることにより、補正後データの画素数を2のべき乗としたゼロ詰めデータを処理装置により生成するゼロ詰め処理部と、
画像に付随する画像付随情報を入力装置により入力する付随情報入力部と、
目標物の移動する予測速度である予測移動速度と合成開口時間の開始時刻と合成開口時間の終了時刻とを有する合成開口時間情報を入力装置により入力する参照関数情報入力部と、
上記付随情報入力部が入力した画像付随情報と、上記参照関数情報入力部が入力した予測移動速度と合成開口時間情報と、SARと目標物との距離関係情報とに基づき参照関数を処理装置により生成する参照関数生成部と、
上記ゼロ詰め処理部が生成したゼロ詰めデータをFFT(高速フーリエ変換)しFFT後データを処理装置により生成し、さらに、上記参照関数生成部が生成した参照関数をFFTしFFT後参照関数を処理装置により生成するFFT処理部と、
FFT後参照関数に基づき、FFT後データを処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理部と、
上記アジマス圧縮処理部がアジマス圧縮したアジマス圧縮後データをIFFT(逆高速フーリエ変換)し、IFFT後データを処理装置により生成するIFFT処理部と、
上記IFFT処理部が生成したIFFT後データを表示装置に表示するデータ表示部と、
上記データ表示部が表示したIFFT後データが鮮明か否かの判定を入力装置により入力する鮮明度判定入力部と、
上記鮮明度判定入力部が鮮明であると判定した場合、上記IFFT後データを記憶装置に記憶するデータ記憶部と
を備えることを特徴とする画像鮮明化装置。
【請求項20】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置の画像鮮明化方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置によりデータ入力部が入力するデータ入力ステップと、
SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、
上記参照関数生成ステップで生成した参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップで生成したアジマス圧縮後データをデータ記憶部が記憶装置に記憶するデータ記憶ステップと
を備えることを特徴とする画像鮮明化方法。
【請求項21】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータから目標物の画像を鮮明化する画像鮮明化装置の画像鮮明化プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データを入力装置によりデータ入力部が入力するデータ入力ステップと、
SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報に基づき参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、
上記参照関数生成ステップで生成した参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮しアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップで生成したアジマス圧縮後データをデータ記憶部が記憶装置に記憶するデータ記憶ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像鮮明化プログラム。
【請求項22】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物の速度を測定する速度測定装置の速度測定方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、
複数の予測速度を速度入力部が入力装置により入力する速度入力ステップと、
上記速度入力ステップで入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とに基づき複数の参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、
上記参照関数生成ステップで生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップで生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと、
上記鮮明度算出ステップで算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した速度を目標物の速度であると速度判定部が処理装置により判定する速度判定ステップと
を備えることを特徴とする速度測定方法。
【請求項23】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物の速度を測定する速度測定装置の速度測定プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、
複数の予測速度を速度入力部が入力装置により入力する速度入力ステップと、
上記速度入力ステップで入力した複数の予測速度の各予測速度と、SARの移動情報と目標物の予測移動情報とに基づいたSARと目標物との距離関係情報とに基づき複数の参照関数を参照関数生成部が処理装置により生成して記憶装置に記憶する参照関数生成ステップと、
上記参照関数生成ステップで生成した複数の参照関数の各参照関数に基づき、上記データ入力ステップで入力したレンジ圧縮後データをアジマス圧縮し複数のアジマス圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置により生成するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップで生成した複数のアジマス圧縮後データの各アジマス圧縮後データが示す画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと、
上記鮮明度算出ステップで算出した鮮明度が最も高いアジマス圧縮後データを生成するために使用した参照関数を生成する場合に、距離関係情報に入力した速度を目標物の速度であると速度判定部が処理装置により判定する速度判定ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする速度測定プログラム。
【請求項24】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置の画像鮮明度判定方法において、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、
上記データ入力ステップで入力した圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップでアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと
を備えることを特徴とする画像鮮明度判定方法。
【請求項25】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により観測された目標物のデータが示す目標物の画像の鮮明度を判定する画像鮮明度判定装置の画像鮮明度判定プログラムにおいて、
SARが観測した目標物のデータについてレンジ圧縮したレンジ圧縮後データをデータ入力部が入力装置により入力するデータ入力ステップと、
上記データ入力ステップで入力した圧縮後データをアジマス圧縮処理部が処理装置によりアジマス圧縮するアジマス圧縮処理ステップと、
上記アジマス圧縮処理ステップでアジマス圧縮したアジマス圧縮後データが示す画像の画素の輝度に基づき画像の鮮明度を鮮明度算出部が処理装置により算出する鮮明度算出ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像鮮明度判定プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2007−114093(P2007−114093A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307013(P2005−307013)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】