説明

畳塗り替え用ムース材とムース材収納容器及びムース材の塗布方法

【課題】畳表面に損傷等がある場合等でも、着色塗布材を畳表面の全体にむらなく均一に塗布できる、畳塗り替え用ムース材とムース材収納容器及びムース材の塗布方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなる、い草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器1に収容し、容器1は、片手操作可能な押圧操作部5の押圧により開放されたノズル4から噴出された塗り替えムース材2が畳27の表面にスポンジ26で均一に展延されて塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳にむらなく均一に塗布できる畳塗り替え用ムース材とムース材収納容器及び、ムース材の塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の家屋には、床の間などの和室が少なくとも1部屋はあるのが普通であり、そこには畳が敷かれている。畳はよく知られているように、稲わらを複数層交互に重ねて畳床を作り、床床の上にい草を編んだ畳表を置き、さらに畳縁で縁取りを行い職人の手作業や機械で縫い合わせて仕上げられる。畳は畳表(たたみおもて)が命といわれており、畳の表面の色艶が青々としていて、透明感があり、部屋に敷き詰めた時にその美しさが際立ち、これが和室に起居する人に安らぎを与えてくれる。
【0003】
しかし、和室の畳も最初は青々として美しいが、畳表のい草は植物であるのでその繊維質が日光によって日焼けしやすく、年月が経つと最初の青々とした色合いと透明感が失われて畳の表面から美観が失われることになる。
【0004】
このような場合、従来は古い畳全体を新しい畳と取り替えるか、または古い畳を床から剥がして畳職人の下で畳表だけを張り替えて修繕することが一般に行われているが、4畳半とか6畳の一部屋分の畳を修繕するとすれば、4.5枚〜6枚の畳をまとめて修繕することになり、畳を丸ごと取り替える場合に要するコストは勿論、畳表だけを張り替える場合にも高いコストがかかるという問題がある。
【0005】
畳の表面が日焼けしたとき、畳を丸ごと取り替え、又は畳表だけを張り替えるのではなく、この日焼けした畳の表面に畳専用の着色塗布材を塗布することで、日焼けした畳に本来の青々とした色艶や透明感を取り戻すことができる、塗布材による畳表面の着色塗り替え方法が知られている。この塗り替え方法は、液状の着色塗布材を収容した容器が市販されており、これを購入した消費者が自分の手作業で畳に塗布する。この場合、容器から一旦液状着色塗布材をトレイに所定量取り出し、刷毛等で均一に延ばしながら塗布して畳表面を新しい青々とした、い草色に塗り替えるものである。
【0006】
このように液状着色塗布材を畳の表面に塗布材して、日焼けした畳表面を新しく衣替えする方法は、畳を丸ごと取り替える場合に比べると勿論、畳表だけを張り替える場合に比べてもそのリニュアルに要するコストを数分の1に低減できる。なお、この種の先行技術に関する特許文献や非特許文献は見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の畳塗り替え用の液状着色塗布材は、液体状であって容器に収容されており、使用に際しては、この液体状の着色塗布材をトレイなどに一定量取り出し、このトレイに移した塗布材を刷毛に含ませて畳の表面に展延しながら塗布している。しかし、液体状の塗布材は畳の繊維質の部分には浸透しやすく、特に、畳表が傷ついて畳床の繊維が剥き出しになっている場所では塗布液が畳床の繊維に吸い込まれてこの部分の色が濃くなり色むらが生じる。このため畳1枚分の全体を色むらがないように均等に塗るのが難しく、結果、塗布に失敗することがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて提案されたもので、畳表面に損傷等があって畳床の繊維が剥き出しになっている場所があっても、着色塗布材が浸透せず、したがって畳表面の全体にむらなく均一に塗布できるようにした、畳塗り替え用ムース材とムース材収納容器及びムース材の塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0010】
第1の発明は、水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容してなる畳塗り替え用ムース材を特徴とする。
【0011】
第2の発明は、水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容し、前記容器は、片手操作可能な押圧操作部の操作によりノズルが開閉可能に構成され、かつ4畳半〜10畳の部屋の畳に塗布可能な容量のムース材が収容されている畳塗り替え用ムース材収納容器を特徴とする。
【0012】
第3の発明は、水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容し、前記容器に設けた片手操作可能な押圧操作部の操作により前記ノズルからムース材を噴出し、畳全体に均一に展延する畳塗り替え用ムース材の塗布方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る畳塗り替え用ムース材は、容器から噴出させたときは、安定なムース材 状を呈することでスプレッドとして畳表面への優れた展延性があり、畳表面に損傷などで畳床の繊維が剥き出しになっている所があっても、着色塗り替えムース材は畳床の繊維に浸透せず、表面に泡の状態で留まるので、この泡が壊れて液状とのなる前にスポンジなどで素早く全体に均等に塗り広げることができる。その後、塗布材が乾燥して固まることで、着色塗り替えムース材はもはや畳表面の損傷部に浸透しないから、畳1枚分の全体を色むらなく均等に塗ることができ、結果、着色塗り替え塗布材の塗布に失敗することがない。また、着色塗布材がムース材状であるので畳表面への付着性がよく、かつ噴出量や展延操作を加減でき、この点でも着色塗布材の無駄をなくして均一な塗布が可能となる。着色塗り替え塗布材自体の効果として、日焼けした畳の表面が本来の青々とした美しい、い草の色合いを取り戻し、低コストで古い畳のリニュアル化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
【0015】
図1は、ノズル付き収納容器1から塗り替えムース材2を噴出している状態を示す斜視図、図2(a)(b)は、収納容器1のノズル閉鎖時と開放時におけるムース材噴出機構の縦断面図、図3は、図2(a)のA−A線断面図である。
【0016】
ノズル付き収納容器1に収容された塗り替え塗布材は、水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、各種添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤(界面活性剤)を共存させた状態にあり、この混合液をLPG(液化プロパンガス)などの噴射剤とともに収容している。顔料は、い草色(つまり、グリーン色)の着色塗布液を作るために含有される。添加剤には種々の材料の添加剤が含まれ、顔料等を水に溶かすための添加剤、顔料等の沈降を遅らせる添加剤、紫外線をカットする添加剤、防錆、防かびの添加剤、つやだしの添加剤などが添加されている。
【0017】
ノズル付き収納容器1のムース材噴出機構は、例えば図2(a)(b)のようにノズル4を有する押圧操作部5と、連通孔6を有するノズル遮断用筒部7と、押圧操作部5の昇降を規制すると共に、ノズル遮断用筒部7を押さえるキャップ8と容器本体10とから成る。
【0018】
容器本体10の開口頂面には切り溝11が多数切削された椀状部材12の周縁部13を載置し、その上に同じく切り溝14が多数切削された支持板15の周縁部16を載置する。さらに、支持板15の周縁部16の上にノズル遮断用筒部7の下端の周縁部17を載置し、容器本体10のねじ部18にキャップ8のねじ部18を螺合し、キャップ8の内側段部19でノズル遮断用筒部7の下端の周縁部17を押さえる。
【0019】
押圧操作部5は、ノズル4を有する外周壁20と連通孔21を有する内周壁22を具備し、外周壁20と内周壁22の間にノズル遮断用筒部7がスライド自在に進入している。押圧操作部5はキャップ8の上部内周面にガイドされ、押圧操作部5の下端のストッパ23がキャップ8の上端の係合段部24に係合する範囲で昇降できる。また、支持板15と押圧操作部5の天板の下面との間には圧縮ばね25が設置されていて、押圧操作部5に上動力を付勢している。
【0020】
ノズル付き収納容器1のムース材噴出機構は前記の構成からなり、不使用時は図2(b)のように圧縮ばね25で付勢されて押圧操作部5は上動していて、押圧操作部5のノズル4と連通孔21はノズル遮断用筒部7によって遮断されていて、従って容器本体10内の着色塗布材は噴出されない。また、不使用時は図2(b)のように圧縮ばね25に抗して押圧操作部5を指先で押し下げることにより、押圧操作部5のノズル4と内周壁22の連通孔21とノズル遮断用筒部7の連通孔6が連通し、容器15内の着色塗布材は図1に示すように塗り替えムース材2としてノズル4から泡のかたまりとなって噴出される。
【0021】
前記の操作でノズル4から着色塗布材を噴出する際、容器本体10内の着色塗布材は、大小の泡状となってノズル4に向うが、椀状部材12に切削された多数の切り溝11と支持板15に切削された切り溝14を大小の泡が通過すとことで、大きさが揃っていて細粒化した泡となってノズル4から噴出される。なお、図示のムース材噴出機構は1例であって、これ以外の公知の噴出機構であっても構わない。
【0022】
前記のようにノズル付き容器から噴出された塗り替えムース材2を図1に示すようにスポンジ26に一定含ませ、または、直接畳27の表面に吹付け、前記スポンジまたは刷毛、ローラなどの塗布材(図には、スポンジ26の例を示す)で畳27に塗りつけて全体に展延して広げていく。この場合、塗り替えムース材2は泡状であるから畳27に損傷があってもその部位の繊維に急速に浸透することがなく、全体にむらなく均等に塗布でき、失敗がない。塗布した塗り替えムース材2を塗布した後、数十分(例えば、60分)経過すると着色塗り替えムース材は乾燥して畳みの表面に付着し、新しい畳と同じ青々としたい草の色が再現される。なお、塗り替えムース材2の塗布に際しては、ビニール手袋を用いると共に、畳みの縁にはムース材がかからないように、ガムテープ、隙間テープなどを張ってから塗布材を開始するのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】収納容器から畳用の塗り替えムース材をトレイに噴出している状態を示す斜視図である。
【図2】(a)(b)は、ノズル付き収納容器のノズル閉鎖時と開放時におけるムース材噴出機構の縦断面図である。
【図3】図2(a)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ノズル付き容器
2 塗り替えムース材
4 ノズル
5 押圧操作部
6 連通孔
7 ノズル遮断用筒部
8 キャップ
10 容器本体
11 切り溝
12 椀状部材
13 周縁部
14 切り溝
15 支持板
16 周縁部
17 周縁部
18 ねじ部
19 内側段部
20 外周壁
21 連通孔
22 内周壁
23 ストッパ
24 係合段部
25 圧縮ばね
26 スポンジ
27 畳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容してなることを特徴とする畳塗り替え用ムース材。
【請求項2】
水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容し、前記容器は、片手操作可能な押圧操作部の操作によりノズルが開閉可能に構成され、かつ4畳半〜10畳の部屋の畳に塗布可能な容量の前記着色塗布液が収容されていることを特徴とする畳塗り替え用ムース材収納容器。
【請求項3】
水、合成樹脂アクリル水性ワックス、顔料、添加剤等からなるい草色の着色塗布液と発泡剤を混合させ、この混合液を噴射剤とともにノズル付き容器に収容し、前記容器に設けた片手操作可能な押圧操作部の操作により前記ノズルからムース材を噴出し、畳全体に均一に展延することを特徴とする畳塗り替え用ムース材の塗布方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−131768(P2006−131768A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322714(P2004−322714)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(398006062)株式会社東京企画販売 (10)
【Fターム(参考)】