説明

界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含むパーソナルケア組成物の作製方法

開示されているのは、パーソナルケア組成物を作製する方法であって、(1)界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む高温の油相を作製する工程と、(2)水性キャリアを含む低温の水相を作製する工程と、(3)油相及び水相を混合して、エマルションを形成する工程とを含み、この混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:(3−1)油相又は水相のいずれかを約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、(3−2)この場に他の相を直接供給する工程、及び(3−3)エマルションを形成する工程、を含む、方法である。本方法は、この混合する工程(3)が、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われるこれ、界面活性剤は、モノアルキルカチオン性界面活性剤であり、組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まず、油相が、油相の0〜50重量%の水性キャリアを含有することを更に必要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物を作製する方法に関し、(1)界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む高温の油相を作製する工程と、(2)水性キャリアを含む低温の水相を作製する工程と、(3)油相及び水相を混合して、エマルションを形成する工程とを含み、この混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:(3−1)油相又は水相のいずれかを約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、(3−2)この場に他の相を直接供給する工程、及び(3−3)エマルションを形成する工程、を含む。本方法は、この混合する工程(3)が、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われることを更に必要とし、この界面活性剤は、モノアルキルカチオン性界面活性剤であり、組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まず、油相は、油相の0〜約50重量%の水性キャリアを含有する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤及び高融点脂肪化合物、並びに水性キャリアを含むパーソナルケア組成物を作製するために様々な方法が開発されてきた。
【0003】
このような組成物に対する通常の作製方法は乳化である。このような乳化は、様々な手順により、様々な温度により、及び様々なホモジナイザーにより行われる。
【0004】
例えば、日本特許出願公開第2005−255627号は、実施例14及び15において、ベヘニルトリメチル塩化アンモニウム、ステアリルアルコール及びセチルアルコールを含有する相Aを80℃で作製する工程と、水を含有する相Bを、50〜55℃で作製する工程と、相Aをパイプラインミキサー(T.K.パイプラインホモミキサー)により、相Bの中に混合し、30〜35℃まで冷却する工程とにより作製される、ヘアリンス組成物を開示している。
【0005】
例えば、国際公開第2004/054693号は、実施例13において、水相を24〜46℃で作製する工程と、水、ジステアリルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、及びセチルアルコールを含有する油(エマルション)相を65〜88℃で作製する工程と、この相をSonolator(登録商標)のアンティチェンバー区分であるブレンド管の中に最終的に導かれるように接続するパイプを通じて送達する工程と、このブレンドをホモジナイズする工程とにより作製されるヘアコンディショナーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特許出願公開第2005−255627号
【特許文献2】国際公開第2004/054693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、界面活性剤及び脂肪化合物をエマルションに効果的に転換する、ヘアコンディショニング組成物及び他のパーソナルケア組成物を作製するための方法に対する必要性が存在する。このような効果的な転換により、例えば(i)毛髪及び/又は皮膚へのコンディショニング効果の効果的な送達、例えば、同一量の界面活性剤及び脂肪化合物などの活性成分からの改善されたコンディショニング効果の送達、(ii)改善された製品外観、すなわち、豊かさ、濃厚さ、及び/又はより高濃度の感覚を与える製品外観、並びに消費者がその外観から、より高いコンディショニング効果を感じ得る改善された製品外観、(iii)上市されている製品として好適な均質な製品外観、並びに/又は(iv)上市されている製品として好適な流動性及び/又はこのような流動性の改善された安定性をパーソナルケア組成物に付与する、このような方法に対する必要性が存在し得る。
【0008】
更に、上記の必要性に加えて、製造操作の更なる柔軟性をもたらし、及び/又は高圧に対する必要投資がより少ない、このような方法に対する必要性が存在し得る。
【0009】
既存の技術には、本発明の利点及び利益の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パーソナルケア組成物を作製する方法であって、
この組成物は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含み、
この方法は、
(1)界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む油相を作製する工程であって、この油相の温度は高融点脂肪化合物の融点よりも高い、工程と、
(2)水性キャリアを含む水相を作製する工程であって、水相の温度は高融点脂肪化合物の融点よりも低い、工程と、
(3)油相及び水相を混合して、エマルションを形成する工程とを含み、
この混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:
(3−1)油相又は水相のいずれかを約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、
(3−2)この場に他の相を直接供給する工程、及び
(3−3)エマルションを形成する工程、を含み、
この混合する工程(3)は、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われ、
カチオン性界面活性剤は、モノアルキルカチオン性界面活性剤であり、組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まず、
この油相は、油相の0〜約50重量%の水性キャリアを含有し、好ましくはこの油相は実質的に水を含まない、方法を目的とする。
【0011】
本発明の方法は、界面活性剤及び脂肪化合物をエマルションに効果的に転換する。
【0012】
本発明の前述及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を読むことで、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明から更に充分に理解されるものと考えられる。
【0014】
本明細書において、「含む」とは、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分も加え得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0015】
百分率、部及び比は全て、特に記述しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、掲示された成分に関する場合、活性成分のレベルに基づき、したがって市販材料に包含される場合のあるキャリア又は副生成物を包含しない。
【0016】
本明細書において、「混合物」は、複数種類の材料の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから生じることがある、あらゆる化合物とを包含するように意図されている。
【0017】
製造方法
本発明は、パーソナルケア組成物を作製する方法であって、
この組成物は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含み、
この方法は、
(1)界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む油相を作製する工程であって、この油相の温度は高融点脂肪化合物の融点よりも高い、工程と、
(2)水性キャリアを含む水相を作製する工程であって、水相の温度は高融点脂肪化合物の融点よりも低い、工程と、
(3)油相及び水相を混合して、エマルションを形成する工程とを含み、
この混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:
(3−1)油相又は水相のいずれかを約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、
(3−2)この場に他の相を直接供給する工程、及び
(3−3)エマルションを形成する工程、を含む、方法を目的とし、
本方法は、
この混合する工程(3)が、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われ、
界面活性剤は、モノアルキルカチオン性界面活性剤であり、組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まず、
油相は、油相の0〜約50重量%の水性キャリアを含有する、ということを更に必要とする。
【0018】
好ましくは、本方法は、含まれる場合には、シリコーン化合物、香料、防腐剤などの追加成分をエマルションに添加する工程を更に含む。好ましくは、表題「ジェルマトリックス」の下で下記に述べるように、このエマルションはジェルマトリックスである。
【0019】
混合する工程(3)の詳細
本発明において、相を高剪断場に直接供給することにより、油相及び水相は、高剪断場中で最初に合流する。高剪断場中で最初に合流することにより、本発明の方法は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物の、エマルションへの改善された転換をもたらすと考えられる。すなわち、このような相が非剪断場又は低剪断場中で最初に合流する他の方法と比較して、得られる組成物は、減少した量の非乳化界面活性剤/高融点脂肪化合物を含有すると考えられる。本発明の方法は、このようなエマルションへの改善された転換によって、改善されたコンディショニング効果を有する組成物をもたらし、生成組成物に改善された製品外観及び/又は製品安定性を与えるとも考えられる。
【0020】
本発明において、「直接供給する」とは、この2つの相が、エマルションへの改善された転換という観点から、最初の合流後、0.52秒以内、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.3秒以下、更により好ましくは0.1秒以下、一層より好ましくは0秒で高剪断場に到達することができるように、2つの相を供給することを意味する。本発明において、直接供給することは、好ましくは直接注入により行われる。
【0021】
本発明において、「高剪断場」は、エマルションへの改善された転換という観点から、この場が、約1.0×102J/m3、好ましくは約1.0×103J/m3、より好ましくは約1.0×104J/m3から、約5.0×108J/m3まで、好ましくは約2.0×107J/m3まで、より好ましくは約1.0×107J/m3までのエネルギー密度を有するということを意味する。
【0022】
本発明において、この混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:
(3−1)水相を1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、
(3−2)この場に油相を直接供給する工程、及び
(3−3)エマルションを形成する工程、を含むことが好ましい。
【0023】
本発明において、特に下記に詳述される回転部材を有するホモジナイザーを使用するときには、改善されたコンディショニング効果を有する組成物を安定に製造するという観点から、油相を、水相が既に存在する高剪断場の中に供給することが好ましい。
【0024】
好ましくは、本発明において、詳細な工程(3−1)及び(3−2)を含む、混合する工程(3)は、高剪断ホモジナイザーを使用することにより行われる。
【0025】
高剪断ホモジナイザーは、例えば回転部材を有する高剪断ホモジナイザー及び高圧ホモジナイザーを含むということが知られている。本発明において、Sonic Corporationから入手可能なSonolator(登録商標)、APV Manton Corporationから入手可能なManton Gaulin型ホモジナイザー及びMicrofluidics Corporationから入手可能なMicrofluidizerなどの高圧ホモジナイザーでなく、回転部材を有する高剪断ホモジナイザーが使用される。高圧ホモジナイザーが1つのレバー(流量に依存して決められる圧力)のみを有する一方で、回転部材を有するこのような高剪断ホモジナイザーは、2つの個別な操作レバー(流量及び回転速度)により製造操作の更なる柔軟性をもたらし、及び/又は高圧に対する必要投資がより少ないと考えられる。
【0026】
本明細書で有用な回転部材を有する高剪断ホモジナイザーとしては、エマルションへの改善された転換という観点から、例えば、A.Berents Gmbh&Co.から入手可能なBecomix(登録商標)及びIndolaval/TetraPacから入手可能な、Lexa−30などの直接注入ローター・ステーターホモジナイザーが挙げられる。そのまま使用される場合、回転部材を有する他のホモジナイザーと比較して、2つの相が、最初の合流後、高剪断場に急速に到達することができるので、これらの直接注入ローター・ステーターホモジナイザーが好ましい。回転部材を有するこのような他のホモジナイザーとしては、例えばPrimix Corporationから入手可能なT.K.パイプラインホモミキサー及びIKA Corporationから入手可能なDR−3が挙げられる。回転部材を有するこれらの他のホモジナイザーは、2つの相が、最初の合流後、高剪断場に急速に到達することができるように改造して使用され得る。そのまま使用される場合、回転部材を有するこのような他のホモジナイザーは、エマルションに転換されない、増加した量の高融点脂肪化合物結晶を組成物中でもたらすかもしれない。T.K.パイプラインホモミキサーの名称などの低エネルギー密度を有する他のホモジナイザーもこのような増加した量の高融点脂肪化合物結晶をもたらし得る。
【0027】
温度条件の詳細
本発明において、油相は、高融点脂肪化合物の融点よりも高い温度を有する。好ましくは、油相は、油相の融点よりも高い温度を有する。好ましくは、油相は、これを水性キャリアと混合するとき、好ましくは約25℃から、より好ましくは約40℃から、更に好ましくは約50℃から、更により好ましくは約55℃から、一層好ましくは約66℃から、約150℃までの、より好ましくは約95℃までの、更により好ましくは約90℃までの、一層好ましくは約85℃までの温度を有する。
【0028】
本発明において、水相は、高融点脂肪化合物の融点より低い温度を有する。好ましくは、水相は、油相と混合するときに、約10℃から、より好ましくは約15℃から、更により好ましくは約20℃から、約65℃までの、より好ましくは約55℃までの、更により好ましくは約52℃までの、一層好ましくは約48℃までの温度を有する。好ましくは、水相の温度は、油相と混合するときに、油相の温度よりも少なくとも約5℃低く、より好ましくは少なくとも約10℃低い。好ましくは、水相の温度は、油相と混合するとき、高融点脂肪化合物の融点よりも好ましくは約2℃〜約60℃低い、より好ましくは約2℃〜約40℃低い、更に好ましくは約2℃〜約30℃低い。
【0029】
好ましくは、本発明において、エマルションの温度は、形成時には約10℃〜約85℃、より好ましくは約25℃〜約65℃である。好ましくは、特にジェルマトリックスを形成するとき、エマルションの温度は、高融点脂肪化合物の融点よりも約2℃〜約60℃低い、より好ましくは約2℃〜約40℃低い、更により好ましくは約2℃〜約30℃低い。
【0030】
油相組成物の詳細
油相は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む。油相は、本発明の効果をもたらすという観点から、パーソナルケア組成物中で使用される界面活性剤及び高融点脂肪化合物の総量の好ましくは約50重量%〜約100重量%、より好ましくは約60重量%〜約100重量%、更により好ましくは約70重量%〜約100重量%の界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含む。
【0031】
界面活性剤及び高融点脂肪化合物は、本発明の効果をもたらすという観点から、他の成分の有無に拘わらず、油相の、好ましくは約35重量%〜約100重量%、より好ましくは約50重量%〜約100重量%、更により好ましくは約60重量%〜約100重量%のレベルで油相中に存在する。
【0032】
油相は、水及び低級アルキルアルコール、並びに多価アルコールなどの水性キャリアを含有し得る。含まれる場合には、油相中の水性キャリアのレベルは、本発明の効果をもたらすという観点から、油相の約50重量%まで、より好ましくは約40重量%まで、更により好ましくは約25重量%まで、一層より好ましくは約15重量%までである。水性キャリアのうちで、油相中の水のレベルが油相の、好ましくは約40重量%まで、より好ましくは約25重量%まで、更により好ましくは約15重量%まで、一層より好ましくは約10重量%までであるように、油相中の水のレベルを制御することが更に好ましい。油相は水を実質的に含まなくともよい。本発明において、「油相は水を実質的に含まない」は、油相が水を含まないこと、油相が成分の不純物以外に水を含有しないこと、又は油相が水を含有する場合には、このような水のレベルは極めて低いことを意味する。本発明において、油相中のこのような水の全レベルは、含まれる場合には、油相の、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下である。
【0033】
油相は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物、並びに水性キャリア以外の他の成分を含有し得る。このような他の成分は、例えば非水溶性シリコーンなどの非水溶性成分及び/又は感熱性成分、非水溶性芳香剤、パラベンなどの非水溶性防腐剤、及びベンジルアルコールなどの非感熱性防腐剤である。本発明において、「非水溶性成分」は、この成分が1g/100g水より小さい(1g/100g水は排除)、好ましくは0.7g/100g水以下の、より好ましくは0.5g/100g水以下の、更により好ましくは0.3g/100g水以下の水中の25℃における溶解性を有するということを意味する。含まれる場合には、油相中のこのような他の成分のレベルは、本発明の効果をもたらすという観点から、油相の約50重量%まで、より好ましくは約40重量%までであることが好ましい。
【0034】
水相組成物の詳細
水相は水性キャリアを含む。この水相は、本発明の効果をもたらすという観点から、パーソナルケア組成物中で使用される水性キャリアの総量の、好ましくは約50重量%〜約100重量%、より好ましくは約70重量%〜約100重量%、更により好ましくは約90重量%〜約100重量%の、一層より好ましくは約95重量%〜約100重量%の水性キャリアを含む。
【0035】
水性キャリアは、本発明の効果をもたらすという観点から、他の成分の有無に拘わらず、水相の、好ましくは約50重量%〜約100重量%、より好ましくは約70重量%〜約100重量%の、更により好ましくは約90重量%〜約100重量%の、一層好ましくは約95重量%〜約100重量%のレベルで水相中に存在する。
【0036】
水相は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含有し得る。含まれる場合には、水相中の界面活性剤及び高融点脂肪化合物の和のレベルは、本発明の効果をもたらすという観点から、水相の約20重量%まで、より好ましくは約10重量%まで、更により好ましくは約7重量%までであることが好ましい。一層より好ましくは、水相は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物を実質的に含まない。本発明において、「水相は界面活性剤及び高融点脂肪化合物を実質的に含まない」は、水相が界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含まないということ、又は水相が界面活性剤及び高融点脂肪化合物を含有する場合には、このような界面活性剤及び高融点脂肪化合物のレベルが極めて低いということを意味する。本発明において、水相中でのこのような界面活性剤及び高融点脂肪化合物の全レベルは、含まれる場合には、水相の、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下である。
【0037】
水相は、界面活性剤及び高融点脂肪化合物、並びに水性キャリア以外の他の成分を含有し得る。このような他の成分は、例えば水溶性pH調節剤などの水溶性成分及び/又は感熱性成分、フェノキシエタノール及びKathon(登録商標)などの水溶性防腐剤、及び水溶性ポリマーである。本発明において、「水溶性成分」は、この成分が少なくとも1g/100g水の、好ましくは少なくとも1.2g/100g水の、より好ましくは少なくとも1.5g/100g水の、更により好ましくは少なくとも2.0g/100水の25℃での水中の溶解性を有するということを意味する。含まれる場合には、水相中のこのような他の成分のレベルは、本発明の効果をもたらすという観点から、水相の約20重量%まで、より好ましくは約10重量%までであることが好ましい。
【0038】
パーソナルケア組成物
本発明のパーソナルケア組成物は、界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含む。界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアは、エマルションの形態である。
【0039】
カチオン性界面活性剤
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤は、本発明の効果をもたらすという観点から、組成物の約1重量%、好ましくは約1.5重量%、より好ましくは約1.8重量%、更により好ましくは約2.0重量%から、約8重量%、好ましくは約5重量%、より好ましくは約4重量%までのレベルで組成物中に含むことが可能である。
【0040】
好ましくは、本発明において、界面活性剤は非水溶性である。本発明において、「水不溶性界面活性剤」は、界面活性剤が1g/100g水(1g/100水は排除)以下の、好ましくは0.7g/100g水以下の、より好ましくは0.5g/100g水以下の、一層より好ましくは0.3g/100g水以下の25℃での水中の溶解性を有するということを意味する。
【0041】
カチオン性界面活性剤のうちで、モノアルキルカチオン性界面活性剤は、所望のジェルマトリックス及び湿潤コンディショニング効果をもたらすという観点から、本発明の組成物中で使用される。モノアルキルカチオン性界面活性剤は、バランスの取れた湿潤コンディショニング効果をもたらすという観点から、12〜22個の炭素原子、好ましくは16〜22個の炭素原子、より好ましくはC18〜22アルキル基を有する1本の長いアルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、独立して、炭素原子1〜約4までのアルキル基、又は炭素原子が約4までの、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基若しくはアルキルアリール基から選択される。このようなモノアルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル第四級アンモニウム塩及びモノアルキルアミンが挙げられる。モノアルキル四級アンモニウム塩としては、例えば、非官能化アルキル長鎖を有するものである。モノアルキルアミンとしては、例えば、モノアルキルアミドアミン及びそれらの塩が挙げられる。
【0042】
本発明において、改善された湿潤コンディショニング効果という観点から、この組成物は、ジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まない。この組成物がモノアルキルカチオン性界面活性剤を含み、かつジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まない場合には、特に同一量の活性成分から改善されたコンディショニング効果を供給することにおいて、本発明の方法を使用することによって、更なる効果が認められるということも考えられる。本明細書における、このようなジアルキルカチオン性界面活性剤は、例えば長鎖ジアルキル四級化アンモニウム塩を含む、12〜22個の炭素原子の2つの長いアルキル鎖を有するものである。本発明において、「組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まない」とは、組成物がジアルキルカチオン性界面活性剤を含まないこと、又はたとえ組成物がジアルキルカチオン性界面活性剤を含有したとしても、このようなジアルキルカチオン性界面活性剤のレベルが非常に低いことを意味する。本発明において、このようなジアルキルカチオン性界面活性剤の全レベルは、含まれる場合には、組成物の好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下である。最も好ましくは、このようなジアルキルカチオン性界面活性剤の全レベルは、組成物の0重量%である。
【0043】
モノアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤
本明細書において有用なモノアルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(I)を有するものである:
【0044】
【化1】

(式中、R71、R72、R73及びR74のうちの1つは、炭素原子16〜40個の脂肪族基であるか、又は炭素原子約40個までを有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、R71、R72、R73及びR74の内の残りは、独立して、炭素原子1〜約8個の脂肪族基、又は炭素原子約8個までを有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選択され、X-は、塩化物及び臭化物などのハロゲン化物、メトサルフェート及びエトサルフェートなどのC1〜C4アルキルサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩生成アニオンである)。脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基のような他の基を含有することができる。長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であるか、又は不飽和であることができる。好ましくは、R71、R72、R73及びR74の1つが、炭素原子16〜40個の、より好ましくは炭素原子18〜26個の、更により好ましくは炭素原子22個〜のアルキル基から選択され、R71、R72、R73及びR74の残りが、独立してCH3、C25、C24OH、CH265、及びこれらの混合物から選択される。)そのようなモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、マルチ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩と比較して、濡れた毛髪での改善された、滑りやすくツルツルした感触を与えることができると考えられる。また、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、アミン又はアミン塩カチオン性界面活性剤と比較して、乾燥した毛髪上での改善された疎水性及び平滑な感触を与えることができるとも考えられる。
【0045】
これらのうち、より好ましいカチオン性界面活性剤は、より長いアルキル基、すなわちC18〜22アルキル基を有するものである。例えば、このようなカチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチル塩化アンモニウム、メチルサルフェート又はエチルサルフェート、及びステアリルトリメチル塩化アンモニウム、メチルサルフェート又はエチルサルフェートが挙げられる。更に好ましいのは、ベヘニルトリメチル塩化アンモニウム、メチルサルフェート又はエチルサルフェートであり、更により好ましいのはベヘニルトリメチル塩化アンモニウムである。より長いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤は、より短いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、毛髪への改善された付着性をもたらし、そのため乾燥した毛髪に改善された柔軟性のような改善されたコンディショニング効果をもたらすことができると考えられる。そのようなカチオン性界面活性剤は、より短いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、軽減した刺激をもたらすことができるとも考えられる。
【0046】
モノアルキルアミンカチオン性界面活性剤
モノアルキルアミンは、また、カチオン性界面活性剤としても好適である。一級、二級及び三級脂肪族アミンが有用である。特に有用なものは、炭素数が約12〜約22のアルキル基を有する三級アミドアミンである。代表的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明で有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。これらのアミンは、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物、より好ましくはL−グルタミン酸、乳酸、クエン酸などの酸との組み合わせでも使用可能である。本発明におけるアミンは、いずれかの酸によって、アミンと酸のモル比が約1:0.3〜約1:2、より好ましくは約1:0.4〜約1:1で部分的に中和させるのが好ましい。
【0047】
高融点脂肪化合物
本発明の効果をもたらすという観点から、高融点脂肪化合物は、組成物の約2重量%、好ましくは約4重量%、より好ましくは約5重量%、更により好ましくは約5.5重量%から、約15重量%、好ましくは約10重量%までのレベルで組成物中に含むことが可能である。
【0048】
エマルション、特にジェルマトリックスの安定性という観点から、本明細書で有用な高融点脂肪化合物は、25℃以上の、好ましくは40℃以上の、より好ましくは45℃以上の、更により好ましくは50℃以上の融点を有する。このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化という観点から、好ましくは約90℃まで、より好ましくは約80℃まで、更に好ましくは約70℃まで、更により好ましくは約65℃まである。本発明において、高融点脂肪化合物は、単一化合物として、又は少なくとも2つの高融点脂肪化合物のブレンド若しくは混合物として使用可能である。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点とは、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0049】
本明細書で有用な高融点脂肪化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体及びこれらの混合物からなる群から選択される。当業者は、本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属することができる(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体が脂肪酸誘導体として分類されることもあり得る)ということを理解している。しかしながら、示されている分類は、その特定の化合物に対する限定であるように意図されず、分類及び命名法の便宜上そのようになされているものである。更に、二重結合の数及び位置、並びに分岐鎖の長さ及び位置に応じて、ある必要な炭素原子を有するある化合物が上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する可能性があることが、当業者には理解されている。そのような低融点の化合物はこの項に含まれないものとする。高融点化合物の非限定的な例は、「International Cosmetic Ingredient Dictionary」(Fifth Edition,1993)及び「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,1992)に記載されている。
【0050】
様々な高融点脂肪化合物のうち、脂肪族アルコールが好ましくは本発明の組成物に使用される。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14個〜約30個の炭素原子、好ましくは約16個〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、飽和アルコールであり、直鎖又は分岐鎖アルコールであることができる。
【0051】
例えば、好ましい脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール(約56℃の融点を有する)、ステアリルアルコール(約58〜59℃の融点を有する)、ベヘニルアルコール(約71℃の融点を有する)、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかしながら、これらは多くの場合、供給時にはより低い融点を有する。それは、このような供給される製品が、多くの場合、主アルキル鎖がセチル、ステアリル又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。本発明において、より好ましい脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びこれらの混合物である。
【0052】
本明細書で有用な市販の高融点脂肪化合物には、Shin Nihon Rika(Osaka,Japan)から入手可能な商品名KONOLシリーズ及びNOF(Tokyo,Japan)から入手可能な商品名NAAシリーズのセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;WAKO(Osaka、Japan)から入手可能な商品名1−DOCOSANOLの純粋なベヘニルアルコールが挙げられる。
【0053】
ジェルマトリックス
好ましくは、本発明において、エマルションは、ジェルマトリックスの形態である。このジェルマトリックスは、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含む。このジェルマトリックスは、濡れた毛髪に塗布したときの滑りやすい感触、並びに乾燥した毛髪上での柔軟性及び湿気を含んだ感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0054】
好ましくは、特にジェルマトリックスを形成するとき、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪化合物の総量は、本発明の効果をもたらすという観点から、組成物の約7.0重量%、好ましくは約7.5重量%、より好ましくは約8.0重量%から、展延性及び製品外観という観点から、組成物の約15重量%まで、好ましくは約14重量%まで、より好ましくは約13重量%まで、更により好ましくは約10重量%でまでである。更に、ジェルマトリックスを形成するとき、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪化合物は、改善された湿潤コンディショニング効果をもたらすという観点から、カチオン性界面活性剤:高融点脂肪化合物の重量比が、好ましくは約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:1〜約1:4、更により好ましくは約1:2〜約1:4の範囲となるようなレベルで含有される。
【0055】
好ましくは、ジェルマトリックスが形成されるとき、本発明の組成物は、ジェルマトリックスの安定性という観点から、アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを実質的に含まない。本発明では、「アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを実質的に含まない組成物」は、組成物がアニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを含まないか、あるいは組成物がアニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを含んでいたとしても、そのようなアニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーの濃度は非常に低いということを意味する。本発明において、このようなアニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーの全レベルは、含まれる場合には、好ましくは組成物の1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下である。最も好ましくは、このようなアニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーの全レベルは、組成物の0重量%である。
【0056】
水性キャリア
本発明の組成物は水性キャリアを含む。このキャリアのレベル及び種は、他の成分との適合性及び製品の他の所望の特性により選択される。
【0057】
本発明で有用なキャリアには、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、炭素数1〜6の一価アルコール、より好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールには、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0058】
好ましくは、水性キャリアは実質的に水である。好ましくは脱イオン水が使用される。ミネラルカチオンを含む天然源からの水も、製品の所望の特性に応じて使用することができる。一般的に、本発明の組成物は約20%〜約99%、好ましくは約30%〜約95%、より好ましくは約80%〜約90%の水を含む。
【0059】
シリコーン化合物
好ましくは、本発明の組成物は好ましくはシリコーン化合物を含有する。シリコーン化合物は、乾燥した毛髪に平滑さ及び柔軟性をもたらすことができると考えられる。本明細書のシリコーン化合物は、好ましくは組成物の約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、更により好ましくは約1重量%〜約8重量%のレベルで使用され得る。
【0060】
好ましくは、シリコーン化合物は、組成物中にて、約1ミクロン〜約50ミクロンの平均粒径を有する。
【0061】
本明細書において有用なシリコーン化合物は、単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド又は混合物として、あるいは少なくとも1つのシリコーン化合物と少なくとも1つの溶媒とのブレンド又は混合物として、好ましくは25℃において約1,000〜約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0062】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験方法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定可能である。好適なシリコーン流体には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0063】
好ましいポリアルキルシロキサンには、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。これらのシリコーン化合物は、例えば、General Electric CompanyからそのViscasil(登録商標)及びTSF 451シリーズで、及びDow CorningからそのDow Corning SH200シリーズで入手可能である。
【0064】
上記ポリアルキルシロキサンは、例えば、低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sの粘度を有する。このような混合物は、好ましくは、(i)25℃において約100,000mPa・s〜約30,000,000mPa・s、好ましくは約100,000mPa・s〜約20,000,000mPa・sの粘度を有する第1のシリコーンと、(ii)25℃において約5mPa・s〜約10,000mPa・s、好ましくは約5mPa・s〜約5,000mPa・sの粘度を有する第2のシリコーンとを含む。本明細書で有用なこのような混合物には、例えば、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンと200mPa・sの粘度を有するジメチコンとのブレンド、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンとシクロペンタシロキサンとのブレンドが挙げられる。
【0065】
本明細書で有用なシリコーン化合物は、また、シリコーンゴムを含む。用語「シリコーンゴム」は、本明細書で使用するとき、25℃において1m2/s(1,000,000センチストークス)以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン材料を意味する。本明細書に記載のシリコーンゴムは、また、上に開示したシリコーン化合物と一部重複する部分もあり得るとみなされる。この重複は、これらの物質のいずれにおいても限定を意図しない。「シリコーンゴム」は、典型的に約200,000を超え、一般的に約200,000〜約1,000,000の質量分子量を有する。具体例には、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサンジフェニルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーンゴムは、例えば低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。本明細書で有用なそのような混合物には、例えば、Shin−Etsuから入手可能なゴム/シクロメチコンのブレンドが挙げられる。
【0066】
本明細書で有用なシリコーン化合物には、また、アミノ置換物質が挙げられる。好ましいアミノシリコーンには、例えば次の一般式(I)に従うものが挙げられる:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a
式中、Gは水素、フェニル、ヒドロキシ又はC1〜C8アルキルであり、好ましくはメチルであり、aは0又は1〜3の値を有する整数であり、好ましくは1であり、bは0、1又は2であり、好ましくは1であり、nは0〜1,999の数であり、mは0〜1,999の整数であり、nとmの合計は1〜2,000の数であり、aとmは両方共に0にはならず、R1は一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは2〜8の値を有する整数であり、Lは基:−N(R2)CH2−CH2−N(R22、−N(R22、−N(R23-、−N(R2)CH2−CH2−NR22-から選択され、式中、R2は水素、フェニル、ベンジル又は飽和炭化水素ラジカルであり、好ましくは約C1−約C20のアルキルラジカルであり、A-はハロゲン化物イオンである。
【0067】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600であり、Lは−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり、Lは−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。このような極めて好ましいアミノシリコーンは、末端アミノシリコーンと呼ばれるが、これはシリコーン鎖の片端又は両端が、窒素含有基によって末端処理されているためである。
【0068】
上述のアミノシリコーンを組成物中に組み込む場合、低粘度を有する溶媒と混合することができる。このような溶媒には、例えば極性若しくは非極性、揮発性若しくは不揮発性油が挙げられる。このような油には、例えば、シリコーン油、炭化水素、及びエステルが挙げられる。このような各種溶媒のうち、好ましいものは、非極性、揮発性炭化水素、揮発性環状シリコーン、不揮発性線状シリコーン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本発明で有用な不揮発性直鎖シリコーンは、25℃において約1E−6〜約0.02m2/s(約1〜約20,000センチストークス)、好ましくは約2E−5〜約0.01m2/s(約20〜約10,000センチストークス)の粘度を有するものである。アミノシリコーンの粘度を低下させ、そして乾いた毛髪上における摩擦の低減といった、より一層のヘアコンディショニング効果をもたらすという観点から、好ましい溶媒のうち、極めて好ましいのは、非極性で揮発性の炭化水素、特に非極性で揮発性のイソパラフィンである。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sの粘度を有する。
【0069】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物には、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換体を有するものが挙げられる。極めて好ましいものは、「アモジメチコン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコンには、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16−872が挙げられる。
【0070】
上記シリコーン化合物は更に、機械的混合によるか、又はエマルション重合による合成段階で、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される界面活性剤の助けを借りて又は助け無しで製造されるエマルションの形態で本発明の組成物に組み入れることができる。
【0071】
追加的成分
本発明の組成物は、他の追加的な成分を包含してもよく、それは最終的な製品の所望の特性に照らして当業者により選択されてもよく、またそれは組成物をより美容的又は審美的に許容可能なものにするかあるいは付加的な使用効果を組成物に提供するのに好適なものである。このような他の追加的な成分は、一般に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%までのレベルで個別に使用される。
【0072】
他の多種多様な追加的な成分が本組成物に配合可能である。これらには、他のコンディショニング剤、例えばHormelから入手可能な商標名Peptein 2000の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix−dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解したケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素;防腐剤、例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びイミダゾリジニル尿素;pH調整剤、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム;着色剤、例えば、食品、医薬品及び化粧品用又は医薬品及び化粧品用染料のいずれか;香料;及び金属封鎖剤、例えば、二ナトリウムエチレンジアミンテトラ−アセテート;紫外線及び赤外線用スクリーニング及び吸収用薬剤、例えば、ベンゾフェノン;並びにふけ防止剤、例えば、ジンクピリチオンが挙げられる。
【0073】
低融点油
本明細書で有用な低融点油は、25℃未満の融点を有するものである。本発明で有用な低融点油は、10個〜約40個の炭素原子を有する炭化水素、オレイルアルコールなどの約10個〜約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪族アルコール、約10個〜約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪族アルコール誘導体、ペンタエリスリトールテトライソステアレートなどのペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油及びグリセリルエステル油のようなエステル油、ポリデセンなどのポリα−オレフィン油、並びに、これらの混合物からなる群から選択される。
【0074】
製品形態
本発明の組成物は、リンスオフ(洗い流し型)製品又はリーブオン(つけっ放し型)製品の形態であることができ、またクリーム、ジェル、エマルション、ムース、及びスプレーを包含するが、これらに制限されない多種多様な製品形態に配合されることができる。本発明の組成物は、ヘアコンディショナー、特にリンスオフヘアコンディショナーに特に好適である。
【0075】
使用方法
好ましくは、本発明の組成物は毛髪をコンディショニングする方法に使用され、このような方法は、
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするために有効量のコンディショニング組成物を毛髪に塗布する工程と、
(ii)その後、毛髪をすすぐ工程とを含む。
【0076】
本明細書での有効量は、例えば、毛髪10g当たり約0.1mL〜約2mL、好ましくは毛髪10g当たり約0.2mL〜約1.5mLである。
【0077】
本発明の組成物は、すすぎ前の湿潤コンディショニング効果を維持しながら、改良されたコンディショニング効果、特にすすぎ後の改良された湿潤コンディショニング効果、及び改良された乾燥コンディショニングを提供する。本発明の組成物は、また、改善された製品外観を消費者に提供することができる。それゆえに、本発明の組成物は低減された投与量でも、全投与量の従来のコンディショナー組成物のコンディショニング効果と同じレベルのコンディショニング効果を提供することができる。本明細書では、このような低減された投与量は、例えば毛髪10g当たり約0.3mL〜約0.7mLである。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。成分は、適用できる場合は、化学名又はCTFA名称で識別され、そうでない場合には以下で定義される。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
成分の定義
* 1アミノシリコーン:GEから入手可能、10,000mPa・sの粘度を有し、以下の化学式(I)を有する:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a (I)
式中、Gはメチルであり、aは1の整数であり、bは0、1又は2であり、好ましくは1であり、nは400〜約600の数であり、mは0の整数であり、R1は、一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは3の整数であり、Lは、−NH2である。
*2 Evonik Goldschmidt Corporationから入手可能なプロピレングリコール中の67〜69%のジセチルジモニウムクロリド
【0084】
作製方法
方法I
「実施例1」から「実施例3」及び「実施例5」から「実施例9」、並びに「実施例v」のコンディショニング組成物を次のように作製する:
成分1〜7、11、16及び17を混合し、約66℃から約85℃に加熱して、油相を形成する。別に、成分9、10及び15を混合し、約20℃から約48℃に加熱して、水相を形成する。Becomix(登録商標)直接噴射式ローター・ステーターホモジナイザー中に油相を注入する。油相が、1.0×104J/m3から1.0×107J/m3のエネルギー密度を有し、水相が既に存在する、高剪断場に到達するのに0.2秒以下を要する。ジェルマトリックスが形成される。含まれる場合には、成分8及び12〜14を振盪しながらジェルマトリックスに添加する。次に、組成物を室温に冷却する。
【0085】
方法II
「実施例4」のコンディショニング組成物を次のように作製する:
成分1〜7及び11を混合し、約66℃から約85℃に加熱して、油相を形成する。別に、成分9、10及び15を混合し、約20℃から約48℃に加熱して、水相を形成する。Becomix(登録商標)直接噴射式ローター・ステーターホモジナイザー中に油相を注入する。油相が1.0×103J/m3から1.0×104J/m3より小さい(1.0×104J/m3を排除)エネルギー密度を有し、水相が既に存在する、高剪断場に到達するのに0.2秒以下を要する。ジェルマトリックスが形成される。含まれる場合には、成分8及び12〜14を振盪しながらジェルマトリックスに添加する。次に、組成物を室温に冷却する。
【0086】
方法III
「実施例i」のコンディショニング組成物を次のように作製する:
成分1〜7及び11を混合し、約66℃から約85℃に加熱して、油相を形成する。別に、成分9、10及び15を混合し、約20℃〜約48℃に加熱して、水相を形成する。Becomix(登録商標)直接注入ローター・ステーターホモジナイザー中に油相を注入する。油相が、10J/m3のエネルギー密度を有し、水相が既に存在する、剪断場に到達するのに0.2秒以下を要する。均質なエマルションは得られない。含まれる場合には、成分8及び12〜14を振盪しながらそれに添加する。次に、組成物を室温に冷却する。均質な組成物は得られない。
【0087】
方法IV
「実施例ii」のコンディショニング組成物を次のように作製する:
成分1〜7及び11を混合し、約66℃〜約85℃に加熱して、油相を形成する。別に、成分9、10及び15を混合し、約20℃〜約48℃に加熱して、水相を形成する。IKA Corporationから入手可能なDR−3ホモジナイザー中に、油相を注入する。油相が1.0×103J/m3〜1.0×104J/m3より小さい(1.0×104J/m3を排除)エネルギー密度を有し、水相が既に存在する、高剪断場に到達するのに0.6秒以下を要する。均質なエマルションは得られない。含まれる場合には、成分8及び12〜14を振盪しながらそれに添加する。次に、組成物を室温に冷却する。均質な組成物は得られない。
【0088】
方法V
「実施例iii」、「実施例iv」及び「実施例vi」のコンディショニング組成物を次のように作製する:
成分1〜7及び16を振盪しながらそれに添加し、約80℃に加熱する。混合物を約55℃に冷却し、ジェルマトリックスを形成する。含まれる場合には、成分8〜14を振盪しながらジェルマトリックスに添加する。次に、混合物を室温に冷却する。
【0089】
特性及びコンディショニング効果
開示され、先述の「実施例1」〜「実施例9」により示されている実施形態は、リンスオフ用途に特に有用である本発明の方法によって作製されたヘアコンディショニング組成物である。このような実施形態は、多くの利点を有する。例えば、これらは、毛髪にコンディショニング効果を有効に送達する、すなわち、同量の有効成分(カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪化合物など)から改善されたコンディショニング効果を送達する。
【0090】
本発明の方法により作製される上記の組成物及び比較用の他の組成物に関して、コンディショニング効果を次の方法により評価する。評価の結果も下記の表1〜4に示す。
【0091】
すすぎ前の濡れコンディショニング
Texture Analyzer(TA XT Plus,Texture Technologies(Scarsdale,NY,USA))という名称の装置によって測定される毛髪摩擦推力により、すすぎ前の濡れコンディショニングを評価する。1gの組成物を10gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を拡げた後、毛髪をすすぐ前に、毛髪サンプルとポリウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を上記装置により測定する。
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0092】
すすぎ後の濡れコンディショニング
Texture Analyzer(TA XT Plus,Texture Technologies(Scarsdale,NY,USA))という名称の装置によって測定される毛髪摩擦推力により、すすぎ後の濡れコンディショニングを評価する。1gの組成物を10gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を広げた後、それを温水で30秒間にわたってすすぐ。次に、毛髪サンプルとポリウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を上記装置により測定する。
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0093】
乾燥コンディショニング
Instron Tester(Instron 5542,Instron,Inc(Canton,Mass.,USA))という名称の装置によって測定される毛髪摩擦推力により、乾燥コンディショニング性能を評価する。2gの組成物を20gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を拡げた後、毛髪を温水で30秒間にわたってすすぎ、毛髪サンプルを一晩放置し、乾燥させる。毛髪に沿って毛髪表面とウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を測定する。
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0094】
製品外観
6人の官能試験員により、パッケージから0.4mLのコンディショナー製品を分配するときの製品外観を評価する。
A:3人〜6人の官能試験員が、「製品が粘りのある製品外観を有し、その外観から好印象を受けた」と答えた。
B:1人〜2人の官能試験員が、「製品が粘りのある製品外観を有し、その外観から好印象を受けた」と答えた。
C:対照
【0095】
【表5】

【0096】
実施例iiiの組成物を表1中の対照として使用する。
【0097】
例えば、実施例2及び実施例iiiの比較は、同一量のカチオン性界面活性剤及び高融点脂肪化合物を有するが、異なる方法により作製される、実施例iiiの組成物と比較して、本発明の方法により作製される実施例2の組成物が、毛髪にコンディショニング効果を効果的に送達するということを示す。
【0098】
加えて、全て本発明の方法により作製される実施例1〜実施例3の組成物は、実施例iiの組成物と比較して改善されたコンディショニング効果をもたらす。更に、実施例1及び実施例2の組成物は、実施例iiの組成物と比較して、改善された製品外観を更にもたらす。
【0099】
これらの実施例からは均質な組成物が得られないので、実施例i及び実施例iiの組成物のコンディショニング効果を評価しない。剪断場が低エネルギー密度を有する方法IIIにより実施例iiの組成物を作製し、油相が高剪断場に到達するのに長時間を要する方法IVにより実施例iiの組成物を作製する。
【0100】
【表6】

【0101】
実施例ivの組成物を表2中の対照として使用する。
【0102】
例えば、実施例5及び実施例ivの比較は、同一量のカチオン性界面活性剤及び高融点脂肪化合物を有するが、異なる方法により作製される、実施例ivの組成物と比較して、本発明の方法により作製される実施例5の組成物が毛髪にコンディショニング効果を効果的に送達するということを示す。
【0103】
【表7】

【0104】
実施例viの組成物を表3中の対照として使用する。
【0105】
例えば、両方ともジアルキルカチオン性界面活性剤を含有する、実施例v及び実施例viの間の比較は、方法Iにより作製される実施例vと、方法Vにより作製される実施例viの間のコンディショニング効果の鍵となるような差異を示さない。
【0106】
【表8】

【0107】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0108】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0109】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物を作製する方法であって、
前記組成物は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含み、
前記方法は、
(1)前記界面活性剤及び前記高融点脂肪化合物を含む油相を作製する工程であって、前記油相の温度は前記高融点脂肪化合物の融点よりも高い、工程と、
(2)前記水性キャリアを含む水相を作製する工程であって、前記水相の温度は前記高融点脂肪化合物の融点よりも低い、工程と、
(3)前記油相及び前記水相を混合して、エマルションを形成する工程とを含み、
前記混合する工程(3)は、以下の詳細な工程:
(3−1)前記油相又は前記水相のいずれかを約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、
(3−2)前記場に他の相を直接供給する工程、及び
(3−3)エマルションを形成する工程、を含み、
前記混合する工程(3)は、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われ、
前記カチオン性界面活性剤は、モノアルキルカチオン性界面活性剤であり、前記組成物はジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まず、
前記油相は、前記油相の0〜約50重量%の前記水性キャリアを含有する、方法。
【請求項2】
前記混合する工程(3)が、以下の詳細な工程:
(3−1)前記水相を約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高剪断場の中に供給する工程、
(3−2)前記場に前記油相を直接供給する工程、及び
(3−3)エマルションを形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高剪断場が約1.0×103J/m3からのエネルギー密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2つの相が、最初の合流後、0.52秒以下で高剪断場に到達する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転部材を有するホモジナイザーが、ローター・ステーターホモジナイザーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エマルションの温度が、前記高融点脂肪化合物の融点よりも約2℃〜約60℃低い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記油相中の水のレベルが、前記油相の約40重量%までである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記油相中の水のレベルが、前記油相の約25重量%までである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エマルションが、前記カチオン性界面活性剤、前記高融点脂肪化合物、及び前記水性キャリアを含むジェルマトリックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カチオン性界面活性剤と前記高融点脂肪化合物の重量比が、約1:1〜約1:4の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法により作製される組成物。

【公表番号】特表2012−511036(P2012−511036A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539803(P2011−539803)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067235
【国際公開番号】WO2010/077705
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】