説明

発光きのこを用いた健康食品材料とその製造方法

【課題】ヤコウタケの発光物質を健康食品材料として活用すべく、不活性化や分解が起こらないように回収する。
【解決手段】ヤコウタケの発光している子実体の発光部位のみを、熱分解なく脱水、乾燥化し、粉末とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キノコには食用キノコ、毒キノコ、観賞キノコ、薬用キノコなどが漢方薬として広く利用されている。最近では食用キノコが栄養特性、嗜好特性、生理特性を兼ね備えていることから注目を浴びている。既に、多くのキノコには抗腫瘍作用を示す多糖体があることが確認されている。この抗腫瘍作用はガン細胞を直接攻撃して破壊するものではなく、正常細胞の免疫賦活機能を高める性質をもつ物質BRMの一種によるものと考えられている。キノコには免疫賦活機能の他にも恒常性(ホメオスターシス)の維持、体調リズムの調節、疾病回復機能、生活習慣病に対する予防と改善の効果、血液を浄化する作用が備わっている。またキノコには、リジン、メチオニン、ロイシン、アラニンなどの遊離アミノ酸などから構成されるアルカリ性たんぱく質、ビタミンB1、B2、ナイアシン、多糖質、ミネラル(特にマグネシウム)など人体に必要な栄養素が多く含まれており、ダイエット効果栄養特性をも持ち合わせている。
【背景技術】
【0002】
ヤコウタケ(Mycena chlorophos)の免疫力については、ヤコウタケと雑菌を同時に寒天培地に接種し、28℃で培養したところ、ヤコウタケ菌糸体コロニーの周りに透明の免疫バリヤー輪ができ、雑菌コロニーが本キノコ菌糸体コロニーを侵すことができず、その後、雑菌コロニーと本キノコ菌糸体コロニーが重なり合うことがなかったことから、その免疫力の強さが確認された。また、ヤコウタケの発光反応は、他の発光生物のものと比較して特徴的である。ホタルやオワンクラゲなどの発光は、数秒から数分程と短時間であるが、ヤコウタケの発光は、数日間連続的であり非常に緑色の発光が強いその発光物質を他の栄養成分と複合摂取することで、新しい多機能健康食品の創出の可能性が考えられるが、原産地でのキノコの発生数が課題となっていた。しかし、特願2003−292606の発光きのこの栽培方法により場所、時間、数量を問わず本キノコの大量生産が可能になった。
【0003】
しかし、健康食品としての栄養成分を補給するという効用があっても、発光物質を不活性化または分解が起こらないように回収するには技術的問題が多かった。
【特許文献1】 特願2003−292606
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヤコウタケは観賞用キノコとしてだけでなく健康食品としての免疫力、栄養成分に非常に興味深いものがあり、また、発光反応は、他の発光生物のものと比較して特徴的である。しかしながら発光機構が解明されておらず、発光物質の抽出も非常に難しく困難であった。そのため、発光物質を不活性化または分解が起こらないように回収率を高めていくことが課題となっている
【課題を解決するための手段】
【0005】
ヤコウタケの発光機構は詳しく解明されてはいないが、発光していない子実体は使用せず、発光している子実体の発光部位のみを定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により粉末化することにより、簡易な方法で発光物質が不活性化または分解を起こさなかったことを確認し、回収することが可能となった。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、健康食品としての栄養成分、発光物質を不活性化または分解が起こらないように回収し、廉価に大量に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施方法とその実験結果を例にあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0008】
本発明では、特願2003−292606の発光きのこの栽培方法により発生させたヤコウタケの発光している子実体の発光部位のみを100g採集し、真空、低温で熱分解なく脱水、乾燥し粉末化して、簡易な方法で発光物質が不活性化、または分解を起こさなかったことを確認して回収することができた。
発光している子実体の傘、ひだの発光部位のみをピンセットで100g採集し、真空凍結乾燥器の中で、トラップ冷却温度ー40℃、トラップ除湿容量1L/回で凍結乾燥し、卓上型コーヒーミルで粉砕し粉末化した。粉末化した物10gは、暗室にて純水1mlを添加することにより発光を目視観察することができた。このことから発光物質を不活性化または分解が起こらないように回収できたことが確認された。発光反応試験後、粉末100gを栄養基礎成分分析に供した。分析したところ、たんぱく質2.3g、脂質0.3g炭水化物5.4g、リン80mg、カリウム360mg、ナイアシン9.5mgが検出できた。また、麦芽エキス25gを純水1Lに溶解したモルツ液体培地に種菌を浮かぶように植菌し、静置培養した菌糸体を、真空凍結乾燥法により粉末化した50gを分析したところ、抗腫瘍作用を示す多糖体6gが検出できた。
【産業上の利用可能性】
【0009】
ヤコウタケは栄養特性、生理特性を兼ね備えている。既に、本キノコには抗腫瘍作用を示す多糖体があることが確認されており、健康食品としての栄養成分効用は非常に興味深く、健康食品として既に市販されている、アガリクス、シイタケ、マンネンタケに勝るとも劣らない栄養補助食品といえる。そのうえ発光反応は、他の発光生物のものと比較して特徴的である。そのため、その発光物質を他の栄養成分と複合摂取することで、新しい多機能健康食品の創出の可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシメジ科クヌギタケ属ヤコウタケ(Mycena chlorophos)を原料とする健康食品材料。
【請求項2】
天然及び人工栽培された請求項1のヤコウタケの発光している子実体の発光部位のみを定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により粉末化し健康食品材料とする製造方法。
【請求項3】
天然及び人工栽培された請求項1のヤコウタケの種菌を、モルツ液体培地で静置培養した菌糸体を定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により粉末化し健康食品材料とする製造方法。
【請求項4】
請求項1の健康食品材料を水、お湯、酒類、飲料水、ソフトドリンク類、氷、果汁類、乳汁類、シロップ類、茶類、スープ類、澱粉類、寒天類、ゼラチン類調味料類、蜂蜜、健康食品、天然高分子類(澱粉系、セルロース系、その他多糖類系、たんぱく質)に含有、溶解させることを目的にし、形態を液状、丸錠、錠剤、変形錠、粉末状、フレーク状、ブロック状、塊状、カプセル型、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、ゲル状、ペースト状にした製造物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシメジ科クヌギタケ属ヤコウタケ(Mycena chlorophos)を原料とする健康食品材料。
【請求項2】
天然及び人工栽培された請求項1のヤコウタケの発光している子実体の発光部位のみを定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により粉末化し健康食品材料とする製造方法。
【請求項3】
天然及び人工栽培された請求項1のヤコウタケの種菌を、モルツ液体培地で静置培養した菌糸体を定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により粉末化し健康食品材料とする製造方法。
【請求項4】
請求項1の健康食品材料を水、お湯、酒類、飲料水、ソフトドリンク類、氷、果汁類、乳汁類、シロップ類、茶類、スープ類、澱粉類、寒天類、ゼラチン類調味料類、蜂蜜、健康食品、天然高分子類(澱粉系、セルロース系、その他多糖類系、たんぱく質)に含有、溶解させることを目的にし、形態を液状、丸錠、錠剤、変形錠、粉末状、フレーク状、ブロック状、塊状、カプセル型、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、ゲル状、ペースト状にした製造物品。
【請求項5】
請求項2により製造された物品は、水(HO)を含有させることにより発
光反応を生成させることを特徴とする。

【公開番号】特開2006−109813(P2006−109813A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325688(P2004−325688)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(595063433)
【Fターム(参考)】