説明

畝立施肥装置

【課題】各種作物条件や地域による畝幅の相違等への対応の容易化を図る。
【解決手段】耕耘畝立装置Aと、耕耘ロータリ6の耕耘軸15bには畝成形器7で成形する畝の畝幅間に互いに対向する一対のディスク25L,25Rと、繰り出される粉粒状物をこれら対向するディスク25L,25R間に配設した耕耘爪23L,23Rによって土壌とともに攪拌する畝立施肥装置において、前記一対のディスク25L,25Rを各別に設ける一対のボス体21,24の夫々に、ディスク存在側とは反対方向に耕耘土壌を投擲すべく彎曲させた耕耘爪23L,23Rを該ディスク25L,25Rと所定の間隔Mをおいて設け、これら一対のボス体21,24を耕耘爪軸15bに対してスライド自在でかつ所定位置に固定可能に設け、一対のディスク25L,25Rの間隔Wを調節可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、畝立成形器によって形成された畝土壌面に、粉剤、粒剤を混合した肥料、乃至薬剤を施用する畝立施肥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘ロータリの上方部に施肥ホッパ等を配置して、繰出流下させる肥料を耕耘ロータリの左右ディスク間に施肥する技術(特許文献1)が知られている。また土壌攪拌のためにディスクを分割ロータとする形態が公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−6550号公報
【特許文献2】特開2007−89523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1には、耕耘ロータリ軸には、耕耘爪と左右ディスクが取付けられるとあるのみで、一旦耕耘爪軸に耕耘爪と左右ディスクを取付けると耕耘軸方向の変更が行ない得ず、各種作目条件や地域による畝幅の相違等に容易に対応し難い。また、特許文献2においては、複数の分割ディスクを六角ボスの外周に配設しそのボスを耕耘軸に対して摺動自在に取り付け変更できる構成の開示があるが、元々ディスク間に耕耘爪を有さず、該ディスクと耕耘爪との関係に配慮した構成でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記に鑑み、成形畦の左右位置の選択を容易化し、併せてディスクと耕耘爪との関係位置を適正に設定して、良好な畝立施肥作業を行なわせようとするもので、以下の技術的手段を講じた。
【0006】
即ち、トラクタ車体1の後部に耕耘ロータリ6と耕耘土壌を受けて畝成形する畝成形器7とからなる耕耘畝立装置Aを装着し、耕耘ロータリ6の耕耘軸15bには畝成形器7で成形する畝の畝幅間に互いに対向する一対のディスク25L,25Rを配設し、耕耘施肥装置Aの上方に配置した施肥装置Bによりこれら対向するディスク25L,25R間に繰り出す粉粒状物をこれら対向するディスク25L,25R間に配設した耕耘爪23L,23Rによって土壌とともに攪拌する畝立施肥装置において、
前記一対のディスク25L,25Rを各別に設ける一対のボス体21,24の夫々に、ディスク存在側とは反対方向に耕耘土壌を投擲すべく彎曲させた耕耘爪23L,23Rを該ディスク25L,25Rと所定の間隔Mをおいて設け、
これら一対のボス体21,24を耕耘爪軸15bに対してスライド自在でかつ所定位置に固定可能に設け、一対のディスク25L,25Rの間隔Wを調節可能に設けたことを特徴とする畝立施肥装置とする。
【0007】
従って、畝立施肥作業に当たっては、一対のボス体21,24を耕耘軸15bに挿通し、その間隔Wを所定に設定して固定する。作業を開始すると、土壌は耕耘ロータリ6によって耕耘され、次いで畝立成形器7の作用で畝立てされる。繰出装置からの粉粒状物は成形畝内であって、一対のボス体21,24に夫々設けられるディスク25L,25R間において耕耘爪23L,23Rの作用で攪拌される。このとき、耕耘爪23L,23Rは彎曲し耕耘土壌は対抗するディスク25R,25Lに向け投擲されるが、これらディスク25R,25Lにて受け止められ土壌の攪拌を促進する。
【発明の効果】
【0008】
畝内に繰り出される粉粒状物は畝を部分的に攪拌するための仕切りとする一対のディスク25L,25R間において攪拌されるが、これらディスク25L,25Rは夫々別々にボス体21,24に取り付けられて耕耘軸15bに対してスライド自在に設けられるから、ディスク25L,25Rの間隔Wを任意に変更することができ、圃場条件や作物条件あるいは施肥条件に適応させることができる。また、ディスク25L,25Rと耕耘爪23L,23Rとの間隔Mが必要以上に大きいときには当該間隔M部の土壌攪拌が損なわれる欠点があり、この間隔Mが異常に狭くなると当該間隔M部に異物が引っかかるなどの恐れがあるが、前記のように一対のディスク間隔Wを変更設定しても、夫々のボス体21,24においてはディスク25L,25Rと耕耘爪23L,23Rとの間隔Mが不変であるため、これらの欠点の恐れがなく適正な施肥攪拌作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(イ)畝立施肥装置の側面図、(ロ)一部の正面図。
【図2】畝立施肥装置の背面図。
【図3】耕耘ロータリ部の拡大背面図。
【図4】耕耘ロータリ部の側面図。
【図5】耕耘ロータリ部の拡大斜視図。
【図6】耕耘ロータリ部と畝立装置の背面図。
【図7】耕耘ロータリ部と畝立装置の別例の背面図。
【図8】耕耘ロータリカバー部の平面図。
【図9】施肥供給排出部の断面図。
【図10】施肥シャッター作用制御のフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
トラクタ車体1の後部にリフトアーム2によって昇降されるロアリンク3、トップリンク4等からなる3点リンク機構5を構成し、該3点リンク機構5を介して耕耘ロータリ6及び畝成形器7からなる耕耘畝立部Aを装着している。
【0011】
上記耕耘ロータリ6及び畝成形器7からなる耕耘畝立部Aの上方に、左右中央の粉繰出ホッパ8と左右側方の一対設けられる粒繰出ホッパ9を有する施肥装置Bを設けている。
10,10は車体1の後輪、11はフェンダ、12は安全フレームである。
【0012】
前記耕耘ロータリ6はセンタドライブ形態で、左右の耕耘軸15,15を伝動駆動する伝動ケース16を耕耘幅の中央部に垂下状態に設ける構成である。
左右の耕耘軸15,15は、伝動ケース16に近い第1の耕耘軸15a,この第1耕耘軸15aの先端側異径部(例えば六角)に着脱自在に嵌合する主体の第2耕耘爪15bからなり、伝動ケース16から左右に突出する耕耘出力軸17,17に前記第1耕耘軸15aをスプライン嵌合して動力伝動可能に構成し、前記異径嵌合部を介して第1耕耘軸15aの回転動力を第2耕耘軸15bに伝達する構成とし、第2耕耘軸15bの軸方向の抜け止めは長尺のボルト部材18で行なう構成である。
【0013】
第1耕耘軸15aの周りには爪ホルダ19aを直接に溶接一体化して取り付け、該爪ホルダ19aには耕耘爪23aを着脱自在に装着している。第2耕耘軸15bには、爪ホルダ20Rを適宜個数、位相をずらせて配設した短ボス体21aを外嵌してスライド自在に設け、該短ボス体21aから内向き(伝動ケース16側)に延出するよう径大の延出ボス体21bを溶接一体化した第1ボス体21を第2耕耘軸15bの軸方向にスライドさせて所定の位置で締付具22によって固定する構成である。これら爪ホルダ20Rには耕耘爪23Rを着脱自在に装着し、延出ボス体21bに周方向放射状の複数枚の取付板26R,26R…には同位相の複数枚の耕耘ディスク25R1〜25R4からなり円盤状を呈するディスク25Rを装着している。
【0014】
また、前記第2耕耘軸15b上であって前記第1ボス体21の外側(図5中左側)には、左右間隔離れて耕耘ディスク25L1〜25L4からなるディスク25L用の取付板26L,26L…と耕耘爪23L用の爪ホルダ20Lを設けた第2ボス体24をスライド自在に挿通している。そしてそのスライド位置で第1ボス体21同様に、第2ボス体24も締付具22で耕耘軸15bに対して所定の位置に固定できる構成としている。
【0015】
前記取付板26L,26Rとディスク25L,25Rについて詳述すると、第1ボス体21の取付板26Rと第2ボス体24の取付板26Lとは同じ形態であって、これらは所定間隔W(例えば200mm)離して耕耘軸15bに直交する平面に対して僅かに捻って複数(図例では4枚)の取付板26L,26Rを同位相でありながら周方向には等間隔に配置し、かつこれら取付板26L,26Rに夫々螺旋羽根形態の前記耕耘ディスク25L,25Rを装着する。また、第1,第2の爪ホルダ20L,20Rには耕耘爪23L,23Rを着脱自在に装着している。
【0016】
さらに、前記耕耘軸15bの外側端には、延長ボス体27を装着している(図3,図6)。該延長ボス体27は、耕耘爪23b,23b…用の複数の爪ホルダ28,28…を備えると共に、締付具29で耕耘軸15bの長手方向にスライド調節及び左右反転して該耕耘軸15bに固定できる構成としている。なお、左右反転取付するときには耕耘爪23b,23b…の彎曲方向を振り替えて爪ホルダ28に装着する。このように構成することによって、耕耘幅を拡大又は縮小でき、圃場条件に応じた畝幅を成形することができる。また、このような耕耘幅の拡縮に応じてロータリカバーの延長カバー37を長孔あるいは、複数の調節孔37a,37a…に沿って拡縮調整する構成としている。
【0017】
上記のように構成された耕耘ロータリ6は、第1、第2耕耘軸15a,15bの回転によって耕耘爪23a,23bが順次土中に打ち込まれ土壌を耕耘する。また、ディスク25L,25Rも同様に回転し、左右に対向する関係となって、螺旋状に傾斜案内面を形成する耕耘ディスク25L1〜25L4,25R1〜25R4回転は土壌をこの対向する間隔部内に向けて移動させながら耕耘する。更に、対向するディスク25L,25R間に配設される耕耘爪23Lまたは23Rは、先端側の彎曲部が一体のボス部に配設されるディスク25Lまたは25Rに対して反対の方向に耕耘土壌を投擲する方向に形成され、換言すれば、耕耘爪23Lまたは23Rによる耕耘土壌はディスク25Rまたは25Lに向けて投擲されこれらディスク25Rまたは25Lにて飛散抵抗を受けてディスク25L,25R間において土壌耕耘を行う。
【0018】
又、前記耕耘ロータリ6の上側を覆う耕耘カバー30上に位置する耕耘フレーム31から後方にわたってヒッチ32を設け、このヒッチ32にツールバー33を取付ける。このツールバー33には、畝成形器7、後述のステップ34、35及び尾輪36等を配置できる。
【0019】
畝成形器7は、片培土板40,40の一対を耕耘幅にわたって複数組(図例では伝動ケース16を挟んで左右に各1対配置して、2条畝成形形態としている)取付け、このツールバー33に沿って横移動可能にして、畝幅調節することができる。前記施肥装置Bは、耕耘フレーム31、及びヒッチ32等の上方に支持フレーム41を介して支持されるマスト部材42,42の上部においてツールバー42a,42aによって左右位置調節自在に設け、横方向に取付位置を移動調節可能に構成している。
【0020】
前記耕耘ロータリ6と畝成形器7とにより畝立耕耘部Aが構成され、加えて後述施肥装置Bを伴ない畝立施肥装置が構成される。ここにおいて、施肥装置Bは、前部の耕耘ロータリ6の上方部で左右中央位置には、粉状物を繰出す粉繰出ホッパ8を設け、後部の畝成形器7の上方部で、左右両側位置には粒状物を繰出す粒繰出ホッパ9,9を設けたものである。車体1の進行によって耕耘ロータリ6によって土壌面が耕耘されて、この耕耘土壌を畝成形器7によって畝成形する。この畝面には、粉繰出ホッパ8から繰出す粉状物と、粒繰出ホッパ9から繰出す粒状物を施用する。このような粉、粒状物の施用において、粉繰出ホッパ8を前部の耕耘ロータリ6上方の中央部に搭載し、粒繰出ホッパ9を後部の畝成形器7上方の左右両側部に搭載して、各粉状物、及び粒状物等の繰出流下施用を直下方向へ垂直状に行わせる。
【0021】
粉状肥料と粒状肥料を混合しながら畝立土壌面に施用する作業機形態にあっては、これらの肥料を各別に収容しておくと、繰出ホッパの設置数が耕耘ロータリの上部で多くなり、これらの占めるスペースが広くなり、肥料等の供給作業やメンテナンス等が煩雑化となり易いが、前記のように、トラクタ車体1の後方に耕耘ロータリ6とこの耕耘土壌を受けて畝成形する畝成形器7を装着し、これら前部の耕耘ロータリ6の上方部で左右中央位置には、粉状物を繰出す粉繰出ホッパ8を設け、後部の畝成形器7の上方部で、左右両側位置には粒状物を繰出す粒繰出ホッパ9を設けた畝立施肥装置の構成とすることにより上記課題を解消する。
【0022】
すなわち、車体1の進行によって耕耘ロータリ6によって土壌面が耕耘されて、この耕耘土壌面を畝成形器7によって畝成形する。この畝面には、粉繰出ホッパ8から繰出す粉状物と、粒繰出ホッパ9から繰出す粒状物を施用する。このような粉、粒状物の施用において、粉繰出ホッパ8を前部の耕耘ロータリ6上方の中央部に搭載し、粒繰出ホッパ9を後部の畝成形器7上方の左右両側部に搭載して、各粉状物、及び粒状物等の繰出流下施用を直下方向へ垂直状に行わせる。又、これら各ホッパ8、9を前後、左右にずらせて配置しているため、各ホッパ7、8の容量を大きく設定し、中央部のホッパ8に対する粉状物の供給等の作業を行い易くする。従って、上記の構成によると、粉繰出ホッパ8と粒繰出ホッパ9を前後、左右に位置ずれさせた形態に配置するため、これら各ホッパ8、9の容量を大きくして有効に配置することができ、耕耘ロータリ6の上方部における特に中央部の粉繰出ホッパ8に対するメンテナンス性を容易に行うことができる。
【0023】
次に、上記実施例では、前記粉繰出ホッパ8から繰出される粉状物と、粒繰出ホッパ9から繰出される粒状物との各別繰出流下を受けて混合しながら、この混合肥料を分岐施用する流下ホッパ45に、粉状物を流下供給する粉供給口46と、この左右両側部に粒状物を流下供給する粒供給口47,47を配置して、中央部の粉状物を左右両側の粒状物で挾むようにして流下供給する構成としている。このため、粉状物は粉繰出ホッパ8に収容し、粒状物は粒繰出ホッパ9に粉供給口46と粒供給口47,47とから各別に供給収容する。これら各ホッパ8,9に収容された粉状物と粒状物は、パイプ、乃至ホース等に流下案内されて、パイプ、乃至ホース等に流下案内されて、流下ホッパ45に流入し、この流下ホッパ45内で混合されて、左右二個所等に分岐した位置に施用される。この流下ホッパ45に流入される粉、粒状物は、中央部の粉供給口46から流下される粉状物の左右両側部を、粒供給口47,47から流下される粒状物で挾むようにして流下供給してこれら粉状物と粒状物との混合を行われ易くする。従って、粉、粒状物の各繰出ホッパ8、9から繰出される粉、粒状物を受ける流下ホッパ45に流入させる粉供給口46の左右両側に、粒供給口47,47から流下する粒状物を当てて、中央部の粉状物を左右両側部の粒状物で挾むようにしてこれら粉状物と粒状物を混合させるため、特別の撹拌器のような構成を要しないで、簡単な構成によって粉状物と粒状物を混合することができる(図9)。
【0024】
更に本実施例では、前記耕耘ロータリ6による耕耘幅の左右両側部位置に施用するサイド施用口49,49を、左右方向へ移動可能に設けた構成としている。このため、前記耕耘ロータリ6によって耕耘された土壌面は畝成形器7により畝立て成形され、この耕耘幅の左右側の畝面にはサイド施用口49,49による施用が行われるが、畝成形器7による畝間隔が変化する等によって施用条位置が変更するときは、左右中心の伝動ケース16部位置に対して左右のサイド施用口49,49を左右方向へ移動することによって、施用条間隔を調節する。従って、左右両側に位置するサイド施用口49,49を左右方向へ移動することによって施肥条間隔に合わせることができ、施肥位置を簡単、容易に合わせることができる。
【0025】
つまり前記耕耘ロータリ6による耕耘幅の左右両側部位置に施用するサイド施用口49,49を、左右方向へ移動可能に設けている。前記耕耘ロータリ6によって耕耘された土壌面は畝成形器7により畝立て成形される。この耕耘幅の左右側の畝面にはサイド施用口49,49による施用が行われる。畝成形器7による畝間隔が変化する等によって施用条位置が変ったときは、伝動ケース16部の中心に対して左右のサイド施用口49,49を左右方向へ移動することによって、施用条間隔を調節する構成とする。
【0026】
前記各繰出ホッパ8、9は、平面視略方形状形態に設けられて、開閉可能の蓋50を有する。各繰出ホッパ8、9の底部には、繰出ロールをモータで駆動して該ホッパ8、9の粉状物、又は粒状物を繰出す繰出装置51を設ける。各繰出装置51には左、右両側部の2個所に繰出口52,53,53を設け、各々ホース54,55,55を連結し、このホース54,55,55によって流下ホッパ45へ流下案内する。この流下ホッパ45の中央部には粉繰出ホッパ8の中央部のホース54の粉供給口46をのぞませ、この粉供給口46の左右両側部に粒繰出ホッパ9のホース55の粒供給口47をのぞませる。そして、各流下ホッパ45の粉供給口46は略垂直状に設定しているが、左右両側部の粒供給口47は、適宜の交差角度のもとに交差状態に設定して、粉供給口46から流下される粉状物に対して粒供給口47から流下される粒状物を交差混合させるように構成している。
【0027】
このような左右両側部の流下ホッパ45の施用口49には単一のホース58を連通してサイド施用口49を設けて、外側に形成される畝部の耕耘土壌に混合するように流下案内する。
【0028】
このようにして各流下ホッパ45には、粉供給口46から供給される粉状物と、粒供給口47から供給される粒状物とを流下混合させて、サイド施用口49から各畝土壌中に施用する。
【0029】
前記各施用口49,49は、これら各畝部条の前記左右対向する耕耘ディスク25,25間に位置してのぞませて施用するように設け、これら各施用口49,49から排出施用された肥料を、耕耘ディスク25,25の螺旋羽根の回転によって耕耘土壌と撹拌混合させるものである。肥料はこの左右両側のディスク25L,25R間に仕切られて外側の畝間溝部に出ることなく有効に混合施用される。
【0030】
次いで、前記施肥装置Bの繰出装置51に設けるモータを制御するコントローラ70,71について、これらのうち粉繰出ホッパ8下に設ける繰出装置51のモータを制御する粉用繰出コントローラ70と、粒繰出ホッパ9下に設ける繰出装置51,51のモータを制御する粒用繰出コントローラ71とからなる。各コントローラ70、71は、モータ回転数を適宜に調整設定できる散布量調節ダイヤル72、粒用コントローラ71には左右の繰出装置51,51を連動状態とするかいずれか一方を駆動制御する切替スイッチ73、運転インジケータ74、過負荷インジケータ75、非常時運転用手動スイッチ76、電源スイッチ77等を備えている。
【0031】
これらコントローラ70,71は、トラクタ車体のフェンダ11上に配置されるグリップ79に設けた取付基盤80に配置される。すなわち、機体の一側、図例では進行方向右側のフェンダ11上のグリップ79に、取付基盤80をU型取付具81,81によって起立姿勢に取付け、操縦席側から前記散布量設定ダイヤル72、切替スイッチ73等を操作可能に設けている。このように構成すると、既存のグリップ79部材に容易に取付けでき、手元で操作が可能となって便利である。なお、キャビン仕様トラクタの場合には、開閉ガラスドアの内側に設ける開閉用サポートフレーム(図示せず)にU型取付具81,81、取付基盤80を取り付けることによって共通の部材でコントローラ70,71を配設でき、専用の構成部材を要さずコスト抑制に寄与する。
【0032】
前記耕耘ロータリ6及び畝成形器7からなる耕耘畝立部Aの作用について説明する。
圃場条件や作物体系に応じて畝幅を設定する。すなわち畝成形器7の一対の片培土板40,40の間隔を設定することにより行なうが、この設定は前記ツールバー33に対する横移動調節によって行なうことができる。
【0033】
また、畝幅の中央に攪拌施肥を行なうため、上記畝成形器7に対する左右のディスク25L,25R位置を設定する。即ち、外側のディスク25位置を第2ボス体24のスライド設定によって行うことにより、成形畝に対する左右方向の配置を決める。次いで、第1ボス体21のスライド位置決めを行なうがこの調整の際には外側のディスク25に対する適正間隔W(例えば200mm)の位置に内側ディスク25Rが配置されるようスライドして固定する。
【0034】
上記の第1、第2ボス体21,24の固定に伴ない、これらディスク25L,25R間に配置される耕耘爪23の耕耘軸15b長手方向(左右方向)の位置はおのずと設定される。第1ボス体21及び第2ボス体24の夫々にはディスク25Lまたは25R位置から所定の距離を置いて爪ホルダ20Lまたは20Rが配置されているため、オペレータはディスク25と耕耘爪23との間隔を調整する必要がない。なお、左右のディスク25L,25R間における耕耘爪23L,23Rは、先端が彎曲した普通爪であり土壌を反転しながら彎曲する方向に投擲するものであるが、ディスク25Lまたは25Rと耕耘爪23Lまたは23Rとの間隔Mが必要以上に大きいときには当該間隔M部の土壌攪拌が損なわれる欠点があり、この間隔Mが異常に狭くなると当該間隔M部に異物が引っかかるなどの恐れがある。
【0035】
然しながら、前記のように、第1ボス体21及び第2ボス体24の構成とすることにより、ディスク25Lまたは25Rと耕耘爪23Lまたは23Rとの前記間隔Mを所定に維持して耕耘爪15bに取り付けできることにより、前記の欠点を解消でき、しかも耕耘爪15bに対するディスク25L,25Rや耕耘爪23L,23Rの取付け、取り外しの各作業を容易化できる。
【0036】
なお、第1ボス体21の延出ボス体21bは径大に設けられるから、拡縮調整に当たって第1ボス体21をスライドさせ、延出ボス体21bを第1の耕耘軸15aに被せる状態まで伝動ケース16側に近づけることができるため、一対のディスク25L,25R間による攪拌施用の左右位置の設定を拡大させることができる。
【0037】
なお、前記の構成では、ディスク25L,25Rの径に対して耕耘爪23L,23Rの回転径を小さく設定しているが、大きく設定することも可能である。又、各繰出装置51の繰出口52,53,53を開閉するシャッター60を設け、前記リフトアーム2の昇降作動によって連動ワイヤー61等を介してこのシャッター60を開閉連動する構成とし、図10のフローチャートのように繰出装置51等を上昇させた状態では、このシャッター60を閉鎖して施肥作動を停止させ、下降させた状態でシャッター60を開いて施用開始させる。
【0038】
又、前記耕耘軸15a,15bの周りに揺動杆62の下端部を嵌合させて、この耕耘軸15の回転によって揺動させて、この揺動杆62の上端部を各ホース54、55にリング63等で係合させて、このホース54、55を揺動させるように構成し、ホース54、55内の粉、粒状物の流下詰りを防止することができる。
【0039】
前記第1耕耘軸15a上の耕耘爪23a,第2耕耘爪15b上の耕耘爪23bによる土壌耕耘は畝立用に必要である。
前記の第1ボス体21,第2ボス体24の各構成は伝動ケース16の左側方における耕耘軸15a,15bにおける一例を示すが、右側方においても対照的に構成される。
【0040】
図7に示すように、畝成形器7は、左右それぞれの片培土板40L,40Rからなる一対を耕耘幅にわたって取付ける構成としている。このように、広平畝に形成する場合において、耕耘軸には、一対のディスク25L,25Rと耕耘爪23L,23Rとからなる1条分の攪拌耕耘部を複数条(図例では2条)形成することができる。このように1畝複数条の構成の場合には、畝条毎に攪拌耕耘条を対応させて設ける構成に比較して広平畝の幅方向最適の位置に攪拌耕耘条を形成でき、各種作物や成形畝幅の条件に応じて適正な施肥を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車体
6 耕耘ロータリ
7 畝成形器
15b(第2)耕耘軸
21 (第1)ボス体
23L 耕耘爪
23R 耕耘爪
24 (第2)ボス体
25L ディスク
25R ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(1)の後部に耕耘ロータリ(6)と耕耘土壌を受けて畝成形する畝成形器(7)とからなる耕耘畝立装置(A)を装着し、耕耘ロータリ(6)の耕耘軸(15b)には畝成形器(7)で成形する畝の畝幅間に互いに対向する一対のディスク(25L,25R)を配設し、耕耘施肥装置(A)の上方に配置した施肥装置(B)によりこれら対向するディスク(25L,25R)間に繰り出す粉粒状物をこれら対向するディスク(25L,25R)間に配設した耕耘爪(23L,23R)によって土壌とともに攪拌する畝立施肥装置において、前記一対のディスク(25L,25R)を各別に設ける一対のボス体(21,24)の夫々に、ディスク存在側とは反対方向に耕耘土壌を投擲すべく彎曲させた耕耘爪(23L,23R)を該ディスク(25L,25R)と所定の間隔(M)をおいて設け、これら一対のボス体(21,24)を耕耘爪軸(15b)に対してスライド自在でかつ所定位置に固定可能に設け、一対のディスク(25L,25R)の間隔(W)を調節可能に設けたことを特徴とする畝立施肥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−20(P2011−20A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144377(P2009−144377)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】