説明

疎水性表面残留コーティングを有する物品の形態のパーソナルケア組成物

本発明は、パーソナルケア組成物、特に多孔質、溶解性固体構造物である物品の形態のパーソナルケア組成物に関連する。本物品は、含有される疎水性有効成分の付着効率の向上を提供できる疎水性表面残留コーティングを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物、特に多孔質、溶解性固体構造物である物品の形態のパーソナルケア組成物に関連する。本物品は、含有される疎水性有効成分の付着効率の向上を提供できる疎水性表面残留コーティングを有する。
【背景技術】
【0002】
市場に存在するパーソナルケア製品の大多数は液体製品として販売されている。広範に使われているが、液体製品は梱包、保管、運送、並びに使用の便宜という観点から不都合を有する。このような製品は、毛髪及び/又は皮膚への表面付着を目的とする疎水性有益剤(例えば、シリコーンなどのヘアコンディショニング剤)を通常含有する。このような製品は典型的にはかなりの量の水を処方中に含むため、このような疎水性有益剤の組み込みは困難であることがあり、疎水性有効成分をもたらすために乳化などの処方技術を必要とする。更に、このような製品は水性環境(例えば、シャワー)で用いられるため、予め乳化された疎水性有益剤は、これらが十分に付着できる前に毛髪及び/又は皮膚から洗い流されてしまう傾向を有し、付着効率は最適付着効率よりも低くなり、それゆえに有益剤を浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえに、皮膚及び/又は毛髪への疎水性有効成分の表面付着のレベルの向上をもたらすことができるパーソナルケア製品への必要性が存在する。このようなパーソナルケア製品が非水性形態で提供されることに対しても必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前述の要求を満たす。本発明は、全頭髪及び/又は全身の皮膚に適用するために疎水性有益剤を十分に局所送達する一方で、消費者の手の平の中で便利にかつ速かに溶解して、毛髪/皮膚への適用が容易であるような液体製品を再構成する溶解性固体パーソナルケア製品を提供する。
【0005】
1つの態様では、本発明は、
(a)約0%〜約10%のイオン性界面活性剤と、
(b)非界面活性剤系美容有益剤を含む、約1%〜約60%の疎水性表面残留コーティングと、
(c)約15%〜約70%の、約40,000〜約500,000の重量平均分子量を有する高分子構造化剤と、
(d)約1%〜約30%の可塑剤と、
を含む多孔質溶解性固体構造物の形態の可撓性パーソナルケア物品を提供し、この物品は、約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3の密度を有する。
【0006】
特定の実施形態では、本物品は、
(a)約23%〜約75%のイオン性界面活性剤と、
(b)非界面活性剤系美容有益剤を含む、約1%〜約60%の疎水性表面残留コーティングと、
(c)約10%〜約50%の水溶性ポリマーと、
(d)約1%〜約30%の可塑剤と、
を含む多孔質溶解性固体構造物の形態の発泡性パーソナルケア物品であり、この物品は約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3の密度を有する。
【0007】
驚くことに、物品製造中に従来のエマルションとして、すなわち、連続的固体構造内に、有効成分を添加する代わりに、物品上のコーティングとして有効成分をコーティングする又は含める(例えば、物品の構造物の固体/空気境界面上に吸着させる)ことにより、有効成分(例えば、シリコーン)の付着効率の改善を達成できることが判明した。これは、特に櫛通しに難点を生じることなく毛髪に付着させるためにはシリコーンが通常は液体中に分散/乳化される必要がある(例えば、特に例に示される高粘性シリコーン「ガム」は、0.33m2/秒(330,000センチストークス)の粘度を有する)ことからすると、驚きである。
【0008】
理論に束縛されるものではないが、主に開放気泡型の多孔質物品は、油が広がって大表面積の顕微鏡レベルに薄いコーティングを作り出す、連続的で利用しやすい大表面積「スカフォールド」(「壁体」の三次元網状組織)を提供すると考えられている。得られる高い油:固体表面積により、水で多孔質固体が溶解した際に、油はその場で分散して、本明細書に示すように、均一な付着及び手ざわり特性を示すことができると考えられている。更に、このコーティング法は、油:界面活性剤が密接する機会を最小化し(乳化が少なくなり)、これは付着効率をより大きくする。更に、これらの効果は、相不安定性が製品の貯蔵寿命に悪影響を与えることなく、達成することができる。
【0009】
更に、本発明は、任意の非水溶性流体、液体及び/又はガム(例えば、代替的シリコーン、トリグリセリド、炭化水素油、香油)を乳化させることなく送達する方法を提供する。これは香料などの揮発性有効成分の場合に特に有用であり、一部の香料は、本明細書に記載するような多孔質溶解性固体構造物の調製において利用される乾燥工程中に雰囲気に失われてしまう。
【0010】
別の態様では、本発明は、以下を含む物品の製造方法を提供する:(1)界面活性剤と溶解した高分子構造化剤と可塑剤と所望により他の任意成分とを含む加工混合物を調製する工程、(2)その混合物内にガスを導入することにより加工混合物を気泡化して、湿潤気泡化混合物を形成する工程、(3)湿潤気泡化混合物を所望の1つ以上の形状に形成する工程、(4)湿潤気泡化混合物を所望の最終水分含量まで(例えば、エネルギーを加えることにより約0.1〜約25%の水分)まで乾燥させて、多孔質溶解性固体構造の形態の物品を形成する工程、及び(5)疎水性表面残留コーティングが物品の固体/空気境界面に吸着してコーティング物品を形成するように、物品に疎水性表面残留コーティングを塗布する工程。このコーティングは、非界面活性剤系美容有益剤(例えば、美容有効成分)を含むことができる。
【0011】
加えて、本発明は、物品が販売若しくは使用時点において、最終消費者によるか又はサロンなどの専門家によるかのいずれかでカスタム化できる手段を提供する。これは、カスタム化された使用状況を提供することができ、1つ以上の所望の美容効果を達成するために消費者が様々な有益剤の中からどれかを選択すること(例えば、芳香剤、ヘアコンディショニング剤の選択)を可能にする。この実施形態では、物品の製造方法は、以下を含む:(1)本明細書に記載の多孔質溶解性固体構造物の形態のパーソナルケア物品を得る工程、及び(2)この物品の固体/空気境界面上に吸着する非界面活性剤系有益剤を含む疎水性表面残留コーティングを塗布する工程。
【0012】
物品の表面に吸収される表面残留コーティングを形成するように物品に疎水性有益剤を適用するために、任意の好適な適用方法を使用することができる。例えば、これは、噴霧、展着、滴下、プリント、異なる物品間若しくは同一物品の異なる部分の間でのサンドイッチ、層化、注入、ロールオン又は浸漬で行うことができる。疎水性有益剤は、物品の外面の部分又は全域に適用することができ、飾り、装飾、ロゴ形成、デザインなどの方法で適用することができる。
【0013】
疎水性表面残留コーティングは「流動可能」であるが、これは物品への適用時に液体状態であり、25℃〜80℃の温度にて0.33m2/秒(3,000,000センチストークス)の粘度を有することを意味する。
【0014】
このコーティングはまた疎水性であり、0(cal/cm31/2〜10(cal/cm31/2、特定の実施形態では1(cal/cm31/2〜10(cal/cm31/2、いくつかの実施形態では約3〜約10(cal/cm31/2、他の実施形態では約5〜約10(cal/cm31/2のVaughanの溶解度パラメーター(「VSP」)を有し、非界面活性剤系美容有益剤を含む。疎水性コーティングは、液体、複合液体、油、分散した相(例えば、固体又は液体のいずれか)を有する油、エマルション又はこれらの混合物などの任意の好適な形態であることができる。Vaughanの溶解度パラメーターは、VaughanによりCosmetics and Toiletries,Vol.103で定義されているように、決定される。約5〜約10の範囲のVSP値を有する疎水性湿潤物質の非限定例としては、次のものが挙げられる:ジメチコン5.92、スクアレン6.03、ペトロラタム7.33、パルミチン酸イソプロピル7.78、ミリスチン酸イソプロピル8.02、ヒマシ油8.90、コレステロール9.55、ベニバナ油6.42及び白色鉱油7.09(Solubility,Effects in Product,Package,Penetration and Preservation,C.D.Vaughan,Cosmetics and Toiletries,Vol.103,October 1988に報告されている通り)。
【0015】
特定の実施形態では、本パーソナルケア物品は、約125グラム/m2〜約3,000グラム/m2、1つの実施形態では約200グラム/m2〜約2,500グラム/m2、別の実施形態では約300グラム/m2〜約2,000グラム/m2、更に別の実施形態では約400グラム/m2〜約1,500グラム/m2の坪量を有する。
【0016】
特定の実施形態では、本パーソナルケア物品は、約0.5mm〜約10mm、特定の実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、更に別の実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。
【0017】
1つの実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーのうちの少なくとも1つは、水溶性ポリマーの2重量%溶液が20℃で約4センチポアズ〜約80センチポアズの粘度を与えるように、選択される。
【0018】
1つの実施形態では、本パーソナルケア物品は、非常に低い泡体積を有し、これは約0mL〜約20mL、他の実施形態では約0mL〜約15mL、更に他の実施形態では約0mL〜約10mLであり得る。別の実施形態では、パーソナルケア物品は、発泡性物品であり、20mLを超える泡体積を有する。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、本発明の以下の詳細な説明を読むことによって当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、添付図面と併せ読むことにより、よりよく理解されると考えられる。
【図1】本明細書の実施例12からの同じ断面図の、元々のSEM像(左側)とシリコーンのSEM元素マップ(右側)との代表的な断面比較。シリコーンの存在は、白色として示される。
【図2】本明細書の実施例12からの同じ断面図の、元々のSEM像(左側)とシリコーンのSEM元素マップ(右側)との代表的な断面比較。シリコーンの存在は、白色として示される。
【図3】本明細書の実施例12からの同じ断面図の、元々のSEM像(左側)とシリコーンのSEM元素マップ(右側)との代表的な断面比較。シリコーンの存在は、白色として示される。
【図4】本明細書の実施例12からの同じ断面図の、元々のSEM像(左側)とシリコーンのSEM元素マップ(右側)との代表的な断面比較。シリコーンの存在は、白色として示される。
【0021】
これらの図から、ケイ素(シリコーンの代表)が主に多孔質固体/空気境界面に残留し、その一方で、切断したばかりの固体気泡壁の内部にわたって分布していることが明瞭に理解できる。これらの図は、複数の固体/空気境界面(上面及び固体内部の露出空隙内の両方)にわたる表面残留コーティングとしてのシリコーン系美容有効成分の存在を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
特に記載のない限り、本発明の全ての実施形態において、全ての濃度及び百分率は、組成物全体の重量(例えば、物品の総重量)によるものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。全ての範囲は、包括的であり結合可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと解される。特に指示がない限り、全測定は25℃にて周囲条件下で行われたものと理解され、「周囲条件」は、圧力約1気圧の下及び約50%の相対湿度における条件を意味する。列挙される成分に関するこのような全ての重量は、活性濃度に基づいており、別段の指定がない限り、市販の物質に包含されている可能性のあるキャリアや副生成物を包含しない。
【0023】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」とは、過度の望ましくない効果を伴わずに、哺乳類のケラチン性組織に適用され得る組成物を意味する。パーソナルケア組成物は、本明細書に開示されるように、物品(多孔質溶解性固体基材)の形態であることができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、「ケラチン性組織」とは、哺乳類の最も外側の保護被覆として配置されるケラチン含有層を意味し、これには皮膚、毛髪、頭皮、及び爪が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「非界面活性剤系美容有効成分」又は「美容有効成分」又は「有益剤」又は「美容有益剤」は、哺乳類ケラチン性組織に適用されるとケラチン性組織に効果をもたらす、1つの非界面活性剤系物質又は1つ以上の非界面活性剤系物質の混合物を意味する。本明細書で使用するとき、用語「非界面活性剤系美容有効成分」及び「美容有効成分」は互換的に使用される。用語「非界面活性剤系美容有効成分」は、皮膚ケア有効成分、毛髪ケア有効成分、及び美容有効成分を含むのに十分幅広く、本出願を通してこのような用語と互換的に使用することができる。美容有効成分は、皮脂防止、皮膚及び毛髪の、脂ぎった及び/又は光沢のある外観の低減、乾燥状態、かゆみ及び/又はカサカサ感(flakiness)の低減、皮膚の毛穴の大きさ、剥離、落屑の低減、ケラチン組織の外観の改善、コンディショニング、なめらかにすることなどが挙げられるが、これらに限定されない美容効果をもたらし得る。
【0026】
哺乳類ケラチン性組織に関して本明細書で使用するとき、「美容効果」又は「効果」としては、洗浄、皮脂防止、皮膚及び毛髪の、脂ぎった及び/又は光沢のある外観の低減、乾燥状態、かゆみ及び/又はカサカサ感(flakiness)の低減、皮膚の毛穴の大きさ、剥離、落屑の低減、ケラチン組織の外観の改善、コンディショニング、なめらかにすることなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「コンディショニング効果」は、光沢、柔軟性、櫛通しの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、ダメージ、扱いやすさ、ボリューム及び脂っぽさに関して、消費者に認識された1つ以上の効果を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「溶解性」は、多孔質溶解性固体基材が、本明細書に記載の「手溶解方式試験」を満足する溶解度を有することを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、「多孔質溶解性固体基材」は、周囲大気のガス、典型的には空気、を含有する隙間又は気泡の網状組織を定義するする固体の、相互結合した、ポリマー含有マトリックスを意味する。その構造物の相互結合性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)、又は開放気泡含有率によって記載され得る。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「コーティング」は、多孔質溶解性固体基材の表面の少なくとも一部分上に有効成分を配置すること指す。基材の多孔質性に起因して、有効成分は、露出された固体/空気境界面の全てにわたって均一に広がることはない。むしろ、本発明の有効成分は、典型的には、コーティング適用地点から重力に従って空隙の中に広がる。
【0031】
非界面活性剤系疎水性美容有益剤
本発明の物品は、疎水性表面残留コーティングを含み、ここで、このコーティングは、非界面活性剤系美容有益剤であるか又はそれを含む。本物品は、1つの実施形態では約1%〜約60%、他の実施形態では約1%〜約25%、別の実施形態では約1%〜約15%、更に別の実施形態では約5%〜約10%の疎水性表面残留コーティングを含む。
【0032】
任意の好適な非界面活性剤系疎水性美容有益剤を使用することができる。例えば、これらとしては、シリコーン、ペトロラタム、炭化水素油(例えば、鉱油)、天然及び合成ワックス(例えば、マイクロクリスタリンワックス)、パラフィン、オゾケライト、ポリエチレン、ポリブテン、ポリデセン、ペンタヒドロスクアレン、植物油、トリグリセリド、油脂並びにこれらの組み合わせなどの毛髪又は皮膚コンディショナーを挙げることができる。更に、有益剤は、香料(例えば、香油)であることができる又はそれを含むことができる。本明細書に用いるのに好適ないくつかの有益剤は、以下に記載される。
【0033】
コンディショニング剤
コンディショニング剤は、特別なコンディショニング効果を毛髪及び/又は皮膚に与えるために用いられるいかなる物質も包含する。毛髪トリートメント組成物において、好適なコンディショニング剤としては、光沢、柔軟性、櫛通しの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、ダメージ、扱いやすさ、ボリューム及び脂っぽさに関する1つ以上の効果をもたらすものが挙げられる。本発明の組成物に有用なコンディショニング剤は、典型的には、非水溶性及び不揮発性の液体を含む。本組成物に用いるのに好適なコンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、屈折率の高いシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)若しくはこれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、又はさもなければ本明細書の水性界面活性剤マトリックス中に液状の分散した粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0034】
組成物のコンディショニング剤の濃度は、所望のコンディショニングの利点を提供するのに十分でなくてはならず、また当業者には明白である。このような濃度は、コンディショニング剤、所望のコンディショニング性能、他の構成成分の種類及び濃度、並びに他の同様の要因により様々であり得る。
【0035】
1.シリコーン
本発明の組成物のコンディショニング剤は、好ましくは、不溶性シリコーンコンディショニング剤である。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。不揮発性シリコーンコンディショニング剤が好ましい。揮発性シリコーンが存在する場合、典型的にはシリコーンガムや樹脂のような、市販の形態の不揮発性シリコーン物質成分のための溶媒又はキャリアとしてのそれらの使用に付随する。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでもよく、またシリコーン流体の付着効率を改善するか又は毛髪の光沢度を高めるための他の成分(シリコーン樹脂など)を更に含んでもよい。
【0036】
シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的には約0.5%〜約30%、1つの実施形態では約1%〜約24%、別の実施形態では約2%〜約16%、別の実施形態では約3%〜約8%の範囲である。適したシリコーンコンディショニング剤及びシリコーンのための任意の懸濁剤の非限定例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されている。本発明の組成物に用られるシリコーンコンディショニング剤は、25℃で測定したときに、約0.00002〜約2m2/秒(約20〜約2,000,000センチストークス)(「cSt」)、1つの実施形態では約0.001〜約1.8m2/秒(約1,000〜約1,800,000cSt)、他の実施形態では約0.05〜約1.5m2/秒(約50,000〜約1,500,000cSt)、特定の実施形態では約0.1m2/秒〜約1.5m2/秒(約100,000〜約1,500,000cSt)の粘度を有することができる。
【0037】
シリコーン流体、ガム及び樹脂、並びにシリコーンの製造を議論する項を包含するシリコーンの背景資料は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp.204〜308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に見出される。
【0038】
本発明のヘアコンディショニング有効成分は、高分子量のポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサン及びシリコーンガム;低分子量の液体ポリジメチルシロキサン流体;並びにアミノシリコーンが挙げられる、1つ以上のシリコーンを含むことができる。
【0039】
高分子量のポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサン及びシリコーンガムは、25℃で、1つの実施形態では約100,000mPa・s〜約30,000,000mPa・s、別の実施形態では約200,000mPa・s〜約30,000,000mPa・sの粘度を、並びに、約100,000〜約1,000,000、いくつかの実施形態では約120,000〜約1,000,000の分子量を有する。
【0040】
本明細書で有用な好ましいより高分子量のシリコーン化合物としては、以下の構造を有するポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0041】
【化1】

式中、R93はアルキル又はアリールであり、pは、約1,300〜約15,000、より好ましくは約1,600〜約15,000の整数である。Z8は、シリコーン鎖の末端を封鎖する基を表す。シロキサン鎖上で置換されるアルキル若しくはアリール基(R93)又はシロキサン鎖の末端に置換されるアルキル若しくはアリール基Z8は、得られるシリコーンが室温で流体のままであり、分散性があり、毛髪に適用されたときに刺激性がなく、毒性やその他の害もなく、組成物の他の構成成分と相溶性があり、通常の使用及び保管条件下で化学的に安定であり、毛髪に付着することができ、毛髪の状態を整える限り、いかなる構造をも有することができる。好適なZ8基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。ケイ素原子上の2つのR93基は、同一の基又は異なる基を表してもよい。好ましくは、2つのR93基は同一の基を表す。好適なR93基としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル及びフェニルメチルが挙げられる。好ましいシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンである。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。本明細書で有用な市販のシリコーン化合物としては、例えば、General Electric Companyから入手可能なTSF451シリーズ、及びDow Corningから入手可能なSH200シリーズが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用され得るシリコーン化合物としては、シリコーンガムも挙げることができる。本明細書で使用するとき、用語「シリコーンガム」は、25℃で1,000,000mPa・s以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン物質を意味する。本明細書に記載のシリコーンガムはまた、上に開示したシリコーン化合物と一部重複する部分も有り得るとみなされる。この重複は、これらの物質のいずれにおいても限定を意図しない。「シリコーンガム」は、典型的に約165,000を超え、一般的に約165,000〜約1,000,000の質量分子量を有する。具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で有用な市販のシリコーンガムとしては、例えば、General Electric Companyから入手可能なTSE200A及びCF330Mが挙げられる。
【0043】
より低分子量のシリコーンは、25℃で、約1mPa・s〜約10,000mPa・s、いくつかの実施形態では約5mPa・s〜約5,000mPa・sの粘度を、並びに、約400〜約65,000、いくつかの実施形態では約800〜約50,000の分子量を有する。
【0044】
本明細書で有用な好ましいより低分子量のシリコーン化合物としては、以下の構造を有するポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0045】
【化2】

式中、R93はアルキル又はアリールであり、pは約7〜約850の整数であり、より好ましくは約7〜約665の整数である。Z8は、シリコーン鎖の末端を封鎖する基を表す。シロキサン鎖上で置換されるアルキル若しくはアリール基(R93)又はシロキサン鎖の末端に置換されるアルキル若しくはアリール基Z8は、得られるシリコーンが室温で流体のままであり、分散性があり、毛髪に適用されたときに刺激性がなく、毒性やその他の害もなく、組成物の他の構成成分と相溶性があり、通常の使用及び保管条件下で化学的に安定であり、毛髪に付着することができ、毛髪の状態を整える限り、いかなる構造をも有することができる。好適なZ8基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。ケイ素原子上の2つのR93基は、同一の基又は異なる基を表してもよい。好ましくは、2つのR93基は同一の基を表す。好適なR93基としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル及びフェニルメチルが挙げられる。好ましいシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンである。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。本明細書で有用なこれらのシリコーン化合物の市販のものとしては、例えば、General Electric Companyから入手可能なTSF451シリーズ、及びDow Corningから入手可能なSH200シリーズが挙げられる。
【0046】
1つの実施形態では、本発明の活性剤には1つ以上のアミノシリコーンが含まれる。アミノシリコーンは、本明細書で提供されるように、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又は第四級アンモニウム基を含むシリコーンである。好ましいアミノシリコーンは、このアミノシリコーンの約0.5重量%未満、より好ましくは約0.2重量%未満、更に好ましくは約0.1重量%未満の窒素を有していてよい。アミノシリコーン中の窒素(アミン官能基)の濃度が高くなるほど、摩擦低下が生じにくくなり、またその結果、アミノシリコーンからのコンディショニング効果が減少する傾向がある。いくつかの製品形態においては、本発明にしたがってより高い濃度の窒素も許容範囲であることを理解すべきである。
【0047】
アミノシリコーンは、特定の実施形態では約1,000センチストークス(「cSt」)〜約100,000cSt、別の実施形態では約2,000cSt〜約50,000cSt、更に別の実施形態では約4,000cSt〜約40,000cSt、更に別の実施形態では約6,000cSt〜約30,000cStの粘度を有する。本明細書に記載のアミノシリコーンの粘度は25℃で測定される。
【0048】
アミノシリコーンは、本発明の組成物中に、約0.5重量%〜約30重量%、別の実施形態では約1.0重量%〜約24重量%、別の実施形態では約2.0重量%〜約16重量%、更に別の実施形態では約3.0重量%〜約8重量%の濃度で含有することができる。
【0049】
本発明の実施形態に用られる好ましいアミノシリコーンの例としては、一般式(I)に適合するものが挙げられるが、これらに限定されない:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a
(I)
式中、Gは水素、フェニル、ヒドロキシ又はC1〜C8アルキル、好ましくはメチルであり、aは0又は1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは0、1又は2、好ましくは1であり(ここで、aが0である場合、bは2ではない)、nは0〜1,999の数であり、mは0〜1,999の整数であり、nとmとの合計は1〜2,000の数であり、a及びmは両方共に0にはならず、R1は一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基:−N(R2)CH2−CH2−N(R22、−N(R22、−N(R2)+3-、−N(R2)CH2−CH2−N R22-から選択され、式中、R2は水素、フェニル、ベンジル又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C1〜約C20のアルキルラジカルであり、A-はハロゲン化物イオンである。
【0050】
本明細書での使用のためのいくつかのシリコーンとしては、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600であり、Lは−N(CH32又は−NH2であり、より好ましくは−NH2である、式(I)に対応するアミノシリコーンを挙げることができる。他のアミノシリコーンとしては、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり、Lは−N(CH32又は−NH2であり、より好ましくは−NH2である、式(I)に対応するアミノシリコーンを挙げることができる。これらのアミノシリコーンは末端アミノシリコーンと呼ぶことができるが、これはシリコーン鎖の一端又は両端が窒素含有基によって末端処理されているためである。
【0051】
式(I)に対応する代表的なアミノシリコーンは、「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるポリマーであり、下記の式(II):
【0052】
【化3】

式中、nは1〜1,999の数であり、mは1〜1,999の数である。
【0053】
2.有機コンディショニングオイル
本発明の組成物のコンディショニング成分はまた、コンディショニング剤として、約0.05%〜約3%、1つの実施形態では約0.08%〜約1.5%、特定の実施形態では約0.1%〜約1%の少なくとも1つの有機コンディショニングオイルを、単独で又はシリコーンのような他のコンディショニング剤と組み合わせて含んでもよい。
【0054】
本発明において好適な炭化水素系有益物質は、100〜2,000Paのヤング率を有することができる。1つの実施形態では、炭化水素系有益物質は、20超の平均炭素鎖長、別の実施形態では30超の平均炭素鎖長、更に他の実施形態では40超の平均炭素鎖長を含む。
【0055】
この炭化水素系有益物質は、稠度値(k)及び剪断指数(n)により定義されるような好ましいレオロジー特性を有する。本明細書で使用されるとき、用語「稠度値」又は「k」は、脂質粘度の尺度であり、その粘度が剪断力の関数である物質について粘度を定義するために、剪断指数と組み合わせて使用される。測定は35℃で行われ、単位はポアズ(100cpsに等しい)である。本明細書で使用されるとき、用語「剪断指数」又は「n」は、脂質粘度の尺度であり、その粘度が剪断力の関数である物質について粘度を定義するため、稠度値と組み合わせて使用される。測定は35℃で行われ、単位は無次元である。稠度値(k)及び剪断指数(n)は、下記の試験方法において更に詳しく述べる。好ましい稠度値の範囲は、1〜10,000ポアズ(1/秒)n-1、好ましくは10〜2000ポアズ(1/秒)n-1、より好ましくは50〜1000ポアズ(1/秒)n-1である。剪断指数の範囲は、0.1〜0.8、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.20〜0.4である。これらの好ましいレオロジー特性は、皮膚上での有益剤の付着が改善された組成物を提供するのに特に有用である。
【0056】
a.炭化水素油
本発明の組成物においてコンディショニング剤として使用するのに適切な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、これらのポリマー及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖炭化水素油は、好ましくは約C12〜約C19である。分枝鎖炭化水素油(炭化水素ポリマーを包含する)は典型的には19個より多い炭素原子を含有する。
【0057】
これらの炭化水素油の具体例には、パラフィン油、鉱物油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物の分枝鎖異性体並びに長鎖炭化水素もまた用いることができ、例としては、ペルメチル置換型異性体のような高度に分岐され、飽和又は不飽和化されたアルカン、例えば2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナン(Permethyl Corporationから入手可能)のようなヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル置換型異性体が挙げられる。ポリブテン及びポリデセンのような炭化水素ポリマー。好ましい炭化水素ポリマーは、イソブチレンとブテンとのコポリマーのようなポリブテンである。この種類の市販されている物質は、Amoco Chemical CorporationのL−14ポリブテンである。組成物中のこのような炭化水素油の濃度は、好ましくは約0.05%〜約20%、あるいは約0.08%〜約1.5%、あるいは約0.1%〜約1%の範囲であることができる。
【0058】
b.ポリオレフィン
本発明の組成物に用られる有機コンディショニングオイルとしては、液体ポリオレフィン、より好ましくは液体ポリ−α−オレフィン、より好ましくは水素添加液体ポリ−α−オレフィンも挙げることができる。本明細書に用いるポリオレフィンは、C4〜約C14、好ましくは約C6〜約C12のオレフィンモノマーの重合によって調製される。
【0059】
本明細書のポリオレフィン液を調製するのに使用するためのオレフィンモノマーの非限定例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、4−メチル−1−ペンテンのような分岐鎖異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。また、ポリオレフィン液を調製するのに適したものはオレフィン含有の製油原液又は流出液である。好ましい水素添加α−オレフィンモノマーとしては、1−ヘキセンから1−ヘキサデセン、1−オクテンから1−テトラデセン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
c.脂肪酸エステル
本発明の組成物においてコンディショニング剤として使用するための他の好適な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの脂肪酸エステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えばモノエステル、多価アルコールエステル、及びジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。この脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えばエトキシ又はエーテル結合等)のようなその他の適合性のある官能基を包含するか又はそこへ共有結合してもよい。
【0061】
好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の組成物に用いるのに好適なその他の脂肪酸エステルは、一般式R’COORのモノカルボン酸エステルであり、ここで、R’及びRはアルキル又はアルケニルラジカルであり、R’及びRの炭素原子の合計は、少なくとも10個、好ましくは少なくとも22個である。
【0063】
本発明の組成物に用いるのに好適な更にその他の脂肪酸エステルは、カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステル、例えばC4〜C8ジカルボン酸エステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のC1〜C22のエステル、好ましくはC1〜C6のエステル)である。カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステルの具体的な非限定例には、ステアリン酸イソセチルステアリオール(stearyol)、アジピン酸ジイソプロピル、及びクエン酸トリステアリルが挙げられる。
【0064】
本発明の組成物に用いるのに適したその他の脂肪酸エステルは、多価アルコールエステルとして既知のものである。このような多価アルコールエステルとしては、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル(ethylene glycol mono and di-fatty acids)、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのようなアルキレングリコールエステルが挙げられる。
【0065】
本発明の組成物に用いるのに好適な更に他の脂肪酸エステルはグリセリドであり、これには、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、好ましくはジ−及びトリ−グリセリド、より好ましくはトリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。グリセリドは、本明細書に記載の組成物に使用する場合、好ましくは、C10〜C22のカルボン酸のような長鎖カルボン酸とグリセロールのモノ−、ジ−及びトリ−エステルである。種々のこれらの種類の物質は、植物及び動物の油脂、例えばヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、とうもろこし油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカドオイル、パーム油、胡麻油、ラノリン及び大豆油から得ることができる。合成油には、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の組成物に用いるのに好適なその他の脂肪酸エステルは、非水溶性の合成脂肪酸エステルである。幾つかの好ましい合成エステルは、次の一般式(IX)に従う:
【0067】
【化4】

式中、R1はC7〜C9アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシアルケニル基、好ましくは飽和アルキル基、より好ましくは飽和直鎖アルキル基であり、nは2〜4、好ましくは3の値を有する正の整数であり、Yは約2〜約20の炭素原子、好ましくは約3〜約14の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、ヒドロキシ又はカルボキシ置換アルキル又はアルケニルである。他の好ましい合成エステルは、次の一般式(X)に従う:
【0068】
【化5】

式中、R2はC8〜C10アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシアルケニル基であり、好ましくは飽和アルキル基、より好ましくは飽和直鎖アルキル基であり、n及びYは、上記の式(X)で定義したとおりである。
【0069】
本発明の組成物に用いるのに好適な合成脂肪酸エステルの具体的な非限定例としては、P−43(トリメチロールプロパンのC8〜C10のトリエステル)、MCP−684(3,3ジエタノール−1,5ペンタジオールのテトラエステル)、MCP 121(アジピン酸のC8〜C10のジエステル)が挙げられるが、これら全てはMobil Chemical Companyより入手可能である。
【0070】
3.他のコンディショニング剤
同様に、本明細書の組成物に用いるのに好適であるのは、Procter & Gamble Companyにより米国特許第5,674,478号及び第5,750,122号に記載されているコンディショニング剤である。また、本明細書に用いるのに好適であるのは、米国特許第4,529,586号(Clairol)、同第4,507,280号(Clairol)、同第4,663,158号(Clairol)、同第4,197,865号(L’Oreal)、同第4,217,914号(L’Oreal)、同第4,381,919号(L’Oreal)、及び第4,422,853号(L’Oreal)に記載されているコンディショニング剤である。
【0071】
香料
本発明の非界面活性剤系疎水性美容有益剤はまた、1つ以上の香料を含んでもよい。1つ以上の香料は、皮膚及び/又は毛髪への局所適用に好適であると共にパーソナルケア組成物に用いるのに好適である任意の香料又は香料化学物質から選択され得る。パーソナルケア組成物中の香料の濃度は、所望の香りをもたらすのに効果的であるべきであり、これには無香が挙げられるがこれに限定されない。香りのする主な香料の濃度は、固体物品の、一般に約0.5重量%〜約30重量%、1つの実施形態では約1重量%〜約20重量%、更に別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、更に別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。
【0072】
香料は、香料類、約250℃未満の沸点を有する高揮発性香料物質及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。1つの実施形態では、香料は、約2を超えるClogP及び50パーツ・パー・ビリオン(ppb)以下の臭気検出閾値を有する高インパクトアコード香料成分から選択される。
【0073】
任意成分
本発明の組成物はまた、いずれかの好適な任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、ビタミン及びアミノ酸を挙げることができ、例えば、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン及びこれらの誘導体などの水溶性ビタミン、アスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸及びこれらの塩などの水溶性アミノ酸、ビタミンA、D、E及びこれらの誘導体などの非水溶性ビタミン、チロシン、トリプタミン及びこれらの塩などの非水溶性アミノ酸といったものである。
【0074】
本発明の組成物はまた、C.I.名を有するもののような水溶性の成分を包含する、無機、ニトロソ、モノアゾ、ジスアゾ(disazo)、カロチノイド、トリフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、キノリン、オキサジン、アジン、アントラキノン、インジゴイド、チオンインジゴイド、キナクリドン、フタロシアニン(phthalocianine)、植物の色、天然の色などの、顔料物質を含有してもよい。本発明の組成物はまた、ピロクトンオラミンのような水溶性成分、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)のような非水溶性成分、トリクロカルバン、及びジンクピリチオンが挙げられる化粧品の殺生物剤及び抗ふけ剤として有用である抗菌剤を含有してもよい。本発明の組成物はまた、キレート剤を含有してもよい。いくつかの任意成分については、以下でより詳細に説明する。
【0075】
抗ふけ有効成分
本発明の組成物はまた、抗ふけ剤を含有してもよい。抗ふけ粒子の好適な非限定例には、ピリジンチオン塩、アゾール、硫化セレン、粒子状イオウ、及びこれらの混合物が挙げられる。ピリジンチオン塩が好ましい。このような抗ふけ粒子は、物理的及び化学的に組成物の必須構成成分と適合すべきであり、さもなければ過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0076】
1.ピリジンチオン塩
ピリジンチオン抗ふけ粒子、特に1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩は、本発明の組成物に用いるのに極めて好ましい粒子状抗ふけ剤である。ピリジンチオン抗ふけ粒子状物質の濃度は、典型的には、組成物の約0.1重量%〜約4重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の範囲である。好ましいピリジンチオン塩には、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウムのような重金属から形成されたものが挙げられ、好ましくは亜鉛、より好ましくは1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリジンチオン」若しくは「ZPT」として既知である)、より好ましくは小板状粒子の形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩であり、その際、粒子の平均サイズは約20μまで、好ましくは約5μまで、より好ましくは約2.5μまでである。ナトリウムなどの他のカチオンから形成される塩もまた好適であり得る。ピリジンチオン抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号;同第3,236,733号;同第3,753,196号;同第3,761,418号;同第4,345,080号;同第4,323,683号;同第4,379,753号;及び同第4,470,982号に記載されている。ZPTが抗ふけ粒子として本明細書の組成物に用いられる時は、毛髪の成長又は再生が刺激又は調節されるか、又はその両方か、脱毛が軽減又は阻害されるか、あるいは毛髪がより太く豊かになることが意図される。
【0077】
2.他の抗菌有効成分
ピリチオンの多価金属塩から選択される抗ふけ有効成分に加えて、本発明は、金属ピリチオン塩有効成分に加えて、1つ以上の抗真菌若しくは抗菌有効成分を更に含んでもよい。好適な抗菌有効成分には、コールタール、イオウ、ウィットフィールド(whitfield)軟膏、カステラーニ(castellani)塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(例えば、テルビナフィン)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマロッサ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール(hinokitol)、イヒチオールペール、センシバ(Sensiva)SC−50、エレスタブ(Elestab)HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ(lyticase)、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンのようなイソチアザリノン及びアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい抗菌剤には、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン及びコールタールが挙げられる。
【0078】
a.アゾール
アゾール抗菌剤には、ベンズイミダゾールのようなイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリムバゾール(climbazole)、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、並びにテルコナゾール及びイトラコナゾールのようなトリアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。組成物中に存在する時、アゾール抗菌有効成分は、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で含まれる。本明細書においては、ケトコナゾールが特に好ましい。
【0079】
b.硫化セレン
硫化セレンは本発明の抗菌組成物に用いるのに好適な粒子状抗ふけ剤であり、その有効濃度は組成物の約0.1重量%〜約4重量%、好ましくは約0.3重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%の範囲である。硫化セレンは一般にセレン1モル及びイオウ2モルを有する化合物とみなされるが、一般式Sexy(式中x+y=8)に従う環式構造であってよい。硫化セレンの平均粒径は、典型的には前方レーザー光散乱装置(forward laser light scattering device)(例えば、Malvern 3600装置)で測定したときに15μm未満、好ましくは10μm未満である。硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、米国特許第3,152,046号、米国特許第4,089,945号、及び米国特許第4,885,107号に記載されている。
【0080】
c.イオウ
イオウもまた、本発明の抗菌性組成物において粒子状抗菌性/抗ふけ剤として使用することができる。粒子状イオウの有効濃度は、典型的には組成物の約1重量%〜約4重量%、好ましくは約2重量%〜約4重量%である。
【0081】
d.角質溶解剤
本発明は、サリチル酸のような1つ以上の角質溶解剤を更に含んでいてもよい。
【0082】
e.追加の抗菌有効成分
本発明の追加の抗菌有効成分は、コバノブラッシノキ属(ティー・ツリー)及び炭の抽出物を含んでいてもよい。本発明はまた、抗菌有効成分の組み合わせを含んでもよい。このような組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオンとの組み合わせ、パインタールとイオウとの組み合わせ、サリチル酸とジンクピリチオンとの組み合わせ、オクトピロックスとクリムバゾールとの組み合わせ、及びサリチル酸とオクトピロックスとの組み合わせ、並びにこれらの混合物を含んでよい。これらの有効成分は、本発明で使用される場合、約1%〜約4%、好ましくは約2%〜約4%の濃度で使用される。
【0083】
界面活性剤
本発明の溶解性パーソナルケア固体物は、毛髪又は皮膚への適用に好適な1つ以上の界面活性剤を含む。本発明の溶解性多孔質固体物での使用に好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。溶解性多孔質固体物の界面活性剤成分は、本明細書に記載の溶解性多孔質固体物のために安定構造を調製するのに必須であるが、界面活性剤成分はまた、安定固体多孔質構造に加えて、本発明の方法で用いられる洗浄物質をもたらすのに使用することもできると理解される。同様に、界面活性剤成分は、安定した発泡体を生成する際の加工助剤として単独若しくは主に使用することができ、ここで、この界面活性剤は、従来の界面活性剤か又はいずれの発泡性能をも提供する必要のない乳化剤を含む。本明細書において界面活性剤成分として使用するための乳化剤の例としては、モノ−及びジ−グリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル、並びに他の、既知の乳化剤、あるいは例えばケーキ及び他の焼き菓子及び菓子製品などの気泡化食品の調製時に、又は毛髪用ムースなどの化粧品の安定化時に使用されるものなどの、空気界面を安定化させるのに一般に使用される乳化剤、が挙げられる。
【0084】
1つの実施形態では、本物品は、実質的に非発泡性溶解性固体パーソナルケア製品であり、物品の約0重量%〜約10%のアニオン性(例えば、アニオン性、双性イオン性、カチオン性又はこれらの混合物)界面活性剤、1つの実施形態では物品の約0重量%〜約5重量%のアニオン性界面活性剤、1つの実施形態では物品の約0重量%〜約2.5重量%のアニオン性界面活性剤及び物品の約1重量%〜約50重量%の非イオン性若しくは高分子界面活性剤、1つの実施形態では物品の約5重量%〜約45重量%の非イオン性若しくは高分子界面活性剤、1つの実施形態では物品の約10重量%〜約40重量%の非イオン性若しくは高分子界面活性剤、及びこれらの組み合わせを含む。
【0085】
本物品は、別の実施形態では、約23%〜約75%のイオン性界面活性剤、1つの実施形態では約30%〜約70%、別の実施形態では約50〜約65%のイオン性界面活性剤を含む発泡性溶解性固体パーソナルケア製品である。
【0086】
本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適なアニオン性界面活性剤としては、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.;McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.;及び米国特許第3,929,678号(Laughlinら)に記載されるものが挙げられ、これらの記述は参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
本明細書での使用に好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキル及びアルキルエーテルサルフェート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、第一級又は第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートが挙げられる。これらの物質は、それぞれ、式、ROSO3M及びRO(C240)xSO3Mを有し、式中、Rは約8〜約24個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、Xは1〜10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。アルキルエーテルサルフェートは、典型的にはエチレンオキシドと約8〜約24個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として形成される。好ましくは、Rは、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートの両方において約10〜約18個の炭素原子を有する。アルコールは、脂肪、例えばココヤシ油若しくは獣脂から誘導することができ、又は合成物であってもよい。本明細書では、ココヤシ油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。かかるアルコールを、約1〜約10、好ましくは約3〜約5、より好ましくは約3モル割合のエチレンオキシドと反応させ、結果として得られる、例えばアルコール1モルにつき平均3モルのエチレンオキシドを有する、分子種の配合物を硫酸化し、中和する。
【0089】
パーソナルケア組成物で使用してもよいアルキルエーテルサルフェートの具体例は、ココナッツアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート;獣脂アルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、及び獣脂アルキルヘキサオキシエチレンサルフェートの、ナトリウム塩及びアンモニウム塩である。非常に好ましいアルキルエーテルサルフェートは、個々の化合物の混合物を含むものであり、この混合物は約10〜約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長、及び約1〜約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化度を有する。
【0090】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、一般式[R1−SO3−M]の有機硫酸反応生成物の水溶性塩が挙げられ、式中、R1は約8〜約24個、好ましくは約10〜約18個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルからなる群から選択され、Mはカチオンである。重要な例は、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約10〜約18個の炭素原子を有する、イソ−、ネオ−、インエソ−及びn−パラフィンが挙げられるメタン系の炭化水素と、漂白及び加水分解が挙げられる既知のスルホン化法に従って得られるスルホン化剤、例えば、SO3、H2SO4、発煙硫酸との、有機硫酸反応生成物の塩である。好ましいものは、アルカリ金属及びアンモニウムスルホン化C10〜18 n−パラフィンである。
【0091】
更に他の好適なアニオン性界面活性剤の例は、イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和される脂肪酸の反応生成物であり、この反応では、例えば脂肪酸はココヤシ油から誘導され、脂肪酸の、メチルタウリン脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩は、例えばココヤシ油から誘導される。この種類の他の好適なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号及び同第2,396,278号に記載されている。
【0092】
更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、スクシナメートであり、その例としては、二ナトリウムN−オクタデシルスルホサクシネート、二アンモニアラウリルスルホサクシネート、四ナトリウムN−(1、2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホサクシネート、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0093】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約12〜約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。本明細書で使用される、用語「オレフィンスルホネート」は、非錯体化型三酸化イオウによってα−オレフィンをスルホン化し、続いて、反応によって形成させたスルホンを全て加水分解させて、対応するヒドロキシ−アルカンスルホネートをもたらすような条件で、酸性反応混合物を中和させることによって生成することのできる化合物を指す。三酸化イオウは、液状であっても又はガス状であってもよく、通常は、必須ではないが、液体形態で使用する場合は不活性希釈剤、例えば、液体SO2、塩素化炭化水素などで希釈され、又はガス形態で使用する場合には空気、窒素、ガス状SO2などで希釈される。
【0094】
オレフィンスルホネートを誘導させるα−オレフィンは、約12〜約24個の炭素原子、好ましくは約14〜約16個の炭素原子を有するモノ−オレフィンである。好ましくは、それらは直鎖オレフィンである。
【0095】
真性アルケンスルホネート、及びある割合のヒドロキシ−アルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートには、少量の他の物質、例えばアルケンジスルホネートなどを、反応条件、反応物質の比率、オレフィンストックにおける出発物質のオレフィン及び不純物の性質、並びにスルホン化プロセス中の副反応に応じて含有させることができる。
【0096】
パーソナルケア組成物での使用に好適なアニオン性界面活性剤のもう1つの種類は、β−アルキルオキシアルカンスルホン酸塩である。これらの化合物は以下の化学式を有する。
【0097】
【化6】

1は、約6〜約20個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は、約1(好ましい)〜約3個の炭素原子を有する低アルキル基であり、Mは、上記の水溶性カチオンである。
【0098】
他の好適は界面活性剤は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual(M.C.Publishing Co.により出版)及び米国特許第3,929,678号に記載されており、これらの記述は参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
本パーソナルケア組成物での使用に好ましいアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
本発明のパーソナルケア組成物の使用に好適な両性界面活性剤類は、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記載されるものであり、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18の炭素原子数を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する。この定義に該当する化合物の例は、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、米国特許第2,658,072号の教示にしたがってドデシルアミンとイセチオン酸ナトリウムとを反応させることで調製されるもののようなN−アルキルタウリン類、米国特許第2,438,091号の教示にしたがって生成されるもののようなN−高級アルキルアスパラギン酸、及び米国特許第2,528,378号に記載の生成物である。使用に好適な双極性界面活性剤には、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、その脂肪族置換基の内の1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。多相パーソナルケア組成物で使用するのに好適な双極性界面活性剤にはココアミドプロピルベタインを含むベタイン類が含まれる。
【0101】
本発明の両性界面活性剤にはまた、ラウロアンホ酢酸及びココアンホ酢酸を含む、アルキルアンホアセテートを挙げることもできる。アルキルアンホアセテートは、モノアセテート及びジアセテートを含み得る。一部の種類のアルキルアンホアセテートでは、ジアセテートは不純物又は意図的でない反応生成物である。
【0102】
カチオン性界面活性剤はまた、本発明のパーソナルケア組成物中で洗浄剤として使用することもできるが、一般にあまり好ましくなく、好ましくは組成物の約5重量%未満を占める。
【0103】
本発明のパーソナルケア組成物において発泡性界面活性剤としての使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、McCutcheion’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.及びMcCutcheion’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されるものが挙げられ、これらの記述は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書での使用に好適なこれらの非イオン性発泡性界面活性剤としては、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、スクロースエステル、アミンオキシド及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(性質上、親水性)と、性質上、脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合生成物が挙げられる。非イオン性界面活性剤の好ましい部類としては、以下のものが挙げられる:
1)アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合体、例えば、約6個〜約20個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖のいずれかの配置のアルキル基を有するアルキルフェノールと、エチレンオキシドとの縮合生成物(アルキルフェノール1モル当たり約10〜約60モルのエチレンオキシドの当量で、このエチレンオキシドは存在する)、
2)エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミン生成物の反応から得られる生成物との縮合から誘導される非イオン性界面活性剤、
3)約8個〜約18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のいずれかの配置の脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ココナツアルコール1モル当たり約10〜約30モルのエチレンオキシドを有するココナツアルコール−エチレンオキシド縮合体、約10個〜約14個の炭素原子を有するココナツアルコール分留物、
4)下記の一般式による長鎖三級アミンオキシド:
【0105】
【化7】

(式中、R1は、約8〜約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル又はモノヒドロキシアルキルラジカル、0〜約10個のエチレンオキシド部分、及び0〜約1個のグリセリル部分を含有し、R2及びR3は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル基のように、約1〜約3個の炭素原子及び0〜約1個のヒドロキシ基を含有する)、
5)下記の一般式による長鎖三級ホスフィンオキシド:
【0106】
【化8】

(式中、Rは、鎖長が約8〜約18個の炭素原子の範囲のアルキル、アルケニル又はモノヒドロキシアルキルラジカル、0〜約10個のエチレンオキシド部分、及び0〜約1個のグリセリル部分を含有し、R’及びR”は各々、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル又はモノヒドロキシアルキル基である)
6)約1〜約3個の炭素原子の、1本の短鎖アルキル又はヒドロキシアルキルラジカル(通常はメチル)と、約8個〜約20個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル又はケトアルキルラジカル、0〜約10個のエチレンオキシド部分及び0〜約1個のグリセリル部分を含む1本の長い疎水性鎖と、を含有する長鎖ジアルキルスルホキシド、
7)米国特許第4,565,647号に記載のアルキルポリグルコシドなどの、約6〜約30個の炭素原子を有する疎水性基と親水性基として多糖(例えば、ポリグリコシド)とを有し、所望により疎水性部分及び親水性部分に結合するポリアルキレンオキシド基を有するアルキル多糖(APS)界面活性剤(ここで、アルキル基(すなわち、疎水性部分)は、飽和若しくは不飽和の、分枝鎖又は非分枝鎖、並びに、非置換又は置換(例えば、ヒドロキシ若しくは環状環で)であることができる)、並びに、
8)式R(O)OCH2CH(OH)CH2(OCH2CH2nOH(式中、nは約5〜約200、好ましくは約20〜約100であり、Rは、約8〜約20個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルである)のものなどのポリエチレングリコール(PEG)グリセリル脂肪酸エステル。
【0107】
本発明のパーソナルケア組成物に使用するのに好適な双極性界面活性剤には、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。そのような好適な双極性界面活性剤は、次の式で表すことができ:
【0108】
【化9】

式中、R2は、約8〜約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル又はヒドロキシアルキルラジカル、0〜約10個のエチレンオキシド部分及び0〜約1個のグリセリル部分を含有し、Yは、窒素、リン及びイオウ原子からなる群から選択され、R3は、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル又はモノヒドロキシアルキル基であり、Xは、Yがイオウ原子のとき1であり、Yが窒素又はリン原子のとき2であり、R4は、約1〜約4個の炭素原子のアルキレン又はヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネート及びホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである。
【0109】
本明細書に用いるのに好適な他の双極性界面活性剤としては、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ−カルボキシプロピルベタイン、及びラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)α−カルボキシエチルベタインのような高級アルキルベタインを包含するベタインが挙げられる。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタインなどで代表されてもよく、RCONH(CH23ラジカルがベタインの窒素原子に結合しているアミドベタイン及びアミドスルホベタインも、本発明で有用である。
【0110】
本発明での使用に好適な非イオン性界面活性剤は、McCutcheion’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.,及びMcCutcheion’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものを含む。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N−アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
特定の実施形態では、ソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体から選択される非イオン性界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)20)、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)40)、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)60)、トリステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)65)、モノオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)80)、トリオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)85)、イソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)21)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)61)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン(Tween(登録商標)81)(これらは全てUniqemaから入手可能)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0112】
本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な高分子界面活性剤としては、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
水溶性ポリマー(「高分子構造化剤」)
本発明は、構造化剤として機能する水溶性ポリマーを含む。1つの実施形態では、本物品は、非発泡性であり、約15%〜約70%、別の実施形態では約20%〜約60%、更に別の実施形態では約25%〜約50%の高分子水溶性ポリマーを含む。別の実施形態では、本物品は、発泡性であり、約10%〜約50%、別の実施形態では約15%〜約40%、更に別の実施形態では約20%〜約30%の水溶性ポリマーを含む。
【0114】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性ポリマー」は、広義に水溶性及び水分散性ポリマーの両方を含み、25℃で測定されるときに、少なくとも約0.1グラム/リットル(g/L)の水溶性を有するポリマーとして定義される。いくつかの実施形態では、このポリマーは、25℃で測定されるときに、約0.1グラム/リットル(g/L)〜約500グラム/リットル(g/L)の水溶性を有する。これは、巨視的に等方性の又は透明な、有色若しくは無色の溶液の生成を示す。これらの固体物を作製するためのポリマーは、人工又は天然由来でもよく、かつ化学反応の方法によって変性されてもよい。それは皮膜形成であってもよく、そうでなくてもよい。ポリマーは、生理学的に許容可能であるべきであり、つまり皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮に適合すべきである。
【0115】
用語「水溶性ポリマー」及び「高分子構造化剤」は本明細書において互換的に使用される。更に、単数形の用語「ポリマー」が述べられる際にはいつでも、用語は1種のポリマー又は1種以上のポリマーの混合物を包含するのに十分幅広いものであることが理解されるべきである。例えば、ポリマーの混合物を使用する場合、本明細書で参照されるようなポリマーの溶解性は、各ポリマーのそれぞれの溶解性というよりは、ポリマー混合物の溶解性として参照され得る。
【0116】
本発明の1つ以上の水溶性ポリマーを、重量平均分子量が約40,000〜約500,000、1つの実施形態においては約50,000〜約400,000、更に別の実施形態においては約60,000〜約300,000、及び更に別の実施形態においては約70,000〜約200,000であるように選択する。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固体物内に存在するポリマーの総重量の重さによるそれぞれの相対的重量パーセントを掛けて計算する。
【0117】
本発明の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アニオン性、カチオン性及び両性モノマーのコポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む合成ポリマーを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0118】
本発明の水溶性ポリマーはまた、天然供給されるポリマーから選択されてもよく、それらには、植物起源のもの(その例には、カラヤゴム、トラガカントゴム、アラビアゴム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアゴム、ガティゴム、乳清タンパク質分離物、及び大豆タンパク質分離物;グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物;カラギーナン、アルギネート、及び寒天のような海草エキス;果実エキス(ペクチン)が挙げられる)、微生物起源のもの(キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランが挙げられる)、及び動物起源のもの(カゼイン、ゼラチン、ケラチン、ケラチン加水分解物、スルホン酸ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びシェラックが挙げられる)が挙げられる。
【0119】
変性天然ポリマーはまた、本発明において水溶性ポリマーとして有用である。好適な変性天然ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ニトロセルロース及び他のセルロースエーテル/エステルのようなセルロース誘導体、並びにヒドロキシプロピルのようなグアー誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0120】
本発明の好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0121】
本発明のより好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。好適なポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Dallas,TX)から商標名Celvolで入手可能なものが挙げられ、限定するものではないが、Celvol 523、Celvol 530、Celvol 540、Celvol 518、Celvol 513、Celvol 508、Celvol 504、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースには、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商標名Methocelで入手可能なものが挙げられ、限定するものではないが、Methocel E50、Methocel E15、Methocel E6、Methocel E5、Methocel E3、Methocel F50、Methocel K100、Methocel K3、Methocel A400、及び上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせを含む、これらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
特定の実施形態においては、上述の本発明の水溶性ポリマーは、本明細書に記載の、必要とされる構造及び物理的/化学的特性を備える溶解性多孔質固体物を提供するのに役立つ限りは、必要とされる水溶性ポリマーの全体的な濃度を減少させるような量で充填剤材料として任意の単一のデンプン又はデンプンの組み合わせと混合してもよい。かかる例では、水溶性ポリマー及びデンプンをベースとする材料の組み合わせの重量パーセントは、多孔質固体物の総重量に対して、一般に約15重量%〜約40重量%、1つの実施形態では約15重量%〜約30重量%、特定の実施形態では約15重量%〜約25重量%の範囲である。デンプンをベースとする材料に対する水溶性ポリマーの重量比は、一般に約1:10〜約10:1、1つの実施形態においては約1:8〜約8:1、更に別の実施形態においては約1:7〜約7:1、更にまた別の実施形態においては約6:1〜約1:6の範囲であることができる。
【0123】
本発明のデンプンをベースとする材料の典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。天然供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ類が挙げられる。
【0124】
本発明のデンプンをベースとする材料としてはまた、当該技術分野において既知の任意の変性法を用いることによって変性される天然デンプン(例えばせん断されたデンプン又は熱的に抑制されたデンプンが挙げられる、物理的に変性したデンプンを含む)、架橋化、アセチル化、及び有機的なエステル化、ヒドロキシエチル化、及びヒドロキシプロピル化、リン酸化、及び無機的にエステル化された、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び双極性イオン性の、化学的に修飾されたデンプン並びにそれらのコハク酸塩及び置換されたコハク塩酸誘導体、酸化、酵素転換、酸加水分解、熱又は酸デキストリン化によって調製される流動性の又は薄い煮沸デンプンが挙げられる任意のデンプンから誘導される、転換製品、加熱製品及び又はせん断製品もまた本明細書では有用であり得、並びに当該技術分野において既知のα化デンプンも挙げることができる。
【0125】
可塑剤
本物品は、本明細書で論じられる組成物の使用に好適な水溶性可塑化剤を含んでもよい。1つの実施形態では、本物品は、約1%〜約30%、別の実施形態では約3%〜約20%、更に別の実施形態では約5%〜約15%の可塑剤を含む。水溶性可塑化剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンコポリオールが挙げられる。
【0126】
有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ソルビトール、マニトール、ラクチトール及び他のモノー及び多価低分子量アルコール(例、C2〜C8アルコール)のような糖アルコール、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、及び高級フルクトースコーンシロップ固形物並びにアスコルビン酸のようなモノ、ジ−及びオリゴ糖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
好適なポリエステルの例としては、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
好適なジメチコンコポリオールの例としては、PEG−12ジメチコン、PEG/PPG−18/18ジメチコン、及びPPG−12ジメチコンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
他の好適な可塑剤としては、アルキル及びアリルフタレート、ナフタレート、ラクテート(例えば、ナトリウム、アンモニウム及びカリウム塩)、ソルベス−30、尿素、乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA)、ヒラルロネート又はヒアルロン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、変性化タンパク質、L−グルタメートモノナトリウム、グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸のようなα & βヒドロキシル酸、グリセリルポリメタクリレート、ポリクオタニウムのようなポリマー可塑剤、タンパク質、及びグルタミン酸、アスパラギン酸及びリジンのようなアミノ酸、水素デンプン加水分解物、他の低分子量エステル(例えば、C2〜C10アルコール及び酸のエステル)、及び食品及びプラスチック業界の当業者に既知の他のいずれの水溶性可塑剤、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
好ましい可塑剤としてはグリセリン及びプロピレングリコールが挙げられる。欧州特許第0283165(B1)号は、プロポキシル化グリセロールのようなグリセロール誘導体を含む他の好適な可塑剤を記載している。いくつかの実施形態では、可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びC2〜C8アルコール、アルキル及びアリルフタレート、ナフタレート、及び、C2〜C10アルコールと酸とのエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0132】
製品形態
本発明の溶解性多孔質固体物は、単独で、又は他のパーソナルケア成分との組み合わせにおいて使用される溶解性多孔質固体物を含む、様々な製品形態のいかなる形態でも製造することができる。溶解性多孔質固体物は、パーソナルケア組成物に使用する場合に、連続的であっても又は非連続的であってもよい。製品形態に関わらず、本発明の方法の範囲内で想到される実施形態を形成する全ての製品について重要なものは、固体高分子構造化剤と界面活性剤含有有効成分との組み合わせを含む、選択され定義される溶解性多孔質固体物である。
【0133】
本発明の溶解性多孔質固体物は、好ましくは、使用者によって容易に操作することが可能である適当なサイズの、1つ以上の平らなシート又はパッドの形態である。本発明の溶解性多孔質固体物は、正方形、長方形又は円盤状又は任意の他の形状であってよい。パッドは、また、穿孔及び又は切断メカニズムによって1つずつ取り出せる単独の部分を備えるテープ状ロールのディスペンサーで供給されているものを含む、連続的なストリップの形態であることができる。あるいは、本発明の溶解性多孔質固体物は、1つ以上の円筒形の物品、球形の物品、管状の物品又は任意の他の形状の物品の形態にある。本発明の溶解性多孔質固体物は、約0.5mm〜約10mm、1つの実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、更に別の実施形態では約3mm〜約7mmの厚さ(キャリパー)を有することができる。パッド又はストリップに対して、3次元以上を備える円筒状、球状、又は他の物品の場合は、厚さは、最短寸法の最大距離、つまり、例えば球又は円筒の直径として取られる。
【0134】
本発明の溶解性多孔質固体物は、文字、ロゴ若しくは図形が挙げられる、1つ以上の非平滑な、くぼみのある、又は地形のような模様の付いた表面を含んでもよい。非平滑な基材は、好ましくはその基材の表面に起因し、その基材の最も外側の表面がその表面の他の領域に対して隆起している部分を含む。その隆起部分は、物品の形成された形状に由来し得る。例えば、物品を最初はくぼみのあるパターン又はワッフル状パターンに形成することができる。その隆起部分はまた、クレーピング工程、刷り込みコーティング、エンボスパターン、隆起部分を有する他の層への積層、から生じてよく、又は溶解性多孔質固体物基材自身の物理的形状の結果生じてもよい。非平滑化はまた、その基材を非平滑な第二の基材に積層する結果生じてもよい。
【0135】
特定の実施形態では、本発明の溶解性多孔質固体物は多孔質固体物の中に入り込む又は中を貫通する孔若しくはチャネルで穿孔することもできる。これらの穿孔は、下層の金型、ベルトの表面又は他の非粘着性の表面から伸びる犬くぎによって、乾燥工程時に形成され得る。別の方法としては、これらの穿孔は、乾燥工程の後でピン、針又は他の鋭利な物体で多孔質固体物をつつくか又は突き刺すことによって形成することができる。好ましくは、これらの穿孔は、表面積当たりの数は大きいが、多孔質固体物の完全性又は物理的外観を犠牲にするほど数は多くない。かかる穿孔は、非穿孔化多孔質固体物と比較して、多孔質固体物の水への溶解速度を増すことが発見された。
【0136】
本発明の溶解性多孔質固体物はまた、非水溶性の用具又は装置によってもたらすことができる。例えば、物品は何らかの方法によって、アプリケーター、つまり櫛、布切れ、棒、又は他の任意の水不溶性と考えられるアプリケーターに付着又は糊付けされ、毛髪及び/又は皮膚への適用が容易になる。更に、本溶解性多孔質固体物は、別個の大表面積非水溶性用具、すなわち、多孔質スポンジ、パフ、平らなシートなどの表面に吸着させてもよい。後者については、本発明の溶解性多孔質固体物は、薄膜又は層として吸着させてもよい。
【0137】
製品のタイプ
本発明の溶解性多孔質固体物及び方法による使用のための製品タイプの実施形態の非限定的な例としては、ヘアコンディショニング基質(substrates)、潤いを与える基質、他の毛髪トリートメント基質、他の皮膚又は全身トリートメント基質、髭剃り準備基質、ペットケア基質、薬剤又は他のスキンケア有効成分を含むパーソナルケア基質、潤いを与える基質、日焼け止め基質、長期にわたり皮膚に有効な成分基質(例えば、ビタミンを含む基質、アルファ−ヒドロキシ酸を含む基質など)、脱臭基質、香料を含む基質、及び同様物などが挙げられる。
【0138】
I.製造方法
本発明のパーソナルケア溶解性多孔質固体物品は、以下を含むプロセスにより調製することができる:(1)界面活性剤と溶解した高分子構造化剤と可塑剤と他の任意成分とを含む加工混合物を調製する工程、(2)その混合物内にガスを導入することにより加工混合物を気泡化して、湿潤気泡化混合物を形成する工程、(3)湿潤気泡化混合物を所望の1つ以上の形状に形成する工程、(4)湿潤気泡化混合物を所望の最終水分含量まで(例えば、エネルギーを加えることにより約0.1〜約25%の水分)まで乾燥させる工程、及び(5)物品の表面に疎水性美容有効成分を添加する工程。
【0139】
加工混合物の調製
加工混合物は、一般に水、可塑剤及び他の任意成分の存在下で高分子構造化剤を溶解し、熱し、続いて冷却することにより調製する。このことは、任意の好適な熱せられたバッチ攪拌システムにより、又は単軸押出機若しくは双軸押出機若しくは熱交換器を、高せん断又は静的混合に使用する任意の好適な連続的なシステムにより達成することができる。任意の工程は、ポリマーが水、界面活性剤、可塑剤、及び成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による段階的加工を含む他の任意成分の存在下で、最終的に溶解するように想定され得る。
【0140】
本発明の加工混合物は、乾燥前の加工混合物の重量で、約20%〜約50%の固体物、別の実施形態では約25%〜約45%の固体物、別の実施形態では約30%〜約40%の固体物を含み、かつ約5,000センチポアズ(「cps」)〜約150,000cps、1つの実施形態では約7,500cps〜約125,000cps、別の実施形態では約10,000cps〜約100,000cps、更に別の実施形態では約12,500cps〜約75,000cpsの粘度を有する。
【0141】
加工混合物の粘度の値は、25℃において30秒にわたって1.0レシプロカル秒(reciprocal seconds)の剪断速度で、4.0cm直径の平行プレート及び1,200マイクロメートルのギャップを備えるTA Instruments AR500 Rheometer(TA Instruments,New Castle,DEから入手可能)などの好適なレオメーターで、又は25℃において2分にわたって1.0レシプロカル秒の剪断速度で、CP−41及びCP−42スピンドルを備えるBrookfieldモデルのDV−1 PRIME Digital Viscometerなどの標準粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.,Middleboro,MAから入手可能)で、測定することができる。固形分率含有量は、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のいずれの物質も除く、固形分、半固形分及び液体成分の全ての総加工混合物の重量による重量パーセントの合計である。
【0142】
加工混合物の気泡化
加工混合物の気泡化は、ガスをその混合物内に導入することにより、好ましくは機械的混合エネルギーによって達成することができるが、また化学的な方法によって達成してもよい。気泡化は、任意の好適な機械的加工方法によって達成されてもよく、その方法には、(i)遊星ミキサー又は他の好適な混合容器を含む機械的混合によるバッチタンク気泡化、(ii)食品業界で使用される(加圧及び非加圧)半連続的又は連続的気泡化装置、若しくは(iii)多孔質固体物を形成するために熱を有している金型内などで圧縮され得る気泡化ビーズ又は粒子を形成するために、加工混合物をスプレー乾燥させる工程、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0143】
特定の実施形態においては、本発明の溶解性多孔質固体物は、食品産業においてマシュマロの製造時に従来利用される半連続的及び連続的加圧気泡化装置中で調製できることが明らかにされた。好適な加圧気泡化装置としては、Morton泡たて器(Morton Machine Co.,Motherwell,Scotland)、Oakes連続自動ミキサー(E.T.Oakes Corporation(Hauppauge,New York)、Fedco連続ミキサー(Peerless Group,Sidney,Ohio)、及びPreswhip(ホソカワミクロングループ、日本、大阪市)が挙げられる。
【0144】
本発明の溶解性多孔質固体物は、化学的な発泡剤でその場のガス形成(例えば、発泡系によるCO2形成を含む、1つ以上の成分の化学反応を介する形成)によっても調製することができる。
【0145】
湿潤気泡化加工混合物の形成
湿潤気泡化加工混合物の形成は、所望の1つの形状又は複数の形状にその混合物を形成するための任意の好適な方法によって達成することができ、それらの方法には、限定するものではないが、以下の方法が挙げられる:(i)テフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレーン、ゴム、LDPE、ガラス及び同様物を含む非干渉及び非付着性表面を備える特別に設計された金型への気泡化混合物の堆積、(ii)浅底のトレーに入っている乾燥粒状デンプン内に刻み込まれている空隙の中への気泡化混合物の堆積(例えば、菓子産業で広く利用されるデンプン成型形成技術)、並びに(iii)後でスタンプされ、カットされ、ロール上にエンボス加工され又は保管され得る、任意の非干渉又は非付着性材料テフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレーン、ゴム、LDPE、ガラス及び同様物を備える連続的ベルト又はスクリーン上への気泡化混合物の堆積。
【0146】
形成された湿潤気泡化加工混合物の乾燥
形成された湿潤気泡化加工混合物の乾燥は、任意の好適な方法によって達成することができ、それらの方法には、限定するものではないが、以下を含む:(i)制御された温度及び圧力又は大気条件を備える部屋を含む乾燥室、(ii)制御された温度及び任意の湿度を備える非対流式又は対流式オーブンを含むオーブン、(iii)トラック/トレー乾燥機、(iv)多段式直列乾燥機、(v)衝突オーブン、(vi)回転式オーブン/乾燥機;(vii)直列焙煎機、(viii)急速高伝熱オーブン及び乾燥機;(ix)二重プレナム焙煎機、(x)コンベヤー乾燥機、(xi)マイクロ波乾燥技術、及びこれらの組み合わせ。好ましくは、凍結乾燥法を含まない任意の好適な乾燥法を使用できる。
【0147】
上述の4種の加工工程のいずれかの間に、又は乾燥工程の後でも任意成分を与えることができる。
【0148】
物品の表面に疎水性有効成分を添加することによる、コーティングされた物品の形成
任意の好適な適用方法を使用して、物品に疎水性有益剤を適用して、その結果、物品の固体/空気境界面の少なくとも一部分に吸着している表面残留コーティングを形成することができる。例えば、これは、噴霧、展着、滴下、プリント、異なる物品間若しくは同一物品の異なる部分の間でのサンドイッチ、層化、注入、ロールオン又は浸漬で行うことができる。疎水性有益剤は、物品の外面の部分又は全域に適用することができ、飾り、装飾、ロゴ形成、デザインなどの方法で適用することができる。
【0149】
II.性能及び物理特性
本物品は最大気泡壁の厚さを有する。その物品は、約0.02mm〜約0.15mm、1つの実施形態においては約0.025mm〜約0.12mm、別の実施形態においては約0.03mm〜約0.09mm、更に別の実施形態においては約0.035mm〜約0.06mmの気泡壁厚を有する。
【0150】
本物品の気泡間相互結合性は最小レベルであり、これは星形体積、構造モデル指数(SMI)及び開放気泡含有率のいずれによっても定量化される。本物品は、約1mm3〜約90mm3、1つの実施形態では約1.5mm3〜約60mm3、別の実施形態では約2mm3〜約30mm3、更に別の実施形態では約2.5mm3〜約15mm3の星形体積を有する。本物品は、約0.0〜約3.0、1つの実施形態では約0.5〜約2.75、及び別の実施形態では約1.0〜約2.50の負でない構造モデル指数を有する。本物品は、約80%〜100%、1つの実施形態では約85%〜約97.5%、及び別の実施形態では約90%〜約95%の開放気泡含有率を有する。
【0151】
本物品はまた、最小比表面積を有する。本物品は、約0.03m2/g〜約0.25m2/g、1つの実施形態では約0.035m2/g〜約0.22m2/g、別の実施形態では約0.04m2/g〜約0.19m2/g、及び更に別の実施形態では約0.045m2/g〜約0.16m2/gの比表面積を有する。
【0152】
本物品は、約125グラム/m2〜約3,000グラム/m2、1つの実施形態では約200グラム/m2〜約2,500グラム/m2、別の実施形態では約300グラム/m2〜約2,000グラム/m2、更に別の実施形態では約400グラム/m2〜約1,500グラム/m2の坪量を有することができる。
【0153】
本物品は、約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3、1つの実施形態では約0.08g/cm3〜約0.3g/cm3、別の実施形態では約0.1g/cm3〜約0.25g/cm3、別の実施形態では約0.12g/cm3〜約0.2g/cm3の固体密度を有する。
【0154】
溶解率
本発明の溶解性多孔質固体物は、水を適用して使用する際に多孔質固体物が速やかに分解するような溶解速度を有する。溶解性多孔質固体成分の溶解速度は、以下に記載される方法論によって測定される。
【0155】
手での溶解方法:ニトリル手袋を着用している状態で、0.5〜0.8gの溶解性多孔質固体(本明細書の実施例に記載)を手の平に配置する。シリンジを介して7.5cm3のぬるめの水道水(約30℃〜約35℃)を素早く適用する。円運動を用いて、溶解が発生するまで1度に2ストローク、手の平をこすり合わせる(30ストロークまで)。溶解しない材料(30回のストローク後)を、前もって重さを量った計量ボートに置く。溶解しない材料の乾燥重量を翌日測定する。手溶解値は、完全に溶解するのに要するストローク数として、又は最大30ストロークとして記録する。後者のシナリオの場合、不溶解材料の重さを更に記録する。
【0156】
本発明の溶解性多孔質固体物は、約1〜約30ストローク、1つの実施形態では約2〜約25ストローク、他の実施形態では約3〜約20ストローク、及び更に他の実施形態では、約4〜約15ストロークの手溶解値を有する。
【0157】
厚さ
本発明の溶解性多孔質固体物は、好ましくはパッド、ストリップ又はテープの形態をした平らな可撓性基材であり、以下の手法によって計測されるように、約0.5mm〜約10mm、1つの実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、更なる実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。パッド又はストリップに対して、第3次元以上を備える円筒状、球状、又は他の物体の場合は、厚さは、最短寸法の最大距離、つまり、例えば球状又は円筒状の直径、として取られ、厚さの範囲は上述と同じである。
【0158】
溶解性多孔質固体物(すなわち基材又は試料基材)の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS−1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)のようなミクロメーター又はすき間ゲージを用いて得られる。ミクロメーターは、直径2.54cm(1インチ)、重さ約32グラムのプラテンを有し、約6.32gm/cm2(40.7psi)の印加圧力において厚さを測定する。
【0159】
溶解性多孔質固体物の厚さは、プラテンを引き起こし、試料基材の一部分をプラテンの真下のスタンド上に配置し、注意深くプラテンを下げて試料基材に接触させ、プラテンを離し、試料基材の厚さをミリメートル単位で数値表示装置上で測定することにより、測定する。平らでないより堅い基材の場合を除いて、厚さを可能な限り最下位の表面圧力において測定するのを確実にするために、試料基材をプラテンの全てのエッジまで十分に延ばすべきである。完全には平らでないより堅い基材に対しては、基材の平らなエッジを、基材の平らな部分上で衝突するプラテンの一部分のみを用いて測定する。
【0160】
坪量
本発明のパーソナルケア組成物の溶解性多孔質固体成分は、約125グラム/m2〜約3,000グラム/m2、1つの実施形態では約150グラム/m2〜約1,200グラム/m2、更なる実施形態では約200グラム/m2〜約2,500グラム/m2、更なる実施形態では約300グラム/m2〜約2,000グラム/m2、更に別の実施形態では約400グラム/m2〜約1,500グラム/m2の坪量を有する。
【0161】
本明細書中のパーソナルケア構成体の溶解性多孔質固体成分の基本重量は、選択される溶解性多孔質固体の面積当たりの溶解性多孔質固体成分の重さ(グラム/メートル2)として計算される。その面積は多孔質固体物の外側エッジに直角の平坦表面上の投影面積として計算される。平らな物体に対しては、面積は、したがって試料の外側周囲内に取り囲まれている面積に基づいて計算される。球状物体に対しては、面積は、したがって3.14×(直径/2)2として平均直径に基づいて計算される。円筒状物体に対しては、面積は、したがって直径×長さとして平均直径及び平均長さに基づいて計算される。イレギュラーな形状の3次元物体に対しては、面積は、この側面に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大の外側寸法を備える側面に基づいて計算される。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙上で鉛筆で注意深くトレーシングし、次に2乗のおよその計数で面積を計算し、そして2乗の既知の面積を掛けるか又は尺度を含んでかつ画像分析技術を用いてトレーシングした面積(コントラストのために陰影がつけられているのが好ましい)の写真を撮ることによって達成できる。
【0162】
密度
本明細書に記載のパーソナルケア組成物の溶解性多孔質固体物は、密度測定の観点から特徴付けることができる。1つの実施形態では、本多孔質固体物は、約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3、特定の実施形態では約0.08g/cm3〜約0.3g/cm3、別の実施形態では約0.10g/cm3〜約0.25g/cm3、更に別の実施形態では約0.12g/cm3〜約0.20g/cm3の密度を有する。
【0163】
本溶解性多孔質固体物の密度は、次の等式によって決定される:計算密度=多孔質固体物の坪量/(多孔質固体物の厚さ×1,000)。
【0164】
気泡間結合性
上記の特性を備える本発明の溶解性多孔質固体物パーソナルケア製品は、高い度合いの気泡間結合性を有し、すなわち主に独立気泡の固体発泡体とは対照的に、主に開放気泡型の固体発泡体である。気泡間結合性は、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、マイクロ計算断層撮影パラメーター(星形体積及びSMI指数)、ガスピクノメトリーパラメーター(開放気泡含有百分率)又は他の好適な方法により評価することができる。
【0165】
気泡間結合性を測定する好ましい定性的方法は、光学顕微鏡を介するものである。これは、固体物の薄片をはさみ又は鋭利な刃を使用してz軸方向に2〜3mm幅で切り(固体物の垂直なx−y最大表面を横切って測定される)、得られた薄片を90度曲げて、切りたての断面領域の内部気泡構造を露出することで評価することができる。この断面領域は接近しての目視観察か、又はより正確にはOlympus Olympus America Inc.,Center Valley,PAから入手可能なSZX12 Stereo microscopeなどの立体顕微鏡での倍率を選択することで評価することができる。本発明の開放気泡型溶解性多孔質固体物は、支柱の周囲に断面の深さにわたって三次元を含んで互いに内部結合している開放空隙を備える主に支柱の三次元網状組織を含む断面領域の内部を、検査することで容易に同定し得る。対照的に、独立気泡の発泡体内部断面は別個の気泡として現れることがあり、別個の気泡は横切って切断されて、切断プロセスは切断領域の露出を生じさせるという理由から、次いで断面表面でのみ二次元で内部結合される。
【0166】
気泡間結合性を決定する特に好ましい定量的手段は、星形体積及び構造モデル指数を介するものである。マイクロ計算断層撮影システム(μCT80、SN 06071200、Scanco Medical AG)を用いて直径およそ4cm、高さ3〜7mmの円盤状サンプルをスキャンする。各試料を、円筒型の管の底の上に平らに位置している間に撮像する。画像取得のパラメーターは、45kVp、177μA、51.2mmの視野、集積時間800ms、1000投影である。スライスの数は、試料の高さをカバーするように調節する。再生されるデータセットは、25μmの等方性解像度を備える各2048×2048ピクセルの画像の積み重ねから構成される。データ分析には、表面領域を避けて十分に試料内に入るように対象とする体積を選択する。典型的には、対象とする体積は1028×772×98ボクセルである。
【0167】
構造モデル指数(SMI)は、Scanco Medicalの骨梁形態計測評価を用いて閾値17で測定する。この指数で、骨梁の構造概観が数量化される。(参照T.Hildebrand,P.Ruegsegger「構造モデル指数を備える骨微細建築の数量化(Quantification of bone microarchitecture with the structure model index)」Comp Meth Biomech Biomed Eng 1997;1:15〜23)。三角表面は極く僅かに正常方向に拡張され、かつ新しい骨表面及び体積が計算される。これにより、骨表面の誘導体(dBS/dr)を決定する。次いでSMIは以下の等式によって表される。
【0168】
【数1】

【0169】
SMIは、モデルタイプに対する構造物の凸性に関連する。理想的な(平らな)プレートは、0のSMI(プレートの拡張を備える表面変化が全く無い)を有するのに対して、理想的な円筒型の棒は3のSMI(棒の拡張を備える表面の線形増加)を有する。丸い球体は4のSMIを有する。凹性構造物は、負のdBS/drを提示し、その結果負のSMI値をもたらす。対象とする体積のエッジに理論上存在する境界は、計算には含まれず、したがって削除される。
【0170】
Scanco医療分析に加えて、星形体積測定を行う。星形体積は、二相構造物内の空隙の開放度の測定である。対象とする相(本発明の場合、これは背面である)においてランダムに均一に分配した点のセットを選択することにより、これらの点それぞれからランダムな方向に線を延ばすことができる。それらの線が最前面相に触れるまで延ばす。次いでそれらの各線の長さを記録する。それらのランダムな点を、各方向毎に(x/y/z)に10点サンプリングし、各点で10の角度をランダムに選択する。線が対象とするのROIの境界にまで伸びた場合には、その線は棄却される(表面相と実際に交差する線を受け入れたいだけである)。最終等式は、Star volume in bone research.A histomorphometric analysis of trabecular bone structure using vertical sections;Vesterby,A.;Anat Rec.;1993 Feb;235(2):325〜334で発表された研究に基づく。
【0171】
【数2】

式中、「dist」は個々の距離であり、Nは評価された線の数である。
【0172】
開放気泡含有百分率は、ガス比重びん法を通して測定される。ガス比重びん法は、体積を正確に測定するガス置換法を用いる一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスを使用する。試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積へと拡張する。拡張前後の圧力を測定し、試料体積を計算するのに使用する。この体積を試料重量で割って、気体置換密度を得る。
【0173】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重びん(Air Comparison Pycnometer)の古いモデルを用いて開放気泡の割合を決定する手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、Micromeritics’のAccuPyc比重びんを用いるテストを実施することにより便利にかつ精密に開放気泡のパーセントを決定することができる。ASTM手順D2856は、発泡材料の開放気泡の割合を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)を説明する。
【0174】
これらの実験のために、窒素ガスを用い、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、開放気泡率を計算するために使われるべきである。この方法は、キャリパー及び標準体積計算を用いて決定される幾何学量を、Accupycによって決定される純粋体積と単純に比較する。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことを薦める。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0175】
美容有効成分の表面残留コーティングの評価
本発明の溶解性多孔質固形物上の美容有効成分の表面残留コーティングの存在は、数多くの技術により判定することができる。泡のより大きな表面積に垂直な断面積は、エネルギー分散分光(EDS)能力を備えた走査電子顕微鏡(SEM)により調べることができる。断面表面上のケイ素をマッピングするための他の技術には、飛行時間二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)及び赤外分光分析法が挙げられる。
【0176】
好ましい方法は、cryo−SEM断面で元素マップを行うことである。きれいなかみそりの刃で多孔質固体物から代表的部分を切り出し、切りたての切断した側を上向きにして標準cryo−SEM部分上に置く。炭素テープ及び銀塗料で試料を台に固定する。Gatan Alto 2500 cryo stageを取り付けたHitachi S−4700 FE−SEMを用いて試料を撮像する。顕微鏡で撮像する前に、試料を−95℃に冷却する。試料を白金で軽くコーティングして、荷電を低減する。下部二次電子検出器を用いて、2kV、20μA引出電圧、ウルトラ解像モードにて代表的な像を回収する。長い作業距離を用いて、断面積の大部分(2〜4mm)が1つのフレームで撮像されるようにする。Oxford Instrumentsのエネルギー分散形X線分光器(Inca system)を用いて、元素マッピングを行う。マッピング条件は以下の通りである。加速電圧=10kV、引出電圧=20μA、温度=−105℃、作業距離=12mm(およそ)、コンデンサー設定=5。元素マップは、少なくとも200秒にわたって採取される。次に、対象の元素(美容有効成分が添加される前の元々の多孔質固体物中には存在しない、美容成分中に存在する元素を選択する)を選択し、マップとして表示させる。
【0177】
表面残留美容有効成分コーティングの測定は、多孔質固体物の切断断面積にわたる、選択された美容成分の分布を比較することによって行うことができる。特に、美容有効成分元素は、元々の固体/空気界面に(コーティングとして)存在すべきであるが、固体物の露出された切断されたばかりの内側を分析することにより確かめられ得るように、固体気泡の内側の露出した断面には存在すべきではない。切断したばかりの断面固体物気泡の内側へのいくらかの元素混入が、多孔質固体物の切断プロセスの結果として生じ得ることには留意すべきである。しかしながら、美容成分元素が多く分布するのは、本明細書で例示されているように、依然として元々の固体/空気境界面においてであり、気泡の露出された切断面の内側の中においてではない。
【0178】
本発明の表面残留美容有効成分コーティングが一般に全ての露出された固体/空気境界面にわたって均一に広がるものではないこともまた留意すべきである。むしろ、本発明の表面残留コーティングは典型的には、コーティング適用地点から空隙に重力に従って約0.5〜3mm下に広がることが判明している。したがって、本発明の美容成分の表面残留コーティングの測定は(上記のように)、多孔質固体物の上下端間及び端縁間の多くの異なる断面にわたって行うべきである。存在する場合には、表面残留美容有効成分コーティングは一般に、美容成分が最初に適用される表面の局所近傍内(表面から0.5〜3.0mm以内)である。
【0179】
気泡壁の厚さ
その気泡壁の厚さは、本明細書に記載のようにマイクロコンピューターを使った断層撮影法(μCT80、SN 06071200、スキャンコ・メディカルAG(Scanco Medical AG))を通してスキャンされた画像から計算される。その気泡壁の厚さは、スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)の骨梁形態計測評価を用いて骨梁厚さの測定のために定められている方法に従って決定される。Scancoユーザーマニュアルから引用されるような骨梁厚さの定義:骨梁厚さは、ユークリッドの(Euclidean)距離変換(EDM)を用い、それは最前面相内の任意の点から背面の最も近い点までのユークリッド距離を計算する。骨梁厚さは、EDMの極大に関連付けられる中心線の値の2倍を表し、それは物体の中心までの距離(この距離の2倍が厚さを表す)を表す。
【0180】
比表面積
比表面積は、ガス吸着技術を通して測定される。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定値である。BET(Brunauer,Emmet and Teller)理論は、表面積を決定するのに用いられる最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を用いてガス吸着等温線を測定する。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又は流れるガス下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスされた試料+試料管の重量−空の試料管重量により得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析をスタートする。この分析方法の最初の工程は、試料管の排気であり、次に液体窒素温度でヘリウムガスを用いて試料管内の空き空間体積を測定する。次に試料に2度目の排気をし、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザーが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。
【0181】
試料調製(脱ガス):吸収した汚染物質を適切に洗浄していない試料は分析中にガスを放出し、表面の一部は、測定のためのアクセスが不可能になる。脱ガスの目的は、分析に先立って試料の表面からこれらの吸着された分子を除去することである。吸着性分子は、曝露される純表面積について表面の全部分に到達しなければならない。試料を加熱すると共に同時に試料管を排気することにより、試料を調製する。
【0182】
これらの実験では、一晩室温にて排気下において、試料を脱ガスする。試料を次に、クリプトンガス吸着でASAP 2420を用いて分析することができる。クリプトンガスは液体窒素温度において窒素のおよそ1/300の飽和圧力を有する(クリプトン:0.33kPa(2.5torr);窒素:101.32kPa(760torr))ので、クリプトンガスが窒素ガスよりも好ましい。したがって、窒素と比較して、試料上の空き領域に、同一の相対圧にて約1/300の数のクリプトン分子が存在する。単層を形成するには、およそ同数のクリプトン及び窒素分子が必要なので、この数は、窒素の場合よりもはるかに大きな比率の投与量を表す。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことを薦める。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0183】
IV.使用方法
本発明の組成物は、毛髪及び/又は皮膚などの哺乳類ケラチン性組織を処理するのに使用することができ、かつ速やかなすすぎ能力を提供することができる。毛髪をコンディショニングする方法は、以下の工程を含んでよい:a)溶解性多孔質固体物の有効量を手に適用する工程、b)溶解性多孔質固体物を水で濡らし、かつ固体物をこすって溶解する工程、c)溶解した物質をトリートメントするために毛髪又は皮膚のいずれかに適用する工程、及びd)薄められたトリートメントを水を用いて毛髪又は皮膚からすすぐ工程。これらの工程は、所望のトリートメント効果を達成するために所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【実施例】
【0184】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。別段の指定がない限り、例示される量は全て、全組成物の重量を基準とした濃度、すなわち、重量/重量百分率である。
【0185】
実施例1:濃縮界面活性剤プレミックスの調製
以下の濃縮界面活性剤プレミックス組成物を調製する:
【0186】
【表1】

1 0/0.3/0.9/0.5/71.5/1/20/1.9/3.9/0の推定C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/C18アルキル鎖長分布を有し、平均2.0モルのエトキシル化を受けた25%活性でのラウレス−3硫酸アンモニウム、供給元:Procter & Gamble Chemicals
2 0/0.3/1.1/0.5/70.6/1.1/20.9/1.6/4.1/0の推定C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/C18アルキル鎖長分布を有する25%活性でのラウリル硫酸アンモニウム、供給元:Procter & Gamble Chemicals
3 CO−1694セチルアルコールNF、供給元:Procter & Gamble Chemicals
4 NINOL COMF、供給元:Stepan Company,Northfield,IL。
【0187】
ラウレス−3硫酸アンモニウム及びラウリル硫酸アンモニウムを洗浄及び計量済みの容器に添加し、オーバーヘッドミキサーを用いて100〜300rpmで撹拌する。混合物を70〜75℃にゆっくりと加熱し、その後、セチルアルコール及びコカミドMEAを添加する。混合物を撹拌し続けながら再び70〜75℃にし、次いで室温まで放冷する。次に、(生成中の蒸発分を補うために)追加の蒸留水を添加することにより、実際の生成物重量を目標生成物重量に調整し、その後、均質になるまで撹拌する。
【0188】
実施例2:シリコーンコーティングを後から添加した溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプー
以下の、シリコーンコーティングを後から添加した溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプーを、本発明に従って調製する。
【0189】
【表2】

1 87〜89%加水分解。分子量85,000〜124,000。Sigma−Aldrich(St.Louis,MO 63178)から入手可能。
2 Superol K,USP FCC EPグリセリン、供給元:Procter & Gamble Chemicals
【0190】
市販の電子レンジ(Sanyo EM−E1100S、Sanyo Electric.,Ltd.)及び高速混合装置(SpeedMixer(商標)DAC 400FV、Hauschild(Germany)製、FlackTek Inc.(Landrum,South Carolina)により流通)を用いて、目標重量250グラムの上記組成物を調製する。蒸留水及びグリセリンをSpeedMixer(商標)Max 300カップに添加し、閉じた容器を均質になるまで手で回転させることにより混合する。ポリビニルアルコールを添加し、閉じた容器の内容物を最高速度(およそ2,743回転毎分)で30秒にわたって混合する。スパチュラによりしばしば撹拌して、こぼれるのを防止しながら、電子レンジによる加熱をパワーレベル10にて15〜40秒の増分で行う。ポリビニルアルコールが混合物内に均一に分散するまで、この手順を複数回繰り返す。次に、ポリビニルアルコールが完全に溶解するまで(少なくとも1時間)、閉じた容器を対流式オーブン内で75〜80℃に加熱する。次に、(実施例1からの)界面活性剤プレミックスをこのポリビニルアルコール/水/グリセリン混合物に添加し、得られた組み合わせを30秒にわたってSpeedMixer(商標)内で最大速度にて均質になるまで混合する。次に、香料を添加し、続いて更に30秒にわたってSpeedMixer(商標)内で最大速度にて均質になるまで混合する。目標重量を達成するまで脱イオン水を添加して、生成中の蒸発分を補い、続いて更に30秒にわたってSpeedMixer(商標)内で最大速度にて均質になるまで混合する。
【0191】
上記混合物を、平らな回転刃の取り付け物が装着されたKitchenAid(登録商標)ミキサーモデルK5SS(Hobart Corporation(Troy,OH)から入手可能)の5クォートのステンレススチールのボウルに移す。混合物を、およそ90秒にわたって高速で激しく気泡化する。得られた気泡化混合物を次に、スパチュラで150mm×85mmのHDPE成形型の中に深さ0.5cmで広げ、これをトレーの中に置き、次に対流式オーブンで75〜80℃の温度にて30分にわたって加熱する。次に、この成形型をオーブンから取り出し、第二の対流式オーブンの中に置き、40℃の温度にて更に一晩乾燥させる。成形型をオーブンから取り出し、放冷する。次に、フォームパッドを成形型から剥がして取り出し、密封した袋に保存する。
【0192】
性能試験のために、発泡体試料をはさみを用いて4点天秤上で0.60グラム片に切断し、個々のプラスチック計量ボートに置く。小さな美容ブラシ用具を用いて表面をブラッシングすることにより、25℃にて346,000cpsの平均粘度を有するジメチコン(Momentive Performance Materials(Albany,New York)からのCF330M)を好適な4点天秤上で目標レベル0.027グラムにて各片に適用する。目標重量を超えた場合には、過剰なジメチコンを小さな美容スポンジ用具により直ちに除去する。試料を袋の中に一晩保存して、適用したシリコーンが試験前に多孔質固体物中に広がるのを可能にする。ジメチコン濃度は、得られた多孔質固体物のおよそ4.3重量%(多孔質固体物0.627グラム当たり0.027グラムのジメチコン)であると推定される。
【0193】
比較例3:シリコーンエマルションから製造された溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプー
以下の、シリコーンエマルションから製造された溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプーは、本発明に従って調製されるものではなく、比較目的のためだけに包含される。
【0194】
【表3】

1 87〜89%加水分解。分子量85,000〜124,000。Sigma−Aldrich(St.Louis,MO 63178)から入手可能。
2 Superol K,USP FCC EPグリセリン、供給元:Procter & Gamble Chemicals
3 25℃にて平均粘度346,000cpsのジメチコン、Momentive Performance Materials(Albany,New York)からCF330Mとして入手可能。
【0195】
香料添加直後にジメチコンを添加して、気泡化及び乾燥工程に先立ってジメチコン水中油型エマルションを生成させる(得られた固体に後から添加することとの対比)ことを除いて、実施例2に記載のように、市販の電子レンジ(Sanyo EM−E1100S、Sanyo Electric.,Ltd.)及び高速混合装置(SpeedMixer(商標)DAC 400FV、Hauschild(Germany)製、FlackTek Inc.(Landrum,South Carolina)により流通)を用いて目標重量250グラムの上記組成物を調製する。
【0196】
性能試験のために、発泡体試料を0.627グラム片に切断する。全ての水が蒸発時に除去されたものとみなすことにより(計算を容易にするため)、ジメチコン濃度を得られた多孔質固体物のおよそ4.38重量%(多孔質固体物0.627グラム当たり0.027グラムのジメチコン)と推計する。
【0197】
実施例4:カチオン性ポリマーを有し、シリコーンコーティングを後から添加した溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプー
以下の、シリコーンコーティングを後から添加した溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプーを、本発明に従って調製する。
【0198】
【表4】

1 87〜89%加水分解。分子量85,000〜124,000。Sigma−Aldrich(St.Louis,MO 63178)から入手可能。
2 Superol K,USP FCC EPグリセリン、供給元:Procter & Gamble Chemicals
3 UCARE(商標)ポリマーLR400(Code MB)。Amerchol Corporation(Plaquemine,Louisiana)から入手可能。
【0199】
従来のオーバーヘッド撹拌器(IKA(登録商標)Works,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM Stirrer)、市販の電子レンジ(Sanyo EM−E1100S、Sanyo Electric.,Ltd.)及び高速混合装置(SpeedMixer(商標)DAC 400FV、Hauschild(Germany)製、FlackTek Inc.(Landrum,South Carolina)により流通)を用いて、目標重量250グラムの上記組成物を調製する。蒸留水をガラスビーカーに添加し、4枚刃のプロペラを備えたオーバーヘッド撹拌器により100〜200回転毎分で撹拌する。次に、撹拌しながらポリクオタニウム−10を水に添加し、溶液が透明になってポリクオタニウム−10プレミックスを形成するまで溶解させる。ポリクオタニウム−10プレミックス及びグリセリンを計量済みSpeedMixer(商標)に添加し、密封した容器を均質になるまで手で回転することにより混合する。気泡化及び乾燥工程は、実施例2に記載のように完了させる。
【0200】
性能試験のために、密封した袋から発泡体試料を取り出し、0.60グラム片に切断する。小さな美容ブラシ用具を用いて表面をブラッシングすることにより、25℃にて346,000cpsの平均粘度を有するジメチコン(Momentive Performance Materials(Albany,New York)からのCF330M)を目標レベル0.027グラムにて各片に適用する。目標重量を超えた場合には、過剰なジメチコンを小さな美容スポンジ用具により直ちに除去する。試料を計量ボートに一晩置いたままにして、適用したシリコーンが試験に先立って多孔質固体物に吸収されるのを可能にする。ジメチコン濃度は、得られた多孔質固体物のおよそ4.3重量%(多孔質固体物0.627グラム当たり0.027グラムのジメチコン)であると推定される。
【0201】
実施例5:シリコーンエマルションから製造したカチオン性ポリマーを有する溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプー
以下の、シリコーンエマルションから製造された溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプーは、本発明に従って調製されるものではなく、比較目的のためだけに包含される。
【0202】
【表5】

1 87〜89%加水分解。分子量85,000〜124,000。Sigma−Aldrich(St.Louis,MO 63178)から入手可能。
2 Superol K,USP FCC EPグリセリン、供給元:Procter & Gamble Chemicals
3 UCARE(商標)ポリマーLR400(Code MB)。Amerchol Corporation(Plaquemine,Louisiana)から入手可能。
4 25℃にて平均粘度346,000cpsのジメチコン、Momentive Performance Materials(Albany,New York)からCF330Mとして入手可能。
【0203】
従来のオーバーヘッド撹拌器(IKA(登録商標)Works,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM Stirrer)、市販の電子レンジ(Sanyo EM−E1100S、Sanyo Electric.,Ltd.)及び高速混合装置(SpeedMixer(商標)DAC 400FV、Hauschild(Germany)製、FlackTek Inc.(Landrum,South Carolina)により流通)を用いて、目標重量250グラムの上記組成物を調製する。蒸留水をガラスビーカーに添加し、4枚刃のプロペラを備えたオーバーヘッド撹拌器により100〜200回転毎分で撹拌する。次に、撹拌しながらポリクオタニウム−10を水に添加し、溶液が透明になってポリクオタニウム−10プレミックスを形成するまで溶解させる。ポリクオタニウム−10プレミックス及びグリセリンを計量済みSpeedMixer(商標)に添加し、密封した容器を均質になるまで手で回転することにより混合する。
【0204】
香料添加直後にジメチコンを添加して、気泡化及び乾燥工程に先立ってジメチコン水中油型エマルションを生成させる(得られた固体に後から添加することとの対比)ことを除き、実施例2に記載のように、残りの工程を行った。
【0205】
性能試験のために、密封した袋から発泡体試料を取り出し、試験用0.627グラム片に切断する。全ての水が蒸発時に除去されたものとみなすことにより(計算を容易にするため)、ジメチコン濃度を得られた多孔質固体物のおよそ4.38重量%(多孔質固体物0.627グラム当たり0.027グラムのジメチコン)と推計する。
【0206】
実施例6:カチオン性ポリマーを有し、アミノシリコーンコーティングを後から添加した溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプー
ジメチコンの代わりにアミノシリコーン(製品コード65850 Y−14945、25℃にて粘度14,500cps、アミン含有量0.050meq/g)を用い、実施例4と同一の処方及び手順に従って溶解性多孔質固体シャンプーパッドを調製する。
【0207】
実施例7〜11:コンディショニング性能及びシリコーン付着評価
上記実施例2〜5を毛髪にシャンプーの手順で適用し、毛髪コンディショニング性能と、毛髪に付着したジメチコンのレベル(シリコーン付着)とを評価する。各例からの個々の多孔質固体物切片を5本の20.32cm(8インチ)の中くらいの茶色のヘアピース(各々の重量は4グラムである)に適用する(すなわち、0.627グラムの固体物を20グラムの毛髪に適用)。5本のヘアピースを並べて一緒にクランプで結びつけ、シンクの上の静止位置で掴みながら、シャワーノズルからの100°Fの水道水(流速毎分1.5グラムの水)で湿らせる。多孔質固体切片をヘアピースの中心近くに置き、更に5立方センチメートルの100°Fの水道水をプラスチックシリンジを介して固体片の上部に適用する。濡れた固体物を親指でわずかに擦り、次に、ヘアピースの中に向かって30秒にわたって「引き出し(milked)」、上下に繰り返し圧搾して濡れた泡を作り出す。次に、上記のようにシャワーノズルから流れる水で30秒すすぐことにより、泡を徹底的にヘアピースからすすぎ落す。次に、この適用手順を2回繰り返す。次に、5本のヘアピースをクランプから取り外し、アルミホイルで一緒に包む。上記の処置手順を4つの実施例各々について繰り返す。
【0208】
各グループから1本のヘアピースをホイルから取り出し、対応する処置識別票でマークしたホルダーにかける。官能試験員に依頼して、プロ用スタイリング櫛の大きな端部を用いて「濡れた状態のもつれやすさ」を、同一の櫛の小さな端部を用いて「濡れた状態の櫛通りしやすさ」を評価する(0〜10の尺度で、0は「困難」を表し、10は「容易」を表す)。個々のヘアピースをかけておき、一晩乾燥させ、官能試験員により櫛の小さい端部のみを使用して乾燥状態の櫛通りについて評価する。ヘアピースの「乾燥状態の端部の櫛通り」の評価とは別に、ヘアピースの「乾燥状態の本体の櫛通り」の評価を行う(0〜10の尺度で、0は「困難」を表し、10は「容易」を表す)。
【0209】
次に、得られたヘアピースを付着試験用に切断する。20mLシンチレーション瓶中において、50:50のトルエン:メチルイソブチルケトン6mLで1.5gの毛髪からシリコーンを抽出する。パルス渦発生装置で30分にわたって瓶を撹拌する。誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)を用いて、抽出物のシリコーンを定量化する。試験される生成物と同一又は構造的に比較可能な型のシリコーン原材料を用いて既知のシリコーン濃度のICP較正標準を行う。本方法の作動範囲は、毛髪1グラム当たり8〜2300μgのシリコーンである。実施例2〜5を表す採取データを下表に与える。
【0210】
【表6】

【0211】
上記実施例7〜11は、シリコーン付着の改善と、それに対応して、本発明に従って(実施例2〜4によるコーティングとして、予め形成した多孔質固体上にジメチコンを後から添加することにより)製造される多孔質固体物の濡れた状態及び乾燥状態のコンディショニング性能とを、本発明に従わないで(実施例3及び5により、乾燥プロセスの前にジメチコンを乳化して固体物を形成することにより)製造される多孔質固体物と対比して、示す。本発明に従って製造された前者の実施例はそれぞれ、およそ11%及び8%の増加した推計シリコーン付着効率を与える。本発明と反対に製造された後者の比較例は、それぞれ、およそ2.5%及び4%の低い推計シリコーン付着効率を与える。最後の実施例もまた、後から添加したアミノシリコーンから、濡れた状態及び乾燥状態のコンディショニング性能及び付着効率の優良性を示す(実施例6で製造)。
【0212】
実施例12:表面残留シリコーンコーティングの評価
実施例2からの、後から添加したシリコーンコーティングを有する溶解性多孔質固体コンディショニングシャンプーを、本明細書に記載のような(シリコーンからの)元素ケイ素の元素マッピングでSEM撮像により分析する。図1、2、3及び4は、同じ断面図の、元々のSEM像(左側)とシリコーンの元素マップ(右側)との代表的な断面比較を示す(ケイ素の存在は白色で示される)。これらの図から、ケイ素(シリコーンの代表)が主に多孔質固体/空気境界面に残留し、その一方で、切断したばかりの固体気泡壁の内部にわたって分布していることが明瞭に理解できる。これらの図は、複数の固体/空気境界面(上面及び固体内部の露出空隙内の両方)にわたる表面残留コーティングとしてのシリコーン系美容有効成分の存在を示す。本明細書に記載のように、シリコーンコーティングが全ての露出された固体/空気境界面に広がらないことに留意すべきである。シリコーンが元々適用された表面にごく近接した空隙の中に、シリコーンが広がることは一般に見ることができる。実際、これらの画像の中には、シリコーンが広がっていないいくつかの空隙が存在する。これらの画像1〜4が、本発明を例証するためにシリコーンが適用される表面に近接して選択されたことに留意すべきである。反対側領域から取られた同じ試料からの画像は、一般に、境界面において有意なシリコーン蓄積を示さない。切断プロセスに起因すると思われるいくらかのわずかなSi元素混入(又はノイズ)が存在することを見ることもできる。シリコーン蓄積における有意差を、切断プロセスからの混入のこのレベルを超えて容易に見ることができる。
【0213】
実施例13:代表的な多孔質固体物構造測定
以下の構造測定を本明細書に開示の方法に従って実施例2で製造した多孔質固体物について(後から添加するシリコーンの導入前に)行った。
【0214】
【表7】

【0215】
上記構造測定値は、主に開放気泡多孔質固体物を示唆し、本発明の構造範囲内にある。
【0216】
引用される全ての文献は、その全体が本明細書に参照により組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを容認するものとして解釈すべきでない。この文書における用語のあらゆる意味又は定義が、本明細書に参考として組み込まれる文献における用語のあらゆる意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用される。
【0217】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【0218】
本明細書に開示された任意の活性物質及び/又は組成物は、以下の米国特許出願:米国特許第61/229981号、同第61/229986号、同第61/229990号、同第61/229996号、同第61/230000号、同第61/230004号、並びに、これらに優先権を主張する任意の出版物に開示されている物品、特に家庭用ケア物品、の内部で及び/又はそれらと共に使用できることに留意すべきである。このような物品は、以下のうちの1種以上を含んでもよい:洗浄性界面活性剤、可塑剤、酵素、石鹸泡抑制剤、石鹸泡促進剤、漂白剤、漂白安定剤、キレート剤、洗浄溶媒、向水性物質、二価イオン、柔軟仕上げ添加物(例えば、第四級アンモニウム化合物)、非イオン性界面活性剤、香料及び/又は香料送達系。このような物品は、洗濯機に投入して布地を洗浄及び/又は処理すること、食器洗浄機に投入して食器を洗浄及び/又は処理すること、並びに、水に投入して布地及び/又は硬質表面を洗浄及び/又は処理すること、が挙げられるがこれらに限定されない方法において利用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0%〜10%のイオン性界面活性剤と、
(b)非界面活性剤系美容有益剤を含む、1%〜60%の疎水性表面残留コーティングと、
(c)15%〜70%の、約40,000〜約500,000の重量平均分子量を有する高分子構造化剤と、
(d)1%〜30%の可塑剤と、
を含む多孔質溶解性固体構造物の形態の非発泡性パーソナルケア物品であって、前記物品は、約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3の密度を有する、非発泡性パーソナルケア物品。
【請求項2】
(a)23%〜75%の界面活性剤と、
(b)非界面活性剤系美容有益剤を含む、1%〜60%の疎水性表面残留コーティングと、
(c)10%〜50%の水溶性ポリマーと、
(d)1%〜30%の可塑剤と、
を含む多孔質溶解性固体構造物の形態の可撓性の発泡性パーソナルケア物品であって、前記物品は、約0.05g/cm3〜約0.4g/cm3の密度を有する、可撓性の発泡性パーソナルケア物品。
【請求項3】
(a)界面活性剤と溶解した高分子構造化剤と可塑剤と所望により追加の任意成分とを含む加工混合物を調製する工程と、
(b)前記混合物内にガスを導入することにより前記混合物を気泡化して、湿潤気泡化混合物を形成する工程と、
(c)前記湿潤気泡化混合物を所望の1つ以上の形状に形成する工程と、
(d)前記湿潤気泡化混合物を所望の最終水分含量まで乾燥させて、多孔質溶解性固体構造物の形態のパーソナルケア物品を形成する工程と、
(e)前記物品の固体/空気境界面に吸着する疎水性表面残留コーティングを塗布する工程と、を含み、前記コーティングが非界面活性剤系美容有効成分を含む、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項4】
(1)多孔質溶解性固体構造物の形態のパーソナルケア物品を得る工程と、
(2)前記物品の固体/空気境界面に吸着する疎水性表面残留コーティングを塗布する工程と、を含み、前記コーティングが非界面活性剤系美容有効成分を含む、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項5】
前記疎水性コーティングが0(cal/cm31/2〜10(cal/cm31/2のVaughanの溶解度パラメーターを有し、前記物品が125グラム/m2〜3,000グラム/m2の坪量と、0.5mm〜10mmの厚さと、を有する、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項6】
前記疎水性コーティングが、シリコーン、ペトロラタム、炭化水素油、天然若しくは合成ワックス、パラフィン、オゾケライト、ポリエチレン、ポリブテン、ポリデセン、ペンタヒドロスクアレン、植物油、トリグリセリド、香油又はこれらの組み合わせを含む、請求項1、2又は5に記載の物品。
【請求項7】
0.08g/cm3〜0.25g/cm3の密度、1mm3〜90mm3の星形体積と負でない0〜3の範囲である構造モデル指数とを有することにより定義される気泡間結合性を有する、請求項1、2、5又は6に記載の物品。
【請求項8】
前記物品が、0.03m2/g〜0.25m2/gの表面積と、80%〜100%の開放気泡含有百分率と、0.02mm〜0.15mmの気泡壁厚さと、を有する、請求項1、2、5、6又は7に記載の物品。
【請求項9】
実質的に非発泡性であり、1%〜50%の非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤又はこれらの組み合わせを含む、請求項1、2又は請求項5〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記疎水性コーティングが香油を含む、請求項1、2又は請求項5〜9のいずれか一項に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−511052(P2012−511052A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540825(P2011−540825)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/067133
【国際公開番号】WO2010/077653
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】