説明

発光装置、車両用前照灯、照明装置および車両、ならびに、発光装置の組立方法

【課題】発光装置における蛍光の利用効率を高める。
【解決手段】レーザ光18を出射するレーザ素子11と、レーザ素子11から出射されたレーザ光を受けて蛍光を発する発光部14と、発光部14が発生させた蛍光19を反射する反射鏡15とを備え、レーザ素子11は、パラボラミラー15の外部に配置され、パラボラミラー15には、レーザ光18が通過する窓部16が設けられており、窓部16を塞ぐように設置されると共に、レーザ光18を透過し、且つ、蛍光19を反射する多層膜フィルタ13をさらに備えている発光装置101である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励起光を蛍光体に照射することで発生する蛍光を照明光として利用する発光装置、車両用前照灯、照明装置および車両用前照灯を備えた車両、ならびに、発光装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、励起光源として発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD;Laser Diode)等の半導体発光素子を用い、これらの励起光源から生じた励起光を、蛍光体を含む発光部に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いる発光装置の研究が盛んになってきている。
【0003】
このような発光装置の一例として特許文献1に開示された光源ユニットがある。この光源ユニットでは、光源部から出射される光を蛍光体に照射し、その照射により蛍光体が拡散光を発生させる。光源部と蛍光体との間には反射鏡が設けられており、この反射鏡が蛍光体からの拡散光を略平行な光に配光制御して、前方へ照射する。
【0004】
この光源ユニットでは、上で述べたように、反射鏡が光源部と蛍光体との間に設けられている。このため、反射鏡は、光源部から蛍光体へ向かう方向に光を透過する孔である光透過部を有している。光源部から出射された光は、反射鏡の光源部側から、この光透過部を透過し、蛍光体側へ進むことになる。
【0005】
光源部の出射光を透過する光透過部は、単に反射鏡を貫通する孔である。このため、蛍光体が発生させた拡散光のうち、その光透過部に向かう光は、その孔である光透過部を透過することになる。つまり、拡散光の一部は、反射鏡の蛍光体側から、この光透過部を透過し、光源部側へ進み、その結果、光透過部から漏れ出すことになる。よって、上記の光源ユニットには、蛍光体が発生させる拡散光の利用効率を低下させてしまうという問題点がある。
【0006】
このような問題点を考慮すれば、光源部から出射される光を透過するが、蛍光体が発生させた拡散光を透過する、つまり、拡散光を反射するという波長選択性を備えた反射鏡や帯域フィルタを光透過部に設けることが好ましいと言える。
【0007】
例えば、特許文献2に開示された発光装置では、ファイバ型光導波路の出射端面に、半導体レーザ光の波長に対して高反射、蛍光体による発光波長に対して低反射となる反射鏡が設けられている。この反射鏡は、ファイバ型光導波路の出射端面において、蛍光体が発生させた光を透過するが、半導体レーザ光を反射するものである。
【0008】
また、特許文献3に開示された半導体発光装置では、円筒形状のキャップが半導体発光素子を囲んでおり、そのキャップの外部に波長変換物質(蛍光体)が配置されている。半導体発光素子からの出射光は、キャップ本体に開口された貫通孔を進行し、キャップの外部にある波長変換物質に照射される。この貫通孔には光選択フィルタが設けられており、この光選択フィルタは半導体発光素子からの出射光を透過するが、波長変換物質で波長変換された変換光を透過しないような波長選択性を備えた帯域フィルタを使用する。
【0009】
上記の特許文献1の光源ユニットにおいて、光透過部からの拡散光の漏れを防止するためには、上記の特許文献2の反射鏡や上記の特許文献3の帯域フィルタを、光透過部に設けることが有効と期待できる。上記の反射鏡や上記の帯域フィルタの波長選択性を制御し、光源部からの出射光を透過し、発光部からの拡散光を反射するようにすればよい。
【0010】
上記の特許文献2の反射鏡や上記の特許文献3の帯域フィルタには、通常、一層ではなく、複数層の膜である多層膜を用いるのが一般的である。このような多層膜では、各層の膜種および各層内の光路長の組み合わせを最適化することにより、所望の波長選択性を実現することができる。
【0011】
なお、光路長とは、各層内を光が実際に進んだ距離(以下、「伝搬距離」と記す場合もある。)に、各層の膜を構成する物質の屈折率をかけたものである。すなわち、光路長は以下の式で定義される。
【0012】
光路長=伝搬距離×屈折率
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005―150041号公報(2005年6月9日公開)
【特許文献2】特開2000―275444号公報(2000年10月6日公開)
【特許文献3】特開2008―153617号公報(2008年7月3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した多層膜では、その波長選択性を実現する上で、特に、各層内の光路長の高精度な制御が要求される。各層内の光路長の組み合わせが、多層膜の波長選択性に大きく影響を与える要因だからである。多層膜の各層の膜厚は、要求される各層内の光路長が実現されるように、決められる。なお、各層の膜厚、つまり、各層内を進む光の伝搬距離は、上記式を用いて、要求される光路長から求められる。
【0015】
ここで、上記の特許文献2の発光装置では、蛍光体と反射鏡とは空間的に近接している。蛍光体は、その発光の際、自身を中心として放射状に光を発生させるので、蛍光体に近接する反射鏡には、多様な方向に向かう光が入射することになる。
【0016】
上記特許文献3の半導体発光装置でも、同様に、波長変換物質と帯域フィルタとが空間的に近接している。波長変換物質は、放射状に光を発生させるので、帯域フィルタにも多様な方向に向かう光が入射することになる。
【0017】
このような多様な方向に向かう光が多層膜に入射するということは、各層内を進行する光の光路長も多様になることを意味する。しかし、各層内の光路長は、ある1つの方向で入射する光を想定している。そして、その光の方向を用いて、要求される各層内の光路長が実現されるように、各層の膜厚が決められている。
【0018】
このため、予め想定した1つの方向から外れる光にとっては、その多層膜の各層内の光路長は最適なものとはならない。その結果、このような光に対し、多層膜は所望の波長選択性を実現することができない。
【0019】
仮に、多様な方向で入射光の全てに対し、同一の光路長にしようとした場合、多層膜の各層を複雑な形状に成形する必要があり、現実的なやり方とは言えない。
【0020】
このように上記の特許文献1の光源ユニットにおいて、上記の特許文献2の反射鏡や上記の特許文献3の帯域フィルタを、単に、光透過部に設けても、それら反射鏡や帯域フィルタに所望の波長選択性を実現することは困難であった。それゆえ、発光部が発生させる拡散光が光透過部から漏れ出してしまうことを確実に防止することができないといった課題があった。
【0021】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、蛍光体が発生させる蛍光の利用効率を高めることができる発光装置、車両用前照灯、照明装置、および車両用前照灯を備えた車両、ならびに、発光装置の組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る発光装置は、上記の課題を解決するために、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光を受けて蛍光を発する発光部と、上記発光部が発生させた蛍光を反射する反射鏡とを備え、上記励起光源は、上記反射鏡の外部に配置され、上記反射鏡には、上記励起光が通過する光通過口が設けられており、上記光通過口を塞ぐように設置されると共に、上記励起光を透過し、且つ、上記発光部が発生させた蛍光を反射する光機能部材をさらに備えている。
【0023】
上記の構成によれば、励起光源からの励起光を受けて発光部が蛍光を発し、その蛍光を反射鏡によって反射することで当該蛍光が照明光として出射される。励起光源は反射鏡の外側に配置されており、励起光源から出射された励起光は、反射鏡に設けられた光通過口を通過し、発光部に照射される。
【0024】
ここで、発光部は励起光が照射されると、自身を中心とし放射状に蛍光を発生させる。このため、発光部が発生させる蛍光の一部は、励起光が通過する光通過口に向かって進行する。
【0025】
このとき、反射鏡の光通過口に向かう蛍光がそのまま光通過口を通過してしまうと、その蛍光は反射鏡の外側に漏れ出すことになる。この漏れ出した蛍光は発光装置の照明光として利用することができない。
【0026】
このことは、蛍光の利用効率を低減させ、ひいては発光装置の照明光の輝度を低下させてしまうことを意味する。
【0027】
そこで、上記の構成では、光機能部材を用いて、反射鏡の光通過口を塞いでいる。この光機能部材は、励起光源から出射された励起光を透過させるが、発光部が発生させた蛍光を反射する。
【0028】
さらに、上記の構成では、光機能部材は反射鏡の光通過口に設けられており、発光部から空間的に離間されている。このため、光機能部材に進入する蛍光の進行方向はほぼ一方向とみなすことができる。
【0029】
それゆえ、反射鏡の発光体側から外側に蛍光が漏れ出すことを防止することができるので、発光部が発生させる蛍光の利用効率を向上させることができる。
【0030】
上記励起光源は、上記励起光が上記光通過口の中心を通過するように、上記光通過口に対し位置していることが好ましい。
【0031】
励起光源の位置決めは、たとえば、発光装置の組立のときに行なわれる。この位置決めの際、励起光源から出射される励起光が光通過口を確実に通過するように、光通過口に対する励起光源の励起光の出射角度が決められる。
【0032】
しかし、時間の経過と共に、励起光源の出射角度がずれてしまうことがある。そのずれが大きくなると、励起光の光路が光通過口から外れ、励起光が光通過口を通過できなくなる。したがって、このような出射角度のずれは、その許容値が大きければ大きいほど、好ましいといえる。
【0033】
そこで、上記の構成では、励起光源は、励起光が光通過口の中心を通過するように、光通過口に対し位置している。この場合、励起光源の出射角度がずれ始めると、励起光の光路は光通過口の中心からずれ始める。このことは、励起光の光路が光通過口から外れるまでに要する、出射角度のずれの大きさを最大化できることを意味する。
【0034】
それゆえ、上記の構成によれば、励起光源の出射角度の許容値を最大化することができる。
【0035】
上記発光部は、上記励起光源から出射された励起光が上記光通過口のいずれの位置を通過した場合でも、当該励起光が照射されるように、上記光通過口に対し位置していることが好ましい。
【0036】
励起光源の出射角度がずれると、励起光が光通過口を通過できた場合でも、そのずれの大きさによっては、励起光の進行方向が発光部から外れてしまうことが考えられる。
【0037】
上記の構成によれば、励起光源から出射された励起光が光通過口の中心から端部にずれて通過したときでも、その励起光は発光部に照射される。
【0038】
上記光機能部材は、支持基板と、当該支持基板の上部に積層された、複数の膜の多層構造からなる積層体と、を含み、上記積層体は、上記励起光を含む第1の波長範囲の光を透過し、且つ、上記蛍光を含む第2の波長範囲の光を反射することが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、光機能部材は、複数の膜の多層構造からなる積層体を有し、その積層体を用いて、励起光を透過し、蛍光を反射する。ここで、この積層体は、たとえばSiO膜やTiO膜といった複数の膜が多層化されたものであり、その強度は非常に脆弱であるのが通常である。このため、積層体を単体で反射鏡の光通過口に設置しようとすると、その強度の脆さから、その設置の際、変形や破損が起こり得る。あるいは、発光装置の使用中にもこのような変形や破損が起こる場合も考えられる。
【0040】
そこで、上記の構成では、このような強度の脆い積層体をたとえばSiO基板といった支持基板の上部に積層する。これにより、積層体を単体で用いる場合と比較して、支持基板による支持により、その強度が増し、それゆえ、上で述べたような積層体の変形や破損を防止することができる。
【0041】
上記光機能部材は、上記積層体が設けられている側を上記発光部に向けて配設されていることが好ましい。
【0042】
支持基板は積層体を支持するためのものであり、たとえばSiO基板が用いられる。このような支持基板は、励起光源の励起光のみならず、発光部から発生する蛍光も透過させてしまうのが一般的である。
【0043】
ここで、支持基板が設けられている側が発光部に向けて配設されていると、発光部から発生した蛍光は、光機能部材に到達したとき、先ず支持基板に入射することになる。
【0044】
上で述べたように、支持基板は蛍光を透過する。このため、光機能部材と光通過口との位置関係の如何によっては、支持基板を通過した蛍光が積層体により反射され、反射鏡から漏れ出すといった状況を起こり得る。たとえば、蛍光が積層体により反射された位置が既に反射鏡の外側であった場合である。
【0045】
そこで、上記の構成では、積層体が設けられている側を発光部に向けて配設している。このことは、発光部から発生した蛍光が光機能部材に到達したとき、蛍光が先ず入射するのは積層体であることを意味する。この場合、発光部から発生した蛍光は、光機能部材に到達した時点において、積層体により反射されることになる。これにより、光機能部部材に入射し、反射鏡の外側に向かって進行する蛍光の量が減り、上で述べたような蛍光が漏れ出す状況の発生が低減される。
【0046】
それゆえ、蛍光の利用効率をより向上させることができる。
【0047】
上記光機能部材は、上記積層体における上記複数の膜の積層方向と、上記蛍光の光路方向とが一致するように、設置されていることが好ましい。
【0048】
光機能部材の積層体の各膜では、蛍光の反射を実現できるよう、それぞれの内部を蛍光が進行する距離(伝搬距離)が制御される。
【0049】
ここで、各膜内の蛍光の伝搬距離と各膜の膜厚とが一致しない場合、すなわち、積層体の積層方向と蛍光の光路方向とが一致しない場合、各膜を積層した後、改めて、各膜内の蛍光の伝搬距離を制御する必要が生じる。たとえば、励起光源や発光部の配置の調節や光機能部材の設置のやり直しなどを行なわなければならず、非常に手間な作業が要求される。
【0050】
上記の構成では、発光部から発生する蛍光の光路方向と積層体の積層方向とが一致するので、各膜内の蛍光の伝搬距離と各膜の膜厚とが一致することになる。このため、各膜の膜厚を制御することは、実質的には、各膜内の蛍光の伝搬距離を制御することに他ならない。
【0051】
それゆえ、上記の構成によれば、積層体の各層の膜厚制御により、各層内の蛍光の伝搬距離を制御したことになり、これにより、利用者の利便性を向上させることができる。
【0052】
上記励起光は、上記光機能部材に対してP偏光であり、且つ、上記光機能部材に対する入射角度がブリュースター角であることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、P偏光である励起光が光機能部材にブリュースター角で入射するので、その入射面でほとんど反射することなく、光機能部材に入射し、光通過口を通過し、発光部に照射される。
【0054】
それゆえ、光機能部材の内部における励起光の損失を軽減し、励起光を高効率で発光部に照射させることができる。すなわち、励起光の利用効率が向上する。
【0055】
上記光機能部材は、上記光機能部材の上記発光部に対向する対向面と上記反射鏡の反射面とが連続する一体面となるように、上記光通過口に嵌め込まれていることが好ましい。
【0056】
上記の構成によれば、光機能部材の発光部に対向する対向面と、反射鏡の反射面とが接続する接続箇所において、それら2つ面間に段差が無くなり、発光部から発生した蛍光に対し、2つの面が連続する一体面である反射面を実現することができる。
【0057】
このような段差による蛍光の反射は、反射鏡が目的とする方向に蛍光を向かわせることを阻害する。ひいては、反射鏡による蛍光の取り出し効率を低下させることになる。
【0058】
そこで、上記の構成によれば、このような段差を無くしたので、蛍光の取り出し効率の低下を防止することができる。
【0059】
上記光機能部材は、上記複数の膜の積層方向が上記支持基板の上記発光部に対向する面と反対側の面と直交するように、形成されていることが好ましい。
【0060】
上記の構成によれば、支持基板の上部に複数の膜を積層した後、それら複数の層および支持基板を切り出す回数を減らすことができるので、光機能部材の作製を容易にすることができる。
【0061】
複数の膜の積層方向を支持基板の発光部に対向する面と反対側の面と直交させない場合、支持基板の上部に複数の膜を積層した後、支持基板や複数の膜を複数の切り出し方向に沿って何度も切り出すことが必要となる。
【0062】
上記の構成では、複数の膜の積層方向が支持基板の発光部に対向する面と反対側の面と直交するので、支持基板の上部に複数の膜を積層した後には、その反対側の面に対し直交する方向に切り出すことだけを行なえばよい。
【0063】
それゆえ、上述したように、光機能部材の作製を容易にすることができる。
【0064】
上記光機能部材の上記発光部に対向する面は、凹状の曲面であることが好ましい。
【0065】
上記の構成によれば、発光部から発生した蛍光が光機能部材により反射される際、発光部に対向する面が平坦面である場合と比較して、反射鏡が目的とする方向に向かう蛍光の量をより多くすることができる。
【0066】
それゆえ、蛍光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0067】
上記凹状の曲面は、上記反射鏡の反射面と同一の曲率を有しており、上記発光部側から見たとき、上記凹状の曲面と上記反射鏡の反射面とは一体となって、上記蛍光に対する1つの反射面を構成していることが好ましい。
【0068】
上記の構成では、光機能部材の発光部に対向する面である凹状の曲面が反射鏡の反射面と同一の曲率を有しており、反射鏡の反射面とが一体となり発光部が発生させた蛍光を反射する1つの反射面を構成している。
【0069】
このため、光機能部材の凹状の曲面により反射される蛍光を、反射鏡が目的とする方向と同じ方向に向かわせることができる。ここで、それぞれの曲率が異なり、1つの反射鏡とみなすことができなければ、お互いが反射する蛍光が進む方向を一致させることができない。
【0070】
それゆえ、上記の構成によれば、それぞれの曲率が異なり、1つの反射鏡とみなすことができない場合と比較して、蛍光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0071】
上記光機能部材は、上記光通過口に嵌め込まれている先端部と、上記反射鏡の外側に位置しており、上記発光部側から見たとき、上記光通過口の開口面よりも面積が大きい土台部とを有していることが好ましい。
【0072】
上記の構成では、光機能部材が光通過口を塞ぐように設置される際、先端部が光通過口に嵌め込まれる。このとき、土台部は光通過口の開口面よりも大きいので、光通過口に嵌め込まれることは無い。
【0073】
すなわち、土台部は光機能部材の全部が光通過口に入り込むことを防止している。
【0074】
それゆえ、光機能部材が光通過口から反射鏡の発光部側に落ち込むことが無くなる。また、光機能部材を設置する際に光機能部材を光通過口に固定する(たとえば、接着剤を用いて接着する)といったことが不要となり、光機能部材の交換が容易となる。
【0075】
上記発光部側から見たとき、上記光通過口の開口面の面積は、上記反射鏡の外側から上記発光部側に向かう方向に沿って、小さくなるものであり、上記発光部側から見たとき、上記光機能部材の面積は、上記光機能部材が上記光通過口に嵌め込まれるように、上記反射鏡の外側から上記発光部側に向かう方向に沿って、小さくなることが好ましい。
【0076】
上記の構成では、光機能部材が光通過口を塞ぐように設置される際、光機能部材が光通過口に嵌め込まれる。
【0077】
ここで、発光部側から見たときの光通過口の開口面の面積は、反射鏡の外側から発光部側に向かう方向に沿って、徐々に小さくなる。つまり、光通過口は、反射鏡の外側から発光部側に向かう方向に沿って、先が細くなる形状を持っている。
【0078】
一方、発光部側から見たときの光機能部材の面積は、反射鏡の外側から発光部側に向かう方向に沿って、徐々に小さくなる。つまり、光機能部材も、反射鏡の外側から発光部側に向かう方向に沿って、先が細くなる形状を持っている。
【0079】
つまり、光機能部材が光通過口に嵌め込まれる際、光機能部材が光通過口をすり抜けてしまうことが無い。
【0080】
それゆえ、光機能部材が光通過口から反射鏡の発光部側に落ち込むことが無くなる。また、光機能部材を設置する際に光機能部材を光通過口に固定する(たとえば、接着剤を用いて接着する)といったことが不要となり、光機能部材の交換が容易となる。さらに、光機能部材を複雑な形状とする必要が無く、光機能部材の作製が容易となる。
【0081】
上記発光部は、上記発光部が発生させた蛍光が上記光通過口の上記発光部に対向する開口面に入射するときの入射角度を一定とみなすことができるように、上記光通過口に対して位置していることが好ましい。
【0082】
上記の構成によれば、蛍光が発生させた蛍光のうち、光通過口に向かう蛍光については、その入射角度を揃えることができる。このことは、光機能部材に入射する蛍光が光機能部材の積層体の各膜内を通過する距離(伝搬距離)が一定になることを意味する。
【0083】
それゆえ、光機能部材の積層体は、光通過口に向かう蛍光のほぼ全てを反射することができる。
【0084】
上記励起光は、レーザ光であることが好ましい。
【0085】
上記の構成によれば、光源サイズが小さくなり、発光装置の小型化を実現することができる。
【0086】
上記発光装置を含む車両用前照灯および照明装置、ならびにその車両用前照灯を含む車両も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
本発明に係る発光装置の組立方法は、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光を受けて蛍光を発する発光部と、上記発光部が発生させた蛍光を反射する反射鏡とを備え、上記励起光源は、上記反射鏡の外部に配置され、上記反射鏡には、上記励起光が通過する光通過口が設けられており、上記光通過口を塞ぐように設置されると共に、上記励起光を透過し、且つ、上記発光部が発生させた蛍光を反射する光機能部材をさらに備えている発光装置の組立方法であって、上記励起光源の位置決めは、上記励起光が上記光通過口の中心を通過するように、行なわれる。
【0088】
励起光源の位置決めは、たとえば、発光装置の組立のときに行なわれる。この位置決めの際、励起光源から出射される励起光が光通過口を確実に通過するように、光通過口に対する励起光源の励起光の出射角度が決められる。
【0089】
しかし、時間の経過と共に、励起光源の出射角度がずれてしまうことがある。そのずれが大きくなると、励起光の光路が光通過口から外れ、励起光が光通過口を通過できなくなる。したがって、このような出射角度のずれは、その許容値が大きければ大きいほど、好ましいといえる。
【0090】
そこで、上記の構成では、励起光源は、励起光が光通過口の中心を通過するように、光通過口に対し位置している。この場合、励起光源の出射角度がずれ始めると、励起光の光路は光通過口の中心からずれ始める。このことは、励起光の光路が光通過口から外れるまでに要する、出射角度のずれの大きさを最大化できることを意味する。
【0091】
それゆえ、上記の構成によれば、励起光源の出射角度の許容値を最大化することができる。
【発明の効果】
【0092】
以上のように、本発明に係る発光装置は、上記の課題を解決するために、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光を受けて蛍光を発する発光部と、上記発光部が発生させた蛍光を反射する反射鏡とを備え、上記励起光源は、上記反射鏡の外部に配置され、上記反射鏡には、上記励起光が通過する光通過口が設けられており、上記光通過口を塞ぐように設置されると共に、上記励起光を透過し、且つ、上記発光部が発生させた蛍光を反射する光機能部材をさらに備えている。
【0093】
それゆえ、蛍光体が発生させる蛍光の利用効率を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図2】多層膜フィルタの形状および位置を説明するための模式図であり、(a)は、多層膜フィルタ、パラボラミラーおよび発光部の略断面図、(b)は、その略平面図である。
【図3】多層膜フィルタの効果を説明するための図である。
【図4】多層膜フィルタの作製方法を説明するための図である。
【図5】窓部に対するレーザ素子の位置を説明するための図である。
【図6】窓部に対する発光部の位置を説明するための図である。
【図7】窓部に対するレーザ素子の位置を説明するための図であり、(a)は、レーザ光が窓部の中心を通過する場合に対応し、(b)は、レーザ光が窓部の中心からずれて通過する場合に対応する図である。
【図8】多層膜フィルタの構造を説明するための図である。
【図9】多層膜フィルタの波長に対する反射率を示すグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図11】多層膜フィルタの作製方法を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図13】多層膜フィルタの作製方法を説明するための図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図15】多層膜フィルタの作製方法を説明するための図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係るヘッドランプの概略構成を示す断面図である。
【図18】本発明のヘッドランプの組立方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、断面寸法と平面寸法との関係、各部材の断面寸法の比率、各部材の平面寸法に比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0096】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0097】
<ヘッドランプ101の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ101の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、ヘッドランプ101は、レーザ素子(励起光源)11と、レンズ12と、多層膜フィルタ(光機能部材)13と、発光部14と、パラボラミラー(反射鏡)15と、金属ベース17と、を備えている。
【0098】
(レーザ素子11)
レーザ素子11は、励起光を出射する励起光源として機能する発光素子である。このレーザ素子11は、複数設けられていてもよい。この場合、複数のレーザ素子11のそれぞれから励起光としてのレーザ光が発振される。レーザ素子11を1つのみ用いてもよいが、高出力のレーザ光を得るためには、複数のレーザ素子11を用いる方が容易である。複数のレーザ素子11を用いる場合であれば、各レーザ素子11のレーザ光は全て、後述するパラボラミラー15の窓部16を通過し、発光部14を照射する。
【0099】
レーザ素子11は、1チップに1つの発光点を有するものであってもよく、1チップに複数の発光点を有するものであってもよい。レーザ素子11のレーザ光の波長は、例えば、405nm(青紫色)または450nm(青色)であるが、これらに限定されず、発光部14に含める蛍光体の種類に応じて適宜選択されればよい。また、励起光源(発光素子)として、レーザ素子11の代わりに、発光ダイオード(LED)を用いることも可能である。
【0100】
(レンズ12)
レンズ12は、レーザ素子11から出射したレーザ光が発光部14に適切に照射されるように、当該レーザ光の照射範囲を調節(例えば、縮小)するためのレンズである。
【0101】
後述するように、このようなレンズ12による調節の他、発光部14の位置や大きさを調節することによって、レーザ光の照射範囲の調節を行なってもよい。もちろん、レンズ12による調節と発光部14の位置や大きさの調節との組み合わせにより、行なっても構わない。
【0102】
(発光部14)
発光部14は、レーザ素子11から出射されたレーザ光を受けて蛍光を発するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部14は、封止材の内部に蛍光体が分散されているもの、または蛍光体を固めたものである。発光部14は、レーザ光を蛍光に変換するため、波長変換素子であると言える。
【0103】
この発光部14は、金属ベース17の上、かつ、パラボラミラー15のほぼ焦点位置に配置されている。そのため、発光部14から出射した蛍光は、パラボラミラー15の反射曲面に反射することで、その光路が制御される。発光部14の上面にレーザ光の反射を防止する反射防止構造が形成されていてもよい。
【0104】
発光部14の蛍光体として、例えば、酸窒化物系蛍光体(例えば、サイアロン蛍光体)またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体(例えば、インジュウムリン:InP)を用いることができる。これらの蛍光体は、レーザ素子11から発せられた高い出力(および/または光密度)のレーザ光に対しての熱耐性が高く、レーザ照明光源に最適である。ただし、発光部14の蛍光体は、上述のものに限定されず、窒化物蛍光体など、その他の蛍光体であってもよい。
【0105】
また、ヘッドランプの照明光は、所定の範囲の色度を有する白色にしなければならないことが、法律により規定されている。そのため、発光部14には、照明光が白色となるように選択された蛍光体が含まれている。
【0106】
例えば、青色、緑色および赤色の蛍光体を発光部14に含め、405nmのレーザ光を照射すると白色光が発生する。または、黄色の蛍光体(または緑色および赤色の蛍光体)を発光部14に含め、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる青色近傍のレーザ光)を照射することでも白色光が得られる。
【0107】
発光部14の封止材は、例えば、ガラス材(無機ガラス、有機無機ハイブリッドガラス)、シリコーン樹脂等の樹脂材料である。ガラス材として低融点ガラスを用いてもよい。封止材は、透明性の高いものが好ましく、レーザ光が高出力の場合には、耐熱性の高いものが好ましい。
【0108】
(パラボラミラー15)
パラボラミラー15は、発光部14が発生させた蛍光を反射し、所定の立体角内を進む光線束(照明光)を形成する。このパラボラミラー15は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であってもよいし、金属製の部材であってもよい。
【0109】
パラボラミラー15は、その一部が、発光部14の上面の上方に配置されている。すなわち、パラボラミラー15は、発光部14の上面を覆う位置に配置されている。別の観点から説明すれば、発光部14の側面の一部は、パラボラミラー15の開口部の方向を向いている。
【0110】
発光部14とパラボラミラー15との位置関係を上述のものにすることで、発光部14の蛍光を所定の立体角内に集光する効率を高めることができ、その結果、蛍光の利用効率を高めることができる。
【0111】
また、レーザ素子11は、パラボラミラー15の外部に配置されており、パラボラミラー15には、レーザ光を通過させる窓部(光通過口)16が形成されている。この窓部16は、パラボラミラー15の外部(レーザ素子11側)と内部(発光部14側)とを貫通する孔である。
【0112】
後述するように、この窓部16を塞ぐようにして、多層膜フィルタ13が設けられている。レーザ素子11から発せられたレーザ光は、この多層膜フィルタ13を透過し、窓部16を通過する。
【0113】
なお、パラボラミラー15の一部には、パラボラではない部分を含めてもよい。また、本発明の発光装置が有する反射鏡は、閉じた円形の開口部を有するパラボラミラーまたはその一部を含むものであってもよい。また、上記反射鏡は、パラボラミラーに限定されず、楕円面ミラーや半球面ミラーであってもよい。
【0114】
(金属ベース17)
金属ベース17は、発光部14を支持する板状の支持部材であり、金属(例えば、銅や鉄)からなっている。それゆえ、金属ベース17は熱伝導性が高く、発光部14を冷却できる。なお、発光部14を支持する部材は、金属からなるものに限定されず、金属以外の熱伝導性が高い物質(ガラス、サファイアなど)を含む部材でもよい。ただし、発光部14と、その一部が当接する金属ベース17の表面は反射面として機能することが好ましい。上記表面が反射面であることにより、発光部14の上面から入射したレーザ光が蛍光に変換された後に、当該反射面で反射させてパラボラミラー15へ向かわせることができる。または、発光部14の上面から入射したレーザ光を上記反射面で反射させて、再度、発光部14の内部に向かわせて蛍光に変換することができる。
【0115】
金属ベース17は、パラボラミラー15によって覆われているため、金属ベース17は、パラボラミラー15の反射曲面と対向する面を有していると言える。金属ベース17の発光部14が設けられている側の表面は、パラボラミラー15の回転放物面の回転軸と概ね平行であり、当該回転軸を概ね含んでいる。
【0116】
なお、図示はしないが、金属ベース17はフィンを備えていてもよい。このフィンは、金属ベース17を冷却する冷却部として機能する。フィンは、複数の放熱板を有するものであり、大気との接触面積を増加させることにより放熱効率を高めている。金属ベース17を冷却する冷却部は、冷却(放熱)機能を有するものであればく、フィンの代わりに、ヒートパイプ、水冷方式や、空冷方式のものであってもよい。
【0117】
(多層膜フィルタ13)
多層膜フィルタ13は、パラボラミラー15の窓部16を塞ぐようにして、パラボラミラー15に設置されている。レーザ素子11から発せられたレーザ光(励起光)18を透過する一方、発光部14から出射した蛍光19を反射する。すなわち、多層膜フィルタ13は、レーザ光18を含む所定の波長範囲の光を透過し、蛍光19を含む所定の波長範囲の光を反射するという、波長選択性を有している。この波長選択性により、多層膜フィルタ13は、レーザ素子11から発せられたレーザ光18を透過する。多層膜フィルタ13を透過したレーザ光18は、窓部16をそのまま通過し、パラボラミラー15の内部に進行する。このようにしてパラボラミラー15の内部に導入されたレーザ光18が発光部14に照射される。
【0118】
一方、上記の波長選択性により、多層膜フィルタ13は、発光部14から出射され、窓部16に進入して来た蛍光19を反射する。多層膜フィルタ13が反射した蛍光19は、再び、パラボラミラー15の内部に向かわせる。窓部16に向かう蛍光19は、多層膜フィルタ13が存在しない場合、窓部16をそのまま通過し、パラボラミラー15の外部に漏れ出してしまう光である。多層膜フィルタ13は、このような蛍光19を再び、パラボラミラー15の内部に向かわせることにより、発光部14の蛍光19の利用効率を向上させる。
【0119】
<レーザ光18の入射>
レーザ素子11から発せられるレーザ光18が、レーザ光18が入射される多層膜フィルタ13の入射面に対し、P偏光であり、且つ、レーザ光18が多層膜フィルタ13の入射面に対する入射角θが、ブリュースター角であることが好ましい。このようなレーザ光18の入射手法を用いることにより、レーザ光18が多層膜フィルタ13の入射面に入射する際の反射が抑制され、多層膜フィルタ13へのレーザ光18の入射効率を高めることができる。
【0120】
また、レーザ素子11は、レーザ光18が入射される多層膜フィルタ13の入射面に対しP偏光となり、且つ、入射角θがブリュースター角となるように、多層膜フィルタ13に対して配置すればよい。
【0121】
<発光部14と窓部16との距離および窓部16の開口面積>
発光部14は、上述したように、パラボラミラー15のほぼ焦点位置に配置されている。この配置から、発光部14とパラボラミラー15の窓部16との距離は、パラボラミラー15の形状および大きさに依存する。
【0122】
一方、窓部16は、レーザ素子11から発せられたレーザ光18が単に通過する孔であり、レーザ光18の光軸の精度にもよるが、その開口面積を、発光部14とパラボラミラー15の窓部16との距離と比較し、十分小さいものにすることができる。
【0123】
ここで、窓部16の開口面積に対し、発光部14と窓部16との距離が十分大きいければ、発光部14から窓部16を見たとき、窓部16がパラボラミラー15のほぼ一点とみなすことができる。このとき、発光部14から放射状に出射される蛍光19のうち、窓部16に進入する蛍光19は、ほぼ同一の進入方向を持っているとみなすことができる。たとえば、窓部16が円形の形状の開口を持つ場合であれば、その円形の形状の半径(または直径)に対し、発光部14と窓部16との距離が十分大きい場合の如くである。
【0124】
後述するように、多層膜フィルタ13は複数層の膜である多層膜を有しており、その多層膜の波長選択性を実現する上で、各層内を進行する光の光路長の制御に高い精度が要求される。このとき、窓部16に進入する蛍光19の進入方向がほぼ同一とみなすことができれば、その1つの進入方向を用いて、多層膜の各層内の光路長の制御が可能となる。これにより、その制御の容易化が図られ、その結果、精度が向上する。
【0125】
なお、窓部16の開口面積に対し、発光部14と窓部16との距離が大きいければ大きいほど、窓部16に進入する蛍光19の進入方向がより単一化されることは言うまでもない。ただし、上述したように、発光部14と窓部16との距離は、パラボラミラー15の形状および大きさに依存し、窓部16の開口面積は、レーザ素子11の光軸の精度に依存する点を考慮する必要がある。
【0126】
<多層膜フィルタ13の形状および位置>
図2は、多層膜フィルタ13の形状および位置を説明するための模式図であり、図2(a)は、多層膜フィルタ13、パラボラミラー15および発光部14の略断面図、図2(b)は、その略平面図である。
【0127】
多層膜フィルタ13は、図2(a)に示すように、支持基板13aと、多層膜(積層体)13bと、を有している。
【0128】
支持基板13aは、複数の層の多層膜13bを支持するためのものであり、例えば、SiO基板を用いることができる。もちろん、支持基板13aはSiO2基板に限られるものではなく、要は、レーザ素子11から発せられるレーザ光18を透過し、且つ、多層膜13bを支持し、その脆い強度による変形や破損を防止できる基板であれば、どのような基板であっても構わない。
【0129】
多層膜13bは、たとえばSiO膜やTiO膜といった複数の薄膜の層が多層化された多層膜である。上述したように、多層膜フィルタ13は、レーザ光18を含む所定の波長範囲の光を透過し、蛍光19を含む所定の波長範囲の光を反射するという、波長選択性を有している。多層膜13bはこの波長選択性を実現するためのものである。例えば、多層膜13bは、屈折率の高い材料と低い材料とを交互に層状に積層して得られ、AlN、SiO、SiN、ZrO、TiO、Al、GaN、ZnSなどから選択された少なくとも一種を含む材料が挙げられる。
【0130】
多層膜13bは、具体的には、図2(a)に示すように、支持基板13a上に、第1層膜13c、第2層膜13d、第3層膜13e、第4層膜13f、第5層膜13g、がこの順に積層されている。もちろん、多層膜13bは、5層に限られるものではない。所望の波長選択性が得られるよう、層の数が決められ、各層の膜種および膜厚の組み合わせが最適化される。
【0131】
多層膜13bは、複数の膜が多層化されたものであり、その強度は非常に脆弱であるのが通常である。このため、多層膜13bを単体でパラボラミラー15の窓部16に設置しようとすると、その強度の脆さから、その設置の際、変形や破損が起こり得る。あるいは、ヘッドランプ101の使用中にもこのような変形や破損が起こる場合も考えられる。
【0132】
支持基板13aは、このような強度の脆い多層膜13bを支持し、多層膜13bを単体で用いる場合と比較して、その強度を増し、多層膜13bの変形や破損を防止する。
【0133】
多層膜フィルタ13は、多層膜13bが設けられている側を発光部14側に向けて配設されることが好ましい。以下のその理由について説明する。
【0134】
仮に、図3に示すように、支持基板201a上に、第1層膜201c、第2層膜201d、第3層膜201e、第4層膜201f、第5層膜201g、がこの順に積層された多層膜201bが配置されており、支持基板201aが発光部14側に向けて配設したとする。
【0135】
この場合、発光部14から出射され、窓部16に進入した蛍光202は、先ず、支持基板201aに入射することになる。上述したように、蛍光202を反射するのは多層膜201bであり、支持基板201aは蛍光202を通過させてしまう。これにより、図3に示すように、蛍光202は、支持基板201a内を進行し、多層膜201bに入射するまで、直進する。支持基板201a内を通過し、多層膜201bに入射した蛍光202は、多層膜201bを構成する第1層膜201c、第2層膜201d、第3層膜201e、第4層膜201f、第5層膜201gのいずれかにより反射される。しかし、その反射の位置の如何によっては、例えば、蛍光203のように、パラボラミラー15の外部に漏れ出してしまう蛍光が存在する。
【0136】
これは、蛍光202が、支持基板201aを通過しきった時点において、既に、パラボラミラー15の外部に出てしまっていることによるものである。この場合、多層膜13bによって反射された蛍光203は、パラボラミラー15の内部に再び向かうことができないからである。
【0137】
このようなことから、上述したように、多層膜フィルタ13は、多層膜13bが設けられている側を発光部14側に向けて配設されることが好ましいと言える。
【0138】
多層膜13bの各層内の光路長は、上記の波長選択性を実現できるよう、制御されている。背景技術でも説明したとおり、各層内の光路長は、各層内を光が実際に進んだ距離(伝搬距離)に、各層の膜を構成する物質の屈折率をかけたものである(光路長=伝搬距離×屈折率)。ここでは、各層内の伝搬距離は、各層の膜厚と一致する。よって、伝搬距離と膜厚が一致するものとして、各層の膜厚を制御すればよいことになる。
【0139】
ここで、各層内の伝搬距離が各層の膜厚と一致するのは、発光部14から発生する蛍光19の光路方向と多層膜13bの上述した積層方向とを一致させているからである。言い換えると、多層膜13bの各層に対し、蛍光19を垂直方向で入射させているからである。このため、各層内の蛍光の伝搬距離と各層の膜厚とが一致することになる。これにより、各層の膜厚を制御することが、実質的には、各層内の蛍光の伝搬距離を制御することになる。
【0140】
なお、レーザ素子11と発光部14とを、窓部16を挟むようにして対向させた場合であれば、レーザ素子11と発光部14とを結ぶ直線と多層膜13bの積層方向とが一致するようにすればよい。
【0141】
また、多層膜13bは、図2(b)に示すように、窓部16を塞ぐようにして、パラボラミラー15に設けられている。そして、レーザ素子11から発せられたレーザ光18および、発光部14から出射され、窓部16に進入する蛍光19は共に、窓部16の中心を通過する。レーザ素子11および発光部14は、レーザ光18および蛍光19が窓部16の中心を通過するよう、窓部16に対して配置される。
【0142】
なお、レーザ素子11と発光部14とを、窓部16を挟むようにして対向させた場合であれば、レーザ素子11と発光部14とを結ぶ直線が、窓部16の中心を通過するようにすればよい。
【0143】
<多層膜フィルタ13の作製>
多層膜フィルタ13は、例えば、次のようにして作製される。
【0144】
図4に示すように、先ず、スパッタリング技術や蒸着技術を用いて、複数の膜(ここでは、第1層膜22、第2層膜23、第3層膜24)を順次、基板21上に堆積する。
【0145】
その後、例えば、切り出し方向11、切り出し方向12、切り出し方向13、切り出し方向14の順に、基板21、第1層膜22、第2層膜23および第3層膜24を切断し、個々の多層膜フィルタ25を分割する。この多層膜フィルタ25は、基板21の一部である支持基板25aと、第1層膜22の一部である第1層膜25c、第2層膜23の一部である第2層膜25dおよび第3層膜24の一部である第3層膜25eからなる多層膜25bと、を有しており、その形状は直方体の形状である。
【0146】
なお、図4では、1つの多層膜フィルタ25のみが表わされているが、上記のような切断処理を繰り返すことにより、複数の多層膜フィルタ25を、1つの基板21から分割することができる。
【0147】
図1において、上述したように、発光部14から発生する蛍光19の光路方向と多層膜13bの上述した積層方向とを一致させている。これは、図4の場合であれば、多層膜フィルタ25をパラボラミラー15の窓部16に設けたとき、窓部16の中心を通過する蛍光19の光路方向と、多層膜25bの積層方向とが一致するように、切り出し方向11(切り出し角度θ11)、切り出し方向12(切り出し角度θ12)、切り出し方向13(切り出し角度θ13)および切り出し方向14(切り出し角度θ14)の各々を調節すればよい。
【0148】
なお、上記の切断処理に代えて、研磨処理によって個々の多層膜フィルタ25を分割することも可能である。
【0149】
<窓部16に対するレーザ素子11の位置>
レーザ素子11は、レーザ素子11から発せられるレーザ光18が窓部16の中心を通過するように、窓部16に対して位置していることが好ましい。以下、この理由について説明する。
【0150】
先ず、図5を用いて、1つ目の理由を説明する。図1において、レーザ素子11が窓部16に対し、レーザ光18が窓部16の中心を通過するように位置する場合、および、レーザ光18が窓部16の中心からずれて通過するように位置する場合のそれぞれにおいて、どのような現象が起こるかについて、検討する。
【0151】
図5において、レーザ素子32は、自身から発せられたレーザ光33aが窓部31の中心から一方の端部側にずれた場所P11を通過するように、窓部31に対して位置している。一方、レーザ素子34は、自身から発せられたレーザ光35aが窓部31の中心付近の場所P12(実質的に中心とみなせる場所であればよい)を通過するように、窓部31に対して位置している。ここでは、いずれにおいても、それぞれのレーザ光33aおよび35aが窓部31の入射面に対する入射角度は90°であったとする。
【0152】
このような場合において、例えば、ヘッドランプ101の使用が開始され、時間の経過と共に、レーザ素子32のレーザ光33aの出射角度およびレーザ素子34のレーザ光35aの出射角度がそれぞれ、ずれた場合を考えてみる。
【0153】
先ず、レーザ素子32の場合であれば、その出射角度のずれの最大値はθ32となる。なぜなら、出射角度のずれがこの最大値θ32となった時点で、レーザ素子32から発せられるレーザ光33bは窓部31の端部を通過している。このため、最大値θ32を超えてしまうと、レーザ素子32から発せられるレーザ光は窓部31から外れてしまい、その結果、パラボラミラー15の内部に進行することができなくなってしまう。
【0154】
これに対し、レーザ素子34の場合、その出射角度のずれの最大値はθ34となる。そして、この最大値θ34は明らかにレーザ素子32の最大値θ32よりも大きくなっている。これは、出射角度のずれがこの最大値θ34となった時点で、レーザ素子34から発せられるレーザ光35bが窓部31の端部を通過するからである。
【0155】
以上により、レーザ素子11が窓部16に対し、レーザ光18が窓部16の中心を通過するように位置する場合、レーザ素子11の出射角度のずれの許容値を最大化することができる。これが1つ目の理由である。
【0156】
上で述べたように、レーザ素子11の出射角度がずれると、仮に、レーザ光18が窓部16を通過できた場合でも、そのずれの大きさによっては、レーザ光18の進行方向が発光部14から外れてしまうことが考えられる。つまり、レーザ光18が発光部14に照射されること無く、直接、金属ベース17に当たってしまうことが起こり得る。
【0157】
そこで、例えば、図6に示すように、上記のようなレーザ素子11の出射角度のずれの最大値を予め算出し、そのずれが生じたときに、レーザ素子11から発せられたレーザ光18bおよび18cが到達する金属ベース17上の位置にも、発光部14bおよび14cがあるように配置すればよい。つまり、出射角度にずれがない場合のレーザ光18aが到達する位置にある発光部14aに発光部14bおよび14cを加えた、1つの発光部14とすればよい。
【0158】
次に、図7を用いて、2つ目の理由を説明する。上述したように、発光部14から出射され、窓部16に進入する蛍光19は、窓部16の中心を通過する。多層膜フィルタ13の多層膜13bの各層の蛍光19の伝搬距離(ここでは、各層の膜厚)は、この窓部16の中心を通過する蛍光19の進入方向を用いて制御されている。ここで、レーザ素子11から発せられたレーザ光18が窓部16の中心からずれて通過する場合において、多層膜フィルタ13の多層膜13bの各層内の伝搬距離を制御した場合について、検討する。
【0159】
図7(a)は、レーザ素子11から発せられたレーザ光18が窓部16の中心を通過する場合において、多層膜フィルタ13の多層膜13bの各層内の伝搬距離を制御した場合を説明する模式図である。図7(b)は、レーザ素子11から発せられたレーザ光18が窓部16の中心からずれて通過する場合において、多層膜フィルタ13の多層膜13bの各層内の伝搬距離を制御した場合を説明する模式図である。
【0160】
図7(a)においては、多層膜フィルタ39は、支持基板39aと、第1層膜39c、第2層膜39dおよび第3層膜39eからなる多層膜39bと、を有している。レーザ光36aが多層膜フィルタ39の入射面の中心P21、つまり、窓部16の中心を通過している。そして、この多層膜39bの伝搬距離T11は、窓部16の中心を通過する蛍光37aの進入方向を用いて制御されている。
【0161】
ここで、発光部14から窓部16の端部に向かう蛍光38aの進入方向は、厳密には、窓部16の中心を通過する蛍光37aの進入方向とは異なっている。このため、蛍光38aの進入方向を用いて各層内の伝搬距離が制御された多層膜39bは、蛍光38aにとって最適な各層内の伝搬距離になっているとは言えない。
【0162】
したがって、蛍光38aが多層膜39bを通過する伝搬距離T12は、本来、蛍光38aの進入方向を用いて制御されるべき伝搬距離とは異なっている。
【0163】
また、図7(b)においては、レーザ光36bが多層膜フィルタ39の入射面の中心からずれた場所P22、つまり、窓部16の中心からずれた場所を通過している。そして、この多層膜39b内の伝搬距離T21は、窓部16の中心からずれた場所を通過する蛍光37bの進入方向を用いて制御されている。
【0164】
ここで、発光部14から窓部16の端部に向かう蛍光38bの進入方向も、窓部16の中心を通過する蛍光37bの進入方向とは異なっている。このため、蛍光38bの進入方向を用いて各層内の伝搬距離が制御された多層膜39bは、蛍光38bにとって最適な各層内の伝搬距離になっているとは言えない。
【0165】
したがって、蛍光38bが多層膜39b内の伝搬距離T22は、本来、蛍光38bの進入方向を用いて制御されるべき伝搬距離とは異なっている。
【0166】
ここで、これら図7(a)および図7(b)の場合を比較すれば分るように、図7(a)の伝搬距離T11に対する伝搬距離T12のずれの大きさは、図7(b)の伝搬距離T21に対する伝搬距離T22のずれの大きさよりも小さくなっている。なぜなら、図7(a)の蛍光37aの進入方向からの蛍光38aの進入方向のずれの大きさが、図7(b)の蛍光37bの進入方向からの蛍光38bの進入方向のずれの大きさと比べて、小さくなるからである。
【0167】
すなわち、レーザ素子11が窓部16に対し、レーザ光18が窓部16の中心を通過するように位置させた場合、発光部14から出射される蛍光19の進入方向のずれを最小化することができる。これにより、多層膜フィルタ13の多層膜13b内の伝搬距離のずれを最小化することができる。これが2つ目の理由である。
【0168】
<多層膜フィルタ13の具体例>
図8は、多層膜フィルタ13の多層膜13bの具体例を示す図である。図8に示すように、この多層膜13bは、レーザ素子11側から、すなわち、支持基板13a側から見て、TiO膜、SiO膜、TiO膜、SiO膜、…、というふうに交互に、TiO膜とSiO膜とが積層されている。
【0169】
図9は、図8に示した多層膜フィルタ13の波長選択性を表わすグラフである。図9に示すように、レーザ光18の波長の一例である405nmでは、多層膜フィルタ13の反射率は、ほぼ「0%」が実現されている。一方、蛍光19の波長の一例である600nmでは、多層膜フィルタ13の反射率は、ほぼ「100%」が実現されている。
【0170】
このように多層膜フィルタ13では、レーザ光18を含む所定の波長範囲の光を透過し、蛍光19を含む所定の波長範囲の光を反射するという、波長選択性が実現されている。
【0171】
〔実施の形態2〕
上記の実施の形態1では、多層膜の積層方向と蛍光の進入方向とが一致する多層膜フィルタを用いた実施の形態であった。このため、多層膜フィルタを作製する際、個々の多層膜フィルタに分割するために、複数の切り出し方向に沿った、複数回の切断作業が必要であった。
【0172】
これに対し、本発明の実施の形態2では、多層膜の積層方向と蛍光の進入方向とを一致させない代わりに、個々の多層膜フィルタに分割するための切断処理を減らすことができる実施の形態である。
【0173】
図10は、本発明の実施の形態2に係るヘッドランプ102の概略構成を示す断面図である。本発明の実施の形態2のヘッドランプ102と上記の実施の形態1のヘッドランプ101とが異なる点は、多層膜フィルタ13に代えて、多層膜フィルタ41を備えた点である。さらに、パラボラミラー15に代えて、パラボラミラー45を備えた点である。
【0174】
(多層膜フィルタ41)
多層膜フィルタ41は、図10に示すように、支持基板41aと、多層膜41bと、を有している。そして、多層膜41bは、支持基板41a上に、第1層膜41c、第2層膜41d、第3層膜41e、第4層膜41f、第5層膜41g、がこの順に積層されている。
【0175】
多層膜フィルタ41の多層膜41bの積層方向は、発光部14から出射された蛍光19の進入方向とは一致しておらず、その代わりに、支持基板41の多層膜41b側の面と反対側の面と直交している。以下、この構造の効果を説明する。
【0176】
上記の実施の形態1では、多層膜13bの積層方向を蛍光19の進入方向と一致させることにより、多層膜13bの各層内の伝搬距離と各層の膜厚とを一致させていた。これにより、多層膜13bの各層の膜厚を制御することにより、各層内の伝搬距離の制御を可能としていた。
【0177】
しかし、このような各層内の伝搬距離の制御、すなわち、各層内の光路長の制御の容易化の引き換えに、多層膜フィルタ13を作製する際、個々の多層膜フィルタ13を分割するための切断処理を複数回に渡って行なわなければならないといった手間があった。
【0178】
これに対し、本実施形態2では、このような切断処理を減らすことができる。すなわち、図11に示すように、複数の膜(ここでは、第1層膜52、第2層膜53、第3層膜54)が順次、基板51上に堆積された後、切り出し方向2の切断処理を行なうことで、複数の多層膜フィルタ55を1つの基板51から分割することができる。
【0179】
なお、この多層膜フィルタ55は、基板51の一部である支持基板55aと、第1層膜52の一部である第1層膜55c、第2層膜53の一部である第2層膜55dおよび第3層膜54の一部である第3層膜55eからなる多層膜55bと、を有し、その形状は直方体の形状である。
【0180】
また、多層膜フィルタ41の多層膜41b内の伝搬距離と、多層膜41bの膜厚とは一致しない。このため、多層膜フィルタ41では、以下の式を用いて、多層膜41bの膜厚から多層膜41b内の伝搬距離を換算し、この伝搬距離を用いて、多層膜41b内の光路長を制御する。
【0181】
L3=T3×COS(θ21−θ22
ここで、L3は、多層膜41bの膜厚、T3は、多層膜41b内の伝搬距離、θ21は、多層膜フィルタ41の蛍光19の入射面と水平方向とがなす角度、θ22は、蛍光19の進入方向と鉛直方向とがなす角度、である。なお、ここでは、水平方向は、金属ベース17の発光部14が配置された面と平行な方向であり、鉛直方向は、金属ベース17の発光部14が配置された面に直交する方向である。
【0182】
(パラボラミラー45)
パラボラミラー45では、多層膜フィルタ41が窓部46に嵌め込まれている。これにより、多層膜フィルタ41の蛍光19の入射面とパラボラミラー45の反射面とが連続する一体面となっている。言い換えれば、多層膜フィルタ41の蛍光19の入射面とパラボラミラー45との接続する箇所(図中A1およびA2で示す箇所)に段差が生じていない。
【0183】
上記の実施の形態1のパラボラミラー15では、図1および図2(a)に示したように、多層膜フィルタ13の蛍光19の入射面とパラボラミラー15の反射面とは連続しておらず、それら2つ面間に段差が生じていた。このような段差による蛍光の反射は、パラボラミラー15が目的とする方向に蛍光19を向かわせることを阻害し、パラボラミラー15による蛍光19の取り出し効率を低下させるおそれがあった。
【0184】
これに対し、パラボラミラー45では、このような段差が生じない。これにより、パラボラミラー45は目的とする方向に蛍光19を向かわせることができるので、蛍光19の取り出し効率を向上させることができる。
【0185】
〔実施の形態3〕
上記の実施の形態1では、多層膜フィルタをパラボラミラーの外側に設けた実施の形態であった。このため、多層膜フィルタとパラボラミラーとは連続しておらず、それら両者の間に段差が生じていた。
【0186】
これに対し、本発明の実施の形態3では、多層膜フィルタを窓部に嵌め込み、多層膜フィルタとパラボラミラーとが連続している。これにより、それら両者の間に段差が生じない実施の形態である。
【0187】
図12は、本発明の実施の形態3に係るヘッドランプ103の概略構成を示す断面図である。本発明の実施の形態3のヘッドランプ103と上記の実施の形態1のヘッドランプ101とが異なる点は、多層膜フィルタ13に代えて、多層膜フィルタ61を備えた点である。さらに、パラボラミラー15に代えて、パラボラミラー65を備えた点である。
【0188】
(多層膜フィルタ61)
多層膜フィルタ61は、図12に示すように、支持基板61aと、多層膜61bと、を有している。そして、多層膜61bは、支持基板61a上に、第1層膜61c、第2層膜61d、第3層膜61e、がこの順に積層されている。
【0189】
多層膜フィルタ61では、支持基板61aが設けられている側を発光部14に向けて配設されている。支持基板61aの蛍光19の入射面は、パラボラミラー65の反射面と連続して一体面となるように湾曲している。つまり、支持基板61aの蛍光19の入射面は、パラボラミラー65の反射面の一部となっており、発光部14側から見たとき、支持基板61aの入射面とパラボラミラー65の反射面とは一体となって、1つの湾曲面をなしている。
【0190】
このような一体となった反射面のほぼ焦点の位置に発光部14が位置することになる。このため、パラボラミラー65は目的とする方向により多くの蛍光19を向かわせることができるので、蛍光19の取り出し効率をより向上させることができる。
【0191】
なお、支持基板61aの上記の入射面とパラボラミラー65の反射面とは、その曲率が完全に一致することが好ましいが、単に、支持基板61aの上記の入射面を湾曲させることだけによっても、パラボラミラー65の蛍光19の取り出し効率の向上が見込まれる。
【0192】
多層膜フィルタ61は、例えば、図13に示すように、複数の膜(ここでは、第1層膜72、第2層膜73、第3層膜74)が順次、基板71上に堆積された後、切り出し方向31と切り出し方向32とで切断処理を行ない、その上で、研磨方向33で研磨処理を行なうことにより、複数の多層膜フィルタ75を1つの基板71から分割することができる。
【0193】
なお、この多層膜フィルタ75は、基板71の一部である支持基板75aと、第1層膜72の一部である第1層膜75c、第2層膜73の一部である第2層膜75dおよび第3層膜74の一部である第3層膜75eからなる多層膜75bと、を有している。
【0194】
(パラボラミラー65)
パラボラミラー65では、多層膜フィルタ61が窓部66に嵌め込まれている。多層膜フィルタ61の蛍光19の入射面とパラボラミラー65との接続する箇所に段差が生じていない。
【0195】
〔実施の形態4〕
本発明の実施の形態4は、上記の実施の形態2において、さらに、多層膜フィルタの蛍光の入射面を湾曲させる実施の形態である。
【0196】
図14は、本発明の実施の形態4に係るヘッドランプ104の概略構成を示す断面図である。本発明の実施の形態4のヘッドランプ104と上記の実施の形態2のヘッドランプ102とが異なる点は、多層膜フィルタ41に代えて、多層膜フィルタ71を備えた点である。さらに、パラボラミラー45に代えて、パラボラミラー85を備えた点である。
【0197】
多層膜フィルタ71は、図14に示すように、支持基板71aと、多層膜71bと、を有している。そして、多層膜71bは、支持基板71a上に、第1層膜71c、第2層膜71d、第3層膜71e、がこの順に積層されている。
【0198】
多層膜フィルタ71では、多層膜71bの蛍光19の入射面が、パラボラミラー85の反射面と連続して一体面となるように湾曲している。多層膜71bの蛍光19の入射面は、パラボラミラー85の反射面の一部となっており、発光部14側から見たとき、多層膜71bの蛍光19の入射面とパラボラミラー85の反射面とは一体となって、1つの湾曲面をなしている。
【0199】
このような一体となった反射面のほぼ焦点の位置に発光部14が位置することになる。このため、パラボラミラー85は目的とする方向により多くの蛍光19を向かわせることができるので、蛍光19の取り出し効率をより向上させることができる。
【0200】
多層膜フィルタ71は、例えば、図15(a)に示すように、先ず、切り出し方向41と切り出し方向42とで切断処理を行ない、その上で、研磨方向43で研磨処理を行なうことにより、複数の支持基板91aを1つの基板91から分割する。そして、図15(b)に示すように、複数の膜(ここでは、第1層膜91c、第2層膜91d、第3層膜91e、第4層膜91f)を順次、支持基板91a上に堆積すればよい。上記の研磨処理による支持基板91aの湾曲面上に複数の膜を堆積することにより、上述したような、多層膜71bの上記の入射面の湾曲化が実現される。
【0201】
多層膜フィルタ71の多層膜71b内の伝搬距離と多層膜71bの膜厚とは一致しない。このため、多層膜フィルタ71では、以下の式を用いて、多層膜71bの膜厚から多層膜71b内の伝搬距離を換算し、この伝搬距離を用いて、多層膜71b内の光路長を制御する。
【0202】
L4=T4×COSθ
ここで、L4は、多層膜71bの膜厚、T4は、多層膜71b内の伝搬距離、θは、多層膜41bの積層方向と蛍光19の進入方向とがなす角度、である。
【0203】
〔実施の形態5〕
本発明の実施の形態5は、上記の実施の形態2の多層膜フィルタの形状を凸形状とし、多層膜フィルタが窓部からパラボラミラーの内部に落ち込んでしまうことを防止する実施の形態である。
【0204】
図16は、本発明の実施の形態5に係るヘッドランプ105の概略構成を示す断面図である。本発明の実施の形態5に係るヘッドランプ105と上記の実施の形態2のヘッドランプ102とが異なる点は、多層膜フィルタ41に代えて、多層膜フィルタ113を備えた点である。さらに、パラボラミラー45に代えて、パラボラミラー115を備えた点である。
【0205】
多層膜フィルタ113は、図16に示すように、先端部P21と、土台部P22と、を有し、それら先端部P21および土台部P22からなる凸形状を成している。
【0206】
そして、先端部P21は、支持基板113aと、多層膜113bと、を有し、多層膜113bは、支持基板113a上に、第1層膜113c、第2層膜113d、第3層膜113e、第4層膜113fがこの順に積層されている。
【0207】
先端部P21は、上記実施の形態2の多層膜フィルタ41に相当する部分であり、多層膜フィルタ41と同一の波長選択性を有している。
【0208】
一方、土台部P22は、多層膜フィルタ113の波長選択性の実現には関与せず、先端部P21がパラボラミラー115の窓部116からパラボラミラー115の内側に落ち込んでしまうことを防止するためのものである。
【0209】
多層膜フィルタ113は、この土台部P22により、パラボラミラー115の窓部116に、安定して配置される。このため、例えば接着剤を用いて、窓部116に接着したりする必要がない。これにより、多層膜フィルタ113の窓部116からの脱着が容易となり、多層膜フィルタ113の破損時などにおける交換作業が容易となる。
【0210】
先端部P21と土台部P22とを有する多層膜フィルタ113は、例えば、凸形状に予め成形されている支持基板113aを用意し、支持基板113aのその凸部がある面上に、第1層膜113c、第2層膜113d、第3層膜113e、第4層膜113fを、この順に積層すればよい。この場合、土台部P22を構成する支持基板113aの一部の上部においても、第1層膜113c、第2層膜113d、第3層膜113e、第4層膜113fが積層されることになる。
【0211】
〔実施の形態6〕
本発明の実施の形態6は、上記の実施の形態2の窓部の開口面積をパラボラミラーの外側から内側に向かう方向に沿って小さくし、多層膜フィルタが窓部からパラボラミラーの内側に落ち込んでしまうことを防止する実施の形態である。
【0212】
図17は、本発明の実施の形態6に係るヘッドランプ106の概略構成を示す断面図である。本発明の実施の形態6に係るヘッドランプ106と上記の実施の形態2のヘッドランプ102とが異なる点は、多層膜フィルタ41に代えて、多層膜フィルタ123を備えた点である。さらに、パラボラミラー45に代えて、パラボラミラー125を備えた点である。
【0213】
多層膜フィルタ123は、図17に示すように、支持基板123aと、多層膜123bと、を有している。そして、多層膜123bは、支持基板123a上に、第1層膜123c、第2層膜123d、第3層膜123e、第4層膜123fがこの順に積層されている。
【0214】
パラボラミラー125の窓部126は、パラボラミラー125の外側から内側に向かって、その開口面積が小さくなっている。具体的には、窓部126は、そのパラボラミラー125の外側の開口面積S1よりも内側の開口面積S2が小さくなっている。そして、パラボラミラー125の外側から内側に向かうに従って、窓部126の開口面積がS1からS2に徐々に変化している。
【0215】
多層膜フィルタ123は、このような開口面積を持つ窓部126に嵌め込まれるよう、パラボラミラー125の外側から内側に向かって、その断面積が小さくなっている。つまり、多層膜フィルタ125は、図17に示すように、パラボラミラー125の外側から内側に向かうに従って、先が細くなる形状を持っている。
【0216】
このため、多層膜フィルタ123は、窓部126に嵌め込まれる際、窓部126をすり抜けてしまうことが無い。このため、例えば接着剤を用いて、窓部116に接着したりする必要がない。これにより、多層膜フィルタ113の窓部116からの脱着が容易となり、多層膜フィルタ113の破損時などにおける交換作業が容易となる。
【0217】
〔本発明のヘッドランプの組立方法〕
図18は、本発明に係るヘッドランプの組立方法の一例を説明するための図である。図18(a)に示すように、パラボラミラー128の形状や大きさなどを設計し、そのパラボラミラー128の焦点位置129を確定する。
【0218】
次に、図18(b)に示すように、焦点位置131が含まれるように、発光部130を設置する位置を確定する。
【0219】
次に、図18(c)に示すように、発光部130aの位置を基に、パラボラミラー128に窓部132を設けるための位置を確定し、その位置に窓部132を設ける。
【0220】
最後に、図18(d)に示すように、発光部130bと窓部132の中心点を結ぶ線上のレーザ光が進行するように、レーザ素子133の位置を確定させる。
【0221】
〔本発明の適用例〕
本発明の発光装置は、車両用前照灯や、その他の照明装置に適用されてよい。本発明の照明装置の一例として、レーザダウンライトを挙げることができる。レーザダウンライトは、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置である。その他にも、本発明の照明装置は、車両以外の移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、サーチライト、プロジェクタ、ダウンライト以外の室内照明器具(スタンドランプなど)として実現されてもよい。
【0222】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0223】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明は、半導体発光素子と、反射鏡と、反射鏡の内面に設置された波長変換素子(蛍光体)を有し、反射鏡に開口部が設置され、その開口部に多層膜フィルタが設置され、多層膜フィルタは半導体発光素子を透過し、蛍光を反射する発光装置である。
【0224】
励起光は、開口部の中心を通過することが好ましい。
【0225】
多層膜フィルタが、多層膜は基板上に形成され、基板が反射鏡の外側に位置するよう、多層膜フィルタを設置することが好ましい。
【0226】
励起光はP偏光であり、多層膜フィルタへの入射角度がブリュースター角となることが好ましい。
【0227】
反射鏡内側において、反射鏡と多層膜フィルタの界面には、段差がないことが好ましい。
【0228】
多層膜フィルタにおける積層方向と、半導体発光素子と蛍光体を結ぶ直線が、平行となることが好ましい。
【0229】
多層膜フィルタの主表面と、多層膜フィルタの積層方向が、直角であることが好ましい。
【0230】
反射鏡側の面が湾曲であることが好ましい。
【0231】
開口部の反射鏡の曲面と多層膜フィルタの曲面が一致するように、多層膜フィルタの湾曲面が設計されることが好ましい。
【0232】
多層膜フィルタの基板側へ湾曲を形成することが好ましい。
【0233】
湾曲面の曲面に対して垂直に多層膜が積層していることが好ましい。
【0234】
多層膜フィルタが、凸形状であることが好ましい。
【0235】
多層膜フィルタの面積が、反射鏡の内側に向かうに従って、小さくなる構造を有することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明は、発光装置や照明装置、特に車両用等のヘッドランプに適用することができ、これらの発光効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0237】
11 レーザ素子(励起光源)
13、41、61、71、113、123 多層膜フィルタ(光透過部材)
13a、41a、61a、71a、113a、123a 支持基板
13b、41b、61b、71b、113b、123b 多多層膜(積層体)
14 発光部
15、45、65、85、115、125 パラボラミラー(反射鏡)
16、46、66、86、116、126 窓部(光通過口)
18 励起光(レーザ光)
19 蛍光
101、102、103、104、105、125 ヘッドランプ(発光装置、車両用前照灯)
P21 先端部
P22 土台部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する励起光源と、
上記励起光源から出射された励起光を受けて蛍光を発する発光部と、
上記発光部が発生させた蛍光を反射する反射鏡と
を備え、
上記励起光源は、上記反射鏡の外部に配置され、
上記反射鏡には、上記励起光が通過する光通過口が設けられており、
上記光通過口を塞ぐように設置されると共に、上記励起光を透過し、且つ、上記発光部が発生させた蛍光を反射する光機能部材をさらに備えていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
上記励起光源は、上記励起光が上記光通過口の中心を通過するように、上記光通過口に対し位置していることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上記発光部は、上記励起光源から出射された励起光が上記光通過口のいずれの位置を通過した場合でも、当該励起光が照射されるように、上記光通過口に対し位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
上記光機能部材は、支持基板と、当該支持基板の上部に積層された、複数の膜の多層構造からなる積層体と、を含み、
上記積層体は、上記励起光を含む第1の波長範囲の光を透過し、且つ、上記蛍光を含む第2の波長範囲の光を反射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
上記光機能部材は、上記積層体が設けられている側を上記発光部に向けて配設されていることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
上記光機能部材は、上記積層体における上記複数の膜の積層方向と、上記蛍光の光路方向とが一致するように、設置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の発光装置。
【請求項7】
上記励起光は、上記光機能部材に対してP偏光であり、且つ、上記光機能部材に対する入射角度がブリュースター角であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
上記光機能部材は、上記光機能部材の上記発光部に対向する対向面と上記反射鏡の反射面とが連続する一体面となるように、上記光通過口に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
上記光機能部材は、上記複数の膜の積層方向が上記支持基板の上記発光部に対向する面と反対側の面と直交するように、形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の発光装置。
【請求項10】
上記光機能部材の上記発光部に対向する面は、凹状の曲面であることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項11】
上記凹状の曲面は、上記反射鏡の反射面と同一の曲率を有しており、
上記発光部側から見たとき、上記凹状の曲面と上記反射鏡の反射面とは一体となって、上記蛍光に対する1つの反射面を構成していることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
上記光機能部材は、
上記光通過口に嵌め込まれている先端部と、
上記反射鏡の外側に位置しており、上記発光部側から見たとき、上記光通過口の開口面よりも面積が大きい土台部とを有していることを特徴とする請求項1〜11に記載の発光装置。
【請求項13】
上記発光部側から見たとき、上記光通過口の開口面の面積は、上記反射鏡の外側から上記発光部側に向かう方向に沿って、小さくなるものであり、
上記発光部側から見たとき、上記光機能部材の面積は、上記光機能部材が上記光通過口に嵌め込まれるように、上記反射鏡の外側から上記発光部側に向かう方向に沿って、小さくなることを特徴とする請求項1〜11に記載の発光装置。
【請求項14】
上記発光部は、上記発光部が発生させた蛍光が上記光通過口の上記発光部に対向する開口面に入射するときの入射角度を一定とみなすことができるように、上記光通過口に対して位置していることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項15】
上記励起光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の発光装置を含むことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の発光装置を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項18】
請求項16に記載の車両用前照灯を含むことを特徴とする車両。
【請求項19】
励起光を出射する励起光源と、
上記励起光源から出射された励起光を受けて蛍光を発する発光部と、
上記発光部が発生させた蛍光を反射する反射鏡と
を備え、
上記励起光源は、上記反射鏡の外部に配置され、
上記反射鏡には、上記励起光が通過する光通過口が設けられており、
上記光通過口を塞ぐように設置されると共に、上記励起光を透過し、且つ、上記発光部が発生させた蛍光を反射する光機能部材をさらに備えている発光装置の組立方法であって、
上記励起光源の位置決めは、上記励起光が上記光通過口の中心を通過するように、行なわれることを特徴とする発光装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−99283(P2012−99283A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244575(P2010−244575)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】