説明

発作性疾患を治療するための組成物及び方法

以下の式(I)を有する化合物を、治療を必要とする患者に投与することによって発作性疾患を治療する方法を、開示する。


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2009年9月16日に仮出願された米国仮特許出願第61/243,057号及び2009年9月28日に仮出願された米国仮特許出願第61/246,226号の優先権の利益を主張し、これらの仮特許出願の全開示は、この特定の参照により本明細書中に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
以下の式を有する化合物を、治療を必要とする患者に投与することによって発作性疾患を治療する方法を、本明細書中で開示する:

ここで、Xは、CH2又はCH2−CH2であり、Aは、N、S及びOからなる群から選択される1、2又は3個の原子を有するアリール又はへテロアリールであり、ここで、Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子及び0〜24個の水素原子をそれぞれ備える0、1、2又は3個の置換基を有する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
発作性疾患
発作は、脳内での過剰な無制御の神経活動の結果としての、異常な運動機能、知覚機能及び/又は精神機能のエピソードである。発作は、脳の両半球を含む全般発作であってもよく、又は1つの半球のみを含む部分発作(限局的発作とも呼ばれる)であってもよい。
【0004】
全般発作
全般発作は、点頭発作、欠神発作、強直間代発作、脱力発作及びミオクローヌス発作を含む。異常な運動機能及び意識喪失は、これらの発作の主要な特徴である。また、患者は、知覚的、自律的又は身体的な感覚の前兆を経験することもある。前兆は、感覚異常、上昇上腹部感覚、異常嗅覚、恐怖感、既視感を含むことがある。全般発作の後、多くの場合、発作後状態が起こり、発作後状態においては、患者は、深く眠るか、混乱するか、及び/又は頭痛若しくは筋肉痛を有することがある。トッド麻痺(発作病巣の対側の四肢衰弱)は、発作後状態において起こり得る。
【0005】
点頭発作は、通常は短時間の、頻回の腕の屈曲及び内転並びに胴の前屈によって特徴づけられる。これらは、人生の最初の5年以内においてのみ起こる。
【0006】
定型欠神発作(小発作としても知られる)は、一般的に10〜30秒間以上のまばたきを伴う意識喪失によって特徴づけられる。体軸筋の緊張は、あってもなくてもよい。けいれんはなく、その代わりに、患者は、多くの場合、発作が起きたことを認識することなく、突然に動作を止めた後、突然に再開する。欠神発作は、遺伝的である。これは、主に小児において起こり、多くの場合、一日中起こる。
【0007】
非定型欠神発作は、重症のてんかんであるレノックス−ガストー症候群の一部として起こる。これは、定型欠神発作より長く続き、けいれん性の動き又は自律性の動きがより目立つ。
【0008】
脱力発作は、通常はレノックス−ガストー症候群の一部として、小児において最も頻繁に起こる。これらは、筋緊張及び意識の完全な喪失によって特徴づけられる。
【0009】
強直発作もまた、通常はレノックス−ガストー症候群の一部として、小児において最も頻繁に起こる。これは、通常は睡眠中の、10〜15秒間続く体軸筋及び近位筋の強直性(持続性)収縮によって特徴づけられる。長時間の強直発作において、発作の終わりに、少数回の速い間代性けいれんが起こることがある。
【0010】
強直間代発作は、大発作としても知られ、原発性又は続発性で全般的である。原発性全般強直間代発作を経験している患者は、多くの場合、叫んだ後、意識を失って倒れる。次いで、強直性収縮が始まり、その後、間代性の(収縮と弛緩とが素早く交互に起こる)四肢、胴及び頭部の筋肉の運動が起こる。患者は、尿及び便の排泄抑制能力を失い、舌を噛み、口から泡を吹くことがある。発作は、通常、1〜2分間続く。前兆は、ない。続発性全般強直間代発作は、単純部分発作又は複雑部分発作から始まり、全般発作に進行する。
【0011】
ミオクローヌス発作は、四肢の一つ、四肢のうちの幾つか又は胴の、短い、速いけいれんによって特徴づけられる。これは、反復性で、強直間代発作を引き起こすことがある。けいれんは、両側性であっても、一側性であってもよい。発作が全般強直間代発作に進行しない限り、意識は失われない。
【0012】
若年ミオクローヌスてんかんは、ミオクローヌス性の、強直間代性の欠神発作によって特徴づけられる、てんかん症候群である。患者は、通常、青年である。発作は、一般的には、両側性の、同時性のミオクローヌス性けいれんから始まり、90%で全般強直間代発作が続く。これは、多くの場合、朝の起床時に起こる。患者の3分の1は、欠神発作を経験し得る。
【0013】
熱性けいれんは、熱に関連するが、頭蓋内感染に関連しない。良性の熱性けいれんは、短い期間の全般強直間代発作によって特徴づけられる。このような発作は、小児において一般的であり、6歳未満の小児の4%以下が罹患する。複雑熱性けいれんは、15分間以上続くか又は24時間以内に2回以上起こる限局性発作によって特徴づけられる。熱性けいれんを有する小児の2%は、その後の発作性疾患を発症する。複雑熱性けいれんを有するか、神経異常があらかじめ存在するか、1歳未満で発症したか、又は発作性疾患の家族歴がある小児において、危険性が高くなる。
【0014】
てんかん重積状態は、5〜10分間続くか又は患者が完全に意識を取り戻すまでの間に2回以上起こる強直間代発作活動によって特徴づけられる、発作性疾患である。治療しないままであると、発作は、60分間以上続き、脳障害又は死を引き起こすことがある。
【0015】
複雑部分てんかん重積状態及び欠神重積状態は、精神状態の変化の長期的エピソードである。全般けいれんてんかん重積状態は、抗けいれん薬の突然の退薬又は頭部外傷に関連し得る。
【0016】
部分発作
単純部分発作は、意識喪失を伴わない、運動、知覚又は精神運動の症候によって特徴づけられる。脳の異なる部分における発作は、多くの場合、異なる症候を起こす。
【0017】

【0018】
前兆は、多くの場合、複雑部分発作の前に起こる。患者は、通常、周囲を認識しているが、意識障害を経験していることがある。また、患者は、口部自動症(不随意に咀嚼するか又は唇を鳴らす)、手又は四肢の自動症(自動的で無意味な運動)、不明瞭な音の発声、発作病巣の対側の末端の強直性肢位又はジストニー肢位、通常は発作病巣の対側の頭部偏位及び眼球偏位、並びに特に内側前頭領域又は眼窩前頭領域から発作が発生する場合の脚のサイクリング運動又はペダリング運動を、経験することもある。運動症候は、1〜2分後に収まり、錯乱及び見当識障害は、更に1〜2分後に収まる。順向性健忘は、共通である。
【0019】
治療可能な状態
本発明の化合物は、発作性疾患、すなわち発作によって特徴づけられる任意の状態を治療するために使用され得る。てんかんは、このような状態の重要な一例である。本発明の化合物は、てんかんの原因が、腫瘍、頭部外傷、中枢神経系感染、薬物治療若しくは違法薬物(薬理学的に誘発されたてんかん)、ホルモン周期の変化、又は遺伝性、先天性若しくは発達性の状態であろうと何であろうと、てんかんを治療するために使用され得る。若年ミオクローヌスてんかん、(複雑又は部分)てんかん重積状態、反射てんかん(原発性読書てんかん及び光感受性てんかん)、小児欠神てんかん及びレノックス−ガストー症候群は、本発明の化合物で治療され得る特定の型のてんかんの例である。本発明の化合物は、異なる型を治療するためにも使用され得る。
【0020】
本発明の化合物は、上述の全般発作及び部分発作を含む発作を治療するために使用され得る。従って、本発明の化合物で治療され得る全般発作の例は、点頭発作、定型欠神発作、非定型欠神発作、脱力発作、強直発作、強直間代発作、ミオクローヌス発作及び熱性けいれんを含む。本発明の化合物で治療され得る部分発作の例は、前頭葉、対側前頭葉、補充運動皮質、島、島−眼窩前頭皮質、側頭葉前内側部、扁桃体(鰓蓋領域及び/又は他の領域を含む)、側頭葉、側頭葉後部、扁桃体、海馬、頭頂葉(知覚野及び/又は他の領域を含む)、後頭葉、及び/又は脳の他の領域を侵す単純部分発作を含む。
【0021】
本発明の化合物は、発作を伴う前兆を治療するためにもまた使用され得る。従って、本発明の化合物は、意識障害、口部自動症、手又は四肢の自動症、不明瞭な音の発声、末端の強直性肢位又はジストニー肢位、頭部偏位及び眼球偏位、及び脚のサイクリング運動又はペダリング運動、並びに前兆を備える他の症候を含み得る。
【0022】
本発明の化合物
本発明の方法は、以下の式の化合物を患者に投与することを包含する。

ここで、Xは、CH2又はCH2−CH2であり、Aは、N、S及びOからなる群から選択される1、2又は3個の原子を有するアリール又はへテロアリールであり、ここで、Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子及び0〜24個の水素原子をそれぞれ備える0、1、2又は3個の置換基を有する。
【0023】
本明細書中で使用される「アリール」は、フェニル、ナフチル又はビフェニルなどの少なくとも1つの芳香環を含む任意の環又は環系を意味する。それぞれの環は、置換であっても非置換であってもよい。
【0024】
本明細書中で使用される「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環における1、2又は3個の原子が、N、S又はOである、芳香環又は芳香環系を意味する。ヘテロアリールは、例えば、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が環に存在する単環式アリール環及び少なくとも1つの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が環の少なくとも1つに存在する二環式アリール環を含む。へテロアリールの例は、ピリジニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、キノリニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリルなどを含む。それぞれの環は、置換であっても非置換であってもよい。
【0025】
置換基は、同じであっても異なっていてもよい。本明細書中で定義される制約を有する置換基の例は、以下を含むが、これらに限定されない。
a.アルキルであって、二重結合も三重結合も有さないヒドロカルビルを意味し、以下を含むがこれらに限定されない;
i)直鎖状アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなど
ii)分枝鎖状アルキル、例えば、イソ−プロピル、t−ブチル及び他の分枝鎖状ブチル異性体、分枝鎖状ペンチル異性体など
iii)シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどであって、これらは、必要に応じて別のシクロアルキル置換基又はフェニル置換基と融合してもよい
iv)直鎖状アルキル、分枝鎖状アルキル及び/又はシクロアルキルの組み合わせ
b.アルケニル、例えば、1つ以上の二重結合を有するヒドロカルビルであって、直鎖状アルケニル、分枝鎖状アルケニル又はシクロアルケニルを含む;
c.アルキニル、例えば、1つ以上の三重結合を有するヒドロカルビルであって、直鎖状又は分枝鎖状の(アルキニル)を含む;
d.アルキル、アルケニル及び/又はアルキニルの組み合わせ;
アルキル−CN、例えば、−CH2−CN、−(CH22−CN;−(CH23−CNなど;
ヒドロキシアルキル、すなわち、アルキル−OH、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、など;
エーテル置換基、−O−アルキル、アルキル−O−アルキルなどを含む;
ヒドロキシアルキルエーテル、例えば、−COOH、
チオアルキル及びチオエーテル置換基、−S−アルキル、アルキル−S−アルキル、などを含む;
アミン置換基、−NH2、−NH−アルキル、−N−アルキル1アルキル2(すなわち、アルキル1及びアルキル2は、同じであるか又は異なっていて、両方ともNに結合している)、アルキル−NH2、アルキル−NH−アルキル、アルキル−N−アルキル1アルキル2などを含む;
アミノアルキルであって、アルキル−アミンを意味し、例えば、アミノメチル(−CH2−アミン)、アミノエチルなど;
エステル置換基、−CO2−アルキル、−CO2−フェニル、などを含む;
他のカルボニル置換基、アルデヒドを含む;ケトン、例えば、アシル(すなわち

など;特に、アセチル、プロピオニル、及びベンゾイル置換基が企図される;
フェニル及び置換フェニル;フェニル及び置換フェニル自体が、必要に応じて別のフェニル又はシクロアルキル置換基と融合されてもよい;
フルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボン、例えば、−CF3、−CH2CF3など;
−CN;及び
−F、−Cl、−Br、又は−I。
定義された制約を条件として、上記置換基の組み合わせもまた、可能である。
【0026】
置換基は、通常の雰囲気下で少なくとも12時間室温で保存するために充分安定であるか、又は本明細書中で開示される任意の目的で有用であるために充分安定でなければならない。
【0027】
置換基が、塩、例えばカルボン酸又はアミンの塩である場合、この塩の対イオン、すなわち残りの分子に共有結合していないイオンは、置換基における重原子の目的の数に数えられない。従って、例えば、塩−CO2Na+は、3つの重原子からなる安定な置換基であり、すなわち、ナトリウムは数えられない。別の例として、塩−NH(Me)2+Clは、3つの重原子からなる安定な置換基であり、すなわち、塩素は数えられない。
【0028】
一実施形態において、Aは、ピリジニルであり、例えば、以下で示す構造の化合物が企図されることを意味する。これらの構造において、R1、R2及びR3は、本明細書中で定義される置換基である。

【0029】
別の実施形態において、Aは、チエニルであり、以下で示す構造の化合物が企図されることを意味する。これらの構造において、R1及びR2は、本明細書中で定義される置換基である。

【0030】
別の実施形態において、Aは、フリルであり、以下で示す構造の化合物が企図されることを意味する。これらの構造において、R1、R2及びは、本明細書中で定義される置換基である。

【0031】
一実施形態において、置換基それぞれは、独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキルである。
【0032】
別の実施形態において、Aは、非置換であるか、又はイソプロピル置換基を有する。
【0033】
別の実施形態において、置換基はそれぞれ、−F、−Cl、−CH3又は−CF3である。
【0034】
別の実施形態において、Aは、0、1、2又は3個の置換基を有するピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、キノリニル又はピラジニルである。
【0035】
特に記載されない限り、化合物に対する言及は、図示の構造の化学成分又は化学名の、薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、互変異性体、代替の固体形態及び非共有結合複合体を含む。
【0036】
薬学的に受容可能な塩は、親化合物の、動物又はヒトへの投与に適した任意の塩である。薬学的に受容可能な塩はまた、酸、別の塩、又は酸若しくは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果としてインビボで形成し得る任意の塩をもいう。塩は、化合物の1つ以上のイオン形態、例えば、1つ以上の対応する対イオンを伴う共役酸又は共役塩基を備える。塩は、1つ以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、1つ以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)又はこれらの両方(例えば、双性イオン)から形成されても、又はこれらを組み込んでもよい。
【0037】
酸性官能基の薬学的に受容可能な塩は、有機塩基に由来しても又は無機塩基に由来してもよい。塩は、一価イオンを備えても又は多価イオンを備えてもよい。特に対象となるものは、無機イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムである。有機塩は、アミン、詳細には、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン及びトリアルキルアミン又はエタノールアミンで形成されてもよい。また、塩は、カフェイン、トロメタミン及び類似の分子で形成されてもよい。塩酸又は何らかの他の薬学的に受容可能な酸が、アミン又はピリジン環などの塩基性基を含む化合物と塩を形成し得る。
【0038】
互変異性体は、互いに迅速に平衡化する異性体である。これらは多くの場合、陽子、水素原子又は水素化物イオンの移動を含むが、必ずしも含むわけではない。例えば、本明細書中の構造は、以下に示す互変異性体形態を含むことが企図されるが、これらに限定されない。

【0039】
立体化学が明白に図示されていない限り、構造は、純粋なもの又は任意の可能な混合物の両方で、全ての可能性のある立体異性体を含む。
【0040】
代替の固体形態は、本明細書中で記載した手順を実施することによって生じ得る形態とは異なる固体形態である。例えば、代替の固体形態は、多形体、異なる種類の不定形固体形態、ガラスなどである。
【0041】
非共有結合複合体は、化合物と1つ以上の追加の化学種との間で形成され得、この化合物とこの追加の化学種との間に共有結合相互作用を含まない。これらは、この化合物とこの追加の化学種との間に特定の比率を有しても有さなくてもよい。例は、水和物、電荷移動複合体などを含み得る。
【0042】
本発明の化合物を生成するための方法は、例えば、米国特許出願第2009/0036436号に記載され、その開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。
【0043】
本発明の方法に有用な組成物は、さらに賦形剤を含み得る。このような賦形剤は、通常は活性化合物と混合されるか又は活性化合物を希釈可能にするか若しくは封入可能にする、キャリア或いは希釈剤であってもよい。希釈剤、キャリアが、固体材料、半固体材料又は液体材料であり得る場合、これらは、活性化合物の賦形剤又はビヒクルとして作用する。処方物はまた、湿潤剤、乳化剤、保存料、甘味料及び/又は風味添加剤を含んでも良い。
【0044】
本発明の化合物の例は、以下を含む。



【0045】
治療方法
本明細書中で記載される化合物は、発作性疾患に罹患する患者を治療するために使用され得る。
【0046】
本明細書中で使用される「治療する」とは、医学的に対処することを意味する。例えば、本発明の化合物が、発作の発症を予防するため、その重症度を軽減するため、及びその再発を予防するために投与されることを含む。
【0047】
本発明の化合物は、薬学的に有効な量で投与され得る。このような量は、普通、発作の治療において所望の治療効果を達成するために必要な最少用量であり、この量は、許容レベルまで症候の頻度及び/又は重症度を軽減するために、必要な概算量である。ヒト成人について、薬学的有効量は、一般的に、1〜1,000mg/日の範囲内であり、1〜25mg/日、25〜50mg/日、50〜75mg/日、75〜100mg/日、100〜150mg/日、150〜200mg/日、200〜250mg/日、250〜300mg/日、300〜350mg/日、350〜400mg/日、400〜450mg/日、450〜500mg/日、500〜550mg/日、550〜600mg/日、600〜650mg/日、650〜700mg/日、700〜750mg/日、750〜800mg/日、800〜850mg/日、850〜900mg/日、900〜950mg/日、950〜1,000mg/日を含む。より高い用量(1,000〜3,000mg/日)もまた、有効であり得る。任意の所定の事例において投与される化合物の実際量は、関連する環境、例えば発作性疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者の一般的健康状態並びに投与経路を考慮して、医師によって決定される。一実施形態において、本発明の化合物は、薬学的に有効であるが鎮静作用を起こさない用量で投与される。
【0048】
患者は、任意の受容可能な形態、例えば、錠剤、液剤、カプセル、散剤などで、化合物を経口で与えられ得る。特に患者が悪心に苦しんでいる場合、他の経路が所望され得るか又は必要であり得る。このような他の経路は、例えば、経皮、腹腔内、腸管外、皮下、鼻腔内、髄腔内、筋肉内、静脈内及び直腸内の送達様式を含み得る。
【実施例】
【0049】
本発明者らは、本発明の化合物の抗発作活性を、2種の公知の発作医薬であるジアゼパム及びガバペンチンと比較した。
表1‐本発明の選択化合物及び2種の公知の発作医薬


雄のC57B/6マウス(20〜25g)は、化合物A(1mg/kg)、化合物B(1又は10mg/kg)、化合物C(1mg/kg)、ジアゼパム(0.5mg/kg)、ガバペンチン(50mg/kg)又はビヒクル(ddH2O)を腹腔内投与された後、ペンチレンテトラゾール(PTZ、50mg/kg、IP)で処置された。化合物A、B、C及びガバペンチンは、PTZの60分前に投与され、ジアゼパム又はビヒクルは、PTZの30分前に投与された。PTZ注射の直後に、マウスは、別個に観察ケージに入れられ、最初のけいれん(レベル3以上、表2)を発症するまでの時間及び各型のけいれんの回数が記録された。(Rizwan et al,Pol.J.Pharmacol.,55(6):65〜71(2003)によって使用されたスケールから修正した採点方法については、表2を参照されたい)。
【0050】
動物は、それぞれ10分毎に採点され、苦痛の兆候から1時間にわたって観察された(全ての動物は、PTZ投与12〜20分後に、よりゆっくりと/疲労してはいるが、通常の活性レベルに戻った)。レベル1及び2の行動は、けいれんとはみなされないが、薬物処置の鎮静作用又は異常作用のいかなる可能性をも追跡するために採点した。ここで、採点上、グループ間で相違はなく、従って、このデータは、けいれん分析に含まれない。
【0051】
表2‐PTZ採点系

【0052】
統計
データは、ミオクローヌス性けいれん(レベル3+レベル4事象)の回数、間代性けいれんの回数(レベル5事象)及び強直間代性事象(レベル6+レベル7事象;表3−1)、並びに最初のけいれんの発症までの時間(秒)で表わされる。マウス毎のそれぞれのけいれんの型の総計は、GraphPad Prismに入力され、ビヒクル+PTZに対する事後Dunnett多重比較法を用いたone−way ANOVAによって分析された。P<0.0125(グループの数について補正された)の場合、全体的有意性が確立された。事後比較は、P<0.05の場合に有意であるとみなされた。
【0053】
表3‐one−way ANOVAによって決定された治療の全体的効果。事後Dunnett多重比較法は、対照と比較して個々の治療グループ間の相違を識別した。*、**及び***は、それぞれ、ビヒクルに対しP<0.05、P<0.01及びP<0.001を示す。N=6〜26匹/グループ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:

を有し、ここで、Xは、CH2又はCH2−CH2であり、Aは、N、S及びOからなる群から選択されるアリール又はへテロアリールであり、ここで、Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子及び0〜24個の水素原子をそれぞれ備える0、1、2又は3個の置換基を有する化合物を、治療を必要とする患者に投与するステップを包含する、発作を治療するための方法。
【請求項2】
Aが、ピリジニル、チエニル、フリル、キノリニル、メチルフェニル及びビフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Aが、非置換である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発作が、点頭発作、定型欠神発作、非定型欠神発作、脱力発作、強直発作、強直間代発作、ミオクローヌス発作及び熱性けいれんからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記発作が、前頭葉、前頭葉対側、補充運動皮質、島、島−眼窩前頭皮質、側頭葉前内側部、扁桃体、側頭葉、側頭葉後部、扁桃体、海馬、頭頂葉又は後頭葉を侵す単純部分発作である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、以下:



からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記以下の構造:

を有し、式中、Xは、CH2又はCH2−CH2であり、Aは、N、S及びOからなる前記群から選択される1、2又は3個の原子を有するアリール又はへテロアリールであり、ここで、Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、及び0〜24個の水素原子をそれぞれ備える0、1、2又は3個の置換基を有する化合物を、治療を必要とする患者に投与する前記ステップを包含する、てんかんを治療するための方法。
【請求項8】
Aが、ピリジニル、チエニル、フリル、キノリニル、メチルフェニル及びビフェニルからなる前記群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Aが、非置換である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記てんかんが、若年ミオクローヌスてんかん、複雑てんかん重積状態、部分てんかん重積状態、反射てんかん、小児欠神てんかん又はレノックス−ガストー症候群である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、以下:



からなる前記群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記以下の構造:

を有し、ここで、Xは、CH2又はCH2−CH2であり、Aは、N、S及びOからなる前記群から選択される1、2又は3個の原子を有するアリール又はへテロアリールであり、ここで、Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子及び0〜24個の水素原子をそれぞれ備える0、1、2又は3個の置換基を有する化合物を、治療を必要とする患者に投与する前記ステップを包含する、発作に伴う前兆を治療するための方法。
【請求項13】
Aが、ピリジニル、チエニル、フリル、キノリニル、メチルフェニル及びビフェニルからなる前記群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Aが、非置換である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、以下:



からなる前記群から選択される、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−505248(P2013−505248A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529875(P2012−529875)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048934
【国際公開番号】WO2011/034920
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】