説明

界面活性剤含有粒子の製造方法

【課題】粉砕装置や配管内部への粉体の付着を低減できるようにした界面活性剤含有粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】アニオン界面活性剤とアルカリビルダーを含有し、水分の含有量が3〜8質量%である噴霧乾燥粒子(A)と、アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤を含有する液体成分(B)とを、噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aが0.1〜0.4となるように、撹拌羽根を有する混練機に供給し、撹拌動力250〜1000J/kgで混合および造粒して、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が50質量%未満であり、かつ水分の含有量が6〜9質量%である粉粒体を得る工程を有することを特徴とする界面活性剤含有粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒状洗剤組成物に好適に用いられる界面活性剤含有粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用洗剤などの粒状洗剤組成物は、主要な構成成分として界面活性剤含有粒子を含有している。かかる界面活性剤含有粒子は、一般に、アニオン界面活性剤等の界面活性剤やアルカリビルダー等を含有する洗剤スラリー(噴霧乾燥用スラリー)を噴霧乾燥して洗剤組成物ベース粉末(噴霧乾燥粒子)を製造し、当該ベース粉末(噴霧乾燥粒子)を高嵩密度化して製造されている。
【0003】
噴霧乾燥粒子を高嵩密度化する方法として、例えば特許文献1には、混練機に、ベース粉末と液体のバインダー成分を連続的に供給し、1〜10kW/t(約3.6×10〜36×10J/kg)程度の混練エネルギーで捏和し、得られた捏和物を押出成形し、さらに破砕造粒する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2000−144194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、破砕造粒する工程において、破砕された粉体が破砕装置内部に付着したり、空気輸送される配管内部に付着するという問題がある。
また近年では、環境意識の高まりから、粒状洗剤組成物においても環境への負荷の低減が望まれるようになってきており、これに対応するためにアルキルベンゼンスルホン酸塩等の非石鹸性アニオン界面活性剤の使用量を低減させた洗剤組成が提案されている。しかしながら、本発明者等の知見によれば、特に界面活性剤含有粒子における非石鹸性アニオン界面活性剤の含有量を少なくすると、粉砕装置や配管への粉体の付着が顕著になる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、粉砕装置や配管内部への粉体の付着を低減できるようにした界面活性剤含有粒子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明者等が鋭意研究した結果、混練機は、通常、比較的大きな塊状の捏和物を得るのに用いられるものであるが、混練機における撹拌動力を特定の範囲にすることにより適度な混合および造粒を行うことができ、粒状洗剤組成物に配合する界面活性剤含有粒子として使用可能な粉粒体が得られることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明の界面活性剤含有粒子の製造方法は、アニオン界面活性剤とアルカリビルダーを含有し、水分の含有量が3〜8質量%である噴霧乾燥粒子(A)と、アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤を含有する液体成分(B)とを、前記噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aが0.1〜0.4となるように、撹拌羽根を有する混練機に供給し、撹拌動力250〜1000J/kgで混合および造粒して、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が50質量%未満であり、かつ水分の含有量が6〜9質量%である粉粒体を得る工程を有することを特徴とする。
前記噴霧乾燥粒子(A)中における直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(以下、LASと略記することもある。)の含有量が6.5質量%以下であり、前記粉粒体中におけるアニオン界面活性剤の合計含有量が15〜28質量%、かつLASの含有量が4.5質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、混練機内で特定の撹拌動力で混合および造粒して粉粒体を得るため、その後の破砕処理を省略または軽減することができ、これによって粉砕装置や配管内部への粉体の付着を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<噴霧乾燥粒子(A)>
本発明において用いられる噴霧乾燥粒子(A)はアニオン界面活性剤(A1)とビルダー(A2)を含有し、ビルダー(A2)として少なくともアルカリビルダー(A21)を含有する。必要に応じてその他の成分(A3)を含有してもよい。
[アニオン界面活性剤(A1)]
アニオン界面活性剤(A1)としては、従来、洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、公知の各種アニオン界面活性剤が挙げられる。例えば、以下の(1)〜(12)に示すアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0009】
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及び、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド(モル比:0.1/9.9〜9.9/0.1)の少なくともいずれか、を付加したアルキルエーテル硫酸塩、又は、アルケニルエーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルフェニル基若しくはアルケニルフェニル基を有し、平均3〜30モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及び、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド(モル比:0.1/9.9〜9.9/0.1)の少なくともいずれか、を付加したアルキルフェニルエーテル硫酸塩、又は、アルケニルフェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及び、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド(モル比:0.1/9.9〜9.9/0.1)の少なくともいずれか、を付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸塩又はそのメチルエステル、エチルエステル、もしくは、プロピルエステル(α−SF又はMES)。
(10)長鎖モノアルキルリン酸塩、ジアルキルリン酸塩、又は、セスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、又は、ポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩。
【0010】
上記アニオン界面活性剤(A1)は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いてもよい。アニオン界面活性剤(A1)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記アニオン界面活性剤の中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)や、AOS、α−SF、AESのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)等が好ましい。
【0011】
噴霧乾燥粒子(A)は、非石鹸性アニオン界面活性剤の含有量が低減されており、特にLASの含有量が6.5質量%以下であることが好ましい。本発明における非石鹸性アニオン界面活性剤とは、石鹸以外のアニオン界面活性剤を包含する。ここでの石鹸とは脂肪酸塩(ただし、脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、炭素数が好ましくは6〜22、より好ましくは10〜20である。)を意味する。
非石鹸性アニオン界面活性剤の具体例としては、上記(1)〜(11)に示すアニオン界面活性剤が挙げられる。中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)が好ましく、特にそのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)が好ましい。
噴霧乾燥粒子(A)中のLASの含有量が6.5質量%以下であると環境対応に適した粒状洗剤組成物が得られやすい。該LASの含有量の下限値は、ゼロでもよいが、洗浄力の向上の点からは1質量%以上が好ましい。より好ましい範囲は1.5〜6.5質量%である。
【0012】
噴霧乾燥粒子(A)中におけるアニオン界面活性剤(A1)の含有量は、非石鹸性アニオン界面活性剤と石鹸との合計で6〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄力が良好であり、上限値以下であるとスラリー粘度が噴霧乾燥に適している。
【0013】
[ビルダー(A2)]
ビルダー(A2)としては、無機ビルダー及び有機ビルダー等が挙げられる。
(無機ビルダー)
無機ビルダーとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩;硫酸ナトリウム等の中性塩;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;下記一般式(VI)で表される結晶性アルミノ珪酸塩;下記一般式(VII)で表される無定形アルミノ珪酸塩;下記一般式(VIII)で表される無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。
【0014】
一般式(VI):x1(MO)・Al・y1(SiO)・w1(HO)。
一般式(VI)において、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を表す。x1、y1及びw1は、各成分のモル数を表し、一般的に、x1は0.7〜1.5のいずれかの数、y1は0.8〜6のいずれかの数、w1は任意の正数を表す。
【0015】
一般式(VII):x2(MO)・Al・y2(SiO)・w2(HO)。
一般式(VII)において、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を表す。x2、y2及びw2は、各成分のモル数を表し、一般的に、x2は、0.7〜1.2のいずれかの数、y2は1.6〜2.8のいずれかの数、w2は0又は任意の正数を表す。
【0016】
一般式(VIII):x3(MO)・Al・y3(SiO)・Z3(P)・w3(HO)。
一般式(VIII)において、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を表す。x3、y3、Z3及びw3は、各成分のモル数を表し、一般的に、x3は、0.2〜1.1のいずれかの数、y3は0.2〜4.0のいずれかの数、z3は0.001〜0.8のいずれかの数、w3は0又は任意の正数を表す。
【0017】
前記無機ビルダーの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及び、アルミノ珪酸ナトリウム等が好ましい。これらの無機ビルダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
(有機ビルダー)
有機ビルダーとしては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノまたはジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸、アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体及び共重合体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体または共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の非解離高分子化合物等が挙げられる。
【0019】
これらの有機ビルダーの中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、およびアクリル酸−マレイン酸共重合体、等が好ましい。これらの有機ビルダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明において、噴霧乾燥粒子(A)は少なくともアルカリビルダー(A21)を含有する。上記に挙げたビルダー(A2)の具体例のうち、アルカリビルダー(A21)は
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウムである。これらのうちでも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムが好ましく、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウムが好ましい。アルカリビルダー(A21)は1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
噴霧乾燥粒子(A)中におけるアルカリビルダー(A21)の含有量は、40〜75質量%が好ましく、50〜65質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄力が良好であり、上限値以下であると低発塵性である。
噴霧乾燥粒子(A)中におけるビルダー(A2)の合計の含有量は、充分な洗浄性を付与するためには、70〜90質量%が好ましく、80〜90質量%がより好ましい。
【0021】
[その他の成分(A3)]
上記アニオン界面活性剤(A1)とビルダー(A2)以外の、その他の成分(A3)としては、従来、洗剤において使用される成分の中から適宜選択して使用できる。
例えば、上記アニオン界面活性剤(A1)以外の他の界面活性剤、水溶性高分子化合物、蛍光増白剤などが挙げられる。
他の界面活性剤としては、公知のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。噴霧乾燥粒子(A)に、アニオン界面活性剤(A1)以外の他の界面活性剤を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、噴霧乾燥粒子のハンドリングの点からは、噴霧乾燥粒子(A)に対して0.01〜1.0質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
【0022】
水溶性高分子化合物としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物及び合成高分子化合物のいずれも好適に用いることができる。
本明細書における「水溶性高分子化合物」とは、20℃における水への溶解度が0.1g/(100g水)以上であり、好ましくは0.2g/(100g水)以上であり、より好ましくは0.3g/(100g水)以上である化合物である。また、質量平均分子量は500以上が好ましく、2000以上がより好ましく、上限値は、好ましくは100000以下である。なお、ここでいう「質量平均分子量」とは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される値を意味する。
【0023】
天然高分子化合物としては、例えば寒天、アルギン酸ナトリウム等の海藻類の高分子化合物;キサンタンガム、アラビアガム等のガム類の高分子化合物;ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等のタンパク質類の高分子化合物等が挙げられる。
半合成高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン誘導体等が挙げられる。
また、合成高分子化合物としては、アクリル酸重合体、マレイン酸重合体、アクリル酸/マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール類、カルボキシビニルポリマー類、高重合ポリエチレングリコール類等が挙げられる。
【0024】
上記の水溶性高分子化合物の中でも、一般に洗浄用として用いられる、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸重合体、マレイン酸重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体、及びこれらの塩;高重合ポリエチレングリコール等がより好ましく、アクリル酸/マレイン酸共重合体がさらに好ましい。
上記水溶性高分子化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
噴霧乾燥粒子(A)に該水溶性高分子化合物を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、噴霧乾燥粒子(A)に対して0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると噴霧乾燥粒子の低発塵性が良好であり、上限値以下であると噴霧乾燥粒子のハンドリング性が良好である。
【0025】
蛍光増白剤の例としては、Disodium4,4’−bis(2−sulfostyryl)−biphenyl、Disodium4,4’−bis[(4−anilino−6−morpholino−1,3,5−triazine−2−yl)amino]stilbene−2,2’−disulfonate等が挙げられる。
【0026】
[噴霧乾燥粒子(A)の製造方法]
噴霧乾燥粒子(A)は、例えば、アニオン界面活性剤、アルカリビルダー、および必要に応じてその他の成分を含有するとともに水分を好ましくは34〜39質量%程度含有するスラリーを調製し、該スラリーを噴霧乾燥する方法で得られる。
噴霧乾燥は公知の方法で行うことができる。例えば、前記スラリーを噴霧乾燥塔に移送し、該噴霧乾燥塔の塔頂付近に設置された噴霧乾燥用スラリーの微粒化装置から、所定の噴霧圧力で噴霧を行う方法により噴霧乾燥粒子を製造できる。
【0027】
噴霧乾燥塔は、向流式であっても並流式であってもよく、中でも、熱効率や乾燥粉(噴霧乾燥粒子)を充分に乾燥することができることから向流式が好ましい。
噴霧乾燥用スラリーの微粒化装置としては、圧力噴霧ノズル、2流体噴霧ノズル、回転円盤式等が挙げられる。中でも、所望とする平均粒径を得ることが容易な圧力噴霧ノズルを用いることが好ましい。
噴霧乾燥用スラリーの噴霧乾燥時、噴霧乾燥塔内には高温ガスが供給される。この高温ガスは、例えば噴霧乾燥塔の下部より供給され、噴霧乾燥塔の塔頂より排出される。
この高温ガスの温度としては、170〜300℃であることが好ましく、200〜280℃であることがより好ましい。該範囲であれば、噴霧乾燥用スラリーを充分に乾燥することができ、所望とする水分含有量の噴霧乾燥粒子を容易に得ることができる。
また、噴霧乾燥塔より排出されるガスの温度は、通常、70〜125℃であることが好ましく、70〜115℃であることがより好ましい。
なお、高温ガスが噴霧乾燥塔の下部より供給され、噴霧乾燥塔の塔頂より排出される(向流式)場合、得られる噴霧乾燥粒子の温度が高くなりすぎることを抑制するために、噴霧乾燥塔の下部より冷風を供給することができる。また、同時に、例えば噴霧乾燥塔の下部より無機微粒子(ゼオライト等)などを導入し、噴霧乾燥粒子と接触させることにより、該噴霧乾燥粒子の噴霧乾燥塔内壁への付着を防止したり、得られる噴霧乾燥粒子の流動性を向上させたりすること等ができる。
【0028】
噴霧乾燥における乾燥条件は、得られる噴霧乾燥粒子における水分含有量が3〜8質量%となるように設定される。該噴霧乾燥粒子中の水分含有量は、好ましくは3.5〜7.5質量%であり、より好ましくは4〜7質量%である。上記範囲の下限値以上であると低発塵性が良好であり、上限値以下であると粒子同士の凝集を抑制しやすくなる。
噴霧乾燥粒子中の水分含有量は、例えば、噴霧乾燥塔内に供給される高温ガスの温度を調整する方法等で制御できる。
噴霧乾燥粒子(A)の平均粒径は特に限定されないが、好ましくは100〜700μm程度であり、150〜500μmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると低発塵性が良好であり、上限値以下であると粒子強度が比較的強くなる。該平均粒径はスラリー粘度、噴霧圧、塔内温度によって制御できる。
ここで、本明細書における平均粒径は質量基準のメジアン径である。
【0029】
<液体成分(B)>
本発明で用いられる液体成分(B)は、アニオン界面活性剤(B1)および/またはノニオン界面活性剤(B2)を含有する。
アニオン界面活性剤(B1)としては、上記アニオン界面活性剤(A1)の例として挙げたものを使用できる。その中で、アニオン界面活性剤(B1)として好ましいものとしては、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(MES)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(LES)、二級アルカンスルホン酸塩(SAS)等が挙げられる。なおMESは、好ましくは濃縮物の形態で用いられる。
【0030】
ノニオン界面活性剤(B2)としては、従来、洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、公知の各種ノニオン界面活性剤が挙げられる。
例えば、以下の(1)〜(12)に示すノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0031】
(1)炭素数6〜22(好ましくは、炭素数8〜18)の脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを、平均3〜30モル(好ましくは、5〜20モル)付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル等が好ましい。ここで用いられる脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコール等が挙げられ、第1級アルコールが好ましい。又、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。
【0032】
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル、又は、長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、下記一般式(I)で示すような脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
一般式(I):RCO(OA)nOR
一般式(I)において、RCOは、炭素数6〜22(好ましくは8〜18)の脂肪酸残基を表す。OAは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4(好ましくは2〜3)のアルキレンオキシドの付加単位を表す。nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30(好ましくは5〜20の数)である。Rは、炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級アルキル基を表す。
【0033】
(3)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(4)ポリオキシエチレンソルビット脂脂酸エステル。
(5)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(7)グリセリン脂肪酸エステル。
(8)脂肪酸アルカノールアミド。
(9)ポリオキシエチレンアルキルアミン。
(10)アルキルグリコシド。
(11)アルキルアミンオキサイド。
(12)ポリオキシエチレンアルキルエーテル。
【0034】
ノニオン界面活性剤(B2)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記に挙げた中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。なお、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、好ましくはMES濃縮物の含有成分として用いられる。
【0035】
液体成分(B)中におけるアニオン界面活性剤(B1)とノニオン界面活性剤(B2)の合計量の占める割合は、70〜95質量%が好ましく80〜90質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄力が良好となり、上限値以下であると高溶解性になりやすい。
アニオン界面活性剤(B1)とノニオン界面活性剤(B2)の合計量のうち、アニオン界面活性剤(B1)が占める割合は50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると高洗浄力が得られやすく、上限値以下であると高溶解性になりやすい。
【0036】
液体成分(B)は水溶液であることが好ましい。液体成分(B)中における水分含有量は10〜40質量%が好ましく25〜35質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると高溶解性になりやすく、上限値以下であると洗浄力が良好である。
【0037】
本発明において、液体成分(B)の使用量は、噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aが0.1〜0.4の範囲である。0.1以上であると高嵩密度粒子が得られやすく、0.4以下であると粒子径が1000μm未満の粒子が得られやすい。好ましくはB/A=0.25〜0.35の範囲である。
【0038】
<撹拌羽根を有する混練機>
図1〜5は撹拌羽根(パドル)の例を示す図であり、図6混練機におけるパドルの配置(パドルパターン)の一例を示す説明図である。図7はパドルパターンの他の例を示す説明図である。
本発明で用いられる混練機は、2つの平行な回転軸のそれぞれに、複数の撹拌羽根(パドル)が、回転軸と撹拌羽根とが一体的に動くように組み込まれており、2つの回転軸が互いに同方向に回転する構成の連続混練機が好適に用いられる。2つの回転軸に組み込まれた左右一対のパドルが、90度位相がずれるようにセットされ、一対のパドルにおいて常に一方の先端が他方をこするように回転する構成を有し、該構成によってセルフクリーニング作用が得られるようになっていることが好ましい。
【0039】
図6,7に示されるように、混練機の供給口付近にはスクリュー(S)が配置され、供給された成分が処理ゾーンに送られるようになっている。処理ゾーンは、前記スクリューの後段に設けられた撹拌羽根(パドル)の組み合わせによって、後記の(a)輸送ゾーンと(b)混合ゾーンと(c)混練ゾーンとに分けられる。なお、処理ゾーンで用いられるパドルの枚数は特に問わないが、例えば20〜30枚程度組み込まれる。
【0040】
以下、処理ゾーン内の各ゾーンおよび該ゾーンに組み込まれている撹拌羽根群の構成を説明する。
(a)輸送ゾーン:混練機の供給口から排出口方向に向かう方向へ成分(内容物)を輸送する機能を有する。このゾーンにおける羽根群は、成分の輸送方向に向かって推進力が生じるように構成されている。
(b)混合ゾーン:成分を混合する機能を有する。このゾーンにおける羽根群は、推進力が生じないように構成されている。
(c)混練ゾーン:成分を混練する機能を有する。このゾーンにおける羽根群は、成分の輸送方向とは逆の方向に向かって推進力が生じるように構成されている。
【0041】
撹拌羽根(パドル)としては、図1に示すフラットパドル(F)および図2に示すヘリカルパドル(H)が好適に用いられる。これら形状の異なるパドルの組み合わせを変えることによって推進力の有無や方向を制御できる。
フラットパドル(F)の外面は、回転軸Oに垂直な両端面11、12と周面13とからなっている。両端面11、12の形状は略凸レンズ状である。フラットパドル(F)の、回転軸Oに対して垂直な断面の形状および向きは、該回転軸Oの長手方向において一定である。2つの平行な回転軸Oに組み込まれている左右一対のフラットパドル(F)は、回転軸Oが同方向に回転したときに、常に一方のパドルの周面13と他方のパドルの周面13とが接するように配置されている。両端面11、12の短径D1と長径D2との比率は、短径D1/長径D2=1/1〜1/3が好適である。周面13は両端面11、12に直交する曲面になっており、回転軸Oの長手方向における幅W1は、長径D2の1/6〜1/2が好ましく、1/4〜1/3がより好ましい。
【0042】
図2はヘリカルパドル(H)を端面21側から見た図である。ヘリカルパドル(H)の外面は、回転軸Oに垂直な両端面21、22と周面23とからなっている。両端面21、22の形状はいずれもフラットパドル(F)と同じ略凸レンズ状である。ヘリカルパドル(H)の形状が、フラットパドル(F)の形状と異なる点は、一方の端面21と他方の端面22とが、同軸で向きが異なっており、周面23がヘリカル状にねじれている点である。すなわち、ヘリカルパドル(H)の、回転軸Oに対して垂直な断面は、該回転軸Oの長手方向において、形状は一定であるが向きが回転軸Oを中心として漸次変化している。ヘリカルパドル(H)を一方の端面21側から見た投影図における、一方の端面21の先端と他方の端面22の先端とのずれ幅で表されるヘリカルピッチPは、両端面21、22の長径D2の1/10以下が好適であり、好ましくは1/10〜1/30である。
両端面21、22の短径D1と長径D2との比率および回転軸Oの長手方向における幅W1の好ましい範囲はフラットパドル(F)と同様である。
スクリュー(S)は図示しないが、ピッチが長径の1/2〜1/3であることが好ましい。
【0043】
図3は輸送ゾーンのパドル構成の好ましい例を示したものである。この例では、ヘリカルパドル(H)を回転軸の回転方向とは逆方向に45度づつずらしながら排出口方向に2枚以上配置している。
なお、図3〜7において、Hはヘリカルパドル、Fはフラットパドルを示す。またSはスクリューを示し、FSはフィードスクリュー、RSはリバーススクリューを示す。図3において「H逆45°」における「45°」は隣り合うパドル間において対応する端面の向きが45度ずれていること、「逆」は該端面の向きのずれが回転方向と逆であることを示す。
また、図3、図6および図7において、数字の1,2,3,4は、基準としたパドル1に対して2は45度、3は90度、4は135度(いずれも回転軸の回転方向と逆方向における角度である。以下同様。)と順次45度づつ傾いていることを示す。4から更に45度傾くと、パドルは元の1の状態となる。
【0044】
図4は混合ゾーンのパドル構成の好ましい例を示したものである。この例では、ヘリカルパドル(H)を回転軸の回転方向に90度づつずらしながら排出口方向に2枚以上配置している。なお、H90°とは、Hがヘリカルパドルであること、90°が隣り合うパドル間において対応する端面の向きが90度ずれていることを示す。
図4、図6および図7において、数字の1,3,1,3とは、基準としたパドル1に対して3は90度傾いており、3から更に90度傾くと、パドルは元の1の状態となることを示している。
【0045】
図5は混練ゾーンのパドル構成の好ましい例を示したものである。この例では、フラットパドル(F)を回転軸の回転方向に45度づつずらしながら排出口方向に2枚以上配置している。なお、F正45°における「正」とは、端面の向きのずれが回転方向と同じ(正方向)であることを示す。
また、図5、図6および図7において、数字の1,4,3とは、基準としたパドル1に対して3は90度、4は135度傾いていることを示す。
【0046】
本発明において好適なパドルパターンは、例えば、図6に示すように、混練機の供給口から排出口方向に向かって、スクリューゾーン、輸送ゾーン、混合ゾーン、混練ゾーン、混合ゾーン、混練ゾーン、混合ゾーン、輸送ゾーンの順に配された構成が好ましい。
または、図7に示すように、混練機の供給口から排出口方向に向かって、スクリューゾーン、輸送ゾーン、混合ゾーン、混練ゾーン、混合ゾーン、混練ゾーン、混合ゾーン、混練ゾーン、輸送ゾーンの順に配された構成も好ましい。
【0047】
<界面活性剤含有粒子の製造方法>
まず、撹拌羽根を有する混練機に噴霧乾燥粒子(A)と液体成分(B)を供給する。必要に応じて(A)(B)以外の他の成分も同時に供給してもよい。該他の成分として、例えばゼオライト、炭酸カリウム、等の無機ビルダーを添加すると粗大粒子低減の点で好ましい。
他の成分として無機ビルダーを用いる場合、その添加量は全混練機投入量に対して0〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
混練機は上述したような連続混練機が好ましく、噴霧乾燥粒子(A)、液体成分(B)および必要に応じたその他の成分を連続的に供給することが好ましい。
【0048】
混練機から排出される混練物の性状が粉粒体となるように、混練機における撹拌動力を調整することにより、混練機内で混合および造粒を行う。本発明における粉粒体とは、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が50質量%未満であるものをいう。具体的には混練機から排出された混練物を篩にかけて、粒子径が1000μm以上のものと1000μm未満のものに分け、1000μm以上の粒子が50質量%未満である場合を粉粒体といい、50質量%以上である場合を捏和物という。
混練機から排出される混練物における、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が50質量%未満であると、その後の破砕処理を省略または軽減する効果が充分に得られる。粉粒体の粒子径(粒度分布)は、混練機における撹拌動力を調節することによって制御できる。
【0049】
本明細書における撹拌動力(単位:J/kg)は、下記数式(1)により算出される値である。
【数1】

【0050】
数式(1)において、実電流値および空電流値は混練機のモーターの電流値を読み取って求めることができる。予め、混練機に原料を供給する前の空の状態でのモーター電流値(空電流値、単位:A)を読みとっておき、原料を供給して混練を開始した後にモーター電流値(実電流値、単位:A)を読み取る。電圧(単位:V)は電圧計の電圧を読み取る。力率(単位:なし)は0.8で計算する。生産能力(単位:t/hr)は原料投入量/時間により求める。
【0051】
本発明において、混練機における撹拌動力は250〜1000J/kgの範囲内とされる。好ましくは250〜700J/kgの範囲であり、250〜500J/kgの範囲がより好ましい。
該撹拌動力が1000J/kgを超えると、混練機から排出される混練物の性状が粉粒体となりにくく、例えば粒子径が大きい粒状や塊状になりやすい。また、該撹拌動力が250J/kg未満であると、充分に混合されずに不均一な状態で排出されやすい。混合が不均一であると溶解性が悪くなりやすい。
【0052】
混練機における撹拌動力は、混練機に供給される原料(噴霧乾燥粒子(A)、液体成分(B)およびその他の成分)の組成;混練機におけるパドルの形状および配置;単位時間当たりの処理量、原料の供給方法、回転数、供給する原料の温度、混練機内における被混練物の温度(混練温度)等の運転条件;などを変更することによって調整できる。
具体的には、上記(a)輸送ゾーンと(b)混合ゾーンと(c)混練ゾーンを備えた混練機を用いる場合、これらの3種のゾーンのうち、撹拌動力が最も大きいのは混練ゾーンであり、次いで混合ゾーン、輸送ゾーンである。したがって、各ゾーンの組み合わせ方や比率を変更することにより混練機における撹拌動力を調整できる。例えば、輸送ゾーンの比率を減らして混合ゾーンおよび/または混練ゾーンの比率を増加させることにより撹拌動力を増大させることができる。
また、パドルの回転数を増加させると撹拌動力は増大する。
混練機に供給する原料の温度および混練温度を上げると撹拌動力は増大する。
混練機に供給する原料組成については、噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aを大きくすると撹拌動力は増大する。液体成分(B)中におけるアニオン界面活性剤(B1)とノニオン界面活性剤(B2)の合計量の占める割合を大きくすると撹拌動力は増大する。液体成分(B)中におけるノニオン界面活性剤(B2)の含有量を大きくすると撹拌動力は増大する。液体成分(B)中における水分含有量を大きくすると撹拌動力は増大する。一般に、洗剤組成上の制約から原料組成を大きく変えることは難しいため、原料組成により撹拌動力を調整する場合は、水分含有量を調節することが好ましい。
【0053】
混練機に供給される噴霧乾燥粒子(A)の温度は15〜35℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると結露が生じにくく、上限値以下であるとハンドリング性が良い。
混練機に供給される液体成分(B)の温度は60〜80℃が好ましく、65〜75℃がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると粒子と液体成分の混合性が良好で、上限値以下であると得られる粒子の粗大化を抑制しやすい。
また混練機内部において被混練物の温度が上昇しすぎるのを防ぐため、捏和機のジャケットに冷却水を通しながら混練を行うことが望ましい。冷却水としては、例えばエチレングリコールの水溶液が好適であり、その濃度は15〜30質量%、好ましくは20〜25質量%のものを使用する。
冷却水の温度は、被混練物の制御温度に応じて適宜設定できる。例えば冷却水の入り口温度を0〜10℃とすることが好ましい。被混練物の制御温度は組成にもよるが20〜
50℃程度が好ましい。
【0054】
混練機から排出される混練物(粉粒体)における水分の含有量は6〜9質量%とされる。該粉粒体の水分含有量が6質量%以上であると粒子の壊れを低減でき、9質量%以下であると粒子の凝集を抑制しやすくなる。
粉粒体の水分含有量は、噴霧乾燥粒子の水分、混練機への添加水量を調節することによって制御できる。
該粉粒体の水分含有量は、より好ましくは7〜8質量%である。
【0055】
前記したように、LASの含有量を少なくして環境対応に適した界面活性剤含有粒子を製造する場合は、噴霧乾燥粒子(A)としてLASの含有量が6.5質量%以下であるものを用い、混練機から排出される粉粒体中におけるアニオン界面活性剤の合計含有量が15〜28質量%で、LASの含有量が4.5質量%以下となるようにすることが好ましい。該粉粒体におけるアニオン界面活性剤の合計含有量が15質量%以上であると洗浄力が良好であり、28質量%以下であると溶解性が良好である。
該粉粒体におけるアニオン界面活性剤の合計含有量は、混練機に供給される原料組成によって決まる。より好ましい範囲は18〜28質量%である。
また粉粒体におけるLASの含有量は、混練機に供給される原料組成によって決まる。より好ましくは1〜2質量%である。
【0056】
こうして得られる粉粒体(界面活性剤含有粒子)は、そのまま粒状洗剤組成物の成分として用いることができる。具体的には、得られた粉粒体(界面活性剤含有粒子)と、例えば漂白剤粒子、漂白活性化剤粒子、酵素粒子、柔軟化剤粒子、シリコーン粒子等の配合成分粒子とを混合して粒状洗剤組成物を製造することができる。また香料を、香料粒子として配合してもよく、混合する際に液状の香料を噴霧添加してもよい。また得られた粉粒体(界面活性剤含有粒子)に対して、必要に応じて、さらに粉砕処理や篩分け処理を施したものを粒状洗剤組成物の構成成分として用いてもよい。
【0057】
本発明の方法によれば、混練機内で特定の撹拌動力で混合して粉粒体を得るため、その後の破砕処理を省略または軽減することができる。これにより粉砕装置や配管内部への粉体の付着の問題を改善することができる。
なお本発明の方法は、LASの含有量が上記の範囲に低減された組成以外の洗剤組成物にも適用可能であり同様の作用効果が得られるが、特にLASの配合量が少ない組成では粉砕装置や配管への付着が顕著であるため、本発明を適用することの効果が大きい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、配合比率および含有量の単位は、特にことわりのない限り質量%である。
<噴霧乾燥粒子の製造例1〜7>
表1に示す組成を有する噴霧乾燥粒子を製造した。表1は噴霧乾燥粒子の質量を100質量%としたときの各成分の含有量(単位:質量%)を示したものである。製造例1〜7で得られた噴霧乾燥粒子をそれぞれ粒子No.1〜7とする。製造例7は比較例であり、得られた粒子No.7は水分が8質量%を超えている。
表1に示す各原料は以下の通りである。
【0059】
LAS:ライオン(株)製、ライポンLH−200。
石鹸:脂肪酸(C12−18)ナトリウム(純分67質量%水溶液)。
ゼオライト:日本化学(株)製、A型ゼオライト(純分40.5質量%水溶液)。
MA剤:日本触媒(株)、アクアクリックTL−400(純分40質量%水溶液)。
炭酸カリウム:旭硝子(株)製、炭酸カリウム(粉末)。
炭酸ナトリウム:旭硝子(株)製、粒灰。
亜硫酸ナトリウム:神洲化学(株)製、無水亜硫酸曹達。
硫酸ナトリウム:日本化学工業(株)製、中性無水芒硝。
蛍光増白剤:チバスペシャリティケミカルズ製、チノパールCBS−X。
その他成分:各原料に含まれる不純物。
【0060】
まず、表1に示す原料を均一に混合して噴霧乾燥用スラリーを調製した。水以外の成分については、配合割合が表1に示す比率と一致するように配合量を調整した。水の配合量は、水以外の成分の配合量の合計100質量部に対して52〜64質量部とした。なおゼオライトは水を分散媒とするスラリー状で添加し、MA剤は水溶液状で添加した。いずれも純分のみを「水以外の成分」の配合量として計算し、分散媒および溶媒としての水は、水の配合量の一部として計算した。
配合の順序は、水、その他成分、LAS、蛍光増白剤、ゼオライト、MA剤、無機化合物(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム)、石鹸の順とした。
次いで得られた噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥塔に移送し、該噴霧乾燥塔の塔頂付近に設置された圧力噴霧ノズルから噴霧を行って、表1に示す組成の噴霧乾燥粒子を得た。
得られた噴霧乾燥粒子中の水分含有量(質量%)の測定は、Kett水分計(商品名、(株)ケツト科学研究所製;赤外線水分計)により測定した。測定条件は170℃、20分で行った。
また、得られた噴霧乾燥粒子の平均粒径の測定方法は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行ない、各粒子径の質量頻度から質量50%径を算出して求めた。その結果を表1にあわせて示す。
【0061】
【表1】

【0062】
<実施例1〜11および比較例1〜6>
製造例1〜7で得た噴霧乾燥粒子(A)を用い、表2に示す配合で、図6または図7に示すパドルパターンを有する混練機((株)栗本鉄工所製、KRCニーダーS4型)を用いて粉粒体を製造した。
表2に示す各原料は以下の通りである。
【0063】
MES/ノニオン濃縮ペースト:α―スルホ脂肪酸(C14−16)メチルエステルナトリウム塩(AI90%質量%)とポリオキシエチレン(平均付加モル数=15)アルキル(C12−14)エーテル(純分90質量%)をAIで8:2の割合で混合したもの。
ノニオン溶液:ポリオキシエチレン(平均付加モル数=15)アルキル(C12−14)エーテル(純分90質量%)。
LES溶液:テイカ(株)製、テイカポールNE1230。
SAS液体:ヘキスト製、HOSTAPUR SAS。
ゼオライト:水澤化学工業(株)製、シルトンB。
炭酸カリウム:旭硝子(株)製、炭酸カリウム(粉末)。
ここで、「AI」とは、原料中に含まれる、界面活性剤としての機能を有する化合物を意味しており、例えば目的とする界面活性剤の生成工程で生じる副生物であって、界面活性剤としての機能を有する化合物もこれに含まれる。
【0064】
液体成分(B)は、表2に示す原料を予め混合した混合液を用いた。
混練機に、噴霧乾燥粒子(A)、液体成分(B)、およびその他の成分としてのゼオライトと炭酸カリウムを、表2に示す配合比率となるように連続的に供給して混合および造粒を行った。表2には噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/A、混練機における撹拌動力の値(力率=0.8)、混練機に供給される噴霧乾燥粒子(A)の温度、および混練機の冷却ジャケットに供給される冷却水の温度(入り口温度)を合わせて示す。撹拌動力の調整は、噴霧乾燥粒子(A)の温度、冷却水の温度、混練機のパドルパターン等を変更することによって行った。
混練機から排出された混練物(粉粒体)におけるLASの含有量、およびアニオン界面活性剤の合計含有量、および粒子径1000μm以上の粒子の含有量を表2に示す。
【0065】
(溶解性の評価)
混練機から排出された混練物(粉粒体)の溶解性を評価するために、下記の布付着性試験を行った。
すなわち、2槽式洗濯機(三菱電気製、製品名:CW−225)に水温10℃の水道水30リットルを入れ、紺綿肌シャツ2枚・黒アクリルセーター2枚・黒ナイロンスリップ2枚及びチャージ布としての肌シャツ5枚の計1.5kg(浴比20倍)を入れ、被洗布の中央部にくぼみを作り、そこへ試料(粉粒体)30gを集中的に投入した。試料が水に浸されるまで2分間静置した後、弱水流、洗浄時間5分間で洗浄した。自然排水して1分脱水し、布に付着している試料粒子の量を目視で観察し、以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
0点:全く付着無し。
1点:極くわずかに付着しているが、すすぎにより良好となるレベル。
2点:部分的にやや付着がみられるレベル。
3点:布全体にやや多く付着しすすぎ後も不満足なレベル。
4点:布全体にかなり多く付着。
5点:布全体に激しく付着。
【0066】
【表2】

【0067】
表2の結果に示されるように、実施例1〜11では混練機による混合・造粒により粉粒体が得られ、得られた粉粒体の溶解性も良好であった。
これに対して、噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aが多すぎる比較例1では、得られた混練物は粒子径1000μm以上の粒子の含有量が60質量%と多く、溶解性が不充分であった。
該B/Aが少なすぎる比較例2では、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が60質量%と多く、溶解性は良いがアニオン界面活性剤の合計含有量が不足しているため、良好な洗浄力が期待できない。
撹拌動力が非常に大きい比較例3,4では、混練機から塊状の捏和物が排出されたため、溶解性の評価は行わなかった。
撹拌動力がやや大きい比較例5では、得られた混練物は粒子径1000μm以上の粒子の含有量が55質量%と多く、溶解性が不充分であった。
撹拌動力が小さい比較例6では、粉粒体が得られたがその溶解性は不充分であった。これは均一に混合されなかったためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】パドル(撹拌羽根)の一例を示す斜視図である。
【図2】パドル(撹拌羽根)の他の例を示す正面図である。
【図3】輸送ゾーンにおけるパドル配置の例を示す斜視図である。
【図4】混合ゾーンにおけるパドル配置の例を示す斜視図である。
【図5】混練ゾーンにおけるパドル配置の例を示す斜視図である。
【図6】混練機におけるパドル配置の一例を示す説明図である。
【図7】混練機におけるパドル配置の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
S…スクリュー、
F…フラットパドル、
H…ヘリカルパドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤とアルカリビルダーを含有し、水分の含有量が3〜8質量%である噴霧乾燥粒子(A)と、
アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤を含有する液体成分(B)とを、
前記噴霧乾燥粒子(A)に対する液体成分(B)の質量比B/Aが0.1〜0.4となるように、撹拌羽根を有する混練機に供給し、
撹拌動力250〜1000J/kgで混合および造粒して、粒子径1000μm以上の粒子の含有量が50質量%未満であり、かつ水分の含有量が6〜9質量%である粉粒体を得る工程を有することを特徴とする界面活性剤含有粒子の製造方法。
【請求項2】
前記噴霧乾燥粒子(A)中における直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が6.5質量%以下であり、前記粉粒体中におけるアニオン界面活性剤の合計含有量が15〜28質量%、かつ直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が4.5質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の界面活性剤含有粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150522(P2008−150522A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341306(P2006−341306)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】