説明

発信規制機能付き電話機

【課題】極性反転検出回路を使用することなく、ハンドセット送話器からのDTMF信号にミュートをかけ、電話機の外部からの発信規制逃れを防止する。
【解決手段】送話器7は、通話中には通話音声信号をスピーチICに出力するが、交換機1からのダイヤルトーン検知から相手方呼出音検知に至るまでは、DTMF信号発生器10からのDTMF信号(電話番号)を入力し、スピーチICに出力する。発信規制機能付き電話機2が交換機1に発呼し、交換機1のダイヤルトーンの検出から相手方呼出音の検出に至るまで、ダイヤルトーン検出回路4は一定論理レベルの検出信号をCPU6に入力し、CPU6は、上記検出信号に基づいて、DTMF信号発生器10からのDTMF信号にミュートをかける。ミュート中に、ダイヤルキーパッド9から相手方電話番号を入力すると、相手方電話番号が発信規制対象であるときは、CPU6が発信規制を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信規制機能付き電話機に関し、特に、電話機外のDTMF発生器からのDTMF(Dial Tone Multi Frequency)による発信規制電話番号をハンドセットの送話器に入力しても、発信規制電話番号の電話回線への送出を防止することができる発信規制機能付き電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
DTMF信号は、電話機に設置されている12種類のプッシュボタン(0〜9、*、0、#)に、音声帯域の4つの低群周波数と3つの高群周波数を割り当て、低群と高群をミキシングした音声帯域アナログ信号である。そのため、電話番号をキーボード入力する替わりに、リモートコマンダなどとして市販されているDTMF発生器からハンドセットの送話器経由で電話番号を送信することもできる。
【0003】
一方、ユーザの不注意や子供のいたずらなどにより、市外通話や国際電話がなされ、高額な通話料が請求されることがあるため、特定の電話番号の発信をすることができないよう、発信規制機能を設定することができるようになっている。
【0004】
しかし、リモートコマンダを使用すれば、発信規制機能は働かないため、悪意の第三者が発信した高額の長距離電話代を、電話の登録名義人が支払わなければならなくなる。
【0005】
そこで、特許文献1に開示された電話機では、オフフックによる回線接続開始から相手先との回線接続完了までは、送話器の信号にミュートをかけ、DTMF信号の送出を阻止する。具体的には、電話機をオフフックし回線ループが形成され、回線の極性が反転するが、その極性反転と同時に、送話器の信号にミュートをかける。電話が相手方に繋がると再び極性が反転するので、このタイミングでミュートを解消する。
【0006】
【特許文献1】特開平6−244928号公報(図2、段落0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、極性反転検出回路を設けなければならないため、装置全体が複雑となり、コスト面の問題もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、極性反転検出回路を利用することなく、ハンドセット送話器からのDTMF信号にミュートをかけ、電話機の外部からの発信規制逃れを防止する電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため本発明の発信規制機能付き電話機は次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)交換機からのダイヤルトーン及び相手方呼出音を検出するダイヤルトーン検出回路と、
ダイヤル発信規制を行う制御部とを備え、
前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方呼出音を検出するまでの間は、
前記制御部は、送話器の出力にミュートをかけ、ダイヤルキーパッドからの発信番号に発信規制を行う発信規制機能付き電話機。
【0011】
(2)電話機の外部のDTMF信号発生器からアナログのDTMF信号を入力する送話器とをさらに備え、
前記制御部は、ダイヤルキーパッドから入力された発信番号をアナログのDTMF信号に変換する上記(1)の発信規制機能付き電話機。
【0012】
(3)前記ダイヤルトーン検出回路は、前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方呼出音を検出するまでの間は、一定の論理レベルを保持する検出信号を前記CPUに入力する上記(1)又は(2)の発信規制機能付き電話機。
【0013】
(4)前記制御部は、前記検知信号に基づいて、送話器が出力する信号にミュートをかける上記(3)の発信規制機能付き電話機。
【0014】
(5)前記発信規制は、電話番号の最初の桁が特定数である時に行われる上記(1)又は(2)の発信規制機能付き電話機。
【0015】
(6)前記発信規制は、電話番号の桁数が所定数を超えるときに行われる上記(1)又は(2)の発信規制機能付き電話機。
【0016】
(7)交換機からのダイヤルトーン及び相手方呼出音を検出するダイヤルトーン検出回路と、ダイヤル発信規制を行う制御手段とを備え、前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方が応答するまでの所定時間は、前記制御手段は、送話器からの入力を無効とすることにより発信規制を行う発信規制機能付き電話機。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、極性反転検出回路を利用することなく、交換機からのダイヤルトーン(電話機からの電話番号を待ち受け中であることを示す音)を検出することにより、ハンドセット送話器からのDTMF信号にミュートをかけることができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の好適実施例を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施例による発信規制機能付き電話機のブロック図である。
【0019】
発信規制機能付き電話機2は、電話回線で交換機1に接続される。発信規制機能付き電話機2は、フックスイッチ3と、フックスイッチ3に接続されたスピーチIC(音声送受信部)5と、スピーチIC5に接続された送話器7及び受話器8とを含む。さらに、ダイヤルキーパッド(プッシュボタン)9から入力された発信電話番号をDTMF信号に変換するCPU(ダイヤル発信機能部)6がスピーチIC5に接続されている。ここに、CPU6は発信規制機能も有する。発信規制は、例えば、電話番号の最初の桁がゼロであるときは発信規制することとしてもよい。また、例えば、電話番号の桁が所定数を超えたとき、発信規制することとしてもよい。
【0020】
発信規制機能付き電話機2は、フックスイッチ3に接続されたダイヤルトーン検出回路4を有し、交換機1からのダイヤルトーン(電話機からの電話番号を待ち受ける信号音)及び相手方呼出音を検知して、検知結果をCPU6へ出力する。検知信号は、ダイヤルトーン検知から相手方呼出音検知に至るまで一定の論理レベル(正論理であれば「1」)を保持する信号である。CPU6は、この検知信号に基づいて、送話器7の出力にミュートをかける。
【0021】
次に、発信規制機能付き電話機2の動作について説明する。
送話器7は、通話中には通話音声信号をスピーチIC5に出力するが、オフフック時のダイヤルトーン検知から相手方呼出音検知に至るまでは、DTMF信号発生器10からのDTMF信号(電話番号)が送話器7に入力され、スピーチIC5に出力される。
【0022】
発信規制機能付き電話機2が交換機1に発呼し、交換機1のダイヤルトーンを受信すると、ダイヤルトーン検出回路4により一定論理値を保持する上記検知信号がCPU6に入力され、CPU6は、上記検知信号に基づいて、DTMF信号発生器10からのDTMF信号にミュートをかける。
【0023】
ミュート中に、ダイヤルキーパッド9から相手方電話番号が入力されたとき、相手方電話番号が発信規制対象であるときは、CPU6が発信規制を行うが、規制対象外である時は、CPU6はその相手方電話番号に発信する。
【0024】
このように、本実施例では、電話機をオフフックした時(回線捕捉時)、交換機は電話機からのダイヤル信号を受け付ける信号音あるダイヤルトーンを電話機へ送出するので、電話機が交換機からのダイヤルトーンを検出したときは、送話信号をミュートし、送話器から入るDTMF信号発生器を用いた場合の発信を禁止する。
【0025】
以上、本発明の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】発信規制機能付き電話機のブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
1 交換機
2 発信規制機能付き電話機
3 フックスイッチ
4 ダイヤルトーン検出回路
5 スピーチIC
6 CPU(ダイヤル発信機能)
7 送話器
8 受話器
9 ダイヤルキーパッド
10 DTMF信号発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機からのダイヤルトーン及び相手方呼出音を検出するダイヤルトーン検出回路と、
ダイヤル発信規制を行う制御部とを備え、
前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方呼出音を検出するまでの間は、
前記制御部は、送話器の出力にミュートをかけ、ダイヤルキーパッドからの発信番号に発信規制を行うことを特徴とする発信規制機能付き電話機。
【請求項2】
電話機の外部のDTMF信号発生器からアナログのDTMF信号を入力する送話器とをさらに備え、
前記制御部は、ダイヤルキーパッドから入力された発信番号をアナログのDTMF信号に変換することを特徴とする請求項1に記載の発信規制機能付き電話機。
【請求項3】
前記ダイヤルトーン検出回路は、前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方呼出音を検出するまでの間は、一定の論理レベルを保持する検出信号を前記CPUに入力することを特徴とする請求項1又は2に記載の発信規制機能付き電話機。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知信号に基づいて、送話器が出力する信号にミュートをかけることを特徴とする請求項3に記載の発信規制機能付き電話機。
【請求項5】
前記発信規制は、電話番号の最初の桁が特定数である時に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の発信規制機能付き電話機。
【請求項6】
前記発信規制は、電話番号の桁数が所定数を超えるときに行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の発信規制機能付き電話機。
【請求項7】
交換機からのダイヤルトーン及び相手方呼出音を検出するダイヤルトーン検出回路と、ダイヤル発信規制を行う制御手段とを備え、前記ダイヤルトーン検出回路が前記交換機からのダイヤルトーンを検出したときから相手方が応答するまでの所定時間は、前記制御手段は、送話器からの入力を無効とすることにより発信規制を行うことを特徴とする発信規制機能付き電話機。

【図1】
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