説明

画面作成装置、画面作成プログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】 プログラマブル表示器等の画面を構成する部品等(オブジェクト)の共通する属性を効率的に変更する。
【解決手段】 画面を作成する作画エディタは、作画ウインドウ102上にテーマ選択ウインドウ101を表示する。テーマ選択ウインドウ101は、オブジェクトの属性を含み、その属性が外観に現れるように形成されているテーマ図形103を表示する。予め、各オブジェクトの属性について、共通する属性(テーマ)設定に従うように設定しておく。そして、テーマ選択ウインドウ101においてテーマ図形103を1つ選択して確定することにより、作画エディタはテーマ設定に従うオブジェクトの属性を一括して変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器等の表示装置に表示される画面に含まれるオブジェクトの属性の変更を容易にする画面作成装置、画面作成プログラムおよびそれを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、ホストコントローラ(PLC)とのインタフェースを備えており、ホストコントローラに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯等を表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。
【0003】
このようなプログラマブル表示器で表示される画面は、制御システムの仕様に応じて、画面作成ソフトウェア(作画ソフト)を用いてユーザ独自で作成できるようになっている。画面作成に際しては、ユーザが、パーソナルコンピュータ等において作画ソフトによって提供される部品、描画機能等を用いて所望の画面を構成する。
【0004】
上記の部品は、スイッチ、テンキー、メータ表示器、グラフ表示器等をそれぞれ表す画像であって、実際の部品のごとく組み合わせて扱えるように、予めライブラリ形式で作画ソフトに用意されている。また、上記の部品は、部品を表すイメージと、そのイメージの動的変化を画面上の指定された位置で表現するための設定データとが組み合わされて用いられる。その設定データは、画面のデータの一部としてプログラマブル表示器のメモリに記憶される。
【0005】
作成された画面は、画面データとしてプログラマブル表示器に転送されて記憶される。そして、ホストコントローラの稼働時には、ホストコントローラに接続されたデバイスの状態に応じて、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面上のメータ表示器等の出力部品が動的に変化する。また、スイッチ等の入力部品への画面上の入力操作が制御指示としてデバイスに与えられる。
【0006】
作画ソフトにおいては、通常、作画ソフトのメーカによって提供された部品を利用するが、用意された部品を所望の仕様で利用したい場合は、その仕様をユーザ自身で変更しなければならない。このような部品の仕様を変更する技術を開示した文献としては、特許文献1および2が挙げられる。特許文献1および2では、部品をオブジェクトとして扱い、オブジェクトの属性(色、形等)をエディタで書き替えることを開示している。
【0007】
このようなエディタを用いて属性を変更するには、例えば、図9に示すように、属性を変更する部品を1つずつ選んで、形や色の属性を変更する。具体的には、各部品についてダイアログボックスや属性の一覧表を用いて文字にて表された属性を変更していき、図10に示すように、データ構造において、各画面1001,1002,…のオブジェクト1−1,1−2,…,2−1,2−2,…の属性を書き替える。
【特許文献1】特開2001−266171号公報(2001年9月28日公開)
【特許文献2】特開2003−150212号公報(2003年5月23日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような属性の変更方法では、各部品を共通する属性に変更しようとしても、各部品について1つずつ属性を変更するための操作が必要となる。それゆえ、多数の部品が配された画面のすべての部品について属性を変更したり、そのような画面の多数について各部品の属性を変更したりする場合、操作の手間が膨大となる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品等(オブジェクト)の共通する属性を効率的に変更することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画面作成装置は、複数の図形要素を含む画面を作成する画面作成装置において、上記課題を解決するために、前記図形要素の指定された属性を共通に設定される共通属性に変更する属性変更手段を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成では、図形要素の指定された属性が属性変更手段によって共通属性に変更される。これにより、複数の図形要素の属性について共通属性に変更することを予め指定しておけば、一括してそれらの属性を共通属性に変更することができる。
【0012】
前記画面作成装置において、前記属性変更手段は、前記共通属性を一覧表示するとともに、その属性の設定を予め前記共通属性に従うと定められた前記図形要素について、一覧表示された共通属性から選択された共通属性に属性を変更することが好ましい。これにより、一覧表示された共通属性から所望の共通属性が選択されると、その共通属性に従うと定められた図形要素の属性が選択された共通属性に設定される。それゆえ、共通属性を設定する場合、各図形要素の属性の設定が共通属性に従うことのみを定めるだけで、それらの属性を共通属性に設定することができ、個々に属性を設定する必要がなくなる。
【0013】
この画面作成装置において、前記属性変更手段は、前記共通属性が外観に現れるように形成された属性表示図形を前記共通属性として一覧表示することが好ましい。これにより、属性を視覚的に把握することができる。それゆえ、色や形のように視覚的にわかりやすい属性の設定をより容易にすることができる。
【0014】
また、この画面作成装置において、前記共通属性は複数種の属性であることが好ましい。これにより、共通属性の属性種が多いほど一括変換の効率性が高くなる。それゆえ、文字にて表された各属性を1つずつ変更する従来の属性変更方法と比べて、各段に属性の変更を容易にすることができる。
【0015】
あるいは、前記属性変更手段は、一覧表示された前記属性表示図形から表示させない属性表示図形が選択されると、その属性表示図形を一覧表示から除外することが好ましい。これにより、不要な共通属性が表示されないので、必要な共通属性のみ表示させて共通属性の変更作業を容易にすることができる。
【0016】
本発明の画面作成プログラムは、前述のいずれかの画面作成装置を動作させるための画面作成プログラムであって、コンピュータを上記属性変更手段として機能させるプログラムである。また、この画面作成プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。これにより、プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより前記画面作成装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画面作成装置は、以上のように、前記図形要素の指定された属性を共通に設定される共通属性に変更するので、指定された属性を一括して共通属性に変更することができる。従って、共通する属性を有する図形要素について、効率良く属性を変更することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図1ないし図8に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、ホストコンピュータ2と、プログラマブル表示器3と、PLC4と、共通ネットワーク5と、専用ネットワーク6と、デバイス7とを備えている。
【0020】
ホストコンピュータ2およびプログラマブル表示器3は、共通ネットワーク5を介して互いに接続されている。一方、プログラマブル表示器3およびPLC4は、専用ネットワーク6を介して接続されている。共通ネットワーク5は、共通の通信プロトコル(共通通信プロトコル)で通信を行うことが可能なイーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN)のようなネットワークである。専用ネットワーク6は、PLC4に固有の通信プロトコル(専用通信プロトコル)で通信を行うことが可能なシリアルケーブルなどからなるネットワークである。専用通信プロトコルは、PLC4がシーケンサから発達してきた経緯もあって、製造会社毎、あるいは、同一会社であっても製品毎など、PLC4の機種毎に異なっていることが多い。
【0021】
本実施形態に係る制御システム1は、各PLC4にそれぞれ接続されるプログラマブル表示器3とホストコンピュータ2とを共通ネットワーク5で接続するとともに、共通ネットワーク5で使用する共通通信プロトコルとして、専用通信プロトコルとは独立して定めた共通のプロトコルを採用している。さらに、プログラマブル表示器3は、後述するように、プロトコルを変換する機能も有しており、例えば、命令コードの変換や引数の変換あるいは伝送時の制御コードの変換などのプロトコル変換を行って、ホストコンピュータ2と自機器に接続されたPLC4との通信を中継する。
【0022】
このような構成において、プログラマブル表示器3は、HMIとして動作するためPLC4に比べて演算能力に余力があるので、通信の大半を処理する。例えば、画面データのダウンロードのように、PLC4を介さず、ホストコンピュータ2からプログラマブル表示器3へ直接通信できる。したがって、PLC4の負担を軽減でき、制御システム1全体に必要な演算能力を削減できる。なお、プログラマブル表示器3は、オペレータの操作を待ち受けている間、演算能力に余力があるので、プロトコル変換のために演算能力を向上させることなく、プロトコル変換できる。
【0023】
PLC4は、ユーザが作成した制御プログラム(ラダープログラム)にしたがって、入力ユニットを介して入力用のデバイス7から出力される出力データを取り込むとともに、出力用のデバイス7に制御データを与える。入力用のデバイス7しては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力用のデバイス7としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス7…は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置される。また、デバイス7は、後述するタッチパネル33などの入力装置から手動で入力されたデータを格納するための後述するメモリ部32における特定の領域であってもよい。
【0024】
PLC4内のメモリ(デバイスメモリ)は、デバイス7の状態やデバイス7の設定値などのデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで指定された領域に格納している。メモリにおいて、ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータを格納する領域として設定され、ワードアドレス(デバイスアドレス)で指定される。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを格納する領域として設定され、ビットアドレス(デバイスアドレス)で設定される。このような設定により、PLC4内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをアクセスするだけでデバイス7…を制御し、またはその状態に関する情報を個別に取り出すことができる。
【0025】
以降の説明では、デバイスアドレスを適宜アドレスと称する。
【0026】
プログラマブル表示器3は、CPUなどの演算処理装置を備えており、ユーザが作成した入力操作および表示用のプログラム(画面データ)を実行することによりプログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現するコンピュータである。制御システム1のHMIとして好適に使用されるプログラマブル表示器3は、後述する処理指示語(タグ)を組み合わせて決定される画面データに基づいて、デバイス7の状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイス7の状態を制御する際の動作を特定する。このプログラマブル表示器3は、専用ネットワーク6を介したPLC4との通信により、自機に接続されたPLC4を介して表示画面に状態を表示する各デバイス7の状態を取得し、例えば、後述のディスプレイ34に各デバイス7の状態を表示する機能を有する。また、プログラマブル表示器3は、後述のタッチパネル33への操作に応じて、デバイス7へデバイスの状態制御を指示する機能を有する。
【0027】
なお、デバイス7の状態の取得/変更は、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器3内にキャッシュを用意し、取得/変更時には、キャッシュへアクセスするとともに、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎に通信してデバイスアドレスの実体と同期を取ってもよい。
【0028】
プログラマブル表示器3は、上記の機能を実現するために、HMI処理部31と、メモリ部32と、タッチパネル33、ディスプレイ34およびインターフェース部(図中、I/F)35,36を備えている。以下、プログラマブル表示器3の主要各部について詳細に説明する。
【0029】
タッチパネル33は、ディスプレイ34の表示画面上で入力を行うために設けられている入力装置である。ディスプレイ34は、プログラマブル表示器3を薄型に構成するために、液晶ディスプレイやELディスプレイのような平板型ディスプレイが好適に用いられる。
【0030】
インターフェース部35は、プログラマブル表示器3が共通ネットワーク5上のホストコンピュータ2などとの間の通信を行うための通信制御部であり、共通ネットワーク5に接続されている。この共通ネットワーク5を介した通信により、ホストコンピュータ2などとの間でデータ送信が行われる。一方、インターフェース部36は、プログラマブル表示器3がPLC4との間の通信を行うための通信制御部であり、専用ネットワーク6に接続されている。この専用ネットワーク6を介した通信により、PLC4との間でデータ送信が行われる。
【0031】
このように構成される通信システムにおいては、PLC4からの出力データが、プログラマブル表示器3に送信され、さらにそのプログラマブル表示器3を介してホストコンピュータ2や共通ネットワーク5に接続された他の機器(図示せず)などに転送される。また、プログラマブル表示器3に設定されたデータは直接PLC4に送信されるだけでなく、ホストコンピュータ2や他の機器から送信されてきた設定データが、通信先のPLC4に接続されたプログラマブル表示器3を介してそのPLC4に転送される。
【0032】
HMI処理部31は、後述するユーザ画面の表示制御およびプロトコル変換の処理を行うために各種のデータ処理を行う。
【0033】
プロトコル変換処理は、両ネットワーク5,6での通信プロトコルが互いに異なる場合、FEPROM32bに記憶された後述のプロトコル変換データを参照しながら、一方の通信プロトコルから他方の通信プロトコルへ変換する処理である。プロトコル変換処理は、メモリ部32に格納されたプロトコル変換プログラムがCPUなどの演算処理手段に実行されることによって実現される。なお、表示制御処理(表示制御機能)については、後に詳しく説明する。
【0034】
メモリ部32は、DRAM32a、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)32b、SRAM32c等のメモリを含んでいる。
【0035】
DRAM32aは、主に、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC4との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。特に、DRAM32aは、PLC4の入出力メモリに格納されるデバイス7の状態(デバイスアドレスの内容)を入出力メモリとの間で受け渡しするための状態メモリ領域を有している。
【0036】
SRAM32cは、PLC4から得られたデータをロギングしたり、PLC4に与える設定値データ(レシピデータ)を記憶したりするために用いられる。
【0037】
FEPROM32bは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであり、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0038】
また、上記のFEPROM32bは、図2に示すように、表示制御システムプログラムと、プロトコル変換データと、通信プロトコルと、画面データとをそれぞれ格納するエリアを有している。
【0039】
表示制御システムプログラムは、画像表示制御を行うための基本機能を実現するためのプログラムである。この表示制御システムプログラムがHMI処理部31において実現する機能については、後に詳しく説明する。
【0040】
プロトコル変換データは、専用ネットワーク6と共通ネットワーク5との間で通信プロトコルを相互変換できれば、どのような形式でもよいが、本実施の形態では、専用ネットワーク6で伝送されるデータのフォーマットを示すデータ転送フォーマットと、両ネットワーク5,6で伝送されるコマンドコード間の対応関係を示すコマンド変換テーブルとを記憶している。
【0041】
通信プロトコル(専用通信プロトコル)は、PLC4との通信処理で用いられるプロトコルであり、PLC4の機種(メーカ)に応じて固有に定められている。この通信プロトコルには、PLC4へのデータの読み出しを指示するコマンドコードが含まれている。このコマンドコードは、PLC4の制御機能に対応付けられているアドレスと組み合わされることによって、所望の制御機能についてのデータをPLC4に送信することができる。
【0042】
画面データは、プログラマブル表示器3に表示される画面のデータであり、ディスプレイ34に表示すべきベース画面や部品のデータおよび各部品に付与された後述する処理指示語Wなどを含んでいる。画面データは、後述する作画エディタ23によって作成されて、FEPROM32bにダウンロードされている。この画面データは、ファイルの形式で画面ファイルとしてFEPROM32bに保存される。この画面ファイルは、図形データ部およびアドレスデータ部から構成されている。図形データ部は、円や四角形などの図形データ、部品のデータ、文字列、処理指示語Wなどを含んでいる。アドレスデータ部は、図形データ部における部品のデータや処理指示語Wなどのアドレスに対応付けられるデータについて、作画エディタ23で設定された前記のアドレスおよびアドレスに対応するコメントを含んでいる。
【0043】
コメントとしては、デバイスの動作状態のような事象名や、スイッチに対応するSWやランプに対応するLAMPのようなデバイス7に対応する符号や、操作指示などが挙げられる。また、コメントは、変数として扱うこともできる。このように定義されるコメントは、デバイス7に対応する所望の入出力端子番号(後述のデバイスアドレス)に予め対応付けられている。
【0044】
図3に示すように、画面データに含まれる処理指示語(タグ)Wは、ベース画面上で実行されるべき事象毎に作成されている。この処理指示語Wは、基本的には、表示制御動作を実行すべきベース画面のファイル番号Fと、このベース画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名Tと、各実行事象毎に参照される1または複数のデータからなる参照情報Iとを一組として備えている。
【0045】
本実施形態に係るプログラマブル表示器4では、上記のタグとして、ベース画面上の領域(表示範囲)とその領域への表示に対応するデバイスのアドレスとの対応を示す表示タグ、および画面上の領域(入力範囲)とその領域へのタッチ入力に対応するアドレスとの対応を示す入力タグが規定されている。さらに、本実施形態では、各タグは、複数の単位画面の少なくとも1つと関連付けることができる。
【0046】
表示タグは、タッチパネル33の操作と連動して、ベース画面上における対応位置に所定の図形を表示可能とする。すなわち、表示タグは、ファイル番号Fとしてベース画面27のファイル番号を含み、事象名として図形などの表示対象の表示を特定する事象名を含み、表示対象の表示座標範囲、呼び出す表示対象を特定するファイル番号、および表示対象を表示時に参照するアドレスを含んでいる。
【0047】
また、入力タグは、例えば、タッチパネル33に対するタッチ操作と連動して、DRAM32a内に設けられた前述の状態メモリ領域内の所定アドレス位置に設定したビットデバイスを反転可能とする。すなわち、入力タグは、ファイル番号Fとして単位画面のファイル番号を含み、事象名Tとしてタッチパネル33の操作を特定する事象名を含み、参照情報Iとしてタッチパネル33からの入力操作を有効とする入力座標範囲、およびタッチパネル33のタッチ操作と連動してデータを書き替えるべきアドレスを含んでいる。
【0048】
図4に示すように、画面ファイルは、1または複数の単位画面ファイルUF1,UF2,…,UFn(以降、全単位画面に共通して述べる場合は単に「UF」とする)、および各単位画面UFから呼び出して表示するための関連する図形ファイルFF1,FF2,…,FFmからなるプロジェクトファイルPFによって構成される。プロジェクトファイルPFにおいては、例えば、メイン画面となる単位画面ファイルUF1から単位画面ファイルUF2を呼び出し、この単位画面ファイルUF2からさらに単位画面ファイルUF3を呼び出すというように、各単位画面ファイルUFが階層的に関連付けられている。また、単位画面ファイルUFは、ベース画面上で構成された各要素におけるデータを1つにまとめて1つの単位画面ファイルUFとして構成されている。
【0049】
HMI処理部31の表示制御機能は、画面データの表示、ユーザ画面への各種のデータの設定、設定されたデータのPLC4への送信およびPLC4から受信されたデータのユーザ画面への表示を、前述の表示制御システムプログラムをプログラマブル表示器3が備えるCPUなどの演算処理手段に実行させることにより実現する機能である。この表示制御機能は、画面データから、現在表示中の単位画面に関連する表示タグを抽出するとともに、各表示タグに関連するデバイスアドレスの内容をそれらの表示タグについて所定の周期毎に読み出し、表示タグで指定された表現形式の部品等を読み出した値に応じた形態で画面上の指定された領域へ表示する。一方、上記の表示制御機能は、タッチパネル33への入力操作を受け付けると、現在表示中の単位画面に対応し、その入力操作にマッチする入力タグを画面データから検索し、入力タグが示すデバイスアドレスの内容(デバイスアドレスで特定されるメモリ領域に格納されたデータ)を入力結果に応じて書き替える。これにより、プログラマブル表示器3は、画面データが示すデバイス7の状態を、画面データが示す表現形式で画面データが示す表示位置(部品など)に表示したり、画面データにおいて部品などによる入力操作に応じて制御したりできる。
【0050】
続いて、ホストコンピュータ2について説明する。ホストコンピュータ2は、一般の汎用パーソナルコンピュータと同様に、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有している。また、ホストコンピュータ2は、図1に示すように、制御部21、インターフェース部(図中、I/F)22、作画エディタ23およびデータ記憶部24を備えている。
【0051】
インターフェース部22は、プログラマブル表示器3との間の通信を行うための通信制御部であり、共通ネットワーク5に接続されている。
【0052】
制御部21は、CPUやメモリを含む演算処理を行う部分であり、オペレーティングシステム上でアプリケーションプログラムである作画エディタ23を実行する。ホストコンピュータ2は、制御部21に作画エディタ23を実行させることにより、画面作成装置として機能する。作画エディタ23は、ホストコンピュータ2と分離可能に構成される記録媒体に記録され、この記憶媒体からホストコンピュータ2にインストールすることが可能である。
【0053】
上記の記録媒体は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0054】
また、本制御システム1は、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めホストコンピュータ2に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0055】
作画エディタ23は、画面作成部23a、アドレス設定部23bおよび属性設定部23cを含んでいる。
【0056】
画面作成部23aは、ユーザ独自の画面であるユーザ画面を作成できるように、スイッチ、ランプ、テンキー、各種表示器(例えば、数値表示器、メータ表示器およびグラフ表示器)などの部品、各種のタグ設定機能、描画機能、テキスト入力機能などを備えている。部品としては、単一の機能を有する部品だけでなく、複数の機能を有する、複合スイッチ、カウンタ、タイマといった複合機能を有する部品が用意されている。図形要素としての部品は、ユーザが容易に選択できるようにライブラリ形式で登録されており、部品の機能に応じた入力タグや表示タグなどが予め付与されている。描画機能は、直線や曲線の線図形(図形要素)を描画したり、円、四角形、三角形などの基本図形(図形要素)の描画および図形内の指定色や模様による塗りつぶしを行ったりするための機能である。また、画面作成部23aは、ベース画面上で構成された各要素におけるデータを1つにまとめて1つの単位画面ファイルPFを構成するとともに、複数の単位画面ファイルUFを1つにまとめて、前述のプロジェクトファイルPFを構成する。
【0057】
上記部品および基本図形は、形、色(内部の塗り込み色)、大きさなどを属性として有している。したがって、単位画面ファイルUFは、その属性のデータである属性データを含んでいる。また、単位画面ファイルUFにおける部品および基本図形はオブジェクトとして扱われる。
【0058】
ユーザは、表示された部品一覧からドラッグ&ドロップなどの操作によってベース画面に選択した部品を配置したり、部品の大きさを変更したりする。また、ユーザは、描画機能を用いて、従来の作画ソフトウエアとほぼ同様に、直線や曲線を主体とする線画あるいはその内部や基本図形の内部を所定の色や模様で塗りつぶすことにより、任意の描画図形をベース画面上で作成できる。さらに、ユーザは、タグ設定機能を用いて、プログラマブル表示器3が用意する処理指示語群から、必要とする機能の処理指示語Wをベース画面上に描画した任意の図形に個別に設定することにより、作画エディタ23に予め用意されている上記の部品と異なる新たな部品を作成することができる。
【0059】
アドレス設定部23bは、前述のアドレスと、各アドレスで特定されるワードデバイスまたはビットデバイスについてユーザにより設定されたコメント(変数)とを部品に設定する(対応付ける)。具体的には、アドレス設定部23bは、アドレス設定用のダイアログボックスをユーザインターフェースとして提供し、そのダイアログボックスによって入力されたアドレスを部品に設定する。これにより、部品106がアドレスと関連付けられる。また、アドレス設定部23bは、アドレスの設定の解除も行う。
【0060】
属性変更手段としての属性設定部23cは、上記のオブジェクトの属性をユーザが指定した属性に変更する。また、属性設定部23cは、各オブジェクトに共通する属性(共通属性)をテーマとして予め複数種類用意しており、テーマが指定されたオブジェクトをそのテーマで特定される属性に変更する。具体的には、属性設定部23cは、図5に示すように、テーマ選択ウインドウ101をユーザインターフェースとして用意しており、このテーマ選択ウインドウ101を作画ウインドウ102上に重ねて表示する。
【0061】
テーマ選択ウインドウ101には、オブジェクトに対応して用意された1つ以上のテーマ図形103(属性表示図形)が一覧表示される。テーマ図形103は、テーマとしての各種の属性によって形成された複数種類の図形であって、オブジェクトの属性を1つ以上含んでおり、その属性が外観に現れるように形成されている。例えば、図5に示すテーマ図形103は、それぞれ作画ウインドウ102に表示されたボタンスイッチ105(部品)のオブジェクトについて2つの属性を含んでおり、外形が四角形で赤い図形、外形が四角形で黒い図形、外形が面取りされた四角形で青い図形、および白い丸の図形が用意されている。
【0062】
属性設定部23cは、ポインティングデバイスによってカーソル104でテーマ図形103が選択指示されると、テーマが設定されたオブジェクトの属性を、そのテーマ図形103で特定される属性に変更する。
【0063】
また、属性設定部23cは、テーマ選択ウインドウ101から不要なテーマ図形103を表示しないようにするための非表示確認ウインドウ106をユーザインターフェースとして用意している。具体的には、属性設定部23cは、非表示とされるテーマ図形103が選択された状態で、テーマ選択ウインドウ101における削除ボタンがカーソル104で指示操作されると、非表示確認ウインドウ106をテーマ選択ウインドウ101上に重ねて表示し、OKボタンが指示操作されると、そのテーマ図形103をテーマ選択ウインドウ101から消去する。このように、不要なテーマ図形103を表示させないことにより、必要なテーマ図形103のみ表示させてテーマ変更作業を容易にすることができる。
【0064】
なお、消去されたテーマ図形103はデータそのものとしては削除されていないため、属性設定部23cによって再びテーマ選択ウインドウ101に表示されることも可能である。
【0065】
また、属性設定部23cは、ユーザによる各オブジェクトの属性の設定を受け付ける。プロジェクトファイルPFにおける属性のデータ構造は、例えば、図8の左側に示されるように、まず、プロジェクトヘッダーが配置され、それに続いて色および形についてのテーマ設定が配置され、さらに各画面のオブジェクトについて色および形の属性をテーマに従うか個別の属性に設定するかが記述される。属性設定部23cは、上記のデータ構造において各オブジェクトについての属性をテーマに従うか個別の属性に設定するかをユーザに決定させるようなユーザインターフェース(図示せず)をダイアログボックスなどの形態で提供する。
【0066】
データ記憶部24は、作画エディタ23によって作成されたプロジェクトファイルPFを記憶する記憶装置である。データ記憶部24は、メモリなどの記憶素子やハードディスク装置のような大容量記憶装置で構成される。データ記憶部24に記憶されているプロジェクトファイルPFは、実行環境にダウンロードするために、プログラマブル表示器3に転送されてFEPROM32bに保存される。
【0067】
ここで、上記のように構成される制御システム1におけるオブジェクトの属性変更の動作について説明する。
【0068】
ここでは、図7に示すように、複数のオブジェクトが共通に有する四角形で白い属性ををすべて丸く黒い属性に変更する例について説明する。属性変更前のプロジェクトファイルPFにおける属性のデータ構造において、図8の左側に示されるように、テーマ設定が色については白に設定され、形については四角に設定されている。また、このデータ構造において、画面1001,1002,…における各オブジェクト1−1,1−2,…,2−1,2−2,…の属性(色および形)は、テーマに従うように設定されている。
【0069】
次いで、作画エディタ23が起動された状態で、テーマ選択ウインウ101をドロップダウンメニューなどから選択することにより表示させる。ユーザが、このテーマ選択ウインドウ101からテーマ図形103を1つ選択して確定すると、属性設定部23cによって、テーマ設定が確定したテーマ図形103で特定されるテーマに変更される。これにより、データ構造は、図8の左側に示すように、テーマ設定が色については黒に書き替えられ、形については丸に書き替えられる。各オブジェクトは、テーマに従うように設定されているので、すべてのオブジェクトの属性が、色については黒に変更され、形については丸に変更される。
【0070】
なお、テーマに従わない属性を設定する場合は、従来と同様、図10に示すように、そのような設定をするオブジェクトについて個別に属性を設定すればよい。
【0071】
このように、本制御システム1においては、作画エディタ23に設けられた属性設定部23cによって、共通のテーマを予め設定しておき、テーマ選択ウインドウ101を用いてテーマを変更する。これにより、テーマに従うように定められた各オブジェクトの属性がテーマの属性に一括して変更される。それゆえ、共通属性を設定する場合、各オブジェクトの属性の設定がテーマに従うことのみを定めるだけで、それらの属性をテーマの属性に設定することができ、個々に属性を設定する必要がなくなる。従って、共通する属性を有するオブジェクトについて、効率良く属性を変更することができる。
【0072】
また、テーマの変更を複数種の属性を持たせたテーマ図形103を選択することにより実行するので、属性を視覚的に把握することができるとともに、テーマの属性種が多いほど一括変換の効率性が高くなる。それゆえ、本実施形態の属性変更手法は、文字にて表された各属性を1つずつ変更する従来の属性変更方法と比べて、格段に属性の変更を容易にすることができる。特に、オブジェクトの色や形のように視覚的にわかりやすい属性は、本実施形態の属性変更手法が適している。
【0073】
なお、本実施形態においては、属性として色や形を例に挙げて説明したが、属性はこれに限定されることはない。例えば、外形線については、色、線幅、線種等を属性として設定することができ、内部の塗り込みについては、色だけではなく、模様や点滅の有無も属性として設定することができる。
【0074】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の画面作成装置は、プログラマブル表示器等に表示する画面に含まれる部品等のオブジェクトの共通する属性を一括して変換することによって、画面作成を効率的に行うことができるので、プログラマブル表示器等を含む制御システムの開発に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムにおけるプログラマブル表示器のFEPROMに格納されるプログラム構成を示す説明図である。
【図3】上記プログラマブル表示器で表示されるユーザ画面の画面データに含まれる指示処理語の基本的フォーマットを示す説明図である。
【図4】上記FEPROMに格納される画面ファイルの構成を示す図である。
【図5】上記制御システムの作画エディタが用意しているテーマ選択ウインドウが作画ウインドウ上に重ねて表示されている状態を示す図である。
【図6】上記テーマ選択ウインドウに表示されるテーマ図形を非表示とするための非表示確認ウインドウがテーマ選択ウインドウ上に重ねて表示されている状態を示す図である。
【図7】上記テーマ選択ウインドウを用いて画面のオブジェクトの属性を一括変換する例を示す図である。
【図8】図7で示す属性変換の前後における属性のデータ構造を示す図である。
【図9】画面のオブジェクトの属性を変換する従来例を示す図である。
【図10】図9で示す属性変換の前後における属性のデータ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
2 ホストコンピュータ(画面作成装置)
23 作画エディタ
23c 属性設定部(属性変更手段)
101 テーマ選択ウインドウ
103 テーマ図形(属性表示図形)
105 ボタンスイッチ(図形要素)
106 非表示確認ウインドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図形要素を含む画面を作成する画面作成装置において、
前記図形要素の指定された属性を共通に設定される共通属性に変更する属性変更手段を備えていることを特徴とする画面作成装置。
【請求項2】
前記属性変更手段は、前記共通属性を一覧表示するとともに、その属性の設定を予め前記共通属性に従うと定められた前記図形要素について、一覧表示された共通属性から選択された共通属性に属性を変更することを特徴とする請求項1に記載の画面作成装置。
【請求項3】
前記属性変更手段は、前記共通属性が外観に現れるように形成された属性表示図形を前記共通属性として一覧表示することを特徴とする請求項2に記載の画面作成装置。
【請求項4】
前記共通属性は複数種の属性であることを特徴とする請求項3に記載の画面作成装置。
【請求項5】
前記属性変更手段は、一覧表示された前記属性表示図形から表示させない属性表示図形が選択されると、その属性表示図形を一覧表示から除外することを特徴とする請求項3に記載の画面作成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画面作成装置を動作させるための画面作成プログラムであって、コンピュータを上記属性変更手段として機能させるための画面作成プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画面作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−99566(P2006−99566A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286622(P2004−286622)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】