説明

発光組成物及びこれを用いた光源装置並びにこれを用いた表示装置

【課題】安定した発光輝度を有する発光組成物、及び、この発光組成物と青色光源を用いた光源装置、並びに、この光源装置を用いた表示装置を提供すること。
【解決手段】発光組成物38は、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(0≦x≦2)で表される組成を有し、青色光によって励起され緑色の蛍光を発光する蛍光体20の表面にガラス層22が形成されている。光源装置40は、Mg塩が添加されガラス層22が形成された第1の蛍光体20と、第2の蛍光体と、青色光を出射する青色光源28とを有し、青色光によって励起され第1の蛍光体から発光された緑色領域の蛍光、青色光によって励起され第2の蛍光体から発光された蛍光、及び、青色光が混合されて、白色光を出射する。第2の蛍光体は、緑色領域の蛍光及び青色光により励起され赤色領域の蛍光を発光するCaAlSiN3:Eu蛍光体24である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体を有する発光組成物に関し、特に、珪酸塩蛍光体の耐湿性を向上させて経時的に安定した発光輝度を有する発光組成物、及び、この発光組成物と青色光源を用いた光源装置、並びに、この光源装置を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、その構成元素の種類や組成比に応じて発光波長帯が変化する発光材料であり、所望の発光波長帯をもつ蛍光体を選択することができる。蛍光体は、液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display))、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence;電界発光)ディスプレイ等の、所謂FPD(Flat Panel Display)と呼称される薄型の表示装置への応用が検討されている。
【0003】
これらの表示装置は、通常、バックライト等の光源装置を有しており、近年、小型(小占有面積)、低消費電力、高速応答性、長寿命等の特徴を有する発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))、例えば、青色光を出射する青色LEDと、所定の波長帯の蛍光を発光する蛍光体とを組合せて白色光を出射する光源装置(白色LED)が注目されている。
【0004】
青色LEDを用いる光源装置は、赤色光、青色光、緑色光の3色のすべてをLED等の直接駆動型光源によって得る構成に比較して駆動回路を簡潔にできること、紫外光〜近紫外光を出射するLED等の励起光源とし、複数の蛍光体を用いて赤色光、青色光、緑色光を発光させる構成に比較して、光源装置を構成する部材(樹脂やLEDチップ等)の劣化を抑制できること等の利点を有している。
【0005】
青色LEDを用いる光源装置は、LCDのバックライト、装飾照明、懐中電灯、自動車のヘッドライト、医療用内視鏡の照明、外科手術用照明灯等の各種の用途に使用することが検討されている。
【0006】
LEDを用いて白色光を出射する光源装置(発光装置)には、以下の方式がある。なお、以下、明細書の記載において、「黄色領域の蛍光を発光する蛍光体」を「黄色蛍光体」と略記し、「赤色領域の蛍光を発光する蛍光体」を「赤色蛍光体」と略記し、「緑色領域の蛍光を発光する蛍光体」を「緑色蛍光体」と略記する。
【0007】
(1)青色光を出射する青色LEDによって黄色蛍光体(例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet))を励起して発光した黄色光と、青色LEDによる青色光とを混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の特許文献1を参照。)。
【0008】
(2)青色LEDによって黄色蛍光体(例えば、YAG)及び赤色蛍光体を励起して発光した黄色光、赤色光と、青色LEDによる青色光とを混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の特許文献2を参照。)。
【0009】
(3)青色LEDによって赤色蛍光体と緑色蛍光体を励起して発光した赤色光、緑色光と、青色LEDによる青色光とを混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の特許文献3、特許文献5を参照。)。
【0010】
(4)黄色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を青色LEDと組合せ、青色LEDによって励起され発光した黄色光、緑色光、赤色光と、青色LEDによる青色光とを混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の非特許文献1を参照。)。
【0011】
(5)紫外光〜近紫外光を出射するLEDによって3種類以上の蛍光体を励起して発光された赤色光、青色光、緑色光を混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の特許文献4を参照。)。
【0012】
(6)青色光を出射する青色LED、赤色光を出射する赤色LED、緑色を出射する緑色LEDの3つのLEDのそれぞれによる青色光、赤色光、緑色光を混合することによって白色光を出射する(例えば、後記の特許文献5を参照。)。
【0013】
(7)紫外光LEDによって、従来、蛍光灯用に開発されたハロ燐酸塩等の蛍光体を励起して白色光を発光させる。
【0014】
以上の各方式にはそれぞれ、長所、短所があり、例えば、前記(1)〜(4)の方式は、前記(6)の方式に比較して、構造を単純にすることができ、LEDの駆動回路を簡潔にすることができ、また、前記(5)や(7)の方式に比較して、光源装置を構成する部材(例えば、蛍光体、樹脂、LEDチップ等)の紫〜近紫外光による劣化を抑制することができる。前記(1)〜(4)の方式は、各種用途に使用される照明装置や表示装置の白色照明を実現する光源装置に適していると考えられている。
【0015】
上述した各種用途に使用される照明装置や表示装置の白色照明を実現する光源装置には、小型化、高輝度化、長寿命化、低価格化、低消費電力等が要求される。従って、例えば、蛍光体材料、封止用樹脂材料、コーティング用樹脂材料、LEDチップ材料等の光源装置を構成する各種材料の長期間にわたる、耐湿性、耐光性が要求される。
【0016】
以下、LEDを用いて白色光を出射する光源装置における耐湿性、耐光性に関する従来技術に関して説明する。
【0017】
「発光ダイオード」と題する後記の特許文献1に、以下の記載がある。
【0018】
フォトルミネセンス蛍光体の粉体を樹脂や硝子中に含有させLEDチップからの光が透過する程度に薄く形成させてもよい。同様に、フォトルミネセンス蛍光体の粉体を樹脂や硝子中に含有させLEDチップからの光が透過する程度に薄く形成させてもよい。
【0019】
「発光ダイオード」と題する後記の特許文献2に、以下の記載がある。
【0020】
発光ダイオードは、青色系の可視光を発光するLEDチップと、黄色系の可視光を発光するYAG蛍光体と、赤色系の可視光を発光する赤色蛍光体とを備え、前記青色系可視光、黄色系可視光、赤色系可視光とを混色させて白色光を放射するよう構成されていることを特徴とする。
【0021】
発光ダイオードは、YAG蛍光体と共に赤色蛍光体を備えているので、前記赤色蛍光体から放射される赤色可視光によって、YAG蛍光体の赤色成分の不足を補うことができ、発光ダイオードの演色性を向上させることができる。
【0022】
図14(A)、図14(B)、図14(C)、図14(D)はそれぞれ、特許文献2に記載の図1、図2、図3、図4であり、LEDを説明する図である。図14(A)は第1のLEDの概略断面図、図14(B)は第2のLEDの概略断面図、図14(C)はガラスで被覆された赤色蛍光体の一例を示す拡大概略断面図、図14(D)はガラスで被覆されたYAG蛍光体及び赤色蛍光体の一例を示す拡大概略断面図である。
【0023】
図14(A)は、第1のLED110を示す概略断面図であり、この第1のLED110は、LEDチップ搭載用の第1のリードフレーム112の先端部112aに、その底面から上方に向かって孔径が徐々に拡大する略漏斗形状の凹部を設けると共にこの凹部内面を反射面と成してリフレクタ114を形成し、このリフレクタ114の底面上に、青色系の可視光を発光するLEDチップ116をAgペースト等を介してダイボンドにより接続固定し、以て、前記第1のリードフレーム112と、LEDチップ116底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。
【0024】
また、第2のリードフレーム118の先端部118aと、前記LEDチップ116上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ120を介して電気的に接続して成る。前記LEDチップ116は、410nm〜490nm波長の青色又は青紫等の青色系の可視光を発光し、例えば、窒化ガリウム系半導体結晶で構成されている。
【0025】
前記LEDチップ116の上面及び側面は、リフレクタ114内に充填されたコーティング材122によって被覆・封止されている。このコーティング材122は、透光性を有するガラス等の無機材料で構成されている。エポキシ樹脂等の有機材料と異なり、ガラス等の無機材料は、エネルギーの大きい短波長光を殆ど吸収することがなく、また、短波長光を吸収したとしても、分子結合力が強いため劣化することが殆どない。
【0026】
このため、LEDチップ116を被覆するコーティング材122を無機材料で構成することにより、LEDチップ116から放射されるエネルギーの大きい短波長光によるコーティング材122の劣化・変色が防止され、コーティング材122の劣化・変色に起因するLED110の光度減少や色調変化を生じることがない。
【0027】
また、前記コーティング材122中には、LEDチップ116の発光を約560nm〜約590nm程度の黄色系の可視光に変換するYAG蛍光体124と、LEDチップ116の発光を約600nm〜約780nmの赤色系の可視光に変換する赤色蛍光体126が分散状態で多数混入されている。前記YAG蛍光体124としては、例えば、(Y,Gd)3Al512:Ce、Y3Al512:Ce等が該当する。
【0028】
また、前記赤色蛍光体126としては、例えば、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Ag,Cl、ZnS:Mn、CaS:Eu等の硫化物系の蛍光体が好適である。前記硫化物系の蛍光体は、構成成分の割合を変化させることで、赤、緑、青等広範囲の発光波長を容易に得ることができる蛍光体である。
【0029】
前記コーティング材122を無機材料としてのガラスで構成する場合には、比較的低温でのガラス合成が可能なゾルゲル法を用いて作製される、いわゆるゾルゲルガラスを用いることができる。
【0030】
前記コーティング材122で被覆されたLEDチップ116、第1のリードフレーム112の先端部112a及び端子部112bの上端、第2のリードフレーム118の先端部118a及び端子部118bの上端は、先端に凸レンズ部128を有するエポキシ樹脂等より成る透光性樹脂材130によって被覆・封止されている。
【0031】
また、前記第1のリードフレーム112の端子部112b及び第2のリードフレーム118の端子部118bの下端は、透光性樹脂材130の下端部を貫通して透光性樹脂材130外部へと導出されている。
【0032】
図14(B)は、第2のLED132を示す概略断面図であり、この第2のLED132は、前記赤色蛍光体126を(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Ag,Cl、ZnS:Mn、CaS:Eu等の硫化物系の蛍光体で構成すると共に、透光性を有する耐湿材としての非透水性のガラス134によって、前記赤色蛍光体126を被覆した点に特徴を有するものである。
【0033】
即ち、図14(C)に拡大して示すように、硫化物系の赤色蛍光体126がガラス134によって被覆されている。尚、赤色蛍光体126をガラス134で被覆する場合、1つのガラス134で被覆される赤色蛍光体126の数は種々異なるものである。
【0034】
尚、図14(D)に示すように、YAG蛍光体124及び赤色蛍光体126を、共にガラス134で被覆し、斯かるガラス134で被覆されたYAG蛍光体124及び赤色蛍光体126をコーティング材122中に混入するようにしてもよい。
【0035】
第2のLED132において、硫化物系の蛍光体で構成された赤色蛍光体126をガラス134で被覆したのは、この赤色蛍光体126の耐湿性を向上させるためである。即ち、硫化物系の蛍光体は、構成成分の割合を変化させることで広範囲の発光波長を容易に得ることができるという利点を有する一方で、耐湿性に劣るという欠点があった。
【0036】
このため、硫化物系の蛍光体を用いたLEDが高湿環境下等で使用されると、前記硫化物系の蛍光体が、透光性樹脂材の表面等から内部へ浸入した空気中の水分及びLEDチップの光と反応して光分解し、表面に亜鉛金属等の構成金属元素を析出して黒色等に変色劣化してLEDの輝度低下を招来することがあった。
【0037】
そこで、第2のLED132にあっては、硫化物系の蛍光体で構成された赤色蛍光体126を、耐湿材としての非透水性のガラス134で被覆することにより、第2のLED132内部に浸入してきた水分が赤色蛍光体126に付着することを防止し、以て、硫化物系の蛍光体で構成された赤色蛍光体126の水分劣化に起因する輝度低下を防止しているのである。
【0038】
「発光ダイオード」と題する後記の特許文献4に、以下の記載がある。
【0039】
発光ダイオードは、LEDチップと、赤色発光用の蛍光体粒子と、緑色発光用の蛍光体粒子と、青色発光用の蛍光体粒子と、蛍光ガラスとを備えた発光ダイオードであって、前記蛍光ガラスは、前記赤色発光用の蛍光体粒子、緑色発光用の蛍光体粒子、青色発光用の蛍光体粒子の中で、他の蛍光体粒子より発光輝度の低い蛍光体粒子の発光色と、同一若しくは同等の発光色を有することを特徴とする。
【0040】
基体の一面上に前記LEDチップを配置し、このLEDチップを、前記蛍光ガラスで構成されたコーティング材で被覆すると共に、このコーティング材中に、前記赤色発光用の蛍光体粒子、緑色発光用の蛍光体粒子、青色発光用の蛍光体粒子を混入して前記発光ダイオードを構成することができる。
【0041】
また、基体の一面上に前記LEDチップを配置し、このLEDチップを、透光性を備えたコーティング材で被覆すると共に、このコーティング材中に、前記蛍光ガラスで被覆された赤色発光用の蛍光体粒子、前記蛍光ガラスで被覆された緑色発光用の蛍光体粒子、前記蛍光ガラスで被覆された青色発光用の蛍光体粒子を混入して前記発光ダイオードを構成してもよい。
【0042】
「発光素子」と題する後記の特許文献6に、以下の記載がある。
【0043】
特許文献6の発明の目的は、発光ダイオード及び蛍光層が設けられた耐用年数が向上した発光素子を提供することである。
【0044】
この目的は、少なくとも1個の発光ダイオード及び蛍光層を設け、この蛍光体が、コーティングを有する少なくとも一つの蛍光体を具えることを特徴とする発光素子によって達成される。空気中の水分によって生じる劣化は、高密度の耐水フィルムを有する蛍光体粒子のコーティングによって防止される。
【0045】
好適には、前記コーティングを、有機材料、無機材料及びガラス材料からなる群から選択する。更に好適には、前記有機材料を、ラテックス及びポリオルガノシロキサンからなる群から選択する。更に好適には、前記ガラス材料を、ホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩からなる群から選択する。更に好適には、前記無機材料を、酸化物、ホウ酸塩、リン酸塩及びこれら材料の組合せからなる群から選択する。
【0046】
これら有機材料、ガラス材料及び無機材料は、蛍光体粒子に対して肉薄で水に対して不溶性のコーティングを形成し、そのコーティングは蛍光体と反応せず、且つ、UV放射、即ち、410−450nmの波長を有する放射によって劣化されない。更に、コーティングは無色であり、従って、蛍光体の色の値に影響を及ぼさない。
【0047】
図15は、特許文献6に記載の図1であり、発光素子を示す図である。
【0048】
図15に示すように、発光素子101は、最も簡単な場合において、UV放射又は青色光を発するダイオード103と、ダイオード103に設けられた蛍光層102とを具える。蛍光層102は、耐水コーティングを行った蛍光体104を有する透明層105を具える。透明層105の材料を、例えば、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリスチロール(polystyrol)、エポキシ樹脂(epoxide resin)、ポリプロピレン、ポリカーボネート又は他の一部の重合体とすることができる。
【0049】
大量生産される製品のような発光素子101は、通常、エポキシ樹脂のレンズが成形されるエポキシハウジング106によって保護される。このレンズは、発光素子101からの光の案内を向上させる役割を果たす。蛍光層102を透明層105とエポキシハウジング106との間に設けてもよい。蛍光層102を、エポキシハウジング106の外側のコーティングとして設けることもできる。
【0050】
これらの場合において、蛍光層102は、コーティングを設けた蛍光体104を具える蛍光体混合物(phosphor)を含む。他の実施の形態では、蛍光層102がエポキシ樹脂から形成され、蛍光体104にコーティングを設ける。特許文献6の実施の形態では、蛍光層102はエポキシハウジング106を形成する。
【0051】
蛍光層102で使用される蛍光体を、例えば、酸化蛍光体、硫化蛍光体、アルミン酸蛍光体、ほう酸蛍光体、バナジン酸蛍光体又は珪酸蛍光体とする。蛍光体104の粒子は、肉薄で平坦な耐水層によって被覆される。耐水コーティングの層の厚さは、通常、0.001−0.2μmであり、従って、非常に薄いので、光子が、エネルギーをほとんど損失することなく層を通過することができる。
【0052】
以上が、LEDを用いて白色光を出射する光源装置における耐湿性、耐光性に関する従来技術に関する説明である。
【0053】
珪酸塩蛍光体の中で、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する蛍光体は、青色領域〜近紫外の光で励起されて青緑色領域〜黄色領域の蛍光を発生する蛍光体であり、近年、白色LEDへの応用も期待されている。
【0054】
以下、光源装置に使用される珪酸塩蛍光体に関して説明する。
「液晶ディスプレイ」と題する後記の特許文献7、「半導体発光素子ユニット」と題する後記の特許文献8には、紫外線により励起され、緑の光を生成することができる波長変換材料として、組成(SrBaMg)2SiO4:Euのユーロピウム活性化アルカリ土類珪酸塩蛍体の記載がある。
【0055】
「蛍光体及びそれを用いた発光装置」と題する後記の特許文献9に、以下の記載がある。
【0056】
(a)組成式:(BaaCabSrcMgdEux)SiO4で表されるユーロピウム付活アルカリ土類金属珪酸塩よりなる蛍光体において、この組成式中、係数a、b、c、d及びxが、a+b+c+d+x=2、0<a<2、0<b<2、0≦c<1.0、0≦d<0.9、0<x≦0.5を満足し、且つ、全Euイオンの50%以上がEu2+イオンであることを特徴とする蛍光体。(b)青色ないし緑色に発光することを特徴とする(a)に記載の蛍光体。
【0057】
「半導体発光装置」と題する後記の特許文献10に、以下の記載がある。
【0058】
(Me1-yEuy2SiO4(Meは、Ba、Sr、Ca、Mgから選ばれる少なくとも一つの元素、0<y≦1)なる共通の化学組成式で表される珪酸塩蛍光体により、黄色蛍光体と及び橙色蛍光体とをそれぞれに構成する。
【0059】
【特許文献1】特許第2927279号公報(段落0019〜0021)
【特許文献2】特開2004−152993号公報(段落0007〜0008、段落0011〜0017、段落0021〜0023、段落0029、図1〜図4)
【特許文献3】特表2004−505172号公報(段落0006〜0021)
【特許文献4】特開2004−88011号公報(段落0007〜0010、段落0014〜0020、段落0024、段落00030〜0031、図1〜図4)
【特許文献5】特開2001−184921号公報(段落0020〜0023、段落0038〜0041)
【特許文献6】特開2002−223008号公報(段落0006〜0013、段落0023〜0024、段落0028〜0029、図1)
【特許文献7】特開2006−91896号公報(段落0014)
【特許文献8】特開2006−93711号公報(段落0051)
【特許文献9】特開2007−23129号公報(段落0008〜0009)
【特許文献10】特開2007−59898号公報(段落0012)
【非特許文献1】広崎他、「照明用白色LED」、フジクラ技報、第109号、pp.1-4(2005)(5.窒化物蛍光体を用いた白色LEDの発光特性)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0060】
従来、青色LEDから出射される青色光と、この青色光によって蛍光体を励起し発光した蛍光とを混合させて白色光を出射する光源装置の耐湿性の対策のために、耐湿性の高いと考えられている酸化物蛍光体、窒化物蛍光体の使用、耐湿性向上のためのコーティングを施した硫化物蛍光体の使用が検討されてきている。
【0061】
硫化物蛍光体の耐湿性の改善のためのコーティングには種々の検討が行われているが、コーティングによる耐湿性の改善を示す具体的なデータに関する報告は少ない。また、従来、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体は安定性が高いと考えられており、これらの蛍光体について、実際にコーティングを行って耐湿性を改善したという具体的な結果に関する報告は見当たらない。
【0062】
青色LEDの青色出射光による複数種類の蛍光体の励起によって発光され異なる蛍光波長(色)をもつ蛍光と、青色出射光との混合によって白色光を出射する光源装置(白色LED)を、長時間にわたって安定して駆動させることを可能とするために、蛍光体の耐湿性の改善は、光源装置を構成する部材の耐光性の改善と共に、非常に重要である。蛍光体が温度、湿度、紫外線等によって、その発光強度が経時的に変化すると、光源装置の出射光の発光輝度が経時的に変化し、しかも、光源装置の出射光の発光スペクトルも経時的に変化して、光源装置によって出射される白色光の色度が変化し、演色性が低下するという問題を生じてしまう。
【0063】
SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する珪酸塩蛍光体は、青色領域の光による励起効率が、近紫外光による励起効率に比較して極端に低いという問題があり、SrxBa2-xSiO4:Euを青色領域の光によって励起する光源装置では、青色領域の光による励起の効率向上が強く求められている。
【0064】
また、SrxBa2-xSiO4:Euの耐湿性に関する信頼性に関しては、これまで検討がなされていない。
【0065】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、珪酸塩蛍光体の耐湿性を向上させて経時的に安定した発光輝度を有する発光組成物、及び、この発光組成物と青色光源を用いた光源装置、並びに、この光源装置を用いた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0066】
即ち、本発明は、マグネシウム塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有し、青色光によって励起され緑色領域の蛍光を発光する蛍光体の表面に少なくとも珪素(Si)及び酸素(O)を含むガラス層が形成された発光組成物に係るものである。
【0067】
また、本発明は、前記発光組成物であって、前記蛍光体を第1の蛍光体とする第1の発光組成物と、第2の蛍光体を含む第2の発光組成物と、青色光を出射する青色光源とを有し、前記青色光によって励起された前記第1の蛍光体から発光された緑色領域の蛍光、前記青色光によって励起された前記第2の蛍光体から発光された蛍光、及び、前記青色光が混合されて白色光を出射する光源装置に係るものである。
【0068】
また、本発明は、前記光源装置を有し、この光源装置は、複数の画素が配列された画素部を照射する表示装置に係るものである。
【発明の効果】
【0069】
本発明の発光組成物によれば、マグネシウム塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有し、青色光によって励起され緑色領域の蛍光を発光する蛍光体の表面に少なくとも珪素(Si)及び酸素(O)を含むガラス層が形成されているので、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)蛍光体に添加されたマグネシウム(Mg)塩によって励起効率の向上が図られ、表面に形成された不透湿性の透明な前記ガラス層によって、湿度による特性劣化を抑制することができ、前記青色光によって励起され発光される緑色領域の蛍光の強度の低下を抑制することができ、耐湿性に優れ、経時的に安定した発光輝度を有する発光組成物を提供することができる。また、前記発光組成物と青色光を出射する青色光源と組合せることによって、優れた性能を有する光源装置を実現することができる。
【0070】
本発明の光源装置によれば、前記発光組成物であって、前記蛍光体を第1の蛍光体とする第1の発光組成物と、第2の蛍光体を含む第2の発光組成物と、青色光を出射する青色光源とを有し、前記青色光によって励起された前記第1の発光組成物から発光された緑色領域の蛍光、前記青色光によって励起された前記第2の発光組成物から発光された蛍光、及び、前記青色光が混合されて白色光を出射する構成を有するので、前記第1の発光組成物は、前記第1の蛍光体に添加されるMg塩によって励起効率が向上し、前記第1の発光組成物の表面に不透湿性の前記ガラス層が形成されているので、前記第1の発光組成物の湿度による特性劣化を抑制することができ耐湿性に優れており、前記青色光によって前記第1の発光組成物が励起され発光される前記緑色領域の蛍光の強度の低下を抑制することができ、耐湿性に優れ経時的に安定した発光輝度と色度を有する白色光を出射することができ、優れた発光性能を有する光源装置を提供することができる。また、前記第1の発光組成物と前記第2の発光組成物の混合比を変更することによって、容易に、任意の所望の色度を有する光源装置を提供することができる。
【0071】
本発明の表示装置によれば、前記光源装置を有し、この光源装置は、複数の画素が配列された画素部を照射するので、前記第1の発光組成物の湿度による特性劣化が抑制され安定した表示を行うことができ、耐湿性に優れ経時的に安定した輝度と色度を有する表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
本発明の発光組成物では、前記マグネシウム塩として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウムの少なくとも1つを含む構成とするのがよい。この構成によれば、前記蛍光体に前記マグネシウム塩を添加することによって、前記蛍光体単体以上の発光強度を有する発光組成物を得ることができる。
【0073】
また、励起スペクトルに関する(波長450nmでの強度)/(波長370nmでの強度)の値が0.67以上、0.83以下である構成とするのがよい。この構成によれば、発光組成物の励起スペクトルと前記蛍光体単体の励起スペクトルとを比較すると、発光組成物の励起スペクトルに関する(励起波長450nmでの励起強度)/(励起波長370nmでの励起強度)の値は、前記蛍光体単体の励起スペクトルに関する(励起波長450nmでの励起強度)/(励起波長370nmでの励起強度)の値よりも大きな値となっており、前記蛍光体単体よりも励起波長450nmでの励起効率が向上した、優れた発光特性を有する発光組成物を得ることができる。
【0074】
また、励起スペクトルに関する波長450nmでの強度が、単体の前記蛍光体における波長450nmでの強度に比較して、1.5倍以上、2.1倍以下である構成とするのがよい。この構成によれば、前記マグネシウム塩の添加の有無によって、励起スペクトルの形状が変わり、励起波長370nmでの励起効率、励起波長450nmでの励起効率が、共に前記蛍光体単体よりも向上した、優れた発光特性を有する発光組成物を得ることができる。
【0075】
また、前記マグネシウム塩の添加量が、前記蛍光体100molに対して1mol以上、30mol以下の割合である構成とするのがよい。この構成によれば、前記蛍光体単体の2倍以上の発光強度を有する発光組成物を得ることができる。
【0076】
また、前記マグネシウム塩の添加量が、前記蛍光体100molに対して3mol以上、15mol以下の割合である構成とするのがよい。この構成によれば、前記蛍光体単体の2.3倍以上の発光強度を有する発光組成物を得ることができる。
【0077】
また、Euの濃度が1mol%以上、9mol%以下である構成とするのがよい。この構成によれば、良好な発光強度を有する発光組成物を提供することができる。
【0078】
また、Euの濃度が2mol%以上、5mol%以下である構成とするのがよい。この構成によれば、より良好な発光強度を有する発光組成物を提供することができる。Euの濃度が、2mol%未満、5mol%を超えた濃度である場合には、発光強度が低下してしまい、良好な発光強度を得ることができない。
【0079】
本発明の光源装置では、前記第2の発光組成物は、前記緑色領域の蛍光及び前記青色光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する蛍光体である構成とするのがよい。この構成によれば、前記第1の発光組成物の表面に前記ガラス層が形成されているので、前記第1の発光組成物の湿度による特性劣化を抑制することができ、前記青色光による前記第1の発光組成物の励起により発光された前緑色領域の蛍光による前記第2の発光組成物の励起により発光された前記赤色領域の蛍光の強度の低下を抑制することができる。前記緑色領域の蛍光強度の劣化が抑制されるので、前記緑色領域の蛍光によって前記第2の発光組成物から励起される前記赤色領域の蛍光強度が低下しないので、前記青色光、前記緑色領域の蛍光、前記赤色領域の混合によって、経時的に安定した発光輝度と色度を有する白色光を出射することができ、優れた発光性能を有する光源装置を提供することができる。
【0080】
また、前記第2の蛍光体は、CaAlSiN3:Euである構成とするのがよい。この構成によれば、CaAlSiN3:Euは耐湿性に優れているので単体で使用することができる。
【0081】
また、前記第2の蛍光体の表面に前記ガラス層が形成されている構成とするのがよい。この構成によれば、前記第2の蛍光体の耐湿性が良好でない場合、前記第2の蛍光体の耐湿性を向上させることができる。
【0082】
本発明の表示装置では、前記光源装置は前記画素部をその背面から照射するバックライトである構成とするのがよい。この構成によれば、この光源装置を液晶ディスプレイのような表示装置のバックライト装置として使用することができ、表示装置が置かれた環境の湿度履歴によらず経時的に安定した輝度と色度を有し、優れた性能を有する表示装置を提供することができる。
【0083】
本発明の発光組成物の製造方法は、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する蛍光体を調整する第1の工程と、前記蛍光体にマグネシウム塩を添加する第2の工程と、前記マグネシウム塩が添加された前記蛍光体の表面全体を覆うガラス層を形成する第3の工程とを有する。
【0084】
前記第2の工程において、前記マグネシウム塩として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウムの少なくとも1つを、前記蛍光体100molに対して40mol以下、好ましくは30molの割合で添加する。前記第3の工程において、前記ガラス層をゾルゲル法によって形成する。
【0085】
以下、図面を参照しながら本発明による実施の形態について詳細に説明する。
【0086】
各種用途の照明装置として使用される光源装置には、経時的に安定した発光輝度と色度を保持することが要求され、温度、湿度等の変化する環境条件において、発光輝度と色度安定し演色性が一定に保持された白色光の出射が要求される。
【0087】
一般に、光源装置は、常温常湿での信頼性試験に加えて、例えば、温度60℃以上且つ湿度90%RH(Relative Humidity)以上等のより厳しい条件下での信頼性試験をクリアする必要がある。
【0088】
本発明による発光組成物は、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)の組成を有する蛍光体(Eu活性化アルカリ土類珪酸塩蛍光体)と、この蛍光体に添加されるMg塩とを有し、発光組成物の表面に珪素(Si)及び酸素(O)を有するガラス層が形成されている。この発光組成物は、青色領域の光によって励起され緑色領域の蛍光を発光し、Euの濃度は、1mol%以上、9mol%以下であり、好ましくは、2mol%以上5mol%以下である。マグネシウム系添加物であるMg塩の添加量は上記蛍光体100molに対して、1mol以上、30mol以下の割合であり、好ましくは、3mol以上、15mol以下の割合である。Mg塩として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウムの少なくとも1つを含む。この発光組成物の励起スペクトルに関する(励起波長450nmでの強度)/(励起波長370nmでの強度)の値が0.67以上、0.83以下であり、励起スペクトルに関する励起波長450nmでの強度が、単体の前記蛍光体における波長450nmでの強度に比較して、1.5倍以上、2.1倍以下である。
【0089】
本発明による光源装置は、上記の発光組成物であって、上記蛍光体を第1の蛍光体とする第1の発光組成物と、第2の蛍光体を含む第2の発光組成物と、青色領域の光を出射する青色光源とを有し、青色領域の光によって励起された第1の発光組成物から発光された緑色領域の蛍光、青色領域の光によって励起された第2の発光組成物から発光された蛍光、及び、青色領域の光が混合されて白色光を出射する。第2の発光組成物は、緑色領域の蛍光及び青色領域の光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する第2の蛍光体を含み、第2の蛍光体は、例えば、CaAlSiN3:Euである。この第2の蛍光体の表面に上記ガラス層を形成してもよい。
【0090】
本発明によれば、珪酸塩蛍光体の耐湿性を向上させて経時的に安定した発光輝度を有する発光組成物、及び、この発光組成物と青色光源を用いた光源装置、並びに、この光源装置をバックライト装置として用いた表示装置を提供することができる。
【0091】
図1は、本発明の実施の形態における、発光組成物とこれを用いた光源装置を説明する断面図であり、CaAlSiN3:Euと、表面にガラス層が形成された蛍光体(マグネシウム系添加物であるMg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。))を用いた光源装置(白色LED)を説明する図である。以下、発光組成物、光源装置について、説明する。
【0092】
本実施の形態による光源装置40は、青色領域の光を出射する青色LED28と、第1の発光組成物38と、第2の発光組成物24とを有する。
【0093】
第1の発光組成物38は、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(第1の蛍光体(緑色蛍光体、但し、0≦x≦2である。)20の粒子の表面全体に珪素(Si)及び酸素(O)を含む透明な不透湿性のガラス層22が形成された構成を有している。第1の発光組成物38は、青色LED28から出射される青色領域の光によって励起され緑色領域の蛍光を発光する。
【0094】
例えば、第1の発光組成物38は、組成SrxBa2-xSiO4:Euにおいて、x=1.0とし、Euの濃度が3mol%である組成SrBaSiO4:Euを有する蛍光体と、この蛍光体100molに対して、1mol以上、30mol以下の割合、好ましくは3mol以上、15mol以下の割合で添加されるMg塩(例えば、塩化マグネシウム)とを有し、この組成物の粒子の表面全体はガラス層22によって覆われている。
【0095】
第2の発光組成物は、第2の蛍光体(赤色蛍光体:CaAlSiN3:Eu)24単体によって構成され、第2の蛍光体24は上記青色領域の光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する。また、図1に示すように、第2の蛍光体24は、第1の発光組成物38から発光する緑色領域の蛍光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する。
【0096】
上述の第1の発光組成物38と第2の発光組成物(第2の蛍光体24)を、所定の重量比(例えば、95:5とする。)で混合して透明樹脂中に分散させた後に、青色LED28上にポッティングして白色LED40を構成した。
【0097】
光源装置40は、青色LED28から出射された青色領域の光、第1の発光組成物38から発光された緑色領域の蛍光、第2の発光組成物から発光された赤色領域の蛍光が混合されて白色光を出射する白色LEDである。
【0098】
図1に示すように、青色LED28の電極が基板34の駆動用電極30、32に接続され、青色LED28は基板34に搭載されている。青色LED28は、凹部を有しその内面が反射面をなすパッケージ36の凹部の底部に配置されている。パッケージ36はリフレクタを兼ねている。
【0099】
青色LED28は、第1の発光組成物38と、CaAlSiN3:Eu(第2の発光組成物)24とが分散されている透明樹脂26によって覆われている。
【0100】
透明樹脂26として、エポキシ、シリコーン、ウレタンの他、様々の透明樹脂を用いることができる。
【0101】
青色LED28は、例えば、GaN系半導体、ZnO半導体等によって構成される。青色LED28から出射された青色領域の光、緑色領域の蛍光、赤色領域の蛍光の混合によって、光源装置40から白色光が出射されるが、この白色光の色度は、透明樹脂26に分散された第1の発光組成物38、CaAlSiN3:Eu(第2の発光組成物)24の混合比によって、任意に設定することができる。
【0102】
本実施の形態による白色LEDは、形態電話、ゲーム機器等の携帯型電子機器、及び、テレビジョン、パソコン等の液晶表示装置のための照明装置として使用される。図1には、面発光型の光源装置を示したが、砲弾型、端面発光型の光源装置とすることもできる。
【0103】
本実施の形態では、第1の発光組成物38は、Mg塩が添加された第1の蛍光体粒子(緑色蛍光体20)とその表面に形成されたガラス層22から構成され優れた耐湿性を有しているので、緑色蛍光体20の湿度による特性劣化を抑制することができ、緑色蛍光体20から発光する緑色領域の蛍光により励起され第2の蛍光体(赤色蛍光体24)から発光する赤色領域の蛍光の強度の低下を抑制することができ、赤色蛍光体24からの赤色領域の蛍光の発光効率の低下を抑制することができるので、経時的に安定した発光輝度と色度をもつ白色光を出射する光源装置40、及び、これを有する表示装置を実現することができる。
【0104】
なお、緑色蛍光体として、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)の他に珪酸塩蛍光体(Eu活性化(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4蛍光体)を使用することもできる。また、赤色蛍光体として、CaAlSiN3:Euの他に硫化物蛍光体等を使用することができ、赤色蛍光体の表面にガラス層22を形成してもよい。
【0105】
なお、本実施形態に係る光源装置40では、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する蛍光体にMg塩が添加され、表面にガラス層22が形成されて、発光組成物38が構成されているが、この構成により、近紫外光,青色領域共に励起の向上が図られており、近紫外光による励起よりも青色領域の光による励起に対する励起効率の向上が図られている。
【0106】
このような、青色領域の光による励起効率の向上が図られた発光組成物38によれば、発光組成物38の主たる成分である蛍光体が単体ではなし得なかった、優れた発光特性を得ることが可能となる。
【0107】
図2は、本発明の実施の形態における、光源装置とこれを用いた表示装置の構成を説明する断面図である。
【0108】
本実施の形態における表示装置1は、光学装置3としての液晶装置とを備え、この液晶装置に対する光源装置2をバックライト装置としている。
【0109】
図2に示すように、光源装置2の透明樹脂によって構成される導光部7内には、例えば、青色LEDによる青色光源を覆うようにこの光源の表面に、多数の蛍光体粒子が分散された透明樹脂が塗布されて構成される白色LED、例えば、図1において説明したような面発光型白色LEDが、発光体6として設けられている。
【0110】
導光部7を構成する樹脂は、エポキシ、シリコーン、ウレタンの他、様々の透明樹脂を用いることができる。また、発光体6を構成する青色光源の形状も、側面発光型(サイドエミッタータイプ)や砲弾タイプ等、様々な種類のものから適宜選択して用いることができる。
【0111】
光源装置2の光学装置3に対向する最近接部には、拡散シート9が設けられている。この拡散シート9は、青色光源の出射光やこの出射光によって励起された各蛍光体からの蛍光を、光学装置3側へ面状に均一に導くものである。光源装置2の裏面側にはリフレクタ4が設けられており、更に、必要に応じてリフレクタ4と同様のリフレクタ5が、導光部7の側面にも設けられている。
【0112】
光学装置3は、光源装置2の発光に対して変調を施すことにより所定の出力光を出力する液晶装置である。この光学装置3において、光源装置2に近い側から、偏向板10と、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)用のガラス基板11及びその表面に形成されたドット状電極12と、液晶層13及びその表裏面に被着された配向膜14と、電極15と、電極15上に形成された複数のブラックマトリクス16と、このブラックマトリクス16の間に設けられる画素に対応した第1カラーフィルタ(赤色フィルタ)17a、第2カラーフィルタ(緑色フィルタ)17b、第3カラーフィルタ(青色フィルタ)17cと、ブラックマトリクス16及びカラーフィルタ17a〜17cと離れて設けられたガラス基板18と、偏向板19とが、この順に配置されている。
【0113】
偏向板10、19は、特定の方向に振動する光を形成するためのものである。TFTガラス基板11とドット電極12及び電極15は、特定の方向に振動している光のみを透過する液晶層13をスイッチングするために設けられるものであり、配向膜14が併せて設けられることにより、液晶層13内の液晶分子の傾きが一定の方向に揃えられる。ブラックマトリクス16により、各色に対応するカラーフィルタ17a〜17cから出力される光のコントラストの向上が図られている。これらのブラックマトリクス16及びカラーフィルタ17a〜17cは、ガラス基板18に取着される。
【0114】
発光体6を構成する蛍光体のうち、青色領域の光によって励起され緑色領域の蛍光を発光する緑色蛍光体(青緑色蛍光体又は緑色蛍光体)としてアルカリ土類珪酸塩蛍光体が用いられ、このアルカリ土類珪酸塩蛍光体の表面に、珪素(Si)及び酸素(O)を含むガラス層が形成されている。青色領域の光によって励起される緑色蛍光体の例としては、図1において説明したような、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)等が挙げられる。この他に、第1の蛍光体(緑色蛍光体)として、SrGa24:Eu、SrSi222:Eu、Eu付活βサイアロン系緑色蛍光体、Yb付活αサイアロン蛍光体、Ca3Sc2SiO312:Ce、Y3(Al,Ga)512:Ce等も使用することができる。
【0115】
発光体6を構成する蛍光体のうち、青色領域の光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する赤色蛍光体の例としては、図1において説明したような、窒化物蛍光体CaAlSiN3:Eu等が挙げられる。この他に、第2の蛍光体(赤色蛍光体)として、(Ca,Sr)S:Eu、Ca2Si58:Eu、K2SiF6:Mn、K2GeF6:Mn、K2TiF6:Mn、CaAl1219:Mn、CaSiN2:Eu、SrCaAlSiN3:Eu、βジケトン配位子を有するEu錯体等も使用することができる。
【0116】
なお、緑色蛍光体として、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)の他に珪酸塩蛍光体(Eu活性化(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4蛍光体)を使用することもできる。また、赤色蛍光体として、CaAlSiN3:Euの他に硫化物蛍光体等を使用することができ、赤色蛍光体の表面にガラス層22を形成してもよい。
【0117】
本実施形態におけるように、表示装置1等の内部で光源装置2を構成するにあたって、全ての色をLED等の直接駆動型光源によって得る構成を回避することによって、光源装置2の駆動回路を簡潔化することができること、近紫外光〜紫外光を励起光として用いる構成を回避することによって、周辺部材(樹脂やLEDチップ等)の近紫外光〜紫外光による劣化を抑制することができること等に加えて、優れた発光特性を有する発光組成物38により、光源装置2の光学特性向上を図ることができる。
【0118】
以上説明した構成による光源装置2においては、青色光源から出射する青色領域の光、この青色領域の光によって緑色蛍光体が励起され発光する緑色領域の蛍光、及び、上記青色領域の光によって赤色蛍光体が励起され発光する赤色領域の蛍光の混合によって、光源装置2全体から出射される白色色度が規定され、目的とする色に対応する光の出力が可能である。
【0119】
本実施形態の光源装置2、表示装置1では、緑色蛍光体粒子の表面がガラス層によって被覆されているため、緑色蛍光体と大気中の水分との反応を遅延させることができ、緑色蛍光体の湿度による特性劣化を抑制して耐湿性を向上させることができ、白色LEDを液晶装置3のバックライトとして安定した表示を行うことができる高信頼性の表示装置を実現することができる。
【0120】
図3は、本発明の実施の形態における、発光組成物の製造工程を示す図である。
【0121】
図3に示す発光組成物の製造工程は、蛍光体の調整工程、蛍光体への添加物の添加工程、添加物が添加された蛍光体の表面へのガラス層の形成工程からなっている。
【0122】
蛍光体の調整工程の概要は次の通りである。目的とする蛍光体を構成するストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ユーロピウム(Eu)のそれぞれの原料として、Sr源化合物、Ba源化合物、Si源化合物、Eu源化合物を用いる。Sr源化合物、Ba源化合物として、例えば、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩等を使用することができる。Si源化合物として、例えば、SiO2、H4SiO4、Si(OCOCH3)等を使用することができる。Eu源化合物として、例えば、酸化物、塩化物、硫酸塩、硫化物等を使用することができる。
【0123】
SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される所定の化学量論比の組成となる原料比で、Sr源化合物、Ba源化合物、Eu源化合物を順次混合する(工程S1)。
【0124】
工程S1で調整された混合物をアルコール等の有機溶媒中で回転ボールミル処理等によって、湿式攪拌混合する(工程S2)。
【0125】
工程S2による湿式攪拌混合物を濾過して、濾過残渣を乾燥させた後、乳鉢等を用いて粉砕して、中間体を調整する(工程S3)。
【0126】
工程S2で調整された中間体を石英管中に配置して、石英管に所定のガスを流して所定の温度範囲の温度で焼成処理(工程S4)して、目的とする組成を有する蛍光体SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)を調整することができる。
【0127】
次に、上述の調整工程で得られた蛍光体に所定の添加物を添加する(工程S5)。この添加工程では、添加物として、例えば、マグネシウム(Mg)塩、バリウム(Ba)塩等を添加してボールミル、乳鉢等を用いて混合する。Mg塩、Ba塩として、例えば、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、フッ化物を使用する。
【0128】
本実施形態では、以下のようにして蛍光体を調整した。工程1において、Ba源化合物、Sr源化合物としてそれぞれ、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)を使用し、Eu源化合物として酸化ユーロピウム(Eu23)、Si源化合物として二酸化ケイ素(SiO2)を使用した。Eu源化合物は、1mol%〜9mol%となるように加えた。
【0129】
なお、最終的に得た発光組成物は、Eu濃度を2mol%〜5mol%とした場合に、最終的に得る発光組成物の特性(発光強度)が特に良好であった。これは、Euが蛍光体において発光中心として働くため、少なすぎると発光強度が低下し、また多すぎると濃度消光という現象により発光強度が低下することによると考えられる。
【0130】
工程S2において、工程S1で調整された混合物の重量20gを容積500mLのポリ容器に移し、エタノール200mLと5mmφアルミナボール100gを加え、3時間回転ボールミル処理(攪拌)を行った。
【0131】
工程S3において、回転ボールミル処理物を濾過し、最終的な試料の前駆体となる濾過残渣を50℃の空気雰囲気中で2時間乾燥させた後、アルミナ製乳鉢で粉砕して中間体として得た。
【0132】
工程S4において、この中間体を石英管の中に配置し、4%の水素ガスを含む窒素ガスを10〜1000mL/minの流量で石英管の中に流し込み、1000℃〜1400℃で焼成処理して、最終的に得る発光組成物の主たる成分となる蛍光体を調製した。なお、窒素ガス及び水素ガスの必要流量は、焼成対象である中間体の量によって異なり、例えば、焼成量が数5g程度であれば500mL/min程度で十分と考えられるが、確実に焼成を行うため、より多くの量を流してもよい。なお、焼成温度は1200℃が最適であった。
【0133】
工程S5において、工程1〜工程4で調整された蛍光体に所定の添加物(Mg塩)を添加した。
【0134】
次に、以下に説明する工程6〜工程9によって、表面にガラス層を形成することにより、本実施形態に係る発光組成物を作製した。
【0135】
添加物が添加混合された蛍光体SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)の表面にガラス層を形成するが、ガラス層は、例えば、添加物が添加混合された蛍光体に対してゾルゲル法を施すことによって形成される。
【0136】
ゾルゲル法は、比較的低温でガラス合成が可能であり、必要に応じて水や有機溶媒を添加した金属アルコオキシドを出発物質としてその加水分解、脱水縮合反応を利用してガラスを合成するものである。
【0137】
本実施の形態では、図3に示すように、先ず、添加物が添加混合された蛍光体2gをエタノール50mLに分散させ、70℃まで加熱する(工程S6)。続いて、テトラエトキシシラン(TEOS;Si(OC25)4)を1mL〜100mL添加して攪拌する(工程S7)。その後、加水分解用のH2Oを1mL〜40mL添加し攪拌して、その後2時間加熱攪拌する(工程S8)。次に、この加熱攪拌させた混合物を濾過して得られた残渣を50℃〜200℃で1h〜48h乾燥させる(工程S9)。
【0138】
以上のようにして、添加物が添加された蛍光体と、表面に形成されたガラス層を有する発光組成物を得ることができる。なお、このガラス層のコーティング状態(コーティングの量及び厚さ)はTEOSの量で適宜調整するが、TEOSのモル数の4倍だけH2Oを加える割合とする、即ち、ガラスの化学両論比に対応させてH2Oを添加することが、最適と考えられる。
【0139】
なお、上記の説明では、比較的安価なTEOSを使用したが、他のSi系有機金属化合物を原料に使用することも可能であるし、ガラス層が連続的な膜として形成できる限り、原料は適宜選定しうる。また、上記の説明では、ゾルゲル法における触媒として酸やアルカリを添加していないが、蛍光体の種類等に応じて、必要な酸やアルカリ(塩酸やアンモニア等)を添加することもできる。
【0140】
<実施例>
以下では、本発明に係る発光組成物、及び、この発光組成物を青色LEDと組合せて構成した白色LEDに関する実施例について説明し、蛍光体を含む発光組成物の組成、発光組成物及びこれを用いた白色LEDに関する発光特性、耐湿性について説明する。
【0141】
従来、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体の耐湿性は、硫化物蛍光体に比較して優れていると考えられているが、本発明では、個々の蛍光体の耐湿性に相違があるものと考え、発光組成物と青色LEDの組合せによって構成される白色LED(光源装置)の構築に先立って、蛍光体を含む発光組成物の耐湿性に関する信頼性試験を行った。
【0142】
青色LEDと組合せる発光組成物として、緑色蛍光体を含む第1の発光組成物と、赤色蛍光体単体からなる第2の発光組成物とを使用し、緑色蛍光体として珪酸塩蛍光体、赤色蛍光体として窒化物蛍光体を使用し、第1及び第2の発光組成物の耐湿性に関する信頼性試験を行った。珪酸塩蛍光体としてSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)を用い、これにMg塩を添加して、更に、表面にガラス層を形成することによって、第1の発光組成物を構成した。窒化物蛍光体としてCaAlSiN3:Euを用いた。
【0143】
先ず、蛍光体を含む発光組成物から励起された蛍光スペクトルの測定、光源装置の出射光の発光スペクトルの測定、発光組成物及び白色LEDの耐湿試験について、説明する。
【0144】
(1)発光組成物の光ルミネセンス(Photoluminescence)スペクトル(蛍光スペクトル)の測定。
【0145】
蛍光スペクトルは、蛍光分光測定装置(Instruments S.A.,Inc.のFluoroLog-3(FL3-22 System、ソフトウェア:Data Max)を用いて測定した。励起光源としてキセノンランプを使用した。蛍光スペクトル測定用の試料ホルダーの開口部(直径1cm、深さ0.5mmをもつ。)に、ガラス層が形成された蛍光体を有する発光組成物粒子、又は、ガラス層が形成されていない蛍光体を有する発光組成物粒子が平坦な表面をなすように充填し、蛍光分光測定装置に試料ホルダーをセットして、450nmの励起光を試料ホルダーの開口部の表面に照射して、開口部の表面から出射された蛍光を受光器で検出することによって行った。
【0146】
(2)発光組成物の耐湿試験。
【0147】
発光組成物粒子が充填された蛍光スペクトル測定用の試料ホルダーを、エスペック(espec)社の小型環境試験器(型式SH−641)中にセットして、60℃(又は、85℃)、90%RHの雰囲気下で、加湿劣化の加速試験を行った。所定時間の経過の後、小型環境試験器から試料ホルダーを取り出して、蛍光スペクトル、及び、発光強度の変化を測定した。
【0148】
(3)白色LED(光源装置)の発光スペクトル、及び、輝度の測定。
【0149】
回路基板に搭載された青色LEDチップを、赤色蛍光体を含む発光組成物及び緑色蛍光体を含む発光組成物が分散された透明樹脂(シリコーン樹脂)によって覆って、回路基板に搭載された白色LEDを作製し、この回路基板に搭載された白色LEDを、積分球内にセットして、青色LEDに20mAの電流が流れるように回路基板上の可変抵抗を調整して、白色LEDの発光スペクトルの測定、発光輝度測定を行った。
【0150】
(4)白色LEDの耐湿試験。
【0151】
上述のエスペック(espec)社の小型環境試験器(型式SH−641)中に、先述の回路基板に搭載された白色LEDを回路基板を含めてセットして、60℃、90%RHの雰囲気下で、加湿劣化の加速試験を行った。一定の時間の経過の後、小型環境試験器から回路基板に搭載された白色LEDを回路基板を含めて取り出して積分球内にセットして、青色LEDに20mAの電流が流れるように回路回路上の可変抵抗を調整して、発光スペクトルの測定、発光輝度の測定を行った。
【0152】
第1の実施例
以下では、蛍光体を含む発光組成物の組成について説明する。なお、本実施例における発光組成物には、ガラス層は形成されていない。
【0153】
本実施例では、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成の範囲内で所定の化学両論比を有する蛍光体と、この蛍光体に添加する添加物であるMg塩とを有する発光組成物について、励起スペクトル(後述する。)の測定による検討を行った。
【0154】
そして、この励起スペクトルに関する(励起波長450nmでの励起強度)/(励起励起波長370nmでの励起強度)の値の検出と、この励起スペクトルに関する励起波長450nmでの励起強度の、その発光組成物を構成する蛍光体と同じ化学量論比を有する蛍光体単体の励起波長450nmでの励起強度に対する比較を行った。
【0155】
なお、励起スペクトル(PLE)は、Instruments S.A., Inc.のFluoroLog-3(FL3-22 System、ソフトウェア:Data Max)を用いて、単色の励起光を300nmから500nmまで波長シフトさせて照射して、発光スペクトルの最大発光ピーク位置における発光スペクトル強度を測定して求めた(例えば、後述する図5を参照。)。
【0156】
本実施例における検討では、発光組成物を構成する添加物として、塩化バリウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、フッ化バリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、シュウ酸、燐酸カリウム、ホウ酸、塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウムを用いた。
【0157】
本実施例に係る発光組成物の作製は、具体的には、蛍光体100molに対し、各添加物を1mol〜30molの範囲で添加し、ボールミル又は乳鉢で混合することによって行い、目的とする各発光組成物を作製した。
【0158】
なお、各添加物の添加量は、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)、及び、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)等によって確認した。
【0159】
図4は、本発明の第1の実施例において、SrxBa2-xSiO4:Euにおいてx=1.0とした、添加物が添加されたSrBaSiO4:Eu(Eu濃度は一定の濃度(3mol%)とした。)蛍光体を有する発光組成物(ガラス層なし)における、添加物の添加量と、発光組成物の励起スペクトルの励起強度との関係を示す図、即ち、SrBaSiO4:Eu蛍光体に添加する添加物の量と、450nmの光で励起されたときの相対発光強度の関係を示す図であり、添加される添加物の中で、最も高い発光特性が得られた塩化マグネシウムを含む発光組成物に関する、添加物(塩化マグネシウム)の添加量と相対発光強度の測定結果を示す。
【0160】
なお、図4において、横軸は添加量(mol)を示し、縦軸は、450nmの光で励起されたときの発光スペクトルの最大発光ピーク位置における発光スペクトル強度を示し、Mg塩を添加しない蛍光体単体の発光強度を100として、添加物を含む発光組成物の相対発光強度を示している。
【0161】
Mg塩をはじめとするマグネシウム系添加物の何れが添加された蛍光体を有する組成物においても、添加量が蛍光体100molに対し3mol〜15molの場合が、少なくとも1mol以上、30mol以下の添加量の場合に比較して更に好適であることや、特に、添加物を塩化マグネシウムとする場合に良好な発光特性が得られることが確認できたが、例えば、塩化マグネシウムを添加物とする場合には、図4示すように、塩化マグネシウムの添加量が蛍光体100molに対して1mol以上、30mol以下である場合、Mg塩を添加しない蛍光体単体を発光組成物とする場合に比較して2倍以上の発光強度を示すことも明らかとなった。
【0162】
図5、図6は、本発明の第1の実施例における、蛍光体単体を有する発光組成物(ガラス層なし)、塩化マグネシウムが添加された蛍光体を有する発光組成物(ガラス層なし)の励起スペクトルを示す図であり、蛍光体SrBaSiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)単体の励起スペクトル、及び、塩化マグネシウムが添加された蛍光体SrBaSiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)の励起スペクトル(測定されたスペクトルをトレースした滑らかな曲線で示している。)を示す。
【0163】
図5、図6において、横軸は励起波長(nm)を示している。図5の縦軸は、YAG:Ceの励起スペクトル(曲線gで示されている。)の340nm付近のピークの最大値が1となるように規格化して各発光組成物の相対励起強度を示している。図6は、図5におけるYAG:Ceの励起スペクトルを図示せず、各発光組成物の励起スペクトルのピークの最大値が1となるように規格化して各発光組成物の相対励起強度を示している。
【0164】
図5、図6において、曲線a、b、c、d、e、fはそれぞれ、母体であるSrBaSiO4:Euに対して、塩化マグネシウムを0、1、5、10、15、30mol添加して得られた発光組成物の励起スペクトルを示している。
【0165】
図5に示す結果から、塩化マグネシウムが1molから30mol添加されたSrBaSiO4:Euの励起スペクトルの波長450nmでの励起強度は、無添加のSrBaSiO4:Eu単体の励起スペクトルの励起波長450nmでの強度の、1.53倍(約1.5倍)以上、1.86倍(約1.9倍)以下である。
【0166】
また、塩化マグネシウムが1molから30mol添加されたSrBaSiO4:Euの励起スペクトルの波長370nmでの励起強度は、無添加のSrBaSiO4:Eu単体の励起スペクトルの励起波長370nmでの強度の、1.05倍(約1.1倍)以上、1.40倍(約1.4倍)以下である。
【0167】
このように、図5に示す結果から、塩化マグネシウムが1molから30mol添加されたSrBaSiO4:Euは、YAG:Ce、無添加のSrBaSiO4:Eu単体よりも励起効率が大きく、無添加のSrBaSiO4:Eu単体に比較して、450nmでの励起効率の向上は、370nmでの励起効率の向上よりもよりも大きくなっていることは明らかであり、SrBaSiO4:Eu蛍光体に塩化マグネシウムを添加することによって、優れた発光特性をもった発光組成物を得ることができる。
【0168】
図6に示す結果から、無添加のSrBaSiO4:Eu単体に関する(励起波長450nmでの強度)/(励起波長370nmでの強度)の値は0.53であるのに対して、塩化マグネシウムが1molから30mol添加されたSrBaSiO4:Euの励起スペクトルに関する(励起波長450nmでの強度)/(励起波長370nmでの強度)の値は、0.67以上、0.83以下である。
【0169】
このように、塩化マグネシウムが添加されたSrBaSiO4:Euは、無添加のSrBaSiO4:Eu蛍光体単体よりも励起波長450nmでの励起効率が向上していることは明らかであり、SrBaSiO4:Eu蛍光体に塩化マグネシウムを添加することによって、優れた発光特性をもった発光組成物を得ることができる。
【0170】
発光組成物の励起スペクトルの測定は、発光組成物に含まれるSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成におけるx=0、1、2の3種類の場合について行ったが、同じような傾向を示したため、図5、図6には一例としてx=1の場合、即ち、SrBaSiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)を蛍光体組成とする結果を示している。
【0171】
図示しないが、x(但し、0≦x≦2である。)を変化させたSrxBa2-xSiO4:Eu蛍光体単体に添加するMgの濃度を変化させた発光組成物の励起強度は、Mg無添加の蛍光体単体の励起スペクトルの励起波長450nmでの強度の、約1.5倍以上、約2.1倍以下であることが確認されている。
【0172】
図5、図6に示すように、蛍光体SrBaSiO4:Eu単体のスペクトル(曲線a)に比較して、本実施例に係る発光組成物の一例としての、塩化マグネシウムを含む発光組成物のスペクトル(曲線b、c、d、e、f)は、塩化マグネシウムの添加によって励起強度が大きく向上し、また、塩化マグネシウムの添加の有無によって、励起スペクトルの形状が変化しており、励起波長370nmでの励起効率、励起波長450nmでの励起効率が、共に蛍光体単体よりも向上した、優れた発光特性が得られていることを示している。
【0173】
なお、図5、図6に示す同様の傾向は、他のMg塩(炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム)においても同様であった。
【0174】
Mg塩が添加された蛍光体を有する発光組成物において、優れた発光特性が得られているのは、Mg塩の添加によって、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する蛍光体のバンド構造が変化しているためと考えられる。
【0175】
Mg10mol%添加のSr1Ba1SiO4(Eu3%)のサンプルをICP分析にかけたところ、Sr−0.969、Ba−0.926、Si−1、Eu−0.059、Mg−0.045といった割合で値が検出された。Sr、Ba、Si、Euはほぼ仕込みの分量どおりであったが、Mgは、仕込み量の約半分の量しか生成物(発光組成物)に取り込まれて(入って)いないことがわかった。また、XRD(X線回折)のθ−2θ測定の結果から、Mg酸化物のピークが検出されなかった。
【0176】
以上は、塩化マグネシウムを蛍光体母体に添加した場合の結果であるが、塩化マグネシウムを蛍光体母体に添加した場合にも、添加後の焼成処理によって酸化マグネシウムが析出する可能性は十分に考えられるが、XRDの結果に酸化マグネシウムが検出されなかったため、マグネシウムは母体中に取り込まれていると考えられる。
【0177】
発光組成物のICP分析によってMgが検出されたこと、及び、X線回折によってMg酸化物のピークが検出されなかったことに加えて、図5、図6に示すように、Mg添加によって励起スペクトル(PLE)に変化が現れていること、また、後述するように(図7を参照。)、Mgを30mol%添加したサンプルでは発光ピークが長波長側にシフトしていることから、Mgが母体に取り込まれた(入った)ことによる母体のバンド構造の変化が考えられ、それによって、発光の性質が大きく変化したのではないかと考えられる。Mgは、蛍光体(母体)の2族のサイトに入っている場合が考えられる。
【0178】
図7は、本発明の第1の実施例における、蛍光体単体を有する発光組成物(ガラス層なし)、塩化マグネシウムが添加された蛍光体を有する発光組成物(ガラス層なし)の発光スペクトルを示す図であり、曲線aは蛍光体SrBaSiO:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)単体の発光スペクトル、曲線bは塩化マグネシウムが10mol添加されたSrBaSiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)の発光スペクトル、曲線cは塩化マグネシウムが10mol添加されたSrBaSiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)の発光スペクトル、曲線dはYAG:Ceの発光スペクトルを示す。
【0179】
図7において、横軸は発光波長(nm)を示し、縦軸は、YAG:Ceの最大発光ピーク強度が1となるように規格化して、各発光組成物の相対発光強度を示している。
【0180】
発光スペクトルの測定は、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成におけるx=0、0.5、2の3種類の場合について行ったが、同じような傾向を示したため、図7には一例としてx=1.0の場合の結果を示している。
【0181】
図7において、縦に示す点線は曲線a、b、cのそれぞれの最大位置、約515nm、約517n、約523mを示している。塩化マグネシウムが30%添加された発光組成物の発光スペクトル(曲線c)の発光ピーク位置は、塩化マグネシウムが添加されていないSrBaSiO4:Euの発光スペクトル(曲線a)の発光ピーク位置から明らかに長波長側にシフトしている。このことは、上記したICP分析、X線回折の結果を考慮すると、Mgが母体に取り込まれた(入った)ことによって、母体(SrBaSiO4:Eu)のバンド構造が変化したものと考えられる。
【0182】
図7に示すように、YAG:Ceの発光スペクトル(曲線d)の最大発光ピーク強度を1.00とするとき、無添加のSrBaSiO4:Eu蛍光体単体の発光スペクトル(曲線a)の最大発光ピーク強度は0.83(約0.8)であり、塩化マグネシウム10mol、30molがそれぞれ添加されたSrBaSiO4:Euの発光スペクトル(曲線b、曲線c)の最大発光ピーク強度は1.68(約1.7)、2.00であり、塩化マグネシウムが添加されたSrBaSiO4:Euの発光スペクトル強度は、YAG:Ceの発光スペクトル強度よりも大きくなっている。
【0183】
なお、無添加のSrBaSiO4:Eu蛍光体単体の発光スペクトル(曲線a)の最大発光ピーク強度を1.00とするとき、塩化マグネシウム10mol、30molがそれぞれ添加されたSrBaSiO4:Euの最大発光スペクトル強度は、2.03(約2.0)、2.42(約2.4)である。
【0184】
SrBaSiO4:Euで表される組成を有する蛍光体単体の発光スペクトル(図7において曲線aで示す。)は、一般に白色光の発光が可能な光源装置で用いられるYAG:Ce蛍光体の発光スペクトル(図7において曲線dで示す。)に比較して発光強度の低いものであったが、蛍光体(SrBaSiO4:Euで表される組成を有する。)100molに対して10mol、30molのMg塩が添加された発光組成物の発光スペクトル(図7において曲線b、cで示す。)は、YAG:Ce蛍光体よりも高い発光強度を示し、優れた発光特性を示すことが確認できた。なお、この傾向は、他のMg塩(炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム)においても同様であった。
【0185】
第2の実施例
本実施例では、先述した光源装置の構成により近い形で、発光組成物の特性について検討を行った。なお、本実施例における発光組成物には、ガラス層は形成されていない。
本実施例では、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する蛍光体とこれに添加される10molのMg塩から構成される発光組成物を、透明樹脂に混合して、この混合体を青色LED上にポッティングして発光特性を評価した。
【0186】
なお、本実施例では、SrxBa2-xSiO4:Euにおいてx=2とした蛍光体Sr2SiO4:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)を調製し、調整された蛍光体に対して塩化マグネシウムの添加の有無による光度の差異について検討を行った。ここで光度は光の強さとして、点光源から発する光の単位立体角あたりの光束を意味する。検討の結果、蛍光体100molに対して塩化マグネシウムを10mol添加した場合の光度は、添加していない場合の光度に比較して32%向上することが確認できた。
【0187】
また、発光中心波長が、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)で表される組成を有する緑色蛍光体に比較して、長波長側に存在する第2の蛍光体として、青色領域の励起光で励起可能なCaS:Eu(Eu濃度は0.4mol%とした。)で表される組成を有する赤色蛍光体(ピーク波長658nm)を用意し、これらの2つの蛍光体を混合(上記緑色蛍光体と上記赤色蛍光体の混合を重量比97:3で行った。)した上でマグネシウム系添加物を加えて(上記緑色蛍光体100molに対して塩化マグネシウム10molを添加した。)発光特性を検討したところ、3000Kの色温度が得られることが確認できた。なお、上記赤色蛍光体の混合比を増大させることにより、3000K以下の色温度が得られる光源装置を構成することもできると考えられる。
【0188】
第3の実施例
本実施例では、先ず、Mg塩(塩化マグネシウム)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)蛍光体単体、及び、CaAlSiN3:Eu蛍光体単体の耐湿性に関する信頼性試験結果、Mg塩(塩化マグネシウム)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)蛍光体単体とCaAlSiN3:Eu蛍光体単体を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果について説明し、次に、Mg塩(塩化マグネシウム)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物、この発光組成物の発光スペクトル、この発光組成物におけるガラス層の有無と耐湿性に関する信頼性試験結果、この発光組成物を青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果について説明する。
【0189】
図8は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体(ガラス層なし)単体、及び、CaAlSiN3:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体(ガラス層なし)単体の耐湿性に関する信頼性試験結果を示す図であり、蛍光体の発光強度の経時変化を説明する図である。
【0190】
図8(A)は、60℃、90%RHにおける、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体単体の信頼性試験結果を示す図、図3(B)は、60℃、90%RHにおけるCaAlSiN3:Euの信頼性試験結果を示す図である。
【0191】
図8において、横軸は、蛍光体単体を60℃、90%RH雰囲気中に暴露した経過時間を示し、縦軸は、蛍光体単体を60℃、90%RH雰囲気中に暴露する前の発光強度を100とした時の、上記の経過時間後における発光強度を示し、発光強度維持率(%)を示している。
【0192】
図8(A)に示すように、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体は、約500時間経過時に発光強度は約20%低下してしまう。図8(B)に示すように、CaAlSiN3:Euは、約500時間経過時においても発光強度の低下は見られない。
【0193】
以上のように、窒化物蛍光体CaAlSiN3:Euの耐湿性が高いが、これに対して、珪酸塩蛍光体であり、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)の耐湿性が低いことが明らかとなった。
【0194】
次に、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)蛍光体単体とCaAlSiN3:Eu蛍光体単体を、青色LEDと組合せた白色LEDの信頼性試験結果について説明する。
【0195】
図9は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体(ガラス層なし)単体(第1の発光組成物)とCaAlSiN3:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体(ガラス層なし)単体(第2の発光組成物)を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果を説明する図であり、白色LEDの特性の経時変化を説明する図である。
【0196】
上述の第1の発光組成物と第2の発光組成物を重量比95:5で混合して透明シリコーン樹脂KJR(信越化学株式会社)中に分散した後に、青色LED上にポッティングして、白色LEDを構成した。
【0197】
図9(A)に示す実線は、60℃、90%RHにおける白色LEDの発光輝度維持率を示す図、図9(B)は、60℃、90%RHにおける白色LEDの初期の発光スペクトル、512時間経過後の発光スペクトルを示す図である。
【0198】
図9(A)において、横軸は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露した経過時間を示し、縦軸は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露する前の発光輝度を100とした時の、上記の経過時間後における発光輝度を示し、発光輝度維持率(%)を示している。なお、図9(A)に示す点線は、図8(A)に示した蛍光体単体の発光強度の経時変化を示しており、実線と点線はほぼ同じ経時変化を示している。
【0199】
図9(B)は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露する前の白色LEDの発光スペクトル(初期スペクトル)、及び、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に512時間暴露させた後における白色LEDの発光スペクトル(512時間暴露後のスペクトル)を示している。図9(B)において、横軸は発光波長(nm)、縦軸は相対発光強度を示し、積分球を用いて測定した発光スペクトルの強度をそのまま示している。
【0200】
図9(A)に示すように、白色LEDの発光輝度は、500時間経過時に約20%低下してしまう。この低下は、図8(A)に示す、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体の発光強度の低下に起因するものと考えられる。
【0201】
図9(B)に示すように、90%RH雰囲気中に512時間暴露させた後における白色LEDの発光スペクトルは、青色領域の発光スペクトルが同一であるにもかかわらず、緑領域から赤色領域において初期スペクトルと異なっている。この結果、白色LEDの出射光の色度、演色性が変化してしまう。
【0202】
図8(B)に示すように、CaAlSiN3:Euの約500時間経過時における発光強度は低下していないにもかかわらず、図9(B)から明らかなように、青色領域から赤色領域における発光強度が、512時間の60℃、90%RH雰囲気中暴露によって、低下している。青色領域、及び、赤色領域のピーク発光強度はそれぞれ、約20%低下している。
【0203】
図9(B)における、青色領域における発光強度の低下は、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu緑色蛍光体の湿度劣化による低下と考えられ、赤色領域における発光強度の低下は、赤色蛍光体CaAlSiN3:Euの励起帯が青色以外にも緑色の波長帯にまで伸びていることに起因すると考えられ、緑色蛍光体の劣化によって、赤色蛍光体の励起が低下したものと考えられる。
【0204】
図8、図9から明らかなように、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu蛍光体単体、CaAlSiN3:Eu単体を使用しても、発光輝度、色度が経時的に安定した白色LEDを実現することができない。白色LEDの長期信頼性を確保するためには、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu緑色蛍光体の耐湿性の改善の必要であることが判明した。本実施例では、耐湿性が良好でない緑色蛍光体、Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu蛍光体に対して耐湿コーティングとしてガラス層(膜)を形成した。
【0205】
本実施例では、図3に示した手順によって蛍光体を調整しMg塩を添加して、次に、ガラス層を形成して発光組成物を調整して、電子顕微鏡観察及び信頼性試験を行い、更に、この発光組成物の発光スペクトル、この発光組成物におけるガラス層の有無と耐湿性に関する信頼性試験を行い、この発光組成物を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験を行った。
【0206】
本実施例では、図3に示した手順に従って蛍光体を調整してこれにMg塩(塩化マグネシウム10mol)を添加した。Mg塩が添加混合されたSrxBa2-xSiO4:Eu蛍光体2gをエタノール50mLに分散させ、70℃まで加熱する(工程S6)。続いて、テトラエトキシシラン(TEOS;Si(OC25)4)を30mL添加して攪拌する(工程S7)。その後、加水分解用のH2Oを9.6mL添加し攪拌して、その後2時間加熱攪拌する(工程S8)。次に、この加熱攪拌させた混合物を濾過して得られた残渣を50℃〜200℃で1h〜48h乾燥させた(工程S9)。このようにして、表面にガラス層が形成された発光組成物を調整した。
【0207】
図10は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物粉末の電子顕微鏡写真図である。
【0208】
図10(A)は発光組成物粉末の走査電子顕微鏡(SEM)像、図10(B)は発光組成物粉末の断面の透過電子顕微鏡(TEM)像(断面写真)である。
【0209】
図10(A)に示される発光組成物粉末の1個の断面像を示す図10(B)に示すように、図10(B)の上方の黒色部分で示される発光組成物粉末の表面に、ほぼ均一に80nm厚さの薄膜が連続して形成されていることがわかる。この薄膜は、蛍光体単体での観察では見られなかった層であり、先述したゾルゲル法によって形成された珪素(Si)及び酸素(O)を含むガラス層であると考えられた。
【0210】
この薄膜について、EDX(エネルギー分散型X線スペクトロスコピー)による組成分析の結果、Si元素及びO塩素が検出され、且つ、BaやSr等の元素が検出されなかったため、薄膜がSiOx(主にSiO2)によるガラス層であることが確認できた。図10の観察結果から、Mg塩が添加された蛍光体粒子の表面にガラス層が連続的にコーティングされていることが確認できた。蛍光体粒子の表面を覆うガラスコートは、少なくとも珪素(Si)及び酸素(O)を含む連続なアモルファスな層とこの層に付着したSiとOからなる付着物から構成されている。
【0211】
図11は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物において、表面へのガラス層の形成の前後における発光スペクトル(PLスペクトル)の変化を説明する図である。
【0212】
図11において、横軸は発光波長(nm)、縦軸は相対発光強度を示し、ガラス層の形成の前の発光スペクトル、ガラス層の形成後の発光スペクトルは、測定された強度をそのまま示している。
【0213】
図11に示すように、Mg塩が添加された蛍光体粒子の表面にガラス層を形成する前後における発光スペクトル(上述の蛍光分光測定装置(FluoroLog-3)を用いて測定した。)の形状、発光強度は、ほとんど変化が見られない。このことから、表面に形成されたガラス層によって、蛍光体の発光強度や色度等の特性の劣化が、ほとんどないことが確認できた。
【0214】
次に、本実施例における、Mg塩が添加された蛍光体粒子の表面にガラス層が形成された蛍光体(発光組成物)を、60℃、90%RHの条件下、更に、過酷な85℃、90%RHの条件下で信頼性試験を行った。
【0215】
図12は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物において、ガラス層の有無と耐湿性に関する信頼性試験結果を示す図であり、ガラス層の有無と蛍光体の発光強度の経時変化を説明する図である。
【0216】
図12(A)は、60℃、90%RHにおける発光組成物の発光強度維持率を示す図、図12(B)は、85℃、90%RHにおける発光組成物の発光強度維持率を示す図である。
【0217】
図12において、横軸は、発光組成物を加温加湿の雰囲気中に暴露した経過時間を示し、縦軸は、発光組成物を加温加湿の雰囲気中に暴露する前の発光強度を100とした時の、上記の経過時間後における発光強度を示し、発光強度維持率(%)を示している。
【0218】
また、図12(A)において、(a)は図8(A)と同じであり、ガラス層が表面に形成されていない発光組成物に関する発光強度維持率(%)を示し、(b)は、ガラス層が表面に形成された発光組成物に関する発光強度維持率(%)を示し、図12(B)において、(a)は、表面にガラス層が形成されていない発光組成物に関する発光強度維持率(%)を示し、(b)は、表面にガラス層が形成された発光組成物に関する発光強度維持率(%)を示している。
【0219】
図12(A)の(a)、(b)に示すように、60℃、90%RHの雰囲気中に暴露して約500時間経過時において、表面にガラス層が形成された発光組成物では発光強度はほとんど低下していないが、表面にガラス層が形成されていない発光組成物では発光強度は約20%低下している。
【0220】
図12(B)の(a)、(b)に示すように、85℃、90%RHの雰囲気中に暴露して約500時間経過時において、表面にガラス層が形成された発光組成物では発光強度は約5%低下しているが、表面にガラス層が形成されていない発光組成物では発光強度は約25%低下している。
【0221】
図12に示す結果から、発光組成物の表面にガラス層を形成しない蛍光体単体の場合に比較して、表面にガラス層が形成された発光組成物では、耐湿性が向上して発光強度が長時間安定して維持されることが確認できた。
【0222】
なお、図12に図示しないが、他のアルカリ土類珪酸塩蛍光体についても、同様にガラス層によるコーティングを施すことによって、耐湿性が向上すると考えられる。
【0223】
このようなアルカリ土類珪酸塩蛍光体として、CaSiO3:(Eu,Ce,Pb,Ti,Mn)、(Be,Mg,Zn,Ba,Sr)2SiO4:(Mn,P,As,Ti,Li,Eu)、BaSi25(Eu,Pb)、Y2SiO5:Ce、CaMgSi26:Eu、Ca2MgSi27、(Ca,Sr,Ba)2MgSi27:(Eu,Mn)、BaMg2Si27:Eu、BaSrMgSi27:Eu、Ba2Li2Si27:(Sn,Mn)、MgSrBa2Si27:Eu、MgSr3Si28:(Eu,Mn)、Sr3MgSi28:Eu、Ca52SiO10:Eu、Ca3Al2Si312:Eu、LiCeBa4Si414:Mn等を挙げることができる。
【0224】
次に、図12において説明した信頼性試験に用いた、表面にガラス層が形成された発光組成物と、窒化物蛍光体(CaAlSiN3:Eu(Eu濃度は3mol%とした。))とを分散させたシリコーン樹脂を用いて、青色LEDをポッティングして白色LEDを構成して、60℃、90%RHの条件下で信頼性試験を行った。
【0225】
図13は、本発明の第3の実施例における、Mg塩(塩化マグネシウム10mol)が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、x=1であり、Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物(第1の発光組成物)とCaAlSiN3:Eu(Eu濃度は3mol%とした。)蛍光体(ガラス層なし)単体(第2の発光組成物)を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果について説明する図であり、白色LEDの特性の経時変化を説明する図である。
【0226】
上述の第1の発光組成物と第2の発光組成物を重量比95:5で混合して透明シリコーン樹脂KJR632(信越化学株式会社)中に分散した後に、青色LED上にポッティングして、白色LEDを構成した。
【0227】
図13(A)は、60℃、90%RHにおける白色LEDの発光輝度維持率を示す図、図13(B)は、60℃、90%RHにおける白色LEDの初期の発光スペクトル、530時間経過後の発光スペクトルを示す図である。
【0228】
図13(A)において、横軸は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露した経過時間を示し、縦軸は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露する前の発光輝度を100とした時の、上記の経過時間後における発光輝度を示し、発光輝度維持率(%)を示している。
【0229】
図13(A)に示すように、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露して500時間経過後においても、発光輝度の低下は見られない。
【0230】
図13(B)は、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露する前の白色LEDの発光スペクトル(初期スペクトル)、及び、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に512時間暴露させた後における白色LEDの発光スペクトルを示しており、横軸は発光波長(nm)、縦軸は相対発光強度を示し、積分球を用いて測定した発光スペクトルの強度をそのまま示している。
【0231】
図13(B)に示すように、白色LEDを60℃、90%RH雰囲気中に暴露して530時間経過後においても、発光スペクトルは初期スペクトルとほとんど同じスペクトルを示している。
【0232】
図9(B)に示したように、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体(ガラス層なし)単体とCaAlSiN3:Eu蛍光体単体を、青色LEDと組合せた白色LEDでは、発光スペクトルは、緑色領域のみならず赤色領域の発光特性の劣化が見られたが、図13(B)に示すように、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体の表面にガラス層が形成された発光組成物を、青色LEDと組合せた白色LEDにおける発光スペクトルでは、緑色領域及び赤色領域の発光特性の劣化は見られず、発光特性が全く劣化していない。
【0233】
これは窒化物蛍光体(CaAlSiN3:Eu)の緑色領域の励起帯を励起する緑色蛍光体が劣化しなかったためである考えられ、Mg塩が添加された緑色蛍光体(SrxBa2-xSiO4:Eu)蛍光体の表面にガラス層を形成することによって構成された発光組成物を使用することによって、緑色蛍光体のみの耐湿性を改善することで白色LEDの発光の緑色領域のみならず、赤色領域の特性も改善することができる。
【0234】
以上に説明したように、SrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有する緑色蛍光体にMg塩を添加した後、更に、表面にガラス層を形成することによって構成された発光組成物を青色LEDと組合せることによって、光源装置(白色LED)を構成し、或いは、この光源装置を有する表示装置等を構成することにより、これらのデバイス(装置)に、高温高湿の信頼性試験に十分耐える信頼性を付与することが可能となる。
【0235】
以上、本発明に係る発光組成物及び光源装置の実施の形態及び実施例を説明したが、この実施の形態の説明で挙げた使用材料及びその量、処理時間及び重量等の数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法形状及び配置関係も概略的なものである。即ち、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0236】
例えば、本実施形態に係る光源装置においては、演色性の向上を図るためにSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有し、x値が互いに異なる2種類以上の蛍光体を混合して透明樹脂に分散させた分散体を青色LED上にポッティングする構成とすることもできる。
【0237】
また、先述の実施形態では、光源装置内の青色光源としてLEDを用いる場合を例として説明したが、他の発光体を青色光源として用いる構成とすることもできる。
【0238】
また、例えば、先述の実施形態では、光源装置の例として、導光部の樹脂の劣化を抑制できる好ましい構成として青色光源のみを有する例を説明したが、本発明に係る光源装置は、これに限られず、例えば、紫外光光源と青色光源とを両方有し、且つ、これらの両光源によって蛍光体が励起される構成をとることも可能である等、本発明は種々の変更及び変形をなされうる。
【産業上の利用可能性】
【0239】
以上説明したように、本発明によれば、各種の用途に好適に使用することができる発光組成物を提供することができ、この発光組成物を用いることによって、安定した発光輝度と色度をもつ白色光を出射する光源装置及びこれを有する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】本発明の実施の形態における、発光組成物とこれを用いた光源装置を説明する断面図である。
【図2】同上、光源装置とこれを用いた表示装置の構成を説明する断面図である。
【図3】同上、発光組成物の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例における、添加物が添加されたSrBaSiO4:Euを有する発光組成物についての、添加物の添加量と、発光組成物の発光スペクトルの発光強度との関係を示す図である。
【図5】同上、蛍光体単体を有する発光組成物、塩化マグネシウムが添加された蛍光体を有する発光組成物の励起スペクトルを示す図である。
【図6】同上、蛍光体単体を有する発光組成物、塩化マグネシウムが添加された蛍光体を有する発光組成物の励起スペクトルを示す図である。
【図7】同上、蛍光体単体を有する発光組成物、塩化マグネシウムが添加された蛍光体を有する発光組成物の発光スペクトルを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施例における、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu単体、及び、CaAlSiN3:Eu単体の耐湿性に関する信頼性試験結果を示す図である。
【図9】同上、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu単体とCaAlSiN3:Eu体単体を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果を説明する図である。
【図10】同上、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Eu蛍光体の表面にガラス層が形成され構成された発光組成物粉末の電子顕微鏡写真図である。
【図11】同上、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Euの表面にガラス層が形成され構成された発光組成物において、ガラス層の形成の前後における発光スペクトルの変化を説明する図である。
【図12】同上、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Euの表面にガラス層が形成され構成された発光組成物において、ガラス層の有無と耐湿性に関する信頼性試験結果を示す図である。
【図13】同上、Mg塩が添加されたSrBaSiO4:Euの表面にガラス層が形成され構成された発光組成物とCaAlSiN3:Eu単体を、青色LEDと組合せた白色LEDの耐湿性に関する信頼性試験結果について説明する図である。
【図14】従来技術における、LEDを説明する概略断面図である。
【図15】同上、発光素子を説明する図である。
【符号の説明】
【0241】
1…表示装置、2…光源装置、3…光学装置、4…リフレクタ、5…リフレクタ、
6…発光体、7…導光部、9…拡散シート、10…偏向板、11…TFTガラス基板、
12…ドット電極、13…液晶層、14…配向膜、15…電極、18…ガラス基板、
16…ブラックマトリクス、17a…第1カラーフィルタ、19…偏向板、
17b…第2カラーフィルタ、17c…第3カラーフィルタ、22…ガラス層、
20…Mg塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(第1の蛍光体)、
24…CaAlSi3:Eu(第2の蛍光体)、26…透明樹脂、28…青色LED、
30、32…電極、34…パッケージ、38…発光組成物、40…光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム塩が添加されたSrxBa2-xSiO4:Eu(但し、0≦x≦2である。)で表される組成を有し、青色光によって励起され緑色領域の蛍光を発光する蛍光体の表面に少なくとも珪素(Si)及び酸素(O)を含むガラス層が形成された発光組成物。
【請求項2】
前記マグネシウム塩として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウムの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項3】
励起スペクトルに関する(波長450nmでの強度)/(波長370nmでの強度)の値が0.67以上、0.83以下である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項4】
励起スペクトルに関する波長450nmでの強度が、単体の前記蛍光体における波長450nmでの強度に比較して、1.5倍以上、2.1倍以下である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項5】
前記マグネシウム塩の添加量が、前記蛍光体100molに対して1mol以上、30mol以下の割合である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項6】
前記マグネシウム塩の添加量が、前記蛍光体100molに対して3mol以上、15mol以下の割合である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項7】
Euの濃度が1mol%以上、9mol%以下である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項8】
Euの濃度が2mol%以上、5mol%以下である、請求項1に記載の発光組成物。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の発光組成物であって、前記蛍光体を第1
の蛍光体とする第1の発光組成物と、
第2の蛍光体を含む第2の発光組成物と、
青色光を出射する青色光源と
を有し、前記青色光によって励起された前記第1の発光組成物から発光された緑色領域の蛍光、前記青色光によって励起された前記第2の発光組成物から発光された蛍光、及び、前記青色光が混合されて白色光を出射する、光源装置。
【請求項10】
前記第2の発光組成物は、前記緑色領域の蛍光及び前記青色光によって励起され赤色領域の蛍光を発光する蛍光体である、請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第2の蛍光体は、CaAlSiN3:Euである、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第2の蛍光体の表面に前記ガラス層が形成されている、請求項9に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項9から請求項12の何れか1項に記載の光源装置を有し、この光源装置は、複数の画素が配列された画素部を照射する表示装置。
【請求項14】
前記光源装置は前記画素部をその背面から照射するバックライトである、請求項13に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−280471(P2008−280471A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127532(P2007−127532)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】