説明

発光素子及び表示装置

【課題】高い光取り出し効率を有する発光素子を提供することを課題とする。また、高輝度化、低消費電力化が図られた発光素子及び表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】対向する第1の電極と第2の電極との間に発光層を有している発光素子である。また、少なくとも第1の電極と発光層との間に誘電体層を有し、当該誘電体層には光散乱微粒子が分散されている。発光層にて発光した光は、第1の電極から外部へ取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーの印加によって発光を行う発光素子及び当該発光素子を備える表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイを代表とするフラットパネルディスプレイの改善が進み、映像品位の向上、低消費電力化、長寿命化等が図られてきている。しかしながら、液晶ディスプレイに使用される液晶には自発光性はなく、一対の基板間に液晶層を構成し、一対の基板の片側から光源(バックライト)を当て、光源からの光を液晶にて透過或いは遮断の制御を行うことにより映像を得ている。そのため、液晶本来の制御に加え、付設する別光源を使用するため、大きな電気エネルギーが必要となる。
【0003】
そこで、自発光型の発光素子の1つとしてエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)素子(以下、EL素子という)が注目を浴びてきている。EL素子には、自発光性の他にも薄く軽量などの利点もあり、研究が進められている。前記の液晶ディスプレイでは、カラー化を果たすに当たり、カラーフィルターと呼ばれる、色変換層を液晶層表面に付設する必要がある。一方、EL素子では、個々の材料によって、赤、緑、青などの種々の発光を示すことができる。そのため、液晶ディスプレイではカラーフィルターによって光源からの光が減衰するのに対し、EL素子ではカラーフィルターを用いることなく容易にフルカラー化を達成できると言う利点が存在する。
【0004】
また、発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機発光素子、後者は無機発光素子と呼ばれている。さらに、無機発光素子は、その素子構成により、薄膜型無機発光素子と分散型無機発光素子とに分類される。前者は発光材料の薄膜からなる発光層を有し、後者は粒子状の発光材料をバインダ中に分散させた発光層を有している点に違いがある。なお、両者の発光素子とも得られる発光のメカニズムは、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、薄膜型無機発光素子では局在型発光、分散型無機発光素子ではドナー−アクセプター再結合型発光である場合が多い。
【0005】
発光素子を画素に用いたエレクトロルミネッセンスパネル(以下、ELパネルともいう)を実用化していくに当たり、発光素子の自発光と言う特徴を活かすべく、低消費電力で明るく鮮やかに表示できるディスプレイの実現が求められている。その要求に応える為に発光素子に使用する材料の電流輝度特性等の改善によって電力効率の改善が進められてきているが、上述した方法では電力効率の改善に限界がある。
【0006】
発光素子の発光層から発した光はその全てが外部に放出される訳ではなく、屈折率の異なる膜の界面を通過する時に一部が全反射を生じてしまう。そして、全反射した光は発光素子内部にて吸収、減衰してしまうことによって、外部への光取り出し効率が低下してしまう。
【0007】
特許文献1には、全反射量を少なくすることにより、光取り出し効率を向上させたEL素子が記載されている。特許文献1では、粒子を分散させた膜を透明電極層上に設けることで、膜内を通過する光を粒子により散乱させて、透明電極層と低屈折率膜の界面に入射する光が臨界角を満たさないようにしている。
【特許文献1】特開2004−303724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記特許文献1と異なる手段により発光層で発光した光が全反射される量を減らし、外部への光取り出し量を向上させることによって、高い光取り出し効率を有する発光素子を提供することを課題とする。また、本発明は、高輝度化、低消費電力化が図られた発光素子及び表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光素子は、対向する第1の電極と第2の電極との間に発光層を有している。また、少なくとも第1の電極と発光層との間に誘電体層を有し、当該誘電体層には光散乱微粒子が分散されている。発光層から発した光は、第1の電極から外部へ取り出される。
【0010】
また、上記構成の発光素子において、第2の電極と発光層との間にも誘電体層が設けられていてもよい。また、第1の電極と発光層との間に光散乱微粒子が分散された誘電体層を二層設けてもよい。
【0011】
本発明の発光素子の他の構成は、対向する第1の電極と第2の電極との間に発光層を有し、当該発光層はバインダ中に粒子状の発光材料と光散乱微粒子とが分散された構造となっている。発光層から発した光は、第1の電極から外部へ取り出される。
【0012】
また、上記の構成の発光素子において、第1の電極と発光層との間に、さらに光散乱微粒子が分散された誘電体層が設けられていてもよい。
【0013】
光散乱微粒子は、有機材料又は無機材料を用いて形成された微粒子である。また、光散乱微粒子の屈折率は、光が取り出される第1の電極の屈折率と同じかそれ以上であることが好ましい。なお、電極の屈折率とは、電極が単層膜であるときは、この単層膜の屈折率を言う。多層膜でなるときは、発光素子に対して最も外側の層の屈折率の事を言う。
【0014】
光散乱微粒子の大きさ(粒径)は、発光層から発した光を誘電体層と第1の電極との界面を通過できるように屈折、散乱させることができる大きさであることが好ましい。具体的には、光散乱微粒子の大きさは平均2nm以上、より好ましくは20nm以上とする。また、微粒子の大きさは可視広域の波長を超えないことが好ましい。具体的には、光散乱微粒子の大きさは平均800nm以下が好ましく、発光素子の光学設計を考慮すると平均100nm以下が好ましい。
【0015】
また、第1の電極は発光層から発した光を取り出すため、透光性を有する電極であることが好ましい。
【0016】
本発明は、所定の屈折率を有する微粒子を誘電体層中又は発光層中に複数設けることにより、発光層から誘電体層を通過する光の臨界角又は発光層中に分散された発光材料から発光層を通過する光の臨界角が多様化する。そして、従来では電極との界面で全反射されていた光も外部へ取り出すことが可能になる。したがって、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
【0017】
光散乱微粒子を通過した光が電極との界面で全反射を起こさないようにするため、光散乱微粒子の屈折率は電極の屈折率と同じかそれ以上とするのが好ましい。
【0018】
本発明の表示装置は、対向する第1の基板と第2の基板との間に上記構成の発光素子を備え、発光素子からの光を第1の基板から取り出している。また、第1の基板と第2の基板との間に、発光素子を封止するためのシール材が設けられている。
【0019】
シール材は、第1の基板と第2の基板の周辺部に設けられており、当該第1の基板と第2の基板との間で且つシール材に囲まれた領域には気体が充填されている、又は固体が設けられていることが好ましい。気体が充填される場合は、気体として窒素、アルゴンのような不活性ガスを用いることが好ましい。また、固体が設けられる場合は、固体として樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
また、第1の基板は、発光素子からの発光を取り出すため、可視光に対して透過率が高い基板を用いることが好ましい。具体的には、第1の基板は、可視光に対して透過率が80%以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、発光層から発した光が電極から取り出されるときに全反射する光の量が少なくなる為、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。また、高い光取り出し効率を有する発光素子を備えることによって、表示装置の高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能である。本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更することは当業者であれば容易に理解される。本発明は本実施の形態の記載内容に限定されて解釈されるものではない。
【0023】
また、本発明の趣旨を逸脱することなく、各実施形態を適宜組み合わせることが可能である。異なる実施形態において、共通の要素には同じ符号を付して説明したため、説明を省略することがある。
【0024】
(実施の形態1)
本実施形態では、本発明の発光素子の1つである薄膜型無機発光素子を使用した形態を示す。図1(A)にはトップエミッション構造を用いた表示装置の断面図を示す。また、図1(B)にはボトムエミッション構造を用いた表示装置の断面図を示す。なお、本明細書でトップエミッション構造とは、発光素子の発光を上方(封止用の基板側)から取り出す構造を指す。一方、ボトムエミッション構造とは、発光素子の発光を下方(素子が設けられた基板側)から取り出す構造を指す。
【0025】
以下の本実施形態では、図1(A)と図1(B)では、反射電極103と透過電極105の位置と、第1の誘電体層107と第2の誘電体層108の位置が反対になり、その形成順序が逆になるだけなので、特に記載なき場合はトップエミッション構造の図1(A)にて説明していく。
【0026】
図1(A)に、本発明の発光素子を備えた表示装置の断面図を示す。基板101上に発光素子120が設けられている。
【0027】
発光素子120は、基板101側から反射電極103、第1の誘電体層107、発光層104、第2の誘電体層108、透過電極105の順に積層されている。第2の誘電体層108には、複数の光散乱微粒子106が分散されている。
【0028】
また、反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115により、発光素子120の発光層104を分離するのが好ましい。本実施形態では、絶縁層114及び隔壁層115により、第1の誘電体層107、発光層104、第2の誘電体層108、透過電極105を分離している。また、隔壁層115上には、分離した第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158、透過電極155が積層されている。隔壁層115は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層115の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層114の面方向と同様の方向を向き、絶縁層114と接する辺)の方が上辺(絶縁層114の面方向と同様の方向を向き、絶縁層114と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層115を設けることで、透過電極105は隣接する透過電極と絶縁することが出来る。なお、絶縁層114及び隔壁層115は必ずしも設ける必要はない。
【0029】
また、基板101の周辺部に設けたシール材111により、封止用の基板112が基板101に固定され、発光素子120が封止されている。本実施形態では、基板101、シール材111、基板112により気密された空間には気体113が充填されている。空間を充填する気体113としては、窒素、アルゴンのような不活性ガスが好ましい。
【0030】
基板101は発光素子120の支持基体となるものであればよく、石英基板、半導体基板、ガラス基板、プラスティック基板、可撓性のあるプラスティックフィルムなどを用いることができる。
【0031】
封止用の基板112は、石英基板、半導体基板、ガラス基板、プラスティック基板、可撓性のあるプラスティックフィルムなどを用いることができる。また、本実施形態では、封止用の基板112に平板状の基板を用いたが、形状はこれに限定されるものではなく発光素子を封止できればよい。例えば、封止缶のようなキャップ状のものを用いることができる。
【0032】
封止用の基板112が光を取り出す基板となる場合、可視光に対して透過率の高い基板を用いることが好ましい。具体的には、可視光に対して透過率が80%以上の基板を用いることが好ましい。ここでは、図1(A)に示すトップエミッション構造の場合に該当し、基板112の直近の電極が透光性を有する電極(透過電極105)となる。このとき、基板101は直近の電極が反射性を有する電極(反射電極103)であり、光を取り出さない側の基板となる。そのため、基板101は透明である必要はなく、着色されていても、不透明であってもよい。
【0033】
また、基板101が光を取り出す側の基板となる場合、可視光に対して透過率の高い基板を用いることが好ましい。具体的には、可視光に対して透過率が80%以上の基板を用いることが好ましい。ここでは、図1(B)に示すボトムエミッション構造の場合に該当し、基板101の直近の電極が透光性を有する電極(透過電極105)となる。このとき、封止用の基板112は直近の電極が反射性を有する電極(反射電極103)であり、光を取り出さない側の基板となる。そのため、基板112は透明である必要はなく、着色されていても、不透明であってもよい。
【0034】
なお、基板101又は封止用の基板112が光を取り出す側の基板となる場合、当該光を取り出す基板にカラーフィルターを設けて、発光素子の色純度を向上させることや、発光素子の発光色を変換させたりしてもよい。
【0035】
なお、図1(A)、(B)に示す表示装置はパッシブマトリクス型の画素を示しているが、例えば、図1(A)、(B)に示す表示装置をアクティブマトリクス型の画素に設けた場合は、発光素子120の下方に発光素子120の輝度や発光のタイミングを制御する為のトランジスタ、コンデンサ等を含む回路を設けることもできる。
【0036】
基板101の上に反射電極103が形成される。反射電極103は、発光層から発した光を反射する機能を有し、陰極として機能する。反射電極103は、金属、合金等の反射性を有する導電膜から形成される。この金属膜としては、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)等があげられる。また、合金膜としては、マグネシウムと銀の合金、アルミニウムとリチウムとの合金等があげられる。これらの反射電極103を形成する膜はスパッタリング法や蒸着法を用いて形成することができる。
【0037】
また、反射電極103として上記の金属膜、合金膜上に透明導電膜を積層した多層膜や上記金属膜、合金膜を2つの透明導電膜で挟んだ多層膜で形成することもできる。さらに、反射電極103には、屈折率の異なる透明導電膜でなる多層膜を用いることができる。光多重干渉を利用することにより、高い反射性が実現される。
【0038】
反射電極103上に第1の誘電体層107が形成される。第1の誘電体層107は絶縁材料からなり、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。第1の誘電体層107は、これらの材料を用いて、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、液滴吐出法(代表的にはインクジェット法)等により形成することができる。
【0039】
第1の誘電体層107上に発光層104が形成される。発光層104は発光材料の薄膜からなる層である。本実施形態で用いることのできる発光材料は、母体材料と不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0040】
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、700℃〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0041】
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
【0042】
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化カルシウム、硫化イットリウム、硫化ガリウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化イットリウム等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム、硫化ストロンチウム−ガリウム、硫化バリウム−ガリウム等の3元系の混晶であってもよい。
【0043】
本実施形態に示す発光素子120が局在型発光素子の場合、不純物元素としてマンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。
【0044】
一方、本実施形態に示す発光素子120がドナー−アクセプター再結合型発光素子の場合、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0045】
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム等を用いることができる。第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅、硫化銀等を用いることができる。焼成温度は、700℃〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0046】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
【0047】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01atom%〜10atom%であればよく、好ましくは0.05atom%〜5atom%の範囲である。
【0048】
本実施の形態の発光素子120は薄膜型無機発光素子であり、発光層104は上記発光材料を含む層である。その形成方法は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0049】
発光層104上に第2の誘電体層108が形成される。この第2の誘電体層108中には、光散乱微粒子106が分散されている。第2の誘電体層108は、絶縁材料からなり、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。第2の誘電体層108は、これらの材料を用いて、主に湿式法を使用して形成される。例えば、液滴吐出法やスピンコート法、ディップコート法、印刷法などで光散乱微粒子106を分散させた第2の誘電体層108を形成する。
【0050】
光散乱微粒子106は、透過電極105の屈折率と同じかそれ以上の屈折率を有する材料でなり、有機材料、無機材料のいずれの材料でもよい。例えば、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、錫(Sn)から選ばれた元素の酸化物、またはこれらの酸化物にドーパントを添加した化合物がある。酸化亜鉛のドーパントとしては、Al、Ga、B、In等がある。なお、これらのドーパントを含む酸化亜鉛(ZnO)は、それぞれ、AZO、GZO、BZO、IZOと呼ばれている。酸化インジウムのドーパントとしてはSn、Ti等がある。Snを添加した酸化インジウムはITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれている。酸化錫のドーパントとしてはSb、F等がある。その他、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化セシウムなどの金属酸化物があげられる。また、各種強誘電体材料を用いることができる。例えば、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウムなどの酸化物強誘電体材料がある。また、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素(SiN、0<x<4/3、0<y<2、0<3x+2y≦4)、ジルコニア、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、カーボンナノチューブ等の無機材料を用いることができるが、誘電体層に分散されるため、高誘電性をもつ材料が好ましい。
【0051】
光散乱微粒子106の大きさ(粒径)は、従来では誘電体層と透過電極との界面で全反射されていた入射角を持つ光を屈折、散乱させて、該誘電体層と透過電極との界面を通過できるようにする効果がえられる大きさである必要がある。具体的には、光散乱微粒子106の大きさは平均2nm以上、より好ましくは20nm以上とする。また、光散乱微粒子106の大きさは、可視光域の波長を超えないことが好ましく、上限は平均800nmとする。発光素子の光学設計を考慮すると、平均100nmを上限とするのが好ましい。
【0052】
光散乱微粒子106の形状は、光を集光する或いは散乱する作用が現れる形状が好ましい。例えば、柱状、多面体状、三角錐等の多角錐状、円錐状、凹レンズ状、凸レンズ状、かまぼこ状、プリズム状、球状、半球状などである。
【0053】
光散乱微粒子106は第2の誘電体層108内に複数分散されるが、全ての光散乱微粒子106について、材料、大きさ、形状が同じである必要はなく、それぞれが異なっていてもよい。
【0054】
第2の誘電体層108上に透過電極105が形成される。透過電極105は陽極として機能し、発光層104から発した光が透過できる電極である。発光層104から発した光は、第2の誘電体層108を通過、又は反射電極で反射されてから第2の誘電体層108を通過し、透過電極105から取り出される。
【0055】
透過電極105は、透明導電膜で形成される。用いられる材料としては、可視光域(400nm〜800nm)の光に対する透過率が高い材料であり、代表的には金属酸化物である。例えば、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、錫(Sn)から選ばれた元素の酸化物、またはこれらの酸化物にドーパントを添加した化合物がある。酸化亜鉛のドーパントとしては、Al、Ga、B、In等がある。なお、これらのドーパントを含む酸化亜鉛は、それぞれ、AZO、GZO、BZO、IZOと呼ばれている。酸化インジウムのドーパントとしてはSn、Ti等がある。Snを添加した酸化インジウムはITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれている。酸化錫のドーパントとしてはSb、F等がある。さらに、透明導電膜として、上記の酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、ドーパントが含むそれらの酸化物から選ばれた2種類の酸化物を混合した化合物を用いることが出来る。
【0056】
なお、本実施形態では、発光素子120を分離するため、反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成する。絶縁層114は、無機絶縁材料、有機絶縁材料等を用いて、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により形成することができる。隔壁層115は、材料は特に限定されないが、例えば未露光部分が残存するポジ型感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィ法により形成することが好ましい。この場合、隔壁層115の下部がより速くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって、好ましい傾斜角度を有する隔壁層を形成することができる。もちろん、隔壁層115は、無機絶縁材料、有機絶縁材料等を用いて、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により形成してもよい。
【0057】
また、隔壁層115の高さ(膜厚)は、第1の誘電体層107、発光層104、第2の誘電体層108及び透過電極105を合わせた厚さより大きく設定する。この結果、基板101全面に発光層104、第2の誘電体層108及び透過電極105を成膜する工程のみで、電気的に独立した複数の領域に分離された発光素子120を形成することができる。したがって、工程数を削減することが可能である。なお、隔壁層115上に第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158及び透過電極155が形成されるが、これらは発光素子120を構成する第1の誘電体層107、発光層104、第2の誘電体層108及び透過電極105とは分断される。
【0058】
発光素子120を封止する為、未硬化のシール材111を周辺部に設けた基板112を準備する。未硬化のシール材111は印刷法、ディスペンサ法等により、所定の形状で基板112の周辺部に設けられる。シール材111は透過電極105の形成後、基板101側に設けることもできる。
【0059】
シール材111には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などUV等の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が利用できる。発光層104の性質によって、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を使い分けるのが好ましい。
【0060】
各層を形成した基板101と基板112を重ね合わせる。基板101と基板112に圧力を加えながら、未硬化のシール材111にUV光を照射して硬化させ、基板101と基板112を固着する。もちろん、シール材111に熱硬化性樹脂を用いた場合は、加熱処理を行う。また、基板101と基板112を重ね合わせる時からシール材111を硬化させるまでは、処理を行う雰囲気を大気圧より多少減圧しておくことが望ましい。また、処理を行う雰囲気には水分をできるだけ含まないことが望ましく、例えば、窒素雰囲気とすれば良い。
【0061】
シール材111を硬化させることで、基板101と基板112の間の空間は気密にされ、気体113で充たされる。
【0062】
基板112で基板101を封止した後、基板112を分断し、任意のパネルサイズとする。
【0063】
本実施形態では、透過電極105と発光層104との間に設けられる第2の誘電体層108に多数の光散乱微粒子106を分散させることにより、発光素子120からの光取り出し効率を向上させることができる。これは、発光層104から発した光が、第2の誘電体層108を通過する時に光散乱微粒子106によって光の入射角が場所毎に変わり、屈折、散乱されて、従来では第2の誘電体層108と透過電極105の界面で全反射されていた入射角を持つ光が通過できるようになるためである。このように、光散乱微粒子106が第2の誘電体層108内に分散されることにより、第2の誘電体層108と透過電極105との界面で全反射する光の量が少なくなり、発光素子120の光取り出し効率を向上させることが本発明の特徴である。
【0064】
なお、上記特許文献1には、微粒子を分散させた粒子含有透明電極層を透明電極層上に設けることで、光取り出し効率を向上させることが記載されている。つまり、特許文献1では、粒子含有透明電極層内で微粒子により光を散乱させることにより、光の角度を全反射しないような角度に変えることで、取り出し効率を改善するものである。一方、本明細書で提案する発明は、透過電極105と発光層104との間に設けられる第2の誘電体層108に分散される光散乱微粒子106により、透過電極105界面への光の入射角を変えて、光取り出し効率を改善するものであって、本明細書で開示する発明は特許文献1と全く異なるものである。
【0065】
本実施の形態に係る発光素子は、発光層から発した光が透過電極と誘電体層との界面で全反射する光の量を減らすことができるため、外部への光取り出し効率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る表示装置は、高い光取り出し効率を有する発光素子を備えているため、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0067】
(実施の形態2)
本実施形態では、本発明を発光素子の1つである分散型無機発光素子に使用した形態を示す。図2(A)にはトップエミッション構造を用いた表示装置の断面図を示す。また、図2(B)にはボトムエミッション構造を用いた表示装置の断面図を示す。図2(A)と図2(B)では、反射電極103と透過電極105の位置が反対になり、その形成順序が逆になるだけなので、特に記載なき場合はトップエミッション構造の図2(A)にて記載していく。
【0068】
実施の形態1では、基板101と基板112の間に、反射電極103、第1の誘電体層107、発光層104,光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108、透過電極105とを有する発光素子120が形成された構成を説明した。本実施形態では、第1の誘電体層107、発光層104、光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108を一層にする、いわゆる分散型無機発光素子を使用した形態で行う点が実施の形態1と異なる点である。つまり、本実施形態で示す発光素子130は、反射電極103と透過電極105とに挟持された発光層109を有し、当該発光層109には、粒子状の発光材料110と光散乱微粒子106とが分散されている。
【0069】
まず、実施の形態1で説明した工程により、反射電極103まで形成した基板101を用意する。
【0070】
次に、反射電極103上に発光層109を形成する。発光層109は、粒子状の発光材料110をバインダ中に分散させた層である。また、発光層109は、バインダ中に光散乱微粒子106も分散されている。バインダとは、粒子状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質である。粒子状の発光材料110は、バインダによって発光層中に均一に分散し固定される。
【0071】
粒子状の発光材料110は、上記実施の形態1で説明した発光材料を粒子状に加工したものを用いることができる。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕するなどによって粒子状に加工すればよい。
【0072】
また、光散乱微粒子106は、上記実施の形態1で説明した光散乱微粒子106を用いることができる。
【0073】
発光層109に用いるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子材料、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、珪素(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フッ素を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フッ素とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0074】
無機材料としては、窒化珪素(SiN)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム、酸素及び窒素を含むアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸鉛、酸化タンタル、タンタル酸バリウム、タンタル酸リチウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、その他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませることにより、粒子状の発光材料110が分散されたバインダよりなる発光層109の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
【0075】
作製工程において、粒子状の発光材料110はバインダを含む溶液中に分散される。本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種湿式法)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。このような溶媒として有機溶媒等を用いることができる。例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
【0076】
本実施の形態の発光素子130は分散型無機発光素子であり、発光層109は上記粒子状の発光材料110及び光散乱微粒子106を複数バインダ中に分散させた層である。その形成方法は、主に湿式法を利用することができる。例えば液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いて形成することができる。また、発光層109中の粒子状の発光材料110の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0077】
発光層109上に、透過電極105を実施の形態1で説明した材料を用いて形成する。また、実施の形態1と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した発光層159、透過電極155が積層されている。透過電極105を形成後、実施の形態1で説明した工程により、基板101と基板112を固着させ、基板112を任意のパネルサイズに分断する。
【0078】
本実施形態では、発光層109内に多数の光散乱微粒子106を分散させることにより、発光素子130からの光取り出し効率を向上させることができる。これは、発光層109内に分散された粒子状の発光材料110から生じた光が、発光層109を通過するときに光散乱微粒子106によって光の入射角が場所毎に変わり、屈折、散乱されて、光散乱微粒子がない場合には発光層109と透過電極105との界面で全反射される入射角を持つ光が通過できるようになるためである。つまり、光散乱微粒子106がない場合は透過電極105で全反射される入射角を持った光が、透過電極105を通過できるようになる。このように、光散乱微粒子106が発光層109内に分散されることにより、同様に発光層109に分散された粒子状の発光材料110が発した光を透過電極105との界面で全反射する光の量が少なくなり、発光素子130の光取り出し効率を向上させることが本発明の特徴である。
【0079】
このように、本実施の形態に係る発光素子は、外部への光取り出し効率を向上させることができる。また、本実施の形態に係る表示装置は、高い光取りだし効率を有する発光素子を備えているため、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0080】
(実施の形態3)
図3を用いて本実施形態を説明する。実施の形態1では、基板101と基板112の間の気密な空間に気体113を充填していたが、本実施形態の表示装置は、この空間に液相の材料を充填し、液相の材料を硬化した固体が充填されている。このように、基板と基板の間に固体が設けられた表示装置の封止構造を固体封止構造と呼び、気体を充填した構造と区別するのに用いられることがある。本明細書中でも、気体を充填する構造と区別するために、この用語を使用することとする。
【0081】
実施の形態1で説明した工程により、透過電極105まで形成した基板101を用意する(図3(A))。また、実施の形態1と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158、透過電極155が積層されている。
【0082】
次に、実施の形態1と同様、印刷法、ディスペンサ法等により、未硬化のシール材111を所定の形状で基板101の周辺部に設ける(図3(B))。
【0083】
本実施形態では、シール材111により気密にされる基板101と基板112の空間に充填材201を設ける。充填材201の材料としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂のようなUV硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化樹脂が用いられる。発光層104の材料の耐熱性を考慮し、UV硬化樹脂、可視光硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を選択するようにする。シール材111を設けた後、シール材111で囲まれた領域内に未硬化(液相)の充填材201を滴下する(図3(C))。
【0084】
次に未硬化のシール材111及び充填材201が用意された基板101に基板112を重ね合わせる。基板101と基板112に圧力を加えながら、未硬化のシール材111及び充填材201に光を照射する、または加熱して、それぞれを硬化させ、基板112を基板101に固着する。硬化した充填材201は、透過電極105の表面及び基板101表面に接した状態で設けられて、基板112を基板101に固定している。シール材111、充填材201を硬化させた後、基板112を任意のパネルサイズに分断する(図3(D))。
【0085】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。また、本実施の形態に係る表示装置は、液相の材料を充填し、当該充填した液相の材料を硬化して固体封止構造を形成している。したがって、基板と基板の間を隙間なく密閉して発光素子を封止することが可能となり、発光素子への水蒸気等の侵入を防止できる。よって、発光素子の劣化を抑制することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、トップエミッション構造の場合を説明したが、もちろんボトムエミッション構造とすることもできる。図3(A)〜(D)で説明した構成において後者の構造とする場合は、反射電極103と透過電極105の位置及び第1の誘電体層107と第2の誘電体層108の位置、並びにその形成順序を逆にすればよい。
【0087】
(実施の形態4)
図4を用いて本実施形態を説明する。実施の形態2では、基板101と基板112の間の気密な空間に気体113を充填していたが、本実施形態の表示装置は、この空間に液相の材料を充填し、液相の材料を硬化した固体が充填されている。
【0088】
実施の形態2で説明した工程により、透過電極105まで形成した基板101を用意する(図4(A))。また、実施の形態2と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した発光層159、透過電極155が積層されている。
【0089】
次に、実施の形態3で説明した工程により、基板101の周辺部にシール材111を設け(図4(B))、充填材201を設ける(図4(C))。その後、基板101と基板112を固着させ、基板112を任意のパネルサイズに分断する(図4(D))。
【0090】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。また、本実施の形態に係る表示装置は、液相の材料を充填し、当該充填した液相の材料を硬化して固体封止構造を形成している。したがって、基板と基板の間を隙間なく密閉して発光素子を封止することが可能となり、発光素子への水蒸気等の侵入を防止できる。よって、発光素子の劣化を抑制することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、トップエミッション構造の場合を説明したが、もちろんボトムエミッション構造とすることもできる。後者の構造とする場合は、図4(A)〜(D)で説明した構成において、反射電極103と透過電極105の位置及びその形成順序を逆にすればよい。
【0092】
(実施の形態5)
図5を用いて本実施形態を説明する。本実施形態は実施の形態1(図1(A))と基本的には同一の構造となるが、第3の誘電体層202が追加されている。
【0093】
実施の形態1で説明した工程により、光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108まで形成された基板101を用意する。次に、第2の誘電体層108上に、光散乱微粒子203が分散された第3の誘電体層202を形成する。
【0094】
第3の誘電体層202上に透過電極105を形成する。また、実施の形態1と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158、第3の誘電体層252、透過電極155が積層されている。透過電極105を形成後、、実施の形態1と同様に基板101と基板112を固着させ、基板112を任意のパネルサイズに分断する。
【0095】
光散乱微粒子106には、誘電率及び絶縁性は高く、屈折率は小さい材料を使用する。例えば、光散乱微粒子106として二酸化珪素(シリカ)の粒子等を用いることができる。光散乱微粒子106の屈折率の小ささを補う為に、第3の誘電体層202に分散されている光散乱微粒子203で屈折率の大きい材料を使用することが好ましい。このとき、光散乱微粒子203は屈折率が大きい材料であればよく、誘電率及び絶縁性は低い材料を使用することができる。例えば、光散乱微粒子203として、ITO等を用いることができる。本実施形態は、透過電極と発光層との間に設けられる誘電体層を、第2の誘電体層108と第3の誘電体層202を用いて二層構造にすることにより、所望の誘電率や絶縁性、屈折率を有する誘電体層を形成することが可能となっている。
【0096】
また、第3の誘電体層202は、第2の誘電体層108と同様の材料を用いて形成することができる。すなわち、第3の誘電体層202は、絶縁材料からなり、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。第3の誘電体層202は、これらの材料を用いて、主に湿式法を使用して形成される。例えば、液滴吐出法やスピンコート法、ディップコート法、印刷法などで光散乱微粒子203を分散させた第3の誘電体層202を形成する。なお、本実施形態では、光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108と光散乱微粒子203が分散された第3の誘電体層202の二層構造としたが、三層以上の誘電体層を設けても良い。本実施の形態のように、透過電極105と発光層104との間に設けられる誘電体層を2層以上の複数層とすることで、所望の誘電率に調整することができる。したがって、発光層に十分な大きさの電気エネルギーを印加することができ、安定な発光を得ることができる。
【0097】
また、本実施形態では、実施の形態1(図1(A))の構造を基本としているが、実施の形態1(図1(B))の構造を基本としてもよい。つまり、反射電極103と透過電極105の位置及び第1の誘電体層107と第2の誘電体層108の位置、並びにその形成順序を逆にし、光散乱微粒子203を分散させた第3の誘電体層202を透過電極105と第2の誘電体層108の間に設けても良い。
【0098】
本実施の形態に係る発光素子は、外部への光取り出し効率を向上させることができる。このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0099】
また、実施の形態に係る発光素子は、誘電体層を積層構造とすることで所望の誘電率に調整することができ、安定な発光を得ることができる。また、本実施の形態に係る表示装置は、安定な発光を得られる発光素子を備えるため、高輝度化が実現できる。
【0100】
(実施の形態6)
図6を用いて本実施形態を説明する。本実施形態は実施の形態2(図2(A))と基本的には同一の構造となるが、誘電体層602が追加されている。
【0101】
実施の形態2で説明した工程により、粒子状の発光材料110と光散乱微粒子106が分散した発光層109まで形成された基板101を用意する。次に、発光層109上に、光散乱微粒子603が分散した誘電体層602を形成する。
【0102】
誘電体層602上に透過電極105を形成する。また、実施の形態2と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した発光層159、誘電体層652、透過電極155が積層されている。透過電極105を形成後、基板101と基板112の固着などは、実施の形態2と同様の工程を行い、基板112を任意のパネルサイズに分断する。
【0103】
光散乱微粒子106には、誘電率及び絶縁性は高く、屈折率は小さい材料を使用する。例えば、光散乱微粒子106として二酸化珪素(シリカ)の粒子等を用いることができる。光散乱微粒子106の屈折率の小ささを補う為に、誘電体層602に分散されている光散乱微粒子603で屈折率の大きい材料を使用することが好ましい。このとき、光散乱微粒子603は屈折率が大きい材料であればよく、誘電率及び絶縁性は低い材料を使用することができる。例えば、光散乱微粒子603として、ITO等を用いることができる。本実施形態の誘電体層は、発光層109と誘電体層602の二層構造にすることにより、所望の誘電率、絶縁性、屈折率を得ることが可能な構造となっている。
【0104】
誘電体層602は、絶縁材料からなり、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。誘電体層602は、これらの材料を用いて、主に湿式法を使用して形成される。例えば、液滴吐出法やスピンコート法、ディップコート法、印刷法などで光散乱微粒子603を分散させた誘電体層602を形成する。なお、誘電体層602は二層以上の積層構造としてもよい。本実施の形態のように、透過電極105と発光層109との間に、さらに誘電体層602を設けることで、所望の誘電率に調整することができる。したがって、発光層に十分な大きさの電気エネルギーを印加することができ、安定な発光を得ることができる。
【0105】
また、本実施形態では、実施の形態2(図2(A))の構造を基本としているが、実施の形態2(図2(B))の構造を基本としてもよい。つまり、反射電極103と透過電極105の位置及びその形成順序を逆にし、光散乱微粒子603を分散させた誘電体層602を透過電極105と発光層109の間に設けても良い。
【0106】
本実施の形態に係る発光素子は、外部への光取り出し効率を向上させることができる。このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0107】
また、実施の形態に係る発光素子は、誘電体層を積層構造とすることで所望の誘電率に調整することができ、安定な発光を得ることができる。また、本実施の形態に係る表示装置は、安定な発光を得られる発光素子を備えるため、高輝度化が実現できる。
【0108】
(実施の形態7)
本実施形態を図7に示す。本実施形態は実施の形態3と同様に固体封止構造となっている。実施の形態3との差異は、光散乱微粒子106が分散されている第2の誘電体層108と透過電極105の間に、光散乱微粒子203が分散された第3の誘電体層202が形成されている点である。
【0109】
実施の形態3で説明した工程により、光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108まで形成された基板101を用意する。次に、第2の誘電体層108上に、光散乱微粒子203が分散された第3の誘電体層202を形成する。光散乱微粒子203及び第3の誘電体層202は、上記実施の形態5に示した材料および作製方法を用いて形成することができる。
【0110】
次に、第3の誘電体層202上に透過電極105を形成する。また、実施の形態3と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158、第3の誘電体層252、透過電極155が積層されている。透過電極105を形成後、実施の形態3で説明した工程により、基板101と基板112をシール材111と充填材201を使用して固着させる。
【0111】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、また安定な発光を得ることができる。このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0112】
(実施の形態8)
本実施形態を図8に示す。本実施形態は実施の形態4と同様に固体封止構造となっている。実施の形態4との差異は、粒子状の発光材料110と光散乱微粒子106が分散されている発光層109と透過電極105の間に、光散乱微粒子603が分散された誘電体層602が形成されている点である。
【0113】
実施の形態4で説明した工程により、粒子状の発光材料110と光散乱微粒子106が分散された発光層109まで形成された基板101を用意する。次に、発光層109上に、光散乱微粒子603が分散された誘電体層602を形成する。光散乱微粒子603及び誘電体層602は、上記実施の形態6に示した材料及び作製方法を用いて形成することができる。
【0114】
次に、誘電体層602上に透過電極105を形成する。また、実施の形態4と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した発光層159、誘電体層652、透過電極155が積層されている。透過電極105を形成後、実施形態4で説明した工程により、基板101と基板112をシール材111と充填材201を使用して固着させる。
【0115】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、また安定な発光を得ることができる。このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。
【0116】
(実施の形態9)
本実施形態を図9に示す。本実施形態は、固体封止構造の表示装置である。実施の形態3、4、7、8では、液相の材料を硬化した固体を設けた固体封止構造を示した。本実施形態では、固体として、フィルム基材上に設けられたシート状(フィルム状とも言う)のシール材を硬化した固体を用いた固体封止構造を示す。
【0117】
実施の形態1で説明した工程により、透過電極105まで形成した基板101を用意する(図9(A))。また、実施の形態1と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した第1の誘電体層157、発光層154、第2の誘電体層158、透過電極155が積層されている。
【0118】
基板112を基板101に固着するために、シート状のシール材301を用意する。未硬化のシート状のシール材301は、接着機能のある樹脂材料でなる。シート状のシール材301には、UV硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化樹脂を用いることができる。接着面を保護するため、シール材301の両面はフィルム基材302で覆われている。シート状のシール材301の一方の面のフィルム基材302を剥離し、その面を基板101の表面と重ねる(図9(B))。
【0119】
他方の面のフィルム基材302を剥離し、基板112を基板101に重ね合わせる。基板101、基板112に圧力を加えながら、UV光を照射する、又は加熱することでシート状のシール材301を硬化し、基板112を基板101に固着する。(図9(C))。
【0120】
この様にシート状のシール材301を用いることにより、基板112を基板101に簡便に固着することができ、固体封止構造の表示装置を形成することができる。
【0121】
なお、図9(B)に示す工程で、シート状のシール材301を基板101ではなく封止用の基板112側に設けることもできる。つまり、シート状のシール材301の一方の面のフィルム基材302を剥離し、その面を基板112の表面と重ねた後、他方の面のフィルム基材302を剥離し、基板101を基板112に重ね合わせてもよい。
【0122】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。また、シート状のシール材を用いることで、簡便に基板同士を固着でき、且つ発光素子を封止することができる。
【0123】
(実施の形態10)
図10を用いて本実施形態を説明する。本実施形態は実施形態9と同様にシート状のシール材を硬化した固体を用いた固体封止構造である。
【0124】
実施の形態2で説明した工程により、透過電極105まで形成した基板101を用意する(図10(A))。また、実施の形態2と同様に、反射電極103上には、当該反射電極103の一部を覆う絶縁層114及び隔壁層115を形成している。なお、隔壁層115上には、分離した発光層159、透過電極155が積層されている。
【0125】
基板112を基板101に固着させるために、シート状のシール材301を用意する。シール材301は実施の形態9と同様であり、その両面はフィルム基材302で覆われている。そして、実施形態9で説明した工程により、シート状のシール材301の一方の面のフィルム基材302を剥離し、その面を基板101の表面と重ねる(図10(B))。
【0126】
他方の面のフィルム基材302を剥離し、基板112を基板101に重ね合わせる。基板101、基板112に圧力を加えながら、UV光を照射する、又は加熱することでシート状のシール材301を硬化し、基板112を基板101に固着させる(図10(C))。
【0127】
この様にシート状のシール材301を用いることにより、基板112を基板101に簡便に固着することができ、固体封止構造の表示装置を形成することができる。
【0128】
なお、図10(B)に示す工程で、シート状のシール材301を基板101ではなく封止用の基板112側に設けることもできる。つまり、シート状のシール材301の一方の面のフィルム基材302を剥離し、その面を基板112の表面と重ねた後、他方の面のフィルム基材302を剥離し、基板101を基板112に重ね合わせてもよい。
【0129】
本実施の形態に係る発光素子は、光取り出し効率が高く、このような発光素子を備える表示装置は、高輝度化、低消費電力化が実現できる。また、シート状のシール材を用いることで、簡便に基板同士を固着でき、且つ発光素子を封止することができる。
【0130】
(実施の形態11)
図11〜図14、図17を用いて本実施形態を説明する。本実施形態は、表示装置として、アクティブマトリクス型ELパネルを用いた例について説明する。
【0131】
図11はアクティブマトリクス型ELパネルの上面模式図である。基板800に封止用の基板801がシール材802により固着されており、基板800と基板801の間の空間を気密なものとしている。また、本実施形態では、ELパネルの封止構造を固体封止構造とし、この空間には、樹脂でなる充填材を充填している。
【0132】
基板800には、画素部803と、書込用ゲート信号線駆動回路部804と、消去用ゲート信号線駆動回路部805、ソース信号線駆動回路部806とが設けられている。駆動回路部804〜806は、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)807と接続している。そして、ソース信号線駆動回路部806と、書込用ゲート信号線駆動回路部804と、消去用ゲート信号線駆動回路部805とは、それぞれ、FPC807からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC807にはプリント配線基盤(PWB)808が取り付けられている。
【0133】
画素部803及び駆動回路部804〜806のトランジスタは、薄膜トランジスタ(TFT)で形成されている。なお、駆動回路部804〜806は、上記のように必ずしも画素部803と同一基板800上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。また、各駆動回路部804〜806において、それぞれ一部の回路を基板800上に設け、一部を基板800外部に設けてもよい。
【0134】
図12は、一画素を動作するための回路を表した図である。画素部803には画素が複数平面状に配列されている。1画素には、第1のトランジスタ811と第2のトランジスタ812と発光素子813とが含まれている。さらに、列方向に延びたソース信号線814及び電流供給線815と、並びに行方向に延びたゲート信号線816が設けられている。発光素子813は実施の形態1〜10で説明した発光素子を適用することができる。ここでは、実施の形態1の図1(A)で示したトップエミッション構造の発光素子を適用する例を示す。すなわち、基板801側から光が取り出される例を示す。
【0135】
第1のトランジスタ811と、第2のトランジスタ812とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル形成領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本明細書においては、トランジスタの三端子をゲート電極、第1電極、第2電極と表記して区別する。
【0136】
書込用ゲート信号線駆動回路部804において、スイッチ818を介してゲート信号線816が書込用ゲート信号線駆動回路819と電気的に接続されている。スイッチ818を制御することにより、ゲート信号線816は書込用ゲート信号線駆動回路819と電気的に接続の状態または非接続の状態が選択される。
【0137】
消去用ゲート信号線駆動回路部805において、スイッチ820を介してゲート信号線816が消去用ゲート信号線駆動回路821と電気的に接続されている。スイッチ820を制御することにより、ゲート信号線816は消去用ゲート信号線駆動回路821と電気的に接続の状態または非接続の状態が選択される。
【0138】
ソース信号線駆動回路部806において、ソース信号線814は、スイッチ822によってソース信号線駆動回路823または電源824のいずれかに電気的に接続される。
【0139】
第1のトランジスタ811は、ゲート電極がゲート信号線816に電気的に接続し、第1電極がソース信号線814に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ812のゲート電極と電気的に接続している。
【0140】
第2のトランジスタ812は、ゲート電極が上記のとおり、第1のトランジスタの第2電極と電気的に接続し、第1電極が電流供給線815と電気的に接続し、第2電極は発光素子813の第1の電極と電気的に接続している。発光素子813の第2の電極は、電位が一定にされている。
【0141】
図13を用いて、本実施形態の画素の構造を説明する。本実施形態では固体封止構造のELパネルであるため、基板800と封止用の基板801間の気密な空間に樹脂でなる充填材830が充填されている。基板800には、構造物831及び、発光素子813が形成される。構造物831として、下地膜832上に、図12に示す第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812が形成されている。第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812上に層間絶縁膜833が形成され、層間絶縁膜833上に発光素子813と、隔壁として機能する絶縁層834が形成されている。
【0142】
第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812は、チャネル形成領域が形成される半導体層を中心として基板800と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型の薄膜トランジスタである。第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812の薄膜トランジスタ構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
【0143】
また、第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812のチャネル形成領域が形成される半導体層は、結晶性半導体、非晶質半導体のいずれのものでもよい。
【0144】
半導体層が結晶性半導体の具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いは珪素ゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
【0145】
半導体層が非晶質の半導体、例えばアモルファス珪素で形成される場合には、画素部803を構成する全てのトランジスタがNチャネル型の薄膜トランジスタであることが好ましい。それ以外については、画素部803には、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成されたものでもよいし、両方のトランジスタで構成してもよい。
【0146】
また、駆動回路部804〜806に用いられるトランジスタの構造の多様性についても、画素部803の第1のトランジスタ811、第2のトランジスタ812と場合と同様である。駆動回路部804〜806については、トランジスタの性能に合わせて、全てを薄膜トランジスタで構成してもよいし、又は回路の一部を薄膜トランジスタにより構成し、残りをICチップで構成してもよい。また、駆動回路部804〜806のトランジスタは、全てをNチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成されたものでもよいし、両方のトランジスタで構成してもよい。
【0147】
図13において、発光素子813として実施の形態1の図1(A)で示した発光素子120を適用した例を示す。発光素子813は、第1の電極835と第2の電極836との間に発光層837を有する。また、第1の電極835と発光層837との間に第1の誘電体層826を有し、発光層837と第2の電極836との間に光散乱微粒子827が分散された第2の誘電体層828を有する。第1の電極835は反射性を有する電極であり、陰極として機能する。第2の電極836は透光性を有する電極であり、陽極として機能する。発光層837にて生じた光は第2の電極836から取り出される。ここでは、層間絶縁膜833上に第1の電極835、第1の誘電体層826、発光層837、光散乱微粒子827が分散された第2の誘電体層828、第2の電極836の順に積層形成された構成とする。本実施形態では第2の誘電体層828に分散された光散乱微粒子827により、第2の誘電体層828と第2の電極836との界面に入射する光が全反射する量が減るため、発光素子813の光取り出し効率を向上させることができる。
【0148】
なお、第1の電極835は反射電極103、第1の誘電体層826は第1の誘電体層107、発光層837は発光層104、光散乱微粒子827が分散された第2の誘電体層828は光散乱微粒子106が分散された第2の誘電体層108、第2の電極836は透過電極105に相当する。もちろん、本実施の形態の発光素子の構造は特に限定されず、他の実施の形態の発光素子を適用できることはいうまでもない。発光素子813は、少なくとも一対の電極に挟持された発光層及び光散乱微粒子が分散された誘電体層、または一対の電極に挟持された光散乱微粒子及び粒子状の発光材料が分散された発光層を有する構成であればよい。
【0149】
第1の電極835は、層間絶縁膜833に設けられたコンタクトホールによって、第2のトランジスタ812の第2電極に接続されている。
【0150】
また、本実施形態では、ELパネルの封止構造を実施の形態3で示した固体封止構造を適用したが、他の実施形態の封止構造を適用できることはいうまでもない。また、トップエミッション構造の発光素子813を適用したが、反射性を有する電極である第1の電極835と透光性を有する電極である第2の電極836の位置、及び第1の誘電体層826と光散乱微粒子827が分散された第2の誘電体層828の位置を逆にしたボトムエミッション構造の発光素子を適用することもできる。
【0151】
図14を用いて、本実施形態のELパネルの駆動方法について説明する。図14は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図14において、横軸は時間経過を表し、縦軸はゲート信号線の走査段数を表している。
【0152】
本実施形態のELパネルを用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカともいう)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
【0153】
1フレームは、図14に示すように、書込み期間841a、書込み期間842a、書込み期間843a、書込み期間844aと保持期間841b、保持期間842b、保持期間843b、保持期間844bとを含む4つのサブフレーム841、サブフレーム842、サブフレーム843、サブフレーム844に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム841:第2のサブフレーム842:第3のサブフレーム843:第4のサブフレーム844=2:2:2:2=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
【0154】
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム841において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書込み期間の開始時間が異なる。書込み期間841aが終了した行から順に保持期間841bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間841bが終了した行から順に次のサブフレーム842へ移り、サブフレーム841の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。
【0155】
以上のような動作を繰り返し、サブフレーム844の保持期間844b迄を終了する。サブフレーム844における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間が異なる画素を組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
【0156】
サブフレーム844のように、最終行目までの書き込みが終了する前に、既に書き込みを終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間844bの後に消去期間844cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間844dとする。)。そして、最終行目の書込み期間が終了したら直ちに、一行目から順に次のサブフレーム(またはフレーム)の書込み期間に移行する。これによって、サブフレーム844の書込み期間と、その次のサブフレームの書込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
【0157】
なお、本形態では、サブフレーム841〜サブフレーム844は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
【0158】
書込み期間および消去期間における、図12で示す回路の動作について説明する。まず書込み期間における動作について説明する。書込み期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線816は、スイッチ818により書込用ゲート信号線駆動回路819と電気的に接続される。他方、スイッチ820により消去用ゲート信号線駆動回路821とは非接続とされる。
【0159】
ソース信号線814はスイッチ822を介してソース信号線駆動回路823と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線816に接続した第1のトランジスタ811のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ811はオンとなる。この時、1列目から最終列目迄のソース信号線814に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線814に入力される映像信号は互いに独立したものである。
【0160】
ソース信号線814に入力された映像信号は、各々のソース信号線814に接続した第1のトランジスタ811を介して第2のトランジスタ812のゲート電極に入力される。そして、その電流値に依存して発光素子813は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ812がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ812のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子813が発光する。一方、第2のトランジスタ812がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ812のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子813に電流が流れて、発光素子813が発光する。
【0161】
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線816は、スイッチ820を介して消去用ゲート信号線駆動回路821と電気的に接続される。他方、書込用ゲート信号線駆動回路819とスイッチ818により非接続とされる。ソース信号線814はスイッチ822により電源824と電気的に接続される。n行目のゲート信号線816に接続した第1のトランジスタ811のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ811はオンとなる。この時、1列目から最終列目迄のソース信号線814に同時に消去信号が入力される。
【0162】
ソース信号線814に入力された消去信号は、各々のソース信号線814に接続した第1のトランジスタ811を介して第2のトランジスタ812のゲート電極に入力される。第2のトランジスタ812に入力された信号によって、電流供給線815から発光素子813への電流の供給が阻止され、発光素子813は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ812がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ812のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子813は非発光となる。一方、第2のトランジスタ812がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ812のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子813は非発光となる。
【0163】
消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込み期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線814を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書き込みの為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
【0164】
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子813が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線816と消去用ゲート信号線駆動回路821とを非接続の状態とすると共に、スイッチ822を切り替えてソース信号線814とソース信号線駆動回路823とを接続させる。そして、スイッチ818によりゲート信号線816と書込用ゲート信号線駆動回路819とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路819からm行目のゲート信号線816に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタ811がオンすると共に、ソース信号線駆動回路823からは、1列目から最終列目迄のソース信号線814に書き込みの為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
【0165】
以上のようにしてm行目について書込み期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。そのために、スイッチ818によりゲート信号線816と書込用ゲート信号線駆動回路819を非接続とすると共に、スイッチ820により消去用ゲート信号線駆動回路821と接続状態する。また、スイッチ822を切り替えてソース信号線814を電源824に接続する。消去用ゲート信号線駆動回路821からn+1行目のゲート信号線816に信号を入力して、第1のトランジスタ811をオンすると共に、電源824から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m行目の書込み期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込み期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
【0166】
なお、本実施形態では、アクティブマトリクス型ELパネルについて説明したが、パッシブマトリクス型ELパネルに実施の形態1〜10の表示装置を適用することができる。例えば、図17(A)に本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型ELパネルの斜視図の例を示す。また、図17(A)の破線X−Yにおける断面図の一例を図17(B)に示す。
【0167】
図17(A)、(B)において、基板951上には、電極952、層955、電極956が順に積層形成されている。電極952と電極956のいずれか一方は反射性を有する電極であり、他方は透光性を有する電極である。層955は少なくとも実施の形態1、3、5、7、9で示した発光層及び光散乱微粒子が分散された誘電体層、又は実施の形態2、4、6、8、10で示した粒子状の発光材料及び光散乱微粒子が分散された発光層を含んでいる。なお、光散乱微粒子が分散された誘電体層、又は光散乱微粒子が分散された発光層は、透光性を有する電極に接して設けられる。このような構成とすることで、誘電体層又は発光層に分散された光散乱微粒子により、誘電体層又は発光層と透光性を有する電極との界面に入射する光が全反射する量が減るため、発光素子の光取りだし効率を向上させることができる。
【0168】
また、電極952の端部及び一部は絶縁層953で覆われている。絶縁層953は複数の開口部を有し、当該開口部においては電極952、層955、電極956とが順次積層された構造とする。そして、絶縁層953の開口部が形成されていない領域上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、電極956を隣接する電極と絶縁することが出来る。
【0169】
(実施の形態12)
実施の形態1〜10に示す表示装置は、発光素子の光取り出し効率を向上させることにより、高輝度化、低消費電力化を実現することができる。よって、これら表示装置を表示部として実装することによって、低消費電力で鮮やかで明るい表示をさせることができる。
【0170】
実施の形態1〜10の表示装置は、バッテリー駆動する電子機器の表示部や、大画面の表示装置や、電子機器の表示部に好適に用いることができる。例えば、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図15を参照して説明する。表示部に用いられる表示装置は、アクティブマトリクス型、パッシブマトリクス型のいずれも構造でもよい。
【0171】
図15(A)に示す携帯情報端末機器の表示部911に本発明の表示装置が用いられる。
【0172】
図15(B)に示すデジタルビデオカメラのファインダ914、撮影した映像を表示するため表示部913に本発明の表示装置が用いられる。
【0173】
図15(C)に示す携帯電話機の表示部915に本発明の表示装置を適用することができる。
【0174】
図15(D)に示す携帯型のテレビジョン装置の表示部916に上記実施形態の表示装置が用いられる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いタイプのテレビジョン装置の表示部に表示装置が用いられる。
【0175】
図15(E)に示すノート型またはラップトップ型のコンピュータの表示部917に本発明の表示装置を適用することができる。
【0176】
図15(F)に示すテレビジョン装置の表示部918に本発明の表示装置を適用することができる。またテレビジョン装置としては、図15(C)に示した携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いタイプのテレビジョン装置の表示部に、上記実施形態の表示装置を適用することができる。
【0177】
本実施の形態に係る電子機器は、表示部に本発明の発光素子及び当該発光素子を備えた表示装置を用いることにより、高輝度化及び低消費電力化が実現できる。
【0178】
(実施の形態13)
本実施形態では、表示装置を平面状の照明装置に適用した態様を説明する。実施の形態1〜10の表示装置は表示部の他、平面状の照明機器としても使用できる。例えば、本実施の形態で例示した電子機器の表示部に液晶パネルを用いた場合、液晶パネルのバックライトとして上記実施形態の表示装置を実装するができる。照明装置として用いるときは、図17に示すようなパッシブマトリクス型の表示装置が好ましい。
【0179】
図16は、表示装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図16に示した液晶表示装置は、筐体921、液晶層922、バックライト923、筐体924を有し、液晶層922は、ドライバIC925と接続されている。また、バックライト923は、本発明の表示装置が用いられおり、端子926により、電流が供給されている。
【0180】
また、本実施形態のバックライトを備えた液晶表示装置を、実施形態12で示したような各種の電子機器の表示部として用いることができる。
【0181】
本発明を適用した表示装置を用いることにより、明るくかつ低消費電力のバックライトが得られる。また、本発明を適用した表示装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、表示装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化及び低消費電力化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】表示装置の断面図(実施の形態1)
【図2】表示装置の断面図(実施の形態2)
【図3】表示装置の断面図(実施の形態3)
【図4】表示装置の断面図(実施の形態4)
【図5】表示装置の断面図(実施の形態5)
【図6】表示装置の断面図(実施の形態6)
【図7】表示装置の断面図(実施の形態7)
【図8】表示装置の断面図(実施の形態8)
【図9】表示装置の断面図(実施の形態9)
【図10】表示装置の断面図(実施の形態10)
【図11】表示装置の正面図(実施の形態11)
【図12】表示装置の画素の回路を説明する図(実施の形態11)
【図13】表示装置の画素の断面図(実施の形態11)
【図14】表示装置の駆動方法を説明する図(実施の形態11)
【図15】表示装置を電子機器に適用した態様を説明する図(実施の形態12)
【図16】表示装置を平面状の照明機器に適用した様態を説明する図(実施の形態13)
【図17】表示装置の斜視図及び断面図(実施の形態11)
【符号の説明】
【0183】
101 基板
103 反射電極
104 発光層
105 透過電極
106 光散乱微粒子
107 第1の誘電体層
108 第2の誘電体層
109 発光層
110 粒子状の発光材料
111 シール材
112 基板
113 気体
114 絶縁層
115 隔壁層
153 反射電極
154 発光層
155 透過電極
157 第1の誘電体層
158 第2の誘電体層
159 発光層
120 発光素子
130 発光素子
201 充填材
202 第3の誘電体層
203 光散乱微粒子
252 第3の誘電体層
301 シール材
302 フィルム基材
602 誘電体層
603 光散乱微粒子
652 誘電体層
800 基板
801 基板
802 シール材
803 画素部
804 駆動回路部
805 駆動回路部
806 駆動回路部
807 FPC
808 プリント配線基盤(PWB)
811 第1のトランジスタ
812 第2のトランジスタ
813 発光素子
814 ソース信号線
815 電流供給線
816 ゲート信号線
818 スイッチ
819 書込用ゲート信号線駆動回路
820 スイッチ
821 消去用ゲート信号線駆動回路
822 スイッチ
823 ソース信号線駆動回路
824 電源
826 第1の誘電体層
827 光散乱微粒子
828 第2の誘電体層
830 充填材
831 構造物
832 下地膜
833 層間絶縁膜
834 絶縁層
835 第1の電極
836 第2の電極
837 発光層
841 サブフレーム
842 サブフレーム
843 サブフレーム
844 サブフレーム
911 表示部
913 表示部
914 ファインダ
915 表示部
916 表示部
917 表示部
918 表示部
921 筐体
922 液晶層
923 バックライト
924 筐体
925 ドライバIC
926 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 層
956 電極
841a 期間
841b 保持期間
842a 期間
842b 保持期間
843a 期間
843b 保持期間
844a 期間
844b 保持期間
844c 消去期間
844d 非発光期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に発光層と、
前記第1の電極と前記発光層との間に誘電体層と、
を有し、
前記誘電体層は光散乱微粒子が分散されており、
前記発光層にて発光した光は前記第1の電極から取り出されることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に発光層を有し、
前記発光層はバインダと、粒子状の発光材料と、光散乱微粒子とを含み、前記バインダ中に粒子状の発光材料と光散乱微粒子が分散されており、
前記発光層にて発光した光は前記第1の電極から取り出されることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記光散乱微粒子は、有機材料又は無機材料からなり、粒径が2nm以上100nm以下の微粒子であることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の電極は透光性を有する電極であることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に、発光素子と、前記発光素子を封止するために設けられたシール材と、
を有し、
前記発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層と、
前記第1の電極と前記発光層との間に誘電体層と、を含み、
前記誘電体層は光散乱微粒子が分散されており、
前記発光層にて発光した光は前記第1の電極を介して前記第1の基板から取り出されることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に、発光素子と、前記発光素子を封止するために設けられたシール材と、
を有し、
前記発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層を含み、
前記発光層はバインダと、粒子状の発光材料と、光散乱微粒子とを含み、前記バインダ中に粒子状の発光材料と光散乱微粒子が分散されており、
前記発光層にて発光した光は前記第1の電極を介して前記第1の基板から取り出されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、
前記光散乱微粒子は、有機材料又は無機材料からなり、粒径が2nm以上100nm以下の微粒子であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか一において、
前記第1の電極は透光性を有する電極であり、
前記第1の基板は可視光に対して透過率が80%以上の基板であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8のいずれか一において、
前記シール材は前記第1の基板及び前記第2の基板の周辺部に設けられ、
前記第1の基板、前記第2の基板及び前記シール材により気密にされた前記第1の基板と前記第2の基板との間には気体が充填されていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項5乃至請求項8のいずれか一において、
前記シール材は前記第1の基板及び前記第2の基板の周辺部に設けられ、
前記第1の基板、前記第2の基板及び前記シール材により気密にされた前記第1の基板と前記第2の基板との間には樹脂が設けられていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−10402(P2008−10402A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135041(P2007−135041)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】