説明

画素配列構造

【課題】 少ない画素数で高品質な画像表示を行うのに適した画素配列構造を提供すること。
【解決手段】 画素配列10は、複数の画素12R,12G,12Bからなる擬似的に六角形hで区画される画素群11を備えていて、この画素群11は、六角形hについてハニカム構造をなすように充填配列されている。画素12Bは画素群11の中央に配されており、画素12R,12Gは、画素12Bの周囲において六角形hの各辺に臨んで交互に配されている。かくして、画素12R,12G,12Bのサブグループがそれぞれ(擬似的に)デルタ配列をなし、また、画素12R,12Gの構成比率が相対的に高められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置、電界放出型表示装置などの電気光学装置に好適な画素配列構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などに代表される電気光学装置は、規則的に配列された画素の駆動によって画像を形成するものであり、近年、画素の高密度化による高精細化が進んできている。また、画素配列構造の工夫によって高精細化を図る技術についても研究が盛んである。
【0003】
高精細化を狙った画素配列構造の一つに、特許文献1に掲げるものがある。この画素配列1は、図4(a)に示すように、赤(R)および緑(G)に対応するそれぞれ2つの画素2R,2Gと、青(B)に対応する1つの画素2Bとから構成される画素群3が、正方配列された構造となっている。これは、青色波長域に対する視覚分解能が赤ないし緑の波長域に対するそれと比べて低いという人間の視覚特性に鑑みて、R,Gの画素を相対的に多く配することで、画素配列の効率化を図ったものである。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2002/11112号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4(b)は、画素配列1におけるナイキスト周波数(ナイキスト限界)の理論値を示したものであり、横軸および縦軸は、画素配列1の行方向および列方向に対応する空間周波数である。この図によれば、空間周波数平面におけるナイキスト周波数の広がりは正方形形状となっており、これは、その対角方向と対辺方向に対する表示分解能が著しく異なるという特徴を表すものである。このため、自然画等の表示を高品質に行うことが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、少ない画素数で高品質な画像表示を行うのに適した画素配列構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、擬似的に六角形で区画される画素群が、当該擬似的な六角形についてハニカム構造をなすように配列されている画素配列構造であって、前記画素群は、中央に配される青(B)の画素と、前記Bの画素の周囲において前記擬似的な六角形の各辺に臨んで交互に配される赤(R)および緑(G)の画素と、からなることを特徴とする。
【0008】
この発明の画素配列構造によれば、R,G,Bの各画素グループが、それぞれ(擬似的な)デルタ配列をなすので、等方的な分解能で画像を表示することができる。また、R,G,Bの画素の構成比率が3:3:1となるため、赤(R),緑(G)の波長域についての表示分解能が相対的に高くなっている。かくして、少ない画素数で高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0009】
また好ましくは、前記画素配列構造において、前記Bの画素は略六角形形状であり、前記R,Gの画素は、それぞれ、前記Bの画素の側辺と対向する辺を略平行な対辺の一辺とする略台形形状であることを特徴とする。
この発明の画素配列構造によれば、擬似的に六角形で区画される画素群内に画素が充填配列されるので、画素面積、すなわち画素の輝度を効果的に高めることができる。
【0010】
また好ましくは、前記画素配列構造において、前記R,Gの画素に対する前記Bの画素の面積比は、1ないし2であることを特徴とする。
この発明の画素配列構造によれば、R,G,Bの各画素における画素面積と配列の対称性とのバランスを好適な状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
図1は、本発明に係る画素配列の一部を示す図である。図2は、本発明に係る画素配列におけるナイキスト周波数の理論値を示す図であり、図中の横軸、縦軸はそれぞれ、図1のX軸方向、Y軸方向に対する空間周波数を示している。
【0013】
図1において、画素配列10は、複数の画素12R,12G,12Bからなる擬似的に六角形hで区画される画素群11を備えていて、この画素群11は、六角形hについてハニカム構造をなすように配列されている。ここで、画素12R,12G,12Bは、画像の形成において独立した階調表示が可能な最小単位領域であって、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する波長域の光を出射するようになっている。
【0014】
画素12Bは画素群11の中央に配されており、画素12R,12Gは、画素12Bの周囲において六角形hの各辺に臨んで交互に配されている。かくして、画素12R…,12G…でそれぞれ構成されるサブグループは擬似的に、画素12B…で構成されるサブグループは正規に、デルタ配列をなすことになる。
【0015】
この画素配列10における空間周波数平面上のナイキスト周波数の広がりは、図2に示すように、六角形形状となっている。これは、画素12R,12G,12Bがそれぞれ、デルタ配列をなすことによる効果であり、かくして、等方的な分解能で画像を表示することができる。また、この画素配列10における画素12R,12G,12Bの構成比率は、3:3:1となっており、これにより、赤(R)および緑(G)の波長域についての表示分解能が相対的に高められている。このため、人間が知覚し得る画像として実質的に高品質なものを表示することができる。
【0016】
本実施形態においては、画素12Bは六角形形状であり、画素12R,12Gは、画素12Bの側辺13と対向する辺14を平行な対辺の一辺とする台形形状である。これにより、各画素12R,12G,12Bが、六角形hで区画される画素群11内に充填配列され、画素面積、すなわち画素の輝度が効果的に高められている。
【0017】
また、画素12R,12Gに対する画素12Bの画素の面積比は、1ないし2となっていることが好ましい。画素12Bの画素面積が画素群11内において小さすぎる場合には青(B)の輝度が不足し、画素12Bの画素面積が画素群11内において大きすぎる場合には、画素12R,12Gの配列(デルタ配列)の対称性が悪くなるためである。
【0018】
尚、上述した画素群11の選択は、画素12R,12G,12Bの配列を規定するための便宜的なものである。従って、画素12R,12G,12B間において、必ずしも画素群11の単位で群としての特別な機能が要請されるものではない。
【0019】
次に、本発明に係る画素配列が適用される電気光学装置の具体例について、図3を参照して説明する。図3は、本発明に係る画素配列を電気光学装置に適用する場合における駆動回路配線の一例を示す図である。
【0020】
本発明に係る画素配列が適用される電気光学装置の具体例としては、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置(OLED)、プラズマ表示装置(PDP)、電界放出表示装置(FED)などが挙げられる。
【0021】
図3に示すアクティブマトリクス方式による駆動回路20は、Y軸方向にそれぞれ伸長するソース配線S1〜S6…と、X軸方向にそれぞれ伸長するゲート配線G1〜G4…と、Y軸方向にそれぞれ伸長するゲート配線GB1,GB2…と、を備えている。そして、ソース配線S1〜S6…とゲート配線G1〜G4…との交差領域、および、ソース配線S2,S5…とゲート配線GB1,GB2…との交差領域には、矢印で模式化して示すTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチ素子21が形成されている。
【0022】
かくして、ソース配線S1〜S6…およびゲート配線G1〜G4…を通じた制御信号により画素12R,12Gが駆動され、ソース配線S2,S5…およびゲート配線GB1,GB2…を通じた制御信号により画素12Bが駆動される。
【0023】
より具体的な駆動制御の方法としては、電気光学装置における既知の画素駆動制御技術と同じ方法を採用することができる。また、上述のようなアクティブマトリクス方式に代えて、単純マトリクス方式を採用することもできる。
【0024】
液晶表示装置の場合、図3に示す駆動回路20および仮想線で示す画素12R,12G,12Bに合わせて、画素電極およびカラーフィルタの着色パターンを形成することで、図1に示す画素配列10が適用される。
【0025】
有機EL表示装置の場合、図3に示す駆動回路20および仮想線で示す画素12R,12G,12Bに合わせて、R,G,Bの各色に対応する発光素子をパターン形成することで、図1に示す画素配列10が適用される。
【0026】
プラズマ表示装置の場合、図3に示す駆動回路20および仮想線で示す画素12R,12G,12Bに合わせて、R,G,Bの各色に対応する蛍光材料が塗布された発光セルをパターン形成することで、図1に示す画素配列10が適用される。
【0027】
電界放出表示装置の場合、図3に示す駆動回路20および仮想線で示す画素12R,12G,12Bに合わせて、電子源およびR,G,Bの各色に対応する蛍光膜パターンを形成することで、図1に示す画素配列10が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る画素配列の一部を示す図。
【図2】本発明に係る画素配列におけるナイキスト周波数の理論値を示す図。
【図3】本発明に係る画素配列を電気光学装置に適用する場合における駆動回路配線の一例を示す図。
【図4】(a)は、画素配列の従来例を示す図。(b)は、(a)の画素配列におけるナイキスト周波数の理論値を示す図。
【符号の説明】
【0029】
10…画素配列、11…画素群、12R…赤(R)の画素、12G…緑(G)の画素、12B…青(B)の画素、13…青の画素の側辺、14…青の画素の側辺に対向する辺、20…駆動回路、21…スイッチ素子、h…画素群を区画する擬似的な六角形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似的に六角形で区画される画素群が、当該擬似的な六角形についてハニカム構造をなすように配列されている画素配列構造であって、
前記画素群は、中央に配される青(B)の画素と、前記Bの画素の周囲において前記擬似的な六角形の各辺に臨んで交互に配される赤(R)および緑(G)の画素と、からなることを特徴とする画素配列構造。
【請求項2】
前記Bの画素は略六角形形状であり、前記R,Gの画素は、それぞれ、前記Bの画素の側辺と対向する辺を略平行な対辺の一辺とする略台形形状であることを特徴とする請求項1に記載の画素配列構造。
【請求項3】
前記R,Gの画素に対する前記Bの画素の面積比は、1ないし2であることを特徴とする請求項1または2に記載の画素配列構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−17477(P2007−17477A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195810(P2005−195810)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】