説明

癌標的ウイルスベクター

【課題】
本発明は、癌細胞を標的とするウイルスベクターに関する。
【解決手段】
本発明のウイルスベクターは、ウイルス遺伝子E1A及びE1Bの発現を駆動するPEG-3プロモータを持つアデノウイルスである。PEG-3プロモータは、悪性細胞内で活性の増加を示す。本発明のアデノウイルスは、悪性細胞内での複製増加を示し、それによって細胞変性効果を引き起こす。本発明のウイルスベクターは、目的とする付加的遺伝子を含むことができ、及び/又はカプシドタンパク質を変えることができる。これにより、癌細胞の感染を増強し、及び/又は癌細胞への感染を標的とすることができる。病的な状態から発生する付加な細胞種であって、PEG-3プロモータがその内部で選択的に活性化される細胞は、アレルギー、自己免疫反応、及び炎症反応を生じるものも含み、本発明のウイルスベクターの治療標的となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的複製、及び/又は選択的感染により癌細胞を標的とするウイルスベクターに関する。特に、本発明のウイルスベクターは、ウイルス遺伝子E1A及びE1Bの発現を駆動するPEG-3プロモータを有するアデノウイルスである。PEG-3プロモータは悪性細胞内で活性増加を示すプロモータなので、本発明のアデノウイルスは、悪性細胞内で複製の増加を示し、それによって細胞変性効果を生じる。本発明のウイルスベクターは、目的とする付加的遺伝子を含むことができ、及び/又は改変したカプシドタンパク質を有することができる。この改変したカプシドタンパク質は、癌細胞の感染を増強し、及び/又は癌細胞への感染を標的とすることができる。PEG-3プロモータが選択的に活性である病的状態から得られる付加的細胞種も、本発明のウイルスベクターの治療標的である。
【背景技術】
【0002】
進行増加遺伝子3(Progression Elevated Gene-3:PEG-3)は、ラット胚細胞E-11、及びE-11-NMTに基づいた腫瘍進行モデルからクローン化された(非特許文献1〜3)。E-11は、変異アデノウイルス5型(H5ts125)で形質転換したラット胚線維芽細胞のクローンである。このクローンは、小型で成長の遅い、密な腫瘍を形成する。E11−NMTは、ヌードマウスを介した継代による悪性度により選択されたE11のクローンであり、成長が早く非常に悪性な腫瘍を形成する(非特許文献1)。E11-NMT cDNAライブラリーからE11 cDNAライブラリーを減ずるサブトラクション・ハイブリダイゼーション法によりPEG-3が同定され(非特許文献3)、当該PEG-3はラットの成長停止及びDNA損傷誘導性遺伝子34(Growth Arrest and DNA Damage Inducible gene-34:GADD-34)のC末トランケート型変異であることが判明した(非特許文献4)。
【0003】
PEG-3遺伝子のプロモータ領域(PEG-3 プロモータ)がクローン化され、発癌性形質転換の結果引き起こされるPEG-3発現の誘導機構について調べられた(非特許文献5、6、及びFisherによる特許文献1)。PEG-3プロモータは、Ha-ras又はv-rafのいずれかで形質転換したCREF細胞内では親CREF細胞内よりも〜8〜10倍以上の活性があることが観察された。−118〜+194間(転写開始部位を+1とみなす)に亘るプロモータの最小領域は、形質転換及び癌進行に関連した活性亢進に十分であることが示された(非特許文献5、6、及びFisherらによる特許文献2)。
【特許文献1】米国特許第6,472,520号
【特許文献2】米国特許第6,737,523号
【非特許文献1】Babissら、(1985) Science 228, 1099-1101
【非特許文献2】Fisherら、(1978) Proc Natl Acad Sci U S A 75, 2311-2314
【非特許文献3】Suら、(1997) Proc Natl Acad Sci U S A 94, 9125-9130
【非特許文献4】Hollanderら、(2003) Oncogene 22, 3827-3832
【非特許文献5】Suら、(2000) Oncogene 19:3411-3421
【非特許文献6】Suら、(2001) Nucleic Acids Res 29:1661-1671
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、改変型アデノウイルスベクターに関し、その複製は、癌細胞内で、ウイルス複製に必要な二つのアデノウイルス遺伝子E1A、及びE1Bの発現を駆動するPEG-3プロモータの導入により促進されている。加えて本発明の改変型アデノウイルスは、所定の追加の遺伝子をさらに含むことができ、並びに/又はそのカプシドタンパク質を改変して、PEG-3プロモータが選択的に活性である癌細胞若しくはその他の異常細胞の感染を促進し、及び/若しくはそれらの細胞を標的とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、E1A及びE1B遺伝子に機能し得るように連結されたPEG-3プロモータを含む改変型組換えアデノウイルスベクターに関する。
【0006】
本発明に従って使用可能なPEG-3プロモータは、米国特許第6,737,523号及び第6,472,520号に開示されている。本発明によるPEG-3プロモータは、図1A及び1Bに示した配列番号1を有するラットPEG-3とすることができ、又はその中心活性領域を含む改良型ラットPEG-3プロモータであってもよい。この改良型ラットPEG-3プロモータは、好ましくは(i)図2の−105の位置のチミジン(T)から始まり−100の位置のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列(配列番号2の第1672番〜第1677番ヌクレオチド)からなるPEA3タンパク質結合配列、(ii)図2で示す−29の位置のチミジン(T)から始まり−24の位置のアデノシン(A)で終わるヌクレオチド配列(配列番号2の第1748番〜第1753番ヌクレオチド)からなるTATA配列、又は(iii)図2で示すヌクレオチド配列の+5の位置のチミジン(T)から始まり+11の位置のアデノシン(A)で終わるヌクレオチド配列(配列番号2の第1781番〜第1787番ヌクレオチド)からなるAP1タンパク質結合配列を含む。他の実施形態では、核酸は上記ヌクレオチド配列(i)〜(iii)のうちの少なくとも二つを含む。具体的な非限定的実施形態で、改良型ラットPEG-3プロモータは、配列番号3(図3)を有する核酸分子であり、PEG-3プロモータの−282〜+195に相当する。
【0007】
本発明のPEG-3プロモータを、配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3と少なくとも約85%、90%若しくは95%相同な核酸分子とすること、並びに/或いは配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3、又はその相補鎖を有する核酸分子に対して核酸分子のハイブリダイゼーション検出のためのストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子とすることもできる。当該ストリンジェントな条件とは、「Current Protocols in Molecular Biology」(Vol. I, Ausubelら編、John Wiley:New York NY, pp. 2.10.1-2.10.16, 1989年初版発行、年次更新)に記述されているようなものであり、これによればニトロセルロースフィルター上に固定されたDNAサンプルについての最大のハイブリダイゼーション特異性は、フィルターに結合したDNA又はRNAに対する0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中における65℃でのハイブリダイゼーション、及びその後の0.1×SSC(15〜30mM NaCl、1.5〜3mM クエン酸ナトリウム(pH7.0))/0.1%SDS中における68℃での2回以上の洗浄によって達成することができる。ナイロンフィルター上に固定されたDNA又はRNAサンプルについては、ストリンジェント・ハイブリダイゼーション洗浄溶液は、上記に代えて40mM NaPO4(pH 7.2)、1〜2% SDS、及び1mM EDTAを含むことができる。その際の洗浄温度は少なくとも65〜68℃であることが推奨される。
【0008】
アデノウイルスのE1A及びE1B遺伝子に「機能し得るように連結」するためには、PEG-3プロモータをE1Aコード領域の上流に配置する。非限定的な実施形態で、このようなアデノウイルスの構築は、ウイルスゲノムのほぼ完全なコピーを含む「レスキュー」プラスミドと、Adゲノムの異種遺伝子挿入予定部位である領域を両端に有する外来遺伝子又は改変されたウイルス遺伝子を含む「シャトル」プラスミド間の組換えを通して達成することができる。これら二つのプラスミドを共トランスフェクションすることによって、レスキュープラスミド及びシャトルプラスミド間の組換えが生じ、異種要素を発現する完全に機能的な組換えウイルスゲノムが生成する。
【0009】
具体的な非限定的実施形態で、PEG-3プロモータの活性に基づく条件的複製組換えアデノウイルスの構築は、以下のステップを含む。PEG-3プロモータを、シャトルプラスミドpE1.2(図4)、又は同様の性質を持つアデノウイルス・シャトルプラスミドベクターのマルチクローニング部位(MCS)に挿入する。MCS内へのPEG-3プロモータの挿入によって、E1A領域にコードされた遺伝子の発現を駆動するような遺伝子配置となる。pE1.2又は類似のシャトルベクターのPEG-3プロモータで駆動されるE1A転写ユニットを、アデノウイルスゲノムの相補領域を含むレスキューベクター、例えばpAd(図4)又はそれに類似のアデノウイルスレスキューベクターに挿入する。このステップは、適合性のある隣接制限酵素部位、例えばpAdにおけるSfiIを利用することで達成することができる。この非限定的な実施形態において、pAd又は他の関連するアデノウイルスレスキューベクターのE1A領域を除去することができる。断片のクローニングは、一般的なDNAライゲーションによって、又は当業者に既知のその他の方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、インビトロ又はインビボ組換えで達成される。pE1.2由来のPEG-3プロモータE1A断片をpAd又は関連するベクターの中にクローニングすることで、PEG-3プロモータによって制御される再構成されたE1A及びE1B領域が生成する。
【0010】
非限定的な実施形態で、EIA及びE1B遺伝子に機能し得るように連結されたPEG-3プロモータをもつ改変型アデノウイルスは、目的とする異種遺伝子を発現する付加的な活性転写ユニットをさらに含むことができる。このような改変型ウイルスを、本明細書では「ターミネータウイルス」と呼ぶ。好ましくは、前記目的遺伝子は、アデノウイルスのE3遺伝子に含まれ得る。E3領域への目的遺伝子を駆動するプロモータを含んだ活性転写ユニットの挿入は、例えば以下のステップによって達成することができる。目的遺伝子を、アデノウイルスゲノムのE3領域内への挿入を可能にするpE3.1(図4)等のシャトルベクター又は同様の性質を持つ他のベクターに挿入することができる。その後、目的遺伝子をもつ転写ユニットを、適当な適合性の制限酵素部位(例えばSfiI)を用いてシャトルベクターから切り出すことができる。それから、目的遺伝子を発現する切り出された転写ユニットを、pAd(図4)に例示されるがこれに限定はされないアデノウイルスレスキューベクターを利用して、アデノウイルスゲノムのE3領域内にクローン化することができる。E3領域への選択的挿入は、適合性の制限消化、及びpAdベクターと挿入断片とのライゲーションを介して、又は当業者に知られる他の手段によって達成される。
【0011】
目的遺伝子には、例えば以下の遺伝子が挙げられるが、これらの遺伝子に限定はされない。すなわち、(ウイルスが投与された被験体において)免疫力を増大させるIFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-12等の遺伝子、自然免疫系の活性化に関与するmda-5(Kangら、2002 Proc Natl Acad Sci U S A. 99(2):637-42)、RIG-I(Heim, 2005, J Hepatol. 42(3):431-3)等の遺伝子、抗増殖活性、抗転移活性、抗血管新生活性、又はアポトーシス促進活性をもつ遺伝子を始めとする、制癌作用を有するmda-7/IL-24(Sarkarら(2002) Biotechniques Suppl: 30-39;Fisherら(2003) Cancer Biol Ther 2:S23-37)、TNF-α(Andersonら、Curr Opin Pharmacol(2004) 4(4):314-320)、IFN-β(Yoshidaら、(2004) Cancer Sci 95(11):858-865)、p53(Hauptら、Cell Cycle (2004) 3(7):912-916)、BAX(Chanら、Clin Exp Pharmacol Physiol (2004) 31(3):119-128)、PTEN(Sansalら、J Clin Oncol (2004) 22(14):2954-63)、可溶性線維芽細胞増殖因子受容体(sFGFR)(Gowardhanら(2004) Prostate 61(1):50-59)、RNAi又はアンチセンスras(Liuら、Cancer Gene Ther (2004) 11(11):748-756.)、RNAi又はアンチセンスVEGF(Qui et al. Hepatobiliary Pancreat Dis Int (2004) 3(4):552-557)、アンチセンス又はRNAi mda-9/シンテニン(syntenin)(Sarkarら、Pharmacol Ther (2004) 104(2):101-115)等の遺伝子、感染細胞を検出可能にする緑色蛍光タンパク質(又はその他の天然の蛍光タンパク質若しくはそれらの改変変異体)、β-グルクロニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びジヒドロ葉酸レダクターゼ等の遺伝子、又は放射線治療を増強するp53(Hauptら、Cell Cycle (2004) 3(7):912-916)、GADD34(Leibermannら、Leukemia(2002) 16(4):527-41)、ヨウ化ナトリウム輸送体(甲状腺癌用) (Mitrofanovaら、Clin Cancer Res (2004) 10(20):6969-6976)等を含むがこれらに限定はされない遺伝子等である。
【0012】
非限定的なさらなる実施形態で、E1A及びE1B遺伝子に機能し得るように連結されたPEG-3プロモータを有し、また目的とする異種遺伝子を発現する付加的な活性転写ユニットを含む改変型アデノウイルスを利用して、抗炎症性遺伝子産物、抗アレルギー遺伝子産物若しくは抗ウイルス遺伝子産物の治療量をヒト被験者、又はヒト以外の動物の全身に、又は特定の標的部位に送達することができる。前記遺伝子の非限定的な例として、炎症状態を治療するための又は抗ウイルス治療用の(Suzukiら、J Gastroenterol (2004) 39(10):969-974; Malaguarneraら、BioDrugs.(2004) 18(6):407-413)IFN-α又はIFN-β(Markowitz、Expert Opin Emerg Drugs (2004) 9(2):363-374)、炎症用のインターフェロン調節因子1(Interferon Regulatory Factor-1:IRF-1)(Siegmundら、Eur J Immunol (2004) 34(9): 2356-2364)、抗ウイルス活性用の又は自然免疫系を刺激するmda-5(Andrejevaら、2004, Proc Natl Acad Sci U S A. 101(49):17264-9;Yoneyamaら、2005, J Immunol. 175(5):2851-8)、及びRIG-I(Meylanら、2005, Nature. 437(7062):1167-72)等が挙げられる。
【0013】
様々な非限定実施形態において、改変型アデノウイルスベクターは、目的遺伝子として、癌に罹患した患者の体内でその癌に対する患者の免疫応答を強化する産物を有する遺伝子を含むことができる。適切な目的遺伝子は、以下の遺伝子を含むが、これらに限定はされない。すなわち、免疫系で認識される腫瘍関連抗原をコードするgp100、PSA、EGFR、CEA、HER-2/neu、CO17-1a、MUC-1、gp72/CD55、ガストリン、β-HCG、α-フェトプロテイン、熱ショックタンパク質(gp96)等(Mocellinら、(2004) Gastroenterology 127:1821-1837)の遺伝子である。不適切な又は抑制性のT細胞共刺激経路のシグナル伝達により、癌細胞に対する生産的な免疫応答が制限されることが明らかになったことから、共刺激性リガンドをコードする、B7-H3(Luoら、(2004) J Immunol 173(9):5445-5450)、GM-CSF/IL-2融合タンパク質 (Staggら(2004) Cancer Res 64(24): 8795-8799)等の目的遺伝子を、本発明の改変型アデノウイルスに含めることができる。
【0014】
E3又はアデノウイルスゲノムの他の適当な領域の中に配置された目的遺伝子は、真核生物細胞内で活性をもつプロモータエレメントに対し機能し得るように連結されている。適切なプロモータには以下のものが含まれるが、これらに限定はされない。すなわち、サイトメガロウイルス前初期プロモータ(cytomegalovirus immediate early promoter)、ラウス肉腫ウイルス長末端反復プロモータ(Rous sarcoma virus long terminal repeat promoter)、ヒト伸長因子-1αプロモータ(hEF-1αpromoter)、ヒトユビキチンcプロモータ等(Colosimoら、Biotechniques (2000) 29(2):314-318, 320-322, 324)、及びPEG-3プロモータ(米国特許第6,472,520号、及び第6,737,523号;Su et al. (2000) Oncogene 19:3411-3421; Su et al. (2001) Nucleic Acids Res 29:1661-1671。但し、介在DNAで分離された二つの同一PEG-3プロモータDNA配列の繰り返し配列を有する遺伝子配置は、分子内組換えを受けない。)である。本発明のいくつかの実施形態では、誘導性プロモータを用いることが望ましいことがある。非限定的な誘導性プロモータの例として、マウス乳癌ウイルスプロモータ(デキサメタゾンで誘導可能);市販のテトラサイクリン応答プロモータ又はエクジソン誘導性プロモータ等が挙げられる (Romano, Drug News Perspect (2004) 17(2):85-90)。本発明の具体的な非限定的実施形態で、プロモータは癌細胞内で選択的に活性をもつことができる。このようなプロモータには、前立腺特異的抗原遺伝子プロモータ(O'Keefe et al. (2000) Prostate 45:149-157)、カリクレイン2遺伝子プロモータ(Xie et al. (2001) Human Gene Ther 12:549-561)、ヒトαフェトプロテイン遺伝子プロモータ(Idoら、(1995) Cancer Res 55:3105-3109)、c-erbB-2遺伝子プロモータ(Takakuwaら、(1997) Jpn. J. Cancer Res. 88:166-175)、ヒト癌胎児性抗原遺伝子プロモータ(Lanら(1996) Gastroenterol. 111:1241-1251)、ガストリン放出ペプチド遺伝子プロモータ(Inaseら、(2000) Int. J. Cancer 85:716-719)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子プロモータ(Pan及びKoenman、1999, Med Hypotheses 53:130-135)、ヘキソキナーゼII遺伝子プロモータ(Katabiら、(1999) Human Gene Ther 10:155-164)、L-プラスチン遺伝子プロモータ(Pengら(2001) Cancer Res 61:4405-4413)、ニューロン特異的エノラーゼ遺伝子プロモータ(Tanakaら、(2001) Anticancer Res 21:291-294)、ミッドカイン遺伝子プロモータ(Adachi et al. (2000) Cancer Res 60:4305-4310)、ヒトムチン遺伝子MUC1プロモータ(Stackhouse et al. (1999) Cancer Gene Ther 6:209-219)、及びすい臓癌細胞内で特に活性を有するヒトムチン遺伝子MUC4プロモータ(Genbank Accession No. AF241535) (Perraisら、(2000) J Biol Chem 276(33):30923-30933)等が挙げられる。
【0015】
他の実施形態において、EIA及びE1B遺伝子に機能し得るように連結されたPEG-3プロモータ(又は任意で、挿入された目的遺伝子)を有する改変型アデノウイルスは、さらにウイルスファイバー又はヘキソンカプシドタンパク質改変を含み、標的細胞の感染を促進し、及び/又は特定の細胞種に対するアデノウイルスベクターの標的指向性を強化することができる。このようなウイルスを本明細書では「トリアージウイルス」と呼ぶ。前記カプシド改変型アデノウイルスは、文献で「感染強化型」アデノウイルスと総称されている(Krasnykhら、Cancer Res (2000) 60(24):6784-6787)。このような改変は、カプシドタンパク質内への標的リガンドの取り込みを含むが、それに限定はされない。本発明は、特定の実施形態において、強化された感染力とPEG-3プロモータの癌特異的発現に依存する条件的複製との組み合わせを具現化するために構築された感染力強化型条件的複製アデノウイルスを含む。
【0016】
非限定的な実施形態で、一以上の異種標的リガンドをファイバー内に取り込むことができる。ファイバーノブの三次元モデルに基づいて、標的リガンドをファイバーのHIループ内に挿入することができる(Ruigorkら、(1990) J Mol Biol 215:589-596)。このループは、柔軟性を有し、ノブ外部に露出しており、ファイバーの三量体形成に関与しない。またその可変長はAd血清型間で異なる。これらの事実は、挿入又は置換がファイバーの安定性に実質的に影響しないことを示唆している(Krasnykら、(1996) J Virol 70:6839-6846;Douglasら、(1996) Nature Biotech 14:1574-1578)。具体的な非限定的実施形態で、2種のリガンドを前記ファイバーのHIループ内に導入することができる。すなわち、一つは、(i)RGDペプチド、CDCRGRDCFCをコードする配列である。この配列は、数種のインテグリンに高い親和性で結合することによって腫瘍を標的とすることが知られており、それ故、アデノウイルスのCAR受容体に依存することなくファイバーRGD/インテグリン相互作用を介した結合が促進される(Krasnykhら、Cancer Res (2000) 60(24):6784-6787)。またもう一つは、(ii)ポリリジン(pK7)ペプチド(GSGSGSGSGSKKKKKKK)(配列番号4)をコードする配列で、ファイバータンパク質のC末に組み込まれる。この配列は、CAR非依存性感染も促進するヘパリン硫酸含有受容体を介した付着及び侵入を可能にする。図7A~Cに示した結果は、上記のように改変型ファイバー構造をもつアデノウイルスの感染力が、前立腺癌細胞における高い感染を提供することを実証している。
【0017】
さらなる実施形態で、条件的複製アデノウイルスベクターは、ヘキソンタンパク質の種類及び性質を変えることにより指向性(トロピズム)を改変することができる(Krasnykら、(1996) J Virol 70:6839-6846)。ヘキソンタンパク質は、ファイバータンパク質の20倍を超える量で存在する。ヘキソンタンパク質を改変して、細胞標的に対して特異性の高い小ペプチドリガンドを含有させることができる。小ペプチドリガンドは、ヘキソンタンパク質の異種成分として発現した際、アデノウイルス表面に比較的多量に存在する。ペプチドリガンドがこの状態で存在する場合、潜在的な高親和力の不足を親和性の増加によって打開できる。ヘキソンタンパク質の改変は、リガンドをコードするDNA配列をヘキソン遺伝子の超可変領域内に適切なシャトルベクターを利用して遺伝学的に取り込むことによって達成できる。さらなる非限定的な実施形態で、ファイバーノブは別のノブドメインの遺伝学的取り込みによって変えることができる(Henryら(1994) J Virol 68(6):5239-5246;Krasnykら(1996) J Virol 70: 6839-6846)。
【0018】
本発明は、さらに細胞内で細胞変性効果を生じさせる方法を提供する。当該方法は、細胞を本発明に係る改変型アデノウイルスで感染させることを含む。細胞変性効果の種類には、細胞増殖の減少、細胞代謝の減少、及び/又は細胞死が含まれる。細胞は癌細胞であってもよい。例えば、上咽頭腫、甲状腺腫瘍、中枢神経系腫瘍(例えば、神経芽細胞腫、星状細胞腫、又は多形性膠芽腫)、黒色腫、脈管の腫瘍、血管腫瘍(例えば、血管腫、血管肉腫)、上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、血腫、白血病、リンパ腫、子宮頸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、泌尿生殖器癌、卵巣癌、精巣癌、骨肉腫、軟骨肉腫、胃癌、又は膵臓癌の癌細胞が挙げられる。細胞は、ヒト又はヒト以外の動物被験体の癌細胞であってよい。感染を達成するためには、投与する改変型ウイルスの量を1×1010〜1×1012pfuの力価にするのが好ましいが、この値に限定はしない。改変型アデノウイルスを対象のどこに投与するか、その投与方法については、腫瘍内点滴、静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮内、皮下、肺又はその他の経路を介した粘膜、鼻への直接的な導入等を挙げることができる。ただし、これらに限定はしない。
【0019】
本発明は、非限定的なさらなる実施形態で、上記の様々な種類の癌細胞の処置法を提供する。その方法は、放射線療法薬又は化学療法薬とターミネータ又はトリアージウイルスとの併用療法に関連する。PEG-3プロモータ活性は、DNA損傷剤、及び電離放射線によって増強される(Suら、(1999) Proc Natl Acad Sci U S A 96(26):15115-151120; Suら、(2002) J Cell Physiol 192(1):34-44)。したがって、腫瘍細胞の細胞溶解を強化する強化型ウイルス複製を実現することができる。併用療法は、本発明で具体化したターミネータ若しくはトリアージウイルス、及び一般的な放射線療法若しくは化学療法形態を用いた同時又は連続的療法を含むが、これらに限定はされない。化学療法は、シスプラチン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、又はその他のタキソール誘導体等の化学療法薬の適当な投与を用いた治療を含むことができる。ただし、これらに限定はされない。さらなる実施形態で、器官、腫瘍若しくは組織の種類に特異的なターゲティング、又は感染力の強化が、適当なトリアージウイルスを利用することによって得られる。
【0020】
さらに非限定的な実施形態では、二以上のターミネータ又はトリアージウイルスの組み合わせを、癌又はその他の病状の治療法に使用することができる。本実施形態において、異なる目的遺伝子を発現する二以上のターミネータ又はトリアージウイルスを、組み合わせて(同時、又は連続的投与で)ヒト又はヒト以外の動物被験体の治療に使用することができる。そのような組み合わせの非限定的な例は、二つのターミネータウイルスを用いた被験体の治療を含む。二つのターミネータウイルスのうち一方は、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-12、RIG-I、mda-5等をコードする目的遺伝子を発現し、他方は、癌胎児性抗原(Carcino-Embryonal Antigen:CEA)、B7.1遺伝子、リンパ球ホーミング受容体、又はHLA抗原遺伝子等の腫瘍特異的抗原又は免疫補助分子をコードする目的遺伝子を発現する。
【0021】
さらに非限定な実施形態で、適当な目的遺伝子を発現するターミネータ又はトリアージウイルスを利用して、従来の放射線療法、化学療法、若しくは免疫療法の特定の形態に対する被験体の応答性を回復する、又は高めることができる。非限定的な例としてそのようなウイルスは、EGFR(上皮増殖因子受容体:Epidermal Growth Factor Receptor)、又はそれに関連する変異体、例えばHer-2/neu受容体等をコードする目的遺伝子を含む。これらの遺伝子によって、乳癌患者におけるハーセプチン等の治療、又はその他の抗EGFR治療、例えばEGFR特異的チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(イレッサ、ZD1839)若しくはEGF及びVEGFシグナル伝達経路の双方を阻害するチロシンキナーゼインヒビターNVP-AEE788(AEE788)等に対する患者の応答性が増強される。アンドロゲン受容体(androgen receptor:AR)をコードする目的遺伝子を含むウイルスを使用して、前立腺癌のアンドロゲン屈折型における抗アンドロゲン療法に対する応答性を増強又は回復することができる。さらなる実施形態で、乳房又は前立腺等の特定の組織での発現を標的とし、さらにEGFR又はAR等の応答する治療標的を回復させるトリアージウイルスを利用して、放射線療法、化学療法、又は免疫療法の特定の形態の効率を特定の場所に局限させ、増強することができる。
【0022】
限定するつもりはないが明確にするために、上記ターミネータ及びトリアージウイルスの様々な活性を説明する上で使用した用語の定義は、以下の通りとする。
【0023】
(1)抗癌活性とは、癌細胞の増殖及び/又は分化の促進の破壊並びに/或いは阻害と定義することができる。癌細胞とは、悪性形質転換した細胞であって、当業者には既知及び未知の異常を増殖調節遺伝子及び増殖調節経路に有する細胞として知られている。このような細胞は、無秩序に増殖する能力を有し、自然発生的な病気の状態で又は実験条件の下で腫瘍形成を引き起こし得る。腫瘍とは、同種又は異種の癌細胞の塊と定義される。抗癌活性は、インビトロで増殖した癌細胞、又はヒト若しくはヒト以外の動物対象を含む被験体の癌細胞の増殖及び/又は分化の促進の破壊並びに/或いは阻害を含む。癌細胞の増殖及び/又は分化の促進の破壊並びに/或いは阻害は、分化、アポトーシス(プログラム細胞死)又はネクローシス(壊死)の各種の経路を含むが、これらに限定されない当業者に知られる機構を含むことができる。抗癌活性は、さらに播種性癌細胞の増殖及び/又は分化の促進の破壊並びに/或いは阻害を含むことができる。播種性癌細胞は、転移性癌細胞としても知られ、初発腫瘍部位から離脱する能力を有し、原発腫瘍から離れた一以上の部位で発見され得る。抗癌活性は、さらに癌細胞の同種又は異種集団からなる局在性腫瘍若しくは播種性腫瘍の縮小、完全消滅、又は増殖阻害を包含することができる。
【0024】
(2)抗血管新生活性とは、血管新生又は血管形成を阻害する能力と定義される。腫瘍細胞による血管内皮細胞の介入と補充、及び血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)等の前血管新生遺伝子の発現は、当業者には周知の現象である。血管新生促進因子又は血管内皮細胞の特異的ターゲティング法は、癌細胞及び腫瘍の増殖を阻害し、増殖及び/又は分化の促進の破壊並びに/或いは阻害のためにそれらを標的とすることが認知された手法である。
【0025】
(3)抗転移活性とは、初発腫瘍部位から離脱する能力を有し、原発腫瘍から離れた一以上の部位で発見され得る癌細胞の増殖及び/若しくは分化の促進を破壊及び/又は阻害する活性、並びに/或いは浸潤と分散(血管壁への癌細胞の付着、及びそれに続く組織内への侵入等)に関与する一以上のプロセスを阻害する活性と定義される。このような癌細胞は、ヒト若しくはヒト以外の動物を含む被験体の循環系中に存在する分離した単一細胞の形態であってもよい。また、このような細胞は、リンパ腫、白血病、又は他の循環細胞の悪性形態であって特定の腫瘍部位を起源とせず、かつ播種性を有し得るもののような癌も含むことができる。ただし、これらの癌に限定はされない。
【0026】
(4)放射線効果の強化剤とは、様々な形態の放射線療法の抗癌活性を増加するための別タイプの治療能力と定義することができる。さらに強化(増強)とは、癌細胞又は腫瘍における増殖及び/若しくは分化の促進の破壊、及び/又は阻害の増大、並びに/或いは放射線療法が治療に単独で利用されたときに得られる腫瘍の成長若しくは転移の阻害に対する実際のそれらの阻害の増大と定義することができる。放射線効果の増強は、放射線療法がアデノウイルス療法の前に、後に、又は同時に行われたときのいずれにおいても生じ得る。さらに、放射線療法は、ウイルス療法の活性を増強することができる。例えば、遺伝子発現を駆動するプロモータ活性を増加すること、又は付加的な治療遺伝子の有効な遺伝子産物のレベルを増加することによって増強できる。ただし、これらに限定はされない。
【0027】
(5)化学療法効果の強化剤とは、様々な形態の化学療法の抗癌活性を増加するための別タイプの治療能力と定義することができる。さらに強化(増強)とは、癌細胞又は腫瘍における増殖及び/若しくは分化の促進の破壊、及び/又は阻害の増大、並びに/或いは化学療法が治療に単独で利用されたときに得られる腫瘍の成長若しくは転移の阻害に対する実際のそれらの阻害の増大と定義することができる。化学療法効果の増強は、化学療法が他の治療形態の前に、後に、又は同時に行われたときのいずれにおいても生じ得る。さらに、化学療法は、ウイルス療法の活性を増強することができる。例えば、遺伝子発現を駆動するプロモータ活性を増強すること、又は付加的な治療遺伝子の有効な遺伝子産物のレベルを増加することによって増強できる。ただし、これらに限定はされない。
【0028】
(6)免疫力の促進とは、直接的若しくは間接的に強化された遺伝子発現、又はヒト又はヒト以外の動物を含む被験体の免疫反応を引き起こす遺伝子によってもたらされる強化治療効果と定義することができる。強化型免疫反応は、ヒト又はヒト以外の動物を含む被験体の抗癌反応、抗アレルギー反応、抗炎症反応、抗バクテリア反応若しくは抗ウイルス反応の開始又は増強をもたらすことができる。ただし、これらに限定はされない。さらに、誘導型又は強化型免疫反応は、初期治療、又は他の治療形態の活性を一層高めることができる。例えば、これに限定はしないが、遺伝子発現を駆動するプロモータ活性を増大させること、又は付加的な治療遺伝子の有効な遺伝子産物レベルを増加させることによって増加できる。
【実施例】
【0029】
1.方法及び材料
1-1.バイパータイト条件的複製コンピテントターミネータアデノウイルスの構築
バイパータイトアデノウイルスは、一つのアデノウイルスから二つの遺伝子を同時に発現することができる。このようなウイルスを構築するため、AdenoQuickクローニングシステム(OD 260社より購入、Boise、ID)を使用する。本システムは、二つのシャトルベクター(pE1.2及びpE3.1)を利用する。導入遺伝子は、大型のアデノウイルス・プラスミドレスキューベクター(例えばpAd、図4)の中に移送される前にこれらのベクター内に挿入されなければならない。E1A領域は、E1B領域を完全に残した状態でpAdから除去されている。PEG-Promがアデノウイルスの初期領域1A(E1A)を駆動する発現カセットをpE1.2のマルチクローニング部位(MCS)に挿入する。CMVプロモータが目的遺伝子、例えばIFN-γの発現を駆動する他の発現カセットをpE3.1のMCSに挿入する。両シャトルプラスミドでMCSは二組の制限部位を両側に有している。制限酵素による切断で生じる突出末端が異なる二つのベクターで生じる部位と適合しない(pE1.2におけるGAG対AGA;pE3.1におけるCCA対ATG)ことから、選択的クローニングが達成される。pAdベクターは2組のSfiI部位を持っている。一方はE1領域内に、また他方はE3領域内にある。E1領域におけるSfiI部位は、互いに適合性はないが、pE1.2をAlwNI、BstAPI、DraIII、又はPflMIで切断することによって生じる突出末端とは相補的な突出末端を生じる。E3領域におけるSfiI部位は、互いに及びE1領域に存在するものと適合しないが、pE3.1をAlwNI、BstAPI、DraIII、又はPflMIで切断することによって生じる突出末端とは適合性のある突出末端を生じる。各シャトルプラスミドpE1.2及びpE3.1に連結された発現カセットを、切断によって切り離し、SfiI切断したpAdに4断片ライゲーションで連結する。ライゲーション産物を大腸菌に形質転換し、アンピシリン(pAdにより提供されるアンピシリン耐性遺伝子)及びカナマイシン(シャトルベクター由来の断片により提供されるカナマイシン耐性遺伝子)に対する耐性で選択してクローニングする。コスミドDNAを、塩化セシウム密度勾配超遠心を用いた一般的な大量調製法で増幅し、PacI制限酵素で
切断する。そしてインビボ組換えのためにHEK293細胞にトランスフェクトする。HEK293細胞は、ヒト胎児腎臓由来細胞であって、ウイルスゲノムの必須E1領域を含み、それを発現する。この相補性は、ベクターのE1が除去されていることから必要であり、他の細胞種では生じない。これは遺伝子療法の目的のために付加された安全機能である。
【0030】
1−2.組換え感染力強化型トリアージアデノウイルスの構築
感染力を増強した組換えアデノウイルスを構築するため、ほぼ完全なウイルスゲノムのコピーを含む「レスキュー」プラスミドと、アデノウイルスゲノムの周辺領域を両端に有する外来(又は改変されたウイルス)遺伝子を含む「シャトル」プラスミドとの間の組換えを利用する。共トランスフェクションとこれら二つのプラスミド間の組換えで、組換えウイルスゲノムが生成する。pK7、RGD、又はカプシド改変の他のいかなる潜在的なタイプをもコードするDNA配列を、シャトルプラスミド、例えばpNEB.PK.Pk7の中で、又はファイバー配列を含む同様のベクターの中でクローニングする(Dmitrievら(1998) J Virol 72:9706-9713;Blackwellら(2000) Hum Gene Ther 11:1657-1669)。アデノウイルスベクターの野生型ファイバーは、バクテリア内で相同的組換えによって改変型ファイバーと置換される(Dmitrievら(1998) J Virol 72:9706-9713;Blackwellら(2000) Hum Gene Ther 11:1657-1669)。相同的組換えの後、新しいアデノウイルスベクターのゲノムを、制限酵素切断、例えばPacIで切断することによってプラスミドのバックボーンから遊離させる。それから獲得したプラスミドを293細胞のトランスフェクションに用いて、ウイルスをレスキューする。ウイルス中のpK7、RGD、又は他の代わりとなる改変をPCRによって、また塩化セシウム精製したウイルスから単離したウイルスDNAのサイクルシークエンシングによって確認する。トリアージウイルスを構築するために、一方のシャトルプラスミドは、アデノウイルスの複製に必要なE1A遺伝子の発現がPEG-3プロモータ制御下にあるカセットを含み、また他方のプラスミドは、CMVプロモータ若しくはその他の適当なプロモータによってその発現が制御される目的の治療遺伝子を有するカセットを含む。最初のステップでは、条件的複製感染力強化型アデノウイルスを作るために、プラスミドを相同的組換えによって得る。この相同的組換えは、上記のように構築された改変型ファイバーをもつアデノウイルスと、ターミネータウイルスで説明したようなPEG-3プロモータの制御下にあるE1A領域を含んだシャトルプラスミド
との間で行う。続いて、目的の治療遺伝子をコードするベクターを相同的組換えによって得る。この相同的組換えは、CMV若しくはその他のプロモータの制御下にある目的遺伝子をコードするシャトルプラスミドと、ファイバー改変及びターミネータウイルスで説明したようなPEGプロモータで駆動されるE1A発現を含む前記条件的複製感染力強化型ウイルス間で行う。改変型ファイバー、PEG-3で駆動されるE1A及びE1B、並びに異種プロモータで駆動される目的遺伝子を含んだE3領域をコードするアデノウイルスゲノムを含んだ組換えプラスミドを、塩化セシウム密度勾配を用いた一般的な大量調製法で増幅し、DU-145又はHeLa等のPEG-3プロモータが高い活性を示すヒト癌細胞株にトランスフェクトする。形質転換した細胞内でのPEG-3プロモータの活性(Suら(1999) Proc Natl Acad Sci U S A 96(26):15115-151120;Suら(2002) J Cell Physiol 192(1):34-44)によりウイルスの複製が駆動し、トリアージウイルスの生産が可能となる。
【0031】
1−3.組換え条件的複製アデノウイルスの動物への投与
AsPC-1細胞を使用して、無胸腺ヌードマウスで腫瘍異種移植片を樹立させた。2×106細胞を各マウスの左右両側の脇腹の皮下に注射した。〜75mm3の目に見える腫瘍の樹立(〜4、5日を要する)後、種々のAdを左側の腫瘍のみに100μl中1×108pfuの投与量で腫瘍内注射した。注射は、最初の1週間は週3回、その後の2週間は週2回、合計7回行った。腫瘍サイズをノギスで計測し、腫瘍量を式π/6×(大直径)×(小直径)2を用いて測定した。実験を4週後に停止した。これは、ターミネータウイルスの注射により腫瘍が完全に又はほぼ完全に根絶したためである。腫瘍を切り取り、その腫瘍重量を測定した。
【0032】
1−4.アポトーシス及びネクローシスの蛍光活性化細胞選別(Fluorescence Activated Cell Sorting:FACS)解析(アネキシンV結合アッセイ)
細胞をトリプシン処理し、完全培地で1回洗浄した。細胞の分割サンプル(5×105)を完全培地(0.5ml)に再懸濁し、FITC標識したアネキシンV(Oncogene Research Products社のキット、ボストン、MA)で使用説明書に従って染色した。ヨウ化プロピジウム(PI)をアネキシンVでの染色後のサンプルに加え、後期アポトーシス及びネクローシス細胞を除外した。フローサイトメトリーを染色後直ちに実行した。
【0033】
2.結果と考察
2−1.PEG-3プロモータで駆動するターミネータウイルスは、インビトロで膵臓癌細胞の増殖を阻害するが、正常細胞は阻害しない。
4種類のヒト膵臓癌細胞株、MIA Paca-2、PANC-1、AsPC-1及びBxPC-3、並びに2種類の正常細胞FM-516-SV(不死化ヒト正常メラニン細胞)及びIM-PHFA(不死化初代ヒト胎児星状細胞)を本実施例で使用した。細胞をAd.vec(コントロールの空ベクター)、若しくは各種導入遺伝子を発現するアデノウイルスを100pfu/cellのm.o.i.で非感染処理、又は感染処理し、細胞の生存を一般的なMTTアッセイにより6日間の期間にわたって解析した。Ad.CMV-E1AとAd.CMV-E1A-IFN-γによる感染のみが、FM-516とIM-PHFA細胞で著しい増殖阻害を生じた。Ad.PEG-E1A、Ad.CMV-IFN-γ、Ad.PEG-IFN-γ、及びAd.PEG-E1A-IFN-γによる感染については、コントロール細胞又はAd.vec感染細胞と比較すると増殖阻害がほとんど見られないか、皆無であった。一方、全ての膵臓癌細胞で、Ad.CMV-E1A-IFN-γ及びAd.PEG-E1A-IFN-γ(ターミネータウイルス)の双方と、Ad.CMV-E1A及びAd.PEG-E1Aによる感染においても、コントロール細胞又はAd.vec感染細胞と比較すると著しい増殖阻害が見られた。Ad.CMV-IFN-γ及びAd.PEG-IFN-γによる感染では、コントロール細胞又はAd.vec感染細胞と比較して〜50%の増殖阻害を生じた。これらの結果は、PEG-Promがアデノウイルスの複製を癌細胞内で特異的に可能にすると共に、正常細胞をアデノウイルスの複製による増殖阻害から保護していることを示唆している。
【0034】
アネキシンV染色、及びフローサイトメトリーによる解析により、増殖阻害を確認した(図5)。アネキシンV染色により、アポトーシス細胞とネクローシス細胞の区別が可能になる。図5で示したように、Ad.CMV-E1A、及びAd.CMV-E1A-IFN-γによる感染のみが、早期アポトーシス細胞及び後期アポトーシス(ネクローシス)細胞の有意なパーセンテージをFM-516及びIM-PHFA細胞でもたらした。しかし、その他で投与処置した場合は有意な差はなかった。しかしながら、Ad.vecを除く全てのアデノウイルスは、膵臓癌細胞株で有意なアポトーシスを引き起こした。複製能を有するアデノウイルスによる感染は、後期アポトーシス細胞の増加で証明されるネクローシスを主に引き起こしたが、Ad.CMV-IFN-γ、及びAd.PEG-IFN-γによる感染は、初期アポトーシス細胞の増加で証明されるようなアポトーシスを主に引き起こした。
【0035】
ガンマ線放射、又はDNA損傷剤は、PEG-3プロモータ活性を刺激する(Suら(1999) Proc Natl Acad Sci U S A 96(26):15115-151120;Suら(2002) J Cell Physiol 192(1):34-44)。したがって、放射線療法、又は化学療法と併せたターミネータウイルスの利用は、強化されたウイルス複製と、それに伴うE3領域でターミネータウイルスによってコードされている目的遺伝子の発現レベルの強化の双方をもたらすことができる。このような放射線療法薬又は化学療法薬と、ターミネータウイルスによる二重治療により、ウイルス複製及び目的とする外来遺伝子の発現の両方を全体的に強化した活性をもたらすことができる。さらに、特異的ターゲティング又は強化型感染力を、適当なトリアージウイルスを放射線療法又は化学療法と併せて利用することで得ることができる。
【0036】
2−2.ターミネータウイルス処理は無胸腺ヌードマウスで膵臓癌細胞異種移植片の増殖を阻害する。
インビトロの結果(図5)を、さらに動物実験でテストした(図6)。8組のマウスにAsPC-1細胞を注射して、腫瘍異種移植片を樹立させ、前記「1−3.」で記載したように処理をした。動物の両側に細胞を注射したが、左側のみアデノウイルスで処理を行った。一方、右側は処理しなかった。Ad.CMV-E1A又はAd.PEG-E1Aは、左側で腫瘍の増殖を阻害し、また同時に統計的には有意ではないものの右側でも腫瘍に多少の阻害効果があった。一方、Ad.CMV-IFN-γ、又はAd.PEG-IFN-γ(ターミネータウイルス)による注射は、左右両側で腫瘍の完全な、又はほとんど完全な根絶をもたらした(マウス番号7及び8、図5A;対応する腫瘍量 図5B、および5C)。これらの結果は、Ad.CMV-E1A-IFN-γ、又はAd.PEG-E1A-IFN-γ(ターミネータウイルス)がウイルス複製の著しい効果とIFN-γの爆発的な生産による抗腫瘍免疫力の刺激によって異種移植片の増殖に強い阻害効果を示すことを示唆している。
【0037】
2−3.アデノウイルスの指向性の改変により前立腺癌細胞におけるアデノウイルスの感染が向上する。
初期アデノウイルス受容体すなわち、コクサッキー‐アデノウイルス受容体(Coxsackie-Adenovirus Receptor:CAR)の標的細胞における欠失は、治療ウイルスが細胞に接近する手段を制限してしまうため、効果的な遺伝子治療を行う上で相当な障害となる。この障害を打開するため、アデノウイルスベクターのウイルスカプシドの表面性質を遺伝学的に改変することによって代わりの細胞受容体を標的とすることが出来る。本方法の例として、導入遺伝子(ルシフェラーゼ(LUC)、及び緑色蛍光タンパク質(GFP))の発現で、アデノウイルスのファイバーカプシドにおける3種の遺伝学的改変の効果を、SV40 T抗原不死化正常ヒト前立腺上皮細胞P69、及び前立腺癌細胞DU-145及びPC-3で測定した。アデノウイルスを、野生型バックグラウンド(Ad.GFP.LUC)か、遺伝学的に改変したバックグラウンドのどちらかでLUC及びGFPの双方を発現するように構築した。遺伝学的改変は、Arg-Gly-Asp(RGD)含有ペプチド(インテグリン受容体を介した付着と侵入が可能)(Ad.RGD.GFP.LUC)、ポリリジン(pK7)ペプチド(GSGSGSGSGSKKKKKKK)(配列番号4)(ヘパリン硫酸(heparin sulfate)含有受容体を介した付着と侵入が可能)(Ad.pK7.GFP.LUC)、並びにRGD及びpK7の両ペプチド(Ad.RGD.pK7.GFP.LUC)の挿入を含んでいた。GFPの発現についてはFACSで解析した。P69細胞では、3種の指向性改変Adは、Ad.GFP.LUCと比べると感染の増加を示した(図7A)。DU-145及びPC-3細胞で、Ad.RGD.GFP.LUCとAd.GFP.LUCは、同レベルの感染を示した(図7BC)。しかしながら、Ad.pK7.GFP.LUC 及びAd.RGD.pK7.GFP.LUCの両者は、前立腺癌細胞でより高レベルな感染を示した。RGD及びpK7の組み合わせは、pK7改変のみと比べると同程度の効果を有していた。これらは、前立腺癌細胞においてこの特定の改変のみが高レベルの感染を促進する上で十分であることを示唆している。同様の結果は、感染をルシフェラーゼレポーターアッセイで解析した場合にも観察された。これらの結果は、アデノウイルスカプシドファイバーの特異的な改変がトリアージウイルスによる前立腺癌細胞の感染を向上できることを示唆している。
【0038】
本明細書で引用した各種刊行物は、参照によってその全てをここに援用する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】ラットPEG-3プロモータの配列(配列番号1)。本DNA領域は、2614ヌクレオチドからなる。本DNA配列は、ラットPEG-3遺伝子の推定転写開始部位を含んでいる。ルシフェラーゼアッセイのために、PEG-3プロモータの約2200ヌクレオチドの領域をルシフェラーゼレポーターベクター内にクローン化した。図1Aは、第1〜第1500ヌクレオチドを示す。
【図1B】ラットPEG-3プロモータの配列(配列番号1)。本DNA領域は、2614ヌクレオチドからなる。本DNA配列は、ラットPEG-3遺伝子の推定転写開始部位を含んでいる。ルシフェラーゼアッセイのために、PEG-3プロモータの約2200ヌクレオチドの領域をルシフェラーゼレポーターベクター内にクローン化した。図1Bは、第1501〜第2614ヌクレオチドを示す。
【図2】2.0kbのPEG-3プロモータ配列(配列番号2)。PEA3エレメント及びAP1エレメント、並びにTATAボックスの位置を示している。
【図3】ターミネータウイルスの作製に使用したPEG-3プロモータ(−282〜+195)の477ヌクレオチドの配列(配列番号3)。太字下線で示した塩基は転写開始部位である。
【図4】条件的複製バイパータイトターミネータアデノウイルスの構築にかかわるステップの略図。pE1.2及びpE3.1はシャトルベクターであり、それぞれマルチクローニング部位(MCS)にPEG-3プロモータで駆動されるE1A遺伝子(rPEG-Prom-E1A)、及びCMV プロモータで駆動されるIFN-γ (CMV-IFN-γ)が連結されている。プロモータ+導入遺伝子カセットを、適当な制限酵素(R.E.)、例えばAlwNI、BstAPI、DraIII、又はPflMIによって消化し、SfiIで消化したアデノウイルス・トランスファーベクターpAd内に連結する。
【図5】インターフェロンγを発現するターミネータウイルスによるヒト膵臓癌細胞株のアポトーシス誘導。様々な細胞株に、図示したAd(アデノウイルス)を100pfu/cellのm.o.i.で感染させた。2日後にアネキシンVで染色し、FACSで解析した。早期:早期アポトーシス細胞を示す。後期:後期アポトーシス細胞、及びネクローシス細胞を示す。
【図6】インターフェロンγを発現するターミネータウイルスを用いたヒト腫瘍異種移植片の治療。異なるAd.を注射した担癌マウスの写真。(A)1.コントロール;2.Ad.vec;3.Ad.CMV-E1A;4.Ad.PEG-E1A;5.Ad.CMV-IFN-γ;6.Ad.PEG-IFN-γ;7.Ad.CMV-E1A-IFN-γ;8.Ad.PEG-E1A-IFN-γ(ターミネータウイルス)。(B)屠殺した前記マウスから取り出した腫瘍の写真。(C)実験終了時における屠殺した前記マウスの腫瘍重量のグラフ表示。
【図7】(A)P69不死化前立腺上皮細胞;(B)DU-145及び(C)PC-3ヒト前立腺癌細胞の感染増加を示す指向性改変トリアージ型Ad.を非改変Ad.GFP.LUCと比較した実験的証明。細胞を、Ad.GFP.LUC(白棒)、Ad.RGD.GFP.LUC(明灰色棒)、Ad.pK7.GFP.LUC(暗灰色棒)及びAd.RGD.pK7.GFP.LUC (黒棒)を用いて、各種m.o.i.(左パネル)並びに50 m.o.i.(右パネル)で感染させた。緑色細胞のパーセンテージを、FACSを用いて感染後24時間(左パネル)並びに感染後6時間及び24時間(右パネル)で解析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
E1A及びE1Bに機能し得るように連結されたPEG-3プロモータ含むアデノウイルス。
【請求項2】
前記アデノウイルスのE3領域に挿入された目的遺伝子をさらに含む、請求項1に記載のアデノウイルス。
【請求項3】
前記目的遺伝子は抗癌活性を有する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項4】
前記目的遺伝子は抗血管新生効果を促進する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項5】
前記目的遺伝子は抗転移効果を促進する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項6】
前記目的遺伝子は放射線療法の効果を増強する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項7】
前記目的遺伝子は化学療法の効果を増強する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項8】
癌細胞の増殖を抑制する方法であって、請求項3〜7のいずれか1項のアデノウイルスを前記細胞に感染させることを含み、感染部は上咽頭腫、甲状腺腫瘍、中枢神経系腫瘍(例えば、神経芽腫、星状細胞腫、若しくは多形性膠芽腫)、黒色腫、脈管の腫瘍、血管腫瘍(例えば、血管腫、血管肉腫)、上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、血腫、白血病、リンパ腫、子宮頸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、泌尿生殖器癌、卵巣癌、精巣癌、骨肉腫、軟骨肉腫、胃癌、又は膵臓癌由来の癌細胞である前記方法。
【請求項9】
癌細胞の増殖を抑制する方法であって、請求項3〜7のいずれか1項のアデノウイルスを前記細胞に感染させることを含み、感染部はヒト又はヒト以外の動物対象における上咽頭腫、甲状腺腫瘍、中枢神経系腫瘍(例えば、神経芽腫、星状細胞腫、若しくは多形性膠芽腫)、黒色腫、脈管の腫瘍、血管腫瘍(例えば、血管腫、血管肉腫)、上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、血腫、白血病、リンパ腫、子宮頸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、泌尿生殖器癌、卵巣癌、精巣癌、骨肉腫、軟骨肉腫、胃癌、又は膵臓癌を含む癌リスト由来の癌細胞である前記方法。
【請求項10】
前記目的遺伝子は免疫力を促進する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項11】
前記目的遺伝子は抗炎症作用を促進する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項12】
前記目的遺伝子は抗ウイルス効果を促進する、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項13】
前記目的遺伝子は構成的に活性なプロモータに機能し得るように連結されている、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項14】
前記目的遺伝子は誘導性プロモータに機能し得るように連結されている、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項15】
前記目的遺伝子は組織特異的プロモータに機能し得るように連結されている、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項16】
前記目的遺伝子は分泌性遺伝子産物である、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項17】
分泌性目的遺伝子は発現部位から離れた部位で活性状態となる、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項18】
分泌性目的遺伝子は抗癌活性を有する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項19】
分泌性目的遺伝子は免疫力を促進する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項20】
分泌性目的遺伝子は抗血管新生効果を促進する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項21】
分泌性目的遺伝子は抗転移効果を促進する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項22】
分泌性目的遺伝子は抗炎症作用を促進する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項23】
分泌性目的遺伝子は抗ウイルス効果を促進する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項24】
分泌性目的遺伝子は放射線療法の効果を増強する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項25】
分泌性目的遺伝子は化学療法の効果を増強する、請求項16に記載のアデノウイルス。
【請求項26】
カプシドタンパク質が改変されて癌細胞の感染を容易にしている、請求項1に記載のアデノウイルス。
【請求項27】
カプシドタンパク質が改変されて癌細胞の感染を容易にしている、請求項2に記載のアデノウイルス。
【請求項28】
カプシドタンパク質の改変がRGDペプチド、pK7ペプチド、又はRGD及びpK7ペプチドの組合せを含む、請求項26又は27に記載のアデノウイルス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−526238(P2008−526238A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550580(P2007−550580)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/000941
【国際公開番号】WO2006/076408
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(501306715)ザ トラスティース オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (11)
【Fターム(参考)】