説明

発光装置および表示装置

【課題】
被照射体に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができる発光装置および表示装置を提供する。
【解決手段】
バックライトユニット1に、プリント基板12と、基台111b、LEDチップ111a、およびレンズ112を有する複数の発光部111と、発光部111を取り囲む反射部材113とを設け、さらに、レンズ112から出射される光の量を調整する光量調整部117を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、表示パネルを有する。表示パネルは、2枚の透明基板の間に液晶が封入され、電圧が印加されることにより液晶分子の向きが変えられて光透過率が変化し、予め定められた映像等を光学的に表示する。液晶自体は発光体ではないので、表示装置には、たとえば透過型の表示パネルの背面側に、冷陰極管(CCFL)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを光源とし、表示パネルに光を照射する照明装置であるバックライトユニットが備えられる。
【0003】
バックライトユニットには、冷陰極管やLED等の光源を底面に並べて光を出す直下型と、冷陰極管やLED等の光源を導光板と呼ばれる透明な板のエッジ部に配して、導光板エッジから光を通して背面に設けられたドット印刷やパターン形状によって前面に光を出すエッジライト型とがある。
【0004】
LEDは、低消費電力、長寿命、水銀を使わないことによる環境負荷低減などの優れた特性を有するけれども、価格的に高価であることと、青色発光LEDが発明されるまでは白色発光LEDは無かったことと、更に、強い指向性を有していることから、バックライトユニットの光源としての利用が遅れていた。しかしながら近年、照明用途での高演色高輝度白色LEDの急速な普及しており、それに伴ってLEDが安価になってきているので、バックライトユニットの光源としては、冷陰極管からLEDへの移行が進んでいる。
【0005】
LEDは強い指向性を有するので、表示パネルの表面の輝度がその面方向において均一となるように光を照射するという観点では、直下型よりもエッジライト型が有効である。しかしながら、エッジライト型のバックライトユニットは、導光板のエッジ部に集中して光源が配置されることにより光源によって生じた熱が集中するという問題とともに、表示パネルのベゼル部が大きくなるという問題が生じる。さらに、エッジライト型のバックライトユニットは、表示画像の高品質化および省電力化が可能な制御方法として注目されている部分的な調光制御(ローカルディミング)についても制約が大きく、表示画像の高品質化および省電力化が達成可能な小分割領域の制御ができないという問題がある。
【0006】
そこで、部分的な調光制御に有利な直下型のバックライトユニットにおいて、強い指向性を有するLEDを光源として用いた場合であっても、輝度が均一となるように、光を表示パネルに照射することが可能な方法の検討が進められている。光の強度を均一化するためには、LEDから出射される光を、表示パネルの面方向、すなわち、LEDの光軸方向に垂直な方向に拡げる必要がある。
【0007】
LEDから出射される光を、LEDの光軸方向に垂直な方向に拡げるものとして、たとえば、特許文献1には、LEDと、このLEDを被覆する、透明樹脂からなるレンズとを備える発光装置が記載されている。特許文献1に記載のレンズは、その軸線方向が、LEDの光軸方向に一致し、その側面が、円柱側面状やLEDに近づくにつれて径が大きくなる円錐台の側面状となっている。特許文献1に記載の発光装置では、LEDから出射された光は、レンズの上面で反射した後、レンズの側面を透過するので、レンズによって、LEDから出射される光をLEDの光軸方向に垂直な方向に拡げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−140327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6に、特許文献1に記載のような、円柱側面状の側面202aを有するレンズ202を含む発光装置201を備えるバックライトユニット200を、模式的に示す。図6に示すように、LED203から出射された光B1は、レンズ202の上面202bで反射され、反射光B2はレンズ202の側面202aを透過し、透過光B3は反射板204に到達する。透過光B3が反射板204に到達すると、反射板204の表面で拡散反射が生じ、拡散光B4が被照射体205に照射される。このように、LED203から出射される光B1を被照射体205の面方向に拡げるレンズ202を用いることで、被照射体205の広い範囲に、LED203から出射された光を照射することができる。
【0010】
しかしながら、図6に示すように、レンズ202の側面202aが円柱側面状であると、側面202aに対する反射光B2の入射角度θ1が大きくなるので、透過光B3だけではなく、レンズ202内部での反射光B5も生じる。反射光B5は、レンズ202の内部に向かう光となり、レンズ202の外側には拡がり難いので、LED203から出射された光の一部が有効に活用されていないことになり、その結果、被照射体205においてレンズ202から遠い箇所での照射光量が少なくなってしまい、被照射体205の面方向における照射光の強度を均一化することが難しくなる。
【0011】
このような問題を解決する方法として、たとえば、図7に示すように、レンズ302の側面302aを、LED303に近づくにつれて径が小さくなるような円錐台の側面状とすることが考えられる。図7に示すバックライトユニット300における発光装置301では、LED303から出射された光C1は、レンズ302の上面302bで反射され、反射光C2はレンズ302の側面302aに向かう。レンズ302の側面302aは、LED303に近づくにつれて径が小さくなるような円錐台側面状であるので、レンズ302の上面302bからLED303に向かって傾斜している。したがって、レンズ302の側面302aに対する反射光C2の入射角度θ2は小さくなり、側面302aでの反射が起こり難くなり、反射光C2のほとんどが透過光C3として透過する。これにより、光量の多い透過光C3が反射板304によって拡散され、拡散光C4が生じるので、被照射体305においてレンズ302から遠い箇所での照射光量を増加させることができる。
【0012】
ただし、このように、被照射体305においてレンズ302から遠い箇所での照射光量を増加させても、被照射体305の面方向における照射光の強度を均一化することはやはり難しい。なぜならば、レンズ302のように、側面302aが上面302bからLED303に向かって傾斜している場合、被照射体305に輝度の高い環状の箇所(以下、「環状輝点」と称する)が形成されるからである。すなわち、図7に示すように、LED303から出射されてレンズ302の上面302bの中央付近に向かう光C5が上面302bで反射されると、反射光C6は、レンズ302の側面302aではなく底面302cに向かう。そして、レンズ302の底面302cにおいてさらに反射した光C7は、レンズ302の側面302aが上面302bからLED303に向かって傾斜していることに起因して、側面302aに対して臨界角度を超える大きな入射角度θ3で入射し、その結果、レンズ302の側面302aで全反射が生じ、全反射した光はレンズ302の上面302bの外周縁部を透過し、透過光C8によって被照射体305上に環状輝点が形成され、被照射体305の面方向における照射光の強度が不均一となってしまう。
【0013】
本発明の目的は、このような課題を解決することであり、被照射体に対して、輝度がその面方向において均一となるように、光を照射することができる発光装置および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、被照射体に光を照射するための発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子を覆い、前記発光素子から出射された光を複数の方向に反射または屈折させる光学部材であって、前記発光素子の光軸方向において前記光学部材の上面の外周縁端部から離れるにつれて、前記光軸方向に垂直な方向において前記発光素子に近づくように、前記光軸方向に対して傾斜して形成される側面を有する光学部材と、
前記外周縁端部に設けられ、前記光学部材から出射される光の量を調整する光量調整部とを備えることを特徴とする発光装置である。
【0015】
また本発明は、前記光学部材は、前記上面において前記外周縁端部よりも内方に、前記発光素子から出射された光を全反射する全反射領域が形成されることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記光量調整部は、光を拡散する拡散部材であることを特徴とする。
また本発明は、前記光学部材は、前記外周縁端部が粗面化処理されており、
前記拡散部材は、粗面化処理された前記外周縁端部であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記光量調整部は、光の透過を少なくする光減衰部材であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、表示パネルと、
前記表示パネルに背面側から光を照射するための、前記発光装置を備える照明装置とを含むことを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光学部材の側面が傾斜しているので、発光素子から出射された光がその側面で反射され難く、それにより、被照射体において、発光素子から出射された光によって照射される範囲を、より拡げることができる。そして、光学部材の上面の外周縁端部に設けられる光量調整部によって、光学部材から出射される光の量が調整されるので、環状輝点の発生を抑えることもできる。したがって、被照射体に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができる。
【0020】
また本発明によれば、上面に形成される全反射領域によって、光学部材の側面に向かう光の光量を増加させることができ、それにより、被照射体において、発光素子から出射された光によって照射される範囲を、より拡げることができ、その結果、被照射体に対して、その面方向において強度がより均一化された光を照射することができる。
【0021】
また本発明によれば、光量調整部は、光を拡散させることにより、環状輝点の発生を抑えることができる。
また本発明によれば、光量調整部である拡散部材を、別部材とはせずに、光学部材の一部とすることができる。
【0022】
また本発明によれば、光量調整部は、光を吸収することにより、環状輝点の発生を抑えることができる。
【0023】
また本発明によれば、前記発光装置を備える照明装置によって表示パネルに光を照射することができるので、高画質の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】液晶表示装置100の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1における切断面線A−Aで切断したときの液晶表示装置100の断面の一部を模式的に示す図である。
【図3−1】基台111bに支持されたLEDチップ111aとレンズ112との位置関係を示す図である。
【図3−2】基台111とLEDチップ111aとを示す図である。
【図3−3】プリント基板12に実装されたLEDチップ111aおよび基台111を示す図である。
【図4】LEDチップ111aから出射された光の光路を説明するための図である。
【図5】反射部材113およびレンズ112の斜視図である。
【図6】バックライトユニット200を模式的に示す図である。
【図7】バックライトユニット300を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1における切断面線A−Aで切断したときの液晶表示装置100の断面の一部を模式的に示す図である。本発明に係る表示装置である液晶表示装置100は、テレビジョンまたはパーソナルコンピュータなどにおいて、画像情報を出力することによって画像を表示画面に表示する装置である。表示画面は、液晶素子を有する透過型の表示パネルである液晶パネル2によって形成され、液晶パネル2は、矩形平板状に形成される。液晶パネル2において、厚み方向の2つの面を、前面21および背面22とする。液晶表示装置100は、画像を、前面21から背面22に向かう方向に見て視認可能に表示する。
【0026】
液晶表示装置100は、液晶パネル2と、バックライトユニット1とを備える。液晶パネル2は、バックライトユニット1が備えるフレーム部材13の底部131の底面131aと平行に、側壁部132により支持される。液晶パネル2は、2枚の基板を含み、厚み方向から見て長方形の板状に形成される。液晶パネル2は、TFT(thin film transistor)等のスイッチング素子を含み、2枚の基板の隙間には液晶が注入されている。液晶パネル2は、背面22側に配置されるバックライトユニット1からの光がバックライトとして照射されることによって、表示機能を発揮する。前記2枚の基板には、液晶パネル2における画素の駆動制御用のドライバ(ソースドライバ)、種々の素子および配線が設けられている。
【0027】
また、液晶表示装置100において、液晶パネル2とバックライトユニット1との間には、拡散板3が、その両面が液晶パネル2の拡散板3に臨む面に平行になるように、配置される。なお、液晶パネル2と拡散板3との間に、プリズムシートを配置してもよい。
【0028】
拡散板3は、バックライトユニット1から照射される光を、面方向に拡散することによって、輝度が局所的に偏ることを防止する。プリズムシートは、拡散板3を介して背面22側から到達した光の進行の向きを、前面21側に向ける。拡散板3では、輝度が面方向に偏ることを防ぐために、光の進行方向は、ベクトル成分として、面方向の成分を多く含む。これに対しプリズムシートは、面方向のベクトル成分を多く含む光の進行方向を、厚み方向の成分を多く含む光の進行方向に変換する。具体的には、プリズムシートは、レンズまたはプリズム状に形成される部分が面方向に多数並んで形成され、これによって、厚み方向に進行する光の拡散度を小さくする。したがって、液晶表示装置100による表示において、輝度を上昇させることができる。
【0029】
バックライトユニット1は、液晶パネル2に背面22側から光を照射する直下型のバックライト装置である。バックライトユニット1は、液晶パネル2に光を照射する複数の発光装置11と、複数のプリント基板12と、フレーム部材13とを含む。
【0030】
フレーム部材13は、バックライトユニット1の基本構造体であり、液晶パネル2と予め定められた間隔をあけて対向する平板状の底部131と、底部131に連なり底部131から立ち上がる側壁部132とからなる。底部131は、厚み方向から見て長方形に形成され、その大きさは液晶パネル2よりも少し大き目である。側壁部132は、底部131のうち短辺を成す2つの端部と、長辺を成す2つの端部とから液晶パネル2の前面21側に立ち上がって形成される。これによって、平板状の側壁部132が底部131の周囲に4つ、形成される。
【0031】
プリント基板12は、フレーム部材13の底部131の底面131aに固定される。このプリント基板12の実装面12aには、後述する複数の発光部111が設けられる。プリント基板12は、長手形状の部材であり、長手方向に直交する、幅方向の長さがたとえば10mm、厚み方向の長さがたとえば0.8mmに設定される。複数のプリント基板12は、幅方向に並列して、たとえば30mm離間して設けられる。プリント基板12は、たとえば、導電層が両面に形成されたガラスエポキシからなる基板である。
【0032】
プリント基板12は、その長手方向において、フレーム部材13の側壁部132まで延びて設けられる。この側壁部132には、プリント基板12に電力を供給するためのコネクタが設けられており、プリント基板12はこのコネクタに接続され、プリント基板12上の導電層を介して各発光装置11に電力が供給される。
【0033】
複数の発光装置11は、液晶パネル2に光を照射するための装置である。本実施形態では、複数の発光装置11を1つの群として、拡散板3を介して液晶パネル2の背面22の全体にわたって対向するように、複数の発光装置11が設けられたプリント基板12が複数並列して設けられることで、発光装置11がマトリクス状に設けられる。各発光装置11は、フレーム部材13の底部131に垂直なX方向に平面視したときに正方形状に形成され、各発光装置11によって画される被照射体(拡散板3)上の照射領域における輝度が6000cd/mとなるように設けられ、正方形状の一辺の長さは、たとえば40mmである。
【0034】
複数の発光装置11は、それぞれ、発光部111と、発光部111の周囲に設けられる反射部材113とを備える。発光部111は、発光素子である発光ダイオード(LED)チップ111aと、LEDチップ111aを支持する基台111bと、光学部材であるレンズ112と、レンズ112に設けられる光量調整部117とを含む。
【0035】
反射部材113は、フレーム部材13の底部131の底面131a上に、底面131aに平行に設けられる基部114と、基部114を取り囲み、発光部111から遠ざかるにつれてプリント基板12から遠ざかるように傾斜して設けられる傾斜部115とを有する。
【0036】
図3−1は、基台111bに支持されたLEDチップ111aとレンズ112との位置関係を示す図である。また、図3−2は、基台111bとLEDチップ111aとを示す図である。図3−2(a)は平面図であり、図3−2(b)は正面図であり、図3−2(c)は底面図である。
【0037】
基台111bは、LEDチップ111aを支持するための部材であり、樹脂からなる。この基台111bは、LEDチップ111aを支持する支持面が、X方向に平面視したときに正方形に形成され、正方形の一辺の長さL1は、たとえば3mmである。また、基台111bの高さは、たとえば1mmである。
【0038】
図3−2に示すように、基台111bは、セラミックスからなる基台本体111gと、基台本体111gに設けられる2つの電極111cとを含んでおり、LEDチップ111aは、基台111bの支持面となる基台本体111gの上面中央部に、接着部材111fで固定されている。2つの電極111cは、互いに離間しており、それぞれ、基台本体111gの上面、側面、および底面にわたって設けられる。LEDチップ111aの図示しない2つの端子と、2つの電極111cとは、2つのボンディングワイヤ111dによってそれぞれ接続されている。そして、LEDチップ111aおよびボンディングワイヤ111dは、シリコン樹脂などの透明樹脂111eによって封止されている。
【0039】
図3−3は、プリント基板12に実装されたLEDチップ111aおよび基台111bを示す図である。LEDチップ111aは、基台111bを介してプリント基板12に実装され、プリント基板12から離れる方向に光を出射する。LEDチップ111aの光軸Sの方向は、X方向に一致する。LEDチップ111aは、発光装置11をX方向に平面視したときに、基台111bの中央部に位置する。複数の発光装置11において、それぞれのLEDチップ111aによる光の出射の制御は、互いに独立して制御可能である。これによって、バックライトユニット1は、部分的な調光制御(ローカルディミング)が可能である。
【0040】
図3−1に示すように、レンズ112は、LEDチップ111aおよびLEDチップ111aを支持する基台111bを覆うように、基台111bに、インサート成形により、または、アウトサートにより、当接して設けられ、LEDチップ111aから出射した光を、LEDチップ111aの光軸Sに直交する複数の方向に反射または屈折させる。レンズ112は、透明なレンズであり、たとえばシリコン樹脂やアクリル樹脂などからなる。
【0041】
レンズ112において、液晶パネル2に対向する面である上面112aは、中央部に凹みを有して湾曲している。また、側面112bは、LEDチップ111aの光軸Sの方向を軸線方向とし、LEDチップ111aに近づくにつれて径が小さくなる円錐台の側面状に形成される。したがって、レンズ112の側面112bは、上面112aからLEDチップ111aに向かって傾斜して形成される。
【0042】
レンズ112は、光軸S回りに回転対称に形成される。レンズ112において、光軸Sに直交する断面の直径の最大値L2は、たとえば5mm〜15mmであり、直径の最小値L4は、たとえば4mm〜12mmである。レンズ112の傾斜角度θ4は、たとえば30°〜80°である。レンズ112は、基台111bに対して外方に延出するとともに、基台111bの各側面の少なくとも一部まで覆うように接触して設けられている。すなわち、レンズ112は、LEDチップ111aの光軸Sに直交する方向に関して基台111bよりも大きい(レンズ112の直径の最大値L2および最小値L4は、基台111bの支持面の一辺の長さL1よりも大きい)。このように、レンズ112が基台111bに対して外方に延出して設けられることによって、LEDチップ111aから出射した光をレンズ112により広範囲に拡散させることができる。また、レンズ112の高さH1は、たとえば1mm〜4mmであり、直径の最大値L2よりも小さい。すなわち、レンズ112は、LEDチップ111aの光軸Sに直交する方向の最大長さが、高さH1よりも大きい。
【0043】
レンズ112の上面112aは、LEDチップ111aに対向し、拡散板3の面に平行な中央部分1121と、中央部分1121を取り囲む第1湾曲部分1122と、第1湾曲部分を取り囲む第2湾曲部分1123とを含む。レンズ112の表面において、上面112aの中央部分1121および第2湾曲部分1123ならびに側面112bは、LEDチップ111aから出射され、レンズ112の内部を通って到達した光を透過する透過領域となる。また、上面112aの第1湾曲部分1122は、LEDチップ111aから出射され、レンズ112の内部を通って到達した光を側面112bに向けて全反射する反射領域となる。
【0044】
なお、本実施形態では、レンズ112は、その底面が、反射部材113の基部114に当接しており、底面から光が出射しないように構成されている。本発明の他の実施形態としては、レンズ112の底面に、光を鏡面反射する鏡面反射シートを設けてもよい。鏡面反射シートが設けられることで、レンズ112の内部で反射されてレンズの底面に到達した光を、レンズの底面と鏡面反射シートとの境界面で鏡面反射させることができる。レンズの底面と鏡面反射シートとの境界面で鏡面反射された光は、レンズ112の内部を進行する。このようにしてレンズ112の内部を進行する光は、鏡面反射シートで鏡面反射されたものであるので、たとえば、拡散反射されてレンズ112の内部を進行する光と比較して、光路が精度よく制御されたものとなる。光が拡散部材へ入射すると光は拡散するが、必ずしも設計どおりの出射はしない。一方、鏡面反射シートへ入射した光は鏡面反射するので、ほぼ設計どおりの出射となる。これによって、光学設計する上でほぼ設計どおりに光を進行させることができ、光路が精度よく制御されたものとなる。
【0045】
上面112aの中央部分1121は、液晶パネル2に対向する上面112aの中央部に形成され、中央部分1121の中心(すなわち、レンズ112の光軸)は、LEDチップ111aの光軸S上に位置する。上面112aの中央部分1121は、LEDチップ111aの発光面に平行な円形状に形成され、その直径L3は、たとえば1mm〜4mmである。
【0046】
なお、本発明の他の実施形態としては、中央部分1121の形状を、上記円形状の代わりに、上記円形状を仮想的な底面とし、この底面からLEDチップ111aに向かって突出する円錐の側面形状にしてもよい。
【0047】
中央部分1121は、被照射体である拡散板3において、中央部分1121に対向する領域に光を照射するために形成されている。ただし、中央部分1121はLEDチップ111aに対向する部分であるので、LEDチップ111aから出射される光の大半が中央部分1121に到達し、その大半の光がそのまま透過した場合、中央部分1121に対向する領域の照度が際立って大きくなる。そこで、中央部分1121の形状を、上記円錐の側面形状とすることが好ましい。上記円錐の側面形状とした場合、大半の光が中央部分1121で反射され、中央部分1121を透過する光は少なくなるので、中央部分1121に対向する領域の照度を抑えることができる。
【0048】
上面112aの第1湾曲部分1122は、中央部分1121の外周縁端部に連なり、光軸Sを中心として外方(光軸Sから垂直に離れる方向)に向かうにつれてLEDチップ111aの光軸S方向の一方(液晶パネル2に向かう方向)に延び、光軸Sを中心として内方(光軸Sに垂直に近づく方向)および光軸S方向の一方(液晶パネル2に向かう方向)に凸となるように湾曲した環状の曲面である。ここで、中央部分1121の外周縁端部とは、中央部分1121の外周縁部における、周方向全周の領域のことをいう。上面112aの第1湾曲部分1122は、反射領域とするために、曲面の形状が、LEDチップ111aから出射された光が全反射するように設計される。
【0049】
より詳細には、LEDチップ111aから出射された光のうち、第1湾曲部分1122に到達した光は、第1湾曲部分1122で全反射した後、レンズ112の側面112bを透過し、反射部材113へ向かう。反射部材113に到達した光は、反射部材113で拡散され、被照射体である拡散板3において、LEDチップ111aに対向していない領域に照射される。これにより、LEDチップ111aに対向していない領域への照射光量を増加させることができる。
【0050】
第1湾曲部分1122は、LEDチップ111aから出射された光を全反射するために、LEDチップ111aから出射された光の入射角度が、臨界角φ以上となるように形成される。たとえば、レンズ112の材質をアクリル樹脂とするとき、アクリル樹脂の屈折率は「1.49」であり、空気の屈折率は「1」であるので、sinφ=1/1.49となる。この式から、臨界角φは42.1°となり、第1湾曲部分1122は、入射角度が42.1°以上となる形状に形成される。また、たとえば、レンズ112の材質をシリコン樹脂とするとき、シリコン樹脂の屈折率は「1.43」であり、空気の屈折率は「1」であるので、sinφ=1/1.43となる。この式から、臨界角φは44.4°となり、第1湾曲部分1122は、入射角度が44.4°以上となる形状に形成される。
【0051】
上面112aの第2湾曲部分1123は、第1湾曲部分1122の外周縁端部に連なり、外方に向かうにつれてLEDチップ111aの光軸S方向の他方(液晶パネル2から離反する方向)に延び、外方および光軸S方向の一方に凸となるように湾曲した環状の曲面である。
【0052】
LEDチップ111aから出射された光のうち、第2湾曲部分1123に到達した光は、第2湾曲部分1123を透過するときに、屈折して、拡散板3および反射部材113に向かう。反射部材113に到達した光は、拡散して拡散板3に向かう。このように第2湾曲部分1123により拡散板3へ向かう光は、拡散板3において、中央部分1121および第1湾曲部分1122により光が照射される領域とは異なる領域に主に照射され、これによって光量の補完が行われる。なお、第2湾曲部分1123は、光を透過する必要があるので、LEDチップ111aから出射された光を全反射しないように、入射角度が42.1°未満となる形状に形成される。
【0053】
このように、レンズ112は、中央部分1121の外周縁端部に、LEDチップ111aから出射された光をレンズ112の側面112bへ向けて全反射させる第1湾曲部分1122が形成され、その第1湾曲部分1122の外周縁端部に、LEDチップ111aから出射された光を屈折させる第2湾曲部分1123が形成されている。
【0054】
LEDチップ111aは一般的に指向性が強く、光軸S付近の光量が極めて大きく、光軸Sに対する光の出射角度が大きくなればなるほど光量が小さくなる。したがって、LEDチップ111aの光軸S(すなわち、レンズ112の光軸)から比較的遠い領域への照射光量を大きくするためには、光軸Sに対する出射角度が大きな光を、この領域へ向けるのではなく、出射角度が小さな光を、この領域へ向ける必要がある。
【0055】
本実施形態では、上記のように、光軸Sが通る中央部分1121の周囲に、上記領域へ向けて光を全反射させる第1湾曲部分1122が隣接して形成されるので、この領域への照射光量を大きくすることができる。
【0056】
これに対して、仮に、中央部分1121の周囲に、第2湾曲部分1123を隣接させて形成し、その第2湾曲部分1123の周囲に、第1湾曲部分1122を隣接して形成した場合、第1湾曲部分1122へ向かう光の光軸Sに対する出射角度が大きくなり、その結果、第1湾曲部分1122で全反射されて上記領域に照射される光の量は少なくなってしまう。この結果、拡散板3における輝度は不均一になる。
【0057】
本発明は、第2湾曲部分1123の外周縁端部上に、環状の光量調整部117が設けられることを特徴とする。ここで、第2湾曲部分1123の外周縁端部とは、第2湾曲部分1123の外周縁部における、周方向全周の領域のことをいい、レンズ112の外周縁端部に相当する。本実施形態では、第2湾曲部分1123の外周端から幅が1mm〜5mmの領域が、この外周縁端部である。本実施形態では、光量調整部117は、光を拡散する拡散部材である。この拡散部材は、シート状に形成される透明樹脂中に、この透明樹脂とは屈折率が異なる他の透明樹脂ビーズを分散させてなる環状のシートである。シート状の透明樹脂としては、屈折率がたとえば1.4〜1.6程度のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることができ、透明樹脂ビーズとしては、屈折率がたとえば1.3〜1.5程度のアクリル樹脂を用いることができる。透明樹脂ビーズは、5μm〜100μm程度の粒径であり、シート状の透明樹脂中に、10個/mm〜200個/mm程度の密度で分散される。なお、シート状の透明樹脂中には、透明樹脂ビーズの代わりに、同程度の粒径・密度で、気泡を形成してもよい。
【0058】
拡散部材を構成する上記のシートの厚みL5は、たとえば0.2mm〜2mmであり、シートの幅L6は、たとえば1mm〜5mmである。なお、拡散部材は、このようなシートをレンズ112に取り付ける代わりに、レンズ112の一部であってもよく、たとえば、第2湾曲部分1123の外周縁端部の表面に粗面化処理を施すことによって拡散部材が形成されてもよい。
【0059】
粗面化処理は、レンズ112を成形するための金型の、レンズ112の外周縁端部の表面に対応する部分を、エッチング、サンドブラストの吹き付けなどによって粗面化し、成形されるレンズ112の外周縁端部の表面を粗面化する方法や、レンズ112の成形後、レンズ112の外周縁端部の表面にサンドブラストの吹き付けなどを行って粗面化する方法などで行うことができる。
【0060】
図4は、LEDチップ111aから出射された光の光路を説明するための図である。LEDチップ111aから出射された光は、レンズ112に入射し、このレンズ112で反射または屈折される。具体的には、レンズ112に入射した光のうち、被照射体である拡散板3に対向する上面112aにおいて中央部分1121に到達した光は、拡散板3に向けて矢符A1方向などに出射される。中央部分1121を透過した光は、拡散板3に直接照射されることになる。
【0061】
また、図4に示すように、第1湾曲部分1122に到達した光は、第1湾曲部分1122で全反射して側面112bに向かい、側面112bから矢符A2方向などに出射される。矢符A2方向などに出射された光は、レンズ112の周囲に設けられる反射部材113に到達し、反射部材113によって反射されて、被照射体である拡散板3に照射される。第2湾曲部分1123に到達した光は、外方(LEDチップ111aから遠ざかる方向)に屈折して拡散板3に向けて矢符A3方向などに出射される。
【0062】
また、図4に示すように、第1湾曲部分1122のうち、中央部分1121に臨む内周縁部に到達した光は、内周縁部で全反射して底面112cに向かい、底面112cでさらに反射して側面112bに向かう。ここで、底面112cでの反射には、レンズ112の底面での全反射と、レンズ112の底面に接する反射部材113の表面での反射とが含まれる。また、第1湾曲部分1122の内周縁部とは、第2湾曲部分1122の内周縁部における、周方向全周の領域のことをいう。側面112bに向かった光は、側面112bで全反射して、第2湾曲部分1123の外周縁端部を透過し、光量調整部117に到達する。光量調整部117に到達した光は、光量調整部117によって複数の方向に拡散されて、被照射体である拡散板3に向けて出射される。
【0063】
本実施形態では、LEDチップ111aとレンズ112とは、レンズ112の中心(すなわち、レンズ112の光軸)がLEDチップ111aの光軸S上に位置し、レンズ112がLEDチップ111aに当接するように、予め高精度に位置合わせされて形成されている。このように、LEDチップ111aとレンズ112とを、予め位置合わせして形成する方法としては、インサート成形、所定の形状に成形されたレンズ112に、基台111bに支持されたLEDチップ111aを嵌合させる方法などを挙げることができる。本実施形態では、LEDチップ111aとレンズ112とは、インサート成形により、予め位置合わせされて形成されている。なお、他の実施形態としては、レンズ112の底面に、基台111bを圧入可能な角穴を設け、基台111bに対し、アウトサート、すなわち圧入してもよい。
【0064】
インサート成形する際には、大きく分けて、上面金型と下面金型とを使用する。上面金型と下面金型とを合わせた際に形成される空間に、LEDチップ111aを保持した状態で、レンズ112の原料となる樹脂を樹脂流入口から注入することにより成形する。なお、上面金型と下面金型とを合わせた際に形成される空間に、基台111bに支持されたLEDチップ111aを保持した状態で、レンズ112の原料となる樹脂を樹脂注入口から注入することにより成形するようにしてもよい。このように、LEDチップ111aとレンズ112とをインサート成形により形成することによって、レンズ112がLEDチップ111aに当接するように、高精度に位置合わせすることができる。これによって、バックライトユニット1は、LEDチップ111aから出射した光を、LEDチップ111aに当接したレンズ112により、精度よく反射および屈折させることができるので、拡散板3からプリント基板12までの距離が小さい薄型化された液晶表示装置100においても、輝度がその面方向において均一となるように、光を液晶パネル2に照射することができる。
【0065】
次に、図2および図5を用いて反射部材113について説明する。図5は、反射部材113およびレンズ112の斜視図であり、レンズ112に被覆されるLEDチップ111aおよび基台111bは省略している。反射部材113は、X方向に平面視したときの外形状が多角形状、たとえば正方形状である。反射部材113は、中心に開口部が設けられた、1辺の長さが38.8mmの正方形平板状の基部114と、基部114を取り囲み、LEDチップ111aから遠ざかるにつれてプリント基板12から遠ざかるように傾斜して形成される傾斜部115とを有する。基部114と傾斜部115とによって構成される反射部材113は、レンズ112を中心とした逆ドーム状に設けられる。
【0066】
本実施形態では、反射部材113は、X方向に平面視したときの外形状が正方形状であり、その正方形状の対角線について線対称に構成される。また、正方形状の中心点について90°回転対称に構成される。
【0067】
基部114は、X方向に平面視したときの正方形状の各辺が、マトリクス状に配置される複数のLEDチップ111aの行方向または列方向と平行になるように形成される。また、基部114は、プリント基板12に沿って形成され、X方向に平面視したときに、中央部に正方形状の開口部が設けられる。この正方形状の開口部の1辺の長さは、LEDチップ111aを支持する基台111bの1辺の長さL1と同程度であり、この開口部に基台111bが挿通される。
【0068】
傾斜部115は、主面が等脚台形状の4つの等脚台形状平板116の総称である。ここで、ある部材について、主面とは、その部材において最も広い面を意味し、平板のように最も広い面が表面と裏面とで2つある部材の場合は、一方の主面および他方の主面と称して区別する場合がある。各等脚台形状平板116において、互いに平行な対向する2つの辺部のうちの短い方の辺部116aは、正方形状である基部114の各辺部にそれぞれ連なり、長い方の辺部116bは、X方向において、基部114よりもプリント基板12から離間した位置に設けられる。隣接する等脚台形状平板116同士は、互いに非平行な対向する2つの辺部116c同士が連なり、これによって、傾斜部115は枠状になる。
【0069】
図2に示す、傾斜部115とプリント基板12との間の傾斜角度θ5は、たとえば80°である。また、図2に示す、X方向における傾斜部115の高さH2は、たとえば5mmである。また、図2に示すX方向における拡散板3とプリント基板12との距離H3は、たとえば6mmである。なお、本発明の他の実施形態としては、傾斜角度θ5は45°〜90°の範囲内のいずれの角度であってもよく、反射部材113は傾斜部115を備えなくてもよい。
【0070】
基部114および傾斜部115は、高輝性PET(PolyEthylene Terephthalate)、アルミニウムなどからなる。高輝性PETとは、蛍光剤を含有した発泡性PETであり、たとえば、東レ株式会社製のE60V(商品名)などを挙げることができる。基部114および傾斜部115の厚みは、たとえば0.1〜0.5mmである。
【0071】
本実施形態では、基部114および傾斜部115の、発光部111に臨む面の全反射率は、94%である。基部114および傾斜部115の全反射率は、90%以上であり、好ましくは100%である。全反射率は、JIS H 0201:1998で規定されているように、鏡面反射率と拡散反射率との和であり、JIS K 7375に準拠して測定することができる。
【0072】
反射部材113を構成する基部114および傾斜部115は一体的に成形されることが好ましく、さらに、複数の発光装置11にそれぞれ備えられる各反射部材113は、互いに一体的に成形されることが好ましい。複数の反射部材113を一体成形する方法としては、反射部材113が発泡性PETにより構成されている場合には押出し成型加工を挙げることができ、反射部材113がアルミニウムにより構成されている場合にはプレス加工を挙げることができる。このように、複数の発光装置11にそれぞれ備えられる反射部材113を一体成形することによって、複数の発光装置11のプリント基板12に対する配置位置の精度を向上することができるとともに、バックライトユニット1の組立作業時に、反射部材113を取り付ける作業数を低減することができるので、組立作業の効率を向上することができる。
【0073】
以上のように構成されるバックライトユニット1の効果について、図4を用いて説明したように、LEDチップ111aから出射され、レンズ112に入射した光のうち、被照射体である拡散板3に対向する上面112aの中央部分1121に到達した光は、この中央部分1121を透過し、透過光は拡散板3に直接照射される。また、LEDチップ111aからレンズ112に入射した光のうち、拡散板3に対向する上面112aの第2湾曲部分1123に到達した光は、この第2湾曲部分1123を透過する。そして、透過光は、拡散板3に直接照射されるか、または、反射部材113の傾斜部115で反射されて拡散板3に照射される。
【0074】
さらに、LEDチップ111aからレンズ112に入射した光のうち、拡散板3に対向する上面112aの第1湾曲部分1122の内周縁部以外の部分に到達した光は、この部分で全反射してレンズ112内を側面112bに向かって進み、側面112bに到達する。本発明では、レンズ112の側面112bは、上面112aからLEDチップに向かって傾斜しているので、上記のようにして側面112bに向かって進む光の、側面112bに対する入射角度は小さくなる。よって、この光は、側面112bでほとんど反射されずに、側面112bを透過する。そして、透過光は、反射部材113の基部114に到達して、基部114で拡散され、拡散光は、被照射体である拡散板3の、レンズ112から比較的遠い箇所に照射される。したがって、レンズ112により、被照射体である拡散板3において広い範囲に、LEDチップ111aから出射された光を照射することができる。
【0075】
また、LEDチップ111aからレンズ112に入射した光のうち、拡散板3に対向する上面112aの第1湾曲部分1122の内周縁部に到達した光は、この部分で全反射してレンズ112内を底面112cに向かって進み、底面112cに到達する。底面112cに光が到達すると、底面112cにおいて反射が生じ、反射光が側面112bに向かう。本発明では、レンズ112の側面112bは、上面112aからLEDチップに向かって傾斜しているので、上記のようにして側面112bに向かう反射光の、側面112bに対する入射角度は大きく、臨界角度を超える。よって、この反射光は、側面112bで全反射され、上面112aに向かう。上面112aに向かった光は、上面112aの外周縁端部を透過して光量調整部117に到達する。本実施形態では、光量調整部117に到達した光は、光量調整部117によって複数の方向に拡散され、拡散光が被照射体である拡散板3に照射される。
【0076】
仮に、光量調整部117が設けられない場合、上記のようにレンズ112の側面112bで全反射して上面112aの外周縁端部を透過した光は、1つの方向に集中するので、被照射体である拡散板3に、環状輝点が生じてしまう。しかしながら、本実施形態では、上面112aの外周縁端部に光を拡散する光量調整部117が設けられるので、光が1つの方向に集中することがなく、その結果、環状輝点の発生を抑えることができる。
【0077】
以上のように、バックライトユニット1に設けられる発光装置11によれば、被照射体において広い範囲に、LEDチップ111aから出射された光を照射することができ、環状輝点の発生を抑えることもできるので、被照射体に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、光量調整部117は光を拡散する拡散部材であるけれども、本発明の他の実施形態では、光量調整部117は、光の透過を少なくする光減衰部材であってもよい。この光減衰部材は、透光性バインダー樹脂中に可視光を吸収する黒色粒子を分散させて、レンズ112の上面112aの第2湾曲部分1123の外周縁端部上に層状に塗布し、乾燥させることで形成される。層の厚みや幅は、シート状の拡散部材の厚みや幅と同程度とすることができる。
【0079】
層状の光減衰部材である光量調整部117に到達した光の一部は、光減衰部材を透過するときに、黒色粒子に入射し、黒色粒子に吸収される。黒色粒子は、光減衰部材の透過率がたとえば60%〜80%となるように、層中に均一に分散される。
【0080】
このような光の透過を少なくする光量調整部117が設けられる発光装置11によれば、レンズ112の上面112aの第2湾曲部分1123の外周縁端部を透過して被照射体である拡散板3に向かう光の光量が、光量調整部117によって抑えられるので、環状輝点の発生を抑えることができる。したがって、この他の実施形態でも、被照射体に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができる。
【0081】
以上に説明したようなバックライトユニット1を備える液晶表示装置100によれば、バックライトユニット1によって、被照射体である拡散板3に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができるので、拡散板3に平行に設けられる液晶パネル2に対して、その面方向において強度が均一化された光を照射することができる。これにより、液晶表示装置100は、高画質の画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 バックライトユニット
2 液晶パネル
12 プリント基板
12a 実装面
100 液晶表示装置
111a LEDチップ
111b 基台
112 レンズ
112a 上面
112b 側面
112c 底面
113 反射部材
114 基部
115 傾斜部
117 光量調整部
1121 中央部分
1122 第1湾曲部分
1123 第2湾曲部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体に光を照射するための発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子を覆い、前記発光素子から出射された光を複数の方向に反射または屈折させる光学部材であって、前記発光素子の光軸方向において前記光学部材の上面の外周縁端部から離れるにつれて、前記光軸方向に垂直な方向において前記発光素子に近づくように、前記光軸方向に対して傾斜して形成される側面を有する光学部材と、
前記外周縁端部に設けられ、前記光学部材から出射される光の量を調整する光量調整部とを備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記光学部材は、前記上面において前記外周縁端部よりも内方に、前記発光素子から出射された光を全反射する全反射領域が形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光量調整部は、光を拡散する拡散部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光学部材は、前記外周縁端部が粗面化処理されており、
前記拡散部材は、粗面化処理された前記外周縁端部であることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光量調整部は、光の透過を少なくする光減衰部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
表示パネルと、
前記表示パネルに背面側から光を照射するための、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光装置を備える照明装置とを含むことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38136(P2013−38136A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171288(P2011−171288)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】