説明

疎水性添加剤

本発明は、a)1つ以上の水溶性保護コロイド30〜95質量%、b)場合によってはb2)1つ以上の有機珪素化合物と組み合わせた、アルカリ性条件下で脂肪酸および相応する脂肪酸アニオンを放出する、b1)脂肪酸および脂肪酸誘導体を含む群からの1つ以上の化合物5〜70質量%およびc)粘着防止剤0〜30質量%からなる、脂肪酸およびその誘導体を基礎とする、水中で分散されうる疎水性添加剤に関し、この場合質量%での量は、前記添加剤の全質量に対するものであり、全部で100質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸を基礎とする、水中で再分散可能な疎水性添加剤ならびにその誘導体および場合によっては有機珪素化合物、該化合物の製造法および該化合物の使用に関する。
【0002】
石灰またはセメントに結合された建築材料、例えば漆喰、パテ塗り用材料および建築用接着剤の場合には、前記建築材料を気候の影響から保護するという必要性が存在する。雨天時または降雪時には、建築材料、例えば漆喰の上塗りは、この上塗りの毛管活性によって湿潤され、このことは、建築材料に対する不可逆的な損傷をまねきうる。前記の損傷を阻止するために、建築材料を疎水化することは、既に長い間、実際に常用されている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2341085号明細書、欧州特許出願公開第342609号明細書および欧州特許出願公開第717016号明細書の記載から、石灰またはセメントに結合された漆喰に疎水化剤としての脂肪酸エステルを添加することは、公知である。この場合には、しばしばまさに前記添加剤の疎水性の性質は、不利である。この結果、このような疎水化剤を含有する乾燥漆喰を水と一緒に攪拌する場合には、前記材料はもはや湿潤させるのが困難であり、したがって加工可能性が明らかに劣化することをまねく。
【0004】
エチレン性不飽和モノマーの単独重合体または共重合体を基礎とする、水中で分散可能な粉末は、建築の範囲内で結合剤として、水硬性で結合する結合剤、例えばセメントとの組合せで使用されている。例えば、前記粉末は、建築用接着剤、漆喰、モルタルおよび着色剤中で機械的な強度および付着力の改善に使用されている。WO−A 95/20627、WO−A 02/31036およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10233933号明細書の記載から、疎水作用を有する添加剤、例えば有機珪素化合物および脂肪酸エステルを再分散性粉末の成分として乾燥モルタル中に使用することは、公知である。それによって、劣化された湿潤可能性および加工可能性の問題は、回避される。しかし、疎水作用は、再分散性粉末中の疎水化剤の含量に依存し、したがって任意には変動不可能である。
【0005】
欧州特許出願公開第1193287号明細書には、建築材料の疎水化のために、少なくとも1つの脂肪酸エステルを有する粉末組成物が推奨されている。そのために、脂肪酸エステルは、ともかく記載されたように再分散可能なポリマー粉末の成分として塗布されるが、まさに記載された欠点を伴なう。更に、1つの実施態様には、疎水化剤を不活性の無機担持材料上、例えば珪酸上に塗布された乾燥物質として使用することが提案されている。この場合には、それによって不活性物質を建築材料中に搬入することは、不利であり、このことは、建築材料の機械的強度に支障を及ぼしうる。
【0006】
従って、乾燥モルタル配合物の成分として、記載された困難なしに加工することができ、前記配合物の別の成分とは無関係に計量供給することができ、かつ不活性物質の搬入によって機械的な強度を減少させない、建築材料のための疎水性添加剤を提供するという課題が存在した。
【0007】
本発明の対象は、
a)1つ以上の水溶性保護コロイド30〜95質量%、
b)b1)アルカリ条件下で脂肪酸または相応する脂肪酸アニオンを放出する脂肪酸および脂肪酸誘導体を場合によってはb2)1つ以上の有機珪素化合物と組み合わせて含む群からの1つ以上の化合物5〜70質量%および
c}粘着防止剤0〜30質量%を含有する脂肪酸ならびにその誘導体を基礎とする、水中で再分散可能な疎水性添加剤であり、この場合質量%での記載は、添加剤の全質量に対するものであり、100質量%になるまで補充される。
【0008】
成分b1)としては、一般にアルカリ性条件下、有利にpH8超で脂肪酸または相応する脂肪酸アニオンを放出する脂肪酸および脂肪酸誘導体が適当である。好ましいのは、8〜22個のC原子を有する脂肪酸、その金属石鹸、そのアミドならびに1〜14個のC原子を有する一価アルコール、グリコール、ポリグリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、多糖類との前記脂肪酸のエステルの群からの脂肪酸化合物である。
【0009】
適当な脂肪酸は、それぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸である。例は、ラウリン酸(n−ドデカン酸)、ミリスチン酸(n−テトラデカン酸)、パルミチン酸(n−ヘキサンデカン酸)、ステアリン酸(n−オクタデカン酸)ならびにオレイン酸(9−ドデセン酸)である。
【0010】
適当な金属石鹸は、PSEの第1主族ないし第3主族または第2副族の金属ならびにアンモニウム化合物NXを有する上記脂肪酸の金属石鹸であり、この場合Xは、同一かまたは異なり、H、C〜Cアルキル基およびC〜Cヒドロキシアルキル基を表わす。好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛およびアンモニウム化合物を有する金属石鹸である。
【0011】
適当な脂肪酸アミドは、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンおよび上記のC〜C22脂肪酸を用いて得ることができる脂肪酸アミドである。
【0012】
成分b1)として適当な脂肪酸エステルは、記載されたC〜C22脂肪酸のC〜C14アルキルエステルおよびC〜C14アルキルアリールエステル、有利にメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、エチルヘキシルエステルならびにベンジルエステルである。
【0013】
また、適当な脂肪酸エステルは、C〜C22脂肪酸のモノグリコールエステル、ジグリコールエステルおよびポリグリコールエステルである。
【0014】
更に、適当な脂肪酸エステルは、20個までのオキシアルキレン単位を有するポリグリコールおよび/またはポリアルキレングリコールのモノエステルおよびジエステル、例えばポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。
【0015】
また、グリセリンと記載されたC〜C22脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステル、ならびにモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンと記載されたC〜C22脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステルも適当である。
【0016】
また、ソルビトールおよびマンニトールの脂肪酸エステルも適当である。
【0017】
特に好ましいのは、ラウリン酸およびオレイン酸のC〜C14アルキルエステルおよびC〜C14アルキルアリールエステル、ラウリン酸およびオレイン酸のモノグルコールエステルおよびジグリコールエステル、ならびにグリセリンとラウリン酸およびオレイン酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステルである。
【0018】
記載された脂肪酸および脂肪酸誘導体は、単独で使用されてもよいし、混合物で使用されてもよい。一般に、成分b1)は、それぞれ疎水性添加剤の全質量に対して5〜70質量%、特に10〜40質量%の量で使用される。
【0019】
場合によっては、記載された脂肪酸および脂肪酸誘導体は、有機珪素化合物b2)と一緒に使用されてよい。適当な有機珪素化合物は、珪酸エステルSi(OR′)、シラン、例えばテトラオルガノシランSiRおよびオルガノオルガノオキシシランSiR(OR′)4−n、但し、nは、1〜3であるものとし、有利に一般式RSi(SiRSiR、但し、nは、0〜500であるものとし、を有するポリシラン、'オルガノシラノールSiR(OH)4−n、一般式RSi(OR′)(OH)O(4−c−d−e−f)/2、但し、cは、0〜3であり、dは、0〜1であり、eは、0〜3であり、fは、0〜3であり、c+d+e+fの総和は、単位ごとに最大で3.5であるものとし、で示される単位からなるポリシロキサンであり、上記式中、それぞれRは、同一かまたは異なり、1〜22個のC原子を有する分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、2〜4個のC原子を有するアルケニル基ならびに6〜18個のC原子を有するアリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表わし、Rは、それぞれ1〜4個のC原子を有する同一かまたは異なるアルキル基およびアルコキシアルキレン基を表わし、有利にメチルおよびエチルを表わし、また、この場合には、基RおよびR′は、ハロゲン、例えばCl、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボン酸無水物基およびカルボニル基で置換されていてもよく、ポリシランの場合には、Rは、OR′を意味してもよい。.また、適当なのは、カルボシラン、ポリカルボシラン、カルボシロキサン、ポリカルボシロキサン、ポリシリレンジシロキサンである。
【0020】
成分b2)として好ましいのは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリ(エトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、β-ニトリルエチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルビニルトリ(エトキシエトキシ)シラン、テトラメチルジエトキシジシラン、トリメチルトリメトキシジシラン、トリメチルトリエトキシシラン、ジメチルテトラメトキシジシラン、ジメチルテトラエトキシジシラン、トリメチルシロキシ基で末端封鎖されたメチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ基で末端封鎖された、ジメチルシロキサン単位とメチル水素シロキサン単位とからなるコポリマー、ジメチルポリシロキサン、ならびに末端単位にSi-OH基を有するジメチルポリシロキサンである。たいていの場合に好ましいのは、オルガノオルガノオキシシランSiR(OR′)4−n、但し、nは1〜3であるものとし、殊にイソオクチルトリエトキシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランである。
【0021】
有機珪素化合物b2)は、単独および混合物で使用されてよい。特に、成分b2)は、それぞれ疎水性添加剤の全質量に対して0.1〜20質量%、特に1〜10質量%の量で使用される。記載された有機珪素化合物の製造は、Noll, Chemie und Technologie der Silicone,第2版、1968 WeinheimおよびHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第E20巻, Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1987) に記載されたのと同様の方法により行なうことができる。
【0022】
適当な保護コロイドは、部分鹸化されたポリビニルアルコールおよび完全に鹸化されたポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアセタール;水溶性の形の多糖類、例えば澱粉(アミロースおよびアミロペクチン)、セルロースおよびそのカルボキシメチル誘導体、メチル誘導体、ヒドロキシエチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体;蛋白質、例えばカゼインまたはカゼイン塩、大豆蛋白;ゼラチン;リグニンスルホネート;合成重合体、例えばポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシ官能性コモノマー単位を有する(メタ)アクリレートの共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルスルホン酸およびその水溶性共重合体;メラミンホルムアルデヒドスルホネート、ナフタリンホルムアルデヒドスルホネート、スチレンマレイン酸共重合体およびビニルエーテルマレイン酸共重合体である。
【0023】
好ましいのは、80〜100モル%の加水分解度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化されたポリビニルアルコール、殊に80〜95モル%の加水分解度および1〜30mPas、有利に3〜15mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度(20℃でのHoepplerによる方法、DIN 53015)を有する部分鹸化されたポリビニルアルコールである。
【0024】
また、好ましいのは、80〜100モル%の加水分解度および1〜30mPas、有利に3〜15mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された、疎水性に変性されたポリビニルアルコールである。このための例は、ビニルアセテートと疎水性コモノマーとの部分鹸化された共重合体、例えばイソプロペニルアセテート、ビニルピバレート、ビニルエチルヘキサノエート、5個または9〜11個のC原子を有する飽和α−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、ジアルキルマレイネートおよびジアルキルフマレート、例えばジイソプロピルマレイネートおよびジイソプロピルフマレート、塩化ビニル、ビニルアルキルエーテル、例えばビニルブチルエーテル、2〜12個のC原子を有するα−オレフィン、例えばエテン、プロペンおよびデセンである。疎水性単位の含量は、部分鹸化されたかまたは完全に鹸化されたポリビニルアルコールの全質量に対して特に0.1〜10質量%である。
【0025】
特に好ましいのは、95〜100モル%の加水分解度を有する、酢酸ビニルとイソプロペニルアセテートとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体である。記載されたポリビニルアルコールの混合物が使用されてもよい。
【0026】
たいていの場合に好ましいのは、85〜94モル%の加水分解度および3〜15mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度(20℃でのHoepplerによる方法、DIN 53015)を有する部分鹸化されたポリビニルアルコールならびに95〜100モル%の加水分解度を有する、酢酸ビニルとイソプロペニルアセテートとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体である。記載されたポリビニルアルコールは、当業者に公知の方法により得ることができる。
【0027】
疎水性添加剤を得るために、成分b)は、保護コロイドa)の水溶液中に攪拌混入され、例えば渦動層乾燥、薄膜乾燥(ローラー乾燥)、凍結乾燥または噴霧乾燥により乾燥される。特に前記の水性混合物は、噴霧乾燥される。この場合、噴霧乾燥は、常用の噴霧乾燥機中で行なわれ、その際、噴霧化は、一軸ノズル、二軸ノズルまたは多軸ノズルにより行なうことができるかまたは回転ディスクを用いて行なうことができる。出口温度は、一般に装置、樹脂のTgおよび望ましい乾燥度に応じて、45℃〜120℃、有利に60℃〜90℃の範囲内で選択される。
【0028】
保護コロイドの全体量は、疎水性添加剤の全質量に対して30〜95質量%であり;有利には、疎水性添加剤の全質量に対して40〜70質量%が使用される。
【0029】
噴霧化の場合には、しばしば成分b)の成分の含量に対して粘着防止剤1.5質量%までの含量が好ましいことが判明した。粘着防止安定性の改良によって貯蔵安定性を高めるために、疎水性添加剤の全質量に対して有利に1〜30質量%の粘着防止剤(焼付け防止剤)が備えられていてよい。粘着防止剤の例は、有利に10nm〜10μmの範囲内の粒径を有する、Ca炭酸塩またはMg炭酸塩、タルク、石膏、珪酸、カオリン、珪酸塩である。
【0030】
疎水性添加剤は、多様な使用範囲で使用されてよい。例えば、建築用接着剤、殊にタイル用接着剤および断熱用接着剤(Vollwaermeschutzkleber)、漆喰、パテ塗り用材料、床板用パテ塗り用材料、流展材料、パッキン用スラリー、接合部用モルタルおよび着色剤を製造するための場合によっては水硬性で結合する結合剤、例えばセメント(ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、スラグセメント、マグネシアセメント、燐酸塩セメント)または水ガラスと関連した建築化学的製品中または石膏含有材料、石灰含有材料またはセメントを含まない材料およびプラスチックに結合した材料中に使用されてよい。一般に、疎水性添加剤は、疎水化することができる処方物(水分なし)の全質量に対して0.1〜10質量%の量で使用される。
【0031】
特に好ましいのは、水中で再分散可能な重合体粉末と組み合わせた、上記使用範囲内での疎水性添加剤の使用である。水中で再び一次粒子に分解し、次に水中で分散されるような重合体粉末は、水中で再分散可能な重合体粉末と呼ばれる。適当な重合体は、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個のC原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1つ以上のモノマーを基礎とする重合体である。記載された重合体の混合物が使用されてもよい。特に記載された使用においては、水中で再分散可能な重合体粉末は、処方物(水分なし)の全質量に対して1〜50質量%が使用される。
【0032】
好ましいビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、1−メチルビニルアセテート、ビニルピバレートおよび5〜11個のC原子を有するα−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa5R, VeoVa9R,VeoVa10RまたはVeoVa11R (Shell社の商品名)である。
【0033】
好ましいメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートである。ビニル芳香族化合物として好ましいのは、スチレン、メチルスチレンおよびビニルトルエンである。好ましいビニルハロゲン化物は、塩化ビニルである。好ましいオレフィンは、エチレン、プロピレンであり、好ましいジエンは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。
【0034】
場合によっては、前記重合体は、エチレン性不飽和モノカルボン酸またはエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばアクリル酸;エチレン性不飽和カルボン酸アミド、例えば(メタ)アクリルアミドの群、エチレン性不飽和スルホン酸またはその塩、有利にビニルスルホン酸の群、ポリエチレン性不飽和コモノマー、例えばジビニルアジペート、ジアリルマレエート、アリルメタクリレートまたはトリアリルシアヌレートの群および/またはN−メチロール−(メタ)アクリルアミドならびにそのエーテル、例えばイソブトキシエーテルまたはn−ブトキシエーテルの群からの官能性コモノマー単位を重合体の全質量に対してなお0.1〜10質量%含有することができる。
【0035】
重合体としては、次に記載されたものが特に好ましく、質量%での記載は、場合によっては官能性コモノマー単位の含量と一緒に100質量%になるまで補充される。ビニルエステル重合体の群からは、ビニルアセテート重合体、1〜60質量%のエチレン含量を有するビニルアセテート−エチレン共重合体、1〜40質量%のエチレン含量および20〜90質量%の塩化ビニル含量を有するビニルエステル−エチレン−塩化ビニル共重合体、α−分枝鎖状カルボン酸の1つ以上の共重合可能なビニルエステル、例えばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニルエステル1〜50質量%を有するビニルアセテート共重合体、殊に場合によってはなおエチレン1〜40質量%を含有するベルサチック酸−ビニルエステル(VeoVa9,VeoVa10,VeoVa11);アクリル酸エステル1〜60質量%を有するビニルアセテート−アクリル酸エステル共重合体、殊に場合によってはなおエチレン1〜40質量%を含有するn−ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートが使用される。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル重合の群からは、n−ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートの重合体;メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体、メチルメタクリレートと1,3−ブタジエンとの共重合体が使用される。
【0037】
塩化ビニル重合体の群からは、上記のビニルエステル/塩化ビニル/エチル共重合体と共に、塩化ビニル−エチレン共重合体および塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体が使用される。
【0038】
スチレン重合体の群からは、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−アクリル酸エステル共重合体、例えばそれぞれ10〜70質量%のスチレン含量を有するスチレン−n−ブチル−アクリレートまたはスチレン−2−エチルヘキシルアクリレートが使用される。
【0039】
重合体は、自体公知の方法、特に乳化重合法により製造される。乳化剤で安定化された分散液ならびに保護コロイド、例えばポリビニルアルコールで安定化された分散液が使用されてよい。水中で再分散可能な重合体粉末を製造するために、それによって得ることができる重合体分散液は乾燥される。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥により行なうことができるかまたは分散液の凝集および引続く渦動層乾燥によって行なうことができる。好ましいのは、噴霧乾燥である。
【0040】
疎水性添加剤と一緒に、別の配合物成分とは無関係に計量供給することができる疎水化剤が提供される。添加剤の再分散可能な機能(Ausstattung)のために、疎水性添加剤の加工の際に現在まで発生している問題は、回避される。また、好ましいのは、保護コロイド含量である。それというのも、殊にポリビニルアルコールも結合剤として作用し、それによって建築材料の機械的強度の改善に貢献するからである。
【0041】
次の実施例は、本発明を更に詳説するために用いられる。
【0042】
実施例1:
ラウリン酸メチルエステル10質量部を13mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液10質量部ならびに4mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液90質量部からなる混合物と混合し、二物質流ノズルを用いて噴霧した。乾燥粉末をカルシウム−マグネシウム−炭酸塩を基礎とする粘着防止剤15質量%と混合した。
【0043】
実施例2:
ラウリン酸モノグリコールエステル10質量部およびイソオクチルトリエトキシシラン5質量部を13mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液10質量部ならびに4mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液90質量部からなる混合物と混合し、二物質流ノズルを用いて噴霧した。乾燥粉末をカルシウム−マグネシウム−炭酸塩を基礎とする粘着防止剤15質量%と混合した。
【0044】
実施例3:
プロピレングリコールジラウレート20質量部を4mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液100質量部と混合し、二物質流ノズルを用いて噴霧した。乾燥粉末をカルシウム−マグネシウム−炭酸塩を基礎とする粘着防止剤15質量%と混合した。
【0045】
比較例4:
4mPasのヘプラー粘度および88モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの30質量%の水溶液100質量部を、二物質流ノズルを用いて噴霧した。乾燥粉末をカルシウム−マグネシウム−炭酸塩を基礎とする粘着防止剤15質量%と混合した。
【0046】
使用技術的試験:記載された物質の疎水性作用を次の組成を有する乾燥モルタルを用いて測定した:
【0047】
【表1】

吸水試験厚さ4mmのモルタル層を多孔質コンクリート上にナイフ塗布する。この試料を側縁部で密閉し、モルタル層と一緒に下方から水中に浸漬した。次に、毎時間1m当たりの質量の増加率から吸水量をkg/m0.5で測定した。
【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ以上の水溶性保護コロイド30〜95質量%、
b)
b1)アルカリ条件下で脂肪酸または相応する脂肪酸アニオンを放出する脂肪酸および脂肪酸誘導体を、場合によっては
b2)1つ以上の有機珪素化合物と組み合わせて含む群からの1つ以上の化合物5〜70質量%、および
c)粘着防止剤0〜30質量%を含有する脂肪酸ならびにその誘導体を基礎とし、この場合質量%での記載は、添加剤の全質量に対するものであり、100質量%になるまで補充される、水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項2】
成分b1)として、8〜22個のC原子を有する脂肪酸、その金属石鹸、そのアミドならびに1〜14個のC原子を有する一価アルコール、グリコール、ポリグリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、多糖類との前記脂肪酸のエステルの群からの1つ以上の脂肪酸化合物を含有する、請求項1記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項3】
成分b1)として、それぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸のC〜C14アルキルエステルおよびC〜C14アルキルアリールエステル、それぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸のモノグリコールエステル、ジグリコールエステルおよびポリグリコールエステル、20個までのオキシアルキレン単位を有するポリグリコールおよび/またはポリアルキレングリコールとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノエステルおよびジエステル、グリセリンとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステル、ソルビットおよびマンニットとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸との脂肪酸エステルを含む群からの1つ以上の脂肪酸エステルを含有する、請求項1または2記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項4】
成分b2)として珪酸エステル、シラン、ポリシラン、オルガノシラノール、ジシロキサン、オリゴシロキサン、ポリシロキサン、カルボシラン、ポリカルボシラン、カルボシロキサン、ポリカルボシロキサン、ポリシリレンジシロキサンを含む群からの1つ以上の有機珪素化合物が含有されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項5】
成分b2)として、珪酸エステルSi(OR′)、テトラオルガノシランSiR、オルガノオルガノオキシシランSiR(OR′)4−n、但し、nは、1〜3であるものとし、一般式RSi(SiRSiR、但し、nは、0〜500であるものとし、'オルガノシラノールSiR(OH)4−n、一般式RSi(OR′)(OH)O(4−c−d−e−f)/2、但し、cは、0〜3であり、dは、0〜1であり、eは、0〜3であり、fは、0〜3であり、c+d+e+fの総和は、単位ごとに最大で3.5であるものとし、で示される単位からなるジシロキサン、オリゴシロキサンおよびポリシロキサンを含むむれからの1つ以上の有機珪素化合物を含有し、上記式中、それぞれRは、同一かまたは異なり、1〜22個のC原子を有する分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、2〜4個のC原子を有するアルケニル基ならびに6〜18個のC原子を有するアリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表わし、R′は、それぞれ1〜4個のC原子を有する同一かまたは異なるアルキル基およびアルコキシアルキレン基を表わし、また、この場合には、基RおよびR′は、ハロゲン、例えばCl、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボン酸無水物基およびカルボニル基で置換されていてもよく、ポリシランの場合には、Rは、OR′を意味してもよい、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項6】
成分a)として、80〜100モル%の加水分解度および1〜30mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化されたポリビニルアルコールまたは80〜100モル%の加水分解度および1〜30mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化され、疎水性に変性されたポリビニルアルコールを含む群からの1つ以上の保護コロイドを含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項7】
疎水性に変性されたポリビニルアルコールとしてビニルアセテートとイソプロペニルアセテート、ビニルピバレート、ビニルエチルヘキサノエート、5個または9〜11個のC原子を有する飽和α−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、ジアルキルマレイネートおよびジアルキルフマレート、塩化ビニル、ビニルアルキルエーテル、2〜12個のC原子を有するα−オレフィンを含む群からの1つ以上の疎水性コモノマーとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体が使用されている、請求項6記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項8】
成分a)として、85〜94モル%の加水分解度および3〜15mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたポリビニルアルコールならびに95〜100モル%の加水分解度を有する、ビニルアセテートとイソプロペニルアセテートとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体を含む群からの1つ以上の保護コロイドを含有する、請求項6記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項9】
1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個のC原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1つ以上のモノマーを基礎とする、水中で再分散可能な1つ以上の重合体粉末を組み合わされている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤の製造法において、成分b)を保護コロイドa)の水溶液中に攪拌混入し、引続き乾燥させることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤の製造法。
【請求項11】
建築用接着剤、漆喰、パテ塗り用材料、床板用パテ塗り用材料、流展材料、パッキン用スラリー、接合部用モルタルおよび着色剤を製造するための場合によっては水硬性で結合する結合剤、例えばセメントまたは水ガラスと関連した建築化学的製品中または石膏含有材料、石灰含有材料またはセメントを含まない材料およびプラスチックに結合した材料中への請求項1から9までのいずれか1項に記載の疎水性添加剤の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ以上の水溶性保護コロイド30〜95質量%、
b)
b1)アルカリ条件下で脂肪酸または相応する脂肪酸アニオンを放出する脂肪酸および脂肪酸誘導体を、場合によっては
b2)1つ以上の有機珪素化合物と組み合わせて含む群からの1つ以上の化合物5〜70質量%、および
c)粘着防止剤0〜30質量%を含有する脂肪酸ならびにその誘導体を基礎とし、この場合質量%での記載は、添加剤の全質量に対するものであり、100質量%になるまで補充される、水中で再分散可能な疎水性添加剤において、この添加剤が、成分b)を保護コロイドa)の水溶液中に攪拌混入し、引続きこの水溶液を乾燥させることにより得られたものであることを特徴とする、水中で再分散可能な疎水性添加剤
【請求項2】
成分b1)として、8〜22個のC原子を有する脂肪酸、その金属石鹸、そのアミドならびに1〜14個のC原子を有する一価アルコール、グリコール、ポリグリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、多糖類との前記脂肪酸のエステルの群からの1つ以上の脂肪酸化合物を含有する、請求項1記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項3】
成分b1)として、それぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸のC〜C14アルキルエステルおよびC〜C14アルキルアリールエステル、それぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸のモノグリコールエステル、ジグリコールエステルおよびポリグリコールエステル、20個までのオキシアルキレン単位を有するポリグリコールおよび/またはポリアルキレングリコールとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノエステルおよびジエステル、グリセリンとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸とのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルおよびトリ脂肪酸エステル、ソルビットおよびマンニットとそれぞれ8〜22個のC原子を有する分枝鎖状および非分枝鎖状の飽和および不飽和の脂肪酸との脂肪酸エステルを含む群からの1つ以上の脂肪酸エステルを含有する、請求項1または2記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項4】
成分b2)として珪酸エステル、シラン、ポリシラン、オルガノシラノール、ジシロキサン、オリゴシロキサン、ポリシロキサン、カルボシラン、ポリカルボシラン、カルボシロキサン、ポリカルボシロキサン、ポリシリレンジシロキサンを含む群からの1つ以上の有機珪素化合物が含有されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項5】
成分b2)として、珪酸エステルSi(OR′)、テトラオルガノシランSiR、オルガノオルガノオキシシランSiR(OR′)4−n、但し、nは、1〜3であるものとし、一般式RSi(SiRSiR、但し、nは、0〜500であるものとし、オルガノシラノールSiR(OH)4−n、一般式RSi(OR′)(OH)(4−c−d−e−f)/2、但し、cは、0〜3であり、dは、0〜1であり、eは、0〜3であり、fは、0〜3であり、c+d+e+fの総和は、単位ごとに最大で3.5であるものとし、で示される単位からなるジシロキサン、オリゴシロキサンおよびポリシロキサンを含む群からの1つ以上の有機珪素化合物を含有し、上記式中、それぞれRは、同一かまたは異なり、1〜22個のC原子を有する分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、2〜4個のC原子を有するアルケニル基ならびに6〜18個のC原子を有するアリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表わし、R′は、それぞれ1〜4個のC原子を有する同一かまたは異なるアルキル基およびアルコキシアルキレン基を表わし、また、この場合には、基RおよびR′は、ハロゲン、例えばCl、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボン酸無水物基およびカルボニル基で置換されていてもよく、ポリシランの場合には、Rは、OR′を意味してもよい、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項6】
成分a)として、80〜100モル%の加水分解度および1〜30mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化されたポリビニルアルコールまたは80〜100モル%の加水分解度および1〜30mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたかまたは完全に鹸化され、疎水性に変性されたポリビニルアルコールを含む群からの1つ以上の保護コロイドを含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項7】
疎水性に変性されたポリビニルアルコールとしてビニルアセテートとイソプロペニルアセテート、ビニルピバレート、ビニルエチルヘキサノエート、5個または9〜11個のC原子を有する飽和α−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、ジアルキルマレイネートおよびジアルキルフマレート、塩化ビニル、ビニルアルキルエーテル、2〜12個のC原子を有するα−オレフィンを含む群からの1つ以上の疎水性コモノマーとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体が使用されている、請求項6記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項8】
成分a)として、85〜94モル%の加水分解度および3〜15mPasの、4%の水溶液中でのヘプラー粘度を有する部分鹸化されたポリビニルアルコールならびに95〜100モル%の加水分解度を有する、ビニルアセテートとイソプロペニルアセテートとの部分鹸化されたかまたは完全に鹸化された共重合体を含む群からの1つ以上の保護コロイドを含有する、請求項6記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項9】
1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個のC原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1つ以上のモノマーを基礎とする、水中で再分散可能な1つ以上の重合体粉末を組み合わされている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水中で再分散可能な疎水性添加剤。
【請求項10】
a)1つ以上の水溶性保護コロイド30〜95質量%、
b)
b1)アルカリ条件下で脂肪酸または相応する脂肪酸アニオンを放出する脂肪酸および脂肪酸誘導体を、場合によっては
b2)1つ以上の有機珪素化合物と組み合わせて含む群からの1つ以上の化合物5〜70質量%、および
c)粘着防止剤0〜30質量%を含有し、この場合質量%での記載は、添加剤の全質量に対するものであり、100質量%になるまで補充される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の、脂肪酸およびその誘導体を基礎とする水中で再分散可能な疎水性添加剤の製造法において、成分b)を保護コロイドa)の水溶液中に攪拌混入し、引続き乾燥させることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の、脂肪酸およびその誘導体を基礎とする水中で再分散可能な疎水性添加剤の製造法。
【請求項11】
建築用接着剤、漆喰、パテ塗り用材料、床板用パテ塗り用材料、流展材料、パッキン用スラリー、接合部用モルタルおよび着色剤を製造するための場合によっては水硬性で結合する結合剤、例えばセメントまたは水ガラスと関連した建築化学的製品中または石膏含有材料、石灰含有材料またはセメントを含まない材料およびプラスチックに結合した材料中への請求項1から9までのいずれか1項に記載の疎水性添加剤の使用。

【公表番号】特表2006−526065(P2006−526065A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515281(P2006−515281)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005154
【国際公開番号】WO2004/103928
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(300006412)ワッカー ポリマー システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johannes−Hess−Strasse 24, D−84489 Burghausen, Germany
【Fターム(参考)】