説明

癌の処置のためのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせ

本発明は、ZD6474のZD1839との組み合わせでの投与を含む、所望により電離性放射線により処置されているところであってもよいヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果創出するための方法、特に癌、特に充実性腫瘍を伴う癌の処置方法に関する。本発明また、ZD6474およびZD1839を含む医薬組成物;治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法における使用のための、ZD6474およびZD1839を含む併用製剤;ZD6474およびZD1839を含むキット;所望により電離性放射線により処置されているところであってもよいヒトなどの温血動物における抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出において使用される医薬の製造におけるZD6474およびZD1839の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、場合によっては電離性放射線で処置されていてもよい、ヒトなどの温血動物において抗血管新生(抗脈管形成、antiangiogenic)および/または血管透過性減少効果(vascular permeability reducing effect)を創出するための方法、特に癌を処置するための方法、特に充実性腫瘍を伴う癌を処置するための方法であって、ZD6474をZD1839と共に投与することを含む方法;ZD6474およびZD1839を含む医薬組成物;ヒトまたは動物の身体を療法により処置する方法に使用するための、ZD6474およびZD1839を含む併用製剤;ZD6474およびZD1839を含むキット;場合によっては電離性放射線で処置されていてもよいヒトなどの温血動物において、抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474およびZD1839の使用に関する。
【0002】
正常な血管新生は、胚の発生、創傷治癒、および雌の生殖機能の幾つかの要素を含めた多様なプロセスにおいて重要な役割をもつ。不都合または病的な血管新生は、糖尿病性網膜障害、乾癬、癌、リウマチ性関節炎、アテローム、カポジ肉腫および血管腫を含めた疾病状態に関連づけられている(Fanら,1995年,Trends Pharmacol.Sci.第16巻:第57−66頁;Folkman,1995年,Nature Medicine 1:第27−31頁)。血管透過性の変化は、正常および病的な生理学的プロセスの双方において役割を果たすと考えられている (Cullinan−Boveら、1993年、Endocrinology第133巻:第829−837頁;Sengerら、1993年,Cancer and Metastasis Reviews、第12巻:第303−324頁)。酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含めて、インビトロで内皮細胞増殖促進活性を有するいくつかのポリペプチドが同定されている。VEGFの増殖因子活性は、その受容体の発現が限定的であることにより、FGFsの場合と比べて、比較的に内皮細胞に対して特異的である。最近示された証拠によれば、VEGFは、正常および病的な血管新生の双方(Jakemanら、1993年、Endocrinology,第133巻:第848−859頁;Kolchら、1995年、Breast Cancer Research and Treatment、第36巻:第139−155頁)および血管透過性(Connollyら、1989年、J.Biol.Chem.第264巻:第20017−20024頁)の重要な刺激因子である。抗体を用いてのVEGFの補足によるVEGF作用の拮抗現象により、腫瘍増殖の阻害が生じうる(Kimら、1993年、Nature第362巻:第841−844頁)。
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTKs)は、細胞の原形質膜を通しての生化学的シグナルの伝達において重要である。これらの膜貫通型の分子は、細胞内のチロシンキナーゼドメインに原形質膜中のセグメントを通して連結する細胞外リガンド結合ドメインから成ることを特徴とする。受容体にリガンドが結合することにより、受容体に付属するチロシン菌キナーゼの活性が刺激され、受容体とその他の細胞内分子の双方のチロシン残基のリン酸化が導かれる。チロシンのリン酸化におけるこれらの変化により、種々の細胞内応答を導くシグナルカスケードが開始される。現在までに、アミノ酸配列の相同性により定義された、少なくとも19の区別されるRTKサブファミリーが同定されている。現在のところ、これらのサブグループの1つにfms−様チロシンキナーゼ受容体、Flt−1、キナーゼ挿入ドメインを含む受容体、KDR(Flk−1とも称す)、および別のfms−様チロシンキナーゼ受容体、Flt−4が含まれる。これらの関連するRTKsの内の2つ、Flt−1およびKDRは、高い親和性でVEGFと結合することが示されている(De Vriesら、1992年、Science 第255巻:第989−991頁;Termanら、1992年、Biochem.Biophys.Res.Comm.1992年、第187巻:第1579−1586頁)。異種細胞に発現したこれらの受容体へのVEGFの結合は、細胞のタンパク質のチロシンのリン酸化状態およびカルシウムの流出における変化と関連している。
【0004】
VEGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤であるキナゾリン誘導体は、国際特許出願公報WO98/13354およびWO01/32651に記載されている。WO98/13354およびWO01/32651において、化合物はVEGF受容体チロシンキナーゼ(VEGF RTK)に対して活性を有する一方で、上皮成長因子(EGF)受容体チロシンキナーゼ(EGF RTK)に対していくらかの活性を有すると記載されている。ZD6474は、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリンである:
【0005】
【化1】

【0006】
ZD6474は、WO98/13354の広い一般的な開示の中に含まれ、WO01/32651において例示されている。ZD6474はVEGF RTKの潜在的な阻害剤であり、EGF RTKに対していくらかの活性も有している。ZD6474は、1日1回の経口投与により様々なモデルにおいて広いスペクトラムの抗腫瘍活性をもたらすことが示されている(Wedge S.R.、Ogilvie D.J.、Dukes M.ら、Proc.Am.Assoc.Canc.Res.2001年;第42巻:要約、第3126頁)。
【0007】
WO98/13354およびWO01/32651において、それらの発明の化合物は:
「単独の療法として提供されてもよく、または本発明の化合物に加えて、1以上の他の物質および/または処置を含んでもよい。そのような共同処置は、処置の個別の成分の同時、逐次または別個の投与の手段により達成されうる」
と述べられている。
【0008】
WO98/13354およびWO01/32651は続いて、手術、放射線療法および、成長因子の機能の阻害剤を含む種々の種類の化学療法剤を含む当該共同処置の例示を記載している。
【0009】
WO98/13354およびWO01/32651のどこにも、癌を含む任意の疾病状態の処置のための、当該発明の化合物と上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせは示唆されていない。
【0010】
WO98/13354およびWO01/32651のどこにも、ZD6474およびZD1839の具体的な組み合わせは示唆されていない。
WO98/13354およびWO01/32651のどこにも、当該発明の任意の化合物の他の処置との使用が、驚くべき有益な効果を生み出すことは述べられていない。
【0011】
予期せぬことにかつ驚くべきことに、我々はここに、WO98/13354およびWO01/32651に列記された組み合わせ治療の広い記載からの特定の選択物、すなわちZD1839、と組み合わせて使用される特定の化合物ZD6474が、単独で使用されるZD6474およびZD1839のいずれか1つと比べて、顕著に優れた効果を創出することを見い出した。特に、ZD1839と組み合わせて使用されるZD6474は、単独で使用されるZD6474およびZD1839のいずれか1つと比べて、充実性腫瘍において顕著に優れた効果を創出する。
【0012】
ZD1839は、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミンである:
【0013】
【化2】

【0014】
ZD1839は、ゲフィチニブおよびイレッサ(Iressa、商標)(AstraZeneca UK Limitedの商標)としても知られており、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。ZD1839は国際特許出願公開WO96/33980に記載されている。
【0015】
近年、ある増殖因子受容体チロシンキナーゼ酵素は細胞複製を開始する生化学的信号の伝達に際して重要であることが見いだされた。それらは細胞膜を貫通する大型タンパク質であり、増殖因子に対する細胞外結合ドメイン、例えば上皮増殖因子(EGF)を結合する上皮増殖因子受容体(EGFR)、およびタンパク質中のチロシンアミノ酸をリン酸化するキナーゼとして機能するため細胞増殖に影響を及ぼす細胞内部分をもつ。
【0016】
EGFRは、EGFR、erbB2、erbB3およびerbB4を含むerbBファミリーの受容体チロシンキナーゼのメンバーであり、これらの受容体チロシンキナーゼは腫瘍細胞の増殖推進および生存にしばしば関与することが知られている(Olayioyeら.、EMBO J.、2000年、第19巻、第3159頁に概説)。これが行われる可能性のある機序のひとつは、一般に遺伝子増幅の結果としての、タンパク質レベルでの受容体の過剰発現によるものである。これは多くの一般のヒト癌において観察されている(Klapperら、Adv.Cancer Res.、2000年,第77巻、第25頁に概説):例えば乳癌(Sainsburyら、Brit.J.Cancer、1988年、第58巻、第458頁;Guerinら、Oncogene Res.、1988年、第3巻、第21頁;Slamonら、Science,1989年,第244巻、第707頁;Klijnら、Breast Cancer Res.Treat.、1994年、第29巻、第73頁;概説:Salomonら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.、1995年、第19巻、第183頁)、腺癌を含めた非−小細胞肺癌(NSCLC)(Cernyら、Brit.J.Cancer、1986年、第54巻、第265頁;Reubiら、Int.J.Cancer、1990年、第45巻、第269頁;Ruschら、Cancer Research、1993年、第53巻、第2379頁;Brabenderら、Clin.Cancer Res.、2001年、第7巻、第1850頁)、ならびに他の肺癌(Hendlerら、Cancer Cells,1989年、第7巻、第347頁;Ohsakiら、Oncol.Rep.、2000年、第7巻、第603頁)、膀胱癌(Nealら、Lancet,1985年、第366頁;Chowら、Clin.Cancer Res.、2001年、第7巻、第1957頁;Zhauら、Mol Carcinog.、第3巻、第254頁)、食道癌(Mukaidaら、Cancer、1991年、第68巻、第142頁)、消化器癌、例えば結腸癌、直腸癌または胃癌(Bolenら、Oncogene Res.、1987年、第1巻、第149頁;Kapitanovicら、Gastroenterology、2000年、第112巻、第1103頁;Rossら、Cancer Invest.、2001年、第19巻、第554頁)、前立腺癌(Visakorpiら、Histochem.J.、1992年、第24巻、第481頁;Kumarら、2000年、第32巻、第73頁;Scherら、J.Natl.Cancer Inst.、2000年、第92巻、第1866頁)、白血病(Konakaら、Cell、1984年、第37巻、第1035頁;Martin−Suberoら、Cancer Genet Cytogenet.、2001年、第127巻、第174頁)、卵巣癌(Hellstromら、Cancer Res.、2001年、第61巻、第2420頁)、頭頚部癌(Shigaら、Head Neck、2000年、第22巻、第599頁)および膵臓癌(Ovotnyら、Neoplasma、2001年、第48巻、第188頁)。
【0017】
これらの1以上の受容体の調節機能異常の結果、多くの腫瘍が臨床的にさらに攻撃性になり、これが患者の予後不良に関係すると広く考えられている(Brabenderら、Clin.Cancer Res.、2001年,第7巻,第1850頁;Rossら、Cancer Investigation,2001年,第19巻,第554頁;Yuら、Bioessays,2000年,第22巻.第7号、第673頁)。これらの臨床所見のほか多数の前臨床情報により、erbBファミリーの受容体チロシンキナーゼが細胞のトランスフォーメーションに関与することが示唆される。これには、多数の腫瘍細胞系が1種類以上のerbB受容体を過剰発現し、EGFRまたはerbB2は非腫瘍細胞にトランスフェクションされると、これらの細胞をトランスフォームする能力をもつという所見が含まれる。このほか多数の前臨床研究で、1種類以上のerbB活性を低分子阻害薬、優性ネガティブ体または阻止抗体によりノックアウトすることによって抗増殖効果を誘発できることが証明された(Mendelsohnら、Oncogene、2000年、第19巻、第6550頁に概説)。したがって、これらの受容体チロシンキナーゼの阻害薬は、哺乳動物癌細胞の増殖の選択的阻害薬として有用なはずであると認識されている(Yaishら、Science、1988年、第242巻、第933頁;Kolibabaら、Biochimica et Biophysica Acta、1997年,第133巻,第F217−F248頁;Al−Obeidiら、2000年,Oncogene,第19巻,第5690−5701頁;Mendelsohnら、2000年、Oncogene、第19巻、第6550−6565頁)。この前臨床データのほか、EGFRおよびerbB2に対する阻止抗体(それぞれc−225およびトラスツズマブ(trastuzumab))は特定の充実性腫瘍の治療のための臨床に有益であることが証明された(Mendelsohnら、2000年、Oncogene、第19巻、第6550−6565頁に概説)。
【0018】
erbBタイプの受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーは多数の非悪性増殖性障害に関連をもつ可能性があると考えられる。erbB受容体チロシンキナーゼの増幅および/または活性が、下記において検出されたからである:乾癬(Ben−Bassat、Curr.Pharm.Des.、2000年、第6巻、第933頁;Elderら、Science,1989年、第243巻、第811頁)、良性前立腺肥大(BPH)(Kumarら、Int.Urol.Nephrol.、2000年、第32巻、第73頁)、アテローム硬化症および再狭窄(Bokemeyerら、Kidney Int.、2000年、第58巻、第549頁)。したがって、erbBタイプ受容体チロシンキナーゼの阻害薬は、過剰の細胞増殖を伴うこれらおよび他の非悪性障害の処置に有用であると期待される。
【0019】
国際特許出願公開WO96/33980から、ZD1839がEGFRチロシンキナーゼ阻害活性をもち(J R Woodburnら、Proc.Amer.Assoc.Cancer Research、1997年、第38巻,第633頁、およびPharmacol.Ther.、1999年、第82巻,第241−250頁;ならびにA.E.Wakelingら、Cancer Research、2002年、第62巻,第5749−5754頁)、癌組織の増殖阻害薬であることが知られている。
【0020】
WO96/33980には、ZD1839を含めたその発明の化合物を他の癌療法と併用できると述べられている。そこには、下記の記載がある:
「前記に定めた増殖抑制処置を唯一の療法として適用でき、あるいは本発明のキナゾリン誘導体のほか、1種類以上の他の抗腫瘍性物質、例えば細胞傷害性または細胞増殖抑制性の抗腫瘍性物質、例えば下記より選択されるものを伴ってもよい:有糸分裂阻害薬、例えばビンブラスチン、ビンデシン(vindesine)およびビノレルビン(vinorelbine);チューブリン脱集合(disassembly)阻害薬、例えばタキソール(taxol);アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチンおよびシクロホスファミド;代謝拮抗薬、例えば5−フルオロウラシル、テガフール(tegafur)、メトトレキセート、シトシンアラビノシドおよびヒドロキシ尿素、または例えば欧州特許出願No.239362に開示された好ましい代謝拮抗薬のひとつ、例えば−{5−[−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−−メチルアミノ]−2−テノイル}−L−グルタミン酸;挿入型抗生物質、例えばアドリアマイシン、マイトマイシンおよびブレオマイシン;酵素、例えばアスパラギナーゼ;トポイソメラーゼ阻害薬、例えばエトポシドおよびカンプトテシン(camptothecin);生物学的応答修飾薬、例えばインターフェロン;抗ホルモン薬、例えば抗エストロゲン薬、例えばタモキシフェン、例えば抗アンドロゲン薬、例えば4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)−プロピオンアニリド、または例えばLHRHアンタゴニストもしくはLHRHアゴニスト、例えばゴセレリン(goserelin)、ロイプロレリン(leuprorelin)またはブセレリン(buserelin)、ならびにホルモン合成阻害薬、例えばアロマターゼ阻害薬、例えば欧州特許出願No.0296749に開示されたもの、例えば2,2’−[5−(1−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−フェニレン]ビス(2−メチルプロピオニトリル)、および例えば5α−レダクターゼ阻害薬、例えば17b−(tert−ブチルカルバモイル)−4−アザ−5a−アンドロスト−1−エン−3−オン」。
【0021】
WO96/33980のどこにも、癌を含めたいずれかの疾病状態の処置のためのVEGF RTK阻害剤とEGFR EGF RTK阻害剤の併用は示唆されていない。
国際特許出願WO02/41882は、一般に、VDGF活性を低下させる薬剤とEGF活性を低下させる薬剤の組み合わせを記載している。KDRおよびEGFRに対する抗体の同時投与を試みる研究も行われている(Shaheen,R.M.ら、Brit.J.Cancer、2001年、第85巻、第584−589頁)。
【0022】
本発明者らは、予想外かつ意外に、特定の化合物ZD6474を特定の化合物ZD1839と併用すると、ZD6474およびZD1839それぞれを単独で用いるより有意に良好な抗腫瘍効果が生じることを今回見いだした。
【0023】
本発明の処置方法の抗癌効果には、抗腫瘍効果、応答速度、疾患進行時間および生存率が含まれるが、これらに限定されない。本発明の処置方法の抗腫瘍効果には、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅延、腫瘍の退行、腫瘍の収縮、処置を停止した際の腫瘍の再増殖までの時間の延長、疾患進行の遅延が含まれるが、これらに限定されない。充実性腫瘍を伴うまたは伴わない癌の処置を必要とするヒトなどの温血動物に本発明の処置方法を適用すると、この処置方法は、例えば抗腫瘍効果の程度、応答速度、疾患進行時間および生存率のうち1以上により判定して効果を生じると期待される。
【0024】
本発明によれば、ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0025】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0026】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を伴う癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0027】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい方法が提供される。
【0028】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい方法が提供される。
【0029】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を伴う癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい方法が提供される。
【0030】
本発明のさらなる側面によれば、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩を、医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0031】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトまたは動物の身体を療法により処置する方法に使用するための、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩を含む併用製剤が提供される。
【0032】
本発明のさらなる側面によれば、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩を含むキットが提供される。
本発明の他の態様によれば、下記のものを含むキットが提供される:
a)第1単位剤形の、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩;
b)第2単位剤形の、ZD1839またはその医薬的に許容できる塩;および
c)第1および第2剤形を収容するための容器部材。
【0033】
本発明のさらなる側面によれば、下記のものを含むキットが提供される:
a)第1単位剤形の、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤー;
b)第2単位剤形の、ZD1839またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤー;ならびに
c)第1および第2剤形を収容するための容器部材。
【0034】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0035】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において抗癌効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0036】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において抗腫瘍効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0037】
本発明のさらなる側面によれば、その療法処置を必要とするヒトなどの温血動物に、有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与し、かつ同時、逐次または別個に、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩を、所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与することを含む、併用療法処置が提供される。
【0038】
そのような療法処置には、抗血管新生および/または血管透過性減少効果、抗癌効果および抗腫瘍効果が含まれる。
本明細書に定める本発明の併用処置は、処置の各成分を同時、逐次または別個に投与することにより達成できる。本明細書に定める併用処置は、唯一の療法として適用してもよく、あるいは本発明の併用処置のほかに外科処置または放射線療法または追加の化学療法剤を伴ってもよい。
【0039】
外科処置は、本明細書に記載するZD6474を含む併用処置の適用の前、途中または後に、部分的または完全な腫瘍切除の工程を含むことができる。
本発明の併用療法と共に任意に使用されるその他の化学療法剤には、参照することにより本明細書に援用されるWO01/32651に記載されたものが含まれる。当該化学療法は、治療剤の5つの主なカテゴリーを対象にしうる:
(i)血管標的剤を含む他の抗血管新生剤;
(ii)細胞増殖抑制剤;
(iii)生物反応修飾物質
(iv)抗体(例えば、エドレコロマブ)
(v)臨床腫瘍学において使用される、抗増殖/抗腫瘍剤およびそれらの併用。
【0040】
ZD6474、ZD1839および電離性放射線の3種類の組合わせの投与が、これら3種類のいずれかの療法を単独で用いて達成されるものより大きく、ZD6474とZD1839の組合わせを用いて達成されるものより大きく、ZD6474と電離性放射線の組合わせを用いて達成されるものより大きく、かつZD1839と電離性放射線の組合わせを用いて達成されるものより大きな効果、例えば抗腫瘍効果を創出することを見いだした。
【0041】
本発明によれば、ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0042】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0043】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を伴う癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法が提供される。
【0044】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい、前記方法が提供される。
【0045】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい、前記方法が提供される。
【0046】
本発明のさらなる側面によれば、ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を伴う癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、かつ有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に投与することを含み、その際ZD6474およびZD1839をそれぞれ所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与してもよい、前記方法が提供される。
【0047】
本発明のさらなる側面によれば、電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0048】
本発明のさらなる側面によれば、電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗癌効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0049】
本発明のさらなる側面によれば、電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗腫瘍効果の創出において用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0050】
本発明のさらなる側面によれば、その療法処置を必要とするヒトなどの温血動物に、有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与し、かつ有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩を、所望により医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に投与し、かつ有効量の電離性放射線を投与することを含み、ZD6474、ZD1839および電離性放射線は、同時、逐次、または個別に、および任意の順序で投与されうる併用療法処置が提供される。
【0051】
電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物とは、ZD6474およびZD1839を含む医薬または併用処置の適用の前、後、またはそれと同時に、電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物を意味する。例えば、ヒトなどの温血動物に、ZD6474およびZD1839を含む医薬または併用処置の適用の1週間前から1週間後までの期間内に、電離性放射線を投与できる。これは、ZD6474、ZD1839および電離性放射線を個別に、すなわち任意の順序で逐次投与してもよく、あるいは同時に投与してもよいことを意味する。温血動物は、ZD6474、ZD1839および放射線それぞれの作用を同時に受けることができる。
【0052】
本発明の一側面によれば、電離性放射線をZD6474およびZD1839のうち一方の前、またはZD6474およびZD1839のうち一方の後に投与する。
本発明の一側面によれば、電離性放射線をZD6474およびZD1839の両方の前、またはZD6474およびZD1839の両方の後に投与する。
【0053】
本発明の一側面によれば、温血動物を電離性放射線で処置した後にZD6474が当該動物に投与する。
本発明の他の側面において、ZD6474およびZD1839は、毎日連続して、電離性放射線を定期的に投与する時間より長い期間、すなわち数日間にわたって、例えば1回に1、2、3、4または5日間投与される。
【0054】
本発明の他の側面によれば、本発明の処置方法の効果は、処置の各成分を単独で用いる効果、すなわちZD6474およびZD1839の各々、またはZD6474、ZD1839および電離性放射線の各々を単独で用いる効果の相加と少なくとも同等であると予想される。
【0055】
本発明の他の側面によれば、本発明の処置方法の効果は、処置の各成分を単独で用いる効果、すなわちZD6474およびZD1839の各々、またはZD6474、ZD1839および電離性放射線の各々を単独で用いる効果の相加より大きいと予想される。
【0056】
本発明の他の態様によれば、本発明の処置方法の効果は相乗効果であると予想される。
本発明によれば、例えば応答の程度、応答速度、疾患進行時間または生存期間によって判定して、併用処置の各成分のいずれかの常用量投与によって達成されるものより療法効果が優れている場合、併用処置は相乗効果を与えると定義されることも理解すべきである。例えば、ZD6474またはZD1839または電離性放射線を単独で用いて達成される効果より療法効果が優れている場合、その併用処置の効果は相乗的である。さらに、単独のZD6474またはZD1839または電離性放射線に応答しない(または応答が低い)患者群において有益な効果が得られる場合、その併用処置の効果は相乗的である。さらに、成分の1つを常用量で投与し、他の成分(1以上)の量を減らして投与して、例えば応答の程度、応答速度、疾患進行時間または生存期間により判定した療法効果が常用量の併用処置成分を投与した際に達成されるものと同等である場合、その併用処置は相乗効果を与えると定義される。特に、応答の程度、応答速度、疾患進行時間または生存データのいずれか1つに対する不利益なしに、特に応答期間に対する不利益なしに、しかも常用量の各成分を用いた場合に起きるものより有害な副作用が少なくおよび/または低い状態で、ZD6474またはZD1839または電離性放射線の常用量を減らすことができれば、相乗性があるとみなされる。
【0057】
前記のように、本明細書中に定める本発明の併用処置はそれらの抗血管新生および/または血管透過性減少効果のため重要である。そのような本発明の併用処置は、不適切な血管新生が起きる広範な疾病状態の予防および治療に有用であると期待される。これには癌、糖尿病、乾癬、慢性関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性腎障害、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、リンパ浮腫、子宮内膜症、機能不全性子宮出血、ならびに網膜血管増殖を伴う眼疾患、例えば黄斑変性症が含まれる。特に、そのような本発明の併用処置は、例えば結腸、胸部、前立腺、肺および皮膚の原発性および再発性の充実性腫瘍の増殖を有利に遅延させると期待される。より具体的には、本発明の併用処置は、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)における腫瘍増殖を有利に遅延させると期待される。より具体的には、本発明の併用療法は、白血病、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含むVEGFに関連する癌の任意の形態を阻害することが期待される。さらにまた、本発明の併用療法は、例えばVEGFに関連する原発性のおよび再発性の充実性腫瘍、具体的には結腸、胸部、前立腺、肺、陰門および皮膚の特定の腫瘍、特にNSCLCを含む、その増殖および拡散がVEGFに有意に依存する腫瘍の増殖を阻害することも期待される。
【0058】
本発明の他の側面によれば、所望により電離性放射線を伴うZD6474およびZD1839は、EGFに関連する原発性のおよび再発性の充実性腫瘍、具体的にはその増殖および拡散がEGFに有意に依存する腫瘍の増殖を阻害することが期待される。
【0059】
本発明の他の側面によれば、所望により電離性放射線を伴うZD6474およびZD1839は、VEGFおよびEGFの双方に関連する原発性のおよび再発性の充実性腫瘍、具体的にはその増殖および拡散がVEGFおよびEGFに有意に依存する腫瘍の増殖を阻害することが期待される。
【0060】
本明細書に記載する組成物は、経口投与に適した形状、例えば錠剤またはカプセル剤、経鼻投与または吸入による投与に適した形状、例えば粉末または溶液、非経口注射(静脈、皮下、筋肉内、血管内または注入を含む)に適した形状、例えば無菌の液剤、懸濁剤または乳剤、局所投与に適した形状、例えば軟膏剤またはクリーム剤、直腸投与に適した形状、例えば坐剤であってもよく、あるいは投与経路は腫瘍内への直接注射、または局所(regional、local)送達によるものであってもよい。本発明の他の態様においては、併用処置のZD6474を内視鏡下、気管内、病巣内、経皮、静脈内、皮下、腹腔内または腫瘍内送達できる。好ましくは、ZD6474を経口投与する。一般に、本明細書に記載する組成物は、一般的な賦形剤を用いて常法により調製できる。本発明の組成物は、有利には単位剤形で提供される。
【0061】
ZD6474は、温血動物に普通は動物の体表面積m当たり10〜500mg、例えばヒトにおいては約0.3〜15mg/kgの単位用量で投与される。例えば0.3〜15mg/kg、好ましくは0.5〜5mg/kgの単位用量が考慮され、これが普通は療法有効量である。単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤は、通常は例えば25〜250mgの有効成分を含有する。好ましくは、0.5〜5mg/kgの1日量を用いる。
【0062】
ZD1839については、ヒトに経口投与するために、50mg、100mg、250mgまたは500mgの有効成分を含有する一般的な錠剤配合物を使用できる。ZD1839の経口1日量は、例えば25〜750mg、好ましくは50〜600mg、より好ましくは100〜400mgであることが好都合できる。
【0063】
放射線療法は、臨床放射線療法において実施されている既知の方法に従って適用できる。電離性放射線の線量は、臨床放射線療法に使用するものとして既知の量である。用いる放射線療法には、例えばγ線、X線の使用、および/または放射性同位体からの放射線の指向性送達が含まれる。他の形のDNA破損因子、例えばマイクロ波および紫外線も本発明に含まれる。例えばX線は、1.8〜2.0Gyの1日線量で週5日、5〜6週間投与できる。普通は、分割した線量全体が45〜60Gyであろう。より大きな1回線量、例えば5〜10Gyを、放射線療法のコースの一部として投与することができる。少量のX線をある期間にわたって規則的に、例えば0.1Gy/時を数日間にわたって投与する、多分割放射線療法を採用できる。放射性同位体の線量範囲は広範に変更でき、同位体の半減期、放出される放射線の強度および種類、ならびに細胞による取込みに依存する。
【0064】
前記のように、個々の疾病状態の治療または予防処置に必要な各療法の用量は、処置されるホスト、投与経路、および処置すべき疾患の重症度に応じて必然的に異なるであろう。したがって、最適量は個々の患者を処置する専門家が決定するであろう。例えば、毒性を減らすために、併用処置の成分の前記量を減らすことが必要または望ましい場合がある。
【0065】
本発明は、ZD1839またはその塩とZD6474またはその塩の併用に関する。
医薬組成物中に用いるためのZD1839の塩類は医薬的に許容できる塩類であろうが、他の塩類もZD1839およびその医薬的に許容できる塩類の製造に際しては有用な可能性がある。そのような塩類には、例えばZD1839の酸付加塩、例えば無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、メタンスルホン酸または4−トルエンスルホン酸とのモノ−またはジ−酸付加塩が含まれる。
【0066】
医薬組成物中に用いるためのZD6474の塩類は医薬的に許容できる塩類であろうが、他の塩類もZD6474およびその医薬的に許容できる塩類の製造に際しては有用な可能性がある。そのような塩類は、医薬的に許容できるカチオンを与える無機塩基または有機塩基により形成できる。無機塩基または有機塩基とのそのような塩類には、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩もしくはマグネシウム塩、アンモニウム塩、または例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンもしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩が含まれる。
【0067】
ZD6474は、ZD6474を製造するための既知のいずれかの方法に従って合成できる。例えば、ZD6474はWO01/32651に記載の方法;例えばWO01/32651の実施例2(a)、2(b)および2(c)に記載された方法に従って製造できる。
【0068】
ZD1839は、ZD1839を製造するための既知のいずれかの方法に従って合成できる。例えばZD1839は、WO96/33980に記載の方法に従って製造できる(例1、10および24〜31参照)。
【0069】
以下の試験法はZD6474をZD1839と組み合わせたものの活性を証明するために使用できる。
ヌードマウスにおけるヒトLoVo結腸腫瘍の異種移植
無血清ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、0.1mL)中の10のLoVo腫瘍細胞を無胸腺マウス(nu/nu遺伝子型)の各々の脇腹に皮下(s.c.)注射した。腫瘍容積は両側ノギスにより測定した。すなわち、腫瘍のもっとも長い直径の長さおよび対応する垂線の幅を測り、式:(長さx幅)x((長さx幅)の平方根)x(π/6)を使用して計算した。移植の五日後、腫瘍の平均容積が0.3cmに達したとき、15日間(第0〜14日)毎日経口(p.o.)で、マウスにZD6474(6mg/kg/投与)、ZD1839(50mg/kg/投与)、またはそれらの併用を処置した。ZD6474、ZD1839またはそれらの併用は、1%ポリソルベート80(すなわち、脱イオン水中のポリエチレン(20)ソルビタン モノ−オレート1%(v/v)溶液)中の懸濁液として0.1mg/10g体重で投与した。処置の開始からの増殖阻害は、対照と処置群との間の腫瘍の差異の比較により測定した。腫瘍増殖阻害の有意性の評価のために、片側2標本t−検定を使用した。
【0070】
【表1】

【0071】
ZD6474のZD1839との併用により生じた腫瘍増殖阻害は、ZD6474単独またはZD1839単独より大きかった。
データを図1に図示する。
【0072】
ヌードマウスにおけるヒトA431外陰癌腫瘍異種移植
無血清ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、0.1mL)中の5x10のA431腫瘍細胞を無胸腺マウス(nu/nu遺伝子型)の各々の脇腹に皮下(s.c.)注射した。接種の11日後に腫瘍を切除し、0.5〜1mmの立方体の腫瘍の断片を作成するために裁断し、それを治療実験のためにさらなるヌードマウスに移植した。腫瘍容積は両側ノギスにより測定した。すなわち、腫瘍のもっとも長い直径の長さおよび対応する垂線の幅を測り、式:(長さx幅)x((長さx幅)の平方根)x(π/6)を使用して計算した。移植の28日後、腫瘍の平均容積が0.7cmに達したとき、31日間(第28〜59日)毎日経口(p.o.)で、マウスにZD6474(50mg/kg/投与)、ZD1839(50mg/kg/投与)、またはそれらの併用を処置した。ZD6474、ZD1839またはそれらの併用は、1%ポリソルベート80(すなわち、脱イオン水中のポリエチレン(20)ソルビタン モノ−オレート1%(v/v)溶液)中の懸濁液として0.1mg/10g体重で投与した。処置の開始からの腫瘍増殖の阻害を第49日(この時点で、対照の動物が腫瘍の負荷により実験から離脱した)に、対照と処置群との間の腫瘍の差異の比較により測定した。さらに、31日の処置による腫瘍の退縮数を確認した(第28日での処置前の値より第59日での腫瘍容積がより小さい場合は退縮が明らかであるとした)。
【0073】
【表2】

【0074】
ZD6474のZD1839との併用により生じた腫瘍増殖阻害は、第59日においてZD6474単独またはZD1839単独より大きかった(ZD6474単独に対してP<0.001、ZD1839単独に対してP<0.001:標本t−検定)。ZD6474単独またはZD1839単独による処置と比較して、ZD6474およびZD1839の併用により処置されたA431外陰癌異種移植のすべてにおいて退縮が誘引された。併用により誘引された腫瘍退縮の規模(31日の処置後(第59日)の容積と処置前の腫瘍容積を比較して計算した)は、実験の終了時点で71±3%に達した。
【0075】
データを図2に図示する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】ZD6474、ZD1839およびそれらの併用が腫瘍容積に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】ZD6474、ZD1839およびそれらの併用が腫瘍容積に及ぼす影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項2】
ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果を創出するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、および有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項3】
ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項4】
ヒトなどの温血動物において癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、および有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項5】
ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を含む癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項6】
ヒトなどの温血動物において充実性腫瘍を含む癌を処置するための方法であって、該動物に有効量のZD6474またはその医薬的に許容できる塩を、有効量のZD1839またはその医薬的に許容できる塩の前、後、またはそれと同時に、および有効量の電離性放射線の前、後、またはそれと同時に、投与することを含む方法。
【請求項7】
ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩を、医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物。
【請求項8】
ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩を含むキット。
【請求項9】
ヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項10】
電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗血管新生および/または血管透過性減少効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項11】
ヒトなどの温血動物において抗癌効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項12】
電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗癌効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項13】
ヒトなどの温血動物において抗腫瘍効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項14】
電離性放射線で処置されているヒトなどの温血動物において抗腫瘍効果の創出に用いるための医薬の製造における、ZD6474またはその医薬的に許容できる塩およびZD1839またはその医薬的に許容できる塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−500346(P2006−500346A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527018(P2004−527018)
【出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003390
【国際公開番号】WO2004/014426
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】