説明

異変検知システム

【課題】人のプライバシーを害することなく、人の状況に応じた異変を早期に検知することができる異変検知システムを提供する。
【解決手段】人の存在を検出するセンサ22と、センサ22に接続され、人を検出したセンサ22を特定する特定情報と検出時刻を特定する検出時刻情報とを対応付けて蓄積する記憶部32と、記憶部32に蓄積された情報に基づいて人の行動または人の現在の状態を特定し、特定した行動または状態に基づいて異変の発生を検知する処理部33と、処理部33が異変の発生を検知した場合に、管理者に異変の発生を通報する異変通報部34とを有することにより、人の状況に応じた異変を早期に検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人等の異変を検知する異変検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一人暮らしの高齢者の増加等の理由により、人の異変を検出し、通報するシステムの要請が高まっている。
【0003】
この種の技術として、特許文献1には、家電製品(例えば、炊飯ジャーや電気ポット)の操作の有無を監視し、一定時間操作がないと判断した場合には、利用者に異変が発生したものとして管理者へ通報するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−248093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムは、機器の操作の有無のみで異変の有無を検出している。このため、検出できる異変の種類が限られ、利用者の状況に応じた異変の検出は困難である。また、異変の発生から検知までにかなりの時間がかかる。
【0006】
家中にカメラを設置すれば、詳細に利用者の行動を特定した上で早期に異変を検知できるが、これでは利用者のプライバシーが害される。
【0007】
本発明はこれらの問題を鑑みてなされたものであり、プライバシーを害することなく、人の状況に応じた異変を早期に検知することができる異変検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る異変検知システムは、人の存在を検出する人感センサと、前記人感センサに接続され、人を検出した前記人感センサを特定する特定情報と検出時刻を特定する検出時刻情報とを対応付けて蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された情報に基づいて人の行動または人の現在の状態を特定し、特定した行動または状態に基づいて異変の発生を検知する異変検知手段と、前記異変検知手段が異変の発生を検知した場合に、管理者に異変の発生を通報する異変通報手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人のプライバシーを害することなく、人の行動に応じて早期に異変の検知をする異変検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を実施するための形態に係る異変検知システムの構成を示したブロック図である。
【図2】圧力センサ付マットが処理装置に送信する検出データのフォーマットを示した図である。
【図3】検出データの例を示した図である。
【図4】圧力センサマットの配置例を示す図である。
【図5】住宅の例を示す図である。
【図6】処理装置に蓄積した受信履歴の例を示した図である。
【図7】処理装置で行う異変検知処理のフローチャートである。
【図8】パターンデータをデータベースに格納した様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
本発明を実施するための形態に係る異変検知システム1は、圧力センサ付マット2で検出したデータを処理装置3で解析することで、利用者が長時間寝室から出てこない等の異変を検知する。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る異変検知システムについて説明する。
【0012】
異変検知システム1は、図1に示すように、複数の圧力センサ付マット2(2〜2)と処理装置3から構成される。
【0013】
各圧力センサ付マット2は、マット上の人の存在を検出するためのものであり、トイレ、台所、風呂、寝室、リビングの入り口等、人の動きを検出できる場所に設置される。各圧力センサ付マット2は、人を検出すると、人を検出したことを示す検出データを処理装置3に送信する。
【0014】
各圧力センサ付マット2は、マット本体21と、マット本体21に取り付けられた圧力センサ22から構成される。圧力センサ付マット2は、マット上の人の存在を検出するためのものである。この実施形態では、理解を容易にするため、住居内に複数の圧力センサ付マット2が配置されているものとする。
【0015】
マット本体21は、玄関や脱衣場に設置されるような足拭きマットである。形、大きさ等は任意である。
【0016】
圧力センサ22は、圧力検出部23、制御部24、データ送信部25、タイマ26、識別ID格納部27から構成される。
【0017】
圧力検出部23は、マットに加わる圧力によってマット上の人の存在を検出する。具体的には、以下の2つのうちの1つを検出する。
オン化 : 利用者がマットに乗った瞬間
オフ化 : 利用者がマットから降りた瞬間
【0018】
圧力検出部23はオン化、オフ化のいずれか(以下、「検出結果」という)を検出すると、その検出結果を制御部24に送信する。
【0019】
制御部24は圧力検出部23から受信した検出結果に、タイマ26から取得した現在の「時刻」や、識別ID格納部27から取得した「識別ID」を付加して、図2に示す構成の検出データを生成する。そして、その検出データをデータ送信部25に送信する。
【0020】
データ送信部25は、制御部24から受信した検出データを処理装置3に送信する。
【0021】
タイマ26は現在の時刻をカウントする。タイマ26は、制御部24に現在の時刻を送信する。
【0022】
識別ID格納部27は、圧力センサ付マット2を他のマットと識別するための識別ID(識別情報)を格納している。この識別IDは数値であってもよいし、図3に示すようにテキストデータ(例えば“トイレマット”)であってもよい。識別ID格納部27は、制御部24に、その識別IDを送信する。
【0023】
処理装置3は、データ受信部31、記憶部32、処理部33、異変通報部34、タイマ35から構成される。
【0024】
データ受信部31は、圧力センサ付マット2から検出データを受信する。データ受信部31は、受信した検出データを処理部33に送信する。処理部33はこの検出データを受信して記憶部32に送信する。
【0025】
記憶部32は、「受信履歴」、「通報場所」、および、「パターンデータ」を記憶する。ここで、受信履歴とは、処理部33から受信した検出データを記憶部32に蓄積したデータのことである。また、通報場所とは人に異変が発生した場合の通報場所を示すデータ(例えば管理者の電話番号)のことである。さらに、パターンデータとは、受信履歴から人の行動(または現在の状態)を特定するために、人の行動(または現在の状態)をデータ化したもののことである。
【0026】
このパターンデータは2つの条件部から構成される。一方は行動状態条件であり、もう一方は制限時間条件である。ここで、行動状態条件とは、圧力センサ付マット2のオンオフの組み合わせにより人の行動(または人の現在の状態)を定義したものであり、制限時間条件とは、特定された状態(または特定された行動により生じた状態)が継続した場合の、異変発生と判別するまでの制限時間である。行動状態条件に合致し、かつ制限時間条件に定義する制限時間を超えたとき、異変発生と判別する。
【0027】
例えば、図4に示す住宅で考えると、人が風呂に入ったまま、長時間出てこない場合には、何らかの「異変」が発生しているおそれがある。そのため、人が「風呂に入った」ことをデータ化し、かつ、風呂に入った状態が一定時間以上(例えば2時間以上)継続している場合に、「異変発生」と判別することが考えられる。
【0028】
このようなパターンデータ1は、例えば以下のように記述される。
(風呂外側マットがオン化した後、風呂外側マットが3秒以内にオフ化) かつ
(風呂内側マットがオン化した後、風呂内側マットが3秒以内にオフ化) かつ
(風呂外側マットのオフ化時刻が、風呂内側マットのオフ化時刻より前で、5秒以内) かつ
(この状態が1時間以上継続)。
【0029】
このパターンデータ1では、前段の「(風呂外側マットがオン化した後、風呂外側マットが3秒以内にオフ化) かつ (風呂内側マットがオン化した後、風呂内側マットが3秒以内にオフ化) かつ (風呂外側マットのオフ化時刻が、風呂内側マットのオフ化時刻より前で、5秒以内)」までが行動状態条件である。この行動状態条件では「人が風呂に入った(入っている)」という行動(状態)を特定できる。また、後段の「(この状態が1時間以上継続)」は制限時間条件であり、風呂に入った状態が「1時間以上」継続した場合に異変発生としている。
【0030】
同様に、人が長時間トイレに入ったまま長時間経過した場合には、何らかの「異変」が発生しているおそれがある。そのため、人が「トイレに入った」状態にあることをデータ化し、かつ、トイレに入った状態が所定時間(例えば30分)以上継続している場合に、「異変発生」と判別することが考えられる。
【0031】
なお、図4では、トイレマット217は、利用者がトイレに入っている間、継続してオンする配置になっているものとする。この場合のパターンデータ2は、以下のように記述される。
(トイレマットがオン化) かつ (その状態が30分以上継続)。
【0032】
処理部33は、受信履歴とパターンデータをマッチングすることで人の行動(状態)を特定する。そして、処理部33は、特定した状態が一定時間以上継続した場合に、人に異変が発生したものとして、異変通報部34に通報を命令する。なお、これらの処理は「異変検知処理」として後述する。処理部33は、タイマ35からの割り込み信号に応答して、この異変検知処理を開始する。
【0033】
異変通報部34は、処理部33の求めに応じて利用者の異変を管理者等の下にある受信システム5に通報する。通報場所の情報は記憶部32から取得する。
【0034】
タイマ35は現在の時刻をカウントする。そして、処理部33に現在の時刻を送信する。また、タイマ35は1分毎に処理部33に割り込み信号を出力する。
【0035】
次に、異変検知システム1の動作について説明する。以下では、理解を容易にするため、図4に示す住宅の居住者の異変を検出するシステムを例に、その動作を説明する。
【0036】
図4に示すように、この住宅は、リビング、寝室、風呂場、トイレ、玄関、廊下、台所を備える。
【0037】
設計担当者は、部屋の見取り図に基づいて、どの位置にマット2を設定するかを検討し、住人の動き(部屋等への出入り)を検出することが望ましい位置には複数の圧力センサ付マット2を設置する。例えば、寝室やお風呂に「入った」及び寝室から「出た」等の動きの方向を検出する位置には、2枚の圧力センサ付マット2を配置する。図5の住宅では、例えば、図4に示すように、各部屋の出入り口の扉4の前に、寝室外側マット211、寝室内側マット212、風呂外側マット213、風呂内側マット214、リビング外側マット215、リビング内側マット216を配置する。
【0038】
また、「台所にいる」、「トイレに入っている」、というような状態を検出する場所には、1枚の圧力センサ付マット2を設置する。図5の住宅では、例えば、図4に示すように、トイレマット217、台所マット218を配置する。ただし、この場合には、設置する圧力センサ付マット2を、台所で食事や調理をしている間あるいはトイレに入っている間、使用者を検出できるような形状および配置とすることが望ましい。
【0039】
次に、圧力センサ付マット2の配置に基づいて、異常が発生したと検出するためのパターンデータを設計する。
【0040】
前述のように、住人がある部屋に入ったまま長時間出てこない場合には、何らかの異変が発生した可能性が高い。このため、各部屋の外側にあるマットが人を検出し、続いてその部屋の内側マット2が人を検出し、その後、一定時間以上その状態が継続した場合には、異変が発生したと判別する。ただし、異変発生と判別するまでの時間は、部屋の性質・用途等に応じて設定する。例えば、お風呂であれば比較的短い1時間、リビングであれば4時間、寝室であれば10時間等である。
【0041】
このような異変を検知するため、前述したパターンデータ1や、次に示すパターンデータ3が作成される。
(寝室外側マットがオン化した後、寝室外側マットが3秒以内にオフ化) かつ
(寝室内側マットがオン化した後、寝室内側マットが3秒以内にオフ化) かつ
(寝室外側マットのオフ化時刻が、寝室内側マットのオフ化時刻より前かつ5秒以内) かつ
(この状態が10時間以上継続)。
【0042】
また、例えば、人がトイレに長時間入ったままであったり、台所に長時間滞在したりする場合にも異変が発生している可能性がある。そこで、前述したパターンデータ2や、次に示すパターンデータ4が作成される。
(台所マットがオン化) かつ (その状態が2時間以上継続)。
【0043】
このようにして設計されたパターンデータは、処理装置3の記憶部32に登録される。
【0044】
続いて、異変検知システム1の動作を説明する。
電源が投入されると、圧力センサ付マット2の圧力検出部23は人の検出を開始し、処理装置3のデータ受信部31が検出データの受信を開始し、処理部33が異変検知処理を開始する。
【0045】
圧力検出部23は、マット上に利用者の存在を検出すると、その検出結果を検出データとしてデータ送信部25に送信する。データ送信部25はその検出データを、無線等を使って処理装置3に送信する。
【0046】
データ受信部31は検出データを受信して、処理部33に供給する。処理部33は、供給された検出データを記憶部32に記して、図6に示す受信履歴を更新する。
【0047】
処理部33は、この受信履歴を基に異変検知処理を実行する。以下、図7を参照して、処理部33が実行する異変検知処理について説明する。
【0048】
タイマ35は1分毎に処理部33に割り込み信号を出力する。処理部33はタイマ35からの割り込み信号に応答して、図7に示す異変検知処理を開始する。
【0049】
異変検知処理を開始すると、処理部33は、まず、最新の検出データを含む受信履歴とパターンデータをマッチングし、行動状態条件に定義する行動を行っているか否か(行動状態条件に定義する状態にあるか否か)を判別する(ステップS01)。一致すると判別した場合(ステップS01;Yes)、処理部33は、タイマ35から現在時刻を読み出し、一致すると判別した状態の継続時間が、制限時間条件に定義する制限時間に達しているか否かを判別する(ステップS02)。
継続時間が制限時間に達していると判別した場合(ステップS02;Yes)、予め登録されている通報先に、通報する(ステップS03)。
一方、ステップS01で、最新の検出データを含む受信履歴がいずれのパターンデータにも一致しないと判別した場合(ステップS01;No)、および、ステップS02で、継続時間が制限時間に達していないと判別した場合(ステップS02;No)、今回の処理を終了する。
【0050】
例えば、図6の受信履歴の(履歴1)で示した箇所を見ると、利用者は風呂外側マットに20時11分22秒に乗った後、3秒以内にそのマットから降りている。また、利用者は風呂内側マットに20時11分24秒に乗った後、3秒以内にそのマットから降りている。利用者が風呂外側マットから降りた時刻(20時11分24秒)は、風呂内側マットから降りた時刻(20時11分25秒)より前で、5秒以内である。この箇所は、利用者がお風呂に入ったことを意味し、パターンデータ1に記載の条件に合致する。従って、制御部33は、ステップS01でYesと判別し、タイマ35から現在時刻情報を取得し、風呂内側マットからおりた時刻(20時11分25秒)から2時間が経過したか否かを判別する(ステップS02)。例えば、現在時刻が21時11分00秒であれば、2時間が経過していないので(ステップS02;No)、条件を満たさないと判別する。一方、この状態が継続して22時12分00秒になると、異変が発生したと判別し(ステップS02;Yes)、登録されている連絡先に通報する(ステップS03)。
【0051】
また、22時12分00秒前に、例えば、住人が風呂から出て、風呂内側マット214を踏むと、新たな検出情報が追加されて履歴情報が更新される。これにより、最新の検出データを含む履歴が、パターンデータ1に合致することは無くなり、異変無しと判別されるようになる(ステップS01;No)。
【0052】
また、図6の履歴2を見ると、最後の検出データを含む履歴情報によると、利用者がトイレマットに18時46分51秒からに乗った状態が続いており、パターンデータ2に合致する(ステップS01;Yes)。続いて、タイマ35が提供する現在時刻に基づいて、利用者がトイレマットに乗った時刻(18時46分51秒)から制限時間の2時間が経過したか否かを判別する(ステップS02)。例えば、現在時刻が20時10分00秒であれば、制限時間の2時間に達していないので、条件を満たさないと判別する(ステップS02;No)。一方、この状態が継続して20時47分00秒になると、異変が発生したと判別され(ステップS02;Yes)、登録されている連絡先に通報する(ステップS03)。
【0053】
また、20時47分00秒前に、例えば、住人がトイレから出ると、トイレマットのオフ化が検出され、新たな検出情報が追加されて履歴情報が更新される。これにより、最新の検出データを含む履歴が、パターンデータ2に合致することは無くなり、異変無しと判別される。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、利用者の行動ごとに異常と判断するまでの時間を設定できる。そのため、利用者の行動に応じて早期に異変の検知をすることができる。
【0055】
また、処理装置3は複数のマットを一度に管理できるため、リビング、寝室、風呂、トイレ、台所等、複数の場所にマットを設置することにより、より早期に利用者の異変を検出できる。
【0056】
異変検知システム1では、カメラ等、プライバシーを侵害するような装置は使用していないので、利用者のプライバシーが害されることはない。
【0057】
マットは家の中のどこにでも設置できる。そのため、利用者の状態や生活習慣等にあわせた柔軟な異変検知システムが実現できる。例えば、高血圧の利用者であれば、風呂場にマットを設置することにより風呂場での異常を早期に発見できる。また、テレビの前で長時間過ごす習慣のある利用者であれば、テレビの前を避けてマットを設置することにより誤った推測を防止することができる。
【0058】
マットの設置は床に置くだけで完了する。システムを導入するためにわざわざ家の中を改造する必要はない。従って、本システムを使用すれば、設置の手間がほぼゼロでシステムを導入できる。
【0059】
圧力センサ付マット2から処理装置3への、検出データの出力手段は無線であってもよい。無線を使用すれば、センサ設置の自由度がさらに高まる。
【0060】
人の存在を検出する手段は圧力センサでなくてもよい。例えば、人の存在を検出する手段は、利用者の発する温度、利用者の発する音、利用者との距離、又は、利用者が動いたときの空気振動等を計測するセンサであってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0061】
人の存在を検出する手段は、利用者が歩くときの床の振動を利用するものであってもよい。例えば、振動等を電気エネルギーに変換する圧電素子を圧力センサ付マット2に敷きつめ、その圧電素子が出力した電気エネルギーや電圧をモニタすることでマット上に人が居るか否かを検出してもよい。圧電素子が変換した電気エネルギーは、データ送信部25、タイマ26、および、識別ID格納部27等のエネルギー源として利用してもよい。
【0062】
また、利用者の存在を検出する手段は、部屋の光量を計測するものであってもよい。例えば、シート状の太陽電池パネルを床に設置し、そのシートの発電量で利用者がシートの上に居るか否かを検出する。勿論、上述のセンサと組み合わせて判別してもよい。
【0063】
圧電素子や太陽電池パネルを使用すれば、電源供給が困難な場所(例えば配電盤やコンセントから遠くてセンサに電源を供給するのが困難な場所)であっても、電池等のバッテリーを使用することなくセンサを設置できる。バッテリー等を使用しないことにより環境負荷低減も実現できる。
【0064】
センサの検出結果としてはオン化、オフ化の一方であってもよいし、所定の範囲内(例えばマット上)に人が居るか否か(オン、オフ)であってもよい。
【0065】
センサの取り付け場所はマットに限られない。カーペット、畳、座布団、パネル、シート、いす、布団、電気製品、壁、床、天井、階段、扉、窓、ガラス、家具、流し台、蛇口、ユニットバス、便座等、他の物に取り付けてもよい。
【0066】
マットには複数のセンサを取り付けてもよい。これにより、1枚のマットの設置で、人の移動方向の把握が可能になる。
【0067】
処理装置3の設置場所は利用者の家に限られない。管理者の下(例えば、役場の建物の中)に設置してもよい。
【0068】
管理者の下に処理装置3を設置する場合、複数の利用者を同時に管理できるようにしてもよい。この場合、処理装置3は利用者それぞれに対応したパターンデータを備えていてもよい。また、利用者それぞれの受信履歴を保持してもよい。これにより、複数の利用者の同時管理が可能になり、効率的な管理体制が実現できる。
【0069】
利用者の家に処理装置3を設置する場合、一階と二階のようなまとまった単位で処理装置3を設置してもよい。1つの家に住む複数の利用者の異変を別々に検知したい場合など、まとまった単位での異変検知が可能になる。
【0070】
パターンデータは、図8に示すように、パターンデータはデータベースで管理されてもよい。データベースはMicrosoft Accessのような関係データベースで構築されていてもよい。データベースを用いる場合、受信履歴をサーチする手段は、SQL解釈実行エンジンであってもよい。また、受信履歴もデータベースで管理されてもよい。
【0071】
通報の手段は電話回線に限られない。Web、専用回線、携帯電話、無線等を用いて通報してもよい。
【0072】
通報の手段は、光を使用するものであってもよい。例えば回転灯、点滅するランプ、色の付いたランプ等を使用して、周囲の者に異常を知らせてもよい。また、文字や記号等を光で表示させてもよい。さらに、通報の手段は、音を使用するものであってもよい。例えば、スピーカーで警告音を発して周囲の者に異常を知らせてもよい。
【0073】
通報の手段は、所定のフォーマットのデータを通報場所へ送信するものであってもよい。また、予め音声を吹き込んだテープを再生するものであってもよい。さらに、E−mailやFAX等で書面を送付するものであってもよい。光や音で周囲の者に異常を知らせるものであってもよい。
【0074】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0075】
(付記1)人の存在を検出する人感センサと、前記人感センサに接続され、人を検出した前記人感センサを特定する特定情報と検出時刻を特定する検出時刻情報とを対応付けて蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された情報に基づいて人の行動または人の現在の状態を特定し、特定した行動または状態に基づいて異変の発生を検知する異変検知手段と、前記異変検知手段が異変の発生を検知した場合に、管理者に異変の発生を通報する異変通報手段とを有することを特徴とする異変検知システム。
【0076】
(付記2)前記人感センサは、部屋の出入り口の外側に設置された第1の人感センサと、前記部屋の出入り口の内側に設置された第2の人感センサと、を有し、前記異変検知手段は、前記第1の人感センサが人を検出した後、所定時間内に前記第2の人感センサが人を検出した場合に、人が前記部屋へ入室したと特定し、入室を特定した後、一定時間内に、前記人感センサのいずれも人を検出しない場合には、人に異変が発生したと判別することを特徴とする付記1に記載の異変検知システム。
【0077】
(付記3)前記人感センサは、人が所定範囲内に入ったことを検出する手段と、人が所定範囲内から出たことを検出する手段と、を有し、前記異変検知手段は、前記人感センサが、人が所定範囲内に入ったことを検出した後、一定時間内に、人が所定範囲内から出たことを検出できない場合には、人に異変が発生したと判別することを特徴とする付記1に記載の異変検知システム。
【0078】
(付記4)前記人感センサは、マットと、該マットに備え付けられた圧力センサと、を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の異変検知システム。
【0079】
(付記5)前記圧力センサは、人が前記マットの上を通過する際の圧力や振動を電気エネルギーに変換する圧電素子と、前記圧電素子により、前記マット上の人の存在を検出する検出手段と、を有し、前記人感センサは、前記圧電素子が変換した電気エネルギーをエネルギー源として、前記蓄積手段に情報を送信する送信手段を有することを特徴とする付記4に記載の異変検知システム。
【符号の説明】
【0080】
1 異変検知システム
2(2〜2) 圧力センサ付マット
3 処理装置
4 扉
5 管理システム
21 マット本体
22 圧力センサ
23 圧力検出部
24 制御部
25 データ送信部
26、35 タイマ
27 識別ID格納部
31 データ受信部
32 記憶部
33 処理部
34 異変通報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の存在を検出する人感センサと、
前記人感センサに接続され、人を検出した前記人感センサを特定する特定情報と検出時刻を特定する検出時刻情報とを対応付けて蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された情報に基づいて人の行動または人の現在の状態を特定し、特定した行動または状態に基づいて異変の発生を検知する異変検知手段と、
前記異変検知手段が異変の発生を検知した場合に、管理者に異変の発生を通報する異変通報手段と
を有することを特徴とする異変検知システム。
【請求項2】
前記人感センサは、
部屋の出入り口の外側に設置された第1の人感センサと、
前記部屋の出入り口の内側に設置された第2の人感センサと、を有し、
前記異変検知手段は、
前記第1の人感センサが人を検出した後、所定時間内に前記第2の人感センサが人を検出した場合に、人が前記部屋へ入室したと特定し、
入室を特定した後、一定時間内に、前記人感センサのいずれも人を検出しない場合には、人に異変が発生したと判別すること
を特徴とする請求項1に記載の異変検知システム。
【請求項3】
前記人感センサは、人が所定範囲内に入ったことを検出する手段と、人が所定範囲内から出たことを検出する手段と、を有し、
前記異変検知手段は、
前記人感センサが、人が所定範囲内に入ったことを検出した後、一定時間内に、人が所定範囲内から出たことを検出できない場合には、人に異変が発生したと判別すること
を特徴とする請求項1に記載の異変検知システム。
【請求項4】
前記人感センサは、マットと、該マットに備え付けられた圧力センサと、を有すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異変検知システム。
【請求項5】
前記圧力センサは、
人が前記マットの上を通過する際の圧力や振動を電気エネルギーに変換する圧電素子と、
前記圧電素子により、前記マット上の人の存在を検出する検出手段と、を有し、
前記人感センサは、
前記圧電素子が変換した電気エネルギーをエネルギー源として、前記蓄積手段に情報を送信する送信手段
を有することを特徴とする請求項4に記載の異変検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−209860(P2011−209860A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75211(P2010−75211)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】