説明

発光装置及びこの発光装置を光源として使用する表示装置

【課題】
本発明は、発光装置及びこの発光装置を光源として使用する表示装置に関し、本発明の発光装置は、反射膜の反射効率が非常に優れていて、結果的に、蛍光体の陰極発光効率が非常に優れている。
【解決手段】
本発明による発光装置は、真空領域を間において対向配置する第1基板及び第2基板;第1基板の内面に位置する電子放出部;第1基板の内面に位置して、前記電子放出部の放出電流量を画素別に制御する駆動電極;第2基板の内面に位置するアノード電極;前記アノード電極の一面で画素領域に対応して互いに距離をおいて形成される蛍光層;並びに前記蛍光層を覆って形成される反射膜;を含み、前記反射膜は、Alを含む第1反射膜;及びAgを含む第2反射膜;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びこの発光装置を光源として使用する表示装置に関し、より詳細には、陰極発光効率が優れている発光装置及びこの発光装置を光源として使用する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置とは、外部から見た際に光を放出していることが認識できる装置のことであり、液晶表示装置のバックライトの光源として使用される。これまでに前面基板上にアノード電極及び蛍光層を形成し、後面基板上に電子放出部及び駆動電極を形成した発光装置が知られている。
【0003】
この発光装置は、前面基板及び後面基板は、密封部材によって周縁が一体に接合された後、内部空間が排気されて、密封部材と共に真空容器を形成する。また、この発光装置の駆動電極は、互いに直交して位置するカソード電極及びゲート電極から構成される。この場合、電子放出部は、カソード電極及びゲート電極の交差領域ごとにカソード電極上に位置する。また、駆動電極は、櫛歯形状で、互いに交差して位置するカソード電極及びゲート電極から構成されていてもよい。この場合、電子放出部は、ゲート電極に向かったカソード電極の側面に位置する。
【0004】
前述の発光装置は、カソード電極及びゲート電極の組み合わせによって複数の画素を形成する。そして、カソード電極及びゲート電極に所定の駆動電圧を印加して、画素別に電子放出部の放出電流量を制御することによって、画素別に蛍光層の輝度を調節することができる。そのため、このような発光装置は、液晶表示パネルなどの非自発光表示パネルを含む表示装置の光源として非常に有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した発光装置において、前面基板上に形成した蛍光層一面に、さらに金属反射膜を形成することができる。この蛍光層を覆って形成する金属反射膜は、メタルバック層といわれ、蛍光層から放出された可視光のうち、後面基板に向かって放出された可視光を前面基板側に反射させて、発光面の輝度を高める役割をしている。蛍光層の陰極発光(Cathode Luminescence:CL)効率の向上のためには金属反射膜の反射効率を向上させることが必要であり、最近では、金属反射膜(以下、反射膜と略称する。)の研究が活発に行われている。
【0006】
本発明は、反射膜の反射効率を向上させて、蛍光層の陰極発光効率を向上させることができる発光装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記発光装置を光源として使用する表示装置を提供する。
【0008】
本発明における技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されないまた他の技術的課題も、下記の記載から当業者に明確に理解されうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様によれば、真空領域を間において対向配置する第1基板及び第2基板;第1基板の内面に位置する電子放出部;第1基板の内面に位置して、前記電子放出部の放出電流量を画素別に制御する駆動電極;第2基板の内面に位置するアノード電極;前記アノード電極の一面で画素領域に対応して互いに距離をおいて形成される蛍光層;並びに前記蛍光層を覆って形成される反射膜;を含み、前記反射膜は、Alを含む第1反射膜;及びAgを含む第2反射膜;を含む、発光装置を提供する。
【0010】
本発明で、前記反射膜は、前記第1反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第2反射膜がこの第1反射膜を覆って形成される構成、または前記第2反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第1反射膜がこの第2反射膜を覆って形成される構成からなる。
【0011】
本発明の他の一実施態様によれば、前記発光装置及びこの発光装置の前方に位置する表示パネルを含む、表示装置を提供する。
【0012】
その他の本発明の実施態様の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による発光装置は、反射膜の反射効率が非常に優れていて、結果的に、蛍光体の陰極発光効率が非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施態様による発光装置の部分断面図である。
【図2】図1に示した発光装置の有効領域の内部を示した部分分解斜視図である。
【図3】本発明の第2実施態様による発光装置の部分断面図である。
【図4】本発明の第3実施態様による表示装置の分解斜視図である。
【図5】図4に示した表示装置の部分断面図である。
【図6】参照例1、2、4及び5によって形成された反射膜の反射率を測定して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様を詳細に説明する。しかし、これは例として提示されるものであって、これによって本発明は制限されず、本発明は請求項の範囲によって定義される。
【0016】
本発明の第1実施態様による発光装置は、真空領域を間において対向配置する第1基板及び第2基板;第1基板の内面に位置する電子放出部;第1基板の内面に位置して、前記電子放出部の放出電流量を画素別に制御する駆動電極;第2基板の内面に位置するアノード電極;前記アノード電極の一面で画素領域に対応して互いに距離をおいて形成される蛍光層;並びに前記蛍光層を覆って形成される反射膜;を含む。前記反射膜は、Alを含む第1反射膜;及びAgを含む第2反射膜;を含む。 本発明で、前記反射膜は、前記第1反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第2反射膜が前記第1反射膜を覆って形成される構成、または前記第2反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第1反射膜が前記第2反射膜を覆って形成される構成からなる。つまり、本発明の発光装置は、アノード電極、蛍光層、第1反射膜、及び第2反射膜の順に構成されたり、またはアノード電極、蛍光層、第2反射膜、及び第1反射膜の順に構成される。
【0017】
また、前記蛍光層及び反射膜の間には、反射空間が存在する。前記反射空間は、製造工程で蛍光層上に中間膜を形成した後、焼成工程で中間膜を除去して形成される。つまり、蛍光層上に焼成工程で除去される樹脂及び有機溶媒を含む組成物を塗布して中間膜を形成し、前記中間膜上に反射膜を形成した後、焼成工程で前記樹脂及び有機溶媒を除去して、反射空間を形成するのである。このように中間膜形成工程を行えば、反射膜の接着力を向上させることができ、蛍光層の粗度を減少させて、平坦度を増加させることができ、反射効率を向上させることができる。前記樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル系樹脂などを1種以上混合して使用することができ、前記有機溶媒としては、テキサノール、テルピネオール、ブチルカルビトールなどを1種以上混合して使用することができる。
【0018】
前記第1反射膜は、従来のAl反射膜を形成するいかなる工程で形成されてもよく、その代表的な例としては、Al熱蒸着(thermal evaporation)、Alラミネーション(lamination)、Alラッカー(lacquer)、Alスパッタリング(sputtering)などがある。
【0019】
前記第1反射膜は、厚さが200〜3000Åであるのが好ましい。前記第1反射膜の厚さが200Å未満である場合には、反射効率が低下する場合があり、3000Åを超える場合には、電子の透過効率が低下する場合がある。
【0020】
前記第2反射膜は、Ag塩、添加剤、及び溶媒を含む金属組成物を前記蛍光層の一面または前記第1反射膜の一面にスプレー方式で塗布して乾燥して形成させる方法が好ましい。
【0021】
前記Ag塩としては、Agを含む硝酸塩、酢酸塩、塩化物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上を使用することができる。
【0022】
また、前記添加剤としては、分散剤または還元剤などを1種または2種以上混合して使用することができる。前記分散剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸などの四塩基酸を好ましく使用することができる。また、前記還元剤としては、NaBH、ヒドラジン、エチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを1種または2種以上使用することができる。
【0023】
Ag塩及び添加剤の混合比率は、1:0.25〜1:2質量比であるのが好ましい。添加剤として分散剤及び還元剤を同時に使用する場合、Ag塩、分散剤、及び還元剤の混合比率は、1:0.25:0.5〜1:1:1質量比であるのが好ましい。
【0024】
前記溶媒としては、HO、NaOH、NaOH、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0025】
前記組成物において、Ag塩は、5〜20質量%で使用するのが好ましく、添加剤は、5〜20質量%で使用するのが好ましい。添加剤として分散剤及び還元剤を同時に使用する場合、これらの混合比率は、適切に調節することができる。
【0026】
前記乾燥工程は、100〜450℃で行うことができるが、その後の真空縫着工程時に残留ガスの発生を防止するためには、400〜450℃で行うのが好ましい。
【0027】
前記乾燥工程において、前記Ag塩から生じるAgイオンは、還元されてAgとなり、第2反射膜を形成する。形成された第2反射膜は、Agがナノサイズで存在しており、非常にち密で、厚さが均一となる。また、添加剤として使用される分散剤及び還元剤などは、その後の焼成工程で除去されて、最終的に発光装置には残存しない。
【0028】
前記第2反射膜は、厚さが200〜3000Åであるのが好ましい。前記第2反射膜の厚さが200Å未満である場合には、反射効率が低下する場合があり、3000Åを超える場合には、電子の透過効率が低下する場合がある。
【0029】
本発明の発光装置において、反射膜は、電子ビームの透過のための微細ホールを含み、蛍光層から放出された可視光のうち、第1基板に向かって放出された可視光を第2基板側に反射させて、発光面の輝度を向上させる役割を果たす。
【0030】
前記蛍光層は、赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体が混合された白色蛍光体から形成される。前記赤色蛍光体は、Y:Eu、YS:Eu、SrTiO:Pr、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上を使用することができ、前記緑色蛍光体は、YSiO:Tb、GdS:Tb、ZnS:(Cu,Al)、ZnSiO:Mn、Zn(Ga,Al):Mn、SrGa:Eu、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上を使用することができる。また、前記青色蛍光体は、ZnS:(Ag,Al)、YSiO:Ce、BaMgAl1017:Eu、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上を使用することができる。前記蛍光層において、赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体の混合比率は、15:30:24〜30:60:45質量比であるのが好ましい。前記範囲内に含まれる蛍光層を発光装置に適用し、表示装置の光源として用いた場合、発光装置から発生する白色光は輝度が優れていて、表示パネルを通過した後でも適正な色座標を得ることができるので好ましい。
【0031】
本発明の反射膜を含む発光表示装置の一実施例を、以下で図1及び図2を参照して説明する。しかし、図1及び図2は本発明の反射膜を含む発光装置の一例にすぎず、これに限定されない。図1は本発明の第1実施態様による発光装置の部分断面図であり、図2は図1に示した発光装置の有効領域の内部を示した部分分解斜視図である。
【0032】
本発明の発光装置100は、所定の距離をおいて対向配置する第1基板12及び第2基板14を含む。第1基板12及び第2基板14の周縁には、前記基板12、14を接合させる密封部材16が位置し、内部空間が約10−6Torrの真空度に排気されて、第1基板12、第2基板14、及び密封部材16が真空容器18を構成する。
【0033】
第1基板12及び第2基板14のうちの密封部材16の内側に位置する領域は、実際に可視光の放出に寄与する有効領域、及び有効領域を囲む非有効領域に区分される。第1基板12の内面の有効領域には、電子の放出のための電子放出ユニット20が位置し、第2基板14の内面の有効領域には、可視光の放出のための発光ユニット22が位置する。
【0034】
電子放出ユニット20は、電子放出部24、及び電子放出部24の放出電流量を画素別に制御する駆動電極を含む。駆動電極は、第1基板12の一方向(図2の図面y軸方向)に沿ってストライプパターンに形成されるカソード電極26、絶縁層28を間においてカソード電極26の上部でカソード電極26と交差する方向(図面のx軸方向)に沿ってストライプパターンに形成されるゲート電極30を含む。
【0035】
カソード電極26及びゲート電極30の交差領域ごとにゲート電極30及び絶縁層28に開口部301、281が形成されて、カソード電極26の表面の一部を露出させ、絶縁層の開口部281の内側でカソード電極26上に電子放出部24が位置する。電子放出部24は、真空中で電界が加えられると電子を放出する物質、例えば炭素ナノチューブ、黒鉛、黒鉛ナノファイバー、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、シリコンナノワイヤー、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含む。
【0036】
前記構造において、カソード電極26及びゲート電極30が1つの交差領域が発光装置100の1つの画素領域に対応したり、2つ以上の交差領域が発光装置100の1つの画素領域に対応することができる。
【0037】
発光ユニット22は、アノード電極32、アノード電極32の一面に位置する蛍光層34、蛍光層34を覆う反射膜38を含む。アノード電極32は、5kV以上の高電圧(アノード電圧)の印加を受けて、蛍光層34を高電位状態に維持して、蛍光層34から放出される可視光を透過させることができるように、ITO(indium tin oxide:インジウムスズ酸化物)などの透明な導電物質から形成される。
【0038】
反射膜38は、蛍光層から放出された可視光のうち、第1基板12に向かって放出された可視光を第2基板14側に反射させて、発光面の輝度を高める。一方、アノード電極32を省略し、反射膜38がアノード電圧の印加を受けて、アノード電極として機能することもできる。
【0039】
前記蛍光層34は、赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体が混合された白色蛍光体から形成される。
【0040】
また、本発明の第2実施態様を示す図3に示したように、前記蛍光層34及び反射膜38の間に蛍光層34を覆う中間膜36を形成することもできる。前記中間膜は、蛍光層及び反射膜の間に可視光の反射空間を確保することによって、反射効率を向上させる役割を果たし、前記中間膜36は、その後の焼成工程で除去されて、反射空間を形成する。
【0041】
本発明の発光装置を光源として使用する本発明の第3実施態様による表示装置を図4に示した。
【0042】
図4を参照すれば、本実施例の表示装置200は、発光装置100、及び発光装置100の前方に位置する表示パネル60を含む。拡散板52は、発光装置100及び表示パネル60の間に位置する。前記表示パネル60は、液晶表示パネルまたは他の非自発光表示パネルからなる。以下では、表示パネル60が液晶表示パネルである場合について説明する。
【0043】
図5は図4に示した表示パネルの部分断面図である。
【0044】
図5に図示したように、表示パネル60は、多数の薄膜トランジスター(TFT)62が形成された下部基板64、カラーフィルター層66が形成された上部基板68、及び前記基板64、68の間に注入される液晶層70を有する。上部基板68の上面及び下部基板64の下面には、偏光板72、74が付着されており、表示パネル60を通過する光を偏光させる。
【0045】
下部基板64の内面には、副画素別にTFT62によって駆動が制御される透明な画素電極76が位置し、上部基板68の内面には、透明な共通電極78が位置する。カラーフィルター層66は、副画素別に1つずつ位置する赤色フィルター層66R、緑色フィルター層66G、及び青色フィルター層66Bを含む。
【0046】
特定の副画素のTFT62がターンオンされると、画素電極76及び共通電極78の間に電界が形成され、この電界によって液晶分子の配列角が変化し、変化した配列角によって光の透過度が変化する。表示パネル60は、このような過程を通じて画素別に輝度及び発光色を制御することができる。
【0047】
図4で、引用符号80は各TFTのゲート電極にゲート駆動信号を伝送するゲート回路ボードアセンブリーを示し、引用符号82は各TFTのソース電極にデータ駆動信号を伝送するデータ回路ボードアセンブリーを示す。
【0048】
図4に図示したように、発光装置100は、表示パネル60より少ない数の画素を形成して、発光装置100の1つの画素が表示パネル60の2つ以上の画素に対応するようにする。発光装置100の各画素は、これに対応する表示パネル60の複数の画素の階調のうちの最も高い階調に対応して発光して、2〜8ビットの階調を表現することができる。
【0049】
便宜上、表示パネル60の画素を第1画素とし、発光装置100の画素を第2画素とし、1つの第2画素に対応する第1画素を第1画素群とする。
【0050】
発光装置100の駆動過程は、(1)表示パネル60を制御する信号制御部(図示せず)が第1画素群を構成する第1画素の階調のうちの最も高い階調を検出し、(2)検出された階調によって第2画素の発光に必要な階調を算出して、これをデジタルデータに変換し、(3)デジタルデータを利用して、発光装置100の駆動信号を生成し、(4)生成された駆動信号を発光装置100の駆動電極に印加する段階を含む。
【0051】
発光装置100の駆動信号は、走査駆動信号及びデータ駆動信号からなる。前記カソード電極及びゲート電極のうちの一方の電極、一例としてゲート電極が走査駆動信号の印加を受け、他方の電極、一例としてカソード電極がデータ駆動信号の印加を受ける。
【0052】
発光装置100の駆動のための走査回路ボードアセンブリー及びデータ回路ボードアセンブリーは、発光装置100の後面に位置することができる。図4で、引用符号84がカソード電極及びデータ回路ボードアセンブリーを連結する第1接続部材を示し、引用符号86がゲート電極及び走査回路ボードアセンブリーを連結する第2接続部材を示す。そして、引用符号88がアノード電極にアノード電圧を印加する第3接続部材を示す。
【0053】
このように、発光装置100の第2画素は、対応する第1画素群に画像が表示される時に、第1画素群に同期して所定の階調に発光する。つまり、発光装置100は、表示パネル60が実現する画面のうちの明るい領域には高輝度の光を提供し、暗い領域には低輝度の光を提供する。したがって、本実施例の表示装置200は、画面のコントラスト比を向上させて、より鮮明な画質を実現することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の好ましい実施例及び比較例を記載する。しかし、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明は下記の実施例によって限定されない。 下記、実験例及び比較例で示される方法により反射膜を形成し、反射率を測定した。反射率はミノルタCM2600Dで測定し、L値(色座標中L*a*b*座標)をreference white plateのL*を100として測定した値である。
【0055】
[参照例1]
AgNO、エチレンジアミンテトラ酢酸分散剤、及びヒドラジン還元剤を20:10:20質量%の比率でNaOH溶媒で混合して、組成物を製造した。前記組成物をガラス基板にスプレー塗布し、400℃で乾燥して、反射膜を形成した。
【0056】
[参照例2]
ガラス基板にAgを蒸着して、反射膜を形成した。
【0057】
[参照例3]
ガラス基板にCrをメッキして、反射膜を形成した。
【0058】
[参照例4]
ガラス基板にAlをスパッタリングして、反射膜を形成した。
【0059】
[参照例5]
ガラス基板にステンレススチールをスーパーミラー(Super mirror)法を行って、反射膜を形成した。
【0060】
参照例1〜5によって形成された反射膜の反射率を測定した。参照例1,2,4及び5の波長400〜1200nmにおける反射率を図6に示した。また、波長1000nmで測定された参照例1,3及び4の反射率の結果を下記の表1に示した。
【0061】
【表1】

【0062】
表1及び図6に示したように、Agをスプレーコーティングした参照例1の反射率が最も優れていた。また、Agスプレーコーティング工程で形成された反射膜(参照例1)及びAg蒸着工程で形成された反射膜(参照例2)は、参照例3,4及び5の反射膜に比べ反射率が高く、Agを含んだ膜は反射膜として優れていることが分かる。
【0063】
[実施例1]
図3に示した構造からなる白色蛍光体から形成された中間膜の一面にAlを蒸着して、厚さが1000ÅのAl第1反射膜を製造した。前記Al第1反射膜に、AgNO、エチレンジアミンテトラ酢酸分散剤、及びハイドラジン還元剤を20:10:20質量%の比率でNaOHを溶媒として混合して製造された組成物をスプレー塗布し、400℃で乾燥して、Ag第2反射膜を形成した。この時、第2反射膜の厚さは2000Åであった。
【0064】
[実施例2]
Ag第2反射膜を蒸着工程で形成したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0065】
実施例1及び実施例2によって形成された反射膜の陰極発光(CL)効率を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示したように、Ag第2反射膜は、スプレーコーティング工程で形成した場合でも、蒸着工程で形成された場合でも、優れたCL効率を有していたが、特にスプレーコーティング工程で形成した反射膜がCL効率において非常に優れていた。
【0068】
本発明は、前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造され、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施されることを理解することができる。したがって、以上で記載した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0069】
12 第1基板
14 第2基板
16 密封部材
18 真空パネル
20 電子放出ユニット
22 発光ユニット
24 電子放出部
26 カソード電極
28 絶縁層
30 ゲート電極
32 アノード電極
34 蛍光層
36 中間膜
38 反射膜
52 拡散板
60 表示パネル
62 薄膜トランジスター
64 下部基板
66 カラーフィルター層
68 上部基板
70 液晶層
72、74 偏光板
76 透明な画素電極
78 透明な共通電極
80 ゲート回路ボードアセンブリー
82 データ回路ボードアセンブリー
84 第1接続部材
86 第2接続部材
88 第3接続部材
100 発光装置
200 表示装置
281、301 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空領域を間において対向配置する第1基板及び第2基板;
第1基板の内面に位置する電子放出部;
第1基板の内面に位置して、前記電子放出部の放出電流量を画素別に制御する駆動電極;
第2基板の内面に位置するアノード電極;
前記アノード電極の一面で画素領域に対応して互いに距離をおいて形成される蛍光層;並びに
前記蛍光層を覆って形成される反射膜;を含み、
前記反射膜は、Alを含む第1反射膜;及びAgを含む第2反射膜;を含むことを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
前記第1反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第2反射膜が前記第1反射膜を覆って形成されることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2反射膜が前記蛍光層を覆って形成され、前記第1反射膜が前記第2反射膜を覆って形成されることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1反射膜は、厚さが200〜3000Åであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2反射膜は、厚さが200〜3000Åであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2反射膜は、Ag塩、添加剤、及び溶媒を含む金属組成物を前記蛍光層の一面または前記第1反射膜の一面にスプレー方式で塗布して乾燥して形成されたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記Ag塩は、Agを含む硝酸塩、酢酸塩、塩化物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記添加剤は分散剤であり、前記分散剤は四塩基酸であることを特徴とする、請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記Ag塩及び添加剤の混合比率は、1:0.25〜1:2質量比であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記蛍光層は、赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体が混合された白色蛍光体から形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記赤色蛍光体は、Y:Eu、YS:Eu、SrTiO:Pr、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上であり、前記緑色蛍光体は、YSiO:Tb、GdS:Tb、ZnS:(Cu,Al)、ZnSiO:Mn、Zn(Ga,Al):Mn、SrGa:Eu、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上であり、前記青色蛍光体は、ZnS:(Ag,Al)、YSiO:Ce、BaMgAl1017:Eu、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体の混合比率は、15:30:24〜30:60:45質量比である、請求項10または11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記駆動電極は、絶縁層を間において互いに交差するカソード電極及びゲート電極を含み、前記カソード電極及び前記ゲート電極が重畳する1つ以上の交差領域が画素領域に対応することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載された発光装置;及び前記発光装置の前方に位置する表示パネル;を含むことを特徴とする、表示装置。
【請求項15】
前記表示パネルが第1画素を形成し、前記発光装置が前記表示パネルより少ない数の第2画素を形成して、前記各々の第2画素がそれに対応する第1画素の階調に対応して独立的に発光することを特徴とする、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルは液晶表示パネルであることを特徴とする、請求項14または15に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−135293(P2010−135293A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140460(P2009−140460)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】