説明

痛み検出の装置、方法、及び痛み定量指数の算定

【課題】
被検者の痛みを検出する方法を提供すること。
【解決手段】
被検者の脳波活動に基づき脳波データを発生する工程と、脳波データを参照データと比較して結果データを発生させる工程とを備える。被検者が覚えた痛みの存在を結果データの関数として定めることと共同して、参照データは、(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ、(ii)第2の複数の個体に加えられた痛み事象に応えて発生させた、第2の複数の個体脳波活動を示す集団参照データ、(iii)痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ、かつ/または(iv)痛みについての主観的訴えを変えた治療介入に続く、個体の第4集団の脳波活動を示す参照データ集団、に対応する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来より、痛み測定は一般にほぼ主観的なものであった。つまり、診断手法(例えば、MRI、x線、超音波等)が生理学的状態を正確に定めるためのデータを提供する一方、痛みはほとんどの場合患者からの意見を尋ねることで測定される。例えば、オピオイドかつ/または他の鎮痛剤が投与される場合や、特に患者管理鎮痛法(PCA)においては、患者が覚えた痛みを客観的に測定して、保証されていない過度の鎮痛剤投与を監視、あるいは停止、することが望ましい。急性や特に慢性の痛みに対する治療不足が広範にわたってしばしば起こっている。これは医師が患者の痛みの訴えを客観的に評価する方法がないからであり、特に、常用の解剖学に基づいた放射線学または周辺神経系の常用の診断電気生理学で痛みの元が識別できない場合に起こる。救急部門においても、骨折した足や脱臼した肩の患者を評価または治療するとき、治療スタッフは鎮痛剤で治療不足や過治療を行ってしまう場合がある。これは同じ投薬量で全患者が同様の反応をするという前提の過去の経験とほとんど変わらないものに基づいてレベルを選択するからである。
【0002】
このような客観的評価の欠如により、患者管理鎮痛法(PCA)(患者が時間あたり自己投与できる追加麻酔薬の量及び頻度はもちろん、毎時間ごとに注入される量の基本速度も制御するポンプを介して静脈から入れられる麻酔薬)の制御も悪化してしまう。急速静注の麻酔薬の基本及び追加投与にもかかわらず患者に痛みがあると、ポンプパラメータは上方に調節されなければならない。熟練看護スタッフの注意や医師の指示を要するこの処置は、PCAパラメータが適切に調節されるまで不幸にして遅れてしまったり不必要な痛みを招く可能性がある。さらに、患者の痛みの訴えに多く頼ることで、患者が医師をごまかして必要以上の痛み投薬を得る機会を提供してしまう。
【0003】
動物は痛みレベルを主観的に評価することができず、不快さの程度を行動の変化(例えば、足を引きずる)を認めることで推測するしかないので、痛みの客観的測定は特に有益であろう。
【0004】
医療への適用に加え、定量参照データは、痛みのレベル(例えば、訴訟保険、障害請求等)を客観的に評価する必要がある状況で重要なことがある。
【0005】
陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放射断層撮影(SPECT)及び機能的磁気共鳴影像法(fMRI)等の脳画像法を使って、急性の痛み、実験的に作られた痛み、また多くはないが、慢性的痛みがある人の痛み処理メカニズムを理解する助けとすることがある。LORETA(パスクアル-マルキ他、1999年)等の低解像度qEEG脳画像法を使用して、様々なタイプの急性かつ/または慢性的痛みの処理に関わる脳の領域についての生理学的情報やその領域の生理学的活動の治療効果を提供することがあるが、客観的痛みの測定については何も提供されていなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、痛みを検出する装置及び方法を目的とする。この方法は、被検者の脳波活動に基づき脳波データを発生させる工程と、該脳波データを参照データと比較して結果データを発生させる工程と、被検者が覚えた痛みの存在を該結果データの関数として定める工程、とを備える。該参照データは、(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ、(ii)個体に加えられた痛み事象に応えて発生した、第2の複数の個体の脳波活動を示す集団参照データ、(iii)無痛状態にある被検者の脳波活動を示す自己規範データ、及び(iv)痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データの少なくともひとつに対応する。当業者には理解されるように、データが得られる多様な複数の個体は互いに完全に分かれていてよいし、部分的にまたは完全に重なってよい。加えて、個体または患者からの痛みの訴えに基づいたデータは、この情報についてのプロンプトに応えたものでもよいし自発的に与えられるものであってよい、と当業者は理解するであろう。
【0007】
本発明は以下の記載及び添付図面を参照することによりさらに理解され、ここで同様の要素については同一の符号を設けている。本発明は、脳波図(EEG)から集められた脳波データを分析することで痛みを検出する装置及び方法について説明する。脳活動に関連する他のタイプのデータを、ここに記載されている同様の方法で操作して同様の結果を達成される、と当業者は理解するであろう。このように、EEGの記載及びEEGの特徴についての具体的な記載は本発明の例示的実施形態を説明するものであって、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、痛みに反応するいかなる体系の活動(例えば、自律神経系、発汗や電気皮膚反応(GSR)、落涙、額の筋肉の収縮(前頭、輪筋、眼周辺の皮膚等))も測定及び定量化されてよく、被検者が痛みを覚えているかどうかを定める。加えて、任意の脳の領域の中で神経性かつ/または代謝性活動量に反応する他の分析形態、例えば、筋電図(EMG)、核磁気脳撮影図(MEG)、機能的磁気共鳴影像法(fMRI)、近赤外線分光法(NIRS)又は他の光学断層撮影法(例えば、SPECT)、等が利用されてよい。
【0008】
本発明はヒトの被検者に関して詳細に記載されているが、動物について同じ結果を得るために実質的に類似の方法を使用してもよい、と当業者は理解するであろう。具体的に、解剖学的差を調節してからウマ、ネコ、イヌ等の哺乳類をヒトについて記載したのと同様の分析対象としてよい。まず、この動物分析は、被検者の脳活動を集団データと比較することよりも、個体についての脳活動を痛みの発現の前後(例えば、外科的処置の前後)で比較することでより一般的に自己基準を適用しうる。しかし、ヒトの被検者について以下に記載するのと同様に動物についての集団データをまとめてよい、と当業者は理解するであろう。
【0009】
当業者には理解されるように、脳から発生した電気信号の強度及びパターンを測定することで、脳波図(EEG)により神経生理学的活動が検出される。電気信号の自発的振動は一般的に脳波又はEEGと呼ばれる。このEEGは、自発的に振動している電気信号及び他の電気的活動(例えば、「ノイズ」又は脳以外を源とする電気的活動、感覚刺激により引き出される過渡電位、例えば、事象関連電位(ERPs)等)から得られる記録である。EEGは一般的に、子供及び大人のてんかん、占拠性病変、神経及び精神障害及び他の脳機能異常の診断を補助するものとして使われる。
【0010】
例示的実施形態において、脳活動に対応するデータ(例えば、EEGデータ)は被検者が覚えた痛みを検出す定量化するために利用される。変動する痛みのレベルを示す差はもちろん、痛みの有/無において生じた脳波間の差は、被検者のEEGデータを1つ以上のデータベース内のデータと比較することで統計的に評価される。例えば、被検者EEGデータは、被検者とほぼ同様の個体(例えば、年齢、性別等)で構成される対照集団についての正常な脳波活動を示す規範データと比較されうる。被検者のEEGデータは、例えば、増分定数化刺激によって導入された痛みの程度が変動している場合の対照集団の脳波活動を示す、校正された又は「校正された」参照データと、さらに比較されうる。該データベースは、痛みの有/無における被検者の脳波活動を示す自己規範データ、かつ/または、対照集団内の個体が痛みの存在(例えば、急性、慢性)を主観的に訴えるときの脳波活動を示す、該集団から集められた自己報告された参照データ、をさらに含んでよい。該データベースは、該集団の個体かつ/または被検者についての医療履歴及び身体的かつ/または神経的検査結果をさらに含んでよい。用語データベースは特定のデータ構造を暗示するように使われているのではない、と当業者は理解するであろう。むしろ、どんなタイプのメモリにも存在する、データ記録のいかなる検索可能な集合を含むと広く理解されるべきである。
【0011】
本発明は、痛みを検出し、定量化し及び画像化する装置及び方法に関する(痛み定量指数/画像)。この方法は、定量脳波(qEEG)特徴を被検者の頭皮及び額上の基準位置に置かれた変動する電極の数から記録された脳電気活動から抽出する工程と、脳波データを年齢に応じた規範データと比較して基準又はZスコア結果データを発生させる工程と、被検者が覚えた痛みの有/無、慢性度かつ/または強度を結果データの関数として定める工程、とを備える。データベースは、(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ(ii)校正された個体に加えられた一連の痛み事象に応えて発生した、第2の複数の正常な個体の脳波活動を示す集団参照データ(iii)等級分けされた痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ(慢性及び急性)及び(iv)痛みについての主観的訴えの状態を変えた治療介入に続く、第4の複数の個体の脳波活動を反映した参照データ集団(慢性及び急性場合)、の少なくともひとつに対応する。
【0012】
結果データは、PDIによって頭皮上で検出した異常なqEEG活動がある脳内の、最も可能性の高い神経解剖学的生成源の位置測定に使うことができる。低解像度電磁断層撮影分析(パスクアル-マルキ他、1999年)、可変解像度電磁断層撮影分析(ボッシュ-バイヤード他、2001年)又は類似の方法がこれら生成源を視覚化するのに使用されうる逆解決手法の例である。算出された生成源は、確率的MRIアトラス(エバンス他、1993年)から、体軸横断、矢状又は冠状切片上に描写されてよく、検出された生成源の統計的意味を表すためのパレットを使って各脳の領域の各ボクセルを色コード化する。LORETA像は、国際10-20電極配置法(ジャスパー、1958年)に従って頭皮上に配置された適切な電極配列を使い、デスクトップ又はノートパソコンにより制御及び分析されたデジタルアンプ群からの全算定値を実行する機器により算出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被検者の痛みの客観的確証が可能となる。痛みの存在を決定することは臨床及び非臨床環境において有益である。例えば、訴訟においては損害賠償が受けた痛み及び痛みが治療可能か慢性的なものかに基づき裁定される場合が多い。痛みの客観的確証により、損害賠償をより正確に計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る痛みを検出する装置の例示的な実施形態を表す図である。
【図2】本発明に係る痛み評価アルゴリズムの例示的な実施形態のフローチャートを表す図である。
【図3】痛み評価アルゴリズムで利用されるクラスタ分析モジュールを開発する際に使われるクラスタ分析手順の例示的な実施形態のフローチャートを表す図である。
【図4】痛み評価アルゴリズムの一実施形態で利用される判別分析モジュールを開発する際の判別分析手順の例示的な実施形態のフローチャートを表す図である。
【図5】本発明に係る痛みを検出する方法の例示的な実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る痛み検出のための装置1の例示的実施形態を表す。装置1には、定められた時間に被検者20が覚えた痛みの客観的確証、(及び任意で定量)を提供する痛み検出機器(PDI)16が含まれる。例示的実施形態において、PDI16は臨床及び非臨床環境で持運び可能で手で持てる装置として実施される。後者の例の場合、EMT(救急隊員)又は他の現場の医療職員は、被検者が覚えた痛みを検出かつ/または定量化するためにPDI16を使用してよい。例えば、適切な痛み処置方策を定めたり、触診等と連携して、予備的診断を行うときの補助とする。例えば、被検者のEEGデータと痛み定量指数の比較で定量化された痛みは、患者記録、従業員記録又は労災等の将来の参考のために記録されうる。PDI16を急性かつ/または慢性的痛みの処置、リハビリ治療、治療処方、治療有効性評価、患者への鎮痛剤供給の監視や調整(患者管理鎮痛剤(PCA)の供給を含む)、痛みレベル間の区別、適切なニューロフィードバックパラダイムを通して痛みを減少させること等(これに限定されるものではない)の他の多様な状況で利用されうる、と当業者は理解するであろう。
【0016】
PDI16は電極8に連結されて、被検者20の脳活動に対応する電気的データを受信する。同様の電極配置を使用してSEPやEEGを記録されうる。電極は国際10-20電極配置法(ジャスパー、1958年)等の基準配列又は頭、額や頬上の選択された有利な位置に置かれてよい。電気的データは定量的に分析され、デジタル定量EEG(qEEG)データかつ/または定量体性感覚誘発電位(qSEP)データを発生させて、データベース6内の参照データと比較される。当業者には理解されるように、データベース6はPDI16内のメモリに記憶されてよいし、離れた場所にある記憶装置から例えば無線又は有線接続を介してアクセスされうる。あるいは、データベース6の一部分が局所的に記憶され、一方で1つ以上の遠隔地からアクセスされうる。以下により詳細に記載されるように、データベース6内の参照データは、(i)実験的に定められて以下にさらに説明されるとおり、痛み無しから極限レベルの痛みまでさまざまなレベルの痛みを覚えている個体(校正された痛み基準)、(ii)無痛のとき(自己参照基準)に見られる急性又は慢性の痛みがある個体(被検者20)、かつ/または、(iii)痛みを自己報告している個体(急性又は慢性)から検出された脳波データ、に対応する。被検者の脳波データとデータベース6との比較により、痛みの有/無及び覚えた痛み定量化が示される。EEGデータかつ/またはSEPデータの変化がデータベース6内の状態と相関関係にありうる。痛み治療規約/手順において、例えば、治療の前後の被検者の脳波データと参照データの比較を治療や手順の神経生物学的有効性を定量化し、かつ/またはその後の治療を管理するために使用されうる。
【0017】
データベース6を構築する際に、集団の各個体にEEGかつ/またはSEPを発生させてよく、EEG及びSEPは分析されて参照データが発生する。例えば、不活性なEEGかつ/またはSEPを分析して、個体による主観的な痛みの訴え(及び対応する強度かつ/または慢性)と相関関係にある特徴が抽出されうる。当業者が理解するように、EEG電力スペクトルにおけるピークは電極8により採取された脳の領域内の異なるニューロン集合の自発的起動を反映している。SEPの波形の連続ピークは、連続して起こる解剖学的領域(例えば、神経系の内側毛帯路構造)を被検者20に投与された刺激に関連する信号が通過する際の、該信号の処理に対応する。EEG電力スペクトルの形状かつ/またはSEP内のピークタイミング(例えば、潜在期)により、神経系の働き及びニューロン伝達経路を通る信号の処理に関する情報が提供される。
【0018】
特に、頭皮の特定の部分から記録されたときに、EEG電力スペクトルの特定の周波数に独特の電力変化が起こりうる。例えば、例示的好適実施形態においては、背部側部の、前頭葉前方リード、眼窩周囲前頭葉前方リード、前帯状回にわたる近心前頭葉リード、痛みの感覚に対応する皮質に届く急性又は慢性の痛みを伴う知覚的入力領域から発する自発的活動に反応する皮質野にわたる、中央、頭頂又は他の領域の正中又は片側リードである。痛みへのこのような独特の反応はデータベース6から抽出されて、「qEEG痛み判別関数、P1」についての特徴の重要な集合を構成する「qEEG痛み符号」を定義するために使用される。
【0019】
EEGデータはアナログ又はデジタル形式で記録されてよい。当業者には理解されるように、データがアナログ形式で記録された場合、このデータはデジタル化されてアーチファクト又は任意の他の品質保証手順を受けてよい。その後、選択された特徴の集合は許容可能な品質のデジタルデータから抽出される。つまり、覚えた痛みの評価にとりわけ関連するqEEGデータから選択された特徴の集合が、得られた全データ集合から抽出されて、(i)無痛状態にある個体脳波活動を示す集団規範データ、(ii)加えられた痛み事象に応えて発生した個体の脳波活動を示す集団参照データ、(iii)痛みの感覚を訴えている個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ、及び(iv)痛みについての主観的訴えを変えた治療介入に続く、個体の脳波活動を示す参照データ集団、の少なくともひとつを含む参照データと比較される。その後、工程130及び135において、それぞれ、抽出された特徴について単変量又は多変量(例えば、マハラノビスの距離)のデータ特徴が算出され、その特徴が正常なガウス分布を得るために適切な場所で変換されうる(例えば、対数変換される)。当業者には理解されるように、変化の実際値又は差異スコアはこれら変換をせずに又は基準スコアを得ないで、基準として交互に使用されてよい。
【0020】
例えば、選択された特徴の集合を抽出する手順の第1工程において、ANOVAS及び他の統計的方法を使って、関心を寄せた2つ以上のグループ間(痛みを覚えている個体に対して無痛状態にある個体といった)で著しく異なる特徴「A」を外部qEEGデータベース(又は他の基準値)内で探す。それから、第1工程からの結果、特徴の集合「A」が多重逐次判別関数等の分類関数に入力され、その結果は(a)後に痛み評価方策の一部と考えられる分類関数自身として、かつ/または(b)特徴の数を、例えばクラスタ分析が含まれる可能性がある次の工程に入力される、より感度の高い特徴の集合「B」へ減少させるために、使用される。特徴の集合「B」はクラスタ分析に入力され、その結果は(a)後に痛み評価方策の一部と考えられる分類関数自身として、かつ/または(b)特徴の数を、単独で又は特徴の集合「A」かつ/または「B」と組み合わせてロジスティック回帰への入力として使用されうる、さらに感度の高い特徴の集合「C」へ減少させるために、使用される。同様に、神経網を使用して、qEEGデータから抽出された選択されない特徴の大集合を入力として受信し、及び、後に痛み評価方策の一部と考えられ、かつ/または特徴の数を、ロジスティック回帰に入力される集合「A」かつ/または特徴の集合「B」かつ/または特徴の集合「C」と組み合わせた、より感度の高い特徴の集合へ減少さる分類関数自身として使うことができる減少した特徴の集合「D」を出力しうる。あるいは、当業者には理解されるように、単一分類関数を使用して痛みを感じている確率を推定してもよく、この単一分類関数の結果をデータベースのデータと比較して痛みの有/無及びその強度かつ/またはタイプに関して決定してもよい。
【0021】
その後、以下により詳細に記載されるように、該データが1つ以上の分類関数に入力され、データベース内の同様又は関連した痛みの状態にある個体を表すサブグループに統計的に関連付けられる。データベースの代わりに、参照表又は同様のデータやあらかじめ定義された他の基準を表す他の構造を採用してもよい、と当業者は理解するであろう。回帰等の意思決定分類関数を個体データに適用することで、痛みの特定の程度かつ/またはタイプを持つグループ内で個体が適切に分類されるという統計的可能性が定められる。回帰モジュール(ロジスティック回帰である好適実施形態)は、それらの個々の確率よりむしろ反応カテゴリーの累積確率に基づく平行線回帰モデルであるコモンスロープ累積モデルに適合する。n個の個体についてk個の予測変数を考慮に入れると回帰モデルは以下のようになる。
【数1】

【0022】
変動する痛みの量・タイプに耐える個体及び被検者を含むデータベースであらかじめ扱われたこの等式は個体に適用されて、痛み評価が行われる。他の実施形態において判別関数、クラスタ法、神経網かつ/または他の分類関数のいずれも又は組み合わせが、痛みを評価する目的でデータに適用されることを、当業者は理解するであろう。
【0023】
以下に記載する例示的実施形態の痛み評価アルゴリズム180がクラスタ分析モジュール400、判別分析モジュール500及びロジスティック回帰モジュールをこの順序で利用する工程を具体的に開示しているが、本発明の痛み評価アルゴリズムはこれらモジュールのいくつか又は全てをいかなる特定の順序で含んでよい、と当業者は理解するであろう。
さらに、他の多様な分類モジュールにより(神経網を使うこと等で)得られた規則も、痛み評価アルゴリズム180に組み込まれて、推定される患者の認識下降について予測を発生させよい。加えて、当業者が理解するように、痛み評価アルゴリズム180で利用される全モジュールは、データベースへのいかなる又は全ての変更、及び分類アルゴリズムの改善、改良又は将来の反復に続いて再導出かつ/または修正してよい。しかし、好適実施形態において、ロジスティック回帰は手順の最終工程である。例えば、図2に示すように、工程1(200)において選択された特徴は例えば、判別関数等の分類手順に入力され、2つのレベル以上の痛みの相対確率が定められる。この分析で識別された特徴の集合はクラスタ分析かつ/またはロジスティック回帰等の他の分類関数に入力されうる。
【0024】
例えば、工程2(210)おいて、選択された特徴が例えばクラスタ分析等の分類手順に入力されて、被検者が異なるレベルかつ/またはタイプの痛みを反映する2以上のクラスタに対応する痛みを覚えている相対確率を定める。この分析で識別された特徴の集合を、判別分析及び又はロジスティック回帰等の他の分類関数への選択された入力として使うことができる。
【0025】
それから、工程N(220)において、選択された特徴が例えば回帰かつ/またはロジスティック回帰等の分類手順に入力されて、2つ以上の状態の痛みの相対確率を定める。この分析で識別された特徴の集合もまたクラスタ分析かつ/または判別関数等の他の分類関数への選択された入力として使ってよい。
【0026】
その後、工程230において、当業者には理解されるように、工程Nの分類関数により算出された確率スコアが受信者運用特性(ROC)曲線を使って信頼水準に変換される。感度対特異度のプロットを使って、さまざまなPレベル(0.l0、0.05、0.01等)に対応する確率を特定してよい。多重分類関数の結果を使用して痛み評価を行う場合、当業者には理解されるように、工程240における「投票方策」を使って結合させてよい。加えて、痛み評価アルゴリズムは追加的データ(例えば、既存の条件、臨床履歴/症状、神経生物学的又は遺伝子的情報についてのデータ)を利用して痛み評価をさらに改良してよい。
【0027】
同様に、「QSEP痛み符号」は、振幅、ピーク潜時又はピーク間の間隔の変化として反映された痛みを伴う感覚を仲介する脳の領域、選択された潜時点、選択された形態記述子間のSEP下の部分、又は定電流電気的又は赤外線レーザパルスの異なる校正された強度を伴う校正された刺激により引き出される患者SEPの神経解剖学的分布、からの記録から得られる。これら刺激は、体表(例えば、手首上の正中神経)の特定の場所に供給されるか、最も激しく痛むとして訴えられた領域に最も近い皮膚分節や体表領域に直接供給されうる。このような実施において、SEP波形は校正された規範データベースと定量的に比較されうるし、もし痛みが片側もしくは局在的であれば、罹患部の刺激により引き出されたSEP対相同又は同位置の非罹患部や対照領域との比較でもよい。定量SEP分析(qSEP)は、独立成分分析(ICA)、主成分分析(PCA)又は領域間、刺激条件又は強度間のt検定等の多様な数学的手法を使って行い、SEPを定量記述子に分解して被検者SEP記述子値を上記でqEEGについて記載されたものと類似した規範又は痛み参照データベースから得られた規範記述子値と比較されうる。痛み符号の要素は「qSEP痛み判別関数、P2」における変数として使用される。
【0028】
qEEGかつ/またはqSEPは、被検者の1つ以上のパラメータにより示された脳波の活動に関連した痛みを検出するために使用される。qEEGにおいて、パラメータには、特定の広帯域周波数ドメイン(例えば、デルタ、シータ、アルファ、ベータ、ガンマ)、又はあらかじめ選択した脳の部分の極挟帯域(VNB)スペクトル分析を使って定量化したいくつかの特定の周波数における電力、あらかじめ選択した脳の部分間の広域又は極挟帯域周波数における電力の可干渉性かつ/または非対称性等が含まれてよいが、これに限るものではない。qSEPにおいて、パラメータには、潜在期、振幅かつ/またはあらかじめ選択した脳の部分における任意のピーク下の部分、全SEPの可干渉性かつ/または非対称性かつ/または脳のどれか一対の相同部分(脳半球間)からの個別ピーク、同じ脳半球(脳半球内)上のどれか一対の電極間の電力比又は非同期が含まれてよい。qEEGかつ/またはqSEPの分析において、脳内の電流源の3次元像を発生させてよく、パラメータには脳内の選択されたボクセルにおける任意の周波数での電力かつ/または電流かつ/またはZスコア、又はSEP波形の分析エポックにおける特定のピーク潜時又は潜時期間に関連する電圧が含まれてよい。
【0029】
図1に示すように、PDI16は、痛みの存在を分析されている被検者20の頭皮へ貼り付けられた1つ以上のEEG電極8に任意に選んだ構成(例えば、10-20法)で連結される。データベース6を構築するとき、電極8は集団の個体の頭皮へ連結される。任意の従来のEEGバイオセンサ電極を本発明と連携して使用してもよく、電極8は再使用可能又は廃棄可能でありうると、当業者は理解するであろう。例えば、電極8はあらかじめゲル状で、自己「接着性廃棄可能な電極」であってよい。あるいは、電極8は複数の小さなとげ、針状電極、又は一時的に頭皮へ装着する導電性ディスクでよい。電極8は、電極8から送り返される電気信号ノイズを制限しながら、導電性ゲルを利用して頭皮への迅速で確実な装着をもたらしてもよい。他の例示的実施形態(例えば、持運び可能な装置)において、電極8は被検者20の頭上に置いたキャップに連結されてよく、頭皮に対して任意に選んだ構成で電極8を調整して置いてよい。キャップによって非臨床環境で電極8を配置し易くなり、頭皮への電極8の装着に伴う問題が少なくなる。他の例示的実施形態において、電極8は帯状の自己接着材料の中に一列に収容されてよい。このように、PDI16は任意の数かつ/またはタイプのバイオセンサ電極からのデータを受信するように構成されてよいし、電極8群からのデータを分離するように構成されてよく、例えば、病院ベッドの複数患者、神経外傷ICU、複数病院間外傷ネットワーク等についての同時使用を可能にする。本実施形態において、データベース6にはいくつかの要素により同時に埋め込まれてよい。電極8は有線又は無線接続を介してPDI16に連結されうる。有線電極を使用することで、リード線により信号を電極8からPDI16へ転送してよく、一方で、無線電極では、無線周波数送信機を使って無線周波数信号により信号をPDI16へ転送してよい。PDI16は電極8から信号を受信するための受信装置(例えば、ケーブルコネクタ、無線周波数受信機)を含む。PDI16は複数被検者の電極からの信号を受信するように構成されうるので、装置1を複数の病院ベッド、神経外傷ICU、複数病院間外傷ネットワーク等に提供され得る。
【0030】
刺激装置13は、例えば、SEPを監視するかつ/またはデータベース6構築するときにPDI16と(コネクタを介して)一体的に連結されうる。刺激装置13により、ある選択された反復率(通常5から11パルス/秒の範囲)又は不規則間隔で1つ以上の痛み事象を被検者20かつ/または集団の個体に加えることができる。刺激装置13には、痛み事象のタイプ、強度かつ/または持続時間を変動させるソフトウエアが含まれてよいし、又そのソフトウエアで制御されてよく、様々なタイプの痛み(例えば、神経系の、筋骨格又は内臓の、片側又は両側の、局在又は全身の、急性又は慢性の、情緒的又は心的な痛み等)をシミュレーションするSEP及び脳活動を発生させる。
【0031】
局部的感度を比較し、習慣化を避けるため、刺激場所かつ/または強度はPDI16により制御されてよい。痛み事象は瞬間的痛みから慢性的痛みまでシミュレーションすることでそのタイプかつ/または持続時間が変動しうる。刺激装置13により、電気的、機械的、化学的、光学かつ/または熱的機構かつ/または聴覚音又は視覚的光景を使用して痛み事象をシミュレーションしてよい。例えば、刺激装置13で個体に電気ショック、レーザ刺激、圧縮力かつ/または温度変化を加えて「身体的痛み」を引き出してよい。一例示的実施形態において、刺激装置13により、感覚神経(例えば、手首の正中神経、かかとの後頸骨神経、皮表等)に可変電流又はレーザエネルギーを加える。そうすると、PDI1が個体の脳活動を痛み事象の発現と連携して測定し、個体が覚えた痛みに対応する他のデータはもちろん、SEPデータ(例えば、qEEG、聴性誘発電位、視覚誘発電位、EKG等)を得る一方で、加えられた痛みの量が正確に制御され得る。
【0032】
いろいろな形態の刺激を工夫し、特に外傷後ストレス障害(PTSD)患者を評価する場合に、心的痛み(例えば、情緒的又は精神的)と身体的痛みを区別したり、その刺激には図式的視覚的像や音を繰り返し提示することが含まれてよい。
【0033】
電極8は選択された位置上に置かれてよいし、伝統的10-20法でもよく、脳波を採取しEEG及びSEPデータを発生させる。これら脳波はまた、信号源定位アルゴリズム、例えば、低解像度電磁断層撮影分析(LORETA)、可変解像度電磁断層撮影分析(VARETA)等を使って、脳の3次元像を構築するのに利用されてもよい。これらの方法を使って、脳の領域が評価されてよく、前頭葉前方皮質の背部側部、近心、正中及び眼窩周囲領域、帯状回の島、前、中及び後部領域、中央及び頭頂皮質の体性感覚領域、扁桃、被殻及び視床(これらに限るものではない)を含む痛みの認識、質かつ/または強度を反映してよい。電極8は選択された位置上に置かれてよいし、伝統的10-20法でもよく、脳波が採取されEEG及びSEPデータを発生させる。
【0034】
電極8で観察された電気信号は、PDI16内の高ゲイン、低ノイズアンプ17へ転送されてからろ過装置19でろ過され、信号のアーチファクト汚染を検出及び破棄する。電気信号内のアーチファクト検出は、例えば(1)EEGの複数の連続的2.5秒長区間のスライディング窓から得られた統計的パラメータに関連する、非定常物を検出すること、(2)EMG(体)、EKG(鼓動)かつ/または眼球電図(眼球移動)といった共通アーチファクトの特性を定義する規則の集合を適用すること、かつ/または(3)独立成分分析(ICA)を使って、多変量統計手順かつ/またはフラクタル次元解析によりアーチファクトを識別すること、で達成されうる。当業者に理解されるように、ろ過装置19は、ノイズの衝撃かつ/または、例えば、被検者の移動、ゆるく貼り付けられた電極、干渉等から生じる他のアーチファクトを最小化して、被検者20の脳活動を表すデータや脳活動に制限されたデータを発生させる。電極はアーチファクト減少させるためにドリブンシールドで保護されてよい。
【0035】
アーチファクト除去後、EEGは、約2.5秒長のEEGサンプル上で行われる高速フーリエ変換(FFT)、ウェーブレット分析又はフラクタル次元解析等の信号処理技術を使ったスペクトル分析を受けることがある。EEG電力スペクトルは、広帯域に分けられてよい(例えば、低デルタ(0.5〜1.5Hz)高デルタ(1.5〜3.5Hz)、シータ(3.5〜7.5Hz)、低アルファ(7.15〜10Hz)、高アルファ(10.0〜12.5Hz)、ベータ(12.5〜25Hz)、低ガンマ(25〜35Hz)、高ガンマ(35〜50Hz)及び超高(50〜200Hz)。全リード線内全周波数対全リード線内全周波数の分散-共分散行列を算出してスペクトル及びバイスペクトル評価することができる。つまり、全リード線内の異なる周波数間の相関係及び可干渉性が検査される。
【0036】
あるいは、スペクトルは幅約0.39〜0.50Hzの極挟帯域(VNB)に分けられてよい。絶対電力及び相対電力、単極及び双極導出、左右相称、相同のリード線間の可干渉性及びバイコヒーレンス、リード線の全組間の可干渉性、バイコヒーレンス及び電力勾配、及び上記特徴のさまざまな組み合わせの多変量圧縮(例えば、マハラノビスの距離)が算出されて、規範分布に応じたスコア(例えば、Zスコア)として表されてよい。同様に、フラクタル次元は1次と2次間で変動することができ、フラクタルデータベースが構築され、及びフラクタルZスコアが痛みの有/無における異なる電極からのEEGについて算出されてよい。
【0037】
アンプ17により、例えば、約100,000dBでの増幅ゲイン、高入力インピーダンス(〜1Megohm)、約0.5Hz〜1500kHzの帯域幅、かつ/または約1μV未満のノイズレベルを使って電極8により観察された電気信号が増幅される。アンプ17には、従来技術で知られているように、電流漏れから保護する、フォトダイオード発光ダイオード分離カプラ等の入力分離回路が含まれてよいし、無線周波数フィルタかつ/または60サイクルノッチフィルタによって電気的干渉から保護されてよい。各電極8からの増幅された電気信号はアンプ17で出力されて、例示的実施形態においては1秒当たり約8,000サンプルの最小変換速度及び24ビットの解像度で作動するアナログデジタルコンバータ(ADC)18によりデジタル信号に変換される。なお、これは各電極について24ビットデジタルアンプを使って達成されうる。
【0038】
デジタル信号は、中央演算装置(CPU)25に含まれるか電気的に連結されるデジタル信号処理装置(DSP)21に送信される。DSP21は従来技術で知られているように、デジタル信号処理技術を利用してデジタル信号をろ過し、CPU25はDSP21から出力された信号をデータベース6内に記憶された参照データと比較するが、これをPDI16内のメモリ(例えば、不揮発性メモリ)に局所的に記憶されてよいし、又はネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット)を介して遠隔的にアクセスされうる。PDI16は有線かつ/または無線接続を介してネットワークに連結されうることを、当業者は理解するであろう。比較した結果として、CPU25は痛みを検出したかどうかを示すデータを出力し、検出した場合、痛みの大きさ(すなわち、痛み指数に対応する)。デジタル信号の分析について以下にさらに記載する。
【0039】
PDI16は1つ以上の入力/出力(I/O)装置24を含んでよいし、又はその装置に連結されてよい。例示的実施形態において、PDI16は、被検者20の脳波データ(すなわち、EEG)、参照データかつ/または痛み指数等を表示する表示装置に連結される。PDI16には、PDI16の構成部品/設定を構成したりEGGを操作するためのキーパッド、EGGかつ/または痛み指数を含む他の被検者に関連したデータを印刷するためのプリンタかつ/またはPDI16と一体化した又は連結可能な他の周辺構成部品が含まれてよい。これら及び任意の他の周辺部品と通信するために、PDI16には構成部品と通信するための適切なハードウエアポート及びソフトウエアドライバが好適に含まれる。
【0040】
qEEG分析により、規範しきい値を超える定量変数の値をデータベース6内で識別されて痛みの存在を示すものとして表してよい。あるいは、qEEGかつ/またはSEPの測定値から選択されたサンプルは痛みの存在/強度を定めるための、例えば、判別関数かつ/または回帰方程式等の1つ以上の分類関数に入力されうる。第1判別関数Aで痛みを覚えていない確率(A=痛みの存在)を概算し、第2判別関数Bで痛みを覚えていない確率(B=無痛)を概算する。なお、AはqEEG痛み判別関数、P1、qSEP痛み判別関数、P2、又はその合計P1+P2でよく、多モードのqEEGプラスqSEP痛み判別関数である。それから、eA+eB=1となり、eA/(1-eB)は痛みが存在する(0.00〜1.00)確率Pと同等である。痛み定量指数(PQI)は校正されから、この方法又は任意の他の適切な方法を使って、痛み無しから不快の知覚、軽い痛み、普通の痛み、激しい痛み及び耐えられない痛み変動する痛みの臨床スケールに対応させてよい。神経網を訓練することにより同様の結果得られて同じ結論に到達することがあると、当業者は理解するであろう。装置は、PQI値が少なくともしきい値レベルtである時、すなわちeA/(1-eB)>tの時はいつでも、被検者が痛みを覚えていると定めるように構成されうる。偽陽性の結果によっては、このしきい値レベルを変動させてよい。例えば、装置は、t値が≧0.95の時はいつでも、被検者が痛みを感じていると定めてよい。偽陽性の結果がより厳しい場合は、装置はt値≧0.99の時はいつでも、被検者が痛みを感じていると定めてよい。さらに、実データがeA+eBという結果を出す可能性がある(1に近づくが1と同等でない場合がある)と、当業者は理解するであろう
【0041】
データベース6構築するとき、CPU25は刺激装置13に指示して痛み事象を個体に投与する。例えば、個体内の痛みに感度のSEP評価を行うとき、CPU25は刺激装置13に指示して、手首の正中神経上に置いた一対の電極に定電流電気パルスの列をある反復率(例えば、約9.7Hz)で投与させる。それぞれ約200msの方形波持続時間を持つ約250パルスが、およそ5mAからおよそ25mAまでの強度で(又は、ほとんど耐えられないとして個体がとても強い痛みと考える最大強度まで)段階的に投与される。パルスの投与中に発生したEEGデータは、パルスからパルスへの間隔中の各強度においてスペクトル分析(例えば、高速フーリエ変換)を受けて、アンプ17の帯域幅にわたる間隔(例えば、約0.5Hz)で各極挟帯域(VNB)周波数の振幅及び相を検出する。
あるいは、EEGの連続的サンプルは、各刺激の発現で始まって各パルス列における次の刺激の発現直前のサンプル点(例えば、SEP潜時エポック)まで続く各サンプルとともに均分されてよい。それゆえ、パルス送出時間に時間鎖錠された電圧の時間系統は、各刺激により引き出される単一体性感覚誘発電位の波形を表すように構築される。したがって、脳活動データは電力スペクトルを構築するように使われてよいし、又は各強度で分けて集められたN個のサンプル(例えば、刺激の発現に対し時間鎖錠された250のSEP潜時エポックをサンプル数で割ったもの)の合計である更新可能な平均SEP(ASEP)をもたらすために均分されうる。算出されたら、電力スペクトルかつ/またはASEP値は、例えば、PDI16のメモリや取り外し可能な記憶媒体に記憶されてよいし、かつ/または離れた場所にある記憶装置に送信されてよい。
【0042】
当業者に理解されるように、脳電気活動記録データは体の動き(例えば、眼球移動)、異常な生理学的事象、周囲の環境的電気ノイズ等に伴う電圧により汚染される場合がある。これら電圧は一般的に脳活動により生成された電圧より大きく、本発明はこのような汚染事象の任意の衝撃を最小化するためのアルゴリズムを利用する。例えば、脳活動がEEGアンプを通じて検出されると、スライディング20秒窓について二乗平均(rms)-電圧を算出すること及びrms-電圧を選択された定数で乗じることで、更新可能な電圧しきい値がEEGチャネルについて連続的に(又は、2つ以上のEEGチャネルの場合は各チャネルについて分けて)算出されてよく、そうすることでrms-電圧は電気信号の振幅の約0.2標準偏差となる。EEGはろ過されて、しきい値より大きい電圧を含んだ電気信号の区間が捨てられる。例示的実施形態において、しきい値は振幅の標準偏差の6倍とほぼ同等のrms-電圧の倍数である。他の例示的実施形態において、しきい値は脳活動により発生すると推定される静値(すなわち、全電圧がアーチファクトに起因すると考えられる値)でよい。これら又は同様の非ノイズ化方法により脳派生でない電気的活動が記録から除去された後、残留電気信号は実質的にアーチファクトがないとされてよく、まとめられてさらなるqEEG又はqSEP処理に使われる連続的でアーチファクトのない脳電気活動のサンプルが形成される。残りの脳派生でない電気ノイズはもとより、EEGに関連する進行中の脳電気活動は、「胎児脳モニタ」と題された米国特許第6,566,861に記載されているように、ろ過装置19によってSEPを非ノイズ化することで除去されてよく、参照することによりそのすべての開示が本明細書に明確に含まれる。
【0043】
PDIが、取得されるデータ品質を適応的に監視して、許容可能な試験-再試験信頼度を保証したり過剰かつ/または重複データを避けながら十分な情報が取得することを保証できる手段を提供することが重要である。これは、データ収集処理が患者又は被検者に不快感を伴う可能性があるので特に重要である。作業者が所定量のデータを集められる選択肢を維持することが望ましいが、適応性品質管理をより効率的に達成できる多くの方法がある。このような信頼性の自己評価を達成するひとつの例示的手段は、例えば各周波数でのVNBスペクトル電力又は各リード線のSEP振幅といった関心を寄せた全変数について「変動係数(又はCV)[標準偏差を平均値で割ったもの]」をデータが取得されるにつれて順次算出することである。データは、CVが許容性を定義するあらかじめ選択したしきい値に収束するときに、許容可能に信頼できる、すなわち「反復可能」とみなされる。あるいは、例えばそれぞれ約25の刺激から得られる10のlight平均を含んだ、連動しているが独立した2つのサンプルに対して交互に期間を割り当てることで、奇数及び偶数の2分割を構築して、合計250の「奇数」及び250の「偶数」サンプルが構成されうる。各2分割内の標準偏差は、各light平均の各サンプル点で以下のように算出されてよい。
【数2】

ここで、
V=各時点での電圧
v2/N=電圧の二乗平均、及び
(V/N)2=電圧の平方平均
である。
【0044】
PDI16が、個体が痛みを覚えていることを示すとき、それを示す測定値は好適に信頼性をもって反復可能とする。反復可能性は、以下のとおり各時点でt検定を使ってテストされうる。
【数3】

【0045】
もう一方の実施形態において、反復可能性を示すのに許容できるであろう最小相関のためのしきい値とともに、全波にわたって相互相関を利用してよい。手段及び各時点での電圧について規範データが入手可能になると、本方法を使用して被検者20が覚えた痛みを検出し定量化してよい。痛みが、例えばP>0.05の有意性で検出されたら、p2<0.0025のレプリケーションが生じる。2つの2分割からの結果を組み合わせて(すなわち、均分される)表示してよい(反復された有意結果を強調して)。
【0046】
他の例示的実施形態において、デジタルくし型フィルタを使用して電気信号内のノイズ悪影響を減少させる。例えば、装置1は「相互作動監視又は自動適応自己最適化デジタルくし型フィルタを利用したEP評価装置」と題された米国特許第4,705,049号に記載されたデジタルくし型フィルタを採用してよく、参照することによりそのすべての開示が本明細書に明確に含まれる。上述したように、PDI16は、電極8が集めた電気信号の信号対雑音比(SNR)を向上させるために、デジタルくし型フィルタを利用してよい。デジタルくし型フィルタにおいて、帯域周波数を選択して、痛み事象の有/無に対応するように合わせた相分散パラメータを使ってくしの歯が作成される。当業者に理解されるように、最適なデジタルろ過は、SNRを向上させるための信号平均化するためのもう一つの方法であってよい。刺激装置13が、例えば、信号平均化について1秒当たりおよそ9.7の事象で、約250の体性感覚事象を生み出す場合、ノイズがランダムなうちにSEPが痛み事象に対し同期化される。SEPを計算するとき、ノイズは刺激、例えば、痛み事象数の平方根に比例して減少する。しかし、信号平均化はデジタルくし型ろ過に比較すると比較的遅い。EEG及び周囲のノイズは約100-250μVでありうるので、信号平均化後の残留非SEP「ノイズ」は15μVの高い値に留まる可能性がある。頂点間SEP振幅は2.5μV台である。ゆえに、信号対雑音比はl:6と悪くなる可能性がある。さらなる非ノイズ化は最適デジタルろ過を使って可能である。
【0047】
ASEPデータかつ/またはqEEGデータは、「ニューロメトリクス」(コンピュータ化された、脳電気的活動の定量分析)といった、信号の予測される正常性(例えば、無痛)の定量評価を使って評価される。ニューロメトリクス分析において、特徴はqEEG及びSEPsから抽出され、ガウス的性質を得るために変換され、予測された規範値と比較され(上述のような集団/自己基準)、そして正常な集団(すなわち痛み指数)からの標準偏差単位で表現される。その結果は、脳機能の色コード化された局所確率図又はタイムドメイン(電圧対潜時)内曲線の色コード化された区間として表示させることができる。これらの方法を利用することで、このようなデータの感度、特殊性及び臨床実用性が大幅に高められる。qEEG及びSEPのプロファイルは痛みがあるときに数学的に表現されてよく、無痛におけるの規範プロファイルと比較されうる。
【0048】
ろ過されたSEPを評価するには、刺激に対して時間鎖錠された曲線内の各ピークを自動的に検出するアルゴリズムをSEPに適用して、各ピークの潜時を識別する。例えば、ろ過平均の3点平滑化後、結果として生じるSEPは、2次導関数のゼロ値を求めまたピークに対応する一連の時間点を出力する手順による自動ピーク検出に適している。算出されたピークは最適にろ過されたqSEP上で印をつけられて正常テンプレートに重ねられ、そして上述のように、潜時が、対照集団かつ/または痛みを覚えていない時の被検者20への痛み実験から集められた規範データと比較される。
【0049】
図5には、本発明に係る被検者20の痛みを検出する方法1200の例示的実施形態が示されている。工程1202において、装置1が初期化されて校正される。PDI16及びI/O装置24は、ここに記載されている方法論にしたがって痛み検出用に作動させまた構成されてよい。装置1は被検者データ、例えば、身長、体重、年齢、医療履歴等に基づき構成されてよい。被検者データは存在及び痛みのレベルを定めるときに利用されてよい。例えば、被検者データ及び被検者脳波データに基づいてデータベース6を問い合わせてよい。
【0050】
工程1204において、PDI16は被検者20の脳活動(例えば、被検者20の頭皮に装着された電極8からの電気信号)に対応して信号を受信する。工程1206において、PDI16が信号を上述の方法で処理する。つまり、被検者20のqEEGかつ/またはqSEPデータを使用して、被検者20が覚えた痛みに対応する脳活動に応じてデータを発生させる。上述のように、信号がろ過されて平滑化され、周囲の雑音及びアーチファクトの影響を減少させる。
【0051】
工程1208において、脳活動データが参照データと比較されて、痛みが存在するかどうか定める。脳波データがデータベース6内の参照データと比較され、痛み指数に対応した値(すなわち、被検者20が覚えた痛みのレベルに対応した値)がI/O装置24により戻されて出力される。脳波データが痛みの存在を示すとき、痛みをPQIに定量化する任意工程1210に進んでよい。
【0052】
本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の構造及び方法論においてさまざまな修正及び変更を行うことができると、当業者に明らかになるであろう。このように、添付特許請求の範囲又はその均等物の範囲内である限り、本発明は、こうした修正及び変更を網羅すると解釈されるものとする。
【符号の説明】
【0053】
1 装置
6 痛みデータベース
8 電極
13 刺激装置
16 痛み検出機器(PDI)
17 アンプ
18 アナログデジタルコンバータ(ADC)
19 ろ過装置
20 被検者
21 デジタル信号処理装置(DSP)
24 I/O装置
25 中央演算装置(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の痛みを検出する方法であって、
被検者の脳波活動に基づき脳波データを発生させる工程と、
脳波データを参照データと比較して結果データを発生させる工程であって、参照データは、(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ、(ii)第2の複数の個体に加えられた痛み事象に応えて発生させた、第2の複数の個体の脳波活動を示す集団参照データ、(iii)痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ、及び(iv)痛みについての主観的訴えを変えた治療介入に続く、個体の第4集団の脳波活動を示す参照データ集団のうちの少なくともひとつに対応する、工程と、
被検者が覚えた痛みの存在を結果データの関数として定める工程、とを備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記参照データは、複数の痛みのレベル及び複数の痛みのタイプのうちのひとつに対応する値を含む痛み定量指数である方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記痛みのタイプは慢性及び急性を含む方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記脳波データを、痛みを感じている確率を示す第1分類関数Aに入力する工程と、
前記確率を痛み定量指数内の値と比較する工程、とをさらに備える方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記脳波データを、痛みを感じている確率を示す第1分類関数A、及び痛みを感じていない確率を示す第2分類関数Bに入力する工程と、
被検者が痛みを覚えている、eA/(1-eB)と等価である確率Pを算出する工程と、
前記確率Pを痛み定量指数内の値と比較する工程、とをさらに備える方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、第1の分類関数A及び第2の分類関数Bはそれぞれ判別関数である方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記脳波データを、痛みを感じている確率を示す分類関数A及び痛みを感じていない確率を示す第2分類関数Bに入力する工程と、
被検者が痛みを覚えている確率Pを、eAに基づく値と1-eBに基づく値とを比較することで算出する工程と、
判別スコアに基づいた確率が0.5より大きく、
前記確率Pが少なくともしきい値レベルであるとき、痛みの予測された強度及び予測されたタイプのうちのひとつをロジスティック回帰を使って算出する工程、とをさらに備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記しきい値レベルが少なくとも0.95である方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記しきい値レベルが少なくとも0.99である方法。
【請求項10】
請求項2に記載の方法であって、前記脳波データは神経網を使って分析され、痛みを感じている確率、及び感じた痛みの予測強度と感じた痛みの予測タイプのうちのひとつを算出する方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記脳波データ及び前記結果データのうちのひとつを被検者にニューロフィードバックの「目標」刺激として提示し、知覚しきい値を観念的にリセットすることにより被検者に痛みの感覚及び強度のうちのひとつを減少させる方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記脳波データは、定量的脳波図(EEG)、体性感覚誘発電位(SEP)、核磁気脳撮影図(MEG)、機能的MRI(fMRI)、陽電子放射断層撮影(PET)画像、単一光子放射断層撮影(SPECT)画像、及び近赤外線分光法(NIRS)の、うちの少なくともひとつから得られる方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記参照データは、脳波図、核磁気脳撮影図、近赤外線分光法、機能的MRI(fMRI)の検討、陽電子放射断層撮影(PET)の検討、選択された筋肉群からの筋電図(EMG)、神経状態の検討、単一光子放射断層撮影(SPECT)画像、電気皮膚反応、心拍及び血圧、の少なくとものうちのひとつから得られる方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記脳波図は、誘発電位及び事象関連電位のうちのひとつからのデータを含む方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記選択された筋肉群は、前頭筋、輪筋及び眼周辺の皮膚のうちの少なくともひとつを含む方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記痛み事象は、聴覚的、電気的、レーザ、熱的、機械的及び化学的刺激のうちの少なくともひとつを含む方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記主観的集団参照データは、医療履歴、身体的検査結果及び神経的検査結果のうちの少なくともひとつをさらに含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、被検者が覚えた痛みのレベルを結果データの関数として定量化する工程をさらに備える方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、患者管理麻酔装置により被検者に投与された鎮痛剤の量を結果データ及び痛みのレベルの関数として調整する工程をさらに備える方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、少なくともひとつのバイオセンサ電極を被検者の頭皮及び額のうちの少なくとも一方に取り外し可能に接続する工程をさらに備える方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、一連の電圧振動を少なくとも前記ひとつのバイオセンサ電極で検出して脳波データを発生させる工程をさらに備える方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、被検者はヒトである方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、被検者は、ネコ、イヌ、ウマ及びヒト以外の哺乳動物のうちのひとつである方法。
【請求項24】
被検者の痛みを検出する方法であって、
被検者が覚えた痛みの感覚に対応する所定の生理学的活動を検出し、被検者データを発生させる工程と、
前記被検者データを参照データと比較して結果データを発生させる工程であって、前記参照データは、変動する痛み感覚のレベル及び変動する痛み感覚のタイプのひとつを示す、生理学的活動の範囲に対応している工程と、
被検者が覚えた痛みの存在を結果データの関数として定める工程、とを備える方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記所定の生理学的活動は、(i)脳波活動、(ii)自律神経系の活動、(iii)発汗、(iv)電気皮膚反応(GSR)及び(v)落涙、のうちの少なくともひとつである方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記参照データは(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ、(ii)個体に加えられた痛み事象に応えて発生した、第2の複数の個体の脳波活動を示す集団参照データ、(iii)無痛状態にある被検者の脳波活動を示す自己規範データ及び(iv)痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ、のうちの少なくともひとつに対応する方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、前記集団参照データは、(i)脳波図、(ii)核磁気脳撮影図、(iii)近赤外線分光法、(iv)選択された筋肉群からの筋電図(EMG)、(v)体性感覚誘発電位(SEP)、(vi)電気皮膚反応、及び(vii)血圧、のうちの少なくともひとつから得られる方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記選択された筋肉群は、前頭筋、輪筋及び眼周辺の皮膚、のうちの少なくともひとつを含む方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって、前記痛み事象は、聴覚的、電気的、レーザ、熱的、機械的及び化学的刺激、のうちの少なくともひとつ含む方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法であって、前記参照データは、複数の痛みのレベル及び複数の痛みのタイプのうちのひとつに対応する値を含む痛み定量指数である方法。
【請求項31】
請求項24に記載の方法であって、痛みのタイプは慢性及び急性の痛みを含む方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、
被検者が覚えた痛みを示す値を結果データの関数として発生させる工程と、
前記値を痛み定量指数内の値と比較して、被検者が覚えた前記痛みのレベルを定める工程、とをさらに備える方法。
【請求項33】
痛み感覚を検出する装置であって、
複数の脳波図(EEG)電極から電気信号を受信する受信装置と、
前記EEG電極により検出された被検者の脳波活動に基づき脳波データを発生させる処理装置と、
(i)第1の複数の無痛状態にある個体の脳波活動を示す集団規範データ、(ii)個体に加えられた痛み事象に応えて発生した、第2の複数の個体の脳波活動を示す集団参照データ、(iii)無痛状態にある被検者の脳波活動を示す自己規範データ及び(iv)痛みの感覚を訴える第3の複数の個体の脳波活動を示す主観的集団参照データ、のうちの少なくともひとつに対応する参照データを記憶するメモリ、とを備え、
前記処理装置は前記脳波データを前記参照データと比較して結果データを発生させ、前記処理装置が被検者の痛みの存在を前記結果データの関数として定める装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置であって、前記受信装置はケーブルコネクタ及び無線受信機のうちのひとつである装置。
【請求項35】
請求項33に記載の装置であって、前記脳波データ及び前記結果データのうちの少なくともひとつを表示する表示装置をさらに備える装置。
【請求項36】
請求項33に記載の装置であって、刺激装置に接続される刺激装置コネクタをさらに備え、前記処理装置は前記刺激装置を制御して前記痛み事象を投与する装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置であって、前記痛み事象は、電気的、レーザ、熱的、機械的及び化学的刺激のうちの少なくともひとつを含む装置。
【請求項38】
被検者の痛みを検出する方法であって、
被検者の脳波活動に基づき脳波データを発生させる工程と、
前記脳波データを、痛みを感じている確率を示す第1判別関数Aに入力する工程と、
前記確率を痛み定量指数内の値と比較して、痛みの存在を定める工程、とを備える方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、
前記脳波データを、無痛の確率を示す第2判別関数Bに入力する工程と、
被検者が痛みを覚えている、
【数4】

と等価である確率Pを算出する工程と、
前記確率Pを痛み定量指数内の値と比較して痛みの存在を定める工程、とをさらに備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523226(P2010−523226A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502316(P2010−502316)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/059365
【国際公開番号】WO2008/124566
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(303008264)ニューヨーク ユニバーシティー (4)
【Fターム(参考)】