説明

異型断面形状の接続部を有する医療用離脱型塞栓ワイヤー

【課題】全体として短時間のうちに生体内留置部材を確実に離脱させることのできる、生体内留置部材を有する医療用ワイヤーを提供する。
【解決手段】ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有することを特徴とする医療用ワイヤーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状器官を通して生体内の所要の個所に所要の留置部材を留置させるための医療用ワイヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外科的手術を伴う生体の治療には種々の問題がある。例えば、施術される患者においては長時間の手術に耐えなければならず、また術者においては、長時間にわたって神経を集中させることを強いられ、感染などの危険性も比較的高い。このような種々の負担を軽減し、必要な手術をより安全に、かつ簡便に実行するために、最近においては、カテーテルやガイドワイヤー、血管などの管状器官を閉塞させるための塞栓材料、その他の各種の医療機器が開発され、実用に供されている。
【0003】
例えば、カテーテルやガイドワイヤーなどの医療機器における最近の進歩により、血管内から所要の患部にアプローチする血管内手術が実行されるようになってきており、特に動静脈奇形、脳動脈瘤、頸動脈海綿静脈洞瘻などの疾患の治療に多く適用されるようになってきた。また、現在において、管状器官塞栓材料としては、離脱型バルーン、コイル、液体塞栓物質、粒子状塞栓物質などが使用されている。通常、管状器官内などに留置されるこれらの塞栓材料はマイクロカテーテルなどを通して供給されるが、これを一旦不適切な位置に留置あるいは放出してしまった場合には、その回収や位置の修正などを実行することはほとんど不可能である。
【0004】
このような事情から、従来、目的とする部位に配置することに失敗した場合にも、引き戻して再度配置し直すことが可能であり、配置個所を確認した上で塞栓材料を離脱させて留置することのできる離脱型塞栓材料が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、導電性のワイヤー本体の先端部に接続部材を介して生体内留置部材が接続されてなり、ワイヤー本体を介して切断用電流が供給されることにより接続部材が加熱され、これによって生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーが提案されている。
【0006】
この従来の医療用ワイヤーにおいては、接続部材として、ポリビニルアルコール系重合体よりなる密実の円柱状ロッドが用いられている。この接続部材は、切断用電流が供給されることにより高温となり、その結果、当該接続部材を形成しているポリビニルアルコール系重合体が、当該重合体中に含有された膨潤水に溶解し、これにより切断される。
【0007】
従って、この医療用ワイヤーを使用する際には、接続部材が水によって十分に膨潤していることが必要であり、膨潤状態が不十分で水の含有量が不足する場合には、水と接触している部分のみが溶解するため、長時間または複数回の切断用電流の供給を行わなければ当該接続部材を切断することができず、結局、生体内留置部材の留置に長時間を要することとなり、あるいは、切断用電流として特許文献2に示されているように出力の大きな高周波電流を供給する必要があり、生体組織に悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
そのため、医療用ワイヤーを生体内に挿入する前に、接続部材の個所を膨潤用水中に浸漬する膨潤処理を行えばよいが、接続部材を十分な膨潤状態とするためには相当に長い膨潤処理時間が必要であって、実際上、例えば外径が0.2[mm]のポリビニルアルコールからなる接続部材の場合には、膨潤処理に約2〜5分間もの長時間を要するという問題点がある。
【0009】
また例えば、特許文献3には、導電性のワイヤー本体の先端部に電気分解的に溶解しうる犠牲接合部によって生体内留置部材が接続されてなり、ワイヤー本体を介して切断用電流が供給されることにより犠牲部位にみられる収束電気分解によって生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーが提案されているが、分解に長時間を要するなど未だ解決に至っていない。
【特許文献1】特開平7−265431号公報
【特許文献2】特開2000−229086号公報
【特許文献3】特表2003−509211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、生体内留置部材と医療用ワイヤーとを接続する接続部材について、限られた外径の範囲内で操作により切断の恐れが少ないよう十分な強度を持たせつつ、短時間の膨潤処理によって十分な膨潤状態が得られ、切断用電流供給操作によって確実に切断することができ、従って、全体として短時間のうちに生体内留置部材を確実に離脱させることのできる、生体内留置部材を有する医療用ワイヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は以上のような事情に鑑み、鋭意検討した結果、接続部材の断面の形状を特定の外周長を有する異形断面とすることにより切断反応や膨潤処理の時間を大幅に短縮出来ることを見いだし本発明に至ったものである。
【0012】
本発明は、以下の1または複数の特徴を有する。
(1)本発明の一つの特徴は、ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有する。
【0013】
この特徴によれば、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(2)本発明の別の特徴は、前記接続部の柱形状が柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有する。
【0014】
この特徴によれば、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(3)本発明の別の特徴は、前記接続部の柱形状が軸断面積が小さい部分を有し、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有する。
(4)本発明の別の特徴は、前記接続部が中空形状を有する。
【0015】
この特徴によれば、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(5)本発明の別の特徴は、前記接続部の柱形状が、軸断面積が小さい部分を有し、中空形状を有する。
(6)本発明の別の特徴は、前記接続部の柱形状が、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有し、中空形状を有することを特徴とする。
(7)本発明の別の特徴は、前記接続部の柱形状が、軸断面積が小さい部分を有し、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有し、中空形状を有する。
(8)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が縮径形状を有する。
(9)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が、前記柱形状の柱軸方向に沿って、所定部分が中空形状を有し、前記所定部分とは異なる部分がロッド形状を有する。
【0016】
この特徴によれば、破断強度を維持したまま、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(10)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が溝形状を有する。
【0017】
この特徴によれば、前記溝形状を通じて接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(11)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が貫通口を有する。
【0018】
この特徴によれば、前記貫通口を通じて接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
(12,13)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が扁平形状、および/または押し潰し形状を有する。
(14)本発明の好適な実施形態では、前記接続部が水膨潤性材料によって構成され、前記切断用電流が供給されることにより前記接続部が加熱溶断し、前記生体内留置部材を切り離す。
(15)本発明の好適な実施形態では、前記水膨潤性材料がポリビニルアルコール系重合体である。
【0019】
この特徴によれば、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0020】
本発明の上記各特徴およびその他の特徴は、以下の実施形態の記載および図面によって明らかにされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る医療用ワイヤーによれば、生体内留置部材と医療用ワイヤーとを接続する接続部材について、限られた外径の範囲内で、操作により切断の恐れが少ないよう十分な強度を持たせつつ、短時間の膨潤処理によって十分な膨潤状態が得られ、切断用電流供給操作によって確実に切断することができ、従って、全体として短時間のうちに生体内留置部材を確実に離脱させることが可能となる。
【0022】
例えば、水膨潤性材料を接続部材として使用している場合には、接続部材を形成する水膨潤性材料全体に対して水が十分に浸透しやすいという特徴を有する形態であるため、膨潤処理においてもきわめて短時間のうちに十分な膨潤状態となり、従って膨潤処理に要する時間が大幅に短縮される。そして、生体内に配置されて切断用電流が供給されたときには、当該接続部材に十分な水が含有されているため、容易にかつ確実に当該接続部材が切断し、従って高い信頼性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.医療用ワイヤー装置の全体構成
図1は、本発明の医療用ワイヤー装置の一実施形態の構成を示す。この例の医療用ワイヤー装置は、導電性を有するガイドワイヤー10と、このガイドワイヤー10の先端部に接続して設けられたロッド状の塞栓材料20(「接続部」の一実施形態)とにより構成されている。
1−1.ガイドワイヤー
図示のガイドワイヤー10は、塞栓材料20を目的部位に導入するための誘導子(押出手段)として使用される。このガイドワイヤー10は、コアワイヤーの外周面上に後述の樹脂被覆層が形成されたワイヤー本体11と、これに続く先端コイル部分12とを有してなる。ガイドワイヤー10の外径は、例えば0.1〜2.0[mm]とされ、ガイドワイヤー10の長さは、例えば0.1〜2.0mとされる。ガイドワイヤー10を構成するコアワイヤーとしては、ステンレス鋼などの導電性材料よりなるものを用いることができる。
【0024】
ガイドワイヤー10のワイヤー本体11に形成された上記樹脂被服層は、例えば、特開平11−47138号公報に記載された樹脂被覆層(例えば、フッ素樹脂、親水性の樹脂など)をコアワイヤーの外周面上にコートすることにより形成することができる。この樹脂被覆層がフッ素樹脂または親水性の樹脂よりなる場合には、表面の摩擦係数を小さくすることができる点で好ましい。
【0025】
ワイヤー本体11の外端部には、コアワイヤーが露出された端子部分13が形成されており、この端子部分13を介して、電気コネクタ、プラグ、クリップなどの適宜の導電部材を介して電力を供給することができる。この端子部分13の長さは1〜3cm程度であれば十分である。
【0026】
ガイドワイヤー10の先端コイル部分12は、コアワイヤーの外周面上に、更に巻回ワイヤーをコイル状に巻回した構成とされている。先端コイル部分12を構成する巻回ワイヤーとしては、プラチナ、銀、タングステン、タンタル、イリジウム、ニッケル、パラジウム及びそれらの金属を任意に組み合わせた合金、及びステンレスなどの金属よりなる線材を用いることができる。また、それらのX線造影性の違う2種類の材質からなるコイルを組み合わせて用いることもできる。
1−2.塞栓材料
ロッド状の塞栓材料20は親水性の樹脂から構成される。塞栓材料20を構成する親水性の樹脂としては、生体に悪影響を与えず、良好な柔軟性(可変形性)を有し、加熱によって溶融するものの中から選択することができる。
【0027】
塞栓材料20を構成する親水性の樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA架橋重合体、PVA吸水ゲル凍結解凍エラストマー、エチレンビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系の重合体、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリグリコール酸、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリヒドロキシエチルフタル酸エステル、ポリジメチロールプロピオン酸エステル、メチルイソプロピルケトンホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホネート、水溶性ナイロンなどの合成高分子物質;カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、セルロース類(CMC,MC,HEC,HPC)、タンニン、リグニン、アルギン酸、アラビアゴム、グアーガム、トラガントガム、ゼラチン、カゼイン、にかわ、コラーゲンなどの天然高分子物質を例示することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール系の重合体が好ましい。また、水と接触したときに、適度な膨潤性を発揮させる観点から、ポリビニルアルコール系の重合体の重合度は500〜4000であることが好ましく、更に好ましくは1500〜2500である。
1−2(1).薬剤含有例
柱状の塞栓材料20中には、血液凝固促進物質などの薬剤を含有させることができる。血液凝固促進物質を含有してなる塞栓材料によれば、当該塞栓材料により塞栓された瘤内において血栓の形成が促進され、さらに優れた塞栓効果を発揮させることができる。かかる血液凝固促進物質としては、トロンビン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、プロテアーゼなどを例示することができる。
1−2(2).造影剤含有例
さらに、柱状の塞栓材料20中には、造影性を有する物質(以下、単に「造影剤」ともいう。)を含有させることもできる。造影剤を含有してなる塞栓材料によれば、目的部位に導入される当該塞栓材料の動態を造影装置によってモニタリングすることができる。かかる造影剤としては、タングステン、酸化ビスマス、硫酸バリウム、プラチナ、金、銀などのX線造影効果を奏する物質を例示することができる。
1−2(3).塞栓材料の構成
図1に示すように、塞栓材料20は、その後端部20Aがガイドワイヤー10の先端コイル部分12内に挿入された状態において、更に接着剤が適用されることによってガイドワイヤー10と固定的に連結されている。なお、ガイドワイヤー10(先端コイル部分12)と塞栓材料20との固定手段は特に限定されるものではなく、接着剤による固着手段のほか、溶接、物理的力による連結、その他の手段を利用することができる。
【0028】
塞栓材料20の外径としては、非膨潤状態の外径(d)が0.05〜0.5[mm]とされ、膨潤状態の外径(D)が0.2〜1.0[mm]とされ、外径の増加率〔(D/d−1)×100〕が10〜300%、好ましくは50〜100%とされる。外径の増加率が10%以上である膨潤性樹脂よりなる塞栓材料によれば、適用部位において、血液などと接触して拡径することによって、更に優れた塞栓効果を発揮することができる。塞栓材料20の長さとしては、適用部位(瘤内)の容量などに応じて適宜調整することができるが、通常1〜500[mm]程度とされ、好ましくは5〜100[mm]程度とされる。
【0029】
上記塞栓材料20及び後述の接続部材23を構成する材料、外径、その増加率、長さに関する記載は例示であって、適用する実施形態に応じて適宜変更可能である。
1−2(4).塞栓材料の断面
図2は図1のa−a’に沿った断面図である。図2はガイドワイヤー10の長さ方向に対して垂直な面における塞栓材料20(「接続部材(離脱部)」の一実施形態)の断面15を示す。
【0030】
図2は、塞栓材料20が中空形状の場合を例示する。中空形状を形成することにより、水分が一番浸透しづらい接続部材(接続部)の中心部分が存在しないため、迅速な膨順が可能となる。中空形状を形成するための加工方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。
2.別の実施形態
図3は本発明の別の実施形態である。
【0031】
この例における医療用ワイヤーは、基本的に、金属製のワイヤー本体18と、ワイヤー本体18の先端部に、後端部が接続して設けられた、加熱によって切断される短い柱状、ロッド状または紐状の接続部材23(「接続部」の一実施形態)と、この接続部材23の先端部に接続して設けられた生体内留置部材24とによって構成されている。
2−1.ワイヤー本体
図示の例のワイヤー本体18は、表面に絶縁被覆が形成された手元側部分(手元側絶縁部分)19と、この手元側部分19に続く柔軟部分(柔軟性部分)21と、この柔軟部分21に接続された先端コイル部分22とを有してなり、先端コイル部分22の先端部に接続部材23が接続されている。
【0032】
ワイヤー本体18の柔軟部分21および先端コイル部分22は、例えばコアワイヤーの外周面上に、更に巻回ワイヤーをコイル状に密に巻回した構成とされている。ワイヤー本体18の外径は0.1〜2.0[mm]であることが好ましい。また、ワイヤー本体18の長さは、目的に応じて種々の長さとされ、例えば0.1〜1.8mである。ワイヤー本体18を構成する線材としては、例えばステンレス鋼などの導電性材料を用いることができ、先端コイル部分22には、例えばプラチナ、銀、タングステン、タンタル、イリジウム、ニッケル、パラジウム及びそれらの金属を任意に組み合わせた合金、及びステンレスなどの金属よりなる線材を用いることができる。また、それらのX線造影性の違う2種類以上の材質からなるコイルを組み合わせて用いることがある。
2−2.表面絶縁被覆
ワイヤー本体18の手元側部分19における表面絶縁被覆は、適宜の材料によって形成することができるが、通常、各種の樹脂、例えばフッ素樹脂、親水性樹脂などをコートすることによって設けることができる。この表面絶縁被覆がフッ素樹脂よりなる場合には、ワイヤー本体18の表面の摩擦係数を小さくすることができる点で好ましい。
【0033】
手元側部分19の外端部は、ワイヤーの線材が露出されて端子部分25が形成されており、この端子部分25を介して、電気コネクター、プラグ、クリップなどの適宜の導電部材を介して電力の供給が可能とされている。この端子部分25の長さは、例えば1〜3cm程度であれば十分である。
2−3.接続部材
接続部材23は、水膨潤性材料で全体が柱状、ロッド状または紐状等に形成されている。図4はある一例の接続部材23aの拡大図と断面図である。図4(A)は接続部材23aのある一定方向からの側面図であり、図4(B)は図4(A)を90°回転させた場合の側面図である。図4(C)はA−A’に沿った断面図であり、図4(D)はB−B’に沿った断面図である。
【0034】
図4(C)、図4(D)に示すように、ある一方の断面積がもう一方の断面積よりも小さくなる構造である。言い換えると、接続部材は、ワイヤー長手方向に対して垂直な第一断面の面積が、その第一断面とは異なる第二断面の面積以下とされている構造である。この構造は、軸断面積が小さい部分を有する構造、または柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有する構造の一実施形態である。「柱軸方向の中間部」とは、柱状形状の両端部分を除く部分であり、例えば図4のB−B’に沿う断面付近を含む部分(軸方向に沿って中間位置である必要はない)である。
【0035】
接続部材の断面積が減少している部分は接続部分のどの部分に存在しても構わないが、ワイヤー本体、生体内留置部材との接続の容易性から、接続部材の端部は柱状形状であることが好ましい。さらに、接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。
【0036】
この形状を形成することにより、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0037】
接続部材23を形成する水膨潤性材料としては、生体に悪影響を与えず、適度の水膨潤性を有し、水が含有された状態で加熱によって当該接続部材形成物質が溶解して切断され、これによって生体内留置部材24が離脱されるものであればよい。その具体例としては、例えばポリビニルアルコール系重合体を好適なものとして挙げることができるが、水膨潤性を有するポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、その他を用いることも可能である。
【0038】
接続部材23を構成する水膨潤性材料は、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法によって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。
【0039】
水膨潤性材料に図4、および後述する図5〜10に示したような断面形状を付与する方法としては特に限定されるものではないが、所望の内部形状を有する型に流し込んで凝固成形する方法、柱状断面の材料を成形後にレーザー、剃刀、カッター等により加工する方法等があげられる。特に、レーザーによる加工は各サンプルの形状誤差や加工のばらつき、製造不良が少ないため、好ましい。更には、微小なクラックや傷の形成を防ぐことが可能となるため、より強度を向上させることが可能となるため好ましい。
【0040】
接続部材23の外径は、ワイヤー本体18および生体内留置部材24の具体的な構成によって異なり、目的とする生体内留置部材24をワイヤー本体18に適宜の手段によって連結することができるものであればよい。例えば、上記先端コイル部分22および生体内留置部材24が共にコイル体であり、このコイル体内に両端部が挿入されて接続される態様で使用される接続部材23の一例では、その外径が例えば0.05〜2.0[mm]、長さが1.0〜10[mm]であることが好ましい。
【0041】
この接続部材23の後端部はワイヤー本体18の先端部に接続固定される。その接続手段は特に限定されるものではなく、例えば接着剤による接着、熔接、物理的力による連結、その他の手段を利用することができる。このうち、特に接着剤による接着が好ましい。この場合に、接着剤としては例えばシアノアクリレート系接着剤を好適に用いることができる。
2−4.生体内留置部材の例
本発明の実施形態として用いられる生体内留置部材24の一例は、塞栓形成部材として用いられるコイル体である。このようなコイル体として、本発明においては、例えば可変形性を有する弾性材よりなる二重コイル体を好ましく用いることができる。具体的には、例えばプラチナ合金よりなり、直径が0.05〜0.10[mm]の線材を巻回することにより作製された二重コイル体であって、その一次コイル径が0.1〜1.0[mm]であり、二次コイル径が2〜30[mm]であるものを好ましく用いることができる。このような生体内留置部材24には、適宜の物質を担持または保持させることができる。
【0042】
生体内留置部材24は、接続部材23の先端部に接続して設けられるが、その接続手段としては、接続部材23とワイヤー本体18との接続手段として説明した上記各種の手段から選ばれた適宜の手段を利用することができる。
2−5.接続部材のバリエーション
接続部材23の形態は、以上の例に示されているものに限られず、種々の態様のものとすることができる。例えば図5はある一例の接続部材23bの拡大図と断面図である。図5(A)は接続部材23bのある一定方向からの側面図であり、図5(B)は図5(A)を90°回転させた場合の側面図である。図5(C)はC−C’に沿った断面図であり、図5(D)はD−D’に沿った断面図である。図5(C)、図5(D)に示すように、ある一方の断面積がもう一方の断面積と等しい構造であるが、変形した形状であっても構わない。この構造は、軸断面積が小さい部分を有する構造、または柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有する構造、または扁平形状を有する構造、または押し潰し形状を有する構造に対応する。
【0043】
接続部材の変形形状部分は接続部分のどの部分に存在しても構わないが、ワイヤー本体、生体内留置部材との接続の容易性から、接続部材の端部は柱状形状であることが好ましい。さらに、接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。ここでいう変形形状とは、扁平形状や押しつぶし形状等、接続部材の断面積が変化しないものであれば全ての形状を含む。変形形状を形成することにより、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0044】
変形形状を形成するための加工方法としては、ピンゲージでの押しつぶし、角材での押しつぶし、捻り等が挙げられる。
【0045】
更には、図面では示さないが、変形形状と軸断面積が小さい部分を有する形状を併せもつ形状であってもよい。例えば、変形形状と縮径形状を併せもつ形状であっても構わない。縮径形状とは、例えば、柱軸方向(ワイヤー長手方向)に沿って柱外径の一部が小さくされている部分を含む形状である。変形形状と縮径形状を併せもつ形状を形成することにより、さらに接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0046】
変形形状と縮径形状を併せもつ形状を得るための加工方法としては、ピンゲージでの押しつぶし、角材での押しつぶし、捻り等で変形形状を形成した後、レーザー、剃刀、カッター等により縮径部分を形成する方法等が挙げられる。更には、所望の内部形状を有する型に流し込んで凝固成形する方法、柱状断面の材料を成形後にレーザー、剃刀、カッター等により加工する方法等により、縮径形状等を形成した後に、ピンゲージでの押しつぶし、角材での押しつぶし、捻り等で変形形状を形成することも可能である。
【0047】
更には、例えば図6はある一例の接続部材23cの拡大図と断面図である。図6(A)は接続部材23cの側面図であり、図6(B)はE−E’に沿った断面図である。接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。図6に示すように、中空形状であっても構わない。中空形状を形成することにより、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0048】
中空形状を形成するための加工方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。
【0049】
更には、図には示さないが、中空形状と軸断面積が小さい部分を有する形状を併せもつ形状であってもよい。例えば、中空形状と縮径形状を併せもつ形状であっても構わない。中空形状と縮径形状を併せもつ形状にすることにより、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。さらに、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0050】
中空形状と縮径形状を併せもつ形状を得るための加工方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。その後、レーザー、剃刀、カッター等により縮径部分を形成する方法等が挙げられる。
【0051】
更には、例えば図7はある一例の接続部材23dの拡大図と断面図である。図7(A)は接続部材23cのある一定方向からの側面図であり、図7(B)は図7(A)を90°回転させた場合の側面図である。図7(C)はF−F’に沿った断面図であり、図7(D)はG−G’に沿った断面図である。図7に示すように中空形状と変形形状を併せもつ形状であっても構わない。中空形状と変形形状を併せもつ形状にすることにより、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。さらに、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。接続部材の変形形状部分は接続部分のどの部分に存在しても構わないが、ワイヤー本体、生体内留置部材との接続の容易性から、接続部材の端部は柱状形状であることが好ましい。さらに、接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。ここでいう変形形状とは、扁平形状や押しつぶし形状等、接続部材の断面積が変化しないものであれば全ての形状を含む。
【0052】
中空形状と変形形状を併せもつ形状を得るための加工方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。その後、ピンゲージでの押しつぶし、角材での押しつぶし、捻り等により変形形状を形成することが可能である。
【0053】
更には、図には示さないが、中空形状と変形形状と軸断面積が小さい部分を有する形状を併せもつ形状であっても構わない。例えば、中空形状と変形形状と縮径形状を併せもつ形状であっても構わない。中空形状と変形形状と縮径形状を組み合わせた形状にすることにより、接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。さらに、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。接続部材の変形形状部分は接続部分のどの部分に存在しても構わないが、ワイヤー本体、生体内留置部材との接続の容易性から、接続部材の端部は柱状形状であることが好ましい。さらに、接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。ここでいう変形形状とは、扁平形状や押しつぶし形状等、接続部材の断面積が変化しないものであれば全ての形状を含む。
【0054】
中空形状と変形形状と縮径形状を併せもつ形状を得るための加工方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。その後、ピンゲージでの押しつぶし、角材での押しつぶし、捻り等により変形形状を形成し、その後、レーザー、剃刀、カッター等により縮径部分を形成する方法等が挙げられる。
【0055】
更には、例えば図8はある一例の接続部材23eの拡大図と断面図である。図8(A)は接続部材23eの側面図であり、図8(B)はH−H’に沿った断面図であり、図8(C)はI−I’に沿った断面図である。図8に示すように、接続部材の柱形状の柱軸方向に沿って、ある部分が中空形状を有し、ある部分が例えばロッド形状を有する形状であっても構わない。中空形状とロッド形状を併せもつ形状にすることにより、柱形状のものの破断強度をある程度維持したまま、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が空間であるため、迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。特に、ワイヤー本体18の先端部により近い部分に中空形状が形成されることが好ましい。このことにより、ワイヤー本体18の先端部における電解液(血液)が高周波電流によって自己発熱して高温となり、接続部材23が加熱され、これにより、当該接続部材23が溶融して切断されるため、生体内留置部材24がワイヤー本体18から離脱し、これにより、コイル体からなる血栓形成部材の留置が達成される。
【0056】
接続部材の柱形状の柱軸方向に沿って、ある部分が中空形状を有し、ある部分がロッド形状を有する形状を形成する方法としては、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法で接続部材を形成する際に、金属線等を予め接続部材の途中まで差し込み、成型後に金属線等を抜き取ることによって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを用いることもできる。更には、レーザー、針等の加工により、中心部分を刳り貫くことも可能である。
【0057】
更には、接続部材の側面に溝を形成しても構わない。例えば図9はある一例の接続部材23fの拡大図と断面図である。図9(A)は接続部材23fの側面図であり、図9(B)はJ−J’に沿った断面図である。図9に示すように、中空形状を形成した接続部材の側面に溝を形成しても構わない。図9では、例示として、柱形状である接続部材23fの柱半径方向(外周から柱軸に向かう方向)であって中空部分に到達するように形成された3つの溝(または孔)を示している。溝の形状、太さ、長さ、または数は図9に示すものに限らない。中空形状に到達しない溝形状、図9に示すものより小さいまたは大きい溝形状、図9に示すものより短いまたは長い溝形状、1つまたは2以上の溝であってもよい。
【0058】
特に、ワイヤー本体18の先端部により近い部分に溝が形成されることが好ましい。このことにより、ワイヤー本体18の先端部における電解液(血液)が高周波電流によって自己発熱して高温となり、接続部材23が加熱され、これにより、当該接続部材23が溶融して切断されるため、生体内留置部材24がワイヤー本体18から離脱し、これにより、コイル体からなる血栓形成部材の留置が達成される。
【0059】
溝を形成することにより、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分が迅速に膨潤することが可能となる。よって、容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0060】
溝を形成する加工方法としては、レーザー、針等の加工により形成することが可能である。
【0061】
更には、接続部材の側面に貫通口を形成しても構わない。例えば図10はある一例の接続部材23gの拡大図と断面図である。図10(A)は接続部材23gのある一定方向からの側面図であり、図10(B)は図10(A)を90°回転させた場合の側面図である。図10(C)はK−K’に沿った断面図であり、図10(D)はL−L’に沿った断面図である。図10に示すように変形形状を形成した接続部材の側面に貫通口を形成しても構わない。貫通口を形成することにより、膨潤が最もしづらい接続部の柱軸方向の中心部分がさらに迅速に膨潤することが可能となる。よって、さらに容易に前記接続部を切断することが可能となる。
【0062】
貫通口を形成する加工方法としては、レーザー、針等の加工により形成することが可能である。
3.膨潤処理
以上のような構成の医療用ワイヤーは、例えば、特開2000-229086号公報に例示されている方法で使用される。このとき先ず、実際に生体内に挿入する前に、当該医療用ワイヤーの接続部材23に対して膨潤処理が行われる。この膨潤処理は、当該医療用ワイヤーの接続部材23の個所を、適宜の膨潤用水中に浸漬することにより行われる。
【0063】
而して、上記の医療用ワイヤーにおいては、接続部材23は、膨潤処理において多量の水が短時間で接続部材23を構成する水膨潤性材料中に吸収され、含有されることとなる。従って、十分な膨潤処理をきわめて短時間のうちに達成することができる。特に接続部材23の外径が150μm以下のように小さいときには、単に接続部材23を膨潤用水中を通過させるのみによって、十分な膨潤処理を行うことができる場合がある。
【0064】
ここに、膨潤用水は、生体に有害なものでなければ特に制約を受けるものではなく、例えば生理食塩水、純水、超純水、イオン交換水、ジメチルスルホキシドなどの化合物の水溶液、血液、その他を用いることができる。
【0065】
膨潤処理のための浸漬時間は、接続部材23を形成する水膨潤性材料の形態によっても異なるが、通常は例えば0.1〜100秒間という短時間でよく、好ましくは3秒間以下である。特に、接続部材23が繊維体素子の集合体よりなる場合であってしかも当該繊維体素子の線径が1〜50μmのように小さいときには、単に接続部材23を膨潤用水中を通過させるのみによって、十分な膨潤処理を行うことができる場合がある。
【0066】
接続部材の膨潤処理は、上記の処理に限らない。接続部材を構成する材料が水膨潤性材料でない場合には、上記膨潤処理を省略してもよい。
4.医療用ワイヤーの使用例
膨潤処理が施された医療用ワイヤーは、図11および12に示すように、適宜のカテーテル32を介して生体内に導入される。具体的には、図11に示すように、カテーテル32を通常の方法によって生体31内に挿入し、その先端部を、生体内留置部材24を留置すべき個所、この例では脳動脈瘤の個所Pに到達させる。33はカテーテル32の手元操作部である。このカテーテル32としては、例えばマイクロカテーテルを使用することができる。以下では、便宜上、図3に示す医療用ワイヤーを用いる例によって説明する。
【0067】
医療用ワイヤーを、その生体内留置部材24(図12参照)を先頭として、手元操作部33からカテーテル32内に挿入する。そして、生体31の適宜の皮膚面にアース電極34(図11参照)を装着した上、ワイヤー本体18(図3参照)の端子部分25に高周波電源装置35を接続し、モノポーラ高周波電流をワイヤー本体18に供給する。このモノポーラ高周波電流は、例えば周波数が0.2〜5MHz、電力が0.1〜5W程度であることが好ましい。1回の電流供給、時間は例えば1〜10秒間である。
【0068】
このような操作により、ワイヤー本体18の先端部における電解液(血液)が高周波電流によって自己発熱して高温となり、接続部材23が加熱され、これにより、当該接続部材23が溶融して切断されるため、生体内留置部材24がワイヤー本体18から離脱し、これにより、コイル体からなる血栓形成部材の留置が達成される。
【0069】
然るに、上記の医療用ワイヤーによれば、既述のように、接続部材23の離脱部分の断面形状が本発明の範囲に形成されていることにより膨潤処理において十分な膨潤状態が達成されているため、例えば1回の切断用電流の供給操作によって確実に当該接続部材23を切断することができ、従って所期の生体内留置部材の留置を短時間のうちに、かつ確実に実施することができ、高い信頼性が得られる。そして、膨潤処理が短時間のうちに完了することも加わり、所期の生体内留置部材の留置に要する全体の時間を非常に短いものとすることができる。
【0070】
具体的には、接続部材23を構成する水膨潤性材料がポリビニルアルコール系重合体または共重合体よりなるものである場合には、例えば1秒間以内のきわめて短時間の高周波電流の供給により、確実に当該接続部材23を離脱させることができる。従って、術者のみでなく施術される生体に対する負担が非常に軽いものとなる。
【0071】
また、ワイヤー本体18が導電性を有するものであるため、これを利用して、当該ワイヤー本体18を介して、例えばモノポーラ高周波電流を供給することにより、接続部材23を確実に加熱することができる。従って、この場合には、接続部材23に至るリード線を設けることが全く不要であり、従って操作性が高く、しかもリード線が破断されるおそれも全くない。従って、一旦配置した生体内留置部材24の位置を修正するために引き戻すような場合にも、当該操作を確実に実行することができるので、高い信頼性が得られる。
5.その他の実施形態
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、本発明においては、種々の変更が可能である。例えば、生体内留置部材24としては種々のものを利用することができ、具体的には、コイル体またはコイル体以外の塞栓形成部材、留置されて徐々に薬剤を放出する薬剤内包カプセル、管状器官を閉塞するバルーンなどの塞栓形成部材、その他の留置によって医療作用あるいは医療上の補助作用などを有する適宜の部材を用いることができる。
【0072】
また、ワイヤー本体の外周表面に電気絶縁性被覆を設けることができる。この電気絶縁性被覆は、各種重合体、例えばポリウレタン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂などにより形成することができるが、この樹脂の被膜の外表面に更に親水性ポリマーを塗布したものとすることもできる。そして、このような医療用ワイヤーによれば、上述のようにワイヤー本体を介してモノポーラ高周波電流を供給することにより、生体内留置部材を離脱させて留置することができるが、ワイヤー本体の生体組織に接触する部分の表面が電気絶縁性被覆で被われているので、当該組織に対して悪影響を与えることが防止され、そのため、生体内に挿入、留置する操作において、カテーテルを使用することが不要となる。
【0073】
本発明において、接続部材を切断する手段は、導電性を有するワイヤー本体を介してモノポーラ高周波電流を供給する手段に限定されず、例えば、接続部材の外周面上に設けた電極、あるいはカテーテルの先端開口の位置に設けた電極にリード線を介して、生体に設けられた対電極との間にモノポーラ高周波電流を供給する手段、接続部材の外周面上に互いに離間して設けた一対の電極間にリード線を介してバイポーラ高周波電流を供給する手段、カテーテルの先端開口の位置に設けた一対の電極間にバイポーラ高周波電流を供給する手段、その他の手段を利用することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。以下の各実施例に含まれる各要素は、説明の便宜上、上述の各実施形態で説明した各要素の符号(例えば図3中の符号)に対応づけて説明する。
<実施例1(図4に例示する形状)>
(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、レーザー加工装置(ビーム株式会社)により、300Hz、100shotの条件下で、接続用部材をR=1.25mm、チューブ幅が0.1mmとなるように削り取り、図4の接続部材を作製した。
(2)医療用ワイヤーの作製
図3の構成に従い、直径0.05[mm]のテーパー状芯線に直径0.08[mm]の巻線を密に巻回すことにより、外径0.4[mm]、全長1800[mm]のステンレス鋼製のワイヤー本体18を用意し、その先端部に、上記の編成集合体よりなる接続部材23の後端部をシアノアクリレートよりなる接着剤により接着し、更にこの接続部材の先端部に、直径0.05[mm]のプラチナ合金線により構成された、一次コイル径が0.3[mm]、二次コイル径が3〜12[mm]の二重コイル体よりなる生体内留置部材24の基端部をシアノアクリレートよりなる接着剤により接着して医療用ワイヤーを作製した。
(3)離脱実験
以上のようにして得られた医療用ワイヤーの接続部材23の個所を生理食塩水中に1秒間浸漬することにより、膨潤処理を行った。ステンレス鋼製の容器にアース電極を装着した上当該容器内に生理食塩水を満たし、外径1[mm]、全長1500[mm]のマイクロカテーテルを、その先端が生理食塩水中に没した状態となるよう容器に固定し、マイクロカテーテルの容器外の手元操作部より、上記の医療用ワイヤーを、その生体内留置部材24を先頭として導入して行き、接続部材23がマイクロカテーテルの先端開口の位置に到達するまで進入させたところ、容器内において、生体内留置部材24は完全に初期の形態を有する二重コイル体に復元した。
【0075】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、瞬時(電流供給開始後、約2秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<実施例2(図5に例示する形状)>
(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、直径が0.5mmのピンゲージを用いて接続用部材の端部から2.5mmの部分をチューブ幅が0.1mmとなるように押し潰し、図5の接続部材を作製した。
その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0076】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、瞬時(電流供給開始後、約2秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<実施例3(図6に例示する形状)>
(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、予め0.35mmのSUS304製芯線を0.75mmのチューブの中心に配置し、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、芯線を抜き取り、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、図6の接続部材を作製した。
その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0077】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、瞬時(電流供給開始後、約2秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<実施例4(図7に例示する形状)>
(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、予め0.35mmのSUS304製芯線を0.75mmのチューブの中心に配置し、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、芯線を抜き取り、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、直径が0.5mmのピンゲージを用いて接続用部材の端部から2.5mmの部分をチューブ幅が0.1mmとなるように押し潰し、図7の接続部材を作製した。その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0078】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、中空形状と変形形状を併せもっているため、より瞬時(電流供給開始後、約1秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<実施例5(図8に例示する形状)>
(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、芯線を抜き取り、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、接続用部材の柱軸方向に接続用部材の半分の長さだけ中空になるようにレーザー加工装置(ビーム株式会社)により、300Hz、100shot、マスク25μmの条件下で、削り取り、図8の接続部材を作製した。その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0079】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、瞬時(電流供給開始後、約2秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。さらに、破断強度は、実施例3よりも約1.2倍大きかった。
<実施例6(図9に例示する形状)>
(1)(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、予め0.35mmのSUS304製芯線を0.75mmのチューブの中心に配置し、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、芯線を抜き取り、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、300Hz、100shot、マスク25μm、深さ50μmの条件下で、接続用部材の側面に溝をあけ、図9の接続部材を作製した。その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0080】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、中空形状と溝形状を併せもっていりため、より瞬時(電流供給開始後、約1秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<実施例7(図10に例示する形状)>
(1)(1)作製濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、チューブから凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.12[mm]のポリビニルアルコールよりなる接続用部材を製造した。接続用部材を外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]になるようにカットし、直径が0.5mmのピンゲージを用いて接続用部材の端部から2.5mmの部分をチューブ幅が0.1mmとなるように押し潰した。300Hz、100shot、マスク25μmの条件下で、接続用部材の側面に貫通口をあけ、図10の接続部材を作製した。その他は実施例1と同様の方法により医療用ワイヤーを作製した。
【0081】
この状態で、ワイヤー本体18の手元側後端における端子部分25に、高周波電源装置の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、変形形状と貫通口を併せもっているため、より瞬時(電流供給開始後、約1秒)に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
<比較例1>
外径が0.12[mm]、長さが5.0[mm]のポリビニルアルコールよりなる密実のロッド状の接続部材を作製し、この接続部材を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして医療用ワイヤーを作製し、同様の膨潤処理を施し、更に同様の離脱実験を行ったところ、1回の切断用電流の供給操作によっては接続部材を切断することができず、生体内留置部材が離脱するに至るまでに合計3回の高周波電流の供給が必要であった。
<比較例2>
比較実験例1において、膨潤処理における生理食塩水への浸漬時間を次第に長くして同様の実験を繰り返したところ、1回の切断用電流の供給によって接続部材が切断されるためには、生理食塩水への浸漬時間を3分間以上とすることが必要であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の医療用ワイヤー装置の一実施形態の構成を示す説明図である。
【図2】図1の例において、ある一例の接続部材の断面を示すa−a’における断面の拡大図である。
【図3】本発明の生体内留置部材を有する医療用ワイヤーの構成の一例を示す説明図である。
【図4】図3に示す医療用ワイヤーに含まれる、実施形態としての接続部材の拡大図と側面図である。
【図5】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図6】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図7】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図8】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図9】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図10】別の実施形態の接続部材の拡大図と側面図である。
【図11】本発明の医療用ワイヤー装置の使用方法の一例を示す説明図である。
【図12】本発明の医療用ワイヤー装置の使用方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
10 ガイドワイヤー
11 ワイヤー本体
12 先端コイル部分
13 端子部分
15 断面
16 切れ込み
17 切れ込み先端部
18 ワイヤー本体
19 手元側部分
20 塞栓材料
21 柔軟性部分
22 先端コイル部分
23 接続部材
23a 接続部材
23b 接続部材
23c 接続部材
23d 接続部材
23e 接続部材
23f 接続部材
23g 接続部材
24 生体内留置部材
25 端子部分
27 断面
28 切れ込み
29 断面
30 切れ込み
31 生体
32 カテーテル
33 手元操作部
34 アース電極
35 高周波電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項2】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項3】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有し、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項4】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部が、中空形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項5】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有し、中空形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項6】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有し、中空形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項7】
ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続され当該ワイヤー長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部、この接続部を介して前記ワイヤー本体に接続された生体内留置部材とからなり、切断用電流が供給されることにより前記接続部が切断され、前記生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーであって、
前記接続部の柱形状は、軸断面積が小さい部分を有し、柱軸方向の中間部に一部変形した形状を有し、中空形状を有することを特徴とする医療用ワイヤー。
【請求項8】
前記接続部が、縮径形状を有することを特徴とする請求項1、3、5、7のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項9】
前記接続部が、前記柱形状の柱軸方向に沿って、所定部分が中空形状を有し、前記所定部分とは異なる部分がロッド形状を有することを特徴とする請求項4、5、6,7のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項10】
前記接続部が、溝形状を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項11】
前記接続部が、貫通口を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項12】
前記接続部が、扁平形状を有することを特徴とする請求項2、3、6、7のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項13】
前記接続部が、押し潰し形状を有することを特徴とする請求項2、3、6、7のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項14】
前記接続部が水膨潤性材料によって構成され、前記切断用電流が供給されることにより前記接続部が加熱溶断し、前記生体内留置部材を切り離すことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の医療用ワイヤー。
【請求項15】
前記水膨潤性材料がポリビニルアルコール系重合体であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の医療用ワイヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−206549(P2008−206549A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43442(P2007−43442)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(394003265)株式会社カネカメディックス (17)
【Fターム(参考)】