異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法
【課題】本発明は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向と同じ方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、を含む。
【解決手段】本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向と同じ方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube,CNT)は1991年に飯島によって発見され、21世紀において重要な新素材の1つであると期待されている。カーボンナノチューブは機械・電気・熱特性に優れていることから、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー、複合材料等、広範な分野での応用が期待されている。非特許文献1に掲載されて以来、カーボンナノチューブを微視的尺度の分野に広くに応用しているが、それらの製造処理や、操作などが困難である。従って、カーボンナノチューブフィルムのような操作可能な巨視的尺度を有するカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの利用に重要な意味を有する。
【0003】
特許文献1には、従来の一種のカーボンナノチューブアレイから直接的に引き出して形成されたカーボンナノチューブフィルムが掲示されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブフィルムの表面と本質的に平行する。従って、該カーボンナノチューブフィルムは、良好な透明度を持っている。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、本質的に同じ方向に沿って配列されているので、該カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブの長軸方向に沿って、よい熱・電伝導性のような特性を持っている。さらに、カーボンナノチューブフィルムは、自身的に良好な接着性及び柔軟性を有する。従って、カーボンナノチューブフィルムは様々な分野に使用することができる。例えば、カーボンナノチューブフィルムは、タッチパネル或は液晶ディスプレイなどで透明な導電性のフィルムとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sumio Iijima、“Helical Microtubules of Graphitic Carbon”、Nature、1991年11月7日、第354巻、p.56‐58
【非特許文献2】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記カーボンナノチューブアレイから直接的に引き出して得られたカーボンナノチューブフィルムに、互に平行、隣接するカーボンナノチューブは分子間力で結合されて、大きい直径を有するカーボンナノチューブ束を形成し得る。前記カーボンナノチューブ束が大きい密度を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムの光透過性に影響する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、前記課題を解決するために、本発明は良好な光透過性がある異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブからなる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、少なくとも一つの薄い領域を有する。前記複数のカーボンナノチューブの長手方向を第一方向と定義する。前記少なくとも一つの薄い領域は、前記第一方向に沿って少なくとも一つの列に配列する。
【0009】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向と同じ方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
従来の技術と比べて、本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法は、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムをレーザーで走査した後、前記レーザーに照射された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける一部のカーボンナノチューブは、レーザーエネルギーを吸収して空気中の酸素と反応することにより分解する。従って、前記レーザーに照射された一部のカーボンナノチューブが削除されるこれにより、カーボンナノチューブの分布密度が低下するので、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの光透過率を高める。前記レーザーがカーボンナノチューブの長度方向に沿って走査するので、前記レーザー列の間のカーボンナノチューブが損壊されないので、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブの長度方向に沿った方向の導電性に影響を及ぼさない。且つ、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの前記第一方向とそれに垂直な第二方向の間の導電性の差を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例1の一つの構造を示す図である。
【図2】図1に示す異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例1のもう一つの構造を示す図である。
【図4】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例2の構造を示す図である。
【図5】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例3の構造を示す図である。
【図6】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法の製造工程を示す図である。
【図7】図6に示すドローン構造カーボンナノチューブフィルムを引き出す見取り図である。
【図8】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図1及び図8中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図10】図8に示すドローン構造カーボンナノチューブフィルムを一つの基板に被覆した図である。
【図11】異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法の製造工程を示す図である。
【図12】光スポットがドローンカーボンナノチューブフィルムを移動する一つの路線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0013】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100を提供する。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブは、図1に示すように、第一方向Xに沿って配列されている。図9を参照すると、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブセグメント143aを含む。各々の前記カーボンナノチューブセグメント143aは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145からなる。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143aにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143aは、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。
【0014】
前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、複数の薄い領域126及び複数の正常領域127に分割されている。図2を参照すると、前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度より小さい。更に、前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度の0%〜80%であるが、好ましくは、0%〜50%である。前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度の0%である場合、前記薄い領域126は、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100に形成された穴である。
【0015】
前記複数の薄い領域126は、前記第一方向Xに沿って配列して、複数の列124を形成し、且つ互いに前記正常領域127から所定の距離で離隔される。各々の前記列124に、隣接する薄い領域126の間に距離d1を有する。前記距離d1は100マイクロメートルより小さい。図1参照すると、前記第一方向Xと垂直方向を第二方向Yと定義することができる。第二方向Yに沿って、前記隣接する列124の間に距離d2を有する。前記距離d2は距離d1より大きいことが好ましい。前記距離d2は1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは、前記距離d2は10マイクロメートル〜100マイクロメートルであるが、より好ましくは、前記距離d2は20マイクロメートルである。前記隣接する列124の間の距離d2が異なることができるが、同じであることが好ましい。
【0016】
前記薄い領域126の形状に対しては特に制限がなく、実際の適用によって円形や、他の形状を有することができる。前記薄い領域126の形状が円形である場合、前記薄い領域126の直径Dは、1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、10マイクロメートル〜100マイクロメートルであることが好ましい。前記薄い領域126の直径Dは、20マイクロメートルであることがより好ましい。各々の前記列124における前記薄い領域126の数量が同じであることができる。
【0017】
図1及び図3を参照すると、前記薄い領域126は、前記第二方向Yに沿って並列又は交互に配列されることができる。図1及び図3を参照すると、前記隣接する二つの列124の間におけるカーボンナノチューブ145が端と端が接続されている。これにより、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100に、前記第一方向Xに沿った少なくとも一つの連続な導電パスが形成されている。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の前記第一方向Xの導電性は、前記薄い領域126に影響されない。前記第二方向Yに沿って、前記薄い領域126が形成されたので、前記第二方向Yに沿って、前記カーボンナノチューブ145(前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブは、本質的に前記第一方向Xに沿って配列されている)が電気的に接続される可能性を更に低下させることができる。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、前記第二方向Yに沿って導電する可能性を非常に減少できる。即ち、前記薄い領域126によって、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差を増加させることができる。
【0018】
前記薄い領域126における前記カーボンナノチューブ145の密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブ145の密度の0%〜50%である場合、前記薄い領域126の光透過率が、前記正常領域127の光透過率より10%〜20%高い。前記薄い領域126が穴である場合、前記薄い領域126の光透過率が、前記正常領域127の光透過率より更に高くなる。従って、全体の前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の光透過率を高めることができる。
【0019】
(実施例2)
図4を参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200を提供する。本実施例の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200は実施例1の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100と比べて、次の異なる点がある。本実施例の薄い領域226の形状は帯状である。各々の列224に複数の薄い領域226が間隔をおいて配列されているが、前記各々の列224における帯状の薄い領域226の長さ方向が第一方向Xに平行している。前記帯状の薄い領域226の長さがその幅より大きい。前記帯状の薄い領域226の幅は、1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは10マイクロメートル〜100マイクロメートルである。
【0020】
(実施例3)
図5参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300を提供する。本実施例の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300は実施例2の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200と比べて、次の異なる点がある。本実施例において、帯状の薄い領域326は、第一方向Xに沿って前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300全体を横切って伸びる。即ち、各々の列324に、一つの帯状の薄い領域326だけが配列されている。隣接した二つの帯状の薄い領域326の間に、一つの正常領域327が配列されている。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300は、前記第二方向Yに沿って導電する可能性を更に減少できる。即ち、前記薄い領域326によって、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300の前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差を更に増加させることができる。別に、前記正常領域327及び前記帯状の薄い領域326は、第二方向Yに沿って配列されることができる。
【0021】
以下、本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の製造方法の実施例について説明する。
【0022】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブ145のみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を形成するステップS10と、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を処理して、前記カーボンナノチューブ145の配列方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域126、226、326を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を形成するステップS20と、を含む。
【0023】
前記ステップS10において、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、超配列カーボンナノチューブアレイ150(非特許文献2を参照)から引き出して得られたドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。図6を参照すると、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の製造方法は、カーボンナノチューブアレイ150を提供するステップS11と、前記カーボンナノチューブアレイ150から引き出す装置110によって、少なくとも、一枚のドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き伸ばすステップS12と、を含む。
【0024】
前記ステップS11において、該カーボンナノチューブアレイ150は、相互に平行、且つ前記基板に垂直な複数のカーボンナノチューブを含む。該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、円形の平らな基板を提供し、該基板はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、該基板は4インチのシリコン基材からなることが好ましい。ステップ(b)では、前記基板の表面に、均一に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された該基板を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基板20を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ150を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイ150の高さは50マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは、100マイクロメートル〜900マイクロメートルである。生長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイ150は、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
【0025】
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
【0026】
本実施例から提供されるカーボンナノチューブアレイ150は、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもよい。
【0027】
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。本実施例において、前記カーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブである。
【0028】
図7を参照すると、前記ステップS12において、引き出す装置によってカーボンナノチューブアレイから複数のカーボンナノチューブ引き出して、それぞれ前記基材から脱離すると、該複数のカーボンナノチューブに隣接する複数のカーボンナノチューブが、分子間力で前記引き出す装置に接着された複数のカーボンナノチューブに端と端で接合されて、続いて前記基材から脱離する。このように、分子間力で複数の前記カーボンナノチューブセグメント143aが端と端で接合されて、連続のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0029】
前記ステップS12において、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120において、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている(図7を参照)。即ち、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の表面に平行して配列されている。図8及び図9を参照すると、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、複数のカーボンナノチューブセグメント143aを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143aは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143aは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。一枚の前記カーボンナノチューブセグメント143aにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0030】
前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、自立構造を有する薄膜である。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を対向する両側から支持して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の構造を変化させずに、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を懸架させることができることを意味する。
【0031】
図10を参照すると、前記ステップS10は、更に、前記ステップ12で前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き伸ばして得られた後、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を基板140の一つの表面に被覆させるステップ13を含むことができる。前記カーボンナノチューブアレイ150は、不純物を含まず、且つカーボンナノチューブは大きな比表面積を有するので、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、強い接着性を有する。従って、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、自身の接着性によって直接的に前記基板140の一つの表面に付着することができる。
【0032】
前記基板140は、例えば、金属、合金、シリコン、石英、セラミック、ガラス又はダイヤモンドのような硬性材料又は例えば、プラスチック又は樹脂のような柔らかな材料からなる。前記基板140に対しては特に制限がなく、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を支持させればよい。本実施例において、前記基板140は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)からなる。更に、前記基板140及び前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、接着剤層130によって接着されることができる。前記接着剤層130の材料に対しては特に制限がなく、前記基板140及び前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を堅固に接着させればよい。前記接着剤層130は、感圧接着剤層、熱溶融性接着剤層又は感光接着剤層であることができる。本実施例において、前記接着剤層130は、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸、過酸化ベンゾイル、トルエン及び酢酸エチルの混合物からなる。
【0033】
前記ステップS10で形成された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の光透過率が75%より小さい。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き出して得る場合、続いて前記基材から脱離した各々のカーボンナノチューブセグメント143aの幅及び厚さを制御することが難しい。この場合、大きな幅と厚さを有するカーボンナノチューブセグメント143aは、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の光線透過率が低い要因になっている可能性がある。
【0034】
図11及び図12を参照すると、前記ステップS20は、レーザー装置160を提供し、前記レーザー装置160からのレーザービーム170を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に照射して、光スポット180を形成させるステップS21と、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を前記レーザー装置160に対して相対運動させ、前記レーザー装置160からの前記レーザービーム170が前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に形成された光スポット180を、前記第一方向Xに沿って移動させて、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に薄い領域126、226、326を形成するステップS22と、を含む。
【0035】
前記ステップS21において、前記レーザー装置160は、アルゴン・イオンレーザー装置又は二酸化炭素レーザー装置である。本実施例において、前記レーザー装置160の能力は12Wである。前記レーザー装置160からのレーザービーム170は、パルス・レーザーであることができる。この場合、前記レーザービーム170のパワーは1〜100Wである。
【0036】
図12を参照すると、前記レーザー装置160からのレーザービーム170を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に照射して形成された光スポット180は、円形である。該円形の光スポット180の直径は、1μm〜5mmであるが、好ましくは、20μmである。前記レーザービーム170をレンズによって集中して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120により小さい直径を有する光スポット180を形成することができる。更に、前記レーザー装置160に複数のレーザー素子を配置することにより、前記光スポット180の形状を制御することができる。本実施例において、前記光スポット180の形状は帯状パターンを有し、その幅が1μm〜5mmであるが、好ましくは、20μmである。
【0037】
前記ステップS21において、前記光スポット180を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に前記第一方向Xに沿って移動させることは、前記レーザー装置160を固定して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を移動することにより実現することができ、又は、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を固定して、前記レーザー装置160を移動することにより実現することができる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を固定した場合、前記レーザー装置160を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に対して平行に移動し、又は、前記レーザー装置160の光射出部の光射出角度を制御することにより、前記光スポット180を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の異なる位置に投影することができる。
【0038】
前記レーザー装置160からのレーザービーム170は、パルス・レーザーであるので、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120と前記レーザービーム170の間の相対速度が十分的に大きい場合、前記レーザービーム170を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に所定の間隔をおいて照射することができる。この場合、図1及び図3に示すような、複数の所定の間隔をおいて配列された薄い領域126を形成することができる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120と前記レーザービーム170の間の相対速度が前記光スポット180の直径及び前記レーザービーム170のパルス数の積より小さい場合、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の複数のパルス・レーザービーム170によって照射された部分は、互いに接続するか重畳する。この場合、図4に示すような薄い領域226又は図5に示すような薄い領域326を形成することができる。
【0039】
更に、薄い領域126、226、326を有する複数の列124を形成する必要がある場合、前記方法によって一つの列124を形成した後、前記第二方向Yに沿って、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を、前記レーザー装置160に対して、所定の距離で相対移動した後、前記方法によって前記第一方向Xに沿ったもう一つの列124を形成することができる。又は、前記方法によって一つの列124を形成した後、前記第二方向Yに沿って、前記レーザー装置160を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に対して、所定の距離で相対移動した後、前記方法によって前記第一方向Xに沿ったもう一つの列124を形成することができる。図12を参照すると、本実施例において、前記光スポット180が前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を移動する経路190は、ヘビ形の経路である。
【0040】
前記ステップS20は、酸素がある環境において、例えば空気中で行う場合、前記レーザービーム170に照射された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120における一部のカーボンナノチューブは、レーザーエネルギーを吸収して空気中の酸素と反応することにより分解する。従って、前記レーザービーム170に照射された一部のカーボンナノチューブは削除される。これにより、カーボンナノチューブの分布密度が低下した薄い領域126、226、326を形成することができる。
【0041】
前記薄い領域126、226、326のカーボンナノチューブの分布密度が前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の他の領域のカーボンナノチューブの分布密度より小さいので、前記薄い領域126、226、326の光透過率が、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の他の領域の光透過率より10%〜20%高い。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の光透過率が75%より高くなるが、85%より高くなる場合もある。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の光透過率が高くなることができる。
【0042】
前記ステップS10は、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を基板140の一つの表面に被覆させるステップ13を含まない場合、前記ステップS20で前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を懸架させて、薄い領域126、226、326を形成することにより、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を基板140の一つの表面に被覆させることができる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300自身の接着性によって直接的に前記基板140の一つの表面に付着することができる。更に、前記基板140及び前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300は、接着剤層130によって接着されることができる。
【0043】
一つの例として、前記基板140の一つの表面に絶縁性を有する高分子材料溶液を付着した後、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を、前記高分子材料溶液上に被覆する。前記高分子材料溶液は、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の薄い領域126、226、326に浸透された後、前記高分子材料溶液を凝固させることにより、複合フィルムを形成することができる。この場合、該複合フィルムの前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差は、更に増加される。前記凝固された高分子材料は、接着剤130として用いられる。
【0044】
複数の薄い領域126を有する前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の利点を例証するために、二つの測定が実行される。前記二つの測定に、レーザー能力が全部で3.6Wであり、前記レーザービーム170のパルス数が100kHzであり、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の長さ及び幅がそれぞれ30mmである。測定結果がそれぞれ表1に示されている。
【0045】
【表1】
【符号の説明】
【0046】
100、200、300 異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム
126、226、326 薄い領域
124、224、324 列
127、227、327 正常領域
143a カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
120 ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
110 引き出す装置
140 基板
150 カーボンナノチューブアレイ
160 レーザー装置
170 レーザービーム
180 光スポット
190 経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube,CNT)は1991年に飯島によって発見され、21世紀において重要な新素材の1つであると期待されている。カーボンナノチューブは機械・電気・熱特性に優れていることから、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー、複合材料等、広範な分野での応用が期待されている。非特許文献1に掲載されて以来、カーボンナノチューブを微視的尺度の分野に広くに応用しているが、それらの製造処理や、操作などが困難である。従って、カーボンナノチューブフィルムのような操作可能な巨視的尺度を有するカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの利用に重要な意味を有する。
【0003】
特許文献1には、従来の一種のカーボンナノチューブアレイから直接的に引き出して形成されたカーボンナノチューブフィルムが掲示されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブフィルムの表面と本質的に平行する。従って、該カーボンナノチューブフィルムは、良好な透明度を持っている。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、本質的に同じ方向に沿って配列されているので、該カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブの長軸方向に沿って、よい熱・電伝導性のような特性を持っている。さらに、カーボンナノチューブフィルムは、自身的に良好な接着性及び柔軟性を有する。従って、カーボンナノチューブフィルムは様々な分野に使用することができる。例えば、カーボンナノチューブフィルムは、タッチパネル或は液晶ディスプレイなどで透明な導電性のフィルムとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sumio Iijima、“Helical Microtubules of Graphitic Carbon”、Nature、1991年11月7日、第354巻、p.56‐58
【非特許文献2】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記カーボンナノチューブアレイから直接的に引き出して得られたカーボンナノチューブフィルムに、互に平行、隣接するカーボンナノチューブは分子間力で結合されて、大きい直径を有するカーボンナノチューブ束を形成し得る。前記カーボンナノチューブ束が大きい密度を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムの光透過性に影響する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、前記課題を解決するために、本発明は良好な光透過性がある異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブからなる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、少なくとも一つの薄い領域を有する。前記複数のカーボンナノチューブの長手方向を第一方向と定義する。前記少なくとも一つの薄い領域は、前記第一方向に沿って少なくとも一つの列に配列する。
【0009】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向と同じ方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
従来の技術と比べて、本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム及びその製造方法は、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムをレーザーで走査した後、前記レーザーに照射された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける一部のカーボンナノチューブは、レーザーエネルギーを吸収して空気中の酸素と反応することにより分解する。従って、前記レーザーに照射された一部のカーボンナノチューブが削除されるこれにより、カーボンナノチューブの分布密度が低下するので、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの光透過率を高める。前記レーザーがカーボンナノチューブの長度方向に沿って走査するので、前記レーザー列の間のカーボンナノチューブが損壊されないので、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブの長度方向に沿った方向の導電性に影響を及ぼさない。且つ、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの前記第一方向とそれに垂直な第二方向の間の導電性の差を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例1の一つの構造を示す図である。
【図2】図1に示す異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例1のもう一つの構造を示す図である。
【図4】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例2の構造を示す図である。
【図5】本発明異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの実施例3の構造を示す図である。
【図6】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法の製造工程を示す図である。
【図7】図6に示すドローン構造カーボンナノチューブフィルムを引き出す見取り図である。
【図8】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図1及び図8中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図10】図8に示すドローン構造カーボンナノチューブフィルムを一つの基板に被覆した図である。
【図11】異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法の製造工程を示す図である。
【図12】光スポットがドローンカーボンナノチューブフィルムを移動する一つの路線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0013】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100を提供する。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブは、図1に示すように、第一方向Xに沿って配列されている。図9を参照すると、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブセグメント143aを含む。各々の前記カーボンナノチューブセグメント143aは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145からなる。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143aにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143aは、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。
【0014】
前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、複数の薄い領域126及び複数の正常領域127に分割されている。図2を参照すると、前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度より小さい。更に、前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度の0%〜80%であるが、好ましくは、0%〜50%である。前記薄い領域126におけるカーボンナノチューブの密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブの密度の0%である場合、前記薄い領域126は、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100に形成された穴である。
【0015】
前記複数の薄い領域126は、前記第一方向Xに沿って配列して、複数の列124を形成し、且つ互いに前記正常領域127から所定の距離で離隔される。各々の前記列124に、隣接する薄い領域126の間に距離d1を有する。前記距離d1は100マイクロメートルより小さい。図1参照すると、前記第一方向Xと垂直方向を第二方向Yと定義することができる。第二方向Yに沿って、前記隣接する列124の間に距離d2を有する。前記距離d2は距離d1より大きいことが好ましい。前記距離d2は1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは、前記距離d2は10マイクロメートル〜100マイクロメートルであるが、より好ましくは、前記距離d2は20マイクロメートルである。前記隣接する列124の間の距離d2が異なることができるが、同じであることが好ましい。
【0016】
前記薄い領域126の形状に対しては特に制限がなく、実際の適用によって円形や、他の形状を有することができる。前記薄い領域126の形状が円形である場合、前記薄い領域126の直径Dは、1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、10マイクロメートル〜100マイクロメートルであることが好ましい。前記薄い領域126の直径Dは、20マイクロメートルであることがより好ましい。各々の前記列124における前記薄い領域126の数量が同じであることができる。
【0017】
図1及び図3を参照すると、前記薄い領域126は、前記第二方向Yに沿って並列又は交互に配列されることができる。図1及び図3を参照すると、前記隣接する二つの列124の間におけるカーボンナノチューブ145が端と端が接続されている。これにより、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100に、前記第一方向Xに沿った少なくとも一つの連続な導電パスが形成されている。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の前記第一方向Xの導電性は、前記薄い領域126に影響されない。前記第二方向Yに沿って、前記薄い領域126が形成されたので、前記第二方向Yに沿って、前記カーボンナノチューブ145(前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブは、本質的に前記第一方向Xに沿って配列されている)が電気的に接続される可能性を更に低下させることができる。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100は、前記第二方向Yに沿って導電する可能性を非常に減少できる。即ち、前記薄い領域126によって、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差を増加させることができる。
【0018】
前記薄い領域126における前記カーボンナノチューブ145の密度が、前記正常領域127におけるカーボンナノチューブ145の密度の0%〜50%である場合、前記薄い領域126の光透過率が、前記正常領域127の光透過率より10%〜20%高い。前記薄い領域126が穴である場合、前記薄い領域126の光透過率が、前記正常領域127の光透過率より更に高くなる。従って、全体の前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の光透過率を高めることができる。
【0019】
(実施例2)
図4を参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200を提供する。本実施例の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200は実施例1の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100と比べて、次の異なる点がある。本実施例の薄い領域226の形状は帯状である。各々の列224に複数の薄い領域226が間隔をおいて配列されているが、前記各々の列224における帯状の薄い領域226の長さ方向が第一方向Xに平行している。前記帯状の薄い領域226の長さがその幅より大きい。前記帯状の薄い領域226の幅は、1マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは10マイクロメートル〜100マイクロメートルである。
【0020】
(実施例3)
図5参照すると、本実施例は、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300を提供する。本実施例の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300は実施例2の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム200と比べて、次の異なる点がある。本実施例において、帯状の薄い領域326は、第一方向Xに沿って前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300全体を横切って伸びる。即ち、各々の列324に、一つの帯状の薄い領域326だけが配列されている。隣接した二つの帯状の薄い領域326の間に、一つの正常領域327が配列されている。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300は、前記第二方向Yに沿って導電する可能性を更に減少できる。即ち、前記薄い領域326によって、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム300の前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差を更に増加させることができる。別に、前記正常領域327及び前記帯状の薄い領域326は、第二方向Yに沿って配列されることができる。
【0021】
以下、本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の製造方法の実施例について説明する。
【0022】
本発明の異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の製造方法は、同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブ145のみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を形成するステップS10と、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を処理して、前記カーボンナノチューブ145の配列方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域126、226、326を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を形成するステップS20と、を含む。
【0023】
前記ステップS10において、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、超配列カーボンナノチューブアレイ150(非特許文献2を参照)から引き出して得られたドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。図6を参照すると、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の製造方法は、カーボンナノチューブアレイ150を提供するステップS11と、前記カーボンナノチューブアレイ150から引き出す装置110によって、少なくとも、一枚のドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き伸ばすステップS12と、を含む。
【0024】
前記ステップS11において、該カーボンナノチューブアレイ150は、相互に平行、且つ前記基板に垂直な複数のカーボンナノチューブを含む。該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、円形の平らな基板を提供し、該基板はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、該基板は4インチのシリコン基材からなることが好ましい。ステップ(b)では、前記基板の表面に、均一に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された該基板を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基板20を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ150を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイ150の高さは50マイクロメートル〜5ミリメートルであるが、好ましくは、100マイクロメートル〜900マイクロメートルである。生長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイ150は、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
【0025】
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
【0026】
本実施例から提供されるカーボンナノチューブアレイ150は、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもよい。
【0027】
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。本実施例において、前記カーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブである。
【0028】
図7を参照すると、前記ステップS12において、引き出す装置によってカーボンナノチューブアレイから複数のカーボンナノチューブ引き出して、それぞれ前記基材から脱離すると、該複数のカーボンナノチューブに隣接する複数のカーボンナノチューブが、分子間力で前記引き出す装置に接着された複数のカーボンナノチューブに端と端で接合されて、続いて前記基材から脱離する。このように、分子間力で複数の前記カーボンナノチューブセグメント143aが端と端で接合されて、連続のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0029】
前記ステップS12において、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120において、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている(図7を参照)。即ち、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の表面に平行して配列されている。図8及び図9を参照すると、一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、複数のカーボンナノチューブセグメント143aを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143aは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143aは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。一枚の前記カーボンナノチューブセグメント143aにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0030】
前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、自立構造を有する薄膜である。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を対向する両側から支持して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の構造を変化させずに、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を懸架させることができることを意味する。
【0031】
図10を参照すると、前記ステップS10は、更に、前記ステップ12で前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き伸ばして得られた後、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を基板140の一つの表面に被覆させるステップ13を含むことができる。前記カーボンナノチューブアレイ150は、不純物を含まず、且つカーボンナノチューブは大きな比表面積を有するので、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、強い接着性を有する。従って、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、自身の接着性によって直接的に前記基板140の一つの表面に付着することができる。
【0032】
前記基板140は、例えば、金属、合金、シリコン、石英、セラミック、ガラス又はダイヤモンドのような硬性材料又は例えば、プラスチック又は樹脂のような柔らかな材料からなる。前記基板140に対しては特に制限がなく、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を支持させればよい。本実施例において、前記基板140は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)からなる。更に、前記基板140及び前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120は、接着剤層130によって接着されることができる。前記接着剤層130の材料に対しては特に制限がなく、前記基板140及び前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を堅固に接着させればよい。前記接着剤層130は、感圧接着剤層、熱溶融性接着剤層又は感光接着剤層であることができる。本実施例において、前記接着剤層130は、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸、過酸化ベンゾイル、トルエン及び酢酸エチルの混合物からなる。
【0033】
前記ステップS10で形成された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の光透過率が75%より小さい。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を引き出して得る場合、続いて前記基材から脱離した各々のカーボンナノチューブセグメント143aの幅及び厚さを制御することが難しい。この場合、大きな幅と厚さを有するカーボンナノチューブセグメント143aは、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の光線透過率が低い要因になっている可能性がある。
【0034】
図11及び図12を参照すると、前記ステップS20は、レーザー装置160を提供し、前記レーザー装置160からのレーザービーム170を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に照射して、光スポット180を形成させるステップS21と、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を前記レーザー装置160に対して相対運動させ、前記レーザー装置160からの前記レーザービーム170が前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に形成された光スポット180を、前記第一方向Xに沿って移動させて、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に薄い領域126、226、326を形成するステップS22と、を含む。
【0035】
前記ステップS21において、前記レーザー装置160は、アルゴン・イオンレーザー装置又は二酸化炭素レーザー装置である。本実施例において、前記レーザー装置160の能力は12Wである。前記レーザー装置160からのレーザービーム170は、パルス・レーザーであることができる。この場合、前記レーザービーム170のパワーは1〜100Wである。
【0036】
図12を参照すると、前記レーザー装置160からのレーザービーム170を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に照射して形成された光スポット180は、円形である。該円形の光スポット180の直径は、1μm〜5mmであるが、好ましくは、20μmである。前記レーザービーム170をレンズによって集中して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120により小さい直径を有する光スポット180を形成することができる。更に、前記レーザー装置160に複数のレーザー素子を配置することにより、前記光スポット180の形状を制御することができる。本実施例において、前記光スポット180の形状は帯状パターンを有し、その幅が1μm〜5mmであるが、好ましくは、20μmである。
【0037】
前記ステップS21において、前記光スポット180を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に前記第一方向Xに沿って移動させることは、前記レーザー装置160を固定して、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を移動することにより実現することができ、又は、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を固定して、前記レーザー装置160を移動することにより実現することができる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を固定した場合、前記レーザー装置160を前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に対して平行に移動し、又は、前記レーザー装置160の光射出部の光射出角度を制御することにより、前記光スポット180を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の異なる位置に投影することができる。
【0038】
前記レーザー装置160からのレーザービーム170は、パルス・レーザーであるので、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120と前記レーザービーム170の間の相対速度が十分的に大きい場合、前記レーザービーム170を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に所定の間隔をおいて照射することができる。この場合、図1及び図3に示すような、複数の所定の間隔をおいて配列された薄い領域126を形成することができる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120と前記レーザービーム170の間の相対速度が前記光スポット180の直径及び前記レーザービーム170のパルス数の積より小さい場合、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120の複数のパルス・レーザービーム170によって照射された部分は、互いに接続するか重畳する。この場合、図4に示すような薄い領域226又は図5に示すような薄い領域326を形成することができる。
【0039】
更に、薄い領域126、226、326を有する複数の列124を形成する必要がある場合、前記方法によって一つの列124を形成した後、前記第二方向Yに沿って、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を、前記レーザー装置160に対して、所定の距離で相対移動した後、前記方法によって前記第一方向Xに沿ったもう一つの列124を形成することができる。又は、前記方法によって一つの列124を形成した後、前記第二方向Yに沿って、前記レーザー装置160を、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120に対して、所定の距離で相対移動した後、前記方法によって前記第一方向Xに沿ったもう一つの列124を形成することができる。図12を参照すると、本実施例において、前記光スポット180が前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を移動する経路190は、ヘビ形の経路である。
【0040】
前記ステップS20は、酸素がある環境において、例えば空気中で行う場合、前記レーザービーム170に照射された前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120における一部のカーボンナノチューブは、レーザーエネルギーを吸収して空気中の酸素と反応することにより分解する。従って、前記レーザービーム170に照射された一部のカーボンナノチューブは削除される。これにより、カーボンナノチューブの分布密度が低下した薄い領域126、226、326を形成することができる。
【0041】
前記薄い領域126、226、326のカーボンナノチューブの分布密度が前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の他の領域のカーボンナノチューブの分布密度より小さいので、前記薄い領域126、226、326の光透過率が、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の他の領域の光透過率より10%〜20%高い。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の光透過率が75%より高くなるが、85%より高くなる場合もある。従って、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の光透過率が高くなることができる。
【0042】
前記ステップS10は、前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を基板140の一つの表面に被覆させるステップ13を含まない場合、前記ステップS20で前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルム120を懸架させて、薄い領域126、226、326を形成することにより、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を基板140の一つの表面に被覆させることができる。前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300自身の接着性によって直接的に前記基板140の一つの表面に付着することができる。更に、前記基板140及び前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300は、接着剤層130によって接着されることができる。
【0043】
一つの例として、前記基板140の一つの表面に絶縁性を有する高分子材料溶液を付着した後、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300を、前記高分子材料溶液上に被覆する。前記高分子材料溶液は、前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100、200、300の薄い領域126、226、326に浸透された後、前記高分子材料溶液を凝固させることにより、複合フィルムを形成することができる。この場合、該複合フィルムの前記第一方向Xと第二方向Yの間の導電性の差は、更に増加される。前記凝固された高分子材料は、接着剤130として用いられる。
【0044】
複数の薄い領域126を有する前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の利点を例証するために、二つの測定が実行される。前記二つの測定に、レーザー能力が全部で3.6Wであり、前記レーザービーム170のパルス数が100kHzであり、異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム100の長さ及び幅がそれぞれ30mmである。測定結果がそれぞれ表1に示されている。
【0045】
【表1】
【符号の説明】
【0046】
100、200、300 異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム
126、226、326 薄い領域
124、224、324 列
127、227、327 正常領域
143a カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
120 ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
110 引き出す装置
140 基板
150 カーボンナノチューブアレイ
160 レーザー装置
170 レーザービーム
180 光スポット
190 経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなる異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムであって、
前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、少なくとも一つの薄い領域を有し、
前記複数のカーボンナノチューブの長手方向を第一方向と定義し、
前記少なくとも一つの薄い領域は、前記第一方向に沿って少なくとも一つの列に配列されていることを特徴とする異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム。
【請求項2】
同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、
前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、
を含むことを特徴とする異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法。
【請求項1】
同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなる異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムであって、
前記異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムは、少なくとも一つの薄い領域を有し、
前記複数のカーボンナノチューブの長手方向を第一方向と定義し、
前記少なくとも一つの薄い領域は、前記第一方向に沿って少なくとも一つの列に配列されていることを特徴とする異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルム。
【請求項2】
同じ方向に沿って、端と端が接続されている複数のカーボンナノチューブのみからなるドローン構造カーボンナノチューブフィルムを形成する第一ステップと、
前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して、前記カーボンナノチューブの配列方向に沿って、少なくとも一つの列に配列して形成された薄い領域を含む異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する第二ステップと、
を含むことを特徴とする異なる密度を有するカーボンナノチューブフィルムの製造方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図8】
【公開番号】特開2011−116637(P2011−116637A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255023(P2010−255023)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(509312592)北京富納特創新科技有限公司 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(509312592)北京富納特創新科技有限公司 (6)
【Fターム(参考)】
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