病気の診断およびモニタリングのための医療画像化方法および装置ならびにその用途
【課題】病気の診断およびモニタリングのための医療画像化方法および装置ならびにその用途の提供。
【解決手段】被検体(例えば、人間または他の動物)の体における1つ以上のインサイチュ構造の表示を分析して、被検体の健康に関する情報を収集するための方法が開示されている。病気を診断し、段階付けし、等級付けし、かつモニタリングするための方法が開示されている。治療の標的を絞りスクリーニングし、インサイチュパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の分析に基づいて治療法の妥当性を確認し、かつ治療法の効果をモニタリングするための方法も開示されている。
【解決手段】被検体(例えば、人間または他の動物)の体における1つ以上のインサイチュ構造の表示を分析して、被検体の健康に関する情報を収集するための方法が開示されている。病気を診断し、段階付けし、等級付けし、かつモニタリングするための方法が開示されている。治療の標的を絞りスクリーニングし、インサイチュパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の分析に基づいて治療法の妥当性を確認し、かつ治療法の効果をモニタリングするための方法も開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2004年12月22日を出願日とし、「Method and Apparatus for Analyzing Internal Body Structure」と題し、その全容が参考として本明細書に援用されている米国特許仮出願第60/639196号からの35U.S.C.§119(e)のもとで優先権を主張する。
【0002】
本発明の局面は、動物における診断上のおよび治療上の用途のための画像を分析することに関する。特に、本発明の局面は画像を分析して、病気を感知し、モニタリングし、および/または治療するために、ならびに/または新しい治療法を評価し妥当性を確認するために、動物の体における構造的特徴を識別することに関する。
【背景技術】
【0003】
広く様々な画像化方法およびデバイスが、さまざまな医療および研究環境のなかで異なる解剖学上のおよび生理学上の条件を評価するために普通使用されている。道具が、異なる肉体的特性に基づいて体構造を画像化するために開発されている。例えば、X線、CTスキャン、MRI、PETスキャン、IR分析および他の技術が、様々な体構造の画像を獲得するために開発されている。これらの道具は、診断上の、治療上のおよび研究上の用途に型どおりに使用されている。2つ以上の異なる画像化技術の組み合わせが、患者に関する補完的な情報を提供するために使用されることが時々ある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の局面は、生きた人間および他の動物におけるインサイチュでの体内部構造に対して獲得されたデータを分析することに関する。本発明の局面は、任意の好適な画像ソースから獲得されたデータを分析して、異なるサイズの管状構造に関連する1つ以上のパターン(例えば、微小血管の構造パターン)を識別するために使用され得る。構造パターンの1つ以上のパラメータが、(発病に関する条件を含んで)異なる生物学的条件およびプロセスに対するバイオマーカーとして使用され得る。従って、本発明の局面は、病気感知、診断、等級付け、段階付け、病気モニタリング、治療法の効果のモニタリング、および病気または他の生理学的な条件と関連し得るかまたは相互に関係し得るパターンを識別するための、インサイチュ構造の分析に基づいた診療的用途に関する。本発明に従って、パターンは1つ以上の異なるパラメータを含み得る。パラメータは、個々の管状構造の1つ以上の構造的特徴、および/または1つ以上の管状構造の1つ以上の分布特性(例えば空間的な分布、空間的な方位、頻度、数その他、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、および/または被検体内のもしくは被検体における関心の領域内の1つ以上の個々の管状構造の特徴の1つ以上の分布特性(例えば空間的な分布、空間的な方位、頻度、数その他、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。従って、血管系のパターンは、個別の血管(例えば微小血管)の1つ以上の構造的特徴、被検体内の1つ以上の血管(例えば微小血管)の分布、1つ以上の個別血管の構造的特徴の分布(例えば個別微小血管の構造的特徴)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。個別血管の構造的特徴は、管の捻れ、湾曲、分枝(例えば頻度、角度、階層その他)、直径、方向その他、または分析される血管の所定の長さにわたるこれらの特徴のうちのいずれかの任意の変化(例えば変動もしくは頻度)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。血管の分布または個別血管の構造的特徴は、血管密度、血管方向の分布、血管直径の分布、血管間の距離の分布、血管の空間的な方位の分布(例えば互いに対して)、血管湾曲度の分布、本明細書に記述された任意の他の個別血管の構造的特徴の分布、血管パラメータの他の分布またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含み得るがこれに限定されない。血管の分布または血管の構造的特徴は、被検体内(例えば被検体内の組織の標的ボリューム)のまたは被検体内のもしくは被検体全体にわたっての所定の組織または臓器内の所定の領域に対して決定され、かつ/または分析され得ることは理解されるべきである。分析される所定のボリューム内に、血管または個別血管の構造的特徴が存在するか存在しないかのいずれかは、本発明の分析的方法において使用され得るパターンパラメータであり得ることも理解されるべきである。1つ以上のパターンパラメータが、時間の関数として、モニタリングされかつ/または分析され得ることも理解されるべきである。従って、血管パターンは異なる生物学的条件およびプロセス(発病に関する条件を含む)に対するバイオマーカーとして使用され得る。従って、本発明の局面は、病気感知、診断、等級付け、段階付け、病気モニタリング、治療法の効果のモニタリング、ならびに生きた人間および他の動物における血管系形態組織および/または構成を含んでインサイチュでの血管系パターンの分析に基づく診療的用途に関する。一実施形態において、インビボ密度、および/または直径分布、および/または血管の幾何学的な方位(例えば微小血管)は、病気の感知、モニタリング、および/または診療的用途に対して分析され、定量化され、かつ/または評価され得る。一実施形態において、病気診断の感度および特異性が、インビボ血管系形態組織および/または組織病変と関連する構成を分析かつ評価することによって高められる。従って、本発明の局面は、血管のある異常な構造またはパターンと関連した病気のインビボの徴候を感知することを含む。他の局面は病気診断、段階付け、等級付け、モニタリングおよび予後、患者の治療、薬品開発および妥当性の確認、ならびに研究用途を含む。
【0005】
本発明による一実施形態は、血管の幾何学的な特徴を分析し、かつ1つ以上の特徴を生物学的なプロセス、状態、または病気と相互に関連させる方法を含む。従って、血管の特定の幾何学的な特徴が、特殊な生物学的プロセス、状態、および/または病気を示すバイオマーカーとして使用され得る。
【0006】
本発明による一実施形態は、1つ以上のインサイチュ、インビボ体内の体構造に対して獲得されたデータを自動的に分析して、それらが病気の特徴を提示するかどうかを決定することによる自動病気感知またはモニタリングの方法を含む。本発明による一実施形態は、血管系の正常な形状、サイズ、および/または組成を変える病気の徴候を自動的に感知するために生きた人間または他の動物におけるインサイチュ血管系パターンに関係するデータを自動的に分析する方法を含む。別の実施形態は、血管のパターンにおける変化と関連した病気の進行を自動的にモニタリングする方法を含む。別の実施形態は、血管のパターンにおける変化と関連した病気の治療法の効果を自動的にモニタリングする方法を含む。従って、一実施形態において、本発明の局面は血管形成と関連する腫瘍を感知し、診断し、段階付けし、等級付けし、モニタリングしかつ治療する方法に関する。
【0007】
本発明による一実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、または評価する方法であって、該方法は、生きた被検体に対する少なくとも1つのインサイチュでの血管系パターン(例えば構造)の分割された表示を得、かつインサイチュでの血管系パターン(例えば構造)から、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)の有無に関する情報を収集するコンピュータでインプリメントされる行為を包含する。
【0008】
本発明による別の実施形態は、生きた人間の被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、または評価する方法であって、該方法は、生きた人間の被検体における500ミクロンよりも小さい直径を有する血管系のインサイチュでのパターン(例えば、500ミクロンより小さい直径を有するインサイチュでの少なくとも1つの血管の少なくとも1つの構造的特徴)を分析し、かつ該パターン(例えばインサイチュでの構造上の少なくとも1つの特徴)が病気または状態(例えば血管形成)を示すかどうかを決定することを含み、該パターン(例えば構造上の特徴)は、1つ以上の行の感知要素を有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される。
【0009】
本発明による別の実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、かつ評価する方法であって、該方法は、生きた人間の被検体における50ミクロンよりも小さい直径を有する血管系のインサイチュでのパターン(例えば、50ミクロンより小さい直径を有するインサイチュでの少なくとも1つの血管の少なくとも1つの構造的特徴)を分析し、かつ該パターン(例えばインサイチュでの構造上の少なくとも1つの特徴)が病気または状態(例えば血管形成)を示すかどうかを決定することを含み、該パターン(例えば構造上の特徴)は、1つ以上の平面パネルディテクタを有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される。
【0010】
本発明による別の実施形態は、癌の存在に対して被検体をスクリーニングする方法であって、該方法は、生きた被検体に対するインサイチュでの血管系パターン(例えばインサイチュでの少なくとも1つの血管系構造の)の分割された表示を獲得して、該パターンに関連する第1のスコアを生成し、かつ該第1のスコアを基準スコアと比較することを含み、該第1のスコアが、該基準スコアと異なる場合は、被検体は癌の少なくとも1つの徴候を有するとして識別される、コンピュータでインプリメントされた行為を含む。
【0011】
本発明による別の実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)をモニタリングする方法であって、該方法は、第1の時点で生きた被検体に対して獲得された第1の構造データを処理して、生きた被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第1の構造的特徴またはパターンを第1の構造データから識別し、第2の時点で生きた被検体に対して獲得された第2の構造データを処理して、被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第2の構造的特徴またはパターンを第2の構造データから識別し、かつ第1および第2の構造的特徴またはパターンを比較して、病気または状態(例えば血管形成)の特徴であり得る血管系特徴が第1および第2の時点の間で変化したかどうかを決定する、コンピュータでインプリメントされた行為を包含する。
【0012】
本発明による別の実施形態は、患者における治療法に対して標的領域を識別する方法であって、該方法は、分割された表示を分析して、病気または状態(例えば血管形成)の特徴である少なくとも1つのインサイチュ血管系特徴またはパターンを識別し、かつ病気または状態(例えば血管形成)の特徴である血管系特徴またはパターンを含むインサイチュ領域を、治療法に対する標的領域として識別する、コンピュータでインプリメントされる行為を含む。従って、発明の局面は、被検体における放射線治療および画像誘導治療に対する境界を規定するための方法を含む。
【0013】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得し、構造データを処理し、少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造的特徴またはパターンの分割された表示を生成することのできる遠隔プロセッサへ構造データを送信し、分割された表示を分析して構造情報を獲得し、遠隔プロセッサから構造情報を受信することを含み、構造情報は、少なくとも1つの体領域において病気または状態(例えば血管形成)の確率の指示を提供する。
【0014】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信し、構造データを処理して少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造的特徴またはパターンの分割された表示を生成し、該分割された表示を分析して構造情報を獲得し、かつ遠隔の場所へ構造情報を配信することを含み、構造情報は、少なくとも1つの体領域において病気または状態(例えば血管形成)の確率の指示を提供する。
【0015】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得し、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の病気または状態(例えば早期段階の血管形成)を示す構造的血管系特徴またはパターンを識別することのできる遠隔プロセッサへ構造データを送信し、分割された表示を遠隔プロセッサから受信する行為を包含する。
【0016】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体における少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信し、構造データを処理して、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の病気または状態(例えば早期段階の血管形成)を示す構造的血管系特徴またはパターンを識別し、かつ分割された表示を遠隔の場所へ配信する行為を包含する。
【0017】
一実施形態において、本発明の局面は、構造的表示は分析のために遠隔の場所に送信され、出力が遠隔の場所から受信される(例えば構造的特徴、パターンその他についてのスコア、情報)方法を含むことは理解されるべきである。同様に、別の実施形態において、構造についての表示は、遠隔の場所から受信され得、分析され、かつ出力が遠隔の場所へ戻される。これらの実施形態において、構造についての表示は、分割された表示であり得る。あるいは、構造についての表示は、その場所でまたは遠隔の場所で分割され得る(例えば、送信または受信される前にまたは後に)。
【0018】
従って、本発明の局面は、方法の一部として生成されることなく受信されまたは獲得され得る既存の表示に対して分析が実行される方法を含む。加えて、本発明の局面は、表示が、方法の一部である構造データを獲得するためのスキャニングの行為なく現存する構造データに基づいて生成される方法を含む。一実施形態において、本発明の局面は、1つ以上の格納されたまたはアーカイブされた表示、構造データセット、またはそれらの組み合わせについての情報にアクセスし、または受信することを含む(例えば、医療画像通信データベースに格納されたCTデータセットまたは他のデータセット)。
【0019】
添付の図面は、一定の尺度に従って描かれるようには意図されていない。図面において、様々な姿で図示されている同一のまたはほとんど同一のコンポーネント各々は、同様な数字で表示されている。明確さの目的で、必ずしも全てのコンポーネントが全ての図面においてラベル表示されてはいない。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
動物におけるインサイチュ微小血管を自動的に分析する、コンピュータでインプリメントされた方法であって、該方法は、
動物におけるインサイチュ微小血管系と関連する少なくとも1つの構造パラメータを決定することと、
該構造パラメータは、少なくとも1つの生理学上のインディシアと関連するかどうかを決定することと
を包含する、方法。
(項目2)
前記微小血管系は、直径が1mmより小さい微小血管を備え、前記動物は人間である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記微小血管系は、直径が200ミクロンより小さい微小血管を備え、前記動物は小さな哺乳類であり、該小さな哺乳類はウサギ、マウス、ラット、または他の小さな哺乳類である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記生理学上の徴候は、病気の感知、病気の診断、病気の段階付け、または治療モニタリングに対して使用される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記病気は癌である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記病気は、心臓病、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性心筋虚血後の再血管形成、末梢血管疾患、血栓塞栓症、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症、跛行、リウマチ性疾患、関節炎、免疫性疾患、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、全身性狼瘡紅班(SLE)、肺/呼吸器系疾患、気腫、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、骨髄腫、血管増殖性疾患、胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、婦人疾患、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)、子宮頸ガン、子宮頸形成異常、皮膚疾患、小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)、眼疾患、
黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症)、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、虚血、肢虚血、心虚血、アルツハイマー病、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO))、虚血性潰瘍、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、またはケロイドである、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管の直径、血管樹形分枝長さ、血管直径における多様性、血管の湾曲度、前記微小血管の分枝密度、標的ボリュームにおける血管密度、標的ボリュームにおける血管分枝密度、標的ボリューム内の微小血管直径分布、またはその組み合わせの評価基準である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記インサイチュ微小血管系の一部分が分析される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記一部分は少なくとも1mmの長さを有する、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記長さは、少なくとも5mmである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記長さは、少なくとも50mmである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記長さは、少なくとも1cmである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記長さは、少なくとも5cmである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記長さは、少なくとも50cmである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記長さは、少なくとも1mである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記微小血管系を備えるインサイチュボリュームが分析される、項目1に記載の方法。
(項目17)
複数の微小血管の少なくとも1つの構造パラメータは、前記ボリューム内で分析される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ボリュームは少なくとも1mm3である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記ボリュームは少なくとも1cm3である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ボリュームは、臓器またはその一部分である、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記ボリュームは、前記動物の体全体である、項目17に記載の方法。
(項目22)
血管系パターンが、前記ボリュームに対して分析される、項目16に記載の方法。
(項目23)
被検体における病気、または病気の1つ以上の徴候の存在の有無を決定する方法であって、該方法は、
被検体における少なくとも1つのインサイチュ管状構造を分析することと、
該インサイチュ管状構造分析から、該被検体における病気のまたは該病気の1つ以上の徴候の存在の有無を決定することと
のコンピュータでインプリメントされた行為または自動的な行為を包含する、方法。
(項目24)
前記少なくとも1つのインサイチュ管状構造は、3次元の血管構造である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記血管構造の少なくとも1つの構造パラメータが決定され、該少なくとも1つの構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管の直径、血管樹形分枝長さ、管直径における多様性、管の湾曲度、前記微小血管の分枝密度、標的ボリュームにおける血管密度、標的ボリュームにおける血管分枝密度、標的ボリューム内の微小血管直径分布、またはその組み合わせの評価基準である、項目24に記載の方法。
(項目26)
インサイチュ血管系構造が、病気と関連している確率を示すスコアを生成することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を、病気におかされていない血管系の特徴を示す既知の構造パラメータと比較することによって生成される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記スコアを基準スコアと比較することをさらに包含する、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記構造パラメータは、CTスキャン、スパイラルCTスキャン、MRI、回転デジタルX線スキャン、1つ以上の平面パネルディテクタを有する回転X線スキャナを使用するスキャン、1行以上のディテクタ要素を有するTomosynhesisスキャナを使用するスキャン、PETスキャン、機能的なMRI、または1行以上のディテクタ要素を有するCTスキャナ、またはそれらの組み合わせから獲得されたデータを使用して感知される、項目23に記載の方法。
(項目30)
前記病気は、心臓病、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性心筋虚血後の再血管形成、末梢血管疾患、血栓塞栓症、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症、跛行、リウマチ性疾患、関節炎、免疫性疾患、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、全身性狼瘡紅班(SLE)、肺/呼吸器系疾患、気腫、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、骨髄腫、血管増殖性疾患、胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、婦人疾患、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)、子宮頸ガン、子宮頸形成異常、皮膚疾患、小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)、眼疾患、
黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症)、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、虚血、肢虚血、心虚血、アルツハイマー病、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO))、虚血性潰瘍、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、またはケロイドである、項目23に記載の方法。
(項目31)
生きた被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体に対して、少なくとも1つのインサイチュ血管系構造の分割された表示を
獲得することと、
該インサイチュ血管系構造から、生きた被検体における血管形成の存在の有無に関する情報を収集することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目32)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造は、3次元の構造である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記血管系構造の少なくとも1つの構造パラメータが決定され、該少なくとも1つの構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管直径、血管の空間分布、またはその組み合わせである、項目31に記載の方法。
(項目34)
少なくとも1つの構造パラメータは、複数のインサイチュ血管に対して識別され、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造は、該複数のインサイチュ血管の組織密度である、項目31に記載の方法。
(項目35)
インサイチュ血管系構造が、血管形成と関連している確率を示すスコアを生成することをさらに包含する、項目31に記載の方法。
(項目36)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を、血管形成におかされていない血管系の特徴を示す既知の構造パラメータと比較することによって生成される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を定量化することによって生成される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記スコアを基準スコアと比較することをさらに包含する、項目37に記載の方法。
(項目39)
2つ以上の構造パラメータが、前記少なくとも1つのインサイチュ血管に対して分析される、項目31に記載の方法。
(項目40)
生きた人間を被検体として、血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた人間を被検体として500ミクロンよりも小さい直径を有する少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータを分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ構造パラメータが血管形成を示すかどうかを決定することであって、該構造パラメータは、1行以上の感知要素を有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目41)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管は、200ミクロンよりも小さい直径を有する、項目40に記載の方法。
(項目42)
生きた人間を被検体として、血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた人間を被検体として50ミクロンよりも小さい直径を有する少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータを分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ構造パラメータが血管形成を示すかどうかを決定することであって、該構造パラメータは、1つ以上の平面パネルディテクタを有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目43)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管は、20ミクロンよりも小さい直径を有する、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記生きた被検体は、人間、マウス、ウサギ、ヤギ、ラット、ブタ、ウマ、ウシ、または他の哺乳類の被検体である、項目31に記載の方法。
(項目45)
前記分割された表示は、CTスキャン、スパイラルCTスキャン、MRI、回転デジタルX線スキャン、1つ以上の平面パネルディテクタを有する回転X線スキャナを使用するスキャン、1行以上のディテクタ要素を有するTomosynhesisスキャナを使用するスキャン、PETスキャン、機能的なMRI、またはそれらの組み合わせからのスキャンデータに基づいている、項目31に記載の方法。
(項目46)
前記分割された表示は、前記被検体の体領域に対して獲得される、項目31に記載の方法。
(項目47)
前記体領域は、臓器またはその部分である、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記臓器は、眼、のど、肺、中枢神経系、心臓血管、腎臓、肝臓、膵臓、結腸、乳房、脳、皮膚、胃腸器官、生殖器官、泌尿生殖器官、筋骨格からなるグループから選択される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記決定することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成されたモデルを分析することを包含する、項目40または項目42に記載の方法。
(項目50)
前記情報を収集することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成されたモデルを分析することを包含する、項目31に記載の方法。
(項目51)
前記情報を収集することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成された画像を分析することを包含する、項目31に記載の方法。
(項目52)
前記スコアは、前記生きた被検体における、血管形成と関連する病気の確率、または血管形成と関連する病気の段階の確率の指示を提供する、項目35に記載の方法。
(項目53)
前記生きた被検体を、血管形成と関連する前記病気を有するとして診断することをさらに包含する、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記病気は癌である、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記癌は肺癌である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記癌は、肝臓癌、結腸癌、乳癌、脳癌、泌尿生殖器癌、胃腸癌、前立腺癌および皮膚癌からなるグループから選択される、項目54に記載の方法。
(項目57)
前記被検体は、癌の徴候を有すると知られていた、項目52に記載の方法。
(項目58)
前記被検体は、堅い腫瘍を有すると知られていた、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記堅い腫瘍を囲む領域、前記腫瘍に侵入する領域、またはそれらの組み合わせをなす領域における1つ以上の血管に対して、スコアが生成される、項目58に記載の方法。
(項目60)
癌の存在に対して生きた被検体をスクリーニングする方法であって、該方法は、
生きた被検体に対して獲得された構造データから分割された表示を生成して、少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ血管系構造に関連した第1のスコアを生成することと、
該第1のスコアを基準スコアと比較することであって、該第1のスコアが該基準スコアと異なる場合は、癌の少なくとも1つの徴候を有するとして、該被検体は識別される、ことと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目61)
前記被検体は、癌の危険があるとして知られている、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記被検体は、喫煙者である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記被検体は、癌の家族歴を有する、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記被検体が、癌の徴候を有するとして識別された場合、病気の予後を提供することをさらに包含する、項目60に記載の方法。
(項目65)
前記被検体が、癌の徴候を有するとして識別された場合、病気の治療を推奨することをさらに包含する、項目60に記載の方法。
(項目66)
生きた被検体における血管形成をモニタリングする方法であって、該方法は、
第1の時点で生きた被検体に対して獲得された第1の構造データを処理して、該生きた被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第1の構造パラメータを該第1の構造データから識別することと、
第2の時点で該生きた被検体に対して獲得された第2の構造データを処理して、該被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第2の構造パラメータを該第2の構造データから識別することと、
該第1の構造パラメータと該第2の構造パラメータとを比較して、血管形成の特徴であり得る血管系パラメータが該第1の時点と該第2の時点との間で変化したかどうかを決定することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目67)
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの量が、前記第1の時点と前記第2の時点との間で増加した、項目66に記載の方法。
(項目68)
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの量が、前記第1の時点と前記第2の時点との間で減少した、項目66に記載の方法。
(項目69)
前記第1の構造データおよび前記第2の構造データは、前記生きた被検体における臓器領域に対して獲得される、項目66に記載の方法。
(項目70)
前記生きた被検体は、癌を発病する危険がある、項目66に記載の方法。
(項目71)
前記生きた被検体は、肺癌を発病する危険がある、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記生きた被検体は、癌患者である、項目66に記載の方法。
(項目73)
前記第1の時点と前記第2の時点とのうちの少なくとも1つは、前記被検体が癌治療を開始した後である、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記第1の時点は、前記被検体が癌治療を始める前であり、前記第2の時点は該被検体が癌治療を始めた後である、項目72に記載の方法。
(項目75)
前記癌治療は、その抗血管形成活性に対して評価される、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記第2の時点の前に、候補化合物を前記生きた被検体に投与することと、
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの変化量を、該候補化合物がない場合に起きると予期される変化量と比較し、それによって該候補化合物の抗血管形成活性を評価することと
をさらに包含する、項目66に記載の方法。
(項目77)
前記候補化合物は、前記第1の時点の後に投与される、項目76に記載の方法。
(項目78)
コントロール化合物の活性に対して、前記候補化合物の抗血管形成活性を評価することをさらに包含する、項目76に記載の方法。
(項目79)
患者における治療法に対して標的領域を識別する方法であって、該方法は、
構造データを処理して、血管形成の特徴を示す少なくとも1つのインサイチュ血管系パラメータの分割された表示を獲得することと、
血管形成の特徴を示す血管系パラメータを含むインサイチュ領域を、治療法に対する標的領域として識別することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目80)
前記治療法は放射線治療である、項目79に記載の方法。
(項目81)
治療法期間中に、放射線を標的領域に集中させておくための該標的領域のリアルタイムモニタリングをさらに包含する、項目80に記載の方法。
(項目82)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得することと、
遠隔プロセッサに前記構造データを送信することであって、該遠隔プロセッサは、
構造データを処理して、少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータの分割された表示を生成することと、
該分割された表示を分析して構造情報を獲得することと
ができる、ことと、
該遠隔プロセッサから該構造情報を受信することであって、該構造情報は、該少なくとも1つの体領域における血管形成の確率の指示を提供する、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目83)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信することと、
該構造データを処理して、該少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサ
イチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータの分割された表示を生成することと、
該分割された表示を分析して構造情報を獲得することと、
遠隔の場所へ該構造情報を配信することであって、該構造情報は、該少なくとも1つの体領域において血管形成の確率の指示を提供することと
の行為を包含する、方法。
(項目84)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得することと、
十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の血管形成を示す構造血管系パラメータを識別することのできる遠隔プロセッサへ該構造データを送信することと、
分割された表示を該遠隔プロセッサから受信することと
の行為を包含する、方法を含む。
(項目85)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信することと、
該構造データを処理して、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の血管形成を示す構造血管系パラメータを識別することと、
分割された表示を遠隔の場所へ配信することと
の行為を包含する、方法。
(項目86)
前記構造情報は、スコアである、項目82または項目83に記載の方法。
(項目87)
前記分割された表示は、再構成されたモデルである、項目82〜項目85のうちのいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による、選択的に分析され得る1つ以上の構造的特徴またはパターンを含む動物の血管系の一部を示す(図1Aは、健康的な血管網状組織の例を示す;図1Bは、血管形成の特性を含む血管網状組織を示す)。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による、動物の体における1つ以上の選択された内部的特徴に関連する構造データを分析する方法を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、分析のための構造データを獲得する方法を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による、分析のための特定の構造データを選択的に調整する方法を示す。
【図5】図5は、本発明の1つ以上の局面をインプリメントし得るコンピュータシステムの例を示す。
【図6A】図6Aは、X線スキャニングプロセスを示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図6B】図6Bは、画像再構成プロセスを示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図6C】図6Cは、ラドン変換を示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態による、構造のシリンダモデルを示す。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施形態による、図7Aにおけるシリンダモデルから構築されたシリンダネットワークモデルの構成を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態による、一モデルにおいて使用されるガウス密度分布のグレースケール表示を示す。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態による、一モデルにおいて使用されるガウス密度分布の断面を示す。
【図9】図9は、シリンダ構造が多くのスキャン平面を貫通するときの、シリンダ構造の特徴的な楕円形の断面を示す。
【図10】図10は、ガウス密度分布を有する楕円形の対象の例示的なX線スキャニングプロセスを示す。
【図11】図11は、図10において示されたX線スキャニングプロセスから得られたビューデータのサイノグラムの概略を示す。
【図12】図12は、ガウス密度分布のラドン変換を取ることから生じるガウスプロファイルを有する正弦曲線トレースの部分のプロットを示す。
【図13】図13は、未知の構造をスキャニングすることから得られるビューデータの例示的なサイノグラムを示す。
【図14】図14は、感知された隆起点での正弦曲線トレースのサイノグラムおよびスロープの図解を示す。
【図15】図15は、隆起感知中に識別された隆起点を削除するために非最大値の除去の方法を示すが、該方法は、本発明の実施形態に使用される構造データを分析するための一技術に従って使用され得る。
【図16】図16は、本発明の実施形態に使用される構造データを分析するための一技術に従って、ビューデータの複数のスライスを貫通して対応する位置の跡をたどることによって、シンリンダ部分の方位および/または長さを決定する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の局面は、人体および他の動物の体内における内部構造に関連するデータを獲得および/または分析するための方法およびデバイスを対象としている。一つ以上の選択されたインサイチュ構造に関連するデータが、獲得および/または分析され得、構造(または構造における変化)に基づいて、動物の生理的な状態に関する情報を収集する。構造的な情報は、診断用、予後用、療法用、介入用、研究用および/または開発用の目的のためだけでなく、病気を等級付けおよび/または段階分けするためにも使用され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、インサイチュの構造データまたは情報に基づいて、一つ以上の構造的なパラメータ(または経過よって変化する一つ以上の構造的なパラメータの時間)を分析することを含み得る。本発明の方法は、自動化され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、被検体の血管形成および/または血管形成のパターンに関する変化を感知することを含む。一部の実施形態において、本発明の方法は、微小血管系のパターンおよび/または微小血管系のパターンにおける変化を感知することを含む。本発明の局面に従って、微小血管系は、微細血管(例えば、本明細書において記述されるように、直径が、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満よりも小さい血管)から成り立っている。
【0022】
本発明の局面は、ビジネス方法に関連し、該ビジネス方法は、特定の生物学的なプロセス、状態、および/または病気と関連するバイオマーカのマーケティングおよび/またはライセンシングを含む。一部の実施形態において、血管のパターン(例えば、幾何学的な特徴)は、分析されて、特定の生物学的なプロセス、状態、および/または関心の病気との関連性または相関関係を識別するか、または評価する。構造的なバイオマーカとして使用され得るパターンパラメータが、(例えば、本明細書において記述されているような、臨床、診断用、療法用、および/または研究用の適用ために)識別され得る。これらのバイオマーカは、コストを削減し、医療および研究の技術に対する有効性および感応性を増加させるために使用され得る。一実施形態において、一つ以上のバイオマーカ、またはバイオマーカを使用する方法が、医療機関または研究機関の顧客または潜在的な顧客に対してマーケティングされ得る。一実施形態において、料金ベースのサービスが、医療機関または研究機関に対して提供され得、医療用イメージに関連する情報が、一つ以上のバイオマーカの存在に関して獲得され、かつ、分析されて、結果情報が、料金と交換で返信される。少なくとも部分的には、提供される画像情報のタイプ、要求された分析のタイプおよび程度、および分析のフォーマットおよびタイミングによって、料金の額が決定される。理解されるべきは、本発明の局面は、(限定するわけではないが、マイクロCT、MDCT、回転血管造影、MRI、PACSを含む)多数の異なるスキャニングの様式のうちの一つ以上から獲得された画像情報に対して適用可能であり得るということである。この情報は、限定するわけではないが、以下のうちの一つ以上を含む多数の異なる情報源から受信され得る:医療センター、医薬品関連の大企業(例えば、臨床前評価に関して、または臨床試験の間)、CRO(臨床前分析と臨床分析との両方に関して)、医療研究所および診療所(例えば、スキャニングセンター)、病院、クリニック、医療センター、バイオテクノロジー関連の小企業(例えば、臨床前評価に関して、または臨床試験の間)、および生物医学研究機関。次に、分析結果は、これらの組織のうちの任意の組織に返信され得る。一部の実施形態において、分析結果は、画像情報を送信した同じ団体に返信され得る。他の実施形態において、結果は、他の団体に返信され得る(例えば、画像情報は、スキャニング研究所から受信され得、分析は、医師に返信される)。情報を受信することと、構造的な特徴を分析することと、結果を処理することと、結果を受取人に転送することとに関連する一つ以上のステップが、自動化され得る。また理解されるべきは、これらのステップのうちの一つ以上が、米国国外で実施され得るということである。ビジネス的な処置(例えば、マーケティング、販売、ライセンシング)は、個々に、または協調的に実施され得る。
【0023】
本発明の局面は、個々の分析ステップ、特定の構造的な特徴などに関して、本明細書において記述され得る。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述された方法およびデバイスのうちの任意のものがまた、一つ以上の血管構造の特徴またはパターンに基づいたバイオマーカの使用に関連するビジネス方法に、組み込まれ得るということである。
【0024】
本発明の局面は、インサイチュの管状構造のパターンパラメータ(例えば、被検体のインサイチュの血管系のパラメータ)を感知および分析することに関連する。本発明の局面は、(例えば、本明細書において記述されるような、一つ以上のコンピュータ実行された行為を使用して)自動化され得る。理解されるべきは、一つ以上のパターンパラメータ(例えば、個々の血管構造特徴、血管または血管構造特徴の分布、またはそれらの組み合わせ)は、一つ以上の定量的および/または定性的な方法を使用して、分析され得るということである。一部の実施形態において、一つ以上のパラメータが、測定されて、定量化され得、測定値は、本明細書において記述されるような、閾値または基準値を評価および/または比較するための標準的な定量的および/または統計的な技術を使用して分析され得る。特定の実施形態において、一つ以上のパラメータは、所定のスコア方法(例えば、所定の要素に基づいて)を使用して評価され得る。幾何学的なパラメータは、ベクトルを使用して表現され得る。例えば、対象とする血管の分布、血管の湾曲、血管の捻れ、または多数の血管の方向は、複数のベクトルを使用して表現される。別のベクトルは、別の血管(例えば、分析の間に結合性が決定されていない血管)を表現するために使用され得る。しかしながら、別個のベクトルは、単一の血管の個々の一部分または断片、あるいは(例えば、結合性が決定されているか、または分析の間に決定され得る)樹形曲線の一部分を表現するためにも使用され得る。血管系のパターンパラメータは、数値またはスコアを分離および/または分類するための任意の適切な技術を使用して、分析され得る。異なるサイズの血管は、別々に分析され得、本明細書に記述されているように、異なる閾値または基準値と比較され得る。例えば、血管または血管構造の特徴の分布が、所定のパターンパラメータの数値またはスコアの分布を表現しているヒストグラムまたは曲線を使用して分析され得る。
【0025】
一実施形態において、スコアは、生理的な状態、例えば、病気または病気の段階の可能性に、パターンパラメータを関連付けるために獲得され得る。本発明の局面は、異常な内部構造と関連する一つ以上の病気の位置のインサイチュの診断、診療、および療法分析のために使用され得る。本明細書において使用されているように、「インサイチュ」は、バイオプシーまたは他の組織のサンプル内ではなく、動物(例えば、人間)の体内であることを意味する。本発明の局面は、治療薬を含む病気療法を開発し、かつ、評価するため、および他の目的のために、病気と関連する構造的な変化を研究するために使用され得る。本発明の局面は、構造的な特徴またはパターンを自動的に分析することと、分析に基づいてスコアを自動的に生成することとを含む。
【0026】
一実施形態において、本発明の局面は、動物内の選択された内部の管状の網状組織を感知および/または分析することを含む。本明細書において使用されるように、内部の管状の網状組織は、結合されたシリンダ状の体内構造の網状組織を意味する。管状の網状組織は、限定するわけではないが、心臓血管、呼吸器、胃腸、および泌尿生殖器の網状組織、ならびに動物体内のそれらの一部分を含む。従って、シリンダ状の構造は、分枝状、直線状、湾曲状、および/または捻れたシリンダ状の要素を含み得る。シリンダ状の構造および要素は、シリンダ状だけでなく、平坦状、または歪曲された領域もまた含み得る。シリンダ状の構造または要素の断面は、円形状、楕円状、ほぼ円形状、ほぼ楕円状、またはもっと不規則な形状であり得る。シリンダ状の要素の内径は、変化し得るか、または関心の領域にわたり、ほぼ同じであり得る。循環器の網状組織のような管状の網状組織は、動物の外の環境から遮断され得る。対照的に、呼吸器および胃腸の網状組織のような管状の網状組織は、外側の環境に開かれ得る。
【0027】
一実施形態において、本発明の局面は、分割された管状の網状組織(例えば、分割された血管の網状組織)を分析することを含む。一実施形態において、網状組織の分割された表示、またはその一部分は、(例えば、既存のデータベースまたは遠隔の場所から)獲得され、分析され得る。別の実施形態において、網状組織の分割された表示、またはその一部分は、構造データから生成され得、次に分析され得る。本発明の局面に従って、分析は、一つ以上の構造的な特徴またはパターンの存在あるいは不在を感知すること、一つ以上の構造的な特徴またはパターンの程度を測定するか、または評価すること、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
一実施形態において、本発明の局面は、動物の血管系のパターン(例えば、構造)を選択的に感知および/または分析して、動物の生理的な状態を示し得る一つ以上の血管のパターン(例えば、構造)を感知するか、またはモニタリングするために有用である。構造的なパターンまたは特徴は、限定するわけではないが、動脈、細動脈、静脈、細静脈、および毛細血管を含む、あらゆるサイズの血管に関して感知および/または分析され得る。
【0029】
一実施形態において、本発明の局面は、動物の血管系の構造的な特徴またはパターンを選択的に感知および/または分析して、病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の一つ以上の血管構造を感知するか、またはモニタリングするために有用である。病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の血管構造またはパターンは、病気の存在を示す早期診断を提供し得、該早期の診断は、早期治療を可能にし、該早期治療は、患者の予後をより良いものにし得る。他の実施形態において、病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の血管構造またはパターンは、段階付けおよび/または等級付けするためのマーカ(例えば、バイオマーカ)として使用され得、病気の進行をモニタリングし、処方された療法を評価し、および/または病気に対する投薬計画または治療計画を識別および/または確認する。異常な血管系の構造またはパターンと関連する病気は、限定するわけではないが、ガン性、心臓血管、皮膚(肌)、関節、筋骨格、中枢神経系、神経、肺、腎臓、胃腸、婦人、泌尿生殖器、炎症性、伝染性および免疫性の病気を含む。
【0030】
ガンは、充実性腫瘍または白血病であり得る。ガンが白血病である場合には、本発明の方法は、動物(例えば、人間)の骨髄内の血管系のパターンを感知および/または分析することを対象とし得る。
【0031】
図1は、管状の網状組織の例として、動物の血管系の一部分を図示し、該管状の網状組織は、本発明の一部の実施形態に従って分析され得る。図1Aは、健康な血管の網状組織を図示し、毛細血管を含む階層的なパターンの分枝した血管を有する異なるサイズの血管を示す。図1Bは、血管形成の構造的なサインを有する、血管の網状組織を図示し、該サインは、異常に捻られ、かつ、分枝した小さい血管の密度および無秩序な網状組織によって特徴付けられる領域を含む。一実施形態において、本発明の局面は、図1において示されているような血管系の網状組織のインサイチュであり、インビボで選択された構造的な特徴またはパターンを分析するために使用され得る。スコアは、自動的に生成され得、異常な構造の存在を識別し、および/または異常の程度および/または度合を評価する。一実施形態において、マップが、分析された体の領域を表現するように生成され得、かつ、マップは、領域内のあらゆる異常な血管構造の位置および程度を識別するために有用である局所的なスコアを含む。一実施形態において、本発明の局面は、分析される体内の血管構造の全てを表現することおよび/または分析することなく、異常な構造特徴またはパターンを感知する分析(例えば、自動分析)を含み得る。一実施形態において、異常な構造の位置および/または程度に関して獲得された情報は、(例えば、病気のタイプ、病気の進行の程度、および病気のあらゆる特定の段階などを含み)病気を感知、識別、および/または評価するために使用され得る。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態に従って、データ構造を処理する方法が図示されている。最初に、行為200において、動物の内部構造に関する構造データの入力が受信される。本明細書において使用される場合、構造データは、動物の内部構造を識別および/または表現するために使用され得る任意の形状のデータであり得る。従って、構造データは、画像化デバイスから直接的に獲得された生のデータ(例えば、スキャンまたはビューデータ)のタイプ、(例えば、スキャンデータまたはビューデータから再構成された)再構成された画像データのタイプ、(例えば、スキャンまたはビューデータあるいは再構成された画像データにおける構造に対応するように構成されたモデルに関する)モデルデータのタイプ、または上記のデータのタイプの任意の組み合わせを含み得る。行為200において受信される構造を提供する最適な画像化デバイスの例は、非侵襲性のデバイス、例えばCT、回転CT、マイクロCT、多重エネルギーコンピュータ断層撮影(MECT)、単一感知器CT(SDCT)、多重感知器CT(MDCT)、容量測定CT(VCT)、MRI、マイクロMR、X線、回転X線、PET、近赤外線/光学および他の非侵襲性のスキャニングの技術、および被検体の体の外で使用され得るか、または非侵襲性に体腔の中に挿入され得、インサイチュで内部構造を感知するデバイスを含む。本明細書に記述されている本発明の局面は、任意の特定の方法において獲得された構造データと共に使用することに限定されない。従って、構造データは、CT血管造影(CTA)、トモシンセシス、X線マイクロ血管造影、またはその他任意の技術によって獲得され得る。構造データは、動物の全身に関して獲得され得るか、または動物の体の一つ以上の標的ボリュームに関して獲得され得る。標的ボリュームは、動物の体の任意の部分であり得る。一部の実施形態において、標的ボリュームは、臓器または臓器の一部分、例えば、肺、肝臓、胸、結腸など、またはそれらの一部分である。他の実施形態において、標的ボリュームは、手足、腹部、胴、首、頭、またはそれらの任意の部分のような体の一部分であり得る。標的ボリュームは、動物の体内の一つ以上の骨もまた含み得る。本発明の局面に従って、被検体は、動物であり得、動物は、哺乳類、鳥類、魚類、または爬虫類を含む任意の動物であり得る。哺乳類は、限定するわけではないが、人間、犬、猫、ラット、ねずみ、ヤギ、羊、牛、馬、豚、および猿を含む。人間における適用が、特に重要であり得るが、実験用の動物が、多くの場合に、研究および開発の目的で使用され得る。動物は、生きている動物であり得、その場合、分析は、インサイチュであり、インビボである構造に関する。しかしながら、一実施形態において、本発明の局面は、(例えば検死分析のために)構造(例えば、血管構造)を分析するために、死んだ動物を使用し得る。
【0033】
一実施形態において、構造データは、関心のシリンダ状の構造(例えば、血管)に関して獲得および/または分析され得、該関心のシリンダ状の構造は、内径が、約5mm未満、好適には約3mm未満、さらに好適には約1mm未満、さらにより好適には約500ミクロン、さらにより好適には約200ミクロン未満、さらにより好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約20ミクロン未満、さらにより好適には約10ミクロン未満、さらにより好適には約5ミクロンである。しかしながら、より小さいまたはより大きい内径を有する管状の構造がまた、本発明に従って分析され得る。一実施形態において、従来のCTスキャナを使用する一つ以上のX線感知器要素から獲得された構造データは、管状の構造(例えば、血管)を分析するために処理され得、該管状の構造は、内径が、約5mm超〜約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満の範囲にある。別の実施形態において、CTスキャナ、例えば、マイクロCTまたはVCTスキャナを使用する一つ以上の平面パネルのX線感知器から獲得されたデータは、管状の構造(例えば、血管)を分析するために処理され得、該管状の構造は、内径が、約100ミクロン〜約50ミクロン未満、好適には約20ミクロン未満、さらに好適には約10ミクロン未満の範囲にある。
【0034】
一実施形態において、構造データは、少なくとも一つの造影剤を関心の体の領域の中に導入することを含むプロセスにおいて人間または他の動物から獲得され得る。例えば、血管を感知するための造影剤は、血管の中に注入され得る。少量の造影剤が、局所的に導入され得、関心の特定の体の領域において、構造、例えば、血管の感知を向上させる。代替的に、造影剤は、体の広い領域または動物の全身において、構造、例えば、血管の感知を向上させるために充分である量で提供され得る。他の実施形態において、構造データは、造影剤を使用することなく獲得され得る。
【0035】
一実施形態において、適切なイメージングデバイスから獲得された構造データの分析は、一つ以上の構造の表示を生成することを含み得る。表示は分割されることがあり、構造データ内の構造のサブセットのみが表示される(例えば、表示は、血管系のみを示し、その周囲の他の構造を示し得ない)。分割は、定義された構造の境界(例えば、血管系の構造の境界)を識別および/または感知し得る。
【0036】
行為210は、選択的なものであり、一部の実施形態において、行為200において受信された構造データに関する任意の適切な処理行為を実行するために使用され得る。例えば、構造データが、動物の全身に関して獲得され得、構造データは、行為210において処理され得、一つ以上の関心の体のボリュームに関するデータのみを選択する。代替的または追加的に、構造データは処理され得、データは、行為220において処理するための適切なフォーマットで存在する。本発明の一実施形態に従って、(以下でさらに詳細に記述される)構造データから獲得された情報を分析することに関連する行為220〜240は、一つ以上のコンピュータデバイス上で実行され得、該コンピュータデバイスは、最初の構造データを獲得するイメージングデバイスから遠隔的に配置されている。そのような実施形態において、行為210において構造データを処理することは、遠隔の処理デバイスへのデータの転送を容易にし得る任意の適切な処理技術を含み得、該処理技術は、変化をパッケージするための任意の適切なフォーマッティング、または転送の間データを保護する任意のセキュリティ技術(例えば、符号化)を含む。しかしながら、理解されるべきは、本明細書に記載の任意のプロセスであって、遠隔処理を含み得るプロセスはまた、遠隔の場所にデータまたはその他任意の形式の情報を送信すること、あるいは遠隔の場所からデータまたはその他任意の形式の情報を受信することなく、局所的に実行され得るということである。
【0037】
行為220において、体の内部構造(例えば、血管系またはその一部分)の表示は、イメージングデバイスから直接的に獲得された最初の構造データか、分割されたおよび/または処理された構造データかのいずれかから獲得される。以下に示されるように、行為230において、所望の情報を収集する充分な解像度を有する表示を作り出すことが可能である任意の技術を使用して、表示は生成され得る。一実施形態において、表示は、一つ以上の選択された内部構造のみを表示し、イメージングデバイスからの最初の構造データが利用可能である全ての内部構造を表示しない表示であり得る。分割された表示は、上記の処理された構造データのみを使用して生成され得るか、または構造データが、分割された表示を獲得するために使用される技術の一部分として処理され得る。
【0038】
一実施形態において、構造表示は、一つ以上の管状の構造に関連する情報の収集が可能である技術を使用することによって獲得され、該管状の構造は、内径が、約5mm未満、好適には約3mm未満、さらに好適には約1mm未満、さらにより好適には約500ミクロン、さらにより好適には約200ミクロン未満、さらにより好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約20ミクロン未満、さらにより好適には約10ミクロン未満、さらにより好適には約5ミクロン未満である。しかしながら、より小さい内径またはより大きい内径を有する管状の構造の表示がまた獲得され得る。なぜならば本発明は、この点に関しては限定されないからである。一実施形態において、構造表示は、従来のCTスキャナにおいて、一つ以上のX線感知器要素から獲得されたデータが使用され、一つ以上の管状の組織(例えば、血管)に関連する情報を収集することを可能にする技術を使用して獲得され、該管状の構造は、内径が、約5mm超〜約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満の範囲にある。別の実施形態において、構造表示は、CTスキャナ、例えばマイクロCTまたはVCTスキャナにおいて、一つ以上の平面パネルX線感知器から獲得されたデータが使用され、一つ以上の管状の組織(例えば、血管)に関連する情報を収集することが可能である技術を使用して獲得され、該管状の組織は、内径が、約100ミクロン〜約50ミクロン未満、好適には約20ミクロン未満、さらに好適には約10ミクロン未満の範囲である。
【0039】
上記のように、本発明の一実施形態において、表示が獲得される構造は、血管系の一部分を形成し得、該血管系の一部分は、分枝した領域、湾曲した領域、および/または関心の他の構造特徴を有する領域を含み得る。しかしながら、本明細書において記述されている本発明の局面は、血管系の表示を生成することに限定されず、関心の任意の適切な構造上で使用され得る。
【0040】
理解されるべきは、行為220において、構造の表示を獲得するということは、視覚的ディスプレイ上における視覚的表示の作成を必ずしも必要とはしないが、表示される構造特質を特定する充分な情報を含むデータのセットの生成もまた含み得、本明細書において使用されているように、表示を獲得すること、または生成するということは、関心の構造特質を特定する情報を(例えば、生成することによって)獲得することを指すということである(例えば、表示は、再構成されたイメージ、モデル、または任意の適切な形状の表示であり得る)。構造表示を獲得する適切な技術の一例は、以下で詳細に記述されるが、本発明は、その技術を使用することに限定されない。なぜならば、任意の適切な技術が使用され得るからである。理解されるべきは、表示を獲得するプロセスは、データを分割して、特定の構造または関心の構造的特徴のみの表示を獲得することを含み得るということである。
【0041】
行為230において、行為220において獲得された表示の一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)が、分析され得る。本明細書において記述されている本発明の局面は、どのような特別なパターンまたは特徴にも限定されない。なぜならば、分析される特別なパターンまたは特徴は、本明細書において記述される技術の適用に依存して変化し得るからである。例えば、血管系が、異常な(例えば、ガン性の)組織が存在するか、または成長(例えば、血管形成)しているかを決定する目的で分析される場合には、そのようなパターンまたは特徴は、実験下の血管の湾曲と、捻れ(湾曲の程度および屈曲の頻度)と、密度と、分枝(例えば、階層的ではない状態)と、サイズ(例えば、直径または長さ)、フィールド内の血管または血管の断片の直径の分布および幾何学的方向性と、方向性の分布と、上記のものの任意の組み合わせとのうちの任意のものを含み得る。例えば、程度の大きい湾曲、または頻度が高い屈曲は、高い腫瘍形成率と、悪い予後とに関連付けられ得る。
【0042】
従って、本発明の一実施形態に従って、分析された構造の表示は、一つ以上の関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別するためにマインされ得る。一実施形態において、構造表示の分析は、一つ以上の構造またはパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)のサブセットに重点を置くために、データ分割を含み得、表示内に含まれる構造の全てが分析される必要はない。
【0043】
一実施形態において、管状の網状組織の構造パターンまたは特徴が、関心の特定の状態、例えば、健康状態、または病気状態に関連付けられる可能性を示すために、スコアが生成され得る。スコアは、定量的または定性的であり得、一つの構造的特徴か、または2つ以上の構造的特徴か、構造または構造的特徴の分布か、それらの組み合わせかに基づき得る。スコアは、表示から収集された一つ以上のパターンパラメータ(例えば、構造的特徴および/または分布)にのみ基づき得るか、または被検体に関する追加の情報にも基づき得、該追加の情報は、限定するわけではないが、年齢、体重、性別、病歴、遺伝子的なリスク要因、病気をもたらす病原体への露出、それらの組み合わせなどを含む。
【0044】
一実施形態において、スコアは、表示に含まれている一つ以上のパターンパラメータ(例えば、構造的特徴およびまたは分布)に対して値を割り当てるか、または計算することと、一つ以上の基準値とその値を比較することとによって生成され得る。基準値は、健康な被検体または例えば、病気の状態に特有であり得る。基準値は、任意の適切な方法、例えば、複数の個人の分析から獲得された平均値を取ることによって獲得され得る。一実施形態において、基準値は、被検体の一つ以上のパラメータに関して調整され得、該パラメータは、限定するわけではないが、年齢、体重、民族的背景、遺伝子的な要因、性別など、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、基準値は、同じ被検体に対して以前に行なった一つ以上の分析から獲得された被検体固有の基準値であり得る。
【0045】
別の実施形態において、スコアは、表示内の一つ以上の関心の構造を、一つ以上の基準構造と、直接的に比較することによって生成され得る。これは、任意の適切な比較方法によって達成され得、該比較方法は、グラフィックオーバレイ、統計分析、または他の適切な技術を含む。
【0046】
行為240において、分析の出力が生成される。出力は、任意の形式で提供され得、該形式は、英数字、一つ以上の表、一つ以上のグラフ、一つ以上の図、上記のうちの一つ以上を援用する文書記録などを使用することを含む。出力は、ディスプレイデバイス上に表示され得るか、音声メッセージとして通信され得、紙または他の有形のメディア上に印刷され得るか、コンピュータで読取可能な形態で提供され得るか、またはその他任意の適切なフォームで提供され得る。内容に関しては、240において提供された出力は、同様に、任意の適切なフォームを取り得る。例えば、出力のコンテンツは、上記のようにスコアを含み得、該スコアは、所望の方法、例えば、診断または予後を患者に提供するために医師によって、治療または候補薬の有効性を評価するために研究者によって、またはその他任意の適切な方法で使用され得る。
【0047】
本発明の代替的な実施形態において、出力は、構造の表示を分析した結果として、行為230において自動的に生成された診断、予後、または他の結論を含み得る。別の実施形態において、出力は、分析された領域の表示であり得、該表示は、領域の異なる部分に対する個々の情報(例えば、個々のスコア)を含む。
【0048】
さらに別の実施形態において、出力は、(例えば、スクリーニング、または限定するわけではないが、コンピュータで読取可能なメディアまたは印刷された表示を含む他の有形のメディア上の)分析される構造の少なくとも一部分の視覚的表示であり得、ユーザは、視覚的表示を見ることができ、被検体に含まれる構造に関する判断を行なうことが出来る。
【0049】
理解されるべきは、本発明の任意の局面に関して、本明細書において記述された表示は、二次元、三次元、四次元(例えば、心臓の鼓動、または時間の経過による他の変化、例えば、時間の経過による病気の進行または後退などを分析する場合には、第4の次元として時間を有する)、または他の多次元の表示であり得るということである。従って、出力は、動物の体またはその一部分の多次元(例えば、少なくとも二次元または三次元あるいは四次元など)マップを提供し得、該マップは、マップの座標と関連付けられた一つ以上のパターン(個々の構造的特徴または分布)および/または病気に関する情報を有する。理解されるべきは、これらの様々なタイプの出力コンテンツは、排他的ではなく、上記の任意の組み合わせが提供され、さらに、出力は任意の適切なコンテンツを含み得るので、このリストは排他的ではないということである。
【0050】
図3は、行為210を実行するプロセスの一実施形態を図示し、行為210おいて、構造データは、行為300において獲得され、構造データのサブセットは、行為310において選択され、データは、行為320において、次の分析、または本明細書に記述されているような安全な伝送または転送に適した任意の形態に設定される。理解されるべきは、選択行為310と設定行為320とは、任意の順番で実行され得るということである。またはこれらの行為の両方は、任意選択的であり、行為310と行為320のうちのどちらも実行されないかもしれないか、行為310と行為320のうちの一つが実行されるかもしれないか、または行為310と行為320の両方が実行されるかもしれない。一実施形態において、構造データのサブセットは、体の一つ以上の特定の領域、臓器、または組織のタイプに重点を置くように、行為310において選択され得る。
【0051】
別の実施形態において、構造データは、特定の形状、形状の範囲、サイズ、またはサイズの範囲の構造に関してのみデータを選択するように処理され得る。例えば、構造データは、管状の血管に関するデータを抽出するように処理され得、該管状の血管は、内径が、約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約25ミクロン未満である。理解されるべきは、(領域/臓器/組織の選択および/またはサイズ/形状の選択を含む)異なるデータの選択と、本明細書に記述されているフォーマット処置は、一つ以上のプロセス(例えば、二つ以上の連続しているか、または並行しているプロセス)において、協調してか、または別々にインプリメントされ得るということである。
【0052】
図4は、行為220に関する一例示的なインプリメンテーションを示し、該行為220は、最初の、または処理されたスキャンデータに基づいて、少なくとも一つの構造の表示を生成する。理解されるべきは、図4に示されている特定のインプリメンテーション
は、単に図示の目的のために記述され、本明細書に記述されている本発明の局面は、この点に関しては限定されないということである。なぜならば、表示は、任意の適切な方法で、構造データから生成され得るからである。
【0053】
図4において示されている例示的なインプリメンテーションにおいて、モデルベースの再構成が、スキャンデータからの表示を生成するために使用されている。最初に、行為400において、一つ以上の関心の選択された構造と近似である考えられているモデルが生成され、該選択された構造に関する情報は、スキャンデータ内に含まれている。例えば、以下で詳細に記述される一例示的なインプリメンテーションであって、血管系の網状組織に関する関心の構造において、モデルは、複数のシリンダを備え得、該シリンダは血管の形状とそれぞれ近似している。行為420において、モデルは、スキャンデータと比較され、次に、行為420において、モデルは、比較に基づいて改良される。図4には明確に示されていないが、比較410行為と改良410行為は、繰り返して実行され得、任意の適切な技術を使用して、モデルとスキャンデータとの間に最善の適合を達成する。該技術の例は、以下で記述される。その後、改良されたモデルは、行為230における分析のために提示され得、スキャンデータに含まれている一つ以上の構造の表示を提供する。本発明の局面に従って、モデルベースの再構成は、一つ以上の関心の構造に関するデータのみを選択的に処理することによって、構造データを自動的に分離し得る。
【0054】
理解されるべきは、本発明の局面は、本明細書において記述されている個々の行為を実行することを含むが、2つ以上の行為が実行されることを必要としないということである。例えば、一実施形態において、分析は、構造表示に関して実行され得、該構造表示は、データベース内に存在するか、または遠隔の位置から獲得され得る。従って、本発明の局面は、構造表示を生成することなく、構造表示を分析することを含み得る。
【0055】
また理解されるべきは、本発明の局面は、本明細書において記述されている二つ以上の行為の任意の組み合わせを実行することを含み得、一部の実施形態において、特定の行為が省略され得るということである。一実施形態において、一つ以上の構造異常の存在は、その体の領域の構造表示を生成および/または分析することなく、体の領域内で識別され得るか、または感知され得る。例えば、血管異常の存在が、全身の領域に関する血管系の構造表示を生成することなく、体の領域に関する構造データから直接的に感知され得る。別の実施形態において、分析は、異常のある構造が体の領域に存在する場合には、その体の領域内の正常な構造を表示することなく、一つ以上の異常な構造を選択的に表示することを含み得る(例えば、異常な血管構造は、任意の正常な血管構造を表示することなく、全ての正常な血管構造を表示することなく、またはほとんどの正常な血管構造などを表示することなく表示され得る、など)。別の実施形態において、異常な血管構造は、体の領域内の全ての血管の詳細な表示を獲得することなく、識別され得るか、または感知され得る。体の領域内の血管の樹形分岐の存在またはアウトラインを感知し、血管系の全ての正常な詳細を表示することなく、また血管の樹形分岐における個々の血管を感知することさえもなく、特定の血管に関する異常構造または過度な血管形成(例えば、悪性腫瘍を表す新血管形成の一群)の存在を識別あるいは感知する分析を実行すれば充分であり得る。従って、一部の局面において、体の領域に関する解像度の低いデータのセットは、病気、例えば、ガンの特定の構造的徴候を感知するか、または識別するだけで充分であり得る。
【0056】
本発明の局面は、一つ以上の行為を自動化することを含み得る。例えば、分析は、出力を自動的に生成するように自動化され得る。本発明の行為は、例えば、コンピュータシステムを使用して自動化され得る。
【0057】
図5は、本発明の局面がインプリメントされ得るコンピュータシステムを図示している。図5のコンピュータシステム500は、スキャニングデバイス502を含み、該スキャニングデバイス502は、関心の被検体をスキャニングし、それに基づいてスキャンデータを生成する。上記のように、スキャニングデバイス502は、任意の適切な形態を取り得る。なぜならば、本明細書において記述されている局面は、なんらかの特別なタイプのスキャニングデバイスを使用して提供されるスキャンデータと共に使用することに限定されないからである。
【0058】
示されている例示的なシステムにおいて、スキャニングデバイス502は、コンピュータ504に結合され、スキャンデータは、任意のタイプの処理(上記のような、しかし本発明はそのようなシステムと共に使用することに限定されない)のために、スキャニングデバイス502からコンピュータ504に転送され得る。例えば、コンピュータ504によって実行された処理は、本明細書において図2の行為210に関して記述された任意選択的な前処理であり得る。上記のように、そのような前処理は、実行される必要はなく、スキャニングデバイス502は、そのような機能を実行するために、別のコンピュータに接続される必要はない。さらに、理解されるべきは、処理能力は、スキャニングデバイス502自身によって提供され得、該スキャニングデバイス502は、プロセッサを含み、該プロセッサは、本明細書において述べられている任意の処理機能を実行するようにプログラムされ得るということである。
【0059】
図5において示されている例示的なシステムにおいて、コンピュータ504は、ネットワーク506を介して別のコンピュータ508に接続され、該コンピュータ508は、本明細書において述べられている様々な方法のうちの任意の方法で、構造に関する分析を実行するために、メモリ510とプロセッサ512とを含む。コンピュータ504と508とは、任意の形式を取り得る。なぜならば、本発明の局面は、どのような特定のコンピュータプラットフォーム上でインプリメントされることにも限定されないからである。同様に、ネットワーク506は、プライベートネットワークまたはパブリックネットワーク(例えば、インターネット)を含む任意の形態を取り得る。ディスプレイデバイスは、デバイス502と、コンピュータ504および508とのうちの一つ以上と接続され得る。代替的に、またはさらに、ディスプレイデバイスは、遠隔の場所に位置され得、本発明に従って、分析の出力を表示するために接続され得る。システムの異なるコンポーネント間の接続は、有線送信、無線送信、衛星送信、その他任意の適切な送信、または上記の二つ以上の任意の組み合わせであり得る。
【0060】
図5において示されているようなコンピュータシステム上での使用に関する本発明の一実施形態に従って、意図されていることは、スキャンデータは、スキャニングデバイス502によって獲得され得、次に、パブリックネットワーク、例えば、インターネットを通じて遠隔の位置に送信され、コンピュータ502によって処理され、(例えば、図2における行為240に関して)本明細書において述べられている様々なタイプの出力のうちの任意のもの作り出すということである。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述されている本発明の局面は、その点に関しては限定されることなく、様々な他の構成が考えられるということである。例えば、本明細書において記述されている全ての分析および処理は、スキャニングデバイス502に局所的に取り付けられるコンピュータ504、またはスキャニングデバイス502自身上で、代替的にインプリメントされ得る。さらなる代替案として、通信メディア(例えば、ネットワーク506)を通じてスキャニングデバイス502から別のコンピュータ504または508に、構造データを送信することとは逆に、構造データ(例えば、最初の、または処理されたスキャンデータ)は、(例えば、スキャニングデバイス502またはコンピュータ504を介して)コンピュータで読取可能なメディア上にロードされ得、次に、該コンピュータで読取可能なメディアは、本明細書において記述されている方法で処理するために、別のコンピュータ(例えばコンピュータ508)に物理的に送られ得る。別の実施形態において、二つ以上の送信/配信技術の組み合わせが使用され得る。
【0061】
一実施形態において、上記から理解されるように、生または処理された構造データは、医療センターまたは研究センターにおいて獲得され得、遠隔の場所おけるコンピュータに送信され得、該遠隔地において、上記の分析ステップの一つ以上が、(例えば、手数料を徴収して)実行され得る。次に、分析からの出力が、医療センターまたは研究センターにおけるコンピュータにコンピュータで読取可能な形式、ハードコピー、別の有形の形式、または本明細書において記述されたものを含むその他任意の適切な形式のいずれかで、医療センターまたは研究センターに返送され得る。
【0062】
別の実施形態において、本明細書において記述されている一つ以上の機能をインプリメントする一つ以上のソフトウエアプログラムが、(例えば、手数料を徴収して)医療センターまたは研究センターにおいて提供され得、インストールされ得る。プログラムは、ディスク上に提供され得、内部または遠隔(例えば、外部)の場所からダウンロードされ得、または任意の適切な方法でロードされ得る。本明細書において記述されている任意の機能において使用される参照情報は、ソフトウエアと共に、または別個に提供され得る。一実施形態において、参照情報(例えば、正常または異常な血管構造に関する情報)は、ディスク上で利用可能であり得、内部または遠隔(例えば、外部)の場所からダウンロードされ得、または任意の適切な方法でロードされ得る。
【0063】
本明細書において使用される場合、「遠隔」は、イメージングデバイス(例えば医療用スキャナ)のすぐ隣の位置とは異なる場所を意味する。遠隔の場所は、病院、医療センター、または研究センターにおける中央コンピュータまたはコンピュータ設備(例えば、センターのネットワークまたはイントラネット内)であり得るか、または病院、医療センター、または研究センターの外側(例えば、センターのネットワークまたはイントラネットの外側)であり得る。遠隔の場所は、イメージングデバイスによって獲得されるデータの場所と同じ州、異なる州、または異なる国であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、(例えば、二つ以上の異なるタイプのイメージングデバイスからの構造データを使用する)複合分析が、ともに使用され得る。従って、本発明の局面は、異なるタイプの構造データを処理し、かつ、分析する能力を含み得、組み合わされた出力を生成するように結果を組み合わせるか、または各イメージング様式に対して生成される別個の出力を生成する能力を含み得る。
【0065】
上記のように、本明細書において記述される本発明の局面は、診断用、診療用、療法用、研究用、および治療用の開発ならびに評価のために使用され得る。実施例が以下で記述される。
【0066】
(診断用の適用)
一実施形態において、本発明の局面は、インサイチュの管状の網状組織のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)に関連する病気を感知し、かつ、診断するために使用され得る。一部の場合において、診断は、一時点における関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の検査から提示される。代替的に、被検体における病気の進行は、二つ以上の時点における構造分析を実行することによって追跡され得る。病気のトラッキングは、患者に関する診断および予後の情報を提供するために使用され得る。例えば、病気の進行情報は、腫瘍の進行度および/または侵襲性を評価するために使用され得る。
【0067】
本発明は、一つ以上の病気に関する徴候の存在に関して、個人または集団を選抜するために使用され得る。上記のように、選抜は、全身選抜であり得るか、または一つ以上の標的領域(例えば、特定の臓器または組織)に重点を置き得る。
【0068】
一実施形態において、本明細書において記述されている技術は、一つ以上の病気に関連する構造パターンまたは特徴を有する個人を、自動的に識別するために使用され得る。これらの個人は、病気のさらなる徴候に関して、その後にテストされ得る。その後のテストは、任意の適切な形式を取り得る。なぜならば、本明細書において記述されている本発明の局面は、この点に関しては限定されないからである。例えば、後続のテストは、従来技術を使用し得る。限定ではない例として、本発明の局面の使用は、費用効果の高い選抜技術を可能にすることができ、該費用効果の高い選抜技術は、候補が比較的に少ないことを、病気の危険にさらされているとして識別し得、最終的な診断または予後に到達するための比較的に費用のかかるテスト処置の使用を正当化し得る。後続の技術は、本明細書に記述されている本発明の技術を使用して、範囲を狭められていない広い範囲のサンプルに対して行なうには、あまりにも費用がかかり得る。さらなる例として、本明細書において記述されている本発明の局面は、単独か、または他の技術との組み合わせかのいずれかで、次のテストを実行するために使用され得る。この点に関して、最初の選抜の感度は、高く設定され得、いくつかの間違った陽性を示し得る提示に、本明細書において記述されている本発明に従った技術のその後の適用は、さらに詳細な情報を提供し得る程度より高感度で使用され得る。
【0069】
一実施形態において、本発明の局面は、危険にさらされている個人(例えば、病気、例えば、ガン、循環器系の疾患、または他の病気に関する遺伝子的または他のリスク要因を有する個人)の集団を選抜するために使用され得、一人以上の個人における病気の徴候の存在を識別する。
【0070】
一実施形態において、本発明の診断方法は、コンピュータでインプリメントされ、効率とスループットを増加させ、医師個人と関連する変動性を低減させる。しかしながら、本明細書において述べられているように、一部の実施形態において、最終的な診断は、本明細書において記述されている本発明の局面を使用する自動化された分析または構造表示によって生成される情報に基づいて、医師によって行われ得る。
【0071】
上記から理解され得るように、本発明の局面は、病気を有することが分かっている患者に対して使用され得るか、または健康な被検体に対して、定期的に選抜するために使用され得る。被検体は、一つ以上の病気に関して選抜され得る。選抜は、定期的(例えば、毎週、毎月、毎年、または他の時間間隔)に、または一回のイベントとして行われ得る。様々な状態が、様々な時間間隔において、または様々なリスク要因(例えば、年齢、体重、性別、喫煙歴、家族歴、遺伝子的リスク、毒素および/または発癌物質などに対する露出、またはそれらの組み合わせ)の作用に関してスクリーニングされ得る。
【0072】
一実施形態において、本発明の局面は、血管系構造における変化と関連する病気を診断、評価、または段階付けするために使用され得る。血管系構造におけるわずかな変化の感知は、初期段階の病気の感知および病気のモニタリングに対して有益であり得る。解像度の高い三次元の血管系構造のイメージが、分析され得るか、または一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、異常な特質の存在に関して評価され得る。一実施形態において、血管系構造は、一連の相互結合された分枝した血管を含む血管の樹形分岐であり得、かつ、動脈、細動脈、静脈、細静脈、毛細血管、または他のサイズの血管を含み得る。本発明の局面に従って、異なるサイズの血管が感知および表示され得る。
本発明の一部の局面において、全身の血管の樹形分岐が、分析され得、他の局面において、標的の臓器、組織、またはそれらの一部分の血管の樹形分岐が、分析され得る。本発明の一部の局面において、サブセットの血管のサイズ(例えば、直径が、約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には50ミクロン未満、さらにより好適には25ミクロン未満である血管)のみを含む血管の樹形分岐が、分析される。一実施形態において、毛細血管のみが、分析される。別の実施形態において、毛細血管と小さい動脈および静脈(例えば、細動脈および細静脈)とが、分析される。例えば、樹枝状の血管系(例えば、食道の樹枝状の粘膜の血管のような樹枝状の粘膜の血管)のみが、樹枝状の血管系が見つけられた任意の組織において分析され得る。
【0073】
血管の樹形分岐の分枝は患者の状態に関する情報を収集するために分析され得る。一実施形態において、血管の樹形分岐の分枝は、特定の領域を識別するために追跡され得、該領域において、血管形成の特定の特性が、評価され得る。(例えば、大きい分枝から始まり、第2、第3、または第4あるいは次のレベルの分枝に関して樹形分岐を追跡し、小さい血管が病気に関連する血液供給を提供している場合には、異常な構造を有し得る小さい血管を識別する)。代替的に、血管の樹形分岐におけるいくつかの異なる血管のサイズが、血管形成のサインに関して評価され得る。別の実施形態において、血管の樹形分岐の分枝全体のパターンが、分析され得る。例えば、健康な血管の樹形分岐は、おおむね階層的であり得る。なぜならば、血管のサイズは、血管が分枝するにつれて(例えば、図1A)、概して減少するからである。逆に、病気(例えば、血管形成)の血管の樹形分岐は、あまり階層的ではなく、血管のサイズに関する減少がほとんどないか、またはまったくなく分枝しているかなりの血管エリアを有する(例えば、図1B)。理解されるべきは、分析の性質および程度は、診断評価のゴールに依存し得るということである。例えば、全身のスキャンは、全ての血管構造を選択し、異なる病気のサインに関して、全血管の網状組織を分析して、評価され得る。代替的に、病気であると疑われている体の領域が、選択され得、データが、(例えば、関心の領域における構造の分割された表示を獲得するために)その領域内の血管系に焦点を置くように処理され得る。関心の領域は、臓器(例えば、膵臓、肝臓、胸、結腸など)または組織(例えば、皮膚の表皮組織)であり得る。異常な血管系構造の存在は、様々な病気の初期徴候であり得、早期発見が、効果的な治療にとって重要である。
【0074】
(例えば、所定の時間における異常な血管パターン、または時間の関数に従って観察される異常な構造の変化の存在によって、感知され得る)血管構造における変化と関連する病気は、限定するわけではないが、ガン、心臓病、心臓病関連の循環器系の疾患、眼病、皮膚疾患、および外科的な状態を含む。例えば、血管構造における変化と関連する病気および状態は、限定するわけではないが、腫瘍血管形成、再発性および進行性のガン、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性または心筋虚血後の再血管形成、(糖尿病性網膜症を含む)末梢血管疾患、血栓塞栓症(例えば、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症)、跛行、リウマチ性疾患(例えば、関節炎)、免疫性疾患(例えば、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、および全身性狼瘡紅班(SLE))、肺疾患(気腫、COPD、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、および他の呼吸器系の疾患を含む)、骨髄腫、血管逆成疾患、胃腸疾患、(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、(IBD))、婦人疾患(例えば、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)子宮頸ガン、子宮頸形成異常)、皮膚疾患(小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症(TEN))、眼疾
患(黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症))、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、肢虚血および心虚血を含む虚血、アルツハイマー病、および他の疾患、例えば、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO)、虚血性潰瘍)、多発性硬化症、特発性肺線維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、およびケロイドを含む。
【0075】
これらの様々な病気は、血管系構造における様々な変化によって特徴付けられる。従って、本発明の一局面において、パラメータおよびスコアリングの方法は、病気を示す血管系構造の特定の特性に基づいて、特定の病気およびその病気に関連する療法を感知、診断およびモニタリングするために使用される。各病気のカテゴリー内においても、マイニング病気は、血管構造におけるマイニング変化によって特徴付けられ得る。従って、構造選抜およびスコアリングは、カテゴリー内の特定のタイプの病気に対する感度を増加させるように、微調整され得る(例えば、肺ガンスコア、乳がんスコアなどが作成され得る)。患者固有のスコアリングパラメータは、患者の特定の病気または疾患の進行をたどるようにも作成され得る。
【0076】
血管構造の変化は、血管および/またはリンパ管に影響を与える、血管構成および血管の形態における変化を含む。構造変化は、(大きい血管の成長(例えば、動脈新生)および微小血管系の成長(血管新生)を含む)新血管形成と、大きな血管の拡張と、血管の壊死とを含み得る。血管形成は、以前から存在している血管から生じる新しい血管の形成を含む。血管形成は、脈管形成とは異なる。脈管形成は、主に成長の間に生じる新たな血管の形成である。脈管形成は、病気または疾患とはめったに関連付けられない。しかしながら、本発明の局面は、脈管形成の自然過程を研究して、新たな血管形成における欠陥を識別および理解するために使用され得る。
【0077】
血管形成は、多くの場合に、腫瘍の成長と関連付けられ、ガンに対する有効なバイオマーカである。血管形成は、新しい血管の成長が、(血栓症、塞栓症、アテローム性動脈硬化症、または他の慢性の閉塞症によるか、または血管系を狭まりによるか)酸素の供給または血液の流れが低下したことに反応して生じる場合とも関連付けられ得る。特定の呼吸器、心臓血管、および炎症性の疾患は、血管形成とも関連付けられる。
【0078】
血管形成の血管は、既存の血管の構造的特性とは異なる構造的特性を有する。例えば、分枝のパターンおよび血管形成の血管の捻れは、正常な血管の分枝パターンおよび血管の捻れとはとても異なっている。これらおよび他の構造的特徴は、大部分は、微小血管系において見つけられ、血管系の構造のイメージを選抜およびスコアリングするために使用され得る。しかしながら、大きい血管、例えば、動脈および静脈における変化は、特定の病気または病気の段階(例えば、大きい腫瘍の成長および発達、または後期の腫瘍)とも関連付けられ得る。
【0079】
腫瘍の生命を維持する血管系は、一般的に、腫瘍の結合組織(間質)と関連付けられ、該腫瘍の結合組織(間質)は、(実質組織における)悪性細胞の生命を維持する。上記のように、腫瘍の血管は、不規則に間隔を空けられ、不均一な構造パターンまたは特徴によって特徴付けられ得る。しかしながら、腫瘍の血管の形成および他の形式の血管形成は、一連の特性的な段階を含み得る(例えば、開示内容が、本明細書において参照により、その全体が援用されている、DvorakによるAmerican Journal of
Pathology、2003年、Vol.162:2、pp.1747〜1757を参照)。早期の血管形成は、血管の過透過性、線維素堆積およびゲル形成、ならびに浮腫によって特徴付けられ得る。これは、微細血管、例えば、細静脈の膨張をもたらし得る。膨張した微細血管の断面エリアは、通常の微細血管の断面エリアの約4倍の大きさであり得る。膨張した微細血管の外周は、通常の微細血管の外周の約2倍の大きさであり得る。膨張した微細血管は、アクティブな血管形成の領域において、通常の微細血管の範囲の約4〜7倍を占め得る。膨張した微細血管の出現に、膨張した血管壁の薄い蛇行性であり過透過性の「母」血管の出現が続き得る。母血管は、ブリッジングのプロセスを行なわれ得、それにより、経腔的ブリッジングが形成され、血管内の血管の流れを小さいチャネルに分割する。発達している母血管は、一つ以上の糸球体をも含み得、該糸球体は、母血管の内腔をいくつかの小さいチャネルに分割するように広がり得、該小さいチャネルは、一般的に曲りくねる。母血管におけるブリッジングおよび糸球体の形成は、血管形成に特性的な小さい毛細血管の出現をもたらし得る。しかしながら、特定の母血管は、薄い血管壁を有する異常に膨張した血管として残る。これらの血管の形成異常は、多くの場合に、非対称性筋肉コートおよび血管周囲線維症の存在によって特徴付けられ得る。小さい動脈および細動脈は、病気の組織において、サイズに関しても増加し得る。本発明の局面は、本明細書において記述されている血管構造の変化のうちの一つ以上の任意のものを感知および/またはモニタリングすることを含む。一実施形態において、新しい血管形成に特性的な一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の存在は、病気を感知またはモニタリングするために使用され得る。別の実施形態において、一つ以上の特定のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の存在は、体の領域における血管形成の段階(例えば、早期、中期、後期など)決定するために使用され得る。
【0080】
従って、血管のサイズ(直径および/または長さ)に関する異常な変化は、病気、例えば、ガンまたは増加した血管供給と関連付けられる他の病気の早期のサインであり得る。血管のサイズに関する変化は、血管形成の出現のあらゆる構造的サインの前に生じ得る。一実施形態において、本発明の局面は、膨らんでいる、および/または通常よりも長い血管(例えば、毛細血管)を感知するために有用である。例えば、本発明の局面は、(例えば、食道の粘膜における早期のガンと関連付けられる)異常に長い乳頭内毛細血管のループをインサイチュで感知するために有用である。
【0081】
一部の実施形態において、腫瘍組織における壊死を示す血管の変化は、腫瘍組織の進行度、および/または転移の可能性、および/または療法の反応性、および/または治療法(例えば、候補薬)の有効性、および/または治療法の選択、および/または変更(例えば、個々の患者に対する薬または処方量の変更)を示し得る。従って、壊死を示すインサイチュのパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、患者の予後に対する有用なバイオマーカであり得る。特定の実施形態において、腫瘍の領域内の壊死は、その領域内の一つ以上の以下のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)によって示され得る:血管構造の崩壊、不十分な血管形成(例えば、腫瘍の他の領域または腫瘍の周辺と比較して血管の密度が低い)、時間の経過による血管のサイズまたは形状の変化、閾値よりも低い血管の数、腫瘍のボリューム内で、閾値の距離よりも大きい(例えば、100ミクロンを上回る、150ミクロンを上回る、または200ミクロンを上回る)距離だけ離れた血管、低い血管形成率を示す微細血管の直径および/または密度など、またはそれらの任意の組み合わせ。一部の実施形態において、駆血の量または低い血管形成率は、評価または定量化され得、壊死のインジケータとして使用され得る。理解されるべきは、壊死の他の徴候が、単独または血管の特徴と組み合わせて使用され得るということである。他の徴候は、(例えば、CTなどを使用して)視覚化され得る組織崩壊または空洞形成の徴候、および/または代謝活性の一つ以上のマーカ(例えば、PETスキャンなどを使用して分析され得るマーカ)を使用する組織の生存可能性の徴候を含み得る。
【0082】
本発明の局面は、被検体(例えば、被検体の腫瘍内)の壊死エリアの感知(例えば、自動的な感知)のために使用され得る。壊死の領域は、病気の組織の境界内の無血管の領域である。本発明の方法は、血管形成された病気の組織と、壊死の領域の境界を定義する無血管の領域との間の移行を、(例えば、自動的に)感知するために使用され得る。
【0083】
本発明の局面は、療法に対する反応を(例えば、自動的に)感知または評価するためにも使用され得る。例えば、療法(例えば、特定の薬、および/または薬の特定の用量、および/または薬およびこれらの薬の特定の用量の組み合わせなど)に対する反応は、以下のように感知および評価され得る。血管パターンに関する変化(例えば、血管の正常化/直線化、微細血管の密度を低くすること、および大きい血管に対する血管の直径の分布を非対称にすることをもたらす小さい直径の血管の消失)は、病気の組織の境界および壊死エリアの境界によって定義されたボリュームで感知および/または評価され得る。病気(例えば、腫瘍)のボリュームの全ボリュームが、一定である間の壊死エリアの絶対的なボリュームサイズおよび/またはそのような変化の割合に関する増加は、療法が有効であるインジケータとして感知および/または評価され得る。壊死エリアの絶対的なボリュームサイズと、病気(例えば、腫瘍)の全ボリュームとの間の比率に関する増加、および/またはこの比率に関する変化の割合は、感知および/または評価され得、療法の有効性のインジケータとして使用され得る。病気の組織のボリュームと壊死領域のボリュームとの比率は、感知および/または評価され得、その比率が、1に近づき、病気の全組織のボリュームが、収縮し始めるときに、その比率は、療法は有効であるという表示を提供する。
【0084】
血管の構造表示は、特定のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別および評価するためにマインされ得、該特定のパターンは、血管が正常であるか、または(例えば、病気に関連して)異常であるかの確率に関するスコアを提供するために使用され得る。血管をスコアリングするためのパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、限定するわけではないが、以下のものを含む:直径、湾曲、(例えば、捻れの程度、異常な捻れが観察される血管の長さなどを含む)捻れ、(距離またはボリュームに関する空間的な多様性または異質性を含む)多様性または異質性、分枝の形状またはパターン、分枝の密度、分枝の階層性、血管密度、血管サイズの分布(大きい血管系に対する微細血管系の比率)、フィールドイフェクト(特定の領域に向かって曲っている血管の存在)、血管の直径の分布、血管またはその断片の幾何学的な方向の変動性、およびフィールド内の方向の分布。二つ以上のこれらのパラメータが評価される場合には、スコアは、さらなる有意性を有する。一部の実施形態において、スコアは、さらなる情報と組み合わされたこれらの構造パラメータのうちの一つ以上を使用して生成され得る。該さらなる情報は、例えば、患者固有の医療情報(例えば、年齢、体重、身長、性別など)、病気の一つ以上のさらなるインジケータの存在、例えば、X線または他のイメージ上の可視の病変である。一部の実施形態において、スコアが、腫瘍に関して提供され得る。有用なスコアの例は、腫瘍の血管分布を反映させるスコアである。(通常の血管の数、密度、長さ、またはそれらの組み合わせよりも高いとして測定された)異常に高い血管分布は、進行性、または侵襲性の腫瘍を概して示している。一実施形態において、血管分布は、血管形成の血管系の内腔の容積(腫瘍と関連付けられる血管の樹形分岐内の容積)を測定することによって評価され得る。別の実施形態において、血管分布の評価基準は、充実性腫瘍のボリュームによって血管形成の内腔のボリュームを割ることによって提供され得る。さらなる情報は、二つ以上の時点において、スコア(または他の構造評価)を獲得することから収集され得る。変化スコア(または他の構造評価)は、発達している血管を示し、該発達している血管は、病気または疾患と関連付けられ得る。理解されるべきは、本明細書において記述されているパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、研究されている血管に結合性をインポーズすることなく、分析フィールドに関して識別および分析され得るということである。一部の実施形態においては、血管の断片のみを分析して、個々の血管の一つ以上の構造的特徴、または通常の特徴とは異なる血管のフィールドの幾何学的な特徴を感知すれば充分である。例えば、長さの平均が、0.5mm、1mm、5mm、10mm、50mm、1cm、5cm、10cm、50cmなどである血管の断片が使用され得る。しかしながら、理解されるべきは、より短いか、またはより長いか、または中間の長さが使用され得るということである。
【0085】
本明細書において記述されている本発明のスコアリングおよびマインの局面は、自動化され得る。従って、病気(例えば、血管形成)の血管系は、正常な血管系の中から自動的に感知され得る。様々な血管系のパラメータは、別々に、または血管の捻れ、血管の分枝、血管の密度、および全血管間のボリュームを含む任意の組み合わせのいずれかで、自動的に感知およびスコアされ得るが、本発明は、どのような特定のパラメータまたは組み合わせにも限定されない。
【0086】
一実施形態において、本発明の局面は、閉塞された血管および血栓塞栓性のイベントを感知するために使用され得、該血栓塞栓性のイベントは、脳卒中、肺塞栓症、閉塞された微小冠状動脈、深部静脈血栓症などを含む。閉塞された血管は、(1)閉塞された血管内の構造変化を直接的に感知すること(例えば、血栓、血管壁の肥厚、または減少した流れに関する他のサインを感知すること)、および/または(2)閉塞に反応して生成される新たな血管系を間接的に感知することによって、感知され得る。概して、側副血管の形成は、ガンと関連する血管形成よりも規則的である。本明細書に記述されている本発明の一局面は、血栓が、小さい血管において感知されることをも可能にする。
【0087】
上記のように、本発明の局面は、人間または他の動物の全血管構造をスクリーニングして、あらゆる組織におけるあらゆる形態の異常に関してスクリーニングするために使用され得る。代替的に、体のサブセットがスクリーニングされ得る。従って、血管系構造、例えば、血管の樹形分岐は、一つ以上の臓器または組織のタイプに関して分析され得る。さらに、血管系の一部分のみが、そのボリュームにおける全樹形分布ではなく、任意の標的ボリューム内で分析され得る。これは、関心のエリアに焦点を置かれた構造データを分析することによって行われ得るか、または多量の構造データが、獲得され得るが、分析は、利用可能なデータのサブセットに制限され得る。一部の実施形態において、血管の樹形分岐の一部分のみ、例えば特定のサイズである血管のみが、表示および/または分析され得る。他の実施形態において、血管の樹形分岐の断片が、関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を提供するために充分に有用であり得る場合には、血管の樹形分岐の断片のみが、表示および/または分析される。断片は、分枝を含み得るか、または分枝されないかもしれない。分析される血管系の一部分は、統計的に有意であり得、あらゆる観察(正常または異常)が、生理学的に有意である。例えば、かなりの数の血管構造が分析されて、血管の高い密度のような血管の変化(例えば、血管形成)と関連付けられ得るその他のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を感知していると確信する場合には、分枝された構造は、分析を要求されないことがあり得る。本発明の局面において、血管パターンは、1mm3、2mm3、5mm3、1cm3、2cm3、5cm3、
10cm3などのボリュームにおいて、インサイチュで感知および/または評価され得る。しかしながら、より小さい、またはより大きい、または中間のボリュームがまた、分析され得る。
【0088】
異なる組織および臓器は、異なり、かつ、特性的な血管パターン(例えば、血管形成率の高い肺)を有する。従って、一実施形態において、構造分析および関連する構造パラメータは、異なる組織の評価のために最適化され得る。
【0089】
一部の実施形態において、スキャンデータは、一つ以上の臓器(例えば、肺、心臓、結腸、脳、肝臓、膵臓、腎臓、胸、前立腺など)、または組織(皮膚、骨など)、または上記の任意の一部分に関して、獲得および/または分析され得る。
【0090】
脳は、脳腫瘍および/または血管パターンに関する変化と関連付けられ得る他の神経性疾患のサインに関して評価され得る。例えば、アルツハイマー病は、特定の血管の異常と関連付けられ得る。一実施形態において、血管のパターン(例えば、形状および/またはサイズ)に関する一つ以上の変化は、脳における高血圧のインジケータとして感知され得る。
【0091】
一部の実施形態において、臓器または組織の特定の固有の領域に焦点を置かれる。例えば、アテローム血栓症は、一般的に、動脈の樹形分岐の特定の部分(例えば、分枝点、側枝、分枝部と対向する領域、および血管形成が、多くの場合にアテローム血栓症と関連して生じる他のエリア)において見つけられ、特定のガンは、臓器または組織の特定の領域において、頻繁に生じる傾向にある(例えば、結腸ガンは、結腸の長さに沿って均等に分布されない)。
【0092】
他の実施形態において、本発明の局面は、病気の他の一つ以上の徴候(例えば、便潜血、結腸ポリープ、肺結節、一つ以上の嚢胞、または病気の他の徴候)を有するとして識別されている個人を経過観察するために使用され得る。本発明の局面は、病気の存在を確認し、病気関連の病変に関する位置を決定し、病気の評価または予後を提供するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、異常な血管系が、病変の場所(例えば、結腸ポリープ、肺結節、膀胱嚢胞、前立腺嚢胞、胸嚢胞、マンモグラフィ上の点、またはその他任意の嚢胞、しこり、あるいは物理的、視覚的に、またはその他任意の診断技術を使用して感知され得る点)に存在するかどうかを決定し、病変と関連する悪性腫瘍の可能性(または、他の発がん性の病気の段階)を評価することを助けるために使用され得る。従って、本発明の局面は、事実上の悪性腫瘍の感知(例えば、実際の結腸鏡検査、実際の結腸の悪性腫瘍感知、実際の気管支鏡検査、実際の肺の悪性腫瘍感知、実際のマンモグラフィ、実際の膀胱鏡検査など)のために使用され得る。
【0093】
他の実施形態において、本発明の局面は、ガン患者をスクリーニングし、発ガン性の病変の程度を評価し、および/または一つ以上の転移性病変(例えば、血管形成と関連する一つ以上の部位)の存在に関してスクリーニングするために使用され得る。ガン患者は、原発性ガンの最初の診断に関してスクリーニングされる。さらに、または代替的に、ガン患者は、最初のガンの治療(例えば、手術、放射線療法、および/または化学療法)の後に、少なくとも一度、検査され得る。このスクリーニングは、あらゆるガンの再発を感知するために、最初のガンの位置を含み得る。このスクリーニングは、同じ組織または臓器における他の病変の存在に関して検査するために、同様の体の組織を含み得る(例えば、発がん性の病変が、結腸の一領域において感知される場合、結腸全体が、スクリーニングされ得、発がん性の病変が、胸の一方において感知された場合には、もう一方の胸が、スクリーニングされ得る、など)。このスクリーニングは、全身または転移性の病変を含んでいると考えられている一つ以上の他の部位にも広げられ得る。一実施形態において、ガン患者は、最初のガンの治療の後に、数回(例えば、約6ヶ月、約1年、約2年、約5年間隔、または他の時間間隔)検査され得る。
【0094】
一実施形態において、経過観察処置は、転移性病変の存在に関して、一つ以上の臓器または組織をスクリーニングすることを含み得る。異なるガンは、特性の異なる転移のパターンを有し得る。従って、異なる標的部位は、異なるガンに関してスクリーニングされ得る。例えば、転移性乳ガンは、一般的に、肺、肝臓、骨、および/またはCNSに広がる。従って、患者が、乳ガンと診断された後に、これらの組織のタイプまたは臓器のうちの一つ以上が、診断され得る。同様に、患者が、別のタイプのガンと診断された後に、他の標的部位が、スクリーニングされ得る。一部の実施形態において、ガン患者の全身が、転移の徴候に関して検査され得る。
【0095】
一局面において、最初のスクリーニングは、病気の徴候を感知するために、低解像度の表示を使用して、および/または、例えば、一つまたは二つまたは小さい数(例えば、5未満)のパターンパラメータを分析して、全身または全臓器に対して実行され得る。続けて、病気の存在または特性は、高解像度の表示を使用して、および/または、例えば、一つ以上のさらなるパターンパラメータ、または最初の分析に対して使用されたパターンパラメータではない代替的なパターンパラメータを分析して診断され得る。
【0096】
理解されるべきは、本発明の一部または全ての局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0097】
(診療用の適用)
本発明の局面は、病気と関連する一つ以上の構造異常を位置特定することによって、病気の位置を識別するためにも使用され得る。この情報は、バイオプシー処置または治療(一つ以上の毒性のある化学物質を使用する治療、放射線、加熱、加冷、小分子、遺伝子療法、手術、その他任意の治療、または上記のうちの二つ以上の組み合わせ)を病変の正確な位置に向けるため、または任意の他の目的のために使用され得る。
【0098】
一実施形態において、イメージングデバイスは、病変のリアルタイムの視覚的表示を提供するコンピュータに接続される。一実施形態において、リアルタイムの視覚的表示は、(実際のイメージとは異なり)関連する血管系を伴う、体の領域および病変の正確なモデルである。この視覚的な情報は、バイオプシーの手術器具を導くために使用され得る。代替的に、情報は、侵襲性(例えば、手術による除去またはバイパス)または非侵襲性(例えば、放射線)の治療処置を病変(腫瘍または血栓)の位置に導くために使用され得る。
【0099】
一実施形態において、本発明の局面は、治療が適用される前に、治療のための組織のエリアを識別するために使用され得る。例えば、治療の標的領域は、無秩序な血管構造の境界を感知することによって識別され得る。エリアは、治療の後に、治療が適切に向けられたということを確認するために評価され得る。一実施形態において、構造は、体の領域から取り除かれるべき組織の程度を識別するために、手術前に分析され得る。一実施形態において、体の領域は、どのような異常な構造も取り残されていないかどうかを決定するために、手術後に分析され得る。これは、放射線治療または病気の組織の手術による除去の成功を確認するために使用され得る。代替的に、これは、さらなる手術および/または他の形態の治療に関して決定するために使用され得る。別の実施形態において、病気の境界は、異常な血管系の境界によって定義され得るか、または描かれ得る。治療(例えば、放射線療法、手術など)は、病気の境界によって取り囲まれているボリュームによって導かれ得、および/または該ボリュームに抑制され得る。
【0100】
一実施形態において、本発明の局面は、手術によるインプラントまたは移植の成功を評価するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、臓器または組織の移植後に、新たな血管形成を評価するために使用され得る。
【0101】
別の実施形態において、新たな血管の発達は、腫瘍組織の除去の後、または腫瘍のバイオプシーの後にモニタリングされ得、腫瘍組織の除去と腫瘍のバイオプシーとの両方は、血管形成の引き金となり得、および/または未発育腫瘍を悪性の腫瘍に転換させ得る。
【0102】
理解されるべきは、本発明の介入用の局面の一部または全ては、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0103】
(療法)
本発明の局面は、患者に対する治療法を最適化するためにも使用され得る。病気の進行または後退の程度は、様々な治療のタイプまたは投薬量に反応してモニタリングされ得、最適な治療が、識別され得る。最適な治療は、病気の進行に応じて変化し得る。時間の経過に従って、治療の有効性が、本明細書において記述されている本発明の局面を使用して、病気関連のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)に関する変化を分析することによってモニタリングされ得る。
【0104】
一実施形態において、第1の療法が、行なわれ得、異常な血管の成長を遅くすること、止めること、または後退させることに関する有効性が、不規則にか、または一定の時間間隔(例えば、毎日、毎週、毎月、または他の時間間隔)でかのいずれかで、モニタリングされ得る。一部の実施形態において、第1の療法計画が、病気の進行に関して所望の効果を有さない場合には、第2の療法計画が、評価され得る。同様に、さらなる療法計画が、患者単位で評価され得る。さらに、本発明は、療法のわずかな変化の効果をモニタリングすること、および病状および患者にとってもっとも効果的であるように見える状態を使用することによって、選択された療法計画(例えば、投薬量、タイミング、デリバリ、あるいは薬または他の治療)を最適化するために使用され得る。
【0105】
治療に関する療法の有効性を見る場合には、病気固有のパラメータが、モニタリングされ得る。もちろん、全てのパラメータが獲得され得、サブセットのみが、レビューされ得る。しかしながら、病気を特徴付けるパラメータ(の表示)のみを単に獲得することが、最も効果的であり得る。
【0106】
本発明の局面に従って、血管形成の血管系および他の異常な血管を感知するために使用されるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、治療に反応する病気をモニタリングするためにも使用され得る。例えば、全血管分布、あるいは血管形成または他の病気の血管系その他任意の容積分析と、血管のサイズの分布(例えば、大きい血管に対する小さい血管の比率)とは、個々にまたは共に、病気の進行または後退のインジケータとして使用され得る。概して、血管形成治療(または他の病気の治療)が効果的である場合には、微小血管系は、大血管系になる前になくなる。従って、効果的な治療では、血管サイズの分布において、より大きい血管向かうシフトが生じる。抗血管形成活性マーカは、小さい血管の消失か、または観察された血管の単一のサイズへのシフトかのいずれか(または両方)としてスコアされ得る。
【0107】
別の局面において、パラメータは、時間の経過による変化であり得る(または該変化を含み得る)。例えば、第2の時間に存在する構造は、第1の時間に存在する構造と比較され得る。一実施形態において、病気は、治療前および/または治療後に追跡され得る。当然、さらなる時点が使用され得る。時点は、観察される状態(例えば、すでに識別された病気の進行、時間の経過による患者の検査)に依存し得る。期間は、毎日、毎週、毎月、毎年、あるいは、短い、中間、または長い時間であり得る。時間間隔は、一連の規則的な時間であり得る。しかしながら、他の時間間隔もまた、有用であり得る。一実施形態において、患者固有のベースラインが、設定され、時間の経過と共にモニタリングされる。例えば、結腸、胸、または他の組織または臓器における血管系の変化は、定期的にモニタリングされ得る。
【0108】
本発明の一局面において、治療のタイプは、異常な血管構造(例えば、血管形成)の段階または程度によって決定され得、該血管構造は、一つ以上の病気であると疑わしい部位(例えば、ガンである部位)において感知される。例えば、ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍は、血管形成前であるか、または早期の血管形成と関連付けられた場合には、どのような形式の治療もすることなく、部位をモニタリングすることが適切であり得る。しかしながら、適切な療法は、一つ以上の血管形成抑制剤を投与して、あらゆる新たな血管形成を防止することを含み得る。ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍を有する患者が、中期の血管形成と関連付けられる場合には、適切な療法は、一つ以上の血管形成抑制剤を投与することである。疑わしい部位において中期の血管形成を有する患者もまた、モニタリングされるべきであり、あらゆる血管の発達が、もっと積極的に治療され得る。ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍が、後期の血管形成と関連付けられる場合には、適切な治療は、化学療法(例えば、細胞毒性の化学療法、および/またはホルモンベースの化学療法)、放射線治療、手術、および/または一つ以上の血管形成抑制剤を使用する治療のうちの少なくとも一つ以上を含み得る。しかしながら、理解されるべきは、上記の治療オプションのうちの任意のものが、あらゆる段階の血管形成と関連付けられる病変のうちの一つ以上のものを有する患者を治療するために使用され得る。
【0109】
血管形成抑制剤の例は、限定するわけではないが、2−メトキシエストラジオール(2−ME)、AG3340、アンギオスタチン、アンギオザイム、アンチトロンビンIII、VEGF阻害剤(例えば、抗VEGF抗体)、バチマスタット、ベマシツマブ(アバシツマブ)、BMS−275291、CAI、2C3、HuMV833カンスタチン、カプトプリル、軟骨誘導阻害剤(CDI)、CC−5013、セレコクシブ(CELEBREX(登録商標))COL−3、コンブレタスタチン、コンブレタスタチン A4フォスフェイト、ダルペパリン(FRAGIN(登録商標))、EMD 121974(シレンジタイド)、エンドスタチン、エバロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ)、ゲニステイン、ハロフジノン臭化水素(TEMPOSTATINTM)、Id1、Id3、IM862、メシル酸イマチニブ、IMC−ICl1誘導性タンパク質10、インターフェロン−α、インターロイキン 12、ラベンダスチン A、LY317615またはAE−941(NEOVASTATTM)、マリマスタット、マスピン、メドロキシプロゲステロン、アセテート、Meth−1、Meth−2、ネオバスタット、オステオポンチン分割生成物、PEX、ピグメント上皮成長因子(PEGF)、血小板因子4、プロラクチンフラグメント、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222584、ZD6474、組み換え人間血小板因子4(rPF4)、レスチン(Restin)、スクアラミン、SU5416、SU6668、SU11248、スラミン、タキソール、テコガラン、サリドマイド、トロンボスチン、TNP−470、トロポニン(Troponin)I、バソスタチン、VEG1、VEGF−Trap、およびZD6474を含む。
【0110】
一部の実施形態は、治療の対象を選択する方法、および/または特定のインサイチュの血管構造の分析に基づいて、治療、または療法のコースを選択する方法を含み得る。方法は、人間の被検体におけるインサイチュの血管構造を分析して、例えば、スコアを獲得することを含み得る。スコアは、(例えば、明らかに健康な集団における)コントロールスコアまたは同じ被検体に対する以前の分析からの以前のスコアと比較され得る。治療または療法のコースは、そのような比較に基づいている。一部の実施形態において、血管構造の分析を獲得することが、時間の経過による療法に対する人間の被検体の反応をモニタリングするように繰り返される。本発明のこの局面の一部の実施形態において、方法は、人間の被検体に関する病気の第2のマーカを測定することをさらに包含し、治療または療法の進行に関する決定は、第2のマーカの測定にも基づく。
【0111】
特定の実施形態において、血管形成下にある腫瘍(例えば、悪性腫瘍のサインを示す腫瘍)を有する患者が、一つ以上の抗血管形成化合物を用いる治療のために選択され得る。血管形成下にある腫瘍は、密度の低い血管を有する腫瘍として識別され得るか、または血管の直径が小さい(例えば、血管形成された腫瘍に一般的な閾値を下回る)腫瘍として識別され得る。
【0112】
本発明の局面は、時間の経過による血管のパターンまたは特徴の存在をモニタリングすることによって、療法の有効性をモニタリングすることをも含み得る。例えば、治療に反応した、腫瘍における血管の進行性の消失は、療法が有効であることのサインであり得る。逆に、血管形成に対する影響の不在は、治療が患者に対して効果的ではないインジケータであり、かつ、代替的な療法が考えられるか、または使用されるべきであるというインジケータであり得る。
【0113】
理解されるべきは、本発明の療法の局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0114】
(研究)
一実施形態において、本発明の局面は、関心の生物学的なプロセス(例えば、病気の発達および進行)と関連する構造変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の血管系は、さらなるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別するために分析され得、該パターンは、傷の治療、または異なる病気、または異なる病気の段階と関連付けられ得る。これらのさらなるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、本発明の診断、診療、療法、および開発の局面のうちの一つ以上において使用され得る。
【0115】
一実施形態において、本発明の局面は、医療処置と関連付けられる構造変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の血管は、手術後の傷の治療またはインプラント/(異種移植を含む)移植の成長または拒絶反応と関連付けられる変化を識別するために分析され得る。
【0116】
理解されるべきは、本発明の研究の局面の一部または全てが、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0117】
(薬のスクリーニングおよび妥当性の確認を含む新たな治療の開発および評価)
別の実施形態において、本発明の局面は、化合物ライブラリのスクリーニングにおいて使用され得るか、または異常な内部構造(例えば、異常な管状の網状組織)と関連付けられる病気を治療する候補化合物の妥当性を確認するために使用され得る。本発明の局面は、内部構造の変化に関する効果的な高スループット分析を可能にする。これらの変化は、特定の病気に対する代理マーカ(バイオマーカ)としての役割を果たし得る。結果として、スクリーニングのプロセスは、かなりの程度、自動化され得、多くの場合に、病気の兆候の変化を待つことを含み、組織のバイオプシーを必要ともし得る現在の妥当性の確認と比較した場合には、結果を獲得するための時間は、かなり短縮される。
【0118】
代理マーカ:本発明の局面は、血管パターン(例えば、構造的特徴)を識別および定量化するために使用され得、該血管パターンは、診断、療法、および研究開発の目的で、代理マーカとして使用され得る。代理マーカは、診断、療法評価、および薬の開発の時間を短縮するために有用である。代理マーカは、臨床的な結果(例えば、薬に反応した生存時間の増加)を待つことなく、病気の診断、病気の予後、または薬の有効性に対する早期のインジケータとして使用され得る。故に、血管系の分析結果は、(臨床前または臨床試験の両方において)薬の開発、臨床検査(例えば、胸、肺、または結腸の検査)、および臨床療法のモニタリングに対する代理マーカとして使用され得る。例えば、血管系構造は、血管形成関連の病気、例えば、ガンに対する有用な代理マーカである。
【0119】
一実施形態において、本発明の局面は、病気と関連付けられる新血管系形成および/または血管形成パターンの変化を処理することの有効性に関して、候補の化合物または療法をスクリーニングおよび/またはその妥当性を確認する方法を提供する。本発明の局面は、(例えば、これらの化合物を実験用の動物、例えば、マウスに、個々にまたはまとめて投与して、血管形成の血管系に対する効果を評価することによって)単一または小数の化合物を評価するか、またはライブラリをスクリーニングして、複数の候補化合物を評価および/または識別するために使用され得る。ライブラリは、任意の数(例えば、約100〜約1,000,000)の化合物を含み得る。抗体、小分子などを含む異なるタイプの化合物が、検査され得る。しかしながら、本発明は、評価され得る化合物の数および/またはタイプによって限定されない。
【0120】
一実施形態において、候補化合物の有効性は、基準化合物と比較され得る。基準化合物は、構造に対して公知の効果を有する任意の化合物であり得る。例えば、Avastin(Genentech)は、血管内皮成長因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体として使用され得、該血管内皮成長因子は、新血管系の成長に対する候補化合物の効果をテストする基準として使用され得る。
【0121】
インビボモデル:本発明の局面に従って、化合物および療法は、インビボモデル、例えば、動物の病気のモデルに関して評価され得る。例えば、ガンまたは血管形成を有するマウスは、有用な療法を評価、最適化、および識別するために使用され得る。他の動物モデルもまた使用され得る。本発明の局面は、高スループット分析に対して有用であり得る。なぜならば、高スループット分析は、血管系におけるわずかな変化も感知することができ、侵襲性の処置が、ほとんど、または全く必要とされないので、最低限の操作で、短時間で、療法を評価するために使用され得る。
【0122】
本発明の血管分析の局面は、同所性のモデルに対して、例えば、短期間で薬の有効性をテストするために使用され得る。例えば、マウスの腫瘍の同所性のモデルにおける血管形成に関する候補薬の効果は、約5日後(例えば、モデルと薬に依存して、1日〜10日の間)に定量化され得る。逆に、皮下にガンのある動物のモデルは、腫瘍の成長が、分析され、かつ、コントロールと比較されるために、約1ヶ月を必要とする。
【0123】
同所性のモデルは、異なる病気または臨床的な状態をモデリングするために使用され得る。例としては、ガン、組織の再生成、(外傷の後の治療、外科的診療の後の治療、火傷した組織、例えば皮膚の治療を含む)傷の治療、組織または臓器移植療法、医療デバイスのインプラント療法、新血管系形成または正常な血管構造における変化と関連付けられる他の状態、あるいは上記の二つ以上の任意の組み合わせを含む。しかしながら、本発明は、同所性のモデルのタイプ、または病気のタイプ、または分析される臨床的な状態によって限定されない。
【0124】
単一の同所性の病気のあるモデル動物は、二つ以上の候補薬の分子をテストするために有用であり得る。なぜならば、分析は、モデル動物を犠牲にすることを含んでいないからである。従って、いったん、第1の候補に関するテストが完了すると、次の候補が、同じモデル動物において評価され得る。モデルは、分析に必要である新血管系形成の特徴を保持する場合には、一連の候補が、適切なコントロールを用いて、単一のモデル動物においてテストされ得る。
【0125】
理解されるべきは、本発明の開発の局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0126】
また理解されるべきは、本明細書において記述されている任意の一つ以上の構造パラメータは、基準パラメータとの比較によって評価され得るということである。一部の実施形態において、基準パラメータは、正常なまたは健康な被検体に関する基準パラメータの量またはスコアであり得る。他の実施形態において、基準は、病気の状態を表し得る。一部の実施形態において、本明細書において記述されているような病気または状態と相関するか、または関連付けられる任意の構造パラメータの変化または量は、病気またはテスト被検体におけるそのパラメータにおいて、基準被検体に対して統計的に明確な変化または相違があり得る。一部の実施形態において、構造パラメータにおける相違または変化は、特定のパラメータ(またはパラメータの組み合わせ)における増加または減少であり得る。パラメータにおける増加は、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または基準の被検体に対するテスト被検体
に関してそのパラメータにおけるさらなる増加となり得る。同様に、パラメータにおける減少は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70
%、80%、90%、100%、または基準の被検体に対するテスト被検体に関するパラメータにおけるさらなる減少となり得る。いったん、パラメータにおける変化または相違の量が、病気または状態と相関されるか、または関連付けられると、そのレベルが、本発明に従ったその次の方法において使用され得る。従って、一部の実施形態において、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、
90%、100%、または基準の被検体に対する任意の所定の構造パラメータ(例えば、捻れ、密度、ボリューム、またはその他任意の個々の構造的特徴、あるいは本明細書において記述されているような構造または構造的特徴の分布)のさらなる相違は、本明細書の方法に対する閾値として使用され得る。理解されるべきは、より高いか、より低いか、または中間の値が使用され得るということである。また理解されるべきは、異なるパラメータは、異なる基準値または閾値を有し得るということである。また、異なるパラメータ(および/または各パラメータに対する異なるレベル)は、異なる状態または病気と関連付けられ得る。従って、特定の病気または状態の値または閾値は、異なるパラメータまたはそれらの組み合わせに対して識別され得る。これらの閾値は、本明細書において記述されている病気の感知、診断、モニタリング、またはその他任意の療法、臨床、または研究の適用(例えば、本明細書において記述されている自動化された方法)に対して使用され得る。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
以下の実施例は、どのように本発明の局面が、異なる病気と関連付けられた血管構造を分析することによって、診断、療法、および研究の目的のために使用され得るかを示している。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述されている技術は、異なる構造および異なる病気または状態に適用され得るということである。
【0128】
骨の分析:乳ガンは、多くの場合に骨に転移する。しかしながら、骨肉腫の病変を感知する最適な方法に関する意見の一致は、現在のところ存在していない。一実施形態において、本発明の局面は、骨の中の血管構造(および/またはその変化)を分析することによって、骨の病変を診断し、治療に対する反応を評価するために使用され得る。骨の病変は、溶骨性、造骨性、またはそれらの組み合わせを含む任意のタイプであり得る。骨髄における病変もまた、識別、診断、および/または評価され得る。骨は、容易に認識される一般的な血管系を有する。本明細書において記述されている技術を使用して、血管系における変化および新たな血管の特徴は、正常な骨の血管系と区別され得る。
【0129】
特定の従来技術の骨のスキャン技術、例えば、PETは、放射性ラベルされたマーカを使用して、ガン性の組織を識別する。しかしながら、そのようなスキャンは、複雑であり、かつ、費用もかかり、患者の骨の中のガン性の病変の存在の可能性に関して、明確な不安がある場合にのみ使用される。本明細書において記述されている本発明の局面は、放射性ラベルされたマーカを必要とはせず、解釈が容易であり得、かつ、自動的に評価され得る構造情報を提供する。骨の血管系分析は、乳ガン患者が、骨の部位に対するガンの転移に関するあらゆる早期のサインを感知するために特に有用である。しかしながら、本発明の局面は、健康な被検体を検査して、その骨における血管の変化のあらゆるサインを感知するためにも使用され得る。
【0130】
理解されるべきは、本発明の局面は、骨肉腫の段階を評価し、かつ、骨肉腫に対する治療を最適化するために有用である情報もまた提供するということである。
【0131】
糖尿病性網膜症:糖尿病性網膜症は、糖尿病を有する患者における新たな血管形成から生じる。糖尿病性網膜症は、進行して失明へ導く網膜の機能不良および視覚の合併症をもたらす。早期に感知された場合には、糖尿病性網膜症は、治療または適切に処置され得る。例えば、血管の増殖が早期に感知された場合には、レーザー光凝固療法が、失明を防止するために使用され得る。一実施形態において、本発明の局面は、糖尿病性網膜症と関連付けられる血管の増殖を早期に感知するために、非侵襲性であるように使用され得る。本明細書において記述されている技術は、蛍光眼底血管造影または眼底造影のような技術よりも早い新血管形成のサインの感知を可能にし得る。さらに、本発明の一部の実施形態は、専門家が患者と同じ病院にいることを必要としない。なぜならば、感知および診断が、患者から抽出された網膜の血管構造の情報に基づいて、遠隔の位置において実行され得るからである。
【0132】
本発明の局面は、糖尿病患者の失明を防止または最小化する治療法をモニタリングおよび最適化するためにも使用され得る。特に、血管構造の情報は、糖尿病性網膜症の早期の段階までに影響を受けている網膜の領域に対する治療を標的とするように使用され得る。モニタリングおよび治療の局面もまた、遠隔の位置にいる専門家によって調整され得る。
【0133】
肺ガン:肺ガンは、ガンによる死の主な原因であり、早期の感知が、生存の可能性を高める最も効果的な技術である。肺ガンは、従来技術の二次元の胸部X線撮影および三次元のCTスキャンにおいて、肺結節として現れる。しかしながら、従来技術を使用して感知され得る肺結節の前に現れる肺の血管系における早期の変化を感知するために、本発明の局面が使用され得る。
【0134】
一実施形態において、被検体の肺の血管系は、現在の胸部X線撮影またはCTスキャン分析技術を使用して、最初に感知された肺ガンの診断を補完または確認するために、本発明の局面に従って分析され得る。X線でのスポットと同じ位置にある異常な血管系の存在により、その場所における腫瘍の存在を確認し得る。
【0135】
別の実施形態において、本発明の局面は、異常な肺の血管系を識別する最初の検査として使用され得る。理解されるべきは、少量の血管形成の血管が感知された場合には、経過観察分析が、現在の胸部X線撮影またはCTスキャン技術を使用して実行され得るということである。しかしながら、血管形成の血管が早期に感知された場合には、ガンのスポットは、現在の非侵襲性の技術を使用しては見ることが出来ない。一実施形態において、医師は、気管支鏡を被検体の鼻または口を介して挿入して、咽喉を通過して被検体の気道および肺に接近して、疑わしい組織のサンプルを取得することによって、血管形成の領域のバイオプシーを獲得し得る。もちろん、代替的なバイオプシーの方法が使用され得る。バイオプシー技術は、異常な血管構造を含んでいる組織サンプルが除去されたということを確認するために、本発明の局面を使用して導かれ得る。疑わしい組織のサンプルは、例えば、ガンまたは他の病気の一つ以上の分子インジケータの存在に関してアッセイするために、研究所において分析され得る。しかしながら、一実施形態において、本発明の局面は、組織のバイオプシー(例えば、気管支鏡バイオプシー)を使用することなく、状態を診断することに充分である仮想のバイオプシーを提供する。一実施形態において、本発明の局面は、侵襲性のパイオプシー治療を使用することなく、病変が成長し、かつ、悪性であるのかを決定するために、(例えば、比較的小さい時間増分、例えば、時間、日、週によって離れたいくつかの時点において、病変を分析することによって)病変をモニタリングするために使用され得る。
【0136】
一実施形態において、肺ガンの危機に瀕した被検体は、本明細書において記述されている本発明の局面に従って、異常な肺の血管系の構造に関して、定期的に検査され得る。肺ガンのリスクは、限定するわけではないが、喫煙、汚染、および家族歴を含む。
【0137】
慢性閉塞性肺病:(COPD):COPDは、2つの密接に関連する呼吸器系の病気、例えば、慢性気管支炎および気腫に関して使用される用語である。多くの患者において、もう他方の病気よりも多くの一方の病気の症状が存在し得るが、これらの病気は併発する。
【0138】
一実施形態において、本発明の局面は、COPD/気腫の早期のサインを早く感知し、病気の進行ならびに薬および他の療法に対する応答をモニタリングするために使用され得る。COPD/気腫の早期のサインは、低酸素症に応答した、病気の肺における血管成長の増加を含む。これらのサインは、慢性の咳および進行性の心臓および肺の不全の発達のような症状の前に感知され得る。喫煙者およびやや呼吸の短い被検体を含む危機に瀕した被検体は、本発明の方法に従って定期的にスクリーニングされ得る。
【0139】
肺塞栓症(PE):肺塞栓症は、被検体の肺の中の塞がれた動脈から生じ得る。毎年、600,000人以上のアメリカ人が、深刻で、多くの場合に致命的な結果を有する肺塞栓症を経験する。ほとんどの場合に、閉塞は、体の他の部分から肺に移動してきた一つ以上の血塊によってもたらされる。
【0140】
本発明の局面に従って、一つ以上の血塊は、被検体の肺に移動して深刻な障害をもたらす前に感知され得る。血塊の最も一般的な発生源は、足の深静脈である。血塊は、足の静脈から解き放たれ、肺の中の肺動脈に移動し得、肺において、血塊は、血液の流れを塞ぎ、血塊が足の静脈にある場合よりもさらに深刻な問題を引き起こし得る。比較的に小さい血塊は、肺への適切な血液の流れを妨げ、時には肺の組織に損傷をもたらす(梗塞)。血液の流れを完全に塞ぐ大きい血塊は、致命的であり得る。本発明の局面は、足の血管系を分析して、足の深静脈血栓症を感知するために使用され得る。足の深静脈血栓症に対する治療を受けている人々に関して、肺結節の割合は、最高約50%から5%未満に低下する。本発明の局面は、足の痛みまたは足の不快感のような症状を有する患者における足の深静脈血栓の存在を確認するためにも使用され得る。抗凝結剤を投与する前に、足の深静脈血栓症の存在を確認することは、重要であり得る。なぜならば、治療が、長期にわたる有害な合併症をもたらし得るからである。
【0141】
換気血流シンチグラフィ、足の血管の超音波診断、または肺の血管造影のような現在の技術は、多くの場合に、肺結節または足の深静脈血栓症に関する決定的な診断を明確にするには不十分である。明らかであることは、本発明の局面は、これらの状態を感知および診断することを助けるために、単独で、または現在の技術と組み合わせて使用され得るということである。
【0142】
本発明の局面は、被検体の肺の血管系における全範囲の血管の閉塞を感知するためにも有用であり得る。現在の技術は、大〜中程度のサイズの肺動脈(例えば、大動脈、大葉動脈、区動脈)における特定の閉塞を感知し得る。しかしながら、現在の技術は、亜区域性の血管およびより小さい血管における閉塞の感知のために限定的に使用され得る。本発明の局面は、これらのより小さい血管における閉塞を示すパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を感知するために使用され得る。この情報は、被検体の治療を最適化するために使用され得る。
【0143】
病変および/または病気の位置の感知:病変および/または病気の位置は、完全に3Dで組織をスキャニングすることによって、および病気の組織の位置および/または境界を感知する方法として、病気固有の血管パターンを使用することによって感知され得る。疑わしいエリア(例えば、X線によって感知されたエリア)の周りに3Dボックスを置くことによって、病気固有の血管パターンは、病気の組織の境界を感知するために使用され得る。
【0144】
所定の療法に対して最も反応すると考えられる患者の感知および識別:
所定の療法に対して最も反応すると考えられる患者は、療法(例えば、抗血管形成療法または抗ガン療法)に対して最も反応すると考えられる患者を予測する方法として、壊死の領域の始まりと、適度な血管の病気の組織との組み合わせを使用して識別され得る。さらに、上記で識別された患者の壊死領域の増加は、療法に対する陽性の反応の確認として使用され得る。
【0145】
ガン/血管形成
本発明の局面は、組織の区別(例えば、正常な組織と腫瘍組織との間の区別)のために使用され得る。一部の実施形態において、血管の存在のみでは、充分に有益ではなく、組織および/または腫瘍固有の血管パターンが、本発明の方法に従った分析のために、識別および使用され得る。一部の実施形態において、悪性の組織と悪性ではない柔らかい組織とは、互いに区別され得る(例えば、良性の嚢胞と被検体の胸における腫瘍との対比、縦郭における良性のリンパ節と悪性のリンパ節との対比)。区別のために使用され得るパラメータは、限定するわけではないが、以下のもののうちの一つ以上を含む:血管の直径、血管の密度(血管のボリューム/腫瘍のボリューム)、血管の直径の分布曲線、血管の間の距離、血管の直径の多様性、捻れ、湾曲、分枝の密度など。
【0146】
本発明の局面は、療法的モニタリングのためにも使用され得る。これは、一つ以上の血管系のパラメータの定量化を含み得る。しかしながら、コンパレータは、療法前および療法後において、同じ腫瘍または組織であるので、このモニタリングは、様々な組織および/または腫瘍の識別に固有のパターンを使用することなく達成され得る。一実施形態において、血管系の療法前および療法後における変化は、(例えば、以前に識別された人間における大きい(>1cm)腫瘍およびマウスにおける大きい(>0.5cm)腫瘍に対して)定量化され得る。療法的モニタリングのために使用され得るパラメータは、限定するわけではないが、以下のもののうちの一つ以上を含む:血管の直径、直径の分布、血管の密度、血管の間の距離、分枝の密度、(例えば、「正常化」を探すための)血管の直径の多様性、捻れ、湾曲など。治療法は、一つ以上のこれらのパラメータの(例えば、パラメータのスコアまたは定量的測定値が、病気のレベルとは反対に正常に向けて戻る)正常化に基づいて評価され得る。
【0147】
(実施例2)
以下の実施例は、X線または他のスキャニングデバイスから獲得されたビューデータから画像を再構成するための特定のモデルベースの再構成技術に関する。以下で詳細に記述されるように、そのような技術は、小さい血管系(例えば、従来技術のCTスキャナを使用する場合、直径が約500ミクロンを下回る血管、または例えば、平面パネルの感知器を使用するマイクロCTスキャナのようなX線スキャナからのデータを使用する場合、直径が約50ミクロンを下回る血管)のモデルを生成するために使用され得る。しかしながら、理解されるべきは、以下に記述される技術は、様々な他の構造を感知および再構成するために使用され得るということである。
【0148】
対象に関するX線の情報は、X線源および対象に対するX線放射に反応する感知器のアレイを配置することによって獲得され得る。例えば、アレイ内の各感知器は、感知器の表面にぶつかるX線放射の強度と比例する電気信号を生成し得る。X線源とアレイは、様々な角度における対象の様々なビューを獲得するために、円形の経路内において対象の周囲を回転する。各ビューにおいて、アレイ内の各感知器によって生成された感知器信号は、X線源と感知器との間に実質的に一直線に並んでいる材料によって引き起こされる全吸収(すなわち、減衰)を示す。従って、感知器の信号のアレイは、対象の様々なビューにおける感知器アレイ上への、対象の投影を記録し、対象のビューデータを獲得するための一方法を提供する。
【0149】
X線スキャニングデバイスから獲得されたビューデータは、画像化される対象に関するビューの角度または方向の関数として、減衰情報(例えば、感知器の出力)を提供する任意の形式であり得る。ビューデータは、スライスと呼ばれる、対象の平坦な断面をX線の放射に露出させることによって獲得され得る。対象の周りの各回転(例えば、放射源および感知器アレイの180度の回転)は、対象の二次元(2D)のスライスに関する減衰情報を提供する。
【0150】
従って、X線のスキャニングプロセスは、対象の概ね未知の密度分布を、未知の密度に対応するビューデータに変換する。図6Aは、X線スキャニングプロセスによって実行される変換動作のダイアグラムを図示している。対象空間内に未知の密度分布を有する対象600の2Dの断面は、X線スキャニングを対象としている。本明細書において、対象空間は、関心の対象、例えば、X線スキャンを受けている対象の座標フレームを呼ぶ。直交座標フレーム(すなわち、(x、y、z))は、対象空間に対する便利な座標系であるが、しかしながら、対象空間は、任意の適切な座標フレーム、例えば、極座標または円筒座標によって記述され得る。
【0151】
X線スキャニングプロセス610は、ビュー空間座標フレーム(例えば、座標フレーム(t、θ))において対象ビューデータ605を生成する。例えば、対象ビューデータ605は、(ビュー空間軸θiに対応する)X線スキャニングデバイスの様々な方向における(ビュー空間軸tiに対応する)アレイ内の複数の感知器からの減衰情報を含み得る。従って、X線スキャニングプロセス610は、対象空間内の連続的な密度分布を、ビュー空間内の離散的ビューデータに変換させる。
【0152】
対象のビューデータからの2Dの密度分布の画像を生成するために、ビューデータは、対象空間に投影し戻され得る。ビュー空間内のビューデータを対象空間に表示される画像データに変換するプロセスは、画像の再構成と呼ばれる。図6Bは、ビューデータ605を2D画像600’(例えば、スキャンされた対象600の断面の視覚可能な画像)に変換する画像の再構成プロセス620を図示している。2D画像600’を形成するために、対象空間内の対象600の断面の離散的な位置のそれぞれの密度の値は、ビューデータ605において利用可能である情報に基づいて決定され得る。しかしながら、画像の再構成は、再構成された画像における解像度および詳細の喪失となる。
【0153】
モデルベースの画像化技術は、画像の再構成に起因する解像度および詳細の喪失と関連する問題の一部を避け、かつ、再構成された画像を処理することによってもたらされる分割の困難さを避けるために使用され得る。モデルベースの技術は、関心の対象のビューデータ内に存在すると考えられる構造を記述するモデルを生成することを含み得る。例えば、関心の対象の内部構造に関する先験的な知識は、モデルを生成するために使用され得る。用語「モデル」は、本明細書において、あらゆる幾何学的、パラメータ的、または他の数学的記述、および/または特質の定義、および/または構造、物理的対象またはシステムの特性をいう。例えば、X線環境において、構造のモデルは、構造の形状および密度分布の数学的な記述を含み得る。モデルは、値の範囲を変化させることを可能にさせ、モデルが様々な構成を呈するように変形させ得る一つ以上のパラメータを含み得る。モデルに対する用語「構成」は、本明細書において、各モデルパラメータが、特定の値を割り当てられている場合をいう。
【0154】
いったん、モデルの構成が決定されると、(モデルビューデータと呼ばれる)モデルのビューデータは、例えば、モデルのランドン(randon)変換を取ることによって、計算され得る。関数に基づき動作するランドン変換は、関数をビュー空間に投影する。図6Cは、対象600のモデル625におけるランドン変換630の動作を図示している。モデル625は、モデル空間における関数f(Φ)によって記述され、Φは、モデルを特徴付けるパラメータのベクトルである。モデル625が、対象600を記述するために生成されるので、モデル空間および対象空間に対する座標軸は、2つの座標フレーム間の変換が既知である限り、異なり得るが、モデル空間および対象空間に対する座標フレームと同じ座標フレームを使用することが便利であり得る。ランドン変換630は、モデル空間からのモデル625を、モデルビューデータ605’(すなわち、ビュー空間座標フレームにおける関数
【0155】
【数1】
)に変換する。
【0156】
理解されるべきは、X線スキャニングプロセス610およびランドン変換630は、実質的に同じ動作を実行する、すなわち、両方とも対象空間(またはモデル空間)からビュースペースへの変換を実行するということである。スキャニングプロセスは、対象空間からビュー空間(すなわち、(θi、ti)における離散的な関数)への離散的な変換を実行し、ランドン変換は、対象空間からビュー空間(すなわち、(θ、t)における連続的な関数)への連続的な変換を実行する。モデルの構成(すなわち、Φにおける各パラメータが、値を割当てられるfの場合)を、ランドン変換を介してビュー空間に投影することによって獲得されたモデルビューデータが、どのくらい正確に、モデルが、スキャンされた対象における関心の構造を記述しているかを計測するために、X線スキャニングデバイスから獲得された対象ビューデータと比較され得る。次に、モデルは、変形され得るか、またはそうでなければ、ランドン変換(モデルビューデータ)が対象ビューデータに充分に適合するまで、すなわち、モデルの構成が最適化されるまで、更新され得る。最適化は、例えば、パラメータ化された構造から生じた観察された対象ビューデータをモデルとして仮定し、対象ビューデータを最も良く記述するパラメータを見つけることによって、定式化され得る。例えば、モデルの変形は、下式を最小化することによって導かれ得る:
【0157】
【数2】
Φは、モデルパラメータのベクトルであり、giは、対象ビューデータを表し、
【0158】
【数3】
は、モデルビューデータを表す。つまり、モデルの構成は、Eを最小化するベクトルΦを解くことによって(すなわち、最小二乗距離を見つけることによって)最適化され得る。
【0159】
出願者が理解していることは、モデルされた構造が複雑であり、かつ、多数の変形可能なパラメータを含む場合には、モデルを構成する組み合わせの問題は、扱いにくくなるということである。つまり、モデルが変化することが可能とされるパラメータの数が増加するので、モデルの考えられる構成の数は、爆発的に増加する傾向にある。さらに、出願者が理解していることは、どのようにして最初にモデルを構成するかというガイダンスがなければ、不適切に選ばれた最初の仮説は、その後の最適化スキームを、望ましくない局所的最小に収束させ得るということである。結果として、選択されたモデル構成は、スキャンされた実際の構造を十分に反映しないことがあり得る。
【0160】
再構成された画像の分割は、多くの場合に困難であり、画像の再構成プロセスに起因する低減された解像度において構造を記述している情報に限定される。この解像度以下の構造は、ビューデータに存在するが、感知および再構成された画像データ上で動作する分割のアルゴリズムにとって利用不可能であり得る。画像の再構成を避けることを求めている従来技術のモデルベースの技術は、観察されたビューデータにモデル構成を適合させる組み合わせの困難さによって、失敗した。
【0161】
本発明に従った一実施形態において、モデルは、構造をスキャニングすることから獲得されたビューデータにおいて感知されるべき構造を記述するために生成される。ビューデータは、モデル化された構造の特性をビューデータにおける一つ以上の特徴を感知するために処理され得、モデルの構成に関する一つ以上のパラメータの値を決定するために使用され得る。すなわち、ビューデータにおける情報は、どのようにモデルが構成され得るかに関する仮説をブートストラップするために使用され得る。ビューデータからモデル構成に関する情報を獲得することによって、モデル構成を観察されたビューデータと適合させる組み合わせの困難さと、望まれない局所的最小に収束することの可能性とは、低減され得る。さらに、ビューデータを直接的に処理することによって、構造は、ビューデータの解像度(すなわち、実質的にX線スキャニング装置の解像性能)において感知され得る。
【0162】
図7Aは、シリンダ網状組織モデルにおけるプリミティブなコンポーネントとして使用され得るシリンダ状の部分700の一例を図示している。シリンダ状の部分700の構成は、特定の座標フレームにおける多数のパラメータによって記述され得る(すなわち、モデル空間においてパラメータ化される)。上記のように、モデル空間は、対象またはモデル化される構造と同じ3D座標フレームであり得る(すなわち、モデル空間および対象空間は、同じ空間を記述し得る)。例えば、シリンダ状の部分700の位置は、空間内の位置(xi、yi、zi)におけるシリンダ状の軸705の配置、例えば、シリンダ状の部分の始点または終点によって記述され得る。シリンダ状の部分700の方向は、x軸からの角度φiおよびy軸からの角度γiによって特定され得る。シリンダ状の部分700は、軸対称であるので、z軸のまわりの回転は、特定されることは必要とし得ない。シリンダ状の部分の長さは、liによって特定され得、シリンダ状の部分700の半径は、riによって特定され得る。従って、シリンダ状の部分700は、七つのパラメータxi、yi、zi、φi、γi、li、およびriに値を割当てることによって構成され得る。
【0163】
図7Bは、階層的に配置された複数のシリンダ状の部分から形成されるシリンダ状の網状組織モデルの構成750を図示している。上記のように、血管構造は複数の血管を含み得、各血管は、モデルによって記述されるべきそれ自身の空間における構成を有する。構成750は、二つのシリンダ状の部分720aおよび720bに分枝するシリンダ状の部分710aを含み、該二つのシリンダ状の部分720aおよび720bは、網状組織が、階層の葉において消えるまで、さらに分枝する(すなわち、シリンダ状の部分720は、シリンダ状の部分730に分枝し、該シリンダ状の部分730は、次に部分740、750、760などに分枝する)。特定のパラメータの値は示されていないが、理解されるべきは、構成750を形成することは、コンポーネントのシリンダ状の部分のそれぞれのパラメータに関する値を特定すること含むということである。(階層におけるシリンダ状のプリミティブの数を含み)一つ以上のパラメータの値を修正することは、異なるモデル構成となる。
【0164】
理解されるべきは、例示的な構成750は、構成内のプリミティブの数に関し、X線データに対する期待の構成の単純化である。図7Bの例における構成750において、モデルの構成は、7nのパラメータを特定することを含み、nは、シリンダ状のプリミティブの数である。全てのパラメータが未知である場合には、構成750の最適化は、数百の自由度を含む。血管の網状組織のスキャンされる部分は、構成750において記述されているよりも何倍も多い血管(例えば、数百または数千の血管)を含み得、構成の最適化をますます複雑にする。
【0165】
一実施形態において、そこから収集された情報が、モデル化された構造に対応するビューデータにおける特徴を感知することを助けるために使用され得るように、どのように構造がビュー空間に投影されるかを理解するために構造の密度分布もモデル化され得る。例えば、血管は、スキャンされた場合には、ビューデータにおいて特性的な特徴またはパターンを生成する特性密度分布を見せる。一実施形態において、血管の断面の密度は、モデルされた密度が血管の中心において最高であるように、血管の長手方向の軸を中心にしたガウス分布によってモデルされる。例えば、長手方向の軸がz軸と一致するように方向付けられた場合には、シリンダ状の部分700の断面の密度分布は、
【0166】
【数4】
としてモデルされ得、
ρiは、ithシリンダ状の部分の中心における密度係数であり、riは、ithシリンダ状の部分の半径であり、シリンダ状の部分の中心において最大であるようにモデルされ(すなわち、ρiと等しい)、中心からの半径の距離の関数として、指数的に減衰する。図8Aは、方程式2において与えられた関数のグレースケールの表示を図示し、濃いグレースケールの値は、密度の値の増加を示す。図8Bは、図8Aにおけるグレースケールのガウス分布の中心において、x軸に沿った強度の値のプロトを示す。
【0167】
シリンダの長手方向の軸に沿った(すなわち、図8Aのページを貫通している)密度分布は、変化することなく、長手方向の軸に沿った断面の分布の定数関数、つまり、分布の中心からの半径の距離dの定数関数としてモデルされ得る。従って、構成750における各シリンダ状の部分は、方程式2で定義された断面の密度分布を割り当てられる。
【0168】
対応するシリンダ状の部分の方向における密度分布を表すために、密度分布は、周知の座標変換マトリクス
【0169】
【数5】
によって変換され得、
角度γおよびφは、図7Aで定義された方向パラメータである。理解されるべきは、図でモデルされた方程式2の密度分布は、図7Aに関して述べられたモデルパラメータのみに依存するということである。従って、値が、各モデルパラメータに割り当てられている場合には、分布は、密度分布が、どのような追加のパラメータも導入しないように、充分に記述され得る。理解されるべきは、本発明は、この点に関して限定されないということである。なぜならば、密度分布は、一つ以上の独立したモデルパラメータを含むようにモデル化され得るからである。
【0170】
上記のように、3Dの対象のビューデータは、対象に関する複数の2Dの断面をスキャニングすることによって獲得され得る。出願者が理解していることは、対象の3D構造の感知は、断面を見た場合には、どのように構造が現れるかを考えることによって容易にされ得るということである。たとえば、図9における対象900は、血管900a、900b、および900cを含む血管の網状組織の一部分を、概略的に表している。対象900がスキャンされた場合には、対象の複数の断面のスライスが、X線の放射にさらされ、対象と交差している連続した平面、例えば、例示的な平面915a〜915dに対応するビューデータを提供する。
【0171】
各シリンダ状の血管部分を有する平面915aの交差面は、それぞれ楕円905a〜905cを作り出し、各楕円は、それぞれの血管部分が平面と交差する角度に依存した偏心を有する。従って、3Dの血管部分の存在は、X線スキャナの透視図を形成する認識を活用することによって感知され得、血管部分は、特性的密度分布(例えば、方程式2において記述されている密度分布)を有する楕円の連続として現れ得る。
【0172】
理解されるべきは、2Dのスライスにおいて特徴を感知した場合には、図7Aにおけるパラメータziは、対応するスライスによって示され、従って、シリンダ状の部分を構成するために決定される必要ないことがあり得るということである。さらに、スキャン面において、z軸に沿った寸法は、無限小である。平面におけるシリンダ状の部分は、部分の長さとは関係がなく、パラメータliは、特定されないままであり得る。従って、2Dのスライスにおいて、シリンダ状の部分の断面は、値を5つのパラメータ(すなわち、xi、yi、φi、γi、およびri)に割り当てることによって構成され得る。
【0173】
血管構造をスキャニングすることから獲得されたビューデータにおける特性的な特徴を識別するために、方程式2において記述されている密度プロファイルを有するシリンダ状のプリミティブの断面(すなわち、楕円)は、例えば、上記のような密度プロファイルのランドン変換を取ることによって、ビュー空間に投影され得る。従って、方程式2における密度分布をランドン変換の一般的な形成に適用することは、
【0174】
【数6】
を与え、
該数式は、式
【0175】
【数7】
となり、
tおよびθは、2Dのビュー空間における座標フレームの軸であり、Φは、モデルパラメータを表す。従って、血管がスキャンされt場合には、方程式5で表された形状と似たビューデータにおける情報をもたらすことが、期待され得、該方程式5は、ガウスプロファイルを有する正弦曲線関数を記述する。図12は、方程式5において表された関数
【0176】
【数8】
の一部分を概略的に図示している。t軸に沿って、
【0177】
【数9】
は、特性のガウス成分を有する。θ軸に沿って、
【0178】
【数10】
は、特性の正弦曲線成分を有する。θが増加するにつれて、ガウス成分(すなわち、t軸に沿ったガウスプロファイル)は、正弦曲線を描く。
【0179】
正弦曲線の短い部分(わずかな部分)のみが、図示されるが、理解されるべきは、ガウススプロファイルのピーク1215は、正弦曲線部分1205によって示されるように、正弦曲線を描く(図11においてさらによく示されている)ということである。以下で記述されるように、変換されたガウス密度分布のこの特徴的な形状は、楕円構造をスキャニングすることから獲得されるビューデータを調べることによって、さらに良く理解され得る。特に、モデル化されたシリンダ状の断面と同様な構造をスキャニングすることは、図1Aおよび図1Cに関して述べられたようなX線スキャニングプロセスおよびランドン変換によって提供される同様な動作のために、方程式5の関数と近似する離散的データを作り出す。
【0180】
図10A〜図10Cは、図8Aおよび図8Bにおいて示されているようなガウス密度分布を有する楕円1010のスキャニング動作を図示している。例えば、楕円1010は、方程式2における密度分布と同様な断面の密度分布を有する血管構造の断面であり得る。スキャンから獲得されたビューデータは、図11において概略的に図示されているサイノグラム1100によって表されている。図10Aは、0°の方向におけるX線スキャニングデバイス1000の一部分のスナップショットを図示し、X線放射を放射するように適応された放射線源1020と、X線放射に反応する感知器のアレイ1030を含む。放射線源1020は、実質的に継続的なファンビーム1025を、例えば、ファンビームの範囲を定義している光線1025aと1025bとの間の弧にわたって放射し得る。放射線源1020は、半円の延長円周に沿って置かれ得、中心点1035の周囲を感知器のアレイ1030と共に回転するように適応され得る。
【0181】
放射線源1020および感知器のアレイ1030は、中心点1035の周囲を回転するので、アレイ内の感知器は、感知信号、例えば、それぞれの感知器上にぶつかる放射線の強度に比例する電気信号を生成することによって、ぶつかるX線に反応する。結果として、感知器のアレイは、楕円1010に対する放射線源およびアレイの様々な方向における放射強度のグラフを記録する。アレイ内の各感知器によって生成された感知信号は、各感知器と放射線源との間で、実質的に直線状に延びているX線の強度を示す値を獲得するためにサンプルされ得る。感知器のアレイは、例えば、デバイスが、異なるビューにおいて多数の楕円の投影を獲得するように回転するとき、1°の角度間隔、0.5°の角度間隔、0.25°の角度間隔においてサンプルされ得る。図10Bおよび図10Cは、45°および90°のそれぞれにおけるX線スキャニングデバイスのスナップショットを図示する。楕円1010の2Dスキャンは、180°にわたる弧の所望の角度間隔Δθにおいて、楕円1010の投影を獲得することを含み得る。
【0182】
放射線源1020によって放射される放射線の大部分は、妨げられることなく感知器のアレイ1030にぶつかる。しかしながら、光線の一部分は、感知器のアレイに到達する前に、楕円1010を通過する。妨害された光線は、楕円1010の密度に関連して、ある程度減衰される。対象に実質的に接する例示的な光線1025cおよび1025eは、楕円を通過する放射線のうちでもっとも減衰されない光線である。実質的に楕円1010の中心を通過する光線(例えば、光線1025d)は、最も高い密度において透過するべきもっとも多くの材料を有し、その結果、最も大きな減衰を見せる。
【0183】
従って、楕円1010の「影」における感知器は、プロファイル1065によって示されているように、楕円1010の接線におけるゼロ減衰から楕円1010の中心におけるピーク減衰まで推移し、楕円1010の他の接線におけるゼロ減衰に戻るプロファイルを有する放射を感知する。例えば、プロファイル1065は、楕円の影の中に存在するアレイ内の感知器によって提供される感知信号のグレースケールの表示であり得、より薄いグレーのレベルは、より大きいX線の減衰を示す。従って、楕円1010の影の中に存在しない感知器は、実質的に真っ黒であるグレースケールの値を有する感知信号を作り出す。方程式5のガウス成分、すなわち、図12において図示されているガウスプロファイルから見込まれるように、プロファイル1065は、特徴的なガウス形状を有する。つまり、楕円1010のガウス密度分布は、ガウス減衰情報を感知器のアレイ上に投影する。
【0184】
プロファイル1065は、感知器のアレイよりも高い解像度において図示されている。すなわち、プロファイル1065は、特徴的なガウス形状のプロファイルを図示するために、楕円1010の影の中の各感知器に対して、2つ以上のグレースケールの値を含む。しかしながら、理解されるべきは、感知器のアレイ1030において図示されている各感知器は、プロファイルが、図示されたプロファイル1065の解像度において提供され得るように、感知信号を生成する任意の数の独立した感知器として考えられ得るということである。
【0185】
X線デバイスが回転するにつれ、楕円の密度分布は、組み合わせの変化する感知器上に投影される。デバイスの360°の回転は、楕円1010に、(放射線源1020から見て)中心点1035の周囲を回らせて、感知器上の楕円の投影位置に繰り返させる。(一部分が、図12において記述されている)方程式5の正弦曲線成分から見込まれるように、楕円1010は、デバイスの方向が増加するにつれて、検知器のアレイにわたり正弦曲線の軌跡を描く位置の感知器上に落ちる周期的な影を投げかけ、該デバイスの方向の増加は、以下で述べられるように2Dのビュー空間に、マップされ得る。
【0186】
図11は、1°の角度間隔おいて180°にわたり楕円1010をスキャニングすることから獲得されるビューデータのサイノグラム1100を図示している。サイノグラムは、ビュー空間におけるビューデータの画像表示である。特に、サイノグラムは、ビュー空間における離散的な座標位置に対して強度の値(例えば、減衰の値、密度の値など)をマップする。サイノグラム1100は、θ軸およびt軸を有し、θは、楕円1010に対するX線デバイスの方向を表し、tは、検知器のアレイに沿った位置を指す。従って、サイノグラム1100は、X線スキャニングデバイスが回転するにつれて、感知器のアレイ1030によって生成される感知信号のグレースケール画像を提供する。
【0187】
特に、サイノグラム1100は、ピクセルのグリッド1150を含み、各ピクセルは、X線デバイスの特定の方向における、アレイ1030内のそれぞれの感知器からの感知信号のサンプルに関連する強度を有する。例えば、ピクセルの第1の列(θ=0)は、X線デバイスの0°の方向においてぶつかる放射線に応答するそれぞれの感知器からのサンプルを示す。結果として、楕円1010の影の中の感知器からの特徴的プロファイルは、図10Aにおいて図示されているスナップショットにおける第9の感知器において、概ね中心となり、サイノグラムにおけるピクセル(9、0)において、概ね中心となる。ピクセルの第2の列は、X線デバイスの1°方向などにおいてぶつかる放射線に応答するそれぞれの感知器からのサンプルを示す。
【0188】
θが増加するにつれて、プロファイル1065の位置は、実質的に180°の方向である中間地点に到達する正弦曲線の一部分を描く。サイノグラム1100の一部分は、スキャンの間のプロファイル1065の位置の正弦曲線推移を図示するために、45°の方向、90°の方向、135°の方向、および180°の方向の付近において図示されている。理解されるべきは、サイノグラム1100において見ることができる正弦曲線トレースは、方程式5において表された(および図12において図示された)関数の(グレースケール画像として表された)離散的概数を提供するということである。従って、モデルに従って、特定のスキャン面またはスライスを透過する血管構造は、スライスと関連するサイノグラムにおけるガウスプロファイルを有する正弦曲線トレースを生成する。サイノグラムにおけるそのような特性正弦曲線の存在を感知することは、構造がスキャンされたときには、関連付けられる構造(例えば、血管の断面)が、存在したということを示し得る。
【0189】
対象のスキャンから獲得されたビューデータは、(シノグラム1100における単一のトレースとは異なり)様々な異なる構造からの正弦曲線トレースを含むことが考えられる。異なる構造と関連付けられる投影情報は、ビュー空間において重ねあわされ得る。図13は、複数の未知の構造を有する対象をスキャニングすることから獲得されるサイノグラムを図示している。サイノグラム1300は、多数の正弦曲線トレースの重ね合わせに起因し、正弦曲線トレースの一部は、関心の構造に対応し得るが、一部は、対応しないことがあり得る。関心の構造を感知するために、関心の構造に特徴的な特徴は、他の構造に対応する情報およびサイノグラムにおいて感知された情報と区別され得る。
【0190】
ガウス強度分布(例えば、ガウス密度分布を有する構造に起因するプロファイル)は、分布のピークにおいて隆起を形成する。例えば、図12におけるピーク1205は、正弦曲線トレースに沿って続く隆起を形成する。同様に、各ガウスプロファイル1065における最も淡いピクセル(すなわち、最も減衰されたX線に対応する)は、隆起点を形成する。従って、隆起の感知は、血管構造から獲得されたビューデータから形成されるサイノグラムにおける隆起点の位置を特定することによって、モデルされた血管構造の断面から生じる特性的な特徴を識別するために実行され得る。
【0191】
隆起点は、画像内の点として定義され得、強度は、主湾曲の方向、すなわち、最も急激な強度の勾配を有する方向における局所的な極値である。例えば、図12における点1215において(およびピーク1205に沿って)、湾曲の主方向は、u0(すなわち、(t、θ)座標フレームにおける単位ベクトル(1、0))によって示される。ピーク1205に沿った各点は、隆起点を形成する。なぜならば、各点は、t軸に沿った(すなわち、ガウスプロファイルに沿った)局所的な最大値であるからである。用語「隆起」は、本明細書において、局所的な最小値と局所的な最大値との両方を記述(すなわち、上記で定義された隆起特性を有する頂上と底との両方を記述)するために使用される。
【0192】
隆起は、サイノグラムにおける局所導関数情報によって特徴付けられ得、かつ、サイノグラムにおける関心の点に関する強度の湾曲を調べることによって感知され得る。一実施形態において、ヘッシアン演算子が、サイノグラムからの湾曲情報を抽出して、隆起点の感知を容易にするために使用される。一般論として、ヘッシアン演算子を適用する目的は、強度の値が、関心のピクセルを取り囲んでいるピクセルにおいて変化する様子に関する情報を集めることである。以下で述べられるように、この情報は、隆起に特徴的なエリアを識別するために使用され得る。2Dにおけるヘッシアン演算子は、
【0193】
【数11】
として表され、
gは、ヘッシアンによって動作されるサイノグラムであり、tおよびθは、サイノグラムの座標軸である。例えば、ヘッシアン演算子は、標的ピクセルと呼ばれるサイノグラム内の各ピクセルまたはピクセルのサブセットにおいて、ヘッシアンマトリクスを計算することによって、サイノグラムに適用され得る。ヘッシアンマトリクスの偏導関数要素は、様々な方法で各標的ピクセルにおいて計算され得る。例えば、ヘッシアンマトリクスは、標的ピクセルのピクセル近傍(例えば、標的ピクセルの隣接近傍の八つのピクセル)に関する違いを適切に計算することによって決定され得る。3x3の近傍ヘッシアンマトリクス要素を使用することは、離散的な導関数マスクの対応する要素に従って、ピクセルの強度を測り、次に、結果を合計することによって、計算され得る。ヘッシアンの偏導関数要素に対する例示的な導関数マスクは、
【0194】
【数12】
および
【0195】
【数13】
である。
標的ピクセルに対応する各マトリクスの中心と、標的ピクセルに隣接する八つのピクセルのそれぞれの強度とは、マスクの対応する要素によって乗算されて、合計される。各マスクからの合計は、ヘッシアンにおける対応する要素を決定する。理解されるべきは、他のサイズの近傍および近傍内のピクセルに対する異なる内挿関数(すなわち、マスクウェート)が、使用され得るということである。なぜならば、離散的な偏導関数を計算することに関連する本発明局面は、特定の方法またはインプリンテーションに限定されないからである。
【0196】
上記のように、ヘッシアンは、サイノグラム内のピクセルにおける局所的な強度の湾曲を記述する。湾曲の主方向は、ヘッシアンを特性成分に分解することによって決定され得る。マトリクスの特性成分を決定する一方法は、マトリクスの固有値および関連する固有ベクトルを決定することである。
【0197】
一般論として、ヘッシアンマトリクスの固有ベクトルは、ヘッシアンが決定される標的ピクセルにおける湾曲の特性方向を示す。以下で述べられるように、湾曲のこれらの特性方向の間の関係は、サイノグラムにおける特性的な隆起を有するエリアを識別するために使用され得る。マトリクスの固有値および関連する固有ベクトルは、様々な方法、例えば、任意の数のマトリクスを対角化する周知の反復方法によって、または関係を直接的に解くことによって、分析的に決定され得る:
【0198】
【数14】
Hは、方程式6のヘッシアンマトリクスであり、uは、マトリクスHの固有ベクトルであり、λは、uと関連付けられる固有値である。ヘッシアンの各固有値の大きさは、関連する固有ベクトルの「有意性」と関連する。言い換えると、固有値は、どのくらい関連する固有ベクトルに沿った湾曲が、ヘッシアンによって決定された局所的な湾曲に対し寄与しているかを示す。従って、ヘッシアンマトリクスの最大の固有値は、湾曲の主方向と関連付けられる。
【0199】
周知であるように、2Dのヘッシアンは、2x2の対称のマトリックスであり、従って、それぞれ線形の独立した固有ベクトルu0およびu1と関連付けられる二つの固有値λ0、λ1を有する(すなわち、固有ベクトルu0およびu1は直交する)。固有値λ0は、本明細書において、最大の絶対値を有する固有値を示し、主固有値と呼ばれる。従って、関連する固有ベクトルu0は、標的ピクセルにおける湾曲の主方向を示し、λ0は、湾曲の大きさと関連する。(副固有値と呼ばれる)固有値λ1は、u1の方向、すなわち、u0によって示される湾曲の主要な方向と直交する方向における湾曲の大きさと関連付けられる。
【0200】
正弦曲線トレースのガウスプロファイルの隆起において、プロファイルに沿った方向における湾曲は、比較的に大きいことが見込まれるが、隆起に沿った方向に直行する湾曲は、比較的に小さいことが見込まれている。従って、隆起点は、大きい主固有値と小さい副固有値を作り出し得る。例えば、見込まれる固有ベクトルu0およびu1は、図12における隆起点1215においてラベル付けされる。u0の方向における湾曲が大きいので、λ0の大きさもまた、大きいことが見込まれている。同様に、強度分布は、正弦曲線トレースに沿って、実質的に均一であることが見込まれるので、u1の方向における湾曲は、論理的にはゼロであり、λ1の大きさは、実質的にゼロであることが見込まれる。λ0とλ1との値およびλ0とλ1との間の関係は、ヘッシアンが計算され得る各標的ピクセルが、隆起点における特徴を有するかどうかを決定するために使用され得る。つまり、隆起点は、固有値を分析することによって感知され得るλ0とλ1との値および/またはλ0とλ1との間の関係によって表される局所的な湾曲特徴を有し得る。
【0201】
一実施形態において、標的ピクセルは、標的ピクセルにおけるヘッシアンの固有値に関する所定の基準に基づいて、考えられる隆起点として識別され得る。例えば、閾値は、考えられる隆起点として、閾値を超える主固有値を有する標的ピクセルのみを選択するために、λ0の大きさに適用され得る。さらに、または代替的に、λ1の大きさに対するλ0の大きさの割合は、閾値を超える割合が、サイノグラムにおける隆起点からもたらされると考えられるように、閾値となることがあり得る。
【0202】
λ0の正負はまた、誤った極値(すなわち、局所的な最小値対局所的な最大値)によって特徴付けられる隆起を除外するために使用され得る。例えば、図11に示されているようにサイノグラムのグレイレベルのスキームは、明るいピクセルによって高い光線減衰を表す(高いグレイレベルの値)場合には、負のλ0をもたらす点は、無視され得る(すなわち、値は、頂上よりも底を示す)。同様に、グレイレベルのスキームが、低いグレイレベルの値によって高い光の減衰を示す場合には、正のλ0をもたらす点は、無視され得る。固有値および/または固有ベクトルを評価するための他の基準が使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点に関して限定されないからである。
【0203】
従って、隆起の感知は、サイノグラムにおける標的点に関して局所的な湾曲特性を評価することによって、隆起点を選択するために適用され得る。識別された隆起点は、関心の対象の対応するスライスにおけるシリンダ状の構造の断面(例えば、血管の断面)に特徴的なガウスプロファイルの存在を示し得る。理解されるべきは、そのような隆起点は、ガウス密度分布の中心の位置、例えば、血管の断面の中心からビュー空間における位置に抽出されるということである。従って、サイノグラムにおける感知された隆起点の位置は、サイノグラムが獲得されるスライスの対応する断面におけるシリンダ状の部分の中心の位置を仮定するために使用され得る。
【0204】
感知された隆起点は、仮定において使用するシリンダ状のプリミティブの数および各シリンダ状のプリミティブのシリンダ状の軸の位置を決定するために、ビュー空間(すなわち、サイノグラムの座標フレーム(θ、t))から、モデル空間(すなわち、モデルの座標フレーム(x、y、z))に変換され得る。血管に特徴的な正弦曲線トレースは、様々な感知された隆起点、例えば、実質的にトレースの中心に沿ってたどる隆起点の正弦曲線(例えば、サイノグラムにおいて見ることができる正弦曲線トレースに沿ったプロファイル1065における最も明るいピクセルのそれぞれ)を生成し得る。しかしながら、特定の正弦曲線トレースの本当の隆起点の多くは、とりわけスキャンの間に、血管構造を閉塞、または部分的に閉塞した構造に対応するサイノグラムにおける他の情報では感知され得ない。さらに、閾値技術(上記のような閾値)に関してよくあることであるが、一部の誤った正の隆起点が感知され得る。
【0205】
同じ正弦曲線トレースの一部分である各隆起点は、同じ楕円の中心と関連付けられる。言い換えると、ビュー空間における同じ正弦曲線における各隆起点(θi、ti)は、モデル空間における同じ点(xi、yi)に変換される。各特性正弦曲線トレースは、対応する血管の断面によって生成されると想定されるので、隆起点(すなわち、ガウス分布のピーク)は、楕円の断面に対応する。従って、スキャン面と交差するシリンダ状の部分のシリンダの軸の位置は、同じ正弦曲線トレースの隆起点の変換された位置に対応する。
【0206】
正弦曲線トレースの形状は、対象空間内の対応する構造の位置に関する情報を含み得る。例えば、図10A〜図10Cにおける楕円1010が、中心点1035に直接的におかれた場合には、楕円は、結果のサイノグラムにおいて実質的に水平な線をたどる(すなわち、大きさゼロである正弦曲線トレース)プロファイルを生成する。なぜならば、楕円は、デバイスの方向とは無関係である同じ感知器上に影を投じるからである。中心点1035からの楕円1010の距離が、増加する場合には、対応する正弦曲線トレースの大きさもまた増加する。プロファイルの位置の多様性は、中心1035からの楕円の距離に関連する。従って、対象空間(従ってモデル空間)における構造の位置は、下記の方法においてビュー空間における対応する正弦曲線トレースの特性を調べることによって、決定され得る。
【0207】
ビュー空間における正弦曲線トレースの特性から対象空間の位置を決定する実施例が、図14において示される例示的で概略的なシノグラム1400を参照にして述べられ、該図14は、未知の構造に起因するビュー空間において重ねられた多数の正弦曲線トレースを有する。隆起の感知は、(θ0、t0)におけるピクセルを、正弦曲線トレース1410の隆起点として識別するために上記のように、シノグラム1400に適用され得る。点(θ0、t0)において、正弦曲線1410の傾斜は、τ0によって与えられ、正弦曲線トレースの形状を部分的に記述する。対象空間またはモデル空間における点(xi、yi)によって生成されるビュー空間における正弦曲線トレースは、下式を満たすということが、ランドン変換から公知である:
【0208】
【数15】
二つの連立方程式を獲得するために、方程式9はθに関して微分され得、下式となる:
【0209】
【数16】
図14における(θ0、t0)において図示される関係
【0210】
【数17】
を使用することによって、τは、方程式10に代入され、下式となる:
【0211】
【数18】
τは、以下で述べられるように決定され得るので、方程式9および方程式11が、二つの未知の値(すなわち、xi、yi)に関する二つの方程式を提供する。点(θ0、t0)における点(xi、yi)に関して解くことは、二つの下式となる。
【0212】
【数19】
従って、(θ0、t0)における正弦曲線トレースτ0の傾斜が、既知であるか、または決定され得る場合には、ビュー空間における点(θ0、t0)は、対象空間における点(xi、yi)に変換され得る。点(θ、t)における傾斜とは、様々な方法で計算され得る。例えば、傾斜τは、隆起部分を形成するように、隣接する感知された隆起点に接続することによって、計算され得る。しかしながら、上記のように、隆起の感知は、感知された隆起点を正しい隆起部分に接続する試みを阻み得る多数の誤った隆起点を選択し得る。非最大値の除去は、図15A〜図15Cにおいて図示されているような誤った隆起点を削除するために使用され得る。
【0213】
図15Aは、サイノグラムの10X10ピクセルの画像部分を図示している。例えば、画像部分1500は、点(θ0、t0)の周辺におけるサイノグラム1410の一部分であり得る。陰がつけられたピクセルは、隆起感知の間に、考えられる隆起点として選択された点を示す。例えば、陰がつけられたピクセルのそれぞれは、ある所定の基準と合う固有値を有するヘッシアンを生成し得る。上記のように、隆起点は、主湾曲の方向における局所的な最大値である。従って、局所的な最大値ではない強度を有する各ピクセルは、削除され得る。図15Bにおける影がつけられたピクセルは、θ軸に関して計算された局所的な最大値を図示している。
【0214】
非最大値の除去の方向における二つの隣接するピクセルが、同じ局所的な最大値である強度を有する場合には、最も真直ぐな線を生成するピクセルが選択され得る。例えば、図15Bにおけるより濃く陰がつけられたピクセルにおいて、二つ以上の隣接するピクセルは、隆起部分にあるとして選択され得る。(実線の部分によって示されている)最も真直ぐな経路を形成するピクセルは、(点線によって示されている)あまり真直ぐではない経路を形成するピクセルよりも選択され得る。図15Cにおける陰のつけられたピクセルは、局所的な画像部分1500における結果としての隆起部分を図示している。隆起部分におけるピクセルを接続する最良の適合線の傾斜は、隆起部分における隆起点のそれぞれにおいて、τ(例えば、隆起点(θ0、t0)におけるτ0)として使用され得る。
【0215】
傾斜τはまた、標的の隆起点の局所的近傍における選択された隆起点を接続する線の傾斜を取ること(例えば、前の隣接する隆起点と次の隣接する隆起点とを接続する標的隆起点を通過するラインによって、傾斜を評価すること)によって、各標的の隆起点において、個々に計算され得る。感知された長い隆起部分において、局所的な傾斜は、任意の所定の標的隆起点における正弦曲線トレースの本当の傾斜のより正確な決定を提供し得る。図15A〜図15Cにおいて、非最大値の除去は、θ軸に沿って適用された。しかしながら、非最大値の除去は、任意の方向(例えば、標的隆起点において計算されたヘッシアンの主固有ベクトルの方向)において、適用され得る。代替的に、傾斜τは、副固有ベクトルu1に従って、各隆起点において決定され得る。図12において示されているように、固有ベクトルu1は、正弦曲線トレースに沿った方向を指し得、かつ、上記の変換方程式において傾斜τを計算するために使用され得る。
【0216】
上記のように、隆起感知の間に識別された各隆起点は、モデル空間における座標位置に変換され得る。この変換された位置は、楕円の断面の仮定された中心に対応し、次に、該仮定された中心は、シリンダ状のプリミティブの軸が、関連するスライスの面(例えば、図9における位置903a〜903c)と交差するモデル空間の位置を示す。上記のように、単一の正弦曲線トレースにある各隆起点は、モデル空間における同じ座標位置に変換されるはずである。しかしながら、計算における不正確性(例えば、離散的な偏導関数の計算、接線および/または傾斜の計算など)における不正確性は、特定の変換された座標を、本当のモデル空間の位置から偏らせる。しかしながら、同じ正弦曲線トレースの複数の隆起点から変換された位置は、概ねフォーカスされたエリアに集中することが期待され得る。位置は、任意の適切な方法でこの局所的な集中から選択され得る。例えば、ヒストグラムが、感知された隆起点のそれぞれから変換された位置から形成され得る。各隆起点は、モデル空間における位置に関して、有効に票を投じる。
【0217】
一実施形態において、ヒストグラムは、モデル空間をグリッドに離散化することによって形成され得る。次に、各変換された隆起点は、グリッド内の最も近い位置に束ねられる。次に、結果のヒストグラムにおける情報は、モデルを構成するために使用されるシリンダ状のプリミティブの数と、各プリミティブの位置(すなわち、対応するスライス面との交差におけるシリンダ状のプリミティブの長手方向の軸の位置)との両方を決定するために使用され得る。例えば、シリンダ状のプリミティブは、ヒストグラムにおける局所的な最大値またはピークのそれぞれに対して、シリンダ状の網状組織のモデルに追加され得る。各追加されたプリミティブのシリンダ状の軸の位置は、ヒストグラムにおけるピークに対応するグリッドにおける座標位置に対応するように初期化され得る。
【0218】
所与のスライスに交差するシリンダ状のプリミティブの数および位置(すなわち、パラメータxi、yi)を決定することによって、モデルを最適化する組合せの複雑さは、著しく低減される。上記のように、シリンダ状の部分に対するパラメータは、シリンダ状の網状組織モデルにおける部分のそれぞれに対するxi、yi、φi、およびriを含み得る。決定されたプリミティブのそれぞれに対する構成における残りのモデルのパラメータ(例えば、φi、γiおよびri)は、任意の適切な方法(例えば、関心の対象内の構造に関する先験的な知識に基づいて、各パラメータに対する均一の分布を採択することによって、など)で選択され得る。例えば、シリンダ状のプリミティブの半径は、対象内の血管サイズの知識に基づいてか、または特定の関心の特定の血管サイズに基づいて選択され得る。
【0219】
いったん、モデルが構成されると、モデルのモデルビューデータは、構成されたモデルのランドン変換を取ることによって生成され得る。次に、モデルビューデータは、どの程度正確に、構成が、対象ビューデータをもたらす構造を記述している評価基準を獲得するために、対象ビューデータ(すなわち、X線スキャニングプロセスから獲得されるビューデータ)と比較される。次に、構成は、モデルビューデータが対象ビューデータを充分に記述するまで、更新され得る。構成を更新することは、任意の適切な最適化技術を使用して実行され得る。次に、最適化された構成は、スキャンされた対象内の関心の構造の記述として使用され得る。
【0220】
一実施形態において、最初のモデル構成の最適化は、モデル構成の最初の仮定における使用のための観察されたビューデータから、残りのパラメータ(例えば、シリンダに関する半径および方向)のうちの一つ以上の値を決定することによって、さらに改善され得る。一実施形態において、感知された隆起点に対して局所的であるグレースケール面の特性は、シリンダ状の網状組織モデルを含むシリンダ状のプリミティブのうちの一つ以上の半径を決定するために使用される。隆起に関するグレースケール分布は、関連する構造の半径を決定するために分析され得る。特に、シリンダ状の断面の半径が増加するにつれて、ガウス密度分布の標準的な偏差(すなわち、図8Bにおけるsによって示されるような変
曲位置におけるガウス曲線の半分の幅)も増加する。ガウス密度分布の分散が増加するにつれ、密度分布の投影のガウスプロファイルの成分の分散(すなわち、サイノグラムにおけるガウスプロファイルの幅)も増加する。ガウス分布の標準偏差(すなわち、分散の平方根)は、半径の概数を提供し得、
【0221】
【数20】
として表され、
gは、感知された隆起点において評価される(すなわち、方程式13は、隆起点に関する強度分布の適切な離散的導関数を取ることによって適用され得る)。感知された隆起点に対して局所的なグレースケール面を評価する他の方法がまた、使用され得る。なぜならば、最初の半径評価を決定することに関連する本発明の局面は、どのような特定のインプリメンテーション技術にも限定されないからである。例えば、各隆起点に関する湾曲の主方向(すなわち、ベクトルu0)に沿った方向における強度分布の変曲点への距離は、モデルにおける各シリンダ状の部分の直径に関する最初の値を評価するために決定され得る。従って、一実施形態において、半径パラメータに関する値(すなわち、ri)は、ビューデータ内の情報から決定され得る。
【0222】
各シリンダ状のプリミティブの方向はまた、結果をさらに改善し、最適化を拘束するために、サイノグラムから獲得された情報に基づいて、一つ以上の値を割り当てられ得る。シリンダ状のプリミティブの長手方向の軸の方向は、所与のスライスにおける楕円の断面の偏心率に関連する。図9において示されているように、シリンダの長手方向の軸とスライスの面との間の角度か、小さくなればなるほど、偏心率は大きくなる。一極値において、シリンダ状の軸は、90度の角度で交差し、偏心率ゼロである楕円(すなわち、円)となる。他の極値において、シリンダ状の軸は、面と平行であり、偏心率が無限大に近づく線となる。一実施形態において、偏心率は、モデル構成における各シリンダ状の部分の方向に対する最初の値を評価するために、任意の適切な技術を使用して、サイノグラムにおけるグレースケール分布の特性から計算され得る。
【0223】
別の実施形態において、複数のスライスにわたる情報(すなわち、3D情報)は、図16Aおよび16Bを参照して記述された方法で決定するために使用され得る。図16Aにおいて、位置1610aおよび1620aは、例えば、スライスのサイノグラムにおける隆起点を感知および変換することによって、スライス1600aにおける楕円の断面の中心として感知される。同様に、位置1610bおよび1620bは、別のスライス1600bにおける楕円の断面の中心として感知される。楕円の中心が、一つのスライスにおいて感知される場合には、スキャンの複数のスライスを介したシリンダ状の構造の透過を説明するように、対応する楕円の中心が、付近のスライスにあることが見込まれ得る。シリンダ状の構造の方向は、対応する楕円の中心の位置に関する変化から評価され得る。
【0224】
各シリンダ状のプリミティブの方向は、連続するスライスにおける感知された位置間の最も良い適合を選ぶことによって、計算され得る。例えば、その次のスライスにおける感知された位置への最も短いベクトル距離を有する感知された位置が、同じシリンダ状のプリミティブに含まれるように決定され得る。図16Aにおいて、位置1610aは、位置1610bと対にされ得る。なぜならば、位置1610aからスライス1600bにおけるその他任意の感知された位置へのベクトルは、ベクトル1615aの大きさを下回る大きさを有さないからである。同様に、位置1620aは、1620bと対にされ得る。対にされた位置を接続するベクトルの方向は、関連するシリンダ状のプリミティブの方向を決定し得る。
【0225】
図16Aにおける最短ベクトル方法を使用して、位置1610a’は位置1620b’と間違って関連付けられ得、位置1620a’は位置1610b’と間違って関連付けられ得る。この状況を避けるために、図16Bを参照する記述された別の実施形態において、追加的なスライスにおける情報が使用され得る。例えば、1610a’と1620b’との間の関連は、スライス1600c’における情報に対してチェックされ得る。ベクトル1615a’および1625a’の延長は、楕円の中心が感知されない位置につながるので、第1の例でなされた想定は、グローバルな最適合、例えば位置1610a’〜1610c’のグルーピングおよび位置1620a’〜1620c’のグルーピングを選ぶようにペナルティを課され得る。
【0226】
任意の数のスライスにおける感知された位置は共に分析され得て、モデル構成における様々なシリンダ状のプリミティブの方向を決定する。例えば、一群のN個のスライスにおける情報は一緒に考えられて、例えば最適化、回帰および/または統計的なスキームを拘束して、N個のスライスにおける感知された位置の最適合グルーピングを決定する。様々なスライスを通って楕円形の断面をたどることによって、特定のシリンダがいつ最初にスライスに現れ、いつ終わるかが決定され得る。この情報は、各シリンダの部分の長さliを決定するために使用され得る。シリンダ状のプリミティブの方向は、観察されたビューデータから決定され得て、モデルの初期の構成のより正確な仮定を容易にする。
【0227】
図7A(すなわち、xi,νi,Φi,νiおよびri)におけるシリンダ状の部分のモデルパラメータの1つのまたは任意の組み合わせは、ビューデータから獲得された情報に基づいて構成され得、従って、初期の構成が根底の構造に近く、続く最適化がモデル構造に近く収束する確率が増加することは理解されるべきである。
【0228】
本明細書に記述された様々な実施形態の方法で動作されたビューデータは、所与のX線スキャニングデバイスが生成し得る最大の解像度であることは理解されるべきである。例えば、様々な要素、例えばX線スキャニングデバイスにおける感知器の数(または感知器アレイのサンプリング率)、データが獲得される角度間隔その他が、ビューデータの解像度を制限する。上に論議されたように、ビューデータの解像度は、データから再構成された画像の解像度を上回る。例えば、ビューデータの解像度は、再構成された画像データの解像度の5倍以上に達し得る。従って、ビューデータに対して直接的に動作することによって、本発明の様々な局面が、従来の再構成画像に適用される感知方法によって利用可能な解像度よりもさらに高い解像度で、構造の感知を容易にし得る。
【0229】
本明細書に記述された本発明の異なった局面、実施形態、または行為の各々が、多くの方法のうちの任意のもので独立的にインプリメントされ得る。例えば、各局面、実施形態または行為が、ハードウエア、ソフトウエアまたはそれらの組み合わせを使用して独立的にインプリメントされ得る。ソフトウエアにおいてインプリメントされるとき、ソフトウエアコードは、単一のコンピュータに提供されようとまたは複数のコンピュータの間で分配されようと、任意の好適なプロセッサまたは一団のプロセッサで遂行され得る。上記の機能を実行する任意のコンポーネントまたは一団のコンポーネントは、上に論議された機能を制御する1つ以上のコントローラとして一般的に考えられ得ることは理解されるべきである。該1つ以上のコントローラは、多くの方法で、例えば専用のハードウエアで、または上に列挙された機能を実行するためのマイクロコードまたはソフトウエアを使用してプログラムされる汎用ハードウエア(例えば1つ以上のプロセッサ)でインプリメントされ得る。
【0230】
この点で、本発明の実施形態の1つのインプリメンテーションは、コンピュータプログラム(すなわち、複数の命令)で符号化された少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、コンピュータメモリ、フロッピィーディスク、コンパクトディスク、テープその他)を備え、このコンピュータプログラムは、プロセッサで遂行されたとき、上に論議された本発明の機能のうちの1つ以上を実行することは理解されるべきである。該コンピュータ読み取り可能な媒体は、移送可能であり得ることにより、そこに格納されたプログラムは任意のコンピュータシステムリソースにロードされ得、本明細書に論議された本発明の1つ以上の機能をインプリメントする。さらに、遂行されたとき上に論議された機能を実行するコンピュータプログラムへの参照は、ホストコンピュータで運営されるアプリケーションプログラムに限定されないことは理解されるべきである。むしろ、コンピュータプログラムという用語は、上に論議された本発明の局面をインプリメントするためにプロセッサをプログラムするために使用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えばソフトウエアまたはマイクロコード)を指すように、一般的な意味で本明細書では使用される。
【0231】
プロセスがコンピュータ読み取り可能な媒体でインプリメントされる本発明のいくつかの実施形態に従って、コンピュータでインプリメントされたプロセスは、その遂行の途上で、入力を手動で(例えばユーザから)受信し得ることは理解されるべきである。
【0232】
このように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの局面が記述されたが、様々な変更、修正、および改良が容易に当業者には想起されることは理解されるべきである。そのような変更、修正および改良は、本発明の精神および範囲の内にあることが意図されている。従って、前記の記述および図面は、単に例としてである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2004年12月22日を出願日とし、「Method and Apparatus for Analyzing Internal Body Structure」と題し、その全容が参考として本明細書に援用されている米国特許仮出願第60/639196号からの35U.S.C.§119(e)のもとで優先権を主張する。
【0002】
本発明の局面は、動物における診断上のおよび治療上の用途のための画像を分析することに関する。特に、本発明の局面は画像を分析して、病気を感知し、モニタリングし、および/または治療するために、ならびに/または新しい治療法を評価し妥当性を確認するために、動物の体における構造的特徴を識別することに関する。
【背景技術】
【0003】
広く様々な画像化方法およびデバイスが、さまざまな医療および研究環境のなかで異なる解剖学上のおよび生理学上の条件を評価するために普通使用されている。道具が、異なる肉体的特性に基づいて体構造を画像化するために開発されている。例えば、X線、CTスキャン、MRI、PETスキャン、IR分析および他の技術が、様々な体構造の画像を獲得するために開発されている。これらの道具は、診断上の、治療上のおよび研究上の用途に型どおりに使用されている。2つ以上の異なる画像化技術の組み合わせが、患者に関する補完的な情報を提供するために使用されることが時々ある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の局面は、生きた人間および他の動物におけるインサイチュでの体内部構造に対して獲得されたデータを分析することに関する。本発明の局面は、任意の好適な画像ソースから獲得されたデータを分析して、異なるサイズの管状構造に関連する1つ以上のパターン(例えば、微小血管の構造パターン)を識別するために使用され得る。構造パターンの1つ以上のパラメータが、(発病に関する条件を含んで)異なる生物学的条件およびプロセスに対するバイオマーカーとして使用され得る。従って、本発明の局面は、病気感知、診断、等級付け、段階付け、病気モニタリング、治療法の効果のモニタリング、および病気または他の生理学的な条件と関連し得るかまたは相互に関係し得るパターンを識別するための、インサイチュ構造の分析に基づいた診療的用途に関する。本発明に従って、パターンは1つ以上の異なるパラメータを含み得る。パラメータは、個々の管状構造の1つ以上の構造的特徴、および/または1つ以上の管状構造の1つ以上の分布特性(例えば空間的な分布、空間的な方位、頻度、数その他、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、および/または被検体内のもしくは被検体における関心の領域内の1つ以上の個々の管状構造の特徴の1つ以上の分布特性(例えば空間的な分布、空間的な方位、頻度、数その他、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。従って、血管系のパターンは、個別の血管(例えば微小血管)の1つ以上の構造的特徴、被検体内の1つ以上の血管(例えば微小血管)の分布、1つ以上の個別血管の構造的特徴の分布(例えば個別微小血管の構造的特徴)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。個別血管の構造的特徴は、管の捻れ、湾曲、分枝(例えば頻度、角度、階層その他)、直径、方向その他、または分析される血管の所定の長さにわたるこれらの特徴のうちのいずれかの任意の変化(例えば変動もしくは頻度)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。血管の分布または個別血管の構造的特徴は、血管密度、血管方向の分布、血管直径の分布、血管間の距離の分布、血管の空間的な方位の分布(例えば互いに対して)、血管湾曲度の分布、本明細書に記述された任意の他の個別血管の構造的特徴の分布、血管パラメータの他の分布またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含み得るがこれに限定されない。血管の分布または血管の構造的特徴は、被検体内(例えば被検体内の組織の標的ボリューム)のまたは被検体内のもしくは被検体全体にわたっての所定の組織または臓器内の所定の領域に対して決定され、かつ/または分析され得ることは理解されるべきである。分析される所定のボリューム内に、血管または個別血管の構造的特徴が存在するか存在しないかのいずれかは、本発明の分析的方法において使用され得るパターンパラメータであり得ることも理解されるべきである。1つ以上のパターンパラメータが、時間の関数として、モニタリングされかつ/または分析され得ることも理解されるべきである。従って、血管パターンは異なる生物学的条件およびプロセス(発病に関する条件を含む)に対するバイオマーカーとして使用され得る。従って、本発明の局面は、病気感知、診断、等級付け、段階付け、病気モニタリング、治療法の効果のモニタリング、ならびに生きた人間および他の動物における血管系形態組織および/または構成を含んでインサイチュでの血管系パターンの分析に基づく診療的用途に関する。一実施形態において、インビボ密度、および/または直径分布、および/または血管の幾何学的な方位(例えば微小血管)は、病気の感知、モニタリング、および/または診療的用途に対して分析され、定量化され、かつ/または評価され得る。一実施形態において、病気診断の感度および特異性が、インビボ血管系形態組織および/または組織病変と関連する構成を分析かつ評価することによって高められる。従って、本発明の局面は、血管のある異常な構造またはパターンと関連した病気のインビボの徴候を感知することを含む。他の局面は病気診断、段階付け、等級付け、モニタリングおよび予後、患者の治療、薬品開発および妥当性の確認、ならびに研究用途を含む。
【0005】
本発明による一実施形態は、血管の幾何学的な特徴を分析し、かつ1つ以上の特徴を生物学的なプロセス、状態、または病気と相互に関連させる方法を含む。従って、血管の特定の幾何学的な特徴が、特殊な生物学的プロセス、状態、および/または病気を示すバイオマーカーとして使用され得る。
【0006】
本発明による一実施形態は、1つ以上のインサイチュ、インビボ体内の体構造に対して獲得されたデータを自動的に分析して、それらが病気の特徴を提示するかどうかを決定することによる自動病気感知またはモニタリングの方法を含む。本発明による一実施形態は、血管系の正常な形状、サイズ、および/または組成を変える病気の徴候を自動的に感知するために生きた人間または他の動物におけるインサイチュ血管系パターンに関係するデータを自動的に分析する方法を含む。別の実施形態は、血管のパターンにおける変化と関連した病気の進行を自動的にモニタリングする方法を含む。別の実施形態は、血管のパターンにおける変化と関連した病気の治療法の効果を自動的にモニタリングする方法を含む。従って、一実施形態において、本発明の局面は血管形成と関連する腫瘍を感知し、診断し、段階付けし、等級付けし、モニタリングしかつ治療する方法に関する。
【0007】
本発明による一実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、または評価する方法であって、該方法は、生きた被検体に対する少なくとも1つのインサイチュでの血管系パターン(例えば構造)の分割された表示を得、かつインサイチュでの血管系パターン(例えば構造)から、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)の有無に関する情報を収集するコンピュータでインプリメントされる行為を包含する。
【0008】
本発明による別の実施形態は、生きた人間の被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、または評価する方法であって、該方法は、生きた人間の被検体における500ミクロンよりも小さい直径を有する血管系のインサイチュでのパターン(例えば、500ミクロンより小さい直径を有するインサイチュでの少なくとも1つの血管の少なくとも1つの構造的特徴)を分析し、かつ該パターン(例えばインサイチュでの構造上の少なくとも1つの特徴)が病気または状態(例えば血管形成)を示すかどうかを決定することを含み、該パターン(例えば構造上の特徴)は、1つ以上の行の感知要素を有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される。
【0009】
本発明による別の実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)を感知し、かつ評価する方法であって、該方法は、生きた人間の被検体における50ミクロンよりも小さい直径を有する血管系のインサイチュでのパターン(例えば、50ミクロンより小さい直径を有するインサイチュでの少なくとも1つの血管の少なくとも1つの構造的特徴)を分析し、かつ該パターン(例えばインサイチュでの構造上の少なくとも1つの特徴)が病気または状態(例えば血管形成)を示すかどうかを決定することを含み、該パターン(例えば構造上の特徴)は、1つ以上の平面パネルディテクタを有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される。
【0010】
本発明による別の実施形態は、癌の存在に対して被検体をスクリーニングする方法であって、該方法は、生きた被検体に対するインサイチュでの血管系パターン(例えばインサイチュでの少なくとも1つの血管系構造の)の分割された表示を獲得して、該パターンに関連する第1のスコアを生成し、かつ該第1のスコアを基準スコアと比較することを含み、該第1のスコアが、該基準スコアと異なる場合は、被検体は癌の少なくとも1つの徴候を有するとして識別される、コンピュータでインプリメントされた行為を含む。
【0011】
本発明による別の実施形態は、生きた被検体における病気または状態(例えば血管形成)をモニタリングする方法であって、該方法は、第1の時点で生きた被検体に対して獲得された第1の構造データを処理して、生きた被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第1の構造的特徴またはパターンを第1の構造データから識別し、第2の時点で生きた被検体に対して獲得された第2の構造データを処理して、被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第2の構造的特徴またはパターンを第2の構造データから識別し、かつ第1および第2の構造的特徴またはパターンを比較して、病気または状態(例えば血管形成)の特徴であり得る血管系特徴が第1および第2の時点の間で変化したかどうかを決定する、コンピュータでインプリメントされた行為を包含する。
【0012】
本発明による別の実施形態は、患者における治療法に対して標的領域を識別する方法であって、該方法は、分割された表示を分析して、病気または状態(例えば血管形成)の特徴である少なくとも1つのインサイチュ血管系特徴またはパターンを識別し、かつ病気または状態(例えば血管形成)の特徴である血管系特徴またはパターンを含むインサイチュ領域を、治療法に対する標的領域として識別する、コンピュータでインプリメントされる行為を含む。従って、発明の局面は、被検体における放射線治療および画像誘導治療に対する境界を規定するための方法を含む。
【0013】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得し、構造データを処理し、少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造的特徴またはパターンの分割された表示を生成することのできる遠隔プロセッサへ構造データを送信し、分割された表示を分析して構造情報を獲得し、遠隔プロセッサから構造情報を受信することを含み、構造情報は、少なくとも1つの体領域において病気または状態(例えば血管形成)の確率の指示を提供する。
【0014】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信し、構造データを処理して少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造的特徴またはパターンの分割された表示を生成し、該分割された表示を分析して構造情報を獲得し、かつ遠隔の場所へ構造情報を配信することを含み、構造情報は、少なくとも1つの体領域において病気または状態(例えば血管形成)の確率の指示を提供する。
【0015】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得し、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の病気または状態(例えば早期段階の血管形成)を示す構造的血管系特徴またはパターンを識別することのできる遠隔プロセッサへ構造データを送信し、分割された表示を遠隔プロセッサから受信する行為を包含する。
【0016】
本発明による別の実施形態は、被検体における病気または状態(例えば血管形成)を評価する方法であって、該方法は、生きた被検体における少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信し、構造データを処理して、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の病気または状態(例えば早期段階の血管形成)を示す構造的血管系特徴またはパターンを識別し、かつ分割された表示を遠隔の場所へ配信する行為を包含する。
【0017】
一実施形態において、本発明の局面は、構造的表示は分析のために遠隔の場所に送信され、出力が遠隔の場所から受信される(例えば構造的特徴、パターンその他についてのスコア、情報)方法を含むことは理解されるべきである。同様に、別の実施形態において、構造についての表示は、遠隔の場所から受信され得、分析され、かつ出力が遠隔の場所へ戻される。これらの実施形態において、構造についての表示は、分割された表示であり得る。あるいは、構造についての表示は、その場所でまたは遠隔の場所で分割され得る(例えば、送信または受信される前にまたは後に)。
【0018】
従って、本発明の局面は、方法の一部として生成されることなく受信されまたは獲得され得る既存の表示に対して分析が実行される方法を含む。加えて、本発明の局面は、表示が、方法の一部である構造データを獲得するためのスキャニングの行為なく現存する構造データに基づいて生成される方法を含む。一実施形態において、本発明の局面は、1つ以上の格納されたまたはアーカイブされた表示、構造データセット、またはそれらの組み合わせについての情報にアクセスし、または受信することを含む(例えば、医療画像通信データベースに格納されたCTデータセットまたは他のデータセット)。
【0019】
添付の図面は、一定の尺度に従って描かれるようには意図されていない。図面において、様々な姿で図示されている同一のまたはほとんど同一のコンポーネント各々は、同様な数字で表示されている。明確さの目的で、必ずしも全てのコンポーネントが全ての図面においてラベル表示されてはいない。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
動物におけるインサイチュ微小血管を自動的に分析する、コンピュータでインプリメントされた方法であって、該方法は、
動物におけるインサイチュ微小血管系と関連する少なくとも1つの構造パラメータを決定することと、
該構造パラメータは、少なくとも1つの生理学上のインディシアと関連するかどうかを決定することと
を包含する、方法。
(項目2)
前記微小血管系は、直径が1mmより小さい微小血管を備え、前記動物は人間である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記微小血管系は、直径が200ミクロンより小さい微小血管を備え、前記動物は小さな哺乳類であり、該小さな哺乳類はウサギ、マウス、ラット、または他の小さな哺乳類である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記生理学上の徴候は、病気の感知、病気の診断、病気の段階付け、または治療モニタリングに対して使用される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記病気は癌である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記病気は、心臓病、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性心筋虚血後の再血管形成、末梢血管疾患、血栓塞栓症、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症、跛行、リウマチ性疾患、関節炎、免疫性疾患、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、全身性狼瘡紅班(SLE)、肺/呼吸器系疾患、気腫、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、骨髄腫、血管増殖性疾患、胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、婦人疾患、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)、子宮頸ガン、子宮頸形成異常、皮膚疾患、小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)、眼疾患、
黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症)、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、虚血、肢虚血、心虚血、アルツハイマー病、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO))、虚血性潰瘍、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、またはケロイドである、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管の直径、血管樹形分枝長さ、血管直径における多様性、血管の湾曲度、前記微小血管の分枝密度、標的ボリュームにおける血管密度、標的ボリュームにおける血管分枝密度、標的ボリューム内の微小血管直径分布、またはその組み合わせの評価基準である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記インサイチュ微小血管系の一部分が分析される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記一部分は少なくとも1mmの長さを有する、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記長さは、少なくとも5mmである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記長さは、少なくとも50mmである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記長さは、少なくとも1cmである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記長さは、少なくとも5cmである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記長さは、少なくとも50cmである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記長さは、少なくとも1mである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記微小血管系を備えるインサイチュボリュームが分析される、項目1に記載の方法。
(項目17)
複数の微小血管の少なくとも1つの構造パラメータは、前記ボリューム内で分析される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ボリュームは少なくとも1mm3である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記ボリュームは少なくとも1cm3である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ボリュームは、臓器またはその一部分である、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記ボリュームは、前記動物の体全体である、項目17に記載の方法。
(項目22)
血管系パターンが、前記ボリュームに対して分析される、項目16に記載の方法。
(項目23)
被検体における病気、または病気の1つ以上の徴候の存在の有無を決定する方法であって、該方法は、
被検体における少なくとも1つのインサイチュ管状構造を分析することと、
該インサイチュ管状構造分析から、該被検体における病気のまたは該病気の1つ以上の徴候の存在の有無を決定することと
のコンピュータでインプリメントされた行為または自動的な行為を包含する、方法。
(項目24)
前記少なくとも1つのインサイチュ管状構造は、3次元の血管構造である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記血管構造の少なくとも1つの構造パラメータが決定され、該少なくとも1つの構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管の直径、血管樹形分枝長さ、管直径における多様性、管の湾曲度、前記微小血管の分枝密度、標的ボリュームにおける血管密度、標的ボリュームにおける血管分枝密度、標的ボリューム内の微小血管直径分布、またはその組み合わせの評価基準である、項目24に記載の方法。
(項目26)
インサイチュ血管系構造が、病気と関連している確率を示すスコアを生成することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を、病気におかされていない血管系の特徴を示す既知の構造パラメータと比較することによって生成される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記スコアを基準スコアと比較することをさらに包含する、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記構造パラメータは、CTスキャン、スパイラルCTスキャン、MRI、回転デジタルX線スキャン、1つ以上の平面パネルディテクタを有する回転X線スキャナを使用するスキャン、1行以上のディテクタ要素を有するTomosynhesisスキャナを使用するスキャン、PETスキャン、機能的なMRI、または1行以上のディテクタ要素を有するCTスキャナ、またはそれらの組み合わせから獲得されたデータを使用して感知される、項目23に記載の方法。
(項目30)
前記病気は、心臓病、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性心筋虚血後の再血管形成、末梢血管疾患、血栓塞栓症、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症、跛行、リウマチ性疾患、関節炎、免疫性疾患、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、全身性狼瘡紅班(SLE)、肺/呼吸器系疾患、気腫、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、骨髄腫、血管増殖性疾患、胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、婦人疾患、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)、子宮頸ガン、子宮頸形成異常、皮膚疾患、小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)、眼疾患、
黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症)、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、虚血、肢虚血、心虚血、アルツハイマー病、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO))、虚血性潰瘍、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、またはケロイドである、項目23に記載の方法。
(項目31)
生きた被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体に対して、少なくとも1つのインサイチュ血管系構造の分割された表示を
獲得することと、
該インサイチュ血管系構造から、生きた被検体における血管形成の存在の有無に関する情報を収集することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目32)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造は、3次元の構造である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記血管系構造の少なくとも1つの構造パラメータが決定され、該少なくとも1つの構造パラメータは、血管の捻れ、血管の分枝、血管直径、血管の空間分布、またはその組み合わせである、項目31に記載の方法。
(項目34)
少なくとも1つの構造パラメータは、複数のインサイチュ血管に対して識別され、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造は、該複数のインサイチュ血管の組織密度である、項目31に記載の方法。
(項目35)
インサイチュ血管系構造が、血管形成と関連している確率を示すスコアを生成することをさらに包含する、項目31に記載の方法。
(項目36)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を、血管形成におかされていない血管系の特徴を示す既知の構造パラメータと比較することによって生成される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記スコアは、前記少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を定量化することによって生成される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記スコアを基準スコアと比較することをさらに包含する、項目37に記載の方法。
(項目39)
2つ以上の構造パラメータが、前記少なくとも1つのインサイチュ血管に対して分析される、項目31に記載の方法。
(項目40)
生きた人間を被検体として、血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた人間を被検体として500ミクロンよりも小さい直径を有する少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータを分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ構造パラメータが血管形成を示すかどうかを決定することであって、該構造パラメータは、1行以上の感知要素を有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目41)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管は、200ミクロンよりも小さい直径を有する、項目40に記載の方法。
(項目42)
生きた人間を被検体として、血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた人間を被検体として50ミクロンよりも小さい直径を有する少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータを分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ構造パラメータが血管形成を示すかどうかを決定することであって、該構造パラメータは、1つ以上の平面パネルディテクタを有するCTスキャナから獲得されたビューデータを使用して感知される、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目43)
前記少なくとも1つのインサイチュ血管は、20ミクロンよりも小さい直径を有する、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記生きた被検体は、人間、マウス、ウサギ、ヤギ、ラット、ブタ、ウマ、ウシ、または他の哺乳類の被検体である、項目31に記載の方法。
(項目45)
前記分割された表示は、CTスキャン、スパイラルCTスキャン、MRI、回転デジタルX線スキャン、1つ以上の平面パネルディテクタを有する回転X線スキャナを使用するスキャン、1行以上のディテクタ要素を有するTomosynhesisスキャナを使用するスキャン、PETスキャン、機能的なMRI、またはそれらの組み合わせからのスキャンデータに基づいている、項目31に記載の方法。
(項目46)
前記分割された表示は、前記被検体の体領域に対して獲得される、項目31に記載の方法。
(項目47)
前記体領域は、臓器またはその部分である、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記臓器は、眼、のど、肺、中枢神経系、心臓血管、腎臓、肝臓、膵臓、結腸、乳房、脳、皮膚、胃腸器官、生殖器官、泌尿生殖器官、筋骨格からなるグループから選択される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記決定することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成されたモデルを分析することを包含する、項目40または項目42に記載の方法。
(項目50)
前記情報を収集することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成されたモデルを分析することを包含する、項目31に記載の方法。
(項目51)
前記情報を収集することは、前記少なくとも1つの構造パラメータの再構成された画像を分析することを包含する、項目31に記載の方法。
(項目52)
前記スコアは、前記生きた被検体における、血管形成と関連する病気の確率、または血管形成と関連する病気の段階の確率の指示を提供する、項目35に記載の方法。
(項目53)
前記生きた被検体を、血管形成と関連する前記病気を有するとして診断することをさらに包含する、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記病気は癌である、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記癌は肺癌である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記癌は、肝臓癌、結腸癌、乳癌、脳癌、泌尿生殖器癌、胃腸癌、前立腺癌および皮膚癌からなるグループから選択される、項目54に記載の方法。
(項目57)
前記被検体は、癌の徴候を有すると知られていた、項目52に記載の方法。
(項目58)
前記被検体は、堅い腫瘍を有すると知られていた、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記堅い腫瘍を囲む領域、前記腫瘍に侵入する領域、またはそれらの組み合わせをなす領域における1つ以上の血管に対して、スコアが生成される、項目58に記載の方法。
(項目60)
癌の存在に対して生きた被検体をスクリーニングする方法であって、該方法は、
生きた被検体に対して獲得された構造データから分割された表示を生成して、少なくとも1つのインサイチュ血管系構造を分析することと、
該少なくとも1つのインサイチュ血管系構造に関連した第1のスコアを生成することと、
該第1のスコアを基準スコアと比較することであって、該第1のスコアが該基準スコアと異なる場合は、癌の少なくとも1つの徴候を有するとして、該被検体は識別される、ことと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目61)
前記被検体は、癌の危険があるとして知られている、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記被検体は、喫煙者である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記被検体は、癌の家族歴を有する、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記被検体が、癌の徴候を有するとして識別された場合、病気の予後を提供することをさらに包含する、項目60に記載の方法。
(項目65)
前記被検体が、癌の徴候を有するとして識別された場合、病気の治療を推奨することをさらに包含する、項目60に記載の方法。
(項目66)
生きた被検体における血管形成をモニタリングする方法であって、該方法は、
第1の時点で生きた被検体に対して獲得された第1の構造データを処理して、該生きた被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第1の構造パラメータを該第1の構造データから識別することと、
第2の時点で該生きた被検体に対して獲得された第2の構造データを処理して、該被検体における少なくとも1つのインサイチュ血管に関する第2の構造パラメータを該第2の構造データから識別することと、
該第1の構造パラメータと該第2の構造パラメータとを比較して、血管形成の特徴であり得る血管系パラメータが該第1の時点と該第2の時点との間で変化したかどうかを決定することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目67)
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの量が、前記第1の時点と前記第2の時点との間で増加した、項目66に記載の方法。
(項目68)
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの量が、前記第1の時点と前記第2の時点との間で減少した、項目66に記載の方法。
(項目69)
前記第1の構造データおよび前記第2の構造データは、前記生きた被検体における臓器領域に対して獲得される、項目66に記載の方法。
(項目70)
前記生きた被検体は、癌を発病する危険がある、項目66に記載の方法。
(項目71)
前記生きた被検体は、肺癌を発病する危険がある、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記生きた被検体は、癌患者である、項目66に記載の方法。
(項目73)
前記第1の時点と前記第2の時点とのうちの少なくとも1つは、前記被検体が癌治療を開始した後である、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記第1の時点は、前記被検体が癌治療を始める前であり、前記第2の時点は該被検体が癌治療を始めた後である、項目72に記載の方法。
(項目75)
前記癌治療は、その抗血管形成活性に対して評価される、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記第2の時点の前に、候補化合物を前記生きた被検体に投与することと、
血管形成の特徴を示す血管系パラメータの変化量を、該候補化合物がない場合に起きると予期される変化量と比較し、それによって該候補化合物の抗血管形成活性を評価することと
をさらに包含する、項目66に記載の方法。
(項目77)
前記候補化合物は、前記第1の時点の後に投与される、項目76に記載の方法。
(項目78)
コントロール化合物の活性に対して、前記候補化合物の抗血管形成活性を評価することをさらに包含する、項目76に記載の方法。
(項目79)
患者における治療法に対して標的領域を識別する方法であって、該方法は、
構造データを処理して、血管形成の特徴を示す少なくとも1つのインサイチュ血管系パラメータの分割された表示を獲得することと、
血管形成の特徴を示す血管系パラメータを含むインサイチュ領域を、治療法に対する標的領域として識別することと
のコンピュータでインプリメントされた行為を包含する、方法。
(項目80)
前記治療法は放射線治療である、項目79に記載の方法。
(項目81)
治療法期間中に、放射線を標的領域に集中させておくための該標的領域のリアルタイムモニタリングをさらに包含する、項目80に記載の方法。
(項目82)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得することと、
遠隔プロセッサに前記構造データを送信することであって、該遠隔プロセッサは、
構造データを処理して、少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサイチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータの分割された表示を生成することと、
該分割された表示を分析して構造情報を獲得することと
ができる、ことと、
該遠隔プロセッサから該構造情報を受信することであって、該構造情報は、該少なくとも1つの体領域における血管形成の確率の指示を提供する、ことと
の行為を包含する、方法。
(項目83)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信することと、
該構造データを処理して、該少なくとも1つの体領域における少なくとも1つのインサ
イチュ血管の少なくとも1つの構造パラメータの分割された表示を生成することと、
該分割された表示を分析して構造情報を獲得することと、
遠隔の場所へ該構造情報を配信することであって、該構造情報は、該少なくとも1つの体領域において血管形成の確率の指示を提供することと
の行為を包含する、方法。
(項目84)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを獲得することと、
十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の血管形成を示す構造血管系パラメータを識別することのできる遠隔プロセッサへ該構造データを送信することと、
分割された表示を該遠隔プロセッサから受信することと
の行為を包含する、方法を含む。
(項目85)
被検体における血管形成を評価する方法であって、該方法は、
生きた被検体の少なくとも1つの体領域に対する構造データを遠隔の場所から受信することと、
該構造データを処理して、十分な解像度でインサイチュ血管系の分割された表示を生成し、早期段階の血管形成を示す構造血管系パラメータを識別することと、
分割された表示を遠隔の場所へ配信することと
の行為を包含する、方法。
(項目86)
前記構造情報は、スコアである、項目82または項目83に記載の方法。
(項目87)
前記分割された表示は、再構成されたモデルである、項目82〜項目85のうちのいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による、選択的に分析され得る1つ以上の構造的特徴またはパターンを含む動物の血管系の一部を示す(図1Aは、健康的な血管網状組織の例を示す;図1Bは、血管形成の特性を含む血管網状組織を示す)。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による、動物の体における1つ以上の選択された内部的特徴に関連する構造データを分析する方法を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、分析のための構造データを獲得する方法を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による、分析のための特定の構造データを選択的に調整する方法を示す。
【図5】図5は、本発明の1つ以上の局面をインプリメントし得るコンピュータシステムの例を示す。
【図6A】図6Aは、X線スキャニングプロセスを示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図6B】図6Bは、画像再構成プロセスを示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図6C】図6Cは、ラドン変換を示し、本発明の一実施による、分析のための構造情報を提供し得る。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態による、構造のシリンダモデルを示す。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施形態による、図7Aにおけるシリンダモデルから構築されたシリンダネットワークモデルの構成を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態による、一モデルにおいて使用されるガウス密度分布のグレースケール表示を示す。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態による、一モデルにおいて使用されるガウス密度分布の断面を示す。
【図9】図9は、シリンダ構造が多くのスキャン平面を貫通するときの、シリンダ構造の特徴的な楕円形の断面を示す。
【図10】図10は、ガウス密度分布を有する楕円形の対象の例示的なX線スキャニングプロセスを示す。
【図11】図11は、図10において示されたX線スキャニングプロセスから得られたビューデータのサイノグラムの概略を示す。
【図12】図12は、ガウス密度分布のラドン変換を取ることから生じるガウスプロファイルを有する正弦曲線トレースの部分のプロットを示す。
【図13】図13は、未知の構造をスキャニングすることから得られるビューデータの例示的なサイノグラムを示す。
【図14】図14は、感知された隆起点での正弦曲線トレースのサイノグラムおよびスロープの図解を示す。
【図15】図15は、隆起感知中に識別された隆起点を削除するために非最大値の除去の方法を示すが、該方法は、本発明の実施形態に使用される構造データを分析するための一技術に従って使用され得る。
【図16】図16は、本発明の実施形態に使用される構造データを分析するための一技術に従って、ビューデータの複数のスライスを貫通して対応する位置の跡をたどることによって、シンリンダ部分の方位および/または長さを決定する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の局面は、人体および他の動物の体内における内部構造に関連するデータを獲得および/または分析するための方法およびデバイスを対象としている。一つ以上の選択されたインサイチュ構造に関連するデータが、獲得および/または分析され得、構造(または構造における変化)に基づいて、動物の生理的な状態に関する情報を収集する。構造的な情報は、診断用、予後用、療法用、介入用、研究用および/または開発用の目的のためだけでなく、病気を等級付けおよび/または段階分けするためにも使用され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、インサイチュの構造データまたは情報に基づいて、一つ以上の構造的なパラメータ(または経過よって変化する一つ以上の構造的なパラメータの時間)を分析することを含み得る。本発明の方法は、自動化され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、被検体の血管形成および/または血管形成のパターンに関する変化を感知することを含む。一部の実施形態において、本発明の方法は、微小血管系のパターンおよび/または微小血管系のパターンにおける変化を感知することを含む。本発明の局面に従って、微小血管系は、微細血管(例えば、本明細書において記述されるように、直径が、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満よりも小さい血管)から成り立っている。
【0022】
本発明の局面は、ビジネス方法に関連し、該ビジネス方法は、特定の生物学的なプロセス、状態、および/または病気と関連するバイオマーカのマーケティングおよび/またはライセンシングを含む。一部の実施形態において、血管のパターン(例えば、幾何学的な特徴)は、分析されて、特定の生物学的なプロセス、状態、および/または関心の病気との関連性または相関関係を識別するか、または評価する。構造的なバイオマーカとして使用され得るパターンパラメータが、(例えば、本明細書において記述されているような、臨床、診断用、療法用、および/または研究用の適用ために)識別され得る。これらのバイオマーカは、コストを削減し、医療および研究の技術に対する有効性および感応性を増加させるために使用され得る。一実施形態において、一つ以上のバイオマーカ、またはバイオマーカを使用する方法が、医療機関または研究機関の顧客または潜在的な顧客に対してマーケティングされ得る。一実施形態において、料金ベースのサービスが、医療機関または研究機関に対して提供され得、医療用イメージに関連する情報が、一つ以上のバイオマーカの存在に関して獲得され、かつ、分析されて、結果情報が、料金と交換で返信される。少なくとも部分的には、提供される画像情報のタイプ、要求された分析のタイプおよび程度、および分析のフォーマットおよびタイミングによって、料金の額が決定される。理解されるべきは、本発明の局面は、(限定するわけではないが、マイクロCT、MDCT、回転血管造影、MRI、PACSを含む)多数の異なるスキャニングの様式のうちの一つ以上から獲得された画像情報に対して適用可能であり得るということである。この情報は、限定するわけではないが、以下のうちの一つ以上を含む多数の異なる情報源から受信され得る:医療センター、医薬品関連の大企業(例えば、臨床前評価に関して、または臨床試験の間)、CRO(臨床前分析と臨床分析との両方に関して)、医療研究所および診療所(例えば、スキャニングセンター)、病院、クリニック、医療センター、バイオテクノロジー関連の小企業(例えば、臨床前評価に関して、または臨床試験の間)、および生物医学研究機関。次に、分析結果は、これらの組織のうちの任意の組織に返信され得る。一部の実施形態において、分析結果は、画像情報を送信した同じ団体に返信され得る。他の実施形態において、結果は、他の団体に返信され得る(例えば、画像情報は、スキャニング研究所から受信され得、分析は、医師に返信される)。情報を受信することと、構造的な特徴を分析することと、結果を処理することと、結果を受取人に転送することとに関連する一つ以上のステップが、自動化され得る。また理解されるべきは、これらのステップのうちの一つ以上が、米国国外で実施され得るということである。ビジネス的な処置(例えば、マーケティング、販売、ライセンシング)は、個々に、または協調的に実施され得る。
【0023】
本発明の局面は、個々の分析ステップ、特定の構造的な特徴などに関して、本明細書において記述され得る。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述された方法およびデバイスのうちの任意のものがまた、一つ以上の血管構造の特徴またはパターンに基づいたバイオマーカの使用に関連するビジネス方法に、組み込まれ得るということである。
【0024】
本発明の局面は、インサイチュの管状構造のパターンパラメータ(例えば、被検体のインサイチュの血管系のパラメータ)を感知および分析することに関連する。本発明の局面は、(例えば、本明細書において記述されるような、一つ以上のコンピュータ実行された行為を使用して)自動化され得る。理解されるべきは、一つ以上のパターンパラメータ(例えば、個々の血管構造特徴、血管または血管構造特徴の分布、またはそれらの組み合わせ)は、一つ以上の定量的および/または定性的な方法を使用して、分析され得るということである。一部の実施形態において、一つ以上のパラメータが、測定されて、定量化され得、測定値は、本明細書において記述されるような、閾値または基準値を評価および/または比較するための標準的な定量的および/または統計的な技術を使用して分析され得る。特定の実施形態において、一つ以上のパラメータは、所定のスコア方法(例えば、所定の要素に基づいて)を使用して評価され得る。幾何学的なパラメータは、ベクトルを使用して表現され得る。例えば、対象とする血管の分布、血管の湾曲、血管の捻れ、または多数の血管の方向は、複数のベクトルを使用して表現される。別のベクトルは、別の血管(例えば、分析の間に結合性が決定されていない血管)を表現するために使用され得る。しかしながら、別個のベクトルは、単一の血管の個々の一部分または断片、あるいは(例えば、結合性が決定されているか、または分析の間に決定され得る)樹形曲線の一部分を表現するためにも使用され得る。血管系のパターンパラメータは、数値またはスコアを分離および/または分類するための任意の適切な技術を使用して、分析され得る。異なるサイズの血管は、別々に分析され得、本明細書に記述されているように、異なる閾値または基準値と比較され得る。例えば、血管または血管構造の特徴の分布が、所定のパターンパラメータの数値またはスコアの分布を表現しているヒストグラムまたは曲線を使用して分析され得る。
【0025】
一実施形態において、スコアは、生理的な状態、例えば、病気または病気の段階の可能性に、パターンパラメータを関連付けるために獲得され得る。本発明の局面は、異常な内部構造と関連する一つ以上の病気の位置のインサイチュの診断、診療、および療法分析のために使用され得る。本明細書において使用されているように、「インサイチュ」は、バイオプシーまたは他の組織のサンプル内ではなく、動物(例えば、人間)の体内であることを意味する。本発明の局面は、治療薬を含む病気療法を開発し、かつ、評価するため、および他の目的のために、病気と関連する構造的な変化を研究するために使用され得る。本発明の局面は、構造的な特徴またはパターンを自動的に分析することと、分析に基づいてスコアを自動的に生成することとを含む。
【0026】
一実施形態において、本発明の局面は、動物内の選択された内部の管状の網状組織を感知および/または分析することを含む。本明細書において使用されるように、内部の管状の網状組織は、結合されたシリンダ状の体内構造の網状組織を意味する。管状の網状組織は、限定するわけではないが、心臓血管、呼吸器、胃腸、および泌尿生殖器の網状組織、ならびに動物体内のそれらの一部分を含む。従って、シリンダ状の構造は、分枝状、直線状、湾曲状、および/または捻れたシリンダ状の要素を含み得る。シリンダ状の構造および要素は、シリンダ状だけでなく、平坦状、または歪曲された領域もまた含み得る。シリンダ状の構造または要素の断面は、円形状、楕円状、ほぼ円形状、ほぼ楕円状、またはもっと不規則な形状であり得る。シリンダ状の要素の内径は、変化し得るか、または関心の領域にわたり、ほぼ同じであり得る。循環器の網状組織のような管状の網状組織は、動物の外の環境から遮断され得る。対照的に、呼吸器および胃腸の網状組織のような管状の網状組織は、外側の環境に開かれ得る。
【0027】
一実施形態において、本発明の局面は、分割された管状の網状組織(例えば、分割された血管の網状組織)を分析することを含む。一実施形態において、網状組織の分割された表示、またはその一部分は、(例えば、既存のデータベースまたは遠隔の場所から)獲得され、分析され得る。別の実施形態において、網状組織の分割された表示、またはその一部分は、構造データから生成され得、次に分析され得る。本発明の局面に従って、分析は、一つ以上の構造的な特徴またはパターンの存在あるいは不在を感知すること、一つ以上の構造的な特徴またはパターンの程度を測定するか、または評価すること、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
一実施形態において、本発明の局面は、動物の血管系のパターン(例えば、構造)を選択的に感知および/または分析して、動物の生理的な状態を示し得る一つ以上の血管のパターン(例えば、構造)を感知するか、またはモニタリングするために有用である。構造的なパターンまたは特徴は、限定するわけではないが、動脈、細動脈、静脈、細静脈、および毛細血管を含む、あらゆるサイズの血管に関して感知および/または分析され得る。
【0029】
一実施形態において、本発明の局面は、動物の血管系の構造的な特徴またはパターンを選択的に感知および/または分析して、病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の一つ以上の血管構造を感知するか、またはモニタリングするために有用である。病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の血管構造またはパターンは、病気の存在を示す早期診断を提供し得、該早期の診断は、早期治療を可能にし、該早期治療は、患者の予後をより良いものにし得る。他の実施形態において、病気(例えば、血管形成と関連する病気)に特有の血管構造またはパターンは、段階付けおよび/または等級付けするためのマーカ(例えば、バイオマーカ)として使用され得、病気の進行をモニタリングし、処方された療法を評価し、および/または病気に対する投薬計画または治療計画を識別および/または確認する。異常な血管系の構造またはパターンと関連する病気は、限定するわけではないが、ガン性、心臓血管、皮膚(肌)、関節、筋骨格、中枢神経系、神経、肺、腎臓、胃腸、婦人、泌尿生殖器、炎症性、伝染性および免疫性の病気を含む。
【0030】
ガンは、充実性腫瘍または白血病であり得る。ガンが白血病である場合には、本発明の方法は、動物(例えば、人間)の骨髄内の血管系のパターンを感知および/または分析することを対象とし得る。
【0031】
図1は、管状の網状組織の例として、動物の血管系の一部分を図示し、該管状の網状組織は、本発明の一部の実施形態に従って分析され得る。図1Aは、健康な血管の網状組織を図示し、毛細血管を含む階層的なパターンの分枝した血管を有する異なるサイズの血管を示す。図1Bは、血管形成の構造的なサインを有する、血管の網状組織を図示し、該サインは、異常に捻られ、かつ、分枝した小さい血管の密度および無秩序な網状組織によって特徴付けられる領域を含む。一実施形態において、本発明の局面は、図1において示されているような血管系の網状組織のインサイチュであり、インビボで選択された構造的な特徴またはパターンを分析するために使用され得る。スコアは、自動的に生成され得、異常な構造の存在を識別し、および/または異常の程度および/または度合を評価する。一実施形態において、マップが、分析された体の領域を表現するように生成され得、かつ、マップは、領域内のあらゆる異常な血管構造の位置および程度を識別するために有用である局所的なスコアを含む。一実施形態において、本発明の局面は、分析される体内の血管構造の全てを表現することおよび/または分析することなく、異常な構造特徴またはパターンを感知する分析(例えば、自動分析)を含み得る。一実施形態において、異常な構造の位置および/または程度に関して獲得された情報は、(例えば、病気のタイプ、病気の進行の程度、および病気のあらゆる特定の段階などを含み)病気を感知、識別、および/または評価するために使用され得る。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態に従って、データ構造を処理する方法が図示されている。最初に、行為200において、動物の内部構造に関する構造データの入力が受信される。本明細書において使用される場合、構造データは、動物の内部構造を識別および/または表現するために使用され得る任意の形状のデータであり得る。従って、構造データは、画像化デバイスから直接的に獲得された生のデータ(例えば、スキャンまたはビューデータ)のタイプ、(例えば、スキャンデータまたはビューデータから再構成された)再構成された画像データのタイプ、(例えば、スキャンまたはビューデータあるいは再構成された画像データにおける構造に対応するように構成されたモデルに関する)モデルデータのタイプ、または上記のデータのタイプの任意の組み合わせを含み得る。行為200において受信される構造を提供する最適な画像化デバイスの例は、非侵襲性のデバイス、例えばCT、回転CT、マイクロCT、多重エネルギーコンピュータ断層撮影(MECT)、単一感知器CT(SDCT)、多重感知器CT(MDCT)、容量測定CT(VCT)、MRI、マイクロMR、X線、回転X線、PET、近赤外線/光学および他の非侵襲性のスキャニングの技術、および被検体の体の外で使用され得るか、または非侵襲性に体腔の中に挿入され得、インサイチュで内部構造を感知するデバイスを含む。本明細書に記述されている本発明の局面は、任意の特定の方法において獲得された構造データと共に使用することに限定されない。従って、構造データは、CT血管造影(CTA)、トモシンセシス、X線マイクロ血管造影、またはその他任意の技術によって獲得され得る。構造データは、動物の全身に関して獲得され得るか、または動物の体の一つ以上の標的ボリュームに関して獲得され得る。標的ボリュームは、動物の体の任意の部分であり得る。一部の実施形態において、標的ボリュームは、臓器または臓器の一部分、例えば、肺、肝臓、胸、結腸など、またはそれらの一部分である。他の実施形態において、標的ボリュームは、手足、腹部、胴、首、頭、またはそれらの任意の部分のような体の一部分であり得る。標的ボリュームは、動物の体内の一つ以上の骨もまた含み得る。本発明の局面に従って、被検体は、動物であり得、動物は、哺乳類、鳥類、魚類、または爬虫類を含む任意の動物であり得る。哺乳類は、限定するわけではないが、人間、犬、猫、ラット、ねずみ、ヤギ、羊、牛、馬、豚、および猿を含む。人間における適用が、特に重要であり得るが、実験用の動物が、多くの場合に、研究および開発の目的で使用され得る。動物は、生きている動物であり得、その場合、分析は、インサイチュであり、インビボである構造に関する。しかしながら、一実施形態において、本発明の局面は、(例えば検死分析のために)構造(例えば、血管構造)を分析するために、死んだ動物を使用し得る。
【0033】
一実施形態において、構造データは、関心のシリンダ状の構造(例えば、血管)に関して獲得および/または分析され得、該関心のシリンダ状の構造は、内径が、約5mm未満、好適には約3mm未満、さらに好適には約1mm未満、さらにより好適には約500ミクロン、さらにより好適には約200ミクロン未満、さらにより好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約20ミクロン未満、さらにより好適には約10ミクロン未満、さらにより好適には約5ミクロンである。しかしながら、より小さいまたはより大きい内径を有する管状の構造がまた、本発明に従って分析され得る。一実施形態において、従来のCTスキャナを使用する一つ以上のX線感知器要素から獲得された構造データは、管状の構造(例えば、血管)を分析するために処理され得、該管状の構造は、内径が、約5mm超〜約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満の範囲にある。別の実施形態において、CTスキャナ、例えば、マイクロCTまたはVCTスキャナを使用する一つ以上の平面パネルのX線感知器から獲得されたデータは、管状の構造(例えば、血管)を分析するために処理され得、該管状の構造は、内径が、約100ミクロン〜約50ミクロン未満、好適には約20ミクロン未満、さらに好適には約10ミクロン未満の範囲にある。
【0034】
一実施形態において、構造データは、少なくとも一つの造影剤を関心の体の領域の中に導入することを含むプロセスにおいて人間または他の動物から獲得され得る。例えば、血管を感知するための造影剤は、血管の中に注入され得る。少量の造影剤が、局所的に導入され得、関心の特定の体の領域において、構造、例えば、血管の感知を向上させる。代替的に、造影剤は、体の広い領域または動物の全身において、構造、例えば、血管の感知を向上させるために充分である量で提供され得る。他の実施形態において、構造データは、造影剤を使用することなく獲得され得る。
【0035】
一実施形態において、適切なイメージングデバイスから獲得された構造データの分析は、一つ以上の構造の表示を生成することを含み得る。表示は分割されることがあり、構造データ内の構造のサブセットのみが表示される(例えば、表示は、血管系のみを示し、その周囲の他の構造を示し得ない)。分割は、定義された構造の境界(例えば、血管系の構造の境界)を識別および/または感知し得る。
【0036】
行為210は、選択的なものであり、一部の実施形態において、行為200において受信された構造データに関する任意の適切な処理行為を実行するために使用され得る。例えば、構造データが、動物の全身に関して獲得され得、構造データは、行為210において処理され得、一つ以上の関心の体のボリュームに関するデータのみを選択する。代替的または追加的に、構造データは処理され得、データは、行為220において処理するための適切なフォーマットで存在する。本発明の一実施形態に従って、(以下でさらに詳細に記述される)構造データから獲得された情報を分析することに関連する行為220〜240は、一つ以上のコンピュータデバイス上で実行され得、該コンピュータデバイスは、最初の構造データを獲得するイメージングデバイスから遠隔的に配置されている。そのような実施形態において、行為210において構造データを処理することは、遠隔の処理デバイスへのデータの転送を容易にし得る任意の適切な処理技術を含み得、該処理技術は、変化をパッケージするための任意の適切なフォーマッティング、または転送の間データを保護する任意のセキュリティ技術(例えば、符号化)を含む。しかしながら、理解されるべきは、本明細書に記載の任意のプロセスであって、遠隔処理を含み得るプロセスはまた、遠隔の場所にデータまたはその他任意の形式の情報を送信すること、あるいは遠隔の場所からデータまたはその他任意の形式の情報を受信することなく、局所的に実行され得るということである。
【0037】
行為220において、体の内部構造(例えば、血管系またはその一部分)の表示は、イメージングデバイスから直接的に獲得された最初の構造データか、分割されたおよび/または処理された構造データかのいずれかから獲得される。以下に示されるように、行為230において、所望の情報を収集する充分な解像度を有する表示を作り出すことが可能である任意の技術を使用して、表示は生成され得る。一実施形態において、表示は、一つ以上の選択された内部構造のみを表示し、イメージングデバイスからの最初の構造データが利用可能である全ての内部構造を表示しない表示であり得る。分割された表示は、上記の処理された構造データのみを使用して生成され得るか、または構造データが、分割された表示を獲得するために使用される技術の一部分として処理され得る。
【0038】
一実施形態において、構造表示は、一つ以上の管状の構造に関連する情報の収集が可能である技術を使用することによって獲得され、該管状の構造は、内径が、約5mm未満、好適には約3mm未満、さらに好適には約1mm未満、さらにより好適には約500ミクロン、さらにより好適には約200ミクロン未満、さらにより好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約20ミクロン未満、さらにより好適には約10ミクロン未満、さらにより好適には約5ミクロン未満である。しかしながら、より小さい内径またはより大きい内径を有する管状の構造の表示がまた獲得され得る。なぜならば本発明は、この点に関しては限定されないからである。一実施形態において、構造表示は、従来のCTスキャナにおいて、一つ以上のX線感知器要素から獲得されたデータが使用され、一つ以上の管状の組織(例えば、血管)に関連する情報を収集することを可能にする技術を使用して獲得され、該管状の構造は、内径が、約5mm超〜約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満の範囲にある。別の実施形態において、構造表示は、CTスキャナ、例えばマイクロCTまたはVCTスキャナにおいて、一つ以上の平面パネルX線感知器から獲得されたデータが使用され、一つ以上の管状の組織(例えば、血管)に関連する情報を収集することが可能である技術を使用して獲得され、該管状の組織は、内径が、約100ミクロン〜約50ミクロン未満、好適には約20ミクロン未満、さらに好適には約10ミクロン未満の範囲である。
【0039】
上記のように、本発明の一実施形態において、表示が獲得される構造は、血管系の一部分を形成し得、該血管系の一部分は、分枝した領域、湾曲した領域、および/または関心の他の構造特徴を有する領域を含み得る。しかしながら、本明細書において記述されている本発明の局面は、血管系の表示を生成することに限定されず、関心の任意の適切な構造上で使用され得る。
【0040】
理解されるべきは、行為220において、構造の表示を獲得するということは、視覚的ディスプレイ上における視覚的表示の作成を必ずしも必要とはしないが、表示される構造特質を特定する充分な情報を含むデータのセットの生成もまた含み得、本明細書において使用されているように、表示を獲得すること、または生成するということは、関心の構造特質を特定する情報を(例えば、生成することによって)獲得することを指すということである(例えば、表示は、再構成されたイメージ、モデル、または任意の適切な形状の表示であり得る)。構造表示を獲得する適切な技術の一例は、以下で詳細に記述されるが、本発明は、その技術を使用することに限定されない。なぜならば、任意の適切な技術が使用され得るからである。理解されるべきは、表示を獲得するプロセスは、データを分割して、特定の構造または関心の構造的特徴のみの表示を獲得することを含み得るということである。
【0041】
行為230において、行為220において獲得された表示の一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)が、分析され得る。本明細書において記述されている本発明の局面は、どのような特別なパターンまたは特徴にも限定されない。なぜならば、分析される特別なパターンまたは特徴は、本明細書において記述される技術の適用に依存して変化し得るからである。例えば、血管系が、異常な(例えば、ガン性の)組織が存在するか、または成長(例えば、血管形成)しているかを決定する目的で分析される場合には、そのようなパターンまたは特徴は、実験下の血管の湾曲と、捻れ(湾曲の程度および屈曲の頻度)と、密度と、分枝(例えば、階層的ではない状態)と、サイズ(例えば、直径または長さ)、フィールド内の血管または血管の断片の直径の分布および幾何学的方向性と、方向性の分布と、上記のものの任意の組み合わせとのうちの任意のものを含み得る。例えば、程度の大きい湾曲、または頻度が高い屈曲は、高い腫瘍形成率と、悪い予後とに関連付けられ得る。
【0042】
従って、本発明の一実施形態に従って、分析された構造の表示は、一つ以上の関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別するためにマインされ得る。一実施形態において、構造表示の分析は、一つ以上の構造またはパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)のサブセットに重点を置くために、データ分割を含み得、表示内に含まれる構造の全てが分析される必要はない。
【0043】
一実施形態において、管状の網状組織の構造パターンまたは特徴が、関心の特定の状態、例えば、健康状態、または病気状態に関連付けられる可能性を示すために、スコアが生成され得る。スコアは、定量的または定性的であり得、一つの構造的特徴か、または2つ以上の構造的特徴か、構造または構造的特徴の分布か、それらの組み合わせかに基づき得る。スコアは、表示から収集された一つ以上のパターンパラメータ(例えば、構造的特徴および/または分布)にのみ基づき得るか、または被検体に関する追加の情報にも基づき得、該追加の情報は、限定するわけではないが、年齢、体重、性別、病歴、遺伝子的なリスク要因、病気をもたらす病原体への露出、それらの組み合わせなどを含む。
【0044】
一実施形態において、スコアは、表示に含まれている一つ以上のパターンパラメータ(例えば、構造的特徴およびまたは分布)に対して値を割り当てるか、または計算することと、一つ以上の基準値とその値を比較することとによって生成され得る。基準値は、健康な被検体または例えば、病気の状態に特有であり得る。基準値は、任意の適切な方法、例えば、複数の個人の分析から獲得された平均値を取ることによって獲得され得る。一実施形態において、基準値は、被検体の一つ以上のパラメータに関して調整され得、該パラメータは、限定するわけではないが、年齢、体重、民族的背景、遺伝子的な要因、性別など、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、基準値は、同じ被検体に対して以前に行なった一つ以上の分析から獲得された被検体固有の基準値であり得る。
【0045】
別の実施形態において、スコアは、表示内の一つ以上の関心の構造を、一つ以上の基準構造と、直接的に比較することによって生成され得る。これは、任意の適切な比較方法によって達成され得、該比較方法は、グラフィックオーバレイ、統計分析、または他の適切な技術を含む。
【0046】
行為240において、分析の出力が生成される。出力は、任意の形式で提供され得、該形式は、英数字、一つ以上の表、一つ以上のグラフ、一つ以上の図、上記のうちの一つ以上を援用する文書記録などを使用することを含む。出力は、ディスプレイデバイス上に表示され得るか、音声メッセージとして通信され得、紙または他の有形のメディア上に印刷され得るか、コンピュータで読取可能な形態で提供され得るか、またはその他任意の適切なフォームで提供され得る。内容に関しては、240において提供された出力は、同様に、任意の適切なフォームを取り得る。例えば、出力のコンテンツは、上記のようにスコアを含み得、該スコアは、所望の方法、例えば、診断または予後を患者に提供するために医師によって、治療または候補薬の有効性を評価するために研究者によって、またはその他任意の適切な方法で使用され得る。
【0047】
本発明の代替的な実施形態において、出力は、構造の表示を分析した結果として、行為230において自動的に生成された診断、予後、または他の結論を含み得る。別の実施形態において、出力は、分析された領域の表示であり得、該表示は、領域の異なる部分に対する個々の情報(例えば、個々のスコア)を含む。
【0048】
さらに別の実施形態において、出力は、(例えば、スクリーニング、または限定するわけではないが、コンピュータで読取可能なメディアまたは印刷された表示を含む他の有形のメディア上の)分析される構造の少なくとも一部分の視覚的表示であり得、ユーザは、視覚的表示を見ることができ、被検体に含まれる構造に関する判断を行なうことが出来る。
【0049】
理解されるべきは、本発明の任意の局面に関して、本明細書において記述された表示は、二次元、三次元、四次元(例えば、心臓の鼓動、または時間の経過による他の変化、例えば、時間の経過による病気の進行または後退などを分析する場合には、第4の次元として時間を有する)、または他の多次元の表示であり得るということである。従って、出力は、動物の体またはその一部分の多次元(例えば、少なくとも二次元または三次元あるいは四次元など)マップを提供し得、該マップは、マップの座標と関連付けられた一つ以上のパターン(個々の構造的特徴または分布)および/または病気に関する情報を有する。理解されるべきは、これらの様々なタイプの出力コンテンツは、排他的ではなく、上記の任意の組み合わせが提供され、さらに、出力は任意の適切なコンテンツを含み得るので、このリストは排他的ではないということである。
【0050】
図3は、行為210を実行するプロセスの一実施形態を図示し、行為210おいて、構造データは、行為300において獲得され、構造データのサブセットは、行為310において選択され、データは、行為320において、次の分析、または本明細書に記述されているような安全な伝送または転送に適した任意の形態に設定される。理解されるべきは、選択行為310と設定行為320とは、任意の順番で実行され得るということである。またはこれらの行為の両方は、任意選択的であり、行為310と行為320のうちのどちらも実行されないかもしれないか、行為310と行為320のうちの一つが実行されるかもしれないか、または行為310と行為320の両方が実行されるかもしれない。一実施形態において、構造データのサブセットは、体の一つ以上の特定の領域、臓器、または組織のタイプに重点を置くように、行為310において選択され得る。
【0051】
別の実施形態において、構造データは、特定の形状、形状の範囲、サイズ、またはサイズの範囲の構造に関してのみデータを選択するように処理され得る。例えば、構造データは、管状の血管に関するデータを抽出するように処理され得、該管状の血管は、内径が、約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には約50ミクロン未満、さらにより好適には約25ミクロン未満である。理解されるべきは、(領域/臓器/組織の選択および/またはサイズ/形状の選択を含む)異なるデータの選択と、本明細書に記述されているフォーマット処置は、一つ以上のプロセス(例えば、二つ以上の連続しているか、または並行しているプロセス)において、協調してか、または別々にインプリメントされ得るということである。
【0052】
図4は、行為220に関する一例示的なインプリメンテーションを示し、該行為220は、最初の、または処理されたスキャンデータに基づいて、少なくとも一つの構造の表示を生成する。理解されるべきは、図4に示されている特定のインプリメンテーション
は、単に図示の目的のために記述され、本明細書に記述されている本発明の局面は、この点に関しては限定されないということである。なぜならば、表示は、任意の適切な方法で、構造データから生成され得るからである。
【0053】
図4において示されている例示的なインプリメンテーションにおいて、モデルベースの再構成が、スキャンデータからの表示を生成するために使用されている。最初に、行為400において、一つ以上の関心の選択された構造と近似である考えられているモデルが生成され、該選択された構造に関する情報は、スキャンデータ内に含まれている。例えば、以下で詳細に記述される一例示的なインプリメンテーションであって、血管系の網状組織に関する関心の構造において、モデルは、複数のシリンダを備え得、該シリンダは血管の形状とそれぞれ近似している。行為420において、モデルは、スキャンデータと比較され、次に、行為420において、モデルは、比較に基づいて改良される。図4には明確に示されていないが、比較410行為と改良410行為は、繰り返して実行され得、任意の適切な技術を使用して、モデルとスキャンデータとの間に最善の適合を達成する。該技術の例は、以下で記述される。その後、改良されたモデルは、行為230における分析のために提示され得、スキャンデータに含まれている一つ以上の構造の表示を提供する。本発明の局面に従って、モデルベースの再構成は、一つ以上の関心の構造に関するデータのみを選択的に処理することによって、構造データを自動的に分離し得る。
【0054】
理解されるべきは、本発明の局面は、本明細書において記述されている個々の行為を実行することを含むが、2つ以上の行為が実行されることを必要としないということである。例えば、一実施形態において、分析は、構造表示に関して実行され得、該構造表示は、データベース内に存在するか、または遠隔の位置から獲得され得る。従って、本発明の局面は、構造表示を生成することなく、構造表示を分析することを含み得る。
【0055】
また理解されるべきは、本発明の局面は、本明細書において記述されている二つ以上の行為の任意の組み合わせを実行することを含み得、一部の実施形態において、特定の行為が省略され得るということである。一実施形態において、一つ以上の構造異常の存在は、その体の領域の構造表示を生成および/または分析することなく、体の領域内で識別され得るか、または感知され得る。例えば、血管異常の存在が、全身の領域に関する血管系の構造表示を生成することなく、体の領域に関する構造データから直接的に感知され得る。別の実施形態において、分析は、異常のある構造が体の領域に存在する場合には、その体の領域内の正常な構造を表示することなく、一つ以上の異常な構造を選択的に表示することを含み得る(例えば、異常な血管構造は、任意の正常な血管構造を表示することなく、全ての正常な血管構造を表示することなく、またはほとんどの正常な血管構造などを表示することなく表示され得る、など)。別の実施形態において、異常な血管構造は、体の領域内の全ての血管の詳細な表示を獲得することなく、識別され得るか、または感知され得る。体の領域内の血管の樹形分岐の存在またはアウトラインを感知し、血管系の全ての正常な詳細を表示することなく、また血管の樹形分岐における個々の血管を感知することさえもなく、特定の血管に関する異常構造または過度な血管形成(例えば、悪性腫瘍を表す新血管形成の一群)の存在を識別あるいは感知する分析を実行すれば充分であり得る。従って、一部の局面において、体の領域に関する解像度の低いデータのセットは、病気、例えば、ガンの特定の構造的徴候を感知するか、または識別するだけで充分であり得る。
【0056】
本発明の局面は、一つ以上の行為を自動化することを含み得る。例えば、分析は、出力を自動的に生成するように自動化され得る。本発明の行為は、例えば、コンピュータシステムを使用して自動化され得る。
【0057】
図5は、本発明の局面がインプリメントされ得るコンピュータシステムを図示している。図5のコンピュータシステム500は、スキャニングデバイス502を含み、該スキャニングデバイス502は、関心の被検体をスキャニングし、それに基づいてスキャンデータを生成する。上記のように、スキャニングデバイス502は、任意の適切な形態を取り得る。なぜならば、本明細書において記述されている局面は、なんらかの特別なタイプのスキャニングデバイスを使用して提供されるスキャンデータと共に使用することに限定されないからである。
【0058】
示されている例示的なシステムにおいて、スキャニングデバイス502は、コンピュータ504に結合され、スキャンデータは、任意のタイプの処理(上記のような、しかし本発明はそのようなシステムと共に使用することに限定されない)のために、スキャニングデバイス502からコンピュータ504に転送され得る。例えば、コンピュータ504によって実行された処理は、本明細書において図2の行為210に関して記述された任意選択的な前処理であり得る。上記のように、そのような前処理は、実行される必要はなく、スキャニングデバイス502は、そのような機能を実行するために、別のコンピュータに接続される必要はない。さらに、理解されるべきは、処理能力は、スキャニングデバイス502自身によって提供され得、該スキャニングデバイス502は、プロセッサを含み、該プロセッサは、本明細書において述べられている任意の処理機能を実行するようにプログラムされ得るということである。
【0059】
図5において示されている例示的なシステムにおいて、コンピュータ504は、ネットワーク506を介して別のコンピュータ508に接続され、該コンピュータ508は、本明細書において述べられている様々な方法のうちの任意の方法で、構造に関する分析を実行するために、メモリ510とプロセッサ512とを含む。コンピュータ504と508とは、任意の形式を取り得る。なぜならば、本発明の局面は、どのような特定のコンピュータプラットフォーム上でインプリメントされることにも限定されないからである。同様に、ネットワーク506は、プライベートネットワークまたはパブリックネットワーク(例えば、インターネット)を含む任意の形態を取り得る。ディスプレイデバイスは、デバイス502と、コンピュータ504および508とのうちの一つ以上と接続され得る。代替的に、またはさらに、ディスプレイデバイスは、遠隔の場所に位置され得、本発明に従って、分析の出力を表示するために接続され得る。システムの異なるコンポーネント間の接続は、有線送信、無線送信、衛星送信、その他任意の適切な送信、または上記の二つ以上の任意の組み合わせであり得る。
【0060】
図5において示されているようなコンピュータシステム上での使用に関する本発明の一実施形態に従って、意図されていることは、スキャンデータは、スキャニングデバイス502によって獲得され得、次に、パブリックネットワーク、例えば、インターネットを通じて遠隔の位置に送信され、コンピュータ502によって処理され、(例えば、図2における行為240に関して)本明細書において述べられている様々なタイプの出力のうちの任意のもの作り出すということである。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述されている本発明の局面は、その点に関しては限定されることなく、様々な他の構成が考えられるということである。例えば、本明細書において記述されている全ての分析および処理は、スキャニングデバイス502に局所的に取り付けられるコンピュータ504、またはスキャニングデバイス502自身上で、代替的にインプリメントされ得る。さらなる代替案として、通信メディア(例えば、ネットワーク506)を通じてスキャニングデバイス502から別のコンピュータ504または508に、構造データを送信することとは逆に、構造データ(例えば、最初の、または処理されたスキャンデータ)は、(例えば、スキャニングデバイス502またはコンピュータ504を介して)コンピュータで読取可能なメディア上にロードされ得、次に、該コンピュータで読取可能なメディアは、本明細書において記述されている方法で処理するために、別のコンピュータ(例えばコンピュータ508)に物理的に送られ得る。別の実施形態において、二つ以上の送信/配信技術の組み合わせが使用され得る。
【0061】
一実施形態において、上記から理解されるように、生または処理された構造データは、医療センターまたは研究センターにおいて獲得され得、遠隔の場所おけるコンピュータに送信され得、該遠隔地において、上記の分析ステップの一つ以上が、(例えば、手数料を徴収して)実行され得る。次に、分析からの出力が、医療センターまたは研究センターにおけるコンピュータにコンピュータで読取可能な形式、ハードコピー、別の有形の形式、または本明細書において記述されたものを含むその他任意の適切な形式のいずれかで、医療センターまたは研究センターに返送され得る。
【0062】
別の実施形態において、本明細書において記述されている一つ以上の機能をインプリメントする一つ以上のソフトウエアプログラムが、(例えば、手数料を徴収して)医療センターまたは研究センターにおいて提供され得、インストールされ得る。プログラムは、ディスク上に提供され得、内部または遠隔(例えば、外部)の場所からダウンロードされ得、または任意の適切な方法でロードされ得る。本明細書において記述されている任意の機能において使用される参照情報は、ソフトウエアと共に、または別個に提供され得る。一実施形態において、参照情報(例えば、正常または異常な血管構造に関する情報)は、ディスク上で利用可能であり得、内部または遠隔(例えば、外部)の場所からダウンロードされ得、または任意の適切な方法でロードされ得る。
【0063】
本明細書において使用される場合、「遠隔」は、イメージングデバイス(例えば医療用スキャナ)のすぐ隣の位置とは異なる場所を意味する。遠隔の場所は、病院、医療センター、または研究センターにおける中央コンピュータまたはコンピュータ設備(例えば、センターのネットワークまたはイントラネット内)であり得るか、または病院、医療センター、または研究センターの外側(例えば、センターのネットワークまたはイントラネットの外側)であり得る。遠隔の場所は、イメージングデバイスによって獲得されるデータの場所と同じ州、異なる州、または異なる国であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、(例えば、二つ以上の異なるタイプのイメージングデバイスからの構造データを使用する)複合分析が、ともに使用され得る。従って、本発明の局面は、異なるタイプの構造データを処理し、かつ、分析する能力を含み得、組み合わされた出力を生成するように結果を組み合わせるか、または各イメージング様式に対して生成される別個の出力を生成する能力を含み得る。
【0065】
上記のように、本明細書において記述される本発明の局面は、診断用、診療用、療法用、研究用、および治療用の開発ならびに評価のために使用され得る。実施例が以下で記述される。
【0066】
(診断用の適用)
一実施形態において、本発明の局面は、インサイチュの管状の網状組織のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)に関連する病気を感知し、かつ、診断するために使用され得る。一部の場合において、診断は、一時点における関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の検査から提示される。代替的に、被検体における病気の進行は、二つ以上の時点における構造分析を実行することによって追跡され得る。病気のトラッキングは、患者に関する診断および予後の情報を提供するために使用され得る。例えば、病気の進行情報は、腫瘍の進行度および/または侵襲性を評価するために使用され得る。
【0067】
本発明は、一つ以上の病気に関する徴候の存在に関して、個人または集団を選抜するために使用され得る。上記のように、選抜は、全身選抜であり得るか、または一つ以上の標的領域(例えば、特定の臓器または組織)に重点を置き得る。
【0068】
一実施形態において、本明細書において記述されている技術は、一つ以上の病気に関連する構造パターンまたは特徴を有する個人を、自動的に識別するために使用され得る。これらの個人は、病気のさらなる徴候に関して、その後にテストされ得る。その後のテストは、任意の適切な形式を取り得る。なぜならば、本明細書において記述されている本発明の局面は、この点に関しては限定されないからである。例えば、後続のテストは、従来技術を使用し得る。限定ではない例として、本発明の局面の使用は、費用効果の高い選抜技術を可能にすることができ、該費用効果の高い選抜技術は、候補が比較的に少ないことを、病気の危険にさらされているとして識別し得、最終的な診断または予後に到達するための比較的に費用のかかるテスト処置の使用を正当化し得る。後続の技術は、本明細書に記述されている本発明の技術を使用して、範囲を狭められていない広い範囲のサンプルに対して行なうには、あまりにも費用がかかり得る。さらなる例として、本明細書において記述されている本発明の局面は、単独か、または他の技術との組み合わせかのいずれかで、次のテストを実行するために使用され得る。この点に関して、最初の選抜の感度は、高く設定され得、いくつかの間違った陽性を示し得る提示に、本明細書において記述されている本発明に従った技術のその後の適用は、さらに詳細な情報を提供し得る程度より高感度で使用され得る。
【0069】
一実施形態において、本発明の局面は、危険にさらされている個人(例えば、病気、例えば、ガン、循環器系の疾患、または他の病気に関する遺伝子的または他のリスク要因を有する個人)の集団を選抜するために使用され得、一人以上の個人における病気の徴候の存在を識別する。
【0070】
一実施形態において、本発明の診断方法は、コンピュータでインプリメントされ、効率とスループットを増加させ、医師個人と関連する変動性を低減させる。しかしながら、本明細書において述べられているように、一部の実施形態において、最終的な診断は、本明細書において記述されている本発明の局面を使用する自動化された分析または構造表示によって生成される情報に基づいて、医師によって行われ得る。
【0071】
上記から理解され得るように、本発明の局面は、病気を有することが分かっている患者に対して使用され得るか、または健康な被検体に対して、定期的に選抜するために使用され得る。被検体は、一つ以上の病気に関して選抜され得る。選抜は、定期的(例えば、毎週、毎月、毎年、または他の時間間隔)に、または一回のイベントとして行われ得る。様々な状態が、様々な時間間隔において、または様々なリスク要因(例えば、年齢、体重、性別、喫煙歴、家族歴、遺伝子的リスク、毒素および/または発癌物質などに対する露出、またはそれらの組み合わせ)の作用に関してスクリーニングされ得る。
【0072】
一実施形態において、本発明の局面は、血管系構造における変化と関連する病気を診断、評価、または段階付けするために使用され得る。血管系構造におけるわずかな変化の感知は、初期段階の病気の感知および病気のモニタリングに対して有益であり得る。解像度の高い三次元の血管系構造のイメージが、分析され得るか、または一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、異常な特質の存在に関して評価され得る。一実施形態において、血管系構造は、一連の相互結合された分枝した血管を含む血管の樹形分岐であり得、かつ、動脈、細動脈、静脈、細静脈、毛細血管、または他のサイズの血管を含み得る。本発明の局面に従って、異なるサイズの血管が感知および表示され得る。
本発明の一部の局面において、全身の血管の樹形分岐が、分析され得、他の局面において、標的の臓器、組織、またはそれらの一部分の血管の樹形分岐が、分析され得る。本発明の一部の局面において、サブセットの血管のサイズ(例えば、直径が、約500ミクロン未満、好適には約200ミクロン未満、さらに好適には約100ミクロン未満、さらにより好適には50ミクロン未満、さらにより好適には25ミクロン未満である血管)のみを含む血管の樹形分岐が、分析される。一実施形態において、毛細血管のみが、分析される。別の実施形態において、毛細血管と小さい動脈および静脈(例えば、細動脈および細静脈)とが、分析される。例えば、樹枝状の血管系(例えば、食道の樹枝状の粘膜の血管のような樹枝状の粘膜の血管)のみが、樹枝状の血管系が見つけられた任意の組織において分析され得る。
【0073】
血管の樹形分岐の分枝は患者の状態に関する情報を収集するために分析され得る。一実施形態において、血管の樹形分岐の分枝は、特定の領域を識別するために追跡され得、該領域において、血管形成の特定の特性が、評価され得る。(例えば、大きい分枝から始まり、第2、第3、または第4あるいは次のレベルの分枝に関して樹形分岐を追跡し、小さい血管が病気に関連する血液供給を提供している場合には、異常な構造を有し得る小さい血管を識別する)。代替的に、血管の樹形分岐におけるいくつかの異なる血管のサイズが、血管形成のサインに関して評価され得る。別の実施形態において、血管の樹形分岐の分枝全体のパターンが、分析され得る。例えば、健康な血管の樹形分岐は、おおむね階層的であり得る。なぜならば、血管のサイズは、血管が分枝するにつれて(例えば、図1A)、概して減少するからである。逆に、病気(例えば、血管形成)の血管の樹形分岐は、あまり階層的ではなく、血管のサイズに関する減少がほとんどないか、またはまったくなく分枝しているかなりの血管エリアを有する(例えば、図1B)。理解されるべきは、分析の性質および程度は、診断評価のゴールに依存し得るということである。例えば、全身のスキャンは、全ての血管構造を選択し、異なる病気のサインに関して、全血管の網状組織を分析して、評価され得る。代替的に、病気であると疑われている体の領域が、選択され得、データが、(例えば、関心の領域における構造の分割された表示を獲得するために)その領域内の血管系に焦点を置くように処理され得る。関心の領域は、臓器(例えば、膵臓、肝臓、胸、結腸など)または組織(例えば、皮膚の表皮組織)であり得る。異常な血管系構造の存在は、様々な病気の初期徴候であり得、早期発見が、効果的な治療にとって重要である。
【0074】
(例えば、所定の時間における異常な血管パターン、または時間の関数に従って観察される異常な構造の変化の存在によって、感知され得る)血管構造における変化と関連する病気は、限定するわけではないが、ガン、心臓病、心臓病関連の循環器系の疾患、眼病、皮膚疾患、および外科的な状態を含む。例えば、血管構造における変化と関連する病気および状態は、限定するわけではないが、腫瘍血管形成、再発性および進行性のガン、冠状動脈血栓症、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム斑新血管形成、動脈閉鎖疾患、虚血、虚血性または心筋虚血後の再血管形成、(糖尿病性網膜症を含む)末梢血管疾患、血栓塞栓症(例えば、脳卒中、肺塞栓症、脳動脈瘤、深部静脈血栓症)、跛行、リウマチ性疾患(例えば、関節炎)、免疫性疾患(例えば、リウマチ性関節炎、血管炎、ウェグナー肉芽腫瘍、および全身性狼瘡紅班(SLE))、肺疾患(気腫、COPD、突発性肺繊維症、肺動脈高血圧、および他の呼吸器系の疾患を含む)、骨髄腫、血管逆成疾患、胃腸疾患、(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、(IBD))、婦人疾患(例えば、子宮内膜ポリープ、膣からの出血、子宮内膜症、機能不全による子宮内出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞卵巣症候群(PCO)子宮頸ガン、子宮頸形成異常)、皮膚疾患(小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水疱症、スチーヴンズ-ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症(TEN))、眼疾
患(黄斑変性、黄斑症、糖尿病性網膜症、未熟網膜症(水晶体後繊維増殖症))、創傷治癒、免疫反応と関連する炎症、肢虚血および心虚血を含む虚血、アルツハイマー病、および他の疾患、例えば、創傷離開、バーガー病(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化(ASO)、虚血性潰瘍)、多発性硬化症、特発性肺線維症、HIV感染、足底部筋膜症、足底部筋膜炎、フォンヒッペルリンダウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺炎、良性前立腺過形成、糸球体腎炎、異所性骨形成、およびケロイドを含む。
【0075】
これらの様々な病気は、血管系構造における様々な変化によって特徴付けられる。従って、本発明の一局面において、パラメータおよびスコアリングの方法は、病気を示す血管系構造の特定の特性に基づいて、特定の病気およびその病気に関連する療法を感知、診断およびモニタリングするために使用される。各病気のカテゴリー内においても、マイニング病気は、血管構造におけるマイニング変化によって特徴付けられ得る。従って、構造選抜およびスコアリングは、カテゴリー内の特定のタイプの病気に対する感度を増加させるように、微調整され得る(例えば、肺ガンスコア、乳がんスコアなどが作成され得る)。患者固有のスコアリングパラメータは、患者の特定の病気または疾患の進行をたどるようにも作成され得る。
【0076】
血管構造の変化は、血管および/またはリンパ管に影響を与える、血管構成および血管の形態における変化を含む。構造変化は、(大きい血管の成長(例えば、動脈新生)および微小血管系の成長(血管新生)を含む)新血管形成と、大きな血管の拡張と、血管の壊死とを含み得る。血管形成は、以前から存在している血管から生じる新しい血管の形成を含む。血管形成は、脈管形成とは異なる。脈管形成は、主に成長の間に生じる新たな血管の形成である。脈管形成は、病気または疾患とはめったに関連付けられない。しかしながら、本発明の局面は、脈管形成の自然過程を研究して、新たな血管形成における欠陥を識別および理解するために使用され得る。
【0077】
血管形成は、多くの場合に、腫瘍の成長と関連付けられ、ガンに対する有効なバイオマーカである。血管形成は、新しい血管の成長が、(血栓症、塞栓症、アテローム性動脈硬化症、または他の慢性の閉塞症によるか、または血管系を狭まりによるか)酸素の供給または血液の流れが低下したことに反応して生じる場合とも関連付けられ得る。特定の呼吸器、心臓血管、および炎症性の疾患は、血管形成とも関連付けられる。
【0078】
血管形成の血管は、既存の血管の構造的特性とは異なる構造的特性を有する。例えば、分枝のパターンおよび血管形成の血管の捻れは、正常な血管の分枝パターンおよび血管の捻れとはとても異なっている。これらおよび他の構造的特徴は、大部分は、微小血管系において見つけられ、血管系の構造のイメージを選抜およびスコアリングするために使用され得る。しかしながら、大きい血管、例えば、動脈および静脈における変化は、特定の病気または病気の段階(例えば、大きい腫瘍の成長および発達、または後期の腫瘍)とも関連付けられ得る。
【0079】
腫瘍の生命を維持する血管系は、一般的に、腫瘍の結合組織(間質)と関連付けられ、該腫瘍の結合組織(間質)は、(実質組織における)悪性細胞の生命を維持する。上記のように、腫瘍の血管は、不規則に間隔を空けられ、不均一な構造パターンまたは特徴によって特徴付けられ得る。しかしながら、腫瘍の血管の形成および他の形式の血管形成は、一連の特性的な段階を含み得る(例えば、開示内容が、本明細書において参照により、その全体が援用されている、DvorakによるAmerican Journal of
Pathology、2003年、Vol.162:2、pp.1747〜1757を参照)。早期の血管形成は、血管の過透過性、線維素堆積およびゲル形成、ならびに浮腫によって特徴付けられ得る。これは、微細血管、例えば、細静脈の膨張をもたらし得る。膨張した微細血管の断面エリアは、通常の微細血管の断面エリアの約4倍の大きさであり得る。膨張した微細血管の外周は、通常の微細血管の外周の約2倍の大きさであり得る。膨張した微細血管は、アクティブな血管形成の領域において、通常の微細血管の範囲の約4〜7倍を占め得る。膨張した微細血管の出現に、膨張した血管壁の薄い蛇行性であり過透過性の「母」血管の出現が続き得る。母血管は、ブリッジングのプロセスを行なわれ得、それにより、経腔的ブリッジングが形成され、血管内の血管の流れを小さいチャネルに分割する。発達している母血管は、一つ以上の糸球体をも含み得、該糸球体は、母血管の内腔をいくつかの小さいチャネルに分割するように広がり得、該小さいチャネルは、一般的に曲りくねる。母血管におけるブリッジングおよび糸球体の形成は、血管形成に特性的な小さい毛細血管の出現をもたらし得る。しかしながら、特定の母血管は、薄い血管壁を有する異常に膨張した血管として残る。これらの血管の形成異常は、多くの場合に、非対称性筋肉コートおよび血管周囲線維症の存在によって特徴付けられ得る。小さい動脈および細動脈は、病気の組織において、サイズに関しても増加し得る。本発明の局面は、本明細書において記述されている血管構造の変化のうちの一つ以上の任意のものを感知および/またはモニタリングすることを含む。一実施形態において、新しい血管形成に特性的な一つ以上のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の存在は、病気を感知またはモニタリングするために使用され得る。別の実施形態において、一つ以上の特定のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)の存在は、体の領域における血管形成の段階(例えば、早期、中期、後期など)決定するために使用され得る。
【0080】
従って、血管のサイズ(直径および/または長さ)に関する異常な変化は、病気、例えば、ガンまたは増加した血管供給と関連付けられる他の病気の早期のサインであり得る。血管のサイズに関する変化は、血管形成の出現のあらゆる構造的サインの前に生じ得る。一実施形態において、本発明の局面は、膨らんでいる、および/または通常よりも長い血管(例えば、毛細血管)を感知するために有用である。例えば、本発明の局面は、(例えば、食道の粘膜における早期のガンと関連付けられる)異常に長い乳頭内毛細血管のループをインサイチュで感知するために有用である。
【0081】
一部の実施形態において、腫瘍組織における壊死を示す血管の変化は、腫瘍組織の進行度、および/または転移の可能性、および/または療法の反応性、および/または治療法(例えば、候補薬)の有効性、および/または治療法の選択、および/または変更(例えば、個々の患者に対する薬または処方量の変更)を示し得る。従って、壊死を示すインサイチュのパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、患者の予後に対する有用なバイオマーカであり得る。特定の実施形態において、腫瘍の領域内の壊死は、その領域内の一つ以上の以下のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)によって示され得る:血管構造の崩壊、不十分な血管形成(例えば、腫瘍の他の領域または腫瘍の周辺と比較して血管の密度が低い)、時間の経過による血管のサイズまたは形状の変化、閾値よりも低い血管の数、腫瘍のボリューム内で、閾値の距離よりも大きい(例えば、100ミクロンを上回る、150ミクロンを上回る、または200ミクロンを上回る)距離だけ離れた血管、低い血管形成率を示す微細血管の直径および/または密度など、またはそれらの任意の組み合わせ。一部の実施形態において、駆血の量または低い血管形成率は、評価または定量化され得、壊死のインジケータとして使用され得る。理解されるべきは、壊死の他の徴候が、単独または血管の特徴と組み合わせて使用され得るということである。他の徴候は、(例えば、CTなどを使用して)視覚化され得る組織崩壊または空洞形成の徴候、および/または代謝活性の一つ以上のマーカ(例えば、PETスキャンなどを使用して分析され得るマーカ)を使用する組織の生存可能性の徴候を含み得る。
【0082】
本発明の局面は、被検体(例えば、被検体の腫瘍内)の壊死エリアの感知(例えば、自動的な感知)のために使用され得る。壊死の領域は、病気の組織の境界内の無血管の領域である。本発明の方法は、血管形成された病気の組織と、壊死の領域の境界を定義する無血管の領域との間の移行を、(例えば、自動的に)感知するために使用され得る。
【0083】
本発明の局面は、療法に対する反応を(例えば、自動的に)感知または評価するためにも使用され得る。例えば、療法(例えば、特定の薬、および/または薬の特定の用量、および/または薬およびこれらの薬の特定の用量の組み合わせなど)に対する反応は、以下のように感知および評価され得る。血管パターンに関する変化(例えば、血管の正常化/直線化、微細血管の密度を低くすること、および大きい血管に対する血管の直径の分布を非対称にすることをもたらす小さい直径の血管の消失)は、病気の組織の境界および壊死エリアの境界によって定義されたボリュームで感知および/または評価され得る。病気(例えば、腫瘍)のボリュームの全ボリュームが、一定である間の壊死エリアの絶対的なボリュームサイズおよび/またはそのような変化の割合に関する増加は、療法が有効であるインジケータとして感知および/または評価され得る。壊死エリアの絶対的なボリュームサイズと、病気(例えば、腫瘍)の全ボリュームとの間の比率に関する増加、および/またはこの比率に関する変化の割合は、感知および/または評価され得、療法の有効性のインジケータとして使用され得る。病気の組織のボリュームと壊死領域のボリュームとの比率は、感知および/または評価され得、その比率が、1に近づき、病気の全組織のボリュームが、収縮し始めるときに、その比率は、療法は有効であるという表示を提供する。
【0084】
血管の構造表示は、特定のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別および評価するためにマインされ得、該特定のパターンは、血管が正常であるか、または(例えば、病気に関連して)異常であるかの確率に関するスコアを提供するために使用され得る。血管をスコアリングするためのパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、限定するわけではないが、以下のものを含む:直径、湾曲、(例えば、捻れの程度、異常な捻れが観察される血管の長さなどを含む)捻れ、(距離またはボリュームに関する空間的な多様性または異質性を含む)多様性または異質性、分枝の形状またはパターン、分枝の密度、分枝の階層性、血管密度、血管サイズの分布(大きい血管系に対する微細血管系の比率)、フィールドイフェクト(特定の領域に向かって曲っている血管の存在)、血管の直径の分布、血管またはその断片の幾何学的な方向の変動性、およびフィールド内の方向の分布。二つ以上のこれらのパラメータが評価される場合には、スコアは、さらなる有意性を有する。一部の実施形態において、スコアは、さらなる情報と組み合わされたこれらの構造パラメータのうちの一つ以上を使用して生成され得る。該さらなる情報は、例えば、患者固有の医療情報(例えば、年齢、体重、身長、性別など)、病気の一つ以上のさらなるインジケータの存在、例えば、X線または他のイメージ上の可視の病変である。一部の実施形態において、スコアが、腫瘍に関して提供され得る。有用なスコアの例は、腫瘍の血管分布を反映させるスコアである。(通常の血管の数、密度、長さ、またはそれらの組み合わせよりも高いとして測定された)異常に高い血管分布は、進行性、または侵襲性の腫瘍を概して示している。一実施形態において、血管分布は、血管形成の血管系の内腔の容積(腫瘍と関連付けられる血管の樹形分岐内の容積)を測定することによって評価され得る。別の実施形態において、血管分布の評価基準は、充実性腫瘍のボリュームによって血管形成の内腔のボリュームを割ることによって提供され得る。さらなる情報は、二つ以上の時点において、スコア(または他の構造評価)を獲得することから収集され得る。変化スコア(または他の構造評価)は、発達している血管を示し、該発達している血管は、病気または疾患と関連付けられ得る。理解されるべきは、本明細書において記述されているパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、研究されている血管に結合性をインポーズすることなく、分析フィールドに関して識別および分析され得るということである。一部の実施形態においては、血管の断片のみを分析して、個々の血管の一つ以上の構造的特徴、または通常の特徴とは異なる血管のフィールドの幾何学的な特徴を感知すれば充分である。例えば、長さの平均が、0.5mm、1mm、5mm、10mm、50mm、1cm、5cm、10cm、50cmなどである血管の断片が使用され得る。しかしながら、理解されるべきは、より短いか、またはより長いか、または中間の長さが使用され得るということである。
【0085】
本明細書において記述されている本発明のスコアリングおよびマインの局面は、自動化され得る。従って、病気(例えば、血管形成)の血管系は、正常な血管系の中から自動的に感知され得る。様々な血管系のパラメータは、別々に、または血管の捻れ、血管の分枝、血管の密度、および全血管間のボリュームを含む任意の組み合わせのいずれかで、自動的に感知およびスコアされ得るが、本発明は、どのような特定のパラメータまたは組み合わせにも限定されない。
【0086】
一実施形態において、本発明の局面は、閉塞された血管および血栓塞栓性のイベントを感知するために使用され得、該血栓塞栓性のイベントは、脳卒中、肺塞栓症、閉塞された微小冠状動脈、深部静脈血栓症などを含む。閉塞された血管は、(1)閉塞された血管内の構造変化を直接的に感知すること(例えば、血栓、血管壁の肥厚、または減少した流れに関する他のサインを感知すること)、および/または(2)閉塞に反応して生成される新たな血管系を間接的に感知することによって、感知され得る。概して、側副血管の形成は、ガンと関連する血管形成よりも規則的である。本明細書に記述されている本発明の一局面は、血栓が、小さい血管において感知されることをも可能にする。
【0087】
上記のように、本発明の局面は、人間または他の動物の全血管構造をスクリーニングして、あらゆる組織におけるあらゆる形態の異常に関してスクリーニングするために使用され得る。代替的に、体のサブセットがスクリーニングされ得る。従って、血管系構造、例えば、血管の樹形分岐は、一つ以上の臓器または組織のタイプに関して分析され得る。さらに、血管系の一部分のみが、そのボリュームにおける全樹形分布ではなく、任意の標的ボリューム内で分析され得る。これは、関心のエリアに焦点を置かれた構造データを分析することによって行われ得るか、または多量の構造データが、獲得され得るが、分析は、利用可能なデータのサブセットに制限され得る。一部の実施形態において、血管の樹形分岐の一部分のみ、例えば特定のサイズである血管のみが、表示および/または分析され得る。他の実施形態において、血管の樹形分岐の断片が、関心のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を提供するために充分に有用であり得る場合には、血管の樹形分岐の断片のみが、表示および/または分析される。断片は、分枝を含み得るか、または分枝されないかもしれない。分析される血管系の一部分は、統計的に有意であり得、あらゆる観察(正常または異常)が、生理学的に有意である。例えば、かなりの数の血管構造が分析されて、血管の高い密度のような血管の変化(例えば、血管形成)と関連付けられ得るその他のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を感知していると確信する場合には、分枝された構造は、分析を要求されないことがあり得る。本発明の局面において、血管パターンは、1mm3、2mm3、5mm3、1cm3、2cm3、5cm3、
10cm3などのボリュームにおいて、インサイチュで感知および/または評価され得る。しかしながら、より小さい、またはより大きい、または中間のボリュームがまた、分析され得る。
【0088】
異なる組織および臓器は、異なり、かつ、特性的な血管パターン(例えば、血管形成率の高い肺)を有する。従って、一実施形態において、構造分析および関連する構造パラメータは、異なる組織の評価のために最適化され得る。
【0089】
一部の実施形態において、スキャンデータは、一つ以上の臓器(例えば、肺、心臓、結腸、脳、肝臓、膵臓、腎臓、胸、前立腺など)、または組織(皮膚、骨など)、または上記の任意の一部分に関して、獲得および/または分析され得る。
【0090】
脳は、脳腫瘍および/または血管パターンに関する変化と関連付けられ得る他の神経性疾患のサインに関して評価され得る。例えば、アルツハイマー病は、特定の血管の異常と関連付けられ得る。一実施形態において、血管のパターン(例えば、形状および/またはサイズ)に関する一つ以上の変化は、脳における高血圧のインジケータとして感知され得る。
【0091】
一部の実施形態において、臓器または組織の特定の固有の領域に焦点を置かれる。例えば、アテローム血栓症は、一般的に、動脈の樹形分岐の特定の部分(例えば、分枝点、側枝、分枝部と対向する領域、および血管形成が、多くの場合にアテローム血栓症と関連して生じる他のエリア)において見つけられ、特定のガンは、臓器または組織の特定の領域において、頻繁に生じる傾向にある(例えば、結腸ガンは、結腸の長さに沿って均等に分布されない)。
【0092】
他の実施形態において、本発明の局面は、病気の他の一つ以上の徴候(例えば、便潜血、結腸ポリープ、肺結節、一つ以上の嚢胞、または病気の他の徴候)を有するとして識別されている個人を経過観察するために使用され得る。本発明の局面は、病気の存在を確認し、病気関連の病変に関する位置を決定し、病気の評価または予後を提供するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、異常な血管系が、病変の場所(例えば、結腸ポリープ、肺結節、膀胱嚢胞、前立腺嚢胞、胸嚢胞、マンモグラフィ上の点、またはその他任意の嚢胞、しこり、あるいは物理的、視覚的に、またはその他任意の診断技術を使用して感知され得る点)に存在するかどうかを決定し、病変と関連する悪性腫瘍の可能性(または、他の発がん性の病気の段階)を評価することを助けるために使用され得る。従って、本発明の局面は、事実上の悪性腫瘍の感知(例えば、実際の結腸鏡検査、実際の結腸の悪性腫瘍感知、実際の気管支鏡検査、実際の肺の悪性腫瘍感知、実際のマンモグラフィ、実際の膀胱鏡検査など)のために使用され得る。
【0093】
他の実施形態において、本発明の局面は、ガン患者をスクリーニングし、発ガン性の病変の程度を評価し、および/または一つ以上の転移性病変(例えば、血管形成と関連する一つ以上の部位)の存在に関してスクリーニングするために使用され得る。ガン患者は、原発性ガンの最初の診断に関してスクリーニングされる。さらに、または代替的に、ガン患者は、最初のガンの治療(例えば、手術、放射線療法、および/または化学療法)の後に、少なくとも一度、検査され得る。このスクリーニングは、あらゆるガンの再発を感知するために、最初のガンの位置を含み得る。このスクリーニングは、同じ組織または臓器における他の病変の存在に関して検査するために、同様の体の組織を含み得る(例えば、発がん性の病変が、結腸の一領域において感知される場合、結腸全体が、スクリーニングされ得、発がん性の病変が、胸の一方において感知された場合には、もう一方の胸が、スクリーニングされ得る、など)。このスクリーニングは、全身または転移性の病変を含んでいると考えられている一つ以上の他の部位にも広げられ得る。一実施形態において、ガン患者は、最初のガンの治療の後に、数回(例えば、約6ヶ月、約1年、約2年、約5年間隔、または他の時間間隔)検査され得る。
【0094】
一実施形態において、経過観察処置は、転移性病変の存在に関して、一つ以上の臓器または組織をスクリーニングすることを含み得る。異なるガンは、特性の異なる転移のパターンを有し得る。従って、異なる標的部位は、異なるガンに関してスクリーニングされ得る。例えば、転移性乳ガンは、一般的に、肺、肝臓、骨、および/またはCNSに広がる。従って、患者が、乳ガンと診断された後に、これらの組織のタイプまたは臓器のうちの一つ以上が、診断され得る。同様に、患者が、別のタイプのガンと診断された後に、他の標的部位が、スクリーニングされ得る。一部の実施形態において、ガン患者の全身が、転移の徴候に関して検査され得る。
【0095】
一局面において、最初のスクリーニングは、病気の徴候を感知するために、低解像度の表示を使用して、および/または、例えば、一つまたは二つまたは小さい数(例えば、5未満)のパターンパラメータを分析して、全身または全臓器に対して実行され得る。続けて、病気の存在または特性は、高解像度の表示を使用して、および/または、例えば、一つ以上のさらなるパターンパラメータ、または最初の分析に対して使用されたパターンパラメータではない代替的なパターンパラメータを分析して診断され得る。
【0096】
理解されるべきは、本発明の一部または全ての局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0097】
(診療用の適用)
本発明の局面は、病気と関連する一つ以上の構造異常を位置特定することによって、病気の位置を識別するためにも使用され得る。この情報は、バイオプシー処置または治療(一つ以上の毒性のある化学物質を使用する治療、放射線、加熱、加冷、小分子、遺伝子療法、手術、その他任意の治療、または上記のうちの二つ以上の組み合わせ)を病変の正確な位置に向けるため、または任意の他の目的のために使用され得る。
【0098】
一実施形態において、イメージングデバイスは、病変のリアルタイムの視覚的表示を提供するコンピュータに接続される。一実施形態において、リアルタイムの視覚的表示は、(実際のイメージとは異なり)関連する血管系を伴う、体の領域および病変の正確なモデルである。この視覚的な情報は、バイオプシーの手術器具を導くために使用され得る。代替的に、情報は、侵襲性(例えば、手術による除去またはバイパス)または非侵襲性(例えば、放射線)の治療処置を病変(腫瘍または血栓)の位置に導くために使用され得る。
【0099】
一実施形態において、本発明の局面は、治療が適用される前に、治療のための組織のエリアを識別するために使用され得る。例えば、治療の標的領域は、無秩序な血管構造の境界を感知することによって識別され得る。エリアは、治療の後に、治療が適切に向けられたということを確認するために評価され得る。一実施形態において、構造は、体の領域から取り除かれるべき組織の程度を識別するために、手術前に分析され得る。一実施形態において、体の領域は、どのような異常な構造も取り残されていないかどうかを決定するために、手術後に分析され得る。これは、放射線治療または病気の組織の手術による除去の成功を確認するために使用され得る。代替的に、これは、さらなる手術および/または他の形態の治療に関して決定するために使用され得る。別の実施形態において、病気の境界は、異常な血管系の境界によって定義され得るか、または描かれ得る。治療(例えば、放射線療法、手術など)は、病気の境界によって取り囲まれているボリュームによって導かれ得、および/または該ボリュームに抑制され得る。
【0100】
一実施形態において、本発明の局面は、手術によるインプラントまたは移植の成功を評価するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、臓器または組織の移植後に、新たな血管形成を評価するために使用され得る。
【0101】
別の実施形態において、新たな血管の発達は、腫瘍組織の除去の後、または腫瘍のバイオプシーの後にモニタリングされ得、腫瘍組織の除去と腫瘍のバイオプシーとの両方は、血管形成の引き金となり得、および/または未発育腫瘍を悪性の腫瘍に転換させ得る。
【0102】
理解されるべきは、本発明の介入用の局面の一部または全ては、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0103】
(療法)
本発明の局面は、患者に対する治療法を最適化するためにも使用され得る。病気の進行または後退の程度は、様々な治療のタイプまたは投薬量に反応してモニタリングされ得、最適な治療が、識別され得る。最適な治療は、病気の進行に応じて変化し得る。時間の経過に従って、治療の有効性が、本明細書において記述されている本発明の局面を使用して、病気関連のパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)に関する変化を分析することによってモニタリングされ得る。
【0104】
一実施形態において、第1の療法が、行なわれ得、異常な血管の成長を遅くすること、止めること、または後退させることに関する有効性が、不規則にか、または一定の時間間隔(例えば、毎日、毎週、毎月、または他の時間間隔)でかのいずれかで、モニタリングされ得る。一部の実施形態において、第1の療法計画が、病気の進行に関して所望の効果を有さない場合には、第2の療法計画が、評価され得る。同様に、さらなる療法計画が、患者単位で評価され得る。さらに、本発明は、療法のわずかな変化の効果をモニタリングすること、および病状および患者にとってもっとも効果的であるように見える状態を使用することによって、選択された療法計画(例えば、投薬量、タイミング、デリバリ、あるいは薬または他の治療)を最適化するために使用され得る。
【0105】
治療に関する療法の有効性を見る場合には、病気固有のパラメータが、モニタリングされ得る。もちろん、全てのパラメータが獲得され得、サブセットのみが、レビューされ得る。しかしながら、病気を特徴付けるパラメータ(の表示)のみを単に獲得することが、最も効果的であり得る。
【0106】
本発明の局面に従って、血管形成の血管系および他の異常な血管を感知するために使用されるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、治療に反応する病気をモニタリングするためにも使用され得る。例えば、全血管分布、あるいは血管形成または他の病気の血管系その他任意の容積分析と、血管のサイズの分布(例えば、大きい血管に対する小さい血管の比率)とは、個々にまたは共に、病気の進行または後退のインジケータとして使用され得る。概して、血管形成治療(または他の病気の治療)が効果的である場合には、微小血管系は、大血管系になる前になくなる。従って、効果的な治療では、血管サイズの分布において、より大きい血管向かうシフトが生じる。抗血管形成活性マーカは、小さい血管の消失か、または観察された血管の単一のサイズへのシフトかのいずれか(または両方)としてスコアされ得る。
【0107】
別の局面において、パラメータは、時間の経過による変化であり得る(または該変化を含み得る)。例えば、第2の時間に存在する構造は、第1の時間に存在する構造と比較され得る。一実施形態において、病気は、治療前および/または治療後に追跡され得る。当然、さらなる時点が使用され得る。時点は、観察される状態(例えば、すでに識別された病気の進行、時間の経過による患者の検査)に依存し得る。期間は、毎日、毎週、毎月、毎年、あるいは、短い、中間、または長い時間であり得る。時間間隔は、一連の規則的な時間であり得る。しかしながら、他の時間間隔もまた、有用であり得る。一実施形態において、患者固有のベースラインが、設定され、時間の経過と共にモニタリングされる。例えば、結腸、胸、または他の組織または臓器における血管系の変化は、定期的にモニタリングされ得る。
【0108】
本発明の一局面において、治療のタイプは、異常な血管構造(例えば、血管形成)の段階または程度によって決定され得、該血管構造は、一つ以上の病気であると疑わしい部位(例えば、ガンである部位)において感知される。例えば、ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍は、血管形成前であるか、または早期の血管形成と関連付けられた場合には、どのような形式の治療もすることなく、部位をモニタリングすることが適切であり得る。しかしながら、適切な療法は、一つ以上の血管形成抑制剤を投与して、あらゆる新たな血管形成を防止することを含み得る。ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍を有する患者が、中期の血管形成と関連付けられる場合には、適切な療法は、一つ以上の血管形成抑制剤を投与することである。疑わしい部位において中期の血管形成を有する患者もまた、モニタリングされるべきであり、あらゆる血管の発達が、もっと積極的に治療され得る。ガンであると疑わしい部位または悪性腫瘍が、後期の血管形成と関連付けられる場合には、適切な治療は、化学療法(例えば、細胞毒性の化学療法、および/またはホルモンベースの化学療法)、放射線治療、手術、および/または一つ以上の血管形成抑制剤を使用する治療のうちの少なくとも一つ以上を含み得る。しかしながら、理解されるべきは、上記の治療オプションのうちの任意のものが、あらゆる段階の血管形成と関連付けられる病変のうちの一つ以上のものを有する患者を治療するために使用され得る。
【0109】
血管形成抑制剤の例は、限定するわけではないが、2−メトキシエストラジオール(2−ME)、AG3340、アンギオスタチン、アンギオザイム、アンチトロンビンIII、VEGF阻害剤(例えば、抗VEGF抗体)、バチマスタット、ベマシツマブ(アバシツマブ)、BMS−275291、CAI、2C3、HuMV833カンスタチン、カプトプリル、軟骨誘導阻害剤(CDI)、CC−5013、セレコクシブ(CELEBREX(登録商標))COL−3、コンブレタスタチン、コンブレタスタチン A4フォスフェイト、ダルペパリン(FRAGIN(登録商標))、EMD 121974(シレンジタイド)、エンドスタチン、エバロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ)、ゲニステイン、ハロフジノン臭化水素(TEMPOSTATINTM)、Id1、Id3、IM862、メシル酸イマチニブ、IMC−ICl1誘導性タンパク質10、インターフェロン−α、インターロイキン 12、ラベンダスチン A、LY317615またはAE−941(NEOVASTATTM)、マリマスタット、マスピン、メドロキシプロゲステロン、アセテート、Meth−1、Meth−2、ネオバスタット、オステオポンチン分割生成物、PEX、ピグメント上皮成長因子(PEGF)、血小板因子4、プロラクチンフラグメント、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222584、ZD6474、組み換え人間血小板因子4(rPF4)、レスチン(Restin)、スクアラミン、SU5416、SU6668、SU11248、スラミン、タキソール、テコガラン、サリドマイド、トロンボスチン、TNP−470、トロポニン(Troponin)I、バソスタチン、VEG1、VEGF−Trap、およびZD6474を含む。
【0110】
一部の実施形態は、治療の対象を選択する方法、および/または特定のインサイチュの血管構造の分析に基づいて、治療、または療法のコースを選択する方法を含み得る。方法は、人間の被検体におけるインサイチュの血管構造を分析して、例えば、スコアを獲得することを含み得る。スコアは、(例えば、明らかに健康な集団における)コントロールスコアまたは同じ被検体に対する以前の分析からの以前のスコアと比較され得る。治療または療法のコースは、そのような比較に基づいている。一部の実施形態において、血管構造の分析を獲得することが、時間の経過による療法に対する人間の被検体の反応をモニタリングするように繰り返される。本発明のこの局面の一部の実施形態において、方法は、人間の被検体に関する病気の第2のマーカを測定することをさらに包含し、治療または療法の進行に関する決定は、第2のマーカの測定にも基づく。
【0111】
特定の実施形態において、血管形成下にある腫瘍(例えば、悪性腫瘍のサインを示す腫瘍)を有する患者が、一つ以上の抗血管形成化合物を用いる治療のために選択され得る。血管形成下にある腫瘍は、密度の低い血管を有する腫瘍として識別され得るか、または血管の直径が小さい(例えば、血管形成された腫瘍に一般的な閾値を下回る)腫瘍として識別され得る。
【0112】
本発明の局面は、時間の経過による血管のパターンまたは特徴の存在をモニタリングすることによって、療法の有効性をモニタリングすることをも含み得る。例えば、治療に反応した、腫瘍における血管の進行性の消失は、療法が有効であることのサインであり得る。逆に、血管形成に対する影響の不在は、治療が患者に対して効果的ではないインジケータであり、かつ、代替的な療法が考えられるか、または使用されるべきであるというインジケータであり得る。
【0113】
理解されるべきは、本発明の療法の局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0114】
(研究)
一実施形態において、本発明の局面は、関心の生物学的なプロセス(例えば、病気の発達および進行)と関連する構造変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の血管系は、さらなるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を識別するために分析され得、該パターンは、傷の治療、または異なる病気、または異なる病気の段階と関連付けられ得る。これらのさらなるパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)は、本発明の診断、診療、療法、および開発の局面のうちの一つ以上において使用され得る。
【0115】
一実施形態において、本発明の局面は、医療処置と関連付けられる構造変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の血管は、手術後の傷の治療またはインプラント/(異種移植を含む)移植の成長または拒絶反応と関連付けられる変化を識別するために分析され得る。
【0116】
理解されるべきは、本発明の研究の局面の一部または全てが、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0117】
(薬のスクリーニングおよび妥当性の確認を含む新たな治療の開発および評価)
別の実施形態において、本発明の局面は、化合物ライブラリのスクリーニングにおいて使用され得るか、または異常な内部構造(例えば、異常な管状の網状組織)と関連付けられる病気を治療する候補化合物の妥当性を確認するために使用され得る。本発明の局面は、内部構造の変化に関する効果的な高スループット分析を可能にする。これらの変化は、特定の病気に対する代理マーカ(バイオマーカ)としての役割を果たし得る。結果として、スクリーニングのプロセスは、かなりの程度、自動化され得、多くの場合に、病気の兆候の変化を待つことを含み、組織のバイオプシーを必要ともし得る現在の妥当性の確認と比較した場合には、結果を獲得するための時間は、かなり短縮される。
【0118】
代理マーカ:本発明の局面は、血管パターン(例えば、構造的特徴)を識別および定量化するために使用され得、該血管パターンは、診断、療法、および研究開発の目的で、代理マーカとして使用され得る。代理マーカは、診断、療法評価、および薬の開発の時間を短縮するために有用である。代理マーカは、臨床的な結果(例えば、薬に反応した生存時間の増加)を待つことなく、病気の診断、病気の予後、または薬の有効性に対する早期のインジケータとして使用され得る。故に、血管系の分析結果は、(臨床前または臨床試験の両方において)薬の開発、臨床検査(例えば、胸、肺、または結腸の検査)、および臨床療法のモニタリングに対する代理マーカとして使用され得る。例えば、血管系構造は、血管形成関連の病気、例えば、ガンに対する有用な代理マーカである。
【0119】
一実施形態において、本発明の局面は、病気と関連付けられる新血管系形成および/または血管形成パターンの変化を処理することの有効性に関して、候補の化合物または療法をスクリーニングおよび/またはその妥当性を確認する方法を提供する。本発明の局面は、(例えば、これらの化合物を実験用の動物、例えば、マウスに、個々にまたはまとめて投与して、血管形成の血管系に対する効果を評価することによって)単一または小数の化合物を評価するか、またはライブラリをスクリーニングして、複数の候補化合物を評価および/または識別するために使用され得る。ライブラリは、任意の数(例えば、約100〜約1,000,000)の化合物を含み得る。抗体、小分子などを含む異なるタイプの化合物が、検査され得る。しかしながら、本発明は、評価され得る化合物の数および/またはタイプによって限定されない。
【0120】
一実施形態において、候補化合物の有効性は、基準化合物と比較され得る。基準化合物は、構造に対して公知の効果を有する任意の化合物であり得る。例えば、Avastin(Genentech)は、血管内皮成長因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体として使用され得、該血管内皮成長因子は、新血管系の成長に対する候補化合物の効果をテストする基準として使用され得る。
【0121】
インビボモデル:本発明の局面に従って、化合物および療法は、インビボモデル、例えば、動物の病気のモデルに関して評価され得る。例えば、ガンまたは血管形成を有するマウスは、有用な療法を評価、最適化、および識別するために使用され得る。他の動物モデルもまた使用され得る。本発明の局面は、高スループット分析に対して有用であり得る。なぜならば、高スループット分析は、血管系におけるわずかな変化も感知することができ、侵襲性の処置が、ほとんど、または全く必要とされないので、最低限の操作で、短時間で、療法を評価するために使用され得る。
【0122】
本発明の血管分析の局面は、同所性のモデルに対して、例えば、短期間で薬の有効性をテストするために使用され得る。例えば、マウスの腫瘍の同所性のモデルにおける血管形成に関する候補薬の効果は、約5日後(例えば、モデルと薬に依存して、1日〜10日の間)に定量化され得る。逆に、皮下にガンのある動物のモデルは、腫瘍の成長が、分析され、かつ、コントロールと比較されるために、約1ヶ月を必要とする。
【0123】
同所性のモデルは、異なる病気または臨床的な状態をモデリングするために使用され得る。例としては、ガン、組織の再生成、(外傷の後の治療、外科的診療の後の治療、火傷した組織、例えば皮膚の治療を含む)傷の治療、組織または臓器移植療法、医療デバイスのインプラント療法、新血管系形成または正常な血管構造における変化と関連付けられる他の状態、あるいは上記の二つ以上の任意の組み合わせを含む。しかしながら、本発明は、同所性のモデルのタイプ、または病気のタイプ、または分析される臨床的な状態によって限定されない。
【0124】
単一の同所性の病気のあるモデル動物は、二つ以上の候補薬の分子をテストするために有用であり得る。なぜならば、分析は、モデル動物を犠牲にすることを含んでいないからである。従って、いったん、第1の候補に関するテストが完了すると、次の候補が、同じモデル動物において評価され得る。モデルは、分析に必要である新血管系形成の特徴を保持する場合には、一連の候補が、適切なコントロールを用いて、単一のモデル動物においてテストされ得る。
【0125】
理解されるべきは、本発明の開発の局面は、本明細書において記述されているように自動化され得るということである。
【0126】
また理解されるべきは、本明細書において記述されている任意の一つ以上の構造パラメータは、基準パラメータとの比較によって評価され得るということである。一部の実施形態において、基準パラメータは、正常なまたは健康な被検体に関する基準パラメータの量またはスコアであり得る。他の実施形態において、基準は、病気の状態を表し得る。一部の実施形態において、本明細書において記述されているような病気または状態と相関するか、または関連付けられる任意の構造パラメータの変化または量は、病気またはテスト被検体におけるそのパラメータにおいて、基準被検体に対して統計的に明確な変化または相違があり得る。一部の実施形態において、構造パラメータにおける相違または変化は、特定のパラメータ(またはパラメータの組み合わせ)における増加または減少であり得る。パラメータにおける増加は、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または基準の被検体に対するテスト被検体
に関してそのパラメータにおけるさらなる増加となり得る。同様に、パラメータにおける減少は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70
%、80%、90%、100%、または基準の被検体に対するテスト被検体に関するパラメータにおけるさらなる減少となり得る。いったん、パラメータにおける変化または相違の量が、病気または状態と相関されるか、または関連付けられると、そのレベルが、本発明に従ったその次の方法において使用され得る。従って、一部の実施形態において、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、
90%、100%、または基準の被検体に対する任意の所定の構造パラメータ(例えば、捻れ、密度、ボリューム、またはその他任意の個々の構造的特徴、あるいは本明細書において記述されているような構造または構造的特徴の分布)のさらなる相違は、本明細書の方法に対する閾値として使用され得る。理解されるべきは、より高いか、より低いか、または中間の値が使用され得るということである。また理解されるべきは、異なるパラメータは、異なる基準値または閾値を有し得るということである。また、異なるパラメータ(および/または各パラメータに対する異なるレベル)は、異なる状態または病気と関連付けられ得る。従って、特定の病気または状態の値または閾値は、異なるパラメータまたはそれらの組み合わせに対して識別され得る。これらの閾値は、本明細書において記述されている病気の感知、診断、モニタリング、またはその他任意の療法、臨床、または研究の適用(例えば、本明細書において記述されている自動化された方法)に対して使用され得る。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
以下の実施例は、どのように本発明の局面が、異なる病気と関連付けられた血管構造を分析することによって、診断、療法、および研究の目的のために使用され得るかを示している。しかしながら、理解されるべきは、本明細書において記述されている技術は、異なる構造および異なる病気または状態に適用され得るということである。
【0128】
骨の分析:乳ガンは、多くの場合に骨に転移する。しかしながら、骨肉腫の病変を感知する最適な方法に関する意見の一致は、現在のところ存在していない。一実施形態において、本発明の局面は、骨の中の血管構造(および/またはその変化)を分析することによって、骨の病変を診断し、治療に対する反応を評価するために使用され得る。骨の病変は、溶骨性、造骨性、またはそれらの組み合わせを含む任意のタイプであり得る。骨髄における病変もまた、識別、診断、および/または評価され得る。骨は、容易に認識される一般的な血管系を有する。本明細書において記述されている技術を使用して、血管系における変化および新たな血管の特徴は、正常な骨の血管系と区別され得る。
【0129】
特定の従来技術の骨のスキャン技術、例えば、PETは、放射性ラベルされたマーカを使用して、ガン性の組織を識別する。しかしながら、そのようなスキャンは、複雑であり、かつ、費用もかかり、患者の骨の中のガン性の病変の存在の可能性に関して、明確な不安がある場合にのみ使用される。本明細書において記述されている本発明の局面は、放射性ラベルされたマーカを必要とはせず、解釈が容易であり得、かつ、自動的に評価され得る構造情報を提供する。骨の血管系分析は、乳ガン患者が、骨の部位に対するガンの転移に関するあらゆる早期のサインを感知するために特に有用である。しかしながら、本発明の局面は、健康な被検体を検査して、その骨における血管の変化のあらゆるサインを感知するためにも使用され得る。
【0130】
理解されるべきは、本発明の局面は、骨肉腫の段階を評価し、かつ、骨肉腫に対する治療を最適化するために有用である情報もまた提供するということである。
【0131】
糖尿病性網膜症:糖尿病性網膜症は、糖尿病を有する患者における新たな血管形成から生じる。糖尿病性網膜症は、進行して失明へ導く網膜の機能不良および視覚の合併症をもたらす。早期に感知された場合には、糖尿病性網膜症は、治療または適切に処置され得る。例えば、血管の増殖が早期に感知された場合には、レーザー光凝固療法が、失明を防止するために使用され得る。一実施形態において、本発明の局面は、糖尿病性網膜症と関連付けられる血管の増殖を早期に感知するために、非侵襲性であるように使用され得る。本明細書において記述されている技術は、蛍光眼底血管造影または眼底造影のような技術よりも早い新血管形成のサインの感知を可能にし得る。さらに、本発明の一部の実施形態は、専門家が患者と同じ病院にいることを必要としない。なぜならば、感知および診断が、患者から抽出された網膜の血管構造の情報に基づいて、遠隔の位置において実行され得るからである。
【0132】
本発明の局面は、糖尿病患者の失明を防止または最小化する治療法をモニタリングおよび最適化するためにも使用され得る。特に、血管構造の情報は、糖尿病性網膜症の早期の段階までに影響を受けている網膜の領域に対する治療を標的とするように使用され得る。モニタリングおよび治療の局面もまた、遠隔の位置にいる専門家によって調整され得る。
【0133】
肺ガン:肺ガンは、ガンによる死の主な原因であり、早期の感知が、生存の可能性を高める最も効果的な技術である。肺ガンは、従来技術の二次元の胸部X線撮影および三次元のCTスキャンにおいて、肺結節として現れる。しかしながら、従来技術を使用して感知され得る肺結節の前に現れる肺の血管系における早期の変化を感知するために、本発明の局面が使用され得る。
【0134】
一実施形態において、被検体の肺の血管系は、現在の胸部X線撮影またはCTスキャン分析技術を使用して、最初に感知された肺ガンの診断を補完または確認するために、本発明の局面に従って分析され得る。X線でのスポットと同じ位置にある異常な血管系の存在により、その場所における腫瘍の存在を確認し得る。
【0135】
別の実施形態において、本発明の局面は、異常な肺の血管系を識別する最初の検査として使用され得る。理解されるべきは、少量の血管形成の血管が感知された場合には、経過観察分析が、現在の胸部X線撮影またはCTスキャン技術を使用して実行され得るということである。しかしながら、血管形成の血管が早期に感知された場合には、ガンのスポットは、現在の非侵襲性の技術を使用しては見ることが出来ない。一実施形態において、医師は、気管支鏡を被検体の鼻または口を介して挿入して、咽喉を通過して被検体の気道および肺に接近して、疑わしい組織のサンプルを取得することによって、血管形成の領域のバイオプシーを獲得し得る。もちろん、代替的なバイオプシーの方法が使用され得る。バイオプシー技術は、異常な血管構造を含んでいる組織サンプルが除去されたということを確認するために、本発明の局面を使用して導かれ得る。疑わしい組織のサンプルは、例えば、ガンまたは他の病気の一つ以上の分子インジケータの存在に関してアッセイするために、研究所において分析され得る。しかしながら、一実施形態において、本発明の局面は、組織のバイオプシー(例えば、気管支鏡バイオプシー)を使用することなく、状態を診断することに充分である仮想のバイオプシーを提供する。一実施形態において、本発明の局面は、侵襲性のパイオプシー治療を使用することなく、病変が成長し、かつ、悪性であるのかを決定するために、(例えば、比較的小さい時間増分、例えば、時間、日、週によって離れたいくつかの時点において、病変を分析することによって)病変をモニタリングするために使用され得る。
【0136】
一実施形態において、肺ガンの危機に瀕した被検体は、本明細書において記述されている本発明の局面に従って、異常な肺の血管系の構造に関して、定期的に検査され得る。肺ガンのリスクは、限定するわけではないが、喫煙、汚染、および家族歴を含む。
【0137】
慢性閉塞性肺病:(COPD):COPDは、2つの密接に関連する呼吸器系の病気、例えば、慢性気管支炎および気腫に関して使用される用語である。多くの患者において、もう他方の病気よりも多くの一方の病気の症状が存在し得るが、これらの病気は併発する。
【0138】
一実施形態において、本発明の局面は、COPD/気腫の早期のサインを早く感知し、病気の進行ならびに薬および他の療法に対する応答をモニタリングするために使用され得る。COPD/気腫の早期のサインは、低酸素症に応答した、病気の肺における血管成長の増加を含む。これらのサインは、慢性の咳および進行性の心臓および肺の不全の発達のような症状の前に感知され得る。喫煙者およびやや呼吸の短い被検体を含む危機に瀕した被検体は、本発明の方法に従って定期的にスクリーニングされ得る。
【0139】
肺塞栓症(PE):肺塞栓症は、被検体の肺の中の塞がれた動脈から生じ得る。毎年、600,000人以上のアメリカ人が、深刻で、多くの場合に致命的な結果を有する肺塞栓症を経験する。ほとんどの場合に、閉塞は、体の他の部分から肺に移動してきた一つ以上の血塊によってもたらされる。
【0140】
本発明の局面に従って、一つ以上の血塊は、被検体の肺に移動して深刻な障害をもたらす前に感知され得る。血塊の最も一般的な発生源は、足の深静脈である。血塊は、足の静脈から解き放たれ、肺の中の肺動脈に移動し得、肺において、血塊は、血液の流れを塞ぎ、血塊が足の静脈にある場合よりもさらに深刻な問題を引き起こし得る。比較的に小さい血塊は、肺への適切な血液の流れを妨げ、時には肺の組織に損傷をもたらす(梗塞)。血液の流れを完全に塞ぐ大きい血塊は、致命的であり得る。本発明の局面は、足の血管系を分析して、足の深静脈血栓症を感知するために使用され得る。足の深静脈血栓症に対する治療を受けている人々に関して、肺結節の割合は、最高約50%から5%未満に低下する。本発明の局面は、足の痛みまたは足の不快感のような症状を有する患者における足の深静脈血栓の存在を確認するためにも使用され得る。抗凝結剤を投与する前に、足の深静脈血栓症の存在を確認することは、重要であり得る。なぜならば、治療が、長期にわたる有害な合併症をもたらし得るからである。
【0141】
換気血流シンチグラフィ、足の血管の超音波診断、または肺の血管造影のような現在の技術は、多くの場合に、肺結節または足の深静脈血栓症に関する決定的な診断を明確にするには不十分である。明らかであることは、本発明の局面は、これらの状態を感知および診断することを助けるために、単独で、または現在の技術と組み合わせて使用され得るということである。
【0142】
本発明の局面は、被検体の肺の血管系における全範囲の血管の閉塞を感知するためにも有用であり得る。現在の技術は、大〜中程度のサイズの肺動脈(例えば、大動脈、大葉動脈、区動脈)における特定の閉塞を感知し得る。しかしながら、現在の技術は、亜区域性の血管およびより小さい血管における閉塞の感知のために限定的に使用され得る。本発明の局面は、これらのより小さい血管における閉塞を示すパターン(例えば、個々の構造的特徴または分布)を感知するために使用され得る。この情報は、被検体の治療を最適化するために使用され得る。
【0143】
病変および/または病気の位置の感知:病変および/または病気の位置は、完全に3Dで組織をスキャニングすることによって、および病気の組織の位置および/または境界を感知する方法として、病気固有の血管パターンを使用することによって感知され得る。疑わしいエリア(例えば、X線によって感知されたエリア)の周りに3Dボックスを置くことによって、病気固有の血管パターンは、病気の組織の境界を感知するために使用され得る。
【0144】
所定の療法に対して最も反応すると考えられる患者の感知および識別:
所定の療法に対して最も反応すると考えられる患者は、療法(例えば、抗血管形成療法または抗ガン療法)に対して最も反応すると考えられる患者を予測する方法として、壊死の領域の始まりと、適度な血管の病気の組織との組み合わせを使用して識別され得る。さらに、上記で識別された患者の壊死領域の増加は、療法に対する陽性の反応の確認として使用され得る。
【0145】
ガン/血管形成
本発明の局面は、組織の区別(例えば、正常な組織と腫瘍組織との間の区別)のために使用され得る。一部の実施形態において、血管の存在のみでは、充分に有益ではなく、組織および/または腫瘍固有の血管パターンが、本発明の方法に従った分析のために、識別および使用され得る。一部の実施形態において、悪性の組織と悪性ではない柔らかい組織とは、互いに区別され得る(例えば、良性の嚢胞と被検体の胸における腫瘍との対比、縦郭における良性のリンパ節と悪性のリンパ節との対比)。区別のために使用され得るパラメータは、限定するわけではないが、以下のもののうちの一つ以上を含む:血管の直径、血管の密度(血管のボリューム/腫瘍のボリューム)、血管の直径の分布曲線、血管の間の距離、血管の直径の多様性、捻れ、湾曲、分枝の密度など。
【0146】
本発明の局面は、療法的モニタリングのためにも使用され得る。これは、一つ以上の血管系のパラメータの定量化を含み得る。しかしながら、コンパレータは、療法前および療法後において、同じ腫瘍または組織であるので、このモニタリングは、様々な組織および/または腫瘍の識別に固有のパターンを使用することなく達成され得る。一実施形態において、血管系の療法前および療法後における変化は、(例えば、以前に識別された人間における大きい(>1cm)腫瘍およびマウスにおける大きい(>0.5cm)腫瘍に対して)定量化され得る。療法的モニタリングのために使用され得るパラメータは、限定するわけではないが、以下のもののうちの一つ以上を含む:血管の直径、直径の分布、血管の密度、血管の間の距離、分枝の密度、(例えば、「正常化」を探すための)血管の直径の多様性、捻れ、湾曲など。治療法は、一つ以上のこれらのパラメータの(例えば、パラメータのスコアまたは定量的測定値が、病気のレベルとは反対に正常に向けて戻る)正常化に基づいて評価され得る。
【0147】
(実施例2)
以下の実施例は、X線または他のスキャニングデバイスから獲得されたビューデータから画像を再構成するための特定のモデルベースの再構成技術に関する。以下で詳細に記述されるように、そのような技術は、小さい血管系(例えば、従来技術のCTスキャナを使用する場合、直径が約500ミクロンを下回る血管、または例えば、平面パネルの感知器を使用するマイクロCTスキャナのようなX線スキャナからのデータを使用する場合、直径が約50ミクロンを下回る血管)のモデルを生成するために使用され得る。しかしながら、理解されるべきは、以下に記述される技術は、様々な他の構造を感知および再構成するために使用され得るということである。
【0148】
対象に関するX線の情報は、X線源および対象に対するX線放射に反応する感知器のアレイを配置することによって獲得され得る。例えば、アレイ内の各感知器は、感知器の表面にぶつかるX線放射の強度と比例する電気信号を生成し得る。X線源とアレイは、様々な角度における対象の様々なビューを獲得するために、円形の経路内において対象の周囲を回転する。各ビューにおいて、アレイ内の各感知器によって生成された感知器信号は、X線源と感知器との間に実質的に一直線に並んでいる材料によって引き起こされる全吸収(すなわち、減衰)を示す。従って、感知器の信号のアレイは、対象の様々なビューにおける感知器アレイ上への、対象の投影を記録し、対象のビューデータを獲得するための一方法を提供する。
【0149】
X線スキャニングデバイスから獲得されたビューデータは、画像化される対象に関するビューの角度または方向の関数として、減衰情報(例えば、感知器の出力)を提供する任意の形式であり得る。ビューデータは、スライスと呼ばれる、対象の平坦な断面をX線の放射に露出させることによって獲得され得る。対象の周りの各回転(例えば、放射源および感知器アレイの180度の回転)は、対象の二次元(2D)のスライスに関する減衰情報を提供する。
【0150】
従って、X線のスキャニングプロセスは、対象の概ね未知の密度分布を、未知の密度に対応するビューデータに変換する。図6Aは、X線スキャニングプロセスによって実行される変換動作のダイアグラムを図示している。対象空間内に未知の密度分布を有する対象600の2Dの断面は、X線スキャニングを対象としている。本明細書において、対象空間は、関心の対象、例えば、X線スキャンを受けている対象の座標フレームを呼ぶ。直交座標フレーム(すなわち、(x、y、z))は、対象空間に対する便利な座標系であるが、しかしながら、対象空間は、任意の適切な座標フレーム、例えば、極座標または円筒座標によって記述され得る。
【0151】
X線スキャニングプロセス610は、ビュー空間座標フレーム(例えば、座標フレーム(t、θ))において対象ビューデータ605を生成する。例えば、対象ビューデータ605は、(ビュー空間軸θiに対応する)X線スキャニングデバイスの様々な方向における(ビュー空間軸tiに対応する)アレイ内の複数の感知器からの減衰情報を含み得る。従って、X線スキャニングプロセス610は、対象空間内の連続的な密度分布を、ビュー空間内の離散的ビューデータに変換させる。
【0152】
対象のビューデータからの2Dの密度分布の画像を生成するために、ビューデータは、対象空間に投影し戻され得る。ビュー空間内のビューデータを対象空間に表示される画像データに変換するプロセスは、画像の再構成と呼ばれる。図6Bは、ビューデータ605を2D画像600’(例えば、スキャンされた対象600の断面の視覚可能な画像)に変換する画像の再構成プロセス620を図示している。2D画像600’を形成するために、対象空間内の対象600の断面の離散的な位置のそれぞれの密度の値は、ビューデータ605において利用可能である情報に基づいて決定され得る。しかしながら、画像の再構成は、再構成された画像における解像度および詳細の喪失となる。
【0153】
モデルベースの画像化技術は、画像の再構成に起因する解像度および詳細の喪失と関連する問題の一部を避け、かつ、再構成された画像を処理することによってもたらされる分割の困難さを避けるために使用され得る。モデルベースの技術は、関心の対象のビューデータ内に存在すると考えられる構造を記述するモデルを生成することを含み得る。例えば、関心の対象の内部構造に関する先験的な知識は、モデルを生成するために使用され得る。用語「モデル」は、本明細書において、あらゆる幾何学的、パラメータ的、または他の数学的記述、および/または特質の定義、および/または構造、物理的対象またはシステムの特性をいう。例えば、X線環境において、構造のモデルは、構造の形状および密度分布の数学的な記述を含み得る。モデルは、値の範囲を変化させることを可能にさせ、モデルが様々な構成を呈するように変形させ得る一つ以上のパラメータを含み得る。モデルに対する用語「構成」は、本明細書において、各モデルパラメータが、特定の値を割り当てられている場合をいう。
【0154】
いったん、モデルの構成が決定されると、(モデルビューデータと呼ばれる)モデルのビューデータは、例えば、モデルのランドン(randon)変換を取ることによって、計算され得る。関数に基づき動作するランドン変換は、関数をビュー空間に投影する。図6Cは、対象600のモデル625におけるランドン変換630の動作を図示している。モデル625は、モデル空間における関数f(Φ)によって記述され、Φは、モデルを特徴付けるパラメータのベクトルである。モデル625が、対象600を記述するために生成されるので、モデル空間および対象空間に対する座標軸は、2つの座標フレーム間の変換が既知である限り、異なり得るが、モデル空間および対象空間に対する座標フレームと同じ座標フレームを使用することが便利であり得る。ランドン変換630は、モデル空間からのモデル625を、モデルビューデータ605’(すなわち、ビュー空間座標フレームにおける関数
【0155】
【数1】
)に変換する。
【0156】
理解されるべきは、X線スキャニングプロセス610およびランドン変換630は、実質的に同じ動作を実行する、すなわち、両方とも対象空間(またはモデル空間)からビュースペースへの変換を実行するということである。スキャニングプロセスは、対象空間からビュー空間(すなわち、(θi、ti)における離散的な関数)への離散的な変換を実行し、ランドン変換は、対象空間からビュー空間(すなわち、(θ、t)における連続的な関数)への連続的な変換を実行する。モデルの構成(すなわち、Φにおける各パラメータが、値を割当てられるfの場合)を、ランドン変換を介してビュー空間に投影することによって獲得されたモデルビューデータが、どのくらい正確に、モデルが、スキャンされた対象における関心の構造を記述しているかを計測するために、X線スキャニングデバイスから獲得された対象ビューデータと比較され得る。次に、モデルは、変形され得るか、またはそうでなければ、ランドン変換(モデルビューデータ)が対象ビューデータに充分に適合するまで、すなわち、モデルの構成が最適化されるまで、更新され得る。最適化は、例えば、パラメータ化された構造から生じた観察された対象ビューデータをモデルとして仮定し、対象ビューデータを最も良く記述するパラメータを見つけることによって、定式化され得る。例えば、モデルの変形は、下式を最小化することによって導かれ得る:
【0157】
【数2】
Φは、モデルパラメータのベクトルであり、giは、対象ビューデータを表し、
【0158】
【数3】
は、モデルビューデータを表す。つまり、モデルの構成は、Eを最小化するベクトルΦを解くことによって(すなわち、最小二乗距離を見つけることによって)最適化され得る。
【0159】
出願者が理解していることは、モデルされた構造が複雑であり、かつ、多数の変形可能なパラメータを含む場合には、モデルを構成する組み合わせの問題は、扱いにくくなるということである。つまり、モデルが変化することが可能とされるパラメータの数が増加するので、モデルの考えられる構成の数は、爆発的に増加する傾向にある。さらに、出願者が理解していることは、どのようにして最初にモデルを構成するかというガイダンスがなければ、不適切に選ばれた最初の仮説は、その後の最適化スキームを、望ましくない局所的最小に収束させ得るということである。結果として、選択されたモデル構成は、スキャンされた実際の構造を十分に反映しないことがあり得る。
【0160】
再構成された画像の分割は、多くの場合に困難であり、画像の再構成プロセスに起因する低減された解像度において構造を記述している情報に限定される。この解像度以下の構造は、ビューデータに存在するが、感知および再構成された画像データ上で動作する分割のアルゴリズムにとって利用不可能であり得る。画像の再構成を避けることを求めている従来技術のモデルベースの技術は、観察されたビューデータにモデル構成を適合させる組み合わせの困難さによって、失敗した。
【0161】
本発明に従った一実施形態において、モデルは、構造をスキャニングすることから獲得されたビューデータにおいて感知されるべき構造を記述するために生成される。ビューデータは、モデル化された構造の特性をビューデータにおける一つ以上の特徴を感知するために処理され得、モデルの構成に関する一つ以上のパラメータの値を決定するために使用され得る。すなわち、ビューデータにおける情報は、どのようにモデルが構成され得るかに関する仮説をブートストラップするために使用され得る。ビューデータからモデル構成に関する情報を獲得することによって、モデル構成を観察されたビューデータと適合させる組み合わせの困難さと、望まれない局所的最小に収束することの可能性とは、低減され得る。さらに、ビューデータを直接的に処理することによって、構造は、ビューデータの解像度(すなわち、実質的にX線スキャニング装置の解像性能)において感知され得る。
【0162】
図7Aは、シリンダ網状組織モデルにおけるプリミティブなコンポーネントとして使用され得るシリンダ状の部分700の一例を図示している。シリンダ状の部分700の構成は、特定の座標フレームにおける多数のパラメータによって記述され得る(すなわち、モデル空間においてパラメータ化される)。上記のように、モデル空間は、対象またはモデル化される構造と同じ3D座標フレームであり得る(すなわち、モデル空間および対象空間は、同じ空間を記述し得る)。例えば、シリンダ状の部分700の位置は、空間内の位置(xi、yi、zi)におけるシリンダ状の軸705の配置、例えば、シリンダ状の部分の始点または終点によって記述され得る。シリンダ状の部分700の方向は、x軸からの角度φiおよびy軸からの角度γiによって特定され得る。シリンダ状の部分700は、軸対称であるので、z軸のまわりの回転は、特定されることは必要とし得ない。シリンダ状の部分の長さは、liによって特定され得、シリンダ状の部分700の半径は、riによって特定され得る。従って、シリンダ状の部分700は、七つのパラメータxi、yi、zi、φi、γi、li、およびriに値を割当てることによって構成され得る。
【0163】
図7Bは、階層的に配置された複数のシリンダ状の部分から形成されるシリンダ状の網状組織モデルの構成750を図示している。上記のように、血管構造は複数の血管を含み得、各血管は、モデルによって記述されるべきそれ自身の空間における構成を有する。構成750は、二つのシリンダ状の部分720aおよび720bに分枝するシリンダ状の部分710aを含み、該二つのシリンダ状の部分720aおよび720bは、網状組織が、階層の葉において消えるまで、さらに分枝する(すなわち、シリンダ状の部分720は、シリンダ状の部分730に分枝し、該シリンダ状の部分730は、次に部分740、750、760などに分枝する)。特定のパラメータの値は示されていないが、理解されるべきは、構成750を形成することは、コンポーネントのシリンダ状の部分のそれぞれのパラメータに関する値を特定すること含むということである。(階層におけるシリンダ状のプリミティブの数を含み)一つ以上のパラメータの値を修正することは、異なるモデル構成となる。
【0164】
理解されるべきは、例示的な構成750は、構成内のプリミティブの数に関し、X線データに対する期待の構成の単純化である。図7Bの例における構成750において、モデルの構成は、7nのパラメータを特定することを含み、nは、シリンダ状のプリミティブの数である。全てのパラメータが未知である場合には、構成750の最適化は、数百の自由度を含む。血管の網状組織のスキャンされる部分は、構成750において記述されているよりも何倍も多い血管(例えば、数百または数千の血管)を含み得、構成の最適化をますます複雑にする。
【0165】
一実施形態において、そこから収集された情報が、モデル化された構造に対応するビューデータにおける特徴を感知することを助けるために使用され得るように、どのように構造がビュー空間に投影されるかを理解するために構造の密度分布もモデル化され得る。例えば、血管は、スキャンされた場合には、ビューデータにおいて特性的な特徴またはパターンを生成する特性密度分布を見せる。一実施形態において、血管の断面の密度は、モデルされた密度が血管の中心において最高であるように、血管の長手方向の軸を中心にしたガウス分布によってモデルされる。例えば、長手方向の軸がz軸と一致するように方向付けられた場合には、シリンダ状の部分700の断面の密度分布は、
【0166】
【数4】
としてモデルされ得、
ρiは、ithシリンダ状の部分の中心における密度係数であり、riは、ithシリンダ状の部分の半径であり、シリンダ状の部分の中心において最大であるようにモデルされ(すなわち、ρiと等しい)、中心からの半径の距離の関数として、指数的に減衰する。図8Aは、方程式2において与えられた関数のグレースケールの表示を図示し、濃いグレースケールの値は、密度の値の増加を示す。図8Bは、図8Aにおけるグレースケールのガウス分布の中心において、x軸に沿った強度の値のプロトを示す。
【0167】
シリンダの長手方向の軸に沿った(すなわち、図8Aのページを貫通している)密度分布は、変化することなく、長手方向の軸に沿った断面の分布の定数関数、つまり、分布の中心からの半径の距離dの定数関数としてモデルされ得る。従って、構成750における各シリンダ状の部分は、方程式2で定義された断面の密度分布を割り当てられる。
【0168】
対応するシリンダ状の部分の方向における密度分布を表すために、密度分布は、周知の座標変換マトリクス
【0169】
【数5】
によって変換され得、
角度γおよびφは、図7Aで定義された方向パラメータである。理解されるべきは、図でモデルされた方程式2の密度分布は、図7Aに関して述べられたモデルパラメータのみに依存するということである。従って、値が、各モデルパラメータに割り当てられている場合には、分布は、密度分布が、どのような追加のパラメータも導入しないように、充分に記述され得る。理解されるべきは、本発明は、この点に関して限定されないということである。なぜならば、密度分布は、一つ以上の独立したモデルパラメータを含むようにモデル化され得るからである。
【0170】
上記のように、3Dの対象のビューデータは、対象に関する複数の2Dの断面をスキャニングすることによって獲得され得る。出願者が理解していることは、対象の3D構造の感知は、断面を見た場合には、どのように構造が現れるかを考えることによって容易にされ得るということである。たとえば、図9における対象900は、血管900a、900b、および900cを含む血管の網状組織の一部分を、概略的に表している。対象900がスキャンされた場合には、対象の複数の断面のスライスが、X線の放射にさらされ、対象と交差している連続した平面、例えば、例示的な平面915a〜915dに対応するビューデータを提供する。
【0171】
各シリンダ状の血管部分を有する平面915aの交差面は、それぞれ楕円905a〜905cを作り出し、各楕円は、それぞれの血管部分が平面と交差する角度に依存した偏心を有する。従って、3Dの血管部分の存在は、X線スキャナの透視図を形成する認識を活用することによって感知され得、血管部分は、特性的密度分布(例えば、方程式2において記述されている密度分布)を有する楕円の連続として現れ得る。
【0172】
理解されるべきは、2Dのスライスにおいて特徴を感知した場合には、図7Aにおけるパラメータziは、対応するスライスによって示され、従って、シリンダ状の部分を構成するために決定される必要ないことがあり得るということである。さらに、スキャン面において、z軸に沿った寸法は、無限小である。平面におけるシリンダ状の部分は、部分の長さとは関係がなく、パラメータliは、特定されないままであり得る。従って、2Dのスライスにおいて、シリンダ状の部分の断面は、値を5つのパラメータ(すなわち、xi、yi、φi、γi、およびri)に割り当てることによって構成され得る。
【0173】
血管構造をスキャニングすることから獲得されたビューデータにおける特性的な特徴を識別するために、方程式2において記述されている密度プロファイルを有するシリンダ状のプリミティブの断面(すなわち、楕円)は、例えば、上記のような密度プロファイルのランドン変換を取ることによって、ビュー空間に投影され得る。従って、方程式2における密度分布をランドン変換の一般的な形成に適用することは、
【0174】
【数6】
を与え、
該数式は、式
【0175】
【数7】
となり、
tおよびθは、2Dのビュー空間における座標フレームの軸であり、Φは、モデルパラメータを表す。従って、血管がスキャンされt場合には、方程式5で表された形状と似たビューデータにおける情報をもたらすことが、期待され得、該方程式5は、ガウスプロファイルを有する正弦曲線関数を記述する。図12は、方程式5において表された関数
【0176】
【数8】
の一部分を概略的に図示している。t軸に沿って、
【0177】
【数9】
は、特性のガウス成分を有する。θ軸に沿って、
【0178】
【数10】
は、特性の正弦曲線成分を有する。θが増加するにつれて、ガウス成分(すなわち、t軸に沿ったガウスプロファイル)は、正弦曲線を描く。
【0179】
正弦曲線の短い部分(わずかな部分)のみが、図示されるが、理解されるべきは、ガウススプロファイルのピーク1215は、正弦曲線部分1205によって示されるように、正弦曲線を描く(図11においてさらによく示されている)ということである。以下で記述されるように、変換されたガウス密度分布のこの特徴的な形状は、楕円構造をスキャニングすることから獲得されるビューデータを調べることによって、さらに良く理解され得る。特に、モデル化されたシリンダ状の断面と同様な構造をスキャニングすることは、図1Aおよび図1Cに関して述べられたようなX線スキャニングプロセスおよびランドン変換によって提供される同様な動作のために、方程式5の関数と近似する離散的データを作り出す。
【0180】
図10A〜図10Cは、図8Aおよび図8Bにおいて示されているようなガウス密度分布を有する楕円1010のスキャニング動作を図示している。例えば、楕円1010は、方程式2における密度分布と同様な断面の密度分布を有する血管構造の断面であり得る。スキャンから獲得されたビューデータは、図11において概略的に図示されているサイノグラム1100によって表されている。図10Aは、0°の方向におけるX線スキャニングデバイス1000の一部分のスナップショットを図示し、X線放射を放射するように適応された放射線源1020と、X線放射に反応する感知器のアレイ1030を含む。放射線源1020は、実質的に継続的なファンビーム1025を、例えば、ファンビームの範囲を定義している光線1025aと1025bとの間の弧にわたって放射し得る。放射線源1020は、半円の延長円周に沿って置かれ得、中心点1035の周囲を感知器のアレイ1030と共に回転するように適応され得る。
【0181】
放射線源1020および感知器のアレイ1030は、中心点1035の周囲を回転するので、アレイ内の感知器は、感知信号、例えば、それぞれの感知器上にぶつかる放射線の強度に比例する電気信号を生成することによって、ぶつかるX線に反応する。結果として、感知器のアレイは、楕円1010に対する放射線源およびアレイの様々な方向における放射強度のグラフを記録する。アレイ内の各感知器によって生成された感知信号は、各感知器と放射線源との間で、実質的に直線状に延びているX線の強度を示す値を獲得するためにサンプルされ得る。感知器のアレイは、例えば、デバイスが、異なるビューにおいて多数の楕円の投影を獲得するように回転するとき、1°の角度間隔、0.5°の角度間隔、0.25°の角度間隔においてサンプルされ得る。図10Bおよび図10Cは、45°および90°のそれぞれにおけるX線スキャニングデバイスのスナップショットを図示する。楕円1010の2Dスキャンは、180°にわたる弧の所望の角度間隔Δθにおいて、楕円1010の投影を獲得することを含み得る。
【0182】
放射線源1020によって放射される放射線の大部分は、妨げられることなく感知器のアレイ1030にぶつかる。しかしながら、光線の一部分は、感知器のアレイに到達する前に、楕円1010を通過する。妨害された光線は、楕円1010の密度に関連して、ある程度減衰される。対象に実質的に接する例示的な光線1025cおよび1025eは、楕円を通過する放射線のうちでもっとも減衰されない光線である。実質的に楕円1010の中心を通過する光線(例えば、光線1025d)は、最も高い密度において透過するべきもっとも多くの材料を有し、その結果、最も大きな減衰を見せる。
【0183】
従って、楕円1010の「影」における感知器は、プロファイル1065によって示されているように、楕円1010の接線におけるゼロ減衰から楕円1010の中心におけるピーク減衰まで推移し、楕円1010の他の接線におけるゼロ減衰に戻るプロファイルを有する放射を感知する。例えば、プロファイル1065は、楕円の影の中に存在するアレイ内の感知器によって提供される感知信号のグレースケールの表示であり得、より薄いグレーのレベルは、より大きいX線の減衰を示す。従って、楕円1010の影の中に存在しない感知器は、実質的に真っ黒であるグレースケールの値を有する感知信号を作り出す。方程式5のガウス成分、すなわち、図12において図示されているガウスプロファイルから見込まれるように、プロファイル1065は、特徴的なガウス形状を有する。つまり、楕円1010のガウス密度分布は、ガウス減衰情報を感知器のアレイ上に投影する。
【0184】
プロファイル1065は、感知器のアレイよりも高い解像度において図示されている。すなわち、プロファイル1065は、特徴的なガウス形状のプロファイルを図示するために、楕円1010の影の中の各感知器に対して、2つ以上のグレースケールの値を含む。しかしながら、理解されるべきは、感知器のアレイ1030において図示されている各感知器は、プロファイルが、図示されたプロファイル1065の解像度において提供され得るように、感知信号を生成する任意の数の独立した感知器として考えられ得るということである。
【0185】
X線デバイスが回転するにつれ、楕円の密度分布は、組み合わせの変化する感知器上に投影される。デバイスの360°の回転は、楕円1010に、(放射線源1020から見て)中心点1035の周囲を回らせて、感知器上の楕円の投影位置に繰り返させる。(一部分が、図12において記述されている)方程式5の正弦曲線成分から見込まれるように、楕円1010は、デバイスの方向が増加するにつれて、検知器のアレイにわたり正弦曲線の軌跡を描く位置の感知器上に落ちる周期的な影を投げかけ、該デバイスの方向の増加は、以下で述べられるように2Dのビュー空間に、マップされ得る。
【0186】
図11は、1°の角度間隔おいて180°にわたり楕円1010をスキャニングすることから獲得されるビューデータのサイノグラム1100を図示している。サイノグラムは、ビュー空間におけるビューデータの画像表示である。特に、サイノグラムは、ビュー空間における離散的な座標位置に対して強度の値(例えば、減衰の値、密度の値など)をマップする。サイノグラム1100は、θ軸およびt軸を有し、θは、楕円1010に対するX線デバイスの方向を表し、tは、検知器のアレイに沿った位置を指す。従って、サイノグラム1100は、X線スキャニングデバイスが回転するにつれて、感知器のアレイ1030によって生成される感知信号のグレースケール画像を提供する。
【0187】
特に、サイノグラム1100は、ピクセルのグリッド1150を含み、各ピクセルは、X線デバイスの特定の方向における、アレイ1030内のそれぞれの感知器からの感知信号のサンプルに関連する強度を有する。例えば、ピクセルの第1の列(θ=0)は、X線デバイスの0°の方向においてぶつかる放射線に応答するそれぞれの感知器からのサンプルを示す。結果として、楕円1010の影の中の感知器からの特徴的プロファイルは、図10Aにおいて図示されているスナップショットにおける第9の感知器において、概ね中心となり、サイノグラムにおけるピクセル(9、0)において、概ね中心となる。ピクセルの第2の列は、X線デバイスの1°方向などにおいてぶつかる放射線に応答するそれぞれの感知器からのサンプルを示す。
【0188】
θが増加するにつれて、プロファイル1065の位置は、実質的に180°の方向である中間地点に到達する正弦曲線の一部分を描く。サイノグラム1100の一部分は、スキャンの間のプロファイル1065の位置の正弦曲線推移を図示するために、45°の方向、90°の方向、135°の方向、および180°の方向の付近において図示されている。理解されるべきは、サイノグラム1100において見ることができる正弦曲線トレースは、方程式5において表された(および図12において図示された)関数の(グレースケール画像として表された)離散的概数を提供するということである。従って、モデルに従って、特定のスキャン面またはスライスを透過する血管構造は、スライスと関連するサイノグラムにおけるガウスプロファイルを有する正弦曲線トレースを生成する。サイノグラムにおけるそのような特性正弦曲線の存在を感知することは、構造がスキャンされたときには、関連付けられる構造(例えば、血管の断面)が、存在したということを示し得る。
【0189】
対象のスキャンから獲得されたビューデータは、(シノグラム1100における単一のトレースとは異なり)様々な異なる構造からの正弦曲線トレースを含むことが考えられる。異なる構造と関連付けられる投影情報は、ビュー空間において重ねあわされ得る。図13は、複数の未知の構造を有する対象をスキャニングすることから獲得されるサイノグラムを図示している。サイノグラム1300は、多数の正弦曲線トレースの重ね合わせに起因し、正弦曲線トレースの一部は、関心の構造に対応し得るが、一部は、対応しないことがあり得る。関心の構造を感知するために、関心の構造に特徴的な特徴は、他の構造に対応する情報およびサイノグラムにおいて感知された情報と区別され得る。
【0190】
ガウス強度分布(例えば、ガウス密度分布を有する構造に起因するプロファイル)は、分布のピークにおいて隆起を形成する。例えば、図12におけるピーク1205は、正弦曲線トレースに沿って続く隆起を形成する。同様に、各ガウスプロファイル1065における最も淡いピクセル(すなわち、最も減衰されたX線に対応する)は、隆起点を形成する。従って、隆起の感知は、血管構造から獲得されたビューデータから形成されるサイノグラムにおける隆起点の位置を特定することによって、モデルされた血管構造の断面から生じる特性的な特徴を識別するために実行され得る。
【0191】
隆起点は、画像内の点として定義され得、強度は、主湾曲の方向、すなわち、最も急激な強度の勾配を有する方向における局所的な極値である。例えば、図12における点1215において(およびピーク1205に沿って)、湾曲の主方向は、u0(すなわち、(t、θ)座標フレームにおける単位ベクトル(1、0))によって示される。ピーク1205に沿った各点は、隆起点を形成する。なぜならば、各点は、t軸に沿った(すなわち、ガウスプロファイルに沿った)局所的な最大値であるからである。用語「隆起」は、本明細書において、局所的な最小値と局所的な最大値との両方を記述(すなわち、上記で定義された隆起特性を有する頂上と底との両方を記述)するために使用される。
【0192】
隆起は、サイノグラムにおける局所導関数情報によって特徴付けられ得、かつ、サイノグラムにおける関心の点に関する強度の湾曲を調べることによって感知され得る。一実施形態において、ヘッシアン演算子が、サイノグラムからの湾曲情報を抽出して、隆起点の感知を容易にするために使用される。一般論として、ヘッシアン演算子を適用する目的は、強度の値が、関心のピクセルを取り囲んでいるピクセルにおいて変化する様子に関する情報を集めることである。以下で述べられるように、この情報は、隆起に特徴的なエリアを識別するために使用され得る。2Dにおけるヘッシアン演算子は、
【0193】
【数11】
として表され、
gは、ヘッシアンによって動作されるサイノグラムであり、tおよびθは、サイノグラムの座標軸である。例えば、ヘッシアン演算子は、標的ピクセルと呼ばれるサイノグラム内の各ピクセルまたはピクセルのサブセットにおいて、ヘッシアンマトリクスを計算することによって、サイノグラムに適用され得る。ヘッシアンマトリクスの偏導関数要素は、様々な方法で各標的ピクセルにおいて計算され得る。例えば、ヘッシアンマトリクスは、標的ピクセルのピクセル近傍(例えば、標的ピクセルの隣接近傍の八つのピクセル)に関する違いを適切に計算することによって決定され得る。3x3の近傍ヘッシアンマトリクス要素を使用することは、離散的な導関数マスクの対応する要素に従って、ピクセルの強度を測り、次に、結果を合計することによって、計算され得る。ヘッシアンの偏導関数要素に対する例示的な導関数マスクは、
【0194】
【数12】
および
【0195】
【数13】
である。
標的ピクセルに対応する各マトリクスの中心と、標的ピクセルに隣接する八つのピクセルのそれぞれの強度とは、マスクの対応する要素によって乗算されて、合計される。各マスクからの合計は、ヘッシアンにおける対応する要素を決定する。理解されるべきは、他のサイズの近傍および近傍内のピクセルに対する異なる内挿関数(すなわち、マスクウェート)が、使用され得るということである。なぜならば、離散的な偏導関数を計算することに関連する本発明局面は、特定の方法またはインプリンテーションに限定されないからである。
【0196】
上記のように、ヘッシアンは、サイノグラム内のピクセルにおける局所的な強度の湾曲を記述する。湾曲の主方向は、ヘッシアンを特性成分に分解することによって決定され得る。マトリクスの特性成分を決定する一方法は、マトリクスの固有値および関連する固有ベクトルを決定することである。
【0197】
一般論として、ヘッシアンマトリクスの固有ベクトルは、ヘッシアンが決定される標的ピクセルにおける湾曲の特性方向を示す。以下で述べられるように、湾曲のこれらの特性方向の間の関係は、サイノグラムにおける特性的な隆起を有するエリアを識別するために使用され得る。マトリクスの固有値および関連する固有ベクトルは、様々な方法、例えば、任意の数のマトリクスを対角化する周知の反復方法によって、または関係を直接的に解くことによって、分析的に決定され得る:
【0198】
【数14】
Hは、方程式6のヘッシアンマトリクスであり、uは、マトリクスHの固有ベクトルであり、λは、uと関連付けられる固有値である。ヘッシアンの各固有値の大きさは、関連する固有ベクトルの「有意性」と関連する。言い換えると、固有値は、どのくらい関連する固有ベクトルに沿った湾曲が、ヘッシアンによって決定された局所的な湾曲に対し寄与しているかを示す。従って、ヘッシアンマトリクスの最大の固有値は、湾曲の主方向と関連付けられる。
【0199】
周知であるように、2Dのヘッシアンは、2x2の対称のマトリックスであり、従って、それぞれ線形の独立した固有ベクトルu0およびu1と関連付けられる二つの固有値λ0、λ1を有する(すなわち、固有ベクトルu0およびu1は直交する)。固有値λ0は、本明細書において、最大の絶対値を有する固有値を示し、主固有値と呼ばれる。従って、関連する固有ベクトルu0は、標的ピクセルにおける湾曲の主方向を示し、λ0は、湾曲の大きさと関連する。(副固有値と呼ばれる)固有値λ1は、u1の方向、すなわち、u0によって示される湾曲の主要な方向と直交する方向における湾曲の大きさと関連付けられる。
【0200】
正弦曲線トレースのガウスプロファイルの隆起において、プロファイルに沿った方向における湾曲は、比較的に大きいことが見込まれるが、隆起に沿った方向に直行する湾曲は、比較的に小さいことが見込まれている。従って、隆起点は、大きい主固有値と小さい副固有値を作り出し得る。例えば、見込まれる固有ベクトルu0およびu1は、図12における隆起点1215においてラベル付けされる。u0の方向における湾曲が大きいので、λ0の大きさもまた、大きいことが見込まれている。同様に、強度分布は、正弦曲線トレースに沿って、実質的に均一であることが見込まれるので、u1の方向における湾曲は、論理的にはゼロであり、λ1の大きさは、実質的にゼロであることが見込まれる。λ0とλ1との値およびλ0とλ1との間の関係は、ヘッシアンが計算され得る各標的ピクセルが、隆起点における特徴を有するかどうかを決定するために使用され得る。つまり、隆起点は、固有値を分析することによって感知され得るλ0とλ1との値および/またはλ0とλ1との間の関係によって表される局所的な湾曲特徴を有し得る。
【0201】
一実施形態において、標的ピクセルは、標的ピクセルにおけるヘッシアンの固有値に関する所定の基準に基づいて、考えられる隆起点として識別され得る。例えば、閾値は、考えられる隆起点として、閾値を超える主固有値を有する標的ピクセルのみを選択するために、λ0の大きさに適用され得る。さらに、または代替的に、λ1の大きさに対するλ0の大きさの割合は、閾値を超える割合が、サイノグラムにおける隆起点からもたらされると考えられるように、閾値となることがあり得る。
【0202】
λ0の正負はまた、誤った極値(すなわち、局所的な最小値対局所的な最大値)によって特徴付けられる隆起を除外するために使用され得る。例えば、図11に示されているようにサイノグラムのグレイレベルのスキームは、明るいピクセルによって高い光線減衰を表す(高いグレイレベルの値)場合には、負のλ0をもたらす点は、無視され得る(すなわち、値は、頂上よりも底を示す)。同様に、グレイレベルのスキームが、低いグレイレベルの値によって高い光の減衰を示す場合には、正のλ0をもたらす点は、無視され得る。固有値および/または固有ベクトルを評価するための他の基準が使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点に関して限定されないからである。
【0203】
従って、隆起の感知は、サイノグラムにおける標的点に関して局所的な湾曲特性を評価することによって、隆起点を選択するために適用され得る。識別された隆起点は、関心の対象の対応するスライスにおけるシリンダ状の構造の断面(例えば、血管の断面)に特徴的なガウスプロファイルの存在を示し得る。理解されるべきは、そのような隆起点は、ガウス密度分布の中心の位置、例えば、血管の断面の中心からビュー空間における位置に抽出されるということである。従って、サイノグラムにおける感知された隆起点の位置は、サイノグラムが獲得されるスライスの対応する断面におけるシリンダ状の部分の中心の位置を仮定するために使用され得る。
【0204】
感知された隆起点は、仮定において使用するシリンダ状のプリミティブの数および各シリンダ状のプリミティブのシリンダ状の軸の位置を決定するために、ビュー空間(すなわち、サイノグラムの座標フレーム(θ、t))から、モデル空間(すなわち、モデルの座標フレーム(x、y、z))に変換され得る。血管に特徴的な正弦曲線トレースは、様々な感知された隆起点、例えば、実質的にトレースの中心に沿ってたどる隆起点の正弦曲線(例えば、サイノグラムにおいて見ることができる正弦曲線トレースに沿ったプロファイル1065における最も明るいピクセルのそれぞれ)を生成し得る。しかしながら、特定の正弦曲線トレースの本当の隆起点の多くは、とりわけスキャンの間に、血管構造を閉塞、または部分的に閉塞した構造に対応するサイノグラムにおける他の情報では感知され得ない。さらに、閾値技術(上記のような閾値)に関してよくあることであるが、一部の誤った正の隆起点が感知され得る。
【0205】
同じ正弦曲線トレースの一部分である各隆起点は、同じ楕円の中心と関連付けられる。言い換えると、ビュー空間における同じ正弦曲線における各隆起点(θi、ti)は、モデル空間における同じ点(xi、yi)に変換される。各特性正弦曲線トレースは、対応する血管の断面によって生成されると想定されるので、隆起点(すなわち、ガウス分布のピーク)は、楕円の断面に対応する。従って、スキャン面と交差するシリンダ状の部分のシリンダの軸の位置は、同じ正弦曲線トレースの隆起点の変換された位置に対応する。
【0206】
正弦曲線トレースの形状は、対象空間内の対応する構造の位置に関する情報を含み得る。例えば、図10A〜図10Cにおける楕円1010が、中心点1035に直接的におかれた場合には、楕円は、結果のサイノグラムにおいて実質的に水平な線をたどる(すなわち、大きさゼロである正弦曲線トレース)プロファイルを生成する。なぜならば、楕円は、デバイスの方向とは無関係である同じ感知器上に影を投じるからである。中心点1035からの楕円1010の距離が、増加する場合には、対応する正弦曲線トレースの大きさもまた増加する。プロファイルの位置の多様性は、中心1035からの楕円の距離に関連する。従って、対象空間(従ってモデル空間)における構造の位置は、下記の方法においてビュー空間における対応する正弦曲線トレースの特性を調べることによって、決定され得る。
【0207】
ビュー空間における正弦曲線トレースの特性から対象空間の位置を決定する実施例が、図14において示される例示的で概略的なシノグラム1400を参照にして述べられ、該図14は、未知の構造に起因するビュー空間において重ねられた多数の正弦曲線トレースを有する。隆起の感知は、(θ0、t0)におけるピクセルを、正弦曲線トレース1410の隆起点として識別するために上記のように、シノグラム1400に適用され得る。点(θ0、t0)において、正弦曲線1410の傾斜は、τ0によって与えられ、正弦曲線トレースの形状を部分的に記述する。対象空間またはモデル空間における点(xi、yi)によって生成されるビュー空間における正弦曲線トレースは、下式を満たすということが、ランドン変換から公知である:
【0208】
【数15】
二つの連立方程式を獲得するために、方程式9はθに関して微分され得、下式となる:
【0209】
【数16】
図14における(θ0、t0)において図示される関係
【0210】
【数17】
を使用することによって、τは、方程式10に代入され、下式となる:
【0211】
【数18】
τは、以下で述べられるように決定され得るので、方程式9および方程式11が、二つの未知の値(すなわち、xi、yi)に関する二つの方程式を提供する。点(θ0、t0)における点(xi、yi)に関して解くことは、二つの下式となる。
【0212】
【数19】
従って、(θ0、t0)における正弦曲線トレースτ0の傾斜が、既知であるか、または決定され得る場合には、ビュー空間における点(θ0、t0)は、対象空間における点(xi、yi)に変換され得る。点(θ、t)における傾斜とは、様々な方法で計算され得る。例えば、傾斜τは、隆起部分を形成するように、隣接する感知された隆起点に接続することによって、計算され得る。しかしながら、上記のように、隆起の感知は、感知された隆起点を正しい隆起部分に接続する試みを阻み得る多数の誤った隆起点を選択し得る。非最大値の除去は、図15A〜図15Cにおいて図示されているような誤った隆起点を削除するために使用され得る。
【0213】
図15Aは、サイノグラムの10X10ピクセルの画像部分を図示している。例えば、画像部分1500は、点(θ0、t0)の周辺におけるサイノグラム1410の一部分であり得る。陰がつけられたピクセルは、隆起感知の間に、考えられる隆起点として選択された点を示す。例えば、陰がつけられたピクセルのそれぞれは、ある所定の基準と合う固有値を有するヘッシアンを生成し得る。上記のように、隆起点は、主湾曲の方向における局所的な最大値である。従って、局所的な最大値ではない強度を有する各ピクセルは、削除され得る。図15Bにおける影がつけられたピクセルは、θ軸に関して計算された局所的な最大値を図示している。
【0214】
非最大値の除去の方向における二つの隣接するピクセルが、同じ局所的な最大値である強度を有する場合には、最も真直ぐな線を生成するピクセルが選択され得る。例えば、図15Bにおけるより濃く陰がつけられたピクセルにおいて、二つ以上の隣接するピクセルは、隆起部分にあるとして選択され得る。(実線の部分によって示されている)最も真直ぐな経路を形成するピクセルは、(点線によって示されている)あまり真直ぐではない経路を形成するピクセルよりも選択され得る。図15Cにおける陰のつけられたピクセルは、局所的な画像部分1500における結果としての隆起部分を図示している。隆起部分におけるピクセルを接続する最良の適合線の傾斜は、隆起部分における隆起点のそれぞれにおいて、τ(例えば、隆起点(θ0、t0)におけるτ0)として使用され得る。
【0215】
傾斜τはまた、標的の隆起点の局所的近傍における選択された隆起点を接続する線の傾斜を取ること(例えば、前の隣接する隆起点と次の隣接する隆起点とを接続する標的隆起点を通過するラインによって、傾斜を評価すること)によって、各標的の隆起点において、個々に計算され得る。感知された長い隆起部分において、局所的な傾斜は、任意の所定の標的隆起点における正弦曲線トレースの本当の傾斜のより正確な決定を提供し得る。図15A〜図15Cにおいて、非最大値の除去は、θ軸に沿って適用された。しかしながら、非最大値の除去は、任意の方向(例えば、標的隆起点において計算されたヘッシアンの主固有ベクトルの方向)において、適用され得る。代替的に、傾斜τは、副固有ベクトルu1に従って、各隆起点において決定され得る。図12において示されているように、固有ベクトルu1は、正弦曲線トレースに沿った方向を指し得、かつ、上記の変換方程式において傾斜τを計算するために使用され得る。
【0216】
上記のように、隆起感知の間に識別された各隆起点は、モデル空間における座標位置に変換され得る。この変換された位置は、楕円の断面の仮定された中心に対応し、次に、該仮定された中心は、シリンダ状のプリミティブの軸が、関連するスライスの面(例えば、図9における位置903a〜903c)と交差するモデル空間の位置を示す。上記のように、単一の正弦曲線トレースにある各隆起点は、モデル空間における同じ座標位置に変換されるはずである。しかしながら、計算における不正確性(例えば、離散的な偏導関数の計算、接線および/または傾斜の計算など)における不正確性は、特定の変換された座標を、本当のモデル空間の位置から偏らせる。しかしながら、同じ正弦曲線トレースの複数の隆起点から変換された位置は、概ねフォーカスされたエリアに集中することが期待され得る。位置は、任意の適切な方法でこの局所的な集中から選択され得る。例えば、ヒストグラムが、感知された隆起点のそれぞれから変換された位置から形成され得る。各隆起点は、モデル空間における位置に関して、有効に票を投じる。
【0217】
一実施形態において、ヒストグラムは、モデル空間をグリッドに離散化することによって形成され得る。次に、各変換された隆起点は、グリッド内の最も近い位置に束ねられる。次に、結果のヒストグラムにおける情報は、モデルを構成するために使用されるシリンダ状のプリミティブの数と、各プリミティブの位置(すなわち、対応するスライス面との交差におけるシリンダ状のプリミティブの長手方向の軸の位置)との両方を決定するために使用され得る。例えば、シリンダ状のプリミティブは、ヒストグラムにおける局所的な最大値またはピークのそれぞれに対して、シリンダ状の網状組織のモデルに追加され得る。各追加されたプリミティブのシリンダ状の軸の位置は、ヒストグラムにおけるピークに対応するグリッドにおける座標位置に対応するように初期化され得る。
【0218】
所与のスライスに交差するシリンダ状のプリミティブの数および位置(すなわち、パラメータxi、yi)を決定することによって、モデルを最適化する組合せの複雑さは、著しく低減される。上記のように、シリンダ状の部分に対するパラメータは、シリンダ状の網状組織モデルにおける部分のそれぞれに対するxi、yi、φi、およびriを含み得る。決定されたプリミティブのそれぞれに対する構成における残りのモデルのパラメータ(例えば、φi、γiおよびri)は、任意の適切な方法(例えば、関心の対象内の構造に関する先験的な知識に基づいて、各パラメータに対する均一の分布を採択することによって、など)で選択され得る。例えば、シリンダ状のプリミティブの半径は、対象内の血管サイズの知識に基づいてか、または特定の関心の特定の血管サイズに基づいて選択され得る。
【0219】
いったん、モデルが構成されると、モデルのモデルビューデータは、構成されたモデルのランドン変換を取ることによって生成され得る。次に、モデルビューデータは、どの程度正確に、構成が、対象ビューデータをもたらす構造を記述している評価基準を獲得するために、対象ビューデータ(すなわち、X線スキャニングプロセスから獲得されるビューデータ)と比較される。次に、構成は、モデルビューデータが対象ビューデータを充分に記述するまで、更新され得る。構成を更新することは、任意の適切な最適化技術を使用して実行され得る。次に、最適化された構成は、スキャンされた対象内の関心の構造の記述として使用され得る。
【0220】
一実施形態において、最初のモデル構成の最適化は、モデル構成の最初の仮定における使用のための観察されたビューデータから、残りのパラメータ(例えば、シリンダに関する半径および方向)のうちの一つ以上の値を決定することによって、さらに改善され得る。一実施形態において、感知された隆起点に対して局所的であるグレースケール面の特性は、シリンダ状の網状組織モデルを含むシリンダ状のプリミティブのうちの一つ以上の半径を決定するために使用される。隆起に関するグレースケール分布は、関連する構造の半径を決定するために分析され得る。特に、シリンダ状の断面の半径が増加するにつれて、ガウス密度分布の標準的な偏差(すなわち、図8Bにおけるsによって示されるような変
曲位置におけるガウス曲線の半分の幅)も増加する。ガウス密度分布の分散が増加するにつれ、密度分布の投影のガウスプロファイルの成分の分散(すなわち、サイノグラムにおけるガウスプロファイルの幅)も増加する。ガウス分布の標準偏差(すなわち、分散の平方根)は、半径の概数を提供し得、
【0221】
【数20】
として表され、
gは、感知された隆起点において評価される(すなわち、方程式13は、隆起点に関する強度分布の適切な離散的導関数を取ることによって適用され得る)。感知された隆起点に対して局所的なグレースケール面を評価する他の方法がまた、使用され得る。なぜならば、最初の半径評価を決定することに関連する本発明の局面は、どのような特定のインプリメンテーション技術にも限定されないからである。例えば、各隆起点に関する湾曲の主方向(すなわち、ベクトルu0)に沿った方向における強度分布の変曲点への距離は、モデルにおける各シリンダ状の部分の直径に関する最初の値を評価するために決定され得る。従って、一実施形態において、半径パラメータに関する値(すなわち、ri)は、ビューデータ内の情報から決定され得る。
【0222】
各シリンダ状のプリミティブの方向はまた、結果をさらに改善し、最適化を拘束するために、サイノグラムから獲得された情報に基づいて、一つ以上の値を割り当てられ得る。シリンダ状のプリミティブの長手方向の軸の方向は、所与のスライスにおける楕円の断面の偏心率に関連する。図9において示されているように、シリンダの長手方向の軸とスライスの面との間の角度か、小さくなればなるほど、偏心率は大きくなる。一極値において、シリンダ状の軸は、90度の角度で交差し、偏心率ゼロである楕円(すなわち、円)となる。他の極値において、シリンダ状の軸は、面と平行であり、偏心率が無限大に近づく線となる。一実施形態において、偏心率は、モデル構成における各シリンダ状の部分の方向に対する最初の値を評価するために、任意の適切な技術を使用して、サイノグラムにおけるグレースケール分布の特性から計算され得る。
【0223】
別の実施形態において、複数のスライスにわたる情報(すなわち、3D情報)は、図16Aおよび16Bを参照して記述された方法で決定するために使用され得る。図16Aにおいて、位置1610aおよび1620aは、例えば、スライスのサイノグラムにおける隆起点を感知および変換することによって、スライス1600aにおける楕円の断面の中心として感知される。同様に、位置1610bおよび1620bは、別のスライス1600bにおける楕円の断面の中心として感知される。楕円の中心が、一つのスライスにおいて感知される場合には、スキャンの複数のスライスを介したシリンダ状の構造の透過を説明するように、対応する楕円の中心が、付近のスライスにあることが見込まれ得る。シリンダ状の構造の方向は、対応する楕円の中心の位置に関する変化から評価され得る。
【0224】
各シリンダ状のプリミティブの方向は、連続するスライスにおける感知された位置間の最も良い適合を選ぶことによって、計算され得る。例えば、その次のスライスにおける感知された位置への最も短いベクトル距離を有する感知された位置が、同じシリンダ状のプリミティブに含まれるように決定され得る。図16Aにおいて、位置1610aは、位置1610bと対にされ得る。なぜならば、位置1610aからスライス1600bにおけるその他任意の感知された位置へのベクトルは、ベクトル1615aの大きさを下回る大きさを有さないからである。同様に、位置1620aは、1620bと対にされ得る。対にされた位置を接続するベクトルの方向は、関連するシリンダ状のプリミティブの方向を決定し得る。
【0225】
図16Aにおける最短ベクトル方法を使用して、位置1610a’は位置1620b’と間違って関連付けられ得、位置1620a’は位置1610b’と間違って関連付けられ得る。この状況を避けるために、図16Bを参照する記述された別の実施形態において、追加的なスライスにおける情報が使用され得る。例えば、1610a’と1620b’との間の関連は、スライス1600c’における情報に対してチェックされ得る。ベクトル1615a’および1625a’の延長は、楕円の中心が感知されない位置につながるので、第1の例でなされた想定は、グローバルな最適合、例えば位置1610a’〜1610c’のグルーピングおよび位置1620a’〜1620c’のグルーピングを選ぶようにペナルティを課され得る。
【0226】
任意の数のスライスにおける感知された位置は共に分析され得て、モデル構成における様々なシリンダ状のプリミティブの方向を決定する。例えば、一群のN個のスライスにおける情報は一緒に考えられて、例えば最適化、回帰および/または統計的なスキームを拘束して、N個のスライスにおける感知された位置の最適合グルーピングを決定する。様々なスライスを通って楕円形の断面をたどることによって、特定のシリンダがいつ最初にスライスに現れ、いつ終わるかが決定され得る。この情報は、各シリンダの部分の長さliを決定するために使用され得る。シリンダ状のプリミティブの方向は、観察されたビューデータから決定され得て、モデルの初期の構成のより正確な仮定を容易にする。
【0227】
図7A(すなわち、xi,νi,Φi,νiおよびri)におけるシリンダ状の部分のモデルパラメータの1つのまたは任意の組み合わせは、ビューデータから獲得された情報に基づいて構成され得、従って、初期の構成が根底の構造に近く、続く最適化がモデル構造に近く収束する確率が増加することは理解されるべきである。
【0228】
本明細書に記述された様々な実施形態の方法で動作されたビューデータは、所与のX線スキャニングデバイスが生成し得る最大の解像度であることは理解されるべきである。例えば、様々な要素、例えばX線スキャニングデバイスにおける感知器の数(または感知器アレイのサンプリング率)、データが獲得される角度間隔その他が、ビューデータの解像度を制限する。上に論議されたように、ビューデータの解像度は、データから再構成された画像の解像度を上回る。例えば、ビューデータの解像度は、再構成された画像データの解像度の5倍以上に達し得る。従って、ビューデータに対して直接的に動作することによって、本発明の様々な局面が、従来の再構成画像に適用される感知方法によって利用可能な解像度よりもさらに高い解像度で、構造の感知を容易にし得る。
【0229】
本明細書に記述された本発明の異なった局面、実施形態、または行為の各々が、多くの方法のうちの任意のもので独立的にインプリメントされ得る。例えば、各局面、実施形態または行為が、ハードウエア、ソフトウエアまたはそれらの組み合わせを使用して独立的にインプリメントされ得る。ソフトウエアにおいてインプリメントされるとき、ソフトウエアコードは、単一のコンピュータに提供されようとまたは複数のコンピュータの間で分配されようと、任意の好適なプロセッサまたは一団のプロセッサで遂行され得る。上記の機能を実行する任意のコンポーネントまたは一団のコンポーネントは、上に論議された機能を制御する1つ以上のコントローラとして一般的に考えられ得ることは理解されるべきである。該1つ以上のコントローラは、多くの方法で、例えば専用のハードウエアで、または上に列挙された機能を実行するためのマイクロコードまたはソフトウエアを使用してプログラムされる汎用ハードウエア(例えば1つ以上のプロセッサ)でインプリメントされ得る。
【0230】
この点で、本発明の実施形態の1つのインプリメンテーションは、コンピュータプログラム(すなわち、複数の命令)で符号化された少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、コンピュータメモリ、フロッピィーディスク、コンパクトディスク、テープその他)を備え、このコンピュータプログラムは、プロセッサで遂行されたとき、上に論議された本発明の機能のうちの1つ以上を実行することは理解されるべきである。該コンピュータ読み取り可能な媒体は、移送可能であり得ることにより、そこに格納されたプログラムは任意のコンピュータシステムリソースにロードされ得、本明細書に論議された本発明の1つ以上の機能をインプリメントする。さらに、遂行されたとき上に論議された機能を実行するコンピュータプログラムへの参照は、ホストコンピュータで運営されるアプリケーションプログラムに限定されないことは理解されるべきである。むしろ、コンピュータプログラムという用語は、上に論議された本発明の局面をインプリメントするためにプロセッサをプログラムするために使用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えばソフトウエアまたはマイクロコード)を指すように、一般的な意味で本明細書では使用される。
【0231】
プロセスがコンピュータ読み取り可能な媒体でインプリメントされる本発明のいくつかの実施形態に従って、コンピュータでインプリメントされたプロセスは、その遂行の途上で、入力を手動で(例えばユーザから)受信し得ることは理解されるべきである。
【0232】
このように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの局面が記述されたが、様々な変更、修正、および改良が容易に当業者には想起されることは理解されるべきである。そのような変更、修正および改良は、本発明の精神および範囲の内にあることが意図されている。従って、前記の記述および図面は、単に例としてである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−223616(P2012−223616A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−172000(P2012−172000)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2007−548582(P2007−548582)の分割
【原出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(507209447)バイオ−ツリー システムズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172000(P2012−172000)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2007−548582(P2007−548582)の分割
【原出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(507209447)バイオ−ツリー システムズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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