説明

発光装置、及び電子機器

【課題】電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、発光素子の色純度を向上させる。
【解決手段】発光素子は、一対の電極と、一対の電極間に、少なくとも発光層を含む発光積層体を有する。一対の電極間の少なくとも一方に接して、バッファ層を設ける。一対の電極は、一方は反射率の高い電極であり、他方は半透明電極である。半透明電極とすることで、光が透過させる事ができると共に、反射させることができる。バッファ層の厚さによって、一対の電極間の光学距離が調節され、光が電極間で共振できるようにされる。バッファ層は正孔輸送性を示す有機化合物と金属化合物を含む複合材料でなるため、光学設計のためバッファ層を厚くしても、発光素子の電圧輝度効率に影響を与えることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流を流すことで発光する発光素子、及びそれを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料を含む層を一対の電極間に有し、当該電極間に電流を流すことで発光する発光素子を用いた発光装置の開発が進められている。このような発光装置は他の薄型表示装置と呼ばれる表示装置と比較して薄型軽量化に有利であり、自発光であるため視認性も良く、応答速度も速い。そのため、次世代の表示装置として盛んに開発が進められ、現在、一部実用化もなされている。
【0003】
このような発光素子は、有機材料を含む層中に陽極として機能する電極から正孔が注入され、陰極として機能する電極から電子が注入される。そして、正孔と電子が再結合することで有機材料を含む層中の発光材料が励起され、当該発光材料が基底状態に戻る際に基底状態と励起状態のエネルギー差に相当する光が射出される。
【0004】
薄型軽量化に有利であるこのような発光装置は、特にモバイル機器用途に適している。バッテリーに限りのあるモバイル機器に搭載する発光装置の消費電力は、低ければ低いほど良く、常に省電力化が求められている。また、テレビやディスプレイなどモバイル用途以外においても、消費エネルギーの低減は環境問題、エネルギー問題などに関連し要求がますます高まっている。
【0005】
また、特にテレビやディスプレイなどに関して、画像の美しさが兼ね備えられていることは、今や消費者にとっては当然の要求であるが、画像の美しさに影響する要因の一つとして、色再現性がある。フルカラーの表示装置の場合、赤、緑、青の三色、もしくはこれらに白を加えた4色によって全ての色を再現しているが、色純度のより高い波長の光を発する材料を用いることによって、鮮やかな表示を得ることができるようになるが、高い色純度と高い信頼性を共に兼ね備える材料は非常に少ないのが現状である。
【0006】
消費電力を低下させるためには、発光素子から発した光の外部取り出し効率を向上させることも有効である。特許文献1には、光の外部取り出し効率を向上させる為に発光層を除く有機化合物材料層の各層を発光色に対応してそれぞれ異なる膜厚に設定し、反射干渉現象を利用することで各色の取り出し効率を高めることが記載されている。また、特許文献2には、透明電極の厚さを発光色に対応してそれぞれ異なる膜厚設定することによって、反射光の干渉現象を利用し、各色の取り出し効率を高めることが記載されている。
【特許文献1】特開2000−323277号公報
【特許文献2】特開2003−142277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のような構成であると、有機化合物材料層各層の膜厚は、本来その機能を充分に発揮する為に設定されるべきであるところ、反射干渉現象を考慮して設定した場合には電圧輝度効率の低下を招いてしまう。また特許文献2のような構成では、電圧輝度効率の低下は小さいものの、各色に対応して透明電極を形成する為には発光素子の一方の電極を形成する為にプロセス工程が増えてしまい、生産性が非常に悪い。そこで、本発明は、電圧輝度効率、電流輝度効率を低下させることなく、発光素子の色純度を向上させることを課題とする。
【0008】
また、先に述べたように消費電力は低ければ低いほど良く、また、現状は充分な低消費電力化が図られているとは言い難い状態である。このため、さらなる消費電力の低下が望まれている。そこで本発明では、さらに消費電力の低減が可能な発光素子及び発光装置を提供することを課題とする。
【0009】
そこで本発明では、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上双方を実現することが可能な発光素子及び発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為、本発明の発光装置の一つは、一対の電極と、前記一対の電極間に挟まれた有機化合物を含む層を有する発光素子を有している。有機化合物を含む層は、発光物質を含む発光層、及び正孔輸送性を示す有機化合物と金属化合物を含む複合材料を有するバッファ層を少なくとも含み、一対の電極は、一方が反射率の高い電極であり、他方が半透明電極であることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の1つは、上記発光素子のバッファ層の膜厚が、発光素子外部に射出する発光の強度が高くなるように決定されたことを特徴とする。
【0012】
発光素子の発光強度が高められているかを検証するには、発光層または発光物質の発光スペクトルと、発光素子の発光スペクトルを対比すればよい。前者の発光スペクトルの半値幅が後者よりもせまければ、発光強度が高められていることになる。より具体的には、前者の発光スペクトルの半値幅が後者の半値幅の80%以下、30%以上80%以下の範囲になれば、発光素子の発光強度が高められているとみなすことができる。
【0013】
本発明の一つは、上記構成において、一対の電極間の光学距離が当該発光素子から発光素子外に取り出される光の極大波長の半分の整数倍であることを特徴とする発光素子である。
【0014】
本発明の他の一つは、上記構成において、一対の電極間の光学距離が当該発光素子から取り出したい光の波長の半分の整数倍であることを特徴とする。
【0015】
当然ながら、本発明において、一対の電極間の光学距離は許容される誤差を含むものである。それは、成膜装置の膜厚制御の精度のため、一対の電極間の光学距離を、所定の波長(発光素子から放射される光の極大波長、又は発光素子から放射させたい光の波長)の半波長の整数倍に厳密に一致することは困難であるからである。よって、一対の電極間の光学距離の誤差が成膜装置で生ずる膜厚の誤差(面内分布)程度、±5%の範囲であるものは、本発明に含むものとする。
【0016】
本発明の発光装置は、発光層から射出された光が一対の電極間で反射を繰り返すようにするため、発光素子の一方の電極は透光性を有し、かつ反射性を有する半透明電極とし、他方の電極は反射性が高い電極とする。
【0017】
半透明電極は、発光層から発する光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲であり、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上の電極である。
【0018】
反射率の高い電極とは、発光層から発する光に対する反射率が40%以上、好ましくは70%以上の電極である。
【0019】
本発明の他の一つは、上記構成において、バッファ層は一対の電極の一方に接していることを特徴とする。バッファ層を2層設けたときは、一対の電極それぞれにバッファ層を接して設けることが好ましい。
【0020】
本発明において、バッファ層に含まれる金属化合物は、遷移金属の酸化物もしくは窒化物であることを特徴とする。
【0021】
また、バッファ層に含まれる金属化合物は、周期表における4〜8族に属する金属の酸化物もしくは窒化物であることを特徴とする。
【0022】
また、バッファ層に含まれる金属化合物は、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物、またはルテニウム酸化物のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の発光素子及び発光装置は電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1(A)は本発明の発光素子における一形態を表す模式図である。図1(A)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401、発光積層体402からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(A)では第2の電極403側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0026】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は反射率の高い電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、第2の電極403は当該発光素子が発する光に対しての半透明電極として形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0027】
図1(A)ではバッファ層401は有機化合物を含む層における第1の電極400側に設ける。バッファ層401は、発光を得る際に第1の電極400の電位の方が高くなるように電圧をかける構成の場合(第1の電極400を陽極として機能させる場合)、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。金属化合物としては、遷移金属の酸化物や窒化物が望ましく、周期表の4〜8族に属する金属の酸化物もしくは窒化物がさらに望ましい。その中でもバナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム酸化物は好適である。
【0028】
正孔輸送性を有する有機化合物としては4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のアリールアミノ基を有する有機材料や、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等も用いることができる。
【0029】
また、下記一般式(1)で表されるような有機材料も正孔輸送性を有する有機化合物として好適に用いることができ、その具体例としては3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)等を挙げることができる。この構造を有する有機化合物を用いた第1の複合材料は熱的安定性に優れ、信頼性が良い。
【0030】
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、一般式(2)で示される置換基のいずれかを表し、一般式(2)で示される置換基において、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
【0031】
【化2】

【0032】
また、下記一般式(3)乃至(6)のいずれかで示されるような有機材料も、正孔輸送性を有する有機化合物として好適に用いることができる。下記一般式(3)乃至(6)のいずれかで表される有機化合物の具体例としては、N−(2−ナフチル)カルバゾール(略称:NCz)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9,10−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]アントラセン(略称:BCPA)、3,5−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ビフェニル(略称:BCPBi)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)等を挙げることができる。
【0033】
【化3】

式中Arは炭素数6〜42の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜3の自然数を表し、R、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0034】
【化4】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の1価の芳香族炭化水素基を表し、R、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0035】
【化5】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の2価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0036】
【化6】

ただし、式中Arは炭素数6〜42の3価の芳香族炭化水素基を表し、R〜Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0037】
さらに、正孔輸送性を有する有機化合物として、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、テトラセン、ルブレン、ペンタセン等の芳香族炭化水素も用いることができる。
【0038】
バッファ層401は上述した金属化合物と正孔輸送性を有する有機化合物との共蒸着法によって作製することができるが、湿式法やその他の公知のどの方法によって形成することもできる。なお、バッファ層401において有機化合物と金属化合物とは質量比で95:5〜20:80、より好ましくは90:10〜50:50であることが望ましい。
【0039】
また、発光を得る際に第1の電極400の電位の方が低くなるように電圧をかける場合(第1の電極を陰極として機能させる場合)、バッファ層401は2層構造として形成する。具体的には電子を発生する機能を有する層を発光積層体402側にさらに設ける。電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料、で形成すればよい。
【0040】
ドナー性の化合物としてはアルカリ金属及びアルカリ土類金属、もしくはそれらを含む酸化物や窒化物が望ましく、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム酸化物、マグネシウム窒化物、カルシウム窒化物であることが好ましい。また、電子輸送性を有する有機化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。
【0041】
また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も、ドナー性の化合物として用いることができる。
【0042】
さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等をドナー性の化合物として用いることができる。
【0043】
電子を発生する機能を有する層はスパッタ法や蒸着法など、公知の方法によって作製すればよい。複合材料は共蒸着法によって作製することができる。
【0044】
バッファ層401は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401の厚みを調節して、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合に、より大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0045】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(例えば、当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401の厚みを調節する。
【0046】
【数1】

【0047】
なお、有機化合物を含む層が複数の屈折率の異なる層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0048】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0049】
また、バッファ層401を第1の電極400の上面に接して設けることによって第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0050】
また、バッファ層401を第1の電極400に接して形成することによって、仕事関数に関係なく第1の電極400の材料を選択することができるようになる。即ち、発光を得る際に、他方の電極と比較して高い電圧をかける場合、低い電圧をかける場合、いずれにおいても電極材料に制約が無い。第1の電極400は反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。
【0051】
第1の電極400を単層で形成する場合は、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)、アルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)等がある。また、チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。
【0052】
第1の電極400を多層で形成する場合は、発光積層体402側に上記した材料を用いれば他の層に用いる材料は電気的接触を維持できればどのような材料であってもよい。また、ITO(indium tin oxide)、シリコンを含有するITO(略称:ITSO)、酸化インジウムに2〜20[wt%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化錫(SnO)に代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも発光積層体402側に設けてもよい。例えば、ITO、銀、ITOと言ったような積層構造を有する電極であってもよい。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。なお、シリコンを含有するITO(略称:ITSO)は、シリコンがITOに含まれる酸素と結合した酸化シリコンとして含まれるため、酸化シリコンを含有するITOともいう。
【0053】
第2の電極403は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第2の電極403は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上となるように形成される。
【0054】
第2の電極403を陰極として機能させる場合、第2の電極403は、仕事関数の小さい導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して形成する。第2の電極403の材料には、透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等が好ましい。これらの薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。また、第2の電極403は、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜の積層とすることができる。このような積層にすることで、第2の電極403は、透明導電膜の単層よりも反射率が高くなり、光を透過するのと共に、かつ反射させることができる。
【0055】
第2の電極403を陽極として機能させる場合、仕事関数の大きい導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して、第2の電極403を形成する。第2の電極には、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、窒化チタン、アルミニウム等の薄膜を用いることができる。膜厚は1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。このように、第2の電極403の材料には、透光性を有すると共に吸収が小さく反射率が高い材料が特に好ましい。また、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜の積層として形成することができる。このような積層にすることで、第2の電極403は、透明導電膜の単層よりも反射率が高くなり、光を透過させ、かつ反射させることができる。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0056】
発光積層体402は少なくとも発光層を有する単層もしくは積層構造よりなる層である(単層の場合も便宜上「発光積層体」と称することとする)。発光層の構成としては大きく分けて2種類の構成が挙げられる。一つは発光物質(ドーパント)が当該発光物質よりバンドギャップの大きい材料(ホスト)中に分散されてなるホスト−ゲスト型、もう一つは発光物質のみで構成された型である。
【0057】
また、発光層と陽極との間に、正孔の輸送に有利な材料を用いて形成した正孔輸送層、正孔の注入に有利な材料で形成した正孔注入層、発光層と陰極との間に、電子の輸送に有利な材料を用いて形成した電子輸送層、電子の注入に有利な材料で形成した電子注入層等の機能層を設けることができる。輸送層を設ける場合は、注入層は輸送層よりも電極側に形成する。また、これらの層の他に電子と正孔が発光層において効率よく再結合することが出来るようにする為のブロッキング層等、他の機能を有する層が形成されていてもよい。これら機能層は設けられていても設けられていなくともよく、また、その機能を複数有する層として形成されていてもよい。また、各層の境界は必ずしも明確でなくともよい。
【0058】
なお、バッファ層401と発光積層体402中の発光層は離れて形成されていることが望ましく、発光層とバッファ層401との間には、電子や正孔の輸送層が形成されていることが望ましい。
【0059】
発光層を形成する発光物質については特に限定はなく、発光効率が良好で、所望の発光波長の発光をし得る物質を用いればよい。
【0060】
例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。
【0061】
また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。
【0062】
また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。
【0063】
以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy))等の燐光を発光する物質も発光性の物質として用いることができる。
【0064】
また、発光性の物質を分散状態にするために用いる物質について特に限定はなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、または4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)等の金属錯体等を用いることができる。
【0065】
正孔注入層を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(略称:PEDOT/略称:PSS)等の高分子等が挙げられる。また、正孔注入層に接して形成されている機能層よりもイオン化ポテンシャルが相対的に小さくなるような物質を、正孔輸送性を有する物質の中から選択することによって、正孔注入層を形成することができる。
【0066】
正孔輸送層を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。また、正孔輸送層は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
【0067】
電子輸送層を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))等の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−ビフェニリル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ))、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。また、電子輸送層は、以上に述べた物質からなる層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
【0068】
電子注入層を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物等の無機物が挙げられる。
【0069】
また、無機物の他、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層を形成するのに用いることのできる物質も、これらの物質の中から、電子輸送層の形成に用いる物質よりも電子親和力が大きい物質を選択することによって、電子注入層を形成する物質として用いることができる。
【0070】
つまり、電子注入層における電子親和力が電子輸送層における電子親和力よりも相対的に大きくなるような物質を電子輸送性を有する物質の中から選択することによって、電子注入層を形成することもできる。なお、陰極として機能する電極として、電子注入性のあまり大きくない材料を用いた場合は、リチウム、カルシウム、バリウムなどの低仕事関数の金属を電極に積層するか電子輸送層にドープすることによって、電子注入層を形成することが望ましい。
【0071】
これら発光積層体402は蒸着法や湿式法などに代表される公知の方法によって作製することができる。
【0072】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能である。また、第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0073】
図1(B)は本発明の発光素子における図1(A)と異なる一形態を表す模式図である。図1(B)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401、発光積層体402からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(B)では第1の電極400側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0074】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は半透明電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、第2の電極403は当該発光素子が発する光に対して反射率の高い電極となるように形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0075】
図1(B)ではバッファ層401は有機化合物を含む層における第2の電極403側に設ける。バッファ層401は、発光を得る際に第2の電極403の電位の方が高くなるように電圧をかける構成の場合(第2の電極403を陽極として機能させる場合)、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。
【0076】
また、発光を得る際に第2の電極403の電位の方が低くなるように電圧をかける場合(第2の電極403を陰極として機能させる場合)、バッファ層401は2層構造として形成する。具体的には、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料の層と電子を発生する機能を有する層の2層構造とし、電子を発生する機能を有する層を発光積層体402側に設ける。電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料、で形成すればよい。
【0077】
これらバッファ層401の具体的な材料、構成については図1(A)のバッファ層401と同じであるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)のバッファ層401に関する説明を参照されたい。ただし、図1(B)の構成において、バッファ層401は先に形成する電極、すなわち第1の電極400上に形成していないため、第1の電極400の凹凸を緩和する効果は得られないことが異なる。
【0078】
バッファ層401は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401の厚みを調節し、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合に、より大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0079】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401の厚みを調節する。
【0080】
【数2】

【0081】
なお、有機化合物を含む層が屈折率の異なる複数の層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0082】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0083】
第1の電極400は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第1の電極400は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上となるように形成される。
【0084】
第1の電極400を陰極として機能させる場合、第1の電極400は、仕事関数の小さい導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して形成する。第1の電極400材料としては、透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等が好ましい。これらの薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、膜厚を25nm程度まで厚くすることも可能である。また、第1の電極400は、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜の積層とすることができる。
【0085】
第1の電極400を陽極として機能させる場合、仕事関数の大きい導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して、第1の電極400を形成する。第1の電極400には、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、窒化チタン、アルミニウム等の薄膜を用いることができる。膜厚は1nm以上、20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。第1の電極400は透光性を有すると共に吸収が小さく反射率が高い電極とするため、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜の積層として形成することができる。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0086】
第2の電極403に接してバッファ層401が形成されていることによって、第2の電極403は、仕事関数に関係なく材料を選択することができる。即ち、発光を得る際に、他方の電極と比較して高い電圧をかける場合、低い電圧をかける場合、いずれにおいても電極材料に制約が無い。
【0087】
第2の電極403は反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。第2の電極403を単層で形成する場合は、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはAl−Si、Al−Ti等がある。また、チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。
【0088】
第2の電極403を多層で形成する場合は、上記した材料を発光積層体402側に用いれば他の層に用いる材料は、電気的接触さえ維持できればどのような材料であってもよい。また、ITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも発光積層体402側に設けてもよい。例えば、ITO、銀、ITOと言ったような積層構造を有する電極であってもよい。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0089】
発光積層体402に関しては図1(A)と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)の発光積層体402の記載を参照されたい。
【0090】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を共に実現することが可能である。
【0091】
図1(C)は本発明の発光素子における図1(A)と異なる一形態を表す模式図である。図1(C)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401−1、発光積層体402、バッファ層401−2からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(C)では第2の電極403側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0092】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は当該発光素子が発する光に対して反射率の高い電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、当該発光素子が発する光に対して半透明電極となるように形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0093】
図1(C)ではバッファ層401−1、バッファ層401−2は有機化合物を含む層における第1の電極400側及び第2の電極403側の双方に設ける。バッファ層401−1及び401−2のうち、発光を得る際に電位が高くなるように電圧をかける電極側(陽極として機能させる電極側)に設けるバッファ層は、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。
【0094】
他方、発光を得る際に低い電圧をかける電極側(陰極として機能させる電極側)に設けるバッファ層は、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料でなる層と、電子を発生する機能を有する層の2層構造として形成し、後者を発光積層体402側に形成する。
【0095】
電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料で形成すればよい。これらバッファ層401−1、401−2の具体的な材料、構成については図1(A)のバッファ層401と同じであるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)のバッファ層401に関する説明を参照されたい。
【0096】
バッファ層401−1及び401−2は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401−1、401−2の一方または双方の厚みを調節して、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合により大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0097】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401−1及びバッファ層401−2の一方または双方の厚みを調節する。
【0098】
【数3】

【0099】
なお、有機化合物を含む層が複数の屈折率の異なる層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0100】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0101】
また、第1の電極400に接してバッファ層401−1を設けることによって第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0102】
第1の電極400及び第2の電極403はバッファ層401−1及び401−2が接して形成されていることによって、仕事関数に関係なく材料を選択することができる。即ち、発光を得る際に、他方の電極と比較して電位が高くなるように電圧をかける場合、電位が低くなるように電圧をかける場合、いずれにおいても電極材料に制約が無い。
【0103】
第1の電極400の材料には反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いるとよい。第1の電極400を単層で形成する場合は、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはAl−Si、Al−Ti等がある。また、チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。
【0104】
第1の電極400を多層で形成する場合は、発光積層体402側に上記した材料を用いれば他の層に用いる材料は電気的接触さえ維持できればどのような材料であってもよい。また、ITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも発光積層体402側に設けてもよい。例えば、ITO、銀、ITOと言ったような積層構造を有する電極であってもよい。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0105】
第2の電極403は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第2の電極403は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは、20%以上となるように形成される。
【0106】
バッファ層401−2が接して設けられていることから、第2の電極403には仕事関数の制約は無く、導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して、第2の電極403を形成すればよい。第2の電極403の材料には透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等が好ましい。これら材料の薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。また、第2の電極403は、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜との積層とすることができる。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0107】
発光積層体402に関しては図1(A)と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)の発光積層体402記載を参照されたい。
【0108】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能である。また、バッファ層401−1を第1の電極400上面に接して形成することにより、第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0109】
図1(D)は本発明の発光素子における図1(A)と異なる一形態を表す模式図である。図1(D)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401−1、発光積層体402、バッファ層401−2からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(D)では第1の電極400側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0110】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は当該発光素子が発する光に対して半透明電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、当該発光素子が発する光に対して反射率の高い電極となるように形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0111】
図1(D)ではバッファ層401−1、バッファ層401−2は有機化合物を含む層における第1の電極400側及び第2の電極403側の双方に設ける。バッファ層401−1及び401−2のうち、発光を得る際に電圧が高くなるように電圧をかける電極側(陽極として機能させる電極側)に設けるバッファ層は、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。
【0112】
他方、発光を得る際に低い電圧をかける電極側(陰極として機能させる電極側)に設けるバッファ層は、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料でなる層と、電子を発生する機能を有する層との2層構造として形成し、後者を発光積層体402側に形成する。
【0113】
電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料、で形成すればよい。これらバッファ層401−1、401−2の具体的な材料、構成については図1(A)のバッファ層401と同じであるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)のバッファ層401に関する説明を参照されたい。
【0114】
バッファ層401−1及び401−2は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401−1、401−2の一方または双方の厚みを調節し、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合により大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0115】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401−1及びバッファ層401−2の一方、または双方の厚みを調節する。
【0116】
【数4】

【0117】
なお、有機化合物を含む層が屈折率の異なる複数の層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0118】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0119】
また、第1の電極400上面に接してバッファ層401−1を設けることによって第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0120】
第1の電極400及び第2の電極403は、それぞれ、バッファ層401−1、バッファ層401−2が接して形成されていることによって、仕事関数に関係なく材料を選択することができる。即ち、発光を得る際に、他方の電極と比較して高い電圧をかける場合、低い電圧をかける場合、いずれにおいても電極材料に制約が無い。
【0121】
第1の電極400は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第1の電極400は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上となるように形成される。
【0122】
バッファ層401−1が接して設けられていることから、第1の電極400には仕事関数の制約は無く、導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して形成することができる。第1の電極400の材料として、透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等を用いることができる。これら材料の薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。また、第1の電極400は、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜との積層とすることができる。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0123】
第2の電極403はバッファ層401−2が接して設けられていることから仕事関数の制約は無く、反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いるとよい。
【0124】
第2の電極403を単層で形成する場合は、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはAl−Si、Al−Ti等がある。また、チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。
【0125】
第2の電極403を多層で形成する場合は、バッファ層401−2側に上記した材料を用いれば、他の層に用いる材料は電気的接触さえ維持できればどのような材料であってもよい。また、ITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも有機化合物を含む層側に設けてもよい。例えば、第2の電極403は、ITO、銀、ITOと言ったような積層構造を有する電極であってもよい。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0126】
発光積層体402に関しては図1(A)と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)の発光積層体402記載を参照されたい。
【0127】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能である。また、第1の電極400上に形成されてしまった凹凸を緩和することができる。このため、電極の凹凸に起因する不良(電極間のショートなど)を抑制することができる。
【0128】
図1(E)は本発明の発光素子における図1(A)と異なる一形態を表す模式図である。図1(E)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401、発光積層体402からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(E)では第2の電極403側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0129】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は当該発光素子が発する光に対して反射率の高い電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、第2の電極403は当該発光素子が発する光に対して半透明電極となるように形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0130】
図1(E)ではバッファ層401は有機化合物を含む層における第2の電極403側に設ける。バッファ層401は、発光を得る際に第2の電極403の電位の方が高くなるように電圧をかける構成の場合(第2の電極403を陽極として機能させる場合)、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。
【0131】
また、発光を得る際に第2の電極403の電位の方が低くなるように電圧をかける場合(第2の電極403を陰極として機能させる場合)、バッファ層401は2層構造として形成する。具体的には電子を発生する機能を有する層をバッファ層401内の発光積層体402側にさらに設ける。
【0132】
電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料、で形成すればよい。これらバッファ層401の具体的な材料、構成については図1(A)のバッファ層401と同じであるので、繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)のバッファ層401に関する説明を参照されたい。なお、図1(E)の構成では、バッファ層401は先に形成する電極、すなわち第1の電極400上に形成していないため、第1の電極400の凹凸を緩和する効果は得られないことが異なる。
【0133】
バッファ層401は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401の厚みを調節して、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合により大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0134】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401の厚みを調節する。
【0135】
【数5】

【0136】
なお、有機化合物を含む層が屈折率の異なる複数の層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0137】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0138】
第1の電極400は発光素子が発する光に対して反射率の高い電極になるように形成する。第1の電極400を陰極として機能させる場合、第1の電極400材料としては、仕事関数が小さく、反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。具体的にはアルミニウムとリチウムの合金、マグネシウムと銀の合金などを用いることができる。
【0139】
第1の電極400を陽極として機能させる場合、第1の電極400材料としては、仕事関数が大きく、反射率が高く、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。具体的には、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはAl−Si、Al−Ti等がある。チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。第1の電極400を多層で形成する場合は、発光積層体402側に上記した材料を側に用いれば他の層に用いる材料は電気的接触さえ維持できればどのような材料であってもよい。
【0140】
また、第1の電極400を陽極として機能させる場合、ITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも発光積層体402側に設けてもよい。例えば、ITO、銀、ITOといったような積層構造を有する電極であってもよい。これら透明導電膜は仕事関数が大きいものが多い為、発光積層体402側に透明導電膜を設け、その下部に仕事関数の小さい、反射率の高い材料を設けることによって反射率の高い電極を形成することができる。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0141】
第2の電極403は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第2の電極403は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上となるように形成される。
【0142】
バッファ層401が接して設けられていることから、第2の電極403には仕事関数の制約は無く、導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して形成することができる。第2の電極403の材料は、透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等が好ましい。これらの薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることもできる。また、第2の電極403は、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜との積層とすることもできる。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0143】
発光積層体402に関しては図1(A)と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)の発光積層体402記載を参照されたい。
【0144】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能である。
【0145】
図1(F)は本発明の発光素子における図1(A)と異なる一形態を表す模式図である。図1(F)における本発明の発光素子は図示しない絶縁体上に第1の電極400、第2の電極403よりなる一対の電極間に、バッファ層401、発光積層体402からなる有機化合物を含む層が狭持されている。図1(F)では第1の電極400側より光を取り出す構造に関して説明する。
【0146】
第1の電極400は単層で形成されても多層で形成されても構わないが、第1の電極400は当該発光素子が発する光に対して半透明電極となるように形成する。第2の電極403に関しては単層で形成しても多層で形成しても構わないが、第2の電極403は当該発光素子が発する光に対して反射率の高い電極となるように形成する。本発明の発光素子は一対の電極間に、規定の方向で一定以上の電圧をかけることによって発光を得ることができる。
【0147】
図1(F)ではバッファ層401は有機化合物を含む層における第1の電極400側に設ける。バッファ層401は、発光を得る際に第1の電極400の電位の方が高くなるように電圧をかける構成の場合(第1の電極400を陽極として機能させる場合)、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。また、発光を得る際に第1の電極400の電位方が低くなるように電圧をかける場合(第1の電極400を陰極として機能させる場合)、バッファ層401は、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料でなる層と、電子を発生する機能を有する層との2層構造として形成し、電子を発生する機能を有する層を発光積層体402側に設ける。電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物とドナー性の化合物との複合材料、で形成すればよい。これらバッファ層401の具体的な材料、構成については図1(A)のバッファ層401と同じであるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)のバッファ層401に関する説明を参照されたい。
【0148】
バッファ層401は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。発光層から射出された光は両電極で反射を繰り返すことで往復し、増幅され、定在波が形成される。バッファ層の401の厚みを調節して、所望の波長で定在波を発生させることで、光が増幅し、且つ、発光スペクトルの狭線化が生じる。その結果、同じ電流を流した場合により大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、スペクトルの狭線化のため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
【0149】
具体的に本発明における、第1の電極400と第2の電極403との光学距離Loは、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)の1/2の整数倍、つまり半波長の整数倍となるようにする。すなわち、取り出したい光の波長(当該発光素子から射出される光の極大波長)をλとすると、波長λにおける有機化合物を含む層の屈折率をnλ、第1の電極400と第2の電極403との間の物理的な距離をLpとした場合、下記式(1)を満たすようにバッファ層401の厚みを調節する。
【0150】
【数6】

【0151】
なお、有機化合物を含む層が屈折率の異なる複数の層の積層でなる場合には、各々の層の波長λにおける屈折率と当該層の厚さの積の和が半波長(λ/2)の整数倍となればよい。
【0152】
本発明では、一対の電極のうち、いずれか一方が透明電極ではなく、半透明電極であることから、より強い干渉効果を得ることができ、低消費電力化や色純度の向上をより効果的に得ることができる。
【0153】
第1の電極400は発光素子が発する光に対して半透明な電極(取り出したい光に対する透過率が40%〜90%)になるように形成する。発光層から射出された光が、第1の電極400と第2の電極403の間で反射を繰り返すようにするため、第1の電極400は、透光性と共に反射性を有し、吸収が小さい半透明な電極として形成される。半透明電極は、取り出したい光に対して、透過率が40%以上90%以下の範囲で、反射率が10%以上、より好ましくは20%以上となるように形成される。
【0154】
バッファ層401が接して設けられていることから、第1の電極400には仕事関数の制約は無く、導電材料を所望の透光性を有する程度に薄膜化して形成することができる。第1の電極400の材料としては、透光性を有すると共に、吸収が小さく、反射率が高い材料が特に好ましく、このような材料としてはアルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金またはマグネシウムと銀の合金等が好ましい。これら材料の薄膜の膜厚は所望の透過率が得られる程度とし、具体的には1nm以上20nm以下であることが好ましいが、25nm程度まで厚くすることができる。また、これらの薄膜とITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜との積層であってもよい。第1の電極400はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0155】
第2の電極403は発光素子が発する光に対して反射率の高い電極になるように形成する。第2の電極403を陰極として機能させる場合、材料としては、仕事関数が小さく、反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。具体的にはアルミニウムとリチウムの合金、マグネシウムと銀の合金などを用いることができる。
【0156】
第2の電極403を陽極として機能させる場合、材料としては、仕事関数が大きく、反射率が高く(取り出したい光に対する反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%)、吸収の少ない材料を用いることが望ましい。具体的には、アルミニウムや銀及びそれらの合金などを好適に用いることができる。アルミニウムの合金としてはAl−Si、Al−Ti等がある。チタンや窒化チタン、クロム、モリブデンなども用いることができる。第2の電極403を多層で形成する場合は、発光積層体402側に上記した材料を用いれば、他の層に用いる材料は電気的接触さえ維持できればどのような材料であってもよい。
【0157】
また、第2の電極403を陽極として機能させる場合、ITO、ITSO、IZO、SnOに代表されるような透明導電膜ならば、上記の材料よりも発光積層体402側に設けてもよい。例えば、ITO、銀、ITOと言ったような積層構造を有する電極であってもよい。これら透明導電膜は仕事関数が大きいものが多い為、発光積層体402側に透明導電膜を設け、その下部に仕事関数の小さい、反射率の高い材料を設けることによって反射率の高い電極を形成することができる。第2の電極403はスパッタ法や蒸着法など公知の方法によって作製することができる。
【0158】
発光積層体402に関しては図1(A)と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。図1(A)の発光積層体402記載を参照されたい。
【0159】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能である。
【0160】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の発光装置の作製方法について図2〜図4を参照しながら説明する。なお、本実施の形態ではアクティブマトリクス型で第2の電極側に光を射出する発光装置を作製する例を示した。なお、発光波長の異なる発光素子を用いるフルカラー表示の場合、各色の画素の配置は特に限定されない。ストライプ配置やデルタ配置など所望の配置を適用することが可能である。特に赤、緑、青などの3種類の発光色を呈する発光素子を用いた場合は、3種類の画素をデルタ型に配列したデルタ配置を好適に用いることができる。デルタ配置の画素はテレビなどの映像を表示する発光装置に最適である。
【0161】
もちろん、第1の電極側に光を射出する発光装置やパッシブマトリクス型の発光装置にも適用することができる。
【0162】
まず、基板50上に第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bを形成した後、さらに半導体層を第2の下地絶縁層51b上に形成する。(図2(A))
【0163】
基板50の材料としてはガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホンなど)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用してもよい。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
【0164】
第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bは基板50中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化シリコン、窒化シリコン、窒素を含む酸化シリコン、酸素を含む窒化シリコンなどを用いることができる。本実施の形態では第1の下地絶縁層51aを窒化シリコンで、第2の下地絶縁層51bを酸化シリコンで形成する。本実施の形態では、下地絶縁層を第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bの2層で形成したが、単層で形成してもかまわないし、2層以上の多層であってもかまわない。また、基板からの不純物の拡散が問題にならないようであれば下地絶縁層は設ける必要がない。
【0165】
下地絶縁層は基板50の表面を高密度プラズマによって処理することによって形成してもよい。高密度プラズマは例えば2.45GHzのマイクロ波を用いることによって生成され、電子密度が1011〜1013/cm且つ電子温度が2eV以下、イオンエネルギーが5eV以下であるものとする。このような高密度プラズマは活性種の運動エネルギーが低く、従来のプラズマ処理と比較してプラズマによるダメージが無く、欠陥の少ない膜を形成することができる。マイクロ波を発生するアンテナから基板50までの距離は20〜80mm、好ましくは20〜60mmとするとよい。
【0166】
窒化性雰囲気、例えば、窒素と希ガスとを含む雰囲気下、または窒素と水素と希ガスを含む雰囲気下、またはアンモニアと希ガスを含む雰囲気下において、上記高密度プラズマ処理を行うことによって基板50の表面を窒化することができる。基板50としてガラス基板、石英基板またはシリコンウエハなどを用いた場合、上記高密度プラズマによる窒化処理を行った場合、基板50表面に形成される窒化膜は窒化シリコンを主成分とするため、第1の下地絶縁層51aとして利用することができる。この窒化物層の上に酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンをプラズマCVD法により第2の下地絶縁層51bを形成してもよい。
【0167】
また、酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどからなる下地絶縁層の表面に同様の高密度プラズマによる窒化処理を行うことによって、その表面に窒化膜を形成することができる。この窒化膜は基板50からの不純物の拡散を抑制することができるが、きわめて薄く形成することができる為、その上に形成する半導体層への応力の影響が少ないので好ましい。
【0168】
続いて形成される半導体層は本実施の形態では非晶質シリコン膜をレーザ結晶化して得る。第2の下地絶縁層51b上に非晶質シリコン膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。作製方法としては公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法またはプラズマCVD法などが使用できる。その後、500℃で1時間の加熱処理を行い、水素出しをする。
【0169】
続いてレーザ照射装置を用いて非晶質シリコン膜を結晶化して結晶質シリコン膜を形成する。本実施の形態のレーザ結晶化ではエキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを光学系を用いて線状のビームスポットに加工し非晶質シリコン膜に照射することで結晶質シリコン膜とし、半導体層として用いる。
【0170】
非晶質シリコン膜の他の結晶化の方法としては、他に、熱処理のみにより結晶化を行う方法や結晶化を促進する触媒元素を用い加熱処理を行う事によって行う方法もある。結晶化を促進する元素としてはニッケル、鉄、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金などが挙げられ、このような元素を用いることによって熱処理のみで結晶化を行った場合に比べ、低温、短時間で結晶化が行われるため、ガラス基板などへのダメージが少ない。熱処理のみにより結晶化をする場合は、基板50を熱に強い石英基板などにすればよい。
【0171】
続いて、必要に応じて半導体層にしきい値をコントロールする為に微量の不純物添加、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得る為にN型もしくはP型を呈する不純物(リン、ボロンなど)をイオンドーピング法などにより添加する。
【0172】
その後、図2(A)に示すように半導体層を所定の形状にパターニングし、島状の半導体層52を得る。パターニングは半導体層にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形状を露光し、焼成して、半導体層上にレジストマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングをすることにより行われる。
【0173】
続いて半導体層52を覆うようにゲート絶縁膜53を形成する。ゲート絶縁膜53はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて膜厚を40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁層で形成する。本実施の形態では酸化シリコンを用いて形成する。この場合、ゲート絶縁膜53の表面を酸化雰囲気もしくは窒化雰囲気で高密度プラズマにより処理し、酸化または窒化処理を行い緻密化してもよい。
【0174】
なお、ゲート絶縁膜53を形成する前に、半導体層52の表面に対し、高密度プラズマ処理を行って、半導体層の表面を酸化または窒化処理してもよい。このとき、基板50の温度を300〜450℃とし、酸化雰囲気または窒化雰囲気で処理することにより、その上に形成するゲート絶縁膜53と良好な界面を形成することができる。
【0175】
次いで、ゲート絶縁膜53上にゲート電極54を形成する。ゲート電極54はタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0176】
また、本実施の形態ではゲート電極54は単層で形成されているが、下層にタングステン、上層にモリブデンなどの2層以上の積層構造でもかまわない。積層構造としてゲート電極を形成する場合であっても前段で述べた材料を使用するとよい。また、その組み合わせも適宜選択すればよい。ゲート電極54の加工はフォトレジストを用いたマスクを利用し、エッチングをして行う。
【0177】
続いて、ゲート電極54をマスクとして半導体層52に高濃度の不純物を添加する。これによって半導体層52、ゲート絶縁膜53、及びゲート電極54を含む薄膜トランジスタ70が形成される。
【0178】
なお、薄膜トランジスタの作製工程については特に限定されず、所望の構造のトランジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
【0179】
本実施の形態では、レーザ結晶化を使用して結晶化した結晶性シリコン膜を用いたトップゲートの薄膜トランジスタを用いたが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体はシリコンだけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
【0180】
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半導体膜(セミアモルファス半導体)を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶はいわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている。
【0181】
セミアモルファス半導体であるセミアモルファスシリコン(SASとも表記する)は、シリコンの化合物の気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な気体としては、SiHであり、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。これらの気体から選ばれた気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲であることが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa〜133Paの範囲の圧力で行えばよい。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すればよい。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
【0182】
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm−1以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm以下、好ましくは1×1019/cm以下とする。TFTにしたときのμ=1〜10cm/Vsecとなる。また、このSASをレーザでさらに結晶化して用いてもよい。
【0183】
続いて、ゲート電極54、ゲート絶縁膜53を覆って絶縁膜(水素化膜)59を窒化シリコンにより形成する。絶縁膜(水素化膜)59を形成したら480℃で1時間程度加熱を行って、不純物元素の活性化及び半導体層52の水素化を行う。絶縁膜(水素化膜)59を形成した後に、水素ガスを導入して高密度プラズマ処理をすることで絶縁膜(水素化膜)59の水素化を行ってもよい。これにより当該層を緻密化することができる。また、その後、400〜450度の熱処理を行って水素を放出させ、半導体層52の水素化をすることができる。
【0184】
続いて、絶縁膜(水素化膜)59を覆う第1の層間絶縁層60を形成する。第1の層間絶縁層60を形成する材料としては酸化シリコン、アクリル、ポリイミドやシロキサン、Low−k材料(低誘電材料)等を用いるとよい。本実施の形態では酸化シリコン膜を第1の層間絶縁層として形成した。(図2(B))
【0185】
次に、半導体層52に至るコンタクトホールを開口する。コンタクトホールはレジストマスクを用いて、半導体層52が露出するまでエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチングどちらでも形成することができる。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしまってもよいし、複数回に分けてエッチングを行ってもよい。また、複数回でエッチングする際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いてもよい。(図2(C))
【0186】
そして、当該コンタクトホールや第1の層間絶縁層60を覆う導電層を形成する。当該導電層を所望の形状に加工し、接続部61a、配線61bなどが形成される。この配線はアルミニウム、銅、アルミニウムと炭素とニッケルの合金、アルミニウムと炭素とモリブデンの合金等の単層でもよいが、基板側からモリブデン、アルミニウム、モリブデンを順次積層した構造や、チタン、アルミニウム、チタンを順次積層した構造や、チタン、窒化チタン、アルミニウム、チタンを順次積層した構造といった積層構造でもよい。(図2(D))
【0187】
その後、接続部61a、配線61b、第1の層間絶縁層60を覆って第2の層間絶縁層63を形成する。第2の層間絶縁層63の材料としては自己平坦性を有するアクリル、ポリイミド、シロキサンなどの塗布膜が好適に利用できる。本実施の形態ではシロキサンを第2の層間絶縁層63として用いる。(図2(E))
【0188】
続いて第2の層間絶縁層63上に窒化シリコンなどで絶縁層を形成してもよい。これは後の画素電極のエッチングにおいて、第2の層間絶縁層63が必要以上にエッチングされてしまうのを防ぐ為に形成する。そのため、画素電極と第2の層間絶縁層のエッチングレートの比が大きい場合には特に設けなくともよい。続いて、第2の層間絶縁層63を貫通して接続部61aに至るコンタクトホールを形成する。
【0189】
そして当該コンタクトホールと第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)を覆って、透光性を有する導電層を形成したのち、当該透光性を有する導電層を加工して薄膜発光素子の第1の電極64を形成する。ここで第1の電極64は接続部61aと電気的に接触している。第1の電極64の材料に関しては実施の形態1を参照されたい(図3(A))。
【0190】
次に第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)及び第1の電極64を覆って有機材料もしくは無機材料からなる絶縁層を形成する。続いて当該絶縁層を第1の電極64の一部が露出するように加工し、隔壁65を形成する。隔壁65の材料としては、感光性を有する有機材料(アクリル、ポリイミドなど)が好適に用いられるが、感光性を有さない有機材料や無機材料で形成してもかまわない。また、隔壁65の材料にチタンブラックやカーボンナイトライドなどの黒色顔料や染料を分散材などを用いて分散し、隔壁65を黒くすることでブラックマトリクス様に用いてもよい。隔壁65の第1の電極に向かう端面は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい(図3(B))。
【0191】
次に、有機化合物を含む層66を形成し、続いて有機化合物を含む層66を覆う第2の電極67を形成する。これによって第1の電極64と第2の電極67との間に有機化合物を含む層66を挟んでなる発光素子93を作製することができる(図3(C))。本実施の形態における発光素子は、本実施の形態における本発明の発光装置が第2の電極側に発光を取り出す構造であるため、実施の形態1における図1(A)、(C)、(E)のいずれかに示したような構成を有する。
【0192】
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化シリコン膜をパッシベーション膜として形成する。窒素を含む酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH、NO、NHから作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH、NOから作製される酸化窒化シリコン膜、あるいはSiH、NOをArで希釈したガスから形成される酸化窒化シリコン膜を形成すればよい。
【0193】
また、パッシベーション膜として、プラズマCVD法でSiH、NO、Hから作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用してもよい。もちろん、パッシベーション膜は単層構造に限定されるものではなく、他のシリコンを含む絶縁層を単層構造、もしくは積層構造として用いてもよい。また、窒化炭素膜と窒化シリコン膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化シリコン膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化シリコン膜の代わりに形成してもよい。
【0194】
続いて発光素子を水などの劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、図示しない絶縁性のシール材により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填してもよいし、シール材を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を貼り合わせてもよい。シール材には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材には乾燥剤や基板間のギャップを一定に保つための粒子を混入しておいてもよい。続いて外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、発光装置が完成する(図4)。
【0195】
本実施の形態では対向基板94と素子との間に透光性を有する樹脂88等を充填し、封止を行う。これにより発光素子93が水分により劣化することを防ぐことができる。また、樹脂88が吸湿性を有していることが望ましい。さらに樹脂88中に透光性の高い乾燥剤89を分散させるとさらに水分の影響を抑えることが可能になるためさらに望ましい形態である。
【0196】
なお、表示機能を有する本発明の発光装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光装置及びその駆動方法には、上記したどの駆動方法を用いてもよい。
【0197】
上記構成を有する本発明の発光装置は電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能な発光装置である。
【0198】
本実施の形態は他の適当な実施の形態と組み合わせて用いることが可能である。
【0199】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置であるアクティブマトリクス型発光装置のパネルの外観について図5を用いて説明する。図5は基板上に形成されたトランジスタ及び発光素子を対向基板4006との間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図であり、図5(B)は図5(A)の断面図に相応する。また、このパネルの発光素子が有する構造は、実施の形態1に示したような構成である。
【0200】
基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また、画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって充填材4007と共に密封されている。
【0201】
また、基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とは薄膜トランジスタを複数有しており、図5(B)では信号線駆動回路4003に含まれる薄膜トランジスタ4008と、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010とを示す。
【0202】
また、発光素子4011は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。
【0203】
また、引き回し配線4014は画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とに、信号、または電源電圧を層供給する為の配線に相当する。引き回し配線4014は、引き回し配線4015b、引き回し配線4015aを介して2層構造の接続端子4016と接続されている。接続端子4016はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018が有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。なお、引き回し配線4015aと、接続端子4016の下層及び薄膜トランジスタ4008、4010のソース配線またはドレイン配線とは、同じ導電層から形成されている。
【0204】
なお、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いることができる。
【0205】
なお、本発明の発光装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、該パネルにICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
【0206】
以上の様な構成を有する本発明の発光装置は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能な発光装置である。
【0207】
本実施の形態は他の適当な実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0208】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3で示したパネル、モジュールが有する画素回路、保護回路及びそれらの動作について説明する。なお、実施の形態3に示してきた断面図は駆動用TFT1403と発光素子1405の断面図となっている。
【0209】
図6(A)に示す画素は、列方向に信号線1410及び電源線1411、1412、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404、容量素子1402及び発光素子1405を有する。
【0210】
図6(C)に示す画素は、駆動用TFT1403のゲート電極が、行方向に配置された電源線1412に接続される点が異なっており、それ以外は図6(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図6(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、列方向に電源線1412が配置される場合(図6(A))と、行方向に電源線1412が配置される場合(図6(C))とでは、各電源線は異なるレイヤーの導電膜で形成される。ここでは、駆動用TFT1403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図6(A)(C)として分けて記載する。
【0211】
図6(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内に駆動用TFT1403と電流制御用TFT1404が直列に接続されている。駆動用TFT1403のチャネル長L(1403)、チャネル幅W(1403)、電流制御用TFT1404のチャネル長L(1404)、チャネル幅W(1404)は、L(1403)/W(1403):L(1404)/W(1404)=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。
【0212】
なお、駆動用TFT1403は、飽和領域で動作し発光素子1405に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT1404は線形領域で動作し発光素子1405に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましく、本実施の形態ではnチャネル型TFTとして形成する。また駆動用TFT1403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。
【0213】
上記構成を有する本発明の発光装置は、電流制御用TFT1404が線形領域で動作するために、電流制御用TFT1404のVgsの僅かな変動は、発光素子1405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子1405の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT1403により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた発光装置を提供することができる。
【0214】
図6(A)〜(D)に示す画素において、スイッチング用TFT1401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT1401がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子1402にそのビデオ信号の電圧が保持される。なお図6(A)(C)には、容量素子1402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、容量素子1402を設けなくてもよい。
【0215】
図6(B)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図6(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図6(D)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図6(C)に示す画素構成と同じである。
【0216】
TFT1406は、新たに配置された走査線1414によりオン又はオフが制御される。TFT1406がオンとなると、容量素子1402に保持された電荷は放電し、電流制御用TFT1404がオフとなる。つまり、TFT1406の配置により、強制的に発光素子1405に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT1406を消去用TFTと呼ぶことができる。従って、図6(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
【0217】
図6(E)に示す画素は、列方向に信号線1410、電源線1411、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、容量素子1402及び発光素子1405を有する。図6(F)に示す画素は、TFT1406と走査線1415を追加している以外は、図6(E)に示す画素構成と同じである。なお、図6(F)の構成も、TFT1406の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
【0218】
駆動用TFT1403を強制的にオフにする場合の画素構成の例を図7に示す。選択TFT1451、駆動用TFT1453、消去ダイオード1461、発光素子1454が配置されている。選択TFT1451のソースとドレインは各々、信号線1455と駆動用TFT1453のゲートに接続されている。選択TFT1451のゲートは、第1ゲート線1457に接続されている。駆動用TFT1453のソースとドレインは各々、第1電源線1456と発光素子1454に接続されている。消去ダイオード1461は、駆動用TFT1453のゲートと第2ゲート線1467に接続されている。
【0219】
容量素子1452は、駆動用TFT1453のゲート電位を保持する役目をしている。よって、駆動用TFT1453のゲートと電源線1456の間に接続されているが、これに限定されない。駆動用TFT1453のゲート電位を保持できるように配置されていればよい。また、駆動用TFT1453のゲート容量などを用いて、駆動用TFT1453のゲート電位を保持できる場合は、容量素子1452を省いてもよい。
【0220】
動作方法としては、第1ゲート線1457を選択して、選択TFT1451をオン状態にして、信号線1455から信号を容量素子1452に入力する。すると、その信号に応じて、駆動用TFT1453の電流が制御され、第1電源線1456から、発光素子1454を通って、第2電源線1458に電流が流れる。
【0221】
信号を消去したい場合は、第2ゲート線1467を選択(ここでは、高い電位にする)して、消去ダイオード1461がオンして、第2ゲート線1467から駆動用TFT1453のゲートへ電流が流れるようにする。その結果、駆動用TFT1453がオフ状態になる。すると、第1電源線1456から、発光素子1454を通って、第2電源線1458には、電流が流れないようになる。その結果、非点灯期間を作ることができ、点灯期間の長さを自由に制御できるようになる。
【0222】
信号を保持しておきたい場合は、第2ゲート線1467を非選択(ここでは、低い電位にする)しておく。すると、消去ダイオード1461がオフするので、駆動用TFT1453のゲート電位は保持される。
【0223】
なお、消去ダイオード1461は、整流性がある素子であれば、なんでもよい。PN型ダイオードでもよいし、PIN型ダイオードでもよいし、ショットキー型ダイオードでもよいし、ツェナー型ダイオードでもよい。
【0224】
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。特に、非晶質半導体膜から薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFT1403、1453の半導体膜を大きくすると好ましい。そのため、上記画素回路において、発光積層体からの光が対向基板側から射出する上面発光型とすると好ましい。
【0225】
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている。
【0226】
本実施の形態では、一画素に各TFTが設けられるアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置を形成することもできる。パッシブマトリクス型の発光装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。発光が発光積層体の両側へ射出する発光装置の場合、パッシブマトリクス型の発光装置を用いる透過率が高まる。
【0227】
続いて、図6(E)に示す等価回路を用い、走査線及び信号線に保護回路としてダイオードを設ける場合について説明する。
【0228】
図8には、画素部1500にスイッチング用TFT1401、1403、容量素子1402、発光素子1405が設けられている。信号線1410には、ダイオード1561と1562が設けられている。ダイオード1561と1562は、スイッチング用TFT1401又は1403と同様に、上記実施の形態に基づき作製され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード1561と1562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とを接続することによりダイオードとして動作させている。
【0229】
ダイオードと接続する共通電位線1554、1555はゲート電極と同じレイヤーで形成している。従って、ダイオードのソース電極又はドレイン電極と接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
【0230】
走査線1414に設けられるダイオードも同様な構成である。
【0231】
このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置は、これに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
【0232】
このような保護回路を有する本発明の発光装置は、当該発光装置は電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能な発光装置であり、また、上記構成を有することで、発光装置としての信頼性をさらに高めることが可能となる。
【0233】
(実施の形態5)
本発明の発光装置(モジュール)を搭載した本発明の電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigitAl Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図9に示す。
【0234】
図9(A)は発光装置でありテレビ受像器やパーソナルコンピュータのモニターなどがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光装置は消費電力が小さく表示品質の高い発光装置である。画素部にはコントランスを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、対向基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順に設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
【0235】
図9(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。本発明の携帯電話は消費電力が小さく表示品質の高い携帯電話である。
【0236】
図9(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明のコンピュータは消費電力が小さく表示品質の高いコンピュータである。図9(C)ではノート型のコンピュータを例示したが、1つの筐体にハードディスクと表示部が組み込まれたデスクトップ型のコンピュータなどにも適用することが可能である。
【0237】
図9(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコンピュータは消費電力が小さく表示品質の高いモバイルコンピュータである。
【0238】
図9(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型ゲーム機は消費電力が小さく表示品質の高い携帯型ゲーム機である。
【0239】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【0240】
本実施の形態は他の適当な実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0241】
(実施の形態6)
本実施の形態では、発光層の発光色に応じてバッファ層の膜厚を変える形態について図10を参照しながら説明する。
【0242】
図10(A)は本発明の発光装置の一部における断面図である。図示された3つの発光素子はそれぞれ赤の発光を発する発光素子、緑の発光を発する発光素子、青の発光を発する発光素子である。赤の発光を発する発光素子は基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101R、バッファ層103R、共通の正孔輸送層104、発光層105R、共通の電子輸送層106、共通の第2の電極107からなる。緑の発光を発する発光素子は、基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101G、バッファ層103G、共通の正孔輸送層104、発光層105G、共通の電子輸送層106、共通の第2の電極107からなる。青の発光を発する発光素子は、基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101B、バッファ層103B、共通の正孔輸送層104、発光層105B、共通の電子輸送層106、共通の第2の電極107からなる。各々の発光素子における第1の電極101R、101G、101Bはその端部が隔壁102でおおわれており、素子毎に絶縁されている。また、バッファ層103R、103G、103Bはそれぞれの発光素子より取り出す光の極大波長に合わせてその厚みが設定されている。
【0243】
図10(A)では第1の電極、バッファ層、発光層以外の層が各色の発光素子で共通である構成の例を示した。図1(A)では正孔輸送層104、電子輸送層106のみ用いる例を示したが、もちろん、他の機能を有する層を有していてもよいし、正孔輸送層104、電子輸送層106は設けられていなくともよい。
【0244】
図10(B)では第2の電極以外の層が各々の発光素子で分離している構成を示している。すなわち、赤の発光を発する発光素子は基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101R、バッファ層103R、正孔輸送層104R、発光層105R、電子輸送層106R、共通の第2の電極107からなる。緑の発光を発する発光素子は基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101G、バッファ層103G、正孔輸送層104G、発光層105G、電子輸送層106G、共通の第2の電極107からなる。青の発光を発する発光素子は基板や層間絶縁膜に相当する絶縁体100上に第1の電極101B、バッファ層103B、正孔輸送層104B、発光層105B、電子輸送層106B、共通の第2の電極107からなる。各々の発光素子における第1の電極101R、101G、101Bはその端部が隔壁102でおおわれており、素子毎に絶縁されている。また、バッファ層103R、103G、103Bはそれぞれの発光素子より取り出す光の極大波長に合わせてその厚みが設定されている。
【0245】
図10(B)では正孔輸送層、電子輸送層のみ用いる例を示したが、もちろん、他の機能層を有していてもよいし、正孔輸送層、電子輸送層は設けられていなくともよい。また、発光素子によって正孔輸送層や電子輸送層などの機能層の材料が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0246】
また、機能層毎に発光素子毎に分離されず全ての素子で共通なものがあってもよいし、素子毎に分離されていてもよい。さらに、機能層は発光素子によって設けられているものと設けられていないものがあってもよい。
【0247】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、電圧輝度効率の低下などの悪影響が発現されることなく、簡便に低消費電力化と色純度の向上を同時に実現することが可能な発光装置である。
【0248】
また、発光素子の発光色毎にバッファ層の厚さを変え、その波長に対して最適化することができるため、さらに色純度向上や低消費電力化を実現できる。
【実施例1】
【0249】
図1(F)に示す構成の発光素子をガラス基板上に作製し、その特性を測定した。本実施例では、作製された発光素子を「発光素子1」という。まず、発光素子1の構成とその作製方法を説明する。
【0250】
<第1の電極400(半透明電極)>
第1の電極400(半透明電極)として、ガラス基板上に、厚さ110nmのシリコンを含むITO(以下、「ITSO」と記す。)をスパッタ装置で形成した。ITSO上に、厚さ15nmのAgを蒸着した。ITSOとごく薄いAgを積層して形成することで、反射性も備えた半透明電極が形成できた。
【0251】
<バッファ層401>
バッファ層401として、Ag上に、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(以下、「DNTPD」と記す。)と酸化モリブデンとの複合材料を厚さ125nm形成した。DNTPDは正孔輸送性を示す有機化合物である。
複合材料はDNTPDと酸化モリブデンを共蒸着することで形成し、酸化モリブデン(以下、「MoOx」と記す。)の蒸着源にはMoOを用いた。質量比はDNTPD:MoOx=4:2となるようにした。
【0252】
<発光積層体402>
発光積層体402を4層の機能層で形成した。まず、DNTPDとMoOxの複合材料上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、「NPB」と記す。)を厚さ10nm蒸着した。
【0253】
NPBの上に、クマリン6(coumarin6)とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、「Alq」と記す。)を共蒸着して、厚さ40nmの複合材料を形成した。質量比はクマリン6:Alq=1:0.01となるようにした。クマリン6とAlqの複合材料層が発光層として機能する。
【0254】
クマリン6とAlqの複合材料上に、Alqを厚さ30nm蒸着した。Alq上にLiFを厚さ1nm蒸着した。
【0255】
<第2の電極403(反射電極)>
第2の電極403として、スパッタ装置で、LiF上にAlを200nmの厚さに成膜した。Alは反射電極として機能する。
【0256】
発光素子1では、波長515nmの光が共振するように光学設計を行った。第1の電極400と第2の電極403間の距離が最適になるように、バッファ層401の膜厚を決めた。第1の電極400と第2の電極403間の物理的な距離は206nmである。
【0257】
<比較素子>
本実施例では、発光素子1の特性を評価するため、比較となる発光素子(以下、「比較素子」という。)を作製した。比較素子は、第1の電極400を半透明電極ではなく、透明電極とした素子である。発光素子1との違いは、第1の電極400にAgを設けず、厚さ110nmのITSOの単層でなる点である。他は、発光素子1と同じ条件で作製した。表1に、発光素子1及び比較素子を構成する層の材料及び膜厚を示す。
【0258】
【表1】

【0259】
図11(a)は、発光素子1及び比較素子の電流密度−輝度特性であり、図11(b)は電圧−輝度特性である。図11に示すように発光素子1も比較素子もほぼ同等の特性を示すことがわかった。輝度が3000cd/mのときの電流効率は、発光素子1が10.6cd/A、比較素子が11.3cd/Aである。
【0260】
一方、輝度が3000cd/mのときのCIE色度座標は、発光素子1が(x,y)=(0.18,0.73)であり、比較素子が(x,y)=(0.28,0.66)である。発光素子1、比較素子は緑色で発光するが、発光素子1の方が色純度が高いことが確認できた。
【0261】
図12に発光素子1及び比較素子の発光スペクトルを示す。図12に示すように、発光素子1の方が、発光スペクトルが鋭い。発光スペクトルの半値幅は、発光素子1が35nmに対して比較素子が60nmである。このことが色純度の向上に繋がっている。
【0262】
本実施例で示したように、半透明電極及びバッファ層を発光素子に設けることで、電流密度−輝度特性や電圧−輝度特性にほとんど影響を変えることなく、色純度を向上できることがわかった。
【実施例2】
【0263】
図1(C)に示す構成の発光素子をガラス基板上に作製し、その特性を測定した。本実施例では、作製された発光素子を「発光素子2」という。まず、発光素子2の構成とその作製方法を説明する。
【0264】
<第1の電極400(反射電極)>
第1の電極400を反射電極として形成した。ガラス基板上に、厚さ40nmのアルミニウムとチタンの合金(以下、「Al−Ti」と記す。)と、Al−Ti上に厚さ6nmのTiを積層した導電膜を形成した。
【0265】
<バッファ層401−1>
Ti上にバッファ層401−1として、DNTPDとMoOxの複合材料を厚さ40nm形成した。発光素子1同様に、複合材料は、DNTPDとMoOxとを共蒸着することで形成し、MoOxの蒸着源にはMoOを用いた。質量比はDNTPD:MoOx=4:2となるようにした。
【0266】
<発光積層体402>
発光積層体402として3層の機能層を形成した。
【0267】
まず、DNTPDとMoOxの複合材料上に、NPBを厚さ10nm蒸着した。NPBの上に、クマリン6とAlqを厚さ40nmに共蒸着した。質量比はクマリン6:Alq=1:0.01となるようにした。クマリン6とAlqの複合材料が発光層として機能する。クマリン6とAlqの混合材料上に、厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0268】
<バッファ層401−2>
バッファ層401−2は、電子を発生する機能を有する層と、正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料層との2層構造とした。電子を発生する機能を有する層として、AlqとLiを厚さ10nm共蒸着し、LiをドープしたAlqを形成した。質量比は、Alq:Li=1:0.01となるようにした。有機化合物と金属化合物の複合材料は、バッファ層401−1と同様に、DNTPDとMoOxの複合材料とし、厚さは110nmとした。
【0269】
<第2の電極403(半透明電極)>
DNTPDとMoOxの複合材料上に、第2の電極403として、Agを厚さ25nm蒸着した。ごく薄く形成したため、Agを半透明電極として機能させることができた。
【0270】
発光素子2も発光素子1と同様、緑色の光が共振するようにした。発光素子2では、波長513nmの光が共振するように光学設計を行った。第1の電極400と第2の電極403間の距離が最適になるように、バッファ層401−1、401−2の膜厚、特にDNTPDとMoOxの複合材料の膜厚を決定した。第1の電極400と第2の電極403の物理的な距離は220nmである。表2に、発光素子2を構成する層の材料及び膜厚を示す。
【0271】
【表2】

【0272】
図13(a)は発光素子2の電流密度−輝度特性であり、図13(b)は電圧−輝度特性である。輝度が3000cd/mのときの電流効率は10.4cd/Aであり、良好な電流効率を示した。
【0273】
また、輝度が3000cd/mときのCIE色度座標は(x,y)=(0.20,0.72)であり、発光素子2から色純度の高い緑色の光が得られた。
【0274】
図14に発光素子2の発光スペクトルを示す。図14に示すように、発光スペクトルは鋭いピークを示し、発光スペクトルの半値幅は45nmである。このことが色純度の向上に繋がっている。
【0275】
表3に、発光素子2と共に、実施例1で示した発光素子1及び比較素子について、電流効率、CIE色度座標、及び発光スペクトルの半値幅を示す。表3の電流効率及びCIE色座標は輝度が3000cd/mときの値である。
【0276】
【表3】

【0277】
本実施例で示したように、発光素子にバッファ層と半透明電極を設けることで、電流密度−輝度特性や電圧−輝度特性にほとんど影響を変えることなく、色純度を向上させることができる。発光素子2は、バッファ層を2つ設けたため、発光素子1、比較素子よりも第1の電極と第2の電極間の距離が長くなっているが、電流密度−輝度特性や電圧−輝度特性を低下させることなく、共振効果により比較素子よりも色純度が向上し、発光素子1と同程度の色純度の向上がみられた。
【0278】
また、発光素子2では、反射電極(第2の電極403)として、反射率がAg程高くないチタンまたはチタン合金の電極を用いているが、本実施例により共振効果による色純度の向上を確認することができた。チタンや、チタン合金は、アクティブマトリクス型の発光装置(実施形態2、3参照)に好ましく用いられる配線材料、電極材料である。そのため、画素部に形成される配線や電極をチタンやチタン合金で形成した場合、これらの配線や電極をそのまま発光素子の一方の電極に用いつつ、共振効果を得られることがわかった。例えば、実施の形態2で示したアクティブマトリクス型の発光装置において、薄膜トランジスタの接続部61aをそのまま、発光素子の第1の電極64に用いることができる(図2、図4参照)。
【0279】
したがって、本実施例のような上面射出構造において、プロセスの簡略の観点からも、本発明の適用は非常に有効であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0280】
【図1】本発明の発光素子の断面模式図。
【図2】本発明の発光装置の作製方法を表す断面模式図。
【図3】本発明の発光装置の作製方法を表す断面模式図。
【図4】本発明の発光装置の作製方法を表す断面模式図。
【図5】本発明の発光装置の上面模式図及び断面模式図。
【図6】画素回路の一例を表す回路図。
【図7】画素回路の一例を表す回路図。
【図8】保護回路の一例を表す回路図。
【図9】本発明の電子機器を表す模式図。
【図10】本発明の発光装置の断面模式図。
【図11】発光素子1及び比較素子の電流密度−輝度特性図及び電圧−輝度特性図(実施例1)。
【図12】発光素子1及び比較素子の発光スペクトル(実施例1)。
【図13】発光素子2の電流密度−輝度特性図及び電圧−輝度特性図(実施例2)。
【図14】発光素子2の発光スペクトル(実施例2)。
【符号の説明】
【0281】
50 基板
51a 第1の下地絶縁層
51b 第2の下地絶縁層
52 半導体層
53 ゲート絶縁膜
54 ゲート電極
59 絶縁膜(水素化膜)
60 第1の層間絶縁層
61a 接続部
61b 配線
63 第2の層間絶縁層
64 第1の電極
65 隔壁
66 有機化合物を含む層
67 第2の電極
70 薄膜トランジスタ
88 樹脂
89 乾燥剤
93 発光素子
94 対向基板
100 絶縁体
101B、101G、101R 第1の電極
102 隔壁
103B、103G、103R バッファ層
104、104B、104G、104R 正孔輸送層
105B、105G、105R 発光層
106、106B、106G、106R 電子輸送層
107 第2の電極
400 第1の電極
401、401−1、401−2 バッファ層
402 発光積層体
403 第2の電極
1401 スイッチング用TFT
1402 容量素子
1403 駆動用TFT
1404 電流制御用TFT
1405 発光素子
1406 TFT
1410 信号線
1411、1412 電源線
1414、1415 走査線
1451 選択TFT
1452 容量素子
1452 容量素子
1453 駆動用TFT
1454 発光素子
1455 信号線
1456 電源線
1457 ゲート線
1458 電源線
1461 消去ダイオード
1467 ゲート線
1500 画素部
1554 共通電位線
1561 ダイオード
2001 筐体
2003 表示部
2004 スピーカー部
2101 本体
2102 筐体
2103 表示部
2104 音声入力部
2105 音声出力部
2106 操作キー
2108 アンテナ
2201 本体
2202 筐体
2203 表示部
2204 キーボード
2205 外部接続ポート
2206 ポインティングマウス
2301 本体
2302 表示部
2303 スイッチ
2304 操作キー
2305 赤外線ポート
2401 筐体
2402 表示部
2403 スピーカー部
2404 操作キー
2405 記録媒体挿入部
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 対向基板
4007 充填材
4008 薄膜トランジスタ
4010 薄膜トランジスタ
4011 発光素子
4014 配線
4015 配線
4016 接続端子
4018 フレキシブルプリントサーキット(FPC)
4019 異方性導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極、および前記一対の電極間に挟まれた有機化合物を含む層を有する発光素子を有する発光装置であり、
前記有機化合物を含む層は、発光物質を含む発光層、および正孔輸送性を示す有機化合物と金属化合物を含む複合材料を有するバッファ層を少なくとも含み、
前記一対の電極は、一方が反射率の高い電極であり、他方が半透明電極であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
一対の電極、および前記一対の電極間に挟まれた有機化合物を含む層を有する発光素子を有する発光装置であり、
前記有機化合物を含む層は、発光物質を含む発光層、および正孔輸送性を示す有機化合物と金属化合物を含む複合材料を有するバッファ層を少なくとも含み、
前記一対の電極は、一方が反射率の高い電極であり、他方が半透明電極であり、
前記バッファ層の膜厚は発光素子外部に射出する発光の強度が高くなるように決定されたことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記一対の電極間の光学距離が、当該発光素子から取り出される光の極大波長の半分の整数倍であることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記一対の電極間の光学距離が、当該発光素子から取り出したい光における極大波長の半分の整数倍であることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半透明電極は、発光層から発する光に対する反射率が10%以上であることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半透明電極は、反射率の高い導電材料でなり、透光性を有するように薄膜化した導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半透明電極は、厚さ1nm以上25nm以下の反射率の高い導電材料でなる導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半透明電極は、反射率の高い導電材料でなり、透光性を有するように薄膜化した導電膜と、透明導電膜との積層であることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半透明電極は、厚さ1nm以上25nm以下の反射率の高い導電材料でなる導電膜と、透明導電膜との積層であることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一項において、
前記反射率の高い導電材料は、アルミニウム、銀、アルミニウムとリチウムの合金、およびマグネシウムと銀の合金から選ばれた材料であることを特徴とする発光装置。
【請求項11】
請求項6乃至請求項9のいずれか一項において、
前記反射率の高い導電材料は、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、窒化チタン、およびアルミニウムから選ばれた材料であることを特徴とする発光装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
前記反射率の高い電極は、発光層から発する光に対する反射率が70%以上であることを特徴とする発光装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記バッファ層は前記一対の電極のいずれか一方に接して形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記有機化合物を含む層は前記バッファ層を2層有し、
前記一対の電極は、それぞれ、前記バッファ層の1つに接していることを特徴とする発光装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項において、
前記金属化合物は、遷移金属の酸化物または窒化物であることを特徴とする発光装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項において、
前記金属化合物は周期表の4族乃至8族に属する金属の酸化物もしくは窒化物であることを特徴とする発光装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項において、
前記金属化合物は、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物、またはルテニウム酸化物のいずれかであることを特徴とする発光装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項において、
前記発光素子を複数有し、
前記発光素子が発する光の波長によって、前記バッファ層の厚さが異なることを特徴とする発光装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項において、
発光の色が異なる3種類の発光素子をそれぞれ複数有し、
複数の前記発光素子は、発する光の色に従ってデルタ配置され、
前記発光素子が発する光の波長によって、前記バッファ層の厚さが異なることを特徴とする発光装置。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載の発光装置を表示部に有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−43104(P2007−43104A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169612(P2006−169612)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】