説明

疎水的に改質されたイヌリンおよび親水性アクリルポリマーで安定化させた高油分O/W型エマルジョン

本発明は、生理学的に許容できる媒体中に、
i)疎水性鎖で改質された少なくとも1種のイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、ならびにii)少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーおよびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アクリルポリマーからなる活性物質を、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物に関する。前記組成物を使用する化粧法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤が追加されなくても、高濃度の脂肪性物質を含有する水中油型エマルジョンを安定化させることに関する。
【0002】
本発明は、
i)疎水性鎖で改質されたイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、および
ii)少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーおよびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アクリルポリマーからなる活性物質を、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%
含有する、水中油(O/W)型エマルジョンの形態の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
特に乾燥肌のケア用に脂肪性物質に富む(組成物の総重量に対して5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらには20重量%以上の含有量)、水中油型エマルジョンの形態の組成物が所望される。
【0004】
しかし、脂肪性物質に富むこれらのエマルジョンの安定化は、かなりの量の界面活性剤および/または増粘剤と組み合わせて乳化系を使用せざるを得ず、これは、感触が感覚的により重くなり、べたつき感、および特に敏感肌または反応肌の人に対してはある種の刺激潜在性が付加されるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6197283号
【特許文献2】米国特許第6444785号
【特許文献3】米国特許第4367390号
【特許文献4】欧州特許第863145号
【特許文献5】欧州特許第517104号
【特許文献6】欧州特許第570838号
【特許文献7】欧州特許第796851号
【特許文献8】欧州特許第775698号
【特許文献9】欧州特許第878469号
【特許文献10】欧州特許第933376号
【特許文献11】欧州特許第507691号
【特許文献12】欧州特許第507692号
【特許文献13】欧州特許第790243号
【特許文献14】欧州特許第944624号
【特許文献15】米国特許第5624663号
【特許文献16】欧州特許第0832642号
【特許文献17】欧州特許第1027883号
【特許文献18】欧州特許第1300137号
【特許文献19】独国特許第10162844号
【特許文献20】国際公開第93/04665号
【特許文献21】独国特許第19855649号
【特許文献22】独国特許第19755649号
【特許文献23】欧州特許第916335号
【特許文献24】欧州特許第1133980号
【特許文献25】欧州特許第1133981号
【特許文献26】欧州特許出願公開第1008586号
【特許文献27】仏国特許出願公開第2570377号
【特許文献28】欧州特許出願公開第199636号
【特許文献29】欧州特許出願公開第325540号
【特許文献30】欧州特許出願公開第402072号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】L. BRANNON-PAPPASおよびR. HARLANDによる著作「Absorbent polymer technology, Studies in polymer science 8」、Elsevier、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来使用されている安定化系としては、特に界面活性剤系(糖エステル、例えばスクロースラウレート)、脂肪アルコール、アルキルポリグルコシド、ポリグリセロールエステル、および/または増粘剤(キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート)がある。さらに、高濃度の脂肪性物質(例えば、組成物の総重量に対して10重量%)の存在下で、高HLB界面活性剤と組み合わせて疎水性アクリルポリマー(例えば、Carbopol2020またはPemulen)を使用することは、一般的な方法である。しかし、かなりの量で増粘剤および界面活性剤を含有するこれらの複合系は、感触が感覚的により重くなり、同時に、べたつき感およびある種の刺激潜在性が付加されるという欠点を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、出願人は、本質的に乳化性が劣る疎水的に改質されたイヌリン(a)と、少なくとも1種の特定の親水性アクリルポリマーとの組合せにより、特に組成物が、脂肪性物質を、組成物の総重量に対して3重量%超、さらには5重量%超含有するとき、安定した感覚的に好ましいエマルジョンを得ることが可能となり、これは界面活性剤を追加しなくても可能となることを発見した。
【0009】
対照的に、疎水的に改質されたイヌリンと、疎水性アクリルポリマーとの組合せ、例えば架橋エトキシ化(25EO)ベヘニルメタクリレート/AMPSコポリマーは、安定性および感覚特性について満足のいく結果を得ることができない。
【0010】
本発明は、生理学的に許容できる媒体中に、
i)疎水性鎖で改質されたイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、
ii)少なくとも部分的に中和された架橋ナトリウムポリアクリレートから選択される、少なくとも1種の親水性アクリルポリマーからなる活性物質を、組成物の総重量に対して、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%
含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物を特に提供する。
【0011】
この組合せにより、皮膚に施用すると、変換され、「軟化」し、液化を経て、それにより、施用部分にわたってみずみずしい効果をもたらす、特定の感触を示す化合物を得ることが特に可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別の実施形態において、本発明は、生理学的に許容できる媒体中に、
i)疎水性鎖で改質されたイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、
ii)少なくとも1種の高吸水性アクリルポリマー、特に架橋ナトリウムポリアクリレートからなる活性物質を、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%
含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物に関する。
【0013】
この組合せにより、皮膚に施用すると、独特の柔らかくパウダリーな感触を有する組成物を特に得ることができる。
【0014】
特に、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%含む。
【0015】
したがって、本発明は、生理学的に許容できる媒体中に、
i)脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも3重量%、
ii)疎水性鎖で改質されたイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、および
iii)少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)の架橋ホモポリマーおよびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アクリルポリマーからなる活性物質を、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%
含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物をさらに提供する。
【0016】
特に、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%含む。
【0017】
別の実施形態において、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%、さらには少なくとも20重量%含む。
【0018】
さらに別の実施形態において、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも30重量%含む。
【0019】
本発明による組成物は、W/O型エマルジョンの形態をとり、好ましくは乳化界面活性剤を含まず、特に(本発明により使用される改質イヌリンまたは親水性アクリルポリマーにより既に導入されていないと思われる)追加の乳化界面活性剤を含まない。
【0020】
本発明によれば、乳化界面活性剤を「含まない」組成物とは、乳化界面活性剤を1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、さらには0.2重量%未満、または0重量%含有する組成物である。
【0021】
疎水的に改質されたイヌリン
本発明による「疎水的に改質されたイヌリン」とは、特に疎水性鎖で改質されたイヌリン、とりわけ前記イヌリンの親水性骨格上に疎水性鎖をグラフトすることにより改質されたイヌリンである。
【0022】
イヌリンは、フルクタン類に属する。
【0023】
フルクタンまたはフルクトサンは、フルクトース以外の1種または複数のサッカリド残基と場合により組み合わせてアンヒドロフルクトース単位の配列を含む、オリゴ糖または多糖である。フルクタンは、直鎖または分岐であってよい。フルクタンは、植物源または微生物源から直接得られる生成物、あるいは特に酵素的に分画、合成または加水分解することにより変更(増加または減少)された鎖長を有する生成物であってよい。フルクタンは、2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度を一般に有する。
【0024】
3つの異なる群のフルクタンが存在する。第1の群としては、そのフルクトース単位が、β2-1結合を介して通例結合する生成物が該当する。これらは、本質的に直鎖状フルクタン、例えばイヌリンである。
【0025】
第2の群も直鎖状フルクトースが該当するが、フルクトース単位は、β2-6結合を介して本質的に結合する。これらの生成物は、レバンである。
【0026】
第3の群としては、混合フルクタン、言い換えればβ2-6配列およびβ2-1配列を有するものが該当する。これらは、本質的に分岐状フルクタン、例えばグラミナンである。
【0027】
イヌリンは、例えば、エンダイブ、ダリアまたはキクイモから得ることができる。本発明による組成物で使用するイヌリンは、例えばエンダイブから得られることが好ましい。
【0028】
本発明による組成物で使用するイヌリンは、疎水的に改質されている。それらは、特に、フルクタンの親水性骨格上に疎水性鎖をグラフトすることにより得られる。
【0029】
フルクタンの主鎖上にグラフトできる疎水性鎖は、特に、1〜50個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖、例えばアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基およびアルキレン基、二価脂環式基、または有機ポリシロキサン鎖であってよい。これらの炭化水素鎖または有機ポリシロキサン鎖は、1個もしくは複数のエステル官能基、アミド官能基、ウレタン官能基、カルバメート官能基、チオカルバメート官能基、尿素官能基、チオ尿素官能基および/またはスルホンアミド官能基、例えば、特にメチレンジシクロヘキシルおよびイソホロン、あるいは二価の芳香族基、例えばフェニレンを特に含むことができる。
【0030】
特に、イヌリンは、1つのフルクトース単位で、2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度、および2未満の置換度を示す。
【0031】
好ましい一実施形態によれば、疎水性鎖は、式R-NH-CO-(式中、Rは、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基である)の少なくとも1つのアルキルカルバメート基を有する。
【0032】
より好ましい一実施形態によれば、疎水性鎖は、ラウリルカルバメート基である。
【0033】
特に、本発明による組成物で使用できる疎水的に改質されたイヌリンの例示的かつ非限定的な例としては、ステアロイルイヌリン、例えば、EngelhardによりLifidrem INSTおよびCibaによりRheopearl INSの商品名で販売されているもの;パルミトイルイヌリン;ウンデシレノイルイヌリン、例えばEngelhardによりLifidrem INUKおよびLifidrem INUMの商品名で販売されているもの;ならびにイヌリンラウリルカルバメート、例えば、OraftiによりInutec SP1の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0034】
ラウリルイソシアネートと、イヌリン、特にエンダイブから得られるイヌリンとの反応から特に生じる、グラフト化イヌリンラウリルカルバメートが特に使用される。これらの化合物の例としては、特にOraftiによりInutec SP1の商品名で販売されている製品が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物中の疎水的に改質されたイヌリンの量は、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜1重量%の(活性物質の)範囲であってよい。
【0036】
疎水的に改質されたイヌリンの量は、前記組成物中に存在する脂肪性物質の量の関数として選択される。
【0037】
疎水的に改質されたイヌリンと脂肪性物質との重量比は、1:0.1〜0.1:60、特に0.1:1〜0.1:60、好ましくは0.1:1〜0.1:15、より好ましくは0.1:5〜0.1:15、より好ましくはさらに0.1:8〜0.1:12の範囲となることができることが好ましいであろう。
【0038】
それは、0.1:10、言い換えれば、組成物の総重量に対して、脂肪性物質10重量%に対するイヌリン0.1重量%であることが好ましいであろう。
【0039】
例証として:
【0040】
【表1】

【0041】
同時に、重量比(改質されたイヌリン/脂肪性物質)は、0.001〜10、特に0.002〜10、好ましくは0.005〜10、より好ましくは0.005〜0.02の範囲であることを示すことができる。
【0042】
重量比(疎水的に改質されたイヌリン/脂肪性物質)は、1未満、特に0.5未満、より好ましくはさらに0.1未満であることが好ましいであろう。
【0043】
特に、それは0.01であろう。
【0044】
疎水的に改質されたイヌリンは、乳化前に水相か油相のいずれかに分散させることができるであろう。
【0045】
それは、乳化前に油相に分散させることが好ましいであろう。
【0046】
親水性アクリルポリマー
本発明による親水性アクリルポリマーは、特に、少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーおよびそれらの混合物から選択される、非両親媒性および非疎水性のアクリルポリマーである。
【0047】
親水性アクリルポリマーは、AMPSホモポリマー、非微粒子形態の架橋ナトリウムポリアクリレート、特に、アクリル酸モノマーを90%超含有するか、または非イオン性モノマーを全く含有しない架橋アクリルポリマー、高吸水性アクリルポリマー、特に微粒子形態の架橋ナトリウムポリアクリレートから選択されることが好ましい。
【0048】
この親水性アクリルポリマーの存在により、良好な安定性を示す組成物が得られる。
【0049】
親水性アクリルポリマーは、組成物の総重量に対して例えば0.05重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜6重量%、特に0.1重量%〜5重量%、より好ましくはさらに0.1重量%〜4重量%、さらに0.1重量%〜3重量%の範囲の活性物質に換算した量で、本発明による組成物中に存在することができる。
【0050】
1/AMPSホモポリマー
本発明の組成物で使用するAMPSホモポリマーは、水溶性もしくは水分散性、または水膨張性であることが有利であり、それらは、遊離形態、または部分的にもしくは完全に中和された形態であってよい。
【0051】
本発明によるAMPSホモポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア)または有機塩基、例えばモノ-、ジ-もしくはトリ-エタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジン、ならびにこれらの化合物の混合物により部分的または完全に中和できることが優先される。それらは、一般に中和される。本発明の目的のために、「中和された」とは、完全またはほぼ完全に中和された、言い換えれば、少なくとも90%程度まで中和されたポリマーを指す。
【0052】
本発明の組成物で使用するAMPSホモポリマーは、1000〜20000000g/mol、好ましくは20000〜5000000g/mol、より好ましくは100000〜1500000g/molの数平均分子量を一般に有する。
【0053】
本発明によるこれらのポリマーは、架橋されていても、または架橋されていなくてもよい。
【0054】
ポリマーが架橋されているとき、架橋剤は、フリーラジカル重合により得られるポリマーの架橋で一般に使用するオレフィンポリ不飽和を含有する化合物から選択できる。
【0055】
架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ハイドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートもしくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、または多官能アルコールの他のアリルエーテルもしくはビニルエーテル、さらにリン酸および/またはビニルリン酸の誘導体のアリルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態において、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、ポリマーに対して、一般に0.01〜10mol%、より特に0.2〜2mol%である。
【0057】
スルホン基を含有するモノマーのホモポリマーは、1種または複数の架橋剤で架橋できる。
【0058】
これらのホモポリマーは、一般に架橋および中和されており、それらは:
(a)モノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を、遊離形態で、tert-ブタノール溶液、または水とtert-ブタノールとの溶液に分散または溶解させるステップと、
(b)ポリマーのスルホン酸官能基の中和度が90%〜100%になる量で、(a)で得られたモノマーの溶液または分散液を、1種もしくは複数の有機塩基または無機塩基、好ましくはアンモニアNH3で中和するステップと、
(c)架橋モノマー(複数可)を(b)で得られた溶液または分散液に加えるステップと、
(d)10〜150℃の温度にて、フリーラジカル開始剤の存在下で、従来のフリーラジカル重合を行うステップであって、ポリマーを、tert-ブタノール系の溶液または分散液に沈殿させるステップと
を含む調製法により得ることができる。
【0059】
好ましいAMPSホモポリマーは、それらが、無作為に分布した
a)以下の一般式(II)の単位を90重量%〜99.9重量%、
【0060】
【化1】

【0061】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンを示し、10mol%以下のカチオンX+が、プロトンH+である)、
b)少なくとも2個のオレフィン二重結合を有する少なくとも1つのモノマー由来の架橋単位を0.01重量%〜10重量%含み、重量による割合が、ポリマーの総重量に対して定義されることで一般に特徴付けられる。
【0062】
より特に好ましい本発明のホモポリマーは、式(II)の単位を98重量%〜99.5重量%、架橋単位を0.2重量%〜2重量%含有する。
【0063】
この種類のポリマーとしては、特に、ClariantからHostacerin(登録商標)AMPS(CFTA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の商品名で販売されている、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋および中和されたホモポリマーが挙げられる。
【0064】
2/架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー
本発明に適した架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、微粒子形態(高吸水性ポリマー)または非微粒子形態の組成物中に存在することができる。
【0065】
第1の実施形態において、少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、非微粒子形態の組成物中に存在する。
【0066】
別の実施形態において、少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、微粒子形態の組成物中に存在する高吸水性ポリマーである。
【0067】
2.非微粒子形態の中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー
本発明による組成物で使用する架橋アクリルポリマーは、組成物で使用する前に中和されるのが好ましい。すなわち、それらは、塩基を加えることにより、組成物が配合されるときその場で中和される、中和されていない形態のアクリルポリマーとは対照的に、中和された形態で販売されている。
【0068】
その他の点では、使用する前に既に中和されているこれらの架橋アクリルポリマーの例としては:
-いずれもCognisより販売されている、乾燥物質を90%および水を10%含有する、Cosmedia SP(登録商標)または架橋ナトリウムポリアクリレート、乾燥活性物質を約60%、油(水素化ポリデセン)および界面活性剤(PPG-5 Laureth-5)を含有する、Cosmedia SPL(登録商標)または逆エマルジョン中のナトリウムポリアクリレート、
-少なくとも1種の極性油を含有する逆エマルジョンの形態の、部分的に中和された架橋ナトリウムポリアクリレートであって、例としては、BASFによりLuvigel(登録商標)EMの商品名で販売されているものがある、部分的に中和された架橋ナトリウムポリアクリレート、ならびに
-それらの混合物
が挙げられる。
【0069】
あらかじめ中和されなかった本発明による架橋アクリル酸ポリマーは、任意の適当な手段により、特に水酸化ナトリウムを加えることにより中和できる。これにより、ナトリウムポリアクリレートが得られる。カリウムポリアクリレートも本発明に適している。
【0070】
実際に、問題のポリマーが、中和されていない形態で販売されている場合、本発明の組成物で使用する前に、中和を行ってもよい。対照的に、これらの化合物の一部に関して、中和は、主物質に固有のものである。これは、既に部分的に中和されている、Luvigel(登録商標)EMおよびCosmedia(登録商標)SPおよびSPLと呼ばれる製品に特に当てはまる。
【0071】
例えばナトリウム対イオンまたはカリウム対イオンでの中和ステップは、ゲル化し、したがって組成物を安定化させる特性を架橋酸ポリマーに与えるために必要である。前記架橋アクリルポリマーは、この中和ステップ中に対応するアクリレートポリマーに変換される。本発明による架橋アクリルポリマーのアクリルモノマーは、5%〜80%の程度まで中和できる。
【0072】
本発明の特定の一実施形態において、本発明による架橋アクリルポリマーは、イオン性モノマーを含むことができる。使用できるイオン性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタムおよびカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。イオン性モノマーの特定の例としては、不飽和C3〜C5カルボン酸がある。しかし、本発明との関連において、アクリル酸モノマーを90%超含有するか、または非イオン性モノマーを全く含有しない架橋アクリルポリマーが優先される。
【0073】
特定の一実施形態において、架橋アクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーは、逆エマルジョンと称する、油中水型エマルジョンの形態であってよい。この逆エマルジョンは、例えば逆エマルジョン中で重合することにより得ることができる。
【0074】
本発明の特定の一実施形態において、使用するゲル化ポリマーは、少なくとも1種の極性油を含む逆エマルジョンの形態の、部分的に中和された架橋ナトリウムポリアクリレートである。挙げることができる油としては、脂肪酸エステルが挙げられる。これらの脂肪酸エステルの例としては、脂肪酸イソプロピルエステル、例えばイソプロピルパルミテートもしくはイソプロピルミリステート、または脂肪酸ポリグリセリド、特に、少なくともカプリン酸および/もしくはカプリル酸を少なくとも50%含有する脂肪酸の混合物がある。これらの種類の油中水型エマルジョンは、参照により本出願に組み込まれている米国特許第6197283号に記載されている。
【0075】
本実施形態において、油相は、1種または複数の脂肪酸エステル、ジグリセリドおよびトリグリセリドを含有するポリグリセリドと、カプリル酸および/またはカプリン酸を脂肪酸の総重量に対して好ましくは少なくとも50重量%の割合で含有する脂肪酸の混合物との混合物に基づく1種または複数の脂肪酸ポリグリセリドからなるものであってよい。
【0076】
本発明の一実施形態において、逆エマルジョンの油分は、逆エマルジョンの総重量に対して10重量%〜70重量%の間、特に15重量%〜35重量%の間である。
【0077】
この点について、油相が、C8〜C10トリグリセリド、すなわちその脂肪酸がカプリン酸とカプリル酸との混合物であるトリグリセリドからなる油相を26%含有する、Luvigel(登録商標)EMが特に挙げられる。
【0078】
さらに、油中水型エマルジョンは、界面活性剤を0.25重量%〜7重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%含有できる。
【0079】
少なくとも部分的に中和された架橋アクリルポリマーは、逆エマルジョンの総重量に対して20重量%〜70重量%、特に20重量%〜65重量%、例えば20重量%〜62重量%の量で逆エマルジョン中に存在することができる。
【0080】
特に、一実施形態おいて、架橋アクリルポリマーは、逆エマルジョンの総重量に対して、20重量%〜30重量%の量で逆エマルジョン中に存在することができる。さらに別の実施形態において、架橋アクリルポリマーは、組成物の総重量に対して50重量%〜62重量%の量で逆エマルジョン中に存在することができる。
【0081】
本発明によるポリマーは、
a)5〜80%が中和されている、35重量%〜100重量%のイオン性モノマー、
b)0重量%〜65重量%の非イオン性モノマー、
c)a)およびb)に対して、0.3mol%〜1mol%の少なくとも1種の少なくとも二官能性のモノマー
からなることができる。
【0082】
このようなポリマーの油中水型配合物において、油相は、その場合には、上に記載したように1種または複数の脂肪酸エステルからなることができる。
【0083】
アクリル酸は、使用できる架橋剤について言及する、特に、米国特許第6197283号の記載により、または米国特許第6444785号の記載により、当業者に公知の任意の方法により架橋できる。
【0084】
これらとしては、水または油に可溶性である不飽和を含有する化合物が挙げられる。これらの種類の架橋剤としては、特にメチレンビスアクリルアミド、ジビニルピロリドン、アルキル(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、エチレングリコールジアクリレート(最大50EO)、二価アルコールまたは多価アルコールの(メタ)アクリルエステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートがある。
【0085】
一実施形態において、架橋剤は水に可溶性である。
【0086】
別の実施形態において、架橋剤はトリアリルアミンである。
【0087】
本発明によるポリマーを含有するW/Oエマルジョンは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6444785号の教示に従って調製できる。この方法の目的は、レドックス開始剤系での後処理により残留モノマー含量を低下させることである。該方法に従って、W/Oエマルジョンの後処理は、
a)ポリマーの調製で使用するモノマーの総重量に対して、0.001重量%〜5重量%の
a1)酸化剤R1OOH、
(式中、R1は、水素、C1〜C8アルキル基またはC6〜C12アリール基を示す)、および/または
a2)過酸化水素を水性媒体中に放出する化合物
b)ポリマーの調製で使用するモノマーの総重量に対して、0.005重量%〜5重量%の
b1)αヒドロキシカルボニル化合物、
【0088】
【化2】

【0089】
(式中、該基は、互いに独立して以下の意味を有する:
R2:水素、官能基を場合により含有するか、かつ/またはオレフィン不飽和を含有してもよいC1〜C12アルキル基、
R3:水素、OH、官能基を場合により含有するか、かつ/またはオレフィン不飽和を含有してもよいC1〜C12アルキル基、
かつR2およびR3は、ヘテロ原子および/もしくは官能基を含有してもよく、かつ/またはオレフィン不飽和を含有してもよい管状構造を形成してもよい)、および/または
b2)この種のα-ヒドロキシ-カルボニル化合物を水性媒体中に遊離させる化合物
ならびに
c)複数の原子価状態で存在できる、触媒量の多価金属イオン
を本質的に含む、レドックス開始剤系を加えることにより行われる。
【0090】
2.b微粒子形態で高吸水性の中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー
別の実施形態において、少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、微粒子の状態で組成物中に存在する。問題のポリマーは、高吸水性ポリマーである。
【0091】
高吸水性ポリマーは、水中で膨張するポリマー、より特に架橋ポリマーである。本発明の組成物で使用する高吸水性ポリマーは、水和したとき、膨張して10μm〜1000μmの数平均直径を有する柔らかいビーズを形成する微粒子の形態で存在する。
【0092】
高吸水性ポリマーは、乾燥状態で、それ自体の重量の少なくとも20倍の水性液体、特に水、とりわけ蒸留水を自然吸収できる。この種の高吸水性ポリマーは、L. BRANNON-PAPPASおよびR. HARLANDによる著作「Absorbent polymer technology, Studies in polymer science 8」、Elsevier、1990年に記載されている。
【0093】
これらのポリマーは、水および水性液体を吸収および保持する高い能力を有する。
【0094】
自然吸収とは、最大30分の吸収時間を意味する。
【0095】
高吸水性ポリマーは、それ自体の重量の20〜2000倍(すなわち、吸水性ポリマー1グラム当たりに吸収される水20g〜2000g)、好ましくは30〜1500倍、より好ましくは50〜1000倍の吸水能力を有することができる。これらの吸水特性は、温度(25℃)および圧力(760mmHgまたは10000Pa)の標準条件下で、蒸留水に対して定義される。
【0096】
吸水性ポリマーとしては、特に、AveciaによりOctacare X100、X110およびRM100の商品名で販売されているもの、SNFによりFlocare GB300およびFlosorb 500の商品名で販売されているもの、BASFによりLuquasorb 1003、Luquasorb 1010、Luquasorb 1280およびLuquasorb 1110の商品名で販売されているもの、Grain ProcessingによりWater Lock G400およびG430(INCI名:アクリルアミド/ナトリウムアクリレートコポリマー)の商品名で販売されているもの、あるいはSumitomo Seikaから供給されているAQUA KEEP 10 SH NFを挙げることができる。
【0097】
少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、組成物の総重量に対して、例えば0.03重量%〜15重量%、好ましくは0.05重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜7重量%、さらに0.3重量%〜7重量%、または0.5重量%〜5重量%、あるいは1重量%〜7重量%、より好ましくはさらに2重量%〜5重量%の活性物質の量で本発明の組成物中に存在する。
【0098】
一般的に言えば、中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーは、乳化前に水相に分散される。
【0099】
特定の一実施形態において、前記中和された架橋ホモポリマーまたはコポリマーは、乳化前に油相に有利に分散できる。これは、特に、少なくとも1種の極性油を含む逆エマルジョンの形態の、部分的に中和された架橋ナトリウムポリアクリレートに当てはまり、例としては、BASFによりLuvigel(登録商標)EMの商品名で販売されているものがある。
【0100】
水相
水相は、水、ならびに2〜8個の炭素原子を含有する一価アルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノール、ポリオール、例えばグリセロールおよびプロパンジオール、グリコール、例えばペンチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ならびにポリエチレングリコール、例えばPEG-8;ソルビトール;糖、例えばグルコース、フラクトース、マルトース、ラクトースおよびスクロース;ならびにそれらの混合物を含む、親水性アジュバントを一般に含有する。
【0101】
水は、フローラルウォーター、例えばコーンフラワーウォーター、および/またはミネラルウォーター、例えばVittelからの水、Lucasからの水もしくはLa Roche Posayからの水、ならびに/あるいは温泉水であってよい。
【0102】
周囲温度(25℃)で水と混和できるポリオールは、特に2〜20個の炭素原子を有し、好ましくは2〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有するポリオール、例えば、グリセロール、ポリピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジエチレングリコール;グリコールエーテル(特に3〜16個の炭素原子を有する)、例えばモノ-、ジ-またはトリプロピレングリコールアルキル(C1〜C4)エーテル、モノ-、ジ-またはトリエチレングリコールアルキル(C1〜C4)エーテル;ならびにそれらの混合物から特に選択できる。
【0103】
周囲温度で水と混和できるポリオールは、組成物の総重量に対して1重量%〜20重量%の範囲、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の量で組成物中に存在することができる。
【0104】
本発明による組成物は、2〜6個の炭素原子を有する一価アルコール、例えばエタノール、イソプロパノールを、特に、本発明の総重量に対して、0.01重量%〜10重量%の範囲、好ましくは1重量%〜7重量%の範囲の量で含むことができる。
【0105】
水相(ポリオールおよび他の水溶性または水分散性の化合物を含む)は、組成物の総重量に対して50重量%〜99重量%、特に50重量%〜88重量%、60重量%〜85重量%、より好ましくは65重量%〜85重量%、さらにより好ましくは70重量%〜80重量%に相当することができる。
【0106】
脂肪(油)相
脂肪相は、組成物の総重量に対して2重量%〜60重量%、より好ましくは5重量%〜60重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、好ましくは8重量%〜40重量%、特に10重量%〜40重量%、より好ましくは10重量%〜30重量%、さらには15重量%〜30重量%の範囲の量で本発明による組成物中に存在することが好ましい。
【0107】
特に、本発明による組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも3重量%、好ましくは5重量%、特に油を、組成物の総重量に対して少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%含む。
【0108】
特定の一実施形態において、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%、特に油を、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%含む。
【0109】
別の特定の実施形態において、組成物は、脂肪相、特に油を、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%、さらには少なくとも20重量%含む。
【0110】
さらに別の特定の実施形態において、組成物は、脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも30重量%、特に油を、組成物の総重量に対して少なくとも30重量%含む。
【0111】
脂肪相または油相は、油、ならびに本発明の組成物中に存在することができる、すべての他の脂肪性物質および親油性成分(例えば化粧品活性成分、UVフィルター)からなる。
【0112】
各々天然(動物、植物)由来または合成由来であってよい、油、脂肪エステル、ワックスおよびバターを特に挙げることができる。
【0113】
天然由来の脂肪性物質、例えば植物油、植物由来の脂肪エステルおよび植物由来のワックスまたはバターを使用することが優先されるであろう。
【0114】
本発明の好ましい一実施形態によれば、油相は、天然由来の少なくとも1種の炭化水素油および/または天然由来の少なくとも1種のワックスを含有する。
【0115】
油相は、周囲温度(20〜25℃)で液体であり、揮発性または非揮発性である油または物質から、動物由来、植物由来、鉱物由来または合成由来のゴムおよびペースト状脂肪性物質から、ならびにそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の脂肪性物質を含有する脂肪相である。これらの脂肪性物質は、生理学的に許容できる。
【0116】
油相は、任意の一般的な脂溶性または脂肪分散性の添加剤も含むことができる。
【0117】
油相は、少なくとも1種の油、より好ましくは少なくとも1種の化粧油を含有することが好ましい。「油」とは、周囲温度(25℃)で液体である脂肪性物質を意味する。
【0118】
油は、揮発性シリコーン油および揮発性非シリコーン油から特に選択される揮発性油であってよい。
【0119】
「揮発性油」とは、周囲温度で蒸気圧、および10-3〜300mmHg(0.13Pa〜40000Pa)の範囲の大気圧を特に有する、1時間未満で皮膚または唇から蒸発できる任意の非水性媒体である。
【0120】
本発明で使用できる揮発性油は、揮発性非シリコーン油、特にC8〜C16イソパラフィン、例えばイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、ならびに例えばIsoparおよびPermethylの商品名で販売されている油、特にイソドデカン(Permethyl 99A)であってよい。
【0121】
本発明で使用できる揮発性シリコーン油としては、2〜7個のケイ素原子を有する直鎖または環状のシリコーンが挙げられ、これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基を場合により含有する。特に、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0122】
油は、非揮発性油であってもよい。「非揮発性油」とは、周囲温度(25℃)および大気圧で少なくとも1時間皮膚上にとどまり、より特に周囲温度(25℃)で蒸気圧、およびゼロでなく、0.01mmHg(1.33Pa)未満である大気圧を有することができる油のことである。
【0123】
本発明で使用できる非揮発性油としては、以下のものを挙げることができる:
-非揮発性の非シリコーン、特に炭化水素の油、例えば液体パラフィン(またはペトロラタム)、スクアラン、水素化ポリイソブチレン(パーリーム油)、ペルヒドロスクアラン、ミンク油、タートル油、大豆油、スイートアーモンド油、カロフィラム油、ヤシ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アララ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、アルガン油、バージンスイートアーモンド油、杏仁油、米ヌカ油、ツバキ油または穀物胚芽油;使用するのに好ましい油としては、ホホバ油、杏仁油およびそれらの混合物がある;ラノリン酸エステル、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびステアリン酸エステル;長鎖アルコールまたは長鎖酸由来のエステル(すなわち、6〜20個の炭素原子を有するもの)、特に、式RCOOR'(式中Rは、7〜19個の炭素原子を含有する高級脂肪酸の残基を示し、R'は、3〜20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を示す)のエステル、特にC12〜C36エステル、例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステートもしくは2-オクチルドデシルラクテート、ジ(2-エチルヘキシル)サクシネート、ジイソステアリルマレート、グリセロールトリイソステアレートまたはジグリセロールトリイソステアレート;高級脂肪酸、特にC14〜C22酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸;高級脂肪アルコール、特にC16〜C22アルコール、例えばセタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコールもしくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノール、ならびにそれらの混合物。
-非揮発性シリコーン油、例えば非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);シリコーン鎖のペンダントまたは末端で、アルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含有し、前記基が、2〜24個の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーンおよびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン;脂肪酸(特にC8〜C20酸)、脂肪アルコール(特にC8〜C20アルコール)またはポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン)で改質されたポリシロキサン;アミノシリコーン;ヒドロキシル基を含有するシリコーン; シリコーン鎖のペンダントまたは末端にあり、1〜12個の炭素原子を有し、そこで水素の一部または全部が、フッ素原子で置換されている、フッ素含有基を含有するフルオロシリコーン;ならびにそれらの混合物。
【0124】
油は、より特に所望の目的の官能基として選択される。したがって、トリグリセリドおよび植物油、例えばアプリコット油またはオリーブ油は、乾燥肌を対象とした組成物に好都合である一方で、より軽い脂肪酸エステルは、普通肌から混合肌を対象とした組成物に好都合である。
【0125】
油相中に存在することができる、他の脂肪性物質としては、例えば8〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸およびパルミチン酸;ペースト状脂肪性物質、例えばラノリンまたはペトロラタム、ワックス、例えば蜜ロウ、カルナウバロウまたはキャンデリラロウ、パラフィンロウ、モンタンロウまたは微晶質ロウ、セレシンまたはオゾケライト、合成ロウ、例えばポリエチレンロウ、ポリメチレンロウおよびフィッシャートロプシュロウ;ゴム、例えばシリコーンゴム(ジメチコノール);シリコーン樹脂、例えばトリフルオロメチル-C1-4-アルキルジメチコーンおよびトリフルオロプロピルジメチコーン、ならびにシリコーンエラストマー、例えばShin-EtsuによりKSG16およびKSG6などのKSGの商品名で、Dow CorningによりTrefilの商品名で、またはGrant IndustriesによりGransilの商品名で販売されている製品、ならびにそれらの混合物がある。
【0126】
これらの脂肪性物質は、例えば、コンシステンシーまたは感触などの所望の特性を有する組成物を調製する目的のために当業者により様々に選択され得る。
【0127】
本発明の組成物中の脂肪相または油相の量は、組成物の総重量に対して5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに20重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。
【0128】
前記の量は、組成物の総重量に対して、例えば11重量%〜50重量%、好ましくは12重量%〜40重量%、さらに好ましくは15重量%〜40重量%、さらにより好ましくは15重量%〜35重量%の範囲であってよい。
【0129】
特定の一実施形態において、脂肪相は、少なくとも1種の親油性UVフィルターを含む。本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性UVフィルターを、組成物の総重量に対して少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくはさらに少なくとも10重量%含有することが好ましい。
【0130】
特定の一実施形態において、本発明による組成物は、微粒子形態(例えば、高吸水性ポリマー)、または非微粒子形態で存在する、少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーを含み、組成物の脂肪相は、少なくとも1種のUVフィルターを含む。
【0131】
本発明による組成物は、化粧品または皮膚科用の組成物であってよい。それらは化粧品組成物であることが好ましいであろう。
【0132】
本発明による組成物は、生理学的に許容できる媒体を含有する。
【0133】
本発明において「生理学的に許容できる媒体」とは、ヒトの皮膚(まぶたの中を含む)、粘膜、毛髪または唇に適合する非毒性媒体を意味する。化粧品組成物は、好ましい外観、臭気および触感を有し、局所適用を対象とする生成物である。
【0134】
従来、本発明の組成物は、化粧品学および/または皮膚科学の分野で一般的であるアジュバント、例えば保存料、抗酸化剤、香料、充填剤、顔料、UVフィルター、臭気吸収剤および着色剤をさらに含むことができる。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のUVフィルター、好ましくは少なくとも1種の親油性または脂溶性のUVフィルターをさらに含む。
【0136】
本発明に従って使用できる親油性UVフィルターとしては、アントラニレート;桂皮誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;サリチル酸誘導体;ショウノウ誘導体;トリアジン誘導体、例えば米国特許第4367390号、欧州特許第863145号、欧州特許第517104号、欧州特許第570838号、欧州特許第796851号、欧州特許第775698号、欧州特許第878469号、欧州特許第933376号、欧州特許第507691号、欧州特許第507692号、欧州特許第790243号、欧州特許第944624号に記載されているもの;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、特に米国特許第5624663号に記載されているもの;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;欧州特許第0832642号、欧州特許第1027883号、欧州特許第1300137号および独国特許第10162844号に記載のベンゾキサゾール誘導体;ポリマーフィルターおよびシリコーンフィルター、例えば特に国際公開第93/04665号に記載されているもの;αアルキルスチレンから誘導される二量体、例えば独国特許第19855649号に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン、例えば独国特許第19755649号、欧州特許第916335号、欧州特許第1133980号、欧州特許第1133981号および欧州特許出願公開第1008586号に記載されているもの、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0137】
親油性有機フィルターの例としては、INCI名で以下に示されているものを挙げることができる:
【0138】
パラアミノ安息香酸誘導体:
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
特にISPによりEscalol 507の商品名で販売されている、エチルヘキシルジメチルPABA。
【0139】
サリチル酸誘導体:
Rona/EM IndustriesによりEusolex HMSの商品名で販売されている、ホモサレート、
Haarmann and ReimerによりNeo Heliopan OSの商品名で販売されている、エチルヘキシルサリチレート、
Haarmann and ReimerによりNeo Heliopan TSの商品名で販売されている、TEAサリチレート。
【0140】
ジベンゾイルメタン誘導体:
特にHoffmann La RocheによりParsol 1789の商品名で販売されている、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0141】
桂皮誘導体:
特にHoffmann La RocheによりParsol MCXの商品名で販売されている、エチルヘキシルメトキシシンナメート、
イソプロピルメトキシシンナメート、
Haarmann and ReimerによりNeo Heliopan E1000の商品名で販売されている、イソアミルメトキシシンナメート、
シノキセート、
ジイソプロピルメチルシンナメート。
【0142】
β,β'-ジフェニルアクリレート誘導体:
特にBASFによりUvinul N539の商品名で販売されている、オクトクリレン、
特にBASFによりUvinul N35の商品名で販売されている、エトクリレン。
【0143】
ベンゾフェノン誘導体:
BASFによりUvinul 400の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-1、
BASFによりUvinul D50の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-2、
BASFによりUvinul M40の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、
NorquayによりHelisorb 11の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-6、
American CyanamidによりSpectra-Sorb UV-24の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-8、
BASFによりUvinul DS-49の商品名で販売されている、ベンゾフェノン-9、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0144】
ベンジリデンショウノウ誘導体:
ChimexによりMexoryl SDの商品名で製造されている、3-ベンジリデンショウノウ、
MerckによりEusolex 6300の商品名で販売されている、4-メチルベンジリデンショウノウ。
【0145】
トリアジン誘導体:
Ciba GeigyによりTinosorb Sの商品名で販売されている、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
特にBASFによりUvinul T150の商品名で販売されている、エチルヘキシルトリアゾン、
Sigma 3VによりUvasorb Hebの商品名で販売されている、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン。
【0146】
ベンゾトリアゾール誘導体:
Rhodia ChimieによりSilatrizoleの商品名で販売されている、ドロメトリゾールトリシロキサン。
【0147】
アントラニル誘導体:
Haarmann and ReimerによりNeo Heliopan MAの商品名で販売されている、メンチルアントラニレート。
【0148】
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0149】
ベンザルマロネート誘導体:
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えばHoffmann La RocheによりParsol SLXの商品名で販売されている、ポリシリコーン-15。
【0150】
4,4-ジアリールブタジエン:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0151】
ベンゾキサゾール誘導体:
Sigma 3VによりUvasorb K2Aの商品名で販売されている、2,4-ビス[5-1-(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン;
およびそれらの混合物。
【0152】
より特に好ましい親油性有機フィルターは、以下の化合物から選択される:
ホモサレート、
エチルヘキシルサリチレート、
エチルヘキシルメトキシシンナメート、
オクトクリレン、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
ベンゾフェノン-3、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4-メチルベンジリデンショウノウ、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン-15、
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
2,4-ビス[5-1-(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、および
それらの混合物。
【0153】
かつ、以下のものがさらにより優先される:
ホモサレート、
エチルヘキシルサリチレート、
エチルヘキシルメトキシシンナメート、
オクトクリレン、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン。
【0154】
本発明による親油性フィルターは、組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲の量で、本発明による組成物中に存在することが好ましい。
【0155】
本発明による組成物は、UVフィルターを、組成物の総重量に対して少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%含有することが好ましい。
【0156】
本発明による組成物は、少なくとも1種の化粧品または皮膚科用の活性成分を含むことが有利である。
【0157】
天然由来である成分および/または活性成分を使用することが有利であろう。
【0158】
本発明の組成物で使用できる充填剤としては、例えば天然有機物、例えばトウモロコシ、小麦または米デンプン;あるいは天然鉱物由来の物質、例えばシリカ、タルク、ならびに粘土、例えばカオリン、モンモリロナイト、サポナイト、ラポナイトおよびイライトからなる粉末が挙げられる。
【0159】
充填剤の量は、組成物の総重量に対して20%以下、より好ましくは10%以下、好ましくは8%以下、さらには5%以下であることが好ましい。これらの充填剤が存在するとき、組成物の総重量に対して、例えば0.05重量%〜8重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の量で存在することができる。
【0160】
組成物がメイクアップの分野で使用されるとき、メイクアップの分野で一般に使用する充填剤、染料および顔料をすべて含むことができる。
【0161】
本発明による組成物で使用できる化粧品または皮膚科用の活性成分として、保湿剤;フリーラジカルスカベンジャー;角質溶解剤および落屑剤;ビタミン、抗エラスターゼ剤および抗コラゲナーゼ剤;微量元素;藻類抽出物またはプランクトン抽出物;酵素および補酵素;フラボノイドおよびイソフラボノイド;セラミド;抗糖化剤;NOシンターゼ阻害剤;真皮もしくは表皮の高分子の合成を刺激するか、かつ/またはその分解を防止する薬剤;線維芽細胞もしくはケラチン生成細胞の増殖および/またはケラチン生成細胞の分化を刺激する薬剤;張力剤;抗汚染剤および/または抗ラジカル剤;筋弛緩剤または皮膚脱収縮剤;ならびにそれらの混合物を特に挙げることができる。
【0162】
活性成分の例としては、例えば(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);ヒアルロン酸;ラノリン;尿素、尿素を含有する混合物、例えばNMF(天然保湿成分)、および尿素誘導体、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)尿素(National Starch製のHydrovance);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン);αヒドロキシ酸、特にフルーツ由来の酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸およびマンデル酸、それらの誘導体およびそれらの混合物;βヒドロキシ酸、例えばサリチル酸、およびその誘導体、例えば5-n-オクタノイルサリチル酸または5-n-ドデカノイルサリチル酸;αケト酸、例えばアスコルビン酸またはビタミンC、およびその誘導体、例えばその塩、例えばナトリウムアスコルベート、マグネシウムアスコルビルホスフェートまたはナトリウムアスコルビルホスフェート、そのエステル、例えばアスコルビルアセテート、アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルプロピオネート、またはその糖、例えばグリコシル化アスコルビン酸、ならびにそれらの混合物;βケト酸;レチノイド、例えばレチノール(ビタミンA)およびそのエステル、レチナール、レチノイン酸およびその誘導体、さらに仏国特許出願公開第2570377号、欧州特許出願公開第199636号、欧州特許出願公開第325540号および欧州特許出願公開第402072号に記載のレチノイド;カロチノイド、例えばリコピン;セラミド;サポゲニン、およびそれらを含有する植物抽出物、特にワイルドヤム抽出物;レスベラトロール;擬ペプチド、例えば{2-[アセチル-(3-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチルブチリルアミノ}酢酸;ビタミン、例えば上に記載のビタミンAおよびビタミンCに加えて、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンB3(またはビタミンPPもしくはナイアシンアミド)、ビタミンB5(その様々な形態でのパンテノール:D-パンテノール、DL-パンテノール)、ビタミンD、ビタミンF(必須脂肪酸の混合物)、これらのビタミンの誘導体、前駆体および類似体;大豆抽出物、特にイソフラボンに富む、大豆プロテイン加水分解物または大豆抽出物;微量元素、例えば銅、亜鉛、セレン、鉄、マグネシウムまたはマンガン;藻類抽出物、例えばCLRによりStimodermの商品名で販売されている製品;ChimexによりMexoryl SAHの商品名で販売されている水分散液(CTFA名:Vitreoscilla Ferment)中のプランクトンなどのプランクトン抽出物;酵素;補酵素、例えばユビキノン、またはアルキレン化鎖ベンゾキノン類に属する補酵素Q10、ビオチン(またはビタミンH)である補酵素R;酵母抽出物、例えばLaboratories SeriobiologiquesによりCytovitin LS 9388の商品名で販売されているサッカロマイセスセレヴィシェ(S. cerevisiae)の抽出物;アデノシン;植物抽出物、例えば甘草抽出物;鎮静剤、例えばビサボロール、および鎮静植物抽出物、例えばバラ[ローザガリカ(Rosa gallica)]抽出物、ミント[セイヨウハッカ(Mentha piperita)]抽出物;組成物の最終目的に適した任意の活性成分、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0163】
成分および/または活性成分は、組成物の総重量に対して、0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜1重量%の範囲の量で組成物中に存在するであろう。
【0164】
これらの成分および/または活性成分、ならびにそれらの濃縮物は、本発明の組成物に所望される特性を変更しないものでなくてはならない。
【0165】
本発明による組成物は、頭皮、毛髪、爪および/または粘膜を含む皮膚の数多くの処置、特に化粧処置、とりわけ皮膚および/または粘膜のケア、クレンジング、ならびに/またはメイクアップおよび/もしくは日焼け防止のためのその用途が判明している。
【0166】
したがって、本発明は、皮膚、唇および/もしくは毛髪の処置、保護、ケア、そこからのメイクアップの除去、および/もしくはそれらのクレンジングのため、ならびに/または皮膚および/もしくは唇のメイクアップのための、上に定義した組成物の化粧品用途をさらに提供する。
【0167】
本発明は、上に定義した組成物の皮膚、毛髪および/または唇への施用を含む、頭皮、毛髪および/または唇を含む皮膚をケアするか、メイクアップするか、またはそこからメイクアップを除去する、治療目的ではない方法をさらに提供する。
【0168】
特に、本発明による組成物は、乾燥肌および/もしくは敏感肌のケアならびに/または処置に使用される。
【0169】
本発明による組成物の以下の例は、例示のために挙げられ、限定的性格を有さない。化合物は、化学名またはINCI名で示される。別段の指示がない限り、その中で量は重量%で示される。
【0170】
(実施例)
(実施例1:安定性の比較例)
油を30%含有する保湿ケアクリーム
【0171】
【表2】

【0172】
手順
70℃にて撹拌しながら、成分を水に分散させることにより相Aを調製。滑らかなゲルが得られるまで均一化。
【0173】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより約60℃にて乳化。
【0174】
疎水性アクリルポリマーを含有するエマルジョンa(比較)は、T0からその顕微鏡像により示されているように、安定性が不十分であり、液滴直径が不揃いである粗大エマルジョンが観察される。
【0175】
経時的(37℃および45℃の周囲温度で2ヶ月貯蔵)に、エマルジョンの肉眼的外観(より不均一で光沢がある)および顕微鏡像(非常に粗大)で、分解が観察される。さらに、経時的に粘度変化がある(周囲温度にてT2月で粘度が上昇、45℃にてT2月で粘度が低下)。
【0176】
対照的に、本発明によるエマルジョンb)は、安定なエマルジョンに一致している顕微鏡像を示し、安定性は、同じ貯蔵条件下で経時的に維持される。
【0177】
光保護処方
【0178】
【表3】

【0179】
エマルジョンc(疎水性アクリルポリマーとの比較)は不安定であり、非常に急速な相分離を経て、15日後に、すべての温度:AT、37℃、45℃および4℃で極めて大きな相分離がある。
【0180】
対照的に、エマルジョンd(本発明による)は安定であり、安定性は、同じ貯蔵条件下で維持される。
【0181】
(実施例2:処方)
保湿ケアクリーム(油30%)
【0182】
【表4】

【0183】
手順
70℃にて撹拌しながら、成分を水に分散させることにより相Aを調製。滑らかなゲルが得られるまで均一化。
【0184】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより約52℃にて乳化。
【0185】
皮膚に施用すると乳液に変化し、したがって施用により鎮静保湿栄養効果を与える、濃厚なクリームが得られる。
【0186】
一実施形態において、以前のクリームと同じ組成を有する保湿ケアクリームは、組成物の総重量に対して3重量%の代わりに7重量%のグリセロールの割合で調製される。
【0187】
(実施例3:安定性の比較例)
疎水性鎖で改質されたイヌリンおよび親水性アクリルポリマー(比較例aは疎水性)を水相に分散させる。
【0188】
油を30%含有する保湿ケアクリーム
【0189】
【表5】

【0190】
手順
70℃にて撹拌しながら、成分を水に分散させることにより相Aを調製。滑らかなゲルが得られるまで均一化。
【0191】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより約60℃にて乳化。
【0192】
疎水性アクリルポリマーを含有するエマルジョンは、T0からその顕微鏡像により示されているように、安定性が不十分であり、液滴直径が不揃いである粗大エマルジョンが観察される。
【0193】
経時的(37℃および45℃の周囲温度で2ヶ月貯蔵)に、エマルジョンの肉眼的外観(より不均一で光沢がある)および顕微鏡像(非常に粗大)で、分解が観察される。さらに、経時的に粘度変化がある(周囲温度にてT2月で粘度が上昇し、45℃にてT2月で粘度が低下)。
【0194】
対照的に、本発明によるエマルジョンb)は、安定なエマルジョンに一致している顕微鏡像を示し、安定性は、同じ貯蔵条件下で経時的に維持される。
【0195】
光保護処方
【0196】
【表6】

【0197】
エマルジョンc(疎水性アクリルポリマーとの比較)は不安定であり、非常に急速な相分離を経て、15日後に、すべての温度:AT、37℃、45℃および4℃で極めて大きな相分離がある。
【0198】
対照的に、エマルジョンd(本発明による)は安定であり、安定性は、同じ貯蔵条件下で維持される。
【0199】
(実施例4:安定性の比較例)
別の方法では、疎水性鎖で改質されたイヌリンおよび親水性アクリルポリマーを油相に分散させる。
【0200】
保湿ケアクリーム(油30%)
【0201】
【表7】

【0202】
手順
70℃にて撹拌しながら、成分を水に分散させることにより相Aを調製。均一化。
【0203】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより約60℃にて乳化。
【0204】
疎水性アクリルポリマーを含有するエマルジョンは、T0からその顕微鏡像により示されているように、安定性が不十分であり、液滴直径が不揃いである粗大エマルジョンが観察される。
【0205】
経時的(37℃および45℃の周囲温度で2ヶ月貯蔵)に、エマルジョンの肉眼的外観(より不均一で光沢がある)および顕微鏡像(非常に粗大)で、分解が観察される。さらに、経時的に粘度変化がある(周囲温度にてT2月で粘度が上昇し、45℃にてT2月で粘度が低下)。
【0206】
対照的に、本発明によるエマルジョンb')は、安定なエマルジョンに一致している顕微鏡像を示し、安定性は、同じ貯蔵条件下で経時的に維持される。
【0207】
光保護処方
【0208】
【表8】

【0209】
エマルジョンc'(疎水性アクリルポリマーとの比較)は不安定であり、非常に急速な相分離を経て、15日後に、すべての温度:AT、37℃、45℃および4℃で極めて大きな相分離がある。
【0210】
対照的に、エマルジョンd'(本発明による)は安定であり、安定性は、同じ貯蔵条件下で維持される。
【0211】
(実施例5:処方)
栄養保湿ケアクリーム(油30%)
【0212】
【表9】

【0213】
手順
70℃にて撹拌しながら、成分を水に分散させることにより相Aを調製。滑らかなゲルが得られるまで均一化。
【0214】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより約52℃にて乳化。
【0215】
皮膚に施用すると乳液に変化し、したがって施用により鎮静保湿効果を与える、濃厚なクリームが得られる。
【0216】
別の方法では、C8/C10トリグリセリドを有する逆エマルジョン中の中和された架橋ナトリウムポリアクリレート26%(BASF製Luvigel)を、乳化前に相B(脂肪相)に分散させる。
【0217】
(実施例6:保湿クリーム)
【0218】
【表10】

【0219】
相Aの調製:周囲温度にて、高吸水性ポリマーAquakeepをグリセロールに分散させ、次いで該混合物を保存料を含有する水に分散させる。
【0220】
撹拌しながら、油相を水相に分散させることにより乳化。
【0221】
マットな外観を有し、施用するとみずみずしく、溶融し、皮膚上で柔らかくパウダリーなクリームが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容できる媒体中に、
i)疎水性鎖で改質されたイヌリンを、組成物の総重量に対して少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、
ii)少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー、架橋ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーおよびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アクリルポリマーを、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%
含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物。
【請求項2】
脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも3重量%、より好ましくは5重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
脂肪相を、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%、さらに少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水的に改質されたイヌリンが、組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくはさらに0.1重量%〜1重量%に相当する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記疎水的に改質されたイヌリン/脂肪性物質の比が、1:0.1〜0.1:60、特に0.1:1〜0.1:60、好ましくは0.1:1〜0.1:15、好ましくは0.1:5〜0.1:15、より好ましくはさらに0.1:8〜0.1:12、さらにより好ましくは0.1:10の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記疎水性鎖が、ラウリルカルバメート基であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記親水性アクリルポリマーが、組成物の総重量に対して例えば0.05重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜6重量%、特に0.1重量%〜5重量%、より好ましくはさらに0.1重量%〜4重量%、さらに0.1重量%〜3重量%の範囲の活性物質の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記親水性アクリルポリマーが、無作為に分布した、
a)以下の一般式(II)の単位を90重量%〜99.9重量%、
【化1】

(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンを示し、10mol%以下のカチオンX+が、プロトンH+である)、
b)少なくとも2個のオレフィン二重結合を有する少なくとも1つのモノマー由来の架橋単位を0.01重量%〜10重量%
含み、前記重量による割合が、ポリマーの総重量に対して定義される、
AMPSホモポリマーから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーが、非微粒子形態で組成物中に存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーが、高吸水性ポリマーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも部分的に中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーが、架橋ナトリウムポリアクリレートから選択される高吸水性ポリマーである、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記親水性アクリルポリマーが、AMPSホモポリマー、非微粒子形態の架橋ナトリウムポリアクリレート、特にアクリル酸モノマーを90%超含有するか、または非イオン性モノマーを全く含有しない架橋アクリルポリマー、高吸水性アクリルポリマー、特に架橋ナトリウムポリアクリレート、およびそれらの混合物から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
界面活性剤を含まないことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物の皮膚、毛髪および/または唇への施用を含む、頭皮、毛髪および/または唇を含む皮膚をケアするか、メイクアップするか、またはそこからメイクアップを除去する、治療目的ではない方法。

【公表番号】特表2011−506558(P2011−506558A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538712(P2010−538712)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067773
【国際公開番号】WO2009/080661
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】