説明

異物検査方法及び装置

【課題】異物の検査精度を向上させ検査者の負担を軽減する異物検査方法及び装置を提供する。
【解決手段】コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物Mを上部から照射する照明を、カメラ10の撮像軸Aと略同軸Bの同軸照明部21と、コンベア6の上方に形成された反射部26の略半球状反射面27による反射照明部25と、前記反射部26の下部からの直接照明部29とによって構成して被検査物Mの少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部21,25,29からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するとともに、前記コンベア6の下方にマトリックス状に配置したLED32よりなる赤外光照明31を配置して、前記コンベア6を透過して被検査物Mに対して該赤外光を照射して検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検査物の混入異物を検出する異物検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品等が包装された被検査物に混入した異物を検出するため、X線検査が行われている。このX線検査は、被検査物を透過したX線によって得られる画像に基づいて、被検査物に混入した異物(鉄粉、プラスチック等)を検出するものである(特許文献1参照。)。
【0003】
他の検査方法として、被検査物の上部から光を照射して撮影した画像に基づいて、被検査物に混入した異物を検出するものがある。
【0004】
しかしながら、このX線検査は、異物の種類によってはX線の透過によって得られる画像が鮮明ではなく、特に毛髪や虫等の異物を検出することができない。また、被検査物の上部から光を照射して異物を検出する方法は、被検査物の包装によって乱反射が生じて混入異物を検出することが困難である。従来の検査方法は、毛髪や虫等の異物検査が目視によってなされており、見落としにより検査精度が低下したり検査者が負担に感じるものであった。
【特許文献1】特開2000−39407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、毛髪や虫等の異物の検査精度を向上させるとともに検査者の負担を軽減する異物検査方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1の発明は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射することを特徴とする異物検査方法に係る。
【0007】
請求項2の発明は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査することを特徴とする異物検査方法に係る。
【0008】
請求項3の発明は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するとともに、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査することを特徴とする異物検査方法に係る。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1において、前記被検査物がプリンである異物検査方法に係る。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1又は3において、前記被検査物の混入異物が毛髪である異物検査方法に係る。
【0011】
請求項6の発明は、コンベア上の被検査物の混入異物を検査する装置において、コンベアの上方に配置して被検査物の検査画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像軸と略同軸の同軸照明部と、前記コンベアの上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって、前記被検査物を上部から照射する照明を構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに前記被検査物を上部から照射する照明光を異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射する上部照明手段と、前記コンベアの下方に配置して該コンベアを透過して前記被検査物に対して赤外光を照射する下部照明手段と、前記検査画像に基づいて前記被検査物の混入異物の有無を判定する判定手段とを有することを特徴とする異物検査装置に係る。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6において、前記判定手段が前記検査画像を2値化して予め定めた閾値と対比するものである異物検査装置に係る。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6又は7において、前記判定手段が線状画像を識別するものである異物検査装置に係る。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る異物検査方法によれば、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射することから、乱反射を防ぐとともにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能にした照明光によって被検査物の少なくとも表面部を無影化して異物の画像を鮮明にすることができ、異物の検査精度を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明に係る異物検査方法によれば、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査することから、コンベアを透過した赤外光によって被検査物の混入異物を鮮明にすることができ、異物の検査精度を向上させることができる。
【0016】
請求項3の発明に係る異物検査方法によれば、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するとともに、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査することから、乱反射を防ぐとともにコンベアの上方及び下方から光を照射して被検査物の少なくとも表面部を無影化して画像を鮮明にすることができ、異物の検査精度を向上させることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、請求項1において、前記被検査物がプリンであることから、乱反射を防ぐとともにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能にした照明光を上部から照射することよってプリンの少なくとも表面部を無影化して異物の画像を鮮明にすることができ、プリンに混入した異物を、精度を高めて検出することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、請求項1又は3において、前記被検査物の混入異物が毛髪であることから、光をコンベアの上方又はコンベアの上方及び下方から照射することによって異物の画像を鮮明にすることができ、被検査物に混入した毛髪を、精度を高めて検出することができる。
【0019】
請求項6の発明に係る異物検査装置によれば、コンベア上の被検査物の混入異物を検査する装置において、コンベアの上方に配置して被検査物の検査画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像軸と略同軸の同軸照明部と、前記コンベアの上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって、前記被検査物を上部から照射する照明を構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに前記被検査物を上部から照射する照明光を異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射する上部照明手段と、前記コンベアの下方に配置して該コンベアを透過して前記被検査物に対して赤外光を照射する下部照明手段と、前記検査画像に基づいて前記被検査物の混入異物の有無を判定する判定手段とを有することから、乱反射を防ぐとともにコンベアの上方及び下方から光を照射して被検査物の少なくとも表面部を無影化して画像を鮮明にすることができ、異物の検査精度を向上させ検査者の負担を軽減する異物検査装置とすることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、請求項6において、前記判定手段が前記検査画像を2値化して予め定めた閾値と対比するものであるから、被検査物に混入した異物が明確となって検査精度を向上させることができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、請求項6又は7において、前記判定手段が線状画像を識別するものであるから、毛髪等の線状の異物を有効に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明の異物検査方法のうち被検査物の上部からRGBの各色及びUVを組み合わせ可能な照明光を照射する実施例の概略側面図、図2は被検査物の下方から赤外光を照射する実施例の概略側面図、図3は被検査物の上部及び下部から光を照射する実施例の概略側面図、図4はこの発明の一実施例に係る異物検査装置の概略構成図である。
【0023】
請求項1の発明に係る異物検査方法は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するものである。この異物検査方法は、被検査物を上部から照射する照明を、同軸照明部と、反射照明部と、直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するものである。
【0024】
図1は、この異物検査方法の一実施例を示すものである。同軸照明部21は、図示するように、照明光を被検査物Mに対してカメラ10の撮像軸Aと略同軸Bに照射する。符号22は偏光レンズである。
【0025】
反射照明部25は、コンベア5の上方に形成された反射部26の略半球状反射面27からなるものである。この反射照明部25は、発光体28からの照明光を、前記反射面27に反射させ、被検査物Mに対してC方向から照射する。発光体28は円周状に配置される。
【0026】
直接照明部29は、反射部26の下部から照明光を被検査物Mに対して照射するものである。この直接照明部29は、図示するように、照明光を被検査物Mに対してD方向から照射する。直接照明部29は、照明光を被検査物Mに対して全方向から照射するように配置される。
【0027】
被検査物Mは、各照明部21,25,29により、照明光がB方向ないしD方向から照射される。これによって、被検査物Mの少なくとも表面部を無影化することができる。
【0028】
さらに、この異物検査方法は、図示するように、各照明部21,25,29からの照明光を異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するものである。
【0029】
被検査物Mは、各照明部21,25,29によって、RGB(赤色、緑色、青色)の各色及びUV(紫外線)を組み合わせ可能な照明光がB方向ないしD方向から照射される。ここでは、3種類(赤色、緑色、青色)のLEDと公知の紫外線LEDと公知の調光器とを組み合わせることにより、適宜の照明色が得られる。照明光は、乱反射を防ぐとともに被検査物Mに混入した異物の画像を鮮明にする。被検査物Mは、照明光を照射して撮像され、画像処理して混入異物が検出される。符号M1は検査前の被検査物、M2は検査後の被検査物、Sはスプロケットである。
【0030】
実施例では、被検査物Mが、プラスチック製容器に納められたもずくである。もずくは、各照明部21,25,29によって、B方向ないしD方向からUV(紫外線)が照射される。これによって、乱反射を防ぐとともにもずくに混入した異物の画像を鮮明にすることができる。もずくは、UV(紫外線)に限らず、前記RGBの各色を適宜に組み合わせたり前記RGBの各色及び該UVを適宜に組み合わせて混入異物の画像を鮮明にして検査される。
【0031】
実施例では、請求項4の発明として規定したように、前記被検査物Mをプリンとしている。RGBの各色及びUVを組み合わせ可能な照明光を上部から照射することにより、プリンの少なくとも表面部を無影化して異物の画像を鮮明にすることができ、プリンに混入した異物を、精度を高めて検出することができる。ここでは、プリンの表面に存在する異物(毛髪や虫)を、赤色の照明光を照射することによって検出した。
【0032】
実施例では、請求項5の発明として規定したように、前記被検査物Mに混入した毛髪を検出することができる。ここでは、被検査物Mが、プラスチック製容器に納められたひじきである。実施例の異物検査方法は、白色の照明光をコンベア5の上方から照射して毛髪の画像を鮮明にすることができ、ひじきの表面に存在する毛髪を検出することができる。
【0033】
請求項2の発明に係る異物検査方法は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査するものである。
【0034】
図2に図示するように、赤外光照明31が、コンベア6の下方に配置される。このコンベア6は、赤外光を透過させることができるものである。赤外光照明31は、マトリックス状に配置したLED32から放たれる。実施例では、被検査物Mが、プラスチック製容器に納められたくるみである。図1と同一の装置等は同一の符号を付しその説明を省略する。
【0035】
赤外光は、コンベア6とプラスチック製容器とを透過してくるみに照射される。これによって、くるみに混入した異物(例えばくるみの殻)を鮮明にすることができる。くるみは、赤外光を照射して撮像され、画像処理して混入異物が検出される。
【0036】
請求項3の発明に係る異物検査方法は、コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するとともに、前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査するものである。
【0037】
図3に図示するように、被検査物Mは、コンベア6によって搬送されて検査位置P に移動する。この被検査物Mは、同軸照明部21によってカメラ10の撮像軸Aと略同軸のB方向から、反射照明部25によって略半球状反射面27に反射させたC方向から、直接照明部29によってD方向から、それぞれ照明光が照射される。ここでは、各照明部21,29及び発光体28が、公知の調光器によりRGBの各色及びUVを組み合わせ可能な照明光を被検査物Mに照射する。照明光は、乱反射を防ぐとともにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能にして被検査物Mに混入した異物の画像を鮮明にする。
【0038】
この異物検査方法は、赤外光照明31によって赤外光を前記被検査物Mに照射する。ここでは、赤外光が、マトリックス状に配置したLED32によって照射される。この赤外光は、コンベア6と被検査物Mの収納容器とを透過して照射されて被検査物Mに混入した異物の画像を鮮明にする。被検査物Mは、図示するように、コンベア6の上方及び下方から光を照射して撮像され、画像処理して混入異物が検出される。この異物検査方法は、コンベア6の上方及び下方から光を照射して乱反射を防ぐとともに被検査物の少なくとも表面部を無影化して画像を鮮明にすることができ、被検査物Mに混入した異物を、精度を高めて検出することができる。図1及び図2と同一の装置等は同一の符号を付しその説明を省略する。
【0039】
実施例の異物検査方法は、請求項5の発明として規定したように、前記被検査物Mに混入した毛髪を検出することができる。ここでは、被検査物Mが、プラスチック製容器に納められてラップにより包まれた餃子である。この異物検査方法は、赤色の照明光をコンベア6の上方、赤外光をコンベア6の下方からそれぞれ照射して乱反射を防ぐとともに餃子の表面部を無影化して毛髪の画像を鮮明にすることができ、餃子の表面に存在する毛髪を、精度を高めて検出することができる。
【0040】
次に、上述した検査方法を実施する異物検査装置について説明する。この異物検査装置1は、図4に図示し請求項6の発明として規定したように、撮像手段10と、上部照明手段20と、下部照明手段30と、判定手段40とを有する。
【0041】
撮像手段10は、図示するように、コンベア6の上方に配置される。この撮像手段10は、上部照明手段20と下部照明手段30とによって被検査物Mに光が照射された検査画像を撮像するものである。実施例では、撮像手段10が、公知のCCDカメラによって構成される。ここでは、200万画像又は400万画素のCCDカメラを用いて被検査物Mの混入異物の検査精度を向上させている。
【0042】
被検査物Mに反射あるいは透過した光は、偏光レンズ22を介して撮像手段10に到達して検出される。撮像手段10は、検出された像を検査画像として撮像する。この検査画像は、各照明手段20,30によって鮮明となる。これによって、被検査物Mの混入異物の検査精度が向上する。
【0043】
上部照明手段20は、被検査物Mを上部から照射する照明を構成して被検査物Mの少なくとも表面部を無影化するとともに被検査物を上部から照射する照明光を異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するものである。この上部照明手段20は、前記同軸照明部21と、反射照明部25と、直接照明部29とからなるものである。
【0044】
実施例の同軸照明部21は、3種類(赤色、緑色、青色)のLEDと公知の紫外線LEDとによって構成され、照明光を被検査物Mに対して撮像手段10の撮像軸Aと略同軸Bに照射する。
【0045】
実施例の反射照明部25は、ドーム状の金属製部材によって形成される。この反射照明部25は、コンベア6の上方に形成された反射部26の略半球状反射面27からなり、発光体28からの照明光を、該反射面27に反射させ、被検査物Mに対してC方向から照射する。発光体28は、前記3種類のLEDと公知の紫外線LEDとによって構成されて円周状に配置される。
【0046】
実施例の直接照明部29は、前記3種類のLEDと公知の紫外線LEDとによって構成され、照明光を前記反射部26の下部から被検査物Mに対して照射する。ここでは、各LEDが、照明光を被検査物Mに対して全方向(D方向)から照射するように配置される。
【0047】
被検査物Mは、搬入部8からコンベア6に載せられて検査位置Pに移動する。被検査物Mは、検査位置Pに位置し上部照明手段20によって照明光が照射される。これによって、乱反射を防ぐことができる。この照明光は、照明色が公知の調光器によって被検査物Mの少なくとも表面部を無影化するように変えられる。この照明光は、照明色を被検査物に応じて適宜に変更し、異物の画像を鮮明することもできる。
【0048】
下部照明手段30は、前記コンベア6の下方に配置して該コンベア6を透過して前記被検査物Mに対して赤外光を照射するものである。実施例では、下部照明手段30が、コンベア6の下方にマトリックス状に配置したLED32からなり、赤外光を照射するものである。ここでは、LED32が約1万個配置される。符号31は赤外光照明である。
【0049】
検査位置Pの被検査物Mは、赤外光がLED32によってコンベア6を透過して照射される。赤外光は、被検査物Mに混入した異物を鮮明にする。例えば被検査物Mがプラスチック製容器に納めてラップにより包まれた餃子であるときは、赤外光が、該容器を透過し餃子の影を消して混入異物を鮮明にする。この赤外光は、強度が被検査物Mに応じて自動的に調節される。
【0050】
判定手段40は、前記検査画像に基づいて被検査物Mの混入異物の有無を判定するものである。実施例では、判定手段40が、公知の画像処理装置によって構成される。
【0051】
この判定手段40は、信号線S1によって検査画像の信号を受信する。判定手段40は、混入異物の画像を強調するように処理する。この画像処理は、判定手段40に入力されたプログラムによってなされる。このプログラムは、各種の異物を混入した被検査物を用いて試行し、各異物が検出できるように設計されている。符号50は画像表示装置(モニター)、S2は信号線である。検査者は、強調された異物画像を画像表示装置50によって確認することができ、検査の負担が軽減される。
【0052】
実施例の判定手段40は、請求項7の発明として規定したように、前記検査画像を2値化して予め定めた閾値と対比するものである。判定手段40は、異物の画像が濃く、他の画像が該異物画像よりも薄くなるように2値化する。これによって、異物が明確となって検査精度を向上させることができる。この判定手段40は、2値化した画像を予め定めた閾値と対比して、濃い画像が異物であると判定する。
【0053】
さらに、判定手段40は、請求項8の発明として規定したように、線状画像を識別するものである。判定手段40は、検査画像を2値化する際に線状画像を識別する。この実施例では、判定手段40が、異物(毛髪や釣り糸)を線状画像として識別して有効に検出することができる。判定手段40は、微分処理によって、検査画像のコントラストを大きくして異物の検査精度を向上させることもできる。
【0054】
異物が検出された被検査物Mは、公知の自動排出装置によってコンベア6から排出される。一方、異物が検出されなかった被検査物M2は、コンベア6によって搬送されて搬出部9から取り出される。
【0055】
この実施例では、異物検査装置1が、表1に示すように、上部から被検査物Mに照射する照明色を適宜に調節して、各種の異物を検出することができる。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の異物検査方法のうち被検査物の上部からRGBの各色及びUVを組み合わせ可能な照明光を照射する実施例の概略側面図である。
【図2】被検査物の下方から赤外光を照射する実施例の概略側面図である。
【図3】被検査物の上部及び下部から光を照射する実施例の概略側面図である。
【図4】この発明の一実施例に係る異物検査装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 異物検査装置
5,6 コンベア
10 撮像手段(カメラ)
20 上部照明手段
21 同軸照明部
25 反射照明部
26 反射部
27 略半球状反射面
29 直接照明部
30 下部照明手段
31 赤外光照明
32 LED
40 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、
被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射することを特徴とする異物検査方法。
【請求項2】
コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、
前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査することを特徴とする異物検査方法。
【請求項3】
コンベア上の被検査物の混入異物をコンベア上方に配置したカメラの画像処理によって検出するに際して、
被検査物を上部から照射する照明を、前記カメラの撮像軸と略同軸の同軸照明部と、コンベア上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに、前記各照明部からの照明光は異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射するとともに、
前記コンベアの下方にマトリックス状に配置したLEDよりなる赤外光照明を配置して、前記コンベアを透過して被検査物に対して該赤外光を照射して検査する
ことを特徴とする異物検査方法。
【請求項4】
前記被検査物がプリンである請求項1に記載の異物検査方法。
【請求項5】
前記被検査物の混入異物が毛髪である請求項1又は3に記載の異物検査方法。
【請求項6】
コンベア上の被検査物の混入異物を検査する装置において、
コンベアの上方に配置して被検査物の検査画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像軸と略同軸の同軸照明部と、前記コンベアの上方に形成された反射部の略半球状反射面による反射照明部と、前記反射部下部からの直接照明部とによって、前記被検査物を上部から照射する照明を構成して被検査物の少なくとも表面部を無影化するとともに前記被検査物を上部から照射する照明光を異物の種類に応じて当該異物を顕在化させるためにRGBの各色及びUVを組み合わせ可能に照射する上部照明手段と、
前記コンベアの下方に配置して該コンベアを透過して前記被検査物に対して赤外光を照射する下部照明手段と、
前記検査画像に基づいて前記被検査物の混入異物の有無を判定する判定手段
とを有することを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】
前記判定手段が前記検査画像を2値化して予め定めた閾値と対比するものである請求項6に記載の異物検査装置。
【請求項8】
前記判定手段が線状画像を識別するものである請求項6又は7に記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133052(P2006−133052A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321750(P2004−321750)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000198477)石塚硝子株式会社 (77)
【Fターム(参考)】