説明

発光デバイスの作製方法及び発光デバイスの作製装置

【課題】不良箇所が絶縁化された発光デバイスを作製する方法を提供することを課題の一とする。または、不良箇所が絶縁化された発光デバイスを作製する装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】半球状のレンズと発光素子を重なるように形成した後に、不良箇所を検出する。次いで、検出された不良箇所を含む発光素子に重なる半球状のレンズに低エネルギー密度のレーザビームを照射し、該半球状のレンズにより集光された光により不良箇所を絶縁すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスを作製する方法及び発光デバイスを作製する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の電極の間に膜状に広がる発光性の有機化合物を含む層(EL層ともいう)を設けた発光素子が知られている。このような発光素子は例えば有機EL素子と呼ばれ、一対の電極の間に電圧を印加すると、発光性の有機化合物から発光が得られる。また、有機EL素子を用いた発光デバイスとしては、表示装置や、面状の照明装置などをその例に挙げることができる。なお、表示装置の一例としては、有機EL素子をアクティブマトリクス基板上形成したものが挙げられる。
【0003】
ところで、EL層は非常に薄い。したがって有機EL素子の一対の電極間に導電性の異物が混入した場合、一対の電極は短絡し易い。短絡の発生は有機EL素子の破壊や、発熱による有機EL素子の劣化や、リーク電流による消費電力の増大等の不具合を招く。
【0004】
そこで、有機EL素子において、その一対の電極が短絡した欠陥または短絡に至る前の潜在的な欠陥を検出し、これらにレーザビームを照射して絶縁化する方法及び装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−260857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一対の電極が短絡した欠陥や潜在的な欠陥(以下両者を併せて不良箇所という)を含む発光素子を絶縁化するには、高いエネルギー密度のレーザビームスポットが必要である。しかし、発光素子の不良箇所を絶縁できる程度にエネルギー密度が高いレーザビームスポットを得るには、高出力のレーザを用いるか、被照射面に近接して配置された光学系(以下対物レンズという)を用いて低エネルギー密度のレーザビームを集光する必要がある。しかしながら、いずれの方法であっても以下のように問題がある。
【0007】
高出力のレーザを用いる方法では、装置の価格が高くなるという問題がある。また、低出力のレーザを用いる方法では、高倍率の対物レンズが必要であり、装置の構成が複雑になってしまう傾向がある。または、対物レンズは焦点深度が浅いため、被照射面に対する光学系の位置を精度よく制御する必要がある。または、レーザを集光する対物レンズを被照射面に近づけて設ける必要があり、その間に遮蔽物を設けて、被照射面からの蒸発物が対物レンズを汚染する現象を防ぐことが困難である。
【0008】
発光デバイスの作製工程中に発見した発光素子の不良箇所を大気から隔離された処理室(例えば、真空チャンバー)内で絶縁化することは困難である。なぜなら、処理室の外に高出力のレーザを配置して用いる場合は、処理室の壁面にレーザを透過する窓材を設け、該レーザから該窓材を介してレーザビームを発光素子の不良箇所に照射する構成となるが、高出力のレーザビームが窓材に損傷を与えてしまうという問題が生ずるからである。または、低出力のレーザを用いる場合は、対物レンズを処理室内に配置する構成となるが、絶縁化処理の度に不良箇所から蒸発する有機物等が対物レンズに付着し、該対物レンズが曇ってしまうという問題が生じるからである。いずれにせよ、上記のような装置は長期の使用に耐えることができないという問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。従って、本発明の一態様は、発光デバイスが備える発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製する方法を提供することを課題の一とする。または、発光デバイスを作製する装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、光取り出し効率を高めるために発光素子の発光領域に重ねて設けられる半球状のレンズに着眼した。
【0011】
そして、半球状のレンズと発光素子を重なるように形成した後に、不良箇所を検出する。次いで、検出された不良箇所を含む発光素子に重なる半球状のレンズに低エネルギー密度のレーザビームを照射し、該半球状のレンズにより集光された光を用いて不良箇所を絶縁する方法に想到し、上記課題の解決に至った。
【0012】
すなわち、本発明の一態様は、少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を、一方に半球状のレンズが設けられた基板の他方に、半球状レンズに透光性の電極を合わせて形成する第1のステップと、発光素子を覆う封止部材を形成する第2のステップと、発光素子に検査用の電力を供給しながら、発光素子の不良箇所を検出する第3のステップと、不良箇所が検出された場合に、半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、当該不良箇所を絶縁化する第4のステップと、を有する発光デバイスの作製方法である。
【0013】
また、本発明の一態様は、少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を形成する第1のステップと、発光素子を覆う封止部材を形成する第2のステップと、発光素子の透光性の電極が設けられた側に、発光性の有機化合物が設けられた領域に合わせて半球状のレンズを形成する第3のステップと、発光素子に検査用の電力を供給しながら、発光素子の不良箇所を検出する第4のステップと、不良箇所が検出された場合に、半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、当該不良箇所を絶縁化する第5のステップと、を有する発光デバイスの作製方法である。
【0014】
上記本発明の一態様は、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光デバイスの不良箇所に、半球状のレンズを介してレーザビームを照射して絶縁化する方法である。この方法によれば、発光デバイスが備える発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。または、不良箇所に近接して配置された半球状のレンズをレーザビームの集光に用いる方法である。この方法によれば、高倍率の、焦点深度が浅い光学系を被照射面に近接して配置する必要がなく、作製装置の構造を簡略化できる。または、レーザ照射手段と不良箇所の間に半球状のレンズを配置してレーザビームを不良箇所に照射する方法である。この方法によれば、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがなく、メンテナンスの頻度を低減できる。
【0015】
また、本発明の一態様は、少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を、一方に半球状のレンズが設けられた基板の他方に、半球状レンズに透光性の電極を合わせて形成する第1のステップと、発光素子に検査用の電力を供給しながら、発光素子の不良箇所を検出する第2のステップと、不良箇所が検出された場合に、減圧された処理室において半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、不良箇所を絶縁化する第3のステップと、不良箇所が絶縁化された発光素子を覆う封止部材を設ける第4のステップと、を有する発光デバイスの作製方法である。
【0016】
上記本発明の一態様は、発光素子付き基板を減圧された処理室に配置し、発光素子の光取り出し領域に重なる発光素子の不良箇所を検出し、該処理室の壁面に設けられたレーザビームを透過する窓材と半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化する方法である。この方法によれば、封止部材を設ける前に発光素子付き基板に設けられた発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。または、不良箇所に近接して配置された半球状のレンズを用いて集光したレーザビームにより絶縁化する方法である。この方法によれば、高倍率の、焦点深度が浅い光学系を配置する必要がなく、作製装置の構造を簡略化できる。または、レーザ照射手段と不良箇所の間に半球状のレンズを配置してレーザビームを不良箇所に照射する方法である。この方法によれば、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがなく、メンテナンスの頻度を低減できる。
【0017】
また、本発明の一態様は、上述の発光デバイスの作製方法において、半球状のレンズの直径が0.2mm以上20mm以下であり、半値幅で定義されるビーム径が0.1mm以上半球状レンズの直径以下であって、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または1μJ/cm以上10mJ/cm以下であるレーザビームを照射するステップを有する、発光デバイスの作製方法である。
【0018】
上記本発明の一態様は、エネルギー密度が比較的低いレーザビームを半球状のレンズを用いて発光素子の不良箇所に集光し、該不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製する方法である。この方法によれば、比較的出力が小さいレーザを用いることができ、装置の原価を低減できる。または、比較的出力が小さく低廉なレーザを複数並べた構成のレーザ照射手段を用いることにより並列処理が可能になる。または、高いエネルギー密度のレーザビームを分岐して、エネルギー密度の低いレーザビームを複数生成して用いることにより、並列処理が可能になる。並列処理が可能になると、処理時間を短縮できる効果を奏する。
【0019】
また、本発明の一態様は、上述の発光デバイスの作製方法において、発光デバイスに設けられた発光素子の第1の電極と第2の電極に、電源から逆バイアスの電圧を供給しながら、半球状のレンズを介して不良箇所を検出するステップを有する、発光デバイスの作製方法である。
【0020】
上記本発明の一態様は、発光素子に逆バイアスを印加して、一対の電極が短絡した欠陥や潜在的な欠陥である不良箇所に電流を流して、該不良箇所を検出する発光デバイスの作製方法である。この方法によれば、発光素子の正常な部位には電流が流れにくく、不良箇所に電流が流れるため、不良箇所を容易に検出できる。または、半球レンズが不良箇所検出手段側に不良箇所が発する光を効率よく取り出すため、不良箇所の検出が容易になる。具体的には、不良箇所が発する近赤外線を、効率良く取り出すことができる。または、不良箇所を含む発光デバイスに順バイアスを印加して、該不良箇所に意図せず大電流を流してしまい、不良箇所を含む発光素子を破壊してしまう不具合や、不良箇所を含む発光素子に隣接する正常な発光素子、さらには発光デバイス全体を破壊してしまう不具合を防止できる。
【0021】
また、本発明の一態様は、レーザ照射手段が照射するレーザビームを透過する窓材が設けられた壁面により大気から隔離された内部に支持手段を備える処理室と、処理室の外部に、処理室の排気手段と、不良箇所検出手段と、レーザ照射手段と、電源と、制御手段と、封止部材形成手段と、を有し、支持手段は、発光素子付き基板に設けられた発光素子の光取り出し領域と重なる半球状のレンズを窓材に対峙する向きで、発光素子付き基板を支持することができ、不良箇所検出手段は、近赤外センサを備え、レーザ照射手段は、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または1μJ/cm以上10mJ/cm以下のレーザビームを射出し、制御手段は、第1の制御信号を電源に出力し、次いで第2の制御信号を不良箇所検出手段に出力し、電源は、第1の制御信号に応じて不良箇所検出用電位を出力し、不良箇所検出手段は、第2の制御信号に応じて支持手段が支持する基板が発する近赤外線を、近赤外センサを用いて検出し、その位置情報と共に画像信号を生成し、制御手段は、画像信号から抽出した不良箇所の位置情報を含む第3の制御信号をレーザ照射手段に出力し、レーザ照射手段は、第3の制御信号に応じて不良箇所にレーザビームを照射し、封止部材形成手段は、支持手段に支持される基板のレーザビームが入射する側とは反対側に封止部材を形成する発光デバイスの作製装置である。
【0022】
上記本発明の一態様は、排気手段を備え、大気から隔離された処理室の内部に、発光素子の光取り出し領域と重なる位置に半球状のレンズが設けられた発光素子付き基板を、該処理室の壁面に設けた窓材にその半球状レンズを対峙して支持する手段を有する。また、処理室の外部に不良箇所検出用電位(例えば逆バイアスの電位)を発光素子に出力する電源と、不良箇所を流れる電流に起因する近赤外線を検知でき、不良箇所の位置情報を含む画像を生成可能な近赤外センサを備える不良箇所検出手段と、レーザビームを不良箇所に照射することができるレーザ照射手段と、制御手段と、を有する。この構成によれば、封止部材を設ける前に発光素子付き基板に設けられた発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。また、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがないため、メンテナンスの頻度を低減できる。さらに、上記の構成に加えて封止部材形成手段を有する。この構成によれば、不良箇所を絶縁化したのちに、該絶縁化された箇所を覆う封止部材を形成できる。絶縁化された部位に直接封止部材を形成できるため、当該部位から発光素子に不純物が拡散する現象を抑制できる。
【0023】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を指すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、発光デバイスが備える発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製する方法を提供できる。または、発光デバイスを作製する装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係わる発光デバイスの構成を説明する図。
【図2】実施の形態に係わる発光デバイスの作製方法を説明する図。
【図3】実施の形態に係わる発光デバイスの作製方法を説明する図。
【図4】実施の形態に係わる発光デバイスの作製方法を説明する図。
【図5】実施の形態に係わる発光デバイスの作製装置を説明する図。
【図6】実施の形態に係わる発光デバイスの作製装置を説明する図。
【図7】実施の形態に係わる発光デバイスの作製方法を説明する図。
【図8】実施の形態に係わる発光デバイスの作製装置を説明する図。
【図9】実施の形態に係わる発光素子の構成を説明する図。
【図10】実施の形態に係わる発光素子の構成を説明する図。
【図11】実施の形態に係わる発光デバイスを用いた照明装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光素子付き基板を減圧された処理室に配置し、発光素子の不良箇所を検出し、該処理室の壁面に設けられた窓材と半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化し、その後封止部材を設けて発光デバイスを作製する方法について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0028】
本実施の形態で例示する方法を用いて作製される発光デバイスの構成の一例を、図1に示す。図1(A)は発光デバイス170の上面図であり、図1(A)の切断線Q−Rで切断した断面を図1(B)に示す。発光デバイス170は基板100に接する発光素子170a、発光素子170c並びに絶縁化された素子170dを有する。
【0029】
基板100は半球状のレンズ(例えば半球状のレンズ100a、100b、100c)と凹凸構造100dを有する。第1の電極101は基板100の凹凸構造100dの平坦な面に接して形成されている。
【0030】
半球状のレンズ100aを含む構造体、凹凸構造100d、並びに第1の電極101は、発光素子170aが発する光を透過する。大気に比べ半球状のレンズ100aを含む構造体の屈折率は大きく、半球状のレンズ100aを含む構造体に比べ凹凸構造100dの屈折率は大きく、凹凸構造100dと第1の電極の屈折率はおよそ等しい。このような構成とすることにより、発光素子170aおよび発光素子170cが発する光を効率よく大気に取り出すことができる。なぜなら、光が屈折率の高い媒体から低い媒体に進む界面に、凹凸構造や半球状のレンズが設けられているため、全反射を繰り返す条件を満たし難くなるためである。
【0031】
隔壁140は開口部を有し、且つ第1の電極101に接して設けられている。本実施の形態で例示する発光デバイス170は、隔壁140に設けられた複数の開口部と重なる第1の電極101と、第1の電極101と重なる第2の電極102と、第1の電極101と第2の電極102の間に設けられた発光性の有機化合物を含む層103を備える発光素子(例えば、発光素子170aと発光素子170c)を有する。
【0032】
また、絶縁化された素子170dは、後述するレーザビームが照射された発光素子であり、第1の電極101と第2の電極102は絶縁化されている。
【0033】
発光素子170a、発光素子170c並びに絶縁化された素子170dは、いずれも封止部材104が形成されている。
【0034】
次に、発光デバイスの作製方法について図2及び図3を用いて説明する。
【0035】
<発光素子付き基板を形成する第1のステップ>
半球状のレンズ100aを含み、底面に凹凸が形成された構造体を、射出成型法等を用いて成型する。半球状のレンズ100aを含む構造体に用いることができる材料としては、後に形成する発光素子が発する光を70%以上100%未満透過する材料であれば良く、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネイトなどを挙げることができる。なお、屈折率が1.4以上1.7以下の材料を用いると、半球状のレンズの原価を低減できるため好ましい。
【0036】
次いで、凹凸構造100dを、半球状のレンズ100aの底面に形成された凹凸構造に接して形成する。凹凸構造100dに用いることができる材料としては、後に形成する発光素子が発する光を70%以上100%未満透過し、且つ屈折率が半球状のレンズ100aより大きく、具体的には1.6以上2.3以下である材料が好ましく、例えば、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。
【0037】
また、有機樹脂を用いて凹凸構造を形成する場合には、凹凸構造100dと第1の電極101の間に、25μm以上100μm以下の厚さのガラス層を用いても良い。ガラス層の厚さは、代表的には、45μm以上80μm以下である。有機樹脂基板とガラス層とを組み合わせることで水分又は不純物等が発光デバイスの外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを抑制することができ、かつ発光デバイスの軽量化を実現することができる。特に、屈折率が1.6以上2.3以下のものが、光の取り出し効率を損なう事がないため好ましい。
【0038】
次に、第1の電極101となる導電膜を、凹凸構造100dの平坦な面に成膜する。該導電膜は、後に形成する発光素子が発する光を70%以上100%未満透過する材料であれば良く、例えば酸化インジウム、インジウムおよびスズの複合酸化物(ITO)、インジウムおよび亜鉛の複合酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。また、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を、透光性を有する程度に薄くして用いてもよい。次いで、レジストマスクを用いて該導電膜から第1の電極101を形成する。また、該導電膜で発光素子の第1の電極と接続する第1の端子171および第2の電極と接続する第2の端子172を形成する。
【0039】
次いで、開口部を有する隔壁140を、第1の電極上に半球状のレンズと重なる位置に形成する。隔壁140は絶縁性であればよく、例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾールなどの耐熱性高分子、又はシロキサン材料を用いることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いることもできる。ベンゾシクロブテン、パリレン、ポリイミドなどの有機材料、重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。なお、作製法としては、CVD法、スパッタリング法、液滴吐出法、ディスペンサ法、印刷法等を用いることができる。また、スピンコート法で得られる薄膜なども用いることができる。また、開口端において隔壁140は第1の電極101の表面に対して10度以上60度未満、好ましくは25度以上45度以下の傾斜角度を有することが好ましい。さらには、湾曲していることが好ましい。このような角度で接すると第1の電極と第2の電極が短絡する不具合を防止することができる。なお、隔壁の開口部は後に形成される発光素子の有機化合物が発する光を透過する光取り出し領域と重なる(図2(A)参照)。
【0040】
隔壁の変形例としては、第1の電極上に第1の隔壁を形成し、第1の隔壁上に第1の隔壁より幅が狭い逆テーパ型の第2の隔壁を設ける構成としてもよい。逆テーパ型の第2の隔壁を設ける構成とすることで、隣接する発光素子に第2の電極を分離して設けることができる。また、第1の隔壁の幅より第2の隔壁の幅を狭くすることにより、分離された第2の電極の端部が第1の電極と短絡する不具合を防止できる。
【0041】
なお、図2には、第1の電極101に導電性の異物であるパーティクル150が接している様子が模式的に示されている。
【0042】
次に、発光素子を形成する。第1の電極101上に発光性の有機化合物を含む層103を成膜し、次いで第2の電極102を成膜する。発光性の有機化合物を含む層103は真空蒸着法やスピンコート法などを適宜用いて形成することができる。また、第2の電極102は真空蒸着法やスパッタリング法などを適宜用いて形成することができる。
【0043】
以上の工程を経て、発光素子170aを備える発光素子付き基板173が形成できる。なお、第1の電極101と第2の電極102の間に導電性のパーティクル150があるため、発光素子付き基板173は不良箇所を含む素子170bを備える(図2(B)参照)。
【0044】
<不良箇所を検出する第2のステップ>
発光素子付き基板の不良箇所を、不良箇所検出手段を用いて検出する方法について、図2(C)を用いて説明する。
【0045】
搬送ロボット等を用いて、作製された発光素子付き基板173を処理室40に搬送し、支持手段45に該発光素子付き基板173を固定する。なお、支持手段45は発光素子付き基板173を、発光素子付き基板173の半球状のレンズを処理室40の壁面に設けられた窓材41に向けて支持する。
【0046】
なお、処理室40は排気された状態が好ましい。処理室40を排気する方法としては、図2(C)に示されていない減圧手段を用いれば良く、排気手段としてはターボポンプやクライオポンプなどを用いることができる。特に、大気圧より減圧された環境でレーザビームを照射する方法が好ましい。減圧された環境では発光素子を構成する材料が気化し易く、不良箇所を容易に発光素子付き基板から除去できるためである。
【0047】
または、処理室40に乾燥した不活性ガスを充填してもよい。発光素子付き基板173には封止部材が設けられていないため、発光素子が信頼性を損なわないように、乾燥した環境で取り扱う必要がある。乾燥した不活性ガスとしては露点−70℃以下の窒素ガス、希ガス(代表的にはアルゴンガス)などを用いることができる。
【0048】
また、発光素子付き基板173と電源60を電気的に接続する。例えば、発光素子付き基板173の第1の端子171と電気的に接続する接点と、第2の端子172と電気的に接続する接点を、支持手段45に設ける構成とし、該接点を介して発光素子付き基板173と電源60を接続する。
【0049】
次に、制御手段50は、第1の制御信号を電源60に出力し、電源60は第1の制御信号に応じて発光素子付き基板173の第1の端子171と第2の端子172に不良箇所検出用電位を出力する。
【0050】
なお、不良箇所検出用電位は、不良箇所を検出可能な電位であって、発光素子を破壊しない電位である。例えば、発光素子付き基板173に形成された発光素子の第1の電極と第2の電極に、逆バイアス方向の電圧を次第に大きくなるように印加してもよい。正常な発光素子に印加しても破壊しない程度の逆バイアス方向の電圧を、第1の電極と第2の電極が短絡した欠陥や潜在的な欠陥を含む素子に印加すると、該不良箇所に電流が流れて近赤外線を発する。
【0051】
次いで、制御手段50は第2の制御信号を不良箇所検出手段80に出力し、不良箇所検出手段80は第2の制御信号に応じて支持手段45が支持する発光素子付き基板173が発する近赤外線を検知し、その位置情報と共に画像信号を生成する。
【0052】
図2(C)に例示する不良箇所検出手段80は、近赤外センサ82a、近赤外センサ82bを含む複数の近赤外センサをライン状に備えるラインセンサ82と駆動装置81を備え、不良箇所が発する近赤外線とその位置情報から画像情報を生成する。なお、不良箇所検出手段80はこの構成に限らず、ラインセンサの代わりにセンサをマトリクス状に配置したエリアセンサであっても、単一のセンサを走査して用いる構成であってもよい。
【0053】
また、近赤外センサに限らず、可視光センサを用いることもできる。可視光センサを用いる場合は、例えば、発光素子が破壊しない程度の順バイアス方向の電圧を発光素子に印加して、異常な発光から不良箇所を検出する構成とすることもできる。
【0054】
<絶縁化する第3のステップ>
不良箇所を選択的に絶縁化する方法について、図3(A)を用いて説明する。
【0055】
制御手段50は不良箇所の位置情報を、不良箇所検出手段80が生成した画像から抽出する。制御手段50は不良箇所の位置情報を含む第3の制御信号をレーザビーム照射手段90に出力する。
【0056】
レーザビーム照射手段90は、制御装置91、レーザ92、ミラー93及びミラー移動手段94を有する。制御装置91はレーザ92及びミラー移動手段94を制御する。ミラー移動手段94は図示されていない直線送り機構を用いてミラー93を図3(A)中の矢印方向に移動可能にしている。
【0057】
次に、制御装置91は、第3の制御信号に含まれる不良箇所の位置情報に従い、不良箇所にレーザビームが照射されるようにミラー移動手段94を制御する。制御装置91は、ミラー93が移動を完了した後にレーザ92を用いて不良箇所にレーザビームを照射する。なお、図3(A)に示すレーザビーム照射手段90は、導電性のパーティクル150による不良箇所を含む素子の直上にミラー93を移動し、レーザビームを照射している。
【0058】
レーザビーム照射手段90から射出されたレーザビームは処理室40の壁面に設けられた窓材41を透過し、発光素子付き基板173に設けられた半球状のレンズに到達する。
【0059】
なお、発光素子付き基板が備える半球状のレンズの直径は0.2mm以上20mm以下が好ましい。0.2mm未満では光の取り出し効率を高める効果が小さく、20mmより大きいと半球レンズの体積が大きくなり、原材料費が高くなる、または重量が重くなるためである。
【0060】
レーザビームは半球状のレンズにより集光され、半球レンズと重なる発光素子はエネルギー密度が高められたレーザビームが照射される。エネルギー密度が高められたレーザビームが照射された発光素子の第1の電極、発光性の有機化合物を含む層、並びに第2の電極はそのエネルギーを吸収して、温度が上昇し、素子構造の破壊がおこり絶縁化される。
【0061】
レーザビーム照射手段90が照射するレーザビームは、被照射面である半球レンズの表面において半値幅で定義されるビーム径が0.1mm以上半球状レンズの直径以下であって、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または、1μJ/cm以上10mJ/cm以下である。このような、レーザビームを用いると、発光素子付き基板173の半球状のレンズおよび処理室40の壁面に設けられた窓材41に損傷を与えることなく、不良箇所を絶縁化できる。
【0062】
上記の工程を経て、同一の基板100上に不良箇所が絶縁化された素子170d並びに発光素子170a及び発光素子170cを備える発光素子付き基板173が形成される。なお、図3(A)には、不良箇所を含む素子の発光性の有機化合物を含む層と第2の電極のすべてを除去する場合を示すが、不良箇所を含むように一部分のみを除去してもよい。
【0063】
<封止する部材を設ける第4のステップ>
不良箇所が絶縁化された発光素子を発光素子付き基板と封止部材との間に封止する方法について、図3(B)を用いて説明する。不良箇所が絶縁化された素子170d並びに発光素子170a及び発光素子170cを備える発光素子付き基板173の第2の電極102上に封止部材104を形成して封止する。
【0064】
封止部材104としては、例えば、無機絶縁膜をスパッタリング法で形成することができる。例えば、窒化珪素膜、酸化アルミニウム膜、酸化珪素膜などを形成すれば良い。
【0065】
封止部材104は、例えば10−6g/m・day以下程度のガスバリア性を備えるものが好ましい。また、封止部材104の構成としては、例えば無機物を含む層を少なくとも一層、有機物を含む層の間に挟んで積層したものを用いることができる。有機物を含む層としては、例えばエポキシ系などの接着材層を一例として挙げることができ、無機物を含む層としては酸化珪素、窒化珪素などバリア性を有する膜を一例として挙げることができる。
【0066】
本実施形態で例示する封止部材104は、膜状の封止部材である。具体的には支持体となるフィルムに数十μmの厚みで熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系接着剤)を塗布して乾燥し、その上に数μmの無機膜(例えば、酸化珪素膜)を成膜した第1の部材に、離型フィルムに熱硬化性のエポキシを塗布して乾燥した第2の部材を貼り合わせて積層体を構成する。次いで、離型フィルムを剥がした該積層体の表面を上述の発光素子の第2の電極102に向かい合わせて貼り合わせ、熱圧着したのちエポキシ樹脂を熱硬化すればよい。このような構成とすることで発光素子の劣化を軽減し、発光デバイスの耐久性や寿命を向上させることができる。
【0067】
<発光素子付き基板を作製する第1のステップの変形例>
上述の方法においては、あらかじめ半球状のレンズと凹凸構造が形成された基板上に発光素子を形成したが、本発明の一態様はこれに限定されない。ここでは、発光素子付き基板の作製方法の変形例として、平坦な基板上に発光素子を形成し、その発光素子に重ねて、半球状のレンズを設ける方法について図8を用いて説明する。
【0068】
基板300eは平坦な表面を備え、後に形成する発光素子が発する光を70%以上100%未満透過する材料であれば良く、例えばガラス、プラスチックなどを挙げることができる。
【0069】
次に、第1の電極301となる導電膜を、基板300eの一方の面に成膜する。該導電膜としては、本実施の形態で説明した発光素子付き基板173の第1の電極101に用いた導電膜と同様の材料が適用できる。次いで、レジストマスクを用いて該導電膜から第1の電極301を形成する。また、該導電膜で発光素子の第1の電極と接続する第1の端子371および第2の電極と接続する第2の端子372を形成する。
【0070】
次いで、開口部を有する隔壁340を、第1の電極301上に形成する。隔壁340は本実施の形態で説明した発光素子付き基板173の隔壁140に用いた材料と同様の材料および方法が適用できる。隔壁の開口部は後に形成される発光素子の有機化合物が発する光を透過する光取り出し領域と重なる(図8(A)参照)。
【0071】
なお、図8には、第1の電極301に導電性のパーティクル350が接している様子が模式的に示されている。
【0072】
次に、発光素子を形成する。第1の電極301上に発光性の有機化合物を含む層303を成膜し、次いで第2の電極302を本実施の形態で説明した発光素子と同様の材料および方法を用いて形成する(図8(B)参照)。
【0073】
次いで、基板300eの発光素子を形成した面とは逆側の面に、半球状のレンズ300aを含み、底面に凹凸構造300dが形成された構造体を貼り合わせる。半球状のレンズ300aとしては、本実施の形態で説明した発光素子付き基板173の半球状のレンズ100aと同様のものを適用できる。また、凹凸構造300dとしては、本実施の形態で説明した発光素子付き基板173の凹凸構造100dと同様のものを適用できる。
【0074】
以上の工程を経て、発光素子370aを備える発光素子付き基板373が形成できる。なお、第1の電極301と第2の電極302の間に導電性のパーティクル350があるため、発光素子付き基板373は不良箇所を含む素子370bを備える(図8(C)参照)。
【0075】
本実施の形態で例示した発光デバイスの作製方法は、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光素子付き基板を減圧された処理室に配置し、発光素子の不良箇所を検出し、該処理室の壁面に設けられたレーザビームを透過する窓材と半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化する方法である。この方法によれば、封止部材を設ける前に発光素子付き基板に設けられた発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。または、不良箇所に近接して配置された半球状のレンズをレーザビームの集光に用いる方法である。この方法によれば、高倍率の、焦点深度が浅い光学系を配置する必要がなく、作製装置の構造を簡略化できる。または、レーザ照射手段と不良箇所の間に半球状のレンズを配置してレーザビームを不良箇所に照射する方法である。この方法によれば、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがなく、メンテナンスの頻度を低減できる。また、半球状のレンズを備えているため、発光を効率よく取り出せる。
【0076】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態では、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光デバイスに生じた不良箇所を検出し、半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化し、その後封止部材を設けて発光デバイスを形成する方法について図4を参照して説明する。
【0078】
本実施の形態で例示する方法を用いて作製される発光デバイスの構成の断面の一例を、図4に示す。発光デバイス270は基板100に接する発光素子170a、発光素子170c並びに絶縁化された素子170dを備える発光素子付き基板173と、発光素子170a、発光素子170cを含む複数の発光素子を内包する空間208を大気から隔てる板状の封止部材204を有する。すなわち、実施の形態1で説明した発光デバイス170とは、空間208を大気から隔てる板状の封止部材204を用いる以外は同じ構成を有する。
【0079】
次に、発光デバイス270の作製方法の一例について説明する。
【0080】
<発光素子付き基板を形成する第1のステップ>
実施の形態1で説明した方法を用いて発光素子付き基板173を形成する。なお、第1の電極101と第2の電極の間に導電性のパーティクルがあるため、発光素子付き基板173は不良箇所を含む素子を備える。
【0081】
<封止する部材を設ける第2のステップ>
次いで、発光素子付き基板173に封止部材204を貼り合わせて、発光素子170a、発光素子170cを含む複数の発光素子を内包する空間208を形成する。
【0082】
封止部材204としては、発光素子の信頼性を損なう不純物(例えば水分など)に対するガスバリア性を備えるものを用いる。具体的には、ガラス、金属、ガスバリア性を有する無機膜を被覆または積層したプラスチック、またはこれらを組み合わせた複合材料などを用いることができる。本実施の形態では、封止部材204として凹部を形成したガラス板を用い、凹部を囲んで塗布されたシール材206を用いて、発光素子付き基板173に封止部材204を貼り合わせて、複数の発光素子を内包する空間208を形成する。
【0083】
以上の工程を経て、発光デバイスを形成できる。なお、第1の電極と第2の電極の間に導電性のパーティクルがあるため、発光デバイスは不良箇所を含む。
【0084】
<不良箇所を検出する第3のステップ>
発光デバイスの不良箇所を、不良箇所検出手段を用いて検出する。発光デバイスの不良箇所は、実施の形態1で説明した方法を適用して検出すればよい。なお、本実施の形態においては、処理室を大気圧より減圧された環境、または乾燥した不活性ガスで満たした環境にする必要はない。なぜなら、発光デバイスが備える発光素子は、封止部材204により保護されているからである。
【0085】
<絶縁化する第4のステップ>
不良箇所を選択的に絶縁化する方法について説明する。不良箇所は実施の形態1で説明した方法を適用して絶縁化すればよい。なお、本実施の形態においては、処理室を大気圧より減圧された環境、または乾燥した不活性ガスで満たした環境にする必要はない。なぜなら、発光デバイスが備える発光素子は、封止部材204により保護されているからである。
【0086】
なお、発光素子付き基板が備える半球状のレンズの直径は0.2mm以上20mm以下が好ましい。
【0087】
半球状のレンズによりエネルギー密度が高められたレーザビームが照射された発光素子は、絶縁化される。
【0088】
レーザビーム照射手段が照射するレーザビームは、被照射面である半球レンズの表面において半値幅で定義されるビーム径が0.1mm以上半球状レンズの直径以下であって、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または、1μJ/cm以上10mJ/cm以下である。このような、レーザビームを用いると、発光素子付き基板173の半球状のレンズに損傷を与えることなく、不良箇所を絶縁化できる。
【0089】
上記の工程を経て、同一の基板100上に不良箇所が絶縁化された素子170d並びに発光素子170a及び発光素子170cを備える発光デバイス270が形成される。
【0090】
なお、本実施の形態では、発光素子の発光を第1の電極、基板、並びに半球状のレンズを介して取り出す構成を備えた発光デバイスの作製方法について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、基板に接して設けられた第1の電極に重なる第2の電極から、発光素子の発光を取り出す構成を備える発光デバイスであってもよい。例えば、そのような構成の発光素子、所謂トップエミッション型(または、上面射出型)の発光素子を備える発光デバイスにも本発明の一態様を適用することもできる。具体的には、第2の電極に発光素子の発光を透過する領域を設けて発光素子を作製する第1のステップと、第2の電極の側に発光素子を覆う封止部材を形成する第2のステップと、該発光を透過する領域に重ねて第2の電極側に半球状のレンズを形成する第3のステップと、不良箇所を検出する第4のステップと、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化する第5のステップと、有する発光デバイスの作製方法も、本発明の一態様に含まれる。
【0091】
上記本発明の一態様は、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光デバイスの不良箇所に、半球状のレンズを介してレーザビームを照射して絶縁化する方法である。この方法によれば、発光デバイスが備える発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。または、不良箇所に近接して配置された半球状のレンズをレーザビームの集光に用いる方法である。この方法によれば、高倍率の、焦点深度が浅い光学系を配置する必要がなく、作製装置の構造を簡略化できる。または、レーザ照射手段と不良箇所の間に半球状のレンズを配置してレーザビームを不良箇所に照射する方法である。この方法によれば、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがなく、メンテナンスの頻度を低減できる。
【0092】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0093】
(実施の形態3)
本実施の形態では、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光素子付き基板を減圧された処理室に配置し、発光素子の不良箇所を検出し、該処理室の壁面に設けられた窓材と半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化し、その後封止部材を設けて発光デバイスを形成する発光デバイスの作製装置について、図5、及び図6を参照して説明する。
【0094】
本実施の形態で例示する発光デバイスの作製装置を図5に示す。発光デバイスの作製装置400は、前処理部412、第1の蒸着室413、第2の蒸着室414、第3の蒸着室415、第4の蒸着室416、第5の蒸着室417、第6の蒸着室418、不良箇所処理室419及び後処理部420を備える。なお、第1の蒸着室413、第2の蒸着室414、第3の蒸着室415、第4の蒸着室416、および第5の蒸着室417は基板の進行方向と交差する方向に長軸を有する線状蒸着源を備える。
【0095】
前処理部412はローダ部412aと前処理室412bを備える。ローダ部412aは大気圧で搬入される複数の基板を蓄え、図5に示されていない排気手段により蒸着可能な圧力まで減圧するための部屋である。前処理室412bでは、前処理により基板に付着した不純物を除去する。前処理としては、例えば真空加熱処理やUV照射処理などをその例に挙げることができる。
【0096】
後処理部420は受け渡し室420a、封止室420b及びアンローダ部420cを備える。受け渡し室420aは、減圧された環境に置かれている発光素子付き基板を大気圧環境下に移送するための部屋であり、図5に示されていない排気手段と受け渡し室420aに高純度の不活性ガスを充填する手段を有する。封止室420bは発光素子付き基板に封止部材を設ける部屋であり、封止部材は発光素子および絶縁化された発光素子を大気から保護する。
【0097】
第1の蒸着室413から第5の蒸着室417はいずれも線状蒸着源を備える。また、第6の蒸着室418は線状の蒸着源またはポイントソース型の蒸着源を備えていても、スパッタリング方式の成膜装置を備えていてもよい。
【0098】
線状蒸着源は蒸着材料を加熱して気化する蒸着源であり、蒸着材料は一方向に拡がって分布する。本実施の形態で例示する蒸着源は、その長手方向が基板の搬送方向に直交し、基板の幅(基板の搬送方向と直交する方向の基板の長さ)以上の長さを備える。このような構成の蒸着源に基板をかざしながら一方向に搬送することにより、基板の全面に蒸着膜を形成できる。
【0099】
なお、それぞれの蒸着室は緩衝部を備え、緩衝部を介して隣接する蒸着室と接続されている。緩衝部を設けることにより、蒸着中の膜に隣接する蒸着室から飛来する蒸着物質が混入してしまう現象を防ぐことができる。なお、それぞれの蒸着室は、図5に示されていない基板の搬送手段と排気手段を備える。
【0100】
不良箇所処理室419の構成の詳細を、側面図(図6)を用いて説明する。不良箇所処理室419は発光デバイスの作製装置400の一部である。不良箇所処理室419は窓材541が設けられた窓部を壁面に備え、支持手段545を内部に備える。また、不良箇所処理室419の外には、電源560と、不良箇所検出手段580と、レーザビーム照射手段590と、制御手段550とを備える。
【0101】
支持手段545は紙面の左右方向だけでなく、鉛直な方向にも拡がる発光素子付き基板573を支持し、且つ発光素子付き基板573を少なくとも紙面の左右方向並びに紙面の鉛直方向に移動する。
【0102】
電源560は発光素子付き基板573に不良箇所検出用電位を出力する。不良箇所検出手段580は近赤外センサ582を備え、発光素子付き基板573の不良箇所を検出する。レーザビーム照射手段590は制御装置591とレーザ592とハーフミラー593を備え、不良箇所検出手段580により検出された発光素子付き基板573の不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化する。制御手段550は支持手段545、電源560、不良箇所検出手段580及びレーザビーム照射手段590に制御信号を出力する。
【0103】
本実施形態で例示する不良箇所検出手段580は固定されており、支持手段545を用いて発光素子付き基板573を移動させる構成となっている。また、ハーフミラー593を介して、不良箇所検出手段580はレーザビーム照射手段590と光軸を一致する構成を備え、不良箇所の検出と絶縁化を連続して行うこともできる。
【0104】
本実施の形態で用いるレーザ592は、発光素子の支持体もしくは封止膜または封止基板に吸収されない波長のレーザ光を選択して用いる。例えば、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、上記固体レーザから発振される第2高調波や第3高調波、さらに高次の高調波を用いることもできる。なお、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、レーザ光の出力が比較的に安定している利点を有している。また、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒等の短時間のパルスレーザが本工程に適している。短時間のパルスレーザを用いると、多光子吸収現象を引き起こす高密度のエネルギーを発光素子の異常発光する部位に与えることができる。
【0105】
本実施形態で例示するレーザビームは、被照射面である半球レンズの表面において半値幅で定義されるビーム径が0.1mm以上半球状レンズの直径以下であって、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または、1μJ/cm以上10mJ/cm以下である。このような、レーザビームを用いると、発光素子付き基板573の半球状のレンズおよび処理室540の壁面に設けられた窓材541に損傷を与えることなく、不良箇所を絶縁化できる。
【0106】
なお、レーザビーム照射手段590が照射するレーザビームは平行光に限らない。例えば図7(A)に示すように、半値幅がレーザビームの進行方向において次第に狭くなる(R1>R2)収束光であってもよい。また、図7(B)に示すように、半球状のレンズを設けた発光素子付き基板に対しθの傾きをもって照射する構成としてもよい。傾きをもってレーザビームを照射することにより、発光素子の絶縁化する位置を調整できる。
【0107】
上記本発明の一態様は、排気手段を備え、大気から隔離された処理室の内部に、発光素子の光取り出し領域と重なる位置に半球状のレンズが設けられた発光素子付き基板を、該処理室の壁面に設けた窓材にその半球状レンズを対峙して支持する手段を有する。また、処理室の外部に不良箇所検出用電位(例えば逆バイアスの電位)を発光素子に出力する電源と、不良箇所を流れる電流に起因する近赤外線を検知でき、不良箇所の位置情報を含む画像を生成可能な近赤外センサを備える不良箇所検出手段と、レーザビームを不良箇所に照射することができるレーザ照射手段と、制御手段と、を有する。この構成によれば、封止部材を設ける前に発光素子付き基板に設けられた発光素子の不良箇所を絶縁化して、発光デバイスを作製できる。また、被照射面からの蒸発物がレーザ照射手段を汚染することがないため、メンテナンスの頻度を低減できる。さらに、上記の構成に加えて封止部材形成手段を有する。この構成によれば、不良箇所を絶縁化したのちに、該絶縁化された箇所を覆う封止部材を形成できる。絶縁化された部位に直接封止部材を形成できるため、当該部位から発光素子に不純物が拡散する現象を抑制できる。
【0108】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0109】
(実施の形態4)
本実施の形態では、発光素子とその光取り出し領域に重なる半球状のレンズを備える発光素子付き基板を処理室に配置し、発光素子の不良箇所を検出し、該処理室の壁面に設けられた窓材と半球状のレンズを介して、該不良箇所にレーザビームを照射して絶縁化して発光デバイスを形成する方法を適用できる発光素子の構成の一例について図9及び図10を参照して説明する。
【0110】
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。本実施の形態では、基板上に形成された第1の電極は陽極として機能し、第2の電極が陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0111】
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を図9(A)に示す。図9(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟まれている。
【0112】
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層1103に陽極1101の側からホールが注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子とホールはEL層1103において再結合し、EL層1103に含まれる発光物質が発光する。
【0113】
EL層1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えばホール注入性の高い物質、ホール輸送性の高い物質、ホール輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及びホールの輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
【0114】
EL層1103の具体的な構成の一例を図9(B)に示す。図9(B)に示すEL層1103は、ホール注入層1113、ホール輸送層1114、発光層1115、電子輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側からこの順に積層されている。
【0115】
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を図9(C)に示す。図9(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟まれている。さらに、陰極1102とEL層1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2のEL層1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
【0116】
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
【0117】
中間層1104における電子とホールの挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、ホールと電子が発生し、ホールは陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aはEL層1103に電子を注入する障壁を緩和し、EL層1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、EL層1103のLUMO準位に注入される。
【0118】
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
【0119】
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を図10(A)に示す。図10(A)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層が2つ設けられている。さらに、EL層1103aと、EL層1103bとの間には中間層1104が設けられている。
【0120】
なお、陽極と陰極の間に設けるEL層は2つに限定されない。図10(B)に例示する発光素子は、EL層1103が複数積層された構造、所謂、積層型素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層のEL層1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
【0121】
また、当該発光素子の構成例3のEL層1103aとEL層1103bには、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
【0122】
EL層の間に設けられた中間層1104における電子とホールの挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104においてホールと電子が発生し、ホールは陰極1102側に設けられたEL層へ移動し、電子は陽極1101側に設けられたEL層へ移動する。陰極側に設けられたEL層に注入されたホールは、陰極側から注入された電子と再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられたEL層に注入された電子は、陽極側から注入されたホールと再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。よって、中間層1104において発生したホールと電子は、それぞれ異なるEL層において発光に至る。
【0123】
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、EL層同士を接して設けることができる。具体的には、EL層の一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、EL層同士を接して設けることができる。
【0124】
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極とEL層の間に中間層を設けることもできる。
【0125】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスを用いて完成させた照明装置の一例について、図11を用いて説明する。
【0126】
本発明の一態様では、発光部が曲面を有する照明装置を実現することもできる。
【0127】
本発明の一態様は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、天井等に照明を容易に設置することもできる。
【0128】
図11(A)では、本発明の一態様を適用した、室内の天井に設ける照明装置901、壁面に設ける照明装置904及び卓上照明器具903を示す。発光デバイスは大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。
【0129】
図11(B)に別の照明装置の例を示す。図11(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の発光デバイスを含む。このように、本発明の一態様では、曲面を有する照明装置を実現することができる。
【0130】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0131】
40 処理室
41 窓材
45 支持手段
50 制御手段
60 電源
80 不良箇所検出手段
81 駆動装置
82 ラインセンサ
82a 近赤外センサ
82b 近赤外センサ
90 レーザビーム照射手段
91 制御装置
92 レーザ
93 ミラー
94 ミラー移動手段
100 基板
100a レンズ
100d 凹凸構造
101 第1の電極
102 第2の電極
103 発光性の有機化合物を含む層
104 封止部材
140 隔壁
150 パーティクル
170 発光デバイス
170a 発光素子
170b 素子
170c 発光素子
170d 素子
171 端子
172 端子
173 基板
204 封止部材
206 シール材
208 空間
270 発光デバイス
300a レンズ
300d 凹凸構造
300e 基板
301 第1の電極
302 第2の電極
303 発光性の有機化合物を含む層
340 隔壁
350 パーティクル
370a 発光素子
370b 素子
371 端子
372 端子
373 基板
400 作製装置
412 前処理部
412a ローダ部
412b 前処理室
413 蒸着室
414 蒸着室
415 蒸着室
416 蒸着室
417 蒸着室
418 蒸着室
419 不良箇所処理室
420 後処理部
420a 受け渡し室
420b 封止室
420c アンローダ部
540 処理室
541 窓材
545 支持手段
550 制御手段
560 電源
573 基板
580 不良箇所検出手段
582 近赤外センサ
590 レーザビーム照射手段
591 制御装置
592 レーザ
593 ハーフミラー
901 照明装置
903 卓上照明器具
904 照明装置
1101 陽極
1102 陰極
1103 EL層
1103a EL層
1103b EL層
1104 中間層
1104a 電子注入バッファー
1104b 電子リレー層
1104c 電荷発生領域
1113 ホール注入層
1114 ホール輸送層
1115 発光層
1116 電子輸送層
1117 電子注入層
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を、一方に半球状のレンズが設けられた基板の他方に、前記半球状レンズに前記透光性の電極を合わせて形成する第1のステップと、
前記発光素子を覆う封止部材を形成する第2のステップと、
前記発光素子に検査用の電力を供給しながら、前記発光素子の不良箇所を検出する第3のステップと、
前記不良箇所が検出された場合に、前記半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、前記不良箇所を絶縁化する第4のステップと、を有する発光デバイスの作製方法。
【請求項2】
少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を形成する第1のステップと、
前記発光素子を覆う封止部材を形成する第2のステップと、
前記発光素子の前記透光性の電極が設けられた側に、前記発光性の有機化合物が設けられた領域に合わせて半球状のレンズを形成する第3のステップと、
前記発光素子に検査用の電力を供給しながら、前記発光素子の不良箇所を検出する第4のステップと、
前記不良箇所が検出された場合に、前記半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、前記不良箇所を絶縁化する第5のステップと、を有する発光デバイスの作製方法。
【請求項3】
少なくとも一方が透光性の電極である一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を、一方に半球状のレンズが設けられた基板の他方に、前記半球状レンズに前記透光性の電極を合わせて形成する第1のステップと、
前記発光素子に検査用の電力を供給しながら、前記発光素子の不良箇所を検出する第2のステップと、
前記不良箇所が検出された場合に、減圧された処理室において前記半球状レンズを通して、レーザビームを照射して、前記不良箇所を絶縁化する第3のステップと、
前記不良箇所が絶縁化された前記発光素子を覆う封止部材を設ける第4のステップと、を有する発光デバイスの作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光デバイスの作製方法において、
前記半球状レンズの直径は0.2mm以上20mm以下であり、
半値幅で定義されるビーム径が0.1mm以上、且つ前記半球状レンズの直径以下であって、
エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または1μJ/cm以上10mJ/cm以下であるレーザビームを前記半球状のレンズに照射するステップを有する、発光デバイスの作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光デバイスの作製方法において、
前記発光デバイスに設けられた前記発光素子の第1の電極と第2の電極に、電源から逆バイアスの電圧を供給しながら、
前記半球状のレンズを介して前記不良箇所を検出するステップを有する発光デバイスの作製方法。
【請求項6】
レーザ照射手段が照射するレーザビームを透過する窓材が設けられた壁面により大気から隔離された内部に支持手段を備える処理室と、
前記処理室の外部に、前記処理室の排気手段と、不良箇所検出手段と、前記レーザ照射手段と、電源と、制御手段と、封止部材形成手段と、を有し、
前記支持手段は、発光素子付き基板に設けられた前記発光素子の光取り出し領域と重なる半球状のレンズを前記窓材に対峙する向きで、前記発光素子付き基板を支持することができ、
前記不良箇所検出手段は、近赤外センサを備え、
前記レーザ照射手段は、エネルギー密度が1kW/cm以上10MW/cm以下、または1μJ/cm以上10mJ/cm以下のレーザビームを射出し、
前記制御手段は、第1の制御信号を前記電源に出力し、次いで第2の制御信号を前記不良箇所検出手段に出力し、
前記電源は、前記第1の制御信号に応じて不良箇所検出用電位を出力し、
前記不良箇所検出手段は、前記第2の制御信号に応じて前記支持手段が支持する前記基板が発する近赤外線を、前記近赤外センサを用いて検出し、その位置情報と共に画像信号を生成し、
前記制御手段は、前記画像信号から抽出した前記不良箇所の位置情報を含む第3の制御信号を前記レーザ照射手段に出力し、
前記レーザ照射手段は、前記第3の制御信号に応じて前記不良箇所にレーザビームを照射し、
前記封止部材形成手段は、前記支持手段に支持される前記基板の前記レーザビームが入射する側とは反対側に封止部材を形成する発光デバイスの作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−178341(P2012−178341A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16885(P2012−16885)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】